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特開2024-110874通行人分析システム、通行人分析方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110874
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】通行人分析システム、通行人分析方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240808BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015733
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】521375966
【氏名又は名称】株式会社Essen
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】橘 健吾
(72)【発明者】
【氏名】天野 領太
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 孝則
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】任意の位置における通行人を分析することが可能とする。
【解決手段】通行人分析システム1は、通行人が所持する無線通信可能な端末100から発信された電波に基づき、通行人を分析し、端末100から発信された電波を受信する受信手段10と、受信した電波から、端末100が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報を取得する外部機器識別情報取得手段21と、外部機器識別情報に基づき、外部機器に関する外部機器情報を取得する外部機器情報取得手段22と、外部機器情報に基づき、端末を所持していた通行人を分析する分析手段24と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行人が所持する無線通信可能な端末から発信された電波に基づき、通行人を分析する通行人分析システムであって、
前記端末から発信された電波を受信する受信手段と、
受信した電波から、前記端末が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報を取得する外部機器識別情報取得手段と、
前記外部機器識別情報に基づき、前記外部機器に関する外部機器情報を取得する外部機器情報取得手段と、
前記外部機器情報に基づき、前記端末を所持していた通行人を分析する分析手段と、を備えることを特徴とする通行人分析システム。
【請求項2】
前記分析手段は、前記外部機器情報に基づき、前記端末を所持していた通行人の属性を分析することを特徴とする請求項1に記載の通行人分析システム。
【請求項3】
複数回にわたって受信した電波から、それぞれ取得された複数の前記外部機器識別情報に共通性があった場合、当該複数の前記外部機器識別情報が、同一の通行人の前記端末から発信された電波から取得されたと推定し、当該通行人を特定通行人に決定する特定通行人決定手段を、更に備え、
前記分析手段は、前記特定通行人を分析することを特徴とする請求項1又は2に記載の通行人分析システム。
【請求項4】
通行人が所持する無線通信可能な端末から発信された電波に基づき、通行人を分析する通行人分析システムが実行する方法であって、
前記端末から発信された電波を受信するステップと、
受信した電波から、前記端末が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報を取得するステップと、
前記外部機器識別情報に基づき、前記外部機器に関する外部機器情報を取得するステップと、
前記外部機器情報に基づき、前記端末を所持していた通行人を分析するステップと、を含むことを特徴とする通行人分析方法。
【請求項5】
通行人が所持する無線通信可能な端末から発信された電波に基づき、通行人を分析する通行人分析システムを、
前記端末から発信された電波を受信する受信手段、
受信した電波から、前記端末が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報を取得する外部機器識別情報取得手段、
前記外部機器識別情報に基づき、前記外部機器に関する外部機器情報を取得する外部機器情報取得手段、
前記外部機器情報に基づき、前記端末を所持していた通行人を分析する分析手段、として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行人が所持する無線通信可能な端末から発信された電波に基づき、通行人を分析する通行人分析システム、通行人分析方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線機器の機器IDに基づき、ユーザーが行った行動を推定する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、所定の機器IDの無線機器のエリアでユーザーが移動した動線及び当該動線の一部に滞留した滞留時間を算出し、所定の機器IDの無線機器のエリアでユーザーが行った行動情報を各機器ID毎に推定するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-4336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシステムでは、所定の機器IDの無線機器のエリア内にいた人の行動しか推定できないという問題がある。このため、任意の位置における通行人を分析したいという要望がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、任意の位置における通行人を分析することが可能な通行人分析システム、通行人分析方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 通行人が所持する無線通信可能な端末から発信された電波に基づき、通行人を分析する通行人分析システムであって、
前記端末から発信された電波を受信する受信手段と、
受信した電波から、前記端末が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報を取得する外部機器識別情報取得手段と、
前記外部機器識別情報に基づき、前記外部機器に関する外部機器情報を取得する外部機器情報取得手段と、
前記外部機器情報に基づき、前記端末を所持していた通行人を分析する分析手段と、を備えることを特徴とする通行人分析システム。
【0008】
(1)の発明では、通行人分析システムは、受信手段と、外部機器識別情報取得手段と、外部機器情報取得手段と、分析手段と、を備え、通行人が所持する無線通信可能な端末から発信された電波に基づき、通行人を分析する。
受信手段は、端末から発信された電波を受信する。
外部機器識別情報取得手段は、受信した電波から、端末が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報を取得する。
外部機器情報取得手段は、外部機器識別情報に基づき、外部機器に関する外部機器情報を取得する。
分析手段は、外部機器情報に基づき、端末を所持していた通行人を分析する。
【0009】
(1)の発明によれば、通行人が所持する無線通信可能な端末から発信された電波から、当該端末が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報を取得し、この外部機器識別情報に基づき、外部機器に関する外部機器情報を取得する。
そして、この外部機器情報に基づき、端末を所持していた通行人を分析する。
これにより、任意の位置で、端末から発信された電波を受信し、この電波から取得した外部機器情報に基づき、端末を所持していた通行人を分析することが可能となる。
したがって、任意の位置における通行人を分析することが可能となる。
【0010】
(2) 前記分析手段は、前記外部機器情報に基づき、前記端末を所持していた通行人の属性を分析することを特徴とする(1)に記載の通行人分析システム。
【0011】
(2)の発明によれば、分析手段は、外部機器情報に基づき、前記端末を所持していた通行人の属性を分析する。
これにより、任意の位置で、端末から発信された電波を受信し、この電波から取得した外部機器情報に基づき、端末を所持していた通行人の属性を分析することが可能となる。
したがって、任意の位置における通行人の属性を分析することが可能となる。
【0012】
(3) 複数回にわたって受信した電波から、それぞれ取得された複数の前記外部機器識別情報に共通性があった場合、当該複数の前記外部機器識別情報が、同一の通行人の前記端末から発信された電波から取得されたと推定し、当該通行人を特定通行人に決定する特定通行人決定手段を、更に備え、
前記分析手段は、前記特定通行人を分析することを特徴とする(1)又は(2)に記載の通行人分析システム。
【0013】
(3)の発明によれば、複数回にわたって受信した電波から、それぞれ取得された複数の外部機器識別情報に共通性があった場合、当該複数の外部機器識別情報が、同一の通行人の端末から発信された電波から取得されたと推定し、当該通行人を特定通行人に決定し、この特定通行人を分析する。
【0014】
これにより、ある通行人を特定通行人に決定し、この特定通行人の分析結果を蓄積していくことで、この特定通行人の属性や行動パターンや趣向の分析精度が向上し、例えば、この特定通行人に対して広告を行う場合に、この特定通行人により即した広告が可能となるので、広告効果を向上することができる。
【0015】
(4) 通行人が所持する無線通信可能な端末から発信された電波に基づき、通行人を分析する通行人分析システムが実行する方法であって、
前記端末から発信された電波を受信するステップと、
受信した電波から、前記端末が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報を取得するステップと、
前記外部機器識別情報に基づき、前記外部機器に関する外部機器情報を取得するステップと、
前記外部機器情報に基づき、前記端末を所持していた通行人を分析するステップと、を含むことを特徴とする通行人分析方法。
【0016】
(5) 通行人が所持する無線通信可能な端末から発信された電波に基づき、通行人を分析する通行人分析システムを、
前記端末から発信された電波を受信する受信手段、
受信した電波から、前記端末が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報を取得する外部機器識別情報取得手段、
前記外部機器識別情報に基づき、前記外部機器に関する外部機器情報を取得する外部機器情報取得手段、
前記外部機器情報に基づき、前記端末を所持していた通行人を分析する分析手段、として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【0017】
(4)及び(5)の発明によれば、(1)の発明と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、任意の位置における通行人を分析することが可能な通行人分析システム、通行人分析方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る通行人分析システムの概要を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係る通行人分析システムの機能構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る通行人分析システムにおける外部機器識別情報取得手段が取得するローデータの一例を示す図である。
図4図3に示すローデータを模式的に示した取得外部機器識別情報テーブルの一例を説明する図である。
図5】本発明の実施形態に係る通行人分析システムにおける取得外部機器情報テーブルの一例を説明する図である。
図6】本発明の実施形態に係る通行人分析システムが実行する通行人分析処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ又は同類の要素には同じ番号または符号を付している。
【0021】
[基本概念/基本構成]
図1は、本発明の実施形態に係る通行人分析システムの概要を説明する図である。
通行人分析システム1は、通行人Hが所持する無線通信可能な端末100から発信された電波に基づき、通行人Hの行動を分析する。具体的には、通行人分析システム1は、端末100から発信された電波(例えば、Probe Request(プローブ要求))を受信する受信手段10と、受信手段10が受信した電波に基づき、通行人Hの行動や属性等を分析する通行人分析装置20と、を備える。
【0022】
端末100は、無線通信(例えば、Wi-Fi等の無線LAN、極超短波(例えば、2.4GHz帯域)を使用した近距離無線通信、赤外線通信等)可能であり、例えば、スマートフォンやタブレットで構成される。
【0023】
また、端末100から発信された「電波」には、例えば、任意の無線LANのアクセスポイントに対するProbe Request(プローブ要求)や、極超短波(例えば、2.4GHz帯域)通信の要求信号を含む。
【0024】
受信手段10は、電波(Probe Request)を受信可能なパケットセンサや、アクセスポイントで構成されている。
通行人分析装置20は、各種処理を実行するCPU等を備えるコンピュータで構成されている。
【0025】
ここで、近年、任意の場所(例えば、店舗や、学校や、駅等)に、端末100を無線LANに接続可能とする外部機器(例えば、アクセスポイントであり、図1に示す例では、A、B、C、D)が設置されている。このような外部機器には、それぞれ外部機器を識別するための外部機器識別情報(SSID(Service Set Identifier)や、ESSID(Extended Service Set Identifier)等)が設定されている。
【0026】
また、端末100は、このような任意の場所のアクセスポイントを利用する設定にされている場合、電波(プローブ要求)を常に発信している。このような電波(プローブ要求)には、過去に接続したアクセスポイントの識別情報や、端末100を識別する識別情報(例えば、MACアドレス(Media Access Control address))が含まれている。
【0027】
通行人分析システム1は、受信手段10により、端末100から発信された電波(プローブ要求)を受信し、この受信した電波から、端末100が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報を取得する(図1に示す例では、SSID:A、B、C、D)。
【0028】
また、通行人分析システム1は、取得した外部機器識別情報に基づき、外部機器に関する外部機器情報(例えば、当該外部機器が設置されている位置を示す位置情報(例えば、住所や、店舗名や、交通機関の駅名等))を取得する。
【0029】
そして、通行人分析システム1は、このような外部機器情報に基づき、端末100を所持していた通行人Hの行動を分析する。例えば、図1に示すSSID:A、B、C、Dがそれ異なる店舗A、B、C、Dに設置されたアクセスポイントを示す場合、通行人分析システム1は、まず、通行人Hが、店舗A、B、C、Dに立ち寄ったこと又は店舗A、B、C、Dの側を通行したことを分析する。更に、通行人分析システム1は、店舗A、B、C、Dで販売している商品や提供している飲食物等から、通行人Hの属性や、趣向や、行動の傾向を分析することも可能である。
【0030】
このような通行人分析システム1によれば、任意の位置で、端末100から発信された電波を受信し、この電波から取得した外部機器情報に基づき、端末100を所持していた通行人Hを分析することが可能となる。
したがって、任意の位置における通行人を分析することが可能となる。
【0031】
[機能構成]
図2は、本発明の実施形態に係る通行人分析システムの機能構成を示す図である。
通行人分析システム1は、通行人が所持する無線通信可能な端末100から発信された電波に基づき、通行人を分析し、受信手段10と、通行人分析装置20と、記憶手段30と、を備える。
【0032】
受信手段10は、電波(Probe Request(プローブ要求))を受信可能なパケットセンサや、アクセスポイントで構成され、端末100から発信された電波(プローブ要求)を受信する。受信手段10は、有線又は無線(ネットワークや近距離通信)により、通行人分析装置20と接続され、受信した電波に含まれる情報を、通行人分析装置20に送信する。また、受信手段10は、端末100を個別に識別する情報(例えば、MACアドレス)を含む電波を受信してもよい。
【0033】
なお、本実施形態で説明する例では、受信手段10は、通行人分析装置20とは別に設けられて、通行人分析装置20と通信可能に接続されているが、これに限らず、通行人分析装置20が備える構成としてもよい。
【0034】
また、受信手段10は、1つに限らず、複数設けてもよい。この場合、例えば、通行人を分析するにあたり、互いの関係性を分析したい場所にそれぞれ設置するのが望ましい。例えば、新宿駅の通行人と、渋谷駅の通行人との行動パターンや趣向等の違いを分析する場合、受信手段10を、新宿駅と渋谷駅に設置するのが望ましい。
【0035】
通行人分析装置20は、外部機器識別情報取得手段21と、外部機器情報取得手段22と、特定通行人決定手段23と、分析手段24と、を備える。
【0036】
外部機器識別情報取得手段21は、受信手段10が受信した電波(プローブ要求)から、端末100が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報(例えば、SSIDや、ESSID等)を取得する。
【0037】
また、外部機器識別情報取得手段21は、受信手段10が電波を受信した時間を示す受信時間情報を、外部機器識別情報に対応付けて取得する。
【0038】
図3は、本発明の実施形態に係る通行人分析システムにおける外部機器識別情報取得手段が取得するローデータの一例を示す図である。
図4は、図3に示すローデータを模式的に示した取得外部機器識別情報テーブルの一例を説明する図である。
具体的には、外部機器識別情報取得手段21は、受信した電波毎に、電波識別情報を付して、電波識別情報に、当該電波を受信した受信手段10を識別するための受信手段識別情報と、当該電波を受信した日付と受信時間を含む受信日時情報と、電波に含まれていた外部機器識別情報と、を対応付けて、記憶手段30において取得外部機器識別情報テーブルに記憶する。
【0039】
なお、外部機器識別情報取得手段21は、図3に示すローデータのように、受信した電波毎に、電波識別情報(図3に示す例では、左端の数字)を付して、電波識別情報に、少なくとも、当該電波を受信した受信手段10を識別するための受信手段識別情報(図3に示す例では、「type」)と、当該電波を受信した日付と受信時間を含む受信日時情報(図3に示す例では、「time」)と、電波に含まれていた外部機器識別情報(図3に示す例では、「src_mac」や、「ssid」)と、を対応付けて、記憶手段30に記憶してもよい。
【0040】
また、外部機器識別情報取得手段21は、図3に示すローデータから、「src_mac」をキーとして、各「src_mac」に対応付けられている「ssid」を取りまとめるようにデータ加工して、図4に模式的に示すような取得外部機器識別情報テーブルを生成し、記憶手段30に記憶してもよい。また、外部機器識別情報取得手段21は、図3に示すローデータから、必要な情報のみを抽出して、図4に模式的に示すような取得外部機器識別情報テーブルを生成し、記憶手段30に記憶してもよい。
【0041】
また、外部機器識別情報取得手段21は、図3に示すローデータのように、端末100を個別に識別する情報(図3に示す例では、「dst_mac」)を、取得外部機器識別情報テーブルに含めて、記憶手段30に記憶してもよい。
【0042】
また、外部機器識別情報は、具体的には、SSIDやESSID等であるが、図4や後述する図5では、説明便宜のため、アルファベット1文字で表現している。また、図4では、説明便宜のため、受信手段識別情報の下にカッコ書きで、受信手段10の設置場所も記載しているが、受信手段10の設置場所は、取得外部機器情報テーブルに記憶されていてもよいし、別のテーブルに記憶されていてもよいし、省略してもよい。
【0043】
図5は、本発明の実施形態に係る通行人分析システムにおける取得外部機器情報テーブルの一例を説明する図である。
本実施形態において、外部機器は、通行人分析システム1外の機器であり、任意の場所に設置され、端末100と無線接続し、端末100からの電波(プローブ要求)に応じて、端末100を無線LANに接続可能とするアクセスポイントである。
【0044】
このような外部機器(アクセスポイント)は、例えば、店舗、交通機関(例えば、鉄道の駅、空港等)、会社等の組織、教育機関(例えば、学校等)、役所(省官庁、地方自治体の役所等)、宿泊施設(例えば、ホテル等)の任意の場所に設置されている。
【0045】
取得外部機器情報テーブルは、外部機器の外部機器識別情報(SSIDやESSID等)に、当該外部機器の外部機器情報として、外部機器設置場所を示す情報が対応付けられ、記憶手段30において取得外部機器情報テーブルに記憶されている。取得外部機器情報テーブルは、例えば、通行人分析システム1の管理者による入力等の任意の方法により作成され、記憶手段30に記憶されている。
【0046】
なお、図5に示す例では、外部機器情報は、外部機器設置場所の名称を示す情報を示しているが、これに限らず、住所や緯度・経度等の位置情報等であってもよい。
【0047】
図2に戻って、外部機器情報取得手段22は、外部機器識別情報に基づき、外部機器に関する外部機器情報を取得する。具体的には、外部機器情報取得手段22は、外部機器識別情報取得手段21が、取得外部機器識別情報テーブル(図4参照)において、外部機器識別情報を記憶した場合、取得外部機器情報テーブル(図5参照)を参照して、当該外部機器識別情報の外部機器情報を抽出し、取得外部機器識別情報テーブルにおいて、当該外部機器識別情報に、抽出した外部機器情報を対応付けて記憶してもよい。なお、外部機器情報取得手段22は、通行人分析システム1の管理者による入力等の任意の方法により、外部機器識別情報の外部機器情報を取得してもよい。
【0048】
特定通行人決定手段23は、複数回にわたって受信した電波から、それぞれ取得された複数の外部機器識別情報の共通性があった場合、当該複数の外部機器識別情報が、同一の通行人の端末100から発信された電波から取得されたと推定し、当該通行人を特定通行人に決定する。なお、特定通行人決定手段23は、複数回にわたって受信した電波から、それぞれ取得された複数の外部機器識別情報の共通性があり、当該複数の外部機器識別情報に対応付けられた受信時間情報が同一又は近似していた場合、当該複数の外部機器識別情報が、同一の通行人の端末100から発信された電波から取得されたと推定し、当該通行人を特定通行人に決定してもよい。
【0049】
例えば、図4に示す例では、複数回にわたって受信した電波識別情報001と電波識別情報004の電波から取得された複数の外部機器情報がともに、外部機器識別情報A、B、Cであり、共通性がある。また、電波識別情報001と電波識別情報004の電波とでは、受信時間が近似(例えば、間隔が1~30分以内等)している。
このような場合、特定通行人決定手段23は、外部機器識別情報A、B、Cが、同一の通行人の端末100から発信された電波から取得されたと推定し、当該通行人を特定通行人に決定する。
【0050】
また、特定通行人決定手段23は、設置場所が異なる受信手段が受信した電波から、それぞれ取得された複数の外部機器識別情報に共通性があった場合、当該複数の外部機器識別情報が、同一の通行人の端末100から発信された電波から取得されたと推定し、当該通行人を特定通行人に決定してもよい。
【0051】
例えば、図4に示す例では、設置場所が異なる受信手段(受信手段識別情報c、b)した電波(電波識別情報003、005)から取得された複数の外部機器情報がともに、外部機器識別情報F、G、Hであり、共通性がある。
このような場合、特定通行人決定手段23は、外部機器識別情報F、G、Hが、同一の通行人の端末100から発信された電波から取得されたと推定し、当該通行人を特定通行人に決定する。
【0052】
なお、特定通行人決定手段23は、電波に含まれる全ての外部機器識別情報が同一の場合に限らす、一部(例えば、3つ以上又は全体の8割以上等)の外部機器識別情報が同一の場合に、共通性があると判断し、これらの複数の外部機器識別情報が、同一の通行人の端末100から発信された電波から取得されたと推定してもよい。
【0053】
また、特定通行人決定手段23は、複数回にわたって受信した電波において、端末100を識別する識別情報(例えば、MACアドレス)が共通していた場合、同一の通行人の端末100から発信された電波から取得されたと推定し、当該通行人を特定通行人に決定してもよい。
【0054】
分析手段24は、外部機器情報に基づき、端末100を所持していた通行人を分析する。また、分析手段24は、外部機器情報及び受信時間情報に基づき、端末100を所持していた通行人を分析してもよい。また、分析手段24は、特定通行人を分析してもよい。
【0055】
詳細には、分析手段24は、取得外部機器識別情報テーブル(図4参照)を参照して、電波識別情報毎や、受信手段識別情報(設置場所)毎、受信日時毎、受信時間毎、特定通行人決定手段23が決定した特定通行人毎等の任意の分類毎に、外部機器情報取得手段22が取得した外部機器情報に基づき、端末100を所持していた通行人の行動や、属性等を分析する。
【0056】
例えば、分析手段24は、複数の外部機器情報(外部機器設置場所情報)から、端末100を所持していた通行人の行動範囲を推定し、推定した行動範囲から通行人の属性を推定する。例えば、通行人の行動範囲がある市内であれば、当該市に在住しているという属性を推定する。また、分析手段24は、外部機器情報に交通機関の外部機器が含まれていれば、通行人が利用する移動手段を推定し、推定した移動手段から通行人の属性を、当該移動手段沿線に在住又は通勤・通学しているという属性を推定する。また、分析手段24は、外部機器情報に会社(組織)や教育機関(学校等)の外部機器が含まれていれば、属性として、通行人が所属する会社(職歴)や学校(学歴)を推定する。また、分析手段24は、外部機器情報に、特定のジャンル(例えば、被服や電化製品等)の店舗の外部機器が含まれていれば、通行人の趣味趣向を推定する。
【0057】
また、分析手段24は、その他の情報を用いて、外部機器情報に基づき、端末を所持していた通行人の行動や属性等を分析してもよい。例えば、分析手段24は、ある店舗の利用者層に関する情報(例えば、性別、年収、年齢等)を用いて、外部機器情報に当該店舗の外部機器が含まれていれば、通行人の性別、年収、年齢等の属性を推定してもよい。
【0058】
また、分析手段24は、取得外部機器識別情報テーブル(図4参照)を参照して、ある受信手段10が対応付けられた所定時間帯(例えば、午前8時から9時)における電波識別情報の数から、所定時間帯における当該受信手段10の周囲の人数や端末100の数を推定してもよい。また、分析手段24は、分析した行動、行動範囲、趣味趣向、属性等の種類毎に、当該受信手段10の周囲の人数や端末100の数を推定してもよい。また、分析手段24は、当該受信手段10の周囲の端末100の全体数に対する、行動、行動範囲、趣味趣向、属性等の種類毎の端末100の数の割合を算出してもよい。
【0059】
また、取得外部機器識別情報テーブル(図4参照)において、ある受信手段10が対応付けられた所定時間(例えば、1~5分等)内で、複数の電波識別情報において、外部機器情報が互いに同じ又は近似していた場合、これらは同行している通行人のそれぞれの端末100から発信された電波と推定できる。
分析手段24は、このような複数の電波識別情報数を、同行者数と推定する。
【0060】
また、分析手段24は、上記のような分析(推定)を、任意の通行人(電波識別情報)毎に行ってもよいし、特定通行人決定手段23が決定した特定通行人に対して行ってもよい。また、分析手段24は、所定の条件(例えば、外部機器情報に特定の店舗や、特定の交通機関が含まれている等)を満たす通行人や特定通行人の行動や属性等を分析してもよい。例えば、分析手段24は、ある店舗の利用者層に関する情報を分析してもよい。
【0061】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータプログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータプログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータプログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信装置(例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイス、第3世代、第4世代及び第5世代移動通信システム等の国際電気通信連合の規格に準拠した無線デバイス等))を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0062】
[処理フロー]
図6は、本発明の実施形態に係る通行人分析システムが実行する通行人分析処理フローを示す図である。
【0063】
ステップS1において、受信手段10は、端末100から発信された電波(Probe Request(プローブ要求))を受信し、受信した電波に含まれる情報を、通行人分析装置20に送信する。
【0064】
ステップS2において、外部機器識別情報取得手段21は、ステップS1で、受信手段10が受信した電波から、端末100が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報(例えば、SSIDや、ESSID等)を取得する。また、外部機器識別情報取得手段21は、ステップS1で、受信手段10が電波を受信した時間を示す受信時間情報を、外部機器識別情報に対応付けて取得する。
【0065】
ステップS3において、外部機器情報取得手段22は、ステップS2で、外部機器識別情報取得手段21が取得した外部機器識別情報に基づき、取得外部機器情報テーブル(図5参照)を参照して、外部機器に関する外部機器情報を取得する。
【0066】
ステップS4において、特定通行人決定手段23は、受信手段10が複数回にわたって受信した電波から、それぞれ、外部機器識別情報取得手段21に取得された複数の外部機器識別情報が同一であり、外部機器識別情報取得手段21により当該複数の外部機器識別情報に対応付けられた受信時間情報が同一又は近似していた場合、当該複数の外部機器識別情報が、同一の通行人の端末100から発信された電波から取得されたと推定し、当該通行人を特定通行人に決定する。
【0067】
ステップS5において、ステップS3で、外部機器情報取得手段22が取得した外部機器情報に基づき、端末100を所持していた通行人、又は、ステップS4で特定通行人決定手段23が決定した特定通行人を分析する。また、分析手段24は、ステップS3で外部機器情報取得手段22が取得した外部機器情報及びステップS2で外部機器識別情報取得手段21が取得した受信時間情報に基づき、端末100を所持していた通行人又は特定通行人を分析する。
【0068】
このような通行人分析システム1によれば、通行人が所持する無線通信可能な端末100から発信された電波から、当該端末100が過去に無線接続した外部機器を識別する外部機器識別情報を取得し、この外部機器識別情報に基づき、外部機器に関する外部機器情報を取得する。
そして、この外部機器情報に基づき、端末100を所持していた通行人を分析する。
これにより、任意の位置で、端末100から発信された電波を受信し、この電波から取得した外部機器情報に基づき、端末を所持していた通行人を分析することが可能となる。
したがって、任意の位置における通行人を分析することが可能となる。
【0069】
ここで、例えば、会社員や学生等の何らかの組織に所属し、この組織の所在地に通っている者や、生活のパターンが決まっている者は、同じ時間帯に同じ場所を通行する。
【0070】
また、通行人分析システム1によれば、分析手段24は、外部機器情報及び受信手段10が電波を受信した時間を示す受信時間情報に基づき、端末100を所持していた通行人を分析する。
これにより、ある場所を、ある時間帯に通行する通行人を分析することが可能となる。このような場所と時間帯を特定した通行人の通行人分析結果は、例えば、広告を行う場合に活用することで、当該場所と当該時間帯の通行人に即した広告が可能となるので、広告効果を向上することができる。
【0071】
また、通行人分析システム1によれば、複数回にわたって受信した電波から、それぞれ取得された複数の外部機器識別情報が同一であり、当該複数の外部機器識別情報に対応付けられた受信時間情報が同一又は近似していた場合、当該複数の外部機器識別情報が、同一の通行人の端末100から発信された電波から取得されたと推定し、当該通行人を特定通行人に決定し、この特定通行人を分析する。
【0072】
これにより、ある通行人を特定通行人に決定し、この特定通行人の分析結果を蓄積していくことで、この特定通行人の行動パターンや趣向の分析精度が向上し、例えば、この特定通行人に対して広告を行う場合に、この特定通行人により即した広告が可能となるので、広告効果を向上することができる。
【0073】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、通行人分析システムについて説明したが、本発明において通行人分析システムが実行する方法や、通行人分析システムを各種部として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。
【符号の説明】
【0074】
1 通行人分析システム
10 受信手段
20 通行人分析装置
21 外部機器識別情報取得手段
22 外部機器情報取得手段
23 特定通行人決定手段
24 分析手段
30 記憶手段
100 端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6