(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110879
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】オゾン水の供給装置および供給方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/78 20230101AFI20240808BHJP
C02F 1/50 20230101ALI20240808BHJP
B01F 21/20 20220101ALI20240808BHJP
B01F 23/232 20220101ALI20240808BHJP
B01F 23/2326 20220101ALI20240808BHJP
B01F 25/20 20220101ALI20240808BHJP
B01F 25/30 20220101ALI20240808BHJP
B01F 35/88 20220101ALI20240808BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20240808BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20240808BHJP
【FI】
C02F1/78
C02F1/50 531R
C02F1/50 540A
C02F1/50 550D
B01F21/20
B01F23/232
B01F23/2326
B01F25/20
B01F25/30
B01F35/88
B01F35/75
B01F35/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015741
(22)【出願日】2023-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】591211711
【氏名又は名称】カルト株式会社
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鳥井 政▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】山本 須美夫
【テーマコード(参考)】
4D050
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4D050AA01
4D050BB02
4D050BD03
4D050BD04
4G035AA01
4G035AB04
4G035AB20
4G035AC15
4G035AC22
4G035AE02
4G035AE13
4G037AA01
4G037AA02
4G037AA11
4G037BA03
4G037BB06
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】
供給されるオゾン含有ガスの全てをオゾン水の生成のために無駄なく活用することができると共に、オゾン水のオゾン濃度を正確かつ容易に管理することができ、その管理も安価に行うことができるオゾン水の供給装置および供給方法を提供すること。
【解決手段】
予め設定された初期設定圧に貯留槽3内が到達するまでオゾン含有ガスGをガス供給管9を介して貯留槽3内に注入する。続いて給水管5を介して貯留槽3内に水Wを供給する。この給水によりエジェクターで生成されたオゾン水Zを上限水位H1に到達するまで貯留槽3内に貯留する。貯留された貯留槽3内のオゾン水Zを配水基管11等を介して配水する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留槽と、
前記貯留槽内に連通するガス通路と、
前記ガス通路を開閉するガス通路開閉手段と、
前記貯留槽内に連通する水通路と、
前記水通路を開閉する水通路開閉手段と、
組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスを前記ガス通路を介して前記貯留槽内に注入するガス注入手段と、
前記水通路を介して前記貯留槽内に水を供給する給水手段と、
前記ガス注入手段により前記貯留槽内に注入され充填された前記オゾン含有ガスが、前記給水手段により供給される水の流動に起因して該水と接触し、かつ、混合することでオゾン水を生成するオゾン水生成手段と、
前記オゾン水生成手段により生成された前記オゾン水が落下して前記貯留槽内の下部に貯留されたときの前記オゾン水の水位を検出する水位検出手段と、
前記貯留槽内の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記貯留槽内の下部と外部とを連通する配水路を有し、前記貯留槽内に貯留された前記オゾン水を前記配水路を介して前記外部に配水する配水手段とを備え、
前記ガス通路開閉手段により前記ガス通路が開かれると共に、前記ガス通路以外で前記貯留槽内に連通する連通空間と該貯留槽内とが大気から閉塞された状態で前記ガス注入手段により前記貯留槽内に前記オゾン含有ガスが注入されるガス注入工程と、
前記ガス注入工程の実行により上昇する前記貯留槽内の圧力が予め設定された初期設定圧に到達したことが前記圧力検出手段により検出されたら、前記ガス通路開閉手段により前記ガス通路が閉じられ前記ガス注入工程の実行が停止されるガス注入停止工程と、
前記ガス注入停止工程が実行された後、前記水通路開閉手段により前記水通路が開かれると共に、前記水通路以外で該水通路または前記貯留槽内の少なくとも何れか一方に連通する連通空間と該貯留槽内とが大気から閉塞された状態で前記給水手段により前記貯留槽内に水が供給される給水工程と、
前記給水工程の実行によって前記オゾン水生成手段により生成されて貯留された前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が予め設定された上限水位に到達したことが前記水位検出手段により検出されたら、前記水通路開閉手段により前記水通路が閉じられ前記給水工程の実行が停止される給水停止工程と、
前記給水停止工程が実行された後、前記貯留槽内に貯留された前記オゾン水が前記配水手段を介して前記貯留槽の外部に配水される配水工程とが順次実行可能に構成されたオゾン水供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のオゾン水供給装置において、
前記給水手段により供給される水の容量を計測する容量計測手段をさらに備え、
前記配水工程の実行により前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が前記上限水位より低い水位であって予め設定された下限水位まで下降したことが前記水位検出手段により検出されたら、前記水通路開閉手段により前記水通路が開かれて前記給水手段により水が再供給される再給水工程と、
前記再給水工程の実行により生成され増量された前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が前記上限水位またはこの水位とは異なり前記下限水位より高い第二の上限水位に到達したことが前記水位検出手段により検出されたら、前記水通路開閉手段により前記水通路が閉じられ前記再給水工程の実行が停止される再給水停止工程とがこれらの工程順に繰り返し実行可能であり、
前記再給水工程と前記再給水停止工程とが繰り返し実行される一方、前記給水工程が開始されてからの、または、前記再給水工程が最初に開始されてからの、前記容量計測手段により計測される水の容量が予め設定された上限容量に到達したら、前記ガス通路開閉手段により前記ガス通路が開かれて、前記初期設定圧より高い所定の高圧力で前記オゾン含有ガスが予め設定された設定時間だけ前記ガス注入手段により前記貯留槽内に再注入されるガス再注入工程が実行可能に構成されていることを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のオゾン水供給装置において、
前記オゾン水生成手段は、前記貯留槽内に配設され、前記給水手段により供給される水が前記オゾン水生成手段の内部で高速で流動するときに発生する負圧により前記貯留槽内の前記オゾン含有ガスが前記オゾン水生成手段の内部に吸引されて前記オゾン含有ガスと前記水とが混ざり合って前記オゾン水が生成されるように構成されていることを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項4】
貯留槽内に連通するガス通路を開閉するガス通路開閉手段により前記ガス通路が開かれると共に、前記ガス通路以外で前記貯留槽内に連通する連通空間と該貯留槽内とが大気から閉塞された状態で、組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスが前記ガス通路を介して前記貯留槽内に注入されるガス注入工程と、
前記ガス注入工程の実行により上昇する前記貯留槽内の圧力が予め設定された初期設定圧に到達したら、前記ガス通路開閉手段により前記ガス通路が閉じられ前記ガス注入工程の実行が停止されるガス注入停止工程と、
前記ガス注入停止工程が実行された後、前記貯留槽内に連通する水通路を開閉する水通路開閉手段により前記水通路が開かれると共に、前記水通路以外で該水通路または前記貯留槽内の少なくとも何れか一方に連通する連通空間と該貯留槽内とが大気から閉塞された状態で前記水通路を介して前記貯留槽内に水が供給される給水工程と、
前記ガス注入工程の実行により前記貯留槽内に注入され充填された前記オゾン含有ガスと前記給水工程の実行により供給される水とを、その供給される水の流動に起因してオゾン水生成手段により接触させ、かつ、混合させることでオゾン水が生成されるオゾン水生成工程と、
前記給水工程の実行によって前記オゾン水生成手段により生成されて貯留された前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が予め設定された上限水位に到達したら、前記水通路開閉手段により前記水通路が閉じられ前記給水工程の実行が停止される給水停止工程と、
前記給水停止工程が実行された後、前記貯留槽内に貯留された前記オゾン水が前記貯留槽内の下部と外部とを連通する配水路を介して前記外部に配水される配水工程とを備えたオゾン水供給方法。
【請求項5】
請求項4に記載のオゾン水供給方法において、
前記配水工程の実行により前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が前記上限水位より低い水位であって予め設定された下限水位まで下降したら、前記水通路開閉手段により前記水通路が開かれて前記給水手段により水が再供給される再給水工程と、
前記再給水工程の実行により生成され増量された前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が前記上限水位またはこの水位とは異なり前記下限水位より高い第二の上限水位に到達したら、前記水通路開閉手段により前記水通路が閉じられ前記再給水工程の実行が停止される再給水停止工程とがこれらの工程順に繰り返し実行される一方、
前記給水工程が開始されてからの、または、前記再給水工程が最初に開始されてからの、前記給水手段により供給される水の容量が予め設定された上限容量に到達したら、前記ガス通路開閉手段により前記ガス通路が開かれて、前記初期設定圧より高い所定の高圧力で前記オゾン含有ガスが予め設定された設定時間だけ前記ガス注入手段により前記貯留槽内に再注入されるガス再注入工程が実行されることを特徴とするオゾン水供給方法。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のオゾン水供給方法において、
前記オゾン水生成手段は、前記貯留槽内に配設され、前記給水手段により供給される水が前記オゾン水生成手段の内部で高速で流動するときに発生する負圧により前記貯留槽内の前記オゾン含有ガスが前記オゾン水生成手段の内部に吸引されて前記オゾン含有ガスと前記水とが混ざり合って前記オゾン水が生成されるように構成されていることを特徴とするオゾン水供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスを水に混入させて生成されるオゾン水の供給装置および供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の
図1に示されている従来のオゾン水供給装置は、散気筒内に供給された水にディフューザを介してオゾン含有ガスが供給されてオゾン水が生成され、その生成されたオゾン水は散気筒内に貯留されるように構成されている。そして、このオゾン水供給装置では、生成されたオゾン水の濃度を濃度センサによりチェックすることで目標とする濃度のオゾン水を得るようにしている。
また、特許文献2の
図3に示されている従来のオゾン水供給装置では、エジェクターにオゾン含有ガスと水とが供給され、該エジェクター内でオゾン含有ガスが水に混入することでオゾン水が生成され、その生成されたオゾン水は、タンクに送られて該タンク内に貯留されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-579号公報
【特許文献2】特開2011-21544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の
図1に示すオゾン水供給装置では、ディフューザに供給されたオゾン含有ガスの全てが水に混入されないので、混入されなかったオゾン含有ガスは、散気筒内から外部に排出される。このため、一部のオゾン含有ガスがオゾン水の生成のために活用されず廃棄されることになるので、その分、不経済となっていた。また、オゾン水の濃度を濃度センサによりチェックしているので、濃度をチェックするための装置が必要になり、その分、コストが増加していた。
【0005】
一方、特許文献2のオゾン水供給装置では、オゾン発生器から一定量のオゾン含有ガスが供給されてタンク内のオゾン水がオゾン含有ガスで常に飽和状態に保持されるように構成されている。また、タンク内と連通するオゾン水の供給管路と一端がエジェクターを介して連通する水の注入流管路の他端が、大気に開放された処理流体槽に浸漬しているので、タンク内の圧力は略大気圧となっている。
これらのことから、タンク内のオゾン水のオゾン濃度は、タンク内の圧力によって一義的に決まるため、オゾン水のオゾン濃度をより濃い濃度にすることができない上、所望の濃度に調整することもできなかった。
【0006】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、供給されるオゾン含有ガスの全てをオゾン水の生成のために無駄なく活用することができると共に、オゾン水のオゾン濃度を正確かつ容易に管理することができ、その管理も安価に行うことができるオゾン水の供給装置および供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係るオゾン水供給装置は、
貯留槽と、
前記貯留槽内に連通するガス通路と、
前記ガス通路を開閉するガス通路開閉手段と、
前記貯留槽内に連通する水通路と、
前記水通路を開閉する水通路開閉手段と、
組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスを前記ガス通路を介して前記貯留槽内に注入するガス注入手段と、
前記水通路を介して前記貯留槽内に水を供給する給水手段と、
前記ガス注入手段により前記貯留槽内に注入され充填された前記オゾン含有ガスが、前記給水手段により供給される水の流動に起因して該水と接触し、かつ、混合することでオゾン水を生成するオゾン水生成手段と、
前記オゾン水生成手段により生成された前記オゾン水が落下して前記貯留槽内の下部に貯留されたときの前記オゾン水の水位を検出する水位検出手段と、
前記貯留槽内の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記貯留槽内の下部と外部とを連通する配水路を有し、前記貯留槽内に貯留された前記オゾン水を前記配水路を介して前記外部に配水する配水手段とを備え、
前記ガス通路開閉手段により前記ガス通路が開かれると共に、前記ガス通路以外で前記貯留槽内に連通する連通空間と該貯留槽内とが大気から閉塞された状態で前記ガス注入手段により前記貯留槽内に前記オゾン含有ガスが注入されるガス注入工程と、
前記ガス注入工程の実行により上昇する前記貯留槽内の圧力が予め設定された初期設定圧に到達したことが前記圧力検出手段により検出されたら、前記ガス通路開閉手段により前記ガス通路が閉じられ前記ガス注入工程の実行が停止されるガス注入停止工程と、
前記ガス注入停止工程が実行された後、前記水通路開閉手段により前記水通路が開かれると共に、前記水通路以外で該水通路または前記貯留槽内の少なくとも何れか一方に連通する連通空間と該貯留槽内とが大気から閉塞された状態で前記給水手段により前記貯留槽内に水が供給される給水工程と、
前記給水工程の実行によって前記オゾン水生成手段により生成されて貯留された前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が予め設定された上限水位に到達したことが前記水位検出手段により検出されたら、前記水通路開閉手段により前記水通路が閉じられ前記給水工程の実行が停止される給水停止工程と、
前記給水停止工程が実行された後、前記貯留槽内に貯留された前記オゾン水が前記配水手段を介して前記貯留槽の外部に配水される配水工程とが順次実行可能に構成されたものである。
【0008】
請求項2に記載した発明に係るオゾン水供給装置は、
請求項1に記載のオゾン水供給装置において、
前記給水手段により供給される水の容量を計測する容量計測手段をさらに備え、
前記配水工程の実行により前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が前記上限水位より低い水位であって予め設定された下限水位まで下降したことが前記水位検出手段により検出されたら、前記水通路開閉手段により前記水通路が開かれて前記給水手段により水が再供給される再給水工程と、
前記再給水工程の実行により生成され増量された前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が前記上限水位またはこの水位とは異なり前記下限水位より高い第二の上限水位に到達したことが前記水位検出手段により検出されたら、前記水通路開閉手段により前記水通路が閉じられ前記再給水工程の実行が停止される再給水停止工程とがこれらの工程順に繰り返し実行可能であり、
前記再給水工程と前記再給水停止工程とが繰り返し実行される一方、前記給水工程が開始されてからの、または、前記再給水工程が最初に開始されてからの、前記容量計測手段により計測される水の容量が予め設定された上限容量に到達したら、前記ガス通路開閉手段により前記ガス通路が開かれて、前記初期設定圧より高い所定の高圧力で前記オゾン含有ガスが予め設定された設定時間だけ前記ガス注入手段により前記貯留槽内に再注入されるガス再注入工程が実行可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載した発明に係るオゾン水供給装置は、
請求項1または請求項2に記載のオゾン水供給装置において、
前記オゾン水生成手段は、前記貯留槽内に配設され、前記給水手段により供給される水が前記オゾン水生成手段の内部で高速で流動するときに発生する負圧により前記貯留槽内の前記オゾン含有ガスが前記オゾン水生成手段の内部に吸引されて前記オゾン含有ガスと前記水とが混ざり合って前記オゾン水が生成されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載した発明に係るオゾン水供給方法は、
貯留槽内に連通するガス通路を開閉するガス通路開閉手段により前記ガス通路が開かれると共に、前記ガス通路以外で前記貯留槽内に連通する連通空間と該貯留槽内とが大気から閉塞された状態で、組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスが前記ガス通路を介して前記貯留槽内に注入されるガス注入工程と、
前記ガス注入工程の実行により上昇する前記貯留槽内の圧力が予め設定された初期設定圧に到達したら、前記ガス通路開閉手段により前記ガス通路が閉じられ前記ガス注入工程の実行が停止されるガス注入停止工程と、
前記ガス注入停止工程が実行された後、前記貯留槽内に連通する水通路を開閉する水通路開閉手段により前記水通路が開かれると共に、前記水通路以外で該水通路または前記貯留槽内の少なくとも何れか一方に連通する連通空間と該貯留槽内とが大気から閉塞された状態で前記水通路を介して前記貯留槽内に水が供給される給水工程と、
前記ガス注入工程の実行により前記貯留槽内に注入され充填された前記オゾン含有ガスと前記給水工程の実行により供給される水とを、その供給される水の流動に起因してオゾン水生成手段により接触させ、かつ、混合させることでオゾン水が生成されるオゾン水生成工程と、
前記給水工程の実行によって前記オゾン水生成手段により生成されて貯留された前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が予め設定された上限水位に到達したら、前記水通路開閉手段により前記水通路が閉じられ前記給水工程の実行が停止される給水停止工程と、
前記給水停止工程が実行された後、前記貯留槽内に貯留された前記オゾン水が前記貯留槽内の下部と外部とを連通する配水路を介して前記外部に配水される配水工程とを備えたものである。
【0011】
請求項5に記載した発明に係るオゾン水供給方法は、
請求項4に記載のオゾン水供給方法において、
前記配水工程の実行により前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が前記上限水位より低い水位であって予め設定された下限水位まで下降したら、前記水通路開閉手段により前記水通路が開かれて前記給水手段により水が再供給される再給水工程と、
前記再給水工程の実行により生成され増量された前記貯留槽内の前記オゾン水の水位が前記上限水位またはこの水位とは異なり前記下限水位より高い第二の上限水位に到達したら、前記水通路開閉手段により前記水通路が閉じられ前記再給水工程の実行が停止される再給水停止工程とがこれらの工程順に繰り返し実行される一方、
前記給水工程が開始されてからの、または、前記再給水工程が最初に開始されてからの、前記給水手段により供給される水の容量が予め設定された上限容量に到達したら、前記ガス通路開閉手段により前記ガス通路が開かれて、前記初期設定圧より高い所定の高圧力で前記オゾン含有ガスが予め設定された設定時間だけ前記ガス注入手段により前記貯留槽内に再注入されるガス再注入工程が実行されることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6に記載した発明に係るオゾン水供給方法は、
請求項4または請求項5に記載のオゾン水供給方法において、
前記オゾン水生成手段は、前記貯留槽内に配設され、前記給水手段により供給される水が前記オゾン水生成手段の内部で高速で流動するときに発生する負圧により前記貯留槽内の前記オゾン含有ガスが前記オゾン水生成手段の内部に吸引されて前記オゾン含有ガスと前記水とが混ざり合って前記オゾン水が生成されるように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、貯留槽内に連通する連通空間と該貯留槽内との容積は既知であり、これらの既知の閉空間に予め設定された初期設定圧に到達するまでオゾン含有ガスを注入するだけなので、その注入されたガスの容積を正確かつ容易に管理することができ、その管理も安価に行うことができる。また、前記既知の閉空間に予め設定された上限水位に到達するまで水を供給するだけなので、その供給された水の容積も正確かつ容易に管理することができ、その管理も安価に行うことができる。この結果、オゾン含有ガスと水との混合比、延いてはオゾン水の濃度も正確かつ容易に管理することができ、その管理も安価に行うことができる。
【0014】
また、注入するオゾン含有ガスの初期設定圧と、供給する水の容量を決定する上限水位とを適宜選定することでオゾン水の濃度を所望の濃度に設定することができる。
さらにまた、オゾン水生成手段によるオゾン水の生成で使用されるオゾン含有ガスは、閉空間の貯留槽内とその連通空間に注入され充填されているので、注入されたオゾン含有ガスの全てをオゾン水の生成のために無駄なく活用することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、供給される水の容量が予め設定された上限容量に到達したら、所定の高圧力でオゾン含有ガスが設定時間だけ貯留槽内に再注入されるように構成されているので、再注入されるオゾン含有ガスの容積を正確かつ容易に管理することができる。この結果、継続して使用されるオゾン水の濃度も正確かつ容易に管理することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、オゾン水生成手段が貯留槽内に配設されているので、貯留槽内のオゾン含有ガスがオゾン水生成手段の内部に直接吸引され、オゾン含有ガスと水とが効率良く混ざり合って良質なオゾン水が生成される。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果と同一の効果を奏することができる。よって、発明の効果の記載を省略する。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、請求項2記載の発明の効果と同一の効果を奏することができる。よって、発明の効果の記載を省略する。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、請求項3記載の発明の効果と同一の効果を奏することができる。よって、発明の効果の記載を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るオゾン水供給装置の全体を、その一部を破断して示した図である。
【
図2】図(1)は
図1において二点鎖線の楕円Aで囲んだ部分を拡大して示した図であり、図(2)は図(1)から管継手38を取り除いた状態の図(1)の上側部分を示した図であり、図(3)は図(1)からエジェクター7および管継手38やを取り除いた状態の下側部分を示した図であり、図(4)は管継手38の断面図であり、図(5)は図(4)において矢視Bで示す方向から見た管継手38の外観図である。
【
図3】図(1)は
図1において二点鎖線の楕円Cで囲んだ部分を拡大して示した図であり、図(2)は
図1において二点鎖線の楕円Dで囲んだ部分を拡大して示した図である。
【0021】
【
図4】図(1)は
図1において二点鎖線の楕円Eで囲んだ部分を拡大して示した図であり、図(2)は
図1において二点鎖線の楕円Fで囲んだ部分を拡大して示した図である。
【
図5】図(1)は本発明の第1の実施の形態に係るエジェクター7の断面図であり、図(2)は図(1)における矢視G-G線に沿う位置でエジェクター7を破断して示した断面図であり、図(3)はエジェクター7を構成する連結部材75の断面図であり、図(4)はエジェクター7を構成する流入部材71の断面図であり、図(5)はエジェクター7を構成する排出部材73の断面図である。
【0022】
【
図6】図(1)は第1の変形例に係るオゾン水供給装置の一部を破断して示した断面図であり、図(2)は図(1)中に示すエジェクター79を拡大して示した断面図であり、図(3)は図(2)における矢視J-J線に沿う位置でエジェクター79を破断して示した断面図である。
【
図7】図(1)は第2の変形例に係るオゾン水供給装置の一部を破断して示した断面図であり、図(2)は図(1)中に示すエジェクター87を拡大して示した断面図であり、図(3)は図(2)における矢視K-K線に沿う位置でエジェクター87を破断して示した断面図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態に係るオゾン水供給装置の一部を破断して示した断面図である。
【0023】
【
図9】図(1)は
図8中に示すエジェクター7'の断面図であり、図(2)は図(1)における矢視M-M線に沿う位置でエジェクター7'を破断して示した断面図であり、図(3)はエジェクター7'を構成する排出部材73の断面図であり、図(4)はエジェクター7'を構成する連結部材75の断面図であり、図(5)はエジェクター7'を構成する流入部材71の断面図である。
【
図10】第3の変形例に係るオゾン水供給装置の一部を、その一部を破断して示した断面図である。
【
図11】その他の変形例に係るオゾン水供給装置の一部を破断して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態(以下「第1実施形態」という。)に係るオゾン水供給装置の一例を
図1を参照して詳細に説明する。
図1において、符号1で示すものは、この第1実施形態によるオゾン水供給装置を示しており、このオゾン水供給装置1は、組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスGと、該オゾン含有ガスGが水Wに混入してなるオゾン水Zとを貯留するための略円筒状の貯留槽3と、この貯留槽3内に水Wを供給するための給水管5と、該給水管5により供給された水Wを貯留槽3内に排出するためのエジェクター7と、オゾン含有ガスGを貯留槽3内に供給するためのガス供給管9と、貯留槽3内で生成されたオゾン水Zを貯留槽3の外部に排出するための配水基管11とを備えている。エジェクター7は本発明でいう「オゾン水生成手段」を構成し、ガス供給管9の管内は本発明でいう「ガス通路」を構成する。
【0025】
貯留槽3は、上下方向に長尺で横断面が略円形状の中空の容器として形成された貯留槽本体13と、貯留槽本体13の上面部13aに溶接により結着された略円管状の上部ボス部材15(
図2の図(1)参照)と、貯留槽本体13における長手方向中途部の外周側面部に溶接により結着された略円管状の中間ボス部材17(
図3の図(1)参照)と、貯留槽本体13の下面部13bに溶接により結着された略円管状の下部ボス部材19(
図4の図(1)参照)とを備えている。貯留槽本体13の下部外周面部には、複数の脚部材21…の上端部が溶接により結着され、各脚部材21…の下端が床面Y上にそれぞれ当接することにより貯留槽3が安定的に床面Y上に設置されている。
図1において、貯留槽本体13内に描いた矢印はオゾン水Zやオゾン含有ガスGが流れる方向を示している。
【0026】
給水管5は給水管本体23と分岐管25(
図2の図(1)参照)と管継手38とを備え、該分岐管25は給水管本体23の一端部23aに液密に結着されている。給水管本体23内は本発明でいう「水通路」を構成する。給水管本体23の他端部23bには給水ポンプ27が接続され、該給水ポンプ27には送水管29の一端部29aが接続されている。給水ポンプ27は本発明でいう「給水手段」を構成する。
図4の図(2)に示すように、前記送水管29の他端部29bは、軸芯が貯留槽本体13の長手方向を指向するように貯水タンク31の底面部31aに溶接により結着された円管状のボス部材33に液密に接続されている。
【0027】
貯水タンク31の底面部31aにおけるボス部材33が結着された部位には貫通孔31bが穿設されており、該貫通孔31bを介して貯水タンク31内とボス部材33の内周面部とが連通されている。
図1において二点鎖線の楕円で囲んだ部分を拡大して同図中に示したように、貯水タンク31の上端の開口31cは着脱可能な略円盤状の蓋体35によって閉塞され、該蓋体35の中央部には、該蓋体35によって閉塞された貯水タンク31内と外部とを連通する連通孔35aが形成されている。貯水タンク31内の上部には貯水タンク31内への給水および止水を制御するボールタップ36が配設されており、該ボールタップ36は水道管37に接続されている。貯水タンク31内の貯水量が減少し水Wの水位が下降すると、水面に浮いた浮き36aも下降して水道管37を介して水道水が排出管36bから流出することで貯水タンク31内の水Wの容量が常に一定になるように維持されている。なお、水道水に替えて地下水をポンプで汲み上げて水道管37を介して貯水タンク31内に貯留するようにしてもよい。
【0028】
前記分岐管25は、T字状に形成されており、給水管本体23の一端部23aに結着された基部25aと、該基部25aから二つに分岐して形成された第一分岐部25bと第二分岐部25cとを備えている。第一分岐部25bと上部ボス部材15とは、管継手38(
図2の図(1)参照)を介して接続されている。基部25a内、第一分岐部25b内および管継手38内は本発明でいう「水通路」を構成する。
【0029】
上部ボス部材15は、貯留槽本体13の上面部13aに穿設された上部貫通孔13c(
図2の図(3)参照)内に一端部(
図2の図(3)では下端部)が挿入され、該一端部が貯留槽本体13内に突出した状態で、かつ、上部ボス部材15の軸芯が貯留槽本体13の長手方向を指向するように貯留槽本体13の上面部13aに溶接により結着されている。これにより、上部ボス部材15の内周部は貯留槽本体13内と連通している。上部ボス部材15の他端部側(
図2の図(3)では上部)における内周面部には、雌ねじ部15aが形成されている。該雌ねじ部15aには、管継手38の一端部(
図2の図(1)では下端部)の外周面に形成された雄ねじ部38a(
図2の図(4)参照)が、その外周面にシールテープ(図示せず)が巻き付けられた状態で螺合され気密および液密に結着されている。管継手38の軸芯方向中途部には、上部ボス部材15や分岐管25に管継手38を螺合する際にスパナで挟持するための挟持部38dが形成されている。
【0030】
一方、分岐管25の第一分岐部25bの内周面には雌ねじ部25dが形成されており、該雌ねじ部25dには、管継手38の他端部(
図2の図(1)では上端部)の外周面に形成された雄ねじ部38b(
図2の図(4)参照)が、その外周面にシールテープ(図示せず)が巻き付けられた状態で螺合され気密および液密に結着されている。前記管継手38の一端部の内周面には雌ねじ部38cが形成されており、該雌ねじ部38cには、エジェクター7の後述する流入部材71の雄ねじ部71cが、その外周面にシールテープ(図示せず)が巻き付けられた状態で螺合され気密および液密に結着されている。これによって、第一分岐部25b内とエジェクター7内とは、管継手38を介して気密および液密に連通されている。
【0031】
図3の図(1)で示すように、前記中間ボス部材17の一端部が結着された貯留槽本体13の外周側面部の部位には中間貫通孔13dが穿設されている。該中間貫通孔13dを介して貯留槽本体13内と中間ボス部材17の内周面部とが連通されている。中間ボス部材17の他端部には、ガス供給管9の一端部9aが気密および液密に嵌合結着されている。ガス供給管9の他端部9bは、床面Y上に設置されたガス供給装置39の一端部に接続されている。ガス供給装置39の他端部は、酸素ガスが収容された酸素ボンベ40に酸素ガス供給管41を介して接続されており、酸素ボンベ40内の酸素ガスがガス供給装置39に導入される。ガス供給装置39は本発明でいう「ガス注入手段」を構成する。
【0032】
ガス供給装置39の内部で放電管による無声放電によってオゾンが発生し、酸素に対してオゾンが所定の割合で混合されてオゾン含有ガスが生成される。オゾン含有ガスとしては、例えば、容積比でオゾンが1パーセントないし10パーセントのうち何れかの値(例えば5パーセント)で残りが酸素からなるガスを挙げることができる。このようにして生成されたオゾン含有ガスは、例えば0.3ないし1.2MPa(メガパスカル)のうち何れかの値の圧力でガス供給装置39からガス供給管9を介して貯留槽本体13内に注入される。
【0033】
前記下部ボス部材19は、その軸芯が貯留槽本体13の長手方向を指向するように貯留槽本体13の下面部13bに一端部(
図4の図(1)では上端部)が結着され、その結着された貯留槽本体13の下面部13bの部位には下部貫通孔13eが穿設されている。該下部貫通孔13eを介して貯留槽本体13内と下部ボス部材19の内周面部とが連通されている。下部ボス部材19の他端部(
図4の図(1)では下部)には、配水基管11の一端部11aが気密および液密に嵌合結着されている。配水基管11の他端部11bには配水分岐管43が接続されている。
【0034】
該配水分岐管43は、配水基管11の他端部11bに接続される1つの分岐幹管43aと、該分岐幹管43aから分岐してなる複数の分岐枝管43b…を備えている。各分岐枝管43b…には、それぞれ蛇口45が連結されている。配水基管11、配水分岐管43および蛇口45は本発明でいう「配水手段」を構成し、配水基管11内、配水分岐管43内および蛇口45内は本発明でいう「配水路」を構成する。各蛇口45のうち少なくとも何れか1つの蛇口45が開かれると、配水基管11および配水分岐管43を介して、貯留槽本体13内のオゾン水Zが当該蛇口45から排出される。
【0035】
一方、
図2の図(1)で示すように、分岐管25の第二分岐部25cには、貯留槽本体13内のオゾン含有ガスGを貯留槽本体13の外部に排出するための吸気管47の一端部47aが気密および液密に嵌合結着されている。吸気管47の他端部47bには、貯留槽本体13内の気体を吸引して外部に排出するための吸引ポンプ49の一端部が接続されており、該吸引ポンプ49の他端部には排気管51の一端部51aが接続され、排気管51の他端51bは開口し外部に連通している。排気管51の長手方向中途部にはオゾン分解装置53が配設されている。
【0036】
給水管5、ガス供給管9、配水基管11および吸気管47のそれぞれの長手方向中途部には、これらの管内での水やガスの流通に関し許容と遮断とを択一的に実行するためにそれぞれ第一電磁弁55、第二電磁弁57、第三電磁弁59および第四電磁弁61が配設されている。第一電磁弁55は本発明でいう「水通路開閉手段」を構成し、第二電磁弁57は本発明でいう「ガス通路開閉手段」を構成する。また、送水管29の長手方向中途部には、送水管29内を単位時間当たりに流れる水Wの容量を計測する流量計63が配設されている。
【0037】
また、
図1、
図3の図(1)および図(2)に示すように、貯留槽本体13の長手方向中途部の2箇所には、貯留槽本体13内のオゾン水Zの上限水位H1と、該上限水位H1より下方に位置付けられた下限水位H2とをそれぞれ検出する上側水位センサ65aと下側水位センサ65bとが、互いに上下方向に離間し、かつ、貯留槽本体13に対してそれぞれ気密および液密に取り付けられている。上側水位センサ65aおよび下側水位センサ65bは本発明でいう「水位検出手段」を構成する。各水位センサ65a,65bのそれぞれの一端部は、貯留槽本体13内に臨むように配設され、かつ、それぞれの一端部の位置と貯留槽本体13内の水位とが一致したとき、そのことを検出する検出部をそれぞれ備えている。
図1中において、実線で示すオゾン水Zの水位は上限水位H1と一致した状態を示しており、二点鎖線で示すオゾン水Zの水位は下限水位H2と一致した状態を示している。上側水位センサ65aは、貯留槽本体13の中間貫通孔13dより下方に位置付けられ、下側水位センサ65bは、上側水位センサ65aより下方に位置付けられている。
【0038】
また、
図4の図(1)に示すように、貯留槽本体13の下面部13bには、貯留槽本体13内の圧力を検出するための圧力センサ67が、その一端部が貯留槽本体13内に臨むように、かつ、貯留槽本体13に対して気密および液密に取り付けられている。圧力センサ67は本発明でいう「圧力検出手段」を構成する。なお、この圧力センサ67は、
図1に示す配設位置に替え、オゾン水Zが流れる流路から見て貯留槽本体13の下部貫通孔13eと第三電磁弁59の配設位置との間にある下部ボス部材19または配水基管11の何れかの部位に配設してもよい。それらの配置位置でも貯留槽本体13内と同等の圧力を検出することができる。
【0039】
前記給水ポンプ27、ガス供給装置39、吸引ポンプ49、第一電磁弁55、第二電磁弁57、第三電磁弁59、第四電磁弁61、流量計63、上側水位センサ65a、下側水位センサ65bおよび圧力センサ67は、
図1においてそれぞれ破線で示す各電線を介して制御装置69に接続されている。前記給水ポンプ27が制御装置69により作動させられることで給水管5を介して貯留槽本体13内に水Wが供給される。ガス供給装置39は制御装置69により作動させられてオゾン含有ガスGが生成され、該オゾン含有ガスGがガス供給管9を介して貯留槽本体13内に注入される。吸引ポンプ49は制御装置69により作動させられて吸気管47および排気管51を介して貯留槽本体13内の気体が外部に排出される。
【0040】
各電磁弁55,57,59,61は、制御装置69により適宜開閉される。送水管29内を流れる水Wの単位時間当たりの流量が流量計63により計測され、その計測値が制御装置69の演算処理部によって積算されて、一定の期間に流れた水Wの容量が算出される。前記制御装置69の演算処理部および流量計63は本発明でいう「容量計測手段」を構成する。貯留槽本体13内の水位が上限水位H1または下限水位H2に到達したか否かは、各水位センサ65a,65bによる検出に基づいて制御装置69の判断処理部により判断される。貯留槽本体13内の圧力が後述する初期設定圧P1または所定の高圧力P2に到達したか否かは、圧力センサ67による検出に基づいて制御装置69の判断処理部により判断される。
【0041】
図5に示すように、前記エジェクター7は、1つの仮想直線Lに沿う方向に該エジェクター7内を水Wが流れる軸流タイプのものからなり、略円管状の流入部材71と、略円管状の排出部材73と、これらの部材71,73がそれぞれ溶接により気密および液密に結着される略円管状の連結部材75とを備えている。流入部材71には、給水管本体23内と分岐管25の基部25aおよび第一分岐部25bとをこれらの順に流れて来た水Wが流入する。排出部材73は、流入部材71に流入した水Wが流入し排出される。水Wの流れから見て、流入部材71における排出側の開口端71b側の端部が連結部材75内に嵌合され、かつ、排出部材73における流入側の開口端73a側の端部が連結部材75内に嵌合された状態で両部材71,73が連結部材75に結着されている。
【0042】
流入部材71と排出部材73とは、連結部材75に結着されることで両部材71,73の各内部空間の軸芯が仮想直線L上に沿うように同軸に位置付けられている。流入部材71の内径は、水Wの流れから見て、水Wの流入側から排出側に向かうにつれて徐々に小さくなるように形成され、流入側の開口端71aの内径が最も大きく、かつ、排出側の開口端71bの内径が最も小さくなるように形成されている。流入部材71における開口端71a側の端部の外周面には雄ねじ部71cが形成されている。
【0043】
一方、排出部材73の内径は、水Wの流れから見て、水Wの流入側から排出側に向かうにつれて徐々に大きくなるように形成され、流入側の開口端73aの内径が最も小さく、かつ、排出側の開口端73bの内径が最も大きくなるように形成されている。流入部材71の開口端71bと排出部材73の開口端73aとは、それらの内径が略同一の寸法に形成され、かつ、一定の間隙77(
図5の図(1)参照)を隔てて互いに対向するように配設されている。流入部材71内、排出部材73内、間隙77は本発明でいう「水通路」を構成する。連結部材75の長手方向中途部における間隙77に対向する位置には、仮想直線L周りの円周方向に等角度間隔で4個の貫通孔75a…が穿設されている。なお、穿設する貫通孔75aの個数については、4個に限らず、例えば、2個もしくは3個または5個以上でもよい。
【0044】
〔オゾン水の生成供給工程〕
上述したオゾン水供給装置1によりオゾン水が生成され供給される工程について説明する。
(1)気体の排出工程
まず、制御装置69により、第一電磁弁55、第二電磁弁57および第三電磁弁59が閉ざされると共に第四電磁弁61が開かれた状態で吸引ポンプ49が作動させられ、吸気管47および排気管51を介して貯留槽本体13内の気体が外部に排出される。このとき、貯留槽本体13内の気体にオゾン含有ガスGが混在している場合、そのオゾン含有ガスGはオゾン分解装置53によって酸素に分解されて排気管51から排出される。貯留槽本体13内の圧力が所定の負圧P0に到達したことが圧力センサ67により検出されたら第四電磁弁61が閉じられる。
【0045】
(2)ガス注入工程
次に、第一電磁弁55、第三電磁弁59および第四電磁弁61が閉ざされたままで第二電磁弁57が開かれ、ガス供給管9内を除き、前記貯留槽3内に連通する連通空間と貯留槽3内とが大気から閉塞された状態とされる。ここでいう連通空間には、分岐管25内、分岐管25と第一電磁弁55との間の給水管本体23内、分岐管25と第四電磁弁61との間の吸気管47内、管継手38内、貯留槽3の下部ボス部材19と第三電磁弁59との間の配水基管11内が含まれる。これらの空間は、本発明でいう「ガス通路以外で貯留槽内に連通する連通空間」を構成する。上述したように、大気から閉塞された状態でガス供給装置39が作動させられて該ガス供給装置39により生成されたオゾン含有ガスGがガス供給管9を介して貯留槽本体13内に供給される。
【0046】
(3)ガス注入停止工程
貯留槽本体13内の圧力が予め設定された初期設定圧P1に到達したことが圧力センサ67により検出されたらガス供給装置39の作動が停止されると共に第二電磁弁57が閉じられる。前記初期設定圧P1の値としては、例えば、0.3MPa(メガパスカル)の値を挙げることができる。
【0047】
(4)給水工程
次に、第二電磁弁57、第三電磁弁59第および第四電磁弁61が閉ざされたままで第一電磁弁55が開かれ、給水管5内以外で該給水管5内または貯留槽3内の少なくとも何れか一方に連通する連通空間と該貯留槽3内とが大気から閉塞された状態とされる。ここでいう連通空間には、分岐管25と第四電磁弁61との間の吸気管47内、貯留槽3の中間ボス部材17と第二電磁弁57との間のガス供給管9内、貯留槽3の下部ボス部材19と第三電磁弁59との間の配水基管11内が含まれる。これらの空間は、本発明でいう「水通路以外で該水通路または貯留槽内の少なくとも何れか一方に連通する連通空間」を構成する。
【0048】
給水ポンプ27が作動させられて貯留槽本体13内に水Wが給水管5およびエジェクター7を介して供給される。エジェクター7の流入部材71の開口端71bから吐出され排出部材73の開口端73aから排出部材73内に水Wが高速で流入するときに発生する負圧によりエジェクター7の貫通孔75aおよび間隙77を介して排出部材73内に貯留槽本体13内のオゾン含有ガスGが吸引される。その吸引に伴って間隙77の空間で発生した乱流によりオゾン含有ガスGと水Wとが混ざり合ってオゾン水Zが生成され、該オゾン水Zが排出部材73を介して開口端73bから貯留槽本体13内に勢いよく拡散される。
【0049】
(5)給水停止工程
拡散されたオゾン水Zは重力により落下して貯留槽本体13内の下部に貯留され、やがて水位が下限水位H2を越えて上限水位H1に到達したことが検出されたら給水ポンプ27の作動が停止されると共に第一電磁弁55が閉じられる。オゾン水Zの水位が上昇するにつれて、貯留槽本体13内のオゾン含有ガスGの圧力が予定された圧力まで増加する。予定された圧力としては、例えば、0.5MPa(メガパスカル)の値を挙げることができる。オゾン水Zに混入するオゾン含有ガスGの濃度は、その増加した圧力に応じた濃度となる。また、貯留槽本体13内は高い圧力になっているので、この後の"(6)配水工程"において蛇口45が開かれたとき、その高い圧力によってオゾン水Zが円滑に排出される。
【0050】
(6)配水工程
前記"(5)給水停止工程"の後、第三電磁弁59が開かれる。そして、各蛇口45のうち少なくとも何れか1つの蛇口45が開かれると、貯留槽本体13内のオゾン水Zが当該蛇口45から排出される。この工程と、この工程以降に実行される各工程とは互いに無関係に実行され、この工程以降の工程の何れかが実行中であっても、その実行中の工程に制約されることなく別個独立にこの工程は実行され得る。このため、この工程以降は、この工程が制約なく実行されることで、中断することなく連続してオゾン水供給装置1によりオゾン水Zを供給することができる。
【0051】
(7)再給水工程
前記"(6)配水工程"の実行により、貯留槽本体13内のオゾン水Zの水位が下限水位H2まで下降したことが下側水位センサ65bにより検出されると、第一電磁弁55が開かれると共に給水ポンプ27が再び作動させられて貯留槽本体13内に水Wが供給される。このとき、エジェクター7内に水Wが流入するときに発生する負圧により貯留槽本体13内の上部に残存するオゾン含有ガスGがエジェクター7内に吸引されてオゾン水Zが生成され、該オゾン水Zがエジェクター7の排出部材73の開口端73bから貯留槽本体13内に勢いよく拡散される。
【0052】
(8)再給水停止工程
前記"(7)再給水工程"が実行されることで生成され増量された貯留槽3内のオゾン水Zの水位が、上限水位H1に到達したことが上側水位センサ65aにより検出されたら、第一電磁弁55が閉じられると共に給水ポンプ27の作動が停止され再給水が停止される。なお、この再給水の停止のタイミングとしては、上限水位H1とは異なり前記下限水位H2より高い第二の上限水位H1'に到達した時点にしてもよい。第二の上限水位H1'としては、上限水位H1と下限水位H2との間の水位または貯留槽3の中間貫通孔13dと上限水位H1との間の水位が挙げられる。なお、第二の上限水位H1'を設ける場合は、その上限水位H1'を検出するための別個の水位センサを配設する必要がある。
前記"(7)再給水工程"の実行後の貯留槽3内は、オゾン水Zが増量された分、圧力が上昇するので、蛇口45が開かれたとき、その上昇した圧力によってオゾン水Zが円滑に排出される。
【0053】
(9)ガス再注入工程
前記"(7)再給水工程"と"(8)再給水停止工程"とがこれらの工程順に繰り返し実行される一方、前記"(7)再給水工程"が最初に開始されてから現在までに送水管29を流れた水Wの容量が制御装置69の演算処理部により算出される。この算出の仕方に替えて、前記"(4)給水工程"が開始されてから現在までに送水管29を流れた水Wの容量が算出されるようにしてもよい。何れにしても水Wの容量の算出は流量計63により計測された計測値に基づいて行われ、算出された水Wの容量が予め設定された上限容量V(例えば、60リットル)に到達したか否かが制御装置69の判断処理部により判断される。
【0054】
到達したと判断されたとき、第二電磁弁57が再度開かれると共にガス供給装置39が再度作動させられてオゾン含有ガスGがガス供給管9を介して貯留槽本体13内に所定の高圧力P2で再注入される。ここでの高圧力P2は前記初期設定圧P1より高い値に設定され、その値としては、例えば、0.6ないし1.0MPa(メガパスカル)のうち何れかの値で、一例として0.7MPa(メガパスカル)の値を挙げることができる。この工程の実行後の貯留槽3内は、オゾン含有ガスGが注入された分、さらに圧力が上昇しているので、蛇口45が開かれたとき、その上昇した圧力によってオゾン水Zが円滑に排出される。
【0055】
(10)ガス再注入停止工程
前記"(9)ガス再注入工程"の開始から予め設定された設定時間Tが経過したか否かが制御装置69の時間計測部により判断される。経過したと判断されたら、ガス供給装置39の作動が停止されると共に第二電磁弁57が閉じられる。前記設定時間Tとしては、例えば、1ないし5分程度で、一例として2分を挙げることができる。
【0056】
(11)ガス補充工程
続いて前記"(7)再給水工程"と"(8)再給水停止工程"とがこれらの工程順に再び繰り返し実行される一方、送水管29を流れる水Wの容量の計測を再び開始する計測再開時点から現在までに流れた水Wの容量が制御装置69の演算処理部により算出される。前記計測再開時点としては、前記"(9)ガス再注入工程"におけるオゾン含有ガスGの注入開始時点と同一の時点かまたは該注入開始時点から一定の時間(例えば、前記設定時間Tまたはこれとは異なる別の時間)が経過した時点が挙げられる。オゾン含有ガスGの補充が開始される条件となる水Wの容量については、前記"(9)ガス再注入工程"における上限容量Vと同一の容量に設定するか、または、該上限容量Vとは異なる第二の上限容量V'に設定してもよい。上限容量Vまたは第二の上限容量V'に到達したと制御装置69の判断処理部により判断されたとき、第二電磁弁57が再度開かれると共にガス供給装置39が再度作動させられてオゾン含有ガスGがガス供給管9を介して前記"(9)ガス再注入工程"と同一の高圧力P2で貯留槽本体13内に再注入される。
【0057】
(12)ガス補充停止工程
前記"(10)ガス再注入停止工程"と同様の工程が実行されるので、詳細な説明は省略する。
(13)水補充工程
前記"(7)再給水工程"と同様の工程が実行されるので、詳細な説明は省略する。
(14)水補充停止工程
前記"(8)再給水停止工程"と同様の工程が実行されるので、詳細な説明は省略する。
以下、上述した"(11)ガス補充工程"から"(14)水補充停止工程"までの各工程が順次に、かつ、繰り返し実行される。
【0058】
なお、"(7)再給水工程"と"(9)ガス再注入工程"とは互いに別個独立に実行されるものであり、タイミングによっては、両工程が行われるそれぞれの時間帯が重複する場合もあり得る。
同様に、"(11)ガス補充工程"と"(13)水補充工程"とは互いに別個独立に実行されるものであり、タイミングによっては、両工程が行われるそれぞれの時間帯が重複する場合もあり得る。
【0059】
第1実施形態に係るオゾン水供給装置1によれば、貯留槽3内に連通する給水管5、配水基管11および吸気管47等の各内部の連通空間と該貯留槽3内との容積は既知であり、これらの既知の閉空間に予め設定された初期設定圧P1に到達するまでオゾン含有ガスGを注入するだけなので、その注入されたオゾン含有ガスGの容積を正確かつ容易に管理することができ、その管理も安価に行うことができる。また、前記既知の閉空間に予め設定された上限水位H1に到達するまで水Wを供給するだけなので、その供給された水Wの容積も正確かつ容易に管理することができ、その管理も安価に行うことができる。この結果、オゾン含有ガスGと水Wとの混合比、延いてはオゾン水Zの濃度も正確かつ容易に管理することができ、その管理も安価に行うことができる。
【0060】
また、注入するオゾン含有ガスGの初期設定圧P1と、供給する水Wの容量を決定する上限水位H1とを適宜選定することでオゾン水Zの濃度を所望の濃度に設定することができる。
また、エジェクター7によるオゾン水Zの生成で使用されるオゾン含有ガスGは、閉空間の貯留槽3内とその連通空間に注入され充填されているので、注入されたオゾン含有ガスGの全てをオゾン水Zの生成のために無駄なく活用することができる。
【0061】
また、供給される水Wの容量が予め設定された上限容量Vまたは第二の上限容量V'に到達したら、所定の高圧力P2でオゾン含有ガスGが設定時間Tだけ貯留槽3内に再注入されるように構成されているので、再注入されるオゾン含有ガスGの容積を正確かつ容易に管理することができる。この結果、継続して使用されるオゾン水Zの濃度も正確かつ容易に管理することができる。
さらにまた、エジェクター7が貯留槽3内に配設されているので、貯留槽3内のオゾン含有ガスGがエジェクター7の内部に直接吸引され、オゾン含有ガスGと水Wとが効率良く混ざり合って良質なオゾン水Zが生成される。
【0062】
次に、前記第1実施形態とは異なる2の変形例について以下に順々に説明する。その際、第1実施形態または先に説明し終えた変形例を基礎として各変形例を説明し、その基礎とする第1実施形態または変形例とは異なる点を主に説明するものとする。説明しない点については、基本的には先に説明し終えた第1実施形態または変形例と同様とする。また、これから説明する各変形例の説明において、物や部位等に関し使用するする語句および参照する図で、先に説明し終えた第1実施形態または変形例で説明したものと同一または同等の物および部位等については同一の符号を記して詳細な説明は省略する。これから説明する各変形例においても、先に説明し終えた第1実施形態または変形例と同一または同等の構成や工程については、同様の作用・効果を奏することができるのは言うまでもない。
【0063】
(第1の変形例)
上述した第1実施形態では、軸流タイプのものからなるエジェクター7によってオゾン水Zが生成される例を示したが、該軸流タイプのエジェクター7に替えて、
図6に示すような内部を渦巻状の方向に水Wが流れる渦流タイプのエジェクター79によってオゾン水Zが生成されるようにしてもよい。エジェクター79は本発明でいう「オゾン水生成手段」を構成する。この第1の変形例では、第1実施形態においてエジェクター7をエジェクター79に置換しただけで、この点以外は変更していない。
【0064】
該エジェクター79は、エジェクター本体81と、円管状の流気管83とを備えている。エジェクター本体81は、水Wの流れから見て、分岐管25から水Wが流入する開口端81a側の外周面に形成された雄ねじ部81bと、開口端81a側から流入した水Wが通過する主流路部81cと、該主流路部81cに連なる渦流発生部81dと、該渦流発生部81dから水Wが流出する開口端81e側に形成された流出孔81f(
図6の図(2)において二点鎖線の楕円で囲んだ部分を拡大して示した図を参照)とを備えている。雄ねじ部81bは、その外周面にシールテープ(図示せず)が巻き付けられた状態で管継手38の雌ねじ部38cに螺合され気密および液密に結着されている。渦流発生部81dは渦巻状の空間からなる。なお、この第1の変形例のエジェクター79においては、主流路部81c、渦流発生部81dおよび流出孔81fは本発明でいう「水通路」を構成する。
【0065】
前記流気管83は、円管状に形成され、エジェクター本体81に穿設された横断面が円形状の丸孔81g(
図6の図(2)において二点鎖線の楕円で囲んだ部分を拡大して示した図を参照)内に圧入されエジェクター本体81に強固に結着されている。これによって、流気管83の軸芯は、渦流発生部81dで発生する渦流の渦の中心を通る仮想軸芯Oにその軸芯が略沿うように位置付けられている。また、流気管83は、その圧入された部位の近傍に位置する開口端83aと、その反対側の開口端83bとを備え、開口端83b側の流気管83の端部は、開口端83bの近傍から該開口端83bに向かうにつれて横断面積が次第に拡大されている。そして、エジェクター本体81の流出孔81fの内周面は、流気管83の開口端83b側端部の外周面と所定の間隙85を隔てるように形成されている。
【0066】
以上のように構成されたエジェクター79では、そのエジェクター本体81の開口端81a側から主流路部81cに流入した水Wが渦流発生部81dに流入するとき、その流入の勢いにより渦流が発生しながら流出孔81fと流気管83との間の間隙85を高速で通過して貯留槽本体13内に水Wが高速で流出する。高速で流出するときに発生する負圧により貯留槽本体13内のオゾン含有ガスGが流気管83の開口端83a側から流気管83内に吸引され開口端83b側から排出される。排出されたオゾン含有ガスGは、エジェクター本体81の開口端81eの近傍で水Wが高速で流出されることで発生する乱流により水Wと混ざり合ってオゾン水Zが生成され貯留槽本体13内に勢いよく拡散される。
【0067】
(第2の変形例)
上述した第1実施形態のエジェクター7および第1の変形例のエジェクター79では、エジェクター7やエジェクター79を水Wが流れるときに発生する負圧や乱流によりオゾン含有ガスGと水Wとが混ざり合ってオゾン水Zが生成される例を示したが、これらのタイプのエジェクター7,79に替えて、
図7に示すような噴霧タイプのエジェクター87によってオゾン水Zが生成されるようにしてもよい。エジェクター87は本発明でいう「オゾン水生成手段」を構成する。この第2の変形例は、エジェクター87に置換しただけで、この点以外は第1実施形態等に対して変更していない。
【0068】
該エジェクター87は、エジェクター本体81を備えている。エジェクター本体81は、主流路部81cに流入した水Wが渦流発生部81dからエジェクター87の外方に向かって互いに逆方向に流出する一対の流出孔89,89を備えている。各流出孔89は、渦流発生部81dに開口し横断面積が縮小された絞り部89aと、該絞り部89aに連なり開口端81eに向かうにつれて横断面積が次第に拡大された円錐台形状の拡径部89bとをそれぞれ備えている。この第2の変形例のエジェクター87においては、主流路部81c、渦流発生部81d、一対の流出孔89,89は本発明でいう「水通路」を構成する。各流出孔89の軸芯は、渦流発生部81dで発生する渦流の渦の中心を通る仮想軸芯Oにその軸芯が略沿うように位置付けられている。
【0069】
以上のように構成されたエジェクター87では、そのエジェクター本体81の開口端81a側から主流路部81cに流入した水Wが渦流発生部81dに流入するとき、その流入の勢いにより渦流が発生する。このとき、渦流の流速が最も早い渦の中心部から水Wがエジェクター87の各流出孔89の絞り部89aおよび拡径部89bを通過する際に圧力が急激に変化し乱流が発生することで水Wが微細化された状態で各拡径部89bから貯留槽本体13内に散布される。この結果、噴霧状となった水Wが貯留槽本体13内のオゾン含有ガスGと均一かつ十分に接触することでオゾン水Zが生成され、重力により落下して貯留槽本体13内の下部に貯留される。
【0070】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態(以下「第2実施形態」という。)に係るオゾン水供給装置を
図8および
図9を参照して詳細に説明する。
上述した第1実施形態では、貯留槽本体13内のオゾン含有ガスGの吸引と、その吸引したオゾン含有ガスGを用いたオゾン水Zの生成と、その生成したオゾン水Zの排出とが全て貯留槽本体13内でエジェクター7により行われる例を示した。これに対して、第2実施形態では、オゾン含有ガスGの吸引と、オゾン水Zの生成と、そのオゾン水Zの排出とが全て貯留槽本体13の外部でエジェクター7'により行われるようにしている。
【0071】
エジェクター7'は本発明でいう「オゾン水生成手段」を構成する。第2実施形態の基本的な構成としては、上述した事柄だけが第1実施形態に対する変更点であって、この事柄以外は変更していない。なお、基本的な構成とは全く関係ないが、この第2実施形態では、
図8に示すように一部の構造を簡素化するために管継手38を廃止して上部ボス部材15と分岐管25とを直接接続するようにしている。
よって、
図8、
図9および以下の説明においては、第1実施形態で説明したものと同一または同等の部材および部位等については、同一の符号を記して詳細な説明は省略し、第1実施形態で説明したものと異なる点を主に説明する。第2実施形態においても、第1実施形態と同一または同等の構成や工程については、同様の作用・効果を奏することができるのは言うまでもない。
【0072】
第2実施形態のオゾン水供給装置では、給水管本体23は、
図8に示すように、給水ポンプ27に一端部91aが接続された第一給水管本体91と、分岐管25に一端部93aが接続された第二給水管本体93とを備えている。
図8において、貯留槽本体13内や給水管本体23内に描いた矢印は水W、オゾン水Zまたはオゾン含有ガスGが流れる方向を示している。第一給水管本体91内および第二給水管本体93内は本発明でいう「水通路」を構成する。
【0073】
なお、本発明でいう「ガス通路以外で貯留槽内に連通する連通空間」には、分岐管25内、第二給水管本体93内、エジェクター7'内、該エジェクター7'と第一電磁弁55との間の第一給水管本体91内、分岐管25と第四電磁弁61との間の吸気管47内、貯留槽3の下部ボス部材19と第三電磁弁59との間の配水基管11内、ガス吸引管99内が含まれる。また、本発明でいう「水通路以外で該水通路または貯留槽内の少なくとも何れか一方に連通する連通空間」には、分岐管25と第四電磁弁61との間の吸気管47内、貯留槽3の中間ボス部材17と第二電磁弁57との間のガス供給管9内、貯留槽3の下部ボス部材19と第三電磁弁59との間の配水基管11内、ガス吸引管99内が含まれる。
【0074】
エジェクター7'は、
図9に示すように、流入部材71と、排出部材73と、連結部材75と、一対の円管状の締結部材95,95とを備えている。エジェクター7'は、水Wが流動する内部の構造が第1実施形態のエジェクター7と同様であり、流入部材71内、排出部材73内および間隙77は本発明でいう「水通路」を構成する。一対の締結部材95,95のうち一方の締結部材95と第一給水管本体91の他端部91b側の端面との間で流入部材71の鍔部71dが挟持され、これによって、第一給水管本体91と流入部材71との各内周面部が液密に連通されている。また、一対の締結部材95,95のうち他方の締結部材95と第二給水管本体93の他端部93b側の端面との間で、排出部材73に形成された鍔部73cが挟持され、これによって、第二給水管本体93と排出部材73との各内周面部が液密に連通されている。
【0075】
エジェクター7'の連結部材75の長手方向中央部には、該長手方向に直交する方向に突出する突出部75bが形成され、該突出部75b内には、貫通孔75aと連通する凹部75cが形成されている。一方、貯留槽本体13上部の外周側面部に貫通孔13f(
図8において二点鎖線の楕円で囲んだ部分を拡大して示した図を参照)が穿設されており、該貫通孔13fが穿設された貯留槽本体13の外周側面部の部位には略円管状のボス部材97の一端部が溶接により結着されている。貫通孔13fを介して貯留槽本体13内とボス部材97の内周面部とが連通されている。
【0076】
ボス部材97の他端部には、ガス吸引管99の一端部99aが気密および液密に嵌合結着されている。ガス吸引管99の他端部99bは、エジェクター7'の連結部材75の凹部75cに液密に嵌合結着されている。これにより、貯留槽本体13内は、ガス吸引管99およびエジェクター7'の貫通孔75aを介して間隙77に連通している。而して、エジェクター7'内で発生する負圧により貯留槽本体13内のオゾン含有ガスGがガス吸引管99およびエジェクター7'の貫通孔75aを介してエジェクター7'内に吸引されてオゾン水Zが生成され、該オゾン水Zがエジェクター7'の排出部材73から排出され、第二給水管本体93および分岐管25の第一分岐部25b内を介して貯留槽本体13内に排出される。
【0077】
(第3の変形例)
上述した第2実施形態では、オゾン含有ガスGの吸引と、オゾン水Zの生成と、そのオゾン水Zの排出とが軸流タイプのエジェクター7'により行われる例を示した。これに対して、
図10に示すように、該軸流タイプのエジェクター7'に替えて、前記第1の変形例で説明したエジェクター79と同様の渦流タイプのエジェクター79'を使用してもよい。該エジェクター79'は本発明でいう「オゾン水生成手段」を構成する。この第3の変形例は、エジェクター79'に置換しただけであり、この点以外は第2実施形態に対して変更していない。
【0078】
よって、前記第1の変形例で説明したエジェクター79に関する記述および第2実施形態で説明したものと同一または同等の部材および部位等については、
図10で同一の符号を記すこととして詳細な説明は省略する。
図10において、貯留槽本体13内や給水管本体23内に描いた矢印は水W、オゾン水Zまたはオゾン含有ガスGが流れる方向を示している。なお、この第3の変形例のエジェクター79'においては、主流路部81c、渦流発生部81dおよび流出孔81fは本発明でいう「水通路」を構成する。また、この第3の変形例においても、第2実施形態と同一または同等の構成や工程については、同様の作用・効果を奏することができるのは言うまでもない。
【0079】
なお、上述した第1実施形態、第2実施形態および第1ないし第3の各変形例は本発明を説明するための一例であり、本発明は、前記の各実施の形態や第1ないし第3の各変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲と明細書との全体から読み取れる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更後のオゾン水供給装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0080】
例えば、上述した第1実施形態、第2実施形態および第1ないし第3の各変形例では、給水ポンプ27、ガス供給装置39および吸引ポンプ49の作動や各電磁弁55,57,59,61の開閉は制御装置69により自動的に実行されるように構成されているが、これらの実行を作業者が行うようにしてもよい。具体的には、給水ポンプ27、ガス供給装置39、吸引ポンプ49および各電磁弁55,57,59,61の各機器が操作盤に電気的に接続され、作業者は該操作盤を操作して各機器を作動させるようにする。また、給水ポンプ27の作動や停止を実行する際に必要となる判断(貯留槽本体13内のオゾン水Zの水位が上限水位H1、下限水位H2または第二の上限水位H1'に到達したか否かの判断)は、水位センサ65a,65bが検出する信号を前記操作盤の表示部に表示するようにし、作業者はその表示に基づいて行うようにする。
【0081】
そして、ガス供給装置39や吸引ポンプ49の作動の停止を実行する際に必要となる判断〈貯留槽本体13内の圧力が所定の負圧P0または初期設定圧P1に到達したか否かの判断〉は、圧力センサ67が検出する検出値を前記操作盤の表示部に表示するようにし、作業者はその表示を確認して当該工程を実行するようにする。また、前記"(9)ガス再注入工程"や"(11)ガス補充工程"において行われる判断〈送水管29を流れた水Wの容量が上限容量Vまたは第二の上限容量V'に到達したか否かの判断〉は、流量計63に替えて送水管29に積算流量計を配設すると共に該積算流量計が計測する積算流量の計測値を前記操作盤の表示部に表示するようにし、作業者はその表示に基づいて行うようにする。この場合は、前記積算流量計が本発明でいう「容量計測手段」を構成する。また、前記"(10)ガス再注入停止工程"や"(11)ガス補充工程"において必要となる設定時間Tや他の時間の計測は、前記操作盤に配設された時間計測器を作業者が操作して行うようにする。
【0082】
また、上述した第1実施形態、第2実施形態および第1ないし第3の各変形例では、前記"(1)気体の排出工程"、"(2)ガス注入工程"および"(4)給水工程"を実行する際に、配水基管11内等の本発明でいう「配水路」を第三電磁弁59により閉じるようにしていた。しかし、これに限らず、全ての蛇口45…が閉じられる場合は、前記第三電磁弁59を廃止してもよい。この場合は、本発明でいう「ガス通路以外で貯留槽内に連通する連通空間」および「水通路以外で該水通路または貯留槽内の少なくとも何れか一方に連通する連通空間」には、貯留槽3の下部ボス部材19と各蛇口45との間の配水基管11内および配水分岐管43内が含まれる。
【0083】
また、上述した第1実施形態、第2実施形態および第1ないし第3の各変形例では、前記〔オゾン水の生成供給工程〕において最初に"(1)気体の排出工程"を実行したが、該工程を省略して"(2)ガス注入工程"から実行するようにしてもよい。前記"(1)気体の排出工程"を省略することで、オゾン水供給装置の構成も簡略化することができる。その簡略化したオゾン水供給装置を
図11に示している。この図に示すものは、第1実施形態のオゾン水供給装置1の一部を変更したものであり、オゾン水供給装置の一部を示している。
図11に示すものでは、前記第1実施形態に係る吸気管47、吸引ポンプ49、排気管51、オゾン分解装置53および第四電磁弁61を廃止している。また、分岐管25に替えて略L字状の管継手101を介して給水管本体23と管継手38とを連通させている。管継手101は給水管5の一部を構成し、管継手101内は本発明でいう「水通路」を構成する。第1実施形態だけでなく第2実施形態および第1ないし第3の各変形例についても
図11に示した構成と同様に変更して前記"(1)気体の排出工程"を省略してもよい。
【0084】
なお、前記"(1)気体の排出工程"を省略し、かつ、貯留槽3が密閉された状態で前記"(2)ガス注入工程"から開始することで、該"(2)ガス注入工程"を実行する前に貯留槽3内に空気が残存している可能性がある。したがって、その分、前記"(2)ガス注入工程"で注入された貯留槽3内のオゾン含有ガスGの濃度が低下することになる。しかしながら、注入されるオゾン含有ガスGの量に較べて残存する空気の量は相対的に無視できる程度の僅かな量であるので、予定された濃度のオゾン水Zの生成には支障はない。
【符号の説明】
【0085】
1 オゾン水供給装置
3 貯留槽
7 エジェクター(オゾン水生成手段)
7' エジェクター(オゾン水生成手段)
9 ガス供給管(ガス通路)
11 配水基管(配水路、配水手段)
23 給水管本体(水通路)
25a 基部(水通路)
25b 第一分岐部(水通路)
27 給水ポンプ(給水手段)
38 管継手(水通路)
39 ガス供給装置(ガス注入手段)
43 配水分岐管(配水路、配水手段)
45 蛇口(配水路、配水手段)
55 第一電磁弁(水通路開閉手段)
57 第二電磁弁(ガス通路開閉手段)
63 流量計(容量計測手段)
65a 上側水位センサ(水位検出手段)
65b 下側水位センサ(水位検出手段)
67 圧力センサ(圧力検出手段)
69 制御装置(容量計測手段)
71 流入部材(水通路)
73 排出部材(水通路)
77 間隙(水通路)
79 エジェクター(オゾン水生成手段)
79' エジェクター(オゾン水生成手段)
81c 主流路部(水通路)
81d 渦流発生部(水通路)
81f 流出孔(水通路)
87 エジェクター(オゾン水生成手段)
89 流出孔(水通路)
91 第一給水管本体(水通路)
93 第二給水管本体(水通路)
101 管継手(水通路)
G オゾン含有ガス
H1 上限水位
H1' 第二の上限水位
H2 下限水位
P1 初期設定圧
P2 所定の高圧力
T 設定時間
V 上限容量
V' 第二の上限容量
W 水
Z オゾン水