(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011083
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20240118BHJP
B60K 20/06 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B60K20/02 A
B60K20/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112781
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 裕作
(72)【発明者】
【氏名】水野 弘規
(72)【発明者】
【氏名】山村 敬博
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA03
3D040AA10
3D040AA25
3D040AA33
3D040AB01
3D040AC02
3D040AC36
3D040AD04
3D040AD05
3D040AD15
(57)【要約】
【課題】連絡体の移動体との連絡が解除された場合に連絡体が所定位置から移動されることを制限する。
【解決手段】シフト装置10では、ノブに回転体34が回転シャフト26を介して連絡されており、ノブが回転されて、回転体34が初期回転位置から回転される。ここで、回転体34を回転スプリング52が初期回転位置に付勢する。このため、回転体34のノブとの連絡が解除された場合に、回転体34が初期回転位置から回転されることを制限できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作されて移動される移動体と、
前記移動体と連絡され、前記移動体が移動されることで移動されて変速機のシフトレンジが変更される連絡体と、
前記移動体を付勢する第1付勢機構と、
前記連絡体を所定位置に付勢する第2付勢機構と、
を備えるシフト装置。
【請求項2】
前記連絡体が所定位置から移動されて車両が駆動されるシフトレンジに前記変速機が変更される請求項1記載のシフト装置。
【請求項3】
前記連絡体が所定位置から移動されて車両が制動されるシフトレンジに前記変速機が変更される請求項1記載のシフト装置。
【請求項4】
前記第2付勢機構の付勢力が前記第1付勢機構の付勢力に比し小さくされる請求項1記載のシフト装置。
【請求項5】
前記連絡体及び前記第2付勢機構が収容される収容体を備える請求項1記載のシフト装置。
【請求項6】
前記連絡体が収容され、外側において前記移動体と前記連絡体とが連絡される収容体を備える請求項1記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体が操作されて連絡体が移動されるシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のロータリシフタでは、ノブとプランジャハウジングとが一体にされており、ノブ及びプランジャハウジングが、操作されて、回転されることで、変速機のギヤ位置が変更される。
【0003】
ここで、このロータリシフタでは、プランジャハウジングをプランジャハウジングの突出ガイド部内のスティールボール及びコイルスプリングとトーショナルスプリングとが付勢している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0049002号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、連絡体の移動体との連絡が解除された場合に連絡体が所定位置から移動されることを制限できるシフト装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のシフト装置は、操作されて移動される移動体と、前記移動体と連絡され、前記移動体が移動されることで移動されて変速機のシフトレンジが変更される連絡体と、前記移動体を付勢する第1付勢機構と、前記連絡体を所定位置に付勢する第2付勢機構と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のシフト装置は、本発明の第1態様のシフト装置において、前記連絡体が所定位置から移動されて車両が駆動されるシフトレンジに前記変速機が変更される。
【0008】
本発明の第3態様のシフト装置は、本発明の第1態様又は第2態様のシフト装置において、前記連絡体が所定位置から移動されて車両が制動されるシフトレンジに前記変速機が変更される。
【0009】
本発明の第4態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つのシフト装置において、前記第2付勢機構の付勢力が前記第1付勢機構の付勢力に比し小さくされる。
【0010】
本発明の第5態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つのシフト装置において、前記連絡体及び前記第2付勢機構が収容される収容体を備える。
【0011】
本発明の第6態様のシフト装置は、本発明の第1態様~第5態様の何れか1つのシフト装置において、前記連絡体が収容され、外側において前記移動体と前記連絡体とが連絡される収容体を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1態様のシフト装置では、連絡体が移動体と連絡されており、移動体が、操作されて、移動されることで、連絡体が移動されて、変速機のシフトレンジが変更される。また、移動体を第1付勢機構が付勢する。
【0013】
ここで、連絡体を第2付勢機構が所定位置に付勢する。このため、連絡体の移動体との連絡が解除された場合に、連絡体が所定位置から移動されることを制限できる。
【0014】
本発明の第2態様のシフト装置では、連絡体が所定位置から移動されて、車両が駆動されるシフトレンジに変速機が変更される。このため、連絡体の移動体との連絡が解除された場合に、車両が駆動されることを抑制できる。
【0015】
本発明の第3態様のシフト装置では、連絡体が所定位置から移動されて、車両が制動されるシフトレンジに変速機が変更される。このため、連絡体の移動体との連絡が解除された場合に、車両が制動されることを抑制できる。
【0016】
本発明の第4態様のシフト装置では、第2付勢機構の付勢力が第1付勢機構の付勢力に比し小さくされる。このため、第1付勢機構の付勢力と第2付勢機構の付勢力との合計を小さくできる。
【0017】
本発明の第5態様のシフト装置では、収容体に連絡体及び第2付勢機構が収容される。このため、収容体の外側から連絡体及び第2付勢機構が操作されることを制限できる。
【0018】
本発明の第6態様のシフト装置では、収容体に連絡体が収容されており、収容体の外側において移動体と連絡体とが連絡される。このため、移動体と連絡体とを容易に連絡させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置を示す左斜め前方から見た斜視図であり、(A)は、全体を示し、(B)は、前プレートを外した状態を示している。
【
図2】本発明の実施形態に係るシフト装置のベースカバー及びノブカバーを外した状態を示す左斜め前方から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るシフト装置におけるプレート内を示す前方から見た前面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るシフト装置の主要部を示す下方から見た側面図である。
【
図5】(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置のノブ、Pプッシャ及びベースを示す斜視図であり、(A)は、左斜め前方から見た図であり、(B)は、前斜め下方から見た図である。
【
図6】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置におけるPプッシャとPスライダとの接続状況を示す前側から見た斜視図であり、(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置における回転シャフトの左端部及びPスライダの左端部を示す左斜め前方から見た斜視図である。
【
図7】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置における回転シャフト、接続板及び回転検出機構を示す前側から見た斜視図であり、(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置における接続板を示す後斜め右方から見た斜視図である。
【
図8】(A)は、本発明の実施形態に係るシフト装置における回転シャフト、Pスライダ及び操作検出機構を示す左斜め前方から見た斜視図であり、(B)は、本発明の実施形態に係るシフト装置におけるPスライダ及び操作検出機構を示す左斜め前方から見た斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るシフト装置における回転シャフト、回転検出機構及び操作検出機構を示す後側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1(A)には、本発明の実施形態に係るシフト装置10の全体が左斜め前方から見た斜視図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の前方を矢印FRで示し、シフト装置10の左方を矢印LHで示し、シフト装置10の上方を矢印UPで示している。
【0021】
本実施形態に係るシフト装置10は、車両(自動車)の車体側としてのステアリングコラム(図示省略)に取付けられており、シフト装置10の前方、左方及び上方は、それぞれ車両の後側、左側及び上側に向けられている。
【0022】
図1(A)に示す如く、シフト装置10には、収容体としての樹脂製で略直方体形箱状のプレート12が設けられており、プレート12がステアリングコラムに取付けられて、シフト装置10が車両に設置されている。プレート12の前側部分には、略直方体形箱状の前プレート12Aが設けられており、前プレート12A内は、後側に開放されている。プレート12の後側部分には、略直方体形箱状の後プレート12Bが設けられており、後プレート12B内は、前側に開放されている。プレート12は、前プレート12Aと後プレート12Bとが前後方向において組付けられて、構成されている。
【0023】
後プレート12Bの左側には、設定体としてのブロック状のベース14(継手部材、
図2、
図5(A)及び(B)参照)が設けられている。ベース14の右側部分は、前面視U字状の固定部14Aにされており、ベース14は、固定部14Aにおいて、後プレート12Bの左側に固定されると共に、固定部14A内は、右側、前側及び後側に開放されている。ベース14の左側部分は、略円筒状の設定部14Bにされており、設定部14Bは、内部がベース14の固定部14A内に連通されると共に、軸方向が左方へ向かうに従い前方へ向かう方向に傾斜されている。ベース14は、略四角錐台形筒状のベースカバー16によって被覆されており、ベースカバー16は、後プレート12Bの左側に固定されている。
【0024】
ベース14の設定部14Bの左端面の上部及び下部には、節度機構56(第1付勢機構)を構成する付勢部(節度部)としての湾曲板状の付勢片14Cが一体に設けられており、付勢片14Cは、左側に突出されると共に、設定部14Bの周方向に沿って湾曲されている。付勢片14Cの左側面には、断面略V字形凹状の付勢面14Dが形成されており、付勢面14Dは、中央部(設定部14B周方向の中央部)から両外側部(設定部14B周方向の両外側部)へ向かうに従い左側へ向かう方向に傾斜されている。
【0025】
設定部14B内には、移動体(シフト体)としての柱状のノブ18が支持されており、ノブ18には、シフト本体としての柱状のノブ本体20(
図2及び
図4参照)が設けられている。ノブ本体20の左側部分は、略楕円柱状にされると共に、ノブ本体20の右側部分は、略円柱状にされており、ノブ本体20の左側部分と右側部分とは、同軸上に配置されている。ノブ本体20の右側部分は、設定部14B内に同軸上に嵌合されており、これにより、ノブ18が所定範囲で回転(移動)可能に支持されて、ノブ18の回転軸方向が左方へ向かうに従い前方へ向かう方向に傾斜されている。ノブ本体20の左側部分は、略楕円筒状のノブカバー22によって被覆されており、ノブカバー22は、ノブ本体20の左側部分に固定されている。
【0026】
ノブ18は、車両の乗員(特に運転者)によって、ノブカバー22を把持されて回転(操作)可能にされている。ノブ18は、シフト位置としてのH位置(ホーム位置)に配置されており、ノブ18がH位置から一方向A(
図1(A)等参照)に回転されて、ノブ18がシフト位置としてのR位置(リバース位置)に配置されると共に、ノブ18がH位置から他方向B(
図1(A)等参照)に回転されて、ノブ18がシフト位置としてのD位置(ドライブ位置)に配置される。
【0027】
ノブ本体20の左側部分の上部及び下部には、円柱状の付勢孔20D(
図5の(A)及び(B)参照)が形成されており、付勢孔20Dは、ノブ本体20の軸方向に平行に配置されると共に、右側に開放されている。付勢孔20Dには、節度機構56を構成する付勢部材(節度部材)としての略円柱状の付勢ピン56Aが同軸上に嵌合されており、付勢ピン56Aの先端面(右側端面)は、凸状に湾曲されている。付勢孔20Dには、付勢ピン56Aより左側において、節度機構56を構成する付勢手段としての圧縮コイルスプリング56Bが挿入されており、圧縮コイルスプリング56Bは、付勢孔20Dの底面(左側端面)と付勢ピン56Aの基端面(左側端面)との間に掛渡されて、付勢ピン56Aを右側に付勢している。付勢ピン56Aの先端面は、圧縮コイルスプリング56Bの付勢力により、ベース14(付勢片14C)の付勢面14Dの中央部に当接されており、これにより、ノブ18が、H位置側に付勢されて、H位置に保持されている。ノブ18がH位置から一方向A及び他方向Bに回転される際には、付勢ピン56Aが圧縮コイルスプリング56Bの付勢力に抗して付勢面14Dの中央部から外側部に移動されることで、ノブ18に回転抗力が作用される。ノブ18がH位置以外の位置に回転された際に、ノブ18への回転力の作用が解除された場合には、付勢ピン56Aが圧縮コイルスプリング56Bの付勢力により付勢面14Dの外側部から中央部に移動されて、ノブ18がH位置に回転(復帰)される。
【0028】
ノブ本体20の右端部の前側には、略矩形柱状の回転接続片20A(
図2及び
図4参照)が一体に設けられており、回転接続片20Aは、ノブ本体20の軸方向と平行に配置されている。回転接続片20Aは、ノブ本体20から右側に延出されて、ベース14の固定部14A内に挿入されており、回転接続片20Aの先端部(右端部)には、球状の回転接続部20Bが形成されている。また、ノブ本体20には、円柱状の支持孔20Cが同軸上に貫通形成されている。
【0029】
ノブ本体20の支持孔20Cには、移動体(操作部)としての略柱状のPプッシャ24(
図2及び
図4参照)が支持されている。Pプッシャ24の左端部及び右端部以外の部分は、円柱状にされて、支持孔20Cに同軸上に嵌合されており、Pプッシャ24の軸方向は、左方へ向かうに従い前方へ向かう方向に傾斜されている。Pプッシャ24は、ノブ本体20に対し軸方向に特定範囲でスライド(移動)可能にされており、Pプッシャ24は、左側端の位置に配置されている。
【0030】
Pプッシャ24の左端部には、略楕円板状の操作板24Aが同軸上に一体に設けられており、操作板24Aは、ノブ18のノブカバー22内にスライド可能に嵌合されている。操作板24Aは、ノブカバー22から左側に露出されており、Pプッシャ24は、操作板24Aにおいて乗員によって右側に操作(押圧)されて、右側にスライド可能にされている。また、ノブ18が回転された際には、Pプッシャ24がノブ18と一体に回転される。
【0031】
ノブ本体20の左端面の上部及び下部には、復帰機構50(第1付勢機構)を構成する付勢体50A(
図5の(A)及び(B)参照)が設けられており、付勢体50Aは、ゴム製にされて、弾性を有している。付勢体50Aの基端部(右端部)は、略矩形板状にされており、付勢体50Aの基端部は、ノブ本体20の左端面に固定されると共に、Pプッシャ24の軸方向に垂直に配置されている。付勢体50Aの中間部(左右方向中間部)は、円錐台状にされており、付勢体50Aの中間部は、軸方向がPプッシャ24の軸方向に平行にされると共に、左側へ向かうに従い縮径されている。付勢体50Aの先端部(左端部)は、円筒状にされており、付勢体50Aの先端部は、付勢体50Aの中間部と同軸上に配置されている。付勢体50Aの先端部は、Pプッシャ24の操作板24Aに当接されており、Pプッシャ24は、付勢体50A(特に先端部及び中間部)の付勢力によって左側に付勢されて、左側へのスライドが係止されている。
【0032】
Pプッシャ24の右端部には、略円柱状の操作接続片24B(
図6(A)参照)が同軸上に設けられており、操作接続片24Bは、ベース14の右側部分内に挿入されている。操作接続片24Bの先端部(右端部)には、球状の操作接続部24Cが形成されており、Pプッシャ24の中心軸線は、操作接続部24Cの中心を通過している。
【0033】
後プレート12B内には、回転部としての略円筒状の回転シャフト26(
図3及び
図4参照)が回転可能に支持されており、回転シャフト26の軸方向は、左右方向にされている。回転シャフト26は、後プレート12Bの左壁を回転可能に貫通しており、回転シャフト26の左端部は、後プレート12Bの左側に配置されている。
【0034】
回転シャフト26の左端部の前側には、回転被接続部としてのU字形枠状の回転接続枠26A(
図2、
図6の(A)及び(B)参照)が一体に設けられており、回転接続枠26Aは、回転シャフト26から左側に延出されて、ベース14の固定部14A内に挿入されている。回転接続枠26A内は、左方、前方及び後方に開放されており、回転接続枠26A内の上面及び下面は、上下方向に垂直に配置されている。回転接続枠26A内には、ノブ18(ノブ本体20)の回転接続片20Aが挿入されており、回転接続片20Aの回転接続部20Bは、回転接続枠26A内の上面と下面との間に嵌合されている。ノブ18が回転されて、回転接続部20Bが回転された際には、回転接続部20Bと一体に回転接続枠26Aが回転されて、回転シャフト26が回転される。
【0035】
回転シャフト26の右部には、前側かつ下側の部分において、制限部としての開放孔26B(
図4参照)が形成されており、開放孔26Bは、回転シャフト26内を下側に開放している。回転シャフト26の右端部には、矩形筒状の固定筒26C(
図8(A)及び
図9参照)が形成されており、固定筒26Cの軸方向は、前後方向にされている。
【0036】
回転シャフト26の右部の前側には、略矩形板状の接続板28(
図7の(A)及び(B)、
図9参照)が固定されており、接続板28は、回転シャフト26の周方向に沿って湾曲されると共に、回転シャフト26の前端部(開放孔26Bの前端部を含む)を被覆している。接続板28の右部の上下方向中央部には、矩形柱状の嵌合柱28Bが一体に設けられており、嵌合柱28Bは、後方に延出されている。接続板28の右部の上端部及び下端部には、略長尺板状の固定爪28Cが一体に設けられており、固定爪28Cは、後方に延出されると共に、先端部(後端部)が接続板28の上下方向内側に突出されている。嵌合柱28Bは、回転シャフト26の固定筒26C内に嵌合されると共に、固定爪28Cの先端部は、固定筒26Cの後面に係止されており、これにより、接続板28の回転シャフト26に対する移動が規制されて、接続板28が回転シャフト26に固定されている。接続板28の右端部には、略円柱状の回転片28Aが一体に設けられており、回転片28Aは、前方に延出されると共に、先端部(前端部)の周面が球面状にされている。
【0037】
回転シャフト26内には、移動部としての略円柱状のPスライダ30(
図4、
図8の(A)及び(B)参照)が同軸上に嵌合されており、Pスライダ30は、回転シャフト26内を軸方向(左右方向)にスライド(移動)可能にされると共に、回転を規制されている。Pスライダ30は、回転シャフト26から左方に延出されており、Pスライダ30の左端部は、略直方体状にされている。Pスライダ30の左端部には、操作被接続部としての前面視十字状の操作接続孔30A(
図6の(A)及び(B)参照)が形成されており、操作接続孔30Aは、軸方向が前後方向にされると共に、前方及び左方に開放されている。操作接続孔30Aには、Pプッシャ24の操作接続片24Bが挿入されており、操作接続片24Bの操作接続部24Cは、上下方向及び左右方向において操作接続孔30Aに嵌合されている。Pプッシャ24が操作されて、操作接続部24Cが右側(右方かつ後方)にスライドされた際には、操作接続部24Cが操作接続孔30Aに対し後方に移動されつつ、操作接続孔30Aが操作接続部24Cと一体に右方にスライドされて、Pスライダ30が右方にスライドされる。Pスライダ30の右端部には、下側部分において、半円柱状の操作孔30Bが形成されており、操作孔30Bは、下側、前側及び後側に開放されている。
【0038】
後プレート12B内には、回転シャフト26の右側において、回転検出機構32(
図3、
図7(A)及び
図9参照)が設けられている。
【0039】
後プレート12Bの底壁(後壁)には、連絡体(回転中間部)としての回転体34が回転(移動)可能に支持されており、回転体34の回転軸方向は、前後方向にされている。回転体34には、矩形板状の回転板34Aが一体に設けられており、回転板34Aは、左側に延出されると共に、矩形状の回転孔34Bが貫通形成されている。回転孔34Bには、回転シャフト26(接続板28)の回転片28A先端部が挿入されており、回転孔34Bには、回転片28Aの先端部が上下方向において嵌合されている。回転シャフト26が回転されて、回転片28Aが回転された際には、回転片28Aの先端部と一体に回転板34Aが回転されて、回転体34が初期回転位置(所定位置)から回転される。また、ノブ18が一方向Aに回転される際には、回転体34が第1方向C(
図3等参照)に回転されると共に、ノブ18が他方向Bに回転される際には、回転体34が第2方向D(
図3等参照)に回転される。回転体34には、扇形板状の回転ギヤ板34Cが一体に設けられており、回転ギヤ板34Cは、右側に延出されている。
【0040】
回転体34には、第2付勢機構(回転付勢部材)としての回転スプリング52(捩りコイルスプリング)が設けられており、回転スプリング52の中間部(螺旋状部分)は、回転体34の回転中心軸線と同軸上に配置されている。回転スプリング52の第1方向C側の一端部52Aの第1方向Cへの回転は、後プレート12Bの底壁によって係止されており、回転スプリング52の第2方向D側の他端部52Bの第2方向Dへの回転は、後プレート12Bの底壁によって係止されている。回転体34が初期回転位置から第1方向Cに回転される際には、回転スプリング52の一端部52Aが回転体34の第1方向Cへの回転を許可すると共に、回転スプリング52の他端部52Bが回転体34によって第1方向Cに回転されて、回転スプリング52が回転体34を第2方向Dに付勢する。回転体34が初期回転位置から第2方向Dに回転される際には、回転スプリング52の他端部52Bが回転体34の第2方向Dへの回転を許可すると共に、回転スプリング52の一端部52Aが回転体34によって第2方向Dに回転されて、回転スプリング52が回転体34を第1方向Cに付勢する。このため、回転体34は、回転スプリング52によって初期回転位置の第1方向C側及び第2方向D側から初期回転位置へ向かう方向に付勢される。また、回転体34への回転スプリング52の付勢力による回転シャフト26の回転力は、ノブ18への節度機構56の付勢力による回転シャフト26の回転力に比し小さくされている。
【0041】
後プレート12Bの底壁には、回転体34の右側において、検出回転部としての略円柱状の回転マグネット体36が回転可能に支持されており、回転マグネット体36の回転軸方向は、前後方向にされている。回転マグネット体36の後側部分には、回転ギヤ36Aが同軸上に設けられており、回転ギヤ36Aには、回転体34の回転ギヤ板34Cの外周が噛合されている。回転体34が回転されて、回転ギヤ板34Cが回転された際には、回転ギヤ36Aが回転されて、回転マグネット体36が回転される。また、回転ギヤ36Aの回転半径は、回転ギヤ板34C外周の回転半径に比し小さくされている。回転マグネット体36の前側部分には、円柱状の回転マグネット36Bが同軸上に固定されており、回転マグネット36Bは、回転マグネット体36と一体回転される。
【0042】
後プレート12B内には、回転シャフト26の下側において、操作検出機構38(
図3、
図8の(A)及び(B)、
図9参照)が設けられている。
【0043】
後プレート12Bの底壁には、連絡体(操作中間部)としての操作体40が回転(移動)可能に支持されており、操作体40の回転軸方向は、前後方向にされている。操作体40には、略円錐台状の操作片40Aが一体に設けられており、操作片40Aは、上方に延出されると共に、先端部が球状にされている。操作片40Aは、回転シャフト26の開放孔26Bに貫通されて、先端部がPスライダ30の操作孔30Bに挿入されており、操作片40Aの先端部は、操作孔30Bに左右方向において嵌合されている。Pスライダ30が右方にスライドされた際には、操作孔30Bと一体に操作片40Aの先端部が右方にスライドされて、操作体40が初期回転位置(所定位置)から回転される。また、Pスライダ30が右方にスライドされる際には、操作体40が第3方向E(
図3等参照)に回転されると共に、Pスライダ30が右方にスライドされた状態から左方にスライドされる際には、操作体40が第4方向F(
図3等参照)に回転される。操作体40には、扇形板状の操作ギヤ板40Bが一体に設けられており、操作ギヤ板40Bは、右側に延出されている。
【0044】
操作体40には、第2付勢機構(操作付勢部材)としての操作スプリング54(捩りコイルスプリング)が設けられており、操作スプリング54の中間部(螺旋状部分)は、操作体40の回転中心軸線と同軸上に配置されている。操作スプリング54の第3方向E側の一端部54Aの第3方向Eへの回転は、後プレート12Bの底壁によって係止されており、操作スプリング54の第4方向F側の他端部54Bの第4方向Fへの回転は、後プレート12Bの底壁によって係止されている。操作体40が初期回転位置から第3方向Eに回転される際には、操作スプリング54の一端部54Aが操作体40の第3方向Eへの回転を許可すると共に、操作スプリング54の他端部54Bが操作体40によって第3方向Eに回転されて、操作スプリング54が操作体40を第4方向Fに付勢する。このため、操作体40は、回転スプリング52によって初期回転位置の第3方向E側から初期回転位置へ向かう方向に付勢される。また、操作体40への操作スプリング54の付勢力によるPスライダ30のスライド力は、Pプッシャ24への復帰機構50の付勢力によるPスライダ30のスライド力に比し小さくされている。
【0045】
後プレート12Bの底壁には、操作体40の右側において、検出移動部としての略円柱状の操作マグネット体42が回転可能に支持されており、操作マグネット体42の回転軸方向は、前後方向にされている。操作マグネット体42の後側部分には、操作ギヤ42Aが同軸上に設けられており、操作ギヤ42Aには、操作体40の操作ギヤ板40Bの外周が噛合されている。操作体40が回転されて、操作ギヤ板40Bが回転された際には、操作ギヤ42Aが回転されて、操作マグネット体42が回転される。また、操作ギヤ42Aの回転半径は、操作ギヤ板40B外周の回転半径に比し小さくされている。操作マグネット体42の前側部分には、操作被検出部としての円柱状の操作マグネット42Bが同軸上に固定されており、操作マグネット42Bは、操作マグネット体42と一体回転される。
【0046】
後プレート12B内の前端部には、検出体としての略矩形板状の回路基板44(
図1(B)及び
図4参照)が固定されており、回路基板44は、前後方向に垂直に配置されて、回転シャフト26の軸方向(回転軸方向)及びPスライダ30の軸方向(スライド方向)に沿って配置されている。回路基板44には、回転検出機構32(回転マグネット体36)の回転マグネット36Bとの対向部分において、回転検出部としての回転センサ(図示省略)が設けられており、回転センサは、回転マグネット36Bが発生する磁界の方向を検出して、回転マグネット体36(回転マグネット36B)の回転位置を検出する。回路基板44には、操作検出機構38(操作マグネット体42)の操作マグネット42Bとの対向部分において、操作検出部としての操作センサ(図示省略)が設けられており、操作センサは、操作マグネット42Bが発生する磁界の方向を検出して、操作マグネット体42(操作マグネット42B)の回転位置を検出する。
【0047】
回路基板44(回転センサ及び操作センサ)は、車両の制御装置46に電気的に接続されており、制御装置46には、車両の変速機48(自動変速機)が電気的に接続されている。
【0048】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0049】
以上の構成のシフト装置10では、ノブ18がH位置から一方向Aに回転されて、ノブ18がR位置に配置されると共に、ノブ18がH位置から他方向Bに回転されて、ノブ18がD位置に配置される。
【0050】
ノブ18が回転された際には、ノブ18の回転接続部20Bが回転されて、回転接続部20Bと一体に回転シャフト26の回転接続枠26Aが回転されることで、回転シャフト26が回転される。そして、回転シャフト26が回転された際には、回転検出機構32において、回転体34が回転されて、回転マグネット体36が回転される。さらに、回路基板44の回転センサが回転マグネット体36の回転位置を検出することで、回転体34の回転位置、回転シャフト26の回転位置及びノブ18の回転位置が検出されて、ノブ18のシフト位置が検出される。
【0051】
ノブ18のシフト位置がR位置又はD位置に変更されたことが検出された際には、それぞれ、制御装置46の制御により、変速機48のシフトレンジがRレンジ(リバースレンジ)又はDレンジ(ドライブレンジ)に変更される。
【0052】
また、Pプッシャ24が操作された際には、Pプッシャ24の操作接続部24Cが右側にスライドされて、操作接続部24Cと一体にPスライダ30の操作接続孔30Aが右方にスライドされることで、Pスライダ30が右方にスライドされる。そして、Pスライダ30が右方にスライドされた際には、操作検出機構38において、操作体40が回転されて、操作マグネット体42が回転される。さらに、回路基板44の操作センサが操作マグネット体42の回転位置を検出することで、操作体40の回転位置、Pスライダ30のスライド位置及びPプッシャ24のスライド位置が検出されて、Pプッシャ24の操作が検出される。
【0053】
Pプッシャ24の操作が検出された際には、制御装置46の制御により、変速機48のシフトレンジがPレンジ(パークレンジ)に変更される。
【0054】
ところで、節度機構56がノブ18をH位置側に付勢すると共に、復帰機構50がPプッシャ24を左側(非操作側)に付勢している。
【0055】
ここで、ノブ18に回転体34が回転シャフト26を介して連絡されており、回転体34を回転スプリング52が初期回転位置に付勢する。このため、例えばノブ18が破損して、回転体34のノブ18との連絡が解除されることで、節度機構56の付勢力が回転体34に作用されない場合に、回転体34が初期回転位置から回転されることを制限できる。これにより、回転体34の初期回転位置からの回転による回転マグネット体36の回転によって変速機48がRレンジ又はDレンジに変更されることを制限できて、車両が駆動されることを抑制できる。
【0056】
さらに、回転体34への回転スプリング52の付勢力による回転シャフト26の回転力が、ノブ18への節度機構56の付勢力による回転シャフト26の回転力に比し小さくされている。このため、節度機構56の付勢力と回転スプリング52の付勢力との合計を小さくでき、ノブ18を回転させるための荷重が大きくなることを抑制できる。
【0057】
また、プレート12に回転検出機構32(回転体34及び回転スプリング52を含む)が収容されている。このため、プレート12の外側から回転検出機構32が操作されることを制限できる。
【0058】
さらに、プレート12に回転検出機構32(回転体34を含む)が収容されており、プレート12の外側においてノブ18(回転接続部20B)と回転検出機構32側の回転シャフト26(回転接続枠26A)とが連絡されている。このため、ノブ18と回転検出機構32とを容易に連絡させることができる。
【0059】
また、Pプッシャ24に操作体40がPスライダ30を介して連絡されており、操作体40を操作スプリング54が初期回転位置に付勢する。このため、例えばPプッシャ24が破損して、操作体40のPプッシャ24との連絡が解除されることで、復帰機構50の付勢力が操作体40に作用されない場合に、操作体40が初期回転位置から回転されることを制限できる。これにより、操作体40の初期回転位置からの回転による操作マグネット体42の回転によって変速機48がPレンジに変更されることを制限できて、車両が制動されることを抑制できる。
【0060】
さらに、操作体40への操作スプリング54の付勢力によるPスライダ30のスライド力が、Pプッシャ24への復帰機構50の付勢力によるPスライダ30のスライド力に比し小さくされている。このため、復帰機構50の付勢力と操作スプリング54の付勢力との合計を小さくでき、Pプッシャ24を操作するための荷重が大きくなることを抑制できる。
【0061】
また、プレート12に操作検出機構38(操作体40及び操作スプリング54を含む)が収容されている。このため、プレート12の外側から操作検出機構38が操作されることを制限できる。
【0062】
さらに、プレート12に操作検出機構38(操作体40を含む)が収容されており、プレート12の外側においてPプッシャ24(操作接続部24C)と操作検出機構38側のPスライダ30(操作接続孔30A)とが連絡されている。このため、Pプッシャ24と操作検出機構38とを容易に連絡させることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、回転スプリング52(第2付勢機構)が回転体34を付勢する。しかしながら、第2付勢機構が回転マグネット体36又は回転シャフト26(連絡体)を付勢してもよい。
【0064】
また、本実施形態では、操作スプリング54(第2付勢機構)が操作体40を付勢する。しかしながら、第2付勢機構が操作マグネット体42又はPスライダ30(連絡体)を付勢してもよい。
【0065】
さらに、本実施形態では、ノブ18(移動体)が操作されて、変速機48のシフトレンジがRレンジ又はDレンジに変更されると共に、Pプッシャ24(移動体)が操作されて、変速機48のシフトレンジがPレンジに変更される。しかしながら、移動体が操作されて、変速機48のシフトレンジが他のシフトレンジ(例えばMレンジ(マニュアルレンジ))に変更されてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、シフト装置10が車両のステアリングコラムに設置される。しかしながら、シフト装置10が車両の他の部分(インストルメントパネル又はコンソール等)に設置されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10・・・シフト装置、18・・・ノブ(移動体)、24・・・Pプッシャ(移動体)、34・・・回転体(連絡体)、40・・・操作体(連絡体)、48・・・変速機、50・・・復帰機構(第1付勢機構)、52・・・回転スプリング(第2付勢機構)、54・・・操作スプリング(第2付勢機構)、56・・・節度機構(第1付勢機構)