(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110784
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20240808BHJP
E05D 15/28 20060101ALI20240808BHJP
E05D 15/10 20060101ALI20240808BHJP
E05F 11/28 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
F25D23/02 306Z
E05D15/28
E05D15/10
E05F11/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015584
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000208503
【氏名又は名称】大和冷機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】吉薗 修平
(72)【発明者】
【氏名】田中 悟空
【テーマコード(参考)】
2E034
3L102
【Fターム(参考)】
2E034FA00
2E034GA01
2E034GA08
2E034GB15
3L102JA01
3L102KA08
3L102KB20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】左右のスライド扉を別々に保持する左右の保持部材を案内するレールが左右に分かれた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】本体と左右のスライド扉D0と案内機構を備え、案内機構は、左右の保持部材120と左右の補助レール20を備え、各補助レール20は、左右方向においてスライド扉D0の範囲内にある。各保持部材120は、傾動可能なアーム部130と補助レール20への接続部を有し、スライド扉D0が閉塞位置P1で左右方向において接続部が傾動軸AX1よりも最開位置P2側にある。補助レール20は、スライド扉D0が閉塞位置P1から最開位置P2に向かう途中位置P3まで接続部を中心に回転し保持部材120を傾動させ、且つ、左右方向において接続部が傾動軸AX1よりも閉塞位置P1側に変わった状態でスライド扉D0が最開位置P2まで到達するように接続部を案内する案内構造30を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室の前面において左右の開口部を有する本体と、
前記左右の開口部を別々に閉塞可能な左右のスライド扉と、
前記本体に設けられ、各前記スライド扉を前記開口部が閉塞される閉塞位置と前記開口部が最も開く最開位置との間で双方向に案内する案内機構と、を備え、
前記閉塞位置にある右側のスライド扉の前側に左側のスライド扉の前記最開位置があり、前記閉塞位置にある前記左側のスライド扉の前側に前記右側のスライド扉の前記最開位置がある、冷蔵庫であって、
前記案内機構は、
前記左右のスライド扉を別々に保持する左右の保持部材と、
前記本体に設けられ、前記左右の保持部材を別々に案内する左右のレール、を備え、
各前記レールは、左右方向において前記スライド扉の範囲内にあり、
各前記保持部材は、鉛直に向いた傾動軸を中心として傾動可能に前記スライド扉に設けられたアーム部、及び、該アーム部に設けられて前記レールに対して移動可能に接続している接続部を有し、設けられている前記スライド扉が前記閉塞位置にあるときに左右方向において前記接続部が前記傾動軸よりも前記最開位置側にあり、
前記レールは、案内する前記スライド扉が前記閉塞位置から前記最開位置に向かう途中位置まで前記接続部を中心として回転するように前記保持部材を傾動させ、且つ、左右方向において前記接続部が前記傾動軸よりも前記閉塞位置側に変わった状態で前記スライド扉が前記最開位置まで到達するように前記接続部を案内する案内構造を有する、冷蔵庫。
【請求項2】
前記接続部は、前記アーム部に第一の水平位置において設けられている第一接続部、及び、前記アーム部に前記第一の水平位置とは異なる第二の水平位置において設けられている第二接続部を含み、
前記案内構造は、前記スライド扉が前記閉塞位置から前記途中位置に到達するまで前記第一接続部を中心として回転するように前記保持部材を傾動させる支点構造、及び、左右方向において前記接続部が前記傾動軸よりも前記閉塞位置側にある状態で前記第一接続部と前記第二接続部との位置関係を維持させる位置関係維持構造を含む、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記支点構造は、該支点構造に案内される前記スライド扉が前記閉塞位置にあるときに左右方向において前記第二接続部を前記傾動軸と前記第一接続部との間に配置させ、
前記位置関係維持構造は、該位置関係維持構造に前記スライド扉が案内されるときに左右方向において前記第二接続部を前記第一接続部よりも前記最開位置側に配置させる、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記案内構造は、前記レールの内部において前記レールに沿った溝を有し、
前記第一接続部は、前記溝の中に入っている第一ローラーを備え、
前記第二接続部は、前記溝の中に入っている第二ローラーを備え、
前記溝は、下向きに開口し、
前記アーム部は、前記レールの下側から前記溝に入って鉛直向きのローラー回転軸を中心として前記第一ローラー及び前記第二ローラーを回転可能に保持する、請求項2又は請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第一接続部は、前記アーム部に第一の高さにおいて設けられ、
前記第二接続部は、前記アーム部に前記第一の高さとは異なる第二の高さにおいて設けられ、
前記支点構造は、前記第一の高さにおいて鉛直向きの回転軸を中心として前記アーム部が回転するように前記第一接続部を保持する保持溝、及び、前記第二の高さにおいて前記回転軸を中心として前記第二接続部の旋回を許容する旋回溝を有し、
前記位置関係維持構造は、前記保持溝及び前記旋回溝に繋がって前記第一の高さから前記第二の高さにかけて前記位置関係を維持させながら前記第一接続部及び前記第二接続部を移動させる位置関係維持溝を有する、請求項2又は請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記案内機構は、左右方向において前記傾動軸を基準として前記接続部を前記最開位置側へ動かす向きに前記アーム部に対して力を加えるトーションばねをさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記本体は、前記冷蔵室の前面において左右方向に沿った横桟を備え、
前記左右のレールは、前記横桟に設けられ、
各前記スライド扉には、該スライド扉が前記閉塞位置にあるときに前記レールの前側を全て隠す保護部材が取り付けられている、請求項1又は請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記本体は、前記左右のスライド扉が前記閉塞位置にあるときに前記保護部材間に見えるように前記冷蔵室の前面において鉛直方向に沿った縦桟を備える、請求項7に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き違いに開閉可能な左右のスライド扉を備える冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、引き違い構成の左右のスライド扉を備える冷蔵庫が知られている。このような冷蔵庫のスライド扉は冷蔵室開口部に並行するように移動するので、スライド扉の前の空間が狭くてもスライド扉の開閉操作が容易であり、冷蔵庫の設置空間を省スペースにすることができる。
特許文献1に示される開閉体開閉機構は、上側において第1及び第2支持部材を介して第1及び第2開閉体の移動を第1及び第2案内部材で案内し、下側において第3及び第4支持部材を介して第1及び第2開閉体の移動を共通の第3案内部材で案内する。右側の第1開閉体が開位置に位置するときに第3支持部材は第3案内部材上において左側の第2開閉体の後方に存在し、左側の第2開閉体が開位置に位置するときに第4支持部材は第3案内部材上において右側の第1開閉体の後方に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、左側のスライド扉の移動域のうち破損部が左右の移動域の共用部分である場合、左右どちらのスライド扉も十分な開閉ができなくなる。上述した開閉体開閉機構では、共通の第3案内部材の略中間部分において第3及び第4支持部材が移動することができなければ、左右どちらの開閉体も十分な開閉ができなくなる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決可能な冷蔵庫を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷蔵庫は、
冷蔵室の前面において左右の開口部を有する本体と、
前記左右の開口部を別々に閉塞可能な左右のスライド扉と、
前記本体に設けられ、各前記スライド扉を前記開口部が閉塞される閉塞位置と前記開口部が最も開く最開位置との間で双方向に案内する案内機構と、を備え、
前記閉塞位置にある右側のスライド扉の前側に左側のスライド扉の前記最開位置があり、前記閉塞位置にある前記左側のスライド扉の前側に前記右側のスライド扉の前記最開位置がある、冷蔵庫であって、
前記案内機構は、
前記左右のスライド扉を別々に保持する左右の保持部材と、
前記本体に設けられ、前記左右の保持部材を別々に案内する左右のレール、を備え、
各前記レールは、左右方向において前記スライド扉の範囲内にあり、
各前記保持部材は、鉛直に向いた傾動軸を中心として傾動可能に前記スライド扉に設けられたアーム部、及び、該アーム部に設けられて前記レールに対して移動可能に接続している接続部を有し、設けられている前記スライド扉が前記閉塞位置にあるときに左右方向において前記接続部が前記傾動軸よりも前記最開位置側にあり、
前記レールは、案内する前記スライド扉が前記閉塞位置から前記最開位置に向かう途中位置まで前記接続部を中心として回転するように前記保持部材を傾動させ、且つ、左右方向において前記接続部が前記傾動軸よりも前記閉塞位置側に変わった状態で前記スライド扉が前記最開位置まで到達するように前記接続部を案内する案内構造を有する、態様を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、左右のスライド扉を別々に保持する左右の保持部材を案内するレールが左右に分かれた冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】冷蔵庫の例を一部の要素が省略された状態で模式的に示す斜視図。
【
図3】左上のスライド扉が最開位置にある冷蔵庫の例を一部の要素が省略された状態で模式的に示す斜視図。
【
図4】スライド扉の移動経路の例を模式的に示す平面図。
【
図5】案内機構のうち支持レール群及び左右の支持部材の例を模式的に示す平面図。
【
図6】案内機構のうち左右の補助レール及び左右の保持部材の例を模式的に示す底面図。
【
図7】補助レール、保持部材、及び、トーションばねの例を模式的に示す斜視図。
【
図10】スライド扉開閉時の保持部材の動きの例を模式的に示す底面図。
【
図11】案内機構のうち補助レール及び左右の保持部材の比較例を模式的に示す底面図。
【
図12】補助レール及び保持部材の比較例を模式的に示す斜視図。
【
図13】スライド扉開閉時の保持部材の動きの比較例を模式的に示す底面図。
【
図14】左上のスライド扉が最開位置にある冷蔵庫の比較例を一部の要素が省略された状態で模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0010】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1~15に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
【0011】
図1~10に例示するように、本技術の一態様に係る冷蔵庫は、本体1、左右のスライド扉D0、及び、案内機構M1を備える。前記本体1は、冷蔵室101の前面において左右の開口部2を有する。前記左右のスライド扉D0は、前記左右の開口部2を別々に閉塞可能である。前記案内機構M1は、前記本体1に設けられ、各前記スライド扉D0を前記開口部2が閉塞される閉塞位置P1と前記開口部2が最も開く最開位置P2との間で双方向に案内する。ここで、前記閉塞位置P1にある右側のスライド扉(例えば第二扉7)の前側に左側のスライド扉(例えば第一扉6)の前記最開位置P2があり、前記閉塞位置P1にある前記左側のスライド扉(6)の前側に前記右側のスライド扉(7)の前記最開位置P2がある。前記案内機構M1は、前記左右のスライド扉D0を別々に保持する左右の保持部材120、及び、前記本体1に設けられて前記左右の保持部材120を別々に案内する左右のレール(例えば補助レール20)を備える。各前記レール(20)は、左右方向において前記スライド扉D0の範囲201内にある。各前記保持部材120は、鉛直に向いた傾動軸AX1を中心として傾動可能に前記スライド扉D0に設けられたアーム部130、及び、該アーム部130に設けられて前記レール(20)に対して移動可能に接続している接続部140を有し、設けられている前記スライド扉D0が前記閉塞位置P1にあるときに左右方向において前記接続部140が前記傾動軸AX1よりも前記最開位置P2側にある。前記レール(20)は、案内する前記スライド扉D0が前記閉塞位置P1から前記最開位置P2に向かう途中位置P3まで前記接続部140を中心として回転するように前記保持部材120を傾動させ、且つ、左右方向において前記接続部140が前記傾動軸AX1よりも前記閉塞位置P1側に変わった状態で前記スライド扉D0が前記最開位置P2まで到達するように前記接続部140を案内する案内構造30を有する。
【0012】
レール(20)に案内されてスライド扉D0を保持する保持部材120は、スライド扉D0が閉塞位置P1から最開位置P2に向かう途中位置P3まで接続部140を中心として回転するように傾動する。スライド扉D0は、左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも閉塞位置P1側に変わった状態で接続部140がレール(20)に案内されることにより最開位置P2まで到達する。左右のレール(20)のそれぞれは、左右方向においてスライド扉D0の範囲201内で済む。
以上により、左側の保持部材121がレール(20)に沿って右側のスライド扉(7)の範囲201内に入り込んだり、右側の保持部材122がレール(20)に沿って左側のスライド扉(6)の範囲201内に入り込んだりすることが無くなる。従って、上記態様は、左右のスライド扉D0を別々に保持する左右の保持部材120を案内するレール(20)が左右に分かれた冷蔵庫を提供することができる。
【0013】
ここで、冷蔵庫は、冷却機能を有していればよく、冷蔵室101の温度が氷点を下回らない冷蔵庫に限定されず、冷蔵室101の温度が氷点を下回る冷凍庫でもよい。
また、冷蔵庫の形状も、限定されない。例えば、冷蔵室101は上下に2段以上設けられてもよいし、冷蔵庫はコールドテーブルとも呼ばれるテーブル形冷蔵庫等でもよい。
左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも最開位置P2側にあることは、左側のスライド扉(6)を保持する保持部材121の接続部140については右側にあることを意味し(
図4の上段参照)、右側のスライド扉(7)を保持する保持部材122の接続部140については左側にあることを意味する(
図4の下段参照)。
左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも閉塞位置P1側にあることは、左側のスライド扉(6)を保持する保持部材121の接続部140については左側にあることを意味し(
図4の上段参照)、右側のスライド扉(7)を保持する保持部材122の接続部140については右側にあることを意味する(
図4の下段参照)。
案内構造30により保持部材120の回転中心となる接続部140は、保持部材120の回転中に移動しない場合に限定されず、保持部材120の回転中に移動してもよい。
本願における「第一」、「第二」、…は、類似点を有する複数の構成要素に含まれる各構成要素を識別するための用語であり、必ずしも順番を意味しない。本明細書では、「第一」を左側の要素に付し、「第二」を右側の要素に付すことがある。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0014】
図7~10に例示するように、前記接続部140は、前記アーム部130に第一の水平位置161において設けられている第一接続部141、及び、前記アーム部130に前記第一の水平位置161とは異なる第二の水平位置162において設けられている第二接続部142を含んでいてもよい。前記案内構造30は、前記スライド扉D0が前記閉塞位置P1から前記途中位置P3に到達するまで前記第一接続部141を中心として回転するように前記保持部材120を傾動させる支点構造31を含んでいてもよい。当該案内構造30は、左右方向において前記接続部140が前記傾動軸AX1よりも前記閉塞位置P1側にある状態で前記第一接続部141と前記第二接続部142との位置関係を維持させる位置関係維持構造32を含んでいてもよい。
上記態様は、左右の保持部材120を左右別々のレール(20)で案内する好適な例を提供することができる。
尚、支点構造31により保持部材120の回転中心となる第一接続部141は、保持部材120の回転中に移動しない場合に限定されず、保持部材120の回転中に移動してもよい。この付言は、以下の態様においても適用される。
【0015】
図7~10に例示するように、前記案内構造30は、前記レール(20)の内部において前記レール(20)に沿った溝G0を有していてもよい。
また、前記第一接続部141は、前記アーム部130に第一の高さH1において設けられてもよい。前記第二接続部142は、前記アーム部130に前記第一の高さH1とは異なる第二の高さH2において設けられてもよい。前記支点構造31は、前記第一の高さH1において鉛直向きの回転軸AX3を中心として前記アーム部130が回転するように前記第一接続部141を保持する保持溝G1を有していてもよい。当該支点構造31は、前記第二の高さH2において前記回転軸AX3を中心として前記第二接続部142の旋回を許容する旋回溝G2を有していてもよい。前記位置関係維持構造32は、前記保持溝G1及び前記旋回溝G2に繋がって前記第一の高さH1から前記第二の高さH2にかけて前記位置関係を維持させながら前記第一接続部141及び前記第二接続部142を移動させる位置関係維持溝G3を有していてもよい。本態様は、左右の保持部材120を左右別々のレール(20)で案内するさらに好適な例を提供することができる。
【0016】
図7に例示するように、前記案内機構M1は、左右方向において前記傾動軸AX1を基準として前記接続部140を前記最開位置P2側へ動かす向きに前記アーム部130に対して力を加えるトーションばね180をさらに備えていてもよい。
以上の場合、トーションばね180から保持部材120を介してスライド扉D0に閉じる向きの力が加わる。従って、上記態様は、スライド扉D0が確実に閉まるようにさせることができる。
【0017】
図3,7に例示するように、前記本体1は、前記冷蔵室101の前面において左右方向に沿った横桟3を備えていてもよい。前記左右のレール(20)は、前記横桟3に設けられていてもよい。各前記スライド扉D0には、該スライド扉D0が前記閉塞位置P1にあるときに前記レール(20)の前側を全て隠す保護部材(C0)が取り付けられていてもよい。
図11~15に示す比較例に係る冷蔵庫のように、左側の保持部材50が共通のレールに沿って右側のスライド扉(7)の範囲201内に入り込むと、共通のレールの前側のうち左側の保持部材50が右側のスライド扉(7)の範囲201内に入り込む部分を保護部材(C0)で隠すことができない。右側の保持部材50が共通のレールに沿って左側のスライド扉(6)の範囲201内に入り込むと、共通のレールの前側のうち右側の保持部材50が左側のスライド扉(6)の範囲201内に入り込む部分を保護部材(C0)で隠すことができない。上記態様は、レール(20)の前側の全体が保護部材(C0)で隠されるので、安全性及び意匠性を向上させることができる。
【0018】
図1に例示するように、前記本体1は、前記左右のスライド扉D0が前記閉塞位置P1にあるときに前記保護部材(例えば保護キャップC0)間に見えるように前記冷蔵室101の前面において鉛直方向に沿った縦桟102を備えていてもよい。
左右のレール(20)の間に縦桟102が見える状態であるので、縦桟102付近の意匠が良好であるうえ、縦桟102付近を清掃し易い。従って、上記態様は、縦桟102付近の清掃性及び意匠性を向上させることができる。
【0019】
(2)冷蔵庫の具体例:
以下、説明していない特徴も含めて、冷蔵庫の具体例を説明する。
図1~10は、冷蔵庫の具体例を模式的に示している。
図1は、冷蔵庫の正面を例示している。
図2は、冷蔵庫の外観を一部の要素が省略された状態で例示している。
図3は、左上のスライド扉D0が最開位置P2にある冷蔵庫の外観を一部の要素が省略された状態で例示している。
図4は、スライド扉D0の移動経路を例示する平面図である。
図5は、案内機構M1のうち支持レール群R0及び左右の支持部材110を例示する平面図である。
図6は、案内機構M1のうち左右の補助レール20(レールの例)及び左右の保持部材120を示す底面図である。
図7は、補助レール20、保持部材120、及び、トーションばね180を例示する斜視図である。
図7の下部には、見る向きを変えた保持部材120及びトーションばね180の斜視図が示されている。
図8は、保持部材120を例示する平面図である。
図8の下部には、保持部材120を先端部120aから水平に見た図が示されている。
図9は、補助レール20を例示する底面図である。
図9における2箇所の二点鎖線の囲み内には、それぞれ、A1,A2部分の補助レール20の断面が示されている。尚、2箇所の二点鎖線の囲み内では、補助レール20の断面が上下逆に示されている。
図10は、スライド扉開閉時の保持部材120の動きを例示する底面図である。
【0020】
尚、
図2に示すように、冷蔵庫において、スライド扉D0側を前側とし、その反対側を後側とする。冷蔵庫の上下左右は、スライド扉D0を見る位置を基準とする。
【0021】
本具体例の冷蔵庫は、本体1と左右のスライド扉D0と案内機構M1を備える。案内機構M1は、左右の保持部材120と左右の補助レール20を備える。各補助レール20は、左右方向においてスライド扉D0の範囲201内にある。各保持部材120は、傾動可能なアーム部130、及び、補助レール20への接続部140を有し、設けられているスライド扉D0が閉塞位置P1にあるときに左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも最開位置P2側にある。補助レール20は、案内するスライド扉D0が閉塞位置P1から最開位置P2に向かう途中位置P3まで接続部140を中心として回転するように保持部材120を傾動させ、且つ、左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも閉塞位置P1側に変わった状態でスライド扉D0が最開位置P2まで到達するように接続部140を案内する案内構造30を有する。
まず、冷蔵庫の各要素の概要を説明する。
【0022】
(本体1)
本体1は、冷蔵保管の対象物を収容するための冷蔵室101を内部に有し、略直方体の外形を有する。
図3等に示すように、正面の開口部2は平面状であり、左右方向に沿った水平向きの横桟3が鉛直方向における略中央に配置され、中柱ともいえる鉛直向きの縦桟102が水平方向における略中央に配置されている。言い換えると、本体1は、冷蔵室101の前面において左右方向に沿った横桟3、及び、冷蔵室101の前面において鉛直方向に沿った縦桟102を備える。開口部2と横桟3と縦桟102を含む面である開口面4は、垂直な同一平面である。本体1は、冷蔵室101の前面において縦桟102により左右に分かれた開口部2を有している。従って、開口部2は、縦桟102よりも左側の開口部2a、及び、縦桟102よりも右側の開口部2bを含んでいる。また、本具体例の開口部2は、冷蔵室101の前面において横桟3により上下に分かれている。従って、本具体例の開口部2は、横桟3よりも上側に左側の開口部2aと右側の開口部2bを含み、横桟3よりも下側にも左側の開口部2aと右側の開口部2bを含んでいる。
本体1は、天面5と底面とにおいて、支持レール群R0が設けられた水平部1aを有している。横桟3には、上側のスライド扉D0のための左右の補助レール20、及び、下側のスライド扉D0のための左右の補助レール20が設けられている。本体1の側面と後面と天面5と底面及び横桟3の外面と内面の間には、断熱材が充填されている。断熱材には、発泡ウレタン等を用いることができる。
【0023】
(スライド扉D0)
冷蔵庫は、左右の開口部2を別々に閉塞可能な左右のスライド扉D0を備えている。左右のスライド扉D0は、左側の第一扉6(左側のスライド扉の例)、及び、右側の第二扉7(右側のスライド扉の例)を含んでいる。第一扉6と第二扉7とは、左右対称の同一寸法である。本体1に設けられた案内機構M1は、左右一対のスライド扉D0を対象として、各スライド扉D0を開口部2が閉塞される閉塞位置P1と開口部2が最も開く最開位置P2との間で双方向に案内する。本具体例の冷蔵庫は、横桟3よりも上側の開口部2を閉塞可能な左右のスライド扉D0、及び、横桟3よりも下側の開口部2を閉塞可能な左右のスライド扉D0を備えている。従って、
図1,2等に示す冷蔵庫は、横桟3よりも上側の開口部2を閉塞可能な左右のスライド扉D0を案内する案内機構M1、及び、横桟3よりも下側の開口部2を閉塞可能な左右のスライド扉D0を案内する案内機構M1を備えている。上下の第一扉6は左側の開口部2aを閉塞可能であり、上下の第二扉7は右側の開口部2bを閉塞可能である。上側の第一扉6には正面の左下部分に第一ハンドル11が設けられ、上側の第二扉7には正面の右下部分に第二ハンドル12が設けられている。下側の第一扉6には正面の左上部分に第一ハンドル11が設けられ、下側の第二扉7には正面の右上部分に第二ハンドル12が設けられている。計4枚のスライド扉D0は、いずれも略長方形である。各スライド扉D0には、内側面と外側面との間に断熱材(上述した発泡ウレタン等)が充填されている。従って、各スライド扉D0は、冷蔵室101と外部とを開口部2の位置で遮蔽する断熱性能を有する。
【0024】
各スライド扉D0の内側である開口面4側の外周近くの全周には、
図7に示すように、変形しやすいパッキン8が扉の長方形から30mm程度扉中心側に設けられている。従って、各スライド扉D0は、該スライド扉D0の側面に閉塞位置P1において開口部2を気密的に閉塞するパッキン8を備えている。
【0025】
(案内機構M1)
図1,2に示す上側の案内機構M1は、本体1の上側の水平部1aに設けられた支持レール群R0、該支持レール群R0に沿って案内される左右の支持部材110、支持レール群R0よりも低い位置にある左右の補助レール20、該左右の補助レール20に別々に案内される左右の保持部材120、等を備える。
図1,2に示す下側の案内機構M1は、本体1の下側の水平部1aに設けられた支持レール群R0、該支持レール群R0に沿って案内される左右の支持部材110、支持レール群R0よりも高い位置にある左右の補助レール20、該左右の補助レール20に別々に案内される左右の保持部材120、等を備える。各案内機構M1は、各スライド扉D0を閉塞位置P1と最開位置P2との間で開口部2に並行する向きに維持する。これにより、スライド扉D0が円滑に移動する。
下側の案内機構M1は上側の案内機構M1に類似しているので、本具体例では上側の案内機構M1を説明することにする。
【0026】
図4に示すように、左右のスライド扉D0は、上述した案内機構M1により、引き違いに開閉可能である。
図4の中段には、第一扉6と第二扉7の両方が閉塞位置P1にあることが示されている。
図4の上段と下段には、スライド扉D0の移動経路が二点鎖線で示されている。
図4の上段に示すように閉塞位置P1にある右側の第二扉7の前側に左側の第一扉6の最開位置P2があり、
図4の下段に示すように閉塞位置P1にある左側の第一扉6の前側右側の第二扉7の最開位置P2がある。ユーザーは、
図2等に示す第一ハンドル11を手で持って第一扉6を開口部2aが閉塞される閉塞位置P1と開口部2aが最も開く最開位置P2との間で水平にスライドさせることができる。
図4の上段に示すように、第一扉6は、第二扉7が閉塞位置P1にあるときに、閉塞位置P1から前側へ位置を変えながら右方へ移動し、途中位置P3を経て第二扉7の前側において開口部2に沿って右方へ移動して最開位置P2まで移動可能である。反対に、第一扉6は、最開位置P2から左方へ移動し、途中位置P3を経て後側へ位置を変えながら左方へ移動して閉塞位置P1まで移動可能である。また、ユーザーは、
図2等に示す第二ハンドル12を手で持って第二扉7を開口部2bが閉塞される閉塞位置P1と開口部2bが最も開く最開位置P2との間で水平にスライドさせることができる。
図4の下段に示すように、第二扉7は、第一扉6が閉塞位置P1にあるときに、閉塞位置P1から前側へ位置を変えながら左方へ移動し、途中位置P3を経て第一扉6の前側において開口部2に沿って左方へ移動して最開位置P2まで移動可能である。反対に、第二扉7は、最開位置P2から右方へ移動し、途中位置P3を経て後側へ位置を変えながら右方へ移動して閉塞位置P1まで移動可能である。
【0027】
(支持レール群R0)
本体1の水平部1aに設けられた支持レール群R0は、複数の支持レールを含んでいる。これら複数の支持レールは、
図2に示すように互いに干渉する高さに、例えば、水平に配置されてもよいし、特開2018-131880号公報に示されるように互いに干渉しない高さに、例えば、鉛直に配置されてもよい。ここでは、
図5に示すように、鉛直に配置された第一支持レール9及び第二支持レール10を例として支持レール群R0を説明する。
図5における3箇所の二点鎖線の囲み内には、それぞれ、第一支持レール9の平面図、第二支持レール10の平面図、並びに、左右のスライド扉D0及び左右の支持部材110の平面図が示されている。
【0028】
図5に示すように、上側の第一支持レール9は後側へ湾曲した両側の第一レール端部9aの間に第一レール中間部9bを有し、下側の第二支持レール10は後側へ湾曲した両側の第二レール端部10aの間に第二レール中間部10bを有している。第一支持レール9と第二支持レール10とは、同形状であり、互いに異なる高さに配置されている。支持レール(9,10)は、支持レール(9,10)に沿った溝を内部に有している。溝の中には、支持部材110の支持レール接続部113(例えばローラー群)が入っている。支持レール接続部113を案内する支持レール(9,10)の形状は、各スライド扉D0を閉塞位置P1と最開位置P2との間で開口部2に並行する向きに維持するように設計されている。
【0029】
溝を有する支持レール(9,10)の横断面形状は、略長方形である。支持レール(9,10)は、開口面4に近い側の垂直部である前壁、開口面4から遠い側の垂直部である奥壁、上部側の水平部である天壁、及び、該天壁に対向する下部側の水平部である下壁を備えている。前壁と天壁とは互いに繋がり、天壁と奥壁とは互いに繋がり、奥壁と下壁とは互いに繋がっているが、下壁と前壁とは間隙を置いて分離している。各支持部材110の支持レール接続部113は、支持レール(9,10)の間隙から溝の中に入っている。
【0030】
(支持部材110)
左右の支持部材110は、左右のスライド扉D0を別々に支持し、支持レール群R0に案内される。左右の支持部材110は、第一扉6を支持して支持レール群R0に案内される左側の支持部材111、及び、第二扉7を支持して支持レール群R0に案内される右側の支持部材112を含んでいる。支持レール群R0は、左右の支持部材111,112に共用される。各支持部材110の支持レール接続部113は、第一支持レール9に対して移動可能に支持される第一支持レール接続部114、及び、第二支持レール10に対して移動可能に支持される第二支持レール接続部115を含んでいる。左側の支持部材111は、鉛直向きの回転軸を中心として回転可能な第一支持レール接続部114を有する支持部111a、及び、鉛直向きの回転軸を中心として回転可能な第二支持レール接続部115を有する支持部111bを含み、第一扉6の左半分を支持する。右側の支持部材112は、鉛直向きの回転軸を中心として回転可能な第一支持レール接続部114を有する支持部112a、及び、鉛直向きの回転軸を中心として回転可能な第二支持レール接続部115を有する支持部112bを含み、第二扉7の右半分を支持する。支持部材111が第一扉6の左半分を支持し、支持部材112が第二扉7の右半分を支持するのは、左側の支持部材111と右側の支持部材112とが支持レール群R0を最低限占有する部分が生じるためである。
以上より、支持レール群R0、左右の支持部材110、左右の補助レール20、及び、左右の保持部材120を含む案内機構M1は、各スライド扉D0を閉塞位置P1とP2最開位置との間で開口部2に並行する向きに維持する。
【0031】
(補助レール20と保持部材120とトーションばね180)
図1等に示す左右の補助レール20は、支持レール群R0とは異なる高さにおいて本体1に設けられている。
図1,6に示すように、案内機構M1は、左右のスライド扉D0に対して別々に設けられて該スライド扉D0を左右別々の補助レール20に案内されながら保持する左右の保持部材120を備えている。左右の保持部材120は、鉛直に向いた傾動軸AX1を中心として傾動可能に第一扉6に設けられた左側の保持部材121、及び、鉛直に向いた傾動軸AX1を中心として傾動可能に第二扉7に設けられた右側の保持部材122を含んでいる。
左右の保持部材120の構造は左右対称であるので、
図7~10に左側の保持部材121の構造を示し、右側の保持部材122の図示を省略している。
【0032】
左右の補助レール20は、長手方向を左右に向けて本体1の横桟3に固定され、左右の保持部材120を別々に案内する。左右の補助レール20は、本体1の横桟3において縦桟102よりも左側に設けられて左側の保持部材121を案内する左側の補助レール21、及び、本体1の横桟3において縦桟102よりも右側に設けられて右側の保持部材122を案内する右側の補助レール22を含んでいる。
図6に示すように、左右方向において、左側の補助レール21の範囲202は第一扉6の範囲201内にあり、右側の補助レール22の範囲202は第二扉7の範囲201内にある。従って、各補助レール20は、左右方向においてスライド扉D0の範囲201内にある。
【0033】
各保持部材120は、鉛直に向いた傾動軸AX1を中心として傾動可能にスライド扉D0に設けられたアーム部130、及び、該アーム部130に設けられて補助レール20に対して移動可能に接続している接続部140を有している。むろん、左側の保持部材121は第一扉6に設けられたアーム部130及び左側の補助レール21に対して移動可能に接続している接続部140を有し、右側の保持部材122は第二扉7に設けられたアーム部130及び右側の補助レール22に対して移動可能に接続している接続部140を有している。
図6,9等に示すように、左側の保持部材121は、第一扉6が閉塞位置P1にあるときに左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも右側にあり、第一扉6が最開位置P2にあるときに左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも左側にある。言い換えると、左側の保持部材121は、左右方向において傾動軸AX1を基点として、第一扉6が閉塞位置P1にあるとき最開位置P2側(
図4参照)を向いており、第一扉6が最開位置P2にあるときに閉塞位置P1側を向いている。右側の保持部材122は、第二扉7が閉塞位置P1にあるときに左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも左側にあり、第二扉7が最開位置P2にあるときに左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも右側にある。言い換えると、右側の保持部材122は、左右方向において傾動軸AX1を基点として、第二扉7が閉塞位置P1にあるときに最開位置P2側を向いており、第二扉7が最開位置P2にあるときに閉塞位置P1側を向いている。従って、各保持部材120は、設けられているスライド扉D0が閉塞位置P1にあるときに左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも最開位置P2側にあり、設けられているスライド扉D0が最開位置P2にあるときに左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも閉塞位置P1側にある。言い換えると、各保持部材120は、左右方向において傾動軸AX1を基点として、スライド扉D0が閉塞位置P1にあるときに最開位置P2側を向いており、スライド扉D0が最開位置P2にあるときに閉塞位置P1側を向いている。
以上より、各補助レール20は、左右方向においてスライド扉D0の範囲201内で済む。
【0034】
図1~3に示すように、各スライド扉D0には、該スライド扉D0が閉塞位置P1にあるときに補助レール20の前側を全て隠す保護キャップC0(保護部材の例)が取り付けられている。冷蔵庫の上半分において、左側の第一扉6の下部には該第一扉6が閉塞位置P1にあるときに補助レール21の前側を全て隠す保護キャップC0が取り付けられ、右側の第二扉7の下部には該第二扉7が閉塞位置P1にあるときに補助レール22の前側を全て隠す保護キャップC0が取り付けられている。冷蔵庫の下半分において、左側の第一扉6の上部には該第一扉6が閉塞位置P1にあるときに補助レール21の前側を全て隠す保護キャップC0が取り付けられ、右側の第二扉7の上部には該第二扉7が閉塞位置P1にあるときに補助レール22の前側を全て隠す保護キャップC0が取り付けられている。冷蔵室101の前面において鉛直方向に沿った縦桟102は、左右のスライド扉D0が閉塞位置P1にあるときに保護キャップC0間に見える。
左右の補助レール20及び左右の保持部材120の構造は左右対称であるので、
図7~10に左側の補助レール21及び左側の保持部材121の構造を示し、右側の補助レール22及び右側の保持部材122の図示を省略している。
【0035】
各補助レール20は、案内するスライド扉D0が閉塞位置P1と最開位置P2との間で双方向へ移動するように接続部140を案内する案内構造30を有している。
図10に示すように、案内構造30は、案内するスライド扉D0が閉塞位置P1から最開位置P2に向かう途中位置P3まで接続部140を中心として回転するように保持部材120を傾動させる。当該案内構造30は、左右方向において接続部140が傾動軸AX1よりも閉塞位置P1側に変わった状態でスライド扉D0が最開位置P2まで到達するように接続部140を案内する。
図7,9等に示すように、案内構造30は、補助レール20の内部において補助レール20に沿った溝G0を有している。本具体例の補助レール20に設けられている溝G0は、冷蔵庫の上半分の案内機構M1に含まれる補助レール20と冷蔵庫の下半分の案内機構M1に含まれる補助レール20の両方とも、下向きに開口している。
【0036】
各保持部材120は、
図7,8に示すように、スライド扉D0の裏側に取り付けられた基部170、及び、鉛直に向いた傾動軸AX1に沿って基部170に固定された傾動軸部材171をアーム部130及び接続部140とともに備えている。アーム部130は、傾動軸AX1を中心として傾動軸部材171の周りを回転するように傾動可能である。接続部140は、アーム部130に対して基部170とは反対側の先端部120aに設けられている。
図8に示すように、接続部140は、アーム部130に第一の水平位置161において設けられている第一接続部141、及び、アーム部130に第一の水平位置161とは異なる第二の水平位置162において設けられている第二接続部142を含んでいる。
図8に示す平面視において、傾動軸AX1から第一接続部141までの距離は、傾動軸AX1から第二接続部142までの距離よりも長い。従って、第一接続部141の中心(ローラー回転軸AX2)と第二接続部142の中心(ローラー回転軸AX2)とを結ぶ線L1は、傾動軸AX1を中心として第一接続部141の中心(AX2)が移動する円弧の接線からずれ、傾動軸AX1を中心として第二接続部142の中心(AX2)が移動する円弧の接線からずれている。スライド扉D0が閉塞位置P1にあるとき、開口部2から第一接続部141までの距離は、開口部2から第二接続部142までの距離よりも短い。左側の保持部材121において、第一接続部141は、傾動軸AX1を中心として第二接続部142から左回りに向かう位置にある。右側の保持部材122において、第一接続部141は、傾動軸AX1を中心として第二接続部142から右回りに向かう位置にある。
【0037】
図7等に示すように、第一接続部141は、溝G0の中に入っている第一ローラー151を備えている。第二接続部142は、溝G0の中に入っている第二ローラー152を備えている。アーム部130は、先端部120aにおいて、補助レール20の下側から溝G0に入って鉛直向きのローラー回転軸AX2を中心として第一ローラー151及び第二ローラー152を回転可能に保持している。
図8の下部に示すように、第一ローラー151を備えている第一接続部141は、アーム部130に第一の高さH1において設けられている。第二ローラー152を備えている第二接続部142は、アーム部130に第一の高さH1とは異なる第二の高さH2において設けられている。
図8に示す第二接続部142は、第一接続部141よりも低い位置にある。
【0038】
図7,9等に示すように、溝G0は、第一ローラー151用の保持溝G1、第二ローラー152用の旋回溝G2、及び、両ローラー(151,152)用の位置関係維持溝G3を含んでいる。位置関係維持溝G3において閉塞位置P1側の端部である接続端部G3aには、保持溝G1と旋回溝G2の両方が繋がっている。
【0039】
保持溝G1には、第二ローラー152(第二接続部142)が入らず、第一ローラー151(第一接続部141)が入ることが可能である。保持溝G1は、第一ローラー151に合わせられた第一の高さH1において開口部2に向いている閉塞端部G1aから接続端部G3aに繋がる円弧状の溝である。閉塞端部G1aは、第一ローラー151の直径よりもごく僅かに大きい内径を有し、
図10の(a)~(c)に示すように第二ローラー152が少なくとも第一ローラー151よりも閉塞位置P1側にあるときに保持溝G1において第一ローラー151がとどまる部位である。閉塞端部G1aから接続端部G3aに繋がる円弧状の保持溝G1の幅は、第一ローラー151の直径よりもごく僅かに大きい。これにより、
図10の(c)~(d)に示すように、第一ローラー151が閉塞端部G1aと接続端部G3aとの間で保持溝G1に沿って双方向へ移動可能である。保持溝G1は、
図10の(a)~(c)に示すようにスライド扉D0が閉塞位置P1付近にあるときにおいて、第一の高さH1において鉛直向きの回転軸AX3を中心としてアーム部130が回転するように第一ローラー151を保持する。
【0040】
旋回溝G2は、第二ローラー152(第二接続部142)が回転軸AX3を中心として旋回可能に入ることが可能である。旋回溝G2は、第二ローラー152に合わせられた第二の高さH2において最も閉塞位置P1側にある部位である閉塞端部G2aから接続端部G3aまで膨出縁部G2bに沿ってスライド扉D0側へ膨らんだ溝である。尚、旋回溝G2は保持溝G1よりも溝G0の開口OP1に近いため、旋回溝G2にある第二ローラー152は、第二の高さH2において保持溝G1から開口OP1側の空間の一部を通り抜けることになる。閉塞端部G2aは、第二ローラー152の直径よりも若干大きい内径を有し、
図10の(a)に示すようにスライド扉D0が閉塞位置P1にあるときに旋回溝G2において第二ローラー152が存在する部位である。膨出縁部G2bは、第二ローラー152の直径の2倍を超える内径を有し、第一ローラー151を基点とした第二ローラー152の旋回位置を定める。これにより、
図10の(a)~(c)に示すように、第二ローラー152が閉塞端部G2aと接続端部G3aとの間で膨出縁部G2bに沿って双方向へ移動可能である。膨出縁部G2bの内径は、両ローラー(151,152)のローラー回転軸AX2間の距離に第二ローラー152の半径を加えた距離よりもごく僅かに大きい内径が好ましい。旋回溝G2は、
図10の(a)~(c)に示すようにスライド扉D0が閉塞位置P1付近にあるときにおいて、第二の高さH2において回転軸AX3を中心として第二ローラー152の旋回を許容する。
【0041】
案内構造30は、保持溝G1と旋回溝G2を有する支点構造31を含み、
図10の(a)~(d)に示すようにスライド扉D0が閉塞位置P1から途中位置P3に到達するまで第一ローラー151を中心として回転するように保持部材120を傾動させる。言い換えると、支点構造31は、第一の高さH1において回転軸AX3を中心としてアーム部130が回転するように第一接続部141を保持する保持溝G1、及び、第二の高さH2において回転軸AX3を中心として第二接続部142の旋回を許容する旋回溝G2を有する。
図8に示すように、支点構造31は、該支点構造31に案内されるスライド扉D0が閉塞位置P1にあるときに左右方向において第二接続部142を傾動軸AX1と第一接続部141との間に配置させる。各保持部材120は、設けられているスライド扉D0が閉塞位置P1から途中位置P3に向かうとき、まず、スライド扉D0から接続部140が離れるように傾動する。
【0042】
位置関係維持溝G3には、両ローラー(151,152)が入ることが可能である。位置関係維持溝G3は、第一の高さH1から第二の高さH2にかけて閉塞位置P1側の接続端部G3aから最開位置P2側の終端部G3bに繋がる略直線状の溝である。「略直線状」と表現したのは、途中位置P3と最開位置P2との間で開口部2とスライド扉D0とを極力平行に保つために位置関係維持溝G3の接続端部G3a側が若干、スライド扉D0側に湾曲しているためである。位置関係維持溝G3は、接続端部G3aから終端部G3bまで第一ローラー151の直径よりもごく僅かに大きい幅を有している。これにより、
図10の(d)~(e)に示すように、最開位置P2側の第二ローラー152と閉塞位置P1側の第一ローラー151とが位置関係を変えずに位置関係維持溝G3に沿って双方向へ移動可能である。位置関係維持溝G3は、保持溝G1及び旋回溝G2に繋がって第一の高さH1から第二の高さH2にかけてローラー(151,152)の位置関係を維持させながら両ローラー(151,152)を移動させる。
【0043】
案内構造30は、位置関係維持溝G3を有する位置関係維持構造32を含み、左右方向において両ローラー(151,152)が傾動軸AX1よりも閉塞位置P1側にある状態でローラー(151,152)の位置関係を維持させる。言い換えると、位置関係維持溝G3は、保持溝G1及び旋回溝G2に繋がって第一の高さH1から第二の高さH2にかけて接続部(141,142)の位置関係を維持させながら両接続部(141,142)を移動させる。
図9に示すように、位置関係維持構造32は、該位置関係維持構造32にスライド扉D0が案内されるときに左右方向において第二接続部142を第一接続部141よりも最開位置P2側に配置させる。位置関係維持溝G3の向きに対する保持部材120の向きが定まるので、スライド扉D0が途中位置P3から最開位置P2に向かうときに開口部2に並行して移動する。
【0044】
図6~8及び
図10の(a)に示すように、スライド扉D0が閉塞位置P1にあるとき、第一の高さH1の第一ローラー151は水平方向において保持溝G1に接し、第二の高さH2の第二ローラー152は水平方向において旋回溝G2に接している。スライド扉D0が閉塞位置P1から途中位置P3に向かうとき、まず、
図10の(a)~(c)に示すように、第一ローラー151は保持溝G1に保持され、第二ローラー152は旋回溝G2内においてスライド扉D0から離れる向きに回転軸AX3を中心として旋回する。保持部材120に保持されているスライド扉D0は、閉塞位置P1から前側へ位置を変えながら右方へ移動する。
図8に示す平面視において、第二ローラー152は左回りに旋回する。その後、
図10の(d)~(e)に示すように、第一ローラー151が第二ローラー152の旋回中に保持溝G1から離れ、第二ローラー152が先に位置関係維持溝G3に入り、第一ローラー151が後から位置関係維持溝G3に入る。ローラー(151,152)は、位置関係維持溝G3において、位置関係維持溝G3に沿って第二ローラー152が第一ローラー151よりも最開位置P2側にある縦列状態を保ったまま移動する。スライド扉D0は、位置関係維持溝G3に沿って開口部2に並行して最開位置P2まで移動する。
図9及び
図10(f)は、スライド扉D0が最開位置P2にあるときのローラー(151,152)の位置を示している。スライド扉D0が最開位置P2から閉塞位置P1に向かうとき、ローラー(151,152)は逆の動きを示す。
左右の補助レール20の形状は、支持レール接続部113を案内する支持レール群R0の形状とともに、各スライド扉D0を閉塞位置P1と最開位置P2との間で開口部2に並行する向きに維持するように設計されている。従って、案内機構M1は、支持レール群R0と左右の補助レール20に案内されることにより、各スライド扉D0を閉塞位置P1と最開位置P2との間で開口部2に並行する向きに維持する。
【0045】
案内機構M1は、左右方向において傾動軸AX1を基準としてローラー(151,152)を最開位置P2側へ動かす向きにアーム部130を付勢するトーションばね180を備えている。トーションばね180がアーム部130を付勢することは、トーションばね180がアーム部130に力を加えることを意味する。トーションばね180は、傾動軸部材171の外周に配置されている。言い換えると、傾動軸部材171は、トーションばね180の内側を鉛直方向へ貫通している。冷蔵庫の上半分において、トーションばね180の一端は、左右方向においてローラー(151,152)が傾動軸AX1よりも最開位置P2側にあるときにスライド扉D0の下部をローラー(151,152)に近付ける向きに付勢する。トーションばね180の他端は、左右方向においてローラー(151,152)が傾動軸AX1よりも最開位置P2側にあるときにローラー(151,152)をスライド扉D0の下部に近付ける向きに付勢する。
【0046】
スライド扉D0が閉塞位置P1に向かうとき、トーションばね180は保持部材120を介してスライド扉D0を開口面4に押し付ける向きに付勢する。これにより、スライド扉D0が閉塞位置P1まで閉まる補助の効果が得られる。また、保持部材120が傾動する角度が大きいので、トーションばね180からスライド扉D0に加わる力が強まり、閉塞位置P1近傍においてスライド扉D0がより閉まり易くなる。
【0047】
(冷却ユニット)
図示していないが、冷蔵庫は、凝縮器、凝縮冷却ファン、圧縮機、アキュムレータ、等を主な構成とした冷却ユニットを備えている。冷却ユニットは、天面5において開口面4とは反対側に配置されている。
【0048】
(補足)
左右のスライド扉D0を左右対称に移動させるため、案内機構M1は勝手違いの部品を備えている。
図2,5に示すように、左側の支持部材111は第一扉6の左半分を支持し、右側の支持部材112は第二扉7の右半分を支持している。従って、左側の支持部材111は第一扉6の重心から左側にずれた位置にあり、右側の支持部材112は第二扉7の重心から右側にずれた位置にある。これを補うため、左右の補助レール20に別々に案内される左右の保持部材120がそれぞれ左右のスライド扉D0に対して傾動可能に取り付けられている。これにより、振動を防止しながらスライド扉D0を安定して双方向へ移動させることができる。
【0049】
(3)比較例に係る冷蔵庫の説明:
ここで、
図11~15を参照して、比較例に係る冷蔵庫を説明する。
図11は、比較例の案内機構に含まれる補助レール53及び左右の保持部材50を示す底面図である。
図12は、比較例において補助レール53及び保持部材50を示す斜視図である。
図13は、比較例においてスライド扉開閉時の保持部材50の動きを示す底面図である。
図14は、比較例において左上のスライド扉D0が最開位置P2にある冷蔵庫の外観を一部の要素が省略された状態で示している。
図15は、比較例に係る冷蔵庫の正面を示している。
【0050】
補助レール53は、後側へ湾曲した両側の補助レール端部(55,56,57,58)の間に補助レール中間部54を有し、長手方向を左右に向けて横桟3に水平に固定されている。
図11に示す補助レール53は、直線状の補助レール中間部54の両端からそれぞれ後方に向けて左右対称に湾曲した第一補助湾曲部55及び第二補助湾曲部56、第一補助湾曲部55から一端に向かう直線状の第一補助直線端部57、並びに、第二補助湾曲部56から他端に向かう直線状の第二補助直線端部58を有している。補助レール53の両端は、開口面4に達している。第一補助湾曲部55と第二補助湾曲部56の曲率半径は同じであり、補助レール中間部54からの第一補助直線端部57と第二補助直線端部58の曲げ角度も同じである。補助レール中間部54、補助湾曲部(55,56)、及び、補助直線端部(57,58)は、同一の水平面上にある。
図11に示すように、左右方向において、補助レール53の範囲は、各スライド扉D0の範囲201を超えている。
【0051】
各保持部材50は、補助アーム51、及び、該保持部材50において傾動軸62を基点とした先端部において補助レール53に対して移動可能に接続している2個の補助ローラー52を有している。冷蔵庫の上半分において、補助アーム51は、傾動軸62を中心として傾動可能にスライド扉D0の下部に取り付けられている。2個の補助ローラー52は、略水平の補助アーム51の上側において補助アーム51に対して鉛直向きの補助ローラー回転軸を中心として回転可能に支持され、補助レール53の溝59の中に縦列状態で入っている。従って、溝59の向きに対する保持部材50の向きが定まる。左右の保持部材50の構造は左右対称であるので、
図13(a)~(d)に左側の保持部材50の動きを示し、右側の保持部材50については動きの図示を省略している。
図13(a)~(b)に示すように、2個の補助ローラー52が第一補助直線端部57から第一補助湾曲部55まで移動すると、2個の補助ローラー52が第一扉6から離れるように保持部材50が傾動し、第一扉6が閉塞位置P1から前側へ位置を変えながら右方へ移動する。図(b)~(c)に示すように2個の補助ローラー52が補助レール中間部54を移動すると、第一扉6が第二扉7の前側において開口部2に沿って右方へ移動し、
図13(d)に示すように第一扉6が最開位置P2まで移動する。第一扉6が最開位置P2にあるとき、2個の補助ローラー52を備えている左側の保持部材50は右側の第二扉7の範囲201内に入り込む。図示していないが、第二扉7が最開位置P2にあるとき、右側の保持部材50は左側の第一扉6の範囲201内に入り込む。
【0052】
補助レール53の横断面形状は、補助レール53の長手方向のどの位置でも同じである。補助レール53は、後側の垂直部である内側壁、前側の垂直部である外側壁、及び、上部側の水平部である上側壁を備えている。溝59の中に入っている2個の補助ローラー52は、補助レール53に沿って縦列状態を保ったまま双方向に移動する。2個の補助ローラー52は、補助レール中間部54に存在するとき開口面4に対して等距離を維持する。一方、2個の補助ローラー52は、補助レール端部(55,56,57,58)に存在するとき補助レール中間部54に存在するときよりも開口面4に近くなる。このとき、保持部材50は傾動軸62を中心として傾動する。保持部材50は、スライド扉D0が最開位置P2から閉塞位置P1に向かうとき2個の補助ローラー52がスライド扉D0に近付くように傾動し、スライド扉D0が閉塞位置P1から最開位置P2に向かうとき2個の補助ローラー52がスライド扉D0から離れるように傾動する。
補助レール53及び保持部材50の形状は、左右の支持部材110を案内する支持レール群R0の形状とともに、各スライド扉D0を閉塞位置P1と最開位置P2との間で開口部2に並行する向きに維持するように設計されている。
【0053】
図13の(d)及び
図14に示すように、左側の保持部材50が共通の補助レール53に沿って右側の第二扉7の範囲201内に入り込むと、共通の補助レール20の前側のうち左側の保持部材50が右側の第二扉7の範囲201内に入り込む部分を保護キャップC9で隠すことができない。右側の保持部材50が共通の補助レール53に沿って左側の第一扉6の範囲201内に入り込むと、共通の補助レール53の前側のうち右側の保持部材50が左側の第一扉6の範囲201内に入り込む部分を保護キャップC9で隠すことができない。従って、
図15に示すように、保持部材50が干渉する左右の保護キャップC9間に共通の補助レール53が見えている。補助レール53が縦桟102を跨いでいるので、その分、意匠性が低下し、縦桟102と横桟3とが交差する付近の清掃性が低下する。また、左右のスライド扉D0のいずれか一方の移動域のうち破損部が左右の移動域の共用部分である場合、左右どちらのスライド扉D0も十分な開閉ができなくなる。
本具体例の冷蔵庫は、上述した課題を解決可能である。
【0054】
(4)スライド扉D0の移動操作と案内機構M1の作用:
以下、スライド扉D0の移動操作と案内機構M1の作用を説明する。
スライド扉D0が閉塞位置P1にあるとき、
図6~9及び
図10の(a)に示すように、第一の高さH1の第一ローラー151は水平方向において保持溝G1の閉塞端部G1aに接し、第二の高さH2の第二ローラー152は水平方向において旋回溝G2の閉塞端部G2aに接している。左右の補助レール20及び左右の保持部材120の構造は左右対称であるので、第一扉6を開閉する場合を例として説明する。
【0055】
第二扉7が閉塞位置P1にあるとき、閉塞位置P1にある第一扉6の第一ハンドル11を右方へ引くと、第一扉6は、開口部2aから前側へ位置を変えながら右方へ移動する。このとき、まず、
図10の(b)に示すように、第一ローラー151は保持溝G1の閉塞端部G1aに保持され、第二ローラー152は、旋回溝G2内において閉塞端部G2aから膨出縁部G2bに沿ってスライド扉D0から離れる向きに回転軸AX3を中心として旋回し、左右方向において最開位置P2側へ位置を変える。従って、左側の保持部材121は、第一ローラー151を中心として傾動軸AX1が最開位置P2側へ位置を変える向きに回転するように傾動する。さらに、
図10の(c)に示すように、第一ローラー151が保持溝G1の閉塞端部G1aに保持されたまま、旋回する第二ローラー152は、左右方向において第一ローラー151よりも最開位置P2側へ位置を変える。このときから
図10の(d)に示すように、第二ローラー152が接続端部G3aから位置関係維持溝G3に入り、傾動軸AX1が両ローラー(151,152)よりも最開位置P2側となる。また、第一ローラー151は、保持溝G1内を閉塞端部G1aから接続端部G3aへ円弧状に移動し、第二ローラー152に続いて接続端部G3aから位置関係維持溝G3に入る。第二ローラー152が接続端部G3a近傍において位置関係維持溝G3に沿って最開位置P2側へ移動しながら第一ローラー151が閉塞端部G1aから接続端部G3aへ円弧状に向かうことにより、第一扉6が
図10の(a)に示す閉塞位置P1から
図10の(d)に示す途中位置P3まで移動するときに、保持部材120が第一ローラー151(第一接続部141)を中心として回転するように傾動軸AX1を中心として傾動する。第一扉6と開口部2とは、略平行に保たれる。
【0056】
途中位置P3において、第一ローラー151及び第二ローラー152(接続部140)は、左右方向において傾動軸AX1よりも閉塞位置P1側に変わっている。
図10の(e)~(f)に示すように、両ローラー(151,152)は、左右方向において傾動軸AX1よりも閉塞位置P1側にある状態のまま位置関係維持溝G3に沿って最開位置P2側へ移動する。このように、位置関係維持溝G3は、
図10の(e)~(f)に示す状態で第一扉6が最開位置P2まで到達するように両ローラー(151,152)を案内する。第一扉6と開口部2とは、略平行に保たれる。第一扉6が開くと、左側の開口部2aから所望の食品等の冷蔵対象物を冷蔵室101に収納したり冷蔵室101から取り出したりすることができる。
同様にして第二扉7が開くと、右側の開口部2bから冷蔵対象物を冷蔵室101に収納したり冷蔵室101から取り出したりすることができる。
【0057】
図10の(f)に示すように第一扉6が最開位置P2にあるとき、第一扉6の第一ハンドル11を左方へ引くと、
図10の(e)に示すように第一扉6が左方へ移動し、
図10の(d)に示すように第一扉6が途中位置P3に到達する。両ローラー(151,152)は、左右方向において傾動軸AX1よりも閉塞位置P1側にある状態のまま位置関係維持溝G3に沿って閉塞位置P1側へ移動する。このように、位置関係維持溝G3は、
図10の(f)~(d)に示す状態で第一扉6が途中位置P3へ向かうように両ローラー(151,152)を案内する。第一扉6と開口部2とは、略平行に保たれる。
【0058】
途中位置P3において第一ローラー151が接続端部G3aから保持溝G1に入ると、
図10の(d)~(c)に示すように、第一ローラー151は保持溝G1内を接続端部G3aから閉塞端部G1aへ円弧状に移動する。第二ローラー152は、第一ローラー151から遅れて、閉塞端部G1aから旋回溝G2に入る。第一ローラー151が接続端部G3aから閉塞端部G1aへ円弧状に向かいながら第二ローラー152が位置関係維持溝G3に沿って接続端部G3aへ移動することにより、保持部材120が第一ローラー151(第一接続部141)を中心として回転するように傾動軸AX1を中心として傾動する。さらに、
図10の(c)~(a)に示すように、第一ローラー151は保持溝G1の閉塞端部G1aに保持され、第二ローラー152は、旋回溝G2内において膨出縁部G2bに沿って接続端部G3aから閉塞端部G2aへ回転軸AX3を中心として旋回し、左右方向において閉塞位置P1側へ位置を変える。従って、左側の保持部材121は、第一ローラー151を中心として傾動軸AX1が閉塞位置P1側へ位置を変える向きに回転するように傾動する。
図10の(a)に示すように第二ローラー152が閉塞端部G2aに到達すると、第一扉6が閉塞位置P1となり、第一扉6のパッキン8が開口面4に密着し、左側の開口部2aが閉塞する。第一扉6と開口部2とは、略平行に保たれる。
【0059】
第一扉6と第二扉7を交互に開閉することにより、冷蔵庫の前側においてスライド扉D0が占有するスペースが少なくて済み、厨房等で人がすれ違うスペースを確保し易い。従って、通路が狭い場所でも円滑に冷蔵対象物を冷蔵庫に収納したり取り出したりすることができる。往復移動する間のスライド扉D0が開口部2と略平行のままであるので、スライド扉D0の開閉時に冷蔵庫の前側でスライド扉D0が占有する空間を最小化させることができる。
【0060】
図6に示すように、左右の補助レール20は、それぞれ、左右方向においてスライド扉D0の範囲201内で済む。これにより、左側の保持部材121が補助レールに沿って右側の第二扉7の範囲201内に入り込んだり、右側の保持部材122が補助レールに沿って左側の第一扉6の範囲201内に入り込んだりすることが無くなる。
【0061】
以上より、
図1に示すように、各補助レール20の前側の全体が保護キャップC0で隠され、安全性及び意匠性が向上する。また、左右の補助レール20の間に縦桟102が見える状態であるので、縦桟102と横桟3とが交差する付近の意匠が良好であるうえ、縦桟102と横桟3とが交差する付近を清掃し易い。さらに、左右のスライド扉D0のうち一方の移動域に破損部が生じても、該破損部が他方の移動域に影響しないので、該他方の移動域にあるスライド扉D0を開閉することができる。加えて、トーションばね180によりスライド扉D0と傾動可能な保持部材120とにスライド扉D0が閉じる向きの力が加わるので、スライド扉D0を確実に閉じることができる。
図11~15に示す比較例と比べて保持部材120が傾動する角度が大きくなるので、トーションばね180からスライド扉D0に加わる力が強まり、閉塞位置P1近傍においてスライド扉D0がより閉まり易くなる。
従って、本具体例は、左右のスライド扉D0を別々に保持する左右の保持部材120を案内する補助レール20が左右に分かれた好ましい冷蔵庫を提供することができる。
【0062】
(5)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
上述した具体例では冷蔵庫にスライド扉D0が上下2段に配置されていたが、冷蔵庫には、スライド扉D0が上下1段のみ配置されてもよいし、スライド扉D0が上下3段以上配置されてもよい。
支持レール(9,10)に対して移動可能に支持される支持レール接続部113は、ローラー群が好ましいものの、ローラー群に限定されず、滑り摩擦抵抗の小さい材料等で形成されてもよい。
左右の補助レール20に対して別々に移動可能に接続している接続部140は、ローラー群が好ましいものの、ローラー群に限定されず、滑り摩擦抵抗の小さい材料等で形成されてもよい。
補助レール20の溝G0は、下向きに開口した溝に限定されず、上向きに開口した溝等でもよい。
第一接続部141は、第二接続部142よりも高いことに限定されず、第二接続部142よりも低くてもよい。
【0063】
(6)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、左右のスライド扉D0を別々に保持する左右の保持部材120を案内する補助レール20が左右に分かれた冷蔵庫等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1…本体、1a…水平部、
2,2a,2b…開口部、
3…横桟、4…開口面、5…天面、
6…第一扉(左側のスライド扉)、7…第二扉(右側のスライド扉)、8…パッキン、
9…第一支持レール、9a…第一レール端部、9b…第一レール中間部、
10…第二支持レール、10a…第二レール端部、10b…第二レール中間部、
11…第一ハンドル、12…第二ハンドル、
20,21,22…補助レール(レール)、
30…案内構造、31…支点構造、32…位置関係維持構造、
50…保持部材、51…補助アーム、52…補助ローラー、
53…補助レール、
54…補助レール中間部、55…第一補助湾曲部、56…第二補助湾曲部、
57…第一補助直線端部、58…第二補助直線端部、
59…溝、
62…傾動軸、
101…冷蔵室、102…縦桟、
110,111,112…支持部材、
111a,111b,112a,112b…支持部、
113…支持レール接続部、
114…第一支持レール接続部、115…第二支持レール接続部、
120,121,122…保持部材、120a…先端部、
130…アーム部、
140…接続部、141…第一接続部、142…第二接続部、
151…第一ローラー、152…第二ローラー、
161…第一の水平位置、162…第二の水平位置、
170…基部、171…傾動軸部材、
180…トーションばね、
201…スライド扉の範囲、202…補助レールの範囲、
AX1…傾動軸、AX2…鉛直向きのローラー回転軸、
AX3…鉛直向きの回転軸、
C0,C9…保護キャップ(保護部材)、
D0…スライド扉、
G0…溝、
G1…保持溝、G1a…閉塞端部、
G2…旋回溝、G2a…閉塞端部、G2b…膨出縁部、
G3…位置関係維持溝、G3a…接続端部、G3b…終端部、
H1…第一の高さ、H2…第二の高さ、
L1…線、
M1…案内機構、
OP1…開口、
P1…閉塞位置、P2…最開位置、P3…途中位置、
R0…支持レール群。