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特開2024-110715独立した2つ以上の送風口を備える高炉用送風羽口
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110715
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】独立した2つ以上の送風口を備える高炉用送風羽口
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/16 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
C21B7/16 305
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015463
(22)【出願日】2023-02-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】591168644
【氏名又は名称】後藤合金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100198797
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 裕
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 謙
(72)【発明者】
【氏名】古森 由記
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏樹
【テーマコード(参考)】
4K015
【Fターム(参考)】
4K015FC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来の羽口の構造を大きく変更させることなく複数の流路が形成され、還元材を吹き込むことが可能な高炉用羽口を提供する。
【解決手段】還元材用の流入孔14が形成された環状のフランジ部13が後端部に形成されると共に長手方向に延びる直線状のリブ部が外周壁12aに形成されたスリーブ12を、主流通孔2内に装着し、主流通孔2の内周壁2aとスリーブ2の外周壁12a間に、リブ部により仕切られた還元材流入孔14から還元材吹込み口17aへ続く還元材流入路17が形成された高炉用羽口1を得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、
前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部には還元材流入孔が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の後端側の径と略同一であること、
前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた直線状のリブ部が形成されていること、
前記リブ部は前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていること、
を特徴とする高炉用羽口。
【請求項2】
高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、
前記高炉用羽口は背面部に還元材流入孔を有し、前記主流通孔の後部に還元材流出孔を有し、前記還元材流入孔と前記還元材流出孔間に配置された還元材パイプを有すること、
前記還元材パイプは一部が前記還元材流出孔から前記主流通孔内に突出しており、その還元材パイプ突出部には還元材吐出孔が形成されていること、
前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の径と略同一であること、
前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた直線状のリブ部が形成されていること、
前記リブ部は前記還元材パイプ突出部を避けながら前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていること、
を特徴とする高炉用羽口。
【請求項3】
高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、
前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部には還元材流入孔が形成されると共に、冷却水路と繋がる給水孔及び排水孔が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の後端側の径と略同一であること、
前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた直線状のリブ部が形成されていること、
前記リブ部は前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていること、
を特徴とする高炉用羽口。
【請求項4】
前記還元材流入孔は複数形成されていること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高炉用羽口。
【請求項5】
前記リブ部は複数形成されていること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高炉用羽口。
【請求項6】
前記リブ部の長さは前記スリーブの前端から後端までの長さと略同一であること、を特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高炉用羽口。
【請求項7】
前記リブ部は前記スリーブの前端から前記フランジ部の手前まで延びていること、を特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高炉用羽口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉内に熱風を送り込むための高炉用送風羽口、詳しくは、羽口が有する主流通孔の内側にスリーブを装着して二つ以上の送風流路を形成した高炉用送風羽口に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、羽口は、ブローパイプ(送風管)から送られた熱風を高炉内に吹き込むための主流通孔を備えた構造になっている。
また、羽口は、高炉内に突き出すように設置され、高炉内の熱に晒されることから、その内部に冷却水路を形成し、この水路内に冷却水を高速で循環させ、羽口本体を冷却することで溶損を防止している。
【0003】
近年、様々な分野でCO2等削減によるカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが行われているが、高炉操業においては、羽口内を流れる熱風と共に還元材を高炉内に吹き込む方法が主流になると考えられる。
そして、上述した構造の羽口において、還元材の吹き出し位置を羽口の先端(吹出し口)付近に設定した場合、外部から供給された還元材を高炉内に吹き込むための還元材用吹込みパイプは、羽口本体内を貫通させながらその吹出し口を羽口の先端に設置する必要がある。
【0004】
例えば、特開2018-16849号には、羽口本体の通路内または羽口本体につながるブローパイプの通路内に、羽口本体またはブローパイプを貫通させた吹き込み還元材吹き込み用ランスの先端部を位置させ、この還元材吹き込み用ランスを通して吹き込み還元材を高炉内へ吹き込む構成が示されている。
【0005】
しかし、従来の羽口にこのような還元材用吹込みパイプを追加した構造にすると、還元材用吹込みパイプとの接触を回避するために冷却水路の構造が複雑になり製作コストが高くなる、また高流速冷却水路を構成することが困難になり冷却性能が満たされずに羽口の寿命が短くなる、という問題がある。
【0006】
また、パイプの径によっては、主流通孔に接続されたブローパイプと還元材流入孔に接続された還元材送出パイプが羽口付近で干渉してしまう、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-16849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、叙上の理由により提案されるものであって、低コストでありながら、従来の羽口の構造を大きく変更させることなく複数の流路が形成され、還元材を吹き込むことが可能な高炉用羽口を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部には還元材流入孔が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の後端側の径と略同一であること、前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた直線状のリブ部が形成されていること、前記リブ部は前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、前記高炉用羽口は背面部に還元材流入孔を有し、前記主流通孔の後部に還元材流出孔を有し、前記還元材流入孔と前記還元材流出孔間に配置された還元材パイプを有すること、前記還元材パイプは一部が前記還元材流出孔から前記主流通孔内に突出しており、その還元材パイプ突出部には還元材吐出孔が形成されていること、前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の径と略同一であること、前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた直線状のリブ部が形成されていること、前記リブ部は前記還元材パイプ突出部を避けながら前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部には還元材流入孔が形成されると共に、冷却水路と繋がる給水孔及び排水孔が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の後端側の径と略同一であること、前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた直線状のリブ部が形成されていること、前記リブ部は前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高炉用羽口であって、前記還元材流入孔は複数形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高炉用羽口であって、前記リブ部は複数形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高炉用羽口であって、前記リブ部の長さは前記スリーブの前端から後端までの長さと略同一であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高炉用羽口であって、前記リブ部は前記スリーブの前端から前記フランジ部の手前まで延びていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、還元材用の流路を備えない従来の羽口に対し、還元材の流入孔と羽口の主流通孔の内周壁に当接するリブ部が形成されたスリーブを装着することで、新たに還元材を高炉内へ吹き込むための流路を設けることが可能となる。
また、本発明に係るスリーブを製造し、従来の羽口に溶接する手間やコストは、従来の羽口の構造を変更し還元材用のパイプを羽口本体内に組み込むコスト等に比べて小さいものであり、冷却用水路の設計を変更した場合と比較して従来の羽口が備える冷却性能を低下させる虞もない。
【0017】
また、請求項2に係る発明によれば、主流通孔に接続されるブローパイプと還元材流入孔に接続される還元材送出パイプが羽口付近で干渉してしまう場合に、パイプの径を変更することなく、還元材流入孔の位置を主流通孔から遠ざけることでパイプの干渉を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】高炉用羽口の断面図である。
図2】高炉用羽口の背面図である。
図3】高炉用羽口の正面図である。
図4】(a)フランジ部を上にした状態のスリーブの斜視図である。(b)吹込み口を上にした状態のスリーブの斜視図である。
図5】複数の還元材流入孔が形成されたフランジ部を有するスリーブの説明図である。
図6】長さが異なるリブ部を有するスリーブの説明図である。
図7】2つの還元材流入孔が形成されたフランジ部と2つの前端から後端まで延びるリブ部を有するスリーブの説明図である。
図8】高炉用羽口の断面図である。
図9】高炉用羽口の背面図である。
図10】高炉用羽口の正面図である。
図11】フランジ部を上にした状態のスリーブの斜視図である。
図12】スリーブの説明図である。
図13】長さが異なるリブ部を有するスリーブの説明図である。
図14】高炉用羽口の断面図である。
図15】高炉用羽口の背面図である。
図16】高炉用羽口の正面図である。
図17】(a)フランジ部を上にした状態のスリーブの斜視図である。(b)吹込み口を上にした状態のスリーブの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0019】
以下、図1図17に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。
図1図7は請求項1に係る高炉用羽口、図8図13は請求項2に係る高炉用羽口、図14図17は請求項3に係る高炉用羽口に関するものである。
【0020】
図1は高炉用羽口の断面図、図2は高炉用羽口の背面図、図3は高炉用羽口の正面図、図4(a)、(b)はスリーブの斜視図、図5図7はスリーブの説明図であって、符号の1は本発明に係る高炉用羽口、2は前端側Aに熱風吹出し口2b、後端側Bにブローパイプ(図示せず。)と接続された熱風吹込み口2cを備えた主流通孔、2aは主流通孔2の内周壁、3は高炉用羽口1を構成する内筒部、3aは内筒部3と一体に形成された分離壁部、4は高炉用羽口1を構成する外筒部である。
【0021】
符号の5は内筒部3内に形成され高炉用羽口1の胴体部を周回する冷却水路、6は分離壁3aにより仕切られながら内筒部3と外筒部4間に形成され、冷却水路5から続いて高炉用羽口1の胴体部を周回する冷却水路、7は内筒部3と外筒部4間に形成され、高炉用羽口1の先端付近を周回する冷却水路、10は冷却水路5へ続く給水口、11は冷却水路7へ続く給水口、8は冷却水路5から続く排水口、9は冷却水路7から続く排水口である。
【0022】
なお、内筒部3、分離壁3a、外筒部4等、冷却水路に係る各部の形状や位置等は任意であり、本実施例のものに限定されない。
【0023】
図4図7において、符号の12は主流通孔2内に装着される略円筒状のスリーブ、13はスリーブ12の外周壁12aの後端から径方向外方に突出形成され、主流通孔2の後端側と略同径である環状のフランジ部、14はフランジ部13に形成され還元材送出パイプ(図示せず。)と接続された還元材流入孔、15はスリーブ12の外周壁12aの前端から長手方向に延び径方向外方に突出形成された直線状のリブ部、17aは還元材吹込み口である。
【0024】
本実施例において、還元材流入孔14は2つ、リブ部15は8つとし、リブ部15はスリーブ外周壁12aの前端から還元材流路17bまで延びる長さとしているが、還元材流入孔14の数、リブ部15の数や長さ等は吹き込む還元材の量や流速によって適宜設計変更が可能であり、本実施例のものに限定されない。
【0025】
スリーブ12は、その外周面(壁)、内周面(壁)共に表面処理が施されており、この表面処理によって、外周面は高温の還元材、内周面は熱風から受けるダメージが軽減され、スリーブ12の損耗を防ぐ構成となっている。
この構成は、後述する請求項2、請求項3に係るスリーブについても同様である。
【0026】
スリーブ12は主流通孔2の後端側Bから挿入され、後端側Bの主流通孔2と同径のフランジ部13が内筒部3と当接する溶接部16で溶接されて、リブ部15が主流通孔2の内周壁2aと当接した状態でスリーブ12は主流通孔2に装着される。
そして、図1に示すように、スリーブ12の外周壁12aと内筒部3(主流通孔2の内周壁2a)間に、還元材流入孔14から還元材吹込み口17aへ続く還元材流路17が形成される。
【0027】
これにより、スリーブ12が装着された高炉用羽口1は、図1内の矢印に示すように、ブローパイプから流入した熱風を熱風吹込み口2c、主流通孔2、熱風吹出し口2bの流れで高炉内に吹き込むことができると共に、還元材パイプから流入した還元材を還元材流入孔14、還元材流路17b、還元材流路17、還元材吹込み口17aの流れで高炉内に吹き込むことができる。
【0028】
このように、本願発明によれば、従来の羽口にスリーブ12を後付けすることで、羽口に新たな貫通孔を形成したり、既存の冷却水路の構造に変更を加えることなく独立した二つ以上のの送風流路を設けることが可能となる。
【0029】
なお、本実施例に係るスリーブの他に、例えば、図5は還元材流入孔14を6つとしたスリーブの例であり、各還元材流入孔14から流入した還元材は、図中の矢印に示すように還元材流路17bを経由してリブ部15によって仕切られた還元材流路17へ進入し、還元材吹込み口17aから高炉内へ吹き込まれる。
また、図6は還元材流入孔14を2つ、リブ部15を8つとし、リブ部15のうち対称位置にあるリブ部15aをスリーブ外周壁12aの前端からフランジ部13に近接する位置まで延ばし、その他のリブ部15はスリーブ外周壁12aの前端から還元材流路17bまで延ばしたスリーブの例であり、各還元材流入孔14から流入した還元材は、図中の矢印に示すように還元材流路17bを経由してリブ部15a及びリブ部15によって仕切られた還元材流路17へ進入し、還元材吹込み口17aから高炉内へ吹き込まれる。
また、図7は還元材流入孔14を2つ、リブ部15を2つとし、対称位置にあるリブ部15aをスリーブ外周壁12aの前端からフランジ部13に近接する位置まで延ばしたスリーブの例であり、各還元材流入孔14から流入した還元材は、図中の矢印に示すように還元材流路17bを経由してリブ部15aによって仕切られた還元材流路17へ進入し、還元材吹込み口17aから高炉内へ吹き込まれる。
【実施例0030】
図8は高炉用羽口の断面図、図9は高炉用羽口の背面図、図10は高炉用羽口の正面図、
図11~13はスリーブの斜視図であって、符号の21は本発明に係る高炉用羽口、22は高炉用羽口21の背面部に形成され還元材送出パイプ(図示せず。)と接続された還元材流入孔、2は前端側Aに熱風吹出し口2b、後端側Bにブローパイプ(図示せず。)と接続された熱風吹込み口2cを備えた主流通孔、2aは主流通孔2の内周壁、23は主流通孔2の後部に形成された還元材流出孔、24は高炉用羽口2の内部に配置され、還元材流入孔22と還元材流出孔23を結ぶ還元材パイプである。
【0031】
還元材パイプ24は、図8に示すように一部が還元材流出孔23から主流通孔2内に突出しており、その還元材パイプ突出部25には、図12に示すように前端側Aに向けた還元材吐出孔26が形成されている。
【0032】
符号の3は高炉用羽口21を構成する内筒部、3aは内筒部3と一体に形成された分離壁部、4は高炉用羽口1を構成する外筒部である。
【0033】
符号の5は内筒部3内に形成され高炉用羽口21の胴体部を周回する冷却水路、6は分離壁3aにより仕切られながら内筒部3と外筒部4間に形成され、冷却水路5から続いて高炉用羽口21の胴体部を周回する冷却水路、7は内筒部3と外筒部4間に形成され、高炉用羽口21の先端付近を周回する冷却水路、8は冷却水路5から続く排水口、9は冷却水路7から続く排水口、10は冷却水路5へ続く給水口、11は冷却水路7へ続く給水口である。
【0034】
なお、内筒部3、分離壁3a、外筒部4等、冷却水路に係る各部の形状や位置等は任意であり、本実施例のものに限定されない。
【0035】
図11、12において、符号の27は主流通孔2内に装着される略円筒状のスリーブ、28はスリーブ27の外周壁27aの後端から径方向外方に突出形成され、主流通孔2と略同径の環状のフランジ部、29aはスリーブ外周壁27aの前端からフランジ部28まで長手方向に延び径方向外方に突出形成された直線状のリブ部、30aは還元材吹込み口である。
【0036】
スリーブ27は主流通孔2の後端側Bから挿入され、フランジ部28が還元材流出孔23及び還元材パイプ突出部25よりも後端側に位置する溶接部31で内筒部3に溶接されて、リブ部29aが主流通孔2の内周壁2aと当接した状態でスリーブ27は主流通孔2に装着される。
そして、図8に示すように、スリーブ27の外周壁27aと内筒部3(主流通孔2の内周壁2a)間に、還元材流入孔23から還元材吹込み口30aへ続く還元材流路30が形成される。
【0037】
これにより、スリーブ27が装着された高炉用羽口21は、図8内の矢印に示すように、ブローパイプから流入した熱風を熱風吹込み口2c、主流通孔2、熱風吹込み口の流れで高炉内に吹き込むことができると共に、還元材送出パイプから流入した還元材を還元材流入孔22、還元材パイプ24、還元材吐出孔26、還元材流路30b、還元材流路30、還元材吹込み口30aの流れで高炉内に吹き込むことができる。
【0038】
本実施例において、還元材流入孔22及び還元材流出孔23は2つ、還元材パイプ24は2つ、1つの還元材パイプ突出部25に形成された還元材吐出孔26は1つ、リブ部29aは2つとし、対称位置にあるリブ部29aはスリーブ外周壁27aの前端からフランジ部28まで延びる長さとしているが、還元材流入孔22や還元材パイプ24等の数、リブ部の数や長さ等は吹き込む還元材の量や流速によって適宜設計変更が可能であり、本実施例のものに限定されない。
【0039】
例えば、図13は還元材流入孔22及び還元材流出孔23は2つ、還元材パイプ24は2つ、1つの還元材パイプ突出部25に形成された還元材吐出孔26は3つ、リブ部29を8つとし、リブ部29のうち対称位置にあるリブ部29aをスリーブ外周壁27aの前端からフランジ部28まで延ばし、その他のリブ部29はスリーブ外周壁27aの前端から還元材流路30bまで延ばした例であり、各還元材流入孔22から流入した還元材は、還元材パイプ24を通り、図13内の矢印に示すように、3つの還元材吐出孔26から還元材流路30bを経由してリブ部29a及びリブ部29aによって仕切られた還元材流路30へ進入し、還元材吹込み口30aから高炉内へ吹き込まれる。
【実施例0040】
図14は高炉用羽口の断面図、図15は高炉用羽口の背面図、図16は高炉用羽口の正面図、図17(a)、(b)はスリーブの斜視図であって、符号の32は本発明に係る高炉用羽口、2は前端側Aに熱風吹出し口2b、後端側Bにブローパイプ(図示せず。)と接続された熱風吹込み口2cを備えた主流通孔、2aは主流通孔2の内周壁、3は高炉用羽口32を構成する内筒部、3aは内筒部3と一体に形成された分離壁部、4は高炉用羽口32を構成する外筒部である。
【0041】
符号の5は内筒部3内に形成され高炉用羽口1の胴体部を周回する冷却水路、6は分離壁3aにより仕切られながら内筒部3と外筒部4間に形成され、冷却水路5から続いて高炉用羽口1の胴体部を周回する冷却水路、7は内筒部3と外筒部4間に形成され、高炉用羽口1の先端付近を周回する冷却水路である。
【0042】
なお、内筒部3、分離壁3a、外筒部4等、冷却水路に係る各部の形状や位置等は任意であり、本実施例のものに限定されない。
【0043】
図17において、符号の33は主流通孔2内に装着される略円筒状のスリーブ、34はスリーブ33の外周壁33aの後端から径方向外方に突出形成され、主流通孔2の後端側と略同径である環状のフランジ部、35はフランジ部34に形成され還元材送出パイプ(図示せず。)と接続された還元材流入孔、36はスリーブ33の外周壁33aの前端から長手方向に延び径方向外方に突出形成された直線状のリブ部、38aは還元材吹込み口である。
符号の41はフランジ部34に形成され冷却水路5へ続く給水孔、42はフランジ部34に形成され冷却水路7へ続く給水孔、39はフランジ部34に形成され冷却水路5から続く排水孔、40はフランジ部34に形成され冷却水路7から続く排水孔、43は各給水孔及び排水孔に接続された冷却水パイプである。
【0044】
本実施例において、還元材流入孔35は2つ、リブ部36は8つとし、リブ部36はスリーブ外周壁33aの前端から還元材流路38bまで延びる長さとしているが、還元材流入孔35の数、リブ部36の数や長さ等は吹き込む還元材の量や流速によって適宜設計変更が可能であり、例えば、図5~7のように還元材流入孔35を6つとする、リブ部36を2つとする等、本実施例のものに限定されない。
【0045】
スリーブ33は主流通孔2の後端側Bから挿入され、後端側Bの主流通孔2と同径のフランジ部34が内筒部3と当接する溶接部37で溶接されて、リブ部36が主流通孔2の内周壁2aと当接した状態でスリーブ33は主流通孔2に装着される。
そして、図14に示すように、スリーブ外周壁33aと内筒部3(主流通孔2の内周壁2a)間に、還元材流入孔35から還元材吹込み口38aへ続く還元材流路38が形成される。
【0046】
これにより、スリーブ33が装着された高炉用羽口32は、図14内の矢印に示すように、ブローパイプから流入した熱風を熱風吹込み口2c、主流通孔2、熱風吹出し口2bの流れで高炉内に吹き込むことができると共に、還元材送出パイプから流入した還元材を還元材流入孔35、還元材流路38b、還元材流路38、還元材吹込み口38aの流れで高炉内に吹き込むことができる。
【0047】
このように、本願発明によれば、従来の羽口にスリーブ33を後付けすることで、羽口に新たな貫通孔を形成したり、既存の冷却水路の構造に変更を加えることなく独立した二つ以上のの送風流路を設けることが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 高炉用羽口
2 主流通孔
2a 主流通孔内周壁
2b 熱風吹出し口
2c 熱風吹込み口
3 内筒部
3a 分離壁
4 外筒部
5 冷却水路
6 冷却水路
7 冷却水路
8 排水口
9 排水口
10 給水口
11 給水口
12 スリーブ
12a スリーブ外周壁
13 フランジ部
14 還元材流入孔
15 リブ部
15a リブ部
16 溶接部
17 還元材流路
17a 還元材吹込み口
17b 還元材流路部
21 高炉用羽口
22 還元材流入孔
23 還元材流出孔
24 還元材パイプ
25 還元材パイプ突出部
26 還元材吐出孔
27 スリーブ
27a スリーブ外周壁
28 フランジ部
29 リブ部
29a リブ部
30 還元材流路
30a 還元材吹込み口
30b 還元材流路部
31 溶接部
32 高炉用羽口
33 スリーブ
34 フランジ部
35 還元材流入孔
36 リブ部
37 溶接部
38 還元材流路
38a 還元材吹込み口
38b 還元材流路
39 排水孔
40 排水孔
41 給水孔
42 給水孔
43 冷却水パイプ
A 前端側
B 後端側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、
前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部には1つ以上の還元材流入孔が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の後端側の径と略同一であること、
前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた1つ以上の直線状のリブ部が形成されていること、
前記リブ部は前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていること、
を特徴とする高炉用羽口。
【請求項2】
高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、
前記高炉用羽口は背面部に1つ以上の還元材流入孔を有し、前記主流通孔の後部に還元材流出孔を有し、前記還元材流入孔と前記還元材流出孔間に配置された還元材パイプを有すること、
前記還元材パイプは一部が前記還元材流出孔から前記主流通孔内に突出しており、その還元材パイプ突出部には還元材吐出孔が形成されていること、
前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の径と略同一であること、
前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた1つ以上の直線状のリブ部が形成されていること、
前記リブ部は前記還元材パイプ突出部を避けながら前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていること、
を特徴とする高炉用羽口。
【請求項3】
高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、
前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部には1つ以上の還元材流入孔が形成されると共に、冷却水路と繋がる給水孔及び排水孔が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の後端側の径と略同一であること、
前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた1つ以上の直線状のリブ部が形成されていること、
前記リブ部は前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていること、
を特徴とする高炉用羽口。
【請求項4】
前記リブ部の長さは前記スリーブの前端から後端までの長さと略同一であること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高炉用羽口。
【請求項5】
前記リブ部は前記スリーブの前端から前記フランジ部の手前まで延びていること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高炉用羽口。
【請求項6】
前記リブ部は前記スリーブの前端から前記フランジ部の手前まで延びていること、を特徴とする請求項4に記載の高炉用羽口。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉内に熱風を送り込むための高炉用送風羽口、詳しくは、羽口が有する主流通孔の内側にスリーブを装着して二つ以上の送風流路を形成した高炉用送風羽口に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、羽口は、ブローパイプ(送風管)から送られた熱風を高炉内に吹き込むための主流通孔を備えた構造になっている。
また、羽口は、高炉内に突き出すように設置され、高炉内の熱に晒されることから、その内部に冷却水路を形成し、この水路内に冷却水を高速で循環させ、羽口本体を冷却することで溶損を防止している。
【0003】
近年、様々な分野でCO2等削減によるカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが行われているが、高炉操業においては、羽口内を流れる熱風と共に還元材を高炉内に吹き込む方法が主流になると考えられる。
そして、上述した構造の羽口において、還元材の吹き出し位置を羽口の先端(吹出し口)付近に設定した場合、外部から供給された還元材を高炉内に吹き込むための還元材用吹込みパイプは、羽口本体内を貫通させながらその吹出し口を羽口の先端に設置する必要がある。
【0004】
例えば、特開2018-16849号には、羽口本体の通路内または羽口本体につながるブローパイプの通路内に、羽口本体またはブローパイプを貫通させた吹き込み還元材吹き込み用ランスの先端部を位置させ、この還元材吹き込み用ランスを通して吹き込み還元材を高炉内へ吹き込む構成が示されている。
【0005】
しかし、従来の羽口にこのような還元材用吹込みパイプを追加した構造にすると、還元材用吹込みパイプとの接触を回避するために冷却水路の構造が複雑になり製作コストが高くなる、また高流速冷却水路を構成することが困難になり冷却性能が満たされずに羽口の寿命が短くなる、という問題がある。
【0006】
また、パイプの径によっては、主流通孔に接続されたブローパイプと還元材流入孔に接続された還元材送出パイプが羽口付近で干渉してしまう、という問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-16849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、叙上の理由により提案されるものであって、低コストでありながら、従来の羽口の構造を大きく変更させることなく複数の流路が形成され、還元材を吹き込むことが可能な高炉用羽口を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部には1つ以上の還元材流入孔が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の後端側の径と略同一であること、前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた1つ以上の直線状のリブ部が形成されていること、前記リブ部は前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、前記高炉用羽口は背面部に1つ以上の還元材流入孔を有し、前記主流通孔の後部に還元材流出孔を有し、前記還元材流入孔と前記還元材流出孔間に配置された還元材パイプを有すること、前記還元材パイプは一部が前記還元材流出孔から前記主流通孔内に突出しており、その還元材パイプ突出部には還元材吐出孔が形成されていること、前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の径と略同一であること、前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた1つ以上の直線状のリブ部が形成されていること、前記リブ部は前記還元材パイプ突出部を避けながら前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、高炉内部に熱風を吹き込む主流通孔の内側に略円筒状のスリーブを装着してなる高炉用羽口であって、前記スリーブの外周壁の後端には径方向外方に突出した環状のフランジ部が形成され、前記フランジ部には1つ以上の還元材流入孔が形成されると共に、冷却水路と繋がる給水孔及び排水孔が形成され、前記フランジ部の径は前記主流通孔の後端側の径と略同一であること、前記スリーブの外周壁には径方向外方に突出しながら長手方向に延びた1つ以上の直線状のリブ部が形成されていること、前記リブ部は前記主流通孔の内周壁に当接し、前記主流通孔の内周壁と前記スリーブの外周壁間に前記リブ部により仕切られた前記還元材流入孔から続く還元材流路が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高炉用羽口であって、前記リブ部の長さは前記スリーブの前端から後端までの長さと略同一であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高炉用羽口であって、
前記リブ部は前記スリーブの前端から前記フランジ部の手前まで延びていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の高炉用羽口であって、前記リブ部は前記スリーブの前端から前記フランジ部の手前まで延びていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、還元材用の流路を備えない従来の羽口に対し、還元材の流入孔と羽口の主流通孔の内周壁に当接するリブ部が形成されたスリーブを装着することで、新たに還元材を高炉内へ吹き込むための流路を設けることが可能となる。
また、本発明に係るスリーブを製造し、従来の羽口に溶接する手間やコストは、従来の羽口の構造を変更し還元材用のパイプを羽口本体内に組み込むコスト等に比べて小さいものであり、冷却用水路の設計を変更した場合と比較して従来の羽口が備える冷却性能を低下させる虞もない。
【0016】
また、請求項2に係る発明によれば、主流通孔に接続されるブローパイプと還元材流入孔に接続される還元材送出パイプが羽口付近で干渉してしまう場合に、パイプの径を変更することなく、還元材流入孔の位置を主流通孔から遠ざけることでパイプの干渉を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】高炉用羽口の断面図である。
図2】高炉用羽口の背面図である。
図3】高炉用羽口の正面図である。
図4】(a)フランジ部を上にした状態のスリーブの斜視図である。(b)吹込み口を上にした状態のスリーブの斜視図である。
図5】複数の還元材流入孔が形成されたフランジ部を有するスリーブの説明図である。
図6】長さが異なるリブ部を有するスリーブの説明図である。
図7】2つの還元材流入孔が形成されたフランジ部と2つの前端から後端まで延びるリブ部を有するスリーブの説明図である。
図8】高炉用羽口の断面図である。
図9】高炉用羽口の背面図である。
図10】高炉用羽口の正面図である。
図11】フランジ部を上にした状態のスリーブの斜視図である。
図12】スリーブの説明図である。
図13】長さが異なるリブ部を有するスリーブの説明図である。
図14】高炉用羽口の断面図である。
図15】高炉用羽口の背面図である。
図16】高炉用羽口の正面図である。
図17】(a)フランジ部を上にした状態のスリーブの斜視図である。(b)吹込み口を上にした状態のスリーブの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0018】
以下、図1図17に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。
図1図7は請求項1に係る高炉用羽口、図8図13は請求項2に係る高炉用羽口、図14図17は請求項3に係る高炉用羽口に関するものである。
【0019】
図1は高炉用羽口の断面図、図2は高炉用羽口の背面図、図3は高炉用羽口の正面図、図4(a)、(b)はスリーブの斜視図、図5図7はスリーブの説明図であって、符号の1は本発明に係る高炉用羽口、2は前端側Aに熱風吹出し口2b、後端側Bにブローパイプ(図示せず。)と接続された熱風吹込み口2cを備えた主流通孔、2aは主流通孔2の内周壁、3は高炉用羽口1を構成する内筒部、3aは内筒部3と一体に形成された分離壁部、4は高炉用羽口1を構成する外筒部である。
【0020】
符号の5は内筒部3内に形成され高炉用羽口1の胴体部を周回する冷却水路、6は分離壁3aにより仕切られながら内筒部3と外筒部4間に形成され、冷却水路5から続いて高炉用羽口1の胴体部を周回する冷却水路、7は内筒部3と外筒部4間に形成され、高炉用羽口1の先端付近を周回する冷却水路、10は冷却水路5へ続く給水口、11は冷却水路7へ続く給水口、8は冷却水路5から続く排水口、9は冷却水路7から続く排水口である。
【0021】
なお、内筒部3、分離壁3a、外筒部4等、冷却水路に係る各部の形状や位置等は任意であり、本実施例のものに限定されない。
【0022】
図4図7において、符号の12は主流通孔2内に装着される略円筒状のスリーブ、13はスリーブ12の外周壁12aの後端から径方向外方に突出形成され、主流通孔2の後端側と略同径である環状のフランジ部、14はフランジ部13に形成され還元材送出パイプ(図示せず。)と接続された還元材流入孔、15はスリーブ12の外周壁12aの前端から長手方向に延び径方向外方に突出形成された直線状のリブ部、17aは還元材吹込み口である。
【0023】
本実施例において、還元材流入孔14は2つ、リブ部15は8つとし、リブ部15はスリーブ外周壁12aの前端から還元材流路17bまで延びる長さとしているが、還元材流入孔14の数、リブ部15の数や長さ等は吹き込む還元材の量や流速によって適宜設計変更が可能であり、本実施例のものに限定されない。
【0024】
スリーブ12は、その外周面(壁)、内周面(壁)共に表面処理が施されており、この表面処理によって、外周面は高温の還元材、内周面は熱風から受けるダメージが軽減され、スリーブ12の損耗を防ぐ構成となっている。
この構成は、後述する請求項2、請求項3に係るスリーブについても同様である。
【0025】
スリーブ12は主流通孔2の後端側Bから挿入され、後端側Bの主流通孔2と同径のフランジ部13が内筒部3と当接する溶接部16で溶接されて、リブ部15が主流通孔2の内周壁2aと当接した状態でスリーブ12は主流通孔2に装着される。
そして、図1に示すように、スリーブ12の外周壁12aと内筒部3(主流通孔2の内周壁2a)間に、還元材流入孔14から還元材吹込み口17aへ続く還元材流路17が形成される。
【0026】
これにより、スリーブ12が装着された高炉用羽口1は、図1内の矢印に示すように、ブローパイプから流入した熱風を熱風吹込み口2c、主流通孔2、熱風吹出し口2bの流れで高炉内に吹き込むことができると共に、還元材パイプから流入した還元材を還元材流入孔14、還元材流路17b、還元材流路17、還元材吹込み口17aの流れで高炉内に吹き込むことができる。
【0027】
このように、本願発明によれば、従来の羽口にスリーブ12を後付けすることで、羽口に新たな貫通孔を形成したり、既存の冷却水路の構造に変更を加えることなく独立した二つ以上のの送風流路を設けることが可能となる。
【0028】
なお、本実施例に係るスリーブの他に、例えば、図5は還元材流入孔14を6つとしたスリーブの例であり、各還元材流入孔14から流入した還元材は、図中の矢印に示すように還元材流路17bを経由してリブ部15によって仕切られた還元材流路17へ進入し、還元材吹込み口17aから高炉内へ吹き込まれる。
また、図6は還元材流入孔14を2つ、リブ部15を8つとし、リブ部15のうち対称位置にあるリブ部15aをスリーブ外周壁12aの前端からフランジ部13に近接する位置まで延ばし、その他のリブ部15はスリーブ外周壁12aの前端から還元材流路17bまで延ばしたスリーブの例であり、各還元材流入孔14から流入した還元材は、図中の矢印に示すように還元材流路17bを経由してリブ部15a及びリブ部15によって仕切られた還元材流路17へ進入し、還元材吹込み口17aから高炉内へ吹き込まれる。
また、図7は還元材流入孔14を2つ、リブ部15を2つとし、対称位置にあるリブ部15aをスリーブ外周壁12aの前端からフランジ部13に近接する位置まで延ばしたスリーブの例であり、各還元材流入孔14から流入した還元材は、図中の矢印に示すように還元材流路17bを経由してリブ部15aによって仕切られた還元材流路17へ進入し、還元材吹込み口17aから高炉内へ吹き込まれる。
【実施例0029】
図8は高炉用羽口の断面図、図9は高炉用羽口の背面図、図10は高炉用羽口の正面図、図11~13はスリーブの斜視図であって、符号の21は本発明に係る高炉用羽口、22は高炉用羽口21の背面部に形成され還元材送出パイプ(図示せず。)と接続された還元材流入孔、2は前端側Aに熱風吹出し口2b、後端側Bにブローパイプ(図示せず。)と接続された熱風吹込み口2cを備えた主流通孔、2aは主流通孔2の内周壁、23は主流通孔2の後部に形成された還元材流出孔、24は高炉用羽口2の内部に配置され、還元材流入孔22と還元材流出孔23を結ぶ還元材パイプである。
【0030】
還元材パイプ24は、図8に示すように一部が還元材流出孔23から主流通孔2内に突出しており、その還元材パイプ突出部25には、図12に示すように前端側Aに向けた還元材吐出孔26が形成されている。
【0031】
符号の3は高炉用羽口21を構成する内筒部、3aは内筒部3と一体に形成された分離壁部、4は高炉用羽口1を構成する外筒部である。
【0032】
符号の5は内筒部3内に形成され高炉用羽口21の胴体部を周回する冷却水路、6は分離壁3aにより仕切られながら内筒部3と外筒部4間に形成され、冷却水路5から続いて高炉用羽口21の胴体部を周回する冷却水路、7は内筒部3と外筒部4間に形成され、高炉用羽口21の先端付近を周回する冷却水路、8は冷却水路5から続く排水口、9は冷却水路7から続く排水口、10は冷却水路5へ続く給水口、11は冷却水路7へ続く給水口である。
【0033】
なお、内筒部3、分離壁3a、外筒部4等、冷却水路に係る各部の形状や位置等は任意であり、本実施例のものに限定されない。
【0034】
図11、12において、符号の27は主流通孔2内に装着される略円筒状のスリーブ、28はスリーブ27の外周壁27aの後端から径方向外方に突出形成され、主流通孔2と略同径の環状のフランジ部、29aはスリーブ外周壁27aの前端からフランジ部28まで長手方向に延び径方向外方に突出形成された直線状のリブ部、30aは還元材吹込み口である。
【0035】
スリーブ27は主流通孔2の後端側Bから挿入され、フランジ部28が還元材流出孔23及び還元材パイプ突出部25よりも後端側に位置する溶接部31で内筒部3に溶接されて、リブ部29aが主流通孔2の内周壁2aと当接した状態でスリーブ27は主流通孔2に装着される。
そして、図8に示すように、スリーブ27の外周壁27aと内筒部3(主流通孔2の内周壁2a)間に、還元材流入孔23から還元材吹込み口30aへ続く還元材流路30が形成される。
【0036】
これにより、スリーブ27が装着された高炉用羽口21は、図8内の矢印に示すように、ブローパイプから流入した熱風を熱風吹込み口2c、主流通孔2、熱風吹込み口の流れで高炉内に吹き込むことができると共に、還元材送出パイプから流入した還元材を還元材流入孔22、還元材パイプ24、還元材吐出孔26、還元材流路30b、還元材流路30、還元材吹込み口30aの流れで高炉内に吹き込むことができる。
【0037】
本実施例において、還元材流入孔22及び還元材流出孔23は2つ、還元材パイプ24は2つ、1つの還元材パイプ突出部25に形成された還元材吐出孔26は1つ、リブ部29aは2つとし、対称位置にあるリブ部29aはスリーブ外周壁27aの前端からフランジ
部28まで延びる長さとしているが、還元材流入孔22や還元材パイプ24等の数、リブ部の数や長さ等は吹き込む還元材の量や流速によって適宜設計変更が可能であり、本実施例のものに限定されない。
【0038】
例えば、図13は還元材流入孔22及び還元材流出孔23は2つ、還元材パイプ24は2つ、1つの還元材パイプ突出部25に形成された還元材吐出孔26は3つ、リブ部29を8つとし、リブ部29のうち対称位置にあるリブ部29aをスリーブ外周壁27aの前端からフランジ部28まで延ばし、その他のリブ部29はスリーブ外周壁27aの前端から還元材流路30bまで延ばした例であり、各還元材流入孔22から流入した還元材は、還元材パイプ24を通り、図13内の矢印に示すように、3つの還元材吐出孔26から還元材流路30bを経由してリブ部29a及びリブ部29aによって仕切られた還元材流路30へ進入し、還元材吹込み口30aから高炉内へ吹き込まれる。
【実施例0039】
図14は高炉用羽口の断面図、図15は高炉用羽口の背面図、図16は高炉用羽口の正面図、図17(a)、(b)はスリーブの斜視図であって、符号の32は本発明に係る高炉用羽口、2は前端側Aに熱風吹出し口2b、後端側Bにブローパイプ(図示せず。)と接続された熱風吹込み口2cを備えた主流通孔、2aは主流通孔2の内周壁、3は高炉用羽口32を構成する内筒部、3aは内筒部3と一体に形成された分離壁部、4は高炉用羽口32を構成する外筒部である。
【0040】
符号の5は内筒部3内に形成され高炉用羽口1の胴体部を周回する冷却水路、6は分離壁3aにより仕切られながら内筒部3と外筒部4間に形成され、冷却水路5から続いて高炉用羽口1の胴体部を周回する冷却水路、7は内筒部3と外筒部4間に形成され、高炉用羽口1の先端付近を周回する冷却水路である。
【0041】
なお、内筒部3、分離壁3a、外筒部4等、冷却水路に係る各部の形状や位置等は任意であり、本実施例のものに限定されない。
【0042】
図17において、符号の33は主流通孔2内に装着される略円筒状のスリーブ、34はスリーブ33の外周壁33aの後端から径方向外方に突出形成され、主流通孔2の後端側と略同径である環状のフランジ部、35はフランジ部34に形成され還元材送出パイプ(図示せず。)と接続された還元材流入孔、36はスリーブ33の外周壁33aの前端から長手方向に延び径方向外方に突出形成された直線状のリブ部、38aは還元材吹込み口である。
符号の41はフランジ部34に形成され冷却水路5へ続く給水孔、42はフランジ部34に形成され冷却水路7へ続く給水孔、39はフランジ部34に形成され冷却水路5から続く排水孔、40はフランジ部34に形成され冷却水路7から続く排水孔、43は各給水孔及び排水孔に接続された冷却水パイプである。
【0043】
本実施例において、還元材流入孔35は2つ、リブ部36は8つとし、リブ部36はスリーブ外周壁33aの前端から還元材流路38bまで延びる長さとしているが、還元材流入孔35の数、リブ部36の数や長さ等は吹き込む還元材の量や流速によって適宜設計変更が可能であり、例えば、図5~7のように還元材流入孔35を6つとする、リブ部36を2つとする等、本実施例のものに限定されない。
【0044】
スリーブ33は主流通孔2の後端側Bから挿入され、後端側Bの主流通孔2と同径のフランジ部34が内筒部3と当接する溶接部37で溶接されて、リブ部36が主流通孔2の内周壁2aと当接した状態でスリーブ33は主流通孔2に装着される。
そして、図14に示すように、スリーブ外周壁33aと内筒部3(主流通孔2の内周壁2
a)間に、還元材流入孔35から還元材吹込み口38aへ続く還元材流路38が形成される。
【0045】
これにより、スリーブ33が装着された高炉用羽口32は、図14内の矢印に示すように、ブローパイプから流入した熱風を熱風吹込み口2c、主流通孔2、熱風吹出し口2bの流れで高炉内に吹き込むことができると共に、還元材送出パイプから流入した還元材を還元材流入孔35、還元材流路38b、還元材流路38、還元材吹込み口38aの流れで高炉内に吹き込むことができる。
【0046】
このように、本願発明によれば、従来の羽口にスリーブ33を後付けすることで、羽口に新たな貫通孔を形成したり、既存の冷却水路の構造に変更を加えることなく独立した二つ以上のの送風流路を設けることが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1 高炉用羽口
2 主流通孔
2a 主流通孔内周壁
2b 熱風吹出し口
2c 熱風吹込み口
3 内筒部
3a 分離壁
4 外筒部
5 冷却水路
6 冷却水路
7 冷却水路
8 排水口
9 排水口
10 給水口
11 給水口
12 スリーブ
12a スリーブ外周壁
13 フランジ部
14 還元材流入孔
15 リブ部
15a リブ部
16 溶接部
17 還元材流路
17a 還元材吹込み口
17b 還元材流路部
21 高炉用羽口
22 還元材流入孔
23 還元材流出孔
24 還元材パイプ
25 還元材パイプ突出部
26 還元材吐出孔
27 スリーブ
27a スリーブ外周壁
28 フランジ部
29 リブ部
29a リブ部
30 還元材流路
30a 還元材吹込み口
30b 還元材流路部
31 溶接部
32 高炉用羽口
33 スリーブ
34 フランジ部
35 還元材流入孔
36 リブ部
37 溶接部
38 還元材流路
38a 還元材吹込み口
38b 還元材流路
39 排水孔
40 排水孔
41 給水孔
42 給水孔
43 冷却水パイプ
A 前端側
B 後端側