(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110733
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】制御方法
(51)【国際特許分類】
G06K 19/07 20060101AFI20240808BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240808BHJP
G06K 17/00 20060101ALI20240808BHJP
G01S 5/02 20100101ALN20240808BHJP
【FI】
G06K19/07 110
G06K19/07 230
G06K7/10 268
G06K17/00 022
G01S5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015500
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 健
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062BB05
5J062CC11
5J062HH09
(57)【要約】
【課題】電池を使用することなく位置を把握可能な技術を提供する。
【解決手段】信号送信装置は、身体の作用により発電する発電装置によって発電し、発電された電力が供給されることにより動作可能となるとともに、所定の識別情報を示す信号を送信し、前記信号受信装置は、前記信号送信装置から受信した信号に示される識別情報と、当該識別情報を受信した時刻とを記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号送信装置と、前記信号送信装置から送信される信号を受信する複数の信号受信装置とを含む信号送受信システムの制御方法であって、
前記信号送信装置は、
身体の作用により発電する発電装置によって発電し、
発電された電力が供給されることにより動作可能となるとともに、所定の識別情報を示す信号を送信し、
前記信号受信装置は、
前記信号送信装置から受信した信号に示される識別情報と、当該識別情報を受信した時刻とを記憶する、制御方法。
【請求項2】
前記信号送受信システムは、前記信号受信装置と通信可能な管理装置をさらに含み、
前記信号受信装置は、当該信号受信装置を特定するための特定情報と、前記識別情報と、当該識別情報を受信した時刻とを含む特定識別情報を前記管理装置に送信する請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記管理装置は、前記信号受信装置のうちの予め定められた前記信号受信装置から前記特定識別情報を受信した場合には、警告を発する請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記管理装置は、一の前記信号送信装置から前記識別情報を受信した時刻と、前記一の前記信号送信装置から前記識別情報を受信した前記信号受信装置を示す特定情報とを表示する請求項2に記載の制御方法。
【請求項5】
前記発電装置は、身体の作用により生じる振動によって発電する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児や子供、また認知症を患った徘徊老人などが迷子になってしまった際など、何も手掛かり無く探すことは容易ではない。そのため数々の技術が考案されている。こうした技術として、例えば電子タグを備えた親機と子機及びサーバの間で通信して位置を把握する技術や、電波センサー等を靴に埋め込めるようにした技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、電池の装着や、バッテリーの充電が必要である。そのため、通信が必要となった場合に電池切れのときは、通信を行うことができない。また、従来技術では、電池交換や充電となどのメンテナンス費用が発生する。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、電池を使用することなく位置を把握可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の制御方法は、信号送信装置は、身体の作用により発電する発電装置によって発電し、発電された電力が供給されることにより動作可能となるとともに、所定の識別情報を示す信号を送信し、前記信号受信装置は、前記信号送信装置から受信した信号に示される識別情報と、当該識別情報を受信した時刻とを記憶する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図13】位置把握システムの制御方法を示すシーケンス図。
【
図14】履歴一覧を表示するための処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の制御方法では、在電池を使用することなく位置を把握可能となる。以下、実施形態の制御方法について詳細に説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る位置把握システム10の全体構成を示す図である。位置把握システム10は、管理装置100、信号送信装置200、および信号受信装置300-1、…、300-N(Nは1以上の整数)で構成される。以下の説明において、信号受信装置300-1、…、300-Nのそれぞれを特に区別しない場合には、信号受信装置300と表現する。
【0010】
図1において、信号送信装置200は、人の足に装着されている。装着される人は、例えば子供や老人などを想定している。信号送信装置200は、例えば950MHz帯を使用し、通信可能な距離が数メートルから数百メートルにおよぶアクティブRFIDタグであり、信号受信装置300は、アクティブRFIDタグが送信した信号を受信するRFIDリーダである。管理装置100と信号受信装置300は、ネットワークNWにより通信可能である。ネットワークNWは、インターネット、携帯電話回線、およびLANなどで構成される。
【0011】
図2は、信号受信装置300の配置例を示す図である。
図2には、白丸で示される信号受信装置300(領域内受信装置)と、黒丸で示される信号受信装置300(領域外受信装置)と、領域とが示されている。領域は、例えば施設(遊園地、テーマパーク、介護施設など)内などを示す。領域内には、領域内受信装置が設置され、領域外には領域外受信装置が設置される。領域外受信装置は、領域内に存在する信号送信装置200が送信する信号は受信できない距離に設置されているものとする。この場合、領域外受信装置によって信号が受信された場合には、領域外に人が移動したことを示す。よって、
図2に示される配置例によれば、人が領域外に存在することを検出することができる。
【0012】
図3は、信号送信装置200の構成例を示す図である。
図2において、信号送信装置200は、振動発電部210および信号送信部220で構成される。振動発電部210は、身体の作用により、電磁誘導、静電誘導、逆磁歪効果、または圧電効果を用いて発電し、信号送信部220に電力を供給する。信号送信部220は、電力が供給されると動作可能となるとともに、所定の識別情報を示す信号を送信する。所定の識別情報は、信号送信装置200の各々に一意に割り当てられた識別情報である。以下の説明において、所定の識別情報を「送信装置ID」と表現する。送信装置IDは、信号送信装置200に予め記憶されている。
【0013】
図4、
図5は、信号送信装置200の装着例を示す図である。
図4は、信号送信装置200を靴に装着した装着例を示す図である。靴底に、圧電素子で構成される振動発電部210を設ける。この場合、人が歩くたびなど、人の作用が靴に及ぼされるたびに発電されることとなるため、その都度送信装置IDが送信される。
【0014】
図5は、信号送信装置200をキーホルダーに装着した装着例を示す図である。人が装着するキーホルダーに、電磁誘導や静電誘導によって発電する振動発電部210を設ける。この場合、人の作用によってキーホルダーが動くたびなど、人の作用がキーホルダーに及ぼされるたびに発電されることとなるため、その都度送信装置IDが送信される。
【0015】
図6は、信号受信装置300の構成例を示す図である。信号受信装置300は、信号受信部310、転送部320、およびデータベース330で構成される。信号受信部310は、信号送信装置200から送信された、送信装置IDを示す信号を受信する。信号受信部310は、送信装置IDを転送部320に出力する。転送部320は、管理装置100に、受信装置IDと、送信装置IDと、受信日時とを送信する。ここで、受信装置IDは、信号受信装置300を特定するための特定情報の一例であり、信号受信装置300ごとに一意に割り当てられている。受信装置IDは、信号受信装置300に予め記憶されている。このように、信号受信装置300は、当該信号受信装置300を特定するための特定情報と、送信装置IDと、当該送信装置IDを受信した受信日時とを含む特定識別情報を管理装置100に送信する。
【0016】
データベース330には、受信データベースが記憶される。
図7は、受信データベースの一例を示す図である。受信データベースは、送信装置IDと受信日時とで構成される。送信装置IDは、信号受信装置300が受信した送信装置IDを示す。受信日時は、送信装置IDを受信した日時(yyyymmddhhmm)を示す。
図7では、送信装置IDが「33475」のみ示されているが、受信した送信装置IDごとに記憶される。
【0017】
図8は、管理装置100の構成例を示す図である。管理装置100は、受信部401、警告部402、警告判定部403、検索部404、および表示部405で構成される。受信部401は、各信号受信装置300から特定識別情報を受信する。警告部402は、信号受信装置300のうちの予め定められた信号受信装置300から特定識別情報を受信した場合には、警告を発する。ここで、予め定められた信号受信装置300は、例えば
図2に示した領域外受信装置である。その場合の警告は、領域外で人を検出したという警告である。警告判定部403は、特定識別情報を受信した信号受信装置300が、予め定められた信号受信装置300が否かを判定する。以下の説明において「予め定められた信号受信装置300」を上述した領域外受信装置と表現することがある。また、「予め定められた信号受信装置300」以外の信号受信装置300を上述した領域内受信装置と表現することがある。
【0018】
検索部404は、ユーザにより指定された、一の信号送信装置200から送信装置IDを受信した時刻と、一の信号受信装置200から送信装置IDを受信した信号受信装置300を示す特定情報とを示す履歴一覧を表示するために、データベース406を検索する。表示部405は、上述した警告や履歴一覧を表示する。
【0019】
データベース406は、送受信データベースと、連絡先データベースと、受信装置データベースとを記憶する。
図9は、送受信データベースの一例を示す図である。送受信データベースは、受信装置IDと、送信装置IDと、受信日時とで構成される。受信装置IDは、特定識別情報を送信した信号受信装置300を示す受信装置IDである。送信装置IDは、特定識別情報に示される送信装置IDである。受信日時は、特定識別情報に示される送信装置IDである。これにより、信号送信装置200の位置が受信装置IDで示される信号受信装置300によって電波が受信可能な位置であることがわかる。
【0020】
図10は、連絡先データベースの一例を示す図である。連絡先データベースは、送信装置IDと、氏名と、連絡先とで構成される。送信装置IDは氏名に示される人に装着された信号受信装置300の送信装置IDを示す。連絡先は、氏名に示される人の関係者(例えば保護者)の連絡先である。
図10では、一例として電話番号を示しているが、メールアドレスなど、連絡可能な情報であればよい。
【0021】
図11は、受信装置データベースの一例を示す図である。受信装置データベースは、受信装置IDと、位置情報と、領域内とで構成される。位置情報は、受信装置IDに示される信号受信装置300の位置を示す。位置は、例えば
図11に示されるように(東経、北緯)などで示される。領域内は、受信装置IDに示される信号受信装置300が領域内の信号受信装置300か否かを示す。領域内の信号受信装置300の場合には「〇」で示され、領域外の信号受信装置300の場合には「×」で示される。「×」で示される信号受信装置300は、領域外受信装置である。
【0022】
図12は、表示部405によって表示された警告画面500の一例を示す図である。警告画面500には、検出日時と、受信装置IDと、送信装置IDと、氏名と、連絡先とが表示される。検出日時は、受信装置IDに示される信号受信装置300によって信号が受信された日時(yyyymmddhhmm)を示す。受信装置IDは、信号を受信した信号受信装置300を示す。送信装置IDは、受信装置IDに示される信号受信装置300によって受信された信号を送信した信号送信装置200を示す。氏名は、送信装置IDが示す信号送信装置200を装着した人の氏名を示す。連絡先は、氏名に示される人の関係者の連絡先である。
【0023】
これにより領域外に人が移動した場合に、その人の氏名、連絡先が直ちに分かるため、関係者に連絡することが可能となる。また、受信装置IDから位置が得られるため、どの辺に人が位置するかも把握することができる。なお、位置については、受信装置データベースによって東経と北緯を取得できるため、位置を地図上に表示してもよい。
【0024】
上述した
図6、
図8に示される各機能は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0025】
図13は、位置把握システム10の制御方法を示すシーケンス図である。
図13においては、信号受信装置300-1は領域内受信装置とし、信号受信装置300-Nは領域外受信装置とする。信号送信装置200は、人の作用により発電することで(ACT101)、送信装置IDを送信する(ACT102)。信号受信装置300-1は、送信装置IDを受信すると、送信装置IDと受信日時とを受信データベースに記憶する(ACT103)。
【0026】
信号受信装置300-1は特定識別情報を管理装置100に送信する(ACT104)。管理装置100は、特定識別情報を送受信データベースに記憶する(ACT105)。管理装置100は、受信した特定識別情報に含まれる受信装置IDで受信装置データベースを検索することで、受信装置IDが示す信号受信装置300-1が領域内受信装置か否かを判定する(ACT106)。上述したように、信号受信装置300-1は領域内受信装置であるので、判定結果はOKとなる(ACT107)。
【0027】
信号受信装置300-Nが信号を受信可能な位置に人が移動したものとする。信号送信装置200は、人の作用により発電することで(ACT108)、送信装置IDを送信する(ACT109)。信号受信装置300-Nは、送信装置IDを受信すると、送信装置IDと受信日時とを受信データベースに記憶する(ACT110)。
【0028】
信号受信装置300-Nは特定識別情報を管理装置100に送信する(ACT111)。管理装置100は、特定識別情報を送受信データベースに記憶する(ACT112)。管理装置100は、受信した特定識別情報に含まれる受信装置IDで受信装置データベースを検索することで、受信装置IDが示す信号受信装置300-Nが領域内受信装置か否かを判定する(ACT113)。上述したように、信号受信装置300-Nは領域外受信装置であるので、判定結果はNGとなる(ACT114)。判定結果がNGとなったため、管理装置100は、
図12に示した警告画面を表示する(ACT115)。
【0029】
次に、上述した履歴一覧を表示するための処理について説明する。
図14は、履歴一覧を表示するための処理の流れを示すフローチャートである。
図14において、管理装置100は、探したい人が装着している信号送信装置200を示す送信装置IDがユーザにより指定される(ACT201)。ここでの指定方法は、不図示のキーボードなどによる送信装置IDの指定や、ネットワークNWを経由した指定が挙げられる、管理装置100は、指定された送信装置IDで受信装置データベースを検索する(ACT202)。これにより、管理装置100は、指定された送信装置IDに対応する、受信装置IDと受信日時とを抽出できる。管理装置100は、抽出された受信装置IDと受信日時を履歴一覧として表示する(ACT203)。
【0030】
図15は、表示部405によって表示された履歴一覧画面600の一例を示す図である。履歴一覧画面600には、氏名(〇〇 △△)と、受信装置IDと、受信日時とが表示される。氏名は、指定された送信装置IDにより特定された氏名である。受信装置IDは、指定された送信装置IDが示す信号送信装置200が送信した信号を受信した信号受信装置300を示す。受信日時は、受信装置IDが示す信号受信装置300により信号が受信された日時(yyyymmddhhmm)を示す。
【0031】
これにより、指定された信号送信装置200の位置をトレースすることができるので、人の位置を把握可能となる。なお、位置については、受信装置データベースによって東経と北緯を取得できるため、位置を日時順に矢印で結ぶなどして地図上に表示してもよい。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、電池を使用することなく位置を把握可能な技術を提供することができる。また、本実施形態によれば、通信が必要となった場合に電池切れとなることはない。また、本実施形態によれば、電池交換や充電となどのメンテナンス費用が発生することもない。
【0033】
本実施形態では、信号送信装置200と信号受信装置300との通信にRFIDを用いた形態を示したが、Bluetooth(登録商標)や無線LANなど、通信可能なものであればどのような形態であってもよい。また、本実施形態では、靴とキーホルダーへの装着例を用いて説明したが、人の作用を受けるものであればどのようなものであってもよい。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0035】
10 位置把握システム、100 管理装置、200 信号送信装置、210 振動発電部、220 信号送信部、300、300-1、300-N 信号受信装置、310 信号受信部、320 転送部、330、406 データベース、401 受信部、402 警告部、403 警告判定部、404 検索部、405 表示部、500 警告画面、600 履歴一覧画面