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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110716
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】テープ結束装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 67/06 20060101AFI20240808BHJP
   B65B 51/08 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B65B67/06 B
B65B51/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015467
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004020
【氏名又は名称】ニチバン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 一也
(72)【発明者】
【氏名】田中 正志
(72)【発明者】
【氏名】松下 明嗣
(72)【発明者】
【氏名】川上 崇
【テーマコード(参考)】
3E057
3E094
【Fターム(参考)】
3E057AB03
3E057AD05
3E094AA12
3E094CA33
3E094DA05
3E094EA08
3E094FA14
3E094HA06
3E094HA08
(57)【要約】
【課題】結束品質を向上させることができ、かつ小型化、軽量化、及び最大誘引径の拡大が可能なテープ結束装置を提供する。
【解決手段】粘着テープ3の合せ部5の口元近傍を、下流側摺接面44の尖形の先端45と外歯車21の歯先26近傍との間で押圧するように構成したので、包装袋10の口元をしっかり締め付けて結束品質を向上させることができる。また、シーリングカム31を二つ折りのクリップ状に形成したので、シーリングカム31、延いてはテープ結束装置1を小型化することができる。また、シーリングカム31を付勢するための引張バネが不要となり、装置本体を軽量化することができる。さらに、粘着テープ3の切断端近傍を操作部53の先端54とピン59との間で押圧するようにしたので、包装袋10の可動域が確保され、最大誘引径を拡大することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールテープを保持するリールと、
被結束物が挿入される挿入口と被結束物が取り出される取出口とを有する誘導路と、
前記リールと前記誘導路との間の前記挿入口近傍に設けられ、前記リールから離隔した側の歯溝が前記挿入口から挿入された被結束物を受け入れ、前記歯溝によって受け入れられた被結束物が前記誘導路を下流へ向かって移動するに伴い回転する外歯車と、
前記誘導路を挟んで前記外歯車の反対側に設けられ、前記歯溝によって受け入れた被結束物に前記ロールテープから引き出された粘着テープを前記外歯車と協働してループ状に一巻してその両端を合掌貼りするシーリングカムと、
前記誘導路に沿って前記外歯車の下流側に設けられ、前記誘導路を通過する被結束物によって操作部が押し下げられることにより、作動部に取り付けられた切断刃が被結束物に巻き付けられた粘着テープを切断するカッター枠と、
前記操作アームが前記誘導路を横切る状態に前記カッター枠を付勢する付勢部材と、
を備え、
前記シーリングカムは、前記外歯車の歯先面に摺接される湾曲した摺接面を有し、
前記摺接面は、上流側摺接面と、該上流側摺接面に対して偏心した下流側摺接面とから構成され、
前記下流側摺接面は、尖形の先端が前記外歯車の歯面の歯先近傍に当接可能であることを特徴とするテープ結束装置。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ結束装置であって、
前記シーリングカムは、二つ折りのクリップ状に形成された弾性体であり、前記摺接面が形成されて前記誘導路に沿うように下流へ向かって延びるカム部と、該カム部が前記誘導路を下流へ向かって移動する被結束物によって押し込まれることで反発力を発生する弾性変形可能な部分とを有することを特徴とするテープ結束装置。
【請求項3】
請求項2に記載のテープ結束装置であって、
前記シーリングカムは、カム機能を有する前記カム部と、反発力を発生する前記弾性変形可能な部分とが一体に成形されることを特徴とするテープ結束装置。
【請求項4】
請求項1に記載のテープ結束装置であって、
前記誘導路が形成される一対の側板と、該一対の側板間に設けられるスペーサとを備え、
前記操作アームは、先端が前記スペーサに当接することで前記誘導路を横切る状態に位置決めされ、
前記被結束物が前記取出口まで移動する過程で、前記被結束物に巻き付けられた粘着テープの切断端近傍が前記操作部の先端と前記スペーサとの間で押圧されることを特徴とするテープ結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールテープから引き出された粘着テープを被結束物に一巻して結束させるテープ結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、外周面に複数の凹所6aが等管間隔に形成されたスターホイール6(外歯車)と、該スターホイール6の外周面に当接する押え部材17(シーリングカム)とが協働して、被シール体3(被結束物)に一巻した粘着テープ1を合掌合せ状に貼着するように構成された結束シール装置(以下「従来のテープ結束装置」と称する)が開示されている。従来のテープ結束装置では、押え部材17の一方の腕部17cの表面がスターホイール6の外周面に合わせて円弧状(一定の曲率半径)に形成されており、該腕部17cの下流側の先端がテープカッター7(カッター枠)の刃部(切断刃)と交差するうように延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3942054号公報
【特許文献2】実用新案登録第3210506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のテープ結束装置を用いて包装袋(被結束物)の口元を結束させる場合、結束品質の評価指標の一つとして、包装袋の口元にループ状に巻き付けられた粘着テープの内側に形成される隙間(以下「結束隙間」と称する)が計測される。当該結束品質は、結束隙間が小さい程高くなる。しかし、従来のテープ結束装置では、包装袋の口元にループ状に巻き付けられた粘着テープの合せ部(粘着面同士が貼り合わされた部分)は、シーリングカムによって誘導路の下流へ向かって案内されるだけであるため、結束隙間を小さくする、換言すれば、包装袋の口元をしっかり締め付けて結束品質を向上させるのが困難であった。
【0005】
また、従来のテープ結束装置は、各部品が単一機能で配置されているので、部品点数が多くかつ配置のためのスペースを要していた。このため、装置本体が大型化かつ重量化し、手持ち用途では使用し難かった。さらに、従来のテープ結束装置では、特許文献2に記載の結束シール装置における押圧部材1及び弾性部材3に相当する部品(特許文献1では「補助作動体19及び引張りばね19c」)が配置されるため、誘導路内における誘引物(被結束物)の可動範囲が制限され、最大誘引径(誘引可能な被結束物の最大径)が小さくなっていた。
本発明は、結束品質を向上させることができ、かつ小型化、軽量化、及び最大誘引径の拡大が可能なテープ結束装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープ結束装置は、ロールテープを保持するリールと、被結束物が挿入される挿入口と被結束物が取り出される取出口とを有する誘導路と、前記リールと前記誘導路との間の前記挿入口近傍に設けられ、前記リールから離隔した側の歯溝が前記挿入口から挿入された被結束物を受け入れ、前記歯溝によって受け入れられた被結束物が前記誘導路を下流へ向かって移動するに伴い回転する外歯車と、前記誘導路を挟んで前記外歯車の反対側に設けられ、前記歯溝によって受け入れた被結束物に前記ロールテープから引き出された粘着テープを前記外歯車と協働してループ状に一巻してその両端を合掌貼りするシーリングカムと、前記誘導路に沿って前記外歯車の下流側に設けられ、前記誘導路を通過する被結束物によって操作部が押し下げられることにより、作動部に取り付けられた切断刃が被結束物に巻き付けられた粘着テープを切断するカッター枠と、前記操作アームが前記誘導路を横切る状態に前記カッター枠を付勢する付勢部材と、を備え、前記シーリングカムは、前記外歯車の歯先面に摺接される湾曲した摺接面を有し、前記摺接面は、上流側摺接面と、該上流側摺接面に対して偏心した下流側摺接面とから構成され、前記下流側摺接面は、尖形の先端が前記外歯車の歯面の歯先近傍に当接可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、結束品質を向上させることができ、かつ小型化、軽量化、及び最大誘引径の拡大が可能なテープ結束装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るテープ結束装置の正面図である。
図2】本実施形態の説明図であって、正面側の側板が取り外されたテープ結束装置の正面図である。
図3】本実施形態の説明図であって、シーリングカムの正面図である。
図4】本実施形態の動作説明図であって、包装袋が誘導路の挿入口に挿入された状態を示す。
図5】本実施形態の動作説明図であって、包装袋が外歯車の歯に当接した状態を示す。
図6】本実施形態の動作説明図であって、包装袋によってシーリングカムのカム部が押し込まれた状態を示す。
図7】本実施形態の動作説明図であって、包装袋の口元に巻き付けられた粘着テープの合せ部の口元近傍をシーリングカムの尖形の先端と外歯車の歯面との間で押圧した状態を示す。
図8】本実施形態の動作説明図であって、粘着テープが切断刃によって切断された後、包装袋が誘導路の取出口まで到達した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るテープ結束装置1の正面図である。便宜上、図1における紙面手前側を「前側」及び紙面奥側を「後側」と称し、図1における上下方向及び左右方向をそのまま上下方向及び左右方向と称するが、テープ結束装置1の向きを限定するものではない。なお、図2は、前側の側板11が取り外された状態を示す当該テープ結束装置1の正面図である。
【0010】
図1に示されるように、テープ結束装置1は、前後方向に間隔をあけて対向する略長方形の一対の側板11,12を有する。後側の側板12の左上部には、ロールテープ2(図4参照)を回転可能に保持するリール15が設けられる。前側の側板11には、リール15にロールテープ2を着脱するための切欠き13が形成される。一対の側板11,12には、誘導路17が形成される。誘導路17は、被結束物としての包装袋10(図4参照)が挿入される挿入口18と、口元が粘着テープ3(図4参照)によって結束された包装袋10が取り出される取出口19とを有する。便宜上、誘導路17における挿入口18側を「上流側」及び取出口19側を「下流側」と称する。
【0011】
図2に示されるように、一対の側板11,12間には、リール15と誘導路17との間の挿入口18近傍に設けられる外歯車21と、誘導路17を挟んで外歯車21の反対側(図2における「右側」)に設けられるシーリングカム31と、誘導路17に沿って外歯車21の下流側に設けられるカッター枠51とが設けられる。外歯車21は、材料に合成樹脂(本実施形態では「POM樹脂」)が適用され、側板11,12に垂直な軸22によって回転可能に支持される。外歯車21は、右側(リール15から離隔した側)の歯23が誘導路17内に突出し、挿入口18から誘導路17へ導入された包装袋10を挿入口18に臨む歯溝24によって受け入れる。外歯車21は、歯溝24によって受け入れた包装袋10が誘導路17を下流へ向かって移動することで回転する。
【0012】
シーリングカム31は、外歯車21の歯溝24によって受け入れた包装袋10にロールテープ2から引き出された粘着テープ3を外歯車21と協働してループ状に一巻してその両端を合掌貼りするように機能する。シーリングカム31は、材料に弾性材料(本実施形態では「POM樹脂」)が適用され、二つ折りのクリップ状(トング形)に形成される。シーリングカム31は、側板11,12に垂直な軸32に回転可能に嵌合される円筒部33と、該円筒部33の右側(外歯車21から離間した側)の端部から下方向へ向かって延びる板バネ部35(弾性変形可能な部分)とを有する。板バネ部35は、円弧状に形成された下端部36が側板11,12間に設けられたピン37(スペーサ)に係合されることにより、図2における軸32を中心とする反時計回り方向への回転が規制される。
【0013】
シーリングカム31は、円筒部33及び板バネ部35と一体に成形され、カム機能を有するカム部41を有する。該カム部41は、円筒部33の左側(外歯車21に近接した側)の端部から誘導路17に沿うように下流へ向かって延びる。カム部41の左側の側面には、誘導路17に臨む湾曲した摺接面42が形成され、外歯車21の歯先面27が粘着テープ3を介して摺接される。摺接面42は、上流側摺接面43と、該上流側摺接面43に対して偏心した下流側摺接面44とから構成される。本実施形態では、図3に示されるように、上流側摺接面43は、外歯車21の歯先円(図示省略)の半径Rと同一の曲率半径Rを有する円弧状の曲面によって形成される。
【0014】
他方、下流側摺接面44は、上流側摺接面43と同一の曲率半径Rを有する円弧状の曲面よって形成される。本実施形態では、下流側摺接面44の曲率半径Rの中心C2は、上流側摺接面43の曲率半径Rの中心C1よりも上側に配置される。これにより、下流側摺接面44は、図7に示されるように、上流側摺接面43に(粘着テープ3を介して)外歯車21の歯先面27が接した状態、換言すれば、上流側摺接面43を外歯車21の歯先円に一致させた状態で、当該歯先円の内側に入り込む。
【0015】
便宜上、図5において歯先面27が上流側摺接面43に対向している水平な歯23を「歯23A」、該歯23Aに隣接する2つの歯23のうち、誘導路17の下流側の歯23を「歯23B」と称する。そうすると、本実施形態では、図5に示される外歯車21の歯23Aの歯先面27(図2参照)が上流側摺接面43に対向した状態で、下流側摺接面44の下端、換言すれば、カム部41の尖形の先端45は、誘導路17に臨む(誘導路17内に突出する)歯23Bの歯先面27(図2参照)に当接する。
【0016】
なお、図3に示されるように、カム部41の左側の側面の上端部には、誘導路17の挿入口18に挿入された包装袋10を案内する曲面46が形成される。当該曲面46は、側板11,12によって覆われた円筒部33の外周面34の左端から上流側摺接面43の上端まで延び、上流側摺接面43に滑らかに接続される。
【0017】
図2に示されるように、カッター枠51は、材料に合成樹脂(本実施形態では「POM樹脂」)が適用され、側板11,12に垂直な軸52によって回転可能に支持される。カッター枠51は、右側(誘導路17側)が開いたブーメラン形に形成される。カッター枠51は、誘導路17を下流へ向かって移動する包装袋10によって押し下げられて軸52を中心に図2における時計回り方向へ回動する操作部53と、該操作部53が押し下げられることで軸52を中心に図2における時計回り方向へ回動し、外側面56に装着された切断刃57が包装袋10の口元に巻き付けられた粘着テープ3を切断する作動部55とを有する。
【0018】
また、側板11,12間には、カッター枠51を図2における反時計回り方向へ付勢する引張バネ58が設けられる。カッター枠51は、操作部53の先端54が側板11,12間に設けられたピン59(スペーサ)に当接されることにより、操作部53が誘導路17を横切る状態に位置決めされる。なお、図1に示されるように、前側の側板11には、装置本体(テープ結束装置1)を手に持って操作するとき、指を掛けるための把手14が設けられる。
【0019】
次に、図4乃至図8を参照してテープ結束装置1の作用を説明する。
図4に示されるように、包装袋10(被結束物)の口元をテープ結束装置1の誘導路17の挿入口18に挿入すると、包装袋10は、まず、誘導路17を横断するように張られた粘着テープ3の粘着面に当接する。なお、ロールテープ2から引き出された粘着テープ3は、非粘着面が側板11,12間に設けられたピン4(スペーサ)及び外歯車21の歯先面27に掛けられ、先端側の粘着面がシーリングカム31のカム部41の摺接面42に貼着される。
【0020】
図4に示される状態から、包装袋10を粘着テープ3とともに押し込む(誘導路17の下流へ向かって移動させる)と、図5に示されるように、包装袋10は、粘着テープ3を介して外歯車21の歯23Aに当接する。図5に示される状態から、包装袋10をさらに押し込むと、これに伴い、外歯車21が図5における時計回り方向へ回転する。並行して、シーリングカム31は、カム部41が包装袋10によって図5における右側へ押し込まれ、図6に示されるように、軸32を中心に図6における反時計回り方向へ回動する。
【0021】
これにより、板バネ部35(弾性変形可能な部分)が弾性変形して湾曲し、カム部41を軸32を中心に図6における時計回り方向へ付勢する力、即ち板バネ部35の反発力によるカム部41を押し戻そうとする力が発生する。なお、当該板バネ部35の反発力(バネ力)によって発生するカム部41の付勢力は、テープ結束装置1の操作力に関連する力である。換言すれば、板バネ部35の板厚を調節することにより、テープ結束装置1の操作力を調節することができる。
【0022】
図7は、図6に示される状態から包装袋10をさらに下流へ向かって移動させ、包装袋10がシーリングカム31のカム部41の先端45を通過した直後の状態を示す。図7に示されるように、包装袋10がカム部41の先端45を通過すると、カム部41は、板バネ部35の付勢力によって図6に示される状態から軸32を中心に図6における時計回り方向へ回動する。これにより、カム部41の尖形の先端45が、包装袋10の口元にループ状に巻き付けられた粘着テープ3の合せ部5(図8参照)の口元近傍に突入する。このとき、カム部41の先端45は、外歯車21の歯面25の歯23の歯先26(図2参照)近傍によって受けられる。
【0023】
そして、図7に示される状態から図8に示される包装袋10が誘導路17の案内によって取出口19まで移動する過程で、カッター枠51の操作部53が押し下げられてカッター枠51が軸52を中心に図8における時計回り方向へ回動する。これにより、包装袋10と外歯車21との間に張られた粘着テープ3(図示省略)が作動部55に装着された切断刃57によって切断される。なお、カッター枠51の切断動作は、従来のテープ結束装置と同一である。
【0024】
そして、包装袋10が誘導路17の取出口19に到達すると、引張バネ58の付勢力によってカッター枠51が軸52を中心に図8における反時計回り方向へ回動し、操作部53の先端54がピン59に当接する。これにより、包装袋10に巻き付けられた粘着テープ3の先端(切断端近傍)が操作部53の先端54とピン59との間で押圧される。他方、ロールテープ2から引き出された粘着テープ3の先端部はシーリングカム31のカム部41の摺接面42に貼着されているので、前述した結束作業を連続して行うことが可能である。
【0025】
本実施形態では以下の効果を奏する。
ここで、従来のテープ結束装置では、包装袋の口元にループ状に巻き付けられた粘着テープの合せ部は、シーリングカムによって誘導路の下流へ向かって案内されるだけであるため、包装袋の口元にループ状に巻き付けられた粘着テープの内側に形成された結束隙間を小さくする、換言すれば、包装袋の口元をしっかり締め付けることが困難であった。
【0026】
これに対し、本実施形態では、シーリングカム31のカム部41に形成された摺接面42を、上流側摺接面43と該上流側摺接面43に対して偏心させた下流側摺接面44とにより構成し、包装袋10の口元にループ状に巻き付けられた粘着テープ3の合せ部5の口元近傍を、下流側摺接面44の下端に形成された尖形の先端45と外歯車21の歯23の歯面25の歯先26近傍との間で押圧する(挟み込む)ようにした。
本実施形態によれば、包装袋10の口元にループ状に巻き付けられた粘着テープ3の内側に形成された結束隙間を小さくすることが可能であり、包装袋10の口元をしっかり締め付けることができる。その結果、結束品質を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、包装袋10に巻き付けられた粘着テープ3の先端(切断端近傍)を操作部53の先端54とピン59との間で押圧するようにしたので、粘着テープ3の合せ部5の十分な圧着が可能であり、合掌貼り部分の長さと剥がれ難さとを確保することができる。本実施形態によれば、従来のテープ結束装置では、特許文献2に記載の結束シール装置における押圧部材1及び弾性部材3に相当する部品(特許文献1では「補助作動体19及び引張りばね19c」)が不要となり、包装袋10(被結束物)の可動域を確保することができ、その結果、従来のテープ結束装置に対して最大誘引径を拡大することができる。
【0027】
また、従来のテープ結束装置では、シーリングカム(押え部材)を引張バネによって付勢するため、押え部材がブーメラン形に形成されており、一対の側板、延いてはテープ結束装置が大型化する原因になっていた。
【0028】
これに対し、本実施形態では、シーリングカム31を二つ折りのクリップ状に形成したので、従来のブーメラン形のシーリングカムに対してシーリングカム31を小型化、延いてはテープ結束装置1を小型化することができる。また、本実施形態では、包装袋10(被結束物)によってシーリングカム31のカム部41が押し込まれたとき、当該カム部41と一体に成形された板バネ部35(弾性変形可能な部分)の反発力によってカム部41を押し戻すように構成したので、シーリングカム31を付勢するための引張バネが不要となり、従来のテープ結束装置に対して部品点数が削減される。これにより、装置本体を従来のテープ結束装置に対して約1/4に軽量化することができる。
【0029】
このように、本実施形態では、テープ結束装置1を小型化かつ軽量化することで、装置本体を手に持った状態で容易に操作することが可能となる。なお、本実施形態では、右利き用に把手14を前側の側板11に取り付けたが、左利き用に把手14を後側の側板12に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 テープ結束装置、2 ロールテープ、3 粘着テープ、10 包装袋(被結束物)、15 リール、17 誘導路、18 挿入口、19 取出口、21 外歯車、24 歯溝、25 歯面、26 歯先、27 歯先面、31 シーリングカム、42 摺接面、43 上流側摺接面、44 下流側摺接面、45 先端、51 カッター枠、53 操作部、55 作動部、57 切断刃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8