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特開2024-110759車載装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110759
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】車載装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/20 20060101AFI20240808BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240808BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H02H7/20 A
B60R16/02 650V
H02J7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015540
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】谷中 裕太
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
【Fターム(参考)】
5G053AA01
5G053AA14
5G053BA01
5G053CA02
5G053EA01
5G053EC03
5G053FA05
5G503BB01
5G503CC02
5G503FA17
5G503GA01
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】閉(オン)の状態にある開閉装置が配置された電源線の発煙特性に応じて、半導体ヒューズの遮断特性を変更する車載装置等を提供する。
【解決手段】車載装置は、車両に搭載される電源装置からの電源線に設けられる複数の開閉装置の開閉制御を行う車載装置であって、前記開閉装置の開閉制御に関する処理を行う制御部を備え、前記制御部は、複数の前記開閉装置の内、閉状態の開閉装置を特定し、前記閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性を取得し、取得した発煙特性に応じて、前記電源装置からの電流の流れ方向において前記閉状態の開閉装置よりも上流側の電源線に設けられる半導体ヒューズの遮断特性を変更し、変更した遮断特性にて、前記半導体ヒューズの遮断制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電源装置からの電源線に設けられる複数の開閉装置の開閉制御を行う車載装置であって、
前記開閉装置の開閉制御に関する処理を行う制御部を備え、
前記制御部は、
複数の前記開閉装置の内、閉状態の開閉装置を特定し、
前記閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性を取得し、
取得した発煙特性に応じて、前記電源装置からの電流の流れ方向において前記閉状態の開閉装置よりも上流側の電源線に設けられる半導体ヒューズの遮断特性を変更し、
変更した遮断特性にて、前記半導体ヒューズの遮断制御を行う
車載装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記半導体ヒューズに流れる電流値を取得し、
変更した遮断特性に基づき、取得した電流値に応じて前記半導体ヒューズの遮断制御を行う
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性を下回るように、前記半導体ヒューズの遮断特性を変更する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記閉状態の開閉装置が複数存在する場合、
前記制御部は、複数の前記閉状態の開閉装置それぞれが配置される電源線それぞれの発煙特性の組み合わせに基づき、前記半導体ヒューズの遮断特性を変更する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
前記電源装置からの電源線は、前記半導体ヒューズが接続される主電線と、主電線が分岐された複数の分岐線とを含み、
車載装置は、前記半導体ヒューズと、前記分岐線に接続される前記開閉装置とを含む
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
前記電源装置からの電源線は、前記半導体ヒューズが接続される主電線を含み、
車載装置は、前記半導体ヒューズを含み、
前記電源装置からの電流の流れ方向において前記半導体ヒューズよりも下流側の前記主電線には、複数の前記開閉装置を含む電源分配装置が接続される
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項7】
前記電源装置からの電源線は、前記半導体ヒューズが接続される主電線と、前記主電線が分岐された複数の分岐線とを含み、
車載装置は、前記半導体ヒューズと、複数の前記分岐線とを含み、
複数の前記分岐線の内のいずれかの分岐線には、複数の前記開閉装置を含む電源分配装置が接続される
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項8】
前記制御部は、変更した遮断特性にて前記半導体ヒューズの遮断制御を行うことにより前記半導体ヒューズを遮断した場合、
前記閉状態の開閉装置であった全ての開閉装置を開の状態にし、
前記半導体ヒューズを閉の状態にし、
前記開の状態にある開閉装置を順次に閉の状態にすると共に、閉状態となった開閉装置に応じて前記半導体ヒューズの遮断特性を順次に変更し、
変更した遮断特性に基づき、前記半導体ヒューズに流れる電流値に応じて前記半導体ヒューズの遮断制御を行い、
遮断制御を行うにあたり、前記半導体ヒューズを遮断した際に閉の状態にした開閉装置を特定し、
前記特定した開閉装置を開に固定した状態にて、他の開閉装置の開閉制御に関する処理を再開する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項9】
車両に搭載される電源装置からの電源線に設けられる複数の開閉装置の開閉制御に関する処理を行うコンピュータに、
複数の前記開閉装置の内、閉状態の開閉装置を特定し、
前記閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性を取得し、
取得した発煙特性に応じて、前記電源装置からの電流の流れ方向において前記閉状態の開閉装置よりも上流側の電源線に設けられる半導体ヒューズの遮断特性を変更し、
変更した遮断特性にて、前記半導体ヒューズの遮断制御を行う
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項10】
車両に搭載される電源装置からの電源線に設けられる複数の開閉装置の開閉制御に関する処理を行うコンピュータに、
複数の前記開閉装置の内、閉状態の開閉装置を特定し、
前記閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性を取得し、
取得した発煙特性に応じて、前記電源装置からの電流の流れ方向において前記閉状態の開閉装置よりも上流側の電源線に設けられる半導体ヒューズの遮断特性を変更し、
変更した遮断特性にて、前記半導体ヒューズの遮断制御を行う
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、車載装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、バッテリから負荷への給電を制御する給電制御装置(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1に記載の給電制御装置では、バッテリから負荷に流れる電流の電流経路に下流半導体ヒューズが設けられ、下流半導体ヒューズをオン又はオフに切替えることによって、バッテリから負荷への給電を制御する。
【0003】
下流半導体ヒューズは制御端を有する。例えば、下流半導体ヒューズがFET(Field Effect Transistor)である場合、制御端はゲートである。下流半導体ヒューズの両端間の抵抗値は、制御端の電圧に応じて変化する。制御端の電圧を調整することによって、下流半導体ヒューズの両端間の抵抗値を十分に小さい値に調整し、下流半導体ヒューズをオンに切替える。制御端の電圧を調整することによって、下流半導体ヒューズの両端間の抵抗値を十分に大きい値に調整し、下流半導体ヒューズをオフに切替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-143905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の給電制御装置では、閉(オン)の状態にある開閉装置が配置された電源線の発煙特性に応じて、半導体ヒューズの遮断特性を変更する点については考慮されていない。
【0006】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、閉(オン)の状態にある開閉装置が配置された電源線の発煙特性に応じて、半導体ヒューズの遮断特性を変更することができる車載装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る車載装置は、車両に搭載される電源装置からの電源線に設けられる複数の開閉装置の開閉制御を行う車載装置であって、前記開閉装置の開閉制御に関する処理を行う制御部を備え、前記制御部は、複数の前記開閉装置の内、閉状態の開閉装置を特定し、前記閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性を取得し、取得した発煙特性に応じて、前記電源装置からの電流の流れ方向において前記閉状態の開閉装置よりも上流側の電源線に設けられる半導体ヒューズの遮断特性を変更し、変更した遮断特性にて、前記半導体ヒューズの遮断制御を行う。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、閉(オン)の状態にある開閉装置が配置された電源線の発煙特性に応じて、半導体ヒューズの遮断特性を変更する車載装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1(単一装置)に係る車載装置等を含む車載システムの構成を例示する模式図である。
図2】車載装置の内部構成を例示するブロック図である。
図3】特性テーブルを示す説明図である。
図4】遮断特性(経路A)の変更を説明する説明図である。
図5】遮断特性(経路A+B)の変更を説明する説明図である。
図6】遮断特性(経路A+B+・・・)の変更を説明する説明図である。
図7】車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
図8】実施形態2(上流、下流にて別装置)に係る車載装置等を含む車載システムの構成を例示する模式図である。
図9】実施形態3(複合形態)に係る車載装置等を含む車載システムの構成を例示する模式図である。
図10】実施形態4に係る車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0011】
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、車両に搭載される電源装置からの電源線に設けられる複数の開閉装置の開閉制御を行う車載装置であって、前記開閉装置の開閉制御に関する処理を行う制御部を備え、前記制御部は、複数の前記開閉装置の内、閉状態の開閉装置を特定し、前記閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性を取得し、取得した発煙特性に応じて、前記電源装置からの電流の流れ方向において前記閉状態の開閉装置よりも上流側の電源線に設けられる半導体ヒューズの遮断特性を変更し、変更した遮断特性にて、前記半導体ヒューズの遮断制御を行う。
【0012】
本態様にあたっては、車両に搭載される電源装置から延設される電源線には、複数の開閉装置が接続されており、電流の流れ方向において、当該開閉装置の下流側には車載負荷又は車載ECUが接続されている。車載装置の制御部は、車載負荷又は車載ECUの起動又は停止を制御する電源制御装置として機能するものであり、当該起動又は停止を行うあたり、これら車載負荷に対応する開閉装置の開閉制御(オン・オフ制御)を行う。電源装置から延設される電源線において、電源装置と、複数の開閉装置との間には、半導体ヒューズが配置されている。すなわち、電源線は、半導体ヒューズが配置されている主電線と、当該主電線から分岐され、開閉装置それぞれが配置される複数の分岐線とを含む。これら分岐線それぞれに対し、当該分岐線の製品仕様等として発煙特性が定められている。車載装置の制御部は、当該発煙特性に対応するように変更される遮断特性に基づき、半導体ヒューズの遮断制御を行う。車載装置の制御部は、現時点における閉(オン)状態の開閉装置を特定し、特定した閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性に基づき、半導体ヒューズの遮断特性を変更する。開閉装置の開閉状態は、車載負荷等の起動又は停止に応じて変化するところ、車載装置の制御部は、当該開閉装置の開閉状態の変化に対応(追従)して、半導体ヒューズの遮断特性を変更する。車載装置の制御部は、変更した遮断特性を用いて、半導体ヒューズに流れる電流の値(過電流値)及び当電流が流れた経過時間に基づき、半導体ヒューズを遮断する制御を行う。これにより、半導体ヒューズよりも下流側に位置する分岐線それぞれにおいて、ヒューズを配置することを不要とすることができ、車載装置における部品点数の削減、製品コストの低減、及び製品重量の軽減化を図ることができる。
【0013】
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記半導体ヒューズに流れる電流値を取得し、変更した遮断特性に基づき、取得した電流値に応じて前記半導体ヒューズの遮断制御を行う。
【0014】
本態様にあたっては、半導体ヒューズが配置されている主電線には、当該半導体ヒューズに流れる電流の値(電流値)を検出する電流センサ等の電流検出部が設けられている。車載装置の制御部は、当該電流検出部から出力された検出値(電流値)を取得し、閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性に基づき変更した遮断特性と、取得した電流値とに基づき、半導体ヒューズの遮断制御を行う。車載装置の制御部は、変更した遮断特性を用いて、半導体ヒューズに流れる電流の値(過電流値)及び当電流が流れた経過時間に基づき半導体ヒューズを遮断するか否かを判定し、遮断特性にて定義される許容値を超えた場合、半導体ヒューズを遮断するため、分岐線を過電流から確実に保護することができる。
【0015】
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性を下回るように、前記半導体ヒューズの遮断特性を変更する。
【0016】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性を下回るように、半導体ヒューズの遮断特性を変更するものであり、当該発煙特性にて定義される電流値に対し、例えば、当該電流値を下方にシフト(低減)させるオフセット値を用いて、半導体ヒューズの遮断特性を変更する。これにより、閉状態の開閉装置が配置される電源線(分岐線)の発煙特性にて定義される許容値を超えることなく、半導体ヒューズの遮断特性に応じた遮断制御を行うができ、分岐線を過電流から確実に保護することができる。
【0017】
(4)本開示の一態様に係る車載装置は、前記閉状態の開閉装置が複数存在する場合、前記制御部は、複数の前記閉状態の開閉装置それぞれが配置される電源線それぞれの発煙特性の組み合わせに基づき、前記半導体ヒューズの遮断特性を変更する。
【0018】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、閉状態の開閉装置が複数存在する場合、これら開閉装置それぞれが配置される電源線(分岐線)それぞれの発煙特性の組み合わせに基づき、半導体ヒューズの遮断特性を変更する。車載装置の制御部は、開閉装置が配置される分岐線それぞれの発煙特性を組み合わせるにあたり、各発煙特性にて定義される発煙特性曲線を合算するものであってもよい。車載装置の制御部は、複数の分岐線の発煙特性を合算することにより、合算発煙特性を算出し、当該合算発煙特性を下回るにように半導体ヒューズの遮断特性を変更する。このように複数の分岐線の発煙特性を合算した合算発煙特性に応じて、半導体ヒューズの遮断特性を変更することにより、複数の開閉装置が同時に閉状態となった場合においても、これら閉状態となった複数の開閉装置それぞれが配置される分岐線それぞれに対する保護を確実に行うことができる。
【0019】
(5)本開示の一態様に係る車載装置は、前記電源装置からの電源線は、前記半導体ヒューズが接続される主電線と、主電線が分岐された複数の分岐線とを含み、車載装置は、前記半導体ヒューズと、前記分岐線に接続される前記開閉装置とを含む。
【0020】
本態様にあたっては、車載装置は、半導体ヒューズ、半導体ヒューズが接続される主電線、当該主電線が分岐された複数の分岐線、及び分岐線それぞれに配置された開閉装置それぞれを含む。すなわち、車載装置は、開閉装置の開閉制御(オン・オフ制御)を行う電源制御装置として機能し、更に、電源装置から供給された電力を、電流の流れ方向にて下流側に配置される複数の車載ECUに対し分配する電源分配装置として機能する。このように車載装置が電源制御装置及び電源分配装置として機能する場合であっても、閉状態の開閉装置が配置される分岐線の発煙特性に応じて、半導体ヒューズの遮断特性を変更することにより、当該分岐線に対する保護を確実に行うことができる。
【0021】
(6)本開示の一態様に係る車載装置は、前記電源装置からの電源線は、前記半導体ヒューズが接続される主電線を含み、車載装置は、前記半導体ヒューズを含み、前記電源装置からの電流の流れ方向において前記半導体ヒューズよりも下流側の前記主電線には、複数の前記開閉装置を含む電源分配装置が接続される。
【0022】
本態様にあたっては、車載装置は、半導体ヒューズと、半導体ヒューズが接続される主電線とを含む。その上で、電源装置からの電流の流れ方向において半導体ヒューズよりも下流側の主電線には、車載装置とは別装置となる電源分配装置が接続される。主電線に接続される電源分配装置は、当該主電線が分岐された複数の分岐線、及び複数の分岐線それぞれに配置される開閉装置それぞれを含む。車載装置と、電源分配装置に含まれる開閉装置それぞれとは、信号線にて通信可能に接続されており、車載装置の制御部は、電源分配装置に含まれる開閉装置それぞれの開閉制御(オン・オフ制御)を行う。このように電流の流れ方向にて、上流側に半導体ヒューズを含む車載装置が設けられ、下流側に開閉装置を含む電源分配装置が設けられる接続形態においても、閉状態の開閉装置が配置される分岐線の発煙特性に応じて、半導体ヒューズの遮断特性を変更することにより、当該分岐線に対する保護を確実に行うことができる。
【0023】
(7)本開示の一態様に係る車載装置は、前記電源装置からの電源線は、前記半導体ヒューズが接続される主電線と、前記主電線が分岐された複数の分岐線とを含み、車載装置は、前記半導体ヒューズと、複数の前記分岐線とを含み、複数の前記分岐線の内のいずれかの分岐線には、複数の前記開閉装置を含む電源分配装置が接続される。
【0024】
車載装置は、半導体ヒューズ、半導体ヒューズが接続される主電線、当該主電線が分岐された複数の分岐線、及び分岐線それぞれに配置された開閉装置それぞれを含む。その上で、複数の分岐線の内、車載装置に含まれる開閉装置が接続されない分岐線には、電源分配装置が接続される。当該分岐線はカスケード接続される分岐線であり、電源分配装置は、カスケード接続用の分岐線から更に分岐された複数の分岐線、及び複数の分岐線それぞれに配置される開閉装置それぞれを含む。従って、車載装置は、電源制御装置及び電源分配装置として機能しつつ、更に車載装置とは別装置となる電源分配装置をカスケード接続することにより、比較的に多くの開閉装置に対する開閉制御(オン・オフ制御)を行うことができる。このような接続形態においても、閉状態の開閉装置が配置される分岐線の発煙特性に応じて、半導体ヒューズの遮断特性を変更することにより、当該分岐線に対する保護を確実に行うことができる。
【0025】
(8)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、変更した遮断特性にて前記半導体ヒューズの遮断制御を行うことにより前記半導体ヒューズを遮断した場合、前記閉状態の開閉装置であった全ての開閉装置を開の状態にし、前記半導体ヒューズを閉の状態にし、前記開の状態にある開閉装置を順次に閉の状態にすると共に、閉状態となった開閉装置に応じて前記半導体ヒューズの遮断特性を順次に変更し、変更した遮断特性に基づき、前記半導体ヒューズに流れる電流値に応じて前記半導体ヒューズの遮断制御を行い、遮断制御を行うにあたり、前記半導体ヒューズを遮断した際に閉の状態にした開閉装置を特定し、前記特定した開閉装置を開に固定した状態にて、他の開閉装置の開閉制御に関する処理を再開する。
【0026】
本態様にあたっては、車載装置の制御部は、閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性に基づき変更した遮断特性を用いて、半導体ヒューズを遮断した場合、当該遮断の後処理として、遮断の要因となった分岐線に配置された開閉装置を特定し、当該開閉装置を開(オフ)に固定した状態にて、他の開閉装置の開閉制御に関する処理を再開する。車載装置の制御部は、断の要因となった分岐線に配置された開閉装置を特定するにあたり、対象となる複数の開閉装置を順次に閉(オン)すると共に、閉(オン)状態の開閉装置に応じて半導体ヒューズの遮断特性を変更する。これにより、例えば地絡等にて過電流が発生した分岐線に配置される開閉装置を閉(オン)にした際、車載装置の制御部は、当該分岐線を含めた合算発煙特性に対応した遮断特性に基づき、半導体ヒューズを遮断する。
これにより、半導体ヒューズを遮断した際(半導体ヒューズが遮断された時点の直前)に閉の状態にした開閉装置を、過電流が流れる分岐線に配置された開閉装置として特定することができる。車載装置の制御部は、特定した開閉装置を開(オフ)に固定することにより、短絡等の問題が生じた分岐線を実質的に切り離すことができる。その上で、車載装置の制御部は、他の開閉装置の開閉制御(オン・オフ制御)を再開、すなわちこれら他の開閉装置に接続される車載負荷等の起動又は停止を制御する電源制御装置として機能を再開することができる。
【0027】
(9)本開示の一態様に係る情報処理方法は、車両に搭載される電源装置からの電源線に設けられる複数の開閉装置の開閉制御に関する処理を行うコンピュータに、複数の前記開閉装置の内、閉状態の開閉装置を特定し、前記閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性を取得し、取得した発煙特性に応じて、前記電源装置からの電流の流れ方向において前記閉状態の開閉装置よりも上流側の電源線に設けられる半導体ヒューズの遮断特性を変更し、変更した遮断特性にて、前記半導体ヒューズの遮断制御を行う。
【0028】
本態様にあたっては、コンピュータを、閉(オン)の状態にある開閉装置が配置された電源線の発煙特性に応じて、半導体ヒューズの遮断特性を変更する車載装置として機能させる情報処理方法を提供することができる。
【0029】
(10)本開示の一態様に係るプログラムは車両に搭載される電源装置からの電源線に設けられる複数の開閉装置の開閉制御に関する処理を行うコンピュータに、複数の前記開閉装置の内、閉状態の開閉装置を特定し、前記閉状態の開閉装置が配置される電源線の発煙特性を取得し、取得した発煙特性に応じて、前記電源装置からの電流の流れ方向において前記閉状態の開閉装置よりも上流側の電源線に設けられる半導体ヒューズの遮断特性を変更し、変更した遮断特性にて、前記半導体ヒューズの遮断制御を行う。
【0030】
本態様にあたっては、コンピュータを、閉(オン)の状態にある開閉装置が配置された電源線の発煙特性に応じて、半導体ヒューズの遮断特性を変更する車載装置として機能させるプログラムを提供することができる。
【0031】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載装置1を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0032】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1(単一装置)に係る車載装置1等を含む車載システムSの構成を例示する模式図である。図2は、車載装置1の内部構成を例示するブロック図である。車載システムSは、車両Cに搭載される車載装置1、車載ECU2、及びこれらを通信可能に接続する車載ネットワーク3により構成される。車載ネットワーク3は、複数の通信線31により構成される。車載ネットワーク3における通信が、例えばCAN(Controller Area Network)又はCAN-FDの通信プロコトルに応じた通信が行われる場合、通信線31はCANバスに相当する。
【0033】
車両Cには、鉛バッテリ、オルタネータ又は二次電池等にて構成される電源装置5が搭載されている。電源装置5と車載装置1とは、電源線51にて接続されている。電源装置5と車載装置1とは、電源線51にて直接的に接続されている場合に限定されず、電源装置5と車載装置1との間にリレーボックス又はヒューズボックス等の電気箱(ジャンクションボックス)が介在し、間接的に接続されているものであってもよい。
【0034】
車載装置1と、複数の車載負荷6又は車載ECU2とは、電源線51(分岐線513)にて接続されており、車載装置1は、これら複数の車載負荷6又は車載ECU2に対し、電力を分配する。すなわち、車載装置1は、電源線51を介して電源装置5から供給された電力を、電流の流れ方向にて下流側に配置される複数の車載負荷6又は車載ECU2に対し分配する電源分配装置7として機能する。
【0035】
電源装置5から延設された電源線51は、車載装置1に設けられた半導体ヒューズ53に接続される。電源線51は、車載装置1の内部に位置し、半導体ヒューズ53が接続される主電線511と、当該主電線511が分岐された複数の分岐線513とを含む。
【0036】
半導体ヒューズ53と、主電線511が複数の分岐線513に分岐される分岐点との間には、電流検出部512が配置されている。電流検出部512は、半導体ヒューズ53に流れる電流の値(電流値)を周期的又は定常的に検出する。電流検出部512は、例えばシャント抵抗等にて構成される電流センサであり、検出した電流値を車載装置1の制御部11に出力する。
【0037】
複数の分岐線513それぞれには、開閉装置52が配置される。開閉装置52は、例えば、半導体リレー、機械式リレー又は開閉スイッチにより構成される。これら分岐線513それぞれに配置される開閉装置52は、電源線51からの電流の流れ方向において、半導体ヒューズ53よりも下流側に配置される。複数の分岐線513それぞれにおいて、電源線51からの電流の流れ方向において、開閉装置52よりも下流側には、車載負荷6又は車載ECU2が接続される。
【0038】
車載負荷6は、例えば、カーエアコン、ランプ、又は駆動モータ等のアクチュエータである。車載ECU2は通信機能を有するマイコン等を含み、センサからの検出値又は各種スイッチからの出力値に基づき、所定の演算処理を行う。これら車載負荷6等は、分岐線513に配置される開閉装置52の開閉制御(オン・オフ制御)に応じて給電が開始又は遮断され、これにより起動又は停止される。車載装置1は、これら開閉装置52の開閉制御(オン・オフ制御)を行うことにより、車載負荷6等の起動又は停止を制御する電源制御装置として機能する。
【0039】
車載装置1は、車載ECU2の起動又は停止を制御する電源制御装置として機能し、例えばCANゲートウェイ等の中継機能を有する装置であってもよい。又は、車載装置1は、車両Cの全体を統合的に制御し、中継機能を有する統合ECU(ヴィークルコンピュータ)であってもよい。又は、車載装置1は、統合ECUの配下に接続され、車両Cの各エリアに配置される個別ECUであってもよい。又は、車載装置1は、車両Cのボディ系アクチュエータを制御するボディECU等として構成されるものであってもよい。又は、車載装置1は、通信に関する中継に加え、二次電池等の電源装置5から出力された電力を分配及び中継し、アクチュエータ等の車載器に電力を供給する電力分配装置としても機能するPLB(Power Lan Box)であってもよい。車載装置1には、各種スイッチ、センサ又はアクチュエータ等の車載機器が接続されるものであってもよい。
【0040】
車載装置1は、制御部11、記憶部12、通信部13、及び入出力I/F14を含む。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、記憶部12に予め記憶された制御プログラムP(プログラム製品)及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。
【0041】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子、又は、これら記憶デバイスの組み合わせにより構成してあり、制御プログラムP(プログラム製品)及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部12に記憶された制御プログラムP(プログラム製品)は、車載装置1が読み取り可能な記録媒体Mから読み出された制御プログラムP(プログラム製品)を記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから制御プログラムP(プログラム製品)をダウンロードし、記憶部12に記憶させたものであってもよい。
【0042】
通信部13は、例えばCAN、CAN-FD又はイーサネット(Ethernet/登録商標)等の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイスであり、制御部11は、通信部13を介して車載ネットワーク3に接続されている車載ECU2と相互に通信する。
車載装置1において、通信部13は、複数個、設けられているものであってもよい。
【0043】
入出力I/F14は、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。入出力I/F14は、複数の端子(出力端子)を含み、端子それぞれには、半導体ヒューズ53、電流検出部512、及び開閉装置52それぞれに延設される信号線140それぞれが、接続されている。信号線140は、例えば、シリアルケーブル、ワイヤーハーネス又は、一つの信号のみを送信する導電ケーブル(じか線)等により構成される。
【0044】
半導体ヒューズ53は、例えば、FET(Field Effect Transistor)にて構成される。車載装置1の制御部11は、電流検出部512から出力された電流値に基づき、半導体ヒューズ53の遮断特性に応じて、当該半導体ヒューズ53の遮断制御を行う。
詳細は後述するが、半導体ヒューズ53の遮断特性は、開閉装置52それぞれにおける開閉状態に応じて、可変的に設定される。
【0045】
図3は、特性テーブルを示す説明図である。車載装置1の記憶部12等、車載装置1の制御部11がアクセス可能な記憶領域には、分岐線513それぞれにおける発煙特性に関する情報が、例えばテーブル形式(特性テーブル)にて記憶されている。車載装置1の制御部11は、当該特性テーブルを参照することにより、分岐線513それぞれの発煙特性を取得することができる。
【0046】
特性テーブルは、管理項目(フィールド)として、分岐線513名(経路)、発煙特性、開閉装置52名、開閉状態及び車載負荷6名を含む。分岐線513名(経路)の管理項目には、半導体ヒューズ53が配置された主電線511よりも、電流の流れ方向にて下流側に位置する分岐線513それぞれを一意に示すための線番号等、分岐線513の識別子が格納される。
【0047】
発煙特性の管理項目には、同一レコードとして対応する分岐線513(分岐線513名)の発煙特性に関するデータが格納される。当該発煙特性に関するデータは、例えば、縦軸を電流値(A)、横軸を経過時間(S)とした特性グラフにおいて、発煙特性曲線として示されるものであってもよい。当該発煙特性曲線は、例えば、所定の関数にて連続的に定義されるものであってもよく、又は、例えば配列変数等を用いて、経過時間を配列番号とし、電流値を配列変数の値として離散的に定義するものであってもよい。発煙特性曲線にて示されるとおり、分岐線513に流れる電流の値(過電流値)が大きいほど、発煙開始時間を示す経過時間は小さいものとなる。
【0048】
開閉装置52名の管理項目には、同一レコードとして対応する分岐線513(分岐線513名)に配置される開閉装置52を一意に示すための装置番号等、開閉装置52の識別子が格納される。開閉状態の管理項目には、同一レコードとして対応する開閉装置52(開閉装置52名)の現時点における開閉状態、すなわち当該開閉装置52が、閉(オン)であるか、又は開(オフ)であるかが、格納される。
【0049】
車載負荷6名の管理項目には、同一レコードとして対応する開閉装置52(開閉装置52名)の開閉制御(オン・オフ制御)により、起動又は停止される車載負荷6等の装置番号等、車載負荷6等の識別子が格納される。すなわち、車載負荷6名の管理項目には、同一レコードとして対応する分岐線513(分岐線513名)に配置される車載負荷6等の識別子が格納される。
【0050】
車載装置1の制御部11は、受信したメッセージ等に応じて起動又は停止する車載負荷6等と特定し、特性テーブルを参照することにより、当該車載負荷6に対応する分岐線513及び開閉装置52を特定するものであり、すなわち車載負荷6を同じ分岐線513に配置されている開閉装置52を特定することができる。車載装置1の制御部11は、特性テーブルを参照して特定した開閉装置52を開(オフ)又は閉(オン)に制御、すなわち開閉状態を変更した場合、当該制御に併せて、変更後となる現時点における開閉状態を、特性テーブルの開閉状態の管理項目に格納する。これにより、特性テーブルにて格納される開閉装置52それぞれの開閉状態は、常に最新(現時点)の状態に保つことができる。
【0051】
本実施形態において、車載装置1の制御部11は、特性テーブルを参照することにより、現時点にて閉(オン)状態の開閉装置52が配置されている分岐線513の発煙特性を取得し、当該発煙特性よりも下回るように半導体ヒューズ53の遮断特性を変更するとしたが、これに限定されない。特性テーブルには、分岐線513の組み合わせそれぞれに応じた半導体ヒューズ53の遮断特性を定義するものであってもよい。車載装置1の制御部11は、分岐線513の組み合わせそれぞれに応じた半導体ヒューズ53の遮断特性が定義された特性テーブルを参照することにより、現時点にて閉(オン)状態の開閉装置52が配置されている分岐線513の発煙特性に対応する遮断特性を取得するものであってもよい。
【0052】
図4は、遮断特性(経路A)の変更を説明する説明図である。半導体ヒューズ53の遮断特性及び分岐線513の発煙特性、は、共に、縦軸を電流値(A)、横軸を経過時間(S)とした特性グラフ上にて示される。
【0053】
遮断特性は、半導体ヒューズ53として定格電流値を超える電流(過電流)に対して、当該過電流が流れた場合に電流を遮断するまでの時間(ヒューズにおける溶断時間に相当)とを含む半導体ヒューズ53の特性である。半導体ヒューズ53に流れる電流の値が、定格電流値以下の場合、半導体ヒューズ53は遮断されることなく、当該定格電流値以下の電流を流し続ける。
【0054】
半導体ヒューズ53の遮断特性は、車載装置1の制御部11により、縦軸方向、すなわち同一の経過時間に対し、電流値を上下に移動(シフト)できるように可変な特性値として設定されている。半導体ヒューズ53の遮断特性が高い場合、定格電流値も高く、過電流に対して遮断するまでの時間も長くなる。半導体ヒューズ53の遮断特性を低くした場合、定格電流値も低くなり、過電流に対して遮断するまでの時間は短くなる。すなわち、遮断特性の高低に応じて、電流値(過電流値)と遮断までの時間の積(電流積算値)は上下する。
【0055】
半導体ヒューズ53の遮断特性は、現時点にて閉(オン)状態の開閉装置52が配置されている分岐線513の発煙特性に対し、例えば所定のオフセット値を適用することにより、発煙特性よりも下回るように設定される。これにより、過電流が流れた場合に電流を遮断するまでの時間(ヒューズの溶断時間)が同一の場合にて、半導体ヒューズ53の遮断特性における過電流の値は、分岐線513の発煙特性における過電流の値よりも低い値となる。これにより、閉状態の開閉装置52が配置される電源線51(分岐線513)の発煙特性にて定義される許容値を超えることなく、半導体ヒューズ53の遮断特性に応じた遮断制御を行うができ、分岐線513を過電流から確実に保護することができる。
【0056】
本実施形態における図示にて、特性グラフ上には、元々の半導体ヒューズ53の遮断特性を示す線図、分岐線513(経路A)の発煙特性を示す線図、及び分岐線513(経路A)の発煙特性に対応して変更した遮断特性(変更後の半導体ヒューズ53の遮断特性)を示す線図が示されている。元々の半導体ヒューズ53の遮断特性は、例えば、半導体ヒューズ53としての最大の遮断特性を示すものであり、個々の分岐線513の発煙特性を上回るものであってもよい。その上で、例えば、分岐線513(経路A)に配置される開閉装置52が閉(オン)となった場合、半導体ヒューズ53の遮断特性は、当該分岐線513(経路A)の発煙特性を所定のオフセット値にて下回るように変更される。
【0057】
図5は、遮断特性(経路A+B)の変更を説明する説明図である。本実施形態における図示においては、閉(オン)状態の開閉装置52が、分岐線513(経路A)の開閉装置52のみであった状態から、分岐線513(経路A)の開閉装置52及び分岐線513(経路B)の開閉装置52の状態に変化した場合の態様を示す。
【0058】
車載装置1の制御部11は、閉(オン)状態の開閉装置52が配置される分岐線513(経路A)に対応させて遮断特性を変更した後、更に分岐線513(経路B)に配置される開閉装置52を閉(オン)状態に制御している。これにより、閉(オン)状態の開閉装置52は、分岐線513(経路A)の開閉装置52と、分岐線513(経路B)の開閉装置52となる。
【0059】
車載装置1の制御部11は、特性テーブルを参照し、分岐線513(経路A)の発煙特性(Ha)と、分岐線513(経路B)の発煙特性(Hb)とを取得し、取得した2つの発煙特性(Ha、Hb)を合算することにより、合算発煙特性(Ha+Hb)を算出する。車載装置1の制御部11は、算出した合算発煙特性に対し、所定のオフセット値を適用することにより、当該合算発煙特性よりも、特性グラフの縦軸方向にて下回らせる(電流値を下げる)ことにより、合算発煙特性に対応した遮断特性を導出する。車載装置1の制御部11は、分岐線513(経路A)の発煙特性に対応する遮断特性から、合算発煙特性に対応する遮断特性に変更し、半導体ヒューズ53に対する遮断制御を継続する。
【0060】
図6は、遮断特性(経路A+B+・・・)の変更を説明する説明図である。本実施形態における図示においては、複数の開閉装置52が同時に閉(オン)状態の場合における半導体ヒューズ53の遮断特性が示される。電源制御装置として機能する車載装置1の制御部11は、現時点にて閉(オン)状態となっている全ての開閉装置52を認識している。車載装置1の制御部11は、閉(オン)状態の開閉装置52それぞれが配置される分岐線513(経路A、B、・・・)の発煙特性を合算(Ha+Hb+・・・)することにより、合算発煙特性を算出する。
【0061】
車載装置1の制御部11は、算出した合算発煙特性に対し、所定のオフセット値を適用することにより、当該合算発煙特性よりも、特性グラフの縦軸方向にて下回らせる(電流値を下げる)ことにより、合算発煙特性に対応した遮断特性を導出する。車載装置1の制御部11は、合算発煙特性に対応して導出した遮断特性を用いて、半導体ヒューズ53に対する遮断制御を実行する。
【0062】
図7は、車載装置1の制御部11の処理を例示するフローチャートである。車載装置1の制御部11は、車両Cが停止時又は起動時において、定常的に以下の処理を行う。
【0063】
車載装置1の制御部11は、閉(オン)の状態にある開閉装置52(閉状態の開閉装置52)を特定する(S101)。車載装置1は、信号線140により接続されている開閉装置52の開閉制御(オン・オフ制御)を行うことにより、当該開閉装置52に接続される車載負荷6又は車載ECU2への電力の供給又は遮断、すなわち車載負荷6又は車載ECU2の起動又は停止を制御する電源制御装置として機能する。電源制御装置として機能する車載装置1は、例えば、車載ネットワーク3を介して受信したメッセージ、又は車載装置1に接続される各種センサからの出力値を取得することにより(メッセージ又は出力値の受信をトリガーとして)、起動又は停止する車載負荷6等と特定し、当該車載負荷6等に接続される開閉装置52の開閉制御(オン・オフ制御)を行う。
【0064】
車載装置1の制御部11は、開閉装置52の開閉制御(オン・オフ制御)を行うにあたり、当該開閉制御の実行に応じて、例えば、記憶部12に記憶されている特性テーブルにおける各開閉装置52の開閉状態を更新するものであってもよい。このように、車載装置1の制御部11は、開閉装置52の開閉制御(オン・オフ制御)を定常的に行っているものであり、例えば特性テーブルを参照することにより、現時点における閉(オン)の状態にある開閉装置52(閉状態の開閉装置52)を特定する。
【0065】
車載装置1の制御部11は、閉状態の開閉装置52が配置される電源線51(分岐線513)の発煙特性を取得する(S102)。車載装置1の制御部11は、例えば、特性テーブルを参照することにより、閉(オン)状態にある全ての開閉装置52それぞれが配置される電源線51(分岐線513)それぞれの発煙特性を取得する。
【0066】
閉(オン)状態の開閉装置52に関しては、車両Cの動作状態に応じて、いずれかの開閉装置52のみとなる単体の開閉装置52のみが閉(オン)である場合のみならず、複数の開閉装置52が閉(オン)となる場合とが想定される。又は、全ての開閉装置52が開(オフ)の状態となっている場合も想定される。車載装置1の制御部11は、閉(オン)状態にある全ての開閉装置52に対応する発煙特性を取得し、これら発煙特性を合算することにより合算発煙特性を算出する。閉状態の開閉装置52が1つの場合、合算発煙特性は、当該開閉装置52が配置された分岐線513の発煙特性に相当する。
閉状態の開閉装置52が2つ以上の場合、合算発煙特性は、これら2つ以上の開閉装置52それぞれが配置された分岐線513それぞれの発煙特性の合算値に相当する。
【0067】
本実施形態において、合算発煙特性は、合算される複数の分岐線513それぞれの発煙特性(発煙特性曲線)にて示される電流値を、対応する経過時間の値に応じて合算することにより、算出(導出)するものであってもよい。すなわち、特性グラフにおいて、分岐線513それぞれの発煙特性曲線を電流値の方向にて合算することにより、合算発煙特性を算出(導出)するものであってもよい。
【0068】
車載装置1の制御部11は、取得した発煙特性に応じて、半導体ヒューズ53の遮断特性を変更する(S103)。車載装置1の制御部11は、取得した発煙特性に応じて、すなわち閉(オン)状態の開閉装置52が配置される分岐線513の発煙特性(合算発煙特性)に応じて、半導体ヒューズ53の遮断特性を変更する。
【0069】
車載装置1の制御部11は、分岐線513の発煙特性、すなわち対象となる分岐線513が複数の場合はこれら分岐線513による合算発煙特性に対し、当該分岐線513の遮断特性に対し、下回らせるためのオフセット値を用いて、半導体ヒューズ53の遮断特性(遮断特性を示す線図)を導出する。当該オフセット値は、例えば、合算発煙特性にて示される(発煙特性曲線)電流値に対し、所定値を減算するために用いられるものであってもよい。又は、オフセット値は、合算発煙特性にて示される(発煙特性曲線)電流値に対し、例えば0.8等の1未満となる所定係数を乗算するにあたり用いられるものであってもよい。
【0070】
このように合算発煙特性にて示される(発煙特性曲線)電流値に対してオフセット値を用いることにより、当該発煙特性曲線を電流値にて下回る半導体ヒューズ53の遮断特性(遮断特性曲線)を導出することができる。車載装置1の制御部11は、合算発煙特性を下回るように導出した遮断特性曲線を記憶部12に記憶し、導出した遮断特性曲線を用いて、半導体ヒューズ53の遮断特性を変更する。
【0071】
本実施形態において、車載装置1の制御部11は、例えば特性テーブルを参照することにより、閉(オン)状態の開閉装置52が配置される分岐線513の発煙特性を合算等し、半導体ヒューズ53の遮断特性(遮断特性曲線)を導出するとしたが、これに限定されない。特性テーブルには、例えば、閉(オン)状態となる開閉装置52の全ての組み合わせが展開されており、当該組み合わせそれぞれにおける半導体ヒューズ53の遮断特性(遮断特性曲線)が定義されているものであってもよい。すなわち、開閉装置52の個数が例えば、n個である場合、いずれか1つ(単数)の開閉装置52が閉(オン)状態となる場合から、n個の全ての開閉装置52が閉(オン)状態となる場合が想定され、これらの全ての状態を含む組み合わせそれぞれに対し、半導体ヒューズ53の遮断特性(遮断特性曲線)を定義するものであってもよい。このように組み合わせ対応した遮断特性曲線が定義された特性テーブルを参照することにより、車載装置1の制御部11は、閉(オン)状態にある1つ以上の開閉装置52による組み合わせに応じた遮断特性曲線を導出するものであってもよい。
【0072】
車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53に流れる電流値を取得する(S104)。車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53が配置される主電線511に設けられた電流センサ等の電流検出部512から、当該半導体ヒューズ53に流れる電流値を取得する。車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53から周期的に電流値を取得することにより、取得した電流値にて半導体ヒューズ53に電流が流れた経過時間を併せて取得する。
【0073】
車載装置1の制御部11は、変更した遮断特性及び取得した電流値に基づき、半導体ヒューズ53を遮断するか否かを判定する(S105)。車載装置1の制御部11は、上述の処理にて変更した遮断特性、すなわち現時点にて設定されている遮断特性に基づき、半導体ヒューズ53を遮断するか否かを判定する。
【0074】
車載装置1の制御部11は、電流検出部512からの電流値(半導体ヒューズ53に流れる電流値)が、遮断特性曲線にて定義される最低電流値未満であるか否かを判定する。遮断特性曲線での最低電流値未満である場合、すなわち半導体ヒューズ53に流れる電流値は、半導体ヒューズ53としての定格電流以下となり、半導体ヒューズ53が遮断されない電流値であるため、車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53を遮断しないと判定する。半導体ヒューズ53を遮断しないと判定された場合、半導体ヒューズ53の閉(オン)状態が維持される。
【0075】
車載装置1の制御部11は、電流検出部512からの電流値(半導体ヒューズ53に流れる電流値)が、遮断特性曲線にて定義される最低定格電流値以上であり、当該電流値での電流が流れた経過時間が、遮断特性曲線にて定義される電流値に対する経過時間(ヒューズにおける溶断時間に相当)に達したか否かを判定する。達していない場合、車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53を遮断しないと判定する。達した場合、車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53を遮断すると判定する。車載装置1の制御部11は、電流検出部512からの電流値(半導体ヒューズ53に流れる電流値)を周期的に取得することにより、当該電流値に対し、電流が流れた経過時間を乗算することによる電流積算値を算出し、電流積算値に基づき半導体ヒューズ53を遮断するか否かを判定するものであってもよい。
【0076】
遮断すると判定した場合(S105:YES)、車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53を遮断する(S106)。半導体ヒューズ53を遮断すると判定した場合、車載装置1の制御部11は、例えば半導体ヒューズ53のゲート端子への電圧の印加を中止することにより、半導体ヒューズ53を遮断する。これにより、半導体ヒューズ53(主電線511)よりも下流側に位置する分岐線513への電流が遮断されるため、分岐線513に過電流が流れる状態が解消され、分岐線513における発煙又は分岐線513に接続される車載負荷6等の故障を確実に防止することができる。
【0077】
遮断しないと判定した場合(S105:NO)、車載装置1の制御部11は、開閉装置52それぞれにおける開閉状態が変更されたか否かを判定する(S107)。半導体ヒューズ53を遮断しないと判定した場合、車載装置1の制御部11は、開閉装置52それぞれにおける開閉状態が変更されたか否かを判定する。
【0078】
電源制御装置として機能する車載装置1は、受信したメッセージ又は出力値をトリガーとして、車載負荷6又は車載ECU2の起動又は停止を定常的に制御しており、当該起動又は停止に応じて、開閉装置52の開閉制御(オン・オフ制御)を行っている。従って、車載装置1の制御部11は、S101にて特定した閉状態の開閉装置52に対し、現時点における閉状態の開閉装置52が同一であるか否か判定する。同一であれば、車載装置1の制御部11は、開閉装置52それぞれにおける開閉状態が変更されていないと判定する。同一でなければ、車載装置1の制御部11は、開閉装置52それぞれにおける開閉状態が変更されたと判定する。
【0079】
開閉状態が変更されたと判定した場合(S107:YES)、車載装置1の制御部11は、再度S101からの処理を実行すべくループ処理を行う。開閉装置52それぞれにおける開閉状態が、S101にて特定した状態に対し変更されたと判定した場合、車載装置1の制御部11は、再度S101からの処理を実行すべくループ処理を行う。これにより、現時点における、閉(オン)の状態にある開閉装置52(閉状態の開閉装置52)を特定し、以降の処理を実施するものとなり、開閉装置52の開閉制御(オン・オフ制御)に追従して、半導体ヒューズ53の遮断特性の変更をタイムリーに行うことができる。従って、車載装置1の制御部11は、開閉装置52の開閉制御(オン・オフ制御)と、半導体ヒューズ53の遮断特性の変更制御とを同期させ、これら制御の連携を維持しつつ、電源制御装置として機能することができる。
【0080】
開閉状態が変更されなかった判定した場合(S107:NO)、車載装置1の制御部11は、再度S104からの処理を実行すべくループ処理を行う。開閉装置52それぞれにおける開閉状態が、S101にて特定した状態に対し変更されなかった判定した場合、車載装置1の制御部11は、再度S104からの処理を実行すべくループ処理を行う。これにより、車載装置1の制御部11は、現時点における遮断特性を用いて、半導体ヒューズ53に対する遮断制御を継続するものとなる。
【0081】
図8は、実施形態2(上流、下流にて別装置)に係る車載装置1等を含む車載システムSの構成を例示する模式図である。実施形態2における車載システムSは、電源制御装置と機能する車載装置1と、当該車載装置1とは別装置として構成される電源分配装置7とを含む。車載装置1は、実施形態1と同様に制御部11、記憶部12、通信部13、及び入出力I/F14を含み、更に半導体ヒューズ53及び電流検出部512を含む。
【0082】
電源分配装置7は、半導体ヒューズ53が配置された主電線511の下流側に配置されている。電源分配装置7の内部において、主電線511は、複数の分岐線513に分岐され、これら分岐線513それぞれには、開閉装置52が配置されている。電源分配装置7に含まれる開閉装置52と、車載装置1とは、実施形態1と同様に信号線140により接続されている。車載装置1の制御部11は、当該信号線140を介して、電源分配装置7に含まれる開閉装置52それぞれの開閉制御(オン・オフ制御)を行う。
【0083】
図9は、実施形態3(複合形態)に係る車載装置1等を含む車載システムSの構成を例示する模式図である。実施形態3における車載システムSは、電源制御装置と機能する車載装置1と、当該車載装置1とは別装置として構成される電源分配装置7とを含む。車載装置1は、実施形態1と同様に制御部11、記憶部12、通信部13、及び入出力I/F14を含み、更に半導体ヒューズ53及び電流検出部512を含む。
【0084】
車載装置1の内部において、半導体ヒューズ53が配置された主電線511は、複数の分岐線513に分岐されている。当該分岐線513には、開閉装置52が接続されており、すなわち車載装置1は、当該開閉装置52を含む点で、実施形態1の車載装置1と共通する。
【0085】
車載装置1に含まれる複数の分岐線513の内、開閉装置52が接続されない分岐線513には、電源分配装置7が接続される。すなわち、開閉装置52が接続されない分岐線513は、電源分配装置7を接続する際のカスケード接続用の分岐線513として用いられる。
【0086】
(実施形態4)
図10は、実施形態4に係る車載装置1の制御部11の処理を例示するフローチャートである。車載装置1の制御部11は、実施形態1にて説明した半導体ヒューズ53の遮断制御において、半導体ヒューズ53を遮断した際の後処理として下記フローにおける一連の処理を行う。
【0087】
車載装置1の制御部11は、閉状態の開閉装置52であった全ての開閉装置52を開(オフ)にする(S201)。本処理を行うにあたり、車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53の遮断特性及び半導体ヒューズ53に流れる電流値に応じて、半導体ヒューズ53を遮断している。従って、電流の流れ方向にて電源装置5を上流側とした際、半導体ヒューズ53よりも下流側に位置する分岐線513には、電流が流れていない状態となっている。この際、半導体ヒューズ53を遮断する直前まで、閉(オン)状態の開閉装置52に対し、車載装置1の制御部11は、開(オフ)にする制御を行う。これにより、半導体ヒューズ53よりも下流側に配置された全ての開閉装置52は、開(オフ)の状態となる。
【0088】
車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53を閉(オン)にする(S202)。車載装置1の制御部11は、全ての開閉装置52が開(オフ)である状態を維持しつつ、半導体ヒューズ53を閉(オン)にする。車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53を閉(オン)にすることにより、半導体ヒューズ53の遮断制御を再開する。主電線511に配置される半導体ヒューズ53が閉(オン)となっても、当該主電線511から分岐された分岐線513それぞれに配置された開閉装置52それぞれは開(オフ)であるため、開閉装置52よりも下流側に配置される車載負荷6等には電流が流れない。
【0089】
車載装置1の制御部11は、開(オフ)の状態にある開閉装置52を順次に閉(オン)にする(S203)。車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53の遮断制御を再開するにあたり、実施形態1と同様に、開(オフ)の状態にある開閉装置52を特定し、特定した開閉装置52が配置される分岐線513の発煙特性に基づき、半導体ヒューズ53の遮断特性を変更する。
【0090】
本処理においては、車載装置1の制御部11は、開(オフ)の状態にある開閉装置52を順次に閉(オン)の状態にするため、開閉装置52それぞれの閉(オン)に連動して、半導体ヒューズ53の遮断特性も順次に変更される。すなわち、車載装置1の制御部11は、開閉装置52を順次に閉(オン)の状態にする共に、閉(オン)状態の開閉装置52に応じて半導体ヒューズ53の遮断特性を順次に変更するものとなる。
【0091】
車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53を遮断した際に閉の状態にした開閉装置52を特定する(S204)。車載装置1の制御部11は、開閉装置52を順次に閉(オン)にし、当該閉(オン)に連動させて半導体ヒューズ53の遮断特性を順次に変更する際、実施形態1と同様に、半導体ヒューズ53に流れる電流値を取得している。
【0092】
本形態における処理は、実施形態1にて半導体ヒューズ53を遮断(開の状態)した後処理として実行されるものであり、すなわち開閉装置52が接続される分岐線513のうち、いずれかの分岐線513においては、例えば地絡等にて過電流が発生し得る状態となっている。従って、開閉装置52を順次に閉(オン)にしていくことにより、地絡等が生じた分岐線513に配置される開閉装置52が閉(オン)になった際、当該分岐線513を含めた合算発煙特性に対応した遮断特性に基づき、半導体ヒューズ53は、車載装置1の制御部11によって遮断されるものとなる。このように車載装置1の制御部11は、半導体ヒューズ53の遮断制御を行うにあたり、半導体ヒューズ53を遮断した際(半導体ヒューズ53が遮断された時点の直前)に閉の状態にした開閉装置52を、過電流が流れる分岐線513に配置された開閉装置52として、特定する。
【0093】
車載装置1の制御部11は、特定した開閉装置52を開(オフ)に固定する(S205)。車載装置1の制御部11は、過電流が流れる分岐線513に配置された開閉装置52として特定した開閉装置52を開(オフ)に固定する。これにより、当該分岐線513には電流が流れないものとなり、半導体ヒューズ53が遮断される要因となった分岐線513にて、過電流が流れることを確実に防止することができる。すなわち、短絡等の問題が生じた分岐線513を、電源制御に関する車載システムSから切り離すことができる。
【0094】
車載装置1の制御部11は、特定した開閉装置52以外となる他の開閉装置52に対し開閉制御に関する処理を再開する(S206)。車載装置1の制御部11は、特定した開閉装置52を開(オフ)に固定した状態を維持しつつ、当該特定した開閉装置52以外となる他の開閉装置52に対し開閉制御に関する処理を再開する。これにより、開(オフ)に固定した開閉装置52に接続される車載負荷6等の起動は不可となるが、他の開閉装置52に接続される車載負荷6等の起動又は停止等の制御を再開することができ、電源制御に関する車載システムSの稼働を継続することができる。
【0095】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0096】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項が記載されていない場合であっても、これは、多項従属請求項に従属する多項従属請求項の記載を制限するものではない。
【符号の説明】
【0097】
C 車両
S 車載システム
1 車載装置(電源制御装置)
11 制御部
12 記憶部
M 記録媒体
P 制御プログラム(プログラム製品)
13 通信部
14 入出力I/F
140 信号線
2 車載ECU
3 車載ネットワーク
31 通信線
5 電源装置
51 電源線
511 主電線
512 電流検出部
513 分岐線
52 開閉装置
53 半導体ヒューズ
6 車載負荷
7 電源分配装置(電力分配装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10