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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110758
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】腹部締付ベルト及び腹部締付具
(51)【国際特許分類】
   A41C 1/00 20060101AFI20240808BHJP
   A41C 1/08 20060101ALI20240808BHJP
   A61F 5/03 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A41C1/00 Z
A41C1/08
A61F5/03 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015538
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】591018648
【氏名又は名称】明治薬品株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】320005316
【氏名又は名称】株式会社ビーアイシーコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(72)【発明者】
【氏名】益田 和二行
(72)【発明者】
【氏名】福島 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】倉岡 典幸
【テーマコード(参考)】
3B131
4C098
【Fターム(参考)】
3B131AA01
3B131AA03
3B131AA21
3B131AB12
3B131BA02
3B131BA05
3B131BA11
3B131BA41
3B131BB15
3B131BB36
4C098BC04
4C098BC13
4C098BC16
4C098BC18
4C098BC43
(57)【要約】
【課題】
腹部を強い力で締め付けやすくした腹部締付ベルトを提供する。
【解決手段】
第一締付部11と第二締付部12とを互いに接近させることで装着者の腹部を締め付けることができるようにした腹部締付ベルト10において、手で掴んで互いに逆向きに引っ張るための第一操作部13及び第二操作部14と、第一操作部13に加えられた引張力を増大させて第一締付部11又は第二締付部12に伝える第一滑車機構15と、第二操作部14に加えられた引張力を増大させて第二締付部12又は第一締付部11に伝える第二滑車機構16とを設けた。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一締付部と第二締付部とを互いに接近させることによって装着者の腹部を締め付けることができるようにした腹部締付ベルトであって、
手で掴んで互いに逆向きに引っ張るための第一操作部及び第二操作部と、
第一操作部に加えられた引張力を増大させて第一締付部又は第二締付部に伝える第一滑車機構と、
第二操作部に加えられた引張力を増大させて第二締付部又は第一締付部に伝える第二滑車機構と
を備えたことを特徴とする腹部締付ベルト。
【請求項2】
第一滑車機構が、
第一締付部と、第二締付部における第一締付部側の縁部(以下「第二締付部の先端縁部」という。)とを連結する連結部材αと、
連結部材αの中途部分における互いに異なる箇所に取り付けられた2つの滑車部材β,βと、
第二締付部の先端縁部に取り付けられた滑車部材βと、
第一締付部における第二締付部側の縁部(以下「第一締付部の先端縁部」という。)と、滑車部材βとを、滑車部材βを経由して連結する連結部材α
で構成されて、
第一操作部が、滑車部材βに取り付けられるとともに、
第二滑車機構が、
第二締付部と、第一締付部の先端縁部とを連結する連結部材γと、
連結部材γの中途部分における互いに異なる箇所に取り付けられた2つの滑車部材δ,δと、
第一締付部の先端縁部に取り付けられた滑車部材δと、
第二締付部の先端縁部と、滑車部材δとを、滑車部材δを経由して連結する連結部材γ
で構成され、
第二操作部が、滑車部材δに連結された
請求項1記載の腹部締付ベルト。
【請求項3】
連結部材α,α,γ,γが、いずれもベルトとされ、
滑車部材β,β,β,δ,δ,δが、いずれもカン部材とされた
請求項2記載の腹部締付ベルト。
【請求項4】
第一締付部及び第二締付部のそれぞれの先端縁部を、第一締付部及び第二締付部の幅方向一側から他側に向かって「第一区間」、「第二区間」及び「第三区間」と定義したときに、
第一締付部の先端縁部の第一区間、第二区間及び第三区間に、それぞれ、連結部材γ、連結部材α及び滑車部材δが連結され、
第二締付部の先端縁部の第一区間、第二区間及び第三区間に、それぞれ、連結部材α、滑車部材β及び連結部材γが連結された
請求項3記載の腹部締付ベルト。
【請求項5】
第一締付部、第二締付部、第一操作部、第二操作部及び連結部材α,α,γ,γが、いずれも非伸縮性とされた請求項4記載の腹部締付ベルト。
【請求項6】
第一締付部と第二締付部とが分離された請求項1~5いずれか記載の腹部締付ベルトと、
腹部締付ベルトの内側に着用する衣類と
を備え、
衣類の腰部に、腹部締付ベルトの第一締付部における先端縁部とは反対側の縁部、及び、腹部締付ベルトの第二締付部における先端縁部とは反対側の縁部を固定するための固定部が設けられた腹部締付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者の腹部を締め付ける腹部締付ベルトと、この腹部締付ベルトを用いた腹部締付具とに関する。
【背景技術】
【0002】
お腹に贅肉が付くと、見た目が悪くなる。このため、腹部を締め付けて腰を細く見せることも行われている。腹部を締め付けるための器具(腹部締付具)としては、様々な種類のものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1の第2図には、腹部を締め付けるための左右一対の第一締付部及び第二締付部(同図における締付布5,5’)を備えたガードルが提案されている。このガードルでは、第一締付部及び第二締付部(締付布5,5’)をお腹の前で互いに接近する向きに引っ張って重ね合わせ、その重なり合った部分を互いに固定することで、腹部を締め付けることができる。
【0004】
また、腹部締付具としては、面ファスナー等の固着手段を両端部に備えたベルト状のもの(腹部締付ベルト)も提案されている。この腹部締付ベルトでは、その中間部分を腰の背中側に宛がい、その両端部を腰部の腹側に引っ張り出し、その両端部を腹側で互いに重ねて固着することで、腹部を締め付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60-127307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のガードル(腹部締付具)や、上述した従来の腹部締付ベルトでは、腹部を強い力で締め付けにくく、腹部の締め付けが甘くなりやすいという欠点があった。このため、思ったよりも腰が太く見えてしまうことがあった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、腹部を強い力で締め付けやすくした腹部締付ベルトを提供するものである。また、この腹部締付ベルトを用いた腹部締付具を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、
第一締付部と第二締付部とを互いに接近させることで装着者の腹部を締め付けることができるようにした腹部締付ベルトであって、
手で掴んで互いに逆向きに引っ張るための第一操作部及び第二操作部と、
第一操作部に加えられた引張力を増大させて第一締付部又は第二締付部に伝える第一滑車機構と、
第二操作部に加えられた引張力を増大させて第二締付部又は第一締付部に伝える第二滑車機構と
を備えたことを特徴とする腹部締付ベルト
を提供することによって解決される。
【0009】
ここで、「第一滑車機構」及び「第二滑車機構」は、滑車部材を用いて、操作部(第一操作部又は第二操作部)に加えた力(引張力)よりも大きな力が、作用部(第一締付部又は第二締付部)に作用するようにされた機構のことをいう。言い換えると、滑車部材によって、操作部(第一操作部又は第二操作部)に与えた変位よりも、作用部(第一締付部又は第二締付部)の変位が小さくなるようにされた機構のことをいう。「滑車部材」の概念には、滑車そのもの(円盤状乃至は円柱状を為し、その外周部にベルト等の線材を掛け回すことができるようにしたもの)だけでなく、滑車と同様の機能を有する部材も含まれるものとする。滑車と同様の機能を有する部材としては、楕円カンやコキカン等、ベルト等の線材をスライド可能な状態で掛け回すことができるカン部材が例示される。
【0010】
本発明の腹部締付ベルトは、第一操作部及び第二操作部を手で掴んで互いに逆向きに引っ張ることによって、第一締付部と第二締付部とを接近させ、腹部を締め付ける構造になっているところ、第一操作部及び第二操作部に加えた引張力が、上記の第一滑車機構及び第二滑車機構によって増大されて、第一締付部及び第二締付部に伝わるようになっている。このため、第一操作部及び第二操作部を強い力で引っ張らなくても、第一締付部と第二締付部とで腹部を強く締め付けることができる。したがって、従来の腹部締付ベルト等を使用したときよりも、腰を細く見せやすくなる。以下においては、操作部(第一操作部又は第二操作部)に加えた引張力をFとし、作用部(第一締付部又は第二締付部)に作用する締付力をFとしたときの比F/Fを「滑車機構の増大比」と呼ぶことがある。
【0011】
本発明の腹部締付ベルトにおいて、第一滑車機構及び第二滑車機構の具体的な構成は、特に限定されない。例えば、第一滑車機構及び第二滑車機構のそれぞれに、動滑車として機能する1個の滑車部材を組み込めば、上記の増大比F/Fを2とすることもできる。また、第一滑車機構及び第二滑車機構のそれぞれに、動滑車として機能する2個の滑車部材を組み込めば、上記の増大比F/Fを4とすることもできる。さらに、第一滑車機構及び第二滑車機構のそれぞれに、動滑車として機能する3個の滑車部材を組み込めば、上記の増大比F/Fを8とすることもできる。このように、動滑車として機能するN個(Nは1以上の整数。)の滑車部材を組み込めば、増大比F/Fを最大で2とすることができる。ただし、Nの数(動滑車として機能する滑車部材の数)を増やしすぎると、第一滑車機構や第二滑車機構の構造が複雑になり、それらを腹部締付ベルトに組み込みにくくなる。加えて、第一操作部や第二操作部を引っ張る距離が長くなり、第一操作部や第二操作部を操作しにくくなるおそれもある。このため、動滑車として機能する滑車部材の数Nは、第一滑車機構及び第二滑車機構のそれぞれにつき、2~5程度に抑えることが好ましい。
【0012】
例えば、図7に示すように、
第一滑車機構15を、
第一締付部11と、第二締付部12における第一締付部11側の縁部(以下「第二締付部12の先端縁部」という。)とを連結する連結部材αと、
連結部材αの中途部分における互いに異なる箇所に取り付けられた2つの滑車部材β,βと、
第二締付部12の先端縁部に取り付けられた滑車部材βと、
第一締付部11における第二締付部12側の縁部(以下「第一締付部11の先端縁部」という。)と、滑車部材βとを、滑車部材βを経由して連結する連結部材α
で構成して、
第一操作部13を、滑車部材βに取り付けるとともに、
第二滑車機構16を、
第二締付部12と、第一締付部11の先端縁部とを連結する連結部材γと、
連結部材γの中途部分における互いに異なる箇所に取り付けられた2つの滑車部材δ,δと、
第一締付部11の先端縁部に取り付けられた滑車部材δと、
第二締付部12の先端縁部と、滑車部材δとを、滑車部材δを経由して連結する連結部材γ
で構成し、
第二操作部14を、滑車部材δに連結する
ことが好ましい。
【0013】
上記の構成において、滑車部材β,β及び滑車部材δ,δは、いずれも動滑車として機能するものとなっている。すなわち、上記の構成では、動滑車として機能する滑車部材の数Nは、第一滑車機構15及び第二滑車機構16のそれぞれにつき、2となっている。一方、滑車部材βは、第二締付部12の先端縁部に連結されており、滑車部材δは、第一締付部11の先端縁部に連結されているため、その点で、滑車部材β及び滑車部材δを、固定滑車ということができる。滑車部材β及び滑車部材δを連結した第二締付部12及び第一締付部11自体が締付方向に移動できるため、その点では、滑車部材β及び滑車部材δを、動滑車ということもできるところ、本明細書では、滑車部材βや滑車部材δのように、第二締付部12又は第一締付部11に直接的に連結された滑車部材は、固定滑車として扱っている。詳しくは後述するが、図7の構成を採用することによって、増大比F/Fを4とすることができる。
【0014】
本発明の腹部締付ベルトにおいて、図7に示す構成を採用した場合には、連結部材α,α,γ,γには、ワイヤやロープ等を用いてもよい。しかし、この場合には、連結部材α,α,γ,γが絡むおそれがある。このため、連結部材α,α,γ,γには、ベルトを用いることが好ましい。この場合、滑車部材β,β,β,δ,δ,δとしてカン部材(楕円カンやコキカン等)を用いれば、第一滑車機構や第二滑車機構をコンパクトに腹部締付ベルトに組み込むことができる。
【0015】
また、本発明の腹部締付ベルトにおいて、図7に示す構成を採用した場合には、連結部材α,γ及び滑車部材βは、第二締付部12の先端縁部に連結され、連結部材α,γ及び滑車部材δは、第一締付部11の先端縁部に連結される。この場合、連結部材α,γ及び滑車部材βを、第二締付部12の先端縁部におけるどの箇所に連結するかや、連結部材α,γ及び滑車部材δを、第一締付部11の先端縁部におけるどの箇所に連結するかは、特に限定されないところ、以下のようにすることが好ましい。
【0016】
すなわち、
図6に示すように、第一締付部11及び第二締付部12のそれぞれの先端縁部を、第一締付部11及び第二締付部12の幅方向(上下方向)一側から他側に向かって「第一区間S」、「第二区間S」及び「第三区間S」と定義したときに、
第一締付部11の先端縁部の第一区間S、第二区間S及び第三区間Sに、それぞれ、連結部材γ、連結部材α及び滑車部材δを連結し、
第二締付部12の先端縁部の第一区間S、第二区間S及び第三区間Sに、それぞれ、連結部材α、滑車部材β及び連結部材γを連結する
ことが好ましい。
言い換えると、
第一締付部11及び第二締付部12の先端縁部における第一区間Sには、滑車部材β,δを連結せず、連結部材α,γを連結し、
第一締付部11及び第二締付部12の先端縁部における第二区間S及び第三区間Sに、滑車部材β,δと、連結部材α,γを連結する
ことが好ましい。
【0017】
後述するように、第一締付部11の先端縁部における滑車部材δが連結された第三区間Sや、連結部材αが連結された第二区間Sは、連結部材γが連結された第一区間Sよりも、第二締付部12側に強い力で引っ張られる。このため、第一締付部11及び第二締付部12は、第一区間Sの側よりも、第三区間Sの側の方が強い力で引っ張られるようになる。したがって、腹部締付ベルトの第一区間Sの側と第三区間Sの側とで締付具合に差を設ける(第三区間Sの側の締付力を、第一区間Sの側の締付力よりも大きくする)ことができる。よって、上腹部の贅肉が気になりやすい男性は、第三区間Sが上側となる向きで腹部締付ベルトを装着して上腹部を強い力で締め付け、下腹部の贅肉が気になりやすい女性は、第三区間Sが下側となる向きで腹部締付ベルトを装着して下腹部を強い力で締め付けるといった具合に、腹部締付ベルトを装着する向きを状況に応じて選択することが可能になる。
【0018】
本発明の腹部締付ベルトにおいて、 第一締付部や、第二締付部や、第一操作部や、第二操作部は、伸縮性を有する素材で形成することもできる。しかし、その場合には、第一操作部や第二操作部に加えた引張力が素材の伸縮に使われるようになり、腹部締付ベルトの締付力を強くしにくくなる。このため、第一締付部、第二締付部、第一操作部及び第二操作部は、いずれも非伸縮性の素材で形成することが好ましい。同様の理由で、図7に示す構成を採用する場合においては、連結部材α,α,γ,γも、いずれも非伸縮性の素材で形成することが好ましい。
【0019】
以上で述べた本発明の腹部締付ベルトは、装着者の腹部の全周部に掛け回すことができるように、第一締付部と第二締付部とを連続した帯状に形成することもできる。しかし、この場合には、第一操作部及び第二操作部を引っ張る際に、腹部締付ベルトの位置がずれてしまうおそれがある。また、装着者のなかには、背中側に手を回しにくい人(例えば、背中に贅肉が付いた人等)もいるところ、腹部締付ベルトを腹部の全周部に掛け回すためには、手を背中側に大きく回す必要も出てくる。このため、装着者によっては、腹部締付ベルトの装着が難しい場合もあり得る。したがって、以下のように、第一締付部と第二締付部とを分離するとともに、腹部締付ベルトの内側に衣類を着用する態様を採用することが好ましい。
【0020】
すなわち、
第一締付部と第二締付部とが分離された腹部締付ベルトと、
腹部締付ベルトの内側に着用する衣類と
を備え、
衣類の腰部に、腹部締付ベルトの第一締付部における先端縁部とは反対側の縁部(以下「第一締付部の基端縁部」という。)、及び、腹部締付ベルトの第二締付部における先端縁部とは反対側の縁部(以下「第二締付部の基端縁部」という。)を固定するための固定部が設けられた腹部締付具
とする態様である。
【0021】
これにより、
[1]衣類を着用する。
[2]腹部締付ベルトにおける第一締付部及び第二締付部の基端縁部をそれぞれ衣類の固定部に固定する。
[3]第一操作部及び第二操作部を引っ張って第一締付部と第二締付部とを接近させる。
[4]第一操作部及び第二操作部を腹部締付ベルトや衣類に固定する。
という手順で装着者の腹部を締め付けることができる。このため、第一操作部及び第二操作部を引っ張る際に、腹部締付ベルトの位置がずれにくくすることができる。また、固定部を、衣類における脇腹付近に設けておけば、第一締付部や第二締付部の基端縁部を固定部に固定する際に、手を背中側に大きく回す必要もなくなる。このため、腹部締付ベルトを容易に装着することも可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によって、腹部を強い力で締め付けやすくした腹部締付ベルトを提供することが可能になる。また、この腹部締付ベルトを用いた腹部締付具を提供することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】腹部締付ベルトを装着した状態を装着者の前側(胸側)から見た図であって、第一操作部及び第二操作部を引っ張る前の状態を示した図である。
図2】腹部締付ベルトを装着した状態を装着者の前側(胸側)から見た図であって、第一操作部及び第二操作部を引っ張った後の状態を示した図である。
図3】第一操作部及び第二操作部を引っ張る前の腹部締付ベルトをオモテ側から見た状態を示した展開図である。
図4】第一操作部及び第二操作部を引っ張った後の腹部締付ベルトをウラ側から見た状態を示した展開図である。
図5】締付後の腹部締付ベルトをオモテ側から見た状態を示した展開図である。
図6】腹部締付ベルトを分解した状態をオモテ側から見た状態を示した図である。
図7】腹部締付ベルトにおける第一滑車機構及び第二滑車機構の仕組みを説明する模式図である。
図8】衣類における固定部に第一締付部及び第二締付部の基端縁部を固定している様子を、装着者の後側(背中側)から見た状態を示した図である。
図9】腹部締付ベルトを固定する衣類を示した正面図及び背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の腹部締付ベルトについて、図面を用いてより具体的に説明する。以下で述べる構成は、好適な実施形態であり、本発明の技術的範囲は、以下で述べる構成に限定されない。本発明の腹部締付ベルトには、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0025】
1.腹部締付ベルトの概要
図1及び図2は、腹部締付ベルト10を装着した状態を装着者の前側(胸側)から見た図である。図1には、第一操作部13及び第二操作部14を引っ張る前の状態を示し、図2には、第一操作部13及び第二操作部14を引っ張った後の状態を示している。本発明の腹部締付ベルト10は、図1及び図2に示すように、腹部に装着して使用する。この腹部締付ベルト10は、第一締付部11及び第二締付部12と、第一操作部13及び第二操作部14とを備えている。図1に示すように、左右一対の第一操作部13及び第二操作部14を手で掴んで互いに逆向きに引っ張ると、図2に示すように、第一締付部11と第二締付部12とが互いに接近し(腹部締付ベルト10が短くなり)、装着者の腹部が締め付けられた状態となるようになっている。締め付けた後の第一操作部13及び第二操作部14は、面ファスナ等の固定手段(図示省略)によって、腹部締付ベルト10又は衣類20の外面(オモテ面)に固定できるようになっている。第一操作部13及び第二操作部14を引っ張った状態で固定することで、装着者の腹部を締め付けた状態で保つことができる。このため、装着者の腰を細く見せ、スタイルを良く見せることができる。
【0026】
図3に、第一操作部13及び第二操作部14を引っ張る前の腹部締付ベルト10をオモテ側から見た展開図を示し、図4に、そのときの腹部締付ベルト10をウラ側から見た展開図を示す。また、図5に、第一操作部13及び第二操作部14を引っ張った後の腹部締付ベルト10をオモテ側から見た展開図を示す。図3~5では、連結部材α,α,γ,γを区別しやすくするため、連結部材α,α,γ,γに異なるハッチング(目の大きさの異なる網掛けハッチング)を施している。後掲する図6にも、同様のハッチングを施している。図3及び図4に示すように、第一操作部13及び第二操作部14を引っ張る前においては、第一締付部11と第二締付部12とが離れた状態となっているが、図5に示すように、第一操作部13及び第二操作部14を引っ張った後においては、第一締付部11と第二締付部12とが接近した状態となっている。このように、第一締付部11と第二締付部12とが接近することによって、腹部締付ベルト10の全長(腰回り方向の長さ)が短くなり、装着者の腹部が締め付けられる。
【0027】
ところで、腰を細く見せるためには、第一締付部11及び第二締付部12の締付力を強くする必要がある。言い換えると、第一操作部13及び第二操作部14の引張力を強くする必要がある。この点、本発明の腹部締付ベルト10には、図3に示すように、第一操作部13に加えた引張力を増大させるための第一滑車機構15と、第二操作部14に加えた引張力を増大させるための第二滑車機構16とを設けている。このため、第一操作部13及び第二操作部14を強い力で引っ張らなくても(引張力を強くしなくても)、第一締付部11及び第二締付部12で腹部を強く締め付ける(締付力を強くする)ことが可能となっている。このため、力のある人は勿論のこと、お年寄りや女性等の非力な人が使用しても、腰部を強い力で締め付けることが容易となっている。
【0028】
2.腹部締付ベルトの詳細
2.1 第一滑車機構及び第二滑車機構
図6に、腹部締付ベルト10を分解した状態をオモテ側から見た状態を示す。本実施形態においては、図6に示すように、第一滑車機構15を、2本の連結部材α,αと、3つの滑車部材β,β,βとで構成しており、第二滑車機構16を、2本の連結部材β,βと、3つの滑車部材γ,γ,γとで構成している。
【0029】
まず、第一滑車機構15について説明する。
【0030】
第一滑車機構15を構成する各部材のうち、連結部材αは、第一締付部11の中途部分(第一締付部11の長さ方向(締付方向)の中途部分)における点Pと、第二締付部12の先端縁部における第一区間Sとを連結している。本実施形態においては、連結部材αとして、非伸縮性のベルトを用いている。連結部材αの長さ(余分な部分を除いた実質的な長さ)は、通常、30~50cm程度とされ、本実施形態においては、37cmとしている。
【0031】
滑車部材βと滑車部材βは、連結部材αの中途部分(連結部材αの長さ方向における中途部分)に取り付けられている。これらの滑車部材β,βはいずれも、連結部材αに沿ってスライド可能となっている。加えて、滑車部材β,βはいずれも、第一締付部11や第二締付部12には固定されておらず、第一締付部11や第二締付部12に対して動かすことができる状態となっている。このため、滑車部材β,βは、動滑車として機能するようになっている。本実施形態においては、滑車部材β,βとして、縦長の開口部(スリット)を2箇所に有するカン部材(コキカン)を用いているところ、このカン部材は、スリットを1箇所に有する楕円カン等、別の種類のカン部材で置き換えることもできる。滑車部材β,βのうち、滑車部材βには、第一操作部13が取り付けられている。
【0032】
滑車部材βは、第二締付部12の先端縁部における第二区間Sに固定されている。この滑車部材βは、固定滑車として機能するようになっている。本実施形態においては、滑車部材βとして、滑車部材β,βと同じカン部材(コキカン)を用いているところ、このカン部材は、スリットを1箇所に有する楕円カン等、別の種類のカン部材で置き換えることもできる。
【0033】
連結部材αは、第一締付部11の先端縁部における第二区間Sと、滑車部材βとを、滑車部材βを経由して連結している。連結部材αの中途部分(連結部材αの長さ方向の中途部分)は、滑車部材βに掛け回された状態となっている。本実施形態においては、連結部材αとして、非伸縮性のベルトを用いている。連結部材αの長さ(余分な部分を除いた実質的な長さ)は、通常、連結部材αの長さの1/2程度(15~25cm程度)とされ、本実施形態においては、19cmとしている。
【0034】
続いて、第二滑車機構16について説明する。
【0035】
第二滑車機構16を構成する各部材のうち、連結部材γは、第二締付部12の中途部分(第二締付部12の長さ方向(締付方向)の中途部分)における点Qと、第一締付部11の先端縁部における第一区間Sとを連結している。ただし、第一締付部11の先端縁部における第一区間S付近には、上記の連結部材αが通るようになるところ、この連結部材αに干渉させることなく、連結部材γを、第一締付部11の先端縁部における第一区間Sに固定することが難しい。この点、本実施形態においては、第一締付部11の先端縁部における第一区間Sに、滑車部材β,β,βで用いたものと同じカン部材(コキカン等)を固定しており、このカン部材17を介して連結部材γを第一締付部11に固定している。連結部材αは、カン部材17における開口部(スリット)に通している。このカン部材17は、楕円カン等、別の種類のカン部材で置き換えることもできる。第一締付部11の先端縁部における第一区間Sに開口部(スリット)を設ければ、このカン部材17を省略することができる。本実施形態においては、連結部材γとして、非伸縮性のベルトを用いている。連結部材γの長さ(余分な部分を除いた実質的な長さ)は、通常、連結部材αと同程度(30~50cm程度)とされ、本実施形態においては、37cmとしている。
【0036】
滑車部材δと滑車部材δは、連結部材γの中途部分(連結部材γの長さ方向における中途部分)に取り付けられている。これらの滑車部材δ,δはいずれも、連結部材γに沿ってスライド可能となっている。加えて、滑車部材δ,δはいずれも、第一締付部11や第二締付部12には固定されておらず、第一締付部11や第二締付部12に対して動かすことができる状態となっている。このため、滑車部材δ,δは、動滑車として機能するようになっている。本実施形態においては、滑車部材δ,δとして、滑車部材β,β,βと同じカン部材(コキカン)を用いているところ、このカン部材は、楕円カン等、別の種類のカン部材で置き換えることもできる。滑車部材δ,δのうち、滑車部材δには、第二操作部14が取り付けられている。
【0037】
滑車部材δは、第一締付部11の先端縁部における第三区間Sに固定されている。この滑車部材δは、固定滑車として機能するようになっている。本実施形態においては、滑車部材δとして、滑車部材β,β,β,δ,δと同じカン部材(コキカン)を用いているところ、このカン部材は、楕円カン等、別の種類のカン部材で置き換えることもできる。
【0038】
連結部材γは、第二締付部12の先端縁部における第三区間Sと、滑車部材δとを、滑車部材δを経由して連結している。連結部材γの中途部分(連結部材γの長さ方向の中途部分)は、滑車部材δに掛け回された状態となっている。本実施形態においては、連結部材γとして、非伸縮性のベルトを用いている。連結部材γの長さ(余分な部分を除いた実質的な長さ)は、通常、連結部材γの長さの1/2程度(15~25cm程度)とされ、本実施形態においては、19cmとしている。
【0039】
以上のように、本実施形態においては、第一滑車機構15と第二滑車機構16とを略対称に構成している。上述した第一滑車機構15及び第二滑車機構16を単純化すると、図7に示すようになる。図7は、第一滑車機構15及び第二滑車機構16の仕組みを説明する模式図である。図7においては、連結部材α,α及び第一操作部13、並びに、連結部材γ,γ及び第二操作部14を単純な線で示しており、滑車部材α,α,α及び滑車部材γ,γ,γを単純な円(単純な滑車)で示している。また、図7には、第一操作部13及び第二操作部14をそれぞれ引張力Fで引っ張ったときに、点P,P,P,P,Q,Q,Q,Qに作用する力(締付力)を矢印で示しており、その力(締付力)の大きさを矢印の長さで表している。第一締付部11の先端縁部における点P,P,Pは、それぞれ、滑車部材δの固定点、連結部材αの固定点、及び、連結部材γの固定点を示す。また、第二締付部12の先端縁部における点Q,Q,Qは、それぞれ、連結部材γの固定点、滑車部材βの固定点、及び、連結部材αの固定点を示す。
【0040】
図7を見ると、第一操作部13を、引張力Fで第二締付部12とは逆側に引っ張ると、第一締付部11の点Pが、引張力Fの0.5倍の力で第二締付部12側に引っ張られ、第一締付部11の点Pが、引張力Fの1倍の力で第二締付部12側に引っ張られることが分かる。すなわち、第一締付部11は、点Pと点Pとを合わせて、引張力Fの1.5倍の力で第二締付部12側に引っ張られることになる。また、このときには、第二締付部12の点Qが、引張力Fの2倍の力で第一締付部11側に引っ張られ、第二締付部12の点Qが引張力Fの0.5倍の力で第一締付部11側に引っ張られることも分かる。すなわち、第二締付部12は、点Qと点Qとを合わせて、引張力Fの2.5倍の力で第一締付部11側に引っ張られることになる。
【0041】
同様に、図7からは、第二操作部14を、引張力Fで第一締付部11とは逆側に引っ張ると、第二締付部12の点Qが、引張力Fの0.5倍の力で第一締付部11側に引っ張られ、第二締付部12の点Qが、引張力Fの1倍の力で第一締付部11側に引っ張られることが分かる。すなわち、第二締付部12は、点Qと点Qとを合わせて、引張力Fの1.5倍の力で第一締付部11側に引っ張られることになる。また、このときには、第一締付部11の点Pが、引張力Fの2倍の力で第二締付部12側に引っ張られ、第一締付部11の点Pが引張力Fの0.5倍の力で第二締付部12側に引っ張られることも分かる。すなわち、第一締付部11は、点Pと点Pとを合わせて、引張力Fの2.5倍の力で第二締付部12側に引っ張られることになる。
【0042】
以上により、第一操作部13及び第二操作部14のそれぞれを引張力Fで互いに逆向きに引っ張ると、第一締付部11は、引張力Fの4倍(第一操作部13による1.5倍と、第二操作部14による2.5倍の合計)の力(締付力)で第二締付部12側に引っ張られ、第二締付部12も、引張力Fの4倍(第二操作部14による1.5倍と、第一操作部13による2.5倍の合計)の力(締付力)で第一締付部11側に引っ張られることが分かる。したがって、本実施形態においては、第一操作部13及び第二操作部14に加えられた引張力Fを、第一操作部13及び第二操作部14によって4倍に増大して、第一締付部11及び第二締付部12で腹部を締め付けることができる。先に述べた「増大比F/F」で言えば、4ということになる。ただし、実際には、連結部材α,α,γ,γに弛みが生じたり、連結部材α,α,γ,γにおける、滑車部材β,β,β,δ,δ,δに掛け回されていない区間が互いに平行にならなかったりするため、第一滑車機構15及び第二滑車機構16による増大比F/Fは、上記の4よりも小さくなる。
【0043】
また、図7を見ると、第一締付部11及び第二締付部12の先端縁部は、同図における下側区間(図6における第一区間S側)よりも、同図における上側区間(図6における第三区間S側)の方が強く締め付けられることが分かる。このため、上腹部の贅肉が気になる人(男性に多い)は、第三区間S側が上側となる向きで腹部締付ベルト10を装着し、下腹部の贅肉が気になる人(女性に多い)は、第三区間Sが下側となる向きで腹部締付ベルト10を装着するといった具合に、締め付けたい箇所に応じて腹部締付ベルト10を装着する向きを選択する(上下左右を反転させる)ことが可能となっている。
【0044】
2.2 第一操作部及び第二操作部
第一操作部13及び第二操作部14は、上記の第一滑車機構15及び第二滑車機構16を動作させるために、装着者が手で掴んで引っ張る部分となっている。第一操作部13及び第二操作部14は、手で掴むことができるものであれば、その形態等を特に限定されない。本実施形態においては、連結部材α,α,γ,γで用いたものと同じ非伸縮性のベルトを、第一操作部13及び第二操作部14として用いている。既に述べたように、第一操作部13及び第二操作部14を引っ張って装着者の腹部を締め付けた後には、この第一操作部13及び第二操作部14は、腹部締付ベルト10又は上衣20の外面(オモテ面)に固定されるところ、第一操作部13及び第二操作部14のウラ面(腹部締付ベルト10又は上衣20に固定される側の面)側には、面ファスナ(図示省略)を設けている。
【0045】
2.3 第一締付部及び第二締付部
第一締付部11及び第二締付部12は、腹部締付ベルト10の装着者の腹部を締め付けるための部材である。第一締付部11及び第二締付部12は、伸縮性の素材で形成することもできるが、本実施形態においては、非伸縮性の素材で形成している。このため、装着者の腹部を効果的に締め付けることができるようになっている。通常、第一締付部11及び第二締付部12には、それぞれが装着者の腰回り方向に所定の長さを有し、上下方向にも所定の幅を有する面状材(帯状材)が用いられる。
【0046】
本実施形態においては、図3に示すように、第一締付部11を、基端縁部(同図における第一締付部11の紙面左側の縁部)から先端縁部(同図における第一締付部11の紙面右側の縁部)にかけて幅(上下幅)が徐々に広くなる帯状に形成しており、第二締付部12も、基端縁部(同図における第二締付部12の紙面右側の縁部)から先端縁部(同図における第二締付部12の紙面左側の縁部)にかけて幅(上下幅)が徐々に広くなる帯状に形成している。第一締付部11及び第二締付部12の先端縁部の幅(上下幅)を広くしたことで、装着者の腹部を広い範囲にわたって締め付けることが可能となっている。
【0047】
また、第一締付部11の先端部寄りの箇所には、押圧体11aを固定しており、第二締付部12の先端部よりの箇所にも、押圧体12aを固定している。押圧体11a,12aは、硬質な板材等によって構成される。これにより、押圧体11a,12aで腹部を内側に押し込み、腹部をより効果的に締め付けることが可能となっている。本実施形態においては、第一締付部11及び第二締付部12のそれぞれをオモテ地及びウラ地を含む複数層で構成しているところ、オモテ地とウラ地の間に押圧体11a,12aを挟み込み、押圧体11a,12aの周囲のオモテ地とウラ地とを互いに縫着することで、押圧体11a,12aを第一締付部11及び第二締付部12に埋め込んだ状態で固定している。
【0048】
押圧体11a,12aの寸法は、特に限定されないが、通常、その高さ(上下方向の長さ)が5~20cm程度とされ、その横幅(左右方向の長さ)が2~15cm程度とされる。本実施形態においては、押圧体11a,12aの高さを15cmとしている。また、押圧体11a,12aのそれぞれの横幅は、第一区間S図6)側で約5cmとし、第三区間S側で約6.5cmとしている。このため、押圧体11a,12aが、上下方向で非対称な形態となっている。既に述べたように、本実施形態の腹部締付ベルト10は、その上下左右を反転して装着することも可能であるところ、押圧体11a,12aを、上下方向で非対称な形態としたことによって、腹部締付ベルト10を装着する向きに応じた適切な箇所を効果的に押圧することが可能となっている。
【0049】
第一締付部11及び第二締付部12は、装着者の腰部の前後方向で対になるように配することもできる。しかし、この場合には、主に、腰部の側方(脇腹)が締め付けられるようになり、腰部の前方(腹部)を効果的に締め付けることができなくなる。また、第一滑車機構15の増大比F/Fと、第二滑車機構16の増大比F/Fとに差が生じやすくなり、第一締付部11と第二締付部12とで腹部をバランスよく締め付けにくくなる。というのも、第一滑車機構15を操作する第一操作部13と、第二滑車機構16を操作する第二操作部14は、腹部の前側で左右方向で略対称に配した方が、第一操作部13及び第二操作部14を身体の前側で引っ張りやすくなるところ、第一操作部13と第二操作部14とを腹部の前側で左右方向で略対称に配した状態で、第一締付部11及び第二締付部12を腰部の前後に配すると、第一滑車機構15における連結部材α,αの長さを、第二滑車機構16における連結部材γ,γの長さと変えたり、第一滑車機構15における滑車部材β,β,βの配置を、第二滑車機構16における滑車部材δ,δ,δの配置と変えたりする必要が生ずるからである。
【0050】
このため、本実施形態においては、第一締付部11及び第二締付部12のうち、一方を腰部の左側(左腹部)に配し、他方を腰部の右側(右腹部)に配するようにしている。これにより、第一滑車機構15の増大比F/Fと、第二滑車機構16の増大比F/Fとを揃えやすくなり、腹部をバランスよく締め付けることが可能となっている。
【0051】
第一締付部11と第二締付部12は、連続する1本の帯状材で構成する(第一締付部11の基端縁部(第一締付部11における図3の紙面左側の端縁部)と第二締付部12の基端縁部(第二締付部12における図3の紙面右側の端縁部)とを連続させる)こともできる。ただし、本実施形態においては、図3に示すように、第一締付部11と第二締付部12とを分離して構成している。第一締付部11と第二締付部12とを分離しても、第一締付部11及び第二締付部12の基端縁部同士を互いに連結できるようにすれば、腹部締付ベルト10で腹部を締め付けることが可能となる。この場合、第一締付部11の基端縁部と第二締付部12の基端縁部は、直接的に連結する必要はなく、後述する衣類20のような他の部材を介して間接的に連結するようにしてもよい。
【0052】
本実施形態においては、図8及び図9に示す衣類20を介して、第一締付部11の基端縁部と第二締付部12の基端縁部とを連結するようにしている。図8は、衣類20における固定部21に第一締付部11及び第二締付部12の基端縁部を固定している様子を、装着者の後側(背中側)から見た状態を示した図である。図9は、腹部締付ベルト10を固定する衣類20を示した正面図(図9(a))及び背面図(図9(b))である。
【0053】
2.4 衣類
衣類20は、図9に示すように、腰部に、固定部21が設けられている。この固定部21は、腹部締付ベルト10における第一締付部11及び第二締付部12の基端縁部を固定するための部分となっている。図4に示すように、腹部締付ベルト10における第一締付部11及び第二締付部の基端縁部のウラ面(衣類20に固定される側の面)には、固定部21に固定するための被固定部11b,12bが設けられている。固定部21と被固定部11b,12bは、互いに固定できるものであれば特に限定されない。本実施形態においては、固定部21を面ファスナ(雌)とし、被固定部11b,12bを面ファスナ(雄)としている。この固定部21には、第一操作部13及び第二操作部14(上述した固定手段)も固定できるようになっている。
【0054】
固定部21における、第一締付部11側の被固定部11bを固定する箇所と、第二締付部12側の被固定部12bを固定する箇所とは、分離した状態に設けてもよいが、本実施形態においては、図9に示すように、連続して設けている。具体的には、衣類20の一方の脇腹部から、腰部の後側を通って、他方の脇腹部に至るまでの帯状の範囲に渡って固定部21を連続的に設けている。このため、第一締付部11及び第二締付部12の基端縁部(被固定部11b,12b)の取り付け箇所を広い範囲で選択できるようになっており、装着者の体形が変わる等しても、同じ腹部締付ベルト10を使用し続けることができる。
【0055】
衣類20における固定部21を設けた箇所(一方の脇腹部から、腰部の後側を通って、他方の脇腹部に至るまでの帯状の範囲)は、上記の面ファスナを取り付けたことによって、伸縮しない状態となっている。このため、腹部締付ベルト10の第一操作部13及び第二操作部14を引っ張り、第一締付部11と第二締付部12とを接近させると、その力が衣類20における固定部21にもしっかりと伝わり、装着者の腹部が効果的に締め付けられるようになっている。
【0056】
以上のように、腹部締付ベルト10及び衣類20は、
[1]衣類20を着用する。
[2]図8に示すように、第一締付部11及び第二締付部12のそれぞれの基端縁部を衣類20の固定部21に固定する。
[3]図1及び図2に示すように、第一操作部13及び第二操作部14を引っ張って第一締付部11と第二締付部12とを接近させる。
[4]第一操作部13及び第二操作部14を、衣類20又は腹部締付ベルト10の本体部分(第一締付部11又は第二締付部12)の外面(オモテ面)に固定する。
という手順で装着者の腹部を締め付けることができる。
【0057】
このため、第一操作部13及び第二操作部14を引っ張る際に、腹部締付ベルト10の位置がずれにくくすることができる。また、腹部締付ベルト10を装着する際に、手を背中側に大きく回す必要もなくなる。このため、腹部締付ベルトを容易に装着することも可能になる。
【0058】
衣類20は、装着者の少なくとも腰回り部分を覆うことができるものであれば、その種類を特に限定されない。そのような衣類20としては、Tシャツやトレーナー等の上衣(上半身に着用する衣類)が例示される。本実施形態においては、図9に示すように、衣類20をTシャツタイプの肌着としているところ、この肌着(衣類20)を、Tシャツやトレーナー等の下に着用しても、そのTシャツやトレーナー等のネック部分から肌着(衣類20)が覗かないようにしている。具体的には、肌着(衣類20)のネック部分を通常の肌着よりも広く確保している。ネック部分の幅W(図9(a))は、25~40cm程度、ネック部分の前側の深さD図9(a))は、20~30cm程度、ネック部分の後側の深さD図9(b))は、5~20cm程度とすることが好ましい。肌着(衣類20)の生地の素材は、特に限定されないが、本実施形態においては、パワーネットとしている。
【0059】
また、衣類20は、おへそ付近まで覆う形態であれば、ガードルやパンツ等の下衣(下半身に着用する衣類)とすることもできる。さらに、腹巻等、主に腹部のみを覆うものを衣類20とすることもできる。
【符号の説明】
【0060】
10 腹部締付ベルト
11 第一締付部
11a 押圧体
11b 被固定部
12 第二締付部
12a 押圧体
12b 被固定部
13 第一操作部
14 第二操作部
15 第一滑車機構
α 連結部材
α 連結部材
β 滑車部材
β 滑車部材
β 滑車部材
16 第二滑車機構
γ 連結部材
γ 連結部材
δ 滑車部材
δ 滑車部材
δ 滑車部材
17 カン部材
20 衣類
21 固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9