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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110913
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】操作機構および歩行型作業機
(51)【国際特許分類】
   G05G 7/10 20060101AFI20240808BHJP
   A01B 33/08 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G05G7/10 Z
A01B33/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193758
(22)【出願日】2023-11-14
(31)【優先権主張番号】P 2023015385
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(71)【出願人】
【識別番号】592242327
【氏名又は名称】日本フレックス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】瀬崎 恵一
(72)【発明者】
【氏名】小川 司
(72)【発明者】
【氏名】松田 幸一郎
【テーマコード(参考)】
2B033
3J070
【Fターム(参考)】
2B033AA06
2B033AB01
2B033AC04
2B033BA02
2B033BB02
3J070AA02
3J070BA34
3J070BA51
3J070CC24
3J070CC26
3J070CC33
3J070CC35
3J070DA03
(57)【要約】
【課題】操作入力部が操作された場合及び補助操作入力部が操作された場合の両方で、被操作装置を適切に操作する手段を実現する。
【解決手段】操作入力部が操作された場合及び補助操作入力部が操作された場合に被操作装置を操作する操作機構であって、第1端部31aに操作入力部が接続され第2端部31bに前記被操作装置が接続されるインナワイヤ31と、インナワイヤ31が挿通されるアウタワイヤ32と、アウタワイヤ32の一方の端部である固定端部32aを固定する固定部材34と、補助操作入力部が操作を受け付けたことに応じてアウタワイヤ32の他方の端部である移動端部32bをインナワイヤ31が延びる方向に沿って移動させる移動機構Eと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力部(B)が操作された場合及び補助操作入力部(C)が操作された場合に被操作装置(D)を操作する操作機構(A)であって、
第1端部(31a)に前記操作入力部(B)が接続され第2端部(31b)に前記被操作装置(D)が接続されるインナワイヤ(31)と、
前記インナワイヤ(31)が挿通されるアウタワイヤ(32/33)と、
前記アウタワイヤ(32/33)の一方の端部である固定端部(32a/33a)を固定する固定部材(34/35)と、
前記補助操作入力部(C)が操作を受け付けたことに応じて前記アウタワイヤ(32/33)の他方の端部である移動端部(32b/33b)を前記インナワイヤ(31)が延びる方向に沿って移動させる移動機構(E)と、を備える操作機構(A)。
【請求項2】
前記移動機構(E)は、前記アウタワイヤ(32/33)の前記移動端部(32b/33b)の移動を規制すると共に前記補助操作入力部(C)が操作を受け付けたことに応じて前記移動端部(32b/33b)の移動の規制を解除する規制部材(85)を更に備える請求項1に記載の操作機構(A)。
【請求項3】
前記移動機構(E)は、前記アウタワイヤ(32/33)の前記移動端部(32b/33b)を前記インナワイヤ(31)が延びる方向に沿って付勢する付勢部材(82)を更に備える請求項2に記載の操作機構(A)。
【請求項4】
前記移動機構(E)は、前記補助操作入力部(C)が操作を受け付けたことに応じて前記アウタワイヤ(32/33)の前記移動端部(32b/33b)を前記インナワイヤ(31)が延びる方向のうち前記被操作装置(D)の位置する側へ移動させる請求項3に記載の操作機構(A)。
【請求項5】
前記固定端部(32a/33a)は、前記アウタワイヤ(32/33)の端部のうちの、前記被操作装置(D)の側の端部であり、
前記移動端部(32b/33b)は、前記アウタワイヤ(32/33)の端部のうちの、前記操作入力部(B)の側の端部である請求項4に記載の操作機構(A)。
【請求項6】
前記アウタワイヤ(32/33)の前記移動端部(32b/33b)と前記規制部材(85)とをスライド移動が可能な状態で内部に収容するハウジング(80)を更に備える請求項5に記載の操作機構(A)。
【請求項7】
前記補助操作入力部(C)と前記規制部材(85)とを接続する操作ワイヤ(50/60)を更に備える請求項6に記載の操作機構(A)。
【請求項8】
前記移動機構(E)により前記アウタワイヤ(32)の前記移動端部(32b)が移動したことを示す表示機構(F)を更に備える請求項1に記載の操作機構(A)。
【請求項9】
前記表示機構(F)は、前記アウタワイヤ(32)の表面に付された着色部(32e/32f)である請求項8に記載の操作機構(A)。
【請求項10】
前記アウタワイヤ(32)の前記移動端部(32b)をスライド移動が可能な状態で内部に収容するハウジング(80)を更に備え、
前記着色部(32e)は、前記移動機構(E)による前記移動端部(32b)の移動によって、前記ハウジング(80)の内部と外部との間で移動する請求項9に記載の操作機構(A)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の操作機構(A)と、前記操作入力部(B)と、前記補助操作入力部(C)と、前記被操作装置(D)と、を備える歩行型作業機。
【請求項12】
主クラッチ(24)と、
前記操作入力部(B)としての旋回レバーと、
前記補助操作入力部(C)としての主クラッチレバー(3)と、
前記被操作装置(D)としての作業クラッチ(25)と、を備え、
前記主クラッチレバー(3)が揺動した場合に前記主クラッチ(24)が入り切りされ、
前記主クラッチレバー(3)が機体前後方向に移動した場合に前記移動機構(E)が作動する請求項11に記載の歩行型作業機。
【請求項13】
請求項8から10のいずれか1項に記載の操作機構(A)と、前記操作入力部(B)と、前記補助操作入力部(C)と、前記被操作装置(D)と、操縦ハンドル(16)と、を備え、
前記操作機構(A)及び前記表示機構(F)が前記操縦ハンドル(16)に設けられている歩行型作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作機構および歩行型作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、歩行型管理機が開示されている。この歩行型管理機では、PTOクラッチのシフトフォークが、操縦ハンドルのPTOクラッチレバーに、操作ワイヤを介して連動連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-8413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の歩行型管理機において、PTOクラッチレバーとは別の操作入力部からの操作でPTOクラッチを入切できるようにする場合、その操作入力部とPTOクラッチとを操作ワイヤで接続することが考えられる。
【0005】
しかし、1つの被操作装置に複数の操作ワイヤを接続した場合、1つの操作ワイヤの動きを他の操作ワイヤが阻害して、被操作装置が適切に動作しないおそれがある。例えば、他の操作ワイヤの重みにより、被操作装置の操作部材が動かないおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、操作入力部が操作された場合及び補助操作入力部が操作された場合の両方で、被操作装置を適切に操作する手段を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する手段として、本発明の操作機構は、操作入力部が操作された場合及び補助操作入力部が操作された場合に被操作装置を操作する操作機構であって、第1端部に前記操作入力部が接続され第2端部に前記被操作装置が接続されるインナワイヤと、前記インナワイヤが挿通されるアウタワイヤと、前記アウタワイヤの一方の端部である固定端部を固定する固定部材と、前記補助操作入力部が操作を受け付けたことに応じて前記アウタワイヤの他方の端部である移動端部を前記インナワイヤが延びる方向に沿って移動させる移動機構と、を備えることを特徴とする。
【0008】
操作入力部が操作を受け付けた場合、インナワイヤにより操作が伝達され、被操作装置が操作される。補助操作入力部が操作を受け付けた場合、移動機構によりアウタワイヤの移動端部がインナワイヤが延びる方向に沿って移動する。その移動によりインナワイヤの第2端部が動くので、被操作装置が操作される。そして被操作装置への操作の伝達は、操作入力部が操作された場合であっても、補助操作入力部が操作された場合であっても、同一のインナワイヤによって実現されることになる。従って上記の特徴によれば、操作入力部が操作された場合及び補助操作入力部が操作された場合の両方で、被操作装置が適切に操作される。
【0009】
本発明において、前記移動機構は、前記アウタワイヤの前記移動端部の移動を規制すると共に前記補助操作入力部が操作を受け付けたことに応じて前記移動端部の移動の規制を解除する規制部材を更に備えると好ましい。
【0010】
上記の特徴によれば、規制部材によりアウタワイヤの移動が規制及び解除されるので、移動機構によるアウタワイヤの移動端部の移動が適切に実現される。
【0011】
本発明において、前記移動機構は、前記アウタワイヤの前記移動端部を前記インナワイヤが延びる方向に沿って付勢する付勢部材を更に備えると好ましい。
【0012】
上記の特徴によれば、付勢部材によって移動端部が付勢されるので、移動端部の移動がスムーズになり、移動機構によるアウタワイヤの移動端部の移動が更に適切に実現される。
【0013】
本発明において、前記移動機構は、前記補助操作入力部が操作を受け付けたことに応じて前記アウタワイヤの前記移動端部を前記インナワイヤが延びる方向のうち前記被操作装置の位置する側へ移動させると好ましい。
【0014】
移動端部がアウタワイヤの端部のうちの操作入力部の側の端部である場合、移動端部が被操作装置の位置する側へ移動すると、アウタワイヤの湾曲が大きくなり、インナワイヤの第2端部が被操作装置から離れる方へ移動する。また、移動端部がアウタワイヤの端部のうちの被操作装置の側の端部である場合、移動端部が被操作装置の位置する側へ移動すると、アウタワイヤの湾曲が小さくなり、インナワイヤの第2端部が被操作装置へ近付く方へ移動する。すなわち上記の特徴によれば、補助操作入力部が操作された場合に被操作装置が適切に操作される。
【0015】
本発明において、前記固定端部は、前記アウタワイヤの端部のうちの、前記被操作装置の側の端部であり、前記移動端部は、前記アウタワイヤの端部のうちの、前記操作入力部の側の端部であると好ましい。
【0016】
上記の特徴によれば、移動端部が被操作装置の位置する側へ移動すると、アウタワイヤの湾曲が大きくなり、インナワイヤの第2端部が被操作装置から離れる方へ移動する。すなわち上記の特徴によれば、補助操作入力部が操作された場合に被操作装置が適切に操作される。
【0017】
本発明において、前記アウタワイヤの前記移動端部と前記規制部材とをスライド移動が可能な状態で内部に収容するハウジングを更に備えると好ましい。
【0018】
上記の特徴によれば、移動端部と規制部材とがハウジングの内部に収容されるので、移動端部及び規制部材が適切にスライド移動できるよう保護される。
【0019】
本発明において、前記補助操作入力部と前記規制部材とを接続する操作ワイヤを更に備えると好ましい。
【0020】
上記の特徴によれば、補助操作入力部と規制部材とが操作ワイヤにより接続されるので、補助操作入力部の配置の自由度が確保される。
【0021】
本発明において、前記移動機構により前記アウタワイヤの前記移動端部が移動したことを示す表示機構を更に備えると好ましい。
【0022】
上記の特徴によれば、移動機構の作動によって被操作装置が操作されたことを、オペレータが表示装置により容易に視認することができる。
【0023】
本発明において、前記表示機構は、前記アウタワイヤの表面に付された着色部であると好ましい。
【0024】
上記の特徴によれば、故障の可能性が小さい表示機構を低コストで実現することができる。
【0025】
本発明において、前記アウタワイヤの前記移動端部をスライド移動が可能な状態で内部に収容するハウジングを更に備え、前記着色部は、前記移動機構による前記移動端部の移動によって、前記ハウジングの内部と外部との間で移動すると好ましい。
【0026】
上記の特徴によれば、着色部がハウジングの内部と外部との間で移動するので、被操作装置が操作されたことの視認が更に容易になる。
【0027】
上述した課題を解決する手段として、本発明の歩行型作業機は、上述した操作機構と、前記操作入力部と、前記補助操作入力部と、前記被操作装置と、を備えることを特徴とする。
【0028】
上記の特徴によれば、歩行型作業機において、操作入力部が操作された場合及び補助操作入力部が操作された場合の両方で、被操作装置が適切に操作される。
【0029】
本発明において、主クラッチと、前記操作入力部としての旋回レバーと、前記補助操作入力部としての主クラッチレバーと、前記被操作装置としての作業クラッチと、を備え、前記主クラッチレバーが揺動した場合に前記主クラッチが入り切りされ、前記主クラッチレバーが機体前後方向に移動した場合に前記移動機構が作動すると好ましい。
【0030】
上記の特徴によれば、主クラッチレバーが機体の前後方向に操作された場合に移動機構が作動する。従って、操作入力部である旋回レバーが操作された場合及び補助操作入力部である主クラッチレバーが機体の前後方向に操作された場合の両方で、被操作装置である作業クラッチが適切に操作される。
【0031】
上述した課題を解決する手段として、本発明の歩行型作業機は、上述した操作機構と、前記操作入力部と、前記補助操作入力部と、前記被操作装置と、操縦ハンドルと、を備え、前記操作機構及び前記表示機構が前記操縦ハンドルに設けられていることを特徴とする。
【0032】
上記の特徴によれば、歩行型作業機において、操作入力部が操作された場合及び補助操作入力部が操作された場合の両方で、被操作装置が適切に操作される。そして、補助操作入力部が操作されて被操作装置が操作されたことを、オペレータが表示装置により容易に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】歩行型作業機の右側面図である。
図2】歩行型作業機の平面図である。
図3】動力伝達系統及び操作系統を示す図である。
図4】操作機構を示す図である。
図5】操作機構及び移動機構の動作を説明する模式図である。
図6】操作機構を示す図である。
図7】操作機構及び移動機構の動作を説明する模式図である。
図8】操作機構の参考例を示す図である。
図9】操作機構の参考例を示す図である。
図10】歩行型作業機の右側面図である。
図11】歩行型作業機の平面図である。
図12】操作機構及び表示機構を示す図である。
図13】移動機構が作動した状態の操作機構及び表示機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る歩行型作業機の一例である歩行型管理機について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0035】
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、歩行型管理機の作業走行時における前進側の進行方向(図1,2における矢印FR参照)が「前」、後進側への進行方向(図1,2における矢印BK参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(図2における矢印RH参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(図2における矢印LH参照)が「左」である。「上」及び「下」は、図1,2において矢印UP及び矢印DWで示されている。
【0036】
〔全体構成〕
図1に示すように、歩行型管理機の走行機体には、機体フレーム1の一部を構成するエンジンフレーム10上に、駆動源となるエンジン11が搭載されている。
【0037】
エンジンフレーム10の後方側に、エンジンフレーム10とともに機体フレーム1を構成するミッションケース2が一体に連結されている。エンジン11とミッションケース2はベルト伝動機構を介して動力伝達可能に連動連結されている。
【0038】
ミッションケース2は、下方に延出された前部ケース2Aと、斜め後方下方に延出された後部ケース2Bとを備えて二股状に形成されている。
【0039】
前部ケース2Aの下部に、車軸20を介して、左右の走行装置13が支持されている。
本実施形態では、走行装置13は車輪である。走行装置13が、クローラ走行装置など、他の形態の装置であってもよい。
【0040】
後部ケース2Bに、駆動軸21を介して、作業装置14が支持されている。本実施形態では、作業装置14はロータリ耕耘装置である。作業装置14が、畝立て機や播種機など、他の形態の装置であってもよい。
【0041】
エンジン11の動力は、ベルト伝動機構を経てミッションケース2の内部のギヤ変速機構へ伝達される。ベルト伝動機構は、クラッチ操作アームによって動力伝達を入切可能に構成されている。このベルト伝動機構とクラッチ操作アームによって、走行駆動系及び作業駆動系への動力伝達を断続する主クラッチ24(図3)が構成されている。
【0042】
ミッションケース2の内部には、作業クラッチ25、走行クラッチ26、及びデフ機構27が備えられている(図3参照)。主クラッチ24からの動力が、分岐されて、作業クラッチ25及び走行クラッチ26へ伝達される。
【0043】
作業クラッチ25は、作業装置14への動力伝達を入切する。走行クラッチ26は、デフ機構27を介した走行装置13への動力伝達を入切する。デフ機構27は、左右の走行装置13の差動を規制可能である。作業クラッチ25は、後述する被操作装置Dの一例である。
【0044】
ミッションケース2の上部から斜め後方上方に向けて主変速レバー15が延出されている。この主変速レバー15を操作することにより、走行装置13の変速操作及び正逆転操作、並びに作業装置14の正逆転操作を行うことができる。
【0045】
ミッションケース2の後部から機体後方に向けて操縦ハンドル16が延出されている。
操縦ハンドル16の右側部分に旋回レバー17、停止スイッチ18、及びスロットルレバー19が配設されている。操縦ハンドル16の後端側に主クラッチレバー3が配設されている。
【0046】
旋回レバー17は、歩行型管理機の状態を、直進しながら作業を行う状態と、作業を停止してターンを容易にする状態と、に切り換えるための人為操作具である。旋回レバー17は、作業クラッチ25及びデフ機構27に接続されている。
【0047】
旋回レバー17が切り位置にあるとき、作業クラッチ25は動力伝達する状態(クラッチ入り)であり、デフ機構27は走行装置13の差動を規制する状態(ロック状態)である。
【0048】
旋回レバー17が入り位置にあるとき、作業クラッチ25は動力伝達しない状態(クラッチ切り)であり、デフ機構27は走行装置13の差動を規制しない状態(アンロック状態)である。
【0049】
停止スイッチ18は、エンジン11の停止操作用としてエンジン11の制御系に配線されている。
【0050】
スロットルレバー19は、エンジン11の回転数を操作するためのものである。本実施形態では、スロットルレバー19は、オペレータが手を離したとしても操作位置で保持されるように構成されている。なおスロットルレバー19が、オペレータが手を離すと自動的に初期位置に戻るように構成されてもよい。
【0051】
エンジン11から作業クラッチ25及び走行クラッチ26への動力伝達を入切する主クラッチ24が備えられている。主クラッチレバー3は、主クラッチ24の入切操作用として主クラッチ24に接続されている。
【0052】
本実施形態では、歩行型管理機は、主クラッチレバー3を揺動及び機体前後方向への移動を許容する状態で支持する支持機構3aを備える。支持機構3aは、例えば、機体前後方向に延びる長穴を備えた部材である。主クラッチレバー3の端部が支持機構3aの長穴に挿入された状態で、主クラッチレバー3が支持機構3aに支持される。主クラッチレバー3の端部は、図示しない機構により機体前側へ付勢されている。つまり本実施形態では、主クラッチレバー3は、機体左右方向に延びる軸芯P周りの揺動と、機体前後方向への移動と、が可能である。
【0053】
主クラッチレバー3の軸芯P周りの揺動により、主クラッチ24が入切操作される。具体的には、主クラッチレバー3が図1の位置a1にあるとき、主クラッチ24は切り状態となる。オペレータの操作により揺動して主クラッチレバー3が図1の位置a2にあるとき、主クラッチ24は入り状態となる。主クラッチレバー3は、図示しない機構により位置a1に向けて付勢されている。オペレータが手を離すと、主クラッチレバー3は位置a1へ戻る。
【0054】
主クラッチレバー3の機体後方への移動により、後述する操作機構Aの移動機構Eが作動する。主クラッチレバー3の機体後方への移動は、例えば、オペレータが主クラッチレバー3を位置a2へ操作して保持しているときに、圃場に埋まった石との接触等により歩行型管理機が急加速した際に生じ得る。なおこの場合の主クラッチレバー3の移動はオペレータが意図して生じたものではないが、本実施形態では、オペレータとの接触により人為操作具に動きが生じた場合、オペレータの意図の有無にかかわらず、人為操作具が「操作された」と表現する。
【0055】
以上のように構成された歩行型管理機では、オペレータは、操縦ハンドル16を持って歩行型管理機を操縦すると共に、走行する歩行型管理機と共に歩行する。旋回は、オペレータが操縦ハンドル16を左右に向けて、歩行型管理機の走行方向を変化させることにより行われる。
【0056】
〔動力伝達系統及び操作系統〕
図3に、本実施形態の歩行型管理機の、動力伝達系統及び操作系統が示されている。
【0057】
動力伝達系統について説明する。作業装置14へのエンジン11からの動力伝達は、主クラッチ24及び作業クラッチ25を経由して行われる。走行装置13へのエンジン11からの動力伝達は、主クラッチ24、走行クラッチ26、及びデフ機構27を経由して行われる。
【0058】
操作系統について説明する。本実施形態の歩行型管理機は、操作機構Aを備える。操作機構Aは、操作入力部B(旋回レバー17)が操作された場合及び補助操作入力部C(主クラッチレバー3)が操作された場合に被操作装置D(作業クラッチ25)を操作する。
【0059】
〔操作機構〕
図3-5を参照しながら、操作機構Aについて説明する。なお以降の操作機構Aの説明において、部材の位置関係や移動方向を、図中に示される矢印X1、X2、Y1、Y2の方向で示す場合がある。
【0060】
操作機構Aは、第1操作ワイヤ30、第2操作ワイヤ40、第3操作ワイヤ50、第4操作ワイヤ60、主ハウジング80、及び副ハウジング90を備える。
【0061】
主ハウジング80は、歩行型管理機の機体に固定されている。なお、主ハウジング80が歩行型管理機の機体に固定されていなくてもよい。主ハウジング80が、操作ワイヤの機体への固定に伴って間接的に固定されていてもよい。
【0062】
副ハウジング90は、歩行型管理機の機体に固定されている。なお、副ハウジング90が歩行型管理機の機体に固定されていなくてもよい。副ハウジング90が、操作ワイヤの機体への固定に伴って間接的に固定されていてもよい。
【0063】
第1操作ワイヤ30は、操作入力部Bである旋回レバー17と、被操作装置Dである作業クラッチ25と、を接続する。
【0064】
第1操作ワイヤ30は、第1インナワイヤ31、第1アウタワイヤ32、及び副アウタワイヤ33を備える。第1インナワイヤ31が、第1アウタワイヤ32及び副アウタワイヤ33に挿通されている。第1インナワイヤ31が特許請求の範囲の「インナワイヤ」に対応する。第1アウタワイヤ32が特許請求の範囲の「アウタワイヤ」に対応する。
【0065】
第1インナワイヤ31の第1端部31aは、旋回レバー17に接続されている。なお、第1端部31aは、旋回レバー17に直接接続されてもよいし、他の操作ワイヤやレバー等を介して間接的に接続されてもよい。以下、他のインナワイヤの端部と操作具や装置との接続についても同様である。
【0066】
第1インナワイヤ31の第2端部31bは、作業クラッチ25に接続されている。
【0067】
第1インナワイヤ31の中間部に、部材31cが設けられている。部材31cは、第1インナワイヤ31に対して固定されている。部材31cは、主ハウジング80の内部空間83に収容されており、第1インナワイヤ31のX1-X2方向の移動に伴って内部空間83の内部を移動する。
【0068】
第1インナワイヤ31が、連係部材84の貫通孔84aに挿通されている。第1インナワイヤ31に固定された部材31cが、連係部材84よりもX2側(第2端部31bの側、作業クラッチ25の側)に位置している。
【0069】
第1アウタワイヤ32の第3端部32aは、支持部材34により歩行型管理機の機体に固定されている。第3端部32aが特許請求の範囲の「固定端部」に対応する。支持部材34が特許請求の範囲の「固定部材」に対応する。
【0070】
第1アウタワイヤ32の第4端部32bは、X1-X2方向にスライド移動が可能な状態で、主ハウジング80に支持されている。第4端部32bは、主ハウジング80の内部空間81に収容されている。第4端部32b及び第1アウタワイヤ32は、主ハウジング80に対してX1-X2方向に共にスライド移動が可能なように、連結または一体に形成されている。すなわち、第1アウタワイヤ32は主ハウジング80に固定されていない。
第4端部32bが特許請求の範囲の「移動端部」に対応する。
【0071】
第4端部32bは、コイルスプリング82によってX2方向(第2端部31bの側、作業クラッチ25の側)に付勢されている。第4端部32bは、小径部32c及び大径部32dを有する。小径部32cはコイルスプリング82に挿通されている。
【0072】
第4端部32bは、規制部材85(後述)と接触して、図4に図示される位置に保持されている。
【0073】
副アウタワイヤ33の第5端部33aは、支持部材35により歩行型管理機の機体に固定されている。
【0074】
副アウタワイヤ33の第6端部33bは、主ハウジング80に固定されている。
【0075】
第2操作ワイヤ40は、旋回レバー17と、デフ機構27と、を接続する。
【0076】
第2操作ワイヤ40は、第2インナワイヤ41及び第2アウタワイヤ42を備える。第2インナワイヤ41が、第2アウタワイヤ42に挿通されている。
【0077】
第2インナワイヤ41の第7端部41aは、デフ機構27に接続されている。
【0078】
第2インナワイヤ41の第8端部41bは、連係部材84と一体化した状態、且つ、X1-X2方向にスライド移動が可能な状態で、主ハウジング80の内部空間83の内部に位置している。
【0079】
第2アウタワイヤ42の第9端部42aは、支持部材43により歩行型管理機の機体に固定されている。
【0080】
第2アウタワイヤ42の第10端部42bは、主ハウジング80に固定されている。
【0081】
第3操作ワイヤ50は、主ハウジング80と、副ハウジング90と、を接続する。
【0082】
第3操作ワイヤ50は、第3インナワイヤ51及び第3アウタワイヤ52を備える。第3インナワイヤ51が、第3アウタワイヤ52に挿通されている。
【0083】
第3インナワイヤ51の第11端部51aは、規制部材85と一体化した状態で、主ハウジング80の内部空間81の内部に位置している。規制部材85は、コイルスプリング86によってY2方向(第1アウタワイヤ32及び第4端部32bに近付く方向)に付勢されている。図4に図示された状態で、規制部材85、は第1アウタワイヤ32の第4端部32bに接触して、第4端部32bを図示の位置に保持している。
【0084】
第3インナワイヤ51の第12端部51bは、部材91と一体化した状態、且つ、X1-X2方向にスライド移動が可能な状態で、副ハウジング90の内部空間92の内部に位置している。
【0085】
第3アウタワイヤ52の第13端部52aは、主ハウジング80に固定されている。
【0086】
第3アウタワイヤ52の第14端部52bは、副ハウジング90に固定されている。
【0087】
第4操作ワイヤ60は、補助操作入力部Cである主クラッチレバー3と、副ハウジング90と、を接続する。本実施形態では、2本の第4操作ワイヤ60が設けられている。
【0088】
第4操作ワイヤ60は、第4インナワイヤ61及び第4アウタワイヤ62を備える。第4インナワイヤ61が、第4アウタワイヤ62に挿通されている。
【0089】
第4インナワイヤ61の第15端部61aは、部材91と一体化した状態、且つ、X1-X2方向にスライド移動が可能な状態で、副ハウジング90の内部空間92の内部に位置している。
【0090】
第4インナワイヤ61の第16端部61bは、補助操作入力部Cである主クラッチレバー3に接続されている。詳しくは、第16端部61bは、主クラッチレバー3が機体後方へ移動した場合に引かれる(X1方向へ移動する)ように、主クラッチレバー3に接続されている。なお、2つの第4インナワイヤ61の2つの第16端部61bが、主クラッチレバー3の右端部と左端部とに接続されている。
【0091】
第4アウタワイヤ62の第17端部62aは、副ハウジング90に固定されている。
【0092】
第4アウタワイヤ62の第18端部62bは、支持部材63により歩行型管理機の機体に固定されている。
【0093】
〔操作入力部が操作を受け付けたときの操作機構の動作〕
操作入力部B(旋回レバー17)が操作を受け付けたときの操作機構Aの動作について説明する。
【0094】
本実施形態では、第1インナワイヤ31が引き操作されると作業クラッチ25が切り状態となり、第1インナワイヤ31の引き操作が解除されると作業クラッチ25が入り状態となるように、作業クラッチ25が構成されている。
【0095】
すなわち、旋回レバー17が入り位置(旋回のための操作位置)にあるとき、旋回レバー17が第1インナワイヤ31を引き操作して、第1端部31a及び第2端部31bがX1寄りに位置して、作業クラッチ25が切り状態になる。旋回レバー17が切り位置(直進作業のための操作位置)にあるとき、旋回レバー17による第1インナワイヤ31の引き操作が解除されて、第1端部31a及び第2端部31bがX2寄りに位置して、作業クラッチ25が入り状態になる。
【0096】
以下詳しく説明する。旋回レバー17が切り位置から入り位置へ操作されると、第1インナワイヤ31の第1端部31aが引かれて、第1インナワイヤ31、部材31c、及び第2端部31bがX1側へ移動する。
【0097】
第2端部31bのX1側への移動により、作業クラッチ25が操作され、作業クラッチ25が入り状態から切り状態へ変化する。すなわち、作業クラッチ25が動力伝達しない状態となり、作業装置14が停止する。
【0098】
部材31cのX1側への移動により、連係部材84(すなわち第8端部41b)がX1側へ移動する。これにより、第2インナワイヤ41及び第7端部41aがX1側へ移動する。第7端部41aのX1側への移動により、デフ機構27が操作され、デフ機構27がロック状態からアンロック状態へ変化する。すなわち、デフ機構27が走行装置13の差動を規制しない状態となり、歩行型管理機の旋回が容易になる。
【0099】
旋回レバー17が入り位置から切り位置へ操作されると、第1インナワイヤ31の引き操作が解除され、第1インナワイヤ31、第1端部31a、第2端部31b、及び部材31cはX2方向へ移動可能となる。これに伴い、第2インナワイヤ41、第7端部41a、及び連係部材84(第8端部41b)はX2方向へ移動可能となる。
【0100】
作業クラッチ25は、第1インナワイヤ31を介して入力されていた旋回レバー17からの操作力が無くなったことにより、切り状態から入り状態へ変化する。すなわち、作業クラッチ25が動力伝達する状態となり、作業装置14が駆動される。
【0101】
第1インナワイヤ31の第2端部31bが作業クラッチ25に引かれて、第1インナワイヤ31、第1端部31a、第2端部31b、及び部材31cがX2側へ移動する。
【0102】
デフ機構27は、第2インナワイヤ41を介して入力されていた旋回レバー17からの操作力が無くなったことにより、デフロック切り状態からデフロック入り状態へ変化する。すなわち、デフ機構27が走行装置13の差動を規制する状態となり、歩行型管理機の直進走行が容易になる。
【0103】
第2インナワイヤ41の第7端部41aがデフ機構27に引かれて、第2インナワイヤ41、第7端部41a、及び連係部材84(第8端部41b)がX2側へ移動する。
【0104】
〔補助操作入力部が操作を受け付けたときの操作機構及び移動機構の動作〕
操作機構Aは、移動機構Eを備える。移動機構Eは、補助操作入力部Cが操作を受け付けたことに応じて第1アウタワイヤ32の他方の端部である第4端部32b(移動端部)を第1インナワイヤ31が延びる方向(X1-X2方向)に沿って移動させる。
【0105】
補助操作入力部C(主クラッチレバー3)が操作を受け付けたときの操作機構A及び移動機構Eの動作について説明する。
【0106】
旋回レバー17が切り位置にあって歩行型管理機が直進作業を行う状態とする。第1インナワイヤ31の引き操作は解除されており、作業クラッチ25は入り状態(動力伝達する状態)である。
【0107】
主クラッチレバー3が機体後方へ移動すると、第4インナワイヤ61の第16端部61bが引かれて、第4インナワイヤ61、部材91、及び第3インナワイヤ51がX1側へ移動する。これに伴い、規制部材85がY1側へ移動する。
【0108】
規制部材85がY1側へ移動すると、第1アウタワイヤ32の第4端部32b(移動端部)が、コイルスプリング82の付勢によりX2方向へ移動する。この第4端部32bの移動により、第1インナワイヤ31の第2端部31bがX1方向へ移動し、作業クラッチ25が切り状態へ操作される。
【0109】
この動作について図5を参照しながら説明する。図5の上段は、図4の状態にある第1操作ワイヤ30を示している。図5の上段の状態から、第4端部32b(移動端部)が距離ZだけX2側へ移動した状態を図5の下段に示す。このとき第1インナワイヤ31の第1端部31aは移動しない(旋回レバー17は操作されていないため)。従って、第1アウタワイヤ32からの第1インナワイヤ31のX1側への露出長さ(第1端部31aと第4端部32bの離間距離)が距離Zだけ増加することになる。
【0110】
第1インナワイヤ31及び第1アウタワイヤ32の長さは変化しない。そうすると、第1アウタワイヤ32からの第1インナワイヤ31のX2側への露出長さ(第2端部31bと第3端部32aの離間距離)が距離Zだけ減少することになる。第1アウタワイヤ32の第3端部32a(固定端部)は移動しない(支持部材34により固定されているため)。従って、第1インナワイヤ31の第2端部31bが距離ZだけX1方向へ移動することになる。このような、第1アウタワイヤ32の第3端部32a及び第1インナワイヤ31の第2端部31bの移動は、図5に示されるように、第1操作ワイヤ30の中間部の湾曲が変形可能なことにより、可能となる。
【0111】
以上述べた動作により、主クラッチレバー3が機体後方へ操作されると、第1インナワイヤ31の第2端部31bがX1方向へ移動し、作業クラッチ25が入り状態から切り状態へ操作される。すなわち、作業クラッチ25が動力伝達しない状態となり、作業装置14が停止する。
【0112】
主クラッチレバー3の機体後方への引き操作力が消失すると、主クラッチレバー3は機体前方へ移動する。第4インナワイヤ61及び第3インナワイヤ51はX2方向へ移動可能となり、規制部材85はY2方向へ移動可能となる。
【0113】
旋回レバー17が入り位置へ操作されると、第1インナワイヤ31がX1方向へ引っ張り操作され、第1インナワイヤ31の張力により第1アウタワイヤ32の第4端部32bがX1方向へ移動して図4の位置へ復帰する。規制部材85が、コイルスプリング86の付勢力によりY2方向へ移動して、図4の位置へ復帰する。
【0114】
なお、旋回レバー17の入り位置への操作により、上述の通り、第1インナワイヤ31の第1端部31aが引かれて、第1インナワイヤ31、部材31c、及び第2端部31bがX1側へ移動する。第2端部31bのX1側への移動により、作業クラッチ25が操作され、作業クラッチ25が入り状態から切り状態へ変化する。部材31cのX1側への移動により、連係部材84(すなわち第8端部41b)がX1側へ移動する。これにより、第2インナワイヤ41及び第7端部41aがX1側へ移動する。第7端部41aのX1側への移動により、デフ機構27が操作され、デフ機構27がロック状態からアンロック状態へ変化する。
【0115】
また、旋回レバー17が入り位置から切り位置へ操作されると、上述の通り、第1インナワイヤ31の引き操作が解除され、第1インナワイヤ31、第1端部31a、第2端部31b、及び部材31cはX2方向へ移動可能となる。これに伴い、第2インナワイヤ41、第7端部41a、及び連係部材84(第8端部41b)はX2方向へ移動可能となる。作業クラッチ25は、第1インナワイヤ31を介して入力されていた旋回レバー17からの操作力が無くなったことにより、切り状態から入り状態へ変化する。デフ機構27は、第2インナワイヤ41を介して入力されていた旋回レバー17からの操作力が無くなったことにより、デフロック切り状態からデフロック入り状態へ変化する。
【0116】
本実施形態の移動機構Eは、コイルスプリング82及び規制部材85を含む。
【0117】
コイルスプリング82は、第1アウタワイヤ32の第4端部32b(移動端部)を、第1インナワイヤ31が延びる方向(X1-X2方向)に沿って付勢する。コイルスプリング82が特許請求の範囲の「付勢部材」に対応する。
【0118】
規制部材85は、コイルスプリング82の付勢力に抗して第1アウタワイヤ32の第4端部32b(移動端部)の移動を規制すると共に主クラッチレバー3(補助操作入力部)が操作を受け付けたことに応じて第4端部32bの移動の規制を解除する。
【0119】
上述の通り、移動機構Eは、主クラッチレバー3(補助操作入力部C)が操作を受け付けたことに応じて第1アウタワイヤ32の第4端部32b(移動端部)を作業クラッチ25(被操作装置D)の位置する側へ移動させる。
【0120】
第3端部32a(固定端部)は、第1アウタワイヤ32の端部のうちの、作業クラッチ25(被操作装置D)の側の端部である。第4端部32b(移動端部)は、第1アウタワイヤ32の端部のうちの、旋回レバー17(操作入力部B)の側の端部である。
【0121】
操作機構Aは、主ハウジング80を備える。主ハウジング80は、第1アウタワイヤ32の第4端部32b(移動端部)と規制部材85とをスライド移動が可能な状態で内部に収容する。主ハウジング80が特許請求の範囲の「ハウジング」に対応する。
【0122】
操作機構Aは、第3操作ワイヤ50及び第4操作ワイヤ60を備える。第3操作ワイヤ50及び第4操作ワイヤ60は、主クラッチレバー3(補助操作入力部C)と規制部材85とを接続する。第3操作ワイヤ50及び第4操作ワイヤ60が特許請求の範囲の「操作ワイヤ」に対応する。
【0123】
〔第1実施形態の変形例〕
上述の実施形態では、操作機構Aの移動機構Eが、主クラッチレバー3(補助操作入力部C)が操作を受け付けたことに応じて第1アウタワイヤ32の第4端部32b(移動端部)を作業クラッチ25(被操作装置D)の位置する側へ移動させる。換言すれば、移動機構Eは、第1インナワイヤ31及び第1アウタワイヤ32が図5の上段の状態から下段の状態へ遷移することにより動作する。
【0124】
これを改変して、移動機構Eが、第1アウタワイヤ32の第4端部32b(移動端部)を旋回レバー17(操作入力部B)の位置する側へ移動させるように構成されてもよい。
この場合、移動機構Eは、第1インナワイヤ31及び第1アウタワイヤ32が図5の下段の状態から上段の状態へ遷移することにより動作する。
【0125】
〔第2実施形態〕
図6図7を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明では、上述の実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する場合がある。
説明されない構成については、上述の実施形態と同様の構成が採用される。
【0126】
第1実施形態と同様に、第1操作ワイヤ30は、第1インナワイヤ31、第1アウタワイヤ32、及び副アウタワイヤ33を備える。第1インナワイヤ31が、第1アウタワイヤ32及び副アウタワイヤ33に挿通されている。第1インナワイヤ31が特許請求の範囲の「インナワイヤ」に対応する。第1実施形態と異なり、副アウタワイヤ33が特許請求の範囲の「アウタワイヤ」に対応する。
【0127】
第1アウタワイヤ32の第4端部32bは、第1実施形態と異なり、主ハウジング80に固定されている。
【0128】
副アウタワイヤ33の第5端部33aは、支持部材35により歩行型管理機の機体に固定されている。第1実施形態と異なり、本実施形態では、副アウタワイヤ33の第5端部33aが特許請求の範囲の「固定端部」に対応する。支持部材35が特許請求の範囲の「固定部材」に対応する。
【0129】
副アウタワイヤ33の第6端部33bは、第1実施形態と異なり、X1-X2方向にスライド移動が可能な状態で、主ハウジング80に支持されている。第6端部33bは、主ハウジング80の内部空間81に収容されている。第6端部33b及び副アウタワイヤ33は、主ハウジング80に対してX1-X2方向にスライド移動が可能である。すなわち、副アウタワイヤ33は主ハウジング80に固定されていない。第1実施形態と異なり、本実施形態では、副アウタワイヤ33の第6端部33bが特許請求の範囲の「移動端部」に対応する。
【0130】
第6端部33bは、コイルスプリング82によってX1方向(第1端部31aの側、旋回レバー17の側)に付勢されている。
【0131】
第6端部33bは、規制部材85と接触して、図6に図示される位置に保持されている。なお、第1インナワイヤ31は、規制部材85のY2側の端部の溝85a(図6の紙面に平行な溝)を通過している。
【0132】
本実施形態では、第2操作ワイヤ40は、主ハウジング80に接続されていない。第2操作ワイヤ40が、旋回レバー17に直接接続されてもよいし、第1実施形態と同様の形態で第1操作ワイヤ30と連動されてもよい。
【0133】
〔操作入力部が操作を受け付けたときの操作機構の動作〕
操作入力部B(旋回レバー17)が操作を受け付けたときの操作機構Aの動作について説明する。
【0134】
第1実施形態と異なり、本実施形態では、第1インナワイヤ31が引き操作されると作業クラッチ25が入り状態となり、第1インナワイヤ31の引き操作が解除されると作業クラッチ25が切り状態となるように、作業クラッチ25が構成されている。
【0135】
すなわち、旋回レバー17が入り位置(旋回のための操作位置)にあるとき、旋回レバー17による第1インナワイヤ31の引き操作が解除されて、第1端部31a及び第2端部31bがX1寄りに位置して、作業クラッチ25が切り状態になる。旋回レバー17が切り位置(直進作業のための操作位置)にあるとき、旋回レバー17が第1インナワイヤ31を引き操作して、第1端部31a及び第2端部31bがX2寄りに位置して、作業クラッチ25が入り状態になる。
【0136】
以下詳しく説明する。旋回レバー17が切り位置から入り位置へ操作されると、第1インナワイヤ31の引き操作が解除され、第1インナワイヤ31、第1端部31a、及び第2端部31bはX2方向へ移動可能となる。
【0137】
作業クラッチ25は、第1インナワイヤ31を介して入力されていた旋回レバー17からの操作力が無くなったことにより、入り状態から切り状態へ変化する。すなわち、作業クラッチ25が動力伝達しない状態となり、作業装置14が停止する。
【0138】
第1インナワイヤ31の第2端部31bが作業クラッチ25に引かれて、第1インナワイヤ31、第1端部31a、及び第2端部31b、がX2側へ移動する。
【0139】
旋回レバー17が入り位置から切り位置へ操作されると、第1インナワイヤ31の第1端部31aが引かれて、第1インナワイヤ31、及び第2端部31bが、作業クラッチ25からの引張り力に抗してX1側へ移動する。
【0140】
第2端部31bのX1側への移動により、作業クラッチ25が操作されて切り状態から入り状態へ変化する。すなわち、作業クラッチ25が動力伝達する状態となり、作業装置14が駆動される。
【0141】
〔補助操作入力部が操作を受け付けたときの操作機構及び移動機構の動作〕
操作機構Aは、移動機構Eを備える。本実施形態では、移動機構Eは、補助操作入力部Cが操作を受け付けたことに応じて副アウタワイヤ33の第6端部33b(移動端部)を第1インナワイヤ31が延びる方向(X1-X2方向)に沿って移動させる。
【0142】
補助操作入力部C(主クラッチレバー3)が操作を受け付けたときの操作機構A及び移動機構Eの動作について説明する。
【0143】
旋回レバー17が切り位置にあって歩行型管理機が直進作業を行う状態とする。第1インナワイヤ31は引き操作されており、作業クラッチ25は入り状態(動力伝達する状態)とする。
【0144】
第1実施形態と同様に、主クラッチレバー3が機体後方へ移動すると、第4インナワイヤ61の第16端部61bが引かれて、第4インナワイヤ61、部材91、及び第3インナワイヤ51がX1側へ移動する。これに伴い、規制部材85がY1側へ移動する。
【0145】
規制部材85がY1側へ移動すると、副アウタワイヤ33の第6端部33bがX2方向に移動可能となる。これに伴い、第1インナワイヤ31の第2端部31bもX2方向に移動可能となる。作業クラッチ25からの引張り力により第2端部31bがX2方向に移動し、作業クラッチ25が切り状態に変化する。
【0146】
この動作について図7を参照しながら説明する。図7の上段は、図6の状態にある第1操作ワイヤ30を示している。図7の上段の状態で、(規制部材85のY1側への移動により)第6端部33bがX2側へ移動可能になったとする。作業クラッチ25からの引張り力が第1インナワイヤ31の第2端部31bにX2向きに作用している。
【0147】
第1操作ワイヤ30の中間部の湾曲は変形可能であるので、第1インナワイヤ31の第1端部31a及び副アウタワイヤ33の第5端部33aが移動することなく、第1インナワイヤ31の第2端部31b及び副アウタワイヤ33の第6端部33bがX2方向へ移動する。なお第1インナワイヤ31の第2端部31b及び副アウタワイヤ33の第6端部33bの移動距離(距離Z)は、同じである。
【0148】
以上述べた動作により、主クラッチレバー3が機体後方へ移動すると、第1インナワイヤ31の第2端部31bがX2方向へ移動し、作業クラッチ25が入り状態から切り状態へ変化する。すなわち、作業クラッチ25が動力伝達しない状態となり、作業装置14が停止する。
【0149】
そして主クラッチレバー3の機体後方への引き操作力が消失すると、主クラッチレバー3は機体前方へ移動する。第4インナワイヤ61及び第3インナワイヤ51はX2方向へ移動可能となり、規制部材85はY2方向へ移動可能となる。
【0150】
旋回レバー17が入り位置へ操作されると、第1インナワイヤ31引き操作力が消失し、第1インナワイヤ31の張力が低下する。コイルスプリング82の付勢力により副アウタワイヤ33の第6端部33bがX1方向へ移動して、図6の位置に復帰する。規制部材85が、コイルスプリング86の付勢力によりY2方向へ移動して、図4の位置へ復帰する。
【0151】
〔第2実施形態の変形例〕
上述の実施形態では、操作機構Aの移動機構Eが、主クラッチレバー3(補助操作入力部C)が操作を受け付けたことに応じて副アウタワイヤ33の第6端部33b(移動端部)を作業クラッチ25(被操作装置D)の位置する側へ移動させる。換言すれば、移動機構Eは、第1インナワイヤ31及び副アウタワイヤ33が図7の上段の状態から下段の状態へ遷移することにより動作する。
【0152】
これを改変して、移動機構Eが、副アウタワイヤ33の第6端部33b(移動端部)を旋回レバー17(操作入力部B)の位置する側へ移動させるように構成されてもよい。この場合、移動機構Eは、第1インナワイヤ31及び第1アウタワイヤ32が図5の下段の状態から上段の状態へ遷移することにより動作する。
【0153】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではない。以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0154】
(1)上述の実施形態では、補助操作入力部Cが主クラッチレバー3である。補助操作入力部Cが、人為操作される他のレバーやボタン等であってもよい。補助操作入力部Cが、センサ出力に基づいてアクチュエータを作動させて移動機構Eを作動させる装置(ECU等)であってもよい。この場合、センサは、加速度センサや角度センサ、力センサ等である。
【0155】
(2)上述の実施形態では、操作入力部Bが旋回レバー17である。操作入力部Bが、人為操作される他のレバーやボタン等であってもよい。操作入力部Bが、アクチュエータを作動させて移動機構Eを作動させる装置(ECU等)であってもよい。
【0156】
(3)上述の実施形態では、被操作装置Dが作業クラッチ25である。被操作装置Dが、エンジン11、作業装置14、主クラッチ24、走行クラッチ26、またはデフ機構27であってもよい。また被操作装置Dは1つに限られない。すなわち、操作機構Aが複数の被操作装置Dに接続されてもよい。
【0157】
(4)上述の実施形態では、主クラッチレバー3(補助操作入力部C)と規制部材85とが1本の第3操作ワイヤ50及び2本の第4操作ワイヤ60によって接続される。主クラッチレバー3(補助操作入力部C)と規制部材85との接続の態様はこれに限られず、両者が1本の操作ワイヤで接続されてもよいし、複数の操作ワイヤで接続されてもよい。
【0158】
〔参考例〕
図8を参照しながら、本発明に関連する参考例として、操作機構Gについて説明する。
この操作機構Gは、上述した操作機構Aと同様に、操作入力部B(旋回レバー17)が操作された場合及び補助操作入力部C(主クラッチレバー3)が操作された場合に被操作装置D(作業クラッチ25)を操作する。
【0159】
操作機構Gは、第6操作ワイヤ100、第7操作ワイヤ110、第8操作ワイヤ120、第9操作ワイヤ130、第10操作ワイヤ140、及び主ハウジング160を備える。
【0160】
主ハウジング160は、歩行型管理機の機体に固定されている。なお、主ハウジング160が歩行型管理機の機体に固定されていなくてもよい。主ハウジング160が、操作ワイヤの機体への固定に伴って間接的に固定されていてもよい。
【0161】
第6操作ワイヤ100は、操作入力部Bである旋回レバー17と、主ハウジング160と、を接続する。第6操作ワイヤ100は、第6インナワイヤ101及び第6アウタワイヤ102を備える。
【0162】
第6インナワイヤ101のX1側の端部101aは、旋回レバー17に接続されている。第6インナワイヤ101のX2側の端部は、連結部材161に接続されている。
【0163】
連結部材161は、L字状の部材であって、主ハウジング160の内部空間162の内部に、X1-X2方向にスライド移動が可能な状態で配置されている。
【0164】
第6アウタワイヤ102のX1側の端部は、歩行型管理機の機体に固定されている。第6アウタワイヤ102のX2側の端部は、主ハウジング160に固定されている。
【0165】
第7操作ワイヤ110は、デフ機構27と、主ハウジング160と、を接続する。第7操作ワイヤ110は、第7インナワイヤ111及び第7アウタワイヤ112を備える。
【0166】
第7インナワイヤ111のX1側の端部111aは、連結部材161に接続されている。すなわち、第6インナワイヤ101と第7インナワイヤ111とが連結部材161により接続されている。第7インナワイヤ111のX2側の端部は、デフ機構27に接続されている。
【0167】
第7アウタワイヤ112のX1側の端部は、主ハウジング160に固定されている。第7アウタワイヤ112のX2側の端部は、歩行型管理機の機体に固定されている。
【0168】
第8操作ワイヤ120は、主ハウジング160と、被操作装置Dである作業クラッチ25と、を接続する。第8操作ワイヤ120は、第8インナワイヤ121及び第8アウタワイヤ122を備える。
【0169】
第8インナワイヤ121のX1側の端部121aは、連結部材163に接続されている。第8インナワイヤ121のX2側の端部は、作業クラッチ25に接続されている。なお第8インナワイヤ121は連結部材161を貫通しており、第8インナワイヤ121と連結部材161とは相対移動が可能である。
【0170】
連結部材163は、直方体状の部材であって、主ハウジング160の内部空間162の内部に、X1-X2方向にスライド移動が可能な状態で配置されている。
【0171】
第8アウタワイヤ122のX1側の端部は、主ハウジング160に固定されている。第8アウタワイヤ122のX2側の端部は、歩行型管理機の機体に固定されている。
【0172】
第9操作ワイヤ130は、補助操作入力部Cである主クラッチレバー3と、主ハウジング160と、を接続する。第9操作ワイヤ130は、第9インナワイヤ131及び第9アウタワイヤ132を備える。
【0173】
第9インナワイヤ131のX1側の端部131aは、主クラッチレバー3に接続されている。第9インナワイヤ131のX2側の端部131bは、連結部材163に接続されている。
【0174】
第9アウタワイヤ132のX1側の端部は、歩行型管理機の機体に固定されている。第9アウタワイヤ132のX2側の端部は、主ハウジング160に固定されている。
【0175】
第10操作ワイヤ140は、解除入力部(図示省略)と、主ハウジング160と、を接続する。第10操作ワイヤ140は、第10インナワイヤ141及び第10アウタワイヤ142を備える。
【0176】
第10インナワイヤ141のX1側の端部141aは、解除入力部に接続されている。
解除入力部は、オペレータの操作を受け付け可能な機構であって、例えば、レバーやボタン等である。解除入力部が、オペレータの操作を受け付けたことに応じてアクチュエータを作動させて第10インナワイヤ141の端部141aを引き操作する機構であってもよい。
【0177】
第10インナワイヤ141のY2側の端部141bは、規制部材164と一体化した状態で、且つY1-Y2方向に移動可能な状態で、主ハウジング160の内部空間162の内部に配置されている。規制部材164は、コイルスプリング165によりY2方向に付勢されている。
【0178】
第10アウタワイヤ142のX1側の端部は、歩行型管理機の機体に固定されている。
第10アウタワイヤ142のX2側の端部は、主ハウジング160に固定されている。
【0179】
〔機構の動作〕
本例では、第8インナワイヤ121が引き操作されると作業クラッチ25が切り状態となり、第8インナワイヤ121の引き操作が解除されると作業クラッチ25が入り状態となるように、作業クラッチ25が構成されている。
【0180】
第7インナワイヤ111が引き操作されるとデフ機構27がアンロック状態となり、第7インナワイヤ111の引き操作が解除されるとデフ機構27がロック状態となるように、デフ機構27が構成されている。
【0181】
以下詳しく説明する。旋回レバー17が切り位置から入り位置へ操作されると、第6インナワイヤ101の端部101aが引かれて、第6インナワイヤ101、端部101b、及び連結部材161がX1側へ移動する。
【0182】
連結部材161のX1側への移動により、連結部材161と接続されている第7インナワイヤ111の端部111aがX1側へ移動する。第7インナワイヤ111が引き操作され、デフ機構27がロック状態からアンロック状態へ変化する。すなわち、デフ機構27が走行装置13の差動を規制しない状態となり、歩行型管理機の旋回が容易になる。
【0183】
連結部材161のX1側への移動により、連結部材163がX1側へ移動する。連結部材163と接続されている第8インナワイヤ121の端部121aがX1側へ移動する。
第8インナワイヤ121が引き操作され、作業クラッチ25が入り状態から切り状態へ変化する。すなわち、作業クラッチ25が動力伝達しない状態となり、作業装置14が停止する。
【0184】
旋回レバー17が入り位置から切り位置へ操作されると、第6インナワイヤ101の引き操作が解除され、第6インナワイヤ101、連結部材161、第7インナワイヤ111、連結部材163、第8インナワイヤ121はX2方向へ移動可能となる。
【0185】
作業クラッチ25は、第6インナワイヤ101、連結部材161、連結部材163、及び第8インナワイヤ121を介して入力されていた旋回レバー17からの操作力が無くなったことにより、切り状態から入り状態へ変化する。すなわち、作業クラッチ25が動力伝達する状態となり、作業装置14が駆動される。
【0186】
デフ機構27は、第6インナワイヤ101、連結部材161、及び第7インナワイヤ111を介して入力されていた旋回レバー17からの操作力が無くなったことにより、デフロック切り状態からデフロック入り状態へ変化する。すなわち、デフ機構27が走行装置13の差動を規制する状態となり、歩行型管理機の直進走行が容易になる。
【0187】
第7インナワイヤ111の端部111bがデフ機構27に引かれて、第7インナワイヤ111、連結部材161、及び第6インナワイヤ101がX2側へ移動する。第8インナワイヤ121の端部121bが作業クラッチ25に引かれて、第8インナワイヤ121及び連結部材163がX2側へ移動する。そして図8の状態へ復帰する。
【0188】
補助操作入力部C(主クラッチレバー3)が操作を受け付けたときの操作機構Gの動作について説明する。
【0189】
旋回レバー17が切り位置にあって歩行型管理機が直進作業を行う状態とする。第6インナワイヤ101の引き操作は解除されており、作業クラッチ25は入り状態(動力伝達する状態)とする。操作機構Gは図8の状態にある。
【0190】
主クラッチレバー3が機体後方へ移動すると、第9インナワイヤ131の端部131aが引かれて、第9インナワイヤ131及び連結部材163がX1側へ移動する。これに伴い、コイルスプリング165の付勢力により規制部材164がY2側へ移動し、連結部材163におけるX2側の側面に接触し、連結部材163のX2側への移動を規制する。
【0191】
連結部材163のX1側への移動に伴って、第8インナワイヤ121がX1側へ引かれて、作業クラッチ25が切り状態へ操作される。操作機構Gは図9の状態となる。
【0192】
以上述べた動作により、主クラッチレバー3が機体後方へ操作されると、第9インナワイヤ131の端部131bがX1方向へ移動し、作業クラッチ25が入り状態から切り状態へ操作される。すなわち、作業クラッチ25が動力伝達しない状態となり、作業装置14が停止する。
【0193】
そして主クラッチレバー3の機体後方への引き操作力が消失すると、主クラッチレバー3は機体前方へ移動する。しかし、規制部材164の接触により、連結部材163及び第9インナワイヤ131はX2側へ移動せず、図8の状態に復帰しない。
【0194】
解除入力部が操作されると、第10インナワイヤ141が引き操作され、規制部材164がコイルスプリング165の付勢力に抗してY1側へ移動する。作業クラッチ25からの引張り力により、第8インナワイヤ121、連結部材163、及び第9インナワイヤ131がX2側へ移動して、図8の状態に復帰する。
【0195】
〔第3実施形態〕
図10-12を参照しながら、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明では、上述の実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する場合がある。説明されない構成については、上述の実施形態と同様の構成が採用される。
【0196】
本実施形態の歩行型管理機は、第1実施形態と同様に、操作機構A、操作入力部Bとしての旋回レバー17、補助操作入力部Cとしての主クラッチレバー3、被操作装置Dとしての作業クラッチ25及びデフ機構27、操縦ハンドル16を備える。そして図10図11に示されるように、操作機構A及び後述する表示機構Fが、操縦ハンドル16に設けられている。
【0197】
〔操作機構〕
図12を参照しながら本実施形態の操作機構Aについて説明する。なお以降の操作機構Aの説明において、部材の位置関係や移動方向を、図中に示される矢印X1、X2、Y1、Y2の方向で示す場合がある。図12における矢印Y1、Y2の方向が、図4における方向と逆転していることに留意されたい。
【0198】
本実施形態の操作機構Aは、第1操作ワイヤ30、第2操作ワイヤ40、第4操作ワイヤ60、及び主ハウジング80を備える。第1実施形態の操作機構Aと比べて、本実施形態の操作機構Aは、第3操作ワイヤ50及び副ハウジング90を備えない。換言すれば、本実施形態の操作機構Aでは、副ハウジング90は主ハウジング80へ一体化されており、第3操作ワイヤ50が省略されている。
【0199】
主ハウジング80は、歩行型管理機の機体に固定されている。本実施形態では、図10-11に示されるように、主ハウジング80が操縦ハンドル16の中間部に固定されている。
【0200】
第1操作ワイヤ30は、操作入力部Bである旋回レバー17と、被操作装置Dである作業クラッチ25と、を接続する。
【0201】
第1操作ワイヤ30は、第1インナワイヤ31、第1アウタワイヤ32、及び副アウタワイヤ33を備える。第1インナワイヤ31が、第1アウタワイヤ32及び副アウタワイヤ33に挿通されている。第1インナワイヤ31が特許請求の範囲の「インナワイヤ」に対応する。第1アウタワイヤ32が特許請求の範囲の「アウタワイヤ」に対応する。
【0202】
第1インナワイヤ31の第1端部31aは、旋回レバー17に接続されている。なお、第1端部31aは、旋回レバー17に直接接続されてもよいし、他の操作ワイヤやレバー等を介して間接的に接続されてもよい。以下、他のインナワイヤの端部と操作具や装置との接続についても同様である。
【0203】
第1インナワイヤ31の第2端部31bは、作業クラッチ25に接続されている。
【0204】
第1インナワイヤ31の中間部に、部材31cが設けられている。部材31cは、第1インナワイヤ31に対して固定されている。部材31cは、主ハウジング80の内部空間83に収容されており、第1インナワイヤ31のX1-X2方向の移動に伴って内部空間83の内部を移動する。
【0205】
第1インナワイヤ31が、連係部材84の貫通孔84aに挿通されている。第1インナワイヤ31に固定された部材31cが、連係部材84よりもX2側(第2端部31bの側、作業クラッチ25の側)に位置している。
【0206】
第1アウタワイヤ32の第3端部32aは、支持部材34により歩行型管理機の機体に固定されている。第3端部32aが特許請求の範囲の「固定端部」に対応する。支持部材34が特許請求の範囲の「固定部材」に対応する。
【0207】
第1アウタワイヤ32の第4端部32bは、X1-X2方向にスライド移動が可能な状態で、主ハウジング80に支持されている。第4端部32bは、主ハウジング80の内部空間81に収容されている。第4端部32b及び第1アウタワイヤ32は、主ハウジング80に対してX1-X2方向に共にスライド移動が可能なように、連結または一体に形成されている。すなわち、第1アウタワイヤ32は主ハウジング80に固定されていない。
第4端部32bが特許請求の範囲の「移動端部」に対応する。
【0208】
第4端部32bは、コイルスプリング82によってX2方向(第2端部31bの側、作業クラッチ25の側)に付勢されている。第4端部32bは、小径部32c及び大径部32dを有する。小径部32cはコイルスプリング82に挿通されている。
【0209】
第4端部32bは、規制部材85(後述)と接触して、図12に図示される位置に保持されている。
【0210】
副アウタワイヤ33の第5端部33aは、支持部材35により歩行型管理機の機体に固定されている。
【0211】
副アウタワイヤ33の第6端部33bは、主ハウジング80に固定されている。
【0212】
第2操作ワイヤ40は、旋回レバー17と、デフ機構27と、を接続する。
【0213】
第2操作ワイヤ40は、第2インナワイヤ41及び第2アウタワイヤ42を備える。第2インナワイヤ41が、第2アウタワイヤ42に挿通されている。
【0214】
第2インナワイヤ41の第7端部41aは、デフ機構27に接続されている。
【0215】
第2インナワイヤ41の第8端部41bは、連係部材84と一体化した状態、且つ、X1-X2方向にスライド移動が可能な状態で、主ハウジング80の内部空間83の内部に位置している。
【0216】
第2アウタワイヤ42の第9端部42aは、支持部材43により歩行型管理機の機体に固定されている。
【0217】
第2アウタワイヤ42の第10端部42bは、主ハウジング80に固定されている。
【0218】
第4操作ワイヤ60は、補助操作入力部Cである主クラッチレバー3と、主ハウジング80と、を接続する。本実施形態では、2本の第4操作ワイヤ60が設けられている。
【0219】
第4操作ワイヤ60は、第4インナワイヤ61及び第4アウタワイヤ62を備える。第4インナワイヤ61が、第4アウタワイヤ62に挿通されている。
【0220】
第4インナワイヤ61の第15端部61aは、規制部材85と一体化した状態で、主ハウジング80の内部空間81の内部に位置している。規制部材85は、コイルスプリング86によってY2方向(第1アウタワイヤ32及び第4端部32bに近付く方向)に付勢されている。図12に図示された状態で、規制部材85は、第1アウタワイヤ32の第4端部32bに接触して、第4端部32bを図示の位置に保持している。
【0221】
なお本実施形態では、2本の第4インナワイヤ61が、1つの第15端部61aに接続されている。
【0222】
第4インナワイヤ61の第16端部61bは、補助操作入力部Cである主クラッチレバー3に接続されている。詳しくは、第16端部61bは、主クラッチレバー3が機体後方へ移動した場合に引かれる(X1方向、X2方向へ移動する)ように、主クラッチレバー3に接続されている。なお、2つの第4インナワイヤ61の2つの第16端部61bが、主クラッチレバー3の右端部と左端部とに接続されている。
【0223】
第4アウタワイヤ62の第17端部62aは、主ハウジング80に固定されている。
【0224】
第4アウタワイヤ62の第18端部62bは、支持部材63により歩行型管理機の機体に固定されている。
【0225】
〔操作入力部が操作を受け付けたときの操作機構の動作〕
操作入力部B(旋回レバー17)が操作を受け付けたときの操作機構Aの動作については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0226】
〔補助操作入力部が操作を受け付けたときの操作機構及び移動機構の動作〕
操作機構Aは、移動機構Eを備える。移動機構Eは、補助操作入力部Cが操作を受け付けたことに応じて第1アウタワイヤ32の他方の端部である第4端部32b(移動端部)を第1インナワイヤ31が延びる方向(X1-X2方向)に沿って移動させる。
【0227】
以下詳しく説明する。旋回レバー17が切り位置にあって歩行型管理機が直進作業を行う状態とする。第1インナワイヤ31の引き操作は解除されており、作業クラッチ25は入り状態(動力伝達する状態)である。
【0228】
主クラッチレバー3が機体後方へ移動すると、第4インナワイヤ61の第16端部61bが引かれる。これに伴い、第4インナワイヤ61の第15端部61a、およびこれと一体化された規制部材85がY1側へ移動する。
【0229】
図13に示されるように、規制部材85がY1側へ移動すると、第1アウタワイヤ32の第4端部32b(移動端部)が、コイルスプリング82の付勢によりX2方向へ移動する。この第4端部32bの移動により、第1インナワイヤ31の第2端部31bがX1方向へ移動し、作業クラッチ25が切り状態へ操作される。第2端部31bがX1方向へ移動する動作は、第1実施形態において図5に基づいて説明した動作と同一であるから、説明を省略する。
【0230】
以上述べた動作により、主クラッチレバー3が機体後方へ操作されると、第1インナワイヤ31の第2端部31bがX1方向へ移動し、作業クラッチ25が入り状態から切り状態へ操作される。すなわち、作業クラッチ25が動力伝達しない状態となり、作業装置14が停止する。
【0231】
主クラッチレバー3の機体後方への引き操作力が消失すると、主クラッチレバー3は機体前方へ移動する。第4インナワイヤ61の第15端部61a、すなわち規制部材85はY2方向へ移動可能となる。
【0232】
旋回レバー17が入り位置へ操作されると、第1インナワイヤ31がX1方向へ引っ張り操作され、第1インナワイヤ31の張力により第1アウタワイヤ32の第4端部32bがX1方向へ移動して図12の位置へ復帰する。規制部材85が、コイルスプリング86の付勢力によりY2方向へ移動して、図12の位置へ復帰する。
【0233】
〔表示機構〕
図10-14に示されるように、本実施形態の操作機構Aは、移動機構Eにより第1アウタワイヤ32の第4端部32b(移動端部)が移動したことを示す表示機構Fを更に備える。表示機構Fは、第1アウタワイヤ32の表面に付された着色部32e、32fである。
【0234】
着色部32e、32fの色は、第1アウタワイヤ32の外面の色と異なっている。本実施形態では、第1アウタワイヤ32の外面の色は黒色であり、着色部32eの色は黄色であり、着色部32fの色は白色である。着色部32e、32fは、第1アウタワイヤ32の外面の塗装や、第1アウタワイヤ32の外面に有色のテープを巻くことにより実現できる。着色部32e、32fは、第1アウタワイヤ32における第4端部32b(移動端部)寄りの位置に設けられている。
【0235】
黄色である着色部32eは、移動機構Eが作動していない状態(図12)において主ハウジング80の内部に隠れる位置に設けられている。着色部32eは、移動機構Eが作動した状態(図13)において主ハウジング80の外部へ露出する。すなわち、着色部32eは、移動機構Eによる第4端部32b(移動端部)の移動によって、主ハウジング80の内部と外部との間で移動する。表示機構Fの着色部32eが主ハウジング80の外部にあることを視認すれば、オペレータは、移動機構Eが作動して被操作装置D(作業クラッチ25)が切り操作されたことを認識できる。
【0236】
白色である着色部32fは、着色部32eのX2側(作業クラッチ25に近い側)に隣接して配置されている。
【0237】
図10-11に示されるように、本実施形態の歩行型管理機は、操作機構Aと、操作入力部Bと、補助操作入力部Cと、被操作装置Dと、操縦ハンドル16と、を備える。操作機構A及び表示機構Fが、操縦ハンドル16に設けられている。詳しくは、操作機構A及び表示機構Fが、操縦ハンドル16における右側部分の中程に固定されている。表示機構Fは、操作機構Aにおける前側に位置する。
【0238】
〔第3実施形態の変形例〕
上述した実施形態では、表示機構Fが第1アウタワイヤ32の表面に付された着色部32e、32fである例が説明された。表示機構Fはこの形態に限られない。表示機構Fは、第1アウタワイヤ32の移動と連動して視認形態が変わるものであればよい。例えば、表示機構Fが、第1アウタワイヤ32に接続されたワイヤと、当該ワイヤの移動に機械的又は電気的に連動して視認形態が変わる部材と、を備えてもよい。
【0239】
〔他の実施形態〕
上述した実施形態の操作機構Aが、表示機構を備えてもよい。すなわち、第1実施形態の操作機構A(図4)において、表示機構としての着色部が第1アウタワイヤ32に設けられてもよい。第2実施形態の操作機構A(図6)において、表示機構としての着色部が、副アウタワイヤ33に設けられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0240】
本発明は、歩行型作業機に適用可能である。例えば、歩行型管理機、歩行型田植機、歩行型野菜移植機などに適用可能である。
【符号の説明】
【0241】
3 :主クラッチレバー
17 :旋回レバー
24 :主クラッチ
25 :作業クラッチ
31 :第1インナワイヤ(インナワイヤ)
31a :第1端部
31b :第2端部
32 :第1アウタワイヤ(第1実施形態におけるアウタワイヤ)
32a :第3端部(第1実施形態における固定端部)
32b :第4端部(第1実施形態における移動端部)
32e :着色部
33f :着色部
33 :副アウタワイヤ(第2実施形態におけるアウタワイヤ)
33a :第5端部(第2実施形態における固定端部)
33b :第6端部(第2実施形態における移動端部)
34 :支持部材(第1実施形態における固定部材)
35 :支持部材(第2実施形態における固定部材)
50 :第3操作ワイヤ(操作ワイヤ)
60 :第4操作ワイヤ(操作ワイヤ)
80 :主ハウジング(ハウジング)
82 :コイルスプリング(付勢部材)
85 :規制部材
A :操作機構
B :操作入力部
C :補助操作入力部
D :被操作装置
E :移動機構
F :表示機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13