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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110750
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】戸体開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/643 20150101AFI20240808BHJP
   E05F 15/77 20150101ALI20240808BHJP
   E06B 9/52 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
E05F15/643
E05F15/77
E06B9/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015521
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】構井 克典
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA16
2E052EC02
2E052EC05
2E052GA02
2E052GB06
2E052HA05
2E052KA06
(57)【要約】
【課題】窓体の操作状況に応じて網戸を適切に自動開閉することができる戸体開閉装置を提供する。
【解決手段】戸体開閉装置は、窓体駆動部と、係脱切換部と、制御部20と、を備える。窓体駆動部は、外枠3内の複数の窓体10i,10oを開閉方向に移動させる。係脱切換部は、窓体10i,10oと外枠3内の網戸60の係合と、その係合の切り離しが可能とされている。制御部20は、窓体駆動部と係脱切換部を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠内に移動可能に配置された複数の窓体を開閉方向に移動させる窓体駆動部と、
前記外枠内に移動可能に配置された網戸と前記窓体の係合と前記係合の切り離しが可能な係脱切換部と、
前記窓体駆動部と前記係脱切換部を制御する制御部と、
を備えている戸体開閉装置。
【請求項2】
前記制御部は、外部の操作機器から指令信号が入力される信号入力部を備え、前記操作機器から前記信号入力部に入力される前記指令信号に基づいて前記窓体駆動部と前記係脱切換部を制御する請求項1に記載の戸体開閉装置。
【請求項3】
外枠内に移動可能に配置された複数の窓体を開閉方向に移動させる窓体駆動部と、
前記外枠内に移動可能に配置された網戸を開閉方向に移動させる網戸駆動部と、
前記窓体駆動部と前記網戸駆動部を夫々制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記窓体駆動部と前記網戸駆動部を連動させて駆動する連動駆動制御と、前記窓体駆動部を単独で駆動する単独駆動制御が切り換え可能に設けられている戸体開閉装置。
【請求項4】
前記連動駆動制御は、
前記窓体と前記網戸が同方向に移動するように前記窓体駆動部と前記網戸駆動部を連動させて駆動する第1の連動駆動制御と、
前記窓体と前記網戸が逆方向に移動するように前記窓体駆動部と前記網戸駆動部を連動させて駆動する第2の連動駆動制御と、
を含む請求項3に記載の戸体開閉装置。
【請求項5】
前記制御部は、外部の操作機器から指令信号が入力される信号入力部を備え、前記操作機器から前記信号入力部に入力される前記指令信号に基づいて前記窓体駆動部と前記網戸駆動部を制御する請求項3または4に記載の戸体開閉装置。
【請求項6】
駆動部と、当該駆動部の動力を受け外枠内に配置された複数の窓体の移動方向に沿って相反方向に移動する一対の移動部とを有し、一対の前記移動部のいずれか一方に前記窓体が係合された駆動機構と、
前記外枠内に移動可能に配置された網戸と、
前記網戸と各前記移動部との係合と前記係合の切り離しが可能な係脱切換部と、
前記駆動部と前記係脱切換部を制御する制御部と、
を備えている戸体開閉装置。
【請求項7】
前記一対の移動部は、前記駆動部によって回転駆動される無端ベルトの相互に対向する延出部である請求項6に記載の戸体開閉装置。
【請求項8】
前記制御部は、外部の操作機器から指令信号が入力される信号入力部を備え、前記操作機器から前記信号入力部に入力される前記指令信号に基づいて前記駆動部と前記係脱切換部を制御する請求項6に記載の戸体開閉装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記係脱切換部によって前記網戸と一対の前記移動部を同時に係合するロック制御を実行可能とされている請求項6に記載の戸体開閉装置。
【請求項10】
前記駆動機構には、規定値以上の負荷が作用したことを検知する過負荷検知部が設けられ、前記制御部は、前記過負荷検知部が過負荷を検知したときに、前記移動部に対する係合を解除するように前記係脱切換部を制御する請求項6に記載の戸体開閉装置。
【請求項11】
一対の前記移動部のいずれか一方と前記窓体の間には、両者の係合と前記係合の切り離しが可能な窓体用係脱切換部が設けられている請求項6に記載の戸体開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き戸式の戸体を開閉操作することができる戸体開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋等で採用される掃き出し窓として、ガラスを取り付けた複数の戸体を外枠内で開閉操作するものがある。この種の窓は、通常、各戸体を人が手で直接開閉操作する。
【0003】
近年、戸体を開閉駆動するための駆動部を設け、その駆動部の動力によって戸体を開閉操作できるようにした戸体開閉装置が案出されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
特許文献1に記載の戸体開閉装置は、モータ駆動される巻取り機が一方の戸体の側部枠に取り付けられ、巻取り機から引き出された紐部材が外枠の一方の側辺に取り付け可能とされている。この戸体開閉装置は、例えば、巻取り機から引き出された紐部材の端部が外枠の一方の側辺に取り付けられ、その状態で一方の戸体が閉じられる。巻取り機には、作動を開始する時間をセットするためのタイマーが設けられている。戸体開閉装置は、上記の状態でタイマーにセットした時間が経過すると、巻取り機が紐部材の巻取りを開始し、紐部材が一方の戸体を引き込むことによって一方の戸体を開方向に移動させる。
【0005】
特許文献2に記載の戸体開閉装置は、一方の戸体の側部枠の下端領域にモータによって駆動される駆動ローラ(駆動体)が配置され、その駆動ローラの外周面が、外枠の下辺に設置されるガイド壁に当接している。この戸体開閉装置では、駆動ローラがモータによって一方向に回転駆動されると、ガイド壁からの反力を受けて戸体が開方向に移動する。また、駆動ローラがモータによって他方向に回転駆動されると、ガイド壁からの反力を受けて戸体が閉じ方向に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-54350号公報
【特許文献2】特開2008-88766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の戸体開閉装置は、いずれも閉状態で室内と室外を遮蔽状態にすることができる窓体を自動開閉するものであり、室内の通気を確保するための網戸の自動開閉については想定していない。このため、網戸については、窓体の操作位置に応じて操作者が手で直接操作する必要がある。上記の戸体開閉装置は、より利便性を高める観点から網戸の操作についての改善が望まれている。
【0008】
そこで、本発明は、窓体の操作状況に応じて網戸を適切に自動開閉することができる戸体開閉装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る戸体開閉装置は、外枠内に移動可能に配置された複数の窓体を開閉方向に移動させる窓体駆動部と、前記外枠内に移動可能に配置された網戸と前記窓体の係合と前記係合の切り離しが可能な係脱切換部と、前記窓体駆動部と前記係脱切換部を制御する制御部と、を備えている。
【0010】
この戸体開閉装置では、窓体と網戸が重なり合って閉状態であるときに網戸のみを閉状態にする場合には、制御部による制御により、係脱切換部が網戸と窓体の係合を切り離し状態とし、その状態で窓体駆動部が窓体を開方向に移動させる。これにより、窓体のみが開方向に移動する。この結果、網戸のみが閉状態となり、網戸の使用が可能になる。
また、窓体と網戸が重なり合って閉状態であるときに網戸を窓体と共に開く場合には、制御部による制御により、係脱切換部が網戸を窓体に係合させた状態とし、その状態で窓体駆動部が窓体を開き方向に移動させる。これにより、網戸は窓体とともに開き方向に移動する。この結果、網戸は窓体とともに開状態となる。
さらに、この状態から網戸と窓体を閉じる場合には、制御部による制御により、係脱切換部が網戸を窓体に係合させた状態とし、その状態で窓体駆動部が窓体を閉方向に移動させる。これにより、窓体と網戸がともに閉方向に移動する。この結果、窓体と網戸は、とともに閉状態となる。
【0011】
前記制御部は、外部の操作機器から指令信号が入力される信号入力部を備え、前記操作機器から前記信号入力部に入力される前記指令信号に基づいて前記窓体駆動部と前記係脱切換部を制御するようにしても良い。
【0012】
この場合、指令信号がリモコン等の外部の操作機器から信号入力部に入力されると、入力された指令信号に基づいて制御部が窓体駆動部と係脱切換部を制御するようになる。
したがって、本構成を採用した場合には、リモコン等の操作機器の操作によって窓体や網戸を自由に開閉操作することが可能になる。
【0013】
本発明の他の態様に係る戸体開閉装置は、外枠内に移動可能に配置された複数の窓体を開閉方向に移動させる窓体駆動部と、前記外枠内に移動可能に配置された網戸を開閉方向に移動させる網戸駆動部と、前記窓体駆動部と前記網戸駆動部を夫々制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記窓体駆動部と前記網戸駆動部を連動させて駆動する連動駆動制御と、前記窓体駆動部を単独で駆動する単独駆動制御が切り換え可能に設けられている。
【0014】
この戸体開閉装置では、制御部が単独駆動制御で窓体駆動部を制御することにより、窓体を単独で開閉方向に移動させることができる。
また、網戸を開閉方向に移動させる場合には、制御部が連動駆動制御で窓体駆動部と網戸駆動部を制御することができる。
【0015】
前記連動駆動制御は、前記窓体と前記網戸が同方向に移動するように前記窓体駆動部と前記網戸駆動部を連動させて駆動する第1の連動駆動制御と、前記窓体と前記網戸が逆方向に移動するように前記窓体駆動部と前記網戸駆動部を連動させて駆動する第2の連動駆動制御と、を含むことが望ましい。
【0016】
この場合、窓体と網戸が前後に重なった状態で両者を同方向に移動させる場合には、制御部が第1の連動駆動制御で窓体駆動部と網戸駆動部を駆動する。また、窓体と網戸が開閉方向で相互にずれた位置にあるときに窓体と網戸の開閉方向を逆にする場合には、制御部が第2の連動駆動制御で窓体駆動部と網戸駆動部を駆動する。したがって、制御部が単独駆動制御と第1の連動駆動制御と第2の連動駆動制御を適宜組み合わせて制御を行うことにより、窓体と網戸を種々の開閉位置において所望通りに移動させることができる。
【0017】
前記制御部は、外部の操作機器から指令信号が入力される信号入力部を備え、前記操作機器から前記信号入力部に入力される前記指令信号に基づいて前記窓体駆動部と前記網戸駆動部を制御するようにしても良い。
【0018】
この場合、指令信号がリモコン等の外部の操作機器から信号入力部に入力されると、制御部が入力された指令信号に基づいて窓体駆動部や網戸駆動部を駆動するようになる。
したがって、本構成を採用した場合には、リモコン等の操作機器の操作によって窓体や網戸を自由に開閉操作することが可能になる。
【0019】
本発明のさらに他の態様に係る戸体開閉装置は、駆動部と、当該駆動部の動力を受け外枠内に配置された複数の窓体の移動方向に沿って相反方向に移動する一対の移動部とを有し、一対の前記移動部のいずれか一方に前記窓体が係合された駆動機構と、前記外枠内に移動可能に配置された網戸と、前記網戸と各前記移動部との係合と前記係合の切り離しが可能な係脱切換部と、前記駆動部と前記係脱切換部を制御する制御部と、を備えている。
【0020】
この戸体開閉装置では、係脱切換部が一対の移動部から切り離されている場合には、網戸は駆動部の動力によって操作されず、手動での操作が可能となる。このとき、窓体は駆動部によって単独で開閉方向に操作することができる。
また、網戸を駆動部の動力によって移動させる場合には、制御部による係脱切換部の制御によって網戸を一対の移動部のうちの適切な一方に係合させ、網戸を移動部とともに開閉方向に移動させる。このとき、網戸が一方の移動部に係合された場合には、網戸は窓体と同方向に移動し、網戸が他方の移動部に係合された場合には、網戸は窓体と逆向きに移動する。
【0021】
前記一対の移動部は、前記駆動部によって回転駆動される無端ベルトの相互に対向する延出部であっても良い。
【0022】
この場合、駆動部の動力によって相反方向に移動する一対の移動部を持つ駆動機構が簡単な構成となり、かつ小型化も可能となる。
【0023】
前記制御部は、外部の操作機器から指令信号が入力される信号入力部を備え、前記操作機器から前記信号入力部に入力される前記指令信号に基づいて前記駆動部と前記係脱切換部を制御するようにしても良い。
【0024】
この場合、指令信号がリモコン等の外部の操作機器から信号入力部に入力されると、入力された指令信号に基づいて制御部が駆動部や係脱切換部を制御するようになる。
したがって、本構成を採用した場合には、リモコン等の操作機器の操作によって窓体や網戸を自由に開閉操作することが可能になる。
【0025】
前記制御部は、前記係脱切換部によって前記網戸と一対の前記移動部を同時に係合するロック制御を実行可能として良い。
【0026】
この場合、制御部による係脱切換部の制御がロック制御になると、係脱切換部は、相反方向に移動する一対の移動部に網戸を同時に係合するようになる。この結果、一対の移動部に係合された網戸はいずれの方向にも動かなくなり、一方の移動部に連結された窓体もいずれの方向にも動かなくなる。
したがって、本構成を採用した場合には、窓体が閉状態のときにロック制御にすることにより、窓体を施錠することが可能になる。
なお、窓体を任意の開き状態でロック制御にした場合には、窓体をその開き状態のままロックすることも可能となる。
【0027】
前記駆動機構には、規定値以上の負荷が作用したことを検知する過負荷検知部が設けられ、前記制御部は、前記過負荷検知部が過負荷を検知したときに、前記移動部に対する係合を解除するように前記係脱切換部を制御するようにしても良い。
【0028】
この場合、例えば、係脱切換部が一方の移動部に係合されている状態で、操作者が手で強引に網戸を開閉させる等して駆動機構に規定値以上の負荷が作用すると、そのことが過負荷検知部によって検知される。このとき、制御部は、移動部に対する係脱切換部による係合を解除する。この結果、駆動機構や網戸に異常を来すような過大な負荷が作用することが防止される。
また、この場合、網戸の移動中に網戸と他の構造物(例えば、外枠)の間に人の体や物が挟まれたときに、挟まれた人の体や物に過剰な力が作用するのを未然に防止することができる。
【0029】
一対の前記移動部のいずれか一方と前記窓体の間には、両者の係合と前記係合の切り離しが可能な窓体用係脱切換部が設けられるようにしても良い。
【0030】
この場合、窓体用係脱切換部による窓体と移動部の係合を解除することにより、窓体を手動で自由に移動させることが可能になる。また、窓体用係脱切換部による窓体と移動部の係合を解除した場合には、網戸を駆動機構によって単独で移動させることも可能となる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様に係る戸体開閉装置は、制御部による窓体駆動部と係脱切換部の制御により、網戸を追従させた窓体の移動と窓体の単独での移動を行うことができる。このため、本態様に係る戸体開閉装置を採用した場合には、窓体の操作状況に応じて網戸を適切に自動開閉することができる。
【0032】
本発明の他の態様に係る戸体開閉装置は、制御部が、窓体駆動部と網戸駆動部を連動させて駆動する連動駆動制御と、窓体駆動部を単独で駆動する単独駆動制御と、を備えている。このため、制御部が連動駆動制御と単独駆動制御を適宜使い分けることにより、網戸の閉状態での使用と、網戸と窓体を同時に開状態にしての使用を実現することができる。したがって、本態様に係る戸体開閉装置を採用した場合には、窓体の操作状況に応じて網戸を適切に自動開閉することができる。
【0033】
本発明のさらに他の態様に係る戸体開閉装置は、駆動部の動力によって相反方向に移動する一対の移動部の動作を利用し、係脱切換部によって網戸に係合させる移動部を切り換えることにより、網戸の閉状態での使用と、網戸と窓体を同時に開状態にしての使用を実現することができる。したがって、本態様に係る戸体開閉装置を採用した場合には、窓体の操作状況に応じて網戸を適切に自動開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】第1実施形態の戸体開閉装置の正面図。
図2】第1実施形態の戸体開閉装置の網戸を使用している状態を示す正面図。
図3図1のIII-III断面に対応する第1実施形態の戸体開閉装置の概略構成図。
図4】第1実施形態の操作機器の正面図。
図5】第1実施形態の戸体開閉装置の窓体と網戸の複数の開閉態様を(a),(b),(c)に分けて示した模式的な上面図。
図6図1のIII-III断面に対応する第2実施形態の戸体開閉装置の概略構成図。
図7】第2実施形態の戸体開閉装置の窓体と網戸の複数の開閉態様を(a),(b),(c)に分けて示した模式的な上面図。
図8】第2実施形態の戸体開閉装置の窓体と網戸の他の開閉態様を(a),(b)に分けて示した模式的な上面図。
図9】第3実施形態の戸体開閉装置の模式的な正面図。
図10】第3実施形態の戸体開閉装置の模式的な上面図。
図11】第3実施形態の戸体開閉装置の窓体と網戸の一つ開閉態様を示す模式的な正面図。
図12】第3実施形態の戸体開閉装置の窓体と網戸の一つ開閉態様を示す模式的な上面図。
図13】第3実施形態の戸体開閉装置の窓体と網戸の他の開閉態様を示す模式的な正面図。
図14】第3実施形態の戸体開閉装置の窓体と網戸の他の開閉態様を示す模式的な上面図。
図15】第3実施形態の戸体開閉装置の窓体と網戸のさらに他の開閉態様を示す模式的な正面図。
図16】第3実施形態の戸体開閉装置の窓体と網戸のさらに他の開閉態様を示す模式的な上面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。各実施形態では、共通部分に同一符号を付し、重複する説明を一部省略するものとする。
なお、以下の説明では、説明の便宜上、戸体開閉装置を室内側から見て手前側を内側と称し、奥側を外側と称する。また、図面の適所には、戸体の移動方向(開閉方向)を指す矢印xと、内外方向(内側と外側を向く方向)を指す矢印yと、鉛直方向を指す矢印zが記されている。
【0036】
<第1実施形態>
図1図2は、本実施形態の戸体開閉装置1を内側から見た正面図であり、図3は、図1のIII-III断面に対応する戸体開閉装置1の概略構成図である。
本実施形態の戸体開閉装置1は、引き戸式の掃き出し窓に用いられている。戸体開閉装置1の設置される家屋等の建造物の壁には略長方形状の開口部2が設けられ、その開口部2にアルミニウム等の金属から成る外枠3が取り付けられている。本実施形態の戸体開閉装置1は、二つの窓体10i,10oと一つの網戸60を備えている。外枠3の下辺3lには、窓体10i,10oと網戸60を開閉方向(x方向)に沿って案内する図示しないガイドレールが設けられている。ガイドレールは、外枠3の下辺3lに内外方向(y方向)に三列に並んで設けられている。したがって、これらのガイドレールに案内される窓体10i,10oと網戸60は、内外方向に相互にずれた状態でx方向に沿って移動可能とされている。
なお、窓体10iは、最も内側に配置され、窓体10oは、窓体10iの外側に隣接して配置されている。網戸60は、窓体10oの外側に隣接して配置されている。
【0037】
窓体10i,10oは、アルミニウム等の金属から成る縦長の矩形枠状のフレーム部11と、フレーム部11の内側に取り付けられるガラス12と、を備えている。なお、フレーム部11の内側に取り付けられる部材は、必ずしもガラス12でなくても良く、一部のみがガラス12であっても良い。
網戸60は、図2に示すように、アルミニウム等の金属から成る縦長の矩形枠状のフレーム部61と、フレーム部61に張りを持たせて取り付けられた網部62と,を備えている。
【0038】
図3に示すように、戸体開閉装置1は、外枠3内で各窓体10i,10oを動力によって開閉方向に移動させる駆動機構13A,13Bを備えている。本実施形態では、駆動機構13A,13Bは両窓体10i,10oの上方に配置されている。なお、図1中の符号4は、外枠3の上部に配置され、駆動機構13A,13Bの室内側を覆うカバー部材である。
なお、本実施形態では、駆動機構13A,13Bが窓体10i,10oを開閉方向に移動させる窓体駆動部を構成している。
【0039】
各駆動機構13A,13Bは、駆動部であるモータ14A,14Bと、ベルト式の移動装置15A,15Bと、を備えている。一方の駆動機構13Aは、内側の窓体10iを開閉方向(x方向)に移動させるためのものであり、内側の窓体10iの室内側の上部に開閉方向に沿って配置されている。また、他方の移動機構13Bは、外側の窓体10oを開閉方向(x方向)に移動させるためのものであり、外側の窓体10oの室内側の上部に開閉方向に沿って配置されている。
【0040】
各移動装置15A,15Bは、窓体10i,10oの上方側の建造物の壁に移動方向(x方向)に離間して配置された一対のプーリ16,17と、一対のプーリ16,17に掛け渡される無端ベルト18と、を備えている。一方のプーリ16は、モータ14A,14Bの出力軸14aに連結される駆動プーリであり、他方のプーリ17は、無端ベルト18を介して従動回転する従動プーリである。両プーリ16,17は、軸方向が上下方向(z方向)を向くように設置されている。両プーリ16,17に掛け渡される無端ベルト18は、幅方向が上下方向を向いている。したがって、無端ベルト18のプーリ16,17間に延在する延在面は内外方向(y方向)を向いている。
【0041】
一方の移動装置15Aの無端ベルト18は、プーリ16,17の外端側に掛け渡される延在領域の一部が内側の窓体10iのフレーム部11の上辺11uに連結されている。同様に、他方の移動装置15Bの無端ベルト18は、プーリ16,17の外端側に掛け渡される延在領域の一部が外側の窓体10oのフレーム部11の上辺11uに連結されている。内側の窓体10iは、モータ14Aによって駆動される一方の移動装置15Aの無端ベルト18とともに開閉方向に移動する。外側の窓体10oは、モータ14Bによって駆動される他方の移動装置15Bの無端ベルト18とともに開閉方向に移動する。
【0042】
また、外側の窓体10oのフレーム部11には、電磁式のクラッチ装置19が設置されている。クラッチ装置19は、通電によって磁力を発生するソレノイド(図示及び符号省略)を備えている。クラッチ装置19は、ソレノイドの磁着面が外側に向いて配置されている。これに対し、網戸60のフレーム部61には、クラッチ装置19の磁着面が磁着(係合)可能な被係合部25が設置されている。被係合部25は、鉄や永久磁石等の磁性材料によって構成されている。被係合部25は、網戸60ののフレーム部61のうちの、クラッチ装置19の磁着面と略同一高さ位置に配置されている。また、クラッチ装置19の磁着面と被係合部25は、外側の窓体10oと網戸60が正面視で相互に重なり合った状態で磁着可能とされている。したがって、クラッチ装置19の磁着面と被係合部25が磁着した(係合した)状態で、外側の窓体10oが全閉状態になると網戸60も全閉状態となり、外側の窓体10oが全開状態になると網戸60も全開状態となる。
なお、本実施形態では、クラッチ装置19が、窓体10oと網戸60の係合と係合の切り離しが可能な係脱切換部を構成している。
【0043】
戸体開閉装置1は、クラッチ装置19の通電と、駆動機構13A,13Bの各モータ14A,14Bを制御するための制御部20を備えている。クラッチ装置19は、制御部20によってソレノイドのON,OFを制御される。各モータ14A,14Bは、制御部20によって回転方向や回転トルク等を制御される。制御部20による制御によって一方のモータ14Aが駆動されると、モータ14Aに係合した無端ベルト18が、内側の窓体10iを閉方向、若しくは、開方向に移動させる。同様に、制御部20による制御によって他方のモータ14Bが駆動されると、モータ14Bに係合した無端ベルト18が、外側の窓体10oを閉方向、若しくは、開方向に移動させる。
【0044】
また、外側の窓体10oと網戸60が内外方向で重なった状態で、制御部20による制御によってクラッチ装置19が励磁されると、クラッチ装置19の磁着面が網戸60側の被係合部25に磁着する。この状態から、制御部20による制御によって外側の窓体10oが閉方向、若しくは、開方向に移動すると、網戸60は窓体10oに追従して窓体10oと同方向に移動する。
【0045】
また、図3に示すように、外枠3の左右の側辺3sには、夫々リミットスイッチ28o,28iが設置されている。一方のリミットスイッチ28oは、外側の窓体10oが全閉位置にあることを検知するための閉状態検知部であり、他方のリミットスイッチ28iは、内側の窓体10iが全閉位置にあることを検知するための閉状態検知部である。リミットスイッチ28o,28iで検知される信号は制御部20に入力される。
制御部20は、リミットスイッチ28o,28iから入力される検知信号を基にして、操作対象以外の窓体10i,10oが閉状態であるか否かを判定する。このとき、操作対象以外の窓体10i,10oが閉状態でない(開状態)と判定された場合には、制御部20は、操作対象の窓体10i,10oの開閉操作に先立って操作対象以外の窓体10i,10oを閉操作する別の制御を実行する。
なお、閉状態検知部はリミットスイッチ28o,28iに限定されない。閉状態検知部は、窓体10i,10oの閉状態を検知できるものであれば、構造や原理はどのようなものであっても良く、例えば、近接センサや、光学式の位置検出センサ等であっても良い。
【0046】
また、制御部20は、図3に示すように、外部から指令信号が入力される信号入力部20inを備えている。本実施形態の信号入力部20inは、外部の操作機器30(リモコン)から無線によって各種の指令信号を受信する。
なお、本実施形態では、無線を用いる操作機器30を採用しているが、操作機器30は、有線によって指令信号を出力するものであっても良い。
【0047】
図4は、無線式の操作機器30(リモコン)の一例を示す正面図である。
本実施形態の操作機器30は、電源スイッチ31と、自動モード(1)の選択スイッチ33Aと、自動モード(2)の選択スイッチ33Bと、網戸60を外側の窓体10oに連動させる連動スイッチ34と、網戸60と外側の窓体10oの連動を解除する解除スイッチ32と、操作対象の窓体10i,10oを左に移動操作するための左移動スイッチ35Lと、操作対象の窓体10i,10oを右に移動操作するための右移動スイッチ35Rと、を備えている。
【0048】
電源スイッチ31は、戸体開閉装置1の電源をON/OFF操作するためのスイッチである。
選択スイッチ33Aは、外側の窓体10oを自動開閉の操作対象に選定するスイッチである。選択スイッチ33Aが押されると、制御部20(信号入力部20in)は、自動モード(1)への切換信号を受け付ける。
選択スイッチ33Bは、内側の窓体10iを自動開閉の操作対象に選定するスイッチである。選択スイッチ33Bが押されると、制御部20(信号入力部20in)は、自動モード(2)への切換信号を受け付ける。
連動スイッチ34は、外側の窓体10oのクラッチ装置19を作動させる(ONにする)ためのスイッチである。網戸60が外側の窓体10oと前後方向で重なった状態で、連動スイッチ34が押されると、クラッチ装置19が網戸60側の被係合部25に磁着される。
解除スイッチ32は、クラッチ装置19の係合を切り離す(作動をOFFにする)ためのスイッチである。解除スイッチ32が押されると、クラッチ装置19が網戸60側の被係合部25から切り離される。
左移動スイッチ35Lは、自動モード(1)と自動モード(2)のいずれかを指定した後に、窓体10i,10oを左に移動操作することを指定するスイッチである。
右移動スイッチ35Rは、自動モード(1)と自動モード(2)のいずれかを指定した後に、窓体10i,10oを右に移動操作することを指定するスイッチである。
【0049】
制御部20は、上記の操作機器30による指令信号を受け、窓体10i,10oや網戸60を以下のようにして自動操作することができる。
なお、内側と外側の各窓体10i,10oは、初期状態では図1図3に示すような全閉状態であるものとする。
【0050】
最初に、操作者は、操作機器30の電源スイッチ31をONにし、その後に選択スイッチ33Aまたは33Bを押す。制御部20は、このとき自動モード(1)または(2)での運転を実行することを受け付ける。操作者は、この後に操作機器30の右移動スイッチ35Rまたは左移動スイッチ35Lを押す。制御部20は、この指令を受け付け、指定された窓体10i,10oを開方向または閉方向に移動させる。
【0051】
図5は、窓体10i,10oと網戸60の複数の開閉態様を(a),(b),(c)に分けて示した模式的な上面図である。
図5の(a)では、内側の窓体10iと外側の窓体10oが全閉状態とされ、かつ、網戸60が外側の窓体10oと内外方向で重なった状態で閉じられている。
この状態から網戸60のみを閉じた状態にする(網戸60を使用状態にする)場合には、操作者は、操作機器30の選択スイッチ33Aを押して外側の窓体10oを指定した後に右移動スイッチ35Rを押す。これにより、制御部20による駆動機構13Bの制御によって外側の窓体10oが単独で開方向に移動する。この結果、図5の(b)に示すように、網戸60のみが閉状態となる。
また、この状態から操作機器30の左移動スイッチ35Lを押すことにより、外側の窓体10oを初期位置に戻すことができる。
【0052】
また、図5の(a)の状態から外側の窓体10oと網戸60をともに開く場合には、操作者は、操作機器30の選択スイッチ33Aと連動スイッチ34を押す。これにより、制御部20による制御によって窓体10o側のクラッチ装置19が網戸60の被係合部25に磁着する(係合する)。操作者は、この後に操作機器30の右移動スイッチ35Rを押す。これにより、制御部20による駆動機構13Bの制御によって外側の窓体10oが開方向に移動し、このとき網戸60は窓体10oとともに開方向に移動する。この結果、図5の(c)に示すように、外側の窓体10oと網戸60がともに開状態となる。
また、この状態から操作機器30の左移動スイッチ35Lを押すことにより、外側の窓体10oと網戸60を初期位置に戻すことができる。
なお、クラッチ装置19による窓体10oと網戸60の係合を解除する場合には、操作者は、操作機器30の解除スイッチ32を押す。これにより、網戸60は窓体10oから切り離され、手動での操作が可能になる。
【0053】
以上のように、本実施形態の戸体開閉装置1は、制御部20による駆動機構13B(窓体駆動部)とクラッチ装置19(係脱切換部)の制御により、網戸60を追従させた窓体10oの移動と窓体10oの単独での移動を行うことができる。したがって、本実施形態の戸体開閉装置1を採用した場合には、窓体10oの操作状況に応じて網戸60を適切に自動開閉することができる。
【0054】
また、本実施形態の戸体開閉装置1では、制御部20は、信号入力部20inに入力される操作機器30からの指令信号に基づいて駆動機構13A,13B(窓体駆動部)とクラッチ装置19(係脱切換部)を制御する。したがって、本実施形態の戸体開閉装置1を採用した場合には、外部の操作機器30の操作によって窓体10i,10oや網戸60を自由に開閉操作することが可能になる。
【0055】
<第2実施形態>
図6は、第1実施形態の図1のIII-III断面に対応する本実施形態の戸体開閉装置101の概略構成図である。
戸体開閉装置101は、内外の各窓体10i,10oを外枠3内で開閉方向(x方向)に移動させる駆動機構13A,13Bと、網戸60を外枠3内で開閉方向(x方向)に移動させる駆動機構13Cと、を備えている。本実施形態では、駆動機構13A,13Bが窓体駆動部を構成し、駆動機構13Cが網戸駆動部を構成している。各駆動機構13A,13B,13Cは、駆動部であるモータ14A,14B,14Cと、ベルト式の移動装置15A,15B,15Cと、を備えている。各移動装置15A,15B,15Cは、モータ14A,14B,14Cの各出力軸14aに連結される駆動側のプーリ16と、従動側のプーリ17と、これらのプーリ16,17に掛け渡される無端ベルト18と、を備えている。
【0056】
移動装置15Aの無端ベルト18は、内側の窓体10iのフレーム部11に連結され、移動装置15Bの無端ベルト18は、外側の窓体10oのフレーム部11に連結されている。また、移動装置15Cの無端ベルト18は、網戸60のフレーム部61に連結されている。また、各移動装置15A,15B,15Cを駆動するモータ14A,14B,14Cは制御部20によって制御される。したがって、窓体10i,10oは、モータ14A,14Bの駆動によって開閉方向に移動可能とされ、網戸60は、モータ14Cの駆動によって開閉方向に移動可能とされている。
【0057】
制御部20は、一方の窓体10i,10oを駆動するためのモータ14A,14Bと網戸60を駆動するためのモータ14Cを連動させて駆動する連動駆動モードと、各窓体10i,10oを駆動するためのモータ14A,14Bを単独て駆動する単独駆動モードを備えている。即ち、制御部20は、連動駆動制御(連動駆動モードによる制御)と、単独駆動制御(単独駆動モードによる制御)を実行可能とされている。連動駆動モード(連動駆動制御)は、第1の連動駆動モード(第1の連動駆動制御)と、第2の連動駆動モード(第2の連動駆動制御)と、を含む。
第1の連動駆動モード(第1の連動駆動制御)は、一方の窓体10i(10o)と網戸60が同方向に移動するように窓体用のモータ14A(14B)と網戸60用のモータ14Cを連動させる連動駆動モード(連動駆動制御)である。
第2の連動駆動モード(第2の連動駆動制御)は、一方の窓体10i(10o)と網戸60が逆方向に移動するように窓体用のモータ14A(14B)と網戸60用のモータ14Cを連動させる連動駆動モード(連動駆動制御)である。
【0058】
以下、制御部20による窓体10i,10oと網戸60の具体的な開閉制御について、図7図8を参照して説明する。
図7は、内側の窓体10iが全閉状態で停止しているときの、外側の窓体10oと網戸60の開閉態様を(a),(b),(c)に分けて示した戸体開閉装置101の模式的な上面図である。
初期状態では、図7(a)に示すように、外側の窓体10oと網戸60は全閉状態とされている。
この状態から網戸60を左側の閉位置で使用する場合には、制御部20は、単独駆動モード(単独駆動制御)で窓体10o用のモータ14Bを開方向に(窓体10oが開方向に移動する方向に)駆動させる。これにより、窓体10oは、図7(b)に示すように単独で開位置までに移動し、網戸60の室内側を開放する。この結果、網戸60を通して室内と室外が連通し、室内の換気が可能になる。
【0059】
また、図7(a)に示す状態から、網戸60を外側の窓体10oとともに開状態にする場合には、制御部20は、第1の連動駆動モード(第1の連動駆動制御)で、窓体10o用のモータ14Bと網戸60用のモータ14Cを開方向に(窓体10oと網戸60が開方向に移動する方向に)駆動させる。これにより、窓体10oと網戸60は、図7(c)に示すように同方向に移動する。この結果、外側の窓体10oと網戸60が右方向に開かれ、その開かれた空間を通して人の通行等が可能となる。
【0060】
図8は、外側の窓体10oが全閉状態で停止しているときの、内側の窓体10iと網戸60の開閉態様を(a),(b)に分けて示した戸体開閉装置101の模式的な上面図である。
図7(a)に示す状態から網戸60を右側の閉位置に移動させて使用する場合には、制御部20は、窓体10iが開方向(左方向)に移動し、かつ網戸60が閉方向(右方向)に移動するように、第2の連動駆動モード(第2の連動駆動制御)によってモータ14A,14Cを駆動させる。これにより、窓体10iと網戸60は、図8(a)に示すように逆方向に移動する。この結果、網戸60が右側に移動して閉状態になり、内側の窓体10iの左方向の移動によって網戸60の室内側が解放される。
【0061】
また、図8(a)に示す状態から、内側の窓体10iと網戸60を初期状態に戻す場合には、制御部20は、窓体10iが閉方向(右方向)に移動し、かつ網戸60が初期位置方向(左方向)に移動するように、第2の連動駆動モード(第2の連動駆動制御)によってモータ14A,14Cを駆動させる。これにより、窓体10iと網戸60は、図8(b)に示すように逆方向に移動して初期状態に戻される。
【0062】
また、制御部20には、第1実施形態と同様に外部の操作機器30から指令信号が入力される信号入力部20inが設けられている。制御部20は、信号入力部20inを通して操作機器30からの指令信号を受け取り、その指令信号に基づいて駆動機構13A,13B(窓体駆動部)と駆動機構13C(網戸駆動部)の制御を実行する。
【0063】
以上のように、本実施形態の戸体開閉装置101は、制御部20が、窓体駆動用のモータ14A,14Bと網戸駆動用のモータ14Cを連動させて駆動する連動駆動制御と、窓体駆動用のモータ14A,14Bを単独で駆動する単独駆動制御と、を実行可能とされている。このため、制御部20が連動駆動制御と単独駆動制御を適宜使い分けることにより、種々の状況下において、網戸60の閉状態での使用と、網戸60と窓体10i,10oを同時に開状態にしての使用を実現することができる。
したがって、本実施形態の戸体開閉装置101を採用した場合には、窓体10i,10oの操作状況に応じて網戸60を適切に自動開閉することができる。
【0064】
また、本実施形態の戸体開閉装置101は、制御部20で実行する連動駆動制御が、窓体10oと網戸60を同方向に連動駆動させる第1の連動駆動制御(図7の(c)参照)と、窓体10iと網戸60を逆方向に連動駆動させる第2の連動駆動制御(図8の(a),(b)参照)と、を含む。このため、窓体10oと網戸60が前後(内外方向)に重なった状態で両者を同方向に移動させる場合には、制御部20が第1の連動駆動制御で窓体用のモータ14Bと網戸用のモータ14Cを駆動することにより、両者を所望通りに移動させることができる。また、窓体10iと網戸60が開閉方向で相互にずれた位置にあるときに窓体10iと網戸60の開閉方向を逆にする場合には、制御部20が第2の連動駆動制御で窓体用のモータ14Bと網戸用のモータ14Cを駆動することにより、両者を所望通りに移動させることができる。
したがって、本実施形態の戸体開閉装置101を採用した場合には、制御部20が単独駆動制御と第1の連動駆動制御と第2の連動駆動制御を適宜組み合わせて制御を行うことにより、窓体10i,10oと網戸60を種々の開閉位置において所望通りに移動させることができる。
【0065】
さらに、本実施形態の戸体開閉装置101は、信号入力部20inに入力される外部の操作機器30からの指令信号に基づいて、制御部20が窓体用のモータ14A,14Bと網戸用のモータ14Cを制御する。
したがって、本構成を採用した場合には、リモコン等の操作機器30の操作によって窓体10i,10oや網戸60を自由に開閉操作することができる。
【0066】
<第3実施形態>
図9は、本実施形態の戸体開閉装置201の模式的な正面図であり、図10は、戸体開閉装置201の模式的な上面図である。
戸体開閉装置201は、外枠3内に移動可能に配置された一対の窓体10i,10oと、同様に外枠3内に移動可能に配置された網戸60と、窓体10i,10oと網戸60を開閉方向に移動操作可能な駆動機構40と、を備えている。一方の窓体10iは他方の窓体10oの室内側に配置され、網戸60は他方の窓体10oの車外側に配置されている。駆動機構40は、窓体10i,10oと網戸60の上方側において、建造物の壁等に支持されている。
【0067】
駆動機構40は、駆動部であるモータ41と、モータ41によって駆動される駆動側のプーリ42と、プーリ42に対して移動方向(x方向)に離間して配置された従動側のプーリ43と、プーリ42,43間に掛け渡された無端ベルト44と、を備えている。本実施形態では、プーリ42,43は、軸方向が内外方向(y方向)を向くように配置されている。無端ベルト44は、幅方向が内外方向を向き、プーリ42,43間に延在する延在面が上下方向を向いている。無端ベルト44は、プーリ42,43間に延びる上下の延出部44u,44lが略平行になって相互に対向している。上段の延出部44uと下段の延出部44lは、モータ41の駆動によって相反方向に同速度で移動する。
本実施形態では、無端ベルト44の上段の延出部44uと下段の延出部44lが、駆動部の動力によって相反方向に移動する一対の移動部を構成している。
【0068】
内側の窓体10iの上部には、窓体10iを無端ベルト44の下段の延出部44lに連結する連結ブラケット48が取り付けられている。内側の窓体10iは、連結ブラケット48を介して無端ベルト44の下段の延出部44lに固定されることにより、下段の延出部44lとともに開閉方向に移動可能とされている。
以下では、説明の便宜上、無端ベルト44の下段の延出部44lが図中右側に移動し、かつ上段の延出部44uが図中左側に移動する方向を「正方向」と称し、下段の延出部44lが図中左側に移動し、かつ上段の延出部44uが図中右側に移動する方向を「逆方向」と称する。また、図面の適所には、正方向を指す矢印Fと、逆方向を指す矢印Rが記されている。
【0069】
なお、本実施形態では、外側の窓体10oはモータ等の動力によって自動開閉されない構成とされている。しかし、外側の窓体10oを開閉駆動するための専用の駆動機構を別に設け、外側の窓体10oを内側の窓体10iと独立して自動開閉できるようにしても良い。
【0070】
また、網戸60の上部には、無端ベルト44の下段の延出部44lと上段の延出部44uの近傍を跨ぐように延びる連結ブラケット49が取り付けられている。連結ブラケット49には、無端ベルト44の下段の延出部44lに対して連結可能(係合可能)な下クラッチ50Lと、無端ベルト44の上段の延出部44uに対して連結可能(係合可能)な上クラッチ50Uが取り付けられている。下クラッチ50Lと上クラッチ50Uは、例えば、通電によって励磁されるソレイドを備えた構成とし、ソレノイドの励磁によって対応する延出部44l,44uに設けた被係合部を磁着するようにしても良い。この場合、ソレノイドに対する通電を解除することによって各クラッチを延出部44l,44uから切り離すことができる。
なお、下クラッチ50Lと上クラッチ50Uの構成はこれに限定されない。これらのクラッチは、延出部44l,44uとの係合とその係合の解除を行えるものであれば、アクチュエータによって操作される凸部を、延出部44l,44uに設けた対応する凹部に係合させるもの等であっても良い。
【0071】
上クラッチ50Uと下クラッチ50Lは、駆動機構40のモータ41とともに制御部20によって制御される。制御部20は、外部から指令信号が入力される信号入力部20inを備えている。信号入力部20inには、外部の操作機器30から各種の指令信号が入力される。制御部20は、信号入力部20inから入力された操作機器30からの指令信号に基づいて、上クラッチ50U及び下クラッチ50Lと駆動機構40のモータ41とを制御する。
【0072】
以下、制御部20による窓体10i,10oと網戸60の具体的な開閉制御について、図11図16を参照して説明する。なお、図11図12図13図14図15図16は、夫々内側の窓体10iと網戸60の開閉形態が同じときの模式的な正面図と上面図を示している。
窓体10i,10oと網戸60は、初期状態では、図9図10に示すように、窓体10i,10oが全閉状態とされ、網戸60が外側の窓体10oと内外方向で重なった開き状態とされている。
【0073】
初期状態から、図11図12に示すように、内側の窓体10iを左に移動させて開状態にし、かつ、網戸60を右に移動させて閉状態にする場合には、制御部20は以下の制御を実行する。
最初に、下クラッチ50LをOFFにし、かつ、上クラッチ50UをONにする。これにより、網戸60は、上クラッチ50Uを介して無端ベルト44の上段の延出部44uに連結(係合)される。次に、モータ14の制御によって無端ベルト44を逆方向Rに移動させる。これにより、連結ブラケット48を介して下段の延出部44lに連結された内側の窓体10iは開方向(左方向)に移動し、上クラッチ50Uと連結ブラケット49を介して上段の延出部44uに連結された網戸60は閉方向(右方向)に移動する。この結果、図11図12に示すように、内側の窓体10iが開状態となり、網戸60が閉状態となる。
【0074】
この状態から内側の窓体10iと網戸60を初期状態(図13図14参照)に戻す場合には、制御部20は以下の制御を実行する。
最初に、下クラッチ50LをOFFにし、かつ、上クラッチ50UをONにする。これにより、網戸60は、上クラッチ50Uを介して無端ベルト44の上段の延出部44uに連結(係合)される。次に、モータ14の制御によって無端ベルト44を正方向Fに移動させる。これにより、内側の窓体10iは閉方向(右方向)に移動し、網戸60は開方向(左方向)に移動する。この結果、図13図14に示すように、内側の窓体10iが閉状態となり、網戸60が開状態となる。
【0075】
また、この状態から内側の窓体10iと網戸60をともに開状態にする場合には、制御部20は以下の制御を実行する。
最初に、上クラッチ50Uと下クラッチ50LをともにOFFにする。これにより、網戸60は、無端ベルト44の上段と下段のいずれの延出部44u,44lからも切り離される。次に、モータ14の制御によって無端ベルト44を逆方向Rに移動させる。これにより、内側の窓体10iは開方向(左方向)に移動する。この結果、図15図16に示すように、内側の窓体10iと網戸60がともに開状態となる。
【0076】
ここで、上クラッチ50Uや下クラッチ50LをONにした状態で無端ベルト44を移動させると、網戸60がモータ41の動力によって閉方向や開方向に移動する。このとき、網戸60と外枠3の間に人の体の一部や物体が挟み込まれると、駆動機構40に作用する負荷が増大する。また、上クラッチ50Uや下クラッチ50Lが無端ベルト44と接続された状態のまま、作業者が手で網戸60を強引に操作した場合にも、駆動機構40に作用する負荷が同様に増大する。
このため、本実施形態の戸体開閉装置201では、駆動機構40に規定値以上の負荷が作用したことを検知する過負荷検知部が設けられている。制御部20は、過負荷検知部が規定値以上の負荷を検知したときには、無端ベルト44に対する上クラッチ50Uや下クラッチ50Lに対する係合を解除するようになっている。
なお、過負荷検知部としては、例えば、モータ41の駆動電流を基に過負荷を検知するようにしても良く、駆動機構40の一部にトルクセンサ等を設けるようにしても良い。
【0077】
また、制御部20は、上クラッチ50Uと下クラッチ50Lを同時にONにして、網戸60を無端ベルト44の上段と下段の延出部44u,44lに同時に係合させるロックモードを備えている。即ち、制御部20は、上クラッチ50Uと下クラッチ50Lを同時にONにして、網戸60を無端ベルト44の上段と下段の延出部44u,44lに同時に係合させるロック制御を実行可能とされている。制御部20は、ロックモード(ロック制御)によって上クラッチ50Uと下クラッチ50Lを同時にONにすることにより、無端ベルト44の上段と下段の延出部44u,44lの動きを相互にロックし、それによって窓体10iや網戸60の移動を規制することができる。
【0078】
以上のように、本実施形態の戸体開閉装置201は、駆動部(モータ41)の動力によって相反方向に移動する一対の移動部(延出部44u,44l)の動作を利用し、上クラッチ50Uと下クラッチ50Lによって網戸60に係合させる移動部(延出部44u,44l)を切り換えることにより、網戸60の閉状態での使用と、網戸60と窓体10iを同時に開状態にしての使用を実現することができる。
したがって、本実施形態の戸体開閉装置201を採用した場合には、窓体10iの操作状況に応じて網戸60を適切に自動開閉することができる。
また、本実施形態の戸体開閉装置201の場合、上クラッチ50Uと下クラッチ50Lを同時に解除状態にした場合(両延出部44u,44lに対して係合を切り離した場合)には、網戸60の拘束を解除して網戸60を手動操作に切り換えることができる。
【0079】
なお、本実施形態では、相反方向に移動する一対の移動部を有する駆動機構40に無端ベルト44を採用しているが、相反方向に移動する一対の移動部を有する駆動機構は無端ベルト44に限定されない。この駆動機構は、例えば、ピニオンに噛み合って相反方向に移動する長尺な一対のラックを備えたラックアンドピニオン機構であっても良い。この場合、一対のラックが相反方向に移動する一対の移動部となる。
ただし、本実施形態では、相反方向に移動する一対の移動部を有する駆動機構40に無端ベルト44を採用しているため、駆動機構40を小型で簡素な構造とすることができ、建造物の限られたスペースに設置する上で有利となる。
【0080】
また、本実施形態の戸体開閉装置201は、制御部20が、信号入力部20inに入力される外部の操作機器30からの指令信号に基づいて、モータ41と上クラッチ50U及び下クラッチ50Lを制御する。このため、本実施形態の戸体開閉装置201を採用した場合には、リモコン等の操作機器30の操作によって窓体10iや網戸60を自由に開閉操作することが可能になる。
【0081】
さらに、本実施形態の戸体開閉装置201は、制御部20が、上クラッチ50Uと下クラッチ50Lによって網戸60と無端ベルト44の上下の延出部44u,44lを同時に係合するロックモードを備えている(ロック制御を実行可能とされている)。したがって、窓体10i,10oが閉状態のときに制御部20がロックモードによる制御を行う(ロック制御を実行する)ことにより、窓体10i,10oを閉状態のまま施錠することができる。
なお、窓体10iを任意の開き状態でロックモードにした場合(ロック制御を実行した場合)には、窓体10iをその開き状態のままロックすることも可能となる。
【0082】
また、本実施形態の戸体開閉装置201では、駆動機構40に規定値以上の負荷が作用したことを検知する過負荷検知部が設けられ、過負荷検知部が過負荷を検知したときに、上クラッチ50Uや下クラッチ50Lが無端ベルト44に対する係合を解除する。このため、本実施形態の戸体開閉装置201を採用した場合には、駆動機構40や網戸60に異常を来すような過大な負荷が作用するのを未然に防止することができる。
さらに、本実施形態の戸体開閉装置201を採用した場合には、網戸60の移動中に網戸60と外枠3の間に人の体や物が挟まれたときに、挟まれた人の体や物に過剰な力が作用するのを未然に防止することができる。
【0083】
<他の実施形態>
上記の第3実施形態では、窓体10iが連結ブラケット48を介して無端ベルト44の延出部44lに連結されているが、図9中に仮想線で示すように窓体10iと無端ベルト44の延出部44lの間に、両者の係合と係合の切り離しが可能な窓体用クラッチ70(窓体用係脱切換部)を設けるようにしても良い。
【0084】
この場合、窓体用クラッチ70による窓体10iと無端ベルト44の延出部44l(移動部)との係合を解除することにより、窓体10iを手動で自由に移動させることが可能になる。また、窓体用クラッチ70による窓体10iと無端ベルト44の延出部44l(移動部)との係合を解除した場合には、網戸60を駆動機構40によって単独で移動させることも可能となる。
【0085】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、網戸60と延出部44u,44lの係合と係合の解除を切り換える係合切換部が上クラッチ50Uと下クラッチ50Lによって構成されているが、係合切換部はこれに限定されない。係合切換部は、例えば、上段の延出部44uと下段の延出部44lに対して選択的な係合と解除が可能な一つのクラッチ装置によって構成するようにしても良い。
【0086】
また、本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化しても良く、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていれば良い。
【符号の説明】
【0087】
1,101,201…戸体開閉装置
10i,10o…窓体
13A,13B…駆動機構(窓体駆動部)
13C…駆動機構(網戸駆動部)
19…クラッチ装置(係脱切換部)
20…制御部
20in…信号入力部
40…駆動機構
41…モータ(駆動部)
44…無端ベルト
44u…上段の延出部(移動部)
44l…下段の延出部(移動部)
50U…上クラッチ(係脱切換部)
50L…下クラッチ(係脱切換部)
60…網戸
70…窓体用クラッチ(窓体用係脱切換部)
図1
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