(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110702
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】物品処理計画生成方法、倉庫システム、及び保管棚
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240808BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240808BHJP
B65G 1/10 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015442
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 秀隆
(72)【発明者】
【氏名】横山 賢一
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022FF21
3F022JJ11
3F022JJ20
3F022MM05
3F022MM11
3F022MM36
3F022MM40
3F022MM42
3F522AA02
3F522BB25
3F522BB35
3F522CC01
3F522CC03
3F522CC10
3F522DD22
3F522DD37
3F522FF03
3F522FF12
3F522FF37
3F522GG05
3F522GG09
3F522GG13
3F522GG16
3F522GG22
3F522GG25
3F522GG39
3F522GG44
3F522GG46
3F522GG49
3F522JJ02
3F522KK02
3F522KK05
3F522LL14
3F522LL34
3F522LL57
3F522LL62
(57)【要約】
【課題】物品の保管効率の向上に伴う物品の処理効率の低下を防止する物品処理計画生成方法を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る物品処理計画生成方法は、物品又は物品移動用機材の移動頻度に応じて使い分けられる保管場所に保管される物品に関するオーダリストを取得し、前記オーダリストに基づき、保管場所に応じて使い分けられる複数種類の物品処理装置により物品又は物品移動用機材を処理させる物品処理計画を生成し、前記複数種類の物品処理装置による物品処理を制御する制御装置へ前記物品処理計画を出力する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品又は物品移動用機材の移動頻度に応じて使い分けられる複数の保管場所に保管される物品に関するオーダリストを取得し、
前記オーダリストに基づき、複数の保管場所に応じて使い分けられる複数種類の物品処理装置により物品又は物品移動用機材を処理させる物品処理計画を生成し、
前記複数種類の物品処理装置による物品処理を制御する制御装置へ前記物品処理計画を出力する、物品処理計画生成方法。
【請求項2】
前記オーダリストに含まれる第1のリストに基づき、第1の物品処理装置により第1の保管場所に保管される第1の移動頻度の第1の物品又は第1の物品移動用機材を移動させ、前記オーダリストに含まれる第2のリストに基づき、第2の物品処理装置により第2の保管場所に保管される第2の移動頻度の第2の物品又は第2の物品移動用機材を移動させる前記物品処理計画を生成する、請求項1の物品処理計画生成方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の保管場所は、対応する位置関係であり、
前記第1の物品処理装置により第1の時間帯に前記第1の物品又は前記第1の物品移動用機材を移動させ、前記第2の物品処理装置により第2の時間帯に前記第2の物品又は前記第2の物品移動用機材を移動させる前記物品処理計画を生成する、請求項2の物品処理計画生成方法。
【請求項4】
前記第2の時間帯に含まれる所定の時間において前記第1の物品処理装置が移動する第1の領域は、前記所定の時間における前記第2の物品処理装置が移動する第2の領域と重複しない前記物品処理計画を作成する、請求項3の物品処理計画生成方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の保管場所は、垂直方向に対応する位置関係であり、
前記第1の物品処理装置により前記第1の物品又は前記第1の物品移動用機材をフロアに沿って水平方向に移動させ、前記第2の物品処理装置により前記第2の物品又は前記第2の物品移動用機材を垂直方向及び水平方向に移動させる前記物品処理計画を生成する、請求項2又は4の物品処理計画生成方法。
【請求項6】
前記第1の物品移動用機材は、前記第1の移動頻度で移動されるアクティブ状態の複数の前記第1の物品を搬送するための機材であり、
前記第2の物品移動用機材は、前記アクティブ状態になる前の状態であって前記第1の移動頻度より低い前記第2の移動頻度で移動されるリザーブ状態の複数の前記第2の物品を搬送するための機材であり、
前記第1及び第2の物品処理装置が走行するフロアの前記第1の保管場所に保管される前記第1の物品移動用機材を前記第1の物品処理装置により搬送させ、前記第1の保管場所の上方の前記第2の保管場所に保管される前記第2の物品移動用機材を前記第2の物品処理装置により搬送させる前記物品処理計画を生成する、請求項5の物品処理計画生成方法。
【請求項7】
第1の保管グループの前記第1及び第2の保管場所は、垂直方向に対応する位置関係であり、また、第2の保管グループの第3及び第4の保管場所は、垂直方向に対応する位置関係であり、
前記第1の物品処理装置により第1のルートで前記第1の保管グループに保管される物品又は物品移動用機材を移動させ、前記第2の物品処理装置により第2のルートで前記第2の保管グループに保管される物品又は物品移動用機材を移動させる前記物品処理計画を生成する、請求項3の物品処理計画生成方法。
【請求項8】
物品処理計画を生成するサーバ、及びフロアに対して垂直方向に第1及び第2の保管場所を提供する保管棚を備える倉庫システムであって、
前記サーバは、
物品又は物品移動用機材の移動頻度に応じて使い分けられる複数の保管場所に保管される物品に関するオーダリストを取得する取得部と、
前記オーダリストに基づき、複数の保管場所に応じて使い分けられる複数種類の物品処理装置により物品又は物品移動用機材を処理させる物品処理計画を生成する生成部と、
前記複数種類の物品処理装置による物品処理を制御する制御装置へ前記物品処理計画を出力する出力部と、
を備え、
前記生成部は、前記オーダリストに含まれる第1のリストに基づき、第1の物品処理装置により第1の保管場所に保管される第1の移動頻度の第1の物品又は第1の物品移動用機材を移動させ、前記オーダリストに含まれる第2のリストに基づき、第2の物品処理装置により第2の保管場所に保管される第2の移動頻度の第2の物品又は第2の物品移動用機材を移動させる前記物品処理計画を生成し、
位置合わせ用の第1の位置識別情報を有するフロアに配置される前記保管棚は、
前記第2の物品又は第2の物品移動用機材を積載する積載部と、
前記積載部を支持するフレームと、
を備え、
前記積載部の前記フロアに対向する面は、位置合わせ用の第2の位置識別情報を有する、
倉庫システム。
【請求項9】
位置合わせ用の第1の位置識別情報を有するフロアに対して垂直方向に第1及び第2の保管場所を提供する保管棚であって、
積載部と、
前記積載部を支持するフレームと、
を備え、
前記積載部の前記フロアに対向する面は、位置合わせ用の第2の位置識別情報を有し、
前記積載部の下方に、第1の物品又は第1の物品移動用機材を保管する前記第1の保管場所を提供し、前記積載部の上方に、第2の物品又は第2の物品移動用機材を保管する前記第2の保管場所を提供する保管棚。
【請求項10】
前記フレームは、キャスターを備える請求項9の保管棚。
【請求項11】
前記第2の位置識別情報は、棚搬送装置による前記保管棚の位置合わせのための情報であり、
前記棚搬送装置は、前記保管棚を搬送し、前記第1及び第2の位置識別情報を読み取り、前記保管棚を目的位置に配置する、請求項10の保管棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、物品処理計画生成方法、倉庫システム、及び保管棚に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、物流の配送拠点では荷物等の物品の取扱量が増加しており、物品の区分又は搬送に関する様々な効率化が図られている。その一つとして、物品を収容した移動棚を自動搬送する棚搬送ロボットの導入が進められている。例えば、棚搬送ロボットは、移動棚の下に潜り込み、移動棚を持ち上げて、移動棚とともに物品を目的位置へ搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、移動棚は、凡そ2.5m程度の高さであるが、物流の配送拠点の倉庫の天井高は移動棚の高さより数メートル高いことがある。移動棚は、作業者による作業を前提としているため、その高さには限界があり、倉庫において移動棚の上方に空間が生じることがある。このようなケースでは、倉庫の容積に対する物品の収容効率が低くなり、収容効率の向上を図る技術が要望されている。
【0005】
例えば、倉庫の構造を見直し、倉庫自体を複層化するなどして、物品移動用機材である移動棚の上方空間に、別の物品移動用機材であるパレットを配置して、収容効率の改善を図ることが考えられる。しかしながら、倉庫の構造の見直しについては、建築コストの負担が重く、倉庫事業者の要望を十分に満たすものではない。
【0006】
また、何らかの工夫により、移動棚の上方空間を利用できたとしても、物品の処理効率が大幅に低下するようであれば、やはり、倉庫事業者の要望を十分に満たすものではない。
【0007】
本発明の目的は、物品の保管効率の向上に伴う物品の処理効率の低下を防止する物品処理計画生成方法及び倉庫システムを提供することである。また、本発明の目的は、物品の保管効率の向上に寄与する保管棚を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る物品処理計画生成方法は、物品又は物品移動用機材の移動頻度に応じて使い分けられる保管場所に保管される物品に関するオーダリストを取得し、前記オーダリストに基づき、保管場所に応じて使い分けられる複数種類の物品処理装置により物品又は物品移動用機材を処理させる物品処理計画を生成し、前記複数種類の物品処理装置による物品処理を制御する制御装置へ前記物品処理計画を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る物流システムの一例を示す概念図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る倉庫内の保管棚の配置例を示す第1の上面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る保管棚により提供される保管場所等を示す第1の側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る倉庫内の保管棚の配置例を示す第2の上面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る保管棚により提供される保管場所等を示す第2の側面図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る物品処理計画生成処理の一例を示す概念図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るWESによる最適化処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る倉庫内の位置識別情報の設置例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る棚搬送ロボットの制約情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るAGFロボットの動作領域及び動作時間と棚搬送ロボットの動作可能領域及び動作可能時間の関係その1を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係るAGFロボットの動作領域及び動作時間と棚搬送ロボットの動作可能領域及び動作可能時間の関係その2を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る物品処理計画生成処理及び物品処理計画に基づく動作制御の一例を示すシーケンス図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係るリザーブの運用例を説明するタイムチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態に係るリザーブの運用例を説明する倉庫内上面図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係るリザーブの入庫処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施形態に係るリザーブ運用例を説明するステーションレイアウトである。
【
図17】
図17は、実施形態に係るリザーブから出庫してアクティブへ入庫するパレットの入庫処理(ステーション利用)の一例を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、実施形態に係る保管棚の一例を示す側面図である。
【
図19】
図19は、実施形態に係る保管棚の積載部の一例を示す上面図である。
【
図20】
図20は、実施形態に係る保管棚の積載部の一例を示す底面図である。
【
図21】
図21は、実施形態に係る倉庫内の位置識別情報の配置例を示す図である。
【
図22】
図22は、実施形態に係る保管棚と位置識別情報の関係を示す模式図である。
【
図23】
図23は、実施形態に係る保管棚と位置識別情報の関係を示す側面図である。
【
図24】
図24は、実施形態に係る保管棚と位置識別情報、及び棚搬送ロボットとAGFロボットの関係を示す図である。
【
図25】
図25は、実施形態に係る保管棚の設置例を示すフローチャートである。
【
図26】
図26は、実施形態に係るキャスター付きの保管棚の一例を示す図である。
【
図27】
図27は、実施形態に係る保管棚搬送治具の一例を示す図である。
【
図28】
図28は、実施形態に係る保管棚搬送治具を利用した搬送例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して各実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る物流システムの一例を示す概念図である。
図1に示すように、物流システムSは、倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)1、及び倉庫処理システム2を備える。
【0011】
倉庫処理システム2は、倉庫運用システム(WES:Warehouse Execution System)30、棚搬送ロボットシステム40、棚搬送ロボット(棚搬送装置)41、自動フォークリフト(AGF:Auto Guided Forklift)システム50、AGFロボット(パレット搬送装置)51、及び在庫管理システム60を備える。
【0012】
WMS1は、1又は複数台のコンピュータ、即ち、プロセッサ、メモリ、及びインタフェース等で構成可能である。プロセッサは、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、又はDSP(digital signal processor)等である。WMS1は、上位サーバからオーダリストを受信し、WES30へ送信する。
【0013】
オーダリストは、目的、用途、又は頻度等に応じて使い分けられる複数の保管場所に保管される物品に関するオーダリストであり、1以上の物品を指定する。例えば、オーダリストは、第1及び第2のリストを含む。第1のリスト(ピッキングリスト)は、第1の移動頻度で移動されるアクティブ状態の物品のリストである。第2のリスト(入庫リスト)は、第1の移動頻度より低い第2の移動頻度で移動されるリザーブ状態の物品のリストである。例えば、第1のリストは、物品情報、発注情報、及び配送情報等を含む。第2のリストは、物品情報を含む。物品情報は、物品数、物品識別情報、物品名称等を含む。発注情報は、発注日時及び発注者等を含む。配送情報は、配送先、配送日時、及び受取人等を含む。
【0014】
WES30(サーバ)は、1又は複数台の汎用コンピュータで構成可能であり、プロセッサ301、メモリ302、及びインタフェース303を備える。プロセッサ301は、CPU、MPU、又はDSP等である。また、プロセッサ301は、物品処理計画生成方法を実行する主体である。メモリ302は、プロセッサ301の動作プログラム等を記憶する。インタフェース303は、WMS1、棚搬送ロボットシステム40、AGFシステム50、及び在庫管理システム60と通信する。
【0015】
プロセッサ301は、取得部3011、生成部3012、及び出力部3013を備える。プロセッサ301は、メモリ302に記憶されるプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
【0016】
例えば、インタフェース303は、WMS1からオーダリストを受信する。取得部3011は、オーダリストを取得する。生成部3012は、オーダリストに基づき物品処理計画を生成する。出力部3013は、生成された物品処理計画を出力する。インタフェース303は、棚搬送ロボットシステム40及びAGFシステム50へ物品処理計画を送信する。また、インタフェース303は、棚搬送ロボットシステム40及びAGFシステム50から物品処理結果を受信し、WMS1へ物品処理結果を送信する。
【0017】
例えば、WES30のプロセッサ301は、オーダリストに基づき、複数の保管場所に応じて使い分けられる複数種類の物品処理装置により物品又は物品移動用機材を処理させる物品処理計画を生成し、複数の物品処理装置による物品処理を制御する制御装置へ物品処理計画を出力する。
【0018】
複数の保管場所は、倉庫内に配置される保管棚により提供される。例えば、保管棚は、倉庫のフロアに対して垂直方向に対応する位置関係の第1及び第2の保管場所を提供する。保管棚は、積載部を備え、積載部の下方に、第1の物品又は第1の物品移動用機材を保管する第1の保管場所を提供し、積載部の上方に、第2の物品又は第2の物品移動用機材を保管する第2の保管場所を提供する。倉庫のフロアに、複数の保管棚を配置することにより、倉庫内には、複数の第1及び第2の保管場所が提供される。
【0019】
複数種類の物品処理装置として、第1の物品処理装置である棚搬送ロボット41、及び第2の物品処理装置であるAGFロボット51がある。棚搬送ロボット41は、倉庫のフロアに沿って水平方向に移動し、物品又は物品移動用機材を移動(搬送)する。AGFロボット51のフォークは、倉庫のフロアに対して垂直方向に上下移動し、物品又は物品移動用機材を移動(搬送)し、また、AGFロボット51は、倉庫に沿って水平方向に移動し、物品又は物品移動用機材を移動(搬送)する。
【0020】
棚搬送ロボットシステム40は、1又は複数台の汎用コンピュータで構成可能であり、プロセッサ、メモリ、及びインタフェースを備える。プロセッサは、CPU、MPU、又はDSP等である。プロセッサは、メモリに記憶されるプログラム、及びWES30から送信される物品処理計画に基づき、棚搬送ロボット41を制御する。
【0021】
棚搬送ロボット41は、棚搬送ロボットシステム40の制御に基づき、物品又は物品移動用機材を処理する。例えば、棚搬送ロボット41は、倉庫のフロアに沿って水平方向に移動し、物品移動用機材である移動棚を搬送する。
【0022】
AGFシステム50は、1又は複数台の汎用コンピュータで構成可能であり、プロセッサ、メモリ、及びインタフェースを備える。プロセッサは、CPU、MPU、又はDSP等である。プロセッサは、メモリに記憶されるプログラム、及びWES30から送信される物品処理計画に基づき、AGFロボット51を制御する。
【0023】
AGFロボット51は、AGFシステム50の制御に基づき、物品又は物品移動用機材を処理する。例えば、AGFロボット51のフォークは、倉庫のフロアに対して垂直方向に上下移動し、物品移動用機材であるパレットを搬送し、また、AGFロボット51は、倉庫に沿って水平方向に移動し、パレットを搬送する。
【0024】
在庫管理システム60は、1又は複数台の汎用コンピュータで構成可能であり、プロセッサ、メモリ、及びインタフェースを備える。プロセッサは、CPU、MPU、又はDSP等である。メモリは、在庫管理データベース等を記憶する。
【0025】
在庫管理データベースは、倉庫のマップデータ、マップデータ(座標データ)に関連付けられる位置識別情報、位置識別情報に関連付けられる保管場所情報、及び保管場所情報に関連付けられる物品情報を含む。
【0026】
倉庫のフロアには、複数の位置識別情報が貼り付けられる。位置識別情報は、保管棚の設置位置、又は棚搬送ロボット41及びAGFロボット51の通路を示す。位置識別情報は、QRコード(登録商標)等の二次元コードである。
【0027】
倉庫のフロアには、位置識別情報を目印にして保管棚が設置され、保管棚の積載部の下方を第1の保管場所とし、積載部の上方を第2の保管場所とし、第1の保管場所に第1の物品又は第1の物品移動用機材が保管され、第2の保管場所に第2の物品又は第2の物品移動用機材が保管される。
【0028】
図2は、実施形態に係る倉庫内の保管棚の配置例を示す第1の上面図である。また、
図3は、実施形態に係る保管棚により提供される保管場所等を示す第1の側面図である。なお、
図3は、
図2の第1の上面図のグループGaに対応する側面図である。
図4は、実施形態に係る倉庫内の保管棚の配置例を示す第2の上面図である。また、
図5は、実施形態に係る保管棚により提供される保管場所等を示す第2の側面図である。なお、
図5は、
図4の第2の上面図のグループGbに対応する側面図である。
【0029】
図2及び
図4に示すように、複数個の保管棚70が配置される。例えば、複数個の保管棚70が1列に並べられ、2列毎に保管棚70が隣接して配置され、2列毎に棚搬送ロボット41及びAGFロボット51の通路91が形成される。例えば、通路91は、一台のロボットが一方通行で走行するための通路である。
【0030】
図3及び
図5に示されるように、保管棚70は、フロアの平面に対して垂直方向に第1及び第2の保管場所を提供する。保管棚70は、1又は複数の積載部701、及び積載部701を支持するフレーム702を備える。
【0031】
第1のリストの物品81は、物品用移動機材の移動棚71に収納された状態で、第1の保管場所L11に保管され、第2のリストの物品82は、物品用移動機材のパレット72に積載された状態で、第2の保管場所L12に保管される。
【0032】
第1の保管場所L11の物品81が不足すると、第2の保管場所L12の物品82が第1の保管場所L11へ移動され、第1の保管場所L11の物品不足が補われる。なお、第2の保管場所L12の物品82が不足すると、外部から搬入される物品が第2の保管場所L12へ移動され、第2の保管場所L12の物品不足が補われる。また、物品の移動(補充)に対応して、第1及び第2のリストが更新される。
【0033】
同様に、第1のリストの物品81は、物品用移動機材の移動棚71に収納された状態で、第1の保管場所L21に保管され、第2のリストの物品は、物品用移動機材のパレット72に積載された状態で、第2の保管場所L22に保管される。第1の保管場所L21の物品81が不足すると、第2の保管場所L22の物品82が第1の保管場所L21へ移動され、第1の保管場所L21の物品不足が補われる。なお、第2の保管場所L22の物品82が不足すると、外部から搬入される物品が第2の保管場所L22へ移動され、第2の保管場所L22の物品不足が補われる。また、物品の移動(補充)に対応して、第1及び第2のリストが更新される。
【0034】
図3及び
図5に示すように、保管棚70が、一段の積載部701を備える場合、積載部701の下方に第1の保管場所L11又はL21が確保され、上方に第2の保管場所L12又はL22が確保される。第1の保管場所L11及び第2の保管場所L12は、垂直方向に対応する位置関係であり、第1の保管場所L21及び第2の保管場所L22も、垂直方向に対応する位置関係である。
【0035】
図3に示すように、対応する位置関係にある第1の保管場所L11及び第2の保管場所L12を保管グループG1と呼び、対応する位置関係にある第1の保管場所L21及び第2の保管場所L22を保管グループG2と呼ぶ。
【0036】
また、
図5に示すように、対応する位置関係にある第1の保管場所L11及び第2の保管場所L12を保管グループG2と呼び、対応する位置関係にある第1の保管場所L21及び第2の保管場所L22を保管グループG5と呼ぶ。
【0037】
図3及び
図5に示すように、保管棚70が、二段の積載部7011及び7012を備える場合、一段目の積載部7011の下方に第1の保管場所L11又はL21が確保され、上方に第2の保管場所L12又はL22が確保され、二段目の積載部7012の下方に第2の保管場所L12又はL22が確保され、上方に第3の保管場所L13又はL23が確保される。第1の保管場所L11、第2の保管場所L12、及び第3の保管場所L13は、垂直方向に対応する位置関係であり、第1の保管場所L21、第2の保管場所L22、及び第3の保管場所L23も、垂直方向に対応する位置関係である。
【0038】
図3に示すように、対応する位置関係にある第1の保管場所L11、第2の保管場所L12、及び第3の保管場所L13を保管グループG3と呼び、対応する位置関係にある第1の保管場所L21、第2の保管場所L22、及び第3の保管場所L23を保管グループG4と呼ぶ。
【0039】
また、
図5に示すように、対応する位置関係にある第1の保管場所L11、第2の保管場所L12、及び第3の保管場所L13を保管グループG6と呼び、対応する位置関係にある第1の保管場所L21、第2の保管場所L22、及び第3の保管場所L23を保管グループG7と呼ぶ。
【0040】
図6は、実施形態に係る物品処理計画生成処理の一例を示す概念図である。なお、WES30が、単独で物品処理計画を生成してもよいし、WES30、棚搬送ロボットシステム40、及びAGFシステム50が、協働して物品処理計画を生成してもよい。協働する場合、WES30が物品処理計画の一部を担い、棚搬送ロボットシステム40及びAGFシステム50が物品処理計画の残りを担う。また、WES30、棚搬送ロボットシステム40、及びAGFシステム50による物品処理計画の分担範囲は、システムの運用に応じて任意に設定できる。また、物品処理計画の分担範囲は、固定であってもよいし、可変であってもよい。
【0041】
WES30のプロセッサ301は、WMS1からのオーダリストを取得し、オーダリストに含まれるピッキングリスト(第1のリスト)に基づき、アクティブ処理を実行する(ST11)。例えば、プロセッサ301は、ピッキングリスト及び在庫管理データベースに基づき、棚搬送ロボット41によりアクティブ状態の物品又は物品移動用機材の処理を指示するアクティブ処理を実行する。このアクティブ処理は、当日作業開始前に確定する処理であり、統計的に予測可能な処理である。
【0042】
また、プロセッサ301は、WMS1からのオーダリストを取得し、オーダリストに含まれるピッキングリストに基づき、適宜、割り込むアクティブ処理を実行する(ST12)。
【0043】
また、プロセッサ301は、WMS1からのオーダリストを取得し、オーダリストに含まれる入庫リスト(第2のリスト)に基づき、リザーブ処理を実行する(ST13)。例えば、プロセッサ301は、入庫リスト及び在庫管理データベースに基づき、AGFロボット51によりリザーブ状態の物品又は物品移動用機材の処理を指示するリザーブ処理を実行する。このリザーブ処理は、当日作業開始前に確定する処理であり、統計的に予測可能な処理である。
【0044】
また、プロセッサ301は、WMS1からのオーダリストを取得し、オーダリストに含まれる入庫リストに基づき、適宜、割り込むリザーブ処理を実行する(ST14)。
【0045】
プロセッサ301は、取得したピッキングリスト及び入庫リストに基づき、最適化処理のための物品処理計画を生成し、生成した物品処理計画を棚搬送ロボットシステム40及びAGFシステム50へ送信する(ST15)。即ち、プロセッサ301は、計画立案、分析、及び判断(実行)を実行し、AGF処理の計画、スケジューリング、棚搬送ロボット41の制約定義(経時領域定義)を生成する。
【0046】
プロセッサ301は、作業が終了するまで(ST16、NO)、ST11~ST15を繰り返す。
【0047】
棚搬送ロボットシステム40は、物品処理計画を受信し物品処理計画を実行する、又は物品処理計画をさらに最適化して実行する(ST17)。
【0048】
AGFシステム50は、物品処理計画を受信し物品処理計画を実行する、又は物品処理計画をさらに最適化して実行する(ST18)。
【0049】
ここで、最適化処理について、さらに詳しく説明する。
例えば、プロセッサ301は、第1のリストに基づき、棚搬送ロボット41により第1の保管場所に保管される第1の移動頻度の物品81又は移動棚71を移動させ、第2のリストに基づき、AGFロボット51により第2の保管場所に保管される第2の移動頻度の物品82又はパレット72を移動させる物品処理計画を生成する。
【0050】
例えば、第2の保管場所には、複数個の単位でリザーブ用の物品82が入庫され、第2の保管場所から第1の保管場所へ、複数個の単位で物品82が移動される。一方、第1の保管場所には、1個以上の単位でピッキングされる物品81が出庫される。第1の保管場所の第1の移動頻度は、第2の保管場所の第2の移動頻度より高い。
【0051】
即ち、移動棚71は、第1の移動頻度で移動されるアクティブ状態の複数の物品81を搬送するための機材であり、パレット72は、アクティブ状態になる前の状態であって第1の移動頻度より低い第2の移動頻度で移動されるリザーブ状態の複数の物品82を搬送するための機材である。
【0052】
プロセッサ301により生成される物品処理計画は、棚搬送ロボット41により第1の時間帯に物品81又は移動棚71を移動させ、AGFロボット51により第2の時間帯に物品82又はパレット72を移動させるための計画である。
【0053】
第1の時間帯は、棚搬送ロボット41の動作開始から終了までの時間帯である。また、第2の時間帯は、AGFロボット51の動作開始から終了までの時間帯である。第1の時間帯と第2の時間帯は、一部が重複する時間帯であってもよいし、一切重複しない時間帯であってもい。第1及び第2の保管場所は、フロアに対して垂直方向に対応する位置関係であるが、時間帯を分けて、物品81又は移動棚71と物品82又はパレット72とを処理することにより、棚搬送ロボット41及びAGFロボット51による処理の待ち時間を減らすことができ、また、衝突を防止することもできる。
【0054】
また、プロセッサ301により生成される物品処理計画は、棚搬送ロボット41により第1のルートで第1の保管グループに保管される物品81又は移動棚71を移動させ、AGFロボット51により第2のルートで第2の保管グループに保管される物品82又はパレット72を移動させるための計画である。
【0055】
例えば、第1の保管グループの第1及び第2の保管場所は、垂直方向に対応する位置関係であり、また、第2の保管グループの第3及び第4の保管場所は、垂直方向に対応する位置関係である。保管グループに応じて、異なるルートを利用することにより、棚搬送ロボット41及びAGFロボット51による処理の待ち時間を減らすことができ、また、衝突を防止することもできる。
【0056】
図7は、実施形態に係るWESによる最適化処理の一例を示すフローチャートである。
プロセッサ301は、棚搬送ロボットシステム40及びAGFシステム50と通信し、棚搬送ロボット41及びAGFロボット51のステータスを確認する。
【0057】
プロセッサ301は、AGF処理(例えばリザーブ入庫処理)をスケジューリングする(ST1501)。プロセッサ301は、棚搬送ロボット41の作業閑散時間及び入庫トラック到着に合わせて所定時刻(例えば11:05)にAGF作業開始を予定する。
【0058】
プロセッサ301は、在庫管理情報に基づきAGF計画を策定する(ST1502)。例えば、プロセッサ301は、パレット入庫時間(全体最適)、パレット配置(在庫)位置(在庫管理情報)、AGF動作経路計画を策定する。
【0059】
プロセッサ301は、棚搬送ロボット制約を定義する(ST1503)。例えば、プロセッサ301は、作業開始時間、配置(在庫)位置、及びAGF動作経路計画に基づき、棚搬送ロボット通路制約を定義する。
【0060】
プロセッサ301は、棚搬送ロボット制約計画を棚搬送ロボットシステム40へ通知し、棚搬送ロボットシステム40の動作計画変更を促し、棚搬送ロボットシステム40からフィードバックを受け取る(ST1504)。
【0061】
プロセッサ301は、AGF作業開始予定時間(例えば11:05)になると(ST1505、YES)、AGFロボット51、棚搬送ロボット41、及び入庫対象の準備を確認する(ST1506)。例えば、プロセッサ301は、入庫すべきパレットがトラックで到着し、到着したパレットがAGFロボット51の作業場所に置かれたことを確認する。また、プロセッサ301は、棚搬送ロボット41及びAGFロボット51が作業待ちの状態になったことを確認する。
【0062】
プロセッサ301は、AGFシステム50に作業開始(入庫又は出庫)を指示する(ST1507)。
【0063】
プロセッサ301は、棚搬送ロボットシステム40へAGF制約情報をリアルタイムに送信する(ST1508)。棚搬送ロボットシステム40は、AGF制約情報に基づき棚搬送ロボット41を制御する。また、プロセッサ301は、AGFシステム50へ棚搬送ロボットシステム40からの棚搬送情報をリアルタイムに送信する。AGFロボットシステム50は、棚搬送情報に基づきAGFロボット51を制御する。例えば、棚搬送情報は、棚搬送ロボット41の位置と時間を示す情報を含む。
【0064】
プロセッサ301は、AGFロボット51によるAGF作業(リザーブ作業)が完了すると(ST1509、YES)、棚搬送ロボットシステム40へAGF作業完了を通知する(ST1510)。以降、棚搬送ロボット41は、制約を受けることなく、動作可能となる。
【0065】
図8は、実施形態に係る倉庫内の位置識別情報の設置例を示す図である。
図8に示すように、倉庫内には、複数個の保管棚70が配置され、例えば、所定の保管棚70の保管場所Lxにパレット72が配置されるケースを想定する。倉庫のフロアには、位置識別情報C1が貼り付けられる。連続する位置識別情報C1により通路91が形成される。搬送用ロボット41及びAGFロボット51は、位置識別情報C1を読み取り通路91を認識して目的地へ向けて走行する。なお、搬送用ロボット41及びAGFロボット51による通路91の認識の仕組みを別々に設けてもよい。
【0066】
パレットエリアE1のパレット枠内には、待機中のパレット72が配置される。AGFロボット51は、パレット72を受け取り、位置識別情報C1を読み取り、所定の保管棚70の保管場所Lxに向けて移動し、保管場所Lxに対応する目的位置で停止し、パレット72を持ち上げて保管場所Lxへ配置する。
【0067】
図9は、実施形態に係る棚搬送ロボットの制約情報の一例を示す図である。
AGFロボット51の動作(リザーブ処理)により、棚搬送ロボット41の動作が制約される。
図9に示すように、制約情報は、AGFロボット51の予定経路と予定時間、及びAGFロボット51の実時間と実経路リアルタイム情報を含む。
【0068】
図10は、実施形態に係るAGFロボットの動作領域及び動作時間と棚搬送ロボットの動作可能領域及び動作可能時間の関係その1を示す図である。
グリッドのピッチは1.3m、棚搬送ロボット41及びAGFロボット51の速度は1.3m/secと仮定する。AGFロボット51が、グリッドG24から移動してグリッドG28で停止し、5secのパレット配置作業を行い、グリッドG28からグリッドG24に向けて戻る場合、AGFロボット51の動作領域及び動時時間は、
図10に示す通りである。
【0069】
図10の台形状の破線領域は、AGFロボット51の位置偏差(この例では1.3m)と時間偏差(この例では1sec)を示すマージンである。このマージンを含めた破線領域外の領域の時間及び空間(楕円の破線領域)であれば、棚搬送ロボット41は動作可能となる。
【0070】
ここで、
図10に示すグリッドG24-G29が直線状に並んでいると仮定する。また、グリッドG24-G29により定まる通路は、1台の棚搬送ロボット41又はAGFロボット51の走行が可能であり、2台のロボットがすれ違うことはできない一方通行の通路である。そのため、楕円の棚搬送ロボット41の動作領域と、台形状のAGFロボット51の動作領域は、上下に分かれて存在する。
【0071】
しかしながら、グリッドG24-G29が交差点を含むようなケース(グリッドG24-G29がL字を形成するケース)で、AGFロボット51が交差点を経由してグリッドG24-G29から外れた位置に存在する時間帯であれば、棚搬送ロボット41はグリッドG24-G29を通行することができる。つまり、楕円の破線領域が台形状の破線領域を超えるイメージである。
【0072】
プロセッサ301は、上記したケースを含む物品処理計画を生成する。例えば、第1の時間帯を棚搬送ロボット41の動作開始から終了までの時間帯とし、第2の時間帯をAGFロボット51の動作開始から終了までの時間帯とする。また、第1及び第2の時間帯において局所的に共通する時間又は時間帯として、第1及び第2の時間帯に含まれる所定の時間又は時間帯を定義する。
【0073】
プロセッサ301により生成される物品処理計画は、この所定の時間又は時間帯において棚搬送ロボット41が移動する第1の領域を、この所定の時間又は時間帯におけるAGFロボット51が移動する第2の領域と重複させない計画である。この所定の時間又は時間帯において、第1の領域と第2の領域とを重複させなければ、棚搬送ロボット41の移動がAGFロボット51の移動を妨げることはない。これにより、AGFロボット51の移動を優先することができ、物品処理効率の低下を防止することができる。
【0074】
図11は、実施形態に係るAGFロボットの動作領域及び動作時間と棚搬送ロボットの動作可能領域及び動作可能時間の関係その2を示す図である。
グリッドのピッチは1.3m、棚搬送ロボット41及びAGFロボット51の速度は1.3m/secと仮定する。AGFロボット51の動作と協調した、棚搬送ロボット41の制御例について説明する。例えば、棚搬送ロボット41が、グリッドG23、G24の方向から進入してグリッドG25で作業を行い、グリッドG25からグリッドG24、G23の方向に戻る場合、AGFロボット51の動作領域及び動作時間の領域と重複しなければ、棚搬送ロボット41の作業が可能となる。
【0075】
例えば
図11に示すように、棚搬送ロボット41の動作領域及び動作時間が、AGFロボット51の動作領域及び動作時間と重複しなければ、棚搬送ロボット41は、AGFロボット51に干渉することなく、動作することが可能となる。
【0076】
図12は、実施形態に係る物品処理計画生成処理及び物品処理計画に基づく動作制御の一例を示すシーケンス図である。
図12に示すように、WES30のプロセッサ301は、WMS1からのオーダリストを取得し(ST21)、オーダリストに基づき物品処理計画を生成し(ST22)、棚搬送ロボットシステム40及びAGFロボットシステム50へ物品処理計画を出力する(ST23)。
【0077】
さらに、プロセッサ301は、物品処理計画に基づき、AGFシステム50に作業開始を指示する(ST24)。AGFシステム50は、物品処理計画及び作業開始指示に基づき、AGFロボットを制御し(ST31)、AGFロボット51の位置情報をリアルタイムに送信する(ST32)。例えば、AGFシステム50は、AGFロボット51の位置情報を1sec毎(グリッド毎)に送信する。
【0078】
プロセッサ301は、AGFロボット51の位置情報を取得し(ST25)、棚搬送ロボット41の制御指示を出力する。例えば、棚搬送ロボット41の制御指示は、AGFロボット51のリアルタイム位置(制約情報)を含む。棚搬送ロボットシステム40は、制御指示に基づき棚搬送ロボット41を制御し(ST41)、棚搬送ロボット41の位置情報を送信する(ST42)。例えば、棚搬送ロボットシステム40は、制御指示に含まれるAGFロボット51のリアルタイム位置(制約情報)に基づき、AGFロボット51の走行を妨げないように、棚搬送ロボット41の動作を制御する。また、棚搬送ロボットシステム40は、棚搬送ロボット41の位置情報を1sec毎(グリッド毎)に送信する。
【0079】
プロセッサ301は、棚搬送ロボット41の位置情報を取得する(ST26)。
【0080】
プロセッサ301は、AGFロボット51の作業を終了しない場合(ST27、NO)、衝突回避が必要であれば(ST28、YES)、AGFロボット51の一時停止を指示し、棚搬送ロボット41に回避を指示する(ST29)。AGFロボット51は、一定時間にわたり動作を停止した後、動作を継続する。棚搬送ロボット41は、AGFロボット51の経路から一旦退避してAGFロボット51の予定動作を促す。プロセッサ301は、AGFロボット51の作業を終了する場合(ST27、YES)、全ての動作制御を終了する。
【0081】
AGFロボット51及び棚搬送ロボット41は、衝突防止機能を備えるが、プロセッサ301は、非効率な動作停止を抑制するため、AGFロボット51の予定経路及び通過時刻を把握し、棚搬送ロボット41の動作を制御する。
【0082】
実施形態では、複数種類の物品処理装置としての棚搬送ロボット41及びAGFロボット51による物品処理について説明したが、物品処理装置は、その他のロボットであってもよい。また、複数種類の物品処理装置による物品処理の一部を係員(人手)が担ってもよい。例えば、AGFロボット51の処理を係員が担ってもよい。このような場合、物品処理計画は、物品処理装置による物品処理計画と係員による物品処理計画を含むことになる。
【0083】
例えば、タブレット等の通信端末は、WES30から送信される、係員向けの物品処理計画を受信し出力する。係員向けの物品処理計画は、作業内容、移動経路、及び保管場所等の情報を含む。また、通信端末は、係員からの作業開始及び作業終了の入力を受け付け、受け付けた情報をWES30へ送信する。また、WES30は、倉庫内のカメラから出力される映像を解析し、係員の作業状態を検出し、係員の作業状態に基づき物品処理計画を更新する。
【0084】
次に、実施形態に係るリザーブの運用について説明する。
【0085】
図13は、実施形態に係るリザーブの運用例を説明するタイムチャートである。
図13に示すように、例えば、棚搬送ロボットシステム40及び棚搬送ロボット41は、輸配送の出荷締切時間を目指して、ピッキングリストに基づき、第1の保管場所に保管される物品81をピッキングして出荷エリアへ搬送し出荷処理を実行する。
【0086】
また、AGFシステム50及びAGFロボット51は、入荷トラック到着後に、入庫リストに基づき、リザーブとしての物品82を第2の保管場所へ搬送し、第2の保管場所へ入庫する入庫処理を実行する。
【0087】
例えば、ピッキングされた物品81の払出処理完了後に、AGFシステム50及びAGFロボット51は、第2の保管場所(リザーブ)の物品82を第1の保管場所(アクティブ)へ移動させるための出庫処理を実行する。即ち、リザーブ出庫及びアクティブ入庫を実行する。
【0088】
図14は、実施形態に係るリザーブの運用例を説明する倉庫内上面図である。
図14に示すように、倉庫に隣接してトラックヤードが設けられ、トラックヤードに対応する位置にトラックが停止する。トラックの中から複数の物品82が積載されたパレット72が運び出され、運び出されたパレット72が所定位置に置かれる。AGFロボット51は、所定位置のパレット72を搬送し、所定の保管棚70の上方に位置する第2の保管場所にパレット72を置く。このようにして、第2の保管場所に物品82がリザーブとして保管される。
【0089】
図15は、実施形態に係るリザーブの入庫処理の一例を示すフローチャートである。
図15に示すように、トラックの中から複数の物品82が積載されたパレット72が運搬され、マーキング領域に置かれる(ST101)。マーキング領域に置かれたパレット72を指定位置へ置く動作を開始する(ST102)。AGFロボット51によりパレットを搬送するケースと、係員によりパレットを搬送するケースに分岐する(ST103)。
【0090】
AGFロボット51を適用する場合(ST103、YES)、AGFロボット51は、センサ出力又は画像解析により、マーキング領域に置かれたパレット72を確認する(ST201)。
【0091】
棚搬送ロボット41及びAGFロボット51の準備が完了していれば、AGFシステム50はAGFロボット51を起動する(ST202)。
【0092】
AGFロボット51は、マーキング領域でパレット72を受け取り(ST203)、所定の保管棚70へ移動し(ST204)、所定の保管棚70の上方に位置する第2の保管場所にパレット72を置く(ST205)。
【0093】
AGFロボット51が退避すると(ST206)、AGFシステム50は、AGFロボット51の退避をWES30へ通知する(ST207)。
【0094】
一方、係員を適用する場合(ST103、NO)、係員は、マーキング領域に置かれたパレット72を目視確認する(ST301)。
【0095】
棚搬送ロボット41及び係員の準備が完了していれば、係員は作業開始を宣言する(ST302)。
【0096】
係員は、サマーキング領域でパレット72を受け取り(ST303)、所定の保管棚70へ移動し(ST304)、所定の保管棚70の上方に位置する第2の保管場所にパレット72を置く(ST305)。
【0097】
係員が退避すると(ST306)、監視カメラシステム等は、監視カメラ等の画像解析結果に基づき、係員の退避をWES30へ通知する(ST307)。また、係員がタブレット等の通信端末を介して退避完了を通知しても良い。
【0098】
図16は、実施形態に係るリザーブ運用例を説明するステーションレイアウトである。
倉庫内には、ピッキングステーション(リザーブステーション)が設けられ、さらに、移動棚待機位置、移動棚積み込み(STOW)位置、パレットピッキング位置が設けられる。移動棚待機位置には、物品81の積み込み待ちの移動棚71が置かれる。移動棚積み込み位置は、物品81が積み込まれる移動棚71が置かれる。パレットピッキング位置には、物品82が積載されたパレット72が置かれる。パレット72からピッキングされた物品82(必要数)は、ユーザインタフェースの指示に応じて、移動棚71に積み込まれる。
【0099】
なお、ピッキングステーションは、リザーブステーション以外の用途で稼働させることもできる。
【0100】
図17は、実施形態に係るリザーブから出庫してアクティブへ入庫するパレットの入庫処理(ステーション利用)の一例を示すフローチャートである。
AGFロボット51又は係員により、出庫するパレット72が搬送されステーションに配置される(ST401)。また、棚搬送ロボット41により、入庫する移動棚71が搬送されステーションに配置される(ST402)。
【0101】
ステーションのインタフェースにより、パレット72から出庫すべき物品(商品)の種類、位置、数量が指示(表示)される(ST403)。ステーションの係員が、指示に従って出庫処理を実施する(ST404)。
【0102】
ステーションのインタフェースにより、移動棚71に入庫すべき物品(商品)の種類、位置、数量が指示(表示)される(ST405)。ステーションの係員が、指示に従って入庫処理を実施する(ST406)。
【0103】
係員は、処理完了をインタフェースへ入力する(ST407)。
【0104】
棚搬送ロボット41は、移動棚71を在庫位置へ搬送して配置する(ST408)。また、AGFロボット51又は係員は、パレット72を在庫位置へ搬送して配置する(ST409)。
【0105】
パレット72がリザーブから出庫してアクティブへ入庫する処理が完了するまで(ST410、NO)、ST401~ST409が繰り返され、パレット72がリザーブから出庫してアクティブへ入庫する処理が完了すると(ST410、YES)、処理は終了する。
【0106】
図18は、実施形態に係る保管棚の一例を示す側面図である。
図19は、実施形態に係る保管棚の積載部の一例を示す上面図である。
図20は、実施形態に係る保管棚の積載部の一例を示す底面図である。
図18に示すように、保管棚70は、位置合わせ用の位置識別情報C22を有するフロアに配置される。また、保管棚70は、フロアの平面に対して垂直方向に第1及び第2の保管場所を提供する。保管棚70は、積載部701、及び積載部701を支持するフレーム702を備える。
【0107】
図19に示すように、例えば、積載部701は、中央にボードを有する。なお、積載部701は、全面がボード状であってもよいし、全面が格子状であってもよい。
【0108】
保管棚70は、積載部701の下方に、物品81又は移動棚71を保管する第1の保管場所を提供し、積載部701の上方に、物品82又はパレット72を保管する第2の保管場所を提供する。
【0109】
図20に示すように、積載部701のフロアに対向する面は、位置合わせ用の位置識別情報C21を有する。保管棚70が、1個の移動棚71に応じたサイズの場合、1個の移動棚71に対応して、積載部701のフロアに対向する面は、1個の位置識別情報C21を有する。保管棚70が、複数個の移動棚71に応じたサイズの場合、複数個の移動棚71に対応して、積載部701のフロアに対向する面は、複数個の位置識別情報C21を有する。
【0110】
図18に示すように、保管棚70の正面の棚脚間隔Wは移動棚71の幅より広く、移動棚71の出し入れを可能にする。例えば、棚脚間隔Wは、1個の移動棚71が入る程度の幅であってもよいし、複数個の移動棚71が入る程度の幅であってもよい。例えば、棚脚間隔Wは、以下の条件を満たす。
【0111】
(移動棚×N個+移動棚間隔×(N-1))+2α(クリアランス)<棚脚間隔W
図21は、実施形態に係る倉庫内の位置識別情報の配置例を示す図である。
図21に示すように、倉庫のフロアには、複数の位置識別情報C1及び位置識別情報C22が貼り付けられる。例えば、格子状に複数の位置識別情報C1及び位置識別情報C22が貼り付けられる。位置識別情報C22により形成される列は、保管棚位置を示し、この列に沿って保管棚70が設置される。また、位置識別情報C1により形成される列は、棚搬送ロボット41及びAGFロボット51の通路91を示し、この列に沿って棚搬送ロボット41及びAGFロボット51が走行する。
【0112】
例えば、棚搬送ロボット41及びAGFロボット51は、カメラを備え、カメラにより読み取られる位置識別情報C1、C21、C22を認識する。AGFロボット51は、位置識別情報C1を認識して通路91を走行して、保管棚70を目的位置へ搬送する。AGFロボット51は、目的位置に対応する位置識別情報C22を認識して、保管棚70を設置する。
【0113】
また、棚搬送ロボット41は、位置識別情報C1を認識して通路91を走行して、移動棚71を目的位置へ搬送する。棚搬送ロボット41は、目的位置に対応する位置識別情報C22を認識して、保管棚70を設置する。或いは、棚搬送ロボット41は、目的位置に対応する位置識別情報C21を認識して、保管棚70を設置する。
【0114】
図22は、実施形態に係る保管棚と位置識別情報の関係を示す模式図である。
図23は、実施形態に係る保管棚と位置識別情報の関係を示す側面図である。
図22及び
図23に示すように、積載部701のフロアに対向する面は、位置識別情報C21を有する。また、フロアは、位置識別情報C22を有する。通路91は、位置識別情報C1を有する。
【0115】
位置識別情報C21、C22、C1は、方向を特定する情報を含む。AGFロボット51は、位置識別情報C22を認識して、所定の向きに保管棚70を設置することができる。また、棚搬送ロボット41は、位置識別情報C21及びC22を認識して、所定の向きで所定の位置(中央)に移動棚71を設置することができる。
【0116】
図24は、実施形態に係る保管棚と位置識別情報、及び棚搬送ロボットとAGFロボットの関係を示す図である。
図24に示すように、棚搬送ロボット41は、フロアの位置識別情報C22に基づき位置及び方向を認識し、また、保管棚70の位置識別情報C21に基づき位置及び方向を認識する。棚搬送ロボット41は、認識結果を棚搬送ロボットシステム40へ送信する。棚搬送ロボットシステム40は、認識結果をWES30へ送信する。AGFロボット51は、AGFロボットシステム50を介して、WES30からの認識結果を受信し、保管棚70の位置及び方向を認識する。或いは、棚搬送ロボット41が、AGFロボット51へ認識結果を送信してもよい。AGFロボット51は、認識結果に基づき、保管棚70の位置を調整する。
【0117】
図25は、実施形態に係る保管棚の設置例を示すフローチャートである。
棚搬送ロボット41は、移動棚71の位置(=保管棚70の設置位置)へ移動する(ST501)。棚搬送ロボット41は、フロアの位置識別情報C22に基づき位置及び方向を認識する(ST502)。AGFロボット51は、認識結果に基づき保管棚70を移動する(ST503)。なお、係員が対応する場合、タブレット等の通信端末に送信される認識結果に基づき、係員が手動で保管棚70を移動する(ST503)。
【0118】
棚搬送ロボット41は、保管棚70の位置識別情報C21を読み取り、中心位置及び角度をチェックする(ST504)。位置ずれが生じている場合は(ST505、YES)、AGFロボット51又は係員が保管棚70を移動させて、位置ずれを修正する(ST503)。位置ずれが生じていなければ(ST505、NO)、処理を終了する。
【0119】
このように、棚搬送ロボット41は、保管棚70の高精度な位置決めに貢献する。
【0120】
図26は、実施形態に係るキャスター付きの保管棚の一例を示す図である。
図27は、実施形態に係る保管棚搬送治具の一例を示す図である。
図28は、実施形態に係る保管棚搬送治具を利用した搬送例を示す図である。
図26に示すように、保管棚70のフレーム702の先端部は、キャスター703を備える。棚搬送ロボット41は、キャスター703付きの保管棚70を搬送する。
【0121】
図27及び
図28に示すように、保管棚搬送治具704により、棚搬送ロボット41は、キャスター703付きの保管棚70を搬送する。例えば、保管棚搬送治具704は、左右に二つのフレームフッカー7041を備える。棚搬送ロボット41は、保管棚搬送治具704を搭載し、保管棚搬送治具704を搭載した棚搬送ロボット41が、保管棚70を通過しようとすると(順方向に走行すると)、保管棚搬送治具704のフレームフッカー7041が、フレーム702の一部を引っかけて、そのまま保管棚70を搬送する。また、棚搬送ロボット41が、逆方向に走行すると、フレームフッカー7041によるフレーム702の一部の引っかかりが開放され、保管棚70がその場に設置される。フレームフッカー7041の形状は、L字、U字、又は鍵型の何れでもよい。
【0122】
以上説明した本実施形態によれば、物品の保管効率の向上に伴う物品の処理効率の低下を防止する物品処理計画生成方法及び倉庫システムを提供することができる。また、本実施形態によれば、物品の保管効率の向上に寄与する保管棚を提供することができる。
【0123】
例えば、WES30等のサーバは、オーダリストに基づき、複数の保管場所に応じて使い分けられる複数種類の物品処理装置により物品又は物品移動用機材を処理させる物品処理計画を生成する。複数種類の物品処理装置は、物品処理計画に基づき、移動頻度に応じて使い分けられる複数の保管場所の物品又は物品移動用機材を効率良く処理することができる。
【0124】
また、本実施形態に係るプログラム(即ち、プロセッサ301の動作プログラム)は、WES30等の電子機器に記憶された状態で譲渡されてよいし、電子機器に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記憶媒体に記憶された状態で譲渡されてもよい。記憶媒体は、非一時的な有形の媒体である。記憶媒体は、コンピュータ可読媒体である。記憶媒体は、光ディスク、メモリカード等のプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。電子機器は、ネットワークを介して譲渡(提供)されるプログラムをダウンロードしてメモリにインストールする、又は記憶媒体からプログラムを読み取りメモリにインストールする。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0126】
1…倉庫管理システム(WMS)
2…倉庫処理システム
30…倉庫運用システム(WES)
40…棚搬送ロボットシステム
41…棚搬送ロボット
50…AGFロボットシステム
51…AGFロボット
60…在庫管理システム
70…保管棚
71…移動棚
71…物品用移動機材の移動棚
72…パレット
81…物品
82…物品
91…通路
301…プロセッサ
302…メモリ
303…インタフェース
701…積載部
702…フレーム
703…キャスター
704…保管棚搬送治具
3011…取得部
3012…生成部
3013…出力部
7011、7012…積載部
7041…フレームフッカー