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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110825
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】書籍類出し入れ補助具
(51)【国際特許分類】
   A47B 65/00 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A47B65/00 604A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015657
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】523040381
【氏名又は名称】中藤 蔦太郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中藤 蔦太郎
(57)【要約】
【課題】複数の書籍から所望の書籍を取り出しやすく、取り出した書籍を元の位置に戻しやすく、かつ新たな書籍を所望の位置に追加挿入しやすい書籍類出し入れ補助具を提供する。
【解決手段】書籍類出し入れ補助具1は、書籍類5間に配される補助部材10を2つ有しており、補助部材10は、基板部20と、基板部20の端部より、基板部20とのなす角度θが90度以上をなして折曲して延びた栞部30とを備え、栞部30同士が先広がり状態となるように基板部20同士を並べて使用される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
書籍類間に配される補助部材を2つ有する書籍類出し入れ補助具であって、
前記補助部材は、基板部と、該基板部の端部より、該基板部とのなす角度が90度以上をなして折曲して延びた栞部とを備え、
前記栞部同士が先広がり状態となるように前記基板部同士を並べて使用されることを特徴とする書籍類出し入れ補助具。
【請求項2】
請求項1において、
前記基板部と前記栞部とのなす角度が鈍角とされ、
前記基板部同士を並べて使用した際には、前記栞部同士が平面視ハ字状となることを特徴とする書籍類出し入れ補助具。
【請求項3】
請求項1において、
前記基板部と前記栞部とのなす角度を110~150度とし、前記基板部と前記栞部との折曲部から該栞部の端部までの長さ寸法を2~8cmとしたことを特徴とする書籍類出し入れ補助具。
【請求項4】
請求項1において、
前記基板部は略方形状とされ、
前記補助部材の角部が湾曲形状であることを特徴とする書籍類出し入れ補助具。
【請求項5】
請求項1において、
前記基板部は金属製または合成樹脂製とされ、
前記基板部の少なくとも下端面にゴムまたは合成樹脂よりなる保護部が設けられていることを特徴とする書籍類出し入れ補助具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍類間に配される補助部材を2つ有する書籍類出し入れ補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、書棚などに並べられた複数の書籍のうちの1冊を容易に取り出せる書籍取り出し具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また特許文献2では、書籍を書棚に対し追加挿入しやすくしたブックエンドが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61-129538号公報
【特許文献2】特開平10-94441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記2つの文献技術はいずれも、書籍の取り出しと追加挿入のいずれか一方を目的とした技術であり、両方を満足するような道具ではない。また特許文献2のものは、新しい書籍をブックエンドに隣接するように追加することに利用するものであり、取り出した書籍を元の位置に戻すためのものではなく使い方が限られている。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、書籍(本)やノート、紙等の複数の書籍類の中から所望のものを取り出しやすく、取り出した書籍類を元の位置に戻しやすく、かつ新たな書籍類を所望の位置に追加挿入しやすい書籍類出し入れ補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の書籍類出し入れ補助具は、書籍類間に配され補助部材を2つ有する書籍類出し入れ補助具である。前記補助部材は、基板部と、該基板部の端部より、該基板部とのなす角度が90度以上をなして折曲して延びた栞部とを備え、前記栞部同士が先広がり状態となるように前記基板部同士を並べて使用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は前述した構成とされているため、書籍(本)やノート、紙等の複数の書籍類の中から所望のものを取り出しやすく、また取り出した書籍類を元の位置に戻しやすく、かつ新たな書籍類を所望の位置に追加挿入しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る書籍類出し入れ補助具の説明図であり、(a)は書籍類出し入れ補助具を構成する2つの補助部材の平面図、(b)は同補助部材の側面図である。
図2】(a)~(d)は、同書籍類出し入れ補助具の使用手順の例及び不使用時の設置例を示す模式的平面図である。
図3】(a)~(d)は、同書籍類出し入れ補助具の使用手順の他の例を示す模式的正面図である。
図4】(a)~(c)は、本発明の書籍類出し入れ補助具の他の形状例を示す正面図である。
図5】(a)~(c)は、同書籍類出し入れ補助具の他の使用例を説明図であり、(a)は台の上に積み上げられた書籍類の出し入れに使用する例、(b)は引き出しに収納された書籍類の出し入れに使用する例、(c)は同書籍類出し入れ補助具の補助部材を書見台,ディスプレイ台として使用する例を示している。
図6】本発明の他の実施形態に係る書籍類出し入れ補助具の説明図であり、(a)は書籍類出し入れ補助具を構成する2つの補助部材の平面図、(b)は同補助部材の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
まず、実施形態に係る書籍類出し入れ補助具1の基本構成について記述する。
【0010】
この書籍類出し入れ補助具1(以下、補助具1と略記する)は、書籍類5間に配される補助部材10を2つ有する出し入れ補助用の道具である。補助部材10は、基板部20と、基板部20の端部より、基板部20とのなす角度θが90度以上をなして折曲して延びた栞部30とを備え、栞部30同士が先広がり状態となるように基板部20同士を並べて使用される。
【0011】
ここで、書籍類5としては、書籍(本)やノート、紙、資料や写真などの書類がファイリングされた書類束やファイルなどが含まれる。よって、補助具1は、図2及び図3に示すように書棚3に収納された本の出し入れだけなく、図5(a)に示すような台50の上に横倒しに積み上げられた書籍類の出し入れ、図5(b)に示すような引き出し60の深さ方向に重ねて収納された書籍類の出し入れにも使用できる。また図5(c)に示すように補助具1を構成する補助部材10のひとつを書見台やディスプレイ台として使用することもできる。
【0012】
以下に説明する実施形態は補助具1が書棚3に用いられる場合を想定したものであり、以下の説明では、補助具1およびそれを構成する2つの補助部材10については、その用いられ方にしたがって、前後、上下などの方向を記載している。
【0013】
図1は本実施形態に係る補助具1の説明図であり、図1(a)は補助具1を構成する2つの補助部材10の平面図であり、図1(b)は同補助部材10の側面図である。
【0014】
2つの補助部材10は書棚3において、図1(a)の平面図のように間隔を空け並べて使用されるか、あるいは、図1(a)における2点鎖線で描いた補助部材10とその下側の実線で描いた補助部材10の組み合わせのように、密着させ並べて使用される。間隔を空けて使用される場合には、その間隔には後述するように書籍類5が配される。
【0015】
2つの補助部材10はそれぞれ、1枚のステンレス等の薄い金属製板材で形成されており、前後方向の中途で折り曲げられ、折曲部25の後ろ側を基板部20、前側を栞部30として、それらが一体となって形成されており、強度があるため、多少押圧力が加わっても折曲部25の角度は変わらない。またこの補助部材10を構成する栞部30及び基板部20は、滑り性のよい鏡面仕上げとされているが、これに限定されず、手垢や傷の目立ちを抑えるため、艶消し加工を施したものであってもよい。補助部材10は、一体形成されたものに限定されず、基板部20と栞部30とが溶接にて連結されたものであってもよい。
【0016】
本実施形態では、2つの補助部材10として同一形状に形成されており、一方の補助部材10に組み合わせる他方の補助部材10は天地を反転したものが使用される。つまり、2つの補助部材10の形状はたがいに線対称の関係にある。1つの補助部材10は上下対称形状でもあるため、1種類の補助部材10を2つ利用することを1つの補助具1を構成することができる。
【0017】
また、基板部20は略方形状とされ、基板部20の後部の上下の角部21は側面視で湾曲形状となるように形成されている。栞部30も略方形状とされ、栞部30の前部の上下の角部31は側面視で湾曲形状となるように形成されている。このように補助部材10の4つの角部21、31は取り扱い上の安全のために湾曲形成されていることが望ましいが、他の形状であってもよい。
【0018】
補助部材10は基板部20と栞部30とのなす角度θは90度以上のものとすることが望ましく、本実施形態の補助部材10のように鈍角であることがさらに望ましい。鈍角としては110~150度程度が望ましい。この場合、2つの補助部材10の栞部30,30を片方の手100で掴むとき(図1(a)参照)に指をかけやすく手100で掴みやすい。また図2(b)に示す状態において、栞部30が手前側に傾斜し突出した状態に配されるので適度に補助部材10の存在が目立ち、取り出した書籍類5をもとの位置に戻し易い。2つの補助部材10は図1(a)の離反した状態あるいは密着した状態のいずれかで使用され、その場合、2つの栞部30は、平面視でカタカナの「ハ」字の形状となる。基板部20の栞部30とのなす角度θは、特に限定されないが、角度θが150度より大きくなると、2つの補助部材10の栞部30,30を片方の手100で掴むときの指のかかり具合が浅くなり、手100で掴みづらい傾向となる。また角度θが150度より大きくなると補助部材10が平坦形状に近くなっていくため、後述する栞部30の目印機能が果たし難いものとなる。また栞部30の立ち上がり領域が拡がるので栞部30が嵩張ってしまう。例えば図5(b)に示すように引き出し60内で使用する場合、角度θが150度より大きくなると栞部30がつっかえて納まりにくくなる可能性がある。角度θが110度より小さくなると、片方の手100で掴むときのかかり具合は深くなるが、2つの栞部30の双方の端部の距離が離れてしまうため、やはり片方の手100で掴み難いものとなる。また角度θが90度より小さくなると隣接する書籍類5の背5bに栞部30が当接し出っ張ってしまうことになる。
【0019】
また、基板部20の上下寸法、前後寸法は用いられる書棚3や書棚3に収められる書籍類5の寸法にしたがって定められればよい。例えば基板部20の上下寸法は9cm~15cm前後、前後寸法は10cm~20cm前後としてもよい。栞部30の上下寸法は基板部20と略同じか、基板部20よりも小とされることが望ましく、折曲部25から栞部30の前端までの寸法(前後寸法)は1.5~8cm程度とすることが望ましい。折曲部25から栞部30前端までの突出寸法は特に限定されるものではないが、1.5cmより小さい寸法になると、栞部30を図1(a)に示すように一対の状態で大人が片方の手100で掴みづらくなる。折曲部25から栞部30前端までの突出寸法が8cmより大きい寸法になると、栞部30を図1(a)に示すように一対の状態で大人が片方の手100で掴みづらくなる。また補助具1を使わないときに栞部30が嵩張るため、コンパクトに置いておきにくい傾向となる。
【0020】
補助部材10の厚さ寸法は、基板部20、栞部30ともに全体として0.2~1.5mm程度の一定の厚みとすることが望ましいが、栞部30を基板部20よりもやや厚くしてもよいし、その逆としてもよいし、基板部20の後端部を、書籍類5間に挿入しやすくするために他の部位よりも薄めにしてもよい。
【0021】
例えば、基板部20の栞部30とのなす角度θを120~130度とし、折曲部25から栞部30前端までの突出寸法を2~4cmとすれば、2つの補助部材10について基板部20同士を密着させた場合には、栞部30同士でできる平面視ハ字状の挿入ガイド部35を図1(a)に示すように片方の手100で掴んで把持することができる。以下に説明する実施形態に係る補助具1の補助部材10は、基板部20と栞部30とのなす角度θが120~130度とされる。
【0022】
ついで、本補助具1の使用態様例について、図2および図3を参照しながら説明する。補助具1の使用態様として書籍類5の書棚3への追加挿入(図2参照)、書籍類5の書棚3からの取り出し(図3参照)が含まれ、補助具1はそれらの行為の補助を担う。
【0023】
図2(a)~(c)は、書籍類5の書棚3への追加挿入における補助具1の使用手順の例を示す模式的平面図である。
【0024】
補助具1を使用する状態として、図2(a)のように書棚3に複数の書籍類5が並べてある状態が想定される。
【0025】
複数の書籍類5のうちの2冊の書籍類5間に他の書籍類5を追加挿入する場合、まず2つの補助部材10を当該2冊の書籍類5間に、基板部20の後端を後方に向けて、基板部20の略全体が書籍類5間に隠れるようになるまで差し込む。この場合、図2(a)に示すように補助部材10を1つずつ差し込んでもよいし、2つを片方の手100で掴んでまとめた状態(図1(a)の2点鎖線)で差し込んでもよい。
【0026】
このように補助部材10を差し込むことで、図2(b)に示すように、両方の栞部30により形成された挿入ガイド部35が、書籍類5の前側に表れる。この挿入ガイド部35内には、前方に向け開口した柱状空間が形成される。
【0027】
つぎに、2つの補助部材10を左右に引き離すように基板部20間を広げることで、他の書籍類5の追加挿入ができるようにする。手で補助部材10間を広げてもよいが、図2(c)に示すように、追加挿入する書籍類5を挿入ガイド部35の栞部30の両内面32に書籍類5を押し当てながら追加挿入空間を形成してもよい。
【0028】
栞部30の挿入ガイド部35が平面視ハ字状となるような平面視で傾斜形状であれば、2つの補助部材10を組み合わせることで両栞部30の内面32は追加挿入のためのガイド面となり得る。特に書棚3に多数の書籍類5が隙間なく配されている場合、本実施形態の栞部30及び基板部20は鏡面仕上げの金属材からなるので、その滑り性を活かしてスムーズに且つ書籍類5を傷めることなく書籍類5を追加挿入することができる。
【0029】
また2つの栞部30による挿入ガイド部35は書棚3における追加挿入位置の目印用の栞となり得るため、挿入する位置を間違えることはなく、便利である。特に、基板部20同士を密着させ、追加挿入空間を詰めた場合でも挿入ガイド部35が目印となり得るため、その状態で放置しても問題はない。
【0030】
書籍類5の追加挿入作業が終われば、追加挿入した1冊の書籍類5の両側にある補助部材10を1枚ずつ引き抜けばよい。栞部30を取っ手のように手持ちすれば、容易に引き抜くことができる。
【0031】
図2(d)は補助具1の不使用時の設置例を示す模式的平面図である。図2(d)に示すように補助具1は、薄板からなる2つの補助部材10で構成されるため、使用していないときは、同じ向きに重ねて書棚3の隅に設置して置いておくことができる。補助具1は嵩張らないので、書棚3で邪魔になることはなく、書棚3の目の付く場所に置けば、使いたいときに素早く取り出して使用することができる。
【0032】
つぎに、書籍類5の書棚3からの取り出しについて説明する。図3(a)~(d)は、書籍類5の書棚3からの取り出しにおける補助具1の使用手順の例を説明するための模式的正面図である。
【0033】
補助具1を使用する状態として、図3(a)のように書棚3に複数の書籍類5が並べてある状態が想定される。
【0034】
複数の書籍類5のうちの所望の1冊を取り出す場合、図3(a)に示すように、まずその1冊の書籍類5の両側のそれぞれに補助部材10を、2つの栞部30が平面視でハ字を形成するように1つずつ差し込む。
【0035】
その後、補助部材10間の当該1冊を手で取って取り出せばよい。書棚3の複数の書籍類5が隙間なく窮屈な状態で並べてある場合でも、両補助部材10を引き離す方向に押し広げることで、当該1冊を簡単に取り出すことができる。当該1冊の両隣の書籍類5を手で直接押し広げる必要がないため、書籍類を傷めてしまうことを防止できる。このときも本実施形態の栞部30及び基板部20は鏡面仕上げの金属材からなるので、滑りがよく、取り出しやすい。
【0036】
1冊の書籍類5を取り出した後には、図3(b)に示すように、2つの補助部材10をそのままにして、取り出してできた空間を詰めてもよい。なお、2つの補助部材10を差し込むことなく所望の書籍類5を取り出す手順としてもよく、書籍類5を取り出した後に2つの補助部材10を重ねた状態で書籍類5を取り出した後の空間へ配置してもよい。
【0037】
そして、図3(b)に示すように、正面から見てさらにわかりやすくするために、挿入ガイド部35の内面に付箋37やシール、マスキングテープ等を貼り付けてもよい。
【0038】
その後、図2の追加挿入の手順と同様の方法により、取り出した書籍類5を元の位置に戻せばよい。
【0039】
書籍類5の取り出しと元の位置への戻しとのタイミングがずれた場合でも、補助具1が書籍類5間に挟まっていれば、さらに付箋37が貼ってあれば、書籍類5の戻しをスムーズに行うことができる。付箋37やその付箋37に書かれたメモを見やすくするために、基板部20と栞部30とのなす角度θが略90度の補助部材10を用いてもよい。
【0040】
また、1冊の書籍類5を取り出した後、その1冊を元の位置に戻さない場合には、書籍類5の取り出し前に差し込んだ補助具1を引き抜いておけばよい。
【0041】
補助具1の引き抜き方法としては、例えば、差し込んだ2つの補助部材10を近接させて、1対の栞部30でできた挿入ガイド部35の正面開口側を片方の手100で持てば、補助具1全体を容易に掴んで引き抜くことができる(図1(a)参照)。
【0042】
続いて、図3(c)及び図3(d)には、書籍類5の書棚3から書籍類5を取り出す例の別例を示している。補助具1の使用手順は、図3(a)を示しながら説明した例に限定されず、図3(c)及び図3(d)に示すように一対の補助部材10,10の栞部30を片方の手100でトングのように掴み、1冊の書籍類5の両側を補助部材10,10で挟み持って取り出してもよい。このとき、図3(d)に示すように書籍類5の取り出し方向前方に折曲部25を押し当てるようにして手100を自身の体の方向に引けば、1冊の書籍類5をスムーズに引っ張り出すことができる。このように補助具1を使えば、直接、書籍類5に触れずに書籍類5を取り出すことができるので、例えば書籍類5の背5bの上方の縁に指をかけて書籍類5を引き出すことによる書籍類5への痛みを防ぐことができる。よって、補助具1は、書籍類5を大切に取り扱いたい場合や書籍類5が損傷しやすい状態である場合に好適である。
【0043】
補助具1の構成は特に限定されないが、例えば基板部20と栞部30とのなす角度θ(図1(a)参照)は120~130度とし、折曲部25から栞部30前端までの突出寸法を2~4cmとすれば、一方の補助部材10の折曲部25近傍に親指をあてがい、他方の補助部材10の折曲部25近傍に中指、薬指をあてがい、手のひらで正面開口を塞ぐようにした状態で2つの補助部材10をいっしょに片方の手100で掴んで持つことができ、補助具1の差し込み、引き抜きのいずれも安定的にかつ容易に行うことができる。
【0044】
また、補助部材10は基板部20と栞部30とのなす角度θが90度以上とし、かつ底面が「く」字形状で載置面に接触するため、書棚3の載置面上で自立して起立状態とすることができる。そのため、空間に余裕のある書棚3で書籍類5による支持のない状態でも、ぐらつきなく使用することができる。
【0045】
また、補助部材10の角部21、31が湾曲形状であるため、取り扱いにおいて安全であるだけではなく、補助部材10自身の破損も防止でき、さらに差し込み、引き抜きの際に先端(基板部20の後端)側の下側の角部21が載置面を擦って傷付けることを抑制することができる。
【0046】
次に図4(a)~(c)は、本実施形態に係る補助具1が有する補助部材10の他の形状例を示す正面図である。図1のものと同様、1対の補助部材10により補助具1が構成されるが、これらの図では一方の補助部材10のみを図示した。
【0047】
図4(a)の補助部材10は、角部21、31が湾曲形状ではなく、直線的な傾斜形状とされている。図4(b)の補助部材10は、栞部30の上下寸法が小さく、栞部30が基板部20の上下間の略中央に配されている。図4(c)の補助部材10は、その全体が湾曲形状とされ、特に基板部20の後端部が正面視で窄まった形状とされている。
【0048】
図4(a)のような形状とすれば、補助部材10をより簡単に製造することができる。省材料化も望める。
【0049】
図4(b)のような形状とすれば、栞部30が隣の書籍類5の背5b(図3参照)を隠す面積が少なくてすみ、隣の書籍類5を見やすくすることができる。また、書棚3の上面への接触寸法をより小さくできるため、傷は付きにくい。省材料化も望める。
【0050】
図4(c)のような形状とすれば、先細り形状であるため補助部材を書籍類5間に差し込みやすくできる。
【0051】
なお、図4(b)(c)のものは書棚3の載置面上での補助部材10の自立をさせにくいが、書棚3において書籍類5が窮屈な圧接状態で並べてある場合には書籍類5間に圧入状態で挟まれるため問題はない。また、図4(c)のような先細り形状の補助部材10であれば、書籍類5が圧接状態であっても差し込みがしやすい。さらに差し込みをしやすくするために、基板部20の後端部を他の部分より薄く形成してもよい。
【0052】
補助部材10は、書籍類5が窮屈な状態で並べてある書棚3においては、基板部20が書籍類5間に圧接され、書棚3の載置面に触れることなく浮いた状態で保持されることがある。そのような状態で補助具1が使用されるため、補助部材10の出し入れによる書棚3の載置面が傷付く可能性を回避することができる。したがって図4(b)(c)のような形状の補助部材10であっても、安定した状態を維持することができる。
【0053】
一方、書棚3の載置面上に書籍類5が余裕をもって並べられている場合、補助部材10の底面の書棚3の載置面への擦れにより載置面が傷付いたり、補助部材10が載置面上でぐらついたりするおそれがある。
【0054】
図5(a)~(c)は、同補助具1の他の使用例を説明図であり、(a)は机等の台50の上に積み上げられた書籍類の出し入れに使用する例、(b)は引き出し60に収納された書籍類の出し入れに使用する例、(c)は補助部材10を書見台,ディスプレイ台として使用する例を示している。図2及び図3に示すように補助具1が、書棚3に収納された本の出し入れに使用される場合は、補助具1は、書籍類5同士の間、つまり書棚3内などにおいて表紙5aを側方に向け、背5bを前方に向け、かつ書籍類5同士が隣り合うように配された状態において使用されるが、この補助具1は、書棚3での使用に限定されない。例えば、図5(a)に示すように台50の上に横向きに積み上げられた書籍類5の出し入れに使用してもよい。図5(a)に示すように複数の書籍類5が横倒しで積み上げられている場合、下方の書籍類5を取り出すには、重量が増し取り出しにくいが、補助具1は少なくとも基板部20が滑り性のよい金属製でなるので、補助具1が誘いとなって取り出しやすい。なお、図5(a)では書籍類5の例示として厚みの異なる書籍類5を示しているが、これに限定されず、同じ厚みの包装紙や新聞紙等であってもよい。例えば大判の薄い包装紙が大量に積み重ねられた工場や店舗で、違う絵柄の複数枚の包装紙を間に重ねたい場合に使用してもよい。この場合、補助部材10のサイズは書籍類5の大きさに対応できるサイズとすれば、大量に積み重ねられた薄い紙の一枚を補助部材10,10の間に挟めば、補助具1によって容易に引き抜くことができる。
【0055】
また補助具1は、図5(b)に示すように引き出し60内において使用してもよい。この場合、書籍類5を上下方向に出し入れできるように立てた状態、具体的には、補助部材10の栞部30が書籍類5の上側に配される。この場合、図5(b)に示すように引き出し60内に隙間なく複数の書籍類5が詰まった状態で収納されていても、2つの補助部材10,10を取り出したい書籍類5の両側に差込み、一方の栞部30を一方方向に引けば、書籍類が一方方向に引き寄せられ、取り出したい書籍類5の一方側に隙間をつくることができるため、スムーズに取り出したい書籍類5を取り出すことができる。そして取り出したい書籍類5を取り出した後は、そのまま2つの補助部材10,10を置いておけば、取り出した書籍類5をまた元の位置に戻すことができる。この戻すときにも、補助部材10の一方の栞部30を一方方向に引き寄せて隙間を作れば、スムーズに元の位置に戻すことができる。
【0056】
さらに補助具1は、不使用時には、図5(c)に示すように台50の上に補助部材10の一方を側面視においてカタカナの「へ」字状に寝かせて置き、書見台もしくはディスプレイ台として使用してもよい。
【0057】
図6に示した補助具1Aは、本発明の他の実施形態に係る補助具1Aであり、書棚3での補助部材10の擦れによる書棚3の傷付け、補助部材10自身のぐらつきを抑制できるようにしたものである。
【0058】
この補助具1Aは、1対の補助部材10よりなる点、補助部材10が基板部20と、その基板部20から90度以上に折曲された栞部30とを有する点は、図1等のものと同様である。図6の補助具1Aは、ステンレス等の金属で製されており、基板部20の下端面側に合成樹脂よりなる保護部40が設けてある。
【0059】
具体的には保護部40は、図6(a)(b)に示すように、基板部20の外側、つまり栞部30の折曲側の前端から後端までの下部に設けられている。保護部40は図6(b)に示すように、少なくとも下端面を覆えばよく、さらに側面にわずかに跨るように側面下部を覆えばよい。図例のように下端面部41の下面は下端面に平行な平坦面とし、側面覆い部42の表面は湾曲面とすることが望ましい。
【0060】
このように、補助部材10には合成樹脂よりなる保護部40が設けてあるため、金属製の基板部20の下端面が直接、書棚3の載置面に当たることはなく、傷が付きにくくなる。したがって、基板部20の後端の下側の角部21は湾曲形成されていなくてもよい。また、合成樹脂の保護部40により書棚3の載置面上での滑りをよくすることもできる。なお、保護部40は柔軟な合成樹脂やゴムで形成されたものであってもよく、また下端面部41の表面を梨地などの凹凸面としてもよく、そのようにすることで載置面上を滑りにくくさせることもできる。
【0061】
また、側面覆い部42が形成されているため、補助部材10の擦れ動きによる保護部40の剥がれ落ちの発生を抑制できる。側面覆い部42が丸く形成されているため、隣の書籍類5の損傷を回避することもできる。
【0062】
以上に説明した補助具1、1Aはいずれも、2つの補助部材10がたがいに同一形状であるため、製造の手間、在庫管理の手間を軽減できるが、2つの補助部材10が相異なる形状であってもよい。例えば、基板部20と栞部30とのなす角度θが相異なってもよいし、栞部30の寸法や形状が相異なってもよい。さらに、本明細書で例示した種々の形状の補助部材10のうち異なる形状のものを組み合わせたもの(例えば、図1の補助具1の1つの補助部材10と、図4(c)の補助具1の1つの補助部材10との組み合わせ)であってもよい。
【0063】
上述した実施形態に係る補助具1,1Aの補助部材10は金属製の例を説明したが、これに限定されず、下敷きのような厚み、可撓性を備えたPVC(ポリ塩化ビニル)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂製や1mm前後の厚みを有する厚紙ボード紙等の紙製であってもよい。この場合は、基板部20及び栞部30をカラフルなものにしやすく、またキャラクターや柄等をプリントするなど、デザイン性、加工性のよい補助具1を構成することができる。また紙製とすれば、環境問題に配慮したものとすることができる。さらに補助部材10は、全周の端面の厚さ方向に凸湾曲するように丸く形成したものであってもよい。これにより、より安全に使用でき、かつ書棚3の載置面を傷付けることなく使用できる。また補助具1,1Aは上述の書籍類5の出し入れを補助するためのものであるが、棚、引き出しなどに重ねて或いは並べて収納されたものを出し入れするために使用されるものであって、補助具1,1Aの使用方法として、CD、DVD、ビデオ、レコード、ゲームソフト、カーペットや生地などのサンプル品や服、病院のカルテ、樹脂フィルム等の出し入れに適用されることをはばかるものではないし、書籍類5としては、自己保有の書籍やファイル等に限らず、歴史的な古い書物や図書館やレンタル用の書籍等であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 書籍類出し入れ補助具
3 書棚
5 書籍類
5a 表紙
5b 背
10 補助部材
20 基板部
21 角部
25 折曲部
30 栞部
31 角部
32 内面
35 挿入ガイド部
37 付箋
40 保護部
41 下端面部
42 側面覆い部

図1
図2
図3
図4
図5
図6