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特開2024-110711診療ガイドライン表示装置、診療ガイドライン提示装置、及び、診療ガイドライン提示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110711
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】診療ガイドライン表示装置、診療ガイドライン提示装置、及び、診療ガイドライン提示システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 70/20 20180101AFI20240808BHJP
【FI】
G16H70/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015454
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉木 朗恵
(72)【発明者】
【氏名】山地 圭
(72)【発明者】
【氏名】大田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】吉留 巧
(72)【発明者】
【氏名】竹井 浩二
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】操作者に負担を掛けずに、被検体の処置に有用な診療ガイドライン情報を提示すること。
【解決手段】実施形態に係る診療ガイドライン表示装置は、複数の診療ガイドライン情報を提示する診療ガイドライン提示装置と通信可能に接続される診療ガイドライン表示装置であって、情報取得部と、表示制御部と、を備える。情報取得部は、操作者が参照すべき順位を示す参照順位がそれぞれ対応付けされた複数の診療ガイドライン情報を前記診療ガイドライン提示装置から取得する。表示制御部は、前記複数の診療ガイドライン情報を前記参照順位に従って表示部に表示させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の診療ガイドライン情報を提示する診療ガイドライン提示装置と通信可能に接続される診療ガイドライン表示装置であって、
操作者が参照すべき順位を示す参照順位がそれぞれ対応付けされた複数の診療ガイドライン情報を前記診療ガイドライン提示装置から取得する情報取得部と、
前記複数の診療ガイドライン情報を前記参照順位に従って表示部に表示させる表示制御部と、
を備える診療ガイドライン表示装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、被検体の基本情報及び検査結果を含む被検体情報を前記診療ガイドライン提示装置からさらに取得し、
前記表示制御部は、前記複数の診療ガイドライン情報を、前記被検体情報に基づく前記参照順位に従って前記表示部にさらに表示させる、
請求項1に記載の診療ガイドライン表示装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、前記操作者に関する操作者情報を前記診療ガイドライン提示装置からさらに取得し、
前記表示制御部は、前記複数の診療ガイドライン情報を、前記被検体情報及び前記操作者情報に基づく前記参照順位に従って前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の診療ガイドライン表示装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記表示部に表示された前記診療ガイドライン情報のうち、前記被検体情報を示す箇所を強調表示させる、
請求項2又は3に記載の診療ガイドライン表示装置。
【請求項5】
複数の診療ガイドライン情報を表示する診療ガイドライン表示装置と通信可能に接続される診療ガイドライン提示装置であって、
被検体の基本情報及び検査結果を含む被検体情報と、操作者に関する操作者情報と、処置に関する複数の診療ガイドライン情報とを取得する取得部と、
前記被検体情報及び前記操作者情報に応じて前記複数の診療ガイドライン情報を順位付けして前記操作者が参照すべき順位を示す参照順位を設定する設定部と、
前記参照順位がそれぞれ対応付けされた複数の診療ガイドライン情報を前記診療ガイドライン表示装置に提示する提示部と、
を備える診療ガイドライン提示装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記取得した複数の診療ガイドライン情報のうち、前記操作者情報に含まれる、前記操作者の専門に関する診療ガイドライン情報を、前記順位付けする対象から除外する、
請求項5に記載の診療ガイドライン提示装置。
【請求項7】
前記設定部は、
前記被検体情報からキーワードを抽出し、
前記複数の診療ガイドライン情報それぞれが当該抽出したキーワードを含むか否かにより前記複数の診療ガイドライン情報を順位付けする、
請求項5又は6に記載の診療ガイドライン提示装置。
【請求項8】
前記設定部は、
前記複数の診療ガイドライン情報の各診療ガイドライン情報のタイトルが、前記被検体情報から抽出したキーワードを含む場合には、当該診療ガイドライン情報に比較的高い点数を付与し、
前記各診療ガイドライン情報の本文が、前記被検体情報から抽出したキーワードを含む場合には、当該診療ガイドライン情報に比較的低い点数を付与し、
前記複数の診療ガイドライン情報に付与された点数の高い順に前記複数の診療ガイドライン情報を順位付けする、
請求項7に記載の診療ガイドライン提示装置。
【請求項9】
複数の診療ガイドライン情報を提示する診療ガイドライン提示装置と、前記複数の診療ガイドライン情報を表示する診療ガイドライン表示装置とを備える診療ガイドライン提示システムであって、
前記診療ガイドライン提示装置は、
被検体の基本情報及び検査結果を含む被検体情報と、操作者に関する操作者情報と、処置に関する複数の診療ガイドライン情報とを取得する取得部と、
前記被検体情報及び前記操作者情報に応じて前記複数の診療ガイドライン情報を順位付けして前記操作者が参照すべき順位を示す参照順位を設定する設定部と、
前記参照順位がそれぞれ対応付けされた複数の診療ガイドライン情報を前記診療ガイドライン表示装置に提示する提示部と、
を備え、
前記診療ガイドライン表示装置は、
前記参照順位がそれぞれ対応付けされた複数の診療ガイドライン情報を前記診療ガイドライン提示装置から取得する情報取得部と、
前記複数の診療ガイドライン情報を前記参照順位に従って表示部に表示させる表示制御部と、
を備える、
診療ガイドライン提示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、診療ガイドライン表示装置、診療ガイドライン提示装置、及び、診療ガイドライン提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
臨床現場において医療従事者(例えば、医師)が意思決定する際に、判断材料の一つとして診療ガイドラインが利用されている。診療ガイドラインでは、科学的根拠、診療に伴う利益と弊害のバランス、患者の価値観と希望、経済的視点等を考慮して、最適と考えられる診療方法が「推奨」の形で示される。また、診療における注意点等も示される。例えば、薬物療法を行っている被検体(例えば、患者)に対して、ある検査を行う必要が生じた場合、医師は、服用中の薬を休薬すべきか、休薬期間はどのくらいか等の情報を得るために、診療ガイドラインを参照する。
【0003】
一方、操作者である医師がキーワードを入力して、診療ガイドラインを検索できるWebサイトがある。このようなWebサイトでは、キーワードを含む診療ガイドラインが全件提示され、各診療ガイドラインの全文が表示される。
【0004】
ただし、当該Webサイトでは提示される情報の量が多いので、その中から必要な情報を抽出することが難しいという問題がある。提示された診療ガイドラインの分野が医師の専門外である場合には、特に、前提となる知識が不足しているので、欲しい情報の抽出が難しいことがある。例えば、医師は、診療ガイドライン内でキーワードを再検索する等して、キーワードの該当箇所を参照するが、それにより有用な情報が得られるとは限らない。
【0005】
なお、特許文献1には、「(ニューラルネットワークの)最後段の層は、患者の健康状態及び医療関係者の属性に関連する医用学習用コンテンツを特定するための情報を第2出力層15hに受け渡す。」ことが開示されている。ただし、特許文献1に係る発明は、診療ガイドラインを提示したり、表示したりするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-104493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、操作者に負担を掛けずに、被検体の処置に有用な診療ガイドライン情報を提示することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限らない。後述する各実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る診療ガイドライン表示装置は、複数の診療ガイドライン情報を提示する診療ガイドライン提示装置と通信可能に接続される診療ガイドライン表示装置であって、情報取得部と、表示制御部と、を備える。情報取得部は、操作者が参照すべき順位を示す参照順位がそれぞれ対応付けされた複数の診療ガイドライン情報を診療ガイドライン提示装置から取得する。表示制御部は、複数の診療ガイドライン情報を参照順位に従って表示部に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る診療ガイドライン提示システムの構成を示すブロック図。
図2図2は、実施形態1に係る最初のライフログ及び電子カルテの例を示す図。
図3図3は、図2から続く、ライフログ及び電子カルテの例を示す図。
図4図4は、図3から続く、ライフログ及び電子カルテの例を示す図。
図5図5は、実施形態1に係る診療ガイドライン提示装置の処理を示すフローチャート。
図6図6は、実施形態1に係る診療ガイドライン-専門診療科テーブル、及び、診療ガイドライン-単語テーブルの構成を示す図。
図7図7は、実施形態1に係る診療ガイドライン提示システムの処理を示すフローチャート。
図8図8は、電子カルテに含まれる、患者ごとのキーワード及び属性の具体例、及び、医師ID-専門診療科テーブルの例を示す図。
図9図9は、医師の属性情報の例を示す図。
図10図10は、実施形態2に係る電子カルテにおけるドラッグ&ドロップ操作の例を示す図。
図11図11は、実施形態2に係る診療ガイドライン情報の表示方法の例を示す図。
図12図12は、実施形態2に係る診療ガイドライン情報の表示方法の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、診療ガイドライン表示装置、診療ガイドライン提示装置、及び、診療ガイドライン提示システムの実施形態について詳細に説明する。
【0011】
〔実施形態1〕
実施形態1は、診療ガイドライン提示システム1の構成及び処理に関する。図1は、実施形態1に係る診療ガイドライン提示システム1の構成を示すブロック図である。
診療ガイドライン提示システム1は、診療ガイドライン提示装置10と、複数の診療ガイドライン表示装置(図1ではその中の1つの診療ガイドライン表示装置20を図示)とを備えている。診療ガイドライン提示装置10と、診療ガイドライン表示装置20とは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0012】
診療ガイドライン提示装置10は、診療ガイドライン表示装置20に複数の診療ガイドライン情報を提示する。診療ガイドライン提示装置10は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション等の一般的な情報処理装置により構成され、図1に示すようにディスプレイ11、入力インタフェース12、記憶回路13、通信回路14、及び、処理回路15を有する。
【0013】
診療ガイドライン提示装置10のディスプレイ11は、例えば、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等の一般的な表示出力装置により構成される。入力インタフェース12は、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、テンキー等の一般的な入力装置により構成され、医師の操作に対応した操作入力信号を処理回路15に出力する。
【0014】
記憶回路13は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、処理回路15が利用するプログラムやパラメータデータやその他のデータを記憶する。記憶回路13は、例えば、電子カルテDB(Database)、テーブルDB等を記憶する。なお、記憶回路13の記録媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は、ネットワークNを介した通信により他のサーバ等のコンピュータからダウンロードされてもよいし、光ディスク等の可搬型記憶媒体を介して記憶回路23に与えられてもよい。
【0015】
通信回路14は、ネットワークNの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。通信回路14は、この各種プロトコルに従ってネットワークNを介して複数の診療ガイドライン表示装置20と接続する。通信回路14は、送受信部の一例である。
【0016】
処理回路15は、診療ガイドライン提示装置10を統括制御する機能を実現する。また、処理回路15は、記憶回路13に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、複数の診療ガイドライン情報を抽出して、診療ガイドライン表示装置20に提示する処理を実行するプロセッサである。
【0017】
処理回路15のプロセッサは、取得機能151、設定機能152、及び、提示機能153を実現する。これらの各機能は、それぞれプログラムの形態で記憶回路13に記憶されている。
【0018】
取得機能151は、患者の基本情報及び検査結果を含む患者情報と、医師に関する医師情報と、診療に関する複数の診療ガイドライン情報とを取得する機能を含む。
なお、患者は、被検体の一例である。患者情報は、被検体情報の一例である。医師は、操作者の一例である。操作者は、医師に限定されず、例えば、理学療法士等であってもよい。医師情報は、操作者情報の一例である。診療は、処置の一例である。処置は、診療に限定されず、例えば、リハビリ等であってもよい。
【0019】
設定機能152は、患者情報及び医師情報に応じて複数の診療ガイドライン情報を順位付けして医師が参照すべき順位を示す参照順位を設定する機能を含む。すなわち、参照順位は、複数の診療ガイドライン情報を、患者情報及び医師情報に応じて順位付けして設定される。なお、参照順位は、複数の診療ガイドライン情報を患者情報に応じて順位付けして設定されてもよい。
【0020】
提示機能153は、参照順位がそれぞれ対応付けされた複数の診療ガイドライン情報を診療ガイドライン表示装置20に提示する機能を含む。
【0021】
診療ガイドライン表示装置20は、診療ガイドライン提示装置10から複数の診療ガイドライン情報を取得し、表示する。診療ガイドライン表示装置20は、医師により利用され、例えば、一般的なパーソナルコンピュータやワークステーション等により構成される。また、診療ガイドライン表示装置20は、例えば、スマートフォン型やタブレット端末、ノートブック型パーソナルコンピュータ等の携帯型の情報処理端末により構成されてもよい。
【0022】
図1に示すように、診療ガイドライン表示装置20は、ディスプレイ21、入力インタフェース22、記憶回路23、通信回路24、及び、処理回路25を有する。診療ガイドライン表示装置20は、サーバとしての診療ガイドライン提示装置10が提示した複数の診療ガイドライン情報を表示するクライアントの一例である。
【0023】
ディスプレイ21、入力インタフェース22、記憶回路23、及び、通信回路24は、診療ガイドライン提示装置10のディスプレイ11、入力インタフェース12、記憶回路13、及び、通信回路14と同等の構成を備えるものなので説明を省略する。通信回路24は、ネットワークNを介して診療ガイドライン提示装置10と接続する。
【0024】
本実施形態において、ネットワークNは、例えば、クラウドネットワーク等の電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、病院基幹LAN(Local Area Network)等の無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワーク等を含む。
【0025】
処理回路25は、診療ガイドライン表示装置20を統括制御する機能を実現する。また、処理回路25は、記憶回路23に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、診療ガイドライン提示装置10に特定患者の電子カルテの提示を要求する処理、及び、診療ガイドライン提示装置10から当該電子カルテを構成する情報を受信してディスプレイ21に表示させる処理を実行するプロセッサである。
【0026】
処理回路25のプロセッサは、情報取得機能251、及び、表示制御機能252を実現する。これらの各機能は、それぞれプログラムの形態で記憶回路23に記憶されている。
情報取得機能251は、医師が参照すべき順位を示す参照順位がそれぞれ対応付けされた複数の診療ガイドライン情報を診療ガイドライン提示装置10から取得する機能を含む。
表示制御機能252は、複数の診療ガイドライン情報を上記の参照順位に従ってディスプレイ21に表示させる。
【0027】
図2図3、及び、図4は、患者のライフログ(上段)、及び、患者の電子カルテ(下段)の例を示す図である。患者Aのライフログは、患者Aが受けた治療等を時系列に記録した内容を示す(以下、同様)。患者Aの電子カルテは、患者Aのライフログのうち現在の時点において、診療ガイドライン表示装置20のディスプレイ21に表示される内容を示す(以下、同様)。
【0028】
図2は、患者Aに関する最初のライフログ及び電子カルテの例を示す。患者Aのライフログによれば、患者Aは、冠動脈疾患を持っており、循環器内科医から冠動脈ステント留置手術を受けて、現在は、抗血小板薬を2剤服用しながら、療養している最中である。
【0029】
患者Aの電子カルテには、左側にカルテ欄があり、右側に診療ガイドライン欄がある。カルテ欄には、患者Aの症状、及び、患者Aが受けた治療歴等の記録が表示されている。診療ガイドライン欄には、カルテ欄に表示された、患者Aの情報を用いて検索した診療ガイドライン情報が表示される。図2の例では、参照順位の1位から3位までの診療ガイドライン情報のタイトル、及び、本文が表示されると共に、当該本文に含まれるキーワードがハイライト表示される。なお、ハイライト表示は、強調表示の一例である。
【0030】
図3は、図2から続く、ライフログ及び電子カルテの例を示す。患者Aのライフログによれば、患者Aは、生検を伴う消化器内視鏡検査を受けることが決まる。そこで、例えば、消化器内視鏡検査を担当する消化器内科医が、診療ガイドライン表示装置20の入力インタフェース22を用いて、カルテ欄に生検を伴う消化器内視鏡検査を予定している旨を入力する。この時点では、診療ガイドライン欄の表示内容は未だ更新されていない。
【0031】
図4は、図3から続く、ライフログ及び電子カルテの例を示す。消化器内科医は、診療ガイドライン表示装置20の入力インタフェース22を用いて、カルテ欄に生検を伴う消化器内視鏡検査を予定している旨を入力した後、当該入力内容を確定させる。消化器内科医は、例えば、キーボードの「Enter」キー等の、入力の確定を意味するキーを押下する。
【0032】
上記の操作に伴って、診療ガイドライン欄に表示される診療ガイドライン情報が更新される。診療ガイドライン表示装置20は、例えば、通常の電子カルテ欄に記載のキーワード(基本情報、症状・病名、検査結果、投薬情報)に該当する、診療ガイドライン欄のキーワードをハイライト表示する。また、診療ガイドライン表示装置20は、通常の電子カルテ欄に記載のキーワードに応じて、診療ガイドライン欄のキーワードに付与するハイライト表示の色を変えてもよい。例えば、図4の診療ガイドライン欄では、カルテ欄の「生検を伴う消化器内視鏡検査」と、それ以外のキーワードとに関しては、診療ガイドライン欄の、対応するキーワードのハイライト色を異ならせている。
【0033】
さらに、診療ガイドライン表示装置20は、医師による電子カルテへのログイン情報から、当該医師の専門診療科を特定することにより、専門診療科以外の診療科に関する診療ガイドライン情報を優先的に表示する。
【0034】
これにより、消化器内科医は、新たに更新された診療ガイドライン情報を参照することができる。消化器内科医は、例えば、休薬期間、薬の再開時期、診療上の注意点等を知ることができる。そして、新たに更新された診療ガイドライン情報により、患者Aのライフログには、今後の治療計画として、2つの休薬期間があり、それらの後、抗血小板薬を2剤服用しながら、療養する服用療養期間があることが反映される。
【0035】
以下、診療ガイドライン提示システム1の処理を詳細に説明する。
図5は、診療ガイドライン提示システム1のうち、診療ガイドライン提示装置10の処理を示すフローチャートである。本処理は、後述する診療ガイドライン提示システム1の処理(図7のフローチャートが示す処理)の前に、予め診療ガイドライン情報に関するテーブルを作成し、当該テーブルをデータベース(DB)化するものである。
【0036】
まず、ステップS1で、診療ガイドライン提示装置10の取得機能151は、検索エンジンを用いてネットワーク上のウェブ(Web)サイトを探索し、診療ガイドライン情報を抽出する。
【0037】
次に、ステップS2で、取得機能151は、抽出した診療ガイドライン情報を分析して、キーワードになり得る情報を取得する。
【0038】
そして、ステップS3で、取得機能151は、取得した情報から2つのテーブルを作成し、各テーブルをDBとして記憶回路13に格納させる。2つのテーブルは、診療ガイドライン-専門診療科テーブル、及び、診療ガイドライン-単語テーブルである。その詳細を、図6を用いて説明する。
【0039】
図6は、実施形態1に係る診療ガイドライン-専門診療科テーブル、及び、診療ガイドライン-単語テーブルの構成を示す図である。
【0040】
診療ガイドライン-専門診療科テーブルは、診療ガイドライン情報ごとに、ドキュメントID(Identification)、タイトル、及び、専門診療科を含むレコードを有する。ドキュメントIDは、DB化された診療ガイドライン情報に固有のIDである。タイトルは、当該診療ガイドライン情報の題名である。専門診療科は、当該診療ガイドライン情報が最も関連する診療科を示す。図6に示す診療ガイドライン-専門診療科テーブルの例では、当該診療ガイドライン情報は、「冠動脈疾患患者における抗血栓療法」に関する情報であり、この療法に最も関連する診療科は「循環器内科」であることが示されている。
【0041】
診療ガイドライン-単語テーブルは、診療ガイドライン情報ごとに、ドキュメントID、記載箇所、属性、及び、キーワードを含む、複数のレコードを有する。ドキュメントIDは、DB化された診療ガイドライン情報に固有のIDである。記載箇所は、診療ガイドライン情報において当該キーワードが記載されている箇所を示す。記載箇所は、例えば、ページ番号、及び、行番号により特定されるが、別の特定方法であってもよい。属性は、当該キーワードの属性を示す。属性には、例えば、基本情報、処置名、注意事項等がある。キーワードは、診療ガイドライン情報を分析して取得された単語又は語句である。
図6に示す診療ガイドライン-単語テーブルの例では、当該診療ガイドラインには、「65歳以上」、「内視鏡検査」、「抗血小板薬は休薬」といったキーワードが記載されていることが示されており、また、診療ガイドライン-単語テーブルには、これらのキーワードの属性と記載箇所も併せて示されている。
【0042】
図7は、実施形態1に係る診療ガイドライン提示システム1の処理を示すフローチャートである。本処理は、診療ガイドライン表示装置20と、診療ガイドライン提示装置10とが連携して、医師に患者の診療に資する診療ガイドライン情報を提示するものである。
【0043】
診療ガイドライン情報を参照したい医師は、診療ガイドライン表示装置20の入力インタフェース12を用いて、自らのログイン情報を入力し、ある患者の電子カルテにログインする。例えば、消化器内科医が、自らのログイン情報を入力し、患者Aの電子カルテにログインする。
【0044】
ステップS11で、診療ガイドライン表示装置20の処理回路25は、入力インタフェース22を介して、患者を特定可能な固有情報、及び、医師のログイン情報を取得する。そして、処理回路25は、通信回路24及びネットワークNを介して、患者の固有情報、及び、医師のログイン情報を診療ガイドライン提示装置10に送信する。
【0045】
診療ガイドライン提示装置10の処理回路15は、診療ガイドライン表示装置20から、ネットワークN及び通信回路14を介して、患者の固有情報、及び、医師のログイン情報を受信する。次に、処理回路15の取得機能151は、診療ガイドライン提示装置10の記憶回路13に格納された電子カルテDBから当該患者の基本情報及び検査結果を含む患者情報を取得する。そして、処理回路15の提示機能153は、取得した患者情報を診療ガイドライン表示装置20に送信する。患者情報には、当該患者の症状及び治療歴が含まれていてもよい。
【0046】
診療ガイドライン表示装置20の情報取得機能251は、診療ガイドライン提示装置10から患者情報を取得する。表示制御機能252は、取得した患者情報をディスプレイ21に表示させる。その結果、例えば、図2に示すような、患者Aの電子カルテのうちカルテ欄がディスプレイ21に表示される。これにより、医師は、ログインした、患者Aの電子カルテのうちカルテ欄を参照することができる。ただし、この時点では、患者Aの電子カルテのうち診療ガイドライン欄には、何も表示されていない。
【0047】
ステップS12で、診療ガイドライン提示装置10の取得機能151は、記憶回路13に記憶された電子カルテDBから患者の情報をキーワードとして抽出する。電子カルテDBは、患者の基本情報、検査結果を含む。患者の基本情報には、性別、年齢、身長・体重、アレルギー、喫煙や飲酒の頻度、本人の既往歴、家族の病歴等のキーワードが含まれる。検査結果には、実際に検査した結果である数値情報として、血圧値、血糖値等のキーワードが含まれる。
【0048】
図8上図は、電子カルテDBに含まれる、患者ごとの属性及びキーワードの具体例を示す。属性には、症状・病名、基本情報、検査結果、既処置、投薬情報、及び、処置名が含まれる。例えば、患者の症状・病名という属性のキーワードとして、「冠動脈疾患」が抽出される。また、患者の処置名という属性のキーワードとして、「内視鏡検査」が抽出される。
【0049】
ステップS13で、診療ガイドライン提示装置10の処理回路15は、取得した医師のログイン情報から、当該医師の専門診療科を特定する。図8下図は、医師IDと、専門診療科とが対応付けられた、医師ID-専門診療科テーブルの例を示す。処理回路15は、例えば、医師のログイン情報であり、システム内で医師に固有のIDである医師IDを取得し、医師ID-専門診療科テーブルを参照することにより、医師IDである「1」から当該医師(消化器内科医)の専門診療科である「消化器内科」を特定する。
【0050】
ステップS14~S19で、診療ガイドライン提示装置10の処理回路15は、診療ガイドライン-単語テーブルのレコード全件に対して、ステップS15~S18の処理を実行する。なお、診療ガイドライン-単語テーブルの各レコードには、初期化された点数として、0点が付与される。
【0051】
まず、ステップS15で、診療ガイドライン提示装置10の設定機能152は、特定した医師の専門診療科と一致するレコードに関しては、ステップS16~S18の処理をスキップして、次のレコードの処理を実行する。すなわち、設定機能152は、記憶回路13に格納されたテーブルDBから取得した複数の診療ガイドライン情報のうち、医師情報に含まれる、医師の専門診療科に関係する診療ガイドライン情報を、順位付けする対象から除外する。
【0052】
詳細には、設定機能152は、診療ガイドライン-単語テーブルのレコードから診療ガイドラインのドキュメントIDを抽出する。次に、設定機能152は、抽出したドキュメントIDにより診療ガイドライン-専門診療科テーブルを検索し、該当する診療ガイドライン情報の専門診療科を特定する。そして、当該診療ガイドライン情報の専門診療科が、特定した医師の専門診療科と一致する場合には、設定機能152は、上記レコードの処理をスキップすることにより、当該レコードを順位付けの対象から除外する。医師は、自己の専門外の診療ガイドライン情報を特に参照すべきだからである。
例えば、消化器内科医がログインした場合、自己の専門である消化器内科に関するレコードは、当該消化器内科医が既に熟知しているものとして参照順位の順位付けの対象からは除外される。逆に、当該消化器内科医の専門外の診療科、例えば、循環器内科に関するレコードは、順位付けの対象から除外されない。
【0053】
ステップS16で、診療ガイドライン提示装置10の設定機能152は、診療ガイドライン情報のタイトルが患者の症状・病名を含む場合には、当該診療ガイドライン情報のレコードには比較的高い点数(例えば、100点)を加算(付与)する。診療ガイドライン情報のタイトルが患者の症状・病名を含む場合には、当該診療ガイドライン情報が患者の症状・病名に直接的に関わっている可能性が高く、医師は当該診療ガイドライン情報を優先して参照すべきだからである。なお、患者の症状・病名は、被検体情報から抽出したキーワードの一例である。
【0054】
例えば、設定機能152は、診療ガイドライン-単語テーブルのレコードから診療ガイドライン情報のドキュメントIDを抽出する。次に、設定機能152は、抽出したドキュメントIDにより診療ガイドライン-専門診療科テーブルを検索し、該当する診療ガイドライン情報のタイトルを特定する。そして、当該タイトルが患者の症状・病名を含む場合には、設定機能152は、上記レコードに100点を加算する。
【0055】
ステップS17で、診療ガイドライン提示装置10の設定機能152は、複数の診療ガイドライン情報の本文(診療ガイドライン情報からタイトルを除いたもの)それぞれが、患者情報から抽出した各キーワードを含む場合には、当該診療ガイドライン情報のレコードに比較的低い点数(例えば、1点)を加算(付与)する。診療ガイドライン情報の本文がキーワードを含む場合には、本文に患者の症状・病名を含む場合よりは優先すべきではないからである。
【0056】
例えば、設定機能152は、患者情報である電子カルテDBから抽出したキーワードと、診療ガイドライン情報のキーワードとを比較する。そして、電子カルテDBのキーワードに一致するキーワードが診療ガイドライン情報に存在する場合には、処理回路15は、診療ガイドライン情報のレコードに1点を加算する。なお、診療ガイドライン情報に、一致するキーワードがn(n:2以上の整数)個ある場合には、レコードに1点×nが加算される。
【0057】
ステップS18で、診療ガイドライン提示装置10の設定機能152は、ステップS16及びS17で加算された、各レコードの点数を合計し、当該点数の合計値を当該診療ガイドライン情報の点数としてドキュメントIDごとに記憶回路13に記憶させる。
【0058】
ステップS20で、診療ガイドライン提示装置10の設定機能152は、ステップS14~S19の処理結果である、ドキュメントIDごとの点数を参照し、点数の高い方からドキュメントID3個と、参照順位とを対応付ける。すなわち、設定機能152は、ステップS16、S17で複数の診療ガイドライン情報に付与された点数の高い順に複数の診療ガイドライン情報を順位付けする。これは、複数の診療ガイドライン情報それぞれが当該抽出したキーワードを含むか否かにより、当該複数の診療ガイドライン情報を順位付けする処理の一例である。
そして、提示機能153は、取得したドキュメントID、及び、電子カルテDBと一致したキーワードの記載箇所を含むデータを取得し、当該データ及びその参照順位を診療ガイドライン表示装置20に提示する。電子カルテDBと一致したキーワードの記載箇所は、被検体情報に関連する箇所の一例である。
【0059】
ステップS21で、診療ガイドライン表示装置20の情報取得機能251は、診療ガイドライン提示装置10から、診療ガイドライン情報のドキュメントIDと、キーワードの記載箇所とを含むデータ、及び、その参照順位を取得する。次に、情報取得機能251は、受信したドキュメントIDに対応付けられる診療ガイドライン情報を診療ガイドライン提示装置10から取得する。そして、表示制御機能252は、受信した参照順位に従って、当該診療ガイドライン情報のタイトル及び本文をディスプレイ21に表示させると共に、ディスプレイ21に表示された診療ガイドライン情報の本文のうち、受信したキーワードの記載箇所をハイライト表示させる。
【0060】
なお、上記のステップS15では、診療ガイドライン情報の専門診療科が医師の専門診療科と一致する場合に、当該診療ガイドライン情報のレコードの処理をスキップするように説明したが、医師の、専門診療科以外の属性情報を、レコードの処理をスキップするための判定に反映させてもよい。
【0061】
図9は、医師の属性情報の例を示す図である。例えば、ある消化器内科医は、患者Aには内視鏡検査を行い、患者Bには大腸ポリープ切除術を行い、患者Cには緊急止血を行っていたとする。そのような場合、図9に示すように、当該消化器内科医の属性情報には、処置歴のうち、内視鏡検査、大腸ポリープ切除術、及び、緊急止血の年間件数が更新されて記録される。
【0062】
なお、医師の属性情報には、所属学会、勤続年数、及び、得意分野がさらに含まれてもよい。また、医師の属性情報は、図8下図の医師ID-専門診療科テーブルから関連付けられていてもよい。
【0063】
実施形態1によれば、医師は、診療ガイドライン表示装置20において特定患者の電子カルテにログインすることにより、カルテと共に、当該患者の診療に有用な診療ガイドライン情報を容易に参照することができる。特に、当該医師の専門外の診療ガイドライン情報を優先的に参照することができる。また、医師が診療ガイドライン情報を検索する労力をなくして、必要な情報の抽出にかかる時間を削減することができる。
【0064】
〔実施形態2〕
実施形態2は、診療ガイドライン表示装置20のディスプレイ21における、電子カルテの表示方法に関する。
【0065】
図10は、実施形態2に係る電子カルテにおけるドラッグ&ドロップ操作の例を示す図である。これは、診療ガイドライン欄のハイライト表示箇所を含む文章を、カルテ欄にドラッグ&ドロップする操作の例である。
【0066】
まず、診療ガイドライン表示装置20は、カルテ欄への入力補助を可能とする。例えば、図10に示す電子カルテK1の診療ガイドライン欄には、抗血小板薬の休薬期間及び再開時の注意事項がハイライト表示されているとする。当該ハイライト表示箇所を含む文章を、電子カルテK2に示すように、カルテ欄にドラッグ&ドロップすることができる。そのとき、患者の基本情報である年齢、体重等に応じた休薬期間及び再開時の注意事項(例えば、再開時の服用量)が計算されて、今後の予定又は実際の記録として、カルテ欄に入力されてもよい。
【0067】
そして、診療ガイドライン表示装置20は、医師による診療の判断基準を記録し、参照可能とする。例えば、図10に示す電子カルテK3のカルテ欄には、抗血小板薬の休薬期間及び再開時の注意事項と、それぞれの参照先の所在を示すハイパーリンクが表示されている。当該ハイパーリンクをクリックすると、診療ガイドライン欄における、診療ガイドラインの関連箇所が活性化される。これにより、医師が患者の治療を行う上で参照し、判断の根拠とした、診療ガイドライン情報の関連箇所を確認することができる。
【0068】
図11は、実施形態2に係る医師の注目箇所に応じた診療ガイドライン情報の表示方法の例を示す図である。
図11に示す電子カルテK4では、カルテ欄に表示されている、患者に関するキーワードの全てに応じて、診療ガイドライン欄に診療ガイドライン情報がハイライト表示されている。そこで、医師が通常カルテ欄のうち「生検を伴う消化器内視鏡検査を予定」にカーソルを合わせると、電子カルテK5に示すように、診療ガイドライン欄において表示される診療ガイドライン情報が変化する。すなわち、電子カルテK4では参照順位の1位がAAA、2位がBBB、3位がCCCと表示されていたのが、電子カルテK5では1位がDDD、2位がEEE、3位がFFFと表示されており、ハイライト表示の箇所も異なっている。
【0069】
これは、医師がカルテ欄の一部にカーソルを合わせた操作に応じて、診療ガイドライン提示装置10が診療ガイドライン情報の各レコードに行う処理において、カーソルを合わせた箇所のキーワードに一致する診療ガイドライン情報のキーワードに加算する点数を、それ以外のキーワードに加算する点数よりも多くしたからである。すなわち、診療ガイドライン情報の順位付けに関して、前者のキーワードが後者のキーワードよりも優先された結果である。
【0070】
さらに、医師が通常カルテ欄のうち「生検を伴う消化器内視鏡検査を予定」にカーソルを合わせたときに、診療ガイドライン提示装置10が、当該検査を行うには休薬が必要であることから、休薬期間、薬の再開時期等のキーワードを優先してもよい。
【0071】
カルテ欄のうち、医師がカーソルを合わせた箇所のキーワードに限らず、例えば、現在入力中のキーワードを優先してもよい。これにより、カルテ欄に入力中であっても、入力しているキーワードに関連する診療ガイドライン情報を参照することができる。また、過去の電子カルテにおいて他の医師が入力したキーワードを優先してもよい。これにより、他の医師による診療行為の根拠を明らかにすることができる。
【0072】
図12は、実施形態2に係る診療ガイドライン情報の表示方法の例を示す図である。
図12に示す電子カルテK6の診療ガイドライン欄には、ボタンB1、B2,及び、B3が表示されている。ボタンB1には、「その他(10件)」と表示されている。ボタンB1を押下すると、4位以降の診療ガイドライン情報が10件表示される。ボタンB2には、「専門診療科の診療ガイドラインを閲覧する」と表示されている。ボタンB2を押下すると、専門診療科の診療ガイドライン情報が表示される。ボタンB3は、複数のボタンから構成され、各診療科の名称が表示される。ボタンB3の1つを押下すると、当該ボタンB3に表示された診療科の診療ガイドラインが表示される。
【0073】
実施形態2によれば、診療ガイドライン表示装置20のディスプレイ21に表示された電子カルテにおいて、診療ガイドライン欄のハイライト表示箇所を含む文章をカルテ欄にドラッグ&ドロップすることができるので、医師は、カルテ欄への入力を容易に行うことができる。また、カルテ欄の一部にカーソルを合わせる、又は、カルテ欄に入力することにより、医師は、カルテ欄における特定の項目に関連する診療ガイドライン情報を優先して参照することができるので、カーソルを合わせた箇所、又は、入力している箇所に表示された診療行為の根拠を明らかにすることができる。
【0074】
〔実施形態3〕
実施形態3は、特定の患者の電子カルテに含めるべきではない情報の処理方法に関する。
例えば、ある患者が特定のアレルギーを持っている場合、当該アレルギーを考慮していない情報は、当該患者の電子カルテのうち、特にカルテ欄には含めるべきではない。そのような情報の取り扱い(禁忌処理)について、以下に示す。
【0075】
(1)診療ガイドライン表示装置20は、特定のアレルギーを考慮していない情報を、当該アレルギーを持つ患者の電子カルテにおける診療ガイドライン欄に表示しない。
【0076】
(2)診療ガイドライン表示装置20は、特定のアレルギーを考慮していない診療ガイドライン情報を診療ガイドライン欄に表示する場合には、当該診療ガイドライン情報が禁忌情報であることを示し、又は、他の診療ガイドライン情報との関係を示す。診療ガイドライン表示装置20は、例えば、特定のアレルギーを持つ患者に関しては、当該アレルギーを考慮していない情報は、当該アレルギーを考慮した情報が前提条件になる(優先される)ことを示す。
【0077】
(3)診療ガイドライン表示装置20は、特定のアレルギーを持つ患者の電子カルテにおいて、当該アレルギーを考慮していない情報を診療ガイドライン欄からカルテ欄にドラッグ&ドロップしようとすると、NGを表示して、移動不可とする。診療ガイドライン表示装置20において、例えば、ある患者が持つアレルギーに対する診療ガイドラインが2位に記載されている場合、1位から、当該アレルギーを考慮していない情報をドラッグ&ドロップしようとすると失敗する。
【0078】
実施形態3によれば、診療ガイドライン情報の禁忌処理に関して、実際の治療状況、医療現場の事情等に応じて、適切な禁忌処理を選択することができる。
【0079】
〔実施形態4〕
実施形態4は、上記以外の情報の処理例に関する。
(1)診療ガイドライン提示装置10は、例えば、以下の場合に、各診療ガイドラインに点数を加算してもよい。
・医師による、診療ガイドライン表示装置20の操作履歴から、当該医師が開く頻度が高い診療ガイドライン情報のレコードには、優先度を上げるべく、点数を多く加算する。
・病気の稀度が高い診療ガイドライン情報のレコードには、その病気に対する医師の経験値は低いと想定されるので、診療ガイドライン情報の優先度を上げるべく、点数を多く加算する。
例えば、患者の属性から稀度を算出し(当該患者の年齢では、この病気は稀である等)、当該稀度をキーワードテーブルに紐付けてもよい。この場合、診療ガイドライン情報のキーワードが患者のキーワードに一致したとき、年齢と、病気との組合せが稀であることから、当該診療ガイドライン情報のレコードに多く加算してもよい。
【0080】
・医師が表示不要な診療ガイドライン情報をチェックボックス等により選択できるようにしてもよい。この場合、当該診療ガイドライン情報のキーワードが患者のキーワードに一致した場合であっても、点数が加算されないようにしてもよい。あるいは、この場合、当該診療ガイドライン情報のキーワードをチェックする処理自体をスキップするようにしてもよい。これにより、当該診療ガイドライン情報の優先度を下げることができる。
【0081】
(2)必ずしも、電子カルテを利用しなくてもよい。
・患者情報を取得するための情報源として、必ずしも、電子カルテでなくてもよい。例えば、日常生活で得られる情報(食事、運動等に関する情報)を情報源としてもよい。具体的には、食事のメニューに関する情報(料理のレシピ、出来上がった料理を撮影した写真等)であってもよいし、運動量を示す情報(ウェラブルデバイスの計測値、例えば、歩数計が計測した歩数等)であってもよい。
・患者情報及び診療ガイドライン情報を表示するGUIは、必ずしも、電子カルテの形式でなくてもよい。
【0082】
(3)診療ガイドライン表示装置20は、特定の検査等を受けることになった場合に、休薬期間を表示するだけでなく、現在の日付から休薬日数及び再開までの日数を計算して、「今〇〇日間休薬している。あと□□日で再開予定。」との情報を医師向けに表示又は通知してもよい。
【0083】
(4)診療ガイドライン表示装置20は、カルテ欄への入力時以外であっても、すなわち、当初の入力から時間が経過していても、診療ガイドライン情報に関して、医師向けに注意点等を通知してもよい。診療ガイドライン表示装置20において、例えば、新たな検査結果がカルテ欄に入力された場合に、診療ガイドライン欄の上位に表示される診療ガイドライン情報が当初とは異なっており、ハイライト表示されるキーワードも変わっている場合、今まで表示していた診療ガイドライン情報とは異なっている旨を明示してもよい。
【0084】
(5)診療ガイドライン表示装置20は、電子カルテの診療ガイドライン欄における表示順位の理由を示してもよい。診療ガイドライン表示装置20は、1~3位の診療ガイドライン情報において、患者のキーワードと一致したキーワードに基づいて、例えば、「〇〇薬を服用しているから。」、「△△アレルギーを持っているから。」等の理由をディスプレイ21に表示させてもよい。
【0085】
(6)診療ガイドライン表示装置20は、1人の患者が複数の疾患を持っている場合、1つの疾患に対して1つの診療ガイドライン情報を表示させてもよい。例えば、1人の患者が3つの疾患を持っている場合、疾患ごとに1つの診療ガイドライン情報であって、合計3つの診療ガイドライン情報を表示させる。
【0086】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、操作者に負担を掛けずに、被検体の処置に有用な診療ガイドライン情報を提示することができる。
【0087】
なお、取得機能151は、取得部の一例である。設定機能152は、設定部の一例である。提示機能153は、提示部の一例である。情報取得機能251は、情報取得部の一例である。表示制御機能252は、表示制御部の一例である。
【0088】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
1…診療ガイドライン提示システム
10…診療ガイドライン提示装置
20…診療ガイドライン表示装置
21…ディスプレイ
151…取得機能
152…設定機能
153…提示機能
251…情報取得機能
252…表示制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12