(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110726
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】燃料噴射装置
(51)【国際特許分類】
F02M 51/06 20060101AFI20240808BHJP
F02M 47/00 20060101ALI20240808BHJP
F02M 47/02 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
F02M51/06 K
F02M47/00 F
F02M47/02
F02M51/06 J
F02M51/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015489
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】奥野 佳則
(72)【発明者】
【氏名】田口 透
(72)【発明者】
【氏名】梯 祐貴
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066BA36
3G066BA48
3G066BA51
3G066CC03
3G066CC05Z
3G066CC67
(57)【要約】
【課題】平面同士で接触する可動部材と平面弁座との摩耗を抑制する技術を提供する。
【解決手段】プレート部材14には、平面弁座50と、圧力制御室210の燃料を低圧側に排出可能な排出通路214と、が形成されている。可動部材36の平面部60が平面弁座から離座すると、圧力制御室の燃料が排出通路から低圧側に排出され、平面部が平面弁座に着座すると、排出通路と低圧側との間が遮断される。平面部が平面弁座に着座した状態で可動部材が排出通路を介して圧力制御室から燃料圧力を受ける受圧面積は、排出通路の大径通路214の平面弁座側への投影面積よりも小さく、プレート部材の厚みをL、プレート部材の径をDとすると、L/D≧0.4である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コモンレール(4)で蓄圧された高圧燃料を内燃機関に噴射する燃料噴射装置(10)であって、
蓄圧された高圧燃料を噴孔(16a)に供給可能な高圧通路(202、204、206)と前記噴孔との間を断続する弁部材(20)と、
前記弁部材の前記噴孔と反対側に設けられ、前記高圧通路から供給される燃料の圧力により前記噴孔を遮断する方向に前記弁部材に力を加える圧力制御室(210)と低圧側との間を断続する電磁弁(30)と、
を備え、
前記電磁弁は、平面弁座(50、100)と前記平面弁座に開口して前記圧力制御室の燃料を低圧側に排出可能な排出通路(214)とが形成されたプレート部材(14)と、前記平面弁座と平面同士で接触可能な平面部(60、82、92)が形成された可動部材(36、80、90)と、を備え、前記平面部が前記平面弁座から離座することにより前記圧力制御室の燃料が前記排出通路から低圧側に排出され、前記平面部が前記平面弁座に着座することにより前記排出通路と低圧側との間が遮断され、
前記排出通路は、大径通路(216)と、前記大径通路から前記平面弁座に向かい前記大径通路よりも小径の小径通路(218)と、を備え、
前記平面部が前記平面弁座に着座した状態で前記可動部材が前記排出通路を介して前記圧力制御室から燃料圧力を受ける受圧面積は、前記大径通路の前記平面弁座側への投影面積よりも小さく、
前記プレート部材の厚みをL、前記プレート部材の径をDとすると、L/D≧0.4である、
燃料噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料噴射装置であって、
前記排出通路は、前記小径通路の前記大径通路と反対側で前記平面弁座に開口して前記小径通路よりも大径で前記大径通路よりも小径な受圧室(220)を備える、
燃料噴射装置。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料噴射装置であって、
前記小径通路よりも大径で前記大径通路よりも小径で、前記平面弁座に面して開口する受圧室(222)が前記可動部材(80)の前記平面部(82)に形成されている、
燃料噴射装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、
前記平面弁座(50)は、前記平面部が着座して前記平面部と前記平面同士で接触することにより前記排出通路と低圧側との間を遮断する第1の座面(52)と、前記第1の座面よりも径方向外側に形成され前記第1の座面とともに前記平面部が着座して前記平面部と前記平面同士で接触する第2の座面(54)と、前記第1の座面と前記第2の座面との間に形成され低圧側と連通する燃料逃し通路(250、252)と、を備える、
燃料噴射装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、
前記平面部(92)は、前記平面弁座に着座して前記平面弁座と前記平面同士で接触することにより前記排出通路と低圧側との間を遮断する第1の平面(94)と、前記第1の平面よりも径方向外側に形成され前記第1の平面とともに前記平面弁座に着座して前記平面弁座と前記平面同士で接触する第2の平面(96)と、前記第1の平面と前記第2の平面との間に形成され低圧側と連通する燃料逃し通路(250、252)と、を備える、
燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コモンレールで蓄圧された高圧燃料を燃料噴射装置から噴射する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コモンレールで蓄圧された高圧燃料を燃料噴射装置から噴射する技術が知られている。
例えば、下記の特許文献1に記載の技術では、噴孔を開閉する弁部材の反噴孔側に、高圧燃料が供給される圧力制御室を備えている。
【0003】
そして、圧力制御室と低圧側との間を電磁弁が断続して圧力制御室の燃料圧力を制御することにより、弁部材による噴孔の開閉が制御される。電磁弁の可動部材と弁座とは、平面同士で接触することにより圧力制御室と低圧側との間を遮断する。
【0004】
弁座と、圧力制御室から電磁弁の弁座側に高圧燃料を導入する排出通路とは、プレート部材に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、圧力制御室の高圧の燃料圧力により、プレート部材が可動部材側に凸状に変形すると弁座も凸状に変形し、可動部材と凸状の弁座との接触箇所が摩耗するという課題が見出された。
【0007】
本開示の1つの局面は、平面同士で接触する可動部材と平面弁座との摩耗を抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの態様による燃料噴射装置(10)は、コモンレール(4)で蓄圧された高圧燃料を内燃機関に噴射する燃料噴射装置であって、弁部材(20)と電磁弁(30)とを備える。
【0009】
弁部材は、蓄圧された高圧燃料を噴孔(16a)に供給可能な高圧通路(202、204、206)と噴孔との間を断続する。
電磁弁は、プレート部材(14)と可動部材(36、80、90)とを備え、弁部材の噴孔と反対側に設けられ、高圧通路から供給される燃料の圧力により噴孔を遮断する方向に弁部材に力を加える圧力制御室(210)と低圧側との間を断続する。
【0010】
プレート部材には、平面弁座(50、100)と平面弁座に開口して圧力制御室の燃料を低圧側に排出可能な排出通路(214)とが形成されている。可動部材には、平面弁座と平面同士で接触可能な平面部(60、82、92)が形成されている。
【0011】
平面部が平面弁座から離座することにより圧力制御室の燃料が排出通路から低圧側に排出され、平面部が平面弁座に着座することにより排出通路と低圧側との間が遮断され、排出通路は、大径通路と、大径通路から平面弁座に向かい大径通路よりも小径の小径通路と、を備える。
【0012】
平面部が平面弁座に着座した状態で可動部材が排出通路を介して圧力制御室から燃料圧力を受ける受圧面積は、大径通路の平面弁座側への投影面積よりも小さく、プレート部材の厚みをL、プレート部材の径をDとすると、L/D≧0.4である。
【0013】
このように、プレート部材の厚みをL、プレート部材の径をDとすると、L/D≧0.4としたことにより、圧力制御室の高圧燃料からプレート部材が可動部材側に力を受けても、プレート部材が可動部材側に凸状に変形することを抑制できる。これにより、可動部材と平面弁座との接触箇所の摩耗を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の燃料噴射装置の構成を示す断面図。
【
図4】ボール弁と平面弁座との周囲の構成を示す断面図。
【
図10】プレート部材の厚みと変形量との関係を示す特性図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す燃料噴射装置10は、ECU2から出力される駆動電流により作動する。ECUは、Electronic Control Unitの略である。
【0016】
ECU2は、エンジン負荷、エンジン回転数等のエンジン運転状態に基づいて、目標噴射量を算出する。そして、ECU2は、コモンレール4から燃料噴射装置10に供給される高圧燃料の圧力に応じて、目標噴射量に相当する噴射時間を算出する。ECU2は、算出した噴射時間に応じて、燃料噴射開始までの遅れ時間と燃料噴射終了までの遅れ時間を考慮した通電時間で燃料噴射装置10に駆動電流を供給する。
【0017】
燃料噴射装置10は、ホルダ12と、プレート部材14と、ノズルボディ16と、保持ナット18と、ニードル20と、電磁弁30と、を備える。プレート部材14とノズルボディ16とは、保持ナット18によりホルダ12に組み付けられている。
【0018】
ノズルボディ16内には、ニードル20が軸方向に往復移動可能に収容されている。噴孔16aは、高圧燃料を噴射するためにノズルボディ16の先端に形成されている。
ニードル20がノズルボディ16に形成された弁座16bから離座すると、噴孔16aが開いて燃料が噴射される。ニードル20が弁座16bに着座すると、噴孔16aが閉じて燃料噴射が終了する。
【0019】
噴孔16aに高圧燃料を供給するために、燃料入口200、高圧通路202、204、206が形成されている。燃料入口200と高圧通路202とはホルダ12に形成されている。高圧通路204はプレート部材14に形成されている。高圧通路206は、ノズルボディ16とニードル20との間に形成されている。
【0020】
電磁弁30は、プレート部材14と、ソレノイドコイル32と、ピストン34と、ボール弁36と、スプリング38と、を備える。
ソレノイドコイル32には、コネクタ40のターミナル42を介してECU2から駆動電流が供給される。ソレノイドコイル32に駆動電流が供給されて電磁力が発生するとピストン34が吸引されることにより、ボール弁36はプレート部材14に形成されている平面弁座50から離座する。ボール弁36は、セラミックまたは超硬合金で形成されており、平面弁座50に着座して平面弁座50と平面同士で接触する平面部60を備える。
【0021】
ソレノイドコイル32への駆動電流の供給が遮断されると、スプリング38の荷重によりピストン34が押し下げられ、ボール弁36が平面弁座50に接触して着座する。ボール弁36および平面弁座50と、その周囲とに関する電磁弁30の構成の詳細については後述する。
【0022】
図1および
図2に示すように、プレート部材14のノズルボディ16側には円筒部材70が固定されている。ニードル20の上端部は円筒部材70内に移動可能に挿入されており、ニードル20は
図1の上下方向に移動可能となっている。上方向は、燃料噴射装置10の軸方向においてニードル20が弁座16bから離座して噴孔16aを開く方向である。下方向は、燃料噴射装置10の軸方向においてニードル20が弁座16bに着座して噴孔16aを閉じる方向である。
【0023】
円筒部材70の内周壁とプレート部材14の下端面とニードル20の上端面とで囲まれた空間は、圧力制御室210を形成している。
プレート部材14には、高圧通路202から分岐して圧力制御室210に高圧燃料を供給する高圧通路212と、圧力制御室210から燃料を排出する排出通路214とが形成されている。
【0024】
排出通路214は、大径通路216とオリフィス218と受圧室220とを備える。大径通路216は、オリフィス218から圧力制御室210側に向けて、燃料噴射装置10の中心軸に近づくように傾斜して形成されている。オリフィス218は大径通路216の平面弁座50側に形成され、大径通路216よりも小径である。
【0025】
受圧室220は、オリフィス218の出口側、言い換えればボール弁36と向かい合う側のプレート部材14に形成されており、大径通路216よりも小径で、オリフィス218よりも大径である。ボール弁36が平面弁座50に着座した状態で、ボール弁36は、受圧室220の燃料圧力により平面弁座50から離座する方向に力を受ける。
【0026】
高圧通路212の下流側、つまり圧力制御室210側には、燃料の流れを絞るためのオリフィス230が形成されている。さらに、オリフィス230の下流側には、環状の高圧ポート232が形成されている。
【0027】
圧力制御室210には、円盤状の可動プレート72が上下方向に移動自在に収容されている。可動プレート72は、可動プレート72の上端面、つまりプレート部材14側の面が燃料圧力から受け力と、可動プレート72の下端面、つまり圧力制御室210側の面が圧力制御室210の燃料圧力から受け力と、の差により上下方向に移動する。
【0028】
可動プレート72の上端面がプレート部材14の下端面に当接すると、高圧ポート232が閉じられるので、高圧通路212からオリフィス230、高圧ポート232を通って圧力制御室210に高圧燃料が供給されなくなる。
【0029】
可動プレート72の上端面がプレート部材14の下端面から離れて高圧ポート232が開くと、高圧通路212からオリフィス230、高圧ポート232を通って高圧燃料が圧力制御室210に供給される。
【0030】
可動プレート72には、排出通路214と圧力制御室210とを連通する貫通孔234が形成されている。貫通孔234の下流側、つまり排出通路214と向き合う側には、燃料の流れを制限するオリフィス236が形成されている。
【0031】
以上の構成によれば、可動プレート72がプレート部材14に接触して高圧ポート232が閉じられた状態で、圧力制御室210は貫通孔234、オリフィス236を介して排出通路214に連通している。
【0032】
以下、
図3~
図6に基づいて、電磁弁30の構成について説明する。
図3に示すように、プレート部材14の上端面に形成された平面弁座50には、第1の座面52と第2の座面54とが形成されている。第1の座面52は、平面弁座50に開口する受圧室220の開口50aの周囲に環状に形成されている。第1の座面52の外周には、第1の座面52よりも凹んだ環状の溝により燃料逃がし通路250が形成されている。燃料逃がし通路250の外周には、第1の座面52と同じ高さの第2の座面54が周方向に等間隔に4個形成されている。
【0033】
周方向に隣り合う第2の座面54と第2の座面54との間には、燃料逃がし通路250から径方向外側に向けて延びる燃料逃がし通路252が90°間隔で形成されている。
ボール弁36の平面部60は、
図3の点線で示す範囲で平面弁座50に着座して接触する。したがって、ボール弁36が平面弁座50に着座した状態で、燃料逃がし通路250、252は低圧側である低圧通路240と連通している。
【0034】
図3と
図4とに示すように、第1の座面52のシート径をa、受圧室220の径をb、大径通路216の径をc、燃料噴射装置10の軸に対して大径通路216の傾斜開度をθとする。
【0035】
図3の点線に示すように、ボール弁36の平面部60が平面弁座50に着座しているときに、平面部60と第1の座面52との接触箇所は、高圧の受圧室220と低圧の燃料逃がし通路250とに挟まれている。
【0036】
したがって、
図5において、ボール弁36が受圧室220から燃料圧力を受ける受圧面、つまり平面部60の受圧面の一点鎖線で示される平均径Dは、次式(1)で表される。
D=b+(a-b)/2 ・・・(1)
したがって、式(1)の平均径で表されるボール弁36の受圧面積S1は次式(2)で表される。
【0037】
S1=π(D/2)
2
=π((b+(a-b)/2)/2)
2
=π(b+(a-b)/2)
2/4 ・・・(2)
図6に示すように、傾斜している大径通路216の平面弁座50側への投影面の形状は、楕円形状になる。この楕円形状の投影面積をS2とすると、S2は次式(3)で表される。
【0038】
S2=π(c/2)×(c/2cosθ)
S2=πc2/4cosθ ・・・(3)
本実施形態では、S1<S2となるように、第1の座面52のシート径a、受圧室220の径b、排出通路214の径c、排出通路214の傾斜開度θが設定されている。
【0039】
オリフィス218を挟んだS1<S2となる面積差により、
図7に示すように、受圧室220と排出通路214との間に形成されるプレート部材14の段部56は、ボール弁36側に向かう力を受ける。その結果、平面弁座50に開口する受圧室220の開口50aは、ボール弁36に向かって変形する。この場合、ボール弁36が圧力制御室210側から燃料圧力を受ける受圧面積は、開口50aが変形する前後で変化しない。
【0040】
これに対し、S1>S2となるように、第1の平面弁座50のシート径a、受圧室220の径b、排出通路214の径c、排出通路214の傾斜開度θが設定されている場合について、考察する。
【0041】
この場合、
図8に示すように、受圧室220と排出通路214との間に形成されるプレート部材14の段部56は、ボール弁36から離れる方向に力を受ける。その結果、受圧室220の開口50aは、ボール弁36から離れる方向に変形し、ボール弁36が圧力制御室210側から燃料圧力を受ける受圧面積は大きくなる。
【0042】
すると、ボール弁36が圧力制御室210側の燃料圧力から受ける力が大きくなるので、ボール弁36が平面弁座50に着座した状態でのシート性が低下する恐れがある。
したがって、本実施形態のように、S1<S2とすることが、シート性の点で有利である。
【0043】
また、
図9に示すように、プレート部材14は圧力制御室210側の燃料圧力により、ボール弁36側に力を受け、ボール弁36側に凸状に変形する。すると、ボール弁36と、平面弁座50の凸状部分である受圧室220の開口50aとが接触して、開口50aが摩耗する。
【0044】
燃料圧力が高圧の場合は、開口50aの摩耗箇所にボール弁36が接触するので、シール性の悪化は抑制される。
しかし、エンジンの運転状態に応じて燃料圧力が低下すると平面弁座50の変形が低下するので、高圧時にボール弁36と接触していた開口50aがボール弁36と接触しなくなる。その結果、ボール弁36が受圧室220から燃料圧力を受ける受圧面積が大きくなるので、シール性が悪化する恐れがある。
【0045】
図10に示すように、同じコモンレール圧に対し、プレート部材14の厚みが薄くなるにしたがい、プレート部材14がボール弁36側に凸状に変形する変形量は大きくなる。シート性を保持するためのプレート部材14の変形量の境界は、平面弁座50で想定されている面粗度の0.3μmである。そして、コモンレール圧として、200MPa以上が想定されている。
【0046】
プレート部材14の径を17mmとした場合、コモンレール圧=200MPa、変形量=0.3μmとなるのは、プレート部材14の厚み=7.2mmのときである。したがって、プレート部材14の径を17mmの場合に、シート性を保持するために必要なプレート部材14の厚みは7.2mm以上である。
【0047】
7.2/17≒0.4であるから、
図2に示すように、プレート部材14の径をD、プレート部材14の厚みをLとすると、本実施形態では、シート性を保持するためにL/D≧0.4に設定する。
【0048】
[1-2.作動]
ソレノイドコイル32に駆動電流が供給されると、スプリング38の荷重に抗してピストン34とともにボール弁36がリフトして平面弁座50から離座するので、排出通路214の燃料が低圧通路240に排出される。
【0049】
すると、可動プレート72のプレート部材14側の燃料圧力が低下し、可動プレート72が上方向に移動してプレート部材14の下端面に接触するので、高圧ポート232が閉じられ、高圧通路212から圧力制御室210に高圧燃料が供給されなくなる。
【0050】
これにより、圧力制御室210の燃料圧力が低下するので、圧力制御室210の燃料圧力からニードル20に対して噴孔16aを閉じる方向に加わる力が低下する。すると、ニードル20が、圧力制御室210の燃料圧力から受ける力とスプリング74の荷重との合計により噴孔16aを閉じる方向に受ける力よりも、高圧燃料通204、206の燃料圧力から噴孔16aを開放する方向に受ける力の方が大きくなる。
【0051】
これにより、ニードル20が弁座16bから離座し噴孔16aが開放されるので、噴孔16aから燃料が噴射される。
ソレノイドコイル32への駆動電流の供給を遮断すると、スプリング38の荷重によりピストン34が押し下げられ、ボール弁36が平面弁座50に着座するので、排出通路214の燃料が低圧通路240に排出されなくなる。
【0052】
すると、高圧通路212から供給される燃料の圧力により可動プレート72のプレート部材14側の燃料圧力が上昇するので、可動プレート72は下方向に移動してプレート部材14の下端面から離れる。
【0053】
これにより、高圧ポート232が開放され、可動プレート72の外周面と円筒部材70の内周面との間を通り、高圧通路212から圧力制御室210に高圧燃料が供給されるので、圧力制御室210の燃料圧力が上昇する。
【0054】
すると、ニードル20が、圧力制御室210の燃料圧力から受ける力とスプリング74の荷重との合計により噴孔16aを閉じる方向に受ける力が、高圧燃料通204、206の燃料圧力から噴孔16aを開放する方向に受ける力よりも大きくなる。
【0055】
これにより、ニードル20が弁座16bに着座し噴孔16aが閉じられるので、噴孔16aからの燃料噴射は遮断される。
以上説明した第1実施形態では、ニードル20が弁部材に対応し、ボール弁36が可動部材に対応し、オリフィス218が小径通路に対応応する。
【0056】
[1-3.効果]
以上説明した第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1a)ボール弁36の平面部60が平面弁座50に接触した状態でボール弁36が圧力制御室210から燃料圧力を受ける受圧面積は、大径通路216の平面弁座50側への投影面積よりも小さい。
【0057】
この面積差により、プレート部材14の段部56はボール弁36側に力を受けるので、受圧室220の開口50aの周囲は、ボール弁36側に変形する。これにより、ボール弁36の平面部60が圧力制御室210から燃料圧力を受ける面積は、受圧室220の開口50aの面積よりも大きくなることを抑制される。したがって、ボール弁36の平面部60が平面弁座50に接触した状態で、シート性の低下を抑制できる。
【0058】
(1b)プレート部材14の厚みをL、プレート部材14の径をDとすると、L/D≧0.4としたことにより、圧力制御室210側からプレート部材14が高圧を受けても、プレート部材14がボール弁36側に凸状に変形することを抑制できる。これにより、ボール弁36と平面弁座50との接触箇所の摩耗を抑制できる。
【0059】
(1c)オリフィス218よりも大径の受圧室220を平面弁座50に開口させたことにより、受圧室220を形成しない構成よりも、平面部60が平面弁座50から離座するときに、平面部60と第1の座面52との間に形成される流路面積が増加する。
【0060】
これにより、ボール弁36が平面弁座50から離座するときに、圧力制御室210から速やかに燃料が低圧通路240に排出され、圧力制御室210の燃料圧力が速やかに低下する。その結果、ニードル20が弁座16bから速やかに離座するので、燃料噴射装置10が開弁するときの噴射率が速やかに上昇する。
【0061】
(1d)平面弁座50は、平面部60が着座して平面部60と平面同士で接触する範囲内に、低圧通路240と連通する燃料逃がし通路250、252を備える。これにより、燃料逃がし通路250、252が形成されていない場合よりも、平面部60と平面弁座50とが平面同士で接触する面積は小さくなる。
【0062】
その結果、平面部60と平面弁座50とが平面同士で接触している箇所に入り込んだ高圧燃料によりボール弁36が平面弁座50から離座する方向に受ける力が減少する。これにより、ソレノイドコイル32への駆動電流の供給を遮断した状態で、平面部60が平面弁座50に着座した状態を保持するためのスプリング38の荷重を小さくすることができる。
【0063】
また、スプリング38の荷重が小さくなるので、スプリング38の荷重に抗してボール弁36を平面弁座50から離座させるために必要な電磁力を小さくできる。これにより、電磁弁30を小型化できる。
【0064】
[2.第2実施形態]
[2-1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0065】
前述した第1実施形態では、排出通路214は、燃料噴射装置10の軸に対して傾斜していた。これに対し、第2実施形態では、
図11に示すように、排出通路214は、燃料噴射装置10の軸に沿っている点で、第1実施形態と相違する。
【0066】
この場合、大径通路216の平面弁座50側への投影面の形状は円形状になる。この円の面積をS2とすると、S2は次式(4)で表さされる。
S2=(c/2)2 ・・・(4)
ボール弁36の受圧面積S1は、第1実施形態の式(2)と同じである。そして、第2実施形態においても、S1<S2となるように設定されている。
【0067】
また、プレート部材14の径をD、プレート部材14の厚みをLとすると、シート性を保持するためにL/D≧0.4に設定されている。
[2-2.効果]
以上説明した第1実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)~(1d)と同様の効果を得ることができる。
【0068】
[3.第3実施形態、第4実施形態]
[3-1.第2実施形態との相違点]
第3実施形態および第4実施形態は、基本的な構成は第2実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第2実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0069】
前述した第2実施形態では、大径通路216は圧力制御室210とオリフィス218との間で同一径であった。これに対し、第3実施形態では、
図12に示すように、大径通路216の径が、オリフィス218側から圧力制御室210側に向かうにしたがい小さくなっている点で、第2実施形態と相違する。ただし、大径通路216の最小径は、オリフィス218の径よりも大きい。
【0070】
また、前述した第2実施形態では、大径通路216は圧力制御室210からオリフィス218側に同じ径で形成されていた。これに対し、第4実施形態では、
図13に示すように、大径通路216は圧力制御室210とオリフィス218との間に部分的に形成されている点で、第2実施形態と相違する。
【0071】
また、第2実施形態では、受圧室220の内周面は凹曲面状に形成されていた。これに対し、第4実施形態では、受圧室220の内周面がテーパ面状に形成されている点で、第2実施形態と相違する。
【0072】
第3実施形態および第4実施形態においても、ボール弁36の受圧面積S1と、大径通路216の平面弁座50側への投影面積S2とは、S1<S2となるように設定されている。
【0073】
また、プレート部材14の径をD、プレート部材14の厚みをLとすると、シート性を保持するためにL/D≧0.4に設定されている。
[3-2.効果]
以上説明した第3実施形態および第4実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)~(1d)と同様の効果を得ることができる。
【0074】
[4.第5実施形態]
[4-1.第1実施形態との相違点]
第5実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0075】
前述した第1実施形態では、オリフィス218の平面弁座50側に、オリフィス218よりも大径で、大径通路216よりも小径の受圧室220が形成されていた。これに対し、第6実施形態では、
図14に示すように、オリフィス218の平面弁座50側に受圧室220が形成されず、オリフィス218が直接、平面弁座50に開口している点で、第1実施形態と相違する。
【0076】
この構成では、
図14に示すように、オリフィス218の径をdとすると、平面部60がオリフィス218から燃料圧力を受ける受圧面の平均径Dは、次式(5)で表される。
D=d+(a-d)/2 ・・・(5)
したがって、第1実施形態の式(2)においてbをdに置き換えた次式(6)でボール弁36の受圧面積S1は表される。
【0077】
S1=π(d+(a-d)/2)2/4 ・・・(6)
この構成でも、ボール弁36の受圧面積S1と、大径通路216の平面弁座50側への投影面積S2とは、S1<S2となるように設定されている。
【0078】
また、プレート部材14の径をD、プレート部材14の厚みをLとすると、シート性を保持するためにL/D≧0.4に設定されている。
[4-2.効果]
以上説明した第5実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)、(1b)、(1d)と同様の効果を得ることができる。
【0079】
[5.第6実施形態]
[5-1.第1実施形態との相違点]
第6実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0080】
前述した第1実施形態では、プレート部材14に受圧室220が形成されていた。これに対し、第6実施形態では、
図15に示すように、ボール弁80に受圧室220が形成されている点で、第1実施形態と相違する。
【0081】
この構成では、
図15に示すように、ボール弁80形成された受圧室222の径をeとすると、平面部60がオリフィス218から燃料圧力を受ける受圧面の平均径Dは、次式(7)で表される。
【0082】
D=e+(a-e)/2 ・・・(7)
したがって、第1実施形態の式(2)においてbをeに置き換えた次式(8)でボール弁80の受圧面積S1は表される。
【0083】
S1=π(e+(a-e)/2)2/4 ・・・(8)
この構成でも、ボール弁36の受圧面積S1と、大径通路216の平面弁座50側への投影面積S2とは、S1<S2となるように設定されている。
【0084】
また、プレート部材14の径をD、プレート部材14の厚みをLとすると、シート性を保持するためにL/D≧0.4に設定されている。
以上説明した第6実施形態では、ボール弁80が可動部材に対応する。
【0085】
[5-2.効果]
以上説明した第6実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)~(1d)と同様の効果を得ることができる。
【0086】
[6.第7実施形態]
[6-1.第1実施形態との相違点]
第7実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0087】
前述した第1実施形態では、平面弁座50に燃料逃がし通路250、252が形成されていた。これに対し、第7実施形態では、
図16に示すように、ボール弁90の平面部92に燃料逃がし通路250、252が形成されている点で、第1実施形態と相違する。
【0088】
図16に示すように、平面部92には、第1の平面94と第2の平面96とが形成されている。第1の平面94は環状に形成されている。第1の平面94の外周には、第1の平面94よりも凹んだ環状の溝により燃料逃がし通路250が形成されている。燃料逃がし通路250の外周には、第1の平面94と同じ高さの第2の平面96が周方向に等間隔に4個形成されている。
【0089】
周方向に隣り合う第2の平面96と第2の平面96との間には、燃料逃がし通路250から径方向外側に向けて延びる燃料逃がし通路252が90°間隔で形成されている。
図17に示すように、ボール弁90の平面部92が平面弁座100に着座する範囲内には、燃料逃がし通路250、252は形成されていない。
【0090】
この構成では、
図16に示すように、第1の平面94のシート径をf、受圧室220の径をb、とすると、第1の平面94が受圧室220から燃料圧力を受ける受圧面の平均径Dは、次式(9)で表される。
【0091】
D=f+(f-b)/2 ・・・(9)
したがって、第1実施形態の式(2)においてaをfに置き換えた次式(10)でボール弁90の受圧面積S1は表される。
【0092】
S1=π(f+(f-b)/2)2/4 ・・・(10)
この構成でも、ボール弁90の受圧面積S1と、大径通路216の平面弁座50側への投影面積S2とは、S1<S2となるように設定されている。
【0093】
そして、ボール弁90の受圧面積S1と、大径通路216の平面弁座100側への投影面積S2とは、S1<S2となるように設定されている。
また、プレート部材14の径をD、プレート部材14の厚みをLとすると、シート性を保持するためにL/D≧0.4に設定されている。
【0094】
以上説明した第7実施形態では、ボール弁90が可動部材に対応する。
[6-2.効果]
以上説明した第7実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果(1a)~(1d)と同様の効果を得ることができる。
【0095】
[7.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0096】
(7a)前述した実施形態では、電磁弁30の可動部材としてボール弁36、80、90を使用したが、これに限定されるものではない。可動部材が平面弁座50、100と平面同士で接触するのであれば、例えば、可動部材はプレート状でもよい。
【0097】
(7b)前述した実施形態では、ボール弁36、80と平面同士で接触する平面弁座50、あるいは、平面弁座100と平面同士で接触するボール弁90の平面部92に、低圧通路240と連通する燃料逃がし通路250、252を形成した。これに対し、燃料逃がし通路を形成しない構成でもよい。
【0098】
(7c)前述した実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、前述した実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、前述した実施形態の構成の少なくとも一部を、他の前述した実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。
【0099】
(7d)前述した燃料噴射装置10の他、当該燃料噴射装置10を構成要素とするシステムなど、種々の形態で本開示を実現することもできる。
[本明細書が開示する技術思想]
【0100】
[項目1]
コモンレール(4)で蓄圧された高圧燃料を内燃機関に噴射する燃料噴射装置(10)であって、
蓄圧された高圧燃料を噴孔(16a)に供給可能な高圧通路(202、204、206)と前記噴孔との間を断続する弁部材(20)と、
前記弁部材の前記噴孔と反対側に設けられ、前記高圧通路から供給される燃料の圧力により前記噴孔を遮断する方向に前記弁部材に力を加える圧力制御室(210)と低圧側との間を断続する電磁弁(30)と、
を備え、
前記電磁弁は、平面弁座(50、100)と前記平面弁座に開口して前記圧力制御室の燃料を低圧側に排出可能な排出通路(214)とが形成されたプレート部材(14)と、前記平面弁座と平面同士で接触可能な平面部(60、82、92)が形成された可動部材(36、80、90)と、を備え、前記平面部が前記平面弁座から離座することにより前記圧力制御室の燃料が前記排出通路から低圧側に排出され、前記平面部が前記平面弁座に着座することにより前記排出通路と低圧側との間が遮断され、
前記排出通路は、大径通路(216)と、前記大径通路から前記平面弁座に向かい前記大径通路よりも小径の小径通路(218)と、を備え、
前記平面部が前記平面弁座に着座した状態で前記可動部材が前記排出通路を介して前記圧力制御室から燃料圧力を受ける受圧面積は、前記大径通路の前記平面弁座側への投影面積よりも小さく、
前記プレート部材の厚みをL、前記プレート部材の径をDとすると、L/D≧0.4である、
燃料噴射装置。
【0101】
[項目2]
項目1に記載の燃料噴射装置であって、
前記排出通路は、前記小径通路の前記大径通路と反対側で前記平面弁座に開口して前記小径通路よりも大径で前記大径通路よりも小径な受圧室(220)を備える、
燃料噴射装置。
【0102】
[項目3]
項目1に記載の燃料噴射装置であって、
前記小径通路よりも大径で前記大径通路よりも小径で、前記平面弁座に面して開口する受圧室(222)が前記可動部材(80)の前記平面部(82)に形成されている、
燃料噴射装置。
【0103】
[項目4]
項目1から3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、
前記平面弁座(50)は、前記平面部が着座して前記平面部と前記平面同士で接触することにより前記排出通路と低圧側との間を遮断する第1の座面(52)と、前記第1の座面よりも径方向外側に形成され前記第1の座面とともに前記平面部が着座して前記平面部と前記平面同士で接触する第2の座面(54)と、前記第1の座面と前記第2の座面との間に形成され低圧側と連通する燃料逃し通路(250、252)と、を備える、
燃料噴射装置。
【0104】
[項目5]
項目1から3のいずれか1項に記載の燃料噴射装置であって、
前記平面部(92)は、前記平面弁座に着座して前記平面弁座と前記平面同士で接触することにより前記排出通路と低圧側との間を遮断する第1の平面(94)と、前記第1の平面よりも径方向外側に形成され前記第1の平面とともに前記平面弁座に着座して前記平面弁座と前記平面同士で接触する第2の平面(96)と、前記第1の平面と前記第2の平面との間に形成され低圧側と連通する燃料逃し通路(250、252)と、を備える、
燃料噴射装置。
【符号の説明】
【0105】
4:コモンレール、10:燃料噴射装置、14:プレート部材、16a:噴孔、20:ニードル(弁部材)、30:電磁弁、36、80、90:ボール弁(可動部材)、50、100:平面弁座、52:第1の座面、54:第2の座面、60、82、92:平面部、94:第1の平面、96:第2の平面、202、204、206:高圧通路、210:圧力制御室、214:排出通路、216:大径通路、218:オリフィス(小径通路)、220、222:受圧室、250、252:燃料逃がし通路