(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110790
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
F25B 13/00 20060101AFI20240808BHJP
F16K 11/06 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
F25B13/00 S
F16K11/06 Z
F25B13/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015592
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 康太
(72)【発明者】
【氏名】大槻 赳之
(72)【発明者】
【氏名】上村 幸男
(72)【発明者】
【氏名】後藤 良寛
【テーマコード(参考)】
3H067
3L092
【Fターム(参考)】
3H067AA14
3H067CC32
3H067DD02
3H067DD12
3H067EA05
3H067EA07
3H067EC03
3H067FF12
3H067FF17
3H067GG23
3H067GG24
3L092BA08
3L092BA21
3L092BA23
3L092BA26
(57)【要約】
【課題】減圧部内での冷媒流れの向きを反転させず且つ貯液部内での冷媒流れの向きも反転させずに、空調対象空間へ送られる空気の加熱と冷却とを切り替えることが可能な空調装置を提供する。
【解決手段】第1流通状態の冷媒回路11では、圧縮機12の第2接続口122から吐出された冷媒は、室外熱交換器24、減圧部30、室内熱交換器20の順に流れてから、圧縮機12へ戻る。そして、第2流通状態の冷媒回路11では、圧縮機12の第1接続口121から吐出された冷媒は、室内熱交換器20、減圧部30、室外熱交換器24の順に流れてから、圧縮機12へ戻る。そして、切替弁34は、第1、第2流通状態の何れでも減圧部30内では減圧部入口301から減圧部出口302へ冷媒を流通させ且つレシーバ40内では貯液部入口401から貯液部出口402へ冷媒を流通させるように、冷媒回路11での冷媒の流通経路を切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象空間(80)に空調風を送る空調装置であって、
冷媒を圧縮してから吐出する圧縮機(12)と、
減圧部入口(301)と減圧部出口(302)とを有し、前記減圧部入口から流入した冷媒を減圧し、該減圧した冷媒を前記減圧部出口から流出させる減圧部(30)と、
前記空調対象空間へ送られる空気と冷媒とを熱交換させる室内熱交換器(20)と、
前記空調対象空間外へ送られる空気と冷媒とを熱交換させる室外熱交換器(24)と、
冷媒が流入する貯液部入口(401、441)と冷媒が流出する貯液部出口(402、442)とを有し、前記貯液部入口から前記貯液部出口へ流れる冷媒のうち液相冷媒を溜める貯液部(40、44)と、
経路切替部(34、36)とを備え、
前記圧縮機と前記減圧部と前記室内熱交換器と前記室外熱交換器と前記貯液部と前記経路切替部は、冷媒が循環する冷媒回路(11)を構成し、
該冷媒回路は、前記圧縮機から吐出された冷媒が前記室外熱交換器、前記減圧部、前記室内熱交換器の順に流れてから前記圧縮機へ戻る第1流通状態と、前記圧縮機から吐出された冷媒が前記室内熱交換器、前記減圧部、前記室外熱交換器の順に流れてから前記圧縮機へ戻る第2流通状態との何れかに切り替えられ、
前記経路切替部は、前記第1流通状態と前記第2流通状態との何れでも前記減圧部内では前記減圧部入口から前記減圧部出口へ冷媒を流通させ且つ前記貯液部内では前記貯液部入口から前記貯液部出口へ冷媒を流通させるように、前記冷媒回路での冷媒の流通経路を切り替える、空調装置。
【請求項2】
前記貯液部出口(402)は前記減圧部入口に接続され、
前記貯液部入口(401)と前記減圧部出口はそれぞれ前記経路切替部(34)に接続され、
前記室内熱交換器は、前記冷媒回路での前記圧縮機側とは反対側に設けられ前記経路切替部に接続される減圧部側室内接続口(201)を有し、
前記室外熱交換器は、前記冷媒回路での前記圧縮機側とは反対側に設けられ前記経路切替部に接続される減圧部側室外接続口(241)を有し、
前記経路切替部は、前記減圧部側室外接続口を前記貯液部入口へ連通させる一方で前記減圧部出口から遮断し且つ前記減圧部側室内接続口を前記減圧部出口へ連通させる一方で前記貯液部入口から遮断する第1連通状態と、前記減圧部側室外接続口を前記減圧部出口へ連通させる一方で前記貯液部入口から遮断し且つ前記減圧部側室内接続口を前記貯液部入口へ連通させる一方で前記減圧部出口から遮断する第2連通状態とに切替可能に構成され、
前記経路切替部は、前記冷媒回路が前記第1流通状態とされる場合には前記第1連通状態にされ、前記冷媒回路が前記第2流通状態とされる場合には前記第2連通状態にされる、請求項1に記載の空調装置。
【請求項3】
前記減圧部と前記経路切替部は一体構成になっている、請求項2に記載の空調装置。
【請求項4】
前記減圧部と前記貯液部(40)は一体構成になっている、請求項2に記載の空調装置。
【請求項5】
前記圧縮機は、
前記室内熱交換器に接続される第1接続口(121)と前記室外熱交換器に接続される第2接続口(122)とを有し、
前記第1接続口から吸い込んだ冷媒を圧縮し該圧縮した冷媒を前記第2接続口から吐出する第1駆動状態と、前記第2接続口から吸い込んだ冷媒を圧縮し該圧縮した冷媒を前記第1接続口から吐出する第2駆動状態とに切替可能に構成され、
前記冷媒回路は、前記圧縮機が前記第1駆動状態とされることにより前記第1流通状態になり、前記圧縮機が前記第2駆動状態とされることにより前記第2流通状態になる、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の空調装置。
【請求項6】
切替弁(36)を備え、
前記圧縮機は、前記切替弁に対しそれぞれ接続される吸込口(123)と吐出口(124)とを有し、前記吸込口から吸い込んだ冷媒を圧縮し該圧縮した冷媒を前記吐出口から吐出し、
前記室内熱交換器は、前記冷媒回路での前記圧縮機側に設けられ前記切替弁に接続される圧縮機側室内接続口(202)を有し、
前記室外熱交換器は、前記冷媒回路での前記圧縮機側に設けられ前記切替弁に接続される圧縮機側室外接続口(242)を有し、
前記切替弁は、前記吸込口を前記圧縮機側室内接続口へ連通させる一方で前記圧縮機側室外接続口から遮断し且つ前記吐出口を前記圧縮機側室外接続口へ連通させる一方で前記圧縮機側室内接続口から遮断する第1切替状態と、前記吸込口を前記圧縮機側室外接続口へ連通させる一方で前記圧縮機側室内接続口から遮断し且つ前記吐出口を前記圧縮機側室内接続口へ連通させる一方で前記圧縮機側室外接続口から遮断する第2切替状態とに切替可能に構成され、
前記冷媒回路は、前記切替弁が前記第1切替状態とされることにより前記第1流通状態になり、前記切替弁が前記第2切替状態とされることにより前記第2流通状態になる、請求項2ないし4のいずれか1つに記載の空調装置。
【請求項7】
前記経路切替部および前記切替弁は、前記経路切替部における前記第1連通状態と前記第2連通状態との切替え動作と、前記切替弁における前記第1切替状態と前記第2切替状態との切替え動作とが機械的に連動するように構成されている、請求項6に記載の空調装置。
【請求項8】
前記経路切替部は第1切替弁(34)と第2切替弁(36)とを有し、
前記圧縮機は、前記貯液部出口(442)に接続される吸込口(123)と前記第2切替弁に接続される吐出口(124)とを有し、前記吸込口から吸い込んだ冷媒を圧縮し該圧縮した冷媒を前記吐出口から吐出し、
前記貯液部入口(441)は前記第2切替弁に接続され、
前記室内熱交換器は、前記冷媒回路での前記圧縮機側とは反対側に設けられ前記第1切替弁に接続される減圧部側室内接続口(201)と、前記冷媒回路での前記圧縮機側に設けられ前記第2切替弁に接続される圧縮機側室内接続口(202)とを有し、
前記室外熱交換器は、前記冷媒回路での前記圧縮機側とは反対側に設けられ前記第1切替弁に接続される減圧部側室外接続口(241)と、前記冷媒回路での前記圧縮機側に設けられ前記第2切替弁に接続される圧縮機側室外接続口(242)とを有し、
前記減圧部入口と前記減圧部出口はそれぞれ前記第1切替弁に接続され、
前記第1切替弁は、前記減圧部側室外接続口を前記減圧部入口へ連通させる一方で前記減圧部出口から遮断し且つ前記減圧部側室内接続口を前記減圧部出口へ連通させる一方で前記減圧部入口から遮断する第1連通状態と、前記減圧部側室外接続口を前記減圧部出口へ連通させる一方で前記減圧部入口から遮断し且つ前記減圧部側室内接続口を前記減圧部入口へ連通させる一方で前記減圧部出口から遮断する第2連通状態とに切替可能に構成され、
前記第2切替弁は、前記貯液部入口を前記圧縮機側室内接続口へ連通させる一方で前記圧縮機側室外接続口から遮断し且つ前記吐出口を前記圧縮機側室外接続口へ連通させる一方で前記圧縮機側室内接続口から遮断する第1切替状態と、前記貯液部入口を前記圧縮機側室外接続口へ連通させる一方で前記圧縮機側室内接続口から遮断し且つ前記吐出口を前記圧縮機側室内接続口へ連通させる一方で前記圧縮機側室外接続口から遮断する第2切替状態とに切替可能に構成され、
前記第1切替弁は、前記第2切替弁が前記第1切替状態とされる場合には前記第1連通状態にされ、前記第2切替弁が前記第2切替状態とされる場合には前記第2連通状態にされ、
前記冷媒回路は、前記第2切替弁が前記第1切替状態とされることにより前記第1流通状態になり、前記第2切替弁が前記第2切替状態とされることにより前記第2流通状態になる、請求項1に記載の空調装置。
【請求項9】
前記減圧部と前記第1切替弁は一体構成になっている、請求項8に記載の空調装置。
【請求項10】
前記第1切替弁および前記第2切替弁は、前記第1切替弁における前記第1連通状態と前記第2連通状態との切替え動作と、前記第2切替弁における前記第1切替状態と前記第2切替状態との切替え動作とが機械的に連動するように構成されている、請求項8または9に記載の空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷房運転と暖房運転とを切替可能な空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の空調装置として、例えば特許文献1に記載された空調装置が従来から知られている。この特許文献1に記載された空調装置は、圧縮機と室外熱交換器と減圧装置と室内熱交換器とを備えている。その圧縮機と室外熱交換器と減圧装置と室内熱交換器は、冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成し、圧縮機、室外熱交換器、減圧装置、室内熱交換器の順番で環状に接続されている。
【0003】
この空調装置の圧縮機は、回転動作する駆動方向を反転可能な構成になっている。詳細に言うと、この圧縮機は、一方の駆動方向に回転動作することで、室内熱交換器から冷媒を吸い込むと共にその冷媒を圧縮して室外熱交換器へ吐出する。この圧縮機の動作により、空調装置は冷房運転を行う。また、圧縮機は、一方の駆動方向とは逆向きの他方の駆動方向に回転動作することで、室外熱交換器から冷媒を吸い込むと共にその冷媒を圧縮して室内熱交換器へ吐出する。この圧縮機の動作により、空調装置は暖房運転を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の空調装置では、圧縮機が一方の駆動方向に回転動作する場合と、他方の駆動方向に回転動作する場合とで、減圧装置内での冷媒流れが反転することになる。すなわち、特許文献1の空調装置の減圧装置は、その減圧装置内での冷媒流れが反転することを許容する機械的構造を備えている必要がある。
【0006】
また、特許文献1には示されていないが、冷凍サイクルの負荷変動に対応するため、冷凍サイクルには、通常、余剰の液相冷媒を溜める貯液部が設けられている。特許文献1の空調装置にそのような貯液部が設けられるとすれば、その貯液部は、貯液部内での冷媒流れが反転することを許容する機械的構造を備えている必要がある。
【0007】
しかしながら、減圧装置と貯液部との何れでも、冷媒流れが反転することを許容する機械的構造は、通常とは異なる構造になり、例えば種々の制約を生じうる。発明者らの詳細な検討の結果、以上のようなことが見出された。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、減圧装置(言い換えると、減圧部)内での冷媒流れの向きを反転させず且つ貯液部内での冷媒流れの向きも反転させずに、空調対象空間へ送られる空気の加熱と冷却とを切り替えることが可能な空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の空調装置は、
空調対象空間(80)に空調風を送る空調装置であって、
冷媒を圧縮してから吐出する圧縮機(12)と、
減圧部入口(301)と減圧部出口(302)とを有し、減圧部入口から流入した冷媒を減圧し、その減圧した冷媒を減圧部出口から流出させる減圧部(30)と、
空調対象空間へ送られる空気と冷媒とを熱交換させる室内熱交換器(20)と、
空調対象空間外へ送られる空気と冷媒とを熱交換させる室外熱交換器(24)と、
冷媒が流入する貯液部入口(401、441)と冷媒が流出する貯液部出口(402、442)とを有し、貯液部入口から貯液部出口へ流れる冷媒のうち液相冷媒を溜める貯液部(40、44)と、
経路切替部(34、36)とを備え、
圧縮機と減圧部と室内熱交換器と室外熱交換器と貯液部と経路切替部は、冷媒が循環する冷媒回路(11)を構成し、
その冷媒回路は、圧縮機から吐出された冷媒が室外熱交換器、減圧部、室内熱交換器の順に流れてから圧縮機へ戻る第1流通状態と、圧縮機から吐出された冷媒が室内熱交換器、減圧部、室外熱交換器の順に流れてから圧縮機へ戻る第2流通状態との何れかに切り替えられ、
経路切替部は、第1流通状態と第2流通状態との何れでも減圧部内では減圧部入口から減圧部出口へ冷媒を流通させ且つ貯液部内では貯液部入口から貯液部出口へ冷媒を流通させるように、冷媒回路での冷媒の流通経路を切り替える。
【0010】
このようにすれば、冷媒回路が第1流通状態とされる場合に、空調対象空間へ送られる空気は室内熱交換器によって冷却され、冷媒回路が第2流通状態とされる場合に、空調対象空間へ送られる空気は室内熱交換器によって加熱される。そして、冷媒回路が第1流通状態と第2流通状態との何れに切り替えられても、減圧部内での冷媒流れは減圧部入口から減圧部出口へであり、貯液部内での冷媒流れは貯液部入口から貯液部出口へである。従って、減圧部内での冷媒流れの向きを反転させず且つ貯液部内での冷媒流れの向きも反転させずに、空調対象空間へ送られる空気の加熱と冷却とを切り替えることが可能である。
【0011】
なお、出願書類中の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付されている場合がある。この場合、参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的構成との対応関係の単なる一例を示すものであるにすぎない。よって、本発明は、参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態において、空調装置が有する冷媒回路の概略構成を示した回路図である。
【
図2】第1実施形態において、空調装置が有するレシーバの構成を模式的に示した断面図である。
【
図3A】第1実施形態において
図1のIII部分を抜粋した図であって、空調装置が有する切替弁の第1連通状態を示した図である。
【
図3B】第1実施形態において
図1のIII部分を抜粋した図であって、空調装置が有する切替弁の第2連通状態を示した図である。
【
図4】第2実施形態において、空調装置が有する冷媒回路の概略構成を示した回路図であって、
図1に相当する図である。
【
図5A】第2実施形態において
図4のV部分を抜粋した図であって、空調装置が有する第2切替弁の第1切替状態を示した図である。
【
図5B】第2実施形態において
図4のV部分を抜粋した図であって、空調装置が有する第2切替弁の第2切替状態を示した図である。
【
図6】第3実施形態において、減圧部と切替弁とが一体構成になった装置を模式的に示した断面図であって、切替弁の第1連通状態を示した図である。
【
図7】第3実施形態において、減圧部と切替弁とが一体構成になった装置を模式的に示した断面図であって、切替弁の第2連通状態を示した図である。
【
図8】第4実施形態の減圧部と切替弁とが一体構成になった装置において、切替弁の第1連通状態を模式的に示した断面図であって、
図6に相当する図である。
【
図9】第4実施形態の減圧部と切替弁とが一体構成になった装置において、切替弁の第2連通状態を模式的に示した断面図であって、
図7に相当する図である。
【
図10】第5実施形態において、減圧部とレシーバとが一体構成になった装置の概略構成を模式的に示した断面図である。
【
図11】第6実施形態において、空調装置が有する冷媒回路の概略構成を示した回路図であって、
図4に相当する図である。
【
図12】第6実施形態において、第1切替弁と第2切替弁とを含む複合切替弁の外観を模式的に示した図である。
【
図13】空調装置の冷房モード時における第1切替弁と第2切替弁とを示した図であって、
図12のXIIIa-XIIIa断面を模式的に(a)に示し、
図12のXIIIb-XIIIb断面を模式的に(b)に示した断面図である。
【
図15】空調装置の暖房モード時における第1切替弁と第2切替弁とを示し
図13に相当する図であって、
図12のXIIIa-XIIIa断面を模式的に(a)に示し、
図12のXIIIb-XIIIb断面を模式的に(b)に示した断面図である。
【
図16】第1切替弁の第3ポートの冷媒と第2切替弁の第4ポートの冷媒との熱交換がある場合のモリエル線図(すなわち、第6実施形態のモリエル線図)と、その熱交換が無い場合のモリエル線図とをそれぞれ示した図である。
【
図17】第7実施形態において、空調装置が有する冷媒回路の概略構成を示した回路図であって、
図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0014】
(第1実施形態)
図1に示す本実施形態の空調装置10は、例えば車両に搭載される装置であり、空調装置10で加熱または冷却された空調風を空調対象空間80に送る。空調装置10が例えば車室内の空調を行う車室内空調装置として車両に搭載されていれば、空調対象空間80は車室空間になる。また、空調装置10が例えばシート空調装置として車両に搭載されていれば、空調対象空間80は、乗員が着座するシートの内部に形成された空気の流通路になる。
【0015】
空調装置10は、冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルを含んで構成されている。その冷凍サイクルの冷媒としては、例えばR134aやR1234yf等のフロン系冷媒や二酸化炭素等の自然冷媒を採用することができる。詳細には、空調装置10は、空調対象空間80へ冷風を供給する冷房モードと空調対象空間80へ温風を供給する暖房モードとを切替可能な構成となっている。言い換えると、空調装置10は、冷房と暖房とを切り替えて運転するヒートポンプシステムとして構成されている。
【0016】
なお、
図1に示された実線矢印Acは冷房モード時の冷媒流れの向きを表し、破線矢印Ahは暖房モード時の冷媒流れの向きを表している。また、実線の長方形で囲まれた「高圧」、「低圧」は冷房モード時の冷媒圧力を表し、破線の長方形で囲まれた「高圧」、「低圧」は暖房モード時の冷媒圧力を表している。
【0017】
図1に示すように、空調装置10は、圧縮機12、室内熱交換器20、室内送風機22、室外熱交換器24、室外送風機26、減圧部30、切替弁34、レシーバ40、および不図示の制御装置を備えている。その圧縮機12と室内熱交換器20と室外熱交換器24と減圧部30と切替弁34とレシーバ40は、冷媒配管等を介して相互に接続され、冷凍サイクルの冷媒が循環する冷媒回路11を構成している。別言すると、その圧縮機12と室内熱交換器20と室外熱交換器24と減圧部30と切替弁34とレシーバ40は、空調対象空間80の冷房と暖房とを切り替えて実施可能な冷凍サイクルを構成している。
【0018】
圧縮機12は、流体である冷媒を圧縮してから吐出する装置である。圧縮機12は、例えば冷媒を圧縮する圧縮機構と電動モータとを有し、その圧縮機構を電動モータで回転駆動する電動圧縮機として構成されている。圧縮機12は、空調装置10の制御装置からの制御信号に従って作動する。
【0019】
本実施形態の圧縮機12は、正・逆どちらの回転駆動方向でも冷媒の圧縮が可能な両回転型圧縮機である。すなわち、圧縮機12は、一方の回転駆動方向へ回転駆動される第1駆動状態と、その一方の回転駆動方向とは逆向きである他方の回転駆動方向へ回転駆動される第2駆動状態とに切替可能に構成されている。
【0020】
具体的に、圧縮機12は、冷媒が出入りする第1接続口121と第2接続口122とを有している。圧縮機12は、冷房モード時には第1駆動状態で作動させられ、暖房モード時には第2駆動状態で作動させられる。圧縮機12は第1駆動状態で作動すると、第1接続口121から吸い込んだ冷媒を圧縮し、その圧縮した冷媒を第2接続口122から吐出する。すなわち、冷房モード時には、圧縮機12の第1接続口121は冷媒を吸い込む吸込口として機能し、第2接続口122は冷媒を吐出する吐出口として機能する。
【0021】
一方、圧縮機12は第2駆動状態で作動すると、第2接続口122から吸い込んだ冷媒を圧縮し、その圧縮した冷媒を第1接続口121から吐出する。すなわち、暖房モード時には、圧縮機12の第1接続口121は吐出口として機能し、第2接続口122は吸込口として機能する。
【0022】
この圧縮機12の第1駆動状態と第2駆動状態との切替えに応じて、冷媒回路11は、冷媒の流通状態が相互に異なる第1流通状態と第2流通状態との何れかに択一的に切り替えられる。詳細には、冷媒回路11は、圧縮機12が第1駆動状態とされることにより第1流通状態になる。その第1流通状態は、冷房モード時における冷媒回路11の冷媒の流通状態である。すなわち、その第1流通状態とは、実線矢印Acで示されるように、圧縮機12から吐出された冷媒が、室外熱交換器24、減圧部30、室内熱交換器20の順に流れてから圧縮機12へ戻る冷媒回路11の冷媒流通状態である。
【0023】
詳細には切替弁34とレシーバ40も設けられているので、第1流通状態の冷媒回路11では、圧縮機12の第2接続口122から吐出された冷媒は室外熱交換器24、切替弁34、レシーバ40、減圧部30、切替弁34、室内熱交換器20の順に流れる。そして、その室内熱交換器20の冷媒は、室内熱交換器20から圧縮機12の第1接続口121へ吸い込まれる。
【0024】
これに対し、冷媒回路11は、圧縮機12が第2駆動状態とされることにより第2流通状態になる。その第2流通状態は、暖房モード時における冷媒回路11の冷媒の流通状態である。すなわち、その第2流通状態とは、破線矢印Ahで示されるように、圧縮機12から吐出された冷媒が、室内熱交換器20、減圧部30、室外熱交換器24の順に流れてから圧縮機12へ戻る冷媒回路11の冷媒流通状態である。
【0025】
詳細には、第2流通状態の冷媒回路11では、圧縮機12の第1接続口121から吐出された冷媒は室内熱交換器20、切替弁34、レシーバ40、減圧部30、切替弁34、室外熱交換器24の順に流れてから、圧縮機12の第2接続口122へ吸い込まれる。
【0026】
室内送風機22と室外送風機26はそれぞれ、例えば空調装置10の制御装置からの制御信号に従って作動する電動の送風機である。室内送風機22は室内熱交換器20に空気を流し、室内熱交換器20を通過した空気は、矢印Aiで示されるように空調風として空調対象空間80へ流れる。室外送風機26は室外熱交換器24に空気を流し、室外熱交換器24を通過した空気は、矢印Aoで示されるように流れ車外へと排出される。
【0027】
例えば、室外送風機26が室外熱交換器24へ流す空気は外気であるが、室内送風機22が室内熱交換器20へ流す空気は内気である場合もあれば外気である場合もある。外気とは車室外の空気であり、内気とは車室内の空気である。
【0028】
室内熱交換器20は、車室内に配置される熱交換器であり、室内熱交換器20を通過し空調対象空間80へ送られる空気と室内熱交換器20内に流通する冷媒とを熱交換させる。例えば、室内熱交換器20は、相互間隔をあけて並んだ複数本のチューブを有し、その複数本のチューブの相互間に流れる空気とそのチューブ内に流れる冷媒とを熱交換させる。
【0029】
室内熱交換器20は、冷媒が出入りする減圧部側室内接続口201と圧縮機側室内接続口202とを有している。その減圧部側室内接続口201は、室内熱交換器20において冷媒回路11での圧縮機12側とは反対側に設けられ、切替弁34の第2ポート342に接続されている。また、圧縮機側室内接続口202は、室内熱交換器20において冷媒回路11での圧縮機12側に設けられ、圧縮機12の第1接続口121に接続されている。
【0030】
冷房モード時には室内熱交換器20内の冷媒は減圧部側室内接続口201から圧縮機側室内接続口202へ流れる。そして、冷房モード時に、室内熱交換器20は、減圧部30で減圧された低圧冷媒を送風空気と熱交換させてその送風空気から吸熱する吸熱器として機能する。
【0031】
その一方で、暖房モード時には室内熱交換器20内の冷媒は圧縮機側室内接続口202から減圧部側室内接続口201へ流れる。そして、暖房モード時に、室内熱交換器20は、圧縮機12から吐出された高圧冷媒を送風空気と熱交換させてその送風空気へ放熱する放熱器として機能する。
【0032】
室外熱交換器24は、車室外に配置される熱交換器であり、室外熱交換器24を通過し空調対象空間80外へ送られる空気と室外熱交換器24内に流通する冷媒とを熱交換させる。その室外熱交換器24を通過し空調対象空間80外へ送られる空気とは、本実施形態では、室外熱交換器24を通過し車外へ排出される空気である。例えば、室外熱交換器24も室内熱交換器20と同様に、相互間隔をあけて並んだ複数本のチューブを有し、その複数本のチューブの相互間に流れる空気とそのチューブ内に流れる冷媒とを熱交換させる。
【0033】
室外熱交換器24は、冷媒が出入りする減圧部側室外接続口241と圧縮機側室外接続口242とを有している。その減圧部側室外接続口241は、室外熱交換器24において冷媒回路11での圧縮機12側とは反対側に設けられ、切替弁34の第1ポート341に接続されている。また、圧縮機側室外接続口242は、室外熱交換器24において冷媒回路11での圧縮機12側に設けられ、圧縮機12の第2接続口122に接続されている。
【0034】
冷房モード時には室外熱交換器24内の冷媒は圧縮機側室外接続口242から減圧部側室外接続口241へ流れる。そして、冷房モード時に、室外熱交換器24は上記の放熱器として機能する。
【0035】
その一方で、暖房モード時には室外熱交換器24内の冷媒は減圧部側室外接続口241から圧縮機側室外接続口242へ流れる。そして、暖房モード時に、室外熱交換器24は、上記の吸熱器として機能する。
【0036】
減圧部30は、室内熱交換器20または室外熱交換器24にて放熱された冷媒を減圧する減圧装置である。具体的に、減圧部30は、冷媒が流入する減圧部入口301と、冷媒が流出する減圧部出口302とを有している。そして、減圧部30は、減圧部入口301から流入した冷媒を減圧し、その減圧した冷媒を減圧部出口302から流出させる。
【0037】
例えば、減圧部30は、冷媒流れを絞る絞り開度を弁体の作動に応じて増減する電動の可変絞り機構を備え、その冷媒流れを絞ることにより冷媒を減圧する。減圧部30は、例えば空調装置10の制御装置からの制御信号に従って、その可変絞り機構の絞り開度を増減する。
【0038】
レシーバ40は、冷媒回路11にて余剰となった液相の余剰冷媒を溜める貯液部である。レシーバ40は、冷凍サイクルの負荷変動に対応するために設けられている。レシーバ40は、冷媒が流入する貯液部入口401と、冷媒が流出する貯液部出口402とを有している。その貯液部出口402は減圧部入口301に接続されている。
【0039】
具体的に、レシーバ40は、そのレシーバ40内で貯液部入口401から貯液部出口402へ流れる冷媒の気液分離を行うと共に、その貯液部入口401から貯液部出口402へ流れる冷媒のうち液相の余剰冷媒を溜める。それと共に、レシーバ40は、レシーバ40内の冷媒のうち液相冷媒だけを貯液部出口402から流出させる。
【0040】
例えば、本実施形態のレシーバ40は、
図2に示すような構造を備えている。すなわち、その
図2に示すように、レシーバ40は、貯液ケース404とストレーナ405と乾燥剤406と出口管407とを有している。なお、
図2に示された複数の矢印は、レシーバ40に流通する冷媒の流れを表している。
【0041】
貯液ケース404は、レシーバ40の外殻を成す筐体であり、貯液ケース404内には、ストレーナ405と乾燥剤406と出口管407とが収容されている。また、貯液ケース404の上部には貯液部入口401と貯液部出口402とがそれぞれ形成されている。
【0042】
ストレーナ405は、貯液部入口401から貯液ケース404内に入ってきた冷媒に混入した異物を捕捉する異物フィルタであり、網等で構成されている。また、ストレーナ405は、貯液ケース404内の空間を上下に仕切り分けるように配置されている。なお、
図2には、ストレーナ405の下側の空間に液相冷媒Lrが溜まった様子が表示されている。
【0043】
乾燥剤406は、貯液部入口401から貯液ケース404内に入ってきた冷媒に混入した水分を吸着するものであり、例えば多数の粒状物から構成されている。そして、乾燥剤406は、貯液ケース404内においてストレーナ405の上側に配置されている。
【0044】
出口管407は、上下方向に延伸するパイプであり、ストレーナ405と乾燥剤406とをそれぞれ貫通している。出口管407の上端は貯液部出口402に接続されている。また、出口管407の下端は、貯液ケース404内に溜まる液相冷媒Lrの中で開口するように配置されている。
【0045】
このように構成されたレシーバ40では、貯液部入口401から貯液ケース404内に冷媒が流入すると、その流入した冷媒は、乾燥剤406とストレーナ405とを順に通過する。そして、ストレーナ405を通過した冷媒は貯液ケース404内の空間の下部に液相冷媒Lrとして溜まる。それと共に、その溜まった液相冷媒Lrのうちの一部は、出口管407を通って貯液部出口402からレシーバ40の外部(具体的には、減圧部入口301)へ流出する。
【0046】
図1に示すように、切替弁34は、冷媒回路11における冷媒の流通経路を切り替える経路切替部である。具体的に、本実施形態の切替弁34は、複数の接続ポート341、342、343、344を有する四方弁である。
【0047】
その複数の接続ポート341、342、343、344とは、詳細には、第1ポート341と第2ポート342と第3ポート343と第4ポート344である。第3ポート343は貯液部入口401に接続され、第4ポート344は減圧部出口302に接続されている。なお、本実施形態の説明では、複数の接続ポート341、342、343、344が複数の接続ポート341~344と略して記載される場合がある。
【0048】
切替弁34では、その切替弁34が有する弁体の回転動作またはスライド動作に応じて、複数の接続ポート341、342、343、344の相互間の連通した状態が切り替わる。例えば、切替弁34は、電動アクチュエータによって弁体が回転動作またはスライド動作する電動切替弁であり、空調装置10の制御装置からの制御信号に従って作動する。
【0049】
詳細には、切替弁34は、第1連通状態と、複数の接続ポート341~344が相互に連通する関係が第1連通状態とは異なる第2連通状態とに択一的に切替可能に構成されている。そして、切替弁34は、冷房モード時には第1連通状態にされ、暖房モード時には第2連通状態にされる。
【0050】
具体的に、第1連通状態では切替弁34は、複数の接続ポート341~344の相互間を
図3Aに示すように連通させ又は遮断する。すなわち、その第1連通状態では切替弁34は、第1ポート341を第3ポート343へ連通させる一方で第2、第4ポート342、344から遮断し、且つ第2ポート342を第4ポート344へ連通させる一方で第1、第3ポート341、343から遮断する。これにより、その第1連通状態の切替弁34は、減圧部側室外接続口241を貯液部入口401へ連通させる一方で減圧部出口302から遮断し、且つ減圧部側室内接続口201を減圧部出口302へ連通させる一方で貯液部入口401から遮断する。
【0051】
また、第2連通状態では切替弁34は、複数の接続ポート341~344の相互間を
図3Bに示すように連通させ又は遮断する。すなわち、その第2連通状態では切替弁34は、第1ポート341を第4ポート344へ連通させる一方で第2、第3ポート342、343から遮断し、且つ第2ポート342を第3ポート343へ連通させる一方で第1、第4ポート341、344から遮断する。これにより、その第2連通状態の切替弁34は、減圧部側室外接続口241を減圧部出口302へ連通させる一方で貯液部入口401から遮断し、且つ減圧部側室内接続口201を貯液部入口401へ連通させる一方で減圧部出口302から遮断する。
【0052】
以上のように構成された空調装置10では、その空調装置10の制御装置により、冷房モード時には
図1、
図3Aに示すように、圧縮機12は第1駆動状態で作動させられ、切替弁34は第1連通状態に切り替えられる。これにより、冷媒回路11は第1流通状態になり、その冷媒回路11には冷媒が実線矢印Acの向きで循環する。そして、室内熱交換器20は、空調対象空間80へ送られる空気を冷却すると共に、室外熱交換器24は、車外へ排出される空気へ放熱する。このようにして空調対象空間80へ冷風が供給され、空調対象空間80の冷房が実施される。
【0053】
これに対し、暖房モード時には
図1、
図3Bに示すように、空調装置10の制御装置により、圧縮機12は第2駆動状態で作動させられ、切替弁34は第2連通状態に切り替えられる。これにより、冷媒回路11は第2流通状態になり、その冷媒回路11には冷媒が破線矢印Ahの向きで循環する。そして、室内熱交換器20は、空調対象空間80へ送られる空気を温めると共に、室外熱交換器24は、車外へ排出される空気から吸熱する。このようにして空調対象空間80へ温風が供給され、空調対象空間80の暖房が実施される。
【0054】
ここで、実線矢印Ac、破線矢印Ahの向きから判るように、切替弁34は、冷媒回路11での冷媒の流通経路の切替えにより、冷媒回路11の第1流通状態と第2流通状態との何れでも減圧部30内では減圧部入口301から減圧部出口302へ冷媒を流通させる。そして、切替弁34は、冷媒回路11での冷媒の流通経路の切替えにより、冷媒回路11の第1流通状態と第2流通状態との何れでもレシーバ40内では貯液部入口401から貯液部出口402へ冷媒を流通させる。
【0055】
上述したように、本実施形態によれば、
図1、
図3A、
図3Bに示すように、第1流通状態の冷媒回路11では、圧縮機12の第2接続口122から吐出された冷媒は、室外熱交換器24、減圧部30、室内熱交換器20の順に流れてから、圧縮機12へ戻る。そして、第2流通状態の冷媒回路11では、圧縮機12の第1接続口121から吐出された冷媒は、室内熱交換器20、減圧部30、室外熱交換器24の順に流れてから、圧縮機12へ戻る。これにより、冷媒回路11が第1流通状態とされる場合に、空調対象空間80へ送られる空気は室内熱交換器20によって冷却され、冷媒回路11が第2流通状態とされる場合に、空調対象空間80へ送られる空気は室内熱交換器20によって加熱される。
【0056】
そして、切替弁34は、第1、第2流通状態の何れでも減圧部30内では減圧部入口301から減圧部出口302へ冷媒を流通させ且つレシーバ40内では貯液部入口401から貯液部出口402へ冷媒を流通させるように、冷媒回路11での冷媒の流通経路を切り替える。従って、減圧部30内での冷媒流れの向きを反転させず且つレシーバ40内での冷媒流れの向きも反転させずに、空調対象空間80へ送られる空気の加熱と冷却とを切り替えることが可能である。
【0057】
例えば、このような構成により、汎用的な一方向流れのレシーバおよび絞りをそれぞれ、本実施形態のレシーバ40および減圧部30として採用することができるので、空調装置10の低コスト化を図ることが容易になる。そして、レシーバ40に着目すれば、そのような汎用的な一方向流れのレシーバを採用しつつ、レシーバ40での気液分離と異物キャッチとを正常に行うことができる。
【0058】
(1)また、本実施形態によれば、切替弁34は、第1連通状態と第2連通状態とに切替可能に構成されている。そして、切替弁34は、冷媒回路11が第1流通状態とされる場合には第1連通状態にされ、冷媒回路11が第2流通状態とされる場合には第2連通状態にされる。切替弁34は第1連通状態になると、減圧部側室外接続口241を貯液部入口401へ連通させる一方で減圧部出口302から遮断し、且つ減圧部側室内接続口201を減圧部出口302へ連通させる一方で貯液部入口401から遮断する。これに対し、切替弁34は第2連通状態になると、減圧部側室外接続口241を減圧部出口302へ連通させる一方で貯液部入口401から遮断し、且つ減圧部側室内接続口201を貯液部入口401へ連通させる一方で減圧部出口302から遮断する。
【0059】
従って、本実施形態の切替弁34として4つの接続ポート341~344を有する四方弁を採用し、その四方弁の切替え作動によって、減圧部30およびレシーバ40での冷媒流れをそれぞれ、第1、第2流通状態の何れでも一方向流れにすることが可能である。
【0060】
(2)また、本実施形態によれば、圧縮機12は、第1駆動状態と第2駆動状態とに切替可能に構成されている。圧縮機12は第1駆動状態で作動すると、室内熱交換器20から第1接続口121を介して吸い込んだ冷媒を圧縮し、その圧縮した冷媒を第2接続口122から室外熱交換器24へ吐出する。これに対し、圧縮機12は第2駆動状態で作動すると、室外熱交換器24から第2接続口122を介して吸い込んだ冷媒を圧縮し、その圧縮した冷媒を第1接続口121から室内熱交換器20へ吐出する。そして、冷媒回路11は、圧縮機12が第1駆動状態とされることにより第1流通状態になり、圧縮機12が第2駆動状態とされることにより第2流通状態になる。従って、圧縮機12の第1駆動状態と第2駆動状態との切替えによって、冷媒回路11の第1流通状態と第2流通状態との切替えを実現することが可能である。
【0061】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
【0062】
図4に示すように、本実施形態では、圧縮機12が第1実施形態と異なっている。
【0063】
具体的に、本実施形態の圧縮機12は電動圧縮機であり、空調装置10の制御装置からの制御信号に従って作動する。この点では、本実施形態の圧縮機12も第1実施形態の圧縮機12と同様である。但し、第1実施形態とは異なり、本実施形態の圧縮機12は、第1接続口121および第2接続口122(
図1参照)に替えて、吸込口123と吐出口124とを有している。そして、冷房モード時にも暖房モード時にも、圧縮機12は、吸込口123から吸い込んだ冷媒を圧縮し、その圧縮した冷媒を吐出口124から吐出する。すなわち、本実施形態の圧縮機12の回転駆動方向は切替不能であり、吸込口123と吐出口124とが入れ替わることはない。
【0064】
また、本実施形態の空調装置10は、第1実施形態の経路切替部としての切替弁34すなわち第1切替弁34を備え、その第1切替弁34とは別に、第2切替弁36を備えている。要するに、本実施形態の空調装置10は、切替弁34、36を2つ備えている。本実施形態の説明では、第2切替弁36との区別のため、第1実施形態の切替弁34と同じ切替弁は第1切替弁34と称される。
【0065】
本実施形態において、第1切替弁34は、第1実施形態の切替弁34と同一であるので、第1連通状態と第2連通状態とに択一的に切替可能に構成されている。そして、第1切替弁34は、冷房モード時には第1連通状態にされ、暖房モード時には第2連通状態にされる。
【0066】
第2切替弁36は、複数の接続ポート361、362、363、364を有する四方弁であり、第1切替弁34と同様の構造を備えている。その複数の接続ポート361、362、363、364とは、詳細には、第1ポート361と第2ポート362と第3ポート363と第4ポート364である。
【0067】
第1ポート361は圧縮機側室外接続口242に接続され、第2ポート362は圧縮機側室内接続口202に接続され、第3ポート363は圧縮機12の吐出口124に接続され、第4ポート364は圧縮機12の吸込口123に接続されている。すなわち、本実施形態では、圧縮機側室内接続口202と圧縮機側室外接続口242はそれぞれ、圧縮機12へ直接接続されるのではなく、第2切替弁36を介して圧縮機12へ接続されている。なお、本実施形態の説明では、複数の接続ポート361、362、363、364が複数の接続ポート361~364と略して記載される場合がある。
【0068】
第2切替弁36では、その第2切替弁36が有する弁体の回転動作またはスライド動作に応じて、複数の接続ポート361~364の相互間の連通した状態が切り替わる。例えば、第2切替弁36は、第1切替弁34と同様に、電動アクチュエータによって弁体が回転動作またはスライド動作する電動切替弁であり、空調装置10の制御装置からの制御信号に従って作動する。
【0069】
詳細には、第2切替弁36は、第1切替状態と、複数の接続ポート361~364が相互に連通する関係が第1切替状態とは異なる第2切替状態とに択一的に切替可能に構成されている。そして、第2切替弁36は、冷房モード時には第1切替状態にされ、暖房モード時には第2切替状態にされる。なお、第2切替弁36の切り替わった状態を表現する語として第1、第2切替状態という語が用いられる理由は、第1切替弁34の第1、第2連通状態との混同を防止するためである。
【0070】
具体的に、第1切替状態では第2切替弁36は、複数の接続ポート361~364の相互間を
図5Aに示すように連通させ又は遮断する。すなわち、第1切替状態では第2切替弁36は、第1ポート361を第3ポート363へ連通させる一方で第2、第4ポート362、364から遮断し、且つ第2ポート362を第4ポート364へ連通させる一方で第1、第3ポート361、363から遮断する。
【0071】
これにより、その第1切替状態の第2切替弁36は、圧縮機12の吐出口124を圧縮機側室外接続口242へ連通させる一方で圧縮機側室内接続口202から遮断する。それと同時に、その第1切替状態の第2切替弁36は、圧縮機12の吸込口123を圧縮機側室内接続口202へ連通させる一方で圧縮機側室外接続口242から遮断する。
【0072】
また、第2切替状態では第2切替弁36は、複数の接続ポート361~364の相互間を
図5Bに示すように連通させ又は遮断する。すなわち、第2切替状態では第2切替弁36は、第1ポート361を第4ポート364へ連通させる一方で第2、第3ポート362、363から遮断し、且つ第2ポート362を第3ポート363へ連通させる一方で第1、第4ポート361、364から遮断する。
【0073】
これにより、その第2切替状態の第2切替弁36は、圧縮機12の吐出口124を圧縮機側室内接続口202へ連通させる一方で圧縮機側室外接続口242から遮断する。それと同時に、その第2切替状態の第2切替弁36は、圧縮機12の吸込口123を圧縮機側室外接続口242へ連通させる一方で圧縮機側室内接続口202から遮断する。
【0074】
この第2切替弁36の第1切替状態と第2切替状態との切替えに応じて、冷媒回路11が、第1流通状態と第2流通状態との何れかに択一的に切り替えられる。詳細には、冷媒回路11は、第2切替弁36が第1切替状態とされることにより第1流通状態になる。その第1流通状態は、冷房モード時における冷媒回路11の冷媒の流通状態である。
【0075】
すなわち、第1流通状態の冷媒回路11では、圧縮機12の吐出口124から吐出された冷媒が第2切替弁36、室外熱交換器24、第1切替弁34、レシーバ40、減圧部30、第1切替弁34、室内熱交換器20、第2切替弁36の順に流れる。そして、冷媒はその第2切替弁36から、圧縮機12の吸込口123へ吸い込まれる。
【0076】
これに対し、冷媒回路11は、第2切替弁36が第2切替状態とされることにより第2流通状態になる。その第2流通状態は、暖房モード時における冷媒回路11の冷媒の流通状態である。
【0077】
すなわち、第2流通状態の冷媒回路11では、圧縮機12の吐出口124から吐出された冷媒が第2切替弁36、室内熱交換器20、第1切替弁34、レシーバ40、減圧部30、第1切替弁34、室外熱交換器24、第2切替弁36の順に流れる。そして、冷媒はその第2切替弁36から、圧縮機12の吸込口123へ吸い込まれる。
【0078】
以上のように構成された本実施形態の空調装置10では、その空調装置10の制御装置により、冷房モード時には
図4、
図3A、
図5Aに示すように、第1切替弁34は第1連通状態に切り替えられ、第2切替弁36は第1切替状態に切り替えられる。そして、圧縮機12が作動させられる。これにより、冷媒回路11は第1流通状態になり、その冷媒回路11には冷媒が実線矢印Acの向きで循環する。
【0079】
これに対し、暖房モード時には
図4、
図3B、
図5Bに示すように、空調装置10の制御装置により、第1切替弁34は第2連通状態に切り替えられ、第2切替弁36は第2切替状態に切り替えられる。そして、圧縮機12が作動させられる。これにより、冷媒回路11は第2流通状態になり、その冷媒回路11には冷媒が破線矢印Ahの向きで循環する。
【0080】
(1)上述したように、本実施形態によれば、第2切替弁36は、第1切替状態と第2切替状態とに切替可能に構成されている。そして、冷媒回路11は、第2切替弁36が第1切替状態とされることにより第1流通状態になり、第2切替弁36が第2切替状態とされることにより第2流通状態になる。従って、第2切替弁36の第1切替状態と第2切替状態との切替えによって、冷媒回路11の第1流通状態と第2流通状態との切替えを実現することが可能である。そのため、回転駆動方向の切替不能な圧縮機12を冷媒回路11に用いることが可能である。
【0081】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0082】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0083】
図6に示すように、本実施形態では、減圧部30と切替弁34とが一体構成になっている。
【0084】
具体的に、本実施形態の切替弁34は、弁本体部370と第1接続部371と第2接続部372と第3接続部373と第4接続部374と弁体375とを有している。その第1接続部371と第2接続部372と第3接続部373と第4接続部374はそれぞれ弁本体部370に接続されている。また、弁本体部370内には本体空間370aが形成され、その本体空間370aには弁体375が収容されている。
【0085】
第1接続部371内には第1接続孔371aが形成され、第2接続部372内には第2接続孔372aが形成され、第3接続部373内には第3接続孔373aが形成され、第4接続部374内には第4接続孔374aが形成されている。また、弁体375内には弁体通路375aが形成されている。
【0086】
図6、
図7に示すように、第1接続孔371aと第2接続孔372aと第4接続孔374aはそれぞれ、本体空間370aへ連通している。但し、第1接続孔371aと第2接続孔372aは弁体375の作動に応じて、本体空間370aへの連通が遮断される場合がある。また、第3接続孔373aは、本体空間370aへ連通することなく、本体空間370a内に配置された弁体375の弁体通路375aへ連通している。
【0087】
第1接続孔371aは第1実施形態の第1ポート341(
図1参照)に相当し、減圧部側室外接続口241へ接続されている。第2接続孔372aは第1実施形態の第2ポート342(
図1参照)に相当し、減圧部側室内接続口201へ接続されている。第3接続孔373aは第1実施形態の第3ポート343(
図1参照)に相当し、貯液部入口401へ接続されている。
【0088】
また、第4接続孔374aは貯液部出口402へ接続され、第4接続孔374aには、減圧部30が減圧部出口302を本体空間370a側へ向けた姿勢で配置されている。そのため、第4接続孔374aのうち減圧部出口302に対する本体空間370a側の下流部位374bが第4ポート344(
図1参照)に相当する。
【0089】
弁体375は不図示の電動アクチュエータによって駆動され、本体空間370a内で作動軸心Cvを中心に回転動作する。
【0090】
具体的に、切替弁34の第1連通状態では、弁体375は
図6に示すように位置決めされる。すなわち、その第1連通状態では、第1接続孔371aは弁体通路375aを介して第3接続孔373aへ連通し、弁体375によって第2、第4接続孔372a、374aから遮断される。それと同時に、第1連通状態では、第2接続孔372aは本体空間370aを介して第4接続孔374aへ連通し、弁体375によって第1、第3接続孔371a、373aから遮断される。
【0091】
これにより、その第1連通状態の切替弁34は、減圧部側室外接続口241を貯液部入口401へ連通させる一方で減圧部出口302から遮断し、且つ減圧部側室内接続口201を減圧部出口302へ連通させる一方で貯液部入口401から遮断する。
【0092】
そして、その第1連通状態では、減圧部側室外接続口241から第1接続孔371aへ流入した冷媒は、
図6の矢印A1のように、第1接続孔371aから、弁体通路375a、第3接続孔373aの順に流れて、第3接続孔373aから貯液部入口401へ流出する。また、貯液部出口402から第4接続孔374aへ流入した冷媒は、矢印A2のように、第4接続孔374aで減圧部30を通り、減圧部30から、本体空間370a、第2接続孔372aの順に流れて、第2接続孔372aから減圧部側室内接続口201へ流出する。
【0093】
一方、切替弁34の第2連通状態では、弁体375は
図7に示すように位置決めされる。すなわち、その第2連通状態では、第1接続孔371aは本体空間370aを介して第4接続孔374aへ連通し、弁体375によって第2、第3接続孔372a、373aから遮断される。それと同時に、第2連通状態では、第2接続孔372aは弁体通路375aを介して第3接続孔373aへ連通し、弁体375によって第1、第4接続孔371a、374aから遮断される。
【0094】
これにより、その第2連通状態の切替弁34は、減圧部側室外接続口241を減圧部出口302へ連通させる一方で貯液部入口401から遮断し、且つ減圧部側室内接続口201を貯液部入口401へ連通させる一方で減圧部出口302から遮断する。
【0095】
そして、その第2連通状態では、減圧部側室内接続口201から第2接続孔372aへ流入した冷媒は、
図7の矢印A3のように、第2接続孔372aから、弁体通路375a、第3接続孔373aの順に流れて、第3接続孔373aから貯液部入口401へ流出する。また、貯液部出口402から第4接続孔374aへ流入した冷媒は、矢印A4のように、第4接続孔374aで減圧部30を通り、減圧部30から、本体空間370a、第1接続孔371aの順に流れて、第1接続孔371aから減圧部側室外接続口241へ流出する。
【0096】
(1)上述したように、本実施形態によれば、減圧部30と切替弁34とが一体構成になっている。従って、減圧部30と切替弁34とが別々に設けられている場合と比較して冷媒の配管を短くすることができるので、冷媒漏れなどの不具合を生じる懸念を小さくすることが可能である。
【0097】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0098】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせることも可能である。
【0099】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第3実施形態と異なる点を主として説明する。
【0100】
図8に示すように、本実施形態でも第3実施形態と同様に、減圧部30と切替弁34とが一体構成になっている。但し、本実施形態では、減圧部30の配置が第3実施形態と異なっている。
【0101】
具体的に、
図8、
図9に示すように、第1接続孔371aと第2接続孔372aと第3接続孔373aはそれぞれ、本体空間370aへ連通している。但し、第1接続孔371aと第2接続孔372aは弁体375の作動に応じて、本体空間370aへの連通が遮断される場合がある。また、第4接続孔374aは、本体空間370aへ連通することなく、本体空間370a内に配置された弁体375の弁体通路375aへ連通している。
【0102】
第1接続孔371aは第1実施形態の第1ポート341(
図1参照)に相当し、減圧部側室外接続口241へ接続されている。第2接続孔372aは第1実施形態の第2ポート342(
図1参照)に相当し、減圧部側室内接続口201へ接続されている。第3接続孔373aは第1実施形態の第3ポート343(
図1参照)に相当し、貯液部入口401へ接続されている。第4接続孔374aは貯液部出口402へ接続されている。
【0103】
弁体375は不図示の電動アクチュエータによって駆動され、本体空間370a内で作動軸心Cvを中心に回転動作する。
【0104】
また、弁体通路375aには、減圧部30が減圧部入口301を第4接続孔374a側へ向けた姿勢で配置されている。そのため、弁体通路375aのうち減圧部出口302に対する第4接続孔374a側とは反対側の下流部位375bが第4ポート344(
図1参照)に相当する。
【0105】
具体的に、切替弁34の第1連通状態では、弁体375は
図8に示すように位置決めされる。すなわち、その第1連通状態では、第1接続孔371aは本体空間370aを介して第3接続孔373aへ連通し、弁体375によって第2、第4接続孔372a、374aから遮断される。それと同時に、第1連通状態では、第2接続孔372aは弁体通路375aを介して第4接続孔374aへ連通し、弁体375によって第1、第3接続孔371a、373aから遮断される。
【0106】
これにより、その第1連通状態の切替弁34は、減圧部側室外接続口241を貯液部入口401へ連通させる一方で減圧部出口302から遮断し、且つ減圧部側室内接続口201を減圧部出口302へ連通させる一方で貯液部入口401から遮断する。
【0107】
そして、その第1連通状態では、減圧部側室外接続口241から第1接続孔371aへ流入した冷媒は、
図8の矢印A5のように、第1接続孔371aから、本体空間370a、第3接続孔373aの順に流れて、第3接続孔373aから貯液部入口401へ流出する。また、貯液部出口402から第4接続孔374aへ流入した冷媒は、矢印A6のように、第4接続孔374aから、弁体通路375aで減圧部30を通り、減圧部30から第2接続孔372aへ流れ、第2接続孔372aから減圧部側室内接続口201へ流出する。
【0108】
一方、切替弁34の第2連通状態では、弁体375は
図9に示すように位置決めされる。すなわち、その第2連通状態では、第1接続孔371aは弁体通路375aを介して第4接続孔374aへ連通し、弁体375によって第2、第3接続孔372a、373aから遮断される。それと同時に、第2連通状態では、第2接続孔372aは本体空間370aを介して第3接続孔373aへ連通し、弁体375によって第1、第4接続孔371a、374aから遮断される。
【0109】
これにより、その第2連通状態の切替弁34は、減圧部側室外接続口241を減圧部出口302へ連通させる一方で貯液部入口401から遮断し、且つ減圧部側室内接続口201を貯液部入口401へ連通させる一方で減圧部出口302から遮断する。
【0110】
そして、その第2連通状態では、減圧部側室内接続口201から第2接続孔372aへ流入した冷媒は、
図9の矢印A7のように、第2接続孔372aから、本体空間370a、第3接続孔373aの順に流れて、第3接続孔373aから貯液部入口401へ流出する。また、貯液部出口402から第4接続孔374aへ流入した冷媒は、矢印A8のように、第4接続孔374aから弁体通路375aへ流れ、その弁体通路375aで減圧部30を通る。その減圧部30を通った冷媒は、弁体通路375aから第1接続孔371aへ流れて、第1接続孔371aから減圧部側室外接続口241へ流出する。
【0111】
以上説明したことを除き、本実施形態は第3実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第3実施形態と共通の構成から奏される効果を第3実施形態と同様に得ることができる。
【0112】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
【0113】
図10に示すように、本実施形態では、レシーバ40の内部構造が第1実施形態と異なっている。また、本実施形態では、減圧部30とレシーバ40は一体構成になっている。
【0114】
具体的に、本実施形態のレシーバ40は、
図10に示すような構造を備えている。すなわち、その
図10に示すように、レシーバ40は、蓋体403と貯液ケース404とストレーナ405と乾燥剤406と出口管407とを有している。
【0115】
蓋体403と貯液ケース404は、レシーバ40の外殻を成す筐体である。貯液ケース404の内側には貯液空間404aが形成され、その貯液空間404aには、ストレーナ405と乾燥剤406と出口管407とが収容されている。また、貯液ケース404は単体では、上側に開放された形状を成している。そのため、蓋体403は貯液ケース404の上側に配置され、貯液ケース404の上側の開口を塞ぐように貯液ケース404に対し固定されている。
【0116】
また、蓋体403は例えばブロック状に形成され、蓋体403には入口通路403aと出口通路403dとがそれぞれ形成されている。その入口通路403aは、入口通路403aにおける冷媒流れ上流側に設けられた上流端である貯液部入口401と、入口通路403aにおける冷媒流れ下流側に設けられた下流端403bとを有している。その下流端403bは、貯液空間404aの上部で貯液空間404aに対して開放されている。
【0117】
また、蓋体403の出口通路403dは、その出口通路403dにおける冷媒流れ上流側に設けられた上流端403eと、出口通路403dにおける冷媒流れ下流側に設けられた下流端403fとを有している。なお、
図10の矢印Ariは、貯液部入口401へ流入する冷媒の流れを表し、矢印Aroは、出口通路403dの下流端403fからレシーバ40の外部へ流出する冷媒の流れを表している。
【0118】
蓋体403には減圧部30が組み込まれ固定されており、これにより、減圧部30とレシーバ40とが一体構成になっている。蓋体403では、減圧部30は、出口通路403dの途中で冷媒が減圧部30内を通過するように配置されている。そして、その減圧部30は、減圧部入口301を出口通路403dの上流端403e側へ向け減圧部出口302を出口通路403dの下流端403f側へ向けた姿勢で配置されている。
【0119】
本実施形態のストレーナ405は網等で構成されており、貯液空間404aの下部(言い換えれば、底部)に配置されている。例えば、ストレーナ405は、そのストレーナ405の全体が貯液空間404aに溜まる液相冷媒Lr内に沈むように配置されている。
【0120】
出口管407は、上下方向に延伸するパイプである。出口管407は、その出口管407の上端にて蓋体403に固定され、その出口管407の上端は出口通路403dの上流端403eに接続されている。この出口管407の上端は、
図1における貯液部出口402に該当する。
【0121】
また、出口管407の下端にはストレーナ405が固定され、その出口管407の下端は、ストレーナ405を介して貯液空間404aへ開放されている。すなわち、出口管407の下端もストレーナ405と同様に、貯液空間404aに溜まる液相冷媒Lr内に沈むように配置されている。
【0122】
従って、貯液空間404aに溜まる液相冷媒Lrに混入した異物は、その液相冷媒Lrが出口管407へ流入する前にストレーナ405に捕捉される。すなわち、その貯液空間404aに溜まる液相冷媒Lrは、出口管407へ流入する前にストレーナ405によって濾過される。
【0123】
乾燥剤406は多数の粒状物から構成されており、その乾燥剤406である多数の粒状物は、液相冷媒Lrが浸透可能な不織布で構成された袋406aに収容されている。この乾燥剤406の袋406aは出口管407を取り巻くように設けられ、その袋406aのうちの少なくとも一部が貯液空間404aに溜まる液相冷媒Lr内に沈むように配置されている。従って、貯液空間404aに溜まる液相冷媒Lrに混入している水分は乾燥剤406に吸着される。
【0124】
このように構成された減圧部30およびレシーバ40では、矢印Ariのように貯液部入口401から蓋体403の入口通路403aを通って貯液空間404aに冷媒が流入すると、その流入した冷媒は、貯液空間404aの下部に液相冷媒Lrとして溜まる。それと共に、その溜まった液相冷媒Lrのうちの一部は、ストレーナ405、出口管407の順にストレーナ405と出口管407とを通って、蓋体403の出口通路403dへ流れる。そして、その出口通路403dを流れる液相冷媒Lrは減圧部30で減圧されてから出口通路403dの下流端403fへ流れ、その下流端403fからレシーバ40の外部(具体的には、切替弁34の第4ポート344)へ矢印Aroのように流出する。
【0125】
(1)上述したように、本実施形態によれば、減圧部30とレシーバ40は一体構成になっている。従って、減圧部30とレシーバ40とが別々に設けられている場合と比較して冷媒の配管を短くすることができるので、冷媒漏れなどの不具合を生じる懸念を小さくすることが可能である。
【0126】
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0127】
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせることも可能である。
【0128】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態と異なる点を主として説明する。
【0129】
図11、
図12に示すように、本実施形態の冷媒回路11の回路構成(別言すれば、冷媒回路11の各構成要素の連結関係)は、第2実施形態と同じである。但し、本実施形態では、第1切替弁34と第2切替弁36とが隣接して配置され、その第1切替弁34と第2切替弁36は一体構成になり、複合切替弁42を構成している。
【0130】
具体的には、
図12~
図14に示すように、本実施形態の第1切替弁34は弁本体部345と第1接続部346と第2接続部347と第3接続部348と第4接続部349と第1弁体350とを有している。その第1接続部346と第2接続部347と第3接続部348と第4接続部349はそれぞれ弁本体部345に接続されている。また、弁本体部345内には本体空間345aが形成され、その本体空間345aには第1弁体350が収容されている。なお、
図12は、
図13の(a)におけるXII方向の矢視図である。
【0131】
第1接続部346内には第1ポート341が形成され、第2接続部347内には第2ポート342が形成され、第3接続部348内には第3ポート343が形成され、第4接続部349内には第4ポート344が形成されている。また、第1弁体350内には弁体通路350aが形成されている。
【0132】
第1弁体350は、本体空間345a内で、直線的な方向である弁体作動方向Dvへ往復動作する。第1弁体350はその弁体作動方向Dvへの往復動作によって、第1切替弁34の第1連通状態と第2連通状態とを切り替える。
【0133】
具体的に、第1切替弁34の第1連通状態では、第1弁体350は
図13の(a)に示すように位置決めされる。これにより、第1連通状態では、減圧部側室外接続口241から第1ポート341へ流入した冷媒は、
図13の(a)の矢印A9のように、第1ポート341から、弁体通路350a、第3ポート343の順に流れて、第3ポート343から貯液部入口401へ流出する。また、減圧部出口302から第4ポート344へ流入した冷媒は、矢印A10のように、第4ポート344から、本体空間345a、第2ポート342の順に流れて、第2ポート342から減圧部側室内接続口201へ流出する。
【0134】
これに対し、第1切替弁34の第2連通状態では、第1弁体350は
図15の(a)に示すように位置決めされる。これにより、第2連通状態では、減圧部側室内接続口201から第2ポート342へ流入した冷媒は、
図15の(a)の矢印A11のように、第2ポート342から、弁体通路350a、第3ポート343の順に流れて、第3ポート343から貯液部入口401へ流出する。また、減圧部出口302から第4ポート344へ流入した冷媒は、
図15の(a)の矢印A12のように、第4ポート344から、本体空間345a、第1ポート341の順に流れて、第1ポート341から減圧部側室外接続口241へ流出する。
【0135】
図12~
図14に示すように、本実施形態の第2切替弁36は、上記した第1切替弁34と同様の機械的構造を備えている。すなわち、本実施形態の第2切替弁36は弁本体部365と第1接続部366と第2接続部367と第3接続部368と第4接続部369と第2弁体351とを有している。その第1接続部366と第2接続部367と第3接続部368と第4接続部369はそれぞれ弁本体部365に接続されている。
【0136】
第2切替弁36の弁本体部365内には本体空間365aが形成され、その本体空間365aには第2弁体351が収容されている。また、第2切替弁36の弁本体部365は第1切替弁34の弁本体部345と一体構成になっており、その2つの弁本体部345、365は複合弁本体部421を構成している。その複合弁本体部421において、第1切替弁34の本体空間345aと第2切替弁36の本体空間365aは仕切壁421aによって隔てられ、互いに独立した空間として形成されている。
【0137】
第2切替弁36において第1接続部366内には第1ポート361が形成され、第2接続部367内には第2ポート362が形成され、第3接続部368内には第3ポート363が形成され、第4接続部369内には第4ポート364が形成されている。また、第2弁体351内には弁体通路351aが形成されている。
【0138】
第2弁体351は、第2切替弁36の本体空間365a内で、第1弁体350と同様に弁体作動方向Dvへ往復動作する。第2弁体351はその弁体作動方向Dvへの往復動作によって、第2切替弁36の第1切替状態と第2切替状態とを切り替える。
【0139】
具体的に、第2切替弁36の第1切替状態では、第2弁体351は
図13の(b)に示すように位置決めされる。これにより、第1切替状態では、圧縮機12の吐出口124から第3ポート363へ流入した冷媒は、
図13の(b)の矢印A13のように流れる。つまり、その第3ポート363へ流入した冷媒は、第3ポート363から、本体空間365a、第1ポート361の順に流れて、第1ポート361から圧縮機側室外接続口242へ流出する。これと同時に、第1切替状態では、圧縮機側室内接続口202から第2ポート362へ流入した冷媒は、
図13の(b)の矢印A14のように流れる。つまり、その第2ポート362へ流入した冷媒は、第2ポート362から、第2切替弁36の弁体通路351a、第4ポート364の順に流れて、第4ポート364から圧縮機12の吸込口123へ流出する。
【0140】
これに対し、第2切替弁36の第2切替状態では、第2弁体351は
図15の(b)に示すように位置決めされる。これにより、第2切替状態では、圧縮機12の吐出口124から第3ポート363へ流入した冷媒は、
図15の(b)の矢印A15のように流れる。つまり、その第3ポート363へ流入した冷媒は、第3ポート363から、本体空間365a、第2ポート362の順に流れて、第2ポート362から圧縮機側室内接続口202へ流出する。これと同時に、第2切替状態では、圧縮機側室外接続口242から第1ポート361へ流入した冷媒は、
図15の(b)の矢印A16のように流れる。つまり、その第1ポート361へ流入した冷媒は、第1ポート361から、第2切替弁36の弁体通路351a、第4ポート364の順に流れて、第4ポート364から圧縮機12の吸込口123へ流出する。
【0141】
また、
図13、
図15に示すように、第1弁体350と第2弁体351はそれぞれ独立に動作するのではなく、弁体連結部材352を介して互いに連結されている。この第1弁体350と第2弁体351との機械的な連結により、第1切替弁34における第1連通状態と第2連通状態との切替え動作と、第2切替弁36における第1切替状態と第2切替状態との切替え動作とが機械的に連動する。例えば、第1弁体350と第2弁体351は、1つの電動アクチュエータによって弁体作動方向Dvへ往復動作させられる。
【0142】
また、
図12に示すように、第1切替弁34の第3接続部348と第2切替弁36の第4接続部369は、高い熱伝導性を有する熱伝導部422を介して互いに連結されている。これにより、第1切替弁34の第3ポート343に流通する冷媒と第2切替弁36の第4ポート364に流通する冷媒とが積極的に熱交換される。
【0143】
(1)上述したように、本実施形態によれば、第1、第2切替弁34、36は、第1切替弁34における第1連通状態と第2連通状態との切替え動作と、第2切替弁36における第1切替状態と第2切替状態との切替え動作とが機械的に連動するように構成されている。これにより、第1切替弁34における第1連通状態と第2連通状態との切替え動作と、第2切替弁36における第1切替状態と第2切替状態との切替え動作とに関わるセンサや電動アクチュエータなどの部品点数を削減することができる。
【0144】
また、本実施形態によれば、第1切替弁34の第3ポート343に流通する冷媒と第2切替弁36の第4ポート364に流通する冷媒とが熱交換される。その結果、第1切替弁34の第3ポート343を通ってレシーバ40へ流入する冷媒は冷却され、第2切替弁36の第4ポート364を通って圧縮機12の吸込口123へ吸い込まれる冷媒は加熱される。
図16には、第1切替弁34の第3ポート343に流通する冷媒と第2切替弁36の第4ポート364に流通する冷媒との熱交換が無い場合のモリエル線
図Mnと、その熱交換がある場合(すなわち、本実施形態)のモリエル線
図Maとがそれぞれ表示されている。
【0145】
従って、
図16のモリエル線
図Ma、Mnから判るように、冷房モード時にも暖房モード時にも、第1切替弁34の第3ポート343の冷媒と第2切替弁36の第4ポート364の冷媒との熱交換が無い場合に比して、本実施形態では冷凍サイクルの効率が向上する。なお、
図16の一点鎖線は冷媒の飽和曲線である。
【0146】
以上説明したことを除き、本実施形態は第2実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第2実施形態と共通の構成から奏される効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
【0147】
なお、本実施形態は第2実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第3~第5実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
【0148】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態と異なる点を主として説明する。
【0149】
図17に示すように、本実施形態では、空調装置10は、第2実施形態のレシーバ40(
図4参照)を備えておらず、その替わりに、アキュムレータ44を備えている。なお、本実施形態では、第1切替弁34と第2切替弁36とが本開示の経路切替部に対応する。
【0150】
本実施形態のアキュムレータ44は、冷媒回路11にて余剰となった液相の余剰冷媒を溜める貯液部である。アキュムレータ44は、第2実施形態のレシーバ40と同様に、冷凍サイクルの負荷変動に対応するために設けられている。アキュムレータ44は、冷媒が流入する貯液部入口441と、冷媒が流出する貯液部出口442とを有している。
【0151】
具体的に、アキュムレータ44は、そのアキュムレータ44内で貯液部入口441から貯液部出口442へ流れる冷媒の気液分離を行うと共に、その貯液部入口441から貯液部出口442へ流れる冷媒のうち液相の余剰冷媒を溜める。それと共に、アキュムレータ44は、アキュムレータ44内の冷媒のうち気相冷媒だけを貯液部出口442から流出させる。
【0152】
本実施形態では、第2実施形態のレシーバ40(
図4参照)が無いので、第1切替弁34の第3ポート343は減圧部入口301に接続されている。
【0153】
そのため、第1切替弁34は第1連通状態になった場合には、減圧部側室外接続口241を減圧部入口301へ連通させる一方で減圧部出口302から遮断し、且つ減圧部側室内接続口201を減圧部出口302へ連通させる一方で減圧部入口301から遮断する。要するに、その場合、第1切替弁34は、複数の接続ポート341~344の相互間を
図3Aに示すように連通させ又は遮断する。
【0154】
また、第1切替弁34は第2連通状態になった場合には、減圧部側室外接続口241を減圧部出口302へ連通させる一方で減圧部入口301から遮断し、且つ減圧部側室内接続口201を減圧部入口301へ連通させる一方で減圧部出口302から遮断する。要するに、その場合、第1切替弁34は、複数の接続ポート341~344の相互間を
図3Bに示すように連通させ又は遮断する。
【0155】
また、第2切替弁36の第4ポート364は、アキュムレータ44を介して圧縮機12の吸込口123に接続されている。すなわち、第2切替弁36の第4ポート364は貯液部入口441に接続され、圧縮機12の吸込口123は貯液部出口442に接続されている。
【0156】
そのため、第2切替弁36は第1切替状態になった場合には、圧縮機12の吐出口124を圧縮機側室外接続口242へ連通させる一方で圧縮機側室内接続口202から遮断する。それと同時に、その第2切替弁36は、貯液部入口441を圧縮機側室内接続口202へ連通させる一方で圧縮機側室外接続口242から遮断する。要するに、その場合、第2切替弁36は、複数の接続ポート361~364の相互間を
図5Aに示すように連通させ又は遮断する。
【0157】
また、第2切替弁36は第2切替状態になった場合には、圧縮機12の吐出口124を圧縮機側室内接続口202へ連通させる一方で圧縮機側室外接続口242から遮断する。それと同時に、その第2切替弁36は、貯液部入口441を圧縮機側室外接続口242へ連通させる一方で圧縮機側室内接続口202から遮断する。要するに、その場合、第2切替弁36は、複数の接続ポート361~364の相互間を
図5Bに示すように連通させ又は遮断する。
【0158】
以上のように構成された本実施形態の空調装置10では、その空調装置10の制御装置により、冷房モード時には
図17、
図3A、
図5Aに示すように、第1切替弁34は第1連通状態に切り替えられ、第2切替弁36は第1切替状態に切り替えられる。そして、圧縮機12が作動させられる。これにより、冷媒回路11は第1流通状態になる。
【0159】
また、暖房モード時には
図17、
図3B、
図5Bに示すように、空調装置10の制御装置により、第1切替弁34は第2連通状態に切り替えられ、第2切替弁36は第2切替状態に切り替えられる。そして、圧縮機12が作動させられる。これにより、冷媒回路11は第2流通状態になる。
【0160】
(1)上述したように、本実施形態によれば、第1切替弁34は第1連通状態と第2連通状態とに切替可能に構成され、第2切替弁36は第1切替状態と第2切替状態とに切替可能に構成されている。そして、冷媒回路11は、第2切替弁36が第1切替状態とされることにより第1流通状態になり、第2切替弁36が第2切替状態とされることにより第2流通状態になる。従って、第2切替弁36の第1切替状態と第2切替状態との切替えによって、冷媒回路11の第1流通状態と第2流通状態との切替えを実現することが可能である。そのため、回転駆動方向の切替不能な圧縮機12を冷媒回路11に用いることが可能である。
【0161】
そして、冷媒回路11の第1流通状態と第2流通状態との何れでも、第1切替弁34の切替え動作によって減圧部30内での冷媒流れの向きを反転させずに減圧部30内に冷媒を流すことができる。また、冷媒回路11の第1流通状態と第2流通状態との何れでも、第2切替弁36の切替え動作によってアキュムレータ44内での冷媒流れの向きを反転させずにアキュムレータ44内に冷媒を流すことができる。
【0162】
以上説明したことを除き、本実施形態は第2実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第2実施形態と共通の構成から奏される効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
【0163】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第7実施形態と異なる点を主として説明する。
【0164】
本実施形態では、
図17に示す減圧部30と第1切替弁34とが一体構成になっている。例えば、その減圧部30と第1切替弁34とが一体構成になった装置の構造としては、第3実施形態に示された構造(
図6、
図7参照)、または、第4実施形態に示された構造(
図8、
図9参照)を採用することができる。但し、その第3実施形態または第4実施形態に示された構造が採用される場合には、第3接続孔373aと第4接続孔374aとが例えば不図示の外部配管によって接続され、互いに連通させられる。
【0165】
(1)上述したように、本実施形態によれば、減圧部30と第1切替弁34は一体構成になっている。従って、減圧部30と第1切替弁34とが別々に設けられている場合と比較して冷媒の配管を短くすることができるので、冷媒漏れなどの不具合を生じる懸念を小さくすることが可能である。
【0166】
以上説明したことを除き、本実施形態は第7実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第7実施形態と共通の構成から奏される効果を第7実施形態と同様に得ることができる。
【0167】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第7実施形態と異なる点を主として説明する。
【0168】
本実施形態の冷媒回路11の回路構成(別言すれば、冷媒回路11の各構成要素の連結関係)は、第7実施形態と同じである。但し、本実施形態では、第1切替弁34と第2切替弁36とが隣接して配置され、その第1切替弁34と第2切替弁36は一体構成になり、複合切替弁42を構成している。本実施形態の複合切替弁42としては、第6実施形態の複合切替弁42(
図12~
図15参照)を採用することができる。
【0169】
但し、本実施形態では、
図13、
図17に示すように、第1切替弁34の第3ポート343は減圧部入口301に接続され、第2切替弁36の第4ポート364は貯液部入口441に接続されている。
【0170】
(1)上述したように、本実施形態の第1切替弁34と第2切替弁36とを含む複合切替弁42は、第6実施形態の複合切替弁42と同じ構造を備えている。従って、本実施形態でも、第1、第2切替弁34、36は、第1切替弁34における第1連通状態と第2連通状態との切替え動作と、第2切替弁36における第1切替状態と第2切替状態との切替え動作とが機械的に連動するように構成されている。これにより、本実施形態でも、第6実施形態の複合切替弁42が奏する作用効果を第6実施形態と同様に得ることができる。
【0171】
以上説明したことを除き、本実施形態は第7実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第7実施形態と共通の構成から奏される効果を第7実施形態と同様に得ることができる。
【0172】
なお、本実施形態は第7実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第8実施形態と組み合わせることも可能である。
【0173】
(他の実施形態)
(1)上述の各実施形態では、減圧部30は、絞り開度を増減可能な可変絞り機構を備えているが、これは一例である。例えば、減圧部30は、キャピラリチューブやオリフィス等の固定絞りで構成されていても差し支えない。
【0174】
(2)上述の各実施形態では、空調装置10は、例えば車両に搭載される装置であるが、その空調装置10の用途は車両用に限らない。
【0175】
(3)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
【0176】
また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0177】
11 冷媒回路
12 圧縮機
30 減圧部
34 切替弁(経路切替部)
40 レシーバ(貯液部)
44 アキュムレータ(貯液部)
301 減圧部入口
302 減圧部出口
401、441 貯液部入口
402、442 貯液部出口