(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110905
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240808BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240808BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20240808BHJP
H01H 13/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G06F3/041 400
G06F3/041 480
G06F3/044 140
G06F3/02 F
G06F3/02 400
H01H13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141345
(22)【出願日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2023015400
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】釋迦戸 祥史
(72)【発明者】
【氏名】増谷 武
(72)【発明者】
【氏名】江頭 英明
【テーマコード(参考)】
5B020
5G206
【Fターム(参考)】
5B020AA12
5B020DD02
5B020GG01
5G206AS27H
5G206AS27J
5G206AS27Z
5G206DS02Z
5G206GS27
5G206KS07
5G206NS04
5G206QS02
5G206QS09
5G206RS04
5G206RS24
5G206RS34
(57)【要約】
【課題】検出バラツキの抑制、及び、外乱ノイズへの耐性の両方を改善可能な入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置1は、操作体により押圧操作されるパネル10と、パネル10の裏面側に配置される基板60と、基板60に配置された第一電極62と、基板60の裏面側に配置され、第一電極62と対向する部分に第二電極101を有し、パネル10と係合する保持部100と、第一電極62及び第二電極101の間の静電容量を検出する押込検知部90と、保持部100により保持される振動デバイス110と、を備える。保持部100は、パネル10が押圧操作されると、基板60に対して相対的に移動可能であり、かつ、剛性及び導電性を有し、第二電極101を裏面側から覆うように構成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作体により押圧操作されるパネルと、
前記パネルの裏面側に配置される基板と、
前記基板に配置される第一電極と、
前記基板の裏面側に配置され、前記第一電極と対向する部分に第二電極を有し、前記パネルと係合する保持部と、
前記第一電極及び前記第二電極の間の静電容量を検出する静電容量検出部と、
前記保持部により保持されるアクチュエータと、
を備え、
前記保持部は、前記パネルが押圧操作されると、前記基板に対して相対的に移動可能であり、かつ、剛性及び導電性を有し、前記第二電極を裏面側から覆うように構成される
入力装置。
【請求項2】
前記パネルは、押圧操作される第一部分と、前記第一部分の周囲の第二部分とを有し、平面視において、前記第一部分の複数箇所で前記保持部と係合されている
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第二部分は、前記第一部分より可撓性を有し、
前記複数箇所のうち1つの箇所は、前記平面視における前記第一部分の中央に設けられ、
前記複数箇所のうち他の1以上の箇所は、前記第一部分と前記第二部分との境界に沿って設けられる
請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記パネル及び前記保持部の少なくとも一方は、複数箇所で係合するための突出する複数の係合部を有し、
前記基板には、前記係合部が挿通される貫通孔が形成されている
請求項2に記載の入力装置。
【請求項5】
前記保持部は、金属によって形成される
請求項1~4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記保持部は、剛性及び絶縁性を有する板部と、前記板部の表面に形成された金属層とを有する
請求項1~4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記保持部は、グランドに接続される
請求項1~4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記第一電極は、前記基板の裏面に配置される
請求項1~4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項9】
前記静電容量検出部は、前記基板を挟んで前記第一電極と対向する前記基板の表面の位置に配置され、
前記静電容量検出部と前記第一電極とは、前記基板における前記静電容量検出部と前記第一電極との間に設けられたスルーホールを通して接続されている
請求項8に記載の入力装置。
【請求項10】
前記静電容量検出部の出力に基づき、前記アクチュエータの振動を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記アクチュエータが駆動している間、前記静電容量検出部の出力を無効とする
請求項1~4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項11】
前記制御部は、さらに前記アクチュエータが駆動している間の後の所定期間にわたって、前記静電容量検出部の出力を無効とする
請求項10に記載の入力装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記アクチュエータの駆動態様に応じて前記所定期間を異ならせる
請求項11に記載の入力装置。
【請求項13】
前記所定期間は、予め設定された固定の期間である
請求項11に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザ操作の入力を受け付ける種々の入力装置が検討されている。例えば、特許文献1には、静電容量の変化に基づいて押圧を検出する入力装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の入力装置は、押圧操作用のキートップを操作する位置によっては検出バラツキが発生する可能性がある。また、特許文献1の入力装置は、外乱ノイズへの耐性に改善の余地がある。
【0005】
そこ、本開示は、検出バラツキの抑制、及び、外乱ノイズへの耐性の両方を改善可能な入力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る入力装置は、操作体により押圧操作されるパネルと、前記パネルの裏面側に配置される基板と、前記基板に配置される第一電極と、前記基板の裏面側に配置され、前記第一電極と対向する部分に第二電極を有し、前記パネルと係合する保持部と、前記第一電極及び前記第二電極の間の静電容量を検出する静電容量検出部と、前記保持部により保持されるアクチュエータと、を備え、前記保持部は、前記パネルが押圧操作されると、前記基板に対して相対的に移動可能であり、かつ、剛性及び導電性を有し、前記第二電極を裏面側から覆うように構成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、検出バラツキの抑制、及び、外乱ノイズへの耐性の両方を改善可能な入力装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る入力装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る入力装置の構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る入力装置の構成を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係るパネルを裏面側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2のV-V切断線で切断された、実施の形態に係る入力装置を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図2のVI-VI切断線で切断された、実施の形態に係る入力装置を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る入力装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、
図2のVI-VI切断線に対応する切断線で切断された、実施の形態の変形例1に係る入力装置を模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例2に係る振動デバイスの動作と、押込検知部の出力の有効/無効状態とを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の第1の態様に係る入力装置は、操作体により押圧操作されるパネルと、前記パネルの裏面側に配置される基板と、前記基板に配置される第一電極と、前記基板の裏面側に配置され、前記第一電極と対向する部分に第二電極を有し、前記パネルと係合する保持部と、前記第一電極及び前記第二電極の間の静電容量を検出する静電容量検出部と、前記保持部により保持されるアクチュエータと、を備え、前記保持部は、前記パネルが押圧操作されると、前記基板に対して相対的に移動可能であり、かつ、剛性及び導電性を有し、前記第二電極を裏面側から覆うように構成される。
【0010】
これにより、保持部が剛性を有するので、保持部が剛性を有していない場合に比べて、パネルを押圧操作する位置により保持部の移動量(第一電極と第二電極との距離の変化量)に違いが発生することを抑制することができる。また、保持部が導電性を有しているので、外部から第一電極及び第二電極に入射するノイズを抑制することができる。よって、入力装置は、検出バラツキの抑制、及び、外乱ノイズへの耐性の両方を向上させることができる。
【0011】
また、例えば、本開示の第2の態様に係る入力装置は、第1の態様に係る入力装置であって、前記パネルは、押圧操作される第一部分と、前記第一部分の周囲の第二部分とを有し、平面視において、前記第一部分の複数箇所で前記保持部と係合されていてもよい。
【0012】
これにより、パネルと保持部とが1箇所のみで係合する場合に比べて、静電容量検出部で検出される静電容量のバラツキを小さくすることができる。つまり、入力装置の押圧操作の検出精度が向上する。
【0013】
また、例えば、本開示の第3の態様に係る入力装置は、第2の態様に係る入力装置であって、前記第二部分は、前記第一部分より可撓性を有し、前記複数箇所のうち1つの箇所は、前記平面視における前記第一部分の中央に設けられ、前記複数箇所のうち他の1以上の箇所は、前記第一部分と前記第二部分との境界に沿って設けられてもよい。
【0014】
これにより、第一部分の中央及び周囲(押し位置の違い)で押し圧に差が発生することを抑制することができる。これは、検出バラツキを抑制することにつながる。
【0015】
また、例えば、本開示の第4の態様に係る入力装置は、第2の態様に係る入力装置であって、前記パネル及び前記保持部の少なくとも一方は、複数箇所で係合するための突出する複数の係合部を有し、前記基板には、前記係合部が挿通される貫通孔が形成されていてもよい。
【0016】
これにより、貫通孔を介してパネル及び保持部を係合させることができるので、簡易な構造でパネル及び保持部を係合させることができる。
【0017】
また、例えば、本開示の第5の態様に係る入力装置は、第1の態様~第4の態様のいずれかに係る入力装置であって、前記保持部は、金属によって形成されていてもよい。
【0018】
これにより、第二電極と保持部とを一体物として形成することができるので、製造が容易である。
【0019】
また、例えば、本開示の第6の態様に係る入力装置は、第1の態様~第4の態様のいずれかに係る入力装置であって、前記保持部は、剛性及び絶縁性を有する板部と、前記板部の表面に形成された金属層とを有してもよい。
【0020】
これにより、板部と、金属層とが別部材であるので、部材の選択の自由度が増す。
【0021】
また、例えば、本開示の第7の態様に係る入力装置は、第1の態様~第6の態様のいずれかに係る入力装置であって、前記保持部は、グランドに接続されていてもよい。
【0022】
これにより、ノイズ耐性を向上させることができる。
【0023】
また、例えば、本開示の第8の態様に係る入力装置は、第1の態様~第7の態様のいずれかに係る入力装置であって、前記第一電極は、前記基板の裏面に配置されてもよい。
【0024】
これにより、第一電極と第二電極との距離を近づけることができるので、静電容量検出部での検出精度が向上する。
【0025】
また、例えば、本開示の第9の態様に係る入力装置は、第8の態様に係る入力装置であって、前記静電容量検出部は、前記基板を挟んで前記第一電極と対向する前記基板の表面の位置に配置され、前記静電容量検出部と前記第一電極とは、前記基板における前記静電容量検出部と前記第一電極との間に設けられたスルーホールを通して接続されていてもよい。
【0026】
これにより、第一電極と押込検知部とをスルーホールを介して短い距離で接続させることができるので、ノイズの影響を抑制することができる。例えば、第一電極と押込検知部とを接続する配線を基板表面に設けた場合における当該配線から混入するノイズの影響を抑制することができる。
【0027】
また、例えば、本開示の第10の態様に係る入力装置は、第1の態様~第9の態様のいずれかに係る入力装置であって、前記静電容量検出部の出力に基づき、前記アクチュエータの振動を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記アクチュエータが駆動している間、前記静電容量検出部の出力を無効としてもよい。
【0028】
これにより、アクチュエータが駆動している間の当該アクチュエータの振動を押し込みであると誤検知することを抑制することができる。
【0029】
また、例えば、本開示の第11の態様に係る入力装置は、第10の態様に係る入力装置であって、前記制御部は、さらに前記アクチュエータが駆動している間の後の所定期間にわたって、前記静電容量検出部の出力を無効としてもよい。
【0030】
これにより、アクチュエータが駆動した後の当該アクチュエータの減衰時の振動を押し込みであると誤検知することを抑制することができる。
【0031】
また、例えば、本開示の第12の態様に係る入力装置は、第11の態様に係る入力装置であって、前記制御部は、前記アクチュエータの駆動態様に応じて前記所定期間を異ならせてもよい。
【0032】
これにより、振動態様に応じた所定期間にわたって静電容量検出部の出力が無効となるので、複数の振動態様に対応するアクチュエータの振動を押し込みであると誤検知することを抑制することができる。
【0033】
また、例えば、本開示の第13の態様に係る入力装置は、第11の態様に係る入力装置であって、前記所定期間は、予め設定された固定の期間であってもよい。
【0034】
これにより、予め設定された固定の期間におけるアクチュエータの振動を押し込みであると誤検知することを抑制することができる。例えば、アクチュエータが駆動した後の振動の減衰期間より所定期間を長く設定することで、アクチュエータの振動を押し込みであると誤検知することをより確実に抑制することができる。
【0035】
なお、以下で説明する実施の形態等は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態等で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態等における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0036】
また、本明細書において、平行等の要素間の関係性を示す用語、及び、矩形状、円形状等の要素の形状を示す用語、並びに、数値は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度(あるいは、10%程度)の差異をも含むことを意味する表現である。
【0037】
また、以下の実施の形態等で説明に用いられる図面においては座標軸が示される場合がある。Z軸は入力装置の各構成要素が積層される積層方向を示す。また、X軸方向及びY軸方向は、Z軸方向に垂直な平面上において、互いに直交する方向である。面直方向は、Z軸方向と平行な方向である。また、以下の実施の形態等において、「平面視」とは、Z軸方向から見ることを意味し、「断面視」とは、積層方向(Z軸方向)と平行な面で切断した切断面を見ることを意味する。
【0038】
また、本明細書において、「第一」、「第二」などの序数詞は、特に断りの無い限り、構成要素の数又は順序を意味するものではなく、同種の構成要素の混同を避け、区別する目的で用いられている。
【0039】
(実施の形態)
本実施の形態に係る入力装置について、
図1~
図7を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る入力装置1の構成を示す斜視図である。
図2は、本実施の形態に係る入力装置1の構成を示す平面図である。
図3は、本実施の形態に係る入力装置1の構成を示す分解斜視図である。なお、
図2では、識別のため、第二部分11bにハッチングを付している。
【0040】
図1に示すように、入力装置1は、入力装置1が搭載された物体(例えば、自動車等の車両)が備える機器を制御するための操作の入力を受け付ける装置である。具体的には、入力装置1は、ユーザからのパネル10の表面に対する押し込み操作(以降、押圧操作又は単に操作とも記載する)を受け付ける。入力装置1は、アームレスト、コンソール、インストルメントパネル等に配置され得る。
【0041】
機器は、物体が車両である場合、車載機器であり、例えば、カーナビゲーションシステム、光ディスクを再生するためのオーディオ機器、映像再生機器、空調機器等であるが、これに限定されない。
【0042】
なお、入力装置1が搭載される物体は、車両であることに限定されない。入力装置1は、ユーザからの操作を受け付ける物体に搭載されていればよく、例えば、家電機器等に搭載されてもよい。
【0043】
図1~
図3に示すように、入力装置1は、パネル10と、センサフィルム20と、拡散シート30と、導光体ホルダ40と、導光体50と、基板60と、発光素子70と、表示部80と、押込検知部90(
図7を参照)と、保持部100と、振動デバイス110と、カバー120と、クリップ130と、制御部140(
図7を参照)とを備える。入力装置1は、パネル10、センサフィルム20、拡散シート30、導光体50が収容された導光体ホルダ40、基板60、保持部100、振動デバイス110及びカバー120がこの順に積層して配置される。なお、押込検知部90及び制御部140は、
図7を用いて後述する。
【0044】
パネル10は、所定の意匠11a1が表面(Z軸プラス側の面)に表示され、ユーザからの操作を受け付けるユーザインターフェースである。具体的には、パネル10は、ユーザの指からの押圧操作を受け付ける。ユーザは、パネル10(具体的には、操作部11の第一部分11a)に対して操作をすることで、車両が備える機器を制御することができる。パネル10は、例えば、平面視において板状の部材であり、ユーザからの操作により押圧される。ユーザの指は、操作体の一例である。なお、操作体は、ユーザの指に限定されず、導電性を有する物体であればよい。
【0045】
本実施の形態では、パネル10は、光透過性を有する材料により形成される。パネル10は、例えば、ポリカーボネートなどの透明樹脂、又は、光透過性を有するエラストマなどにより形成されるが、これに限定されない。
【0046】
パネル10は、平面視において、操作部11と、加飾部12とを有する。操作部11と加飾部12とは、一体形成されている。つまり、平面視において、操作部11と加飾部12との間に隙間は形成されていない。操作部11は入力デバイスとして機能する部分であり、加飾部12は加飾されたパネルとして構成される部分である。なお、操作部11と加飾部12とに加飾が施されてもよい。
【0047】
なお、本明細書において一体形成とは、各構成部が、同一材料で形成されていること、同時形成されること、及び、同一物(単一物)であることのうち少なくとも一つが成り立つことを意味する。
【0048】
操作部11は、入力装置1においてスイッチとして機能するスイッチ部である。つまり、入力装置1におけるスイッチ部は、意匠11a1が表示されている部分である。ユーザは、制御したい機器に応じた意匠部分を操作することで、当該機器を制御する。本実施の形態では、操作部11は、光透過性を有する。
【0049】
詳細は後述するが、操作部11は平面視において、操作のための1以上の意匠11a1が表示される第一部分11aと、第一部分11aの周囲に配置され、操作のための意匠11a1が表示されない第二部分11bとを有し、第二部分11bは、第一部分11aより可撓性を有するように構成される。また、例えば、第二部分11bは、加飾部12より可撓性を有してもよい。第一部分11aは、ユーザにより、所望の機能を実現させるために押圧操作される部分でもある。
【0050】
なお、本実施の形態では、第一部分11aには複数の意匠11a1が表示されるが、意匠11a1の数は1以上であれば特に限定されない。
【0051】
なお、
図2の例では、第二部分11bは、平面視において、第一部分11aを外側から切れ間なく覆うように設けられるが、これに限定されない。
【0052】
加飾部12は、所望の加飾が施された部分であり、入力装置1においてスイッチとして機能しない非スイッチ部である。ユーザが加飾部12を操作しても、機器は制御されない。加飾部12は、平面視において、操作部11と並んで配置され、
図1の例では、操作部11を左右から挟むように配置される。加飾部12は、ユーザが機器を制御する目的で操作しない領域であるとも言える。加飾部12に意匠11a1は表示されていない。また、加飾部12は、遮光性を有していてもよい。
【0053】
ここで、パネル10の構成について、さらに
図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態に係るパネル10を裏面側(Z軸マイナス側)から見た斜視図である。
【0054】
図4に示すように、操作部11の第二部分11bは、第一部分11aより可撓性を有する構成として、第一部分11aに比べて厚み(Z軸方向の長さ)が薄い。また、第二部分11bは、例えば、加飾部12に比べて、厚みが薄い。
【0055】
また、第一部分11aには、Z軸マイナス方向に突出するリブ11a2が設けられる。リブ11a2は、後述する保持部100に設けられるZ軸プラス方向に突出するリブ100aと接続される。例えば、リブ11a2には孔が形成されており、リブ100aには、貫通孔が形成されており、当該孔及び貫通孔を介して締結部材(例えば、ネジ)などにパネル10と保持部100とが固定されてもよい。
【0056】
リブ11a2は、平面視において、複数の意匠11a1とは重ならない領域に設けられる。リブ11a2は、例えば、平面視における第一部分11aの4隅付近、及び、中央付近に設けられる。これにより、操作部11の第一部分11aの周囲及び中央を同様に振動させることができる。また、リブ11a2は、第二部分11bには設けられない。リブ11a2は係合部の一例である。また、中央付近とは、例えば、第一部分11aの平面視における重心位置を含み、かつ、第一部分11aの面積の20%以下の領域であるが、これに限定されない。また、他のリブ11a2は、平面視において、中央付近のリブ11a2を囲むように配置されていてもよい。
【0057】
加飾部12には、クリップ130が取り付けられる取付部12aが配置される。
【0058】
このようなパネル10を備える入力装置1では、ユーザが操作部11を操作中にユーザの触力覚に刺激を与えるが、その刺激が主に操作部11により実現されるとよい。言い換えると、加飾部12はその刺激を生じない方がよい。なお、刺激とは、面直方向の振動である。
【0059】
図2及び
図3を再び参照して、センサフィルム20は、複数の意匠に対するユーザの操作位置を検出する。具体的には、センサフィルム20は、パネル10と拡散シート30との間に配置され、ユーザがパネル10(第一部分11a)を操作した(押圧した)位置を検出するためのセンサである。
【0060】
本実施の形態では、センサフィルム20は、光透過性を有する静電容量式のセンサフィルム(静電センサフィルム)である。センサフィルム20は、平面視において、少なくとも第一部分11aと重なる領域に配置される。センサフィルム20は、平面視において、複数の意匠11a1のそれぞれに対して個別に設けられ、操作位置(どの意匠が操作されたか)を検出するための電極(センサ電極)を有する。
【0061】
なお、第一部分11aに1つの意匠11a1のみが表示される場合、センサフィルム20は、設けられなくてもよい。
【0062】
拡散シート30は、センサフィルム20と導光体ホルダ40との間に配置され、導光体50を透過しパネル10に向かう光を拡散する。拡散シート30は、光透過性を有する樹脂板(例えば、ポリカ板)、PET(Polyethlene Terephthalate)フィルムなどにシリカ、ガラスビーズ等の無機微粒子、又は、樹脂粒子などの光拡散粒子が含有されて構成される。
【0063】
なお、拡散シート30は、パネル10と導光体ホルダ40との間に配置されていればよく、例えば、パネル10とセンサフィルム20との間に配置されていてもよい。また、拡散シート30は、設けられなくてもよい。
【0064】
導光体ホルダ40は、拡散シート30(又はセンサフィルム20)と基板60との間に配置される板状の部材である。導光体ホルダ40は、剛性を有する。導光体ホルダ40は、樹脂材料により形成されるが、これに限定されない。
【0065】
導光体ホルダ40は、平面視において、少なくとも第一部分11aと重なる領域に配置され、例えば、操作部11と重なる領域に配置される。また、導光体ホルダ40は、保持部100とは機械的に接続されていない。なお、機械的に接続されるとは、保持部100がZ軸方向に移動すると、当該移動により移動するように構成(接続)されていることを意味する。導光体ホルダ40は、保持部100がZ軸方向に移動しても当該移動によりZ軸方向に移動しない。
【0066】
導光体ホルダ40には、光源(例えば、発光素子70)からの光を透過するための貫通孔が形成されている。貫通孔は、例えば、光源が有する複数の発光素子70のそれぞれに対応して(例えば、一対一に)設けられる。また、貫通孔は、例えば、操作部11の意匠11a1に対応して設けられる。貫通孔を介して光が透過するため、導光体ホルダ40は光透過性を有すると言える。
【0067】
導光体50は、導光体ホルダ40の貫通孔に収容され、光源からの光をパネル10に向けて導光する。導光体50は、例えば、樹脂材料により形成されるが、これに限定されない。また、導光体50は、光拡散粒子を含有していてもよい。
【0068】
なお、導光体50は設けられなくてもよい。つまり、光源からの光は、導光体ホルダ40の貫通孔(空間)を通過してもよい。
【0069】
基板60は、パネル10の裏面(Z軸マイナス側の面)側に配置され、複数の発光素子70が配置される板状の部材である。本実施の形態では、基板60の表面(Z軸プラス側の面)には、さらに表示部80が配置される。基板60は、リジッド基板であるが、フレキシブル基板であってもよい。基板60は、例えば、ガラス基板又は樹脂基板であるが、これに限定されない。
【0070】
また、基板60は、ユーザからの操作を検出するための検出用の第一電極62(
図6を参照)を、裏面(Z軸マイナス側の面)に有する。第一電極62は、保持部100と対向するように設けられ、例えば、保持部100が有する第二電極101と対向するように設けられたベタパターン状の電極(ベタ電極)である。第一電極62は、例えば、銅又は銀などにより形成されるが、これに限定されない。なお、第一電極62は、基板60の表面(Z軸プラス側の面)に設けられていてもよい。
【0071】
基板60は、平面視において、少なくとも第一部分11aと重なる領域に配置され、例えば、操作部11と重なる領域に配置される。なお、基板60は、保持部100とは機械的に接続されていない。基板60には、保持部100のリブ100aが挿通される貫通孔60aが形成されている。基板60は、保持部100がZ軸方向に移動しても当該移動によりZ軸方向に移動しないように構成される。つまり、保持部100がZ軸方向に移動しても、第一電極62の位置は変化しない。なお、貫通孔60aには、リブ11a2が挿通されてもよい。
【0072】
基板60は、グランドに接続されている。グランドとは、基板60の基準電位を有する基準導電部又は基準電位そのものを指す。基準電位は、例えば0V(ゼロボルト)であるが、これに限定されない。
【0073】
なお、詳細は後述するが、本実施の形態では、押込検知部90は、第一電極62及び第二電極101の間の静電容量を検出する。具体的には、押込検知部90は、第一電極62及び第二電極101の間の静電容量の変化により、ユーザの操作を検出する。第一電極62及び第二電極101は、押込検知部90が静電容量の変化によりユーザの操作を検出するための電極である。押込検知部90は、静電容量検出部の一例である。なお、押込検知部90の検出方法については、
図6を用いて後述する。
【0074】
発光素子70は、基板60の表面(Z軸プラス側の面)に実装され、意匠11a1を表示するための光を出射する。複数の発光素子70は、平面視において、操作部11と重なる領域に設けられる。具体的には、発光素子70は、複数の意匠11a1それぞれと重なる領域に設けられる。発光素子70は、例えば、基板60における、複数の意匠11a1と対向する位置のそれぞれに配置される。発光素子70は、例えば、LED(Light Emitting Diode)であるが、これに限定されない。
【0075】
複数の発光素子70は、互いに異なる色(例えば、意匠11a1に応じた色)の光を出射してもよいし、1つの色(例えば、白色)の光を出射してもよい。
【0076】
表示部80は、基板60の表面(Z軸プラス側の面)に配置され、機器の状態等(例えば、
図2に示す状態表示81)を表示する。表示部80は、平面視において、第二部分11bと重なる領域に状態表示81を表示可能に設けられる。表示部80は、液晶ディスプレイ装置、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ装置などにより実現される。なお、表示部80は、設けられなくてもよい。
【0077】
保持部100は、パネル10の裏面側に配置され、パネル10及び振動デバイス110のそれぞれと機械的に接続される。保持部100は、パネル10と係合(結合)するとも言える。保持部100は、振動デバイス110が発生する振動をパネル10に伝達する機能を有する。また、保持部100は、パネル10が押圧操作されると、基板60に対して相対的に移動可能(
図3の例では、Z軸マイナス側に移動可能)であり、かつ、パネル10への押圧操作が解除されると、基板60に対して相対的に移動可能(
図3の例では、Z軸プラス側に移動可能)である。
【0078】
保持部100は、板状の部分の表面からZ軸プラス側に突出するリブ100aを有する。リブ100aは、リブ11a2と接続され、振動デバイス110が発生する振動を操作部11(具体的には、第一部分11a)に直接伝達することが可能に構成される。これにより、保持部100及び第一部分11aは、例えば、一体となって面直方向に振動する。リブ100aは、係合部の一例である。
【0079】
入力装置1は、平面視において、第一部分11aの複数箇所で、リブ100aとリブ11a2とが係合するように構成される。例えば、
図2に示すように、複数箇所のうち1つの箇所は、平面視における第一部分11aの中央に設けられ、複数箇所のうち他の1以上の箇所は、第一部分11aと第二部分11bとの境界に沿って設けられる。
【0080】
保持部100は、剛性及び導電性を有する材料により形成される。保持部100は、金属により形成される。保持部100は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、マグネシウム、マグネシウム合金等により形成される。なお、剛性を有するとは、第一部分11aが押圧されて保持部100が下方に移動する際に、保持部100が実質的に変形しない程度の剛性を有することを意味する。例えば、保持部100は、パネル10の操作部11における第二部分11bより十分な剛性を有していてもよく、さらには、パネル10の操作部11における第一部分11aより十分な剛性を有していてもよい。保持部100は、エキサイターブラケットとも称される。
【0081】
保持部100は、グランドに接続されている。グランドとは、保持部100の基準電位を有する基準導電部又は基準電位そのものを指す。基準電位は、例えば0V(ゼロボルト)であるが、これに限定されない。また、第二電極101は、例えば、第一電極62と共通のグランドに接続されている。
【0082】
なお、保持部100は、金属により形成されることに限定されない。例えば、保持部100は、剛性及び絶縁性を有する板部と、板部の表面に形成された金属層とにより形成されてもよい。板部は、剛性及び絶縁性を有する樹脂などにより形成される樹脂板であり、例えば、エンジニアリングプラスチックなどにより形成されてもよい。また、金属層は、例えば、金属めっきにより形成される薄膜であってもよい。
【0083】
振動デバイス110は、ユーザによる操作部11の第一部分11aへの操作中に、当該ユーザの触力覚に刺激を与える。振動デバイス110は、保持部100と機械的に接続され、押込検知部90によりパネル10が押圧されたことが検出された場合、パネル10の面直方向(Z軸方向)の振動を生じる。振動デバイス110は、例えば、面直方向の振動の周波数及び振動強度の少なくとも一方を制御可能であってもよい。振動デバイス110は、アクチュエータの一例である。また、保持部100と機械的に接続されるとは、保持部100により保持されることの一例である。
【0084】
振動デバイス110は、振動を発生させる振動子を含んで構成される。振動子は、例えば、圧電体で構成された圧電素子であってもよいし、モータ、ソレノイド、ボイスコイル等、電磁的に動作する構成であってもよい。また、振動子は、リニアレゾナントアクチュエータ、人工筋肉、形状記憶アクチュエータ等であってもよい。
【0085】
振動デバイス110は、平面視において操作部11(具体的には、第一部分11a)と重なる位置であって、保持部100とカバー120との間に配置される。振動デバイス110は、例えば、平面視において、操作部11の中央付近に配置される。
【0086】
カバー120は、振動デバイス110を収容する凹部121を有し、下方(Z軸マイナス側)からパネル10を覆う。
【0087】
カバー120と基板60とは、例えば、締結部材などによりパネル10の加飾部12に固定される。また、カバー120と基板60との間に、保持部100及び振動デバイス110が配置される。例えば、カバー120と基板60とは、保持部100及び振動デバイス110が面直方向に振動可能な程度の間隔を開けて固定される。
【0088】
クリップ130は、入力装置1を他の部材に固定するための固定用の部材である。本実施の形態では、クリップ130は、パネル10及びカバー120それぞれの裏面側に配置される。
【0089】
ここで、上記のように構成される入力装置1の断面構成について、さらに
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5は、
図2のV-V切断線で切断された、本実施の形態に係る入力装置1を示す断面図である。
図6は、
図2のVI-VI切断線で切断された、本実施の形態に係る入力装置1を模式的に示す断面図である。なお、
図6では、便宜上、紙面下方に入力装置1の断面図を示し、紙面上方にパネル10の断面図を示す。また、
図6では、センサフィルム20、及び拡散シート30などの図示を省略している。
【0090】
図5及び
図6に示すように、保持部100は、パネル10の操作部11(具体的には第一部分11a)と直接接続されている。また、
図6に示すように、第一部分11aは、第二部分11bに比べて厚肉に構成されている。言い換えると、第二部分11bは、第一部分11aに比べて薄肉に構成されている。第一部分11aの厚み(肉厚)をt1、第二部分11bの厚み(肉厚)をt2とすると、厚みt2は、厚みt1より薄く、例えば、厚みt1の70%以下であってもよいし、厚みt1の50%以下であってもよいし、厚みt1の30%以下であってもよい。厚みt1及びt2は、製品に求められる性能、用途等に応じて、適宜決定される。例えば、厚みt1は、2.7mmであり、厚みt2は、1.3mmであるが、これに限定されない。
【0091】
なお、上記の厚みt1は、第一部分11aの厚みの平均値であるが、中央値、最頻値、最大値、最小値、代表値などであってもよい。また、上記の厚みt2は、第二部分11bの厚みの平均値であるが、中央値、最頻値、最大値、最小値、代表値などであってもよい。
【0092】
第一部分11a及び第二部分11bは、例えば、同じ材料で一体形成される。
【0093】
このような入力装置1において、操作部11の第一部分11aが押圧される場合、周囲に設けられた可撓性が高い第二部分11bが容易に変形する(例えば、たわむ)。つまり、ユーザはより弱い応圧力で、操作部11を操作することが可能となり、押圧時の操作性が向上する。
【0094】
また、パネル10は、例えば、一部が湾曲する形状を有する。
図6の例では、X軸方向の両端が湾曲している。この場合、第一部分11aと接続される湾曲部分(
図6の例では、X軸プラス側の湾曲部分)は、薄肉に形成されるとよい。これにより、湾曲する形状を有することで固くなった部分の可撓性を効果的に上げることができる。
【0095】
また、このような入力装置1において、押込検知部90により押し込みが検出されると、振動デバイス110が面直方向に振動し、当該振動は、保持部100を介してパネル10(具体的には、操作部11)に直接伝わる。言い換えると、振動デバイス110の振動は、導光体ホルダ40、基板60などには伝わらない。よって、振動デバイス110が振動しても、導光体ホルダ40、基板60などは振動しない。保持部100は、導光体ホルダ40、基板60などに対して相対的に面直方向に振動(移動)する。
【0096】
振動デバイス110がパネル10と保持部100を介して接続されており、振動デバイス110により他の構成要素が振動されないので、振動デバイス110の振動を効果的にパネル10に伝達することができる。
【0097】
また、操作部11は、第一部分11aの周囲に当該第一部分11aより可撓性を有する第二部分11bを有するので、操作、振動などの面直方向の力により変形しやすい。つまり、入力装置1は、振動をユーザに効果的に伝達することができる。また、加飾部12が第二部分11bより可撓性が低いことで、振動デバイス110からの振動が加飾部12に伝達される(第一部分11aへの振動が弱くなる)ことを抑制することができる。
【0098】
なお、第二部分11bが第一部分11aより可撓性を有する構成は、第二部分11bが第一部分11aより薄いことに限定されず、例えば、第二部分11bが第一部分11aより可撓性を有する材料で構成されていることであってもよい。例えば、第二部分11bは、第一部分11aより可撓性を有する材料を含んでいてもよい。例えば、第一部分11aは、ポリカーボネートなどの第一樹脂により形成され、第二部分11bは、エラストマ又は第一樹脂より可撓性を有する第二樹脂(可撓性樹脂)により形成されてもよい。この場合、パネル10は、例えば、2色成形により形成されてもよい。また、この場合、厚みt1及びt2は、等しくてもよい。
【0099】
また、
図6に示すように、保持部100は、第二電極101と、突出部100bとを有する。
【0100】
第二電極101は、第一電極62と対向する部分に設けられるベタ電極である。第二電極101は、例えば、保持部100の表面(Z軸プラス側の面)から突出するように設けられるが、これに限定されず当該表面と面一であってもよい。
【0101】
保持部100は、第一部分11aが押圧されるとZ軸方向に移動する。つまり、第二電極101は、Z軸方向に移動する。
【0102】
図6の例では、第二電極101が保持部100の一部を構成し、保持部100の板状の部分と第二電極101とは、一体形成される。つまり、保持部100の表面に印刷等により第二電極101を形成するわけではない。保持部100の板状の部分と、第二電極101とは、同一材料により構成される。
【0103】
突出部100bは、板状の部分のX軸側の端部から基板60側(Z軸プラス側)に、突出する突起である。突出部100bは、パネル10が操作されていない状態で、基板60の裏面と所定の間隔を有するように設けられるが、例えば、基板60(基板60の非導通部)と接触していてもよい。また、突出部100bは、第二電極101より高さ(Z軸方向の長さ)が高い。
【0104】
このように、保持部100は、
図6に示す断面視において、リブ100aと突出部100bとにより第二電極101を裏面側(Z軸マイナス側)から覆うように構成される。また、突出部100bおよびリブ100aは、第一電極62の一方の側方(X軸プラス側の側方)を覆おうように設けられる。保持部100は、電極(第一電極62及び第二電極101)を覆うように構成される。
【0105】
ここで、
図6を参照しながら、押込検知部90における押圧操作の検出について説明する。なお、押込検知部90は、例えば第一電極62と第二電極101との間の静電容量の変化を検出する集積回路である。
【0106】
図6に示すように、リブ11a2及び100aは係合しているので、第一部分11aが下方(Z軸マイナス側)に押圧されると、それに伴い保持部100が下方に移動する。ここで、基板60は、パネル10及び保持部100と係合していないので、保持部100は、パネル10が押圧操作されると、基板60に対して相対的に移動(下方へ移動)する。
【0107】
押込検知部90は、保持部100の下方への移動により第一電極62と第二電極101とが所定距離以上離れたことを静電容量の変化で検出する。押込検知部90は、この静電容量の変化により、ユーザの操作を検出する。
【0108】
また、保持部100は、剛性を有しているので、下方へ移動する際、実質的に変形せずに移動する。保持部100は、ユーザの第一部分11aへの操作位置によらず、第一電極62及び第二電極101が平行な関係を維持したまま、水平に下方に移動可能である。これにより、第一部分11aの操作位置によって検出バラツキが発生することを抑制することができる。さらに、保持部100が第二電極101を下方から覆っているので、第一電極62及び第二電極101に外乱ノイズが入射することを抑制することができる。
【0109】
次に、入力装置1の機能構成について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、本実施の形態に係る入力装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0110】
図7に示すように、入力装置1は、機能構成を含む構成として、センサフィルム20と、光源61と、押込検知部90と、振動デバイス110と、制御部140とを備える。
【0111】
光源61は、例えば、基板60と発光素子70とを有し、パネル10の裏面側に配置され、パネル10に操作用の意匠を表示させるための光源である。
【0112】
押込検知部90は、ユーザが第一部分11aを操作したことを検出する。押込検知部90は、パネル10の裏面側に配置される。具体的には、押込検知部90は、例えば、基板60に配置され、操作部11に一定以上の荷重が加わっているときにユーザからの操作を、上記の通り静電容量により検出するように構成される。つまり、押込検知部90は、静電容量式のセンサにおける検出回路である。なお、
図6では、押込検知部90は、基板60における第一電極62が配置される面とは反対側の面に配置されているが、同じ側の面に配置されてもよい。
【0113】
制御部140は、入力装置1の各構成要素を制御する制御装置である。制御部140は、光源61を制御し発光させることで、意匠11a1を表示させる。また、制御部140は、センサフィルム20からの操作位置に関する情報に基づいて、ユーザがどの意匠11a1を操作したか否かを判定し、操作された意匠11a1に応じた制御に関する処理を行う。
【0114】
また、制御部140は、ユーザが操作部11を操作したことを示す検出結果を押込検知部90から取得すると、振動デバイス110を振動させるための制御情報を出力する。制御部140は、押込検知部90の出力に基づき、振動デバイス110の振動を制御するとも言える。制御部140は、例えば、ユーザが操作部11を操作したことを押込検知部90の検出結果から取得し、ユーザが操作した位置(どの意匠11a1を操作したか)をセンサフィルム20からの操作位置に関する情報に基づいて取得する。そして、制御部140は、ユーザが操作した意匠11a1に応じた制御信号を外部に出力する。さらに、制御部140は、ユーザが操作した意匠11a1に応じた態様(例えば、周波数、振動強度等)で振動デバイス110を振動させてもよい。なお、制御部140は、どの意匠11a1が操作されても1つの態様(例えば、周波数、振動強度等)で振動デバイス110を振動させてもよい。
【0115】
制御部140は、例えば、各構成要素を制御するためのプログラムを実行するプロセッサと、当該プログラムを記憶しているメモリとにより実現され、プロセッサがメモリに記録されたソフトウェア(プログラム)を読み出して実行することで、制御部140の各機能が実現される。また、制御部140は、専用回路により実現されてもよい。また、制御部140は、例えば、基板60に実装されている。
【0116】
(実施の形態の変形例1)
以下では、本変形例に係る入力装置について、
図8を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態との相違点を中心に説明し、実施の形態と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
図8は、
図2のVI-VI切断線に対応する切断線で切断された、本変形例に係る入力装置1を模式的に示す断面図である。本変形例に係る入力装置1は、第一電極62と押込検知部90とがスルーホール63を介して接続(電気的に接続)されている点において、実施の形態に係る入力装置1と相違する。
【0117】
図8に示すように、本変形例に係る入力装置1では、基板60を挟んで、基板60の表面(Z軸プラス側の面)に押込検知部90が配置され、基板60の裏面(Z軸マイナス側の面)に第一電極62が配置される。言い換えると、入力装置1は、平面視において、第一電極62と押込検知部90との少なくとも一部が重なるように構成される。平面視において第一電極62の少なくとも一部と押込検知部90の少なくとも一部とが重なる領域を重複領域とも記載する。
【0118】
また、本変形例に係る入力装置1の基板60には、第一電極62と押込検知部90とを接続するためのスルーホール63が形成されている。スルーホール63は、
図8に示す断面視において、第一電極62と押込検知部90との間、例えば、平面視における重複領域に配置される。また、スルーホール63は、例えば、基板60を厚み方向(Z軸方向)に貫通するように配置される。例えば、スルーホール63は、断面視において直線状である。また、スルーホール63は、例えば、第一電極62と押込検知部90とを最短距離で接続するように配置される。
【0119】
なお、
図8では、基板60にスルーホール63が3つ形成されている例を図示しているが、スルーホール63の数は1以上であれば特に限定されない。
【0120】
スルーホール63は、基板60を貫通する貫通孔63aの内壁に金属めっき層63bが形成されたものである。金属めっき層63bは、貫通孔63aの一方の開口と他方の開口とにわたって連続して形成される。これにより、基板60において互いに背向する表面側及び裏面側を、スルーホール63により導通可能である。なお、金属めっき層63bは、例えば、銅めっき層であるがこれに限定されない。例えば、金属めっき層63bは、第一電極62と同じ材料を含んで構成されてもよい。
【0121】
また、基板60には、押込検知部90を基板60の表面に実装するためのランド64が設けられてもよい。ランド64は、基板60の裏面に設けられてもよい。
【0122】
また、貫通孔63aには、例えば導電ペーストのような導電体が充填されていてもよい。この場合、スルーホール63の抵抗値を下げることができ、スルーホール63における損失を抑制できる。
【0123】
(実施の形態の変形例2)
以下では、本変形例に係る入力装置について、
図9を参照しながら説明する。なお、以下では、実施の形態との相違点を中心に説明し、実施の形態と同一又は類似の内容については説明を省略又は簡略化する。
図9は、本変形例に係る振動デバイス110の動作と、押込検知部90の出力の有効/無効状態とを示すタイミングチャートである。本変形例に係る入力装置1は、押込検知部90の出力が無効とされる点において、実施の形態に係る入力装置1と相違する。なお、振動デバイス110は、保持部100に固定されている(例えば、
図6を参照)。
【0124】
図9に示す時刻T1は、押込検知部90が触力覚の発生を開始した時刻であり、時刻T2は、振動デバイス110の振動が停止した時刻であり、時刻T3は、押込検知部90の出力が無効状態から有効状態に切り替わる時刻である。なお、
図9に示す時刻T1~T2までの期間は、振動デバイス110が動作している触力覚提示期間である。触力覚提示期間、押込検知部90の出力は無効状態が維持される。
【0125】
図9に示すように、制御部140は、振動デバイス110が駆動している間(
図9に示す触力覚提示期間)、押込検知部90の出力を無効とする。時刻T1において、振動デバイス110が停止状態から動作状態に切り替わり、かつ、押込検知部90の出力が有効状態から無効状態に切り替わる。制御部140は、例えば、振動デバイス110が停止状態から動作状態に切り替わるときに、押込検知部90の出力が有効状態から無効状態に切り替わるように制御する。無効状態とは、制御部140が押込検知部90からの出力を無視することを意味する。無視するとは、例えば、触力覚提示期間において、押込検知部90の検出結果(例えば、ユーザが操作部11を押下したことを示す検出結果)を取得しても、制御部140が当該検出結果に応じた処理を行わないことである。
【0126】
制御部140は、時刻T2から所定期間経過した時刻T3に押込検知部90の出力を有効にする。言い換えると、制御部140は、触力覚提示期間及び当該触力覚提示期間の後の所定期間にわたって、例えば時刻T1~T3にわたって押込検知部90の出力を無効とする。
【0127】
時刻T3において、押込検知部90の出力が有効状態となると、制御部140は押込検知部90からの出力を取り込む。例えば、制御部140は、押込検知部90の検出結果を取得すると、当該検出結果に応じた処理を行う。
【0128】
これにより、制御部140は、振動デバイス110が動作している間、つまり、振動デバイス110及び保持部100が一体となって振動している間、押込検知部90の出力に基づく振動の制御を行わない。その結果、振動に伴う指の予期せぬ動き(例えば、意図しない動き)に基づく押込検知部90への入力(例えばチャタリング)が抑制され、誤検知を抑制することができる。
【0129】
なお、制御部140は、少なくとも時刻T1~T2の期間、押込検知部90の出力を無効にすればよい。時刻T1~T2の期間(触力覚提示期間)は、押込検知部90がユーザの操作(押し込み)を検知した場合に触力覚により提示を行う期間であり、予め設定された長さの期間である。
【0130】
なお、制御部140は、振動デバイス110の駆動態様(振動条件)に応じて所定期間を異ならせてもよいし、予め設定された固定の期間を所定期間として用いてもよい。所定期間を異ならせる場合、振動デバイス110の駆動態様と、所定期間とが対応付けられたテーブルが用いられてもよい。制御部140は、例えば、振動デバイス110の駆動態様とテーブルとに基づいて所定期間を算出してもよい。振動デバイス110の駆動態様は、振動強度、振動波形及び振動期間等の少なくとも1つを含む。テーブルは、入力装置1が備える記憶部に記憶されていてもよい。
【0131】
なお、制御部140が押込検知部90を無効状態にする構成は、押込検知部90からの出力を無視する構成に限定されるものではない。例えば、制御部140は、押込検知部90への電力供給を断つことで、押込検知部90からの検出結果が出力されないようにしてもよい。
【0132】
なお、
図9では、所定期間が触力覚提示期間より短い例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば振動デバイス110の駆動態様に基づいて、所定期間が触力覚提示期間より長く設定されてもよいし、短く設定されてもよいし、同じに設定されてもよい。また、所定期間は、振動デバイス110の動作が停止(OFF)してから、振動が停止するまでの期間、又は、誤検知しない程度の振動に減衰するまでの期間より長く設定されていればよい。
【0133】
なお、制御部140は、振動デバイス110が動作している間、押込検知部90の出力を無効としているが、それに加え、センサフィルム20からの位置情報も無効にしてもよい。位置情報を無効にするとは、制御部140がセンサフィルム20(例えば、ユーザの身体の一部(例えば指)によりタッチされた位置を検知するためのIC(Integrated Circuit))からの出力(位置情報)を無視することであり、例えば、触力覚提示期間において、ICの検出結果を取得しても、制御部140が当該検出結果に応じた処理を行わないことである。
【0134】
(その他の実施の形態)
以上、一つ又は複数の態様に係る入力装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態等に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示に含まれてもよい。
【0135】
例えば、上記実施の形態では、入力装置は、光透過性を有するパネルと光源とを備える例について説明したが、これに限定されない。例えば、入力装置は、光透過性を有していない(例えば、遮光性を有する)パネルを備え、かつ、光源を備えていなくてもよい。この場合、パネルの表面に表示される意匠は、例えば、パネル表面に印刷により形成された印刷層、シール層等により実現されてもよい。
【0136】
また、上記実施の形態では、パネルの平面視形状が矩形状である例について説明したが、パネルの形状はこれに限定されず、円形状、台形状などであってもよい。
【0137】
また、上記実施の形態では、表示部は平面視において第二部分と重なる位置に設けられる例について説明したが、これに限定されず、少なくとも一部は第一部分と重なる位置に設けられてもよい。
【0138】
また、上記実施の形態では、入力装置がセンサフィルムを備える例について説明したが、これに限定されず、例えば、第一部分に表示される意匠が1つである場合、入力装置は、センサフィルムを備えていなくてもよい。
【0139】
また、上記実施の形態では、保持部の板状の部分と第二電極とが、一体形成される例について説明したが、板状の部分と第二電極とは別体であってもよい。ここでの別体とは、各構成部が、異なる材料で形成されていること、異なるタイミングに形成されること、及び、同一物(単一物)ではないことのうち少なくとも一つが成り立つことを意味する。
【0140】
また、上記実施の形態では、パネル及び保持部のそれぞれが係合ためのリブを有する例について説明したが、パネル及び保持部の少なくとも一方が当該リブを有していればよい。
【0141】
また、上記実施の形態では、基板及び保持部のそれぞれがグランドに接続される例について説明したがこれに限定されず、外乱ノイズを抑制する観点においては、少なくとも保持部がグランドに接続されていればよい。
【0142】
また、上記実施の形態では、第一部分と第二部分との可撓性が異なる例について説明したが、可撓性は同じであってもよい。例えば、第一部分と第二部分とは、同一材料、同一厚みであってもよい。
【0143】
また、上記実施の形態の変形例1では、第一電極と押込検知部とがスルーホールを介して接続される例について説明したがこれに限定されず、基板の表面及び裏面の少なくとも一方に形成された配線とスルーホールとの組み合わせで接続されてもよい。また、スルーホールは、重複領域とは異なる領域に配置されてもよい。
【0144】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックとして実現したり、1つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本開示は、車両等に搭載される入力装置に有用である。
【符号の説明】
【0146】
1 入力装置
10 パネル
11 操作部
11a 第一部分
11a1 意匠
11a2、100a リブ(係合部)
11b 第二部分
12 加飾部
12a 取付部
20 センサフィルム
30 拡散シート
40 導光体ホルダ
50 導光体
60 基板
60a、63a 貫通孔
61 光源
62 第一電極
63 スルーホール
63b 金属めっき層
64 ランド
70 発光素子
80 表示部
81 状態表示
90 押込検知部(静電容量検出部)
100 保持部
100b 突出部
101 第二電極
110 振動デバイス(アクチュエータ)
120 カバー
121 凹部
130 クリップ
140 制御部
t1、t2 厚み
T1、T2、T3 時刻