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特開2024-110762マグネシウムイオン水供給装置及び洗濯システム
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  • 特開-マグネシウムイオン水供給装置及び洗濯システム 図1
  • 特開-マグネシウムイオン水供給装置及び洗濯システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110762
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】マグネシウムイオン水供給装置及び洗濯システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/68 20230101AFI20240808BHJP
   C02F 1/461 20230101ALI20240808BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20240808BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
C02F1/68 520B
C02F1/68 510A
C02F1/68 530B
C02F1/68 540E
C02F1/461 Z
D06F39/08 301Z
D06F35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015543
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】508141689
【氏名又は名称】株式会社宮本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100107216
【弁理士】
【氏名又は名称】伊與田 幸穂
(72)【発明者】
【氏名】宮本 隆
【テーマコード(参考)】
3B166
3B168
4D061
【Fターム(参考)】
3B166AC21
3B166AE05
3B166DA23
3B166DA31
3B168AC21
3B168AE05
4D061DA02
4D061DB09
4D061EA02
4D061EB02
4D061EB04
4D061EB31
4D061FA12
(57)【要約】
【課題】 pHが安定したマグネシウムイオン水を供給することができるマグネシウムイオン水供給装置を提供する。
【解決手段】貯水槽と、貯水槽に給水する給水部と、マグネシウム粒を容器内に収容し、貯水槽から供給される貯水と容器内のマグネシウム粒とを攪拌することによりマグネシウムイオン水を生成するマグネシウムイオン水生成部と、マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水を貯水槽へ循環させる循環部と、マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水又は貯水槽内の貯水を供給する水供給部と、を備えるマグネシウムイオン水供給装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水槽と、
前記貯水槽に給水する給水部と、
マグネシウム粒を容器内に収容し、前記貯水槽から供給される貯水と当該容器内のマグネシウム粒とを攪拌することによりマグネシウムイオン水を生成するマグネシウムイオン水生成部と、
前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水を前記貯水槽へ循環させる循環部と、
前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水又は前記貯水槽内の貯水を供給する水供給部と、
を備えるマグネシウムイオン水供給装置。
【請求項2】
前記水供給部は、前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水に対して給水すること
を特徴とする請求項1に記載のマグネシウムイオン水供給装置。
【請求項3】
前記水供給部は、前記マグネシウムイオン水のpHが予め定められた値を下回った場合に、当該マグネシウムイオン水に給水せずにマグネシウムイオン水を供給すること
を特徴とする請求項2に記載のマグネシウムイオン水供給装置。
【請求項4】
前記貯水槽内にマグネシウムを収容し当該マグネシウムの電気分解をする電気分解部と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウムイオン水供給装置。
【請求項5】
前記水供給部は、
前記貯水槽の水量が予め設定した値を下回った際に水の供給を停止し、前記給水部による当該貯水槽への給水と前記マグネシウムイオン水生成部によるマグネシウムイオン水の当該貯水槽への循環とを行う
ことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウムイオン水供給装置。
【請求項6】
前記マグネシウムイオン水生成部は、マグネシウム粒が収容された前記容器が複数個連結される
ことを特徴とする、請求項1に記載のマグネシウムイオン水供給装置。
【請求項7】
前記貯水槽内に、前記給水部から給水される区画と前記循環部からマグネシウムイオン水が供給される区画とを区切る仕切り板と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウムイオン水供給装置。
【請求項8】
前記水供給部は、前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水または前記貯水槽内の貯水を、洗濯機の洗浄用水として供給する
ことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウムイオン水供給装置。
【請求項9】
前記水供給部は、前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水または前記貯水槽内の貯水を、清掃用水として供給する
ことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウムイオン水供給装置。
【請求項10】
前記水供給部は、前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水または前記貯水槽内の貯水を、製氷用水として供給する
ことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウムイオン水供給装置。
【請求項11】
請求項1~7のいずれか1項に記載のマグネシウムイオン水供給装置と、
前記マグネシウムイオン水供給装置からのマグネシウムイオン水又は前記貯水槽内の貯水の供給を受けて洗濯を行う洗濯機と、
を備えたことを特徴とする洗濯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネシウムイオン水供給装置及び洗濯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水酸化マグネシウムが溶出した水を、例えば、洗濯水などに利用することが行われている。例えば、特許文献1には、本体と、複数のマグネシウム粒を収容し、前記本体に対して取り外しが可能な収容部と、前記収容部に収容される前記複数のマグネシウム粒を、当該収容部に流入する水の流れによって撹拌させる撹拌部と、前記複数のマグネシウム粒を撹拌した水を前記収容部から流出させる流出部と、を備えることを特徴とする水改質装置と、水改質装置が改質した水を洗濯機、食器洗浄機など水回りに用いられる各種装置に使用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-23931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マグネシウム粒と水とを攪拌することで、マグネシウムイオンを含むマグネシウムイオン水を得ることができる。ここで、pHが安定したマグネシウムイオン水を生成することができれば、マグネシウムイオン水を各用途に安定して供給することができる。
本発明は、pHが安定したマグネシウムイオン水を供給することができるマグネシウムイオン水供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本発明は、貯水槽と、前記貯水槽に給水する給水部と、マグネシウム粒を容器内に収容し、前記貯水槽から供給される貯水と当該容器内のマグネシウム粒とを攪拌することによりマグネシウムイオン水を生成するマグネシウムイオン水生成部と、前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水を前記貯水槽へ循環させる循環部と、前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水又は前記貯水槽内の貯水を供給する水供給部と、を備えるマグネシウムイオン水供給装置である。
ここで、前記水供給部は、前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水に対して給水することを特徴とすることができる。
また、前記水供給部は、前記マグネシウムイオン水のpHが予め定められた値を下回った場合に、当該マグネシウムイオン水に給水せずにマグネシウムイオン水を供給することを特徴とすることができる。
そして、前記貯水槽内にマグネシウムを収容し当該マグネシウムの電気分解をする電気分解部と、を更に備えたことを特徴とすることができる。
さらに、前記水供給部は、前記貯水槽の水量が予め設定した値を下回った際に水の供給を停止し、前記給水部による当該貯水槽への給水と前記マグネシウムイオン水生成部によるマグネシウムイオン水の当該貯水槽への循環とを行うことを特徴とすることができる。
ここで、前記マグネシウムイオン水生成部は、マグネシウム粒が収容された前記容器が複数個連結されることを特徴とすることができる。
また、前記貯水槽内に、前記給水部から給水される区画と前記循環部からマグネシウムイオン水が供給される区画とを区切る仕切り板と、を更に備えたことを特徴とすることができる。
そして、前記水供給部は、前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水または前記貯水槽内の貯水を、洗濯機の洗浄用水として供給することを特徴とすることができる。
さらに、前記水供給部は、前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水または前記貯水槽内の貯水を、清掃用水として供給することができる。
ここで、前記水供給部は、前記マグネシウムイオン水生成部からのマグネシウムイオン水または前記貯水槽内の貯水を、製氷用水として供給することができる。
また、かかる目的のもと、本発明は、前記マグネシウムイオン水供給装置と、前記マグネシウムイオン水供給装置からのマグネシウムイオン水又は前記貯水槽内の貯水の供給を受けて洗濯を行う洗濯機と、を備えたことを特徴とする洗濯システムである。
【0006】
請求項1の発明によれば、pHが安定したマグネシウムイオン水を提供することができる。
請求項2及び3の発明によれば、マグネシウムイオン水のpH調整ができる。
請求項4の発明によれば、マグネシウムの電気分解部を更に備えることにより、よりpHが安定したマグネシウムイオン水を提供することができる。
請求項5の発明によれば、貯水槽の水量が予め定められた値を下回った際に、マグネシウムイオン水を生成し、安定してマグネシウムイオン水を提供することができる。
請求項6の発明によれば、マグネシウム粒が収容された容器を複数個連結しない場合と比較して、マグネシウムイオン水を効率よく生成することができる。
請求項7の発明によれば、仕切り板を備えない場合と比較して、貯水槽内の貯水を適切なpHとすることができる。
請求項8~10の発明によれば、各用途にpHが安定したマグネシウムイオン水を効率よく供給することができる。
請求項11の発明によれば、洗濯機用のマグネシウムイオン水が効率よく提供される洗濯システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、pHが安定したマグネシウムイオン水を供給することができるマグネシウムイオン水供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る第1実施形態におけるマグネシウムイオン水供給装置の概要を示すフローチャートである。
図2】本発明に係る第2実施形態におけるマグネシウムイオン水供給装置の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のマグネシウムイオン水供給装置及び洗濯システムの実施形態について、図1図2を参照して説明する。これらの説明等は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を限定するものではない。
本開示において、数値範囲を表す「〇〇以上〇〇以下」や「〇〇~〇〇」の記載は、特に断りのない限り、記載された上限及び下限を含む数値範囲を意味する。
【0010】
「第1実施形態」
本実施形態のマグネシウムイオン水供給装置100は、図1に示すように、貯水槽10と、給水部30と、マグネシウムイオン水生成部50と、マグネシウムイオン水を貯水槽10へ循環させる循環部70と、水供給部90とを備える。
(貯水槽10)
貯水槽10は、給水部30の水供給管31を通して水道水、井水等の給水を受けて水を貯め、マグネシウムイオン水生成部50へ貯水供給管56を通して貯水槽10内の貯水を供給すると共に、循環水供給管71からマグネシウムイオン水生成部50で生成されたマグネシウムイオン水の供給を受ける。本実施形態では、後記のように貯水槽10内の場所により濃度やpHの差はあるが、貯水槽10内の水を「貯水」と総称する。
貯水槽10の材料としては、ステンレスなど、鉄を主成分とする材料を用いて構成することができる。
貯水槽10内の貯水の水位を一定に維持するため、水供給管31先端の貯水槽10に給水する部位にはボールタップと浮き球(図示せず)など水位を維持できる手段を設け、水位が所望の高さより低下した場合は、自動的に給水されることが好ましい。水位を維持できる手段としては、水面センサ、水位センサとその検知結果により、水位を維持する方法等も可能である。
また、貯水槽10内には電気分解部12,及び仕切り板17を備える。図1に示す位置に設けた仕切り板17により、貯水槽内は給水部30からの給水を受ける区画14と、循環部70からマグネシウムイオン水の供給を受ける区画16とに区切られる。仕切り板17には適した箇所及び適した大きさの穴を1又は複数個設け、また、仕切り板の面積を適した大きさとすることにより、貯水槽10内の区画14内の貯水と区画16内の貯水の混合程度を調節できる。具体的には、図1では、区画14は給水部30からの給水を受ける区画であり、区画16は循環部70からのマグネシウムイオン水の供給を受ける区画である。そのため、仕切り板17が無い場合と比較して、区画14内のマグネシウムイオン濃度は区画16内より低く維持でき、区画16内の濃度を早く高め、早くpHを高くして所望のpHに調節することが可能となる。
【0011】
(給水部30)
給水部30は水供給管31を通して、外部から貯水槽10へ給水する。また、後述するように必要時には水流量調節弁95を開き、マグネシウムイオン水生成部50で生成したマグネシウムイオン水に対して水供給管97を通して給水して、マグネシウムイオン水の濃度調整にも使用する。
給水される水は特に限定されず、本実施形態では水道水を用いているが、必要によりフィルタにより懸濁物質を除去した後の井水でもよい。また用途によっては工業用水を使用してもよく、含まれる不純物が少ない観点からは脱イオン水や蒸留水を用いてもよい。
【0012】
(マグネシウムイオン水生成部50)
マグネシウムイオン水生成部50は、ポンプ52とマグネシウム粒を収納する容器54を備える。容器54内では、貯水槽10から貯水供給管56を通して供給される貯水とマグネシウム粒とを攪拌することにより、マグネシウムイオン水が生成される。容器54はマグネシウム粒を収容し、貯水と容器54内のマグネシウム粒とが攪拌できれば、形状、大きさなどは適宜決定でき、特に制限はない。好ましい例としては、例えば、特許文献1記載の水改質装置が挙げられる。
マグネシウム粒は、例えば金属マグネシウム(Mg)単体を50質量%以上含有する粒を用いることができる。マグネシウム粒において、金属マグネシウム単体が含まれる割合は、より高い方が好ましく、マグネシウムが90質量%以上であることが好ましく、99%以上であることがさらに好ましい。
貯水とマグネシウム粒との攪拌により、水とマグネシウムとが反応する。この反応により、マグネシウムイオン(Mg2+)、水素(H)及び水酸化マグネシウム(Mg(OH))が生成する。本実施形態では、少なくともマグネシウムイオン(Mg2+)を含む水を「マグネシウムイオン水」と呼ぶ。マグネシウムイオン水はアルカリ性であり、前記攪拌を継続することにより、最終的に通常、pHは約10.5となる。
【0013】
マグネシウムイオン水生成部50が備える容器54は、例えばステンレスなど、鉄を主成分とする材料を用いて構成することができる。容器54の個数は限定されないが、マグネシウムイオン水を効率よく生成するために、図1に示すように4個等の複数を直列で連結することが好ましい。この場合、上流側の容器の処理水出口と下流側容器の処理水入り口とを接続する。複数連結することにより、上流側に設けられる容器にて生成したマグネシウムイオン水を下流側の容器に供給することができる。適度な大きさの容器を用いながら、貯水とマグネシウム粒との攪拌合計時間を長時間にすることが容易になる。但し、容器の個数は4個に限られず、大きな容器で多量の貯水と多量のマグネシウム粒を攪拌することも可能である。また、使用する容器の大きさ、種類は特に限定されないが、通常は、同じ大きさ、種類の容器を接続する。
容器54へ貯水槽10から供給される貯水の量は、ポンプ52により調整される。生成されたマグネシウムイオン水は循環部70の循環水供給管71を通して貯水槽10へ循環され、又は、pH計91及び逆止弁93を経由して水供給部90から図1に示す洗濯機200などのマグネシウムイオン水を使用する機器・場所等へ供給される。容器54へ供給する貯水を貯水槽10から取り出す位置は、循環部70からマグネシウムイオン水の供給を受ける区画16であるが、区画16内の循環部70から離れた位置から取り出すことにより、区画16内で相対的にマグネシウムイオン濃度が低い貯水をマグネシウムイオン水生成部50へ供給して、区画16内のpHを早期に高めることができる。
【0014】
(循環部70)
循環部70では、流量調節弁75を備え、循環水供給管71を通してマグネシウムイオン水生成部50にて生成したマグネシウムイオン水を貯水槽10へ循環させる。
洗濯機200を使用せず、マグネシウムイオン水を供給しない場合は、マグネシウムイオン水の全量を、循環部70から貯水槽10へ循環させ、貯水槽10内の貯水のpHを次第に高くすることが可能となる。一方、洗濯機200を使用する場合は、マグネシウムイオン水は水供給部90から洗濯機200へ供給するが、過剰なマグネシウムイオン水は循環部70から貯水槽10へ循環させる。
【0015】
(水供給部90)
水供給部90は、マグネシウムイオン水生成部50からのマグネシウムイオン水を供給する。水供給部90では、必要に応じて、水供給管97からの水道水等の水をマグネシウムイオン水と混合して、供給するマグネシウムイオン水のpHを調整する。
pHの調整は、水供給部90に設けたpH計91,逆止弁93及び水流量調節弁95等により行う。
本実施形態では、コインランドリー等に設置された複数の洗濯機200へ洗浄用水としてマグネシウムイオン水を供給する。
【0016】
(第1実施形態の装置の動作)
第1実施形態のマグネシウムイオン水供給装置100の動作の概要を説明する。
使用に先立って、マグネシウムイオン水生成部50の容器54にマグネシウム粒を収容する。マグネシウム粒の量は、容器54を複数用いる場合は、マグネシウム粒の管理の容易さから容器54毎には同じ量を収容することが好ましい。例えば、1つの容器54毎にマグネシウム粒500g~1kgの間の適した量、例えば800gを収容する。
また、貯水槽10へ、所定水量になるまで給水部30から給水し、その後は、前記したように水供給管31先端に備えるボールタップと浮き球(図示せず)等により、自動的に水位が維持される。
ついで、マグネシウムイオン水生成部50のポンプ52を稼働して、貯水槽10内の貯水を、マグネシウム粒が収納されている容器54へ供給する。容器54にて、マグネシウム粒と貯水との攪拌を開始する。使用開始時は、生成したマグネシウムイオン水のpHは低く洗濯機200での使用に適さないため、マグネシウムイオン水の全量を循環部70から貯水槽10へ循環させ続ける。マグネシウムイオン水の貯水槽10への循環に伴って、貯水槽10内の区画16の貯水はpHが次第に上昇する。
【0017】
貯水のpHが上昇すると、供給されるマグネシウムイオン水のpH上昇に伴い、マグネシウムイオン水生成部50にて生成するマグネシウムイオン水のpHも上昇する。生成したマグネシウムイオン水のpH(マグネシウムイオン水生成部50に複数設けられている容器の中で一番下流側にある容器の水出口から排出されたマグネシウムイオン水のpH)を水供給部90のpH計91等で測定する。得られたpH値が予め定められた値に近づいた時からマグネシウムイオン水が水供給部90から洗濯機200へ供給可能となる。本実施形態では、マグネシウムイオン水は洗濯機200へ供給するため例えば前記した予め定められた数値はpHを9.5であるが、用途により、定められた数値を異なって設定することが好ましい。
マグネシウムイオン水生成部50にて生成されるマグネシウムイオン水のpHは、マグネシウムイオン水供給装置100の運転継続に従って上昇し、最後的にpH10.5となる。
【0018】
水供給部90から洗濯機200へ供給するマグネシウムイオン水は、pH9.5となるように調整する。
具体的な調整方法は次の通りである。まず、マグネシウムイオン水のpHは水供給部90中にあるpH計91で測定する。pHが10.5の場合は、洗濯機200への供給時に水流量調節弁95を開き水供給管97から水道水を供給して希釈してpHを下げ、pH9.5に調節した水を洗濯機200へ供給する。pH10.5のマグネシウムイオン水1に対して、水供給管97から供給する水道水は3の割合で供給する。また、マグネシウムイオン水のpHが9.5または9.4を下回る場合は、水供給管97から水を加えず、マグネシウムイオン水生成部50から流出するマグネシウムイオン水のまま洗濯機200へ供給する。なお、マグネシウムイオン水のpHが9.0未満の場合は、上記したように、洗濯機200へ供給せず、マグネシウムイオン水の全量を循環部70から貯水槽10へ循環させ、貯水槽10内の貯水のpHを上昇させる。マグネシウムイオン水のpHが9.5~10.5の間の場合は、pH計91の測定値に応じた量の水道水を水供給管97から供給してpH9.5に近づくよう希釈する。
pH計91で測定したマグネシウムイオン水のpH値に応じた水供給量を求めておくことが好ましい。そして、洗濯機200でマグネシウムイオン水を必要とする際に、pH計91と水流量調節弁95とを連動させて、pH計91の測定pH値に適した量の水道水を、自動的に供給することが好ましい。
本実施形態の方法で、洗濯機200へ供給するマグネシウムイオン水はマグネシウムイオン水生成部50で生成した直後に供給することができる。
【0019】
(電気分解部12)
本実施形態において、貯水槽10内の電気分解部12は、マグネシウムをマグネシウム板等の形状で収容し、電気分解を行うことができる。具体的には、水を電気分解し、発生したイオンをマグネシウムと攪拌することにより、マグネシウムイオン水が生成される。そのため、電気分解部12を動作させることにより、マグネシウムイオン水生成部50に加え、電気分解部12でもマグネシウムイオン水が生成されるため、より安定したマグネシウムイオン水を提供することができる。
電気分解部12は、貯水槽10内に備える。特に、図1に示すように貯水槽10内において、仕切り板17により分けられた区画のうち、給水部30からの給水を受ける区画14側に設けることが好ましい。電気分解部12において、電気分解により水が電気分解されてイオンを発生するため、貯水中のマグネシウムイオン水濃度が低い区画14の方が適しているためである。
電気分解部12は、マグネシウムイオン水生成部50と共にマグネシウムイオン水生成を担うため、マグネシウムイオン水供給装置100の作動中、継続して作動させてもよいし、必要な時のみ作動させてもよい。
【0020】
「第2実施形態」
第2実施形態のマグネシウムイオン水供給装置300は、図2を参照して説明する。
マグネシウムイオン水供給装置300は、図2に示すように、貯水槽310と、給水部330と、マグネシウムイオン水生成部350と、マグネシウムイオン水を貯水槽10へ循環させる循環部370と、水供給部390を備える。そして水供給部390から洗濯機400へマグネシウムイオン水が供給される。
これらの各部は、第1実施形態の貯水槽10、給水部30、マグネシウムイオン水生成部50、循環部70、及び、水供給部90にそれぞれ相当するが、第1実施形態と異なる点もある。ここでは、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0021】
(貯水槽310)
貯水槽310は、給水部330の水供給管331を通して水道水、井水等の給水を受けて水を貯め、マグネシウムイオン水生成部350へ貯水供給管356を通して貯水槽310内の貯水を供給すると共に、循環水供給管371からマグネシウムイオン水生成部350で生成されたマグネシウムイオン水の供給を受ける。本実施形態でも、第1実施形態と同様に貯水槽310内の部署により濃度やpHの差はあるが、貯水槽310内の水を「貯水」と総称する。
貯水槽310内の貯水量は水面センサ(図示せず)により検知し、後述する動作に使用している。
また、貯水槽310内には2つの仕切り板317、318を備える。図2に示す位置に設けた2つの仕切り板317、318により、貯水槽内は
・給水部330からの給水を受け、マグネシウムイオン水生成部350へ貯水を供給し、かつ、水供給部390へ貯水を供給する区画と、
・循環部370からマグネシウムイオン水の供給を受ける区画と、
・上記2つの区画の間に存在し、貯水槽310内外への貯水の出入りが無い区画
の3区画に区切られる。仕切り板317、318には適した箇所及び適した大きさの穴を1又は複数個設け、また、仕切り板の面積を適した大きさとすることにより、貯水槽310内における貯水の混合程度を調節できる。
【0022】
(給水部330)
給水部330は水供給管331を通して、外部から貯水槽310へ給水する。本実施形態では、給水部330からの給水はマグネシウムイオン水生成部350などへ行わない。
給水される水は特に限定されず、本実施形態では水道水を用いるが、他の井水、工業用水等が使用可能であることは、給水部30と同様である。
【0023】
(マグネシウムイオン水生成部350)
マグネシウムイオン水生成部350は、ポンプ352とマグネシウム粒を収納する容器354を備える。容器354内では、貯水槽310から供給される貯水とマグネシウム粒とを攪拌することにより、マグネシウムイオン水が生成される。マグネシウム粒は第1実施形態に使用するマグネシウム粒と同様であり、容器354と容器354を接続して使用することも容器54と同様である。また、マグネシウムイオン水生成部350で生成するマグネシウムイオン水は第1実施形態と同様である。
ただし、第2実施形態では、マグネシウムイオン水生成部350で生成したマグネシウムイオン水は循環部370から貯水槽310へ全量循環し、洗濯機400などの外部へ供給はしない。また、貯水槽310からマグネシウムイオン水生成部350へ供給する貯水を取り出す位置は、給水部330に近く、貯水槽310内で比較的マグネシウムイオン濃度が低い位置である。
【0024】
(循環部370)
循環部370は、循環水供給管371を通してマグネシウムイオン水生成部350にて生成したマグネシウムイオン水を貯水槽310へ循環させる。
上述したように第2実施形態では、マグネシウムイオン水生成部350にて生成したマグネシウムイオン水は全量貯水槽310へ循環させる。マグネシウムイオン水が循環部370から貯水槽310へ供給される位置は、貯水槽310内で、給水部330からの給水を受ける区画から一番遠い位置であり、貯水槽310内の貯水全体のpHを早期に高めることができる。
【0025】
(水供給部390)
水供給部390は、第1実施形態の水供給部90とは異なり、貯水槽310の貯水をマグネシウムイオン水として、貯水供給管391により洗濯機400へ供給する。貯水槽310から水供給部390への貯水の供給は水供給ポンプ392により行い、貯水槽310内の水供給管331に近い箇所からマグネシウムイオン濃度が低い貯水を抜き出す。本実施形態では、pHは9.5前後の貯水が供給されるよう、抜き出す位置を調節する。
本実施形態では、コインランドリーに設置された単数または複数の洗濯機400へ洗浄用水のマグネシウムイオン水として貯水を供給する。
【0026】
(第2実施形態の装置の動作)
第2実施形態のマグネシウムイオン水供給装置300の動作の概要を説明する。
使用に先立って、マグネシウムイオン生成部350の容器354にマグネシウム粒を収容する。マグネシウム粒の量は、容器354を複数用いる場合は、マグネシウム粒の管理の容易さから容器354毎には同じ量を収容することが好ましい。例えば、1つの容器354毎にマグネシウム粒500g~1kgの間の適した量、例えば800gを収容する。
また、貯水槽310へ、所定水量になるまで給水部330から給水する。次いで、マグネシウムイオン水生成部350のポンプ352を稼働して、貯水槽310内の貯水を、マグネシウム粒が収納されている容器354へ供給する。容器354にて、マグネシウム粒と貯水との攪拌を開始する。使用開始時は、マグネシウムイオン水生成部350にて生成したマグネシウムイオン水のpHは低く洗濯機400での使用に適さないため、マグネシウムイオン水の全量を循環部370から貯水槽310へ循環させ続ける。マグネシウムイオン水の貯水槽310への循環に伴って、貯水槽310内の貯水はpHが次第に上昇する。
【0027】
貯水のpHが上昇すると、供給されるマグネシウムイオン水のpH上昇に伴い、マグネシウムイオン水生成部350にて生成するマグネシウムイオン水のpHも上昇する。生成したマグネシウムイオン水のpH(マグネシウムイオン水生成部350に複数設けられている容器の中で一番下流側にある容器の水出口から排出されたマグネシウムイオン水のpH)を貯水槽310内の水供給部390近傍に設けたpH計(図示せず)等で測定する。得られたpH値が予め定められた値に近づいた時からマグネシウムイオン水が水供給部390から洗濯機400へ供給可能となる。本実施形態では、マグネシウムイオン水は洗濯機400へ供給するため例えば前記した予め定められた数値はpHを9.5とするが、用途により、定められた数値は異なって設定することが好ましい。
マグネシウムイオン水生成部350にて生成されるマグネシウムイオン水のpHは、マグネシウムイオン水供給装置300の運転継続に従って上昇し、最後的にpH10.5となるが、水供給部390へ供給する貯水は、上記したように水供給部390へ抜き出す位置の調整によりpH9.5とする。
マグネシウムイオン水のpHが10.5まで上昇したとき、給水部330からの給水を停止し、マグネシウムイオン水生成部350でのマグネシウムイオン水の生成及び循環部370によるマグネシウムイオン水の貯水槽310への循環も停止する。
【0028】
水供給部390から洗濯機400への貯水供給に伴い、貯水槽310の水量は減少する。貯水槽310の水量が予め設定した値を下回り、水量低下を貯水槽に設けた水面センサ(図示せず)により検知した場合、水供給ポンプ392を停止して水供給部390から洗濯機400への貯水供給は停止する。そして、給水部330の水供給管331を通して、外部から貯水槽310へ給水し、貯水槽310内の水位を所定量まで回復させる。水位回復は前記水面センサにて把握する。この給水と同時に、マグネシウムイオン水生成部350では、ポンプ352により貯水槽310から貯水を抜き出してマグネシウム粒と貯水との攪拌を行う容器354へ供給し、生成したマグネシウムイオン水を貯水槽310へ循環部370から循環させ、マグネシウムイオン水供給装置300全体のpHを均一化させる。前記攪拌によるマグネシウムイオン水の生成及び貯水槽310への循環は例えば10分間実施する。貯水槽310内の水位が所定量まで回復したら、再び、洗濯機400へのマグネシウムイオン水供給を実施する。
なお、コインランドリーでユーザによる洗濯機400の使用が無く、マグネシウムイオン水生成部350の容器354内での貯水とマグネシウム粒との攪拌が所定時間、例えば2時間、行われないときは、マグネシウム粒の錆防止のため、容器354内での貯水とマグネシウム粒との攪拌を例えば10分間実施し、その後攪拌を停止する。
【0029】
「他の実施形態」
第1実施形態及び第2実施形態では、マグネシウムイオン水及び貯水の用途としてコインランドリー等の洗濯機200、400へ洗浄用水として供給を説明したが、本発明におけるマグネシウムイオン水及び貯水の用途はこれに限られない。例えば、ビル、店舗、家屋(特に納屋、外壁等)等の清掃用水;製氷機;食器洗浄機、シンク、その他厨房機器用の洗浄水;便器を含むトイレ装置の洗浄用水;入浴剤など浴槽を含む浴室用水と浴室洗浄用水;エアコンディショナー、空気清浄機、加湿器等の用水;等が用途として挙げられる。
本発明は以上の実施形態に限られず、本発明の思想内であれば、他の実施形態も可能である。
例えば、マグネシウム粒には、用途によっては、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン等がマグネシウム単体以外に含まれてもよい。また、貯水槽10,310、容器54,354としてステンレスなど、鉄を主成分とする材料を用いることを記載したが、樹脂素材等により構成することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
10、310 貯水槽
30、330 給水部
50、350 マグネシウムイオン水生成部
70、370 循環部
90、390 水供給部
図1
図2