(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110882
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】足場用パネル及び橋梁用常設足場
(51)【国際特許分類】
E01D 21/00 20060101AFI20240808BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20240808BHJP
E01D 19/12 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
E01D21/00 A
E01D22/00 A
E01D19/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023015748
(22)【出願日】2023-02-05
(71)【出願人】
【識別番号】000204192
【氏名又は名称】太陽工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594128913
【氏名又は名称】株式会社長大
(74)【代理人】
【識別番号】100098246
【弁理士】
【氏名又は名称】砂場 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100228511
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彩秋
(72)【発明者】
【氏名】片山 和
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英樹
(72)【発明者】
【氏名】浅田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩二
(72)【発明者】
【氏名】珠玖 義樹
(72)【発明者】
【氏名】有井 賢次
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA07
2D059BB37
2D059EE02
2D059EE10
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】外光を点検スペースに取り込みやすい足場用パネル及び橋梁用常設足場を提供する。
【解決手段】足場用パネル10は、透光性を有する床パネル11と、床パネル11で上面が覆われた格子状床版12と、格子状床版12の外周縁部に固定される外枠フレーム20と、外枠フレーム20に膜端が保持されるように張設され、格子状床版12の下面を覆う下面膜14と、を備える。足場用パネル10を吊り下げた橋梁用の常設足場からなる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する床パネルと、
前記床パネルで上面が覆われた格子状床版と、
前記格子状床版の外周縁部に固定される膜端固定部材と、
前記膜端固定部材に膜端が保持されるように張設され、前記格子状床版の下面を覆う膜体と、を備える、
足場用パネル。
【請求項2】
前記格子状床版と前記膜体との間に、空間が設けられている、
請求項1に記載の足場用パネル。
【請求項3】
前記空間に、吸音材または断熱材が収容されている、
請求項2に記載の足場用パネル。
【請求項4】
前記膜端固定部材には、前記膜体に所定張力を導入して膜端を保持可能な膜端保持機構が設けられている、
請求項1に記載の足場用パネル。
【請求項5】
前記膜端固定部材は、断面内に前記膜端保持機構の一部が形成されるように押出し成形されてなる、
請求項4に記載の足場用パネル。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の足場用パネルと、
前記足場用パネルを支持するパネル受桁と、
前記パネル受桁を橋梁の橋桁から吊下げる吊下げフレームと、を備える、
橋梁用常設足場。
【請求項7】
橋梁の隣接する主桁のフランジに架け渡される請求項1~4のいずれか1項に記載の足場用パネルと、
前記足場用パネルが水平方向にずれるのを防止するずれ止め部と、を備える
橋梁用常設足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁の点検維持のための常設足場に用いられる足場用パネルであって、外光を取り込みやすく、耐久性、耐火性に優れた足場用パネル及び足場用パネルを備えた橋梁用常設足場に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、橋梁を点検維持するための常設足場を、橋桁周りに設置する場合が増えている。例えば、特許文献1は、桁下に設置されたルーバを保持したまま、耐久性を有する常設足場を設置する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示する技術により設置された常設足場は、ルーバにより外光が遮られ、点検スペースが暗くなりやすい。また、樹脂を主体としている部材であるため、車両火災等による出火に対する被害が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、点検スペースに外光を取り込みやすく、耐久性、耐火性およびLCC(ライフサイクルコスト)の低減に優れた足場用パネル及び橋梁用常設足場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る足場用パネルは、透光性を有する床パネルと、前記床パネルで上面が覆われた格子状床版と、前記格子状床版の外周縁部に固定される膜端固定部材と、前記膜端固定部材に膜端が保持されるように張設され、前記格子状床版の下面を覆う膜体と、を備える。
【0007】
前記格子状床版と前記膜体との間に、空間が設けられていてもよい。
【0008】
前記空間に、吸音材または断熱材が収容されていてもよい。
【0009】
前記膜端固定部材には、前記膜体に所定張力を導入して膜端を保持可能な膜端保持機構が設けられていてもよい。
【0010】
前記膜端固定部材は、断面内に前記膜端保持機構の一部が形成されるように押出し成形されていてもよい。
【0011】
本発明に係る橋梁用常設足場は、前記足場用パネルと、前記足場用パネルを支持するパネル受桁と、前記パネル受桁を橋梁の橋桁から吊下げる吊下げフレームと、を備える。
【0012】
本発明に係る橋梁用常設足場は、橋梁の隣接する主桁のフランジに架け渡される前記足場用パネルと、前記足場用パネルが水平方向にずれるのを防止するずれ止め部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、軽量で耐久性を有し、外光を点検スペースに取り込みやすく、耐久性、耐火性に優れた足場用パネル及び橋梁用常設足場を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態1に係る橋梁用常設足場が設けられた橋梁を橋軸方向から見た断面図
【
図2】
図1中の断面線II-IIから見た橋梁用常設足場の断面図
【
図4】
図3中の断面線IV-IVから見た足場用パネルの断面図
【
図5】
図3中の断面線V-Vから見た足場用パネルの断面図
【
図7】実施の形態2に係る橋梁用常設足場が設けられた橋梁を橋軸方向から見た断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る足場用パネル及び橋梁用常設足場について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
橋梁用常設足場1は、
図1に示すように、3つの主桁G1,G2,G3(以下、これらの主桁G1,G2,G3をまとめて主桁Gと記載する場合がある)を有する鈑桁橋100に設けられている。主桁Gの上方には、舗装130が施工された床版110が設けられている。橋梁用常設足場1は、主桁G1,G2,G3の下フランジにそれぞれ取り付けられた吊下げフレーム50と、吊下げフレーム50により吊り下げられたパネル受桁70と、パネル受桁70によって支持された足場用パネル10とを有している。なお、本発明の足場用パネル及び橋梁用常設足場について、利用できる橋梁としては、鋼橋だけでなく、PC橋にも利用することが可能である。
【0017】
吊下げフレーム50は、
図1及び
図2に示すように、各主桁G1,G2,G3において橋軸方向に間隔をあけて配置されており、橋軸方向に延びるパネル受桁70を吊下げ、支持する。これにより、パネル受桁70は、各主桁G1,G2,G3の下方において橋軸方向に延び、橋軸直角方向に間隔をあけて配列されている。足場用パネル10は、
図1に示すように、橋軸直角方向に隣接するパネル受桁70に架け渡され、鈑桁橋100の下方で支持されている。本実施の形態では、
図2に示すように、4つの吊下げフレーム50が、1つの主桁Gに橋軸方向に間隔をあけて配置されている。また、各主桁G間に架け渡された足場用パネル10は、橋軸方向に7つ並んで配置されている。
【0018】
足場用パネル10は、
図3に示すように、矩形状であり、橋軸直角方向に長手方向を有している。なお、
図3においては、床パネル11の図示を一部省略している。足場用パネル10の橋軸直角方向の長さは、
図1に示す橋梁100の主桁G間に合わせた適宜の長さを有している。また、足場用パネル10の橋軸方向における長さは、例えば3000mmである。
【0019】
足場用パネル10は、
図4及び
図5に示すように、透光性を有する床パネル11と、上面が床パネル11で覆われた格子状床版12と、格子状床版12が外周を囲むように配置され、格子状床版12に固定される外枠フレーム20と、外枠フレーム20に縁辺が支持されるように張設され、格子状床版12の下面を覆う膜体を構成する下面膜14とを備えている。
【0020】
床パネル11は、樹脂製であり、例えばポリ塩化ビニル樹脂製で、透光性を有する板材からなる。床パネル11の厚みは、例えば3mmである。
【0021】
格子状床版12は、例えば繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)製である。格子状床版12は、
図3に示すように格子状で、橋軸方向及び橋軸直角方向(縦横方向)に例えば80mmのマス目を構成するように配列された仕切りが交差している。なお、格子状床版12は、床パネル11と略同一の平面寸法を有し、例えば25mmの厚みを有している。
【0022】
膜端固定部材を構成する外枠フレーム20は、格子状床版12の外周縁部に下方から接触して格子状床版12に固定される。外枠フレーム20は、アルミニウムの押出し成形材であり、
図3~
図5に示すように、橋軸方向に互いに平行に延びる短辺部材21,21の端部と、橋軸直角方向に互いに平行に延びる長辺部材22,22の端部と、が接合されて矩形の枠状体をなしている。短辺部材21,長辺部材22との接合部には、材端ピース27(
図4,
図5)が取り付けられ、材端ピース27を介してねじ28を締め付けることで、短辺部材21と長辺部材22とが直交接合される。材端ピース27はL形鋼を小さく切断して製造した、各枠部材等の端部接合のための補助部材である。また、外枠フレーム20には、
図3に示すように、対向する長辺部材22,21間をつなぐ補剛材29が、橋軸直角方向に間隔をあけて配置されている。本実施の形態では、
図1に示すように、外枠フレーム20には2本の補剛材29が取り付けられている。補剛材29と長辺部材22との接合部(
図4)にも材端ピース30が設置されており、材端ピース30を介してねじ31を締め付けることで、補剛材29と長辺部材22とが接合されるが、材端ピース30を介さずに溶接付けされていても良い。なお、短辺部材21と長辺部材22とは、同一断面のアルミニウム成形材を異なる長さで切断したものである。したがって、橋軸方向に延びる長辺部材22の構造詳細についてのみ以下で説明し、同様の構成を有する短辺部材21の構造詳細についての説明は省略する。
【0023】
以下、下面膜に所定の張力を導入するとともに、下面枠の膜端を保持可能な膜端保持機構の構成について説明する。
図5の拡大図に示すように、長手方向(橋軸直角方向)に直交する方向から切断した長辺部材22の断面は、略角形の外形を有している。その上部には、ボルト15の頭部を収容するための収容部23が形成されている。また、上面には、収容部23に通じるスリット24が形成されている。このスリット24は、ボルト15の頭部を通さない一方、首下部を挿通可能な幅を有している。なお、ボルト15は短辺部材21の端部から挿入され、スリット24に沿って所定の位置まで移動される。また、短辺部材21の外側を向いた外面の下部には、外枠フレーム20の内側に斜め上方に向けて形成された係止凹部25が形成されている。係止凹部25の上側内面には、係止凹部25の深さ方向に沿って鋸歯状のギザギザ(凹凸)が繰り返し形成された鋸歯状部26が形成されている。
【0024】
短辺部材21、長辺部材22の係止凹部25には、下面膜14の膜端部を挟みこんだ係止クリップ40が挿入されている。係止クリップ40は、係止凹部25に形成された鋸歯状部26と噛合可能な鋸歯面41が形成されている。これにより、下面膜14を挟み込んだ係止クリップ40は、係止凹部25内に図示しない工具を用いて打ち込まれることにより、鋸歯面41が係止凹部25内の鋸歯状部26に係止保持され、下面膜14の四辺の膜端部は、短辺部材21、長辺部材22に固定保持される。なお、係止クリップ40の係止凹部25に対する打ち込み量を変えることにより、下面膜14に導入される張力を調整することができる。このように、係止凹部25内に形成された鋸歯状部26及び係止クリップ40は、膜体に所定の張力を導入するとともに膜端を保持する膜端保持機構として機能する。これらの機能により、施工後に下面膜14が損傷した場合、下面膜14の損傷部分を容易に交換可能となる。
【0025】
下面膜14は、例えばガラス繊維基布に塩化ビニル樹脂をコーティングしたものであり、不燃性の膜材(本実施形態ではB種膜材料に該当)からなるが、これに限定されず、用途によっては、ポリエステル繊維基布に塩化ビニル樹脂をコーティングした膜材(C種膜材料)や、ガラス繊維基布にフッ素樹脂をコーティングした膜材(A種膜材料)を適宜利用することができ、特には耐火性能の観点からガラス繊維基布を用いた膜材を用いるのが好ましい。下面膜14には、例えば白色系膜材か、あるいは光を透過しやすい淡色系の膜材が採用される。下面膜14は、矩形状であり、
図4及び
図5に示すように、外枠フレーム20の下面に接触した状態で、四辺の膜端部のそれぞれが外枠フレーム20(短辺部材21、長辺部材22)の係止凹部25に引き込まれ、固定保持されている。これによって所定の張力が導入された下面膜14は、足場用パネル10の下面全体を覆う。
【0026】
また足場用パネル10は、外枠フレーム20、床パネル11及び格子状床版12を一体化するための接合部材として、上下に重ねられた床パネル11と格子状床版12の外周縁を上方及び側方から押える額縁材13と、ボルト15,16及び高ナット17とを有している。
【0027】
額縁材13は、
図3~
図5に示すように、断面がL字状の金属製品を接合して矩形の枠状体にしたものである。
図4及び
図5に示すように、額縁材13のL字状を構成する一方の平板13aで床パネル11及び格子状床版12の周縁部を側方から押え、他方の平板13bで床パネル11の周縁部を上方から押える。
【0028】
ボルト15は、頭部が収容部23(
図5拡大図)に収容された状態で外枠フレーム20に取り付けられており、外枠フレーム20から突出した首下部には高ナット17が取り付けられている。ボルト16は、額縁材13と床パネル11とに形成された図示しないボルト孔に挿通され、格子状床版12内に設けられた高ナット17に螺合されている。なお、このような、ボルト15,16及び高ナット17は、
図3に示すように、足場用パネル10の外周縁に沿って複数箇所に設けられている。これにより、床パネル11及び格子状床版12を、外枠フレーム20に固定することができる。なお、ボルト16及び高ナット17を使用せず、首下部の長いボルト15とナットで固定しても良い。
【0029】
このように、格子状床版12は外枠フレーム20の上面に載置される一方で、下面膜14は外枠フレーム20の下面に接触した状態で張られている。そのため、格子状床版12と下面膜14との間には、外枠フレーム20の高さ分の空間が形成されている。この空間に例えばグラスウールからなる吸音材32を配置して、橋梁用常設足場1に吸音機能を付加してもよい。また、下面膜14の材料も特に限定されず、例えば開口率が30~40%程度の吸音膜材を使用してもよい。また、グラスウールを断熱材として使用することも好ましい。
【0030】
次に、足場用パネル10を鈑桁橋100に取り付けるための吊下げフレーム50とパネル受桁70の詳細について説明する。
【0031】
吊下げフレーム50は、
図6に示すように、主桁G2の下フランジ101を上下から挟み込んで吊り下げられている。吊下げフレーム50の下端には、パネル受桁70が固定されている。吊下げフレーム50は、下フランジ101の両サイドに位置し、互いに左右対称の構成を有するL形フレーム51,52と、L形フレーム51,52の下端を接続する横梁53と、横梁53とL形フレーム51,52とを補剛する斜材54,55と、横梁53から下方に延びる吊下げ材56と、下フランジ101の下面に当接する水平材57とを有している。
【0032】
L形フレーム51は、下フランジ101の上面に接触する水平部51bと、水平部51bから下方に延びる鉛直部51aとを有している。図中右側のL形フレーム52も、同様に水平部52bと鉛直部52aを有している。L形フレーム51,52には、例えばL形鋼(山形鋼)が用いられている。
【0033】
横梁53には、例えば溝形鋼が用いられている。横梁53は、鉛直部51aの下端と鉛直部52aの下端とをボルト59を介して連結している。
【0034】
斜材54,55は、下端が横梁53の中央部に溶接付けされており、上端がボルト60によりL形フレーム51,52の鉛直部51a,52aに連結されている。斜材54,55には、例えばL形鋼が用いられている。
【0035】
吊下げ材56は、上端が横梁53の中央部に溶接付けされており、他端がボルト71によりパネル受桁70に連結されている。吊下げ材56には、例えばL形鋼が用いられている。
【0036】
水平材57は、例えばL形鋼から構成され、その長さは下フランジ101の幅よりも長い。水平材57は、下フランジ101の下面に当接した状態で、下フランジ101から橋軸直角方向にずれた両サイドにおいて、ボルト61,61を介して水平部51b,52bに連結されている。これにより、下フランジ101が、水平部51b,52b及び水平材57に挟み込まれ、吊下げフレーム50が下フランジ101に固定される。
【0037】
パネル受桁70は、例えばCT形鋼からなる。パネル受桁70は、
図6に示すように、ウェブ70bが水平となったフランジ70aから上方へと延びる姿勢で配置されている。吊下げ材56とウェブ70bとには、上下方向に並んだ2つのボルト71が挿通され締結されている。これにより、パネル受桁70は、吊下げ材56の下端に固定されている。なお、
図2に示すように、2つのパネル受桁70が橋軸方向に連なるように配置されている。1つのパネル受桁70は、橋軸方向に沿って並んだ2つの吊下げフレーム50により吊り下げられ、保持されている。
【0038】
このようにして保持されたパネル受桁70において、
図6に示すように、ウェブ70bから両サイドに突出したフランジ70aの上面には、足場用パネル10とパネル受桁70とが擦れて傷がつかないように、ゴム製の保護マット75が敷設されている。足場用パネル10は、保護マット75上に置かれ、
図1に示すように、橋軸直角方向に隣接するパネル受桁70間に架け渡されて支持される。
【0039】
また、吊下げフレーム50は、
図6に示すように、パネル受桁70により支持された足場用パネル10を上方から押さえるパネル押さえ72を有している。パネル押さえ72は、例えば断面がL字形のアルミニウム部材からなり、互いに直交する平板72a及び平板72bを有している。パネル押さえ72の一方の平板72aは、パネル受桁70のウェブ70bにボルト73(
図2)を介して連結されている。また、他方の平板72bは足場用パネル10の上面に当接して押さえる。なお、パネル押さえ72は、
図2に示すように、橋軸方向に間隔をあけて複数配置されている。本実施の形態では、1つの足場用パネル10に対して、橋軸方向の2箇所にパネル押さえ72が設けられている。また、主桁G2においては、
図6に示すように、パネル受桁70のウェブ70bの両面にパネル押さえ72が設けられている。この場合には、ウェブ70bの両面に設けられたパネル押さえ72の橋軸方向における位置を一致させて、ボルト73(
図2)を2つのパネル押さえ72に挿通して連結すればよい。
【0040】
本実施の形態によれば、鈑桁橋100に設けた足場用パネル10及び橋梁用常設足場1は、透光性を有する白色系の下面膜14、格子状床版12、及び透光性を有する床パネル11を有するため、外光を内部に取り込みやすい。そのため、点検スペースを明るくすることができ、点検作業の効率を高めることができる。
【0041】
また、足場用パネル10の下面が、たとえばB種膜材料等の不燃性の下面膜14によって覆われているため、足場用パネル10の下方で車両火災等が発生した際、膜材が防炎性能を発揮するため、足場用パネル10への延焼を防止することができる。また、下面膜14によって橋桁、検査路、添加物等を外部から見えなくすることができ、容易に美装化することができる。また、下面膜14によって、FRP製の格子状床版12に届く紫外線の量を低減することができ、格子状床版12の劣化を防止することができる。
【0042】
また、予め外枠フレーム20に、床パネル11、格子状床版12、及び下面膜14を取り付けた足場用パネル10を設置することから、現地での作業が減り施工性に優れている。
【0043】
また、床パネル11は、
図4及び
図5に示すボルト16を緩めれば取り外すことができ、新たな床パネル11と交換することができる。
【0044】
また、下面膜14は、
図4に示す係止クリップ40を係止凹部25から取り外し、新たな膜材を係止クリップ40に挟み直して係止凹部25に打ち込むことで、新たな膜材に交換することができる。
【0045】
このように、足場用パネル10及び橋梁用常設足場1の部品の交換を簡単に行え、維持管理を容易に行うことができるとともに、LCC(ライフサイクルコスト)の低減を図ることができる。
【0046】
また、格子状床版12と下面膜14との間の隙間に吸音材32を配置することで、橋梁を通行する車両の騒音を抑制することができる。また、下面膜14の材料に吸音膜材を用いることで、騒音をさらに抑制することができる。なお、下面膜14と吸音材32の間に空気層を設けて配置することが好ましく、これにより吸音効果を高めることが可能となる。
【0047】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る橋梁用常設足場200について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。実施の形態1では、足場用パネル10は橋桁から吊り下げて設置したものであると説明した。しかしながら、足場用パネル10の設置方法は、橋桁から吊り下げた態様のものに限定されない。本実施の形態では、
図7に示すように、隣接する主桁Gの下フランジ101間に足場用パネル10を架け渡すことで、足場用パネル10を設置している。このように、本実施の形態は、足場用パネル10の設置方法が上記実施の形態1と異なるが、その他の構成については同様である。そのため、以下の説明では、実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、同様の構成については同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0048】
実施の形態2における足場用パネル10は、実施の形態1で説明したものと同様のものである。
図8に示すように、足場用パネル10が載置される主桁Gの下フランジ101上面には、ゴム製の保護マット175が敷設されている。これにより足場用パネル10は、保護マット175を介して下フランジ101に載置されている。
【0049】
橋梁用常設足場200は、
図8に示すように、足場用パネル10が水平方向にずれるのを防止するずれ止め部120を有している。ずれ止め部120は、平板部120aと、平板部120aに直交する平板部120bとを有する、断面がL字形のアルミニウム製品である。ボルト16は、足場用パネル10の上面に当接した平板部120a、額縁材13、及び床パネル11に形成された図示しないボルト孔に挿通され、高ナット17に螺合されている。これにより、ずれ止め部120は足場用パネル10に取り付けられている。また、ずれ止め部120の平板部120bは、主桁Gのウェブ102に当接する。これにより、足場用パネル10の橋軸直角方向におけるずれが防止される。なお、足場用パネル10の橋軸方向におけるずれ止めは、主桁Gに設けられた垂直補剛材104等にずれ止め部120が当接することで実現される。
【0050】
本実施の形態によれば、橋梁100に設置された橋梁用常設足場200は、隣接する主桁G間に収まり、主桁から下方に飛び出すことはない。そのため、橋梁用常設足場200は、桁下に制約のある橋梁100に採用することができる。その他の効果については、実施の形態1と同様である。
【0051】
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記の実施の形態では、鈑桁橋用の常設足場を設置する場合について説明した。しかしながら、橋梁用常設足場を設置可能な橋梁形式は限定されるものではなく、箱桁を有する橋梁であってもよい。
【0052】
また、足場用パネル10は、用途が橋梁用常設足場に限定されるものではなく、橋梁用の仮設用足場に用いてもよいし、ビルやマンションなどの建築工事の足場に用いてもよいし、ダムやトンネルなどの土木工事の足場に用いてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…橋梁用常設足場、10…足場用パネル、11…床パネル、12…格子状床版、13…額縁材、13a,13b…平板、14…下面膜、15,16…ボルト、17…高ナット、20…外枠フレーム、21…短辺部材、22…長辺部材、23…収容部、24…スリット、25…係止凹部、26…鋸歯状部、27…材端ピース、28…ねじ、29…補剛材、30…材端ピース、31…ねじ、32…吸音材、40…係止クリップ、41…鋸歯面、50…吊下げフレーム、51…L形フレーム、51a…鉛直部、51b…水平部、52…L形フレーム、52a…鉛直部、52b…水平部、53…横梁、54,55…斜材、56…吊下げ材、57…水平材、59,60,61…ボルト、70…パネル受桁、70a…フランジ、70b…ウェブ、71…ボルト、72…パネル押さえ、72a,72b…平板、73…ボルト、75…保護マット、100…鈑桁橋,橋梁、101…下フランジ、102…ウェブ、104…垂直補剛材、110…床版、120…止め部、120a,120b…平板部、130…舗装、175…保護マット、200…橋梁用常設足場、G,G1,G2,G3…主桁