(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011090
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
B60W 10/06 20060101AFI20240118BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20240118BHJP
B60W 10/26 20060101ALI20240118BHJP
B60W 20/12 20160101ALI20240118BHJP
B60W 20/13 20160101ALI20240118BHJP
B60K 6/54 20071001ALN20240118BHJP
【FI】
B60W10/06 900
B60L50/16
B60W10/26 900
B60W20/12
B60W20/13
B60K6/54 ZHV
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112792
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】全 大鎬
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D202BB01
3D202BB19
3D202DD50
3D202FF04
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BD17
5H125CA18
5H125EE55
(57)【要約】
【課題】自車両が目的地周辺に到達した時に、自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードとする。
【解決手段】自車両の位置を取得する自車両位置情報取得装置210と、自車両を長時間駐車する自宅を含む駐車位置を記憶する駐車位置情報記憶装置230と、自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードまたは走行用モータによる駆動モードに制御する駆動制御装置240と、を備え、駆動制御装置240は、自車両が駐車位置周辺に到達した時に、自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用エンジンと、走行用モータと、を備えたハイブリッド車両であって、
自車両の位置を取得する自車両位置情報取得装置と、
自宅を含む駐車位置を記憶する駐車位置情報記憶装置と、
前記自車両の駆動モードを前記走行用エンジンによる駆動モードまたは前記走行用モータによる駆動モードに制御する駆動制御装置と、
を備え、
前記駆動制御装置は、前記自車両が前記駐車位置周辺に到達した時に、前記自車両の駆動モードを前記走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行することを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項2】
前記自車両の位置とユーザが指定する目的地とに基づいて、経路案内を実行する経路案内装置を備え、
前記経路案内装置は、ユーザから駐車位置を入力し、該入力された前記駐車位置を前記駐車位置情報記憶装置に記憶させることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
少なくとも1つ以上記憶された駐車位置とユーザにより指定された目的地とが相違する場合、
前記駆動制御装置は、前記自車両が前記目的地の位置周辺に到達した時に、前記自車両の駆動モードを前記走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
前記駆動制御装置は、夜から朝までの時間帯において、前記自車両が前記目的地に対する第1の所定距離までは前記自車両の駆動モードを前記走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行し、前記自車両が前記目的地に対する第2の所定距離に到達したときには、前記自車両の駆動モードを前記走行用モータによる駆動モードとするよう制御を実行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の、駆動源として走行用エンジンと走行用モータとを備えたハイブリッド車両が多くのユーザの支持を受けている。
この種のハイブリッド車両では、走行用エンジンと走行用モータとを併用することによって、燃費の向上を図ることができる。つまり、走行用モータの駆動を優位にすれば、より燃費の向上が期待できる。
【0003】
しかし、走行用モータは、バッテリーからの電力の供給を受けて駆動され、走行用モータの駆動時にはバッテリーが放電モードとなり、走行用エンジンが駆動源となった時にはバッテリーが充電モードとなるため、バッテリーの充電量を監視しながら、駆動源の切り替えを行う必要がある。
【0004】
この種のハイブリッド車両として、目的地までの残距離に応じてモータジェネレータの発電制御を行う機能を備えたハイブリッド車両に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、ナビゲーション機能を備えたハイブリッド車両においては、一般に、自車両が目的地周辺に到達すると、ブレーキを踏む回数が多くなって、車両速度が減速するために、モータ駆動の条件が成立する。
つまり、特許文献1に記載の機能を有していたとしても、ハイブリッド車両としての自車両が目的地周辺に到達すると、必然的に、走行用モータの駆動による走行が増えることによって、高電圧バッテリーや補機バッテリー双方のバッテリー残量が少ない状態で、ハイブリッド車両を保管するケースが多くなる。
また、目的地を設定せずに走行する場合、目的地までの残距離を算出することができず、高電圧バッテリーや補機バッテリー双方のバッテリー残量が少ない状態で、ハイブリッド車両を保管するケースが発生する。
そのため、ハイブリッド車両の保管期間が長くなる場合には、再始動時のバッテリー電圧が低下しているため、再始動不良やロングクランキング等の事象が発生する可能性が高くなるという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、自車両が駐車位置周辺に到達した時に、自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行するハイブリッド車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、走行用エンジンと、走行用モータと、を備えたハイブリッド車両であって、自車両の位置を取得する自車両位置情報取得装置と、自宅を含む駐車位置を記憶する駐車位置情報記憶装置と、前記自車両の駆動モードを前記走行用エンジンによる駆動モードまたは前記走行用モータによる駆動モードに制御する駆動制御装置と、を備え、前記駆動制御装置は、前記自車両が駐車位置周辺に到達した時に、前記自車両の駆動モードを前記走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行することを特徴とするハイブリッド車両を提案している。
【0009】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記自車両の位置とユーザが指定する目的地とに基づいて、経路案内を実行する経路案内装置を備え、前記経路案内装置は、ユーザから駐車位置を入力し、該入力された前記駐車位置を前記駐車位置情報記憶装置に記憶させることを特徴とするハイブリッド車両を提案している。
【0010】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、少なくとも1つ以上記憶された駐車位置とユーザにより指定された目的地とが相違する場合、前記駆動制御装置は、前記自車両が前記目的地の位置周辺に到達した時に、前記自車両の駆動モードを前記走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行することを特徴とするハイブリッド車両を提案している。
【0011】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記駆動制御装置は、夜から朝までの時間帯において、前記自車両が前記目的地に対する第1の所定距離までは前記自車両の駆動モードを前記走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行し、前記自車両が前記目的地に対する第2の所定距離に到達したときには、前記自車両の駆動モードを前記走行用モータによる駆動モードとするよう制御を実行することを特徴とするハイブリッド車両を提案している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、自車両が駐車位置周辺に到達した時に、自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行することにより、車両の再始動不良やロングクランキング等の事象が発生する可能性を減少させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両の構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るハイブリッド車両の処理フローを示す図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係るハイブリッド車両の構成を示す図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係るハイブリッド車両の経路案内装置における目的地入力画面を例示した図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係るハイブリッド車両の経路案内装置における目的地入力画面を例示した図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るハイブリッド車両の処理フローを示す図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係るハイブリッド車両の構成を示す図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係るハイブリッド車両における駆動制御装置の構成を示す図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係るハイブリッド車両の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、
図1から
図9を用いて説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1、
図2を用いて、本実施形態に係るハイブリッド車両1について説明する。
【0016】
<ハイブリッド車両1の構成>
図1に示すように、本実施形態に係るハイブリッド車両1は、走行用エンジン110と、オルタネーター111と、補機バッテリー112と、走行用モータ120と、変速機130と、減速機140と、インバータ150と、高電圧バッテリー160と、DC/DCコンバータ161と、自車両位置情報取得装置210と、駐車位置情報記憶装置230と、駆動制御装置240と、を含んで構成されている。
【0017】
ハイブリッド車両1は、走行駆動源としての走行用エンジン110と、走行用モータ120と、を備えている。
そして、走行用エンジン110と、走行用モータ120とのいずれか一方の駆動力によりハイブリッド車両1を走行させる。
また、走行用エンジン110および走行用モータ120の駆動力は、変速機130および減速機140を介して駆動輪140A、140Bに伝達される。
また、オルタネーター111は、走行中の計器類の表示等を行うための電力供給や走行中に補機バッテリー112を充電する。
また、補機バッテリー112は、例えば、鉛蓄電池からなり、ハイブリッドシステムの起動や駐車中のバックアップメモリ、車載機器への電力供給を行う。
【0018】
インバータ150は、高電圧バッテリー160の直流電力を交流電力に変換して走行用モータ120へ供給し、走行用モータ120による走行駆動力を発生させる。
また、インバータ150は、走行用モータ120の交流発電電力を直流電力に変換して高電圧バッテリー160を充電し、走行用モータ120から回生制動力を発生させる。
なお、ハイブリッド車両1には、図示しないSOC(State Of Charge)センサが備えられ、SOCセンサは、電圧センサにより高電圧バッテリー160の端子電圧を検出するとともに、電流センサにより高電圧バッテリー160の充放電電流を検出し、高電圧バッテリー160の電圧と電流の検出結果に基づいてSOCを検出する。
また、DC/DCコンバータ161は、高電圧バッテリー160から出力される直流電力を変圧して、補機バッテリー112に供給する。
【0019】
自車両位置情報取得装置210は、自車両の位置を取得する。
具体的には、自車両位置情報取得装置210は、例えば、GPS(Global Positioning System)300を用いて、自車両の現在位置として、自車両の緯度経度情報を取得する。
自車両位置情報取得装置210において取得された自車両位置は、後述する駆動制御装置240に出力される。
【0020】
駐車位置情報記憶装置230は、RAM(Random Access Memory)あるいはフラッシュメモリ等から構成され、例えば、自宅のように自車両を長時間駐車する駐車位置を記憶する。
駐車位置情報記憶装置230内の情報は、後述する駆動制御装置240によって読み出される。
【0021】
駆動制御装置240は、自車両の駆動モードを走行用エンジン110による駆動モードまたは走行用モータ120による駆動モードに制御する。
具体的には、駆動制御装置240は、自車両が駐車位置周辺に到達した時に、自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行する。
なお、自車両が駐車位置周辺に到達したか否かの判断指標は、位置情報であってもよいし、距離情報あるいは到達時間情報であってもよい。
【0022】
<ハイブリッド車両1の処理>
図4を用いて、本実施形態に係るハイブリッド車両1の処理について説明する。
【0023】
図2に示すように、自車両位置情報取得装置210は、自車両の位置を取得する(ステップS110)。
自車両位置情報取得装置210により取得された自車両の位置は、駆動制御装置240に出力される。
【0024】
駆動制御装置240は、自車両位置情報取得装置210により取得された自車両の位置から、自車両の位置が駐車位置周辺であるか否かを判定する(ステップS120)。
そして、駆動制御装置240は、自車両位置情報取得装置210により取得された自車両の位置から、自車両の位置が駐車位置周辺でないと判定する場合(ステップS120の「NO」)には、EV走行を継続させて(ステップS140)、処理をステップS110に戻す。
【0025】
一方で、駆動制御装置240は、自車両位置情報取得装置210により取得された自車両の位置から、自車両の位置が駐車位置周辺であると判定する場合(ステップS120の「YES」)には、駆動制御装置240は、自車両の走行モードをEV走行モードからエンジン走行モードに切り換えて、処理を終了する(ステップS130)。
【0026】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係るハイブリッド車両1の駆動制御装置240は、自車両が駐車位置周辺に到達した時に、自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行する。
そのため、駆動制御装置240が、例えば、走行用モータ120による駆動モードであった自車両の駆動モードを走行用エンジン110による駆動モードに変更することによって、高電圧バッテリー160および補機バッテリー112を強制充電モードの環境とすることができるため、自宅のように、自車両を長時間駐車する可能性のある場所における高電圧バッテリー160および補機バッテリー112、特に補機バッテリー112の性能向上を期待できる。
また、高電圧バッテリー160および補機バッテリー112、特に補機バッテリー112の性能向上が図れれば、再始動時の電圧低下を防止し、ロングクランキングあるいは再始動不良を改善することができる。
【0027】
<第2の実施形態>
図3から
図6を用いて、本実施形態に係るハイブリッド車両1Aについて説明する。
【0028】
<ハイブリッド車両1Aの構成>
図3に示すように、本実施形態に係るハイブリッド車両1は、走行用エンジン110と、オルタネーター111と、補機バッテリー112と、走行用モータ120と、変速機130と、減速機140と、インバータ150と、高電圧バッテリー160と、DC/DCコンバータ161と、自車両位置情報取得装置210と、経路案内装置220と、駐車位置情報記憶装置230と、駆動制御装置240Aと、を含んで構成されている。
なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0029】
経路案内装置220は、自車両の位置とユーザが指定する目的地とに基づいて、自車両に対する経路案内を実行する。
経路案内装置220は、所謂、ナビゲーション装置であって、格納されている地図情報を参照して、自車両をユーザが指定する目的地まで案内する。
図4は、経路案内装置220におけるユーザによる目的地の入力画面を例示したものであるが、「目的地」をタッチした場合には、住所、施設名、電話番号等による目的地の検索が可能となる。
また、「地図表示」をタッチした場合には、地図上での目的地の検索が可能となる。さらに、「自宅」をタッチした場合には、「自宅」の位置情報が既に記憶されていることから、そのまま、「自宅」を目的地とすることができる。
また、経路案内装置220は、例えば、自宅のように、ユーザから自車両を長期間駐車する駐車位置を入力し、入力された駐車位置を後述する駐車位置情報記憶装置230に記憶させる。
例えば、ユーザが自車両を長期間駐車する駐車位置として、「空港」を入力した場合には、経路案内装置220における目的地の入力画面は、
図5に示すようになる。
なお、経路案内装置220は、自車両が目的地周辺に到達した場合に、その旨を後述する駆動制御装置240Aに出力する。
【0030】
駆動制御装置240Aは、自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードまたは走行用モータによる駆動モードに制御する。
より具体的には、駆動制御装置240Aは、目的地と駐車位置情報記憶装置230に記憶された駐車位置とが一致し、自車両位置情報取得装置210から得られる自車両の位置と目的地とに基づく目的地までの距離によって、自車両の駆動モードを走行用エンジン110による駆動モードとするように制御を実行する。
なお、上記では、自車両が目的地周辺に到達したか否かの判断指標を距離としたが、到達時間を判断指標としてもよい。
【0031】
<ハイブリッド車両1Aの処理>
図6を用いて、本実施形態に係るハイブリッド車両1Aの処理について説明する。
【0032】
図6に示すように、ユーザは、経路案内装置220の目的地設定画面において、目的地を設定する(ステップS210)。
なお、目的地設定は、「目的地」アイコン、あるいは、「地図表示」アイコンあるいは、既に設定されている個別のアイコンによるものでもよい。
ユーザにより設定された目的地は、駆動制御装置240Aに出力される。
【0033】
駆動制御装置240Aは、経路案内装置220から目的地を入力すると、この目的地と一致する駐車位置を駐車位置情報記憶装置230から検索し、目的地と一致する駐車位置があるか否かを判定する(ステップS220)。
そして、目的地と一致する駐車位置はないと判断する場合(ステップS220の「NO」)には、処理を終了する。
【0034】
一方で、駆動制御装置240Aは、目的地と一致する駐車位置があると判断する場合(ステップS220の「YES」)には、自車両位置情報取得装置210から得られる自車両の位置に基づいて、自車両が目的地周辺に到達したか否かを判定する(ステップS230)。そして、駆動制御装置240Aは、自車両が目的地周辺に到達していないと判定する場合(ステップS230の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0035】
駆動制御装置240Aが、自車両が目的地周辺に到達していると判定する場合(ステップS230の「YES」)には、駆動制御装置240Aは、自車両の駆動モードを走行用エンジン110による駆動モードとするよう制御を実行して(ステップS240)、処理を終了する。
【0036】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係るハイブリッド車両1の経路案内装置220は、ユーザから駐車位置を入力し、その入力された駐車位置を駐車位置情報記憶装置230に記憶させる。
つまり、ユーザが自宅だけでなく、駐車位置を入力し、経路案内装置220の目的地設定画面に、そのような駐車位置を表示させることができる。
これにより、ユーザは、簡便な処理によって、高電圧バッテリー160および補機バッテリー112、特に補機バッテリー112の性能を向上させることによって、自車両における再始動時の電圧低下を防止し、ロングクランキングあるいは再始動不良を改善することができる。
【0037】
<変形例1>
本実施形態においては、駆動制御装置240Aは、目的地と駐車位置情報記憶装置230に記憶された駐車位置とが一致し、自車両の位置と目的地とに基づく目的地までの距離によって、自車両が目的地周辺に到達したと判断した時に、自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行することを例示した。
しかしながら、駆動制御装置240Aは、目的地と駐車位置情報記憶装置230に記憶された駐車位置とが一致し、経路案内装置220による目的地周辺案内のタイミングで、自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行するようにしてもよい。
このようにすることにより、自車両の高電圧バッテリー160および補機バッテリー112、特に補機バッテリー112の残量や目的地までの距離とは関係なく、走行用モータ120による走行条件が成立していても、自車両の駆動モードを走行用エンジン110による駆動モードとするよう制御を実行することができる。
【0038】
<変形例2>
本実施形態においては、経路案内装置220は、ユーザから駐車位置を入力し、入力された駐車位置を後述する駐車位置情報記憶装置230に記憶させることを例示した。
しかしながら、経路案内装置220が、過去の経路案内履歴情報から様々な目的地における駐車時間を収集し、収集された目的地とその目的地における駐車時間とから、所定時間以上の駐車時間を要した目的地を抽出し、その抽出された目的地を駐車位置情報記憶装置230に記憶させるようにしてもよい。
このようにすることにより、自車両の駐車位置を自動的に設定することができる。
そのため、ユーザが特に意識していない目的地における自車両の長時間駐車があった場合であっても、自車両が目的地周辺に到達した時に、自車両の駆動モードを走行用エンジン110による駆動モードとするよう制御することによって、自車両における再始動時の電圧低下を防止し、ロングクランキングあるいは再始動不良を改善することができる。
【0039】
<変形例3>
また、駆動制御装置240Aは、駐車位置とユーザにより指定された目的地とが相違し、自車両が目的地周辺に到達した時に、自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行するようにしてもよい。
換言すれば、目的地が設定されている場合には、仮に、自車両が自宅等の駐車位置周辺に接近しても、エンジン走行モードに遷移しないことによって、燃費の向上が期待できる。
【0040】
<第3の実施形態>
図7から
図9を用いて、本実施形態に係るハイブリッド車両1Bについて説明する。
【0041】
<ハイブリッド車両1Bの構成>
図7に示すように、本実施形態に係るハイブリッド車両1Bは、走行用エンジン110と、走行用モータ120と、変速機130と、減速機140と、インバータ150と、高電圧バッテリー160と、自車両位置情報取得装置210と、経路案内装置220と、駐車位置情報記憶装置230と、駆動制御装置240Bと、を含んで構成されている。
なお、第1の実施形態および第2の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0042】
駆動制御装置240Bは、
図8に示すように、記憶部241と、計時部242と、目的地到達距離算出部243と、駆動制御部244と、を含んで構成されている。
【0043】
記憶部241は、ROM(Read Only Memory)あるいはRAM(Random Access Memory)等で構成され、第1の所定距離および第2の所定距離を記憶する。
ここで、第1の所定距離とは、例えば、経路案内装置220が目的地周辺であることを報知する目的地までの距離の約1.5倍の距離を例示することができる。
また、第2の所定距離とは、例えば、経路案内装置220が目的地周辺であることを報知する目的地までの距離の約0.3倍の距離を例示することができる。
なお、第1の所定距離および第2の所定距離は、目的地周辺の住環境等により可変することができる。例えば、目的地が自宅である場合であっても、商業地域等と近い場所にある場合には、第1の所定距離を短く、第2の所定距離を長くしてもよい。
第1の所定距離および第2の所定距離は、目的地と紐づいて記憶され、この情報は、駆動制御部244によって読み出される。
【0044】
計時部242は、現在の時刻を計時する。
計時された時刻は、駆動制御部244に出力される。なお、計時部242に代えて、照度センサを用いてもよい。
ここで、計時された時刻は、現在時刻が夜から朝までの時間帯であるかを確認するものであり、「夜」とは、例えば、家族が帰宅している午後7時を、「朝」とは、例えば、まだ寝ている人がいる午前7時を例示することができる。
【0045】
目的地到達距離算出部243は、経路案内装置220から得られる目的地と、自車両位置情報取得装置210から得られる自車両の現在位置とから、目的地までの到達距離を算出する。
目的地到達距離算出部243により算出された目的地までの到達距離は、駆動制御部244に出力される。
なお、経路案内装置220に目的地までの到達距離を算出する機能が備えられている場合には、その情報を用いてもよい。
【0046】
駆動制御部244は、夜から朝までの時間帯において、自車両の現在位置が目的地に対する第1の所定距離までは自車両の駆動モードを走行用エンジン110による駆動モードとするよう制御を実行し、自車両の現在位置が目的地に対する第2の所定距離に到達したときには、自車両の駆動モードを走行用モータ120による駆動モードとするよう制御を実行する。
【0047】
<ハイブリッド車両1Bの処理>
図9を用いて、本実施形態に係るハイブリッド車両1Bの処理について説明する。
【0048】
図9に示すように、ユーザは、経路案内装置220の目的地設定画面において、目的地を設定する(ステップS210)。
なお、目的地設定は、「目的地」アイコン、あるいは、「地図表示」アイコンあるいは、既に設定されている個別のアイコンによるものでもよい。
ユーザにより設定された目的地は、駆動制御装置240Bに出力される。
【0049】
駆動制御装置240Bは、経路案内装置220から目的地を入力すると、この目的地と一致する駐車位置を駐車位置情報記憶装置230から検索し、目的地と一致する駐車位置があるか否かを判定する(ステップS220)。
そして、目的地と一致する駐車位置はないと判断する場合(ステップS220の「NO」)には、処理を終了する。
【0050】
一方で、駆動制御装置240Bは、目的地と一致する駐車位置があると判断する場合(ステップS220の「YES」)には、計時部242から得られる計時情報により、現在時刻が夜から朝にかけての時間帯であるか否かを判定する(ステップS310)。
【0051】
そして、駆動制御装置240Bは、現在時刻が夜から朝にかけての時間帯であると判定した場合(ステップS310の「YES」)には、自車両が第1の所定距離に到達したか否かを判定する(ステップS320)。
ここで、駆動制御装置240Bは、自車両が第1の所定距離に到達していないと判定した場合(ステップS320の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0052】
一方で、駆動制御装置240Bは、自車両が第1の所定距離に到達していると判定した場合(ステップS320の「YES」)には、自車両の走行モードが走行用エンジン110による走行モードである場合には、その走行モードを継続し、自車両の走行モードが走行用モータ120による走行モードである場合には、走行用エンジン110による走行モードに変更する(ステップS330)。
【0053】
次いで、駆動制御装置240Bは、自車両が第2の所定距離に到達したか否かを判定する(ステップS340)。
ここで、駆動制御装置240Bは、自車両が第2の所定距離に到達していないと判定した場合(ステップS340の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0054】
一方で、駆動制御装置240Bは、自車両が第2の所定距離に到達していると判定した場合(ステップS340の「YES」)には、自車両の走行モードを走行用エンジン110による走行モードから走行用モータ120による走行モードに変更して(ステップS350)、一連の処理を終了する。
【0055】
また、ステップS310において、駆動制御装置240Bは、現在時刻が夜から朝にかけての時間帯ではないと判定した場合(ステップS310の「NO」)には、自車両位置情報取得装置210から得られる自車両の位置を目的地までの距離を算出するパラメータとして、自車両が目的地周辺に到達したか否かを判定する(ステップS360)。
そして、駆動制御装置240Bは、自車両が目的地周辺に到達していないと判定する場合(ステップS360の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0056】
一方で、駆動制御装置240Bが、自車両が目的地周辺に到達していると判定する場合(ステップS350の「YES」)には、駆動制御装置240Bは、自車両の駆動モードを走行用エンジン110による駆動モードとするよう制御を変更して(ステップS370)、処理を終了する。
【0057】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係るハイブリッド車両1Aの駆動制御装置240Bは、夜から朝までの時間帯において、自車両が目的地に対する第1の所定距離までは自車両の駆動モードを走行用エンジンによる駆動モードとするよう制御を実行し、自車両が目的地に対する第2の所定距離に到達したときには、自車両の駆動モードを走行用モータによる駆動モードとするよう制御を実行する。
つまり、駆動制御装置240Bは、例えば、目的地を自宅とした場合に、夜から朝までの時間帯において、自車両を目的地周辺であることを報知する距離の手前である第1の所定距離から第2の所定距離までは走行用エンジン110による駆動モードとし、第2の所定距離から自宅までは、自車両の走行モードを走行用モータ120による駆動モードとする。
そのため、家族が揃って食事をする夜の時間から、まだ寝ている人がいる朝の時間にかけては、走行用エンジン110による駆動モードの時間を自宅周辺の手前から長めにとって、自宅に接近したときに、自車両の駆動モードを走行用モータ120による駆動モードに変更することによって、自宅周辺におけるエンジン音を低減させつつ、高電圧バッテリー160および補機バッテリー112、特に補機バッテリー112に対する強制充電期間を確保することができる。
これにより、住宅街におけるエンジン音による騒音を低減させつつ、高電圧バッテリー160および補機バッテリー112、特に補機バッテリー112に対する強制充電期間を確保することにより、自車両における再始動不良やロングクランキング等の事象が発生する可能性を低減させることができる。
【0058】
なお、駆動制御装置240、240A、240Bの処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを駆動制御装置240、240A、240Bに読み込ませ、実行することによって本発明のハイブリッド車両1、1A、1Bを実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0059】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0060】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0061】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1;ハイブリッド車両
1A;ハイブリッド車両
110;走行用エンジン
111;オルタネーター
112;補機バッテリー
120;走行用モータ
130;変速機
140;減速機
150;インバータ
160;高電圧バッテリー
161;DC/DCコンバータ
210;自車両位置情報取得装置
220;経路案内装置
230;駐車位置情報記憶装置
240;駆動制御装置
240A;駆動制御装置
240B;駆動制御装置
241;記憶部
242;計時部
243;目的地到達距離算出部
244;駆動制御部