(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110714
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】胸部を覆う衣類
(51)【国際特許分類】
A41C 3/00 20060101AFI20240808BHJP
A41C 3/12 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A41C3/00 Z
A41C3/12 Z
A41C3/12 D
A41C3/12 E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015461
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】517217232
【氏名又は名称】クロステクノロジーラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230116816
【弁護士】
【氏名又は名称】成川 弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100174850
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 絵美
(72)【発明者】
【氏名】藤井 久美子
(72)【発明者】
【氏名】米良 結
【テーマコード(参考)】
3B131
【Fターム(参考)】
3B131AA11
3B131AB03
3B131AB05
3B131BA02
3B131BA12
3B131BA13
3B131BA41
3B131BB01
3B131BB11
(57)【要約】
【課題】乳房のサイズや形状に関わらず効果的に乳房の揺れの軽減効果を発揮することができる胸部を覆う衣類を提供する。
【解決手段】本発明に係る胸部を覆う衣類1は、胸部を覆うフロント部3と、フロント部3の脇端に背側から接続するバック部4と、フロント部3の上端に接続し、肩の稜線を越えて背側でバック部4の上端に接続する左右一対の肩ストラップ部5(5R,5L)と、を有する本体部2と、本体部2の外面側に位置し、左乳房の脇側及び下側から左乳房を覆い右肩ストラップ部5Rへと延びる第1固定部7と、本体部2の外面側に位置し、右乳房の脇側及び下側から右乳房を覆い左肩ストラップ部5Lへと延びる第2固定部8と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸部を覆うフロント部と、
前記フロント部の脇端に背側から接続するバック部と、
前記フロント部の上端に接続し、肩の稜線を越えて背側で前記バック部の上端に接続する左右一対の肩ストラップ部と、
を有する本体部と、
前記本体部の外面側に位置し、左乳房の脇側及び下側から左乳房を覆い右肩ストラップ部へと延びる第1固定部と、
前記本体部の外面側に位置し、右乳房の脇側及び下側から右乳房を覆い左肩ストラップ部へと延びる第2固定部と、
を備えることを特徴とする胸部を覆う衣類。
【請求項2】
前記第1固定部は、少なくとも右肩ストラップ部の前端に接続しており、
前記第2固定部は、少なくとも左肩ストラップ部の前端に接続していることを特徴とする、請求項1に記載の胸部を覆う衣類。
【請求項3】
前記第1固定部は、少なくとも前記本体部の左脇部及び前記フロント部の下端に接続しており、
前記第2固定部は、少なくとも前記本体部の右脇部及び前記フロント部の下端に接続していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の胸部を覆う衣類。
【請求項4】
前記第1固定部は、当該第1固定部の長さを調節するための第1アジャスター部を有し、
前記第2固定部は、当該第2固定部の長さを調節するための第2アジャスター部を有することを特徴とする、請求項1に記載の胸部を覆う衣類。
【請求項5】
前記第1アジャスター部は、前記本体部の中央より右側に位置し、
前記第2アジャスター部は、前記本体部の中央より左側に位置することを特徴とする、請求項4に記載の胸部を覆う衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胸部を覆う衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャンプやランニング等の動作時、ブラジャーを着用していても、乳房が大きく揺れる場合が多い。特にスポーツ等の激しい動作の場合には、その揺れは非常に大きくなり、不快感だけでなく乳房の下垂の原因にもなる。そのため、従来、このような揺れを軽減する様々なブラジャーが開発されてきた。例えば、特許文献1には、横方向に並ぶ2つのカップのバストトップ位置よりも上方で且つブラジャー周長の1/2以上の長さに亘る領域において、補強部を本体部に積層することにより、運動時の胸の上下動及び左右動さらには前後動を抑えることができるブラジャーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、バストトップ位置よりも上方に補強部を設けた構造であるため、カップサイズが大きい場合には乳房の揺れの軽減効果が良好に得られると考えられる一方、カップサイズが小さい場合や乳房の形状によっては運動時の上部への移動量が少ないため、乳房の揺れの軽減効果が小さくなると考えられる。
【0005】
したがって、本発明は、乳房のサイズや形状に関わらず効果的に乳房の揺れの軽減効果を発揮することができる胸部を覆う衣類を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る胸部を覆う衣類は、
胸部を覆うフロント部と、
前記フロント部の脇端に背側から接続するバック部と、
前記フロント部の上端に接続し、肩の稜線を越えて背側で前記バック部の上端に接続する左右一対の肩ストラップ部と、
を有する本体部と、
前記本体部の外面側に位置し、左乳房の脇側及び下側から左乳房を覆い右肩ストラップ部へと延びる第1固定部と、
前記本体部の外面側に位置し、右乳房の脇側及び下側から右乳房を覆い左肩ストラップ部へと延びる第2固定部と、
を備える。
【0007】
一態様において、前記第1固定部は、少なくとも右肩ストラップ部の前端に接続しており、前記第2固定部は、少なくとも左肩ストラップ部の前端に接続している。
【0008】
一態様において、前記第1固定部は、少なくとも前記本体部の左脇部及び前記フロント部の下端に接続しており、前記第2固定部は、少なくとも前記本体部の右脇部及び前記フロント部の下端に接続している。
【0009】
一態様において、前記第1固定部は、当該第1固定部の長さを調節するための第1アジャスター部を有し、前記第2固定部は、当該第2固定部の長さを調節するための第2アジャスター部を有する。
【0010】
一態様において、前記第1アジャスター部は、前記本体部の中央より右側に位置し、前記第2アジャスター部は、前記本体部の中央より左側に位置する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、乳房のサイズや形状に関わらず効果的に乳房の揺れの軽減効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るブラジャーの正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るブラジャーの背面図(a)、及び、本発明の一実施形態に係るブラジャーの下辺ゴムの長さ調節機構を説明する図(b)である。なお、背面側から見えるブラジャーの前面側の構造の図示は省略している。
【
図3】本発明の一実施形態に係るブラジャーのフロント部の右半分を裏側から見た図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るブラジャーの第1固定部を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るブラジャーの第1固定部の第1アジャスター部を説明する図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るブラジャーの変形例を示す正面図である。なお、正面側から見えるブラジャーの背面側の構造の図示は省略している。
【
図7】本発明の一実施形態に係るブラジャーの別の変形例を示す背面図である。なお、背面側から見えるブラジャーの前面側の構造の図示は省略している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る胸部を覆う衣類について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
なお、本発明の一実施形態において上下左右等の方向は、特別な説明がない限り、胸部を覆う衣類を着用者が着用した状態を基準に説明する。また右左の方向は、着用者から見た方向を基準に説明する。本発明の一実施形態において、着用者から見て右側の部分の符号の末尾にRが、左側の部分の符号の末尾にLがつくが、左右一対の部分について説明する際は、LまたはRがつかない場合がある。
【0015】
図1~
図5は、本発明の一実施形態に係る胸部を覆う衣類の一例を示す図である。この一例では、胸部を覆う衣類はブラジャーである。胸部を覆う衣類は、胸部の肌にフィットして着用する衣類であればどのようなものでもよく、ブラジャーのほか、水着、レオタード、ボディスーツ、カップ付きトップスなどにも同様に適用することができる。また、ブラジャー1は、スポーツ等における激しい動きに伴う乳房の揺れを軽減することが可能であり、スポーツ用ブラジャーとして好適であるが、スポーツ時に限らず、日常生活で着用されてもよい。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るブラジャー1の正面図である。
図2の(a)は、本発明の一実施形態に係るブラジャー1の背面図である。なお、背面側から見えるブラジャー1の前面側の構造の図示は省略している。ブラジャー1は、
図1及び
図2の(a)に示すように、本体部2と、第1固定部7と、第2固定部8とを備える。
【0017】
(本体部2)
本体部2は、フロント部3と、バック部4と、左右一対の肩ストラップ部5(右肩ストラップ部5R,左肩ストラップ部5L)と、下辺ゴム部6とを有する。
【0018】
フロント部3は、着用者の上半身の前面に配設され、両乳房を含む胸部を覆う。フロント部3は、上端で肩ストラップ部5に接続し、下端で下辺ゴム部6に接続し、左右の脇端でバック部4に接続する。
【0019】
バック部4は、着用者の上半身の背面に配設される。バック部4は、フロント部3の脇端に背側から接続する。バック部4は、上端で肩ストラップ部5に接続し、下端で下辺ゴム部6に接続し、左右の脇端でフロント部3に接続する。本実施形態においてバック部4は、着用者の左右脇前方まで延伸して、左右脇前方でフロント部3に接続する。バック部4は、右脇側でフロント部3に接続する右脇サポート部4Rと、左脇側でフロント部3に接続する左脇サポート部4Lと、右脇サポート部4R及び左脇サポート部4Lに接続するバックサポート部4Aとから構成される。
【0020】
右肩ストラップ部5Rは、着用者の右肩の稜線を前後に跨いで配設される。右肩ストラップ部5Rは、フロント部3の上端に接続し、肩の稜線を越えて背側でバック部4の上端に接続する。
【0021】
左肩ストラップ部5Lは、着用者の左肩の稜線を前後に跨いで配設される。左肩ストラップ部5Lは、フロント部3の上端に接続し、肩の稜線を越えて背側でバック部4の上端に接続する。
【0022】
下辺ゴム部6は、着用者の胴体に周方向に配設される。下辺ゴム部6は、フロント部3の下端及びバック部4の下端に接続する。
【0023】
フロント部3、バック部4及び右肩ストラップ部5Rの腕ぐりにおいて、右腕ぐり部21Rが形成されている。フロント部3、バック部4及び左肩ストラップ部5Lの腕ぐりにおいて、左腕ぐり部21Lが形成されている。また、フロント部3、バック部4、右肩ストラップ部5R及び左肩ストラップ部5Lの襟ぐりにおいて、襟ぐり部22が形成されている。また、バック部4は下端の一部に切欠き部23が形成されている。右腕ぐり部21R、左腕ぐり部21L、襟ぐり部22及び切欠き部23は、それぞれ、テープ部材で形成され、フロント部3、バック部4、右肩ストラップ部5R及び左肩ストラップ部5Lの端を包む。
【0024】
フロント部3、バック部4、右肩ストラップ部5R、左肩ストラップ部5L及び下辺ゴム部6は、各接続部において互いに縫着されている。バック部4において、右脇サポート部4Rとバックサポート部4A、及び、左脇サポート部4Lとバックサポート部4Aは、各接続部において互いに縫着されている。
【0025】
(フロント部3)
フロント部3は、着用者の左右の乳房を含む胸部を覆う位置に形成される。具体的には、フロント部3の下端は、乳房の下側の立ち上がりに対応する位置又はそれよりも若干下側の位置(例えば2cm以内)に形成される。フロント部3の上端は、乳房の上側の立ち上がりに対応する位置又はそれよりも上側の位置に形成される。フロント部3の左右端(脇端)は、乳房の脇側の立ち上がりに対応する位置に形成される。なお、乳房の立ち上がりは、乳房(胸部の膨らみ部分)の輪郭であり、ヌード時、又は、乳房を上方に持ち上げ、若しくは、乳房を前中心側に寄せた際の輪郭である。フロント部3の上端は、肩の稜線より下の位置(例えば、鎖骨に対応する位置を通る水平線近傍)に形成され、左右一対の肩ストラップ部5に接続する。
【0026】
フロント部3は、表布と裏布から構成される。フロント部3の表布は、1枚の生地で形成される。フロント部3の表布には、例えば、着用者の幅広いサイズに適用できるように、伸縮して肌にフィットする素材(例えば、ナイロンとポリウレタンの混合素材等)が用いられる。
図3は、フロント部3の右半分を裏側から見た図であり、着用者の肌に触れる面(内面)が示されている。フロント部3の裏布は、
図3に示すように複数の生地で形成される。左半分も右半分と同様の構造である。
【0027】
フロント部3は、内面側において、左右一対のカップ部31(右カップ部31R,左カップ部31L(図示せず))を有する。カップ部31は、着用時においてそれぞれ左右の乳房を立体的に覆い、側面視および上面視において釣鐘形状を有する。カップ部31は、下端縁部がバージスラインに沿う形状である。カップ部31は、保形性を有し、着用者の乳房を収容することで乳房のシルエットを整える。カップ部31は、乳房のバージスラインを上方に持ち上げるように形成されることが好ましい。カップ部31により乳房を持ち上げることによって、静止時において乳頭位置が高くなる。この状態から運動をした場合、カップ部31がヌード時のバージスラインに沿う場合と比べて、乳房が上方向に揺さぶられる揺れ幅が少なくなり、乳房の揺れが軽減される。カップ部31は、例えば、ウレタン等をモールド成形することにより形成される。なお、カップ部31は、これに限らず、例えば、保形性の高い生地を縫い合わせて釣鐘形状に形成されてもよい。あるいは、カップ部31は、パッドを挿入する形態のものであってもよい。カップ部31は、バージスラインにワイヤーを装着しないノンワイヤータイプであってもよいし、ワイヤーを装着したワイヤータイプであってもよい。カップ部31の端縁部は、フロント部3の裏布を構成する他の布の端縁部に縫着されている。フロント部3の裏布を構成する他の布には、例えば、着用者の幅広いサイズに適用できるように、伸縮して肌にフィットする素材(例えば、ナイロンとポリウレタンの混合素材等)が用いられる。なお、
図3はフロント部3の裏側の一例であり、これに限られず、自由に構成することができる。
【0028】
(バック部4)
バック部4は、着用者の胴周において左右の乳房の立ち上がりの外側に形成される。バック部4の下端は、着用者の胴周においてフロント部3の下端と水平な位置に形成される。バック部4の上端は、肩の稜線より下の位置に形成され、左右一対の肩ストラップ部5に接続する。バック部4の左右端(脇端)は、乳房の脇側の立ち上がりに対応する位置に形成される。
【0029】
バック部4は、フロント部3と一体となって、着用者の胴体にフィットして巻き付け、ブラジャー1、特にフロント部3のずれを防ぐ。
【0030】
バック部4は、右脇サポート部4Rと、左脇サポート部4Lと、バックサポート部4Aとから構成される。フロント部3と右脇サポート部4Rとが、接続部51において接続する。右脇サポート部4Rとバックサポート部4Aとが、接続部52において接続する。バックサポート部4Aと左脇サポート部4Lとが、接続部53において接続する。左脇サポート部4Lとフロント部3とが、接続部54において接続する。接続部51及び接続部54は、乳房の脇側の立ち上がりに対応する位置(脇部の前面端)に配設される。接続部52及び接続部53は、脇部の背面端に配設される。
【0031】
右脇サポート部4R及び左脇サポート部4Lは、表布と裏布から構成されてもよいし、一重の布で構成されてもよい。右脇サポート部4R及び左脇サポート部4Lの布には、例えば、乳房の横流れを防止するために、キックバックの強い幅広の素材(例えば、ナイロンとポリウレタンの混合素材等)が用いられる。
【0032】
バックサポート部4Aは、表布と裏布から構成されてもよいし、一重の布で構成されてもよい。バックサポート部4Aの布には、例えば、通気性を高めるために、メッシュ素材(例えば、パワーネット等)が用いられる。
【0033】
(肩ストラップ部5)
肩ストラップ部5は、肩の稜線を前後に跨いでフロント部3とバック部4とに接続する。これにより、肩ストラップ部5は、ブラジャー1、特にフロント部3のずれを防ぐ。
【0034】
肩ストラップ部5の前端は、フロント部3の上端と同じ位置に形成される。右肩ストラップ部5Rとフロント部3とが、接続部55において接続する。左肩ストラップ部5Lとフロント部3とが、接続部56において接続する。肩ストラップ部5の後端は、バック部4の上端と同じ位置に形成される。右肩ストラップ部5Rとバック部4のバックサポート部4Aとが、接続部57において接続する。左肩ストラップ部5Lとバック部4のバックサポート部4Aとが、接続部58において接続する。
【0035】
肩ストラップ部5は、表布と裏布から構成されてもよいし、一重の布で構成されてもよい。肩ストラップ部5の布には、着用者の幅広いサイズに適用できるように、伸縮して肌にフィットする素材(例えば、ナイロンとポリウレタンの混合素材等)が用いられる。
【0036】
(下辺ゴム部6)
下辺ゴム部6は、着用者の胴体に強い力で巻き付け、ブラジャー1のずれを防ぐ。下辺ゴム部6は、例えば、ゴム等のテープ状の長尺部材で形成される。下辺ゴム部6は、端部に長さ調節機構61を備える。長さ調節機構61は、例えば、ホックであり、
図2の(b)に示すように、左端部61Lの表側に複数の長さ位置に輪が設けられ、右端部61Rの肌側に係止部が設けられており、係止部を任意の長さ位置の輪に引っかけることにより、下辺ゴム部6の左右端を着脱可能に接続する。なお、長さ調節機構61は、これに限らず、例えば、ピン、スナップ、面ファスナー、紐、ボタンとボタン穴等であってもよい。長さ調節機構61を備えることにより、着用者の胴周のサイズに対応した下辺ゴム部6の周長の調節が可能となる。また、左右の端部どうしを接続させない状態でブラジャー1を着脱することにより、ブラジャー1を楽に着脱することができる。また、左右の端部どうしを接続させない状態でブラジャー1を着脱することにより、ブラジャー1の着脱時における下辺ゴム部6の伸びを防ぐことができるため、劣化を防ぎ、下辺ゴム部6によるブラジャー1のずれ防止効果を長く維持することができる。
【0037】
バック部4の下端の一部に切欠き部23が形成されているため、バック部4の布が撚れることなく長さ調節機構61による調節を行うことができる。
【0038】
なお、下辺ゴム部6は、長さ調節機構61に代えて、長さ調節機能を有さない係合部を有していてもよい。あるいは、下辺ゴム部6は、係合部を有さず、端部のない一体のテープ状の部材であってもよい。また、ブラジャー1は、下辺ゴム部6を備えていなくてもよい。
【0039】
(第1固定部7)
第1固定部7は、本体部2の外面側に位置し、左乳房の脇側及び下側から左乳房を覆い右肩ストラップ部5Rへと延びる。
【0040】
第1固定部7は、本体部2の左脇部に接続する。具体的には、第1固定部7の脇端は、フロント部3とバック部4の左脇サポート部4Lとが接続する接続部54において、本体部2に接続する。第1固定部7は、フロント部3の下端に接続する。具体的には、第1固定部7の下端は、フロント部3と下辺ゴム部6とが接続する接続部において、フロント部3の下端に接続する。第1固定部7は、右肩ストラップ部5Rの前端に接続する。具体的には、第1固定部7の上端は、右肩ストラップ部5Rとフロント部3とが接続する接続部55において、右肩ストラップ部5Rの前端に接続する。これらの接続は、例えば、縫着である。第1固定部7の脇端、下端及び上端以外の端辺は、本体部2とは接続しておらず、遊離している。
【0041】
図4は、第1固定部7を説明する図である。第1固定部7は、
図4に示すとおり、固定本体部7Aとアジャスター部(第1アジャスター部)7Bとを有する。アジャスター部7Bは、第1固定部7の長さを調節するための部材である。第1固定部7の長さは、例えば、脇端から上端までの長さである。固定本体部7Aは左乳房の脇側及び下側に位置し、アジャスター部7Bは右肩ストラップ部5R側に位置する。
【0042】
固定本体部7Aは、幅広の部材で形成され、左乳房を覆う。固定本体部7Aは、表布と裏布から構成されてもよいし、一重の布で構成されてもよい。固定本体部7Aの布には、例えば、着用者の幅広いサイズに適用できるように、伸縮して肌にフィットする素材(例えば、ナイロンとポリウレタンの混合素材等)が用いられる。
【0043】
アジャスター部7Bは、例えば、ゴム等のテープ状の長尺部材で形成される。アジャスター部7Bは、好ましくは本体部2の中央より右側に位置する。これにより、固定本体部7Aで左乳房をしっかりと固定しつつ、右乳房上方付近で長さの調節を行うことができる。なお、アジャスター部7Bは、乳房の一部を覆ってもよい。
【0044】
図5は、第1固定部7のアジャスター部7Bを説明する図であり、第1固定部7を裏側から見た拡大図である。
図5に示すように、固定本体部7Aとアジャスター部7Bとの間にリング部材71が設けられており、アジャスター部7Bの両端の間に調節部材72が設けられている。アジャスター部7Bにおける調節部材72の位置を着用者が調節することによって、アジャスター部7Bの長さを調節することができ、これにより、第1固定部7の長さを調節することができる。
【0045】
第1固定部7は、左乳房を左下方から右上方へ引き上げて、左乳房を左下方から右上方にかけて固定することにより、左乳房のサイズや形状に関わらず効果的に左乳房の揺れを軽減することができる。また、アジャスター部7Bを有することにより、着用者の左乳房のサイズや形状に合わせて第1固定部7の長さを調節し、固定強度を調節することができるため、着用者の左乳房のサイズや形状に合わせて好適に左乳房の揺れ軽減することができる。また、固定強度が強過ぎる際に発生する呼吸機能の阻害や着用の不快感を低減することができる。また、運動強度に合わせて第1固定部7の長さを調節し、固定強度を調節することができるため、運動強度に合わせて好適に左乳房の揺れ軽減することができる。
【0046】
アジャスター部7Bは、ブラジャー1の前面側及び外面側にあるため、着用者はブラジャー1を着用した状態で容易に固定強度を調節することができる。
【0047】
第1固定部7は右肩ストラップ部5Rの前端に接続されているため、テンションが分散されて着用者の右肩への負担を低減することができる。
【0048】
(第2固定部8)
第2固定部8は、本体部2の外面側に位置し、右乳房の脇側及び下側から右乳房を覆い左肩ストラップ部5Lへと延びる。
【0049】
第2固定部8は、本体部2の右脇部に接続する。具体的には、第2固定部8の脇端は、フロント部3とバック部4の右脇サポート部4Rとが接続する接続部51において、本体部2に接続する。第2固定部8は、フロント部3の下端に接続する。具体的には、第2固定部8の下端は、フロント部3と下辺ゴム部6とが接続する接続部において、フロント部3の下端に接続する。第2固定部8は、左肩ストラップ部5Lの前端に接続する。具体的には、第2固定部8の上端は、左肩ストラップ部5Lとフロント部3とが接続する接続部56において、左肩ストラップ部5Lの前端に接続する。これらの接続は、例えば、縫着である。第2固定部8の脇端、下端及び上端以外の端辺は、本体部2とは接続しておらず、遊離している。
【0050】
第1固定部7と第2固定部8とは、一部が重畳しているが、接続しておらず、遊離している。本実施形態では第2固定部8が最外面にある例を示しているが、これに限られず、第1固定部7と第2固定部8のどちらが最外面にあってもよい。
【0051】
第2固定部8は、
図4に示す第1固定部7と同様に、固定本体部8A(図示せず)とアジャスター部(第2アジャスター部)8B(図示せず)とを有する。アジャスター部8Bは、第2固定部8の長さを調節するための部材である。第2固定部8の長さは、例えば、脇端から上端までの長さである。固定本体部8Aは右乳房の脇側及び下側に位置し、アジャスター部8Bは左肩ストラップ部5L側に位置する。
【0052】
固定本体部8Aは、幅広の部材で形成され、右乳房を覆う。固定本体部8Aは、表布と裏布から構成されてもよいし、一重の布で構成されてもよい。固定本体部8Aの布には、例えば、着用者の幅広いサイズに適用できるように、伸縮して肌にフィットする素材(例えば、ナイロンとポリウレタンの混合素材等)が用いられる。
【0053】
アジャスター部8Bは、例えば、ゴム等のテープ状の長尺部材で形成される。アジャスター部8Bは、好ましくは本体部2の中央より左側に位置する。これにより、固定本体部8Aで右乳房をしっかりと固定しつつ、左乳房上方付近で長さの調節を行うことができる。なお、アジャスター部8Bは、乳房の一部を覆ってもよい。
【0054】
図5に示す第1固定部7と同様に、固定本体部8Aとアジャスター部8Bとの間にリング部材81(図示せず)が設けられており、アジャスター部8Bの両端の間に調節部材82(図示せず)が設けられている。アジャスター部8Bにおける調節部材82の位置を着用者が調節することによって、アジャスター部8Bの長さを調節することができ、これにより、第2固定部8の長さを調節することができる。
【0055】
第2固定部8は、右乳房を右下方から左上方へ引き上げて、右乳房を右下方から左上方にかけて固定することにより、右乳房のサイズや形状に関わらず効果的に右乳房の揺れを軽減することができる。また、アジャスター部7Bを有することにより、着用者の右乳房のサイズや形状に合わせて第2固定部8の長さを調節し、固定強度を調節することができるため、着用者の右乳房のサイズや形状に合わせて好適に右乳房の揺れ軽減することができる。また、固定強度が強過ぎる際に発生する呼吸機能の阻害や着用の不快感を低減することができる。また、運動強度に合わせて第2固定部8の長さを調節し、固定強度を調節することができるため、運動強度に合わせて好適に右乳房の揺れ軽減することができる。
【0056】
アジャスター部8Bは、ブラジャー1の前面側及び外面側にあるため、着用者はブラジャー1を着用した状態で容易に固定強度を調節することができる。
【0057】
第2固定部8は左肩ストラップ部5Lの前端に接続されているため、テンションが分散されて着用者の左肩への負担を低減することができる。
【0058】
また、第1固定部7と第2固定部8とで別々に長さを調節することができるため、左右の乳房のサイズや形状が異なる場合でも、左右それぞれのサイズや形状に合わせて好適に固定強度を調節することができる。
【0059】
アジャスター部7B及びアジャスター部8Bを緩めた状態でブラジャー1を着脱することにより、ブラジャー1を楽に着脱することができる。また、アジャスター部7B及びアジャスター部8Bを緩めた状態でブラジャー1を着脱することにより、ブラジャー1の着脱時における第1固定部7及び第2固定部8の伸びを防ぐことができるため、劣化を防ぎ、第1固定部7及び第2固定部8による乳房の揺れの軽減効果を長く維持することができる。
【0060】
(変形例)
第1固定部7は、例えば、
図6の(a)に示すように、左腕ぐり部21Lと重なる位置まで覆っていてもよく、左腕ぐり部21Lに接続してもよい。第2固定部8は、例えば、
図6に示すように、右腕ぐり部21Rと重なる位置まで覆っていてもよく、右腕ぐり部21Rに接続してもよい。
【0061】
アジャスター部7Bは、上記に限らず、第1固定部7の長さを調節できるものであればよく、例えば、ピン、スナップ、面ファスナー、紐、ボタンとボタン穴、ホック等であってもよい。アジャスター部8Bも同様である。
【0062】
第1固定部7は、例えば、
図6の(b)に示すように、長さ調節機構を有していなくてもよい。その場合、第1固定部7は、例えば、パワーネット等の伸縮性や弾力性に富んだ素材とすることが好ましい。第2固定部8も同様である。第1固定部7及び第2固定部8が長さ調節機構を有していない場合には、ブラジャー1の前面がフラットであるため、他の衣類と重ね着した場合に構造物が浮き出ず、見栄えが良いというメリットがある。また、ブラジャー1の前面に構造物がないため、着用者がうつ伏せ状態の際の着心地が良いというメリットがある。
【0063】
第1固定部7は、本体部2に着脱可能に接続するものであってもよい。その場合、第1固定部7は、例えば、ピン、スナップ、面ファスナー、紐、ボタンとボタン穴、ホック等で本体部2に着脱可能に接続する。第2固定部8も同様である。
【0064】
バック部4の形状は、上記に限定されず、所望の形状であってよい。一例として、
図7の(a)に示すように、バックサポート部が、交差した2つの別々の布から形成されてもよい。別の一例として、
図7の(b)に示すように、バック部4は、左右一対の部材で形成され、背中心近傍で着脱可能に形成されてもよい。
【0065】
各部材の生地は、上記に限定されず、用途等に応じて適宜選択できる。例えば、バック部4はメッシュ素材を用いる例を示したが、防寒性を高めるために、防寒性の高い厚手の素材とすることもできる。あるいは、水着として用いる場合、撥水性の高い素材とすることもできる。
【0066】
各部材の接続方法として縫着している例を示したが、これに限らず、例えば、接着材を用いて生地同士を接続してもよい。
【0067】
フロント部3、バック部4、右肩ストラップ部5R及び左肩ストラップ部5Lのうちの2つ以上が一枚の生地で一体形成されていてもよい。あるいは、フロント部3、バック部4、右肩ストラップ部5R及び左肩ストラップ部5Lは、それぞれにおいて、複数の別体の生地から形成されてもよい。各生地がどのように設けられるかという具体的構造と、本発明における本体部の構成要素であるフロント部、バック部、右肩ストラップ部及び左肩ストラップ部とは、異なる概念である。フロント部、バック部、右肩ストラップ部及び左肩ストラップ部は、着用者の上半身のどの部分を覆うかという位置関係に基づいて定められる。第1固定部及び第2固定部も同様に、本体部の構成要素と一枚の生地で一体形成されていてもよい。あるいは、第1固定部及び第2固定部は、それぞれにおいて、複数の別体の生地から形成されてもよい。
【0068】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 ブラジャー(胸部を覆う衣類)
2 本体部
3 フロント部
4 バック部
4R 右脇サポート部
4L 左脇サポート部
4A バックサポート部
5 肩ストラップ部
5R 右肩ストラップ部
5L 左肩ストラップ部
6 下辺ゴム部
7 第1固定部
7A 固定本体部
7B アジャスター部(第1アジャスター部)
8 第2固定部
8A 固定本体部
8B アジャスター部(第2アジャスター部)
21R 右腕ぐり部
21L 左腕ぐり部
22 襟ぐり部
23 切欠き部
31 カップ部
31R 右カップ部
31L 左カップ部
51~58 接続部
61 長さ調節機構
61R 右端部
61L 左端部
71 リング部材
72 調節部材
【手続補正書】
【提出日】2023-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸部を覆うフロント部と、
前記フロント部の脇端に背側から接続するバック部と、
前記フロント部の上端に接続し、肩の稜線を越えて背側で前記バック部の上端に接続する左右一対の肩ストラップ部と、
を有する本体部と、
前記本体部の外面側に位置し、左乳房の脇側及び下側から左乳房を覆い右肩ストラップ部へと延びる、着脱自在な連結部を有さない第1固定部と、
前記本体部の外面側に位置し、右乳房の脇側及び下側から右乳房を覆い左肩ストラップ部へと延びる、着脱自在な連結部を有さない第2固定部と、
を備えることを特徴とする胸部を覆う衣類。
【請求項2】
前記第1固定部は、少なくとも右肩ストラップ部の前端に接続しており、
前記第2固定部は、少なくとも左肩ストラップ部の前端に接続していることを特徴とする、請求項1に記載の胸部を覆う衣類。
【請求項3】
前記第1固定部は、少なくとも前記本体部の左脇部及び前記フロント部の下端に接続しており、
前記第2固定部は、少なくとも前記本体部の右脇部及び前記フロント部の下端に接続していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の胸部を覆う衣類。
【請求項4】
前記第1固定部は、当該第1固定部の長さを調節するための第1アジャスター部を有し、
前記第2固定部は、当該第2固定部の長さを調節するための第2アジャスター部を有することを特徴とする、請求項1に記載の胸部を覆う衣類。
【請求項5】
前記第1アジャスター部は、前記本体部の中央より右側に位置し、
前記第2アジャスター部は、前記本体部の中央より左側に位置することを特徴とする、請求項4に記載の胸部を覆う衣類。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸部を覆うフロント部と、
前記フロント部の脇端に背側から接続するバック部と、
前記フロント部の上端に接続し、肩の稜線を越えて背側で前記バック部の上端に接続する左右一対の肩ストラップ部と、
を有する本体部と、
前記本体部の外面側に位置し、左乳房の脇側及び下側から左乳房を覆い右肩ストラップ部へと延びる、着脱自在な連結部を有さない第1固定部と、
前記本体部の外面側に位置し、右乳房の脇側及び下側から右乳房を覆い左肩ストラップ部へと延びる、着脱自在な連結部を有さない第2固定部と、
を備え、
前記第1固定部と前記第2固定部とは互いに接続していないことを特徴とする胸部を覆う衣類。
【請求項2】
前記第1固定部は、少なくとも右肩ストラップ部の前端に接続しており、
前記第2固定部は、少なくとも左肩ストラップ部の前端に接続していることを特徴とする、請求項1に記載の胸部を覆う衣類。
【請求項3】
前記第1固定部は、少なくとも前記本体部の左脇部及び前記フロント部の下端に接続しており、
前記第2固定部は、少なくとも前記本体部の右脇部及び前記フロント部の下端に接続していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の胸部を覆う衣類。
【請求項4】
前記第1固定部は、当該第1固定部の長さを調節するための第1アジャスター部を有し、
前記第2固定部は、当該第2固定部の長さを調節するための第2アジャスター部を有することを特徴とする、請求項1に記載の胸部を覆う衣類。
【請求項5】
前記第1アジャスター部は、前記本体部の中央より右側に位置し、
前記第2アジャスター部は、前記本体部の中央より左側に位置することを特徴とする、請求項4に記載の胸部を覆う衣類。