(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110745
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】給電設備
(51)【国際特許分類】
H02J 50/10 20160101AFI20240808BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20240808BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20240808BHJP
B60L 13/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H02J50/10
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L13/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015516
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山本 正明
【テーマコード(参考)】
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5H105BA01
5H105BB07
5H105CC02
5H105DD10
5H105EE14
5H125AA11
5H125AC04
(57)【要約】
【課題】非接触で電力を給電する給電設備において、感熱線の設置の容易化を図りつつ、給電線及びその周辺の発熱を適切に検出し易い給電設備が望まれる。
【解決手段】移動体の移動経路に沿って配置されて移動体に対して非接触で電力を供給する給電線と、給電線と共に移動経路に沿って配置された感熱線3と、を備えた給電設備であって、給電線は、第1電線部と、第2電線部と、第1電線部及び第2電線部を接続するコネクタ8と、を備え、コネクタ8は、第1電線部と第2電線部とを電気的に接続する導電接続対9と、導電接続対9を覆うように絶縁材料で構成された絶縁カバー10と、を備え、絶縁カバー10は、給電線の延在方向に沿って延在する凹溝11を備え、凹溝11に、感熱線3が配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動経路に沿って配置されて前記移動体に対して非接触で電力を供給する給電線と、前記給電線と共に前記移動経路に沿って配置された感熱線と、を備えた給電設備であって、
前記給電線は、第1電線部と、第2電線部と、前記第1電線部及び前記第2電線部を接続するコネクタと、を備え、
前記コネクタは、前記第1電線部と前記第2電線部とを電気的に接続する導電接続対と、前記導電接続対を覆うように絶縁材料で構成された絶縁カバーと、を備え、
前記絶縁カバーは、前記給電線の延在方向に沿って延在する凹溝を備え、
前記凹溝に、前記感熱線が配置されている、給電設備。
【請求項2】
前記凹溝は、前記絶縁カバーにおける外周面に開口する開口部と、前記開口部よりも前記導電接続対に近い側に配置され、前記感熱線が収容される収容部と、を備え、
前記開口部の開口幅が、前記感熱線の直径よりも小さい、請求項1に記載の給電設備。
【請求項3】
前記絶縁カバーは、前記導電接続対が配置される配置空間を備え、
前記凹溝は、前記絶縁カバーにおける前記配置空間の側に開口する開口部と、前記開口部よりも前記導電接続対から遠い側に配置され、前記感熱線が収容される収容部と、を備え、
前記配置空間に前記導電接続対が配置された状態では、前記開口部が前記導電接続対により塞がれている、請求項1に記載の給電設備。
【請求項4】
前記導電接続対は、前記第1電線部の端部に取り付けられた第1接続部と、前記第2電線部の端部に取り付けられた第2接続部と、を備え、
前記絶縁カバーは、前記第1接続部を覆う第1カバー部と、前記第2接続部を覆う第2カバー部と、を備え、
前記凹溝は、前記第1カバー部に形成された第1凹溝部と、前記第2カバー部に形成された第2凹溝部と、を備え、
前記第1カバー部と前記第2カバー部とが互いに嵌合するように構成され、前記第1カバー部と前記第2カバー部とが嵌合した状態で、前記第1凹溝部と前記第2凹溝部とが、前記給電線の前記延在方向に沿って連続するように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の給電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の移動経路に沿って配置されて前記移動体に対して非接触で電力を供給する給電線と、前記給電線と共に前記移動経路に沿って配置された感熱線と、を備えた給電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2002-178800号公報(特許文献1)には、給電設備に関する技術が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1の給電設備は、移動体(搬送機1)の搬送路に沿って配置され、移動体に対して非接触で電力を給電する給電線と、給電線を接続する端子台(27)と、を備えている。ここで、給電線は、所定の長さに切断され、その両端部に接続端子(25)が設けられた複数の電線部(モジュール化給電線24)により構成されている。そして、複数の電線部(モジュール化給電線24)が、端子台(27)により互いに接続されている。端子台(27)には、電線部の延在方向に沿って、溝部(28)が設けられている。そして、溝部(28)に接続端子(25)が嵌め込まれることにより、複数の電線部は、端子台(27)を介して互いに接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような給電設備では、給電線に沿って、異常発熱等を検出するための感熱線が設けられる場合がある。このような感熱線により給電線やその周辺の異常発熱を適切に検知できるようにするためには、当該感熱線が電線部や端子台に接触した状態で配置されることが望ましい。そして、感熱線を端子台に接触させた状態で配置するために、例えば、結束バンドを用いて感熱線を端子台に縛り付けるという方法が考えられる。しかし、このような方法では、電線部と端子台とを接続する作業に加え、結束バンドを感熱線と端子台とに巻きつける作業を行う必要があり、作業者の作業負担が大きくなり易かった。また、結束バンドにより感熱線を端子台に縛り付けているだけであるため、感熱線と端子台との位置関係にばらつきが生じ易く、端子台やその周辺の発熱を適切に検出し難い場合があった。
【0006】
そこで、非接触で電力を給電する給電設備において、感熱線の設置の容易化を図りつつ、給電線及びその周辺の発熱を適切に検出し易い給電設備が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る給電設備は、移動体の移動経路に沿って配置されて前記移動体に対して非接触で電力を供給する給電線と、前記給電線と共に前記移動経路に沿って配置された感熱線と、を備えた給電設備であって、
前記給電線は、第1電線部と、第2電線部と、前記第1電線部及び前記第2電線部を接続するコネクタと、を備え、
前記コネクタは、前記第1電線部と前記第2電線部とを電気的に接続する導電接続対と、前記導電接続対を覆うように絶縁材料で構成された絶縁カバーと、を備え、
前記絶縁カバーは、前記給電線の延在方向に沿って延在する凹溝を備え、
前記凹溝に、前記感熱線が配置されている。
【0008】
本構成によれば、給電線の第1電線部と第2電線部とがコネクタにより接続される構成であり、コネクタが導電接続対を覆うように絶縁材料で構成された絶縁カバーを備えている。そのため、第1電線部と第2電線部とを接続する作業を容易に行うことができると共に、第1電線部と第2電線部との接続部分を絶縁材料で構成された絶縁カバーにより覆うことができる。従って、給電線の第1電線部と第2電線部との接続を、端子台等を介して行う構成に比べて、給電線の設置作業の簡略化を図り易いと共に、設置後における通電部分の外部への露出を少なくして安全性を高め易い。
また本構成によれば、絶縁カバーの凹溝が給電線の延在方向に沿って延在するように形成されているため、感熱線を凹溝の中に配置することで感熱線を給電線に沿って配置することができ、感熱線の設置作業を簡素化し易い。
更に、本構成によれば、絶縁カバーに設けられた凹溝に感熱線が配置されているため、絶縁カバーの外面に沿って感熱線を配置する場合に比べて、感熱線とコネクタとの位置関係のばらつきを少なくすることができると共に、感熱線をコネクタの導電接続対に近づけて配置し易い。従って、導電接続対の発熱を適切に検出し易い。
このように、本構成によれば、非接触で電力を給電する給電設備において、感熱線の設置の容易化を図りつつ、給電線及びその周辺の発熱を適切に検出し易い。
【0009】
給電設備のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】コネクタの正面断面図(
図3におけるIV-IV断面図)
【
図6】別実施形態のコネクタの正面断面図(
図5におけるVI-VI断面図)
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔第1の実施形態〕
以下、物品搬送設備において物品搬送車に電力を供給する形態を例として、給電設備の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1及び
図2に示すように、物品搬送設備200における物品搬送車である移動体5は、走行経路である移動経路51に沿って配置された走行レール52上を走行する。
図1に示すように、給電設備1は、移動体5の移動経路51に沿って配置されて移動体5に対して非接触で電力を供給する給電線2と、給電線2と共に移動経路51に沿って配置された感熱線3と、を備えている。
【0013】
図2に示すように、例えば移動体5は、天井から吊り下げ支持されて配置された一対の走行レール52に案内されて移動経路51に沿って走行する走行部59と、走行レール52の下方に位置して走行部59に吊り下げ支持された搬送車本体53と、移動経路51に沿って配設された給電線2から非接触で駆動用電力を受電する受電装置40とを備えている。搬送車本体53には、搬送車本体53に昇降自在に備えられて物品を吊り下げ状態で支持する物品支持部(不図示)が備えられている。移動体5による搬送対象の物品は、例えば、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)や、ディスプレイの材料となるガラス基板等である。
【0014】
走行部59には、
図2に示すように、電動式の駆動モータ54にて回転駆動される一対の走行輪55が備えられている。走行輪55は、走行レール52のそれぞれの上面にて形成される走行面を転動する。また、走行部59には、上下方向に沿う軸心周り(上下軸心周り)で自由回転する一対の案内輪56が、一対の走行レール52における内側面に当接する状態で備えられている。また、走行部59は、走行用の駆動モータ54やその駆動回路等を備えて構成されており、移動体5を走行レール52に沿って走行させる。搬送車本体53には、物品支持部を昇降させるアクチュエータ、物品を把持する把持部を駆動するアクチュエータ等、及び、それらの駆動回路等が備えられている。
【0015】
これらの駆動モータ54や、種々のアクチュエータ、これらを駆動する駆動回路等への電力は、給電線2から非接触で受電装置40に供給される。受電装置40を介して移動体5に駆動用電力を供給する給電線2は、本実施形態では、受電装置40に対して水平面に沿うと共に移動経路51に沿う方向に直交する経路幅方向(以下、単に「経路幅方向」と称する。)の両側に配置されている。ここでは、給電線2は、移動体5の移動経路51に沿って配置されているため、給電線2の延在方向と、移動経路51に沿う方向とが同じ方向になっている。
【0016】
受電装置40は、本実施形態では、HID(High Efficiency Inductive Power Distribution Technology)と称されるワイヤレス給電技術を用いて、移動体5に駆動用電力を供給する。具体的には、誘導線である給電線2に高周波電流を流し、給電線2の周囲に磁界を発生させる。受電装置40は、ピックアップコイル40aや磁性体コアを備えて構成されており、ピックアップコイル40aは磁界からの電磁誘導によって誘起される。誘起された交流の電力は、全波整流回路などの整流回路や、平滑コンデンサ等を備えた受電回路(不図示)により直流に変換され、アクチュエータや駆動回路に供給される。
【0017】
なお、本明細書では、移動体5としていわゆる天井搬送車である物品搬送車を例示したが、当然ながら移動体5は地上を走行する物品搬送車であってもよく、物品収容棚の各段に対応して形成された走行経路を走行する走行台車や、スタッカークレーンの走行台車等であってもよい。移動体5は、移動経路51に沿って配置された給電線2から電力を供給されて動作するものであれば、どのような形態であってもよい。勿論、移動体5は物品搬送車に限るものではない。
【0018】
図1に示すように、感熱線3は、給電設備1における給電線2の全域に配置されている。そして、給電線2及びその周辺の異常発熱を検知するように構成されている。感熱線3は、予め設定された温度で軟化する絶縁体で覆われた一対の導線(不図示)を備えている。1本の導線は、導体により形成された芯線が絶縁体で被覆された被覆導体線として構成されている。そして、2本の導線を捻っていわゆるツイストペアとした撚り線を更に被覆材によって被覆することで、一対の導線を備えた感熱線3が形成される。一対の導線は、絶縁体が軟化すると導体により形成された芯線同士が互いに接触して短絡する。なお、絶縁体が軟化しても一対の導線を備えた感熱線3は、被覆材によって被覆されているため、芯線が外部に露出することは抑制されている。このような感熱線3は、給電線2に接触した状態で配置されていると好適である。図示は省略するが、受電装置40に対して経路幅方向の両側に配置された一対の給電線2に対して、経路幅方向の両外側に感熱線3がそれぞれ配置されている。そして、感熱線3の被覆材が給電線2の絶縁被覆に接触した状態になっている。
【0019】
ここで、物品搬送設備200の規模が大きい場合などでは、当然ながら給電設備1の規模も大きくなるため、複数の電線部を互いに連結した1つ又は複数の給電線2が用いられることがある。このような場合には、複数の電線部は、コネクタ8(
図1、
図3及び
図4)や端子台(不図示)を介して互いに電気的に接続される。また、電線部を制御盤等の配線に接続する場合にも、コネクタ8や端子台が用いられることもあり得る。以下では、給電設備1においてコネクタ8が用いられる実施形態について説明する。
【0020】
図3に示すように、給電線2は、第1電線部6と、第2電線部7と、第1電線部6及び第2電線部7を接続するコネクタ8と、を備えている。本実施形態では、給電線2は、複数の電線部に分割されており、それぞれの電線部が、コネクタ8を介して接続されている。ここでは、1つの給電線2を構成する複数の電線部のうちの、第1電線部6と第2電線部7とをコネクタ8で接続する構成について説明する。なお、各電線部は、互いに同じ構造であり、当然ながら、第1電線部6及び第2電線部7も、互いに同じ構造である。なお、給電線2は、上記のように2つより多くの電線部に分割されていてもよいし、2つの電線部に分割されていてもよい。ここで、電線部(第1電線部6、第2電線部7)は、交流電流が流れる導体線(不図示)と、導体線の周囲を覆う絶縁被覆とを備えている。本実施形態では、導体線は、非接触で電力給電を行う誘導線である。
【0021】
図3に示すように、コネクタ8は、第1電線部6と第2電線部7とを電気的に接続する導電接続対9と、導電接続対9を覆うように絶縁材料で構成された絶縁カバー10と、を備えている。本実施形態では、絶縁カバー10は、第1電線部6と第2電線部7とが導電接続対9を介して接続された状態で、第1電線部6と第2電線部7との接続領域全体(すなわち、導電接続対9と、第1電線部6と導電接続対9との接続部分、第2電線部7と導電接続対9との接続部分)を覆うように配置されている。本例では、絶縁カバー10として、絶縁材料で構成された弾性部材が用いられている。弾性部材が用いられることにより、導電接続対9や、後述する感熱線3を絶縁カバー10に取付ける作業が容易になり易い。
【0022】
図3に示すように、導電接続対9は、第1電線部6の端部に取り付けられた第1接続部14と、第2電線部7の端部に取り付けられた第2接続部15と、を備えている。第1接続部14及び第2接続部15のそれぞれは、コネクタ8における導体部であり、第1接続部14と第2接続部15との接続により、第1電線部6と第2電線部7とが電気的に接続される。第1接続部14と第2接続部15とは、互いに嵌合可能に構成されている。第1接続部14は、第1電線部6に固定される第1本体部14bと、第1本体部14bから第1電線部6の延在方向の外側に突出する嵌合部14aとを備えている。第2接続部15は、第2電線部7に固定される第2本体部15bと、被嵌合部15aとを備えている。そして、嵌合部14aが被嵌合部15aに嵌合することで、第1電線部6と第2電線部7とが接続される。
図3の例では、嵌合部14aは、凸形状に形成されている。被嵌合部15aは、第2本体部15bの表面(第1接続部14と対向する面)から、第2電線部7の延在方向の内側に窪むように凹形状に形成されている。そして、嵌合部14aが、被嵌合部15aの凹形状に嵌め込まれることにより、第1接続部14と第2接続部15とが嵌合する。
【0023】
本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、絶縁カバー10は、導電接続対9が配置される配置空間Qを備えている。配置空間Qは、絶縁カバー10を給電線2の延在方向に貫通した収容空間である。この配置空間Qには、導電接続対9が収容される。
図2の例では、配置空間Qには、導電接続対9(第1接続部14、第2接続部15)に加えて、導電接続対9に接続された給電線2(第1電線部6、第2電線部7)の一部も収容されている。
【0024】
図3及び
図4に示すように、絶縁カバー10は、第1接続部14を覆う第1カバー部10aと、第2接続部15を覆う第2カバー部10bと、を備えている。第1カバー部10aと第2カバー部10bとのそれぞれには、上述の配置空間Qが形成されている。そして、第1カバー部10aは、第1電線部6を自己の配置空間Qに収容することで、第1接続部14を覆っている。第2カバー部10bは、第2電線部7を自己の配置空間Qに収容することで、第2接続部15を覆っている。本例では、第1カバー部10aと第2カバー部10bとは、互いに同じ構造を有している。そして、配置空間Qは、導電接続対9(第1接続部14、第2接続部15)における上下方向及び経路幅方向の長さよりも小さく形成されている。上述のとおり、絶縁カバー10は、弾性部材である。そのため、第1接続部14は、第1カバー部10aの外から、第1カバー部10aに押し込まれることで、配置空間Qに収容される。同様に、第2接続部15は、第2カバー部10bの外から、第2カバー部10bに押し込まれることで、配置空間Qに収容される。これにより、第1接続部14は、第1カバー部10aに固定され、第2接続部15は、第2カバー部10bに固定される。
【0025】
図3及び
図4に示すように、絶縁カバー10は、給電線2の延在方向に沿って延在する凹溝11を備え、凹溝11に、感熱線3が配置されている。本実施形態では、凹溝11は、絶縁カバー10において、給電線2の延在方向に沿う全域に形成されている。本例では、
図4に示すように、感熱線3は、導電接続対9に接触した状態で、凹溝11に配置される。このように、第1電線部6と第2電線部7との接続部分においても、感熱線3が給電線2に沿って配置されることで、当該接続部分(すなわち、コネクタ8及びその周辺)の異常発熱を適切に検知することができる。
【0026】
図3及び
図4に示すように、凹溝11は、絶縁カバー10における外周面に開口する開口部12と、開口部12よりも導電接続対9に近い側に配置され、感熱線3が収容される収容部13と、を備えている。本例では、開口部12は、絶縁カバー10の上側に向く面に開口している。収容部13は、絶縁カバー10の内部において、開口部12と配置空間Qとの間に配置されている。また、収容部13は、開口部12から連続して形成されている。そして、感熱線3は、開口部12に挿入されて、収容部13に配置される。図示の例では、開口部12は、開口部12の開口部分と収容部13とを接続する通路12aを有している。収容部13は、開口部12よりも幅広に形成されている。本実施形態では、開口部12の開口幅Sが、感熱線3の直径Rよりも小さい。そのため、収容部13に収容された感熱線3が、絶縁カバー10から外れてしまうことを規制できる。ここでは、開口幅Sは、給電線2の延在方向(ここでは、凹溝11が延在する方向)に直交する方向(すなわち、経路幅方向)の寸法とされている。なお、図示の例では、開口幅Sは、開口部12における経路幅方向の最大の寸法とされている。要するに、感熱線3の直径Rは、開口部12における経路幅方向の最大の寸法よりも大きく形成されている。
【0027】
本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、凹溝11は、第1カバー部10aに形成された第1凹溝部11aと、第2カバー部10bに形成された第2凹溝部11bと、を備えている。本例では、第1凹溝部11a及び第2凹溝部11bは、互いに同じ構造になっている。すなわち、第1凹溝部11aと第2凹溝部11bとのそれぞれが、上述の開口部12と収容部13とを有している。そして、第1カバー部10aと第2カバー部10bとが互いに嵌合するように構成され、第1カバー部10aと第2カバー部10bとが嵌合した状態で、第1凹溝部11aと第2凹溝部11bとが、給電線2の延在方向に沿って連続するように構成されている。本例では、上述のように第1接続部14と第2接続部15とが嵌合することで、第1カバー部10aと第2カバー部10bとが嵌合状態になる。そして、嵌合状態では、第1凹溝部11aの開口部12と、第2凹溝部11bの開口部12とが連続すると共に、第1凹溝部11aの収容部13と、第2凹溝部11bの収容部13とが連続する。図示の例では、嵌合部14aと被嵌合部15aとのそれぞれが、長方形状に形成されており、これにより、嵌合部14aと被嵌合部15aとの互いに対する位置決めが行われる。そして、嵌合部14aと被嵌合部15aとを嵌合させた状態で、第1凹溝部11aと第2凹溝部11bとが、給電線2の延在方向に沿って連続する。なお、嵌合部14aと被嵌合部15aとの形状は、長方形状以外にも、適宜変更可能である。また、
図10に示すように、第1カバー部10aと第2カバー部10bとに係合機構70を設けるようにしてもよい。
図10の一例では、係合機構70は、被係合部72と係合部71とを備えており、被係合部72が係合部71に係合することで、第1カバー部10aと第2カバー部10bとが嵌合するようにしてもよい。図示の例では、第1カバー部10aに、被係合部72が設けられ、第2カバー部10bに係合部71が設けられている。そして、係合部71の先端部分が被係合部72の貫通孔に挿通されることで、係合部71が被係合部72に係止する。
【0028】
図3及び
図4の一例では、開口部12は、第1凹溝部11a及び第2凹溝部11bのそれぞれにおいて、上側に向かうに従って経路幅方向の寸法が小さくなるように形成されている。収容部13は、感熱線3の直径Rに応じた大きさに形成されている。収容部13は、経路幅方向の寸法が、配置空間Qの経路幅方向の寸法より小さく形成されている。また、収容部13は、配置空間Q側に開口しており、これにより、感熱線3は、収容部13に収容された状態で、導電接続対9(第1接続部14、第2接続部15)に接触する。以下では、第1電線部6と第2電線部7とを接続すると共に、感熱線3を絶縁カバー10に収容する手順について、
図3を用いて説明する。
【0029】
まず、第1接続部14及び第1カバー部10aが取り付けられた第1電線部6と、第2接続部15及び第2カバー部10bが取り付けられた第2電線部7とを接続する。具体的には、第1接続部14の嵌合部14aを、第2接続部15の被嵌合部15aに差し込む。その後、感熱線3を、絶縁カバー10の開口部12に挿通し、収容部13に収容する。なお、
図4の例では、開口部12の開口部分が上を向くようにコネクタ8が設置されているが、開口部12の開口部分が横を向くようにコネクタ8が設置されていてもよい。
【0030】
〔第2の実施形態〕
給電設備1の第2の実施形態について、図面(
図5及び
図6)を参照して説明する。以下では、本実施形態の給電設備1について、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。特に明記しない点については、第1の実施形態と同様であり、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0031】
図5及び
図6に示すように、本実施形態では、絶縁カバー10は、導電接続対9が配置される配置空間Qを備え、凹溝11は、絶縁カバー10における配置空間Qの側に開口する開口部12と、開口部12よりも導電接続対9から遠い側に配置され、感熱線3が収容される収容部13と、を備えている。本例では、開口部12が、収容部13と配置空間Qとの間に設けられている。開口部12は、下側に向かうに従って、経路幅方向の寸法が小さくなるように形成されている。この開口部12により、収容部13と配置空間Qとが連続して配置されている。また、本実施形態では、配置空間Qに導電接続対9が配置された状態では、開口部12が導電接続対9により塞がれている。そして、収容部13に配置された感熱線3と導電接続対9が接触した状態になっている。
図6の一例では、配置空間Qの上下方向の寸法が、導電接続対9(ここでは、第1本体部14b)の上下方向の寸法に対応するように設定されている。ここでは、配置空間Qの上下方向の寸法は、第1本体部14bの上下方向の寸法と同じに設定されている。また、図示はしていないが、配置空間Qの上下方向の寸法は、第2本体部15bの上下方向の寸法とも同じに設定されている。これにより、配置空間Qに導電接続対9を配置すると、開口部12は導電接続対9により塞がれる。以下では、第1電線部6と第2電線部7とを接続すると共に、感熱線3を絶縁カバー10に収容する手順について、
図5を用いて説明する。
【0032】
まず、第1接続部14と第2接続部15とが装着されていない状態で、第1カバー部10aと第2カバー部10bとのそれぞれに、感熱線3を取り付ける。具体的には、感熱線3を、第1カバー部10aと第2カバー部10bとのそれぞれの配置空間Qに挿通し、挿通した感熱線3を、第1カバー部10aと第2カバー部10bとのそれぞれの開口部12から収容部13に押し込んで取付ける。その後、第1接続部14が取り付けられた第1電線部6を、第1カバー部10aに装着し、第2接続部15が取り付けられた第2電線部7を、第2カバー部10bに装着する。そして、第1接続部14の嵌合部14aを、第2接続部15の被嵌合部15aに差し込むと、第1電線部6と第2接続部15とが接続される。
【0033】
〔その他の実施形態〕
次に、給電設備のその他の実施形態について説明する。
【0034】
(1)上記第1の実施形態では、コネクタ8は、絶縁カバー10(第1カバー部10a、第2カバー部10b)を1つだけ備える構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、コネクタ8は、複数の絶縁カバー10を備えるようにしてもよい。このような例を、
図7に示している。
図7の一例では、コネクタ8は、第1カバー部10aと第2カバー部10bとを覆う、第2絶縁カバー75を備えている。第2絶縁カバー75を、第1電線部6と第2電線部7とが接続された状態の第1カバー部10aと第2カバー部10bとに装着することで、コネクタ8自体の強度を向上させることができる。なお、第2絶縁カバー75は、第1カバー部10aと第2カバー部10bとのそれぞれに対応するように分割されていてもよい。
【0035】
(2)上記第1の実施形態では、開口部12は、上側に向かうに従って経路幅方向の寸法が小さくなるように形成されると共に、収容部13に収容された状態の感熱線3と、配置空間Qに配置された導電接続対9とが接触する構成を例として説明した。しかし、このような例に限定されることなく、開口部12は、上側に向かうに従って経路幅方向の寸法が小さくなるように形成されていなくてもよく、収容部13に収容された状態の感熱線3と、配置空間Qに配置された導電接続対9とが接触していなくてもよい。このような例を、
図8に示している。
図8の一例では、開口部12は、経路幅方向の寸法が全体として同じになるように形成されている。このように、開口部12の経路幅方向の寸法は適宜変更可能である。また、図示の例では、収容部13は、配置空間Qの側には開口しておらず、収容部13と配置空間Qとの間に壁が形成されている。そのため、収容部13に収容された感熱線3と、導電接続対9とが接触していない。
【0036】
(3)上記第1の実施形態では、開口部12の開口幅Sが、感熱線3の直径Rよりも小さい構成を例として説明したが、これには限定されない。開口部12の開口幅Sが、感熱線3の直径R以上とされていてもよい。この場合、感熱線3が開口部12から脱落しないように、複数の結束バンドを用いて、コネクタ8の周囲を縛り付けてもよい。
【0037】
(4)上記第2の実施形態では、配置空間Qに導電接続対9が配置された状態では、開口部12が導電接続対9により塞がれている構成を例として説明したが、これには限定されない。配置空間Qに導電接続対9が配置された状態において、開口部12が導電接続対9により塞がれていない構成とすることもできる。例えば、配置空間Qの上下方向の寸法を、導電接続対9の上下方向の寸法よりも長くすることで、導電接続対9の上端と開口部12との間に隙間を形成することもできる。
【0038】
(5)上記の各実施形態では、絶縁カバー10は、第1接続部14を覆う第1カバー部10aと、第2接続部15を覆う第2カバー部10bと、を備えている構成を例として説明した。しかしこのような構成に限定されることなく、絶縁カバー10は、第1カバー部10aと第2カバー部10bに分割されていない構成にすることもできる。このような例を
図9に示している。
図9の一例では、絶縁カバー10は、給電線2の延在方向の寸法が、第1カバー部10aと第2カバー部10bとの双方を収容できる寸法に設定されている。そして、絶縁カバー10を第1接続部14及び第2接続部15のいずれか一方に固定させた状態で、他方の接続部(第1接続部14又は第2接続部15)を絶縁カバー10に取り付けるようにしてもよい。これにより、第1接続部14と第2接続部15との双方が、1つの絶縁カバー10に覆われる。また、第1カバー部10aと第2カバー部10bとの、給電線2の延在方向の寸法を互いに異ならせてもよい。このような例を
図10に示している。
図10の一例では、第1カバー部10aにおける給電線2の延在方向の寸法が、第2カバー部10bにおける給電線2の延在方向の寸法より短く形成されている。また、第1接続部14の先端部分が、第1カバー部10aに対して突出し、第2カバー部10bの先端部分が、第2接続部15に対して突出している。このように、第1カバー部10a及び第2カバー部10bとのそれぞれにおける、給電線2の延在方向の寸法は、適宜変更することができる。
【0039】
(6)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0040】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した給電設備の概要について説明する。
【0041】
本開示に係る給電設備は、移動体の移動経路に沿って配置されて前記移動体に対して非接触で電力を供給する給電線と、前記給電線と共に前記移動経路に沿って配置された感熱線と、を備えた給電設備であって、
前記給電線は、第1電線部と、第2電線部と、前記第1電線部及び前記第2電線部を接続するコネクタと、を備え、
前記コネクタは、前記第1電線部と前記第2電線部とを電気的に接続する導電接続対と、前記導電接続対を覆うように絶縁材料で構成された絶縁カバーと、を備え、
前記絶縁カバーは、前記給電線の延在方向に沿って延在する凹溝を備え、
前記凹溝に、前記感熱線が配置されている。
【0042】
本構成によれば、給電線の第1電線部と第2電線部とがコネクタにより接続される構成であり、コネクタが導電接続対を覆うように絶縁材料で構成された絶縁カバーを備えている。そのため、第1電線部と第2電線部とを接続する作業を容易に行うことができると共に、第1電線部と第2電線部との接続部分を絶縁材料で構成された絶縁カバーにより覆うことができる。従って、給電線の第1電線部と第2電線部との接続を、端子台等を介して行う構成に比べて、給電線の設置作業の簡略化を図り易いと共に、設置後における通電部分の外部への露出を少なくして安全性を高め易い。
また本構成によれば、絶縁カバーの凹溝が給電線の延在方向に沿って延在するように形成されているため、感熱線を凹溝の中に配置することで感熱線を給電線に沿って配置することができ、感熱線の設置作業を簡素化し易い。
更に、本構成によれば、絶縁カバーに設けられた凹溝に感熱線が配置されているため、絶縁カバーの外面に沿って感熱線を配置する場合に比べて、感熱線とコネクタとの位置関係のばらつきを少なくすることができると共に、感熱線をコネクタの導電接続対に近づけて配置し易い。従って、導電接続対の発熱を適切に検出し易い。
このように、本構成によれば、非接触で電力を給電する給電設備において、感熱線の設置の容易化を図りつつ、給電線及びその周辺の発熱を適切に検出し易い。
【0043】
ここで、前記凹溝は、前記絶縁カバーにおける外周面に開口する開口部と、前記開口部よりも前記導電接続対に近い側に配置され、前記感熱線が収容される収容部と、を備え、
前記開口部の開口幅が、前記感熱線の直径よりも小さいと好適である。
【0044】
本構成によれば、絶縁カバーの外周面側から開口部を通して感熱線を凹溝に嵌め込むことで、感熱線を収容部に配置することができる。また、開口部の開口幅が感熱線の直径よりも小さいため、収容部に収容された当該感熱線が凹溝から容易に外れないようにできる。従って、感熱線の設置作業を簡素化し易い。
【0045】
また、前記絶縁カバーは、前記導電接続対が配置される配置空間を備え、
前記凹溝は、前記絶縁カバーにおける前記配置空間の側に開口する開口部と、前記開口部よりも前記導電接続対から遠い側に配置され、前記感熱線が収容される収容部と、を備え、
前記配置空間に前記導電接続対が配置された状態では、前記開口部が前記導電接続対により塞がれていると好適である。
【0046】
本構成によれば、絶縁カバーの開口部を通して感熱線を凹溝に嵌め込むことで感熱線を収容部に配置することができると共に、当該感熱線が収容部に配置された状態で、絶縁カバーの配置空間に導電接続対を配置することで、感熱線が凹溝から外れないようにできる。従って、感熱線の設置作業を簡素化し易い。
【0047】
また、前記導電接続対は、前記第1電線部の端部に取り付けられた第1接続部と、前記第2電線部の端部に取り付けられた第2接続部と、を備え、
前記絶縁カバーは、前記第1接続部を覆う第1カバー部と、前記第2接続部を覆う第2カバー部と、を備え、
前記凹溝は、前記第1カバー部に形成された第1凹溝部と、前記第2カバー部に形成された第2凹溝部と、を備え、
前記第1カバー部と前記第2カバー部とが互いに嵌合するように構成され、前記第1カバー部と前記第2カバー部とが嵌合した状態で、前記第1凹溝部と前記第2凹溝部とが、前記給電線の前記延在方向に沿って連続するように構成されていると好適である。
【0048】
本構成によれば、第1カバー部と第2カバー部とを嵌合することで第1凹溝部と第2凹溝部とが給電線の延在方向に沿って連続する。よって、第1凹溝部と第2凹溝部とに亘って感熱線を配置する作業を容易に行うことができる。
【0049】
本開示に係る給電設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0050】
1 :給電設備
2 :給電線
3 :感熱線
5 :移動体
6 :第1電線部
7 :第2電線部
8 :コネクタ
9 :導電接続対
10 :絶縁カバー
10a :第1カバー部
10b :第2カバー部
11 :凹溝
11a :第1凹溝部
11b :第2凹溝部
12 :開口部
13 :収容部
14 :第1接続部
15 :第2接続部
51 :移動経路
Q :配置空間
S :開口幅