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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110785
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】温度制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/06 20060101AFI20240808BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240808BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240808BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20240808BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240808BHJP
   H01M 10/6569 20140101ALI20240808BHJP
   H01M 10/667 20140101ALI20240808BHJP
【FI】
B60K11/06 ZHV
H01M10/625
H01M10/613
H01M10/633
H01M10/6556
H01M10/6569
H01M10/667
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015586
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三松 隼太
(72)【発明者】
【氏名】井上 諭
(72)【発明者】
【氏名】山室 智幸
【テーマコード(参考)】
3D038
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC22
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】バッテリおよびパワーエレクトロニクス装置の温度制御を適切に行う。
【解決手段】温度制御システム1のプロセッサは、外気の温度が、バッテリ10を適正に動作させるために要求される温度範囲であるバッテリ適正温度範囲の下限値であるバッテリ要求下限温度未満の状態において、パワーエレクトロニクス装置12の出力値に基づいて、流路切替部22によるパワエレ優先状態、バッテリ優先状態および滞留状態の切替制御を行うこと、を含む処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるバッテリと、
前記車両に搭載され、高電圧の電力の変換を行うパワーエレクトロニクス装置と、
前記バッテリおよび前記パワーエレクトロニクス装置が配置され、前記バッテリおよび前記パワーエレクトロニクス装置と熱交換を行う空気が流通する空気流路と、
前記車両の室内の空気である内気を取得して前記空気流路に供給する内気吸気流路と、
前記車両の外部の空気である外気を取得して前記空気流路に供給する外気吸気流路と、
前記空気流路と前記内気吸気流路との間の開閉、および、前記空気流路と前記外気吸気流路との間の開閉が可能な吸気開閉部と、
前記空気流路に導入された空気が、前記バッテリおよび前記パワーエレクトロニクス装置のうち先に前記パワーエレクトロニクス装置と熱交換を行うパワエレ優先状態と、前記空気流路に導入された空気が、前記バッテリおよび前記パワーエレクトロニクス装置のうち先に前記バッテリと熱交換を行うバッテリ優先状態と、前記空気流路の内部で空気を滞留させる滞留状態とを切替可能な流路切替部と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記外気の温度が、前記バッテリを適正に動作させるために要求される温度範囲であるバッテリ適正温度範囲の下限値であるバッテリ要求下限温度未満の状態において、前記パワーエレクトロニクス装置の出力値に基づいて、前記流路切替部による前記パワエレ優先状態、前記バッテリ優先状態および前記滞留状態の切替制御を行うこと、
を含む処理を実行する、温度制御システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記外気の温度が前記バッテリ要求下限温度未満の状態において、
前記パワーエレクトロニクス装置の出力値が所定閾値以上である場合、
前記空気流路が前記パワエレ優先状態となるように前記流路切替部を制御すること、
を含む処理を実行する、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記外気の温度が前記バッテリ要求下限温度未満の状態において、
前記内気の温度が、前記バッテリ適正温度範囲内に予め設定された基準温度以上、かつ、前記バッテリ適正温度範囲の上限値であるバッテリ要求上限温度未満であり、前記パワーエレクトロニクス装置の出力値が所定閾値未満である場合、
前記内気と前記外気との混合気を前記空気流路に導入させるように前記吸気開閉部を制御することと、
前記空気流路が前記バッテリ優先状態となるように前記流路切替部を制御することと、
を含む処理を実行する、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記外気の温度が前記バッテリ要求下限温度未満の状態において、
前記内気の温度が前記バッテリ要求下限温度未満であり、前記パワーエレクトロニクス装置の出力値が所定閾値未満である場合、
前記空気流路が前記滞留状態となるように前記流路切替部を制御すること、
を含む処理を実行する、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記外気の温度が前記バッテリ要求下限温度未満の状態において、
前記内気の温度が前記バッテリ要求下限温度未満であり、前記パワーエレクトロニクス装置の出力値が所定閾値以上である場合、
前記内気および前記外気のうち高温側の空気を前記空気流路に導入させるように前記吸気開閉部を制御すること、
前記空気流路が前記パワエレ優先状態となるように前記流路切替部を制御することと、
を含む処理を実行する、請求項1に記載の温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両に搭載される電源装置の温度を制御する技術が開示されている。かかる特許文献1では、電池(バッテリ)温度が閾値より大きい場合に、車速および外気温度から電池パックの冷却能力が算出される。そして、かかる特許文献1では、算出された冷却能力に応じて、車両の室内の空気である内気および車両の外部の空気である外気のいずれにより電池パックを冷却するかが選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-252659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車などの車両には、バッテリの他に、高電圧の電力の変換を行うインバータやDCDCコンバータなどのパワーエレクトロニクス装置も搭載される。パワーエレクトロニクス装置は、動作すると発熱するため、積極的に温度制御を行うことが望まれる。そうすると、バッテリおよびパワーエレクトロニクス装置の両方を適切に温度制御することが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、バッテリおよびパワーエレクトロニクス装置の温度制御を適切に行うことが可能な温度制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る温度制御システムは、
車両に搭載されるバッテリと、
前記車両に搭載され、高電圧の電力の変換を行うパワーエレクトロニクス装置と、
前記バッテリおよび前記パワーエレクトロニクス装置が配置され、前記バッテリおよび前記パワーエレクトロニクス装置と熱交換を行う空気が流通する空気流路と、
前記車両の室内の空気である内気を取得して前記空気流路に供給する内気吸気流路と、
前記車両の外部の空気である外気を取得して前記空気流路に供給する外気吸気流路と、
前記空気流路と前記内気吸気流路との間の開閉、および、前記空気流路と前記外気吸気流路との間の開閉が可能な吸気開閉部と、
前記空気流路に導入された空気が、前記バッテリおよび前記パワーエレクトロニクス装置のうち先に前記パワーエレクトロニクス装置と熱交換を行うパワエレ優先状態と、前記空気流路に導入された空気が、前記バッテリおよび前記パワーエレクトロニクス装置のうち先に前記バッテリと熱交換を行うバッテリ優先状態と、前記空気流路の内部で空気を滞留させる滞留状態とを切替可能な流路切替部と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記外気の温度が、前記バッテリを適正に動作させるために要求される温度範囲であるバッテリ適正温度範囲の下限値であるバッテリ要求下限温度未満の状態において、前記パワーエレクトロニクス装置の出力値に基づいて、前記流路切替部による前記パワエレ優先状態、前記バッテリ優先状態および前記滞留状態の切替制御を行うこと、
を含む処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッテリおよびパワーエレクトロニクス装置の温度制御を適切に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態にかかる温度制御システムが適用される車両の構成を示す概略図である。
図2図2は、吸気開閉部の状態を説明する図である。
図3図3は、流路切替部の状態を説明する図である。
図4図4は、温度範囲の名称の定義を説明する図である。
図5図5は、外気の温度が「ロー」のときの制御を説明する図である。
図6図6は、外気の温度が「ハイ」、「ミドルハイ」、「ミドルロー」のときの制御を説明する図である。
図7図7は、温度制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図8図8は、温度制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図9図9は、温度制御部の動作の流れを説明するフローチャートである。
図10図10は、流路切替部の制御に拘わらず吸気開閉部を個別に制御したときの一例を示すフローチャートである。
図11図11は、吸気開閉部の制御に拘わらず流路切替部を個別に制御したときの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
図1は、本実施形態にかかる温度制御システム1が適用される車両2の構成を示す概略図である。車両2は、例えば、駆動源としてモータを備える電気自動車である。なお、車両2は、駆動源としてモータとエンジンとを備えるハイブリッド電気自動車であってもよい。
【0011】
車両2は、バッテリ10、パワーエレクトロニクス装置12、空気流路14、内気吸気流路16、外気吸気流路18、吸気開閉部20、流路切替部22、内気温度センサ24、外気温度センサ26および制御装置28を備える。
【0012】
バッテリ10は、例えば、リチウムイオン電池などの充放電が可能な2次電池である。バッテリ10は、車両2に搭載され、車両2の高電圧系配線に電力を供給する。
【0013】
バッテリ10には、バッテリ10を適正に動作させるために要求される温度範囲であるバッテリ適正温度範囲がある。バッテリ10は、バッテリ10の温度がこのバッテリ適正温度範囲内に収まるように温度制御を行うことが好ましい。
【0014】
パワーエレクトロニクス装置12は、車両2に搭載され、車両2の高電圧系配線に電気的に接続される。パワーエレクトロニクス装置12は、高電圧の電力の変換を行う装置である。パワーエレクトロニクス装置12は、例えば、高電圧系配線から供給される電力によって走行用のモータを駆動するインバータ、高電圧系配線から低電圧系配線に電力を供給するDCDCコンバータなどである。以後、説明の便宜のため、パワーエレクトロニクス装置12をパワエレと表記する場合がある。
【0015】
パワーエレクトロニクス装置12は、高電圧系配線に接続されることから、電流が流れることで生じる発熱量が多い。発熱による温度上昇を抑制するために、パワーエレクトロニクス装置12の温度制御を積極的に行うことが好ましい。
【0016】
これらを踏まえ、本実施形態の温度制御システム1では、バッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12の温度制御が行われる。
【0017】
バッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12は、空気流路14に配置される。空気流路14は、バッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12と熱交換を行う空気が流通する流路である。より詳細には、空気流路14は、主流路40、共通吸気流路42、第1分岐流路44、第2分岐流路46、第3分岐流路48、第4分岐流路50および排気流路52に区分される。
【0018】
バッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12は、主流路40に配置される。バッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12は、主流路40の長手方向に直列に配置される。したがって、主流路40においてバッテリ10側からパワーエレクトロニクス装置12側に空気が流れると、主流路40を流通する空気は、バッテリ10と先に熱交換することになる。また、主流路40においてパワーエレクトロニクス装置12側からバッテリ10側に空気が流れると、主流路40を流通する空気は、パワーエレクトロニクス装置12と先に熱交換することになる。
【0019】
共通吸気流路42の一方の端部は、第1分岐流路44および第2分岐流路46に連通する第1ノード60となっている。主流路40におけるパワーエレクトロニクス装置12側の端部は、第1分岐流路44および第3分岐流路48に連通する第2ノード62となっている。主流路40におけるバッテリ10側の端部は、第2分岐流路46および第4分岐流路50に連通する第3ノード64となっている。排気流路52の一方の端部は、第3分岐流路48および第4分岐流路50に連通する第4ノード66となっている。
【0020】
つまり、共通吸気流路42は、第1分岐流路44を通じて主流路40に連通するとともに、第2分岐流路46を通じて主流路40に連通する。排気流路52は、第3分岐流路48を通じて主流路40に連通するとともに、第4分岐流路50を通じて主流路40に連通する。
【0021】
共通吸気流路42は、主流路40に対して空気流路14を流通する空気の流れの上流に位置する。排気流路52は、主流路40に対して、空気流路14を流通する空気の流れの下流に位置する。
【0022】
内気吸気流路16は、共通吸気流路42における第1ノード60とは反対側の端部に連通する。内気吸気流路16は、車両2の室内68の空気である内気を取得して空気流路14に供給する。
【0023】
内気吸気流路16における共通吸気流路42とは反対側の端部には、内気取得口70が形成される。内気取得口70は、車両2の室内68に開口している。例えば、内気取得口70は、車両2の後部座席の下部に位置する。なお、内気取得口70は、例示した位置に配置される態様に限らず、内気を適切に取得可能な任意の位置に配置されてもよい。
【0024】
外気吸気流路18は、共通吸気流路42における第1ノード60とは反対側の端部に連通する。外気吸気流路18は、車両2の外部の空気である外気を取得して空気流路14に供給する。
【0025】
外気吸気流路18における共通吸気流路42とは反対側の端部には、外気取得口72が形成される。外気取得口72は、車両2の外部に開口している。例えば、外気取得口72は、車両2の下部の後輪付近に位置する。なお、外気取得口72は、例示した位置に配置される態様に限らず、外気を適切に取得可能な任意の位置に配置されてもよい。また、外気取得口72は、異物の混入を抑制するために、車両2の後方に向かって開口している。なお、外気取得口72の開口方向は、車両2の後方に限らず、車両2の前方などであってもよい。
【0026】
内気吸気流路16および外気吸気流路18が共通吸気流路42に繋がる合流部74において、内気吸気流路16、外気吸気流路18および共通吸気流路42は、例えば、T字状に接続されている。例えば、外気吸気流路18は、共通吸気流路42の長手方向に延びるように接続されており、内気吸気流路16は、共通吸気流路42の長手方向に垂直な方向に延びるように接続されている。なお、内気吸気流路16が共通吸気流路42の長手方向に延びるように接続され、外気吸気流路18が共通吸気流路42の長手方向に垂直な方向に延びるように接続されてもよい。
【0027】
吸気開閉部20は、合流部74に設けられる。吸気開閉部20は、空気流路14と内気吸気流路16との間の開閉、および、空気流路14と外気吸気流路18との間の開閉が可能な構成となっている。
【0028】
より詳細には、吸気開閉部20は、弁体部80およびアクチュエータ82を有する。弁体部80は、例えば、断面がL字状の屈曲した板状に形成される。弁体部80は、内気吸気流路16における共通吸気流路42側の端部と、外気吸気流路18における共通吸気流路42側の端部との間で移動可能に構成されている。アクチュエータ82は、制御装置28の制御の下、弁体部80を駆動する。
【0029】
図2は、吸気開閉部20の状態を説明する図である。吸気開閉部20は、図2(a)、図2(b)、図2(c)および図2(d)で示す4つの状態を切り替えることができる。
【0030】
図2(a)は、内気吸気流路16が開状態であり、かつ、外気吸気流路18が閉状態である内気選択状態を示す。内気選択状態では、図2(a)の一点鎖線の矢印で示すように、内気が空気流路14に導入され、かつ、外気が空気流路14に導入されない。
【0031】
図2(b)は、内気吸気流路16が閉状態であり、かつ、外気吸気流路18が開状態である外気選択状態を示す。外気選択状態では、図2(b)の一点鎖線の矢印で示すように、外気が空気流路14に導入され、かつ、内気が空気流路14に導入されない。
【0032】
図2(c)は、内気吸気流路16が開状態であり、かつ、外気吸気流路18が開状態である混合気選択状態を示す。混合気選択状態では、図2(c)の一点鎖線の矢印で示すように、内気と外気との混合気が空気流路14に導入される。
【0033】
図2(d)は、内気吸気流路16が閉状態であり、かつ、外気吸気流路18が閉状態である遮断選択状態を示す。遮断選択状態では、内気および外気の両方とも空気流路14に導入されない。
【0034】
このように、吸気開閉部20は、1つの弁体部80によって、内気選択状態、外気選択状態、混合気選択状態および遮断選択状態の切り替えが可能となっている。
【0035】
なお、吸気開閉部20は、1つの弁体部80によって4つの状態を切り替える態様に限らず、例えば、内気吸気流路16を開閉する第1弁体部と、外気吸気流路18を開閉する第2弁体部との2つの弁体部を設けることで4つの状態を切り替えるようにしてもよい。
【0036】
また、吸気開閉部20は、遮断選択状態となることなく、内気選択状態、外気選択状態および混合気選択状態の3つの状態を切り替える構成とされてもよい。この場合、弁体部80を断面がI字状の平板状に形成してもよい。
【0037】
図1に戻って説明すると、流路切替部22は、第1ノード60、第2ノード62、第3ノード64および第4ノード66のそれぞれに設けられる。
【0038】
第1ノード60の流路切替部22は、共通吸気流路42と第1分岐流路44との間の開閉、および、共通吸気流路42と第2分岐流路46との間の開閉を排他的に可能な構成となっている。第2ノード62の流路切替部22は、主流路40と第1分岐流路44との間の開閉、および、主流路40と第3分岐流路48との間の開閉を排他的に可能な構成となっている。第3ノード64の流路切替部22は、主流路40と第2分岐流路46との間の開閉、および、主流路40と第4分岐流路50との間の開閉を排他的に可能な構成となっている。第4ノード66の流路切替部22は、排気流路52と第3分岐流路48との間の開閉、および、排気流路52と第4分岐流路50との間の開閉を排他的に可能な構成となっている。
【0039】
より詳細には、流路切替部22は、弁体部90およびアクチュエータ92を有する。弁体部90は、例えば、平板状に形成される。アクチュエータ92は、制御装置28の制御の下、弁体部90を駆動する。
【0040】
図3は、流路切替部22の状態を説明する図である。流路切替部22は、図3(a)、図3(b)、図3(c)で示す3つの状態を切り替えることができる。
【0041】
図3(a)は、空気流路14に導入された空気が、バッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12のうち先にパワーエレクトロニクス装置12と熱交換を行うパワエレ優先状態を示す。
【0042】
パワエレ優先状態において、第1ノード60の流路切替部22は、第1分岐流路44が開状態であり、かつ、第2分岐流路46が閉状態となっている。第2ノード62の流路切替部22は、第1分岐流路44が開状態であり、かつ、第3分岐流路48が閉状態となっている。第3ノード64の流路切替部22は、第2分岐流路46が閉状態であり、かつ、第4分岐流路50が開状態となっている。第4ノード66の流路切替部22は、第3分岐流路48が閉状態であり、かつ、第4分岐流路50が開状態となっている。
【0043】
これにより、パワエレ優先状態では、図3(a)の一点鎖線の矢印で示すように、共通吸気流路42、第1分岐流路44、主流路40、第4分岐流路50、排気流路52の順に空気が流通することで、パワーエレクトロニクス装置12、バッテリ10の順に熱交換が行われる。
【0044】
図3(b)は、空気流路14に導入された空気が、バッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12のうち先にバッテリ10と熱交換を行うバッテリ優先状態を示す。
【0045】
バッテリ優先状態において、第1ノード60の流路切替部22は、第1分岐流路44が閉状態であり、かつ、第2分岐流路46が開状態となっている。第2ノード62の流路切替部22は、第1分岐流路44が閉状態であり、かつ、第3分岐流路48が開状態となっている。第3ノード64の流路切替部22は、第2分岐流路46が開状態であり、かつ、第4分岐流路50が閉状態となっている。第4ノード66の流路切替部22は、第3分岐流路48が開状態であり、かつ、第4分岐流路50が閉状態となっている。
【0046】
これにより、バッテリ優先状態では、図3(b)の一点鎖線の矢印で示すように、共通吸気流路42、第2分岐流路46、主流路40、第3分岐流路48、排気流路52の順に空気が流通することで、バッテリ10、パワーエレクトロニクス装置12の順に熱交換が行われる。
【0047】
図3(c)は、空気流路14の内部で空気を滞留させる滞留状態を示す。滞留状態では、バッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12と熱交換を行う空気の導入が制限される。
【0048】
滞留状態において、第1ノード60の流路切替部22は、第1分岐流路44が閉状態であり、かつ、第2分岐流路46が開状態となっている。第2ノード62の流路切替部22は、第1分岐流路44が開状態であり、かつ、第3分岐流路48が閉状態となっている。第3ノード64の流路切替部22は、第2分岐流路46が閉状態であり、かつ、第4分岐流路50が開状態となっている。第4ノード66の流路切替部22は、第3分岐流路48が開状態であり、かつ、第4分岐流路50が閉状態となっている。
【0049】
これにより、滞留状態では、主流路40が、第1ノード60の流路切替部22および第3ノード64の流路切替部22によって共通吸気流路42から遮断されるとともに、第2ノード62の流路切替部22および第4ノード66の流路切替部22によって排気流路52から遮断される。その結果、滞留状態では、主流路40に空気が導入されず、主流路40の内部で空気が滞留することになる。滞留状態では、例えば、パワーエレクトロニクス装置12の発熱によって、滞留している空気が暖められ、滞留している暖められた空気によってバッテリ10を暖めることができる。
【0050】
なお、滞留状態における第1ノード60、第2ノード62、第3ノード64、および、第4ノード66の流路切替部22は、上記の開閉状態に限らず、主流路40が、第1ノード60の流路切替部22および第2ノード62の流路切替部22によって共通吸気流路42から遮断されるとともに、第3ノード64の流路切替部22および第4ノード66の流路切替部22によって排気流路52から遮断されるように、それぞれの分岐流路を開閉してもよい。
【0051】
このように、流路切替部22は、空気流路14の状態を、パワエレ優先状態、バッテリ優先状態および滞留状態のうちのいずれかの状態に切替可能となっている。
【0052】
図1に戻って説明すると、排気流路52における主流路40とは反対側の端部には、排気口100が形成される。排気口100は、少なくとも車両2の室外に開口している。例えば、排気口100は、車両2のトランクルームに位置する。なお、排気口100は、例示した位置に配置される態様に限らず、空気流路14を流通した空気を車両2の外部に適切に排出可能な任意の位置に配置されてもよい。
【0053】
排気流路52には、ファン102が設けられている。ファン102は、空気流路14内の空気を流動させる。
【0054】
より詳細には、吸気開閉部20が内気選択状態であり、空気流路14がパワエレ優先状態またはバッテリ優先状態のとき、ファン102は、内気取得口70を通じて内気を内気吸気流路16に取り込み、取り込んだ内気を、主流路40を通じて排気流路52に流通させて排気口100から排出させる。これにより、空気流路14を流通する内気によってバッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12の温度が制御される。
【0055】
また、吸気開閉部20が外気選択状態であり、空気流路14がパワエレ優先状態またはバッテリ優先状態のとき、ファン102は、外気取得口72を通じて外気を外気吸気流路18に取り込み、取り込んだ外気を、主流路40を通じて排気流路52に流通させて排気口100から排出させる。これにより、空気流路14を流通する外気によってバッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12の温度が制御される。
【0056】
また、吸気開閉部20が混合気選択状態であり、空気流路14がパワエレ優先状態またはバッテリ優先状態のとき、ファン102は、内気取得口70を通じて内気を取り込むとともに、外気取得口72を通じて外気を取り込む。そして、ファン102は、取り込んだ内気と外気との混合気を、主流路40を通じて排気流路52に流通させて排気口100から排出させる。これにより、空気流路14を流通する混合気によってバッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12の温度が制御される。
【0057】
また、空気流路14が滞留状態のとき、ファン102は停止されてもよい。
【0058】
なお、ファン102は、排気流路52に設けられる態様に限らず、共通吸気流路42に設けられてもよいし、主流路40に設けられてもよい。また、ファン102が省略され、内気および外気の自然な流れによって内気および外気を空気流路14内に取り込む構成としてもよい。
【0059】
内気温度センサ24は、例えば、車両2の室内68における内気取得口70の周囲に配置され、内気の温度を検出する。なお、内気温度センサ24は、内気取得口70の周囲に配置される態様に限らず、車両2の室内68における内気の温度を適切に検出可能な任意の位置に配置されてもよい。
【0060】
外気温度センサ26は、例えば、車両2の外部に露出しており、外気取得口72の周囲に配置され、外気の温度を検出する。なお、外気温度センサ26は、外気取得口72の周囲に配置される態様に限らず、外気の温度を適切に検出可能な任意の位置に配置されてもよい。
【0061】
制御装置28は、通信部110、1つまたは複数のプロセッサ112、プロセッサ112に接続される1つまたは複数のメモリ114を有する。
【0062】
通信部110は、車両2に搭載される各機器および各制御装置と通信を確立する。例えば、制御装置28は、通信部110を通じてとパワーエレクトロニクス装置12と通信を行い、パワーエレクトロニクス装置12から任意の情報を取得することができる。
【0063】
メモリ114は、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAMを含む。プロセッサ112は、メモリ114に含まれるプログラムと協働して、温度制御システム1の動作を実現する温度制御部120として機能する。温度制御部120については後に詳述する。
【0064】
上述のように、バッテリ10は、バッテリ10の温度がバッテリ適正温度範囲内に収まるように温度制御される。これを踏まえ、以下のように温度範囲の名称を定義する。
【0065】
図4は、温度範囲の名称の定義を説明する図である。図4で示すように、温度範囲「ロー」は、バッテリ適正温度範囲の下限値であるバッテリ要求下限温度未満の温度範囲とする。バッテリ要求下限温度は、例えば、10℃に設定されるが、バッテリ10の種類などに応じてた適切な値に設定されてもよい。
【0066】
温度範囲「ミドルロー」は、バッテリ要求下限温度以上であり、かつ、バッテリ要求温度範囲内に予め設定された所定の基準温度未満の温度範囲とする。基準温度は、例えば、20℃に設定されるが、バッテリ10の種類などに応じて適切な値に設定されてもよい。
【0067】
温度範囲「ミドルハイ」は、バッテリ要求温度範囲内に予め設定された所定の基準温度以上であり、かつ、バッテリ適正温度範囲の上限値であるバッテリ要求上限温度未満の温度範囲とする。バッテリ要求上限温度は、例えば、30℃に設定されるが、バッテリ10の種類などに応じて適切な値に設定されてもよい。
【0068】
ここで、バッテリ10は、バッテリ適正温度範囲の中でも、比較的低い温度の方がより性能を発揮し易い。このため、温度範囲「ミドルロー」は、バッテリ適正温度範囲の中でも温度範囲「ミドルハイ」と比べ、よりよい温度範囲である。
【0069】
温度範囲「ハイ」は、バッテリ要求上限温度以上の温度範囲とする。
【0070】
温度制御部120は、外気の温度がバッテリ要求下限温度未満の状態、すなわち、外気の温度が「ロー」の状態において、パワーエレクトロニクス装置12の出力値に基づいて、流路切替部22によるパワエレ優先状態、バッテリ優先状態および滞留状態の切替制御を行う。
【0071】
図5は、外気の温度が「ロー」のときの制御を説明する図である。図5では、外気の温度、内気の温度およびパワーエレクトロニクス装置12の出力値の組み合わせごとに、吸気開閉部20の状態および流路切替部22の状態の対応付けが示されている。なお、図5では、パワーエレクトロニクス装置12の出力値を、パワエレと略記している。
【0072】
パワエレ「高」は、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であることを示す。パワエレ「低」は、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値未満であることを示す。所定閾値は、パワーエレクトロニクス装置12の出力値とパワーエレクトロニクス装置12の発熱量との関係を考慮して、パワーエレクトロニクス装置12における積極的な温度制御が要求されることを特定可能な適切な値に設定される。
【0073】
外気の温度が「ロー」であり、内気の温度が「ハイ」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を外気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。この場合、温度が低い外気によって、発熱量が多くなっているパワーエレクトロニクス装置12が優先的に冷却されることになる。また、この場合、パワーエレクトロニクス装置12との熱交換によって、当該熱交換後の空気は、「ミドルロー」の温度、あるいは「ミドルロー」に近い温度に暖められる。バッテリ10は、パワーエレクトロニクス装置12によって「ミドルロー」の温度、あるいは「ミドルロー」に近い温度に暖められた空気と熱交換することになるため、より適切な温度に制御される。
【0074】
外気の温度が「ロー」であり、内気の温度が「ハイ」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を遮断選択状態に制御し、流路切替部22を滞留状態に制御する。この場合、パワーエレクトロニクス装置12の発熱量が少ないため、パワーエレクトロニクス装置12を積極的に冷却しなくともよい。また、この場合、パワーエレクトロニクス装置12の発熱によって、滞留している空気が暖められ、滞留している暖められた空気によってバッテリ10が暖められることになるため、バッテリ10は、より適切な温度に制御される。
【0075】
外気の温度が「ロー」であり、内気の温度が「ミドルハイ」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を外気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。この場合、温度が低い外気によって、発熱量が多くなっているパワーエレクトロニクス装置12が優先的に冷却されることになる。また、この場合、バッテリ10は、パワーエレクトロニクス装置12によって「ミドルロー」の温度、あるいは「ミドルロー」に近い温度に暖められた空気と熱交換することになるため、より適切な温度に制御される。
【0076】
外気の温度が「ロー」であり、内気の温度が「ミドルハイ」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を混合気選択状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。この場合、パワーエレクトロニクス装置12の発熱量が少ないため、パワーエレクトロニクス装置12を積極的に冷却しなくともよい。また、「ロー」の外気と「ミドルハイ」の内気とが混合されることで、「ミドルロー」の混合気が生成される。このため、この場合、バッテリ10は、「ミドルロー」の混合気と熱交換することになるため、より適切な温度に制御される。
【0077】
外気の温度が「ロー」であり、内気の温度が「ミドルロー」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を外気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。この場合、温度が低い外気によって、発熱量が多くなっているパワーエレクトロニクス装置12が優先的に冷却されることになる。また、この場合、バッテリ10は、パワーエレクトロニクス装置12によって「ミドルロー」の温度、あるいは「ミドルロー」に近い温度に暖められた空気と熱交換することになるため、より適切な温度に制御される。
【0078】
外気の温度が「ロー」であり、内気の温度が「ミドルロー」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を内気選択状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。この場合、パワーエレクトロニクス装置12の発熱量が少ないため、パワーエレクトロニクス装置12を積極的に冷却しなくともよい。また、この場合、バッテリ10は、「ミドルロー」の内気と熱交換することになるため、より適切な温度に制御される。
【0079】
外気の温度が「ロー」であり、内気の温度が「ロー」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を、外気と内気とのうち高温側の空気を空気流路14に導入させる状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。この場合、外気および内気がともに「ロー」であることから、外気と内気とのうち高温側の空気であっても温度が低くなっている。これにより、温度が低い空気によって、発熱量が多くなっているパワーエレクトロニクス装置12が優先的に冷却されることになる。また、バッテリ10は、パワーエレクトロニクス装置12によって「ミドルロー」の温度、あるいは「ミドルロー」に近い温度に暖められた空気と熱交換することになるため、より適切な温度に制御される。この際、外気と内気とのうち高温側の空気を空気流路14に導入させることで、パワーエレクトロニクス装置12との熱交換後の空気を、より確実に「ミドルロー」の温度、あるいは「ミドルロー」に近い温度にさせることができる。
【0080】
外気の温度が「ロー」であり、内気の温度が「ロー」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を遮断選択状態に制御し、流路切替部22を滞留状態に制御する。この場合、パワーエレクトロニクス装置12の発熱量が少ないため、パワーエレクトロニクス装置12を積極的に冷却しなくともよい。また、この場合、パワーエレクトロニクス装置12の発熱によって、滞留している空気が暖められ、滞留している暖められた空気によってバッテリ10を暖めることができるため、バッテリ10は、より適切な温度に制御される。
【0081】
このように、温度制御部120は、外気の温度が「ロー」の状態において、パワエレが「高」である場合、空気流路14がパワエレ優先状態となるように流路切替部22を制御する。
【0082】
図6は、外気の温度が「ハイ」、「ミドルハイ」、「ミドルロー」のときの制御を説明する図である。図6では、外気の温度、内気の温度、およびパワーエレクトロニクス装置12の出力値の組み合わせごとに、吸気開閉部20および流路切替部22の状態の対応付けが示されている。なお、図6では、パワーエレクトロニクス装置12の出力値を、パワエレと略記している。
【0083】
外気の温度が「ハイ」であり、内気の温度が「ハイ」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を、外気と内気とのうち低温側の空気を空気流路14に導入させる状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0084】
外気の温度が「ハイ」であり、内気の温度が「ハイ」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を、外気と内気とのうち低温側の空気を空気流路14に導入させる状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。
【0085】
外気の温度が「ハイ」であり、内気の温度が「ミドルハイ」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を内気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0086】
外気の温度が「ハイ」であり、内気の温度が「ミドルハイ」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を内気選択状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。
【0087】
外気の温度が「ハイ」であり、内気の温度が「ミドルロー」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を内気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0088】
外気の温度が「ハイ」であり、内気の温度が「ミドルロー」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を内気選択状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。
【0089】
外気の温度が「ハイ」であり、内気の温度が「ロー」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を内気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0090】
外気の温度が「ハイ」であり、内気の温度が「ロー」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を遮断選択状態に制御し、流路切替部22を滞留状態に制御する。
【0091】
外気の温度が「ミドルハイ」であり、内気の温度が「ハイ」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を外気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0092】
外気の温度が「ミドルハイ」であり、内気の温度が「ハイ」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を外気選択状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。
【0093】
外気の温度が「ミドルハイ」であり、内気の温度が「ミドルハイ」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を、外気と内気とのうち低温側の空気を空気流路14に導入させる状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0094】
外気の温度が「ミドルハイ」であり、内気の温度が「ミドルハイ」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を、外気と内気とのうち低温側の空気を空気流路14に導入させる状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。
【0095】
外気の温度が「ミドルハイ」であり、内気の温度が「ミドルロー」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を内気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0096】
外気の温度が「ミドルハイ」であり、内気の温度が「ミドルロー」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を内気選択状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。
【0097】
外気の温度が「ミドルハイ」であり、内気の温度が「ロー」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を内気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0098】
外気の温度が「ミドルハイ」であり、内気の温度が「ロー」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を混合気選択状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。
【0099】
外気の温度が「ミドルロー」であり、内気の温度が「ハイ」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を外気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0100】
外気の温度が「ミドルロー」であり、内気の温度が「ハイ」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を外気選択状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。
【0101】
外気の温度が「ミドルロー」であり、内気の温度が「ミドルハイ」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を外気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0102】
外気の温度が「ミドルロー」であり、内気の温度が「ミドルハイ」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を外気選択状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。
【0103】
外気の温度が「ミドルロー」であり、内気の温度が「ミドルロー」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を、外気と内気とのうち低温側の空気を空気流路14に導入させる状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0104】
外気の温度が「ミドルロー」であり、内気の温度が「ミドルロー」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を、外気と内気とのうち低温側の空気を空気流路14に導入させる状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。
【0105】
外気の温度が「ミドルロー」であり、内気の温度が「ロー」であり、パワエレが「高」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を内気選択状態に制御し、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する。
【0106】
外気の温度が「ミドルロー」であり、内気の温度が「ロー」であり、パワエレが「低」である場合、温度制御部120は、吸気開閉部20を外気選択状態に制御し、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する。
【0107】
図7図8および図9は、温度制御部120の動作の流れを説明するフローチャートである。図7の「A」は図8の「A」に繋がる。図8の「B」は図9の「B」に繋がる。温度制御部120は、所定時間間隔で訪れる所定の割込みタイミングが到来するごとに図7図9の一連の処理を繰り返し実行する。所定時間間隔は、例えば、1秒などに設定されるが、バッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12の温度変化の速さを考慮して任意の時間に設定されてもよい。なお、図7図9において、パワーエレクトロニクス装置12の出力値を、パワエレ出力値と略記している。
【0108】
図7で示すように、所定の割込みタイミングが到来すると、温度制御部120は、外気温度センサ26により検出された外気の温度を取得し、外気の温度がバッテリ要求下限温度より低いかを判定する(S10)。
【0109】
外気の温度がバッテリ要求下限温度以上であると判定した場合(S10におけるNO)、温度制御部120は、外気の温度がバッテリ要求下限温度以上のときの温度制御を行い(S11)、一連の処理を終了する。ステップS11の具体的な処理の流れについては、便宜のため説明を省略するが、ステップS11では、図6で示す制御パターンを実現する制御が行われる。
【0110】
外気の温度がバッテリ要求下限温度未満であると判定した場合(S10におけるYES)、温度制御部120は、ステップS20以降の処理を行う。ステップS20以降の処理は、図5で示す制御パターンを実現するものである。
【0111】
ステップS20において、温度制御部120は、内気温度センサ24により検出された内気の温度を取得し、内気の温度がバッテリ要求下限温度より低いかを判定する(S20)。
【0112】
内気の温度がバッテリ要求下限温度未満であると判定した場合(S20におけるYES)、温度制御部120は、パワーエレクトロニクス装置12の出力値を取得し、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であるかを判定する(S21)。
【0113】
パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であると判定した場合(S21におけるYES)、温度制御部120は、外気の温度が内気の温度以上であるかを判定する(S22)。
【0114】
外気の温度が内気の温度以上であると判定した場合(S22におけるYES)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、内気吸気流路16が閉状態であり、外気吸気流路18が開状態である外気選択状態に制御する(S23)。そして、温度制御部120は、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御し(S24)、一連の処理を終了する。
【0115】
外気の温度が内気の温度未満であると判定した場合(S22におけるNO)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、内気吸気流路16が開状態であり、外気吸気流路18が閉状態である内気選択状態に制御する(S25)。そして、温度制御部120は、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御し(S24)、一連の処理を終了する。
【0116】
また、ステップS21において、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値未満と判定した場合(S21における)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、内気吸気流路16が閉状態であり、外気吸気流路18が閉状態である遮断選択状態に制御する(S26)。そして、温度制御部120は、流路切替部22を滞留状態に制御し(S27)、一連の処理を終了する。
【0117】
また、ステップS20において、内気の温度がバッテリ要求下限温度以上であると判定した場合(S20におけるNO)、図7の「A」から図8の「A」に進み、温度制御部120は、内気の温度が基準温度未満であるかを判定する(S30)。
【0118】
内気の温度が基準温度未満であると判定した場合(S30におけるYES)、温度制御部120は、パワーエレクトロニクス装置12の出力値を取得し、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であるかを判定する(S31)。
【0119】
パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であると判定した場合(S31におけるYES)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、内気吸気流路16が閉状態であり、外気吸気流路18が開状態である外気選択状態に制御する(S32)。そして、温度制御部120は、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御し(S33)、一連の処理を終了する。
【0120】
また、ステップS31において、パワーエレクトロニクス装置の出力値が所定閾値未満であると判定した場合(S31におけるNO)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、内気吸気流路16が開状態であり、外気吸気流路18が閉状態である内気選択状態に制御する(S34)。そして、温度制御部120は、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御し、一連の処理を終了する。
【0121】
また、ステップS30において、内気の温度が基準温度以上であると判定した場合(S30におけるNO)、図8の「B」から図9の「B」に進み、温度制御部120は、内気の温度がバッテリ要求上限温度未満であるかを判定する(S40)。
【0122】
内気の温度がバッテリ要求上限温度未満であると判定した場合(S40におけるYES)、温度制御部120は、パワーエレクトロニクス装置12の出力値を取得し、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であるかを判定する(S41)。
【0123】
パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であると判定した場合(S41におけるYES)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、内気吸気流路16が閉状態であり、外気吸気流路18が開状態である外気選択状態に制御する(S42)。そして、温度制御部120は、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御し(S43)、一連の処理を終了する。
【0124】
また、ステップS41において、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値未満であると判定した場合(S41におけるNO)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、内気吸気流路16が開状態であり、外気吸気流路18が開状態である混合気選択状態に制御する(S44)。そして、温度制御部120は、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御し(S45)、一連の処理を終了する。
【0125】
また、ステップS40において、内気の温度がバッテリ要求上限温度以上であると判定した場合(S40におけるNO)、温度制御部120は、パワーエレクトロニクス装置12の出力値を取得し、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であるかを判定する(S50)。
【0126】
パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であると判定した場合(S50におけるYES)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、内気吸気流路16が閉状態であり、外気吸気流路18が開状態である外気選択状態に制御する(S51)。そして、温度制御部120は、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御し(S52)、一連の処理を終了する。
【0127】
また、ステップS50において、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値未満であると判定した場合(S50におけるNO)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、内気吸気流路16が閉状態であり、外気吸気流路18が閉状態である遮断選択状態に制御する(S53)。そして、温度制御部120は、流路切替部22を滞留状態に制御し(S54)、一連の処理を終了する。
【0128】
なお、上記フローチャートにおいて、流路切替部22が滞留状態に制御される場合、吸気開閉部20が遮断選択状態に制御されていた。しかし、吸気開閉部20を遮断選択状態にさせなくとも、流路切替部22のみで滞留状態を実現することができるため、流路切替部22が滞留状態に制御される場合には、吸気開閉部20が任意の状態とされてもよい。
【0129】
また、上記フローチャートでは、吸気開閉部20の制御と流路切替部22の制御とが纏めて行われていた。しかし、吸気開閉部20の制御および流路切替部22の制御は、各々独立して行われてもよい。
【0130】
図10は、流路切替部22の制御に拘わらず吸気開閉部20を個別に制御したときの一例を示すフローチャートである。以下では、図10を参照して、吸気開閉部20の制御の規則性について説明する。
【0131】
温度制御部120は、パワーエレクトロニクス装置12の出力値を取得し、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であるかを判定する(S60)。
【0132】
パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値未満であると判定した場合(S60におけるNO)、温度制御部120は、外気の温度と内気の温度との組み合わせが、3つのイレギュラー状態のいずれであるか否かを判定する(S61)。3つのイレギュラー状態とは、外気の温度が「ロー」であり、かつ、内気の温度が「ロー」である状態、外気の温度が「ハイ」であり、かつ、内気の温度が「ロー」である状態、外気の温度が「ロー」であり、かつ、内気の温度が「ハイ」である状態のことである。
【0133】
3つのイレギュラー状態のいずれかであると判定した場合(S61におけるYES)、温度制御部120は、吸気開閉部20を遮断選択状態に制御する(S62)。すなわち、パワエレが「低」であり、かつ、外気の温度と内気の温度との組み合わせが、外気「ロー」内気「ロー」、外気「ハイ」内気「ロー」、外気「ロー」内気「ハイ」のいずれかである場合、吸気開閉部20が遮断選択状態に制御される。
【0134】
3つのイレギュラー状態のいずれでもないと判定した場合(S61におけるNO)、温度制御部120は、外気の温度と内気の温度との組み合わせが、2つの特殊状態のいずれであるか否かを判定する(S63)。2つの特殊状態とは、外気の温度が「ロー」であり、かつ、内気の温度が「ミドルハイ」である状態、外気の温度が「ミドルハイ」であり、かつ、内気の温度が「ロー」である状態のことである。
【0135】
2つの特殊状態のいずれかであると判定した場合(S63におけるYES)、温度制御部120は、吸気開閉部20を混合気選択状態に制御する(S64)。すなわち、パワエレが「低」であり、かつ、外気「ロー」内気「ミドルハイ」または外気「ミドルハイ」内気「ロー」である場合、吸気開閉部20が混合気選択状態に制御される。
【0136】
パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であると判定した場合(S60におけるYES)、温度制御部120は、外気の温度範囲と内気の温度範囲とが同じであるか否かを判定する(S65)。また、2つの特殊状態のいずれかではないと判定した場合(S63におけるNO)、温度制御部120は、外気の温度範囲と内気の温度範囲とが同じであるか否かを判定する(S65)。
【0137】
外気の温度範囲と内気の温度範囲とが同じであるとは、外気の温度が「ロー」であり、かつ、内気の温度が「ロー」である状態、外気の温度が「ハイ」であり、かつ、内気の温度が「ハイ」である状態、外気の温度が「ミドルハイ」であり、かつ、内気の温度が「ミドルハイ」である状態、外気の温度が「ミドルロー」であり、かつ、内気の温度が「ミドルロー」である状態のいずれかであるということである。
【0138】
外気の温度範囲と内気の温度範囲とが同じではないと判定した場合(S65におけるNO)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、外気および内気のうち低温側の空気を空気流路14に導入させる状態に制御する(S66)。すなわち、パワエレが「高」であり、かつ、外気の温度範囲と内気の温度範囲とが同じではない場合、外気および内気のうち低温側を空気流路14に導入させるように吸気開閉部20が制御される。また、パワエレが「低」であり、3つのイレギュラー状態ではなく、2つの特殊状態ではなく、かつ、外気の温度範囲と内気の温度範囲とが同じではない場合も、外気および内気のうち低温側を空気流路14に導入させるように吸気開閉部20が制御される。
【0139】
外気の温度範囲と内気の温度範囲とが同じであると判定した場合(S65におけるYES)、温度制御部120は、外気の温度が「ロー」であり、かつ、内気の温度が「ロー」であるか否かを判定する(S67)。
【0140】
外気の温度が「ロー」であり、かつ、内気の温度が「ロー」であると判定した場合(S67におけるYES)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、外気および内気のうち高温側の空気を空気流路に導入させる状態に制御する(S68)。すなわち、パワエレが「高」であり、かつ、外気「ロー」内気「ロー」の場合、外気および内気のうち高温側を空気流路14に導入させるように吸気開閉部20が制御される。また、パワエレが「低」であり、3つのイレギュラー状態ではなく、2つの特殊状態ではなく、かつ、外気「ロー」内気「ロー」の場合も、外気および内気のうち高温側を空気流路14に導入させるように吸気開閉部20が制御される。
【0141】
外気の温度が「ロー」であり、かつ、内気の温度が「ロー」ではないと判定した場合(S67におけるNO)、温度制御部120は、吸気開閉部20を、外気および内気のうち低温側の空気を空気流路14に導入させる状態に制御する(S69)。すなわち、パワエレが「高」であり、かつ、外気「ハイ」内気「ハイ」、外気「ミドルハイ」内気「ミドルハイ」、外気「ミドルロー」内気「ミドルロー」のいずれかである場合、外気および内気のうち低温側の空気を空気流路14に導入させるように吸気開閉部20が制御される。
【0142】
図11は、吸気開閉部20の制御に拘わらず流路切替部22を個別に制御したときの一例を示すフローチャートである。以下では、図11を参照して、流路切替部22の制御の規則性について説明する。
【0143】
温度制御部120は、パワーエレクトロニクス装置12の出力値を取得し、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であるかを判定する(S70)。
【0144】
パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上であると判定した場合(S70におけるYES)、温度制御部120は、流路切替部22をパワエレ優先状態に制御する(S71)。すなわち、パワエレが「高」であれば、外気の温度および内気の温度に拘わらず、流路切替部22がパワエレ優先状態に制御される。
【0145】
パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値未満であると判定した場合(S70におけるNO)、温度制御部120は、外気の温度および内気の温度を取得し、外気の温度と内気の温度との組み合わせが、上述の3つのイレギュラー状態のいずれかであるか否かを判定する(S72)。
【0146】
3つのイレギュラー状態のいずれでもないと判定した場合(S72におけるNO)、温度制御部120は、流路切替部22をバッテリ優先状態に制御する(S73)。すなわち、パワエレが「低」であり、かつ、外気の温度と内気の温度との組み合わせが、外気「ロー」内気「ロー」、外気「ハイ」内気「ロー」、外気「ロー」内気「ハイ」のいずれかではない場合、流路切替部22がバッテリ優先状態に制御される。
【0147】
3つのイレギュラー状態のいずれかであると判定した場合(S72におけるYES)、温度制御部120は、流路切替部22を滞留状態に制御する(S74)。すなわち、パワエレが「低」であり、かつ、外気の温度と内気の温度との組み合わせが、外気「ロー」内気「ロー」、外気「ハイ」内気「ロー」、外気「ロー」内気「ハイ」のいずれかである場合、流路切替部22が滞留状態に制御される。
【0148】
以上のように、本実施形態の温度制御システム1では、外気の温度が「ロー」の状態において、パワーエレクトロニクス装置12の出力値に基づいて、流路切替部22によるパワエレ優先状態、バッテリ優先状態、滞留状態の切替制御が行われる。
【0149】
より詳細には、本実施形態の温度制御システム1では、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値以上である場合、空気流路14がパワエレ優先状態となるように流路切替部22が制御される。
【0150】
これにより、本実施形態の温度制御システム1では、パワーエレクトロニクス装置12の発熱量が多いときにパワーエレクトロニクス装置12を優先的に温度制御することができる。また、本実施形態の温度制御システム1では、パワーエレクトロニクス装置12の発熱量が多くないときにパワーエレクトロニクス装置12よりもバッテリ10を優先的に温度制御することができる。
【0151】
したがって、本実施形態の温度制御システム1によれば、バッテリ10およびパワーエレクトロニクス装置12の温度制御を適切に行うことが可能となる。
【0152】
また、本実施形態の温度制御システム1では、外気の温度が「ロー」の状態において、内気の温度が「ミドルハイ」であり、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値未満である場合、内気と外気との混合気を空気流路14に導入させるように吸気開閉部20が制御され、空気流路14がバッテリ優先状態となるように流路切替部22が制御される。
【0153】
これにより、本実施形態の温度制御システム1では、「ミドルハイ」の内気と「ロー」の外気とが混合されることで「ミドルロー」の混合気を生成することができ、「ミドルロー」の混合気によってバッテリ10の温度制御を行うことができる。その結果、本実施形態の温度制御システム1では、特に、バッテリ10の温度をより適切な温度に制御することができる。
【0154】
また、本実施形態の温度制御システム1では、外気の温度が「ロー」の状態において、内気の温度が「ロー」であり、パワーエレクトロニクス装置12の出力値が所定閾値未満である場合、空気流路14が滞留状態となるように流路切替部22が制御される。
【0155】
空気流路14が滞留状態とされると、空気流路14内で滞留している空気は、パワーエレクトロニクス装置12の発熱によって徐々に暖められる。本実施形態の温度制御システム1では、このようにして暖められた空気によってバッテリ10が暖められる。その結果、本実施形態の温度制御システム1では、内気および外気の温度が比較的低い状態であっても、パワーエレクトロニクス装置12の過度な冷却を行うことなく、バッテリ10の温度をより適切な温度に制御することができる。
【0156】
また、本実施形態の温度制御システム1では、外気の温度が「ロー」の状態において、内気の温度が「ロー」であり、パワーエレクトロニクス装置12の出力が所定閾値以上である場合、内気および外気のうち高温側の空気を空気流路14に導入させるように吸気開閉部20が制御され、空気流路14がパワエレ優先状態となるように流路切替部22が制御される。
【0157】
この場合、内気および外気の両方とも温度が低くなっていることから、内気および外気のうち高温側の空気を空気流路14に導入させたとしても、空気流路14には、温度が低い空気が導入されることになる。これにより、本実施形態の温度制御システム1では、発熱量が多くなっているパワーエレクトロニクス装置12を、温度が低い空気によって冷却することができる。
【0158】
また、この場合、内気および外気のうち高温側の空気が、パワーエレクトロニクス装置12と熱交換されることから、パワーエレクトロニクス装置12との熱交換後の空気の温度を、「ミドルロー」あるいは「ミドルロー」に近い温度にすることができる。これにより、本実施形態の温度制御システム1では、「ミドルロー」あるいは「ミドルロー」に近くなった空気によってバッテリ10の温度制御を行うことができる。その結果、本実施形態の温度制御システム1では、パワーエレクトロニクス装置12を適切に冷却しつつ、バッテリ10をより適切な温度で温度制御を行うことができる。
【0159】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0160】
1 温度制御システム
2 車両
10 バッテリ
12 パワーエレクトロニクス装置
14 空気流路
16 内気吸気流路
18 外気吸気流路
20 吸気開閉部
22 流路切替部
28 制御装置
112 プロセッサ
114 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11