(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110725
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】糸巻取システム
(51)【国際特許分類】
B65H 63/00 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
B65H63/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015487
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】牟田 勝文
(72)【発明者】
【氏名】前浪 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】岡島 一帆
(72)【発明者】
【氏名】村井 真帆
【テーマコード(参考)】
3F115
【Fターム(参考)】
3F115BA03
3F115CA10
3F115CB13
3F115CC03
3F115CC08
3F115CC23
3F115CG10
(57)【要約】
【課題】パッケージの異常判定の精度の向上を図れる糸巻取システムを提供する。
【解決手段】自動ワインダ1は、複数のワインダユニット3と、玉揚装置7と、複数のワインダユニット3及び玉揚装置7の動作を制御する制御部と、を備える。玉揚装置7は、パッケージPの回転軸Aに直交するパッケージPの第一面S1及び第二面S2の少なくとも一方を撮像する撮像装置を有する。制御部は、パッケージPの回転速度が第一速度よりも低速である第二速度のときに、玉揚装置7の撮像装置にパッケージPの第一面S1及び第二面S2の少なくとも一方を撮像させ、撮像装置によって撮像された撮像結果に基づいて、パッケージPの異常の有無を判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージを形成する巻取ユニットを複数有する繊維機械と、
複数の前記巻取ユニットが並べられた方向に沿って走行可能に設けられた走行台車と、
前記巻取ユニット及び前記走行台車の動作を制御する制御部と、を備え、
複数の前記巻取ユニットのそれぞれは、糸を供給可能な給糸部と、前記パッケージを第一速度で巻取方向に回転させることによって前記パッケージに前記給糸部から供給された糸を巻き取る巻取部と、を有し、
前記走行台車は、前記パッケージの回転軸に直交する前記パッケージの第一面及び第二面の少なくとも一方を撮像する撮像装置を有し、
前記制御部は、
前記パッケージの回転速度が前記第一速度よりも低速である第二速度のときに、前記走行台車の前記撮像装置に前記パッケージの前記第一面及び前記第二面の少なくとも一方を撮像させ、
前記撮像装置によって撮像された撮像結果に基づいて、前記パッケージの異常の有無を判定する、糸巻取システム。
【請求項2】
前記第二速度は、前記パッケージを前記巻取方向とは反対の解舒方向に回転させるときの速度、前記パッケージの回転を停止させる場合において前記パッケージの回転を減速させるときの速度、及び、前記パッケージの回転開始から前記第一速度まで前記パッケージの回転を加速させるときの速度の少なくとも一つである、請求項1に記載の糸巻取システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記パッケージに異常があると判定した場合、当該パッケージを形成する前記巻取ユニットを異常停止させる、請求項1又は2に記載の糸巻取システム。
【請求項4】
前記制御部は、異常停止した前記巻取ユニットに対して、前記巻取部における前記糸の巻き取りを指示する入力を受け付けた場合には、前記巻取部における前記糸の巻き取りを再開させる、請求項3に記載の糸巻取システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記撮像結果に基づいて前記パッケージの異常の種類を特定し、
前記パッケージの異常の種類に応じて、異常発生の報知、前記巻取ユニットの異常停止、及び、前記巻取部による前記糸の巻き取りの継続の少なくとも一つを実行させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の糸巻取システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記パッケージに異常があると判定した場合において、当該異常の種類が所定の種類である場合には、前記巻取部において前記糸の巻き取りを継続させる、請求項5に記載の糸巻取システム。
【請求項7】
前記制御部は、異常停止した前記巻取ユニットに対して、異常があると判定した前記パッケージの異常の種類を前記所定の種類として設定する入力を受け付けた場合には、前記所定の種類の異常として設定する、請求項6に記載の糸巻取システム。
【請求項8】
前記巻取ユニットは、前記パッケージに巻き取られる前記糸を監視する糸監視装置と、前記給糸部側の前記糸と前記パッケージ側の前記糸とを糸継ぎする糸継装置と、を有し、
前記制御部は、前記糸監視装置の監視結果に基づいて前記糸を切断させ、前記糸の切断後の前記糸継装置における糸継ぎの過程において、前記パッケージを前記第二速度で回転させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の糸巻取システム。
【請求項9】
前記給糸部は、給糸ボビンから前記糸を解舒して引き出すことによって前記糸を供給し、
前記巻取ユニットは、前記給糸ボビンにおける前記糸の貯留量を検出する検出部と、前記給糸部側の前記糸と前記パッケージ側の前記糸とを糸継ぎする糸継装置と、を有し、
前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて前記巻取ユニットにおける前記給糸ボビンを交換させ、前記給糸ボビンの交換後の前記糸継装置における糸継ぎの過程において、前記パッケージを前記第二速度で回転させる、請求項1~8のいずれか一項に記載の糸巻取システム。
【請求項10】
前記走行台車は、前記巻取ユニットから前記パッケージを玉揚げする玉揚装置であり、
前記制御部は、前記玉揚装置における少なくとも玉揚げ作業の過程において、前記パッケージの前記第一面及び前記第二面の少なくとも一方を撮像させる、請求項1~9のいずれか一項に記載の糸巻取システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記パッケージに異常があると判定した場合、前記玉揚装置に当該パッケージを玉揚げさせる、請求項10に記載の糸巻取システム。
【請求項12】
前記撮像装置は、前記玉揚装置が前記パッケージの玉揚げを行う位置において前記パッケージの前記第一面及び前記第二面の少なくとも一方の一部を撮像する位置に設けられており、
前記制御部は、前記撮像装置によって撮像された複数の前記撮像結果に基づいて、前記パッケージの異常の有無を判定する、請求項10又は11に記載の糸巻取システム。
【請求項13】
前記撮像装置は、前記パッケージの前記第一面を撮像する第一撮像装置と、前記パッケージの前記第二面を撮像する第二撮像装置と、を有する、請求項10~12のいずれか一項に記載の糸巻取システム。
【請求項14】
複数の前記巻取ユニットのそれぞれが有する前記巻取部は、複数の前記巻取ユニットが並べられた方向における一方側に設けられ、前記玉揚装置によって操作されることによって前記パッケージの保持を解除するクレードルアームを有し、
前記第二撮像装置は、複数の前記巻取ユニットが並べられた方向における前記一方側に設けられており、
前記第一撮像装置は、複数の前記巻取ユニットが並べられた方向における他方側に設けられており、前記玉揚装置によって前記パッケージの玉揚げが行われる位置における前記パッケージに対して、当該方向において前記第二撮像装置よりも内側に配置されている、請求項13に記載の糸巻取システム。
【請求項15】
前記制御部は、
複数の前記巻取ユニットが並べられた方向において、一方側の前記巻取ユニットから順に、前記撮像装置に前記パッケージを撮像させ、
撮像対象となる前記巻取ユニットの近傍に前記走行台車を待機させる、請求項1~14のいずれか一項に記載の糸巻取システム。
【請求項16】
前記制御部は、
複数の前記巻取ユニットが並べられた方向において、一方側の前記巻取ユニットから順に高い優先度を設定し、
優先度の最も高い前記巻取ユニットの近傍に前記走行台車を待機させ、
前記パッケージの撮像が行われた前記巻取ユニットの優先度を最も低い優先度よりも下げる、請求項1~14のいずれか一項に記載の糸巻取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸巻取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、多数並置された巻取ユニットに沿って移動する玉揚台車に、巻取途中のパッケージの側面(エッジを含む)の形状を監視するCCDカメラを搭載すると共に、欠陥があればその場で当該巻取ユニットを停止させる欠陥検知手段を設けた玉揚台車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記玉揚台車では、巻取途中のパッケージの側面をCCDカメラで監視している。パッケージは高速で巻き取られているため、巻取途中のパッケージの側面をカメラで監視した場合、側面の状態を正確に取得できないおそれがある。また、特許文献1におけるパッケージの側面を監視した場合、パッケージの側面では異常が把握されない場合でも、パッケージの側面の他の面では異常が生じている場合がある。このため、パッケージの異常判定の精度が低下し得る。
【0005】
本発明の一側面は、パッケージの異常判定の精度の向上を図れる糸巻取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る糸巻取システムは、パッケージを形成する巻取ユニットを複数有する繊維機械と、複数の巻取ユニットが並べられた方向に沿って走行可能に設けられた走行台車と、巻取ユニット及び走行台車の動作を制御する制御部と、を備え、複数の巻取ユニットのそれぞれは、糸を供給可能な給糸部と、パッケージを第一速度で巻取方向に回転させることによってパッケージに給糸部から供給された糸を巻き取る巻取部と、を有し、走行台車は、パッケージの回転軸に直交するパッケージの第一面及び第二面の少なくとも一方を撮像する撮像装置を有し、制御部は、パッケージの回転速度が第一速度よりも低速である第二速度のときに、走行台車の撮像装置にパッケージの第一面及び第二面の少なくとも一方を撮像させ、撮像装置によって撮像された撮像結果に基づいて、パッケージの異常の有無を判定する。
【0007】
本発明の一側面に係る糸巻取システムでは、制御部は、パッケージの回転速度が第一速度よりも低速である第二速度のときに、走行台車の撮像装置にパッケージの第一面及び第二面の少なくとも一方を撮像させる。そのため、糸巻取システムでは、第一速度でパッケージが回転しているときに第一面及び/又は第二面を撮像する場合に比べて、第一面及び/又は第二面の状態が表れた撮像結果を得ることができる。したがって、糸巻取システムでは、パッケージの第一面及び/又は第二面の状態を正確に取得することができる。そのため、糸巻取システムでは、パッケージの異常判定の精度の向上を図れる。
【0008】
一実施形態においては、第二速度は、パッケージを巻取方向とは反対の解舒方向に回転させるときの速度、パッケージの回転を停止させる場合においてパッケージの回転を減速させるときの速度、及び、パッケージの回転開始から第一速度までパッケージの回転を加速させるときの速度の少なくとも一つであってもよい。この構成では、パッケージの形成過程において、少なくとも一回は、パッケージの第一面及び/又は第二面を撮像することができる。
【0009】
一実施形態においては、制御部は、パッケージに異常があると判定した場合、当該パッケージを形成する巻取ユニットを異常停止させてもよい。この構成では、異常が発生したパッケージに、糸が無駄に巻き取られることを回避できる。
【0010】
一実施形態においては、制御部は、異常停止した巻取ユニットに対して、巻取部における糸の巻き取りを指示する入力を受け付けた場合には、巻取部における糸の巻き取りを再開させてもよい。この構成では、オペレータがパッケージを確認し異常を取り除いた後に糸の巻き取りを再開させることができるため、生産効率の低下を防止できる。
【0011】
一実施形態においては、制御部は、撮像結果に基づいてパッケージの異常の種類を特定し、パッケージの異常の種類に応じて、異常発生の報知、巻取ユニットの異常停止、及び、巻取部による糸の巻き取りの継続の少なくとも一つを実行させてもよい。パッケージの異常の種類によっては、パッケージの品質等に影響を及ぼさないものもある。そのため、パッケージの異常の種類に応じた動作を実行させることにより、品質基準に応じた制御が可能となる。
【0012】
一実施形態においては、制御部は、パッケージに異常があると判定した場合において、当該異常の種類が所定の種類である場合には、巻取部において糸の巻き取りを継続させてもよい。この構成では、パッケージに異常が発生した場合であっても、パッケージにおける糸の巻き取り停止させることがないため、生産効率の低下を抑制できる。
【0013】
一実施形態においては、制御部は、異常停止した巻取ユニットに対して、異常があると判定したパッケージの異常の種類を所定の種類として設定する入力を受け付けた場合には、所定の種類の異常として設定してもよい。この構成では、巻取部による糸の巻き取りが停止されたパッケージをオペレータが確認し、パッケージの異常が品質基準を満たしていると判断して、当該異常を所定の異常として設定する入力をした場合には、それ以後、当該異常と判定されたパッケージの形成が継続される。したがって、生産効率の低下を抑制できる。
【0014】
一実施形態においては、巻取ユニットは、パッケージに巻き取られる糸を監視する糸監視装置と、給糸部側の糸とパッケージ側の糸とを糸継ぎする糸継装置と、を有し、制御部は、糸監視装置の監視結果に基づいて糸を切断させ、糸の切断後の糸継装置における糸継ぎの過程において、パッケージを第二速度で回転させてもよい。パッケージの形成過程において、糸欠陥に起因する糸の切断が複数回発生し得る。糸の切断後の糸継装置における糸継ぎの過程では、パッケージを第二速度で解舒方向に回転させる。そのため、パッケージの形成過程において、撮像装置によるパッケージの撮像の機会を少なくとも一度は確保することができる。
【0015】
一実施形態においては、給糸部は、給糸ボビンから糸を解舒して引き出すことによって糸を供給し、巻取ユニットは、給糸ボビンにおける糸の貯留量を検出する検出部と、給糸部側の糸とパッケージ側の糸とを糸継ぎする糸継装置と、を有し、制御部は、検出部の検出結果に基づいて巻取ユニットにおける給糸ボビンを交換させ、給糸ボビンの交換後の糸継装置における糸継ぎの過程において、パッケージを第二速度で回転させてもよい。パッケージの形成過程において、給糸ボビンの交換に起因する糸継ぎが複数回発生し得る。継装置における糸継ぎの過程では、パッケージを第二速度で解舒方向に回転させる。そのため、パッケージの形成過程において、撮像装置によるパッケージの撮像の機会を少なくとも一度は確保することができる。
【0016】
一実施形態においては、走行台車は、巻取ユニットからパッケージを玉揚げする玉揚装置であり、制御部は、玉揚装置における少なくとも玉揚げ作業の過程において、パッケージの第一面及び第二面の少なくとも一方を撮像させてもよい。玉揚装置による玉揚げ作業の過程においては、パッケージの回転を停止させるときに、回転速度が第二速度となる。そのため、玉揚げ作業の過程において撮像を指示することにより、撮像装置によるパッケージの撮像の機会を少なくとも一度は確保することができる。
【0017】
一実施形態においては、制御部は、パッケージに異常があると判定した場合、玉揚装置に当該パッケージを玉揚げさせてもよい。この構成では、異常があると判定されたパッケージに糸が巻き取られない。そのため、異常があるパッケージに糸が無駄に巻き取られることを回避できる。
【0018】
一実施形態においては、撮像装置は、玉揚装置がパッケージの玉揚げを行う位置においてパッケージの第一面及び第二面の少なくとも一方の一部を撮像する位置に設けられており、制御部は、撮像装置によって撮像された複数の撮像結果に基づいて、パッケージの異常の有無を判定してもよい。この構成では、撮像装置の画角において死角となる領域がある場合であっても、複数の撮像結果を用いることによって、パッケージの第一面及び/又は第二面の全面に対して異常の判定を行うことができる。
【0019】
一実施形態においては、撮像装置は、パッケージの第一面を撮像する第一撮像装置と、パッケージの第二面を撮像する第二撮像装置と、を有してもよい。この構成では、パッケージの第一面及び第二面を同じタイミングで(同時に)撮像することができる。したがって、撮像に係る時間の短縮を図ることができる。
【0020】
一実施形態においては、複数の巻取ユニットのそれぞれが有する巻取部は、複数の巻取ユニットが並べられた方向における一方側に設けられ、玉揚装置によって操作されることによってパッケージの保持を解除するクレードルアームを有し、第二撮像装置は、複数の巻取ユニットが並べられた方向における一方側に設けられており、第一撮像装置は、複数の巻取ユニットが並べられた方向における他方側に設けられており、玉揚装置によってパッケージの玉揚げが行われる位置におけるパッケージに対して、当該方向において第二撮像装置よりも内側に配置されていてもよい。複数の巻取ユニットの配置の間隔によっては、一の巻取ユニットのパッケージの撮像を行う際に、当該一の巻取ユニットに隣接する巻取ユニットのクレードルアームが第一撮像装置の画角に入り込み、撮像対象のパッケージの端面の一部がクレードルアームによって遮られて撮像できない場合がある。そこで、第一撮像装置を第二撮像装置よりも内側に配置することによって、第一撮像装置の画角にクレードルアームが入り込むことを回避できる。
【0021】
一実施形態においては、制御部は、複数の巻取ユニットが並べられた方向において、一方側の巻取ユニットから順に、撮像装置にパッケージを撮像させ、撮像対象となる巻取ユニットの近傍に走行台車を待機させてもよい。この構成では、各巻取ユニットにおいて、パッケージの異常の有無を判定できる。また、撮像対象となる巻取ユニットの近傍に走行台車を待機させるため、走行台車の移動時間を短縮でき、効率的な動作が可能となる。
【0022】
一実施形態においては、制御部は、複数の巻取ユニットが並べられた方向において、一方側の巻取ユニットから順に高い優先度を設定し、優先度の最も高い巻取ユニットの近傍に走行台車を待機させ、パッケージの撮像が行われた巻取ユニットの優先度を最も低い優先度よりも下げてもよい。この構成では、巻取ユニットの状況(稼動状態等)に応じて優先度を設定することによって、効率的なパッケージの撮像が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一側面によれば、パッケージの異常判定の精度の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】
図3は、ワインダユニットの構成を示す図である。
【
図5】
図5(a)は、玉揚装置を示す正面図であり、
図5(b)は、玉揚装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0026】
図1に示されるように、自動ワインダ(糸巻取システム)1は、並べて配置された複数のワインダユニット(巻取ユニット)3と、エンドフレーム5と、玉揚装置(走行台車)7と、を備える。複数のワインダユニット3は、繊維機械を構成している。複数のワインダユニット3は、自動ワインダ1の長手方向に一列に並べられている(配列されている)。各ワインダユニット3は、給糸ボビンSBから糸Yを解舒しつつ、糸Yを綾振りしながら巻取ボビンWBに巻き取ることにより、パッケージPを形成する。
【0027】
エンドフレーム5は、複数のワインダユニット3が並べられた方向(以下、「並置方向」と称する。)の一方の端部に配置されている。エンドフレーム5には、機台制御装置(制御部)50と、表示画面52と、入力部54と、が設けられている。機台制御装置50は、自動ワインダ1の各部を集中的に管理及び制御する。表示画面52は、ワインダユニット3の設定内容及び状態に関する情報等を表示することができる。オペレータが入力部54を用いて適宜の操作を行うことにより、ワインダユニット3の設定作業を行うことができる。機台制御装置50は、複数のワインダユニット3のそれぞれ及び玉揚装置7と、例えばCAN(Controller Area Network)によって通信可能である。つまり、複数のワインダユニット3のそれぞれと玉揚装置7とは、機台制御装置50を介して通信をすることができる。
【0028】
玉揚装置7は、各ワインダユニット3においてパッケージPが満巻(規定量の糸が巻き取られた状態)となった際に、当該ワインダユニット3の位置まで走行し、満巻パッケージを取り外す(払い出す)と共に、空の巻取ボビンWBをセットする。
【0029】
図2及び
図3に示されるように、ワインダユニット3は、ユニット制御部10と、給糸装置(給糸部)12と、巻取装置(巻取部)14と、通信部16と、を備えている。ユニット制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びROM(Read Only Memory)を備える。ROMには、ワインダユニット3の各構成を制御するためのプログラムが記憶される。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを実行する。ユニット制御部10は、ワインダユニット3における各部の動作を制御する。
【0030】
給糸装置12は、図略の搬送トレイに載せられた給糸ボビンSBを所定の位置で支持する。給糸装置12は、給糸ボビンSBから糸Yを解舒し、給糸ボビンSBから糸Yを引き出す。給糸装置12は、糸Yを供給可能に設けられている。給糸装置12は、搬送トレイ式の装置に限られず、例えばマガジン式の装置であってもよい。
【0031】
巻取装置14は、糸Yを巻取ボビンWBに巻き取ってパッケージPを形成する。巻取装置14は、クレードル17及び巻取ドラム18を備える。クレードル17は、巻取ボビンWBを挟み込むことにより、当該巻取ボビンWB(又はパッケージP)を回転可能に支持する。巻取ドラム18は、パッケージPの表面で糸Yをトラバースさせると共にパッケージPを回転させる。巻取ドラム18は、ドラム駆動モータ19によって回転駆動される。パッケージPの外周を巻取ドラム18に接触させた状態で、当該巻取ドラム18を回転駆動することにより、パッケージPを従動回転させる。巻取ドラム18の外周面には、螺旋状の綾振溝が形成されている。給糸ボビンSBから解舒された糸Yは、綾振溝によって一定の幅でトラバースされながらパッケージPの表面に巻き取られる。これにより、一定の巻幅を有するパッケージPを形成できる。
【0032】
巻取装置14は、パッケージPに糸Yを巻き取る場合には、巻取方向にパッケージPを回転(巻取方向の回転を正転とする。)させる。このとき、巻取装置14は、巻取速度(第一速度)でパッケージPを回転させる。具体的には、巻取装置14のドラム駆動モータ19は、ユニット制御部10からの駆動指令に基づいて、パッケージPが巻取速度で回転するように、巻取ドラム18を回転駆動させる。駆動指令には、目標速度、加速時間及び減速時間等の設定、並びに、正転、停止及び逆転等の指令が含まれ得る。
【0033】
パッケージPの回転速度が、巻取速度よりも低速となる場合について説明する。巻取装置14は、糸継装置26によって糸継ぎが行われる場合には、パッケージPを巻取方向とは反対方向である解舒方向に回転(解除方向の回転を逆転とする。)させる。このとき、巻取装置14は、巻取速度よりも低速の解舒速度(第二速度)でパッケージPを回転させる。具体的には、巻取装置14のドラム駆動モータ19は、ユニット制御部10からの駆動指令に基づいて、パッケージPが解舒速度で回転するように、巻取ドラム18を回転駆動させる。巻取装置14は、パッケージPにおいて糸Yの巻き取りを開始させる場合には、巻取方向にパッケージPを回転(正転)させる。このとき、巻取装置14は、回転開始から巻取速度に到達するまで、所定の加速度で加速する速度(第二速度)でパッケージPを回転させる。具体的には、巻取装置14のドラム駆動モータ19は、ユニット制御部10からの駆動指令に基づいて、パッケージPが巻取速度まで上記加速度で加速させて、巻取ドラム18を回転駆動させる。巻取装置14は、パッケージPの回転を停止させる場合には、巻取方向又は解舒方向のパッケージPの回転を停止させる。このとき、巻取装置14は、パッケージPが停止するまで、巻取速度から所定の減速度で低速となった速度(第二速度)でパッケージPを回転させる。具体的には、巻取装置14のドラム駆動モータ19は、ユニット制御部10からの駆動指令に基づいて、パッケージPが停止するまで上記減速度で減速して回転するように、巻取ドラム18を回転駆動させる。巻取速度、解舒速度、加速度及び減速度のそれぞれは、予め設定される速度であり、オペレータ等によって任意に設定され得る。
【0034】
通信部16は、玉揚装置7と通信を行う。通信部16と玉揚装置7とは、例えば、赤外線通信等の無線通信によって互いに通信可能に設けられている。通信部16は、情報(信号、指令、データ等)の送受信を行う。通信部16は、ユニット制御部10から出力された情報を玉揚装置7に送信する。通信部16は、玉揚装置7から送信された情報を受信し、受信した情報をユニット制御部10に出力する。
【0035】
各ワインダユニット3は、糸Yの走行方向における給糸装置12と巻取装置14との間において、給糸装置12側から順に、解舒補助装置20と、テンション付与装置22と、テンション検出装置24と、糸継装置26と、糸監視装置28と、を備える。糸継装置26の近傍には、第1捕捉案内装置30及び第2捕捉案内装置32が配置されている。
【0036】
解舒補助装置20は、給糸ボビンSBから解舒される糸Yが遠心力で過度に振り回されることを防止し、糸Yを給糸ボビンSBから適切に解舒する。解舒補助装置20は、給糸ボビンSBのチェース部の高さを検知するチェース部検知センサ(検出部)21を備えている。チェース部とは、巻取動作の進行方向における給糸ボビンSBの下流側の糸層端部をいう。チェース部検知センサ21は、給糸ボビンSBにおける糸解舒部位であるチェース部の位置を検知する。チェース部検知センサ21は、例えば、投光部と受光部とを有する透過式のフォトセンサとして構成されている。チェース部検知センサ21は、チェース部の検知信号(検出結果)をユニット制御部10に出力する。
【0037】
テンション付与装置22は、走行する糸Yに所定のテンションを付与する。本実施形態では、テンション付与装置22は、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式の装置である。
【0038】
テンション検出装置24は、給糸装置12と巻取装置14との間において、走行する糸Yのテンションを検出する。糸継装置26は、糸Yの走行方向における給糸装置12と巻取装置14との間で糸Yが何らかの理由により分断状態となったときに、給糸装置12側の糸Yと巻取装置14側の糸Yとを糸継ぎする。
【0039】
糸監視装置28は、糸道を走行する糸Yの状態を監視し、監視した情報に基づいて糸欠陥の有無を検出する。糸欠陥としては、例えば、糸Yの太さ異常、糸Yに含有されている異物、及び、糸切れ等の少なくとも何れかである。糸監視装置28は、糸欠陥を検出すると、欠陥情報をユニット制御部10に出力する。
【0040】
第1捕捉案内装置30は、給糸装置12側の待機位置から巻取装置14側の捕捉位置まで旋回可能である。第1捕捉案内装置30は、当該捕捉位置で糸Yを捕捉して糸継装置26に案内する。第2捕捉案内装置32は、給糸装置12側の捕捉位置から巻取装置14側の位置であって、捕捉した糸Yを糸継装置26に案内する位置まで旋回可能である。
【0041】
ユニット制御部10は、ワインダユニット3においてパッケージPが満巻となった場合、玉揚を要求する玉揚要求指令を通信部16に出力する。ユニット制御部10は、パッケージPに巻回される糸Yの長さに基づいて、パッケージPの満巻を検知する。ユニット制御部10は、玉揚要求信号を通信部16に出力すると共に、巻取装置14及び糸継装置26の動作を制御する。
【0042】
ユニット制御部10は、ドラム駆動モータ19の動作を制御するモータドライバに、パッケージPの玉揚げに係る駆動指令を出力する。具体的には、ユニット制御部10は、パッケージPの玉揚げを行う場合、巻取装置14においてパッケージPの回転を停止させる駆動指令をモータドライバに出力する。このとき、ユニット制御部10は、撮像指令を通信部16に出力する。撮像指令は、玉揚装置7の第一カメラ72及び第二カメラ73(後述)において撮像を指示する指令である。ユニット制御部10は、パッケージPの玉揚げが完了すると、巻取装置14においてパッケージPを巻取方向に回転(正転)させる駆動指令をモータドライバに出力する。
【0043】
ユニット制御部10は、チェース部検知センサ21から出力されるチェース部の検知信号に基づいて、給糸装置12における給糸ボビンSBの交換を制御する。ユニット制御部10は、チェース部検知センサ21から出力される検知信号に基づいて、給糸ボビンSBにおける糸Yの貯留量を取得する。ユニット制御部10は、給糸ボビンSBにおける糸Yの貯留量が所定量以下となった場合、給糸ボビンSBの交換を指示する。ユニット制御部10は、給糸ボビンSBの交換に係る動作を制御すると共に、巻取装置14及び糸継装置26の動作を制御する。
【0044】
ユニット制御部10は、ドラム駆動モータ19の動作を制御するモータドライバに、給糸ボビンSBの交換に係る駆動指令を出力する。具体的には、ユニット制御部10は、給糸ボビンSBの交換を行う場合、巻取装置14においてパッケージPの回転を停止させる駆動指令をモータドライバに出力する。ユニット制御部10は、パッケージPの回転停止の駆動指令と同時又は回転停止の後に糸Yを切断させ、給糸ボビンSBの交換が完了すると、糸継装置26に糸継ぎを指示する。糸継装置26による糸継ぎの過程において、ユニット制御部10は、巻取装置14においてパッケージPを解舒方向に回転(逆転)させる駆動指令をモータドライバに出力する。このとき、ユニット制御部10は、撮像指令を通信部16に出力する。ユニット制御部10は、糸継装置26における糸継ぎが完了すると、巻取装置14においてパッケージPを巻取方向に回転(正転)させる駆動指令をモータドライバに出力する。なお、ユニット制御部10が撮像指令を出力するタイミングは、巻取装置14においてパッケージPを解舒方向に回転(逆転)させるときに限定されない。例えば、ユニット制御部10は、パッケージPを逆転させた後にパッケージPを停止させたとき、パッケージPを停止させるために減速しているとき、或いは、糸継ぎ完了後にパッケージPが加速しているときに、撮像指令を出力してもよい。
【0045】
ユニット制御部10は、糸監視装置28から欠陥情報が出力されると、ドラム駆動モータ19の動作を制御するモータドライバに、糸継に係る駆動指令を出力する。具体的には、ユニット制御部10は、糸Yの欠陥が検出されると、巻取装置14においてパッケージPの回転を停止させる駆動指令をモータドライバに出力する。ユニット制御部10は、パッケージPの回転停止と同時又は回転停止の後に糸Yを切断させ、糸継装置26に糸継ぎを指示する。糸継装置26による糸継ぎの過程において、ユニット制御部10は、巻取装置14においてパッケージPを解舒方向に回転(逆転)させる駆動指令をモータドライバに出力する。このとき、ユニット制御部10は、撮像指令を通信部16に出力する。ユニット制御部10は、糸継装置26における糸継ぎが完了すると、巻取装置14においてパッケージPを巻取方向に回転(正転)させる駆動指令をモータドライバに出力する。なお、ユニット制御部10が撮像指令を出力するタイミングは、巻取装置14においてパッケージPを解舒方向に回転(逆転)させるときに限定されない。例えば、ユニット制御部10は、パッケージPを逆転させた後にパッケージPを停止させたとき、パッケージPを停止させるために減速しているとき、或いは、糸継ぎ完了後にパッケージPが加速しているときに、撮像指令を出力してもよい。
【0046】
ユニット制御部10は、パッケージPの第一面S1(
図5(a)参照)及び第二面S2(
図5(a)参照)の状態に基づいて、パッケージPの異常の有無を判定する判定制御を行う。パッケージPの異常とは、正常(理想とするパッケージP)と異なるもの(状態)という。そのため、パッケージPの異常とは、必ずしも、パッケージPの品質的に問題があることを意味しない。
【0047】
ユニット制御部10は、玉揚装置7から送信される一又は複数の撮像データ(撮像結果)に基づいて、パッケージPの異常の有無を判定する。ユニット制御部10は、例えば、撮像データの画像処理によって、パッケージPの異常の有無を判定する。ユニット制御部10は、基準画像(異常の無いパッケージPの画像)と撮像データの画像とを比較することによって、パッケージPの異常の有無を判定することができる。ユニット制御部10は、機械学習により構築された学習済みモデルを用いて、パッケージPの異常の有無を判定してもよい。ユニット制御部10におけるパッケージPの異常の有無の判定の方法は、公知の種々の方法を採用することができる。
【0048】
ユニット制御部10は、パッケージPの異常の有無と共に、パッケージPの異常の種類を特定することもできる。
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、
図4(d)、
図4(e)、
図4(f)、
図4(g)及び
図4(h)は、パッケージPの異常の一例を示す図である。
図4(a)は、パッケージPの第一面S1(第二面S2)から糸Yが落ちる現象、いわゆる綾外れの一例を示しており、
図4(b)は、糸Yの切断端がパッケージPの第一面S1(第二面S2)からはみ出る現象、いわゆる端面落ち一例を示している。
図4(c)は、パッケージPの第一面S1(第二面S2)が膨らむ現象、いわゆるバルジ巻きの一例を示しており、
図4(d)は、パッケージPの第一面S1(第二面S2)において、巻取ボビンWBの周囲の糸Yが盛り上がって飛出す、いわゆる菊巻きの一例を示している。
【0049】
図4(e)は、パッケージPの第一面S1(第二面S2)において、巻取ボビンWBの周囲の糸Yが蜘蛛の巣状となる現象、いわゆる蜘蛛の巣の一例を示しており、
図4(f)は、パッケージPの第一面S1(第二面S2)において、糸Yが同じ軌跡で巻き取られる現象、いわゆるリボン巻きの一例を示している。
図4(g)は、パッケージPの第一面S1(第二面S2)において、糸Yの先端がひげ状に遊離する現象、いわゆるひげ巻きの一例を示しており、
図4(h)は、パッケージPの第一面S1(第二面S2)において、段差が形成される現象、いわゆる年輪巻きの一例を示している。
【0050】
ユニット制御部10は、パッケージPの異常の種類に応じて、一つの撮像データに基づいてパッケージPの異常の有無を判定してもよい。例えば、ユニット制御部10は、
図4(c)に示されるバルジ巻きのように、パッケージPの第一面S1(第二面S2)の全体に特徴が表れる場合には、一つの撮像データに基づいてパッケージPの異常の有無を判定することができる。また、ユニット制御部10は、複数の撮像データの類似度が高い場合(例えば、パッケージPが停止しているときに撮像された撮像データである場合)には、複数の撮像データのうちの一つの撮像データに基づいて、パッケージPの異常の有無を判定してもよい。
【0051】
パッケージPの異常の種類には、異常のレベルが含まれている。異常のレベルは、異常の種類において、異常の程度に応じて設定されている。異常のレベルは、例えば、異常が綾外れである場合、綾外れ「大」、綾外れ「小」等と設定されている。異常のレベルは、種々の方法によって判定することができる。例えば、異常のレベルは、機械学習において、異常の種類に対してレベル(異常の程度)を細分化して学習させることによって判定することができる。或いは、異常のレベルは、画像処理を用いて、異常と認識された箇所の数に基づいて、判定することができる。ユニット制御部10は、パッケージPの異常の有無を判定し、パッケージPに異常があると判定した場合、異常のレベルを判定する。
【0052】
ユニット制御部10は、パッケージPに異常があると判定した場合、異常のレベルに応じて、異常発生の報知、ワインダユニット3の異常停止、及び、巻取装置14による糸Yの巻き取りの継続の少なくとも一つを実行させる。本実施形態では、異常発生の報知として報知する内容は、パッケージPに異常があると判定した結果、及び判定結果に伴うワインダユニット3の状態の少なくとも一方である。報知の仕方としては、表示画面52に異常が発生していることを表示させてもよいし、ワインダユニット3に設けられているランプを点灯(点滅)させてもよいし、アラーム音等を鳴らしてもよし、これらの組合せを実行してもよい。
【0053】
本実施形態では、ワインダユニット3の異常停止は、巻取装置14による糸Yの巻き取りの停止である。この場合、オペレータによりパッケージPから異常が取り除かれるか、玉揚装置7による玉揚げされないと、巻取装置14による糸Yの巻き取りが再開されない。なお、パッケージPの異常が軽微であるとオペレータが判断した場合、パッケージPから異常が取り除かれることなく、巻取装置14による糸Yの巻き取りが再開されてもよい。この場合、パッケージPから異常が取り除かれていないため、再度、パッケージPに同じ異常があると判定され得る。そのため、ユニット制御部10は、当該パッケージPにおいて、一度判定した異常については無視する。
【0054】
具体的には、ユニット制御部10は、異常があると判定した画像におけるパッケージPの径と、新たに撮像した画像におけるパッケージPの径とに基づいて、異常と判定された後にパッケージPに糸Yが巻回された部分を取得し、当該部分において異常判定を行う。これにより、パッケージPにおいて異常があると判定した部分については異常判定の対象外とされるため、一度判定した異常については無視すること(異常と判定しないこと)ができる。また、ユニット制御部10は、異常のレベルに基づいて、一度判定した異常を無視することができる。具体的には、ユニット制御部10は、前回異常と判定したレベルと同じレベルの異常については異常と判定しない。ユニット制御部10は、前回異常と判定したレベルよりも低いレベルの異常については、異常と判定しない。これにより、パッケージPにおいて異常があると判定した前回のレベルについては異常判定の対象外とされるため、一度判定した異常については無視することができる。
【0055】
また、ユニット制御部10は、巻取装置14による糸Yの巻き取りの継続を実行させる場合、パッケージPの判定結果を記憶する。これにより、パッケージPの異常の種類による制御が適切か否かをオペレータが記録を確認することにより判断することができる。具体的には、パッケージPの異常の種類に応じて登録されているワインダユニット3の動作をオペレータが適宜見直すことができる。
【0056】
ユニット制御部10は、巻取装置14による糸Yの巻き取りの停止させる場合には、巻取装置14においてパッケージPの回転を停止させる駆動指令をモータドライバに出力する。ユニット制御部10は、巻取装置14による糸Yの巻き取りを停止させた場合、玉揚装置7にパッケージPの玉揚げを要求する。
【0057】
ユニット制御部10は、巻取装置14による糸Yの巻き取りの停止させたことに応じて、巻取装置14における糸Yの巻き取りを指示する入力を受け付けた場合には、巻取装置14における糸Yの巻き取りを再開させる。具体的には、オペレータは、糸Yの巻き取りが停止されたワインダユニット3においてパッケージPの異常を解消させた場合、巻き取りを指示する入力を行う。或いは、オペレータは、糸Yの巻き取りが停止されたワインダユニット3においてパッケージPを確認し、糸Yの巻き取りを継続させると判断した場合(パッケージPに対する異常解消のための処理等が必要ではないと判断した場合)、巻き取りを指示する入力を行う。オペレータは、例えば、エンドフレーム5の入力部54において糸Yの巻き取りを指示する入力を行ってもよいし、ワインダユニット3の操作部(図示省略)によって糸Yの巻き取りを指示する入力を行ってもよい。
【0058】
ユニット制御部10は、パッケージPの異常の種類に応じて、ワインダユニット3の動作を制御してもよい。パッケージPの異常の種類毎に、パッケージPの回転の停止、パッケージPの玉揚げ要求、又は、パッケージPにおける糸Yの巻き取りの継続等の制御が設定されていてもよい。ユニット制御部10は、パッケージPの異常の種類に対応する各種動作を実行させる。パッケージPの異常の種類と動作との対応関係は、ワインダユニット3が動作を開始する前に予め設定されてもよいし、異常の報知や巻取装置14における糸Yの巻き取りを停止させたことに応じて、エンドフレーム5の入力部54においてオペレータ等から入力されることによって設定されてもよい。
【0059】
続いて、玉揚装置7について詳細に説明する。
【0060】
玉揚装置7は、複数のワインダユニット3の並置方向に沿って走行可能に設けられている。玉揚装置7は、複数のワインダユニット3間を移動し、パッケージPの玉揚げを行う(パッケージPの払い出しを行う)。玉揚装置7により玉揚げされたパッケージPは、例えば、各ワインダユニット3の近傍に設けられた載置部(図示せず)に排出され、種々の手段で回収される。なお、玉揚装置7は、満巻のパッケージPだけでなく、満巻ではないパッケージP又は空の巻取ボビンWBを玉揚げしてもよい。
【0061】
図3に示されるように、玉揚装置7は、通信部70と、玉揚制御部71と、第一カメラ(第一撮像装置)72と、第二カメラ(第二撮像装置)73と、第一照明74と、第二照明75と、を有している。図には示されていないが、玉揚装置7は、ワインダユニット3に空の巻取ボビンWBを供給するボビン供給部、ワインダユニット3から満巻のパッケージPを玉揚げして排出するパッケージ排出部、及び、給糸ボビンSBからの下糸を捕捉して空の巻取ボビンWBに案内する糸引出アーム等を更に有している。
【0062】
通信部70は、ワインダユニット3の通信部16と通信を行う。通信部70は、情報の送受信を行う。通信部70は、玉揚制御部71から出力された情報をワインダユニット3に送信する。通信部70は、ワインダユニット3から送信された情報を受信し、受信した情報を玉揚制御部71に出力する。
【0063】
玉揚制御部71は、玉揚装置7における走行制御や撮像処理等、玉揚装置7の各種動作を制御する。玉揚制御部71は、例えば、CPU及びROMを備える。ROMには、玉揚装置7の各構成を制御するためのプログラムが記憶される。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを実行する。玉揚制御部71は、一のワインダユニット3においてパッケージPが満巻となり玉揚を要求する玉揚要求信号を、通信部70を介してユニット制御部10から受け取る。玉揚制御部71は、玉揚要求信号に基づいて、ワインダユニット3を走行させ、玉揚動作を実行させる。
【0064】
玉揚制御部71は、通信部70から出力される撮像指令に基づいて、第一カメラ72及び第二カメラ73、並びに、第一照明74及び第二照明75を制御する。玉揚制御部71は、撮像指令に基づいて、第一カメラ72及び第二カメラ73に撮像指令を出力すると共に、第一照明74及び第二照明75に照射指示を出力する。玉揚制御部71は、第一カメラ72及び第二カメラ73のそれぞれから出力された撮像データを、通信部70に出力する。通信部70は、撮像データをワインダユニット3及び機台制御装置50に送信する。なお、撮像データは、玉揚制御部71において記憶(管理)することもできる。
【0065】
第一カメラ72及び第二カメラ73のそれぞれは、パッケージPを撮像する。第一カメラ72は、パッケージPの第一面S1を撮像する。第一面S1は、パッケージPの回転軸Aに直交(略直交)する面である。第一面S1は、パッケージPにおいて、小径側端部の端面である。第二カメラ73は、パッケージPの第二面S2を撮像する。第二面S2は、パッケージPの回転軸Aに直交する面である。第二面S2は、パッケージPにおいて、大径側端部の端面である。
【0066】
図5(a)及び
図5(b)に示されるように、第一カメラ72及び第二カメラ73は、玉揚装置7の筐体76に設置されている。具体的には、第一カメラ72は、玉揚装置7を背面側(
図1を紙面奥側から見た方向)から見て、ワインダユニット3の並置方向(玉揚装置7の走行方向)の右側に配置されている。すなわち、第一カメラ72は、玉揚装置7を正面側(
図1を紙面奥側に向かって見た方向)から見て、筐体76の左側に配置されている。第二カメラ73は、玉揚装置7を背面側から見て、ワインダユニット3の並置方向の左側の配置されている。すなわち、第二カメラ73は、玉揚装置7を正面側から見て、筐体76の右側に配置されている。
【0067】
第一カメラ72及び第二カメラ73のそれぞれは、玉揚制御部71から出力される撮像指令に基づいて、パッケージPを撮像する。第一カメラ72及び第二カメラ73のそれぞれは、所定時間撮像してもよいし、所定枚数(一又は複数)撮像してもよい。第一カメラ72及び第二カメラ73のそれぞれは、撮像データを玉揚制御部71に出力する。
【0068】
第一照明74及び第二照明75のそれぞれは、パッケージPに光を照射する。第一照明74及び第二照明75のそれぞれは、例えば、LEDライトである。第一照明74及び第二照明75のそれぞれは、玉揚制御部71から出力される照射指示に基づいて、光を照射する(オンになる)。第一照明74は、パッケージPの第一面S1に光を照射する。第二照明75は、パッケージPの第二面S2に光を照射する。第一照明74及び第二照明75のそれぞれは、ブラケット(図示省略)によって、筐体76に固定されている。
【0069】
続いて、自動ワインダ1における、パッケージPの異常の有無の判定に係る動作について説明する。
【0070】
本実施形態では、玉揚装置7は、並置方向の一方の端部(エンドフレーム5が配置されている側の端部)に設置されているワインダユニット3から並置方向の他方の端部に設置されているワインダユニット3に向かって順に、パッケージPを撮像する。具体的には、玉揚装置7は、撮像指令に基づいてパッケージPを撮像する。なお、玉揚装置7は、ワインダユニット3(ユニット制御部10)から撮像指令のみを受信してもよいし、撮像指令とパッケージPの回転状態(停止中、逆転中(開始)、加速中(開始)、減速中、第一速度等)を示す回転情報とを受信してもよい。すなわち、ワインダユニット3は、玉揚装置7に対して、撮像指令のみを送信してもよいし、撮像指令及び回転情報を送信してもよい。
【0071】
ワインダユニット3には、並置方向の一方の端部から他方の端部に向かって順に、番号(例えば、1~N)が設定されている。玉揚装置7は、ワインダユニット3に設定された番号順(番号が小さい順)に、パッケージPを順次撮像する。なお、一時的に稼動していないワインダユニット3が存在する場合等においては、当該ワインダユニット3の次のワインダユニット3のパッケージPを撮像する。ワインダユニット3が稼動した場合には、当該ワインダユニット3まで移動して、パッケージPを撮像する。また、玉揚装置7は、ワインダユニット3においてパッケージPの異常判定が出来なかった場合には、待機位置を更新せずに(次にワインダユニット3に移動せずに)、当該ワインダユニット3において撮像機会を待ってもよいし、パッケージPの異常判定の成功/失敗に関わらず、次のワインダユニット3に移動してもよい。また、玉揚装置7は、パッケージPの異常判定が出来なかった場合、パッケージPを玉揚げする前にパッケージPを回転させて、パッケージPを撮像してもよい。
【0072】
玉揚装置7は、パッケージPの撮像の対象となるワインダユニット3の前(近傍)で待機し、ユニット制御部10から出力される撮像指令に基づいて、パッケージPを撮像する。具体的には、玉揚装置7は、パッケージPの撮像の対象となるワインダユニット3から送信された撮像指令を受信すると、当該ワインダユニット3のパッケージPを撮像する。なお、玉揚装置7は、パッケージPの撮像の対象となっているワインダユニット3と異なるワインダユニット3から玉揚要求指示が送信された場合には、当該ワインダユニット3において玉揚動作を実行し、玉揚動作の終了後に、元の待機位置に戻る。なお、パッケージPの撮像の対象となっているワインダユニット3と異なるワインダユニット3において玉揚動作を実行する際に、パッケージPの撮像が可能であれば、撮像を実行してもよい。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る自動ワインダ1では、ユニット制御部10は、パッケージPの回転速度が巻取速度よりも低速である速度(解舒速度、加速度、減速度、回転停止)のときに、玉揚装置7の第一カメラ72及び第二カメラ73にパッケージPの第一面S1及び第二面S2を撮像させる。そのため、自動ワインダ1では、巻取速度でパッケージPが回転しているときに第一面S1及び第二面S2を撮像する場合に比べて、第一面S1及び第二面S2の状態が表れた撮像データを得ることができる。したがって、自動ワインダ1では、パッケージPの第一面S1及び第二面S2の状態を正確に取得することができる。そのため、自動ワインダ1では、パッケージPの異常判定の精度の向上を図れる。
【0074】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、ユニット制御部10は、パッケージPに異常があると判定した場合、当該パッケージPを形成するワインダユニット3を異常停止させる。この構成では、異常が発生したパッケージPに、糸Yが無駄に巻き取られることを回避できる。
【0075】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、ユニット制御部10は、異常停止したワインダユニット3に対して、巻取装置14における糸Yの巻き取りを指示する入力を受け付けた場合には、巻取装置14における糸Yの巻き取りを再開させる。この構成では、オペレータがパッケージPを確認し異常を取り除いた後に糸の巻き取りを再開させることができるため、生産効率の低下を防止できる。
【0076】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、ユニット制御部10は、撮像データに基づいてパッケージPの異常の種類を特定し、パッケージPの異常の種類に応じて、異常発生の報知、ワインダユニット3の異常停止、及び、巻取装置14による糸Yの巻き取りの継続の少なくとも一つを実行させてもよい。パッケージPの異常の種類によっては、パッケージPの品質等に影響を及ぼさないものもある。そのため、パッケージPの異常の種類に応じた動作を実行させることにより、品質基準に応じた制御が可能となる。
【0077】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、ユニット制御部10は、パッケージPに異常があると判定した場合において、当該異常の種類が所定の種類である場合には、巻取装置14において糸Yの巻き取りを継続させる。この構成では、パッケージPに異常が発生した場合であっても、パッケージPにおける糸の巻き取り停止させることがないため、生産効率の低下を抑制できる。
【0078】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、ユニット制御部10は、異常停止したワインダユニット3に対して、異常があると判定したパッケージPの異常の種類を所定の種類とする入力を受け付けた場合には、所定の種類の異常として設定する。この構成では、異常停止したワインダユニット3のパッケージPをオペレータが確認し、パッケージPの異常が品質基準を満たしていると判断して、当該異常を所定の異常とする入力をした場合には、それ以後、当該異常と判定されたパッケージPの形成が継続される。したがって、生産効率の低下を抑制できる。
【0079】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、ワインダユニット3は、パッケージPに巻き取られる糸Yを監視する糸監視装置28と、給糸ボビンSB側の糸YとパッケージP側の糸Yとを糸継ぎする糸継装置26と、を有する。ユニット制御部10は、糸監視装置28の監視結果に基づいて糸Yを切断させ、糸Yの切断後の糸継装置26における糸継ぎの過程において、パッケージPを解舒速度で回転させる。パッケージPの形成過程において、糸欠陥に起因する糸Yの切断が複数回発生し得る。糸Yの切断後の糸継装置26における糸継ぎの過程では、パッケージPを解舒速度で解舒方向に回転させる。そのため、パッケージPの形成過程において、第一カメラ72及び第二カメラ73によるパッケージPの撮像の機会を少なくとも一度は確保することができる。
【0080】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、ワインダユニット3は、給糸ボビンSBのチェース部の高さを検出するチェース部検知センサ21を有している。ユニット制御部10は、チェース部検知センサ21から出力されるチェース部の検知信号に基づいて、給糸ボビンSBにおける糸Yの貯留量を取得する。ユニット制御部10は、糸Yの貯留量に基づいてワインダユニット3における給糸ボビンSBを交換させ、給糸ボビンSBの交換後の糸継装置26における糸継ぎの過程において、パッケージPを解舒速度で回転させる。パッケージPの形成過程において、給糸ボビンSBの交換に起因する糸継ぎが複数回発生し得る。糸継装置26における糸継ぎの過程では、パッケージPを解舒速度で解舒方向に回転させる。そのため、パッケージPの形成過程において、第一カメラ72及び第二カメラ73によるパッケージPの撮像の機会を少なくとも一度は確保することができる。
【0081】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、ユニット制御部10は、玉揚装置7における玉揚げ作業の過程において、パッケージPの第一面S1及び第二面S2を撮像させる。玉揚装置7による玉揚げ作業の過程においては、パッケージPの回転を停止させるときに、回転速度を減速させる。そのため、玉揚げ作業の過程において撮像を指示することにより、第一カメラ72及び第二カメラ73によるパッケージPの撮像の機会を少なくとも一度は確保することができる。
【0082】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、ユニット制御部10は、パッケージPに異常があると判定した場合、玉揚装置7に当該パッケージPの玉揚げをさせてもよい。この構成では、異常があると判定されたパッケージPに糸Yが巻き取られない。そのため、異常があるパッケージPに糸Yが無駄に巻き取られることを回避できる。
【0083】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、第一カメラ72及び第二カメラ73のそれぞれは、玉揚装置7がパッケージPの玉揚げを行う位置においてパッケージPの第一面S1又は第二面S2を撮像する位置に設けられている。ユニット制御部10は、第一カメラ72及び第二カメラ73のそれぞれによって撮像された複数の撮像データに基づいて、パッケージPの異常の有無を判定してもよい。この構成では、第一カメラ72及び第二カメラ73の画角において死角となる領域がある場合であっても、複数の撮像データを用いることによって、パッケージPの第一面S1及び第二面S2の全面に対して異常の判定を行うことができる。
【0084】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、玉揚装置7は、パッケージPの第一面S1を撮像する第一カメラ72と、パッケージPの第二面S2を撮像する第二カメラ73と、を有している。この構成では、パッケージPの第一面S1及び第二面S2を同じタイミングで(同時に)撮像することができる。したがって、撮像に係る時間の短縮を図ることができる。
【0085】
本実施形態に係る自動ワインダ1では、ユニット制御部10は、複数のワインダユニット3の並置方向において、一方側のワインダユニット3から順に、第一カメラ72及び第二カメラ73にパッケージPを撮像させる。玉揚制御部71は、撮像対象となるワインダユニット3の近傍に玉揚装置7を待機させる。この構成では、各ワインダユニット3において、パッケージPの異常の有無を判定できる。また、撮像対象となるワインダユニット3の近傍に玉揚装置7を待機させるため、玉揚装置7の移動時間を短縮でき、効率的な動作が可能となる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0087】
上記実施形態では、糸巻取システムが自動ワインダ1である形態を一例に説明した。しかし、糸巻取システムは、紡績機であってもよい。この場合、巻取ユニットは、紡績ユニットである。また、走行台車は、糸継台車、ブロークリーナー、撮像用の専用台車であってもよい。
【0088】
上記実施形態では、走行台車が玉揚装置である形態を一例に説明した。しかし、走行台車は、例えば、ブロークリーナー、撮像用の専用台車であってもよい。
【0089】
上記実施形態では、玉揚装置7が第一カメラ72及び第二カメラ73を有する形態を一例に説明した。しかし、カメラ(撮像装置)は一つであってもよい。この場合、一つのカメラによってパッケージPの第一面S1及び第二面S2のそれぞれを撮像するための構成を有していればよい。例えば、玉揚装置7の停止位置をパッケージPの第一面S1用の停止位置と、第二面S2用の停止位置を設定し、それぞれの位置で撮像視点を切り替える構成としてもよい。
【0090】
上記実施形態では、
図5(a)に示されるように、第一カメラ72及び第二カメラ73が、玉揚装置7の筐体76において、左右対称となる位置に配置されている形態を一例に説明した。すなわち、パッケージPの玉揚げを行う位置におけるパッケージPに対して、第一カメラ72及び第二カメラ73それぞれとの間の距離が同等となる位置に、第一カメラ72及び第二カメラ73が配置されている。しかし、第一カメラ72及び第二カメラ73が配置される位置はこれに限定されない。例えば、第一カメラ72は、第二カメラ73よりも、パッケージPの玉揚げを行う位置におけるパッケージPに対して、走行方向(ワインダユニット3の並置方向)において内側に配置されていてもよい。
【0091】
ワインダユニット3の巻取装置14において、クレードル17のクレードルアームは、ワインダユニット3の並置方向の一方側に設けられている。クレードルアームは、玉揚装置7によって操作されることによって、パッケージPの保持を解除する。このような構成において、第一カメラ72がワインダユニット3の並置方向の他方側に設けられ、第二カメラ73が並置方向の一方側に設けられている場合、複数のワインダユニット3の配置の間隔によっては、一のワインダユニット3のパッケージPの撮像を行う際に、当該一のワインダユニット3に隣接するワインダユニット3のクレードルアームが第一カメラ72の画角に入り込み、撮像対象のパッケージPの第一面S1(端面)の一部がクレードルアームによって遮られて撮像できない場合がある。そこで、第一カメラ72を第二カメラ73よりも内側に配置することによって、第一カメラ72の画角にクレードルアームが入り込むことを回避できる。そのため、第一カメラ72によって、パッケージPの第一面S1を適切に撮像することができる。
【0092】
上記実施形態では、ユニット制御部10においてパッケージPの異常の有無を判定する形態を一例に説明した。しかし、パッケージPの異常の有無の判定は、玉揚装置7の玉揚制御部71が行ってもよいし、機台制御装置50が行ってもよい。
【0093】
上記実施形態では、ユニット制御部10が、パッケージPの異常の有無と共に、パッケージPの異常の種類を特定する形態を一例に説明した。しかし、ユニット制御部10は、パッケージPの異常の種類を特定しなくてもよい。すなわち、ユニット制御部10は、パッケージPの異常の有無のみを判定してもよい。
【0094】
上記実施形態では、ユニット制御部10において異常の判定の後に異常のレベルを判定し、パッケージPに異常があると判定した場合、異常のレベルに応じて、異常発生の報知、ワインダユニット3の異常停止、及び、巻取装置14による糸Yの巻き取りの継続の少なくとも一つを実行させる形態を一例に説明した。しかし、ユニット制御部10は、異常のレベルの判定は行わなくてもよい。
【0095】
上記実施形態では、ワインダユニット3と玉揚装置7とが、無線通信によって通信を行う形態を一例に説明した。しかし、ワインダユニット3と玉揚装置7との通信は、機台制御装置50を介して行われてもよい。
【0096】
上記実施形態では、玉揚装置7が玉揚制御部71を有する形態を一例に説明した。しかし、玉揚装置7の動作は、機台制御装置50が制御してもよい。
【0097】
上記実施形態では、各ワインダユニット3がユニット制御部10を有する形態を一例に説明した。しかし、ワインダユニット3の動作は、機台制御装置50が制御してもよい。
【0098】
上記実施形態では、玉揚装置7は、複数のワインダユニット3の並置方向において、一方側のワインダユニット3から順に、第一カメラ72及び第二カメラ73にパッケージPを撮像させる形態を一例に説明した。しかし、ユニット制御部10は、複数のワインダユニット3が並べられた方向において、一方側のワインダユニット3から順に高い優先度を設定し、優先度の最も高いワインダユニット3の近傍に玉揚装置7を待機させ、パッケージのP撮像が行われたワインダユニット3の優先度を最も低い優先度よりも下げてもよい。この構成では、ワインダユニットの状況(稼動状態等)に応じて優先度を設定することによって、効率的なパッケージPの撮像が可能となる。
【0099】
また、ユニット制御部10は、ワインダユニット3の糸監視装置28の監視結果に基づく糸切断等、ワインダユニット3においてパッケージPの撮像機会が生じた場合に、その都度、走行台車にパッケージPを撮像させてもよい。この場合、走行台車に対する走行要求が撮像指令となる。走行台車が玉揚装置7である場合、パッケージPの撮像よりも、玉揚作業を優先して実行する。
【符号の説明】
【0100】
1…自動ワインダ(糸巻取システム)、3…ワインダユニット(巻取ユニット)、7…玉揚装置(走行台車)、12…給糸装置(給糸部)、14…巻取装置(巻取部)、21…チェース部検知センサ(検出部)、26…糸継装置、28…糸監視装置、50…機台制御装置(制御部)、72…第一カメラ(第一撮像装置)、73…第二カメラ(第二撮像装置)、A…回転軸、P…パッケージ、S1…第一面(第二面S2)、S2…第二面、SB…給糸ボビン、Y…糸。