(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110791
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】生産支援システム及び生産支援装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015593
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】逢坂 竜生
(72)【発明者】
【氏名】中世古 拓己
(72)【発明者】
【氏名】谷口 昭彦
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA43
3C100AA47
3C100BB02
3C100BB03
3C100BB05
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB14
3C100BB24
(57)【要約】
【課題】製品ごとに生産台数及び物理的規模が異なる工場の生産性の低下を抑制する。
【解決手段】 実施形態に係る生産支援システムは、第1記憶部と、管理部と、決定部と、搬送機構とを備える。第1記憶部は、製品と、製品を構成する部品と、製品及び部品の各々の物理的規模と、物理的規模に対応する製造場所と、製品及び部品の各々を製造する工程及び工程順序と、製造場所ごとの位置、使用状況及び予約状況とを関連付けて記憶する。管理部は、第1記憶部を管理し、部品又は製品を製造する次の工程の前に、製造される部品又は製品の物理的規模に応じた製造場所を選択し、当該製造場所の使用状況又は予約状況を次の工程に設定するよう第1記憶部を更新する。決定部は、第1記憶部の記憶内容に基づき、次の工程の直前の工程で製造された部品の搬送先を、選択された製造場所の位置に決定する。搬送機構は、決定された搬送先に対して、製造された部品を搬送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品ごとに生産台数及び物理的規模が異なる工場における生産支援システムであって、
前記製品と、前記製品を構成する部品と、前記製品及び前記部品の各々の物理的規模と、前記物理的規模に対応する製造場所と、前記製品及び前記部品の各々を製造する工程及び工程順序と、前記製造場所ごとの位置、使用状況及び予約状況とを関連付けて記憶した第1記憶部と、
前記第1記憶部を管理し、前記部品又は製品を製造する次の工程の前に、前記製造される部品又は製品の物理的規模に応じた製造場所を選択し、当該製造場所の使用状況又は予約状況を前記次の工程に設定するよう前記第1記憶部を更新する管理部と、
前記第1記憶部の記憶内容に基づき、前記次の工程の直前の工程で製造された部品の搬送先を、前記選択された製造場所の位置に決定する決定部と、
前記決定された搬送先に対して、前記製造された部品を搬送する搬送機構と、
を備えた生産支援システム。
【請求項2】
前記物理的規模に対応する製造場所は、前記物理的規模毎に分類された複数の製造ラインの場所である、請求項1記載の生産支援システム。
【請求項3】
前記管理部は、前記工程順序に従って前記工程が終了した場合、前記終了した工程の次の工程で使用する製造場所を選択する、請求項1記載の生産支援システム。
【請求項4】
前記管理部は、前記工程順序に従って前記工程が終了した場合、前記終了した工程で使用した製造場所の使用状況を空き状態にするよう前記第1記憶部を更新する、請求項1記載の生産支援システム。
【請求項5】
前記製造場所ごとの位置は、前記使用状況が空き状態の場合には未定であり、前記使用状況が前記次の工程に更新された場合に前記第1記憶部に設定される、請求項1記載の生産支援システム。
【請求項6】
前記製造場所ごとの位置は、前記製造場所ごとに予め定められた固定値である、請求項1記載の生産支援システム。
【請求項7】
前記搬送機構は、前記搬送する部品の製造に用いた作業台を備え、前記製造された部品を前記作業台に載置した状態で搬送する、請求項1記載の生産支援システム。
【請求項8】
第2記憶部を更に備え、
前記工場内の全ての製造場所の中で相対的に大きい前記物理的規模に対応する製造場所は、相対的に小さい物理的規模に対応する複数の製造場所から構成されており、
前記第2記憶部は、前記小さい物理的規模に対応する製造場所ごとに、当該製造場所の位置、前記小さい物理的規模及び使用状況を関連付けて記憶し、
前記管理部は、前記製造場所を選択する際に、前記小さい物理的規模に対応し且つ空き状態を示す搬送先の製造場所が前記第1記憶部に記憶されていない場合、当該搬送先の製造場所を前記第2記憶部の記憶内容から選択する、
請求項1記載の生産支援システム。
【請求項9】
前記物理的規模は、サイズ又は重さである、請求項1記載の生産支援システム。
【請求項10】
前記決定された搬送先に対して、前記次の工程に応じたツール及び製造設備の少なくとも一方を提供する提供機構、を更に備えた請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の生産支援システム。
【請求項11】
製品ごとに生産台数及び物理的規模が異なる工場における生産支援装置であって、
前記製品と、前記製品を構成する部品と、前記製品及び前記部品の各々の物理的規模と、前記物理的規模に対応する製造場所と、前記製品及び前記部品の各々を製造する工程及び工程順序と、前記製造場所ごとの位置、使用状況及び予約状況とを関連付けて記憶した第1記憶部と、
前記第1記憶部を管理し、前記部品又は製品を製造する次の工程の前に、前記製造される部品又は製品の物理的規模に応じた製造場所を選択し、当該製造場所の使用状況又は予約状況を前記次の工程に設定するよう前記第1記憶部を更新する管理部と、
前記第1記憶部の記憶内容に基づき、前記次の工程の直前の工程で製造された部品の搬送先を、前記選択された製造場所の位置に決定する決定部と、
を備えた生産支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、生産支援システム及び生産支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ある工場では、迅速検査装置又は超音波プローブのような数十センチメートルのサイズの小物製品から、X線CT装置又はMRIのような数メートルのサイズの大物製品まで、大小さまざまな医療機器の製品を製造している。詳しくは、この工場は、製品毎に多数の機種の医療機器を製造している。また、この工場は、製品の組立(assembly)をするための部品、又はユニットの一部を組み立てて、当該部品等の品質を検査する必要がある。すなわち、ある1つの工場では、大小さまざまで且つ多数の機種の医療機器及びその部品等を製造、検査及び出荷している。この種の工場では、通常、製品ごとに決められた生産ラインで医療機器を製造している。
【0003】
しかしながら、このような工場では、例えば、製品毎に生産台数が異なることから、製品ごとの生産ラインの状態が大きく異なる場合がある。例えば、この工場では、高い生産台数の製品に対する稼働率100%の高稼働状態の生産ラインと、低い生産台数の製品に対する低稼働率又は休止状態の生産ラインとが併存する場合がある。この場合、この工場では、全ての生産ラインの占有面積のうち、低い生産台数の製品に対する生産ラインの占有面積に応じて、単位面積当たりの生産性が低下してしまう。なお、この工場では、生産性が低下すると、単位期間当たりの製品の生産台数が減少し、製品納期が長期化してしまうため、生産性の低下を抑制する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、製品ごとに生産台数及び物理的規模が異なる工場における生産性の低下を抑制することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る生産支援システムは、製品ごとに生産台数及び物理的規模が異なる工場におけるシステムである。前記生産支援システムは、第1記憶部と、管理部と、決定部と、搬送機構とを備える。前記第1記憶部は、前記製品と、前記製品を構成する部品と、前記製品及び前記部品の各々の物理的規模と、前記物理的規模に対応する製造場所と、前記製品及び前記部品の各々を製造する工程及び工程順序と、前記製造場所ごとの位置、使用状況及び予約状況とを関連付けて記憶する。前記管理部は、前記第1記憶部を管理し、前記部品又は製品を製造する次の工程の前に、前記製造される部品又は製品の物理的規模に応じた製造場所を選択し、当該製造場所の使用状況又は予約状況を前記次の工程に設定するよう前記第1記憶部を更新する。前記決定部は、前記第1記憶部の記憶内容に基づき、前記次の工程の直前の工程で製造された部品の搬送先を、前記選択された製造場所の位置に決定する。前記搬送機構は、前記決定された搬送先に対して、前記製造された部品を搬送する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る生産支援システム及びその周辺構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る製品及び部品の物理的規模を説明するための模式図である。
【
図3A】
図3Aは、第1の実施形態における大物製品の生産ラインを説明するための模式図である。
【
図3B】
図3Bは、第1の実施形態における製造ラインの選択を説明するための模式図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態における中物製品の生産ラインを説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態における小物製品の生産ラインを説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態における各製品の生産ラインの関係を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る搬送機構の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る生産支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る生産計画データの一例を説明するための模式図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る製品BOM(部品表)の一例を説明するための模式図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る製品BOP(製造方法)の一例を説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係る水準テーブルの一例を説明するための模式図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態に係るライン情報の一例を説明するための模式図である。
【
図14】
図14は、第1の実施形態に係る配置情報の一例を説明するための模式図である。
【
図15】
図15は、第1の実施形態に係る設備情報の一例を説明するための模式図である。
【
図16】
図16は、第1の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
【
図19】
図19は、第1の実施形態に比較される比較例を説明するための模式図である。
【
図20】
図20は、第2の実施形態に係る生産支援システム及びその周辺構成を示す模式図である。
【
図21】
図21は、第2の実施形態に係る配置情報の一例を説明するための模式図である。
【
図22】
図22は、第2の実施形態におけるステップST75の動作を説明するための模式図である。
【
図23】
図23は、第3の実施形態に係る生産支援システム及びその周辺構成を示す模式図である。
【
図24】
図24は、第3の実施形態に係る配置情報の一例を説明するための模式図である。
【
図25】
図25は、第3の実施形態に係る設備情報の一例を説明するための模式図である。
【
図26】
図26は、第3の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
【
図28】
図28は、第4の実施形態における大物製品の生産ラインを説明するための模式図である。
【
図29】
図29は、第4の実施形態に係るライン部分情報の一例を説明するための模式図である。
【
図30】
図30は、第4の実施形態における動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係る生産支援システム及び生産支援装置について説明する。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る生産支援システム及びその周辺構成を示す模式図である。この生産支援システムは、製品ごとに生産台数及び物理的規模が異なる工場におけるシステムであり、例えば、予め設定された生産計画に基づき、工場2内の生産状況を管理・制御する。
図1中、生産支援システムは、パーツセンター1から部品が供給される工場2に設けられ、後述する生産支援装置50及び搬送機構C10~C30を備えている。また、工場2で製造された製品は、倉庫3で梱包及び出荷される。
【0010】
ここで、工場2は、例えば医療機器工場のように、製品ごとに生産台数及び物理的規模が異なる複数の製品を生産する工場である。このような工場2は、互いに生産台数が異なるさまざまな物理的規模の製品を効率よく製造するため、製品毎の製造場所ではなく、製造する部品又は製品の物理的規模毎に分類(層別)された複数の製造場所を有している。なお、製造場所は、製造ラインの場所である。よって以下、便宜的に、製造場所を製造ラインとも呼ぶ。工場2は、物理的規模がサイズであり、6つの小物製造ラインL11~L16と、4つの中物製造ラインL21~L24と、2つの大物製造ラインL31~L32とを有する。小物製造ラインL11~L16により製造された小物の製品又は部品は、小物の搬送機構C10により、中物製造ラインL21~L24、大物製造ラインL31~L32、又は検査部PI10に搬送される。なお、搬送機構C10の経路は、いくつかの例を図示したが、これに限定されない。このことは、他の搬送機構C20、C30の経路についても同様である。また、中物製造ラインL21~L24により製造された中物の製品又は部品は、中物の搬送機構C20により、大物製造ラインL31~L32、又は検査部PI20に搬送される。同様に、大物製造ラインL31~L32により製造された大物の製品は、大物の搬送機構C30により、検査部PI30に搬送される。なお、小物製造ラインL11~L16及び中物製造ラインL21~L24のように、サブ組み立てラインからも検査部PI10,PI20を介して製品を出荷可能である。また、小物製造ラインL11~L16、中物製造ラインL21~L24及び大物製造ラインL31~L32には、適宜、製造に用いるツールや設備が保管エリアSAから搬送される。これら小物製造ラインL11~L16、中物製造ラインL21~L24、大物製造ラインL31~L32、搬送機構C10~C30及び保管エリアSAは、生産支援装置50に管理されている。なお上記では説明のためライン数を実際に定義したが、各実施形態を利用する際はこの数以外の組み合わせでも適用可能である。
【0011】
次に、前述した物理的規模、大物製造ラインL31~L32、中物製造ラインL21~L24、小物製造ラインL11~L16について補足的に説明する。以下の説明では、大物製造ラインL31~L32を区別しない場合に、大物製造ラインL30として述べる。また、中物製造ラインL21~L24を区別しない場合に、中物製造ラインL20として述べる。同様に、小物製造ラインL11~L16を区別しない場合に、小物製造ラインL10として述べる。
【0012】
物理的規模は、
図2の例では、部品又は製品が相対的に小さいサイズ、中のサイズ、大きいサイズ、といった3水準で分類される。但し、分類数は、3水準に限らず、2水準や4水準なども必要に応じて選定可能である。また、分類基準は、例えば、部品又は製品の最大長さが0.5メートル未満を小、0.5メートル以上1メートル未満を中、1メートル以上を大とするなど、適宜、決定して構わない。
図2中、小さいサイズには、部品であるシンチレータアレイ4、製品である超音波プローブ5、製品である迅速検査装置・検査キット6、製品である分子検査装置・検査キット7が分類される。中のサイズには、部品であるX線検出器8、部品である寝台9、部品である傾斜磁場コイル10、製品である検体検査装置11、製品である超音波診断装置12、部品であるΩアーム・Cアーム13が分類される。なお、部品のうち、複数の同種部品を組み合わせた部品をサブユニットと呼んでもよい。例えば、X線検出器8は、複数のシンチレータアレイ4を組み合わせた部品であるので、サブユニットと呼んでもよい。大きいサイズは、製品であるX線CT装置14、製品であるPET-CT装置15、製品であるMRI装置16、製品であるX線TV装置17、製品であるX線アンギオグラフィ装置18が分類される。
【0013】
ここで、物理的規模の大きい製品は、
図3Aに示す如き、大物製品の生産ラインPL300を構成する小物製造ラインL10、中物製造ラインL20、大物製造ラインL30を順次、工場2内に割り当てて稼働させることにより、生産される。例えば、始めに小物製造ラインL10が工場2内に割り当てられる。この時点では、この大物製品のための中物製造ラインL20及び大物製造ラインL30は工場2内に割り当てられていないか、生産計画に基づいた使用予定ラインが決められている。小物製造ラインL10では、小型のベルトコンベア上でシンチレータアレイ4等の小物部品が製造される。小物部品の製造後、工場2内の生産状況および製造ラインの使用状況から、最適な中物製造ラインL20が工場2内に割り当てられる。小物部品は、小型のAGV等の搬送機構C10により、検査部PI10及び中物製造ラインL20に搬送される。AGVは、automatic guided vehicle(無人搬送車)の略語である。中物製造ラインL20では、中型のベルトコンベア上でX線検出器8等の中物部品が小物部品から製造される。中物部品の製造後、工場2内の生産状況および製造ラインの使用状況から最適な大物製造ラインL30が工場2内に割り当てられる。中物部品は、中型のAGV等の搬送機構C20により、検査部PI20及び大物製造ラインL30に搬送される。大物製造ラインL30では、大型のベルトコンベア上でX線CT装置14等の大物製品が中物部品から製造される。なお、大物製造ラインL30は、小物製造ラインL10から小物部品が搬送される場合、当該小物部品を中物部品とともに大物製品の製造に用いてもよい。製造された大物部品は、大型のAGV等の搬送機構C30により、検査部PI30に搬送される。このような生産ラインPL300は、6通りの小物製造ラインL11~L16と、4通りの中物製造ラインL21~L24と、2通りの大物製造ラインL31~L32とからなる6×4×2通りの組み合わせで製造ラインを割り当て可能となっている。但し、前述したように、ライン数は、任意の組み合わせを適用可能である。すなわち、生産ラインPL300は、P通りの小物製造ラインL10と、Q通りの中物製造ラインL20と、R通りの大物製造ラインL30とからなるP×Q×R通りの組み合わせで製造ラインを割り当て可能となっている(但し、P,Q,Rは、任意の複数であり、2≦R≦Q≦Pの関係にある。)。また、
図3Bに一例を示すように、X線CT等の大物製品は、連続して製造される場合でも、オプションの有無といった仕様の違いにより、互いに異なる製造ラインを順に割り当てて製造することが可能である。このことは、中物製品及び小物製品でも同様である。
【0014】
同様に、物理的規模が中の製品は、
図4に示す如き、中物製品の生産ラインPL200を構成する小物製造ラインL10、中物製造ラインL20を順次、工場2内に割り当てて稼働させることにより、生産される。例えば、始めに小物製造ラインL10が工場2内に割り当てられる。この時点では、この中物製品のための中物製造ラインL20は工場2内に割り当てられていない。小物製造ラインL10では、小型のベルトコンベア上で超音波プローブ5等の小物製品や小物部品が製造される。小物製品及び小物部品の製造後、中物製造ラインL20が工場2内に割り当てられる。小物製品及び小物部品は、搬送機構C10により、検査部PI10及び中物製造ラインL20に搬送される。中物製造ラインL20では、中型のベルトコンベア上で超音波診断装置12等の中物製品が小物製品及び小物部品から製造される。製造された中物製品は、搬送機構C20により、検査部PI20に搬送される。このような生産ラインPL200は、前述同様に、P通りの小物製造ラインL10と、Q通りの中物製造ラインL20とからなるP×Q通りの組み合わせで製造ラインを割り当て可能となっている。このため、物理的規模が中の製品は、P通りの小物製造ラインL10のいずれかと、Q通りの中物製造ラインL20のいずれかとを順に経由して製造される。
【0015】
また同様に、物理的規模が小の製品は、
図5に示す如き、小物製品の生産ラインPL100を構成する小物製造ラインL10を工場2内に割り当てて稼働させることにより、生産される。例えば、小物製造ラインL10では、小型のベルトコンベア上で迅速検査装置・検査キット6等の小物製品が製造される。製造された小物製品は、搬送機構C10により、検査部PI10に搬送される。このような生産ラインPL100は、前述同様に、P通りの小物製造ラインL10のいずれかを適宜、割り当て可能となっている。このため、物理的規模が小の製品は、P通りの小物製造ラインL10のいずれかを経由して製造される。
【0016】
ここで、
図6に示すように、小物製造ラインL10(で表す各々の小物製造ラインL11~L16)は、他の小物製品、他の小物部品又は他の小物サブユニットを製造するラインを兼ねることができる。同様に、中物製造ラインL20(で表す各々の中物製造ラインL21~L24)は、他の中物製品、他の中物部品又は他の中物サブユニットを製造するラインを兼ねることができる。同様に、大物製造ラインL30(で表す各々の大物製造ラインL31~L32)は、他の大物製品を製造するラインを兼ねることができる。
【0017】
次に、部品又は製品を搬送する搬送機構C10~C30について
図7を用いて説明する。なお、各々の搬送機構C10~C30は、互いに大きさが異なるものの同様の機能を備えているため、以下では、特段の区別をせずに説明する。
【0018】
搬送機構C10、C20、C30は、例えば、無人搬送車(AGV)又は可動式ステージのように、部品を保持して搬送(自走)する移動体である。但し、これに限らず、搬送機構C10、C20、C30は、ベルトコンベアのように、部品を載置したリング状のベルトを回転移動させて当該部品を搬送する固定式の設備であってもよい。搬送機構C10~C30は、物理的規模ごとに層別されたワーク(部品、仕掛品)を製造場所へ搬送するシステムの一例である。
【0019】
搬送機構C10、C20、C30は、保持機構21、通信インタフェース22、センサ23、処理回路24及び走行機構25を備えている。
【0020】
保持機構21は、部品又は製品を保持する機構である。保持機構21としては、例えば、部品又は製品、あるいは部品又は製品を収容した業務用カゴを保持するテーブルとしてもよく、処理回路24又は図示しないスイッチに接続され、当該業務用カゴが載置されたパレットを保持してリフトアップする機構としてもよい。なお、これに限らず、保持機構21は、工場2内の保管エリアSAに保管されたツール又は製造設備のうち、次の工程に応じたツール又は製造設備を保持してもよい。この場合、搬送機構C10~C30は、生産支援装置50で決定された搬送先に対して、次の工程に応じたツール及び製造設備の少なくとも一方を提供する提供機構の一例となる。
【0021】
通信インタフェース22は、処理回路24に接続され、生産支援装置50や他の搬送機構C10~C30と無線通信するためのインタフェースである。通信インタフェース22は、例えば、Bluetooth(登録商標)無線通信方式で通信を行う。また、通信インタフェース22は、搬送機構C10~C30の各々の識別情報が記録されたRF-IDを含んでもよい。この場合、生産支援装置50は、工場2内に配置した複数のセンサ(図示せず)のいずれかが当該識別情報を読み取ることにより、当該読み取ったセンサの位置として搬送機構C10~C30の各々の現在位置を検出する。但し、搬送機構C10~C30の現在位置については、RF-IDに代えて、例えば、天井などの高所に設けたカメラによって光学的に検出してもよい。以下の説明では、通信インタフェース22を介して無線通信を行う旨の記載を省略する。
【0022】
センサ23は、走行経路を誘導するために搬送機構C10~C30の周辺環境を検出し、得られたセンサ信号を処理回路24に出力する。センサ23としては、例えば、磁気誘導方式に用いる磁気センサ、光学誘導方式に用いる光学センサ、SLAM誘導方式に用いるカメラ又はLiDARレーダ、などのように誘導方式に応じたものが適宜、使用可能となっている。LiDARは、Light Detection And Ranging(光検出と測距)の略語である。SLAMは、Simultaneous Localization and Mapping(自己位置推定とマッピングの同時実行)の略語である。この例では、センサ23は、SLAM誘導方式に用いるLiDARなどのレーダを用いている。
【0023】
処理回路24は、生産支援装置50から受信した搬送先の情報と、センサ23の出力とに基づいて、走行機構25を制御して搬送機構C10~C30を搬送先に走行させる。また、処理回路24は、センサ23の出力に基づいて、搬送機構C10~C30の各々の現在位置の座標情報などを生産支援装置50に送信する。
【0024】
走行機構25は、処理回路24からの制御に応じて走行することにより、保持機構21に保持された部品又は製品を搬送先に搬送する。搬送機構C10~C30は、生産支援装置50により決定された搬送先に対して、製造された部品を搬送する搬送機構の一例である。
【0025】
次に、部品又は製品の製造ラインを管理し、製品の生産を支援する生産支援装置50について
図8を用いて説明する。
【0026】
生産支援装置50は、無線通信可能なコンピュータであり、持ち運び可能な可搬型や、机上で用いる据置き型のいずれとしてもよい。具体的には、生産支援装置50は、メモリ51、入力インタフェース52、通信インタフェース53、ディスプレイ54及び処理回路55を備えている。
【0027】
メモリ51は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びHDD(Hardware Disk Drive)など電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。メモリ51は、例えば、生産支援装置50の生産支援プログラム等の各種プログラムと、搬送機構C10~C30から取得した座標情報、処理に用いる各種情報、処理途中のデータ、処理後のデータ等の各種データとを記憶する。
【0028】
ここで、各種情報としては、
図9乃至
図15に示すように、生産計画データ51a、製品BOM51b、製品BOP51c、水準テーブル51d、ライン情報51e、マップ情報51f、設備情報51gがある。なお、BOMは、Bills Of Materials(部品表)の略語である。BOPは、Bills Of Process(製造方法、工程表)の略語である。また、各種情報は、互いに何らかの情報を介して関連付けられてデータベースを構成している。また、各種情報は、当該データベース内において、適宜、項目の集合からなる構成を変更してもよい。例えば、水準テーブル51dの項目「水準」を製品BOM51bに移動させてもよく、この場合、水準テーブル51dは省略される。また、製品BOP51cの項目「工程順序」は、生産計画データ51aにコピーしてもよい。各種情報の名称は、便宜的なものであり、適宜変更してもよい。例えば、水準テーブル51dは、規模テーブルと呼んでもよく、ライン情報51eは、場所情報と呼んでもよい。設備情報51gは、ツール/設備情報と呼んでもよく、ツール情報と呼んでもよい。
【0029】
生産計画データ51aは、製品を生産するスケジュール計画を表すデータである。生産計画データ51aは、
図9に示すように、製品名、製造数量、日程制約、作業日程、作業工程名が関連付けられて書き込まれる。製品名は、製品の名称である。但し、製品名は、製品を識別できればよいので、必ずしも製品の名称に限らず、製品の型番、製品の略語等を用いてもよい。製造数量は、製品を製造する数量である。日程制約は、納期などのように、作業日程の制約を示す情報である。作業日程は、部品又は製品を生産するための作業工程を行う日程である。作業工程名は、作業工程の名称である。
【0030】
製品BOM51bは、製品を構成する部品を表すテーブルである。製品BOM51bは、
図10に示すように、品名、型式、メーカ名、仕様、材質、数量、サイズ[m]が関連付けられて書き込まれる。品名は、部品名及び製品名の総称であり、部品名又は製品名と呼んでもよい。数量は、製品に含まれる部品の数である。サイズ[m]は、部品又は製品の最大寸法であり、物理的規模に関連付け可能な指標である。
【0031】
製品BOP51cは、部品から製品を製造する作業工程を表すテーブルである。製品BOPは、
図11に示すように、品名、型式、工程順序、作業工程名、作業手順、作業時間、使用する部品の品名・型式、部品分類、使用する数量、ツール/設備IDが関連付けられて書き込まれる。品名、型式は、生産される部品又は製品の名称、型式である。工程順序は、作業工程の実行順序である。作業時間は、作業に要する見込みの時間である。部品分類は、使用する部品をメイン部品(組み付けられる部品)又はサブ部品(組み付ける部品)に分類した結果である。ツール/設備IDは、作業工程に使用するツール又は設備を識別する識別子である。
【0032】
水準テーブル51dは、部品又は製品ごとに水準(例、物理的規模)を表すテーブルである。水準テーブル51dは、
図12に示すように、品名、形式、サイズ[m]、水準が関連付けられて書き込まれる。水準は、部品又は製品のサイズを分類した結果を表している。水準は、
図12の例では、0.5メートル未満のサイズを「小」、0.5メートル以上1メートル未満のサイズを「中」、1メートル以上のサイズを「大」と表現している。
【0033】
ライン情報51eは、工場2内の製造場所(製造ライン)の使用状況を水準毎に管理するテーブルである。ライン情報51eは、
図13に示すように、場所ID、位置範囲、使用状況、予約状況、水準が関連付けられて書き込まれる。場所IDは、工場2内の製造場所を識別する識別子である。位置範囲は、工場2内の製造場所の位置範囲を示す情報である。例えば、位置範囲は、製造場所が長方形の場合、長方形の対角線上の頂点を表す座標情報の組が使用可能となっている。また例えば、位置範囲は、製造場所が円形の場合、円形の中心を表す座標情報と、円形の半径を表す距離との組が使用可能となっている。なお、位置範囲は、製造場所の位置を示す例である。例えば、所定形状且つ所定面積の製造場所について当該製造場所を指定する位置が決まっている場合、当該指定する位置に応じて製造場所の位置範囲が特定される。このため、ライン情報51eでは「位置範囲」に代えて「位置」を記述してもよい。使用状況は、製造場所ごとに、使用されない空き状態、又は使用される作業工程名を表す。予約状況は、製造場所ごとに、予約されない空き状態、又は予約される作業工程名を表す。水準は、当該製造場所で製造される部品又は製品の物理的規模を表す。
【0034】
マップ情報51fは、
図14に示すように、工場2内において、小物製造ラインL11~L16、中物製造ラインL21~L24、大物製造ラインL31~L32、保管エリアSAの配置を表す情報である。マップ情報51fは、例えば、横軸に沿った位置をx座標で識別可能であり、縦軸に沿った位置をy座標で識別可能である。前述したライン情報51e内の位置範囲は、場所ID「L31」で識別される大物製造ラインL31が長方形の場合、大物製造ラインL31における紙面左下の頂点Paの座標(x4,y11)と、紙面右上の頂点Pbの座標(x9,y12)との組で表現される。当該マップ情報51fは、予め設定してもよく、搬送機構C10~C30のSLAM誘導方式により作成されるマップ情報を用いてもよい。
【0035】
設備情報51gは、ツール/設備の使用状況を管理するテーブルである。設備情報51gは、
図15に示すように、ツール/設備ID、現在位置、場所ID、使用状況が関連付けられて書き込まれる。ツール/設備IDは、ツール又は設備の識別子である。現在位置は、当該ツール又は設備の現在位置を表す座標情報である。現在位置は、例えば、ツール又は設備のRF-IDに識別情報が記録され、工場2内の複数のセンサ(図示せず)のいずれかに接近したRF-IDから当該センサが識別情報を読み取ることで、当該センサを配置した位置として生産支援装置50に検出される。場所IDは、当該現在位置を含む位置範囲をもつ小物製造ラインL11~L16、中物製造ラインL21~L24、大物製造ラインL31~L32、又は保管エリアSAの識別子である。なお、同様にして、設備情報51gは、搬送機構C10~C30のRF-IDに記録された識別情報を工場2内のセンサが読み取ることにより、搬送機構C10~C30の搬送機構ID、現在位置、場所ID及び使用状況を更に管理してもよい。
【0036】
以上のような各種情報は、第1記憶部の記憶内容の一例である。メモリ51、生産計画データ51a、製品BOM51b、製品BOP51c、水準テーブル51d及びライン情報51eは、製品と、製品を構成する部品と、製品及び部品の各々の物理的規模と、物理的規模に対応する製造場所と、製品及び部品の各々を製造する工程及び工程順序と、製造場所ごとの位置、使用状況及び予約状況とを関連付けて記憶した第1記憶部の一例である。なお、メモリ51内の各種情報(生産計画データ51a、製品BOM51b、製品BOP51c、水準テーブル51d、ライン情報51e等)としては、各実施形態を実施可能な形式であれば、任意の形式が使用可能となっている。このことは、メモリ51内の各種情報が、後述するライン部分情報51e1を含む場合でも同様である。また、メモリ51内の各種情報は、受注予測などの営業情報や未確定の情報を用いてもよく、ユーザが適宜選択可能である。
【0037】
入力インタフェース52は、操作者(ユーザ)からの各種指示・命令・情報・選択・設定を生産支援装置50本体に入力するためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド(又はトラックパッド)、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ(又はタッチスクリーン)等によって実現される。入力インタフェース52は、処理回路55に接続されており、ユーザから受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路55へと出力する。この場合、入力インタフェース52は、ユーザがマウス、キーボード等の物理的な操作部品により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)をディスプレイ54に表示させてもよい。なお、本明細書において入力インタフェース52は物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路55へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース52の例に含まれる。以下の説明では、「ユーザによる入力インタフェース52の操作」を「ユーザの操作」ともいう。
【0038】
通信インタフェース53は、処理回路55に接続され、搬送機構C10~C30と無線通信するためのインタフェースである。通信インタフェース53は、例えば、Bluetooth(登録商標)無線通信方式で通信を行う。以下の説明では、通信インタフェース53を介して無線通信を行う旨の記載を省略する。
【0039】
ディスプレイ54は、各種情報などを表示するディスプレイ本体と、ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイと内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。ディスプレイ54は、例えば、生産計画データ51a、製品BOM51b、製品BOP51c、水準テーブル51d、ライン情報51e、マップ情報51f、設備情報51gなど、任意の情報を適宜、表示可能である。ディスプレイ54は、表示部の一例である。
【0040】
処理回路55は、ユーザにより入力インタフェース52を介してから入力された指示に基づいて、メモリ51に記憶された生産支援プログラムを読み出し、これらに従って生産支援装置50を制御する。例えば、処理回路55は、メモリ51から読み出した生産支援プログラムに従って、生産支援装置50の各機能を実現させるプロセッサである。各機能としては、例えば、管理機能551、決定機能552がある。なお、各機能は、適宜、複数のプロセッサに分散させて実現してもよい。あるいは、各機能又は各機能の一部を、適宜、他の装置に実行させてもよい。また例えば、生産支援装置50を複数台の生産支援装置から構成し、複数の生産支援装置の各々に、当該生産支援装置50の各機能又は各機能の一部を分散して実行させてもよい。
【0041】
次に、各機能としての管理機能551、決定機能552について順に述べる。但し、以下に説明する各機能の分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。ある機能が分担する処理を他の機能が分担する場合でも、処理回路55がその処理を実行することに変わりはないからである。なお、各機能の分担が変更可能なことは、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
【0042】
管理機能551は、メモリ51を管理し、部品又は製品を製造する次の工程の前に、当該製造される部品又は製品の物理的規模に応じた製造場所を選択し、当該製造場所の使用状況又は予約状況を当該次の工程に設定するようメモリ51を更新する。また、管理機能551は、工程順序に従って工程が終了した場合、当該終了した工程の次の工程で使用する製造場所を選択する。また、管理機能551は、工程順序に従って工程が終了した場合、当該終了した工程で使用した製造場所の使用状況を空き状態にするようメモリ51を更新する。処理回路55及び管理機能551は、管理部の一例である。
【0043】
決定機能552は、メモリ51の記憶内容に基づき、次の工程の直前の工程で製造された部品の搬送先を、当該選択された製造場所の位置に決定する。また例えば、決定機能552は、当該直前の工程が終了したことを契機として、当該直前の工程で製造された部品の搬送先を決定する。また、決定機能552は、決定した搬送先を搬送機構C10~C30のいずれかに送信する。これに限らず、決定機能552は、ユーザの操作に応じて、入力された搬送機構ID及び搬送先の位置を、当該搬送機構IDに対応する搬送機構C10~C30のいずれかに送信してもよい。処理回路55及び決定機能552は、決定部の一例である。
【0044】
次に、以上のように構成された生産支援システムの動作について
図16及び
図17のフローチャート、並びに
図18の模式図を用いて説明する。なお、以下の説明は、工場全体の処理アルゴリズムの各ステップを述べており、各ステップは、ユーザが介入せず、工場全体が自動機構か、自動指示によって動作することを前提とする。但し、各ステップは、必要により、ユーザが介入することも可能な前提である。これらの前提は、以下の各実施形態でも同様である。
【0045】
いま、生産支援装置50は、互いに生産台数が異なる様々な水準の製品を生産するための各種情報をメモリ51に記憶しているとする。すなわち、生産計画データ51a、製品BOM51b、製品BOP51c、水準テーブル51d、ライン情報51e、マップ情報51f、設備情報51g等の各種情報がメモリ51に記憶されている。これに伴い、メモリ51は、製品と、製品を構成する部品と、製品及び部品の各々の物理的規模と、物理的規模に対応する製造場所と、製品及び部品の各々を製造する工程及び工程順序と、製造場所ごとの位置、使用状況及び予約状況とを関連付けて記憶している。この状態でステップST10が開始される。また本実施形態の生産支援システムおよび生産支援装置50は必要に応じてユーザの確認や操作が可能なことが望ましい。
【0046】
ステップST10において、生産支援装置50の処理回路55は、ユーザの操作やユーザが本ステップを運用する上で作成した生産計画データ51aに応じて、新たに生産する製品に関する各種情報をメモリ51から読み出し、処理回路55が参照可能なメモリ51へ記憶する。この情報はディスプレイ54に表示し各種情報の初期状態が、ユーザにより確認可能なことが望ましい。具体的には例えば、新たに生産する製品の初期状態として、当該生産する製品又は部品の水準と、当該水準の製造場所の使用状況の現状および該製造ラインにおける製品の着工開始予定時刻と、製品を製造する工程及び工程で使用される部品と、工程順序とを確認する。
【0047】
ステップST10の後、ステップST20において、生産支援装置50の処理回路55は、生産する部品又は製品の水準毎に、生産に使用する部品を搬送機構C10にキッティングするための処理を行う。すなわち、自動キッティング設備に対して、生産する部品または製品の水準に応じた部品のキッティング指示を出す。自動キッティング設備は、キッティング指示に基づき、使用する部品一式を業務用カゴやキッティングトレーに揃えた後、当該業務用カゴまたはトレーを搬送機構C10に載置する。なお上記では自動キッティング設備について述べたが、これに限らず、生産支援装置50の指示に従ってキッティングできる方法であれば、任意の方法を用いることができる。
【0048】
ステップST20の後、処理回路55及び搬送機構C10は、部品又は製品の水準に適した製造ラインを選定する。すなわち水準が小物であれば小物製造ラインL10を、中物であれば中物製造ラインL20を、大物であれば大物製造ラインL30を選定し、部品を搬送するためのステップST30を実行する。ステップST30は、ステップST31~ST35を含んでいる。なお、ステップST30において、ステップST31及びST32は、並列に実行される。同様に、ステップST34及びST35は、並列に実行される。
【0049】
ステップST31において、処理回路55は、キッティングされた部品を使用して生産される部品又は製品の水準に基づいてライン情報e1を検索することにより、当該水準に応じた製造場所の使用状況を確認する。
【0050】
ステップST32において、処理回路55は、生産される部品又は製品に基づいて製品BOP51cを検索することにより、作業工程で用いるツール/設備IDを確認する。また、処理回路55は、このツール/設備IDに基づいて設備情報51gを検索することにより、作業工程で用いる製造ツールや設備の使用状況及び現在位置をメモリ51へ記録する。この情報はディスプレイ54に表示可能である。この場合、必要により、ユーザが表示された製造ツールや設備の使用状況及び現在位置を確認できる。また生産支援装置50の使い方によってはディスプレイ54に表示しないことも選べる。必要により、ユーザが予め使用形態を選択できる。
【0051】
ステップST31~ST32の後、ステップST33において、処理回路55は、ステップST31で確認した製造場所のうち、使用状況が空き状態の製造場所か、空き状態の製造場所がない場合には、利用可能な水準の製造場所において稼働している製造BOP情報を確認し、次に空き状態になる製造場所候補を選択する。すなわち、新規に製造する部品・ユニット・製品の水準が小物であり、小物製造ラインL10が空き状況になっている場合には、処理回路55は小物製造ラインL10を選定する。また、処理回路55は、選択した製造場所の場所IDに関連付けてライン情報51e内の使用状況に作業工程名を書き込む。これにより、ライン情報51eにおいて、選択した製造場所の使用状況が、空き状態から作業工程名に更新される。また、処理回路55は、当該選択した製造場所を示す工場2内の位置を搬送先に決定する。なお製造場所候補の選定については、本実施形態の利用者がAIを用いた処理や、経験に基づく処理、もしくは統計手法など種々の方法を利用できる。
【0052】
ステップST34において、処理回路55は、搬送先情報を搬送機構C10を動作させる処理装置へ無線で送信する。搬送機構C10の処理装置は、搬送先を受信すると、搬送機構C10を用いてキッティングされた部品を搬送先に搬送する。
【0053】
ステップST35において、製造ツールや設備を搬送する作業者や、製造ツールまたは設備の搬送自動機構はステップST32で確認した製造ツールや設備のうち、搬送先にないツールや設備を保管エリアSAから取り出して搬送機構C10に載置する。しかる後、処理回路55から無線等で送信された指示に従い搬送機構C10は載置されたツールや設備を搬送先に搬送する。このような搬送機構C10は、決定された搬送先に対して、次の工程に応じたツール及び製造設備の少なくとも一方を提供する提供機構を実現している。なお、直前に搬送先の小物製造ラインL10を使用していた部品と同じツール/設備であればそのまま利用し、同じツール/設備を新たに搬送しない。不要なツール/設備については適宜回収や入れ替えを行う。以上のステップST31~ST35の終了により、ステップST30が終了する。
【0054】
ステップST30の後、ステップST40において、小物製造ラインL10で作業を行う組立自動機は、工程順序に従い、部品から製品の組み立て工程を実行する。具体的には、組立自動機は、ステップST35で搬送されたツールや設備を用い、ステップST34で搬送された部品から小物の部品又は製品を組み立てる。この際、組み立ての単位(完了判断)はあらかじめ製品BOP51cや生産手順書(図示せず)などで定められた内容に従い、組立自動機に設定されている。工程順序に従って組み立て工程が終了した場合、組立自動機は、作業完了信号を処理回路55に送出する。処理回路55は、作業完了信号を受けると、当該組み立て工程で使用した製造場所の使用状況を空き状態にするようメモリ51を更新する。例えば、組み立て作業終了後、処理回路55は、組立自動機の作業完了信号に基づき、ライン情報51e内で小物製造ラインL10の場所IDに関連付けた使用状況を空き状態に更新する。
【0055】
ステップST40の後、ステップST50において、処理回路55は、小物製造ラインL10で組み立てた製品が完成品か否かを判断する。例えば、処理回路55は、ライン情報51e内で小物製造ラインL10の場所IDに対応する使用状況の作業工程名が、製品BOP51c内の作業工程名及び最終の工程順序に対応する場合、小物製造ラインL10で組み立てた製品を完成品と判断する。それ以外の場合には、処理回路55は、小物製造ラインL10で組み立てた製品を部品と判断する。
【0056】
ステップST50による判定の結果、製品が完成品である場合には、ステップST100において、組立自動機が当該製品を搬送機構C10~C30のいずれかに載置する。しかる後、当該製品は、搬送機構C10によって検査部PI10に搬送されて検査が行われる(ステップST101)。なお、製品は、中物であれば、搬送機構C20によって検査部PI20に搬送され、大物であれば、搬送機構C30によって検査部PI30に搬送される。また、検査後の製品は、倉庫3に搬送され、適宜、梱包及び出荷が行われる(ステップST102)。
【0057】
一方、ステップST50による判定の結果、製品が部品である場合には、ステップST60において組立自動機が当該製品を搬送機構C10~C30のいずれかに載置する。しかる後、処理回路55は、製品BOP51cに基づき、次工程を確認する。
【0058】
ステップST60の後、ステップST70において、処理回路55は、次工程の製造ラインを確認し、当該部品を次工程の製造ラインに搬送させる。なお、ステップST70は、工程順序に従って工程(ST40、ST90の組み立て工程)が終了した場合、当該終了した工程の次の工程で使用する製造場所を選択する処理を含んでいる。ステップST70の具体的な動作については後述する。
【0059】
ステップST70の後、ステップST90において、次工程の製造ラインL20又はL30で作業を行う組立自動機は、工程順序に従い、部品から製品の組み立て工程を実行する。具体的には、組立自動機は、ステップST70で搬送されたツールや設備を用い、ステップST70で搬送された部品から、中物製品、中物部品又は大物製品を組み立てる。組み立ての単位(完了判断)は、前述同様に、あらかじめ製品BOP51cや生産手順書(図示せず)などで定められた内容に従い、組立自動機に設定されている。工程順序に従って組み立て工程が終了した場合、組立自動機は、作業完了信号を処理回路55に送出する。処理回路55は、作業完了信号に基づいて、当該組み立て工程で使用した製造場所の使用状況を空き状態にするようメモリ51を更新する。ステップST90の終了後、処理回路55は、ステップST50に戻り、前述同様に処理を実行する。なお、ステップST90で部品を組み立てたときには、ステップST50、ST60、ST70、ST90、ST50のループ処理が実行される。
【0060】
次に、ステップST70の具体的な動作について
図17を用いて説明する。ステップST70は、ステップST71~ST81を含んでいる。なお、ステップST70において、ステップST73及びST74は、並列に実行される。同様に、ステップST76と、ST77と、ステップST78及びST79とは、並列に実行される。
【0061】
ステップST71において、処理回路55は、ステップST60で次工程を確認した部品について、製品BOP51cに基づき、メイン部品であるかサブ部品であるかを判断する。
【0062】
ステップST71による判定の結果、部品がメイン部品である場合には、ステップST72において、処理回路55は、次工程で生産される部品又は製品の水準を確認する。例えば、処理回路55は、製品BOP51cから次工程で生産される部品又は製品の品名を読み出し、当該品名に基づいて、水準テーブル51dから水準を読み出す。
【0063】
ステップST72の後、ステップST73において、処理回路55は、当該読み出した水準に基づいてライン情報e1を検索することにより、当該水準に応じた製造場所の使用状況及び予約状況を確認する。
【0064】
ステップST74において、処理回路55は、生産される部品又は製品に基づいて製品BOP51cを検索することにより、作業工程で用いるツール/設備IDを確認する。また、処理回路55は、このツール/設備IDに基づいて設備情報51gを検索することにより、作業工程で用いる製造ツールや設備の使用状況及び現在位置を記憶装置に記憶する。またディスプレイ54に表示することで、必要により、ユーザが表示された製造ツールや設備の使用状況及び現在位置を確認することが可能となる。
【0065】
ステップST73~ST74の後、ステップST75において、処理回路55は、ステップST73で確認した製造場所のうち、使用状況が空き状態を示す製造場所を選択する。但し、使用状況が空き状態を示す製造場所がない場合、処理回路55は、予約状況が空き状態を示す製造場所を選択する。いずれにしても、処理回路55は、次工程に使用する中物製造ラインL20又は大物製造ラインL30を選定する。また、処理回路55は、選択した製造場所の場所IDに関連付けてライン情報51e内の使用状況又は予約状況に次工程の作業工程名を書き込む。これにより、ライン情報51eにおいて、選択した製造場所の使用状況又は予約状況が作業工程名に更新される。また、処理回路55は、当該選択した製造場所を示す工場2内の位置範囲をライン情報51eに書き込む。補足すると、
図18に示すように、製造場所ごとの位置は、使用状況が空き状態の場合には未定であり、使用状況が次の工程に更新された場合にメモリ51に設定される。例えば
図18の上段に示すように、ライン情報51eにおいて、場所ID「L31」の位置範囲が「未定」であるとする。また、マップ情報51fにおいて、場所ID「L31」の位置範囲が点Pa、Pbの設定可能な座標の範囲で決められているとする。なお、
図18中、点Pa、Pbの設定可能な座標は、パーツセンター1と倉庫3との間を最短距離で結ぶX軸方向に沿った所定の範囲内としたが、これに限らず、Y軸方向に沿った所定の範囲内としてもよい。このとき、
図18の下段に示すように、点Pa、Pbの設定可能な座標の範囲内で、場所ID「L31」の位置範囲をライン情報51e内に設定すればよい。例えば、処理回路55は、予め定めた条件に基づき、点Pa、Pbの設定可能な座標の範囲内で、場所ID「L31」の位置範囲を決めてもよい。この条件は、例えば、パーツセンター1側に寄せる、中央に寄せる、倉庫3側に寄せる等、といった任意の条件が使用可能となっている。いずれにしても、ライン情報51eに位置範囲を書き込んだ後、処理回路55は、当該書き込んだ位置範囲内の位置を搬送先に決定する。
【0066】
ステップST76において、処理回路55は、搬送先を無線で送信する。搬送機構C10又はC20は、搬送先を受信すると、メイン部品と判定された部品を搬送先に搬送する。ステップST76の後、ステップST90に処理が移行する。
【0067】
ステップST77において、製造ツールまたは設備の搬送自動機構は、ステップST74で確認したツールや製造設備のうち、搬送先にないツールや製造設備を保管エリアSAから取り出して搬送機構C10又はC20に載置する。しかる後、生産支援装置50の処理回路55は搬送先を無線等で送信する。この工程については生産支援装置50のユーザが生産支援装置50の入力インタフェース52を用いて指示を出すことも可能だが、基本的には生産支援装置50の処理回路55内で行われる。搬送機構C10又はC20は、搬送先を受信すると、載置されたツールや製造設備を搬送先に搬送する。このような搬送機構C10又はC20は、決定された搬送先に対して、次の工程に応じたツール及び製造設備の少なくとも一方を提供する提供機構を実現している。ステップST77の後、ステップST90に処理が移行する。
【0068】
ステップST78において、生産支援装置50の処理回路55が次工程のBOMを参照し、メイン部品、サブ部品の他に部品が必要な場合、生産支援装置50の処理回路55はパーツセンター1に対し、当該次工程の部品を手配する。
【0069】
ステップST78の後、ステップST79において手配した部品がパーツセンター1から届くと、パーツ配当自動機は、当該部品を搬送機構C10又はC20に載置する。しかる後、生産支援装置50の処理回路55は搬送先を搬送機構C10又は20へ無線等で送信する。搬送機構C10又はC20は、搬送先を受信すると、載置された部品を搬送先に搬送する。ステップST79の後、ステップST90に処理が移行する。
【0070】
一方、ステップST71による判定の結果、部品がサブ部品である場合には、ステップST80において、処理回路55は、製品BOP51cに基づき、当該サブ部品を使用する次工程の作業工程名を確認する。このとき、前述したステップST75において、ライン情報51eの使用状況に作業工程名が書き込まれている。従って、処理回路55は、確認した作業工程名に基づき、ライン情報51eから製造ラインの場所ID及び位置を確認する。また、処理回路55は、当該確認した位置を搬送先に決定する。
【0071】
ステップST80の後、ステップST81において、処理回路55は、搬送先を無線で送信する。搬送機構C10又はC20は、搬送先を受信すると、サブ部品と判定された部品を搬送先に搬送する。ステップST81の後、ステップST90に処理が移行する。
【0072】
以下、前述同様にステップST90以降の処理が行われる。
【0073】
上述したように第1の実施形態によれば、互いに生産台数が異なる製品を生産する工場における生産支援システムが用いられる。生産支援システムは、生産支援装置50及び搬送機構C10を備えている。生産支援装置50は、メモリ51及び処理回路55を備えている。メモリ51は、製品と、製品を構成する部品と、製品及び部品の各々の物理的規模と、物理的規模に対応する製造場所と、製品及び部品の各々を製造する工程及び工程順序と、製造場所ごとの位置、使用状況及び予約状況とを関連付けて記憶している。処理回路55は、メモリ51を管理し、部品又は製品を製造する次の工程の前に、当該製造される部品又は製品の物理的規模に応じた製造場所を選択し、当該製造場所の使用状況又は予約状況を当該次の工程に設定するようメモリ51を更新する。また、処理回路55は、メモリ51の記憶内容に基づき、次の工程の直前の工程で製造された部品の搬送先を、当該選択された製造場所の位置に決定する。搬送機構C10は、当該決定された搬送先に対して、製造された部品を搬送する。
【0074】
このように、処理回路55は、次の工程で製造される部品又は製品の物理的規模に応じた製造場所を選択して使用状況又は予約状況を当該次の工程に更新する。これにより、製品の種類や規模によらず、製造する製品又は製品の部品の物理的規模に対応する製造場所の利用状況に応じて、製品種類や規模によらず工場内の製造場所を適宜利用できる。このように、次の工程で製造される部品又は製品の物理的規模によって、次の工程で使用する製造場所を選択する構成により、製品ごとに生産台数及び物理的規模が異なる工場における生産性の低下を抑制することができる。
【0075】
補足すると、
図19に示す比較例では、製品ごとに生産ラインが設けられている。比較例では、大物製品であるMRIの生産ライン、小物製品である迅速検査キットの生産ライン、他の小物製品の生産ラインがそれぞれ稼働していないとする。また、大物製品の生産ラインは、小物製造ライン、中物製造ライン及び大物製造ラインを含んでいる。比較例の場合、特に、大物製品の生産ラインが稼働しないことにより、工場の生産性を著しく低下させてしまう。
【0076】
一方、第1の実施形態によれば、部品又は製品の物理的規模に応じた製造場所ごとに使用状況を管理し、空き状態の製造場所を当該部品又は製品を製造する工程に割り当てるようにしている。このため、大物製品の生産ラインを構成する大物製造ラインL30、中物製造ラインL20及び小物製造ラインL10に対応する各々の製造場所が同時に空き状態になる事態を抑制することが可能となる。従って、製品ごとに生産台数及び物理的規模が異なる複数の様々な製品を製造する工場における生産性の低下を抑制することができる。例えば医療機器工場のように、1つの工場でサイズや生産台数が極端に異なる複数の製品を生産する場合に、前述した効果をより顕著に奏することができる。
【0077】
また、第1の実施形態によれば、処理回路55は、工程順序に従って工程が終了した場合、当該終了した工程の次の工程で使用する製造場所を選択する。このため、トラブル等によって現在の工程の進捗状況が遅延しても、次の工程以降で使用する製造場所については空き状態にある製造場所を優先的に選択し、また工程完了時に製造場所が空いていない場合でも、最も早く利用可能な製造場所を選定することで、生産が停滞することを抑制できる。すなわち、工程が終了するごとに次の工程の製造場所を選択する構成により、前述した効果に加え、遅延をもたらすトラブルが生じた場合でも、工場全体における生産性の低下を抑制することができる。また、トラブルに強いことに加え、リアルタイムに次工程の製造ラインを選定できるので、製造場所の空き状態が長期化することを防ぐことができる。
【0078】
また、第1の実施形態によれば、処理回路55は、工程順序に従って工程が終了した場合、当該終了した工程で使用した製造場所の使用状況を空き状態にするようメモリ51を更新する。このように、工程が終了した製造場所を他の製品の生産に使用可能な空き状態とする構成により、前述した効果に加え、工場における生産性の低下を抑制することができる。
【0079】
また、第1の実施形態によれば、製造場所ごとの位置は、使用状況が空き状態の場合には未定であり、使用状況が次の工程に更新された場合にメモリ51に設定される。従って、製造場所ごとの位置が予め決まっていないことから、前述した効果に加え、レイアウトの自由度を向上させることができる。
【0080】
また、第1の実施形態によれば、物理的規模はサイズである。従って、前述した効果に加え、サイズの閾値を任意に定めることにより、製品、部品、製造場所のサイズを所望の閾値で分類することができる。
【0081】
また、第1の実施形態によれば、提供機構としての搬送機構C10又はC20は、決定された搬送先に対して、次の工程に応じたツール及び製造設備の少なくとも一方を提供する。従って、前述した効果に加え、ツール及び/又は製造設備が必要な工程による部品又は製品の生産を支援することができる。また、工程ごとにツールや製造設備が異なるため、ツールや製造設備を工程ごとに提供することにより、より一層、生産性の向上を図ることができる。
【0082】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、物理的規模がサイズであったが、これに限定されない。例えば、物理的規模は重さでもよい。この場合、処理回路55は、重い製品又は重い部品に対応する製造場所として、床の耐荷重が大きい1階の製造場所を選択し、軽い製品又は軽い部品に対応する製造場所として、床の耐荷重が小さい2階と床の耐荷重が大きい1階のいずれかの製造場所を選択することができる。この場合、前述した効果に加え、重量の軽い製品は異なる階の製造場所を選択できることから、製造場所の配置の自由度を高めることができる。
【0083】
補足すると、第1の実施形態では、部品又は製品の水準の一例として物理的規模を用い、物理的規模の一例としてサイズ(大きさ)を用いるが、これに限定されない。例えば、水準としては、製品の仕様に基づく特徴(例、X線を用いる装置、磁場を用いる装置、その他の装置)等の分類基準を用いてもよい。例えばX線を用いる装置に対して、耐X線に対する製造場所が用意されていたとしても、その製造場所はX線を用いない装置をつくることもできる。したがってX線を用いない装置の製造場所の自由度が向上し、生産効率低下の抑制に寄与可能となる。また、物理的規模としては、前述した通り、重さを用いてもよい。これらの場合、前述した効果に加え、製品の仕様に基づく製造場所を選択できることから、製品の仕様により適した製造場所を選択することができる。
【0084】
また、第1の実施形態では、製造場所ごとの位置は、使用状況が空き状態の場合には未定であったが、これに限定されない。例えば、製造場所ごとの位置は、当該製造場所ごとに予め定められた固定値であってもよい。この場合、前述した効果に加え、製造場所ごとの位置を設定する処理を省略することができる。また、製造場所ごとの位置が固定値の場合、処理回路55が次工程の製造ラインを選択する際に、工程終了した製造ラインの1番近くにある製造ラインや、部品が集まりやすい製造ライン等といった任意の条件に基づいて、次工程の製造ラインを選択することができる。
【0085】
また、第1の実施形態では、搬送機構C10又はC20がツールや製造設備を搬送(提供)したが、これに限定されない。例えば、ユーザやユーザが認定した作業担当者がツールを搬送してもよく、工場に配置されたレールに沿って製造設備を移動させてもよい。あるいは、クレーンなどで製造設備を搬送してもよい。これらの場合、ツールや製造設備を保持した搬送機構C10又はC20の走行による混雑を緩和することができる。
【0086】
同様に、第1の実施形態では、AGV等の搬送機構C10~C30が部品又は製品を搬送したが、これに限定されない。例えば、ユーザやユーザが認定した作業担当者が部品又は製品を搬送してもよく、工場に配置されたレールに沿って部品又は製品を移動させてもよい。あるいは、クレーンなどで部品又は製品を搬送してもよい。これらの場合、部品又は製品を保持した搬送機構C10~C30の走行による混雑を緩和することができる。
【0087】
また、第1の実施形態では、処理回路55がサブ部品等の判断や、製造場所の位置範囲の設定等といったデータ選定を実行したが、これに限定されない。例えば、適宜、判断やデータ選定の一部をユーザやユーザが認定した作業担当者が実行してもよい。これらの場合、コンピュータが得意な判断やデータ選定については処理回路55に実行させ、人間が得意な判断やデータ選定によってはユーザに実行させることにより、判断やデータ選定に関する信頼性の向上を図ることができる。また人間が介入できることで、メンテナンスやトラブル対応といった非定常動作への対応も容易になる。
【0088】
また、第1の実施形態では、部品又は製品を生産する製造ラインを水準分けして必要時のみ使用したが、これに限定されない。例えば、工場2内の検査部PI10~PI30や、倉庫3内の梱包エリアについても、第1の実施形態と同様に水準分けして必要時のみ使用する構成としてもよい。このような変形例によれば、検査部PI10~PI30や、倉庫3内の梱包エリアについても、第1の実施形態と同様に管理することができる。
【0089】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る生産支援システム及び生産支援装置について
図20乃至
図22を用いて説明する。なお、以下の説明は、前述した図面と略同一の要素については同一符号を付してその詳しい説明を省略し、主に、異なる要素について述べる。
【0090】
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、工場2内のレイアウトを固定した形態となっている。
【0091】
これに伴い、
図20及び
図21に示すように、小物製造ラインL11~L16、中物製造ラインL21~L24、大物製造ラインL31~L32、保管エリアSAは、所定の位置に配置されている。このため、メモリ51内のライン情報51eは、各々の製造場所の場所IDに関連付けた位置範囲が固定値となっている。すなわち、製造場所ごとの位置は、当該製造場所ごとに予め定められた固定値である。
【0092】
また、搬送機構C11、C21、C31としては、部品又は製品を搬送するベルトコンベアが、小物製造ラインL11~L16、中物製造ラインL21~L24、大物製造ラインL31~L32、検査部PI10~PI30の間の所定の位置に配置されている。すなわち、第2の実施形態に係る搬送機構C11、C21、C31はベルトコンベアであり、前述した搬送機構C10~C30における無人搬送車(AGV)とは異なる。
【0093】
また、搬送機構C11、C21、C31としての複数のベルトコンベアは、全ての水準の製造ライン間を接続しており、ルートを指定することで各々の水準の製造ライン同士を他の製造ラインを介することなく接続可能としている。ここで、搬送機構C11、C21、C31としての複数のベルトコンベアは、途中で交差しても構わない。この場合、複数のベルトコンベアの交差点において搬送先の振り分けが可能な機構を設けていればよい。このような機構としては、例えば、方向転換可能なターンテーブル上にベルトコンベアを配置した構造の振り分け機構を設け、搬送先に応じて部品又は製品を振り分けてもよい。
【0094】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0095】
以上のような構成によれば、前述した各ステップのうち、ライン情報51e内の位置範囲に関する処理を含むステップST75以外は前述同様に実行される。
【0096】
一方、ステップST75においては、処理回路55は、ステップST73で確認した製造場所のうち、使用状況が空き状態を示す製造場所か次に空き状況となる製造場所を選択する。すなわち、処理回路55は、次工程に使用する製造ラインL10、L20、L30のいずれかを選定する。このとき、
図22に示すように、製造場所ごとの位置は、当該製造場所ごとに予め定められた固定値である。例えば
図22の上段に示すように、ライン情報51eにおいて、場所ID「L31」の位置範囲が点Pa、Pbの座標の範囲で決められた固定値であるとする。また例えば、
図22の下段に示すように、処理回路55は、選択した製造場所の場所ID「L31」に関連付けてライン情報51e内の使用状況に次工程の作業工程名を書き込む。これにより、ライン情報51eにおいて、選択した製造場所の使用状況が、空き状態から作業工程名に更新される。使用状況の更新の後、処理回路55は、当該更新した使用状況に関連付けられた位置範囲内の位置を搬送先に決定する。
【0097】
ステップST75の後、ステップST76以降の処理が前述同様に実行される。
【0098】
上述したように第2の実施形態によれば、製造場所ごとの位置は、当該製造場所ごとに予め定められた固定値である。従って、前述した効果に加え、製造場所ごとの位置を設定する処理を省略できるので、製造場所の選択に伴う処理の負荷を軽減することができる。
【0099】
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態では、全ての水準の製造ライン間を搬送機構C11~C31であるベルトコンベアが接続したが、これに限定されない。例えば、全ての水準の製造ライン間のうちの幾つかについては、AGV、コンテナ、又はクレーンなどのように、ベルトコンベア以外の搬送機構で接続してもよい。例えば、ベルトコンベアの交差点が生じないように、適宜、ベルトコンベア以外の搬送機構で製造ライン間を接続してもよい。この場合、ベルトコンベアの交差点の制御を省略できる構成により、第2の実施形態の効果に加え、より容易に実施することができる。
【0100】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る生産支援システム及び生産支援装置について
図23乃至
図27を用いて説明する。
【0101】
第3の実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、例えば
図23に示すように、搬送機構C12、C22、C32が可動式作業台である形態となっている。すなわち、第2の実施形態は、製造場所を固定的に確保し且つベルトコンベヤを配置していた。これに対し、第3の実施形態は、製造場所にベルトコンベアを配置せず、製造場所で稼働作業台を用いる。
【0102】
これに伴い、搬送機構C12、C22、C32は、搬送する部品の製造に用いた作業台を備え、当該製造された部品を作業台に載置した状態で搬送する。
【0103】
また、各々の製造ラインには、各々の製造設備が予め配置されている。例えば、小物製造ラインL11~L18には、小型の産業用ロボット等の製造設備E11~E18が個別に配置されている。また、中物製造ラインL21~L26には、中型の産業用ロボット等の製造設備E21~E26が個別に配置されている。同様に、大物製造ラインL31~L34には、大型の産業用ロボット等の製造設備E31~E34が個別に配置されている。これらの産業用ロボットは、例えば、部品を搬送機構C12~C32に乗せ換えるためのロボットアームが使用可能であるが、これに限定されない。また、部品の載せ換えは、ロボットアームなどの製造設備に限らず、人力で載せ換える手法や傾斜などを利用した滑落により載せ換える手法といった任意の方式が使用可能となっている。
【0104】
また、小物製造ラインL11~L18、中物製造ラインL21~L26、大物製造ラインL31~L34は、
図24のマップ情報51f及び
図25のライン情報51eに示すように、位置範囲が予め定められた固定値となっている。すなわち、前述同様に、製造場所ごとの位置は、当該製造場所ごとに予め定められた固定値である。
【0105】
同様に、製造設備E11~E18、E21~E26、E31~E34は、
図25のマップ情報51f及び設備情報51gに示すように、現在位置が予め定められた固定値となっている。例えば、製造設備E11の現在位置は、小物製造ラインL11の位置範囲「(x1,y1)、(x2,y2)」内の点Peの座標値(x1.8,y1.2)等として予め定められている。なお、製造設備E11の位置範囲は、現在位置の座標値(x1.8,y1.2)から所定距離の範囲内としてもよい。他の製造設備E12~E18、E21~E26、E31~E34の現在位置及び位置範囲についても同様である。
【0106】
他の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0107】
以上のような構成によれば、製造設備E11~E18、E21~E26、E31~E34の現在位置が固定値となっている。このため、
図26及び
図27に示すように、前述した各ステップのうち、ツール/設備を確認するステップST32及びST74から設備を確認する動作が省略される。同様に、ツール/設備を搬送するステップST35及びST77から設備を搬送する動作が省略される。また、搬送機構C12、C22、C32は、ステップST34、ST76、ST81等において、製造された部品を作業台に載置した状態で搬送する。
【0108】
他の各ステップの処理は、第2の実施形態と同様に実行される。
【0109】
上述したように第3の実施形態によれば、搬送機構C12、C22、C32は、搬送する部品の製造に用いた作業台を備え、当該製造された部品を作業台に載置した状態で搬送する。従って、前述した効果に加え、各製造ラインでは、製造した部品を搬送機構C10~C30に移し替える必要がなくなるので、作業負荷の軽減を図ることができる。
【0110】
(第3の実施形態の変形例)
第3の実施形態では、製造設備E11~E18、E21~E26、E31~E34の現在位置が固定値となっていたが、これに限定されない。例えば、製造設備は、第2の実施形態と同様に搬送してもよい。あるいは、製造設備は、現在位置が固定値の場合と、現在位置が未定の場合とが混在してもよい。いずれにしても、作業台を有する搬送機構C12~C32に関する第3の実施形態の効果を同様に得ることができる。
【0111】
また、第3の実施形態では、製造設備E11~E18、E21~E26、E31~E34を予め製造場所に配置したが、これに限定されない。例えば、製造場所としては、コンベヤや産業用ロボット等の製造設備を配置せず、場所(空間)だけを固定値として確保しておいてもよい。なお、必要なツールや製造設備は、前述同様に搬送すればよい。このような変形例としても、第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0112】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態に係る生産支援システム及び生産支援装置について
図28乃至
図30を用いて説明する。
【0113】
第3の実施形態は、第2の実施形態の変形例であり、工場2内の全ての製造場所の中で相対的に大きい物理的規模に対応する製造場所が、相対的に小さい物理的規模に対応する複数の製造場所から構成された形態となっている。例えば
図28に示すように、相対的に大きい大物製造ラインL31が、相対的に小さい複数の小物製造ラインL311~L316から構成された形態となっている。この例は、X線CT装置14等の大物製品の製造に使用される大物製造ラインL31が、シンチレータアレイ4やインフルエンザ検査キット19等の小物製品の製造に使用される小物製造ラインL311~L316として使用される場合を示している。なお、相対的な大小関係としては、大物製造ラインと小物製造ラインとの関係に限らず、大物製造ラインと中物製造ラインとの関係や、中物製造ラインと小物製造ラインとの関係にも適用可能である。
【0114】
これに伴い、メモリ51は、
図29に示す如き、ライン部分情報51e1を更に記憶している。ライン部分情報51e1は、工場2内の全ての製造場所の中で相対的に大きい物理的規模に対応する製造場所が、相対的に小さい物理的規模に対応する複数の製造場所から構成された場合に、当該小さい物理的規模に対応する製造場所を管理する情報である。すなわち、ライン部分情報51e1は、当該小さい物理的規模に対応する製造場所ごとに、当該製造場所の位置、当該小さい物理的規模及び使用状況を関連付けて記憶している。
図29中、ライン部分情報51e1は、大物製造ラインL31の場所ID「L31」と、小物製造ラインL311~L316の場所ID「L311」~「L316」と、位置範囲(対角線の頂点の座標値)と、使用状況と、水準とを関連付けて記憶している。ライン部分情報51e1及びメモリ51は、第2記憶部の一例である。
【0115】
また、処理回路55の管理機能551は、前述した機能に加え、ライン部分情報51e1に関する機能を有している。すなわち、管理機能551は、製造場所を選択する際に、当該小さい物理的規模に対応し且つ空き状態を示す搬送先の製造場所がライン情報51eに記憶されていない場合、当該搬送先の製造場所をライン部分情報51e1の記憶内容から選択する機能を有する。
【0116】
他の構成は、第2の実施形態と同様である。
【0117】
以上のような構成によれば、前述した各ステップのうち、小物製造ラインの選定に関するステップST33が変更される。例えば
図30に示すように、第4の実施形態のステップST33は、ステップST33-1~ST33-5を含んでいる。
【0118】
ステップST33-1において、処理回路55は、ステップST31で確認した製造場所のうち、使用状況又は予約状況が空き状態を示す小物製造場所があるか否かをライン情報51eに基づいて判定する。
【0119】
ステップST33-1の判定の結果、空き状態を示す小物製造場所がある場合には、ステップST33-2において、処理回路55は、当該小物製造場所を小物製造ラインL10に選定する。また、処理回路55は、選択した製造場所の場所IDに関連付けてライン情報51e内の使用状況又は予約状況に作業工程名を書き込む。これにより、ライン情報51eにおいて、選択した製造場所の使用状況又は予約状況が作業工程名に更新される。また、処理回路55は、使用状況を作業工程名に更新した場合には、当該選択した製造場所を示す工場2内の位置を搬送先に決定し、ステップST33-2を終了する。
【0120】
一方、ステップST33-1の判定の結果、否の場合には、ステップST33-3において、処理回路55は、使用状況が空き状態を示す中物又は大物製造場所があるか否かをライン情報51eに基づいて判定する。
【0121】
ステップST33-3の判定の結果、空き状態を示す中物又は大物製造場所がある場合には、ステップST33-4において、処理回路55は、当該中物又は大物製造場所の一部を小物製造ラインL10に選定する。例えば、空き状態を示す大物製造ラインL31がある場合、処理回路55は、大物製造ラインL31の一部を小物製造ラインL311に選定する。また、処理回路55は、選択した製造場所の場所IDに関連付けてライン部分情報51e1内の使用状況に作業工程名を書き込む。これにより、ライン情報51eにおいて、選択した製造場所の使用状況が、空き状態から作業工程名に更新される。また、処理回路55は、当該選択した製造場所を示す工場2内の位置を搬送先に決定し、ステップST33-4を終了する。
【0122】
一方、ステップST33-4の判定の結果、否の場合には、ステップST33-5において、処理回路55は、選択不可のメッセージを出力してディスプレイ54に表示させ、一定時間待機し、ステップST31に戻る。
【0123】
以上により、ステップST33-1~ST33-5を含むステップST33が終了する。また、ステップST33-2又はST33-4の後、前述同様に、ステップST34以降の処理を実行する。
【0124】
上述したように第4の実施形態によれば、工場内の全ての製造場所の中で相対的に大きい物理的規模に対応する製造場所は、相対的に小さい物理的規模に対応する複数の製造場所から構成されている。メモリ51は、当該小さい物理的規模に対応する製造場所ごとに、当該製造場所の位置、小さい物理的規模及び使用状況を関連付けてライン部分情報51e1として記憶する。処理回路55は、製造場所を選択する際に、小さい物理的規模に対応し且つ空き状態を示す搬送先の製造場所がライン情報51eに記憶されていない場合、当該搬送先の製造場所をライン部分情報51e1の記憶内容から選択する。
【0125】
従って、相対的に大きい製造場所の一部を、相対的に小さい製造場所として選択できる構成により、前述した効果に加え、相対的に小さい製造場所を選択できる機会を増加することができる。
【0126】
(第4の実施形態の変形例)
第4の実施形態では、大物製造ラインL31が複数の小物製造ラインL311~L316から構成されたが、これに限定されない。例えば、大物製造ラインL31が複数の中物製造ラインL21~L24から構成されてもよい。あるいは、中物製造ラインL21が複数の小物製造ラインL11~L12から構成されてもよい。このように変形しても、第4の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0127】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、製品ごとに生産台数及び物理的規模が異なる工場における生産性の低下を抑制することができる。
【0128】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムがメモリに保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0129】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0130】
1 パーツセンター
2 工場
3 倉庫
4 シンチレータアレイ
5 超音波プローブ
6 迅速検査装置・検査キット
7 分子検査装置・検査キット
8 X線検出器
9 寝台
10 傾斜磁場コイル
11 検体検査装置
12 超音波診断装置
13 アーム・Cアーム
14 X線CT装置
15 PET-CT装置
16 MRI装置
17 X線TV装置
18 X線アンギオグラフィ装置
19 インフルエンザ検査キット
21 保持機構
22、53 通信インタフェース
23 センサ
24、55 処理回路
25 走行機構
50 生産支援装置
51 メモリ
51a 生産計画データ
51b 製品BOM
51c 製品BOP
51d 水準テーブル
51e ライン情報
51e1 ライン部分情報
51f マップ情報
51g 設備情報
52 入力インタフェース
54 ディスプレイ
551 管理機能
552 決定機能
C10~C12、C20~C22、C30~C32 搬送機構
E11~E18、E21~E26、E31~E34 製造設備
L10~L18、L311~L316 小物製造ライン
L20~L26 中物製造ライン
L30~L34 大物製造ライン
Pa、Pb、Pe 点
PL100~PL300 生産ライン