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  • 特開-水処理装置 図1
  • 特開-水処理装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110886
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/465 20230101AFI20240808BHJP
   C02F 1/52 20230101ALI20240808BHJP
【FI】
C02F1/465
C02F1/52 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023025610
(22)【出願日】2023-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】522439803
【氏名又は名称】株式会社リカバリー
(72)【発明者】
【氏名】小橋 呂欣
【テーマコード(参考)】
4D015
4D061
【Fターム(参考)】
4D015BA21
4D015BA22
4D015BB05
4D015CA17
4D015DA06
4D015EA33
4D015FA02
4D015FA15
4D061DA08
4D061DB15
4D061DC22
4D061EA08
4D061EB04
4D061EB20
4D061ED10
(57)【要約】
【課題】 電解浮上能力の調整やメンテナンスを容易にする電気分解発泡装置、粉体水質浄化剤を容易に注入できる溶解装置、水流を利用した攪拌装置及び、フロック脱水回収装置を具備した水処理装置を提供する。
【解決手段】 電極40、41の様に同一部品を反転利用することで利用できる部品を用いることで、維持管理と大型化が容易にできる電解浮上用の微細気泡を発生させる装置33を提供する。
粉体の水質浄化剤を、自機処理水で溶解して凝集槽1へ投入する溶解槽9と注入管22を備えた水処理装置を提供する。
粉体水質浄化剤が、水中で拡散し攪拌されるように、ポンプを用いる循環攪拌装置を提供する。
浮上分離されたフロックを水面で回収するために送風機11、上部回収受け皿4ないしフロック回収槽8を具備する回収装置を提供する。
これらを、同一装置内に配備する装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水質浄化剤を用いて、工業排水や産業排水等の濁水を処理するための、凝集槽、電解浮上槽及び貯水槽を個別に有する処理装置であって、固液分離に電解浮上を用いることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
24ボルト直流電源を用いて、電解浮上槽下部に置かれた電気分解装置により発生する微細気泡を用いて、生成された懸濁物質のフロックを浮上させることを特徴とする水処理装置。
【請求項3】
処理対象濁水をポンプで循環することで攪拌を行うと同時に、水中で4方向に分割し、さらに上向き45度の角度で噴射し、直前に溶解された水質浄化剤を注入する装置を有することを特徴とする水処理装置。
【請求項4】
水質浄化剤を注入する際に溶解に使う水は本装置にて製造した処理水を利用し、混合することを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
水面に浮上したフロックを電解浮上槽上部に設置した送風装置により、風力にて回収受け皿へ送り出し、斜めに配置されたメッシュにより脱水回収することを特徴とした水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質浄化剤を用いて形成されたフロックを電解浮上により固液分離させる装置に関するもので、被処理水中の不純物質を電気分解により発生する気泡により浮上させて処理する電解浮上水処理装置に関するものである。また、粉体の水質浄化剤を注入する際に、直前に溶解することで処理対象汚濁水に容易に拡散され、反応効果を高める機能を具備した水処理装置である。
【背景技術】
【0002】
これまで水処理装置において、電解浮上を行うものは多くの方式がみられる。
【0003】
しかし多くは、電気分解による発生する、微細気泡による凝集効果を期待しており、浮上分離できるフロックは比較的軽量のものに限定されていた。
【0004】
また、形成されるフロックは、微細であり回収する方法が複雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献】特許第3467614号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでの電解浮上装置は、電極面積が小さいため、発生する微細気泡が少なく、大型化したフロックを浮上させることが難しかった。
【0006】
使用される電極は、酸化による被膜形成や懸濁物の付着などにより、微細気泡の発生量が減少しやすかった。また、頻繁に交換や清掃が必要であった。
【0007】
また、電解装置により微細気泡を作り出す能力を増強するために、電極の表面積を増やすことは、考慮されていなかった。
【0008】
さらに、水処理装置に用いられる水質浄化剤は、主として液体であり、粉体での使用は限定されていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水質浄化剤を用いて形成されたフロックの電解浮上分離を行う。ここでいう電解浮上とは、電気分解によって生じる微細気泡を用いて、懸濁物質を浮上させるものをいう。
【0005】
複数枚の陽電極と負電極を交互に連続させる配置とし表面積を大きくする。これにより、短期間での被膜形成による性能の低下を防ぐ。
【0006】
水平方向に吐出するポンプを配置し、水質浄化剤により形成されたフロックの滞留を防ぎ、電極間にフロックが挟まることによる電解能力の低下を防ぐ。
【0007】
凝集槽では、十分な攪拌効果を得るために、ポンプによって形成される対流を利用する。
【0008】
凝集槽へ投入する水質浄化剤は、硫酸バンドにアルカリ剤などをあらかじめ調整された粉体の製品を用いる。
【0009】
前述の凝集剤は、同等のものであればよく、特に限定しない。
【0010】
水質浄化剤は、凝集槽へ投入される際には、直前に水に溶かされて、凝集槽からくみ上げられて戻されて循環する主配管へ注入され凝集槽内へ投入される。
【発明の効果】
【0011】
本件発明で用いる微細気泡発泡装置は、同一サイズにて形成される電極版を多層に配置しその枚数を調整することで、微細気泡の発生量を調整することが出来ると共に、交換時に水上から吊り下げることで設置も容易にする。
【0012】
本件発明においては、粉体の水質浄化剤を対象汚濁水へ注入する直前で溶解することを可能にしたもので、反応時間や拡散性能を向上させることができる。
また、直前で溶解するため、注入後に塊にならずに速やかに
反応に供する。
【0013】
本件発明においては、オーバーフロー効果と、送風機による送り出しにより、水面に浮上対流したフロックが回収され、脱水回収が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】 装置斜視図
図2】 装置平面図
図3】 電解浮上微細気泡発生装置 斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、装置の斜視図である。図2は、同じく平面図である。
【0016】
処理対象の濁水は、外部のポンプにより原水管20を通して凝集槽1へ送られ一定量貯水される。
【0017】
一定量の貯水を完了後、ポンプ30により、循環水管21へ送られ、循環水吹出ノズル29へ送られる。尚、吹き出し口は四方向に分岐しており、上向き30~45度の方向に凝集槽1底部付近から放出される。
【0018】
約1分程度の循環送水を行った後、予め準備注入された貯水槽3の清水をポンプ36により配管27を通して、水質浄化剤溶解槽9へ送り、同時に凝集槽1の貯水量に対して、重量比50PPM~300PPMの粉体水質浄化剤を投入して溶解する。
【0019】
溶解された水質浄化剤を浄化剤注入管22から循環水管21へ注入する。凝集槽1内で、凝集反応が確認されるまで循環を繰り返す。
【0020】
凝集槽1で凝集が確認されたら、ポンプ30から送水管21aを通して、電解浮上槽2へ送水する。
【0021】
電解浮上槽2では、満水と同時に電解浮上装置33が稼働し微細気泡を発して、フロックを水面へ押し上げる。同時にポンプ31が水平方向の水流を発生し電解浮上装置の電極間へのフロックの滞留を防ぐ。
【0022】
あらかじめ貯水された、貯水槽3の清水を水位上昇のため、送水管26からポンプ36を用いて送る。尚、一連の処理工程が完了した際には、製造され貯水された清水を、以降は利用する。
【0023】
電解浮上槽2では、微細気泡で水面に滞留したフロックは、送風機11で、上部回収受け皿4へ送られ、傾斜メッシュ脱水版5へ送られる。傾斜メッシュ脱水版5では、脱水受け皿7へ水分を落とし、下部回収受け皿6を経てフロック回収槽8へ送られ、回収される。
【0024】
フロックが回収された、電解浮上槽2からポンプ32を用いて、回収濾過槽10へ送り、最終的に残ったフロックを回収する。また、電解浮上槽2の洗浄排水は、同じくポンプ32から循環水管21を通して、凝集槽1へ送られ再度凝集工程に送られる。
【0025】
回収濾過槽10では、不織布などの簡易ろ過膜を用いることもできる。
【0026】
回収濾過槽10を通過した水は、貯水槽3に送られ、仕切り版34の下部開口部を通過して、仕切り版35の上部を超えてポンプ36により排出される。
【0027】
本発明で、使用する電解浮上用電気分解装置33を図3に示す。
【0028】
本装置33は、陽極電極40と陰極電極41を交互に配置し、その間隙は3mm~5mmが妥当である。積層の数量は特段の定めがないが、実験では、各々11枚の電極を用いたところ、十分な発泡を得ることができた。
【0029】
本装置33には、電極44と電極45を具備し、陰極電極と陽極電極が直接接触しないように、通電可能なボルトで連結し絶縁電極固定箱42に固定した。点検や交換が容易なように、絶縁固定箱42には上部に取手43を取り付けた。
【0030】
本水処理装置にて、処理したマンガン含有排水では、原水に10.6ppmのマンガンが検出されたが、本装置にて処理した結果。凝集沈殿槽1では1.9ppmに、最終貯水槽では、ほぼ検出限界となった。
これは、凝集剤による効果と合わせて、電気分解による酸化反応が起こりフロックとして回収されたものと考えられる。
【符号の説明】
1 凝集槽
2 電解浮上槽
3 貯水槽
4 上部回収受け皿
5 傾斜メッシュ脱水板
6 下部回収受け皿
7 脱水受け槽
8 フロック回収槽
9 水質浄化剤溶解槽
10 回収濾過槽
11 送風機
20 原水管
21 循環水管
21a 凝集槽から電化浮上槽への送水管
22 浄化剤注入管
23 電解浮上槽から貯水槽への送水管
24 凝集槽から貯水槽への配管
25 貯水槽排水管
26 貯水槽から電解浮上槽へのオーバーフロー用配管
27 貯水槽から水質浄化剤溶解槽への配管
28 貯水槽ドレーン
29 循環水吹出ノズル
30 ポンプ 100V 吐出量100L~200L/分
31 ポンプ 100V 吐出量20L~100L/分
32 ポンプ 100V 吐出量100L~200L/分
33 電解浮上用 電気分解装置
34 貯水槽仕切り版下部開放
35 貯水槽仕切り版上部開放
36 ポンプ 100V 吐出量100L~200L
40 陽電極板
41 陰電極板
42 絶縁電極固定箱
43 絶縁取手
44 陽電極接点
45 陰電極接点
図1
図2
図3