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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011087
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】移動モード判定装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20240118BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G08G1/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112785
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】591141784
【氏名又は名称】学校法人大阪産業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 宏之
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129BB03
2F129BB27
2F129BB28
2F129BB29
2F129CC15
2F129CC19
2F129EE94
2F129FF11
2F129FF20
2F129HH21
5H181AA21
5H181BB20
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF27
(57)【要約】
【課題】移動モードのデータ量の増大を抑制することが可能な移動モード判定装置を提供する。
【解決手段】移動モード判定装置100は、状態判定部13、移動モード判定部23およびデータセット生成部24を備える。状態判定部13は、使用者が静止状態にあるか移動状態にあるかを判定する。移動モード判定部23は、使用者が移動状態にあるときの移動モードを判定する。データセット生成部24は、一の移動状態について移動モード判定部23により判定された移動モードを示す移動モード情報、一の移動状態の前の一の静止状態を示す第1の静止情報、および一の移動状態の後の次の静止状態を示す第2の静止情報を含む格納用データセットを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が静止状態にあるか移動状態にあるかを判定する状態判定部と、
使用者が移動状態にあるときの移動モードを判定する移動モード判定部と、
一の移動状態について前記移動モード判定部により判定された移動モードを示す移動モード情報、前記一の移動状態の前の一の静止状態を示す第1の静止情報、および前記一の移動状態の後の次の静止状態を示す第2の静止情報を含む格納用データセットを生成するデータセット生成部とを備える、移動モード判定装置。
【請求項2】
予め定められた第1の条件が満たされる場合に前記移動モード判定部の動作を許容し、前記第1の条件が満たされない場合に前記移動モード判定部の動作を制限する動作切替部をさらに備える、請求項1記載の移動モード判定装置。
【請求項3】
使用者の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部をさらに備え、
前記第1の静止情報は、使用者が前記一の静止状態にあるときの位置情報を含み、
前記第2の静止情報は、使用者が前記次の静止状態にあるときの位置情報を含み、
前記動作切替部は、予め定められた第2の条件が満たされる場合に前記位置情報生成部の動作を許容し、前記第2の条件が満たされない場合に前記位置情報生成部の動作を制限する、請求項2記載の移動モード判定装置。
【請求項4】
使用者の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部を含む移動端末から送信される前記位置情報を受信するサーバ通信部をさらに備え、
前記第1の静止情報は、使用者が前記一の静止状態にあるときの位置情報を含み、
前記第2の静止情報は、使用者が前記次の静止状態にあるときの位置情報を含み、
前記動作切替部は、予め定められた第2の条件が満たされる場合に前記位置情報生成部の動作を許容し、前記第2の条件が満たされない場合に前記位置情報生成部の動作を制限し、
前記サーバ通信部は、前記位置情報生成部の動作を許容および禁止するための指令信号が前記動作切替部から前記サーバ通信部を通して前記位置情報生成部に送信されるように構成された、請求項2記載の移動モード判定装置。
【請求項5】
移動状態にある使用者の移動速度を検出する速度検出部をさらに備え、
前記移動モード判定部による移動モードの判定精度は、使用者の移動速度が予め定められた特定速度範囲内にあるときに予め定められた程度よりも高くなり、
前記第1の条件は、前記速度検出部により検出される移動速度が前記特定速度範囲内にあることを含む、請求項2~4のいずれか一項に記載の移動モード判定装置。
【請求項6】
前記データセット生成部により生成された前記格納用データセットを格納するデータセット格納部をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の移動モード判定装置。
【請求項7】
前記データセット生成部により生成された前記格納用データセットを格納するデータセット格納部をさらに備える、請求項5記載の移動モード判定装置。
【請求項8】
前記データセット格納部は、前記データセット生成部により連続して生成された複数の格納用データセットにそれぞれ含まれる複数の移動モード情報が同じ移動モードを示す場合に、前記複数の格納用データセットの統合処理を行う、請求項6記載の移動モード判定装置。
【請求項9】
前記データセット格納部は、前記データセット生成部により連続して生成された複数の格納用データセットにそれぞれ含まれる複数の移動モード情報が同じ移動モードを示す場合に、前記複数の格納用データセットの統合処理を行う、請求項7記載の移動モード判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の移動モードを判定する移動モード判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機およびスマートフォン等の移動端末を利用した種々の通信サービスが開発されている。移動端末を保持する使用者の移動モードを把握することができれば、使用者の状態に応じた利便性の高い通信サービスを提供することができる。ここで、移動モードは、「徒歩」、「自転車」、「自動車」、「バス」および「鉄道」等の使用者の移動手段の種類を意味する。そこで、使用者の移動モードを判定する移動モード判定装置が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載された移動モード判定装置においては、使用者の移動に伴って発生する加速度および移動速度が順次取得される。取得された加速度および移動速度に基づいて、時間軸上でシフトする各判定期間の使用者の移動モードが判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-151387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の判定期間が長時間に渡って時間軸上でシフトすると、シフトする回数が増えるので、移動モードの判定結果が増大する。判定された移動モードのデータ量の増大は、使用者の移動モードを把握するための解析処理および記録処理の効率を低下させる。
【0006】
本発明の目的は、移動モードのデータ量の増大を抑制することが可能な移動モード判定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に従う移動モード判定装置は、使用者が静止状態にあるか移動状態にあるかを判定する状態判定部と、使用者が移動状態にあるときの移動モードを判定する移動モード判定部と、一の移動状態について前記移動モード判定部により判定された移動モードを示す移動モード情報、前記一の移動状態の前の一の静止状態を示す第1の静止情報、および前記一の移動状態の後の次の静止状態を示す第2の静止情報を含む格納用データセットを生成するデータセット生成部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動モードのデータ量の増大を抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る移動モード判定装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】移動モード判定処理の一例を示すフローチャートである。
図3】本発明の一実施の形態に係る移動モード判定装置をサーバに適用した例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る移動モード判定装置について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、移動モードとは、「徒歩」、「自転車」、「自動車」、「バス」、「自動二輪車」および「鉄道」等の使用者の移動手段の種類を意味する。
【0011】
1.移動モード判定装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る移動モード判定装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態に係る移動モード判定装置100は、加速度センサ11、加速度算出部12、状態判定部13、位置センサ21、速度算出部22、移動モード判定部23、データセット生成部24、データセット格納部31および動作切替部41を備える。
【0012】
加速度センサ11には、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を有するXYZ座標系が定義されている。加速度センサ11は、XYZ座標系の各座標軸の方向に発生する加速度を検出する。加速度算出部12は、加速度センサ11により検出されたXYZ座標系の三方向の加速度から、使用者の水平方向の加速度および使用者の鉛直方向(地面に対して垂直な重力の方向)の加速度を算出する。以下の説明では、使用者の水平方向の加速度を水平加速度と呼び、使用者の鉛直方向の加速度を鉛直加速度と呼ぶ。
【0013】
状態判定部13は、加速度算出部12により算出された使用者の水平加速度および鉛直加速度の少なくとも一方の物理データに基づいて、使用者が現在静止状態にあるか移動状態にあるかを判定する。静止状態は、使用者が移動していない状態である。移動状態は、使用者が、移動している状態である。
【0014】
状態判定部13は、例えば水平加速度が予め定められたしきい値を超えない場合に使用者が静止状態にあることを判定し、水平加速度が予め定められたしきい値を超える場合に使用者が移動状態にあることを判定してもよい。あるいは、状態判定部13は、水平加速度に基づいて使用者の移動距離等を算出し、その算出結果に基づいて使用者が静止状態にあるか移動状態にあるかを判定してもよい。ここで、鉛直加速度は、使用者の鉛直方向の振動状態を表す。使用者が静止状態にあるときの鉛直方向の振動状態と、使用者が移動状態にあるときの鉛直方向の振動状態とは異なる。したがって、使用者が静止状態にあるか移動状態にあるかの判定には、少なくとも鉛直加速度が用いられることが好ましい。状態判定部13による判定結果は、データセット生成部24および動作切替部41に与えられる。加速度センサ11、加速度算出部12および状態判定部13は、移動モード判定装置100の電源がオンされている間、微小な時間間隔で上記の動作を繰り返す。
【0015】
位置センサ21は、例えばGPS(全地球測位システム:Global Positioning System)からなり、使用者の現在の位置を示す位置情報を生成する。位置センサ21で生成された位置情報は、速度算出部22およびデータセット生成部24に与えられる。
【0016】
速度算出部22は、位置センサ21の動作時に、位置センサ21により生成された位置情報の単位時間当たりの変化量に基づいて使用者の移動速度を算出する。また、速度算出部22は、加速度算出部12により算出された使用者の水平加速度に基づいて使用者の移動速度を算出することも可能である。移動モード判定部23は、加速度算出部12により算出された使用者の水平加速度、使用者の鉛直加速度、および速度算出部22により算出された使用者の移動速度に基づいて、使用者が移動状態にあるときの移動モードを判定する。なお、移動モード判定部23は、使用者の移動速度を用いることなく使用者の水平加速度および鉛直加速度に基づいて移動モードを判定してもよい。移動モードの判定結果は、データセット生成部24に与えられる。
【0017】
移動モード判定部23による使用者の移動モードの判定は、例えば以下のように行われる。移動モード判定部23は、加速度算出部12から与えられる水平加速度、鉛直加速度を順次取得するとともに、速度算出部22から与えられる使用者の移動速度を順次取得する。
【0018】
移動モード判定部23は、図示しない分類器を備える。その分類器は、取得された移動速度および加速度に関する特徴量と移動モードの種類とを対応付けることにより、使用者の各時点での移動モードを複数の移動モードのいずれかに分類する。分類結果は時系列データとして蓄積される。分類器は、例えば機械学習アルゴリズム(例えば、決定木アルゴリズムまたはk近傍法アルゴリズム等)を用いた学習により予め設計される。なお、移動モード判定部23が、使用者の移動速度を用いることなく移動モードを判定する場合、分類器は、加速度に関する特徴量と移動モードの種類とを対応付けることにより、使用者の各時点での移動モードを複数の移動モードのいずれかに分類してもよい。
【0019】
また、移動モード判定部23は、蓄積された時系列データにおいて判定期間を時間軸上でシフトさせる。そこで、移動モード判定部23は、各判定期間における複数時点に対応する分類結果の生起頻度に基づいて、各判定期間における使用者の移動モードを判定する。より具体的には、移動モード判定部23は、各判定期間における複数時点に対応する分類結果のうち最も生起頻度が高い移動モードを当該判定期間についての使用者の移動モードとして判定する。なお、移動モード判定装置100においては、移動モードの判定方法として上記の例に代えて他の公知の判定方法が適用されてもよい。
【0020】
データセット生成部24は、計時機能を有する。データセット生成部24は、状態判定部13の判定結果が静止状態から移動状態に切り替わった場合に、その切り替わりの時刻と、位置センサ21から与えられる位置情報とを含む第1の静止情報を生成し、保持する。また、データセット生成部24は、移動モード判定部23から移動モードの判定結果が与えられた場合に、与えられた移動モードを示す移動モード情報を保持する。さらに、データセット生成部24は、状態判定部13の判定結果が移動状態から静止状態に切り替わった場合に、その切り替わりの時刻と、位置センサ21から与えられる位置情報とを含む第2の静止情報を生成し、保持する。
【0021】
さらに、データセット生成部24は、第1の静止情報、移動モード情報および第2の静止情報をこの順で保持した場合に、これらの3つの情報を含む格納用データセットを生成する。このとき、データセット生成部24は、第1の静止情報、移動モード情報および第2の静止情報の保持をリセットする。また、データセット生成部24は、第1の静止情報が保持された後、移動モードの判定結果が与えられることなく状態判定部13の判定結果が移動状態から静止状態に切り替わった場合に、第1の静止情報の保持をリセットする。
【0022】
図1では、点線の枠内に、データセット生成部24において生成される格納用データセットの構造が模式的に示される。データセット格納部31は、データセット生成部24において生成された格納用データセットを格納する。
【0023】
本実施の形態に係る移動モード判定装置100においては、一部の構成要素の動作を一時的に許容するための動作許容条件が予め設定される。動作切替部41は、動作許容条件が満たされている場合に移動モード判定装置100の一部の構成要素の動作を許容し、動作許容条件が満たされていない場合に一部の構成要素の動作を制限する。
【0024】
本実施の形態においては、動作切替部41による動作の制限対象となる一部の構成要素は、位置センサ21および移動モード判定部23である。この場合、移動モード判定装置100の電源がオンされている間、位置センサ21および移動モード判定部23が継続して動作することが防止される。それにより、位置センサ21および移動モード判定部23を動作させるために要するエネルギー(電力)の消費量が低減される。
【0025】
具体的には、動作許容条件は、第1の条件として、使用者が移動状態にありかつ使用者の移動速度が特定の速度範囲(以下、特定速度範囲と呼ぶ。)内にあることを含む。これにより、動作切替部41は、使用者が移動状態にありかつ使用者の移動速度が特定速度範囲内にないときに、第1の条件が満たされていないとして位置センサ21および移動モード判定部23の動作を制限する。これに対して、動作切替部41は、使用者が移動状態にありかつ使用者の移動速度が特定速度範囲内にあるときに、位置センサ21および移動モード判定部23の動作を許容する。それにより、上記のように、移動モード判定部23において、移動モード情報が生成される。なお、移動モード判定部23が、使用者の移動速度を用いることなく移動モードを判定する場合には、位置センサ21の動作は許容されなくてもよい。本例において、動作許容条件の第1の条件が使用者の移動速度が特定速度範囲内にあることを含む理由については後述する。
【0026】
また、本実施の形態に係る動作許容条件は、上記の第1の条件とは別の第2の条件として、状態判定部13の判定結果が切り替わったことを含む。これにより、動作切替部41は、状態判定部13により使用者が静止状態で維持されている間、第2の条件が満たされていないとして位置センサ21および移動モード判定部23を動作させない。これに対して、動作切替部41は、状態判定部13の判定結果が切り替わった場合、位置センサ21の動作を一時的に許容する。それにより、上記のように、データセット生成部24において、第1の静止情報および第2の静止情報のいずれかが生成される。
【0027】
なお、動作許容条件の第1の条件に関して、使用者の移動速度が特定速度範囲内にあるか否かを判定するためには、移動モードの判定前に、使用者の移動速度を検出する必要がある。使用者の移動速度を正確に把握するためには、位置センサ21により生成される位置情報に基づいて移動速度を算出することが好ましい。しかしながら、位置センサ21は、第1の条件および第2の条件のいずれかが満たされない限り動作しない。
【0028】
そこで、本実施の形態では、位置センサ21の動作が制限されている場合に、例えば、速度算出部22が加速度算出部12により算出された水平加速度を積分することにより使用者の移動速度を算出する。これにより、算出された移動速度に基づいて、使用者の移動速度が特定速度範囲内にあるか否かを判定することが可能になる。
【0029】
上記のように、水平加速度を用いて使用者の移動速度が特定速度範囲内にあるか否かを判定する場合には、判定精度を向上させるために、位置センサ21を一時的に動作させてもよい。例えば、上記の第1の静止情報が生成された時点から水平加速度に基づいて使用者の移動速度を監視する。その後、使用者の移動速度が特定速度範囲内にあると判定された時点から位置センサ21を動作させ、位置情報に基づく移動速度の算出を行う。これにより、使用者の移動速度が特定速度範囲内にあるか否かを正確に判定することが可能になる。
【0030】
図1の移動モード判定装置100においては、加速度算出部12、状態判定部13、速度算出部22、移動モード判定部23、データセット生成部24、データセット格納部31および動作切替部41は、例えばCPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)および後述する移動モード判定プログラムにより構成される。この場合、CPUがROMまたは他の記憶装置に記憶される移動モード判定プログラムをRAM上で実行することにより上記の各構成要素(12,13,22,23,24,31,41)の機能が実現される。なお、加速度算出部12、状態判定部13、速度算出部22、移動モード判定部23、データセット生成部24、データセット格納部31および動作切替部41の一部または全てが、電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0031】
2.動作許容条件が使用者の移動速度が特定速度範囲内にあることを含む理由
上記のように、本実施の形態に係る移動モードの判定時には、移動モード判定部23は、取得される水平加速度、鉛直加速度および移動速度に基づいて、使用者の各時点での移動モードを複数の移動モードのいずれかに分類する。なお、上記のように、移動速度に関しては、移動モードの分類には必ずしも必要ではない。また、移動モード判定部23は、移動モードの時系列データにおいて判定期間を時間軸上でシフトさせつつ各判定期間における複数時点に対応する分類結果のうち最も生起頻度が高い移動モードを当該判定期間についての使用者の移動モードとして判定する。
【0032】
ここで、上記の移動モードの分類および判定の誤り率は、使用者の移動速度の複数の範囲で異なり、共通する速度範囲で局所的に低くなることが知られている(例えば、特許文献1参照)。そのため、使用者の移動速度が移動モードの分類および判定の誤り率が低い移動速度の範囲内にある場合には、使用者の移動速度が当該範囲外にある場合に比べて、移動モード判定部23の判定精度が高くなる。
【0033】
そこで、本実施の形態では、使用者の移動速度が移動モードの分類および判定の誤り率が低い移動速度の範囲が、特定速度範囲として設定される。特定速度範囲は、例えば5km/h以上10km/h以下である。なお、特定速度範囲は、実際に使用される移動モード判定部23について、実験またはシミュレーションを行うことにより、より誤り率が低くなるように設定されることが好ましい。
【0034】
3.移動モード判定処理
図2は、移動モード判定処理の一例を示すフローチャートである。図2の移動モード判定処理は、移動モード判定装置100が備えるCPUがROMまたは他の記憶装置に記憶される移動モード判定プログラムをRAM上で実行することにより行われる。本例では、初期状態で、使用者は静止状態にあるものとする。また、初期状態で、加速度センサ11は動作しておらず、加速度算出部12による水平加速度および垂直加速度の算出は行われていないものとする。また、位置センサ21は動作しておらず、位置情報の生成および速度算出部22による移動速度の算出は行われていないものとする。さらに、位置センサ21および移動モード判定部23の動作は動作切替部41により制限されているものとする。
【0035】
図2に示すように、まず、図1の加速度算出部12が、加速度センサ11を動作させることにより使用者の水平加速度および鉛直加速度の算出動作を開始する(ステップS11)。具体的には、加速度算出部12は、上記のように、加速度センサ11により検出される装置固有のXYZ座標系の三方向の加速度から水平加速度および鉛直加速度を算出する。水平加速度および鉛直加速度の算出動作は、その後、微小な時間間隔で繰り返される。
【0036】
次に、図1の状態判定部13は、加速度算出部12により算出された直近の水平加速度および鉛直加速度の少なくとも一方の物理データに基づいて、使用者が現時点で静止状態にあるか否かを判定する(ステップS12)。
【0037】
上記のように、初期状態においては、使用者は静止状態にある。また、動作許容条件は、第2の条件として、状態判定部13の判定結果が切り替わったことを含む。したがって、ステップS12の処理は、移動モード判定装置100において、動作許容条件の第2の条件が満たされたか否かの判定処理に相当する。
【0038】
使用者が静止状態にある場合、状態判定部13は、ステップS12の処理を繰り返す。一方、ステップS12において使用者が移動状態にあることが判定されると、動作切替部41は、状態判定部13の判定結果が切り替わったこと、すなわち動作許容条件の第2の条件が満たされたことを判定し、位置センサ21の動作を一時的に許容する。それにより、データセット生成部24は、位置センサ21により生成される位置情報に基づいて第1の静止情報を生成し、保持する(ステップS13)。
【0039】
次に、速度算出部22は、加速度算出部12により算出される水平加速度を積分することにより使用者の移動速度を算出する。そこで、動作切替部41は、速度算出部22により算出された移動速度が特定速度範囲内にあるか否かを判定する(ステップS14)。
【0040】
上記のように、動作許容条件は、第1の条件として、使用者が移動状態にありかつ使用者の移動速度が特定速度範囲内にあることを含む。したがって、ステップS14の処理は、移動モード判定装置100において、動作許容条件の第1の条件が満たされたか否かの判定処理に相当する。
【0041】
使用者の移動速度が特定速度範囲内にない場合、状態判定部13は、動作許容条件の第1の条件が満たされていないものとして、使用者が現時点で静止状態にあるか否かを判定する(ステップS15)。ここで、使用者が現時点で静止状態にない場合、状態判定部13は、処理をステップS14に戻す。一方、使用者が現時点で静止状態にある場合、データセット生成部24は、ステップS13の処理で保持された第1の静止情報をリセットし(ステップS16)、処理をステップS12に戻す。
【0042】
ステップS14で、使用者の移動速度が特定速度範囲内にある場合、動作切替部41は、動作許容条件の第1の条件が満たされたものとして、位置センサ21および移動モード判定部23の動作を一時的に許容する。それにより、データセット生成部24は、位置センサ21を動作させることにより使用者の位置情報の取得動作を開始する(ステップS17)。このとき、速度算出部22は、位置センサ21により生成される位置情報に基づいて、使用者の移動速度を算出する。
【0043】
次に、移動モード判定部23は、加速度算出部12により算出される水平加速度および鉛直加速度と、速度算出部22により算出される移動速度とに基づいて使用者の移動モードを判定し、判定結果を示す移動モード情報を生成し、保持する(ステップS18)。本実施の形態では、移動モードの判定は、当該判定が開始されてから、予め定められた一定時間の間に行われるものとする。具体的には、移動モードの判定が開始されてから一定時間分の時系列データが蓄積されたときに、蓄積された一定時間分の時系列データに基づいて、移動モードの判定が行われるものとする。
【0044】
次に、動作切替部41は、位置センサ21および移動モード判定部23の動作を制限することにより、位置情報の取得および移動モードの判定動作を停止させる(ステップS19)。
【0045】
次に、状態判定部13は、使用者が現時点で静止状態にあるか否かを判定する(ステップS20)。ステップS20の処理は、ステップS12の処理と同様に、移動モード判定装置100において、動作許容条件の第2の条件が満たされたか否かの判定処理に相当する。
【0046】
使用者が静止状態にない場合、状態判定部13は、ステップS20の処理を繰り返す。一方、使用者が現時点で静止状態にある場合、動作切替部41は、状態判定部13の判定結果が切り替わったこと、すなわち動作許容条件の第2の条件が満たされたことを判定し、位置センサ21の動作を一時的に許容する。それにより、データセット生成部24は、位置センサ21により生成される位置情報に基づいて第2の静止情報を生成し、保持する(ステップS21)。
【0047】
次に、データセット生成部24は、現時点で保持されている第1の静止情報、移動モード情報および第2の静止情報に基づいて格納用データセットを生成し、保持されていた各情報のリセットを行う(ステップS22)。その後、データセット生成部24は、生成された格納用データセットをデータセット格納部31に格納し、処理をステップS12に戻す。
【0048】
なお、移動モード判定部23は、上記のステップS18の処理で、使用者の移動速度を用いることなく使用者の水平加速度および鉛直加速度に基づいて移動モードを判定してもよい。この場合、ステップS17,S18の処理が省略される。
【0049】
4.実施の形態の効果
(a)上記の移動モード判定装置100においては、データセット生成部24により生成される格納用データセットが、少なくとも第1の静止情報、移動モード情報および第2の静止情報を含む。そのため、上記の格納用データセットによれば、使用者が移動状態にあるときの移動モードを容易に把握することができる。
【0050】
使用者の移動モードを把握する際には、使用者が静止状態にあるときの移動モードの情報は不要である。上記の格納用データセットは、使用者が静止状態にあるときの移動モードのデータを含まない。これにより、移動モードのデータ量の増大を抑制することが可能となる。したがって、使用者の移動状態の解析処理および記録処理の効率化が実現される。
【0051】
(b)状態判定部13により一の移動状態が判定された時点から次の静止状態が判定された時点までの時間、換言すれば、一の静止状態から一の移動状態への切り替わり時点から一の移動状態から次の静止状態への切り替わり時点までの時間を単位移動時間と呼ぶ。
【0052】
上記の移動モード判定装置100においては、単位移動時間中で動作許容条件の第1の条件が満たされない時間があるときに、単位移動時間の全体に渡って位置センサ21および移動モード判定部23が動作しない。それにより、単位移動時間において、位置情報の生成および移動モードの判定に要するエネルギーを低減することができる。
【0053】
なお、上記のように、移動モードは、使用者の移動速度を用いることなく使用者の水平加速度および鉛直加速度に基づいて判定することもできる。この場合、移動モードを判定するために位置センサ21を動作させる必要はない。このような場合でも、上記の移動モード判定装置100においては、単位移動時間中で動作許容条件の第1の条件が満たされない時間があるときに、単位移動時間の全体に渡って少なくとも移動モード判定部23が動作しない。したがって、少なくとも移動モードの判定に要するエネルギーを低減することができる。
【0054】
(c)上記のように、使用者の移動速度が特定速度範囲内にある場合には、移動モード判定部23による移動モードの判定精度が予め定められた程度よりも高くなる。したがって、移動モードの判定に要するエネルギーを低減しつつ、移動モードの判定精度を予め定められた程度よりも高く維持することが可能になる。
【0055】
(d)データセット生成部24により生成される格納用データセットは、使用者が静止状態にあるときの移動モードのデータを含まない。また、単位移動時間の全体に渡って第1の条件が満たされない場合には、格納用データセットは、単位移動時間の全体に渡る移動モードの判定結果を含まない。それにより、格納用データセットのデータ量は、使用者の移動モードを把握するために最低限必要な程度に低減されている。したがって、データセット格納部31における格納領域のサイズを過剰に大きくする必要がない。
【0056】
5.移動モード判定装置100のサーバへの適用例
図3は、本発明の一実施の形態に係る移動モード判定装置をサーバに適用した例を示すブロック図である。図3の移動モード判定装置100について、図1の移動モード判定装置100と異なる点を説明する。本例の移動モード判定装置100は、サーバで構成され、図3に示すように、図1の移動モード判定装置100のうち加速度センサ11、加速度算出部12、位置センサ21および速度算出部22を含まない。加速度センサ11、加速度算出部12、位置センサ21および速度算出部22は、移動モード判定装置100の外部で、使用者により携帯可能に構成された移動端末101に含まれる。
【0057】
移動端末101は、端末通信部51をさらに含む。一方、移動モード判定装置100は、図1の移動モード判定装置100のうち状態判定部13、移動モード判定部23、データセット生成部24、データセット格納部31および動作切替部41を含むとともに、サーバ通信部52をさらに含む。
【0058】
端末通信部51は、電話回線またはインターネット等の通信システムを介して、使用者の移動モードの判定に関する各種情報を移動モード判定装置100に送信可能に構成されている。また、サーバ通信部52は、上記の通信システムを介して、使用者の移動モードの判定に関する各種情報を移動端末101から受信可能に構成されている。
【0059】
本例の端末通信部51は、加速度算出部12により算出された水平加速度および鉛直加速度、位置センサ21により生成された位置情報、ならびに速度算出部22により算出された移動速度を移動モード判定装置100に送信する。サーバ通信部52は、端末通信部51から送信される水平加速度、鉛直加速度、位置情報、および移動速度を受信する。
【0060】
さらに、端末通信部51およびサーバ通信部52は、上記の第1の条件および第2の条件のうち少なくとも一方の動作許容条件が満たされることにより動作切替部41が位置センサ21の動作を許容または制限するための指令信号を出力する際に、その指令信号がサーバ通信部52および端末通信部51を通して位置センサ21に送信されるように構成されている。
【0061】
上記の構成を有する図3の移動モード判定装置100によれば、サーバである移動モード判定装置100において格納用データセットの生成を行うことができる。したがって、移動端末101において格納用データセットを生成し、格納する必要がないので、移動端末101において移動モードの判定に関する高い処理能力が要求されない。したがって、移動端末101に高価なデータ処理装置を設ける必要がない。また、移動端末101とサーバである移動モード判定装置100との間で送受信される情報のデータ量が低減される。
【0062】
なお、図3の移動モード判定装置100は、移動端末101に設けられている加速度算出部12および速度算出部22を含んでもよい。この場合、移動端末101に加速度算出部12および速度算出部22が設けられない。それにより、端末通信部51は、加速度センサ11および位置センサ21の出力を移動モード判定装置100に送信する。また、サーバ通信部52は、端末通信部51から送信される加速度センサ11および位置センサ21の出力を受信し、加速度算出部12および速度算出部22に与える。
【0063】
あるいは、移動モード判定装置100の全体が、移動端末101に適用されてもよい。すなわち、図1の移動モード判定装置100の全ての構成要素が移動端末101に設けられてもよい。この場合、移動モード判定装置100は、図1に示される構成要素に加えて、通信部を備えてもよい。その通信部は、例えば移動モード判定装置100の外部装置からの要求を受信可能でかつその要求に応じてデータセット格納部31に格納された格納用データセットを外部装置に送信可能に構成される。
【0064】
6.他の実施の形態
(a)上記実施の形態に係る移動モード判定処理のうち図2のステップS18の処理においては、使用者の移動モードの判定は、当該判定が開始されてから一定時間の間に行われるが、本発明は上記の例に限定されない。移動モードの判定は、使用者が移動状態にありかつ使用者の移動速度が連続して特定速度範囲内にある間、すなわち第1の条件が満たされている間継続して行われてもよい。具体的には、移動モードの判定が開始されてから使用者の移動速度が連続して特定速度範囲内にある時間中の時系列データが蓄積され、その時間中の時系列データに基づいて、移動モードの判定が行われてもよい。この場合、動作切替部41は、第1の条件が満たされていない状態から第1の条件が満たされた状態に切り替わったときに移動モード判定部23の動作を許容する。また、動作切替部41は、第1の条件が満たされている状態から第1の条件が満たされない状態に切り替わったときに移動モード判定部23の動作を制限する。
【0065】
(b)上記実施の形態に係る動作許容条件は、第1の条件および第2の条件を含むが、本発明は上記の例に限定されない。動作許容条件は、上記の第1の条件に代えて、状態判定部13の判定結果が移動状態に切り替わった時点から一定時間内であることを含んでもよい。この場合、一定時間は、例えば1分~数分程度の比較的短い時間に設定されることが好ましい。
【0066】
移動モード判定装置100は、使用者による移動モードの判定の指令を受け付ける指令受付部を有してもよい。この場合、動作許容条件は、上記の第1の条件に代えて、指令受付部が使用者による移動モードの判定の指令を受け付けてから一定時間内にあることを含んでもよい。
【0067】
このように、動作許容条件は、上記の例に限らず、使用者の移動モードをより適切に把握するために、適宜所定の条件を含むように設定されていればよい。
【0068】
(c)上記実施の形態に係る格納用データセットは、第1の静止情報および第2の静止情報を含む。また、第1の静止情報および第2の静止情報の各々は、状態判定部13による判定結果の切り替わりの時刻と、その時刻における使用者の位置情報を含む。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0069】
第1の静止情報および第2の静止情報の各々は、状態判定部13による判定結果の切り替わりの時刻のみを含み、その時刻における使用者の位置情報を含まなくてもよい。この場合、状態判定部13による判定結果の切り替わりの時刻における位置情報が必要なくなる。そのため、動作許容条件に第2の条件を含める必要がなくなるので、状態判定部13の判定結果が切り替わった場合に位置センサ21を動作させる必要がない。その結果、位置センサ21の動作時間を低減することができるので、位置情報を取得するために要するエネルギーを低減することができる。
【0070】
(d)上記実施の形態に係るデータセット格納部31は、複数の格納用データセットの統合処理を行ってもよい。具体的には、データセット格納部31は、連続して格納される複数の格納用データセットが含む移動モード情報が同じ移動モードを示す場合に、それらの複数の格納用データセットを統合してもよい。
【0071】
具体的には、連続して格納される複数の格納用データセットが含む移動モード情報が同じ移動モードを示す場合に、それらの複数の格納用データセットのうち最も古い格納用データセットの第1の静止情報と、共通する移動モード情報と、複数の格納用データセットのうち最も新しい格納用データセットの第2の静止情報とを含む統合された格納用データセットが生成されてもよい。この場合、統合された複数の格納用データセットを削除することにより、データセット格納部31に格納される情報のデータ量が低減される。
【0072】
(e)上記実施の形態に係る移動モード判定処理のうち図2のステップS20の処理は、使用者が静止状態にない場合に繰り返されるが、本発明はこれに限定されない。ステップS20の処理において、状態判定部13は、使用者が静止状態にない場合に、処理をステップS14に戻してもよい。
【0073】
この場合、データセット生成部24においては、ステップS13で第1の静止情報が保持されてからステップS21で第2の静止情報が保持されるまでの間に、複数の移動モード情報が生成され、保持される可能性がある。
【0074】
したがって、第1の静止情報が保持されてから第2の静止情報が保持されるまでの間に複数の移動モード情報が生成される場合、データセット生成部24は、例えば、予め定められた方法に従って、複数の移動モードのうち一の移動モード情報を選択してもよい。また、データセット生成部24は、選択された一の移動モード情報と、第1の静止情報および第2の静止情報を含む格納用データセットを生成してもよい。予め定められた方法は、例えば、最も古い移動モード情報を選択することであってもよいし、最も新しい移動モード情報を選択することであってもよい。あるいは、データセット生成部24は、第1の静止情報および第2の静止情報とともに複数の移動モードを含む格納用データセットを生成してもよい。
【0075】
7.請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることができる。
【0076】
上記実施の形態では、状態判定部13が状態判定部の例であり、移動モード判定部23が移動モード判定部の例であり、データセット生成部24がデータセット生成部の例であり、移動モード判定装置100が移動モード判定装置の例であり、動作切替部41が動作切替部の例であり、位置センサ21が位置情報生成部の例である。
【0077】
また、移動端末101が移動端末の例であり、サーバ通信部52がサーバ通信部の例であり、速度算出部22が速度算出部の例であり、データセット格納部31がデータセット格納部の例である。
【0078】
8.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係る移動モード判定装置は、
使用者が静止状態にあるか移動状態にあるかを判定する状態判定部と、
使用者が移動状態にあるときの移動モードを判定する移動モード判定部と、
一の移動状態について前記移動モード判定部により判定された移動モードを示す移動モード情報、前記一の移動状態の前の一の静止状態を示す第1の静止情報、および前記一の移動状態の後の次の静止状態を示す第2の静止情報を含む格納用データセットを生成するデータセット生成部とを備える。
【0079】
その移動モード判定装置においては、データセット生成部により生成される格納用データセットが、少なくとも第1の静止情報、移動モード情報および第2の静止情報を含む。その格納用データセットによれば、使用者が移動状態にあるときの移動モードを容易に把握することができる。
【0080】
使用者の移動モードを把握する際には、使用者が静止状態にあるときの移動モードの情報は不要である。上記の格納用データセットは、使用者が静止状態にあるときの移動モードのデータを含まないように作成することができる。これにより、移動モードのデータ量の増大を抑制することが可能となる。したがって、使用者の移動状態の解析処理および記録処理の効率化が実現される。
【0081】
(第2項)第1項に記載の移動モード判定装置は、
予め定められた第1の条件が満たされる場合に前記移動モード判定部の動作を許容し、前記第1の条件が満たされない場合に前記移動モード判定部の動作を制限する動作切替部をさらに備えてもよい。
【0082】
この場合、第1の条件が満たされない場合に、移動モードの判定が行われない。したがって、移動モードの判定に要するエネルギーを低減することができる。
【0083】
(第3項)第2項に記載の移動モード判定装置において、
前記移動モード判定装置は、
使用者の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部をさらに備え、
前記第1の静止情報は、使用者が前記一の静止状態にあるときの位置情報を含み、
前記第2の静止情報は、使用者が前記次の静止状態にあるときの位置情報を含み、
前記動作切替部は、予め定められた第2の条件が満たされる場合に前記位置情報生成部の動作を許容し、前記第2の条件が満たされない場合に前記位置情報生成部の動作を制限してもよい。
【0084】
この場合、第2の条件が満たされない場合に、位置情報が生成されない。したがって、位置情報の生成に要するエネルギーを低減することができる。
【0085】
(第4項)第2項に記載の移動モード判定装置において、
前記移動モード判定装置は、
使用者の位置を示す位置情報を生成する位置情報生成部を含む移動端末から送信される前記位置情報を受信するサーバ通信部をさらに備え、
前記第1の静止情報は、使用者が前記一の静止状態にあるときの位置情報を含み、
前記第2の静止情報は、使用者が前記次の静止状態にあるときの位置情報を含み、
前記動作切替部は、予め定められた第2の条件が満たされる場合に前記位置情報生成部の動作を許容し、前記第2の条件が満たされない場合に前記位置情報生成部の動作を制限し、
前記サーバ通信部は、前記位置情報生成部の動作を許容および禁止するための指令信号が前記動作切替部から前記サーバ通信部を通して前記位置情報生成部に送信されるように構成されてもよい。
【0086】
この場合、サーバにおいて格納用データセットの生成を行うことができる。したがって、移動端末において格納用データセットを生成する必要がないので、移動端末において移動モードの判定に関する高い処理能力が要求されない。また、移動端末とサーバとの間で送受信される情報のデータ量が低減される。
【0087】
(第5項)第2項~第4項のいずれか一項に記載の移動モード判定装置において、
前記移動モード判定装置は、
移動状態にある使用者の移動速度を検出する速度検出部をさらに備え、
前記移動モード判定部による移動モードの判定精度は、使用者の移動速度が予め定められた特定速度範囲内にあるときに予め定められた程度よりも高くなり、
前記第1の条件は、前記速度検出部により検出される移動速度が前記特定速度範囲内にあることを含んでもよい。
【0088】
この場合、移動モードの判定に要するエネルギーを低減しつつ、移動モードの判定精度を予め定められた程度よりも高く維持することが可能になる。
【0089】
(第6項)第1項~第5項のいずれか一項に記載の移動モード判定装置において、
前記移動モード判定装置は、
前記データセット生成部により生成された前記格納用データセットを格納するデータセット格納部をさらに備えてもよい。
【0090】
この場合、格納用データセットのデータ量の増大を抑制することができるので、データセット格納部の格納領域のサイズを過剰に大きくする必要がない。
【0091】
(第7項)第6項に記載の移動モード判定装置において、
前記データセット格納部は、前記データセット生成部により連続して生成された複数の格納用データセットにそれぞれ含まれる複数の移動モード情報が同じ移動モードを示す場合に、前記複数の格納用データセットの統合処理を行ってもよい。
【0092】
この場合、データセット格納部に格納される情報のデータ量が低減される。
【符号の説明】
【0093】
11…加速度センサ,12…加速度算出部,13…状態判定部,21…位置センサ,22…速度算出部,23…移動モード判定部,24…データセット生成部,31…データセット格納部,41…動作切替部,51…端末通信部,52…サーバ通信部,100…移動モード判定装置,101…移動端末
図1
図2
図3