(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110914
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】自動倉庫用メンテナンス装置、自動倉庫システムおよび搬送車連結具
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240808BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B65G1/00 511J
B65G1/04 555A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195700
(22)【出願日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2023015053
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】北田 暢彦
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 勝
(72)【発明者】
【氏名】渡部 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】槌原 怜生
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022CC03
3F022FF01
3F022JJ13
3F022MM11
3F022MM57
(57)【要約】
【課題】自動倉庫における水平搬送車を、格納棚の外側に容易に取り出せるようにすること。
【解決手段】自動倉庫用メンテナンス装置80は、自動倉庫に設置される自動倉庫用メンテナンス装置であって、複数の走行路のうち最も下にある走行路よりも高い位置で水平方向に沿って延びる吊下装置用ガイド部82と、吊下装置用ガイド部によって吊下装置用ガイド部が延びる方向に沿って移動可能に支持される吊下装置90とを備え、吊下装置用ガイド部は、複数の走行路よりも外側に位置する取出端を含み、吊下装置は、吊下装置用ガイド部に支持されて、吊下装置用ガイド部に沿って、棚に対向する位置と取出端との間で水平移動する移動機構92と、水平搬送車に着脱可能に連結される搬送車連結部95と、搬送車連結部から延出する索状体94aとを有する吊下部94と、索状体を繰出し及び巻上げ可能な巻上部96と、を含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段の棚を含む格納棚と、
前記複数段の棚に関連付けられて上下に並んで設けられ、それぞれ前記棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる複数の走行路と、
入庫される物品を入庫用の高さ位置から格納箇所に対応する高さ位置に移動させる入庫昇降処理、及び、出庫される前記物品を格納箇所に対応する高さ位置から出庫用の高さ位置に移動させる出庫昇降処理の少なくとも一方を行う昇降装置と、
前記複数の走行路に対応して設けられ、それぞれ前記走行路上を走行して、前記昇降装置と前記棚との間で前記物品を移載する複数の水平搬送車と、
を備える自動倉庫に設置される自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記複数の走行路のうち最も下にある前記走行路よりも高い位置で水平方向に沿って延びる吊下装置用ガイド部と、
前記吊下装置用ガイド部によって前記吊下装置用ガイド部が延びる方向に沿って移動可能に支持される吊下装置と、
を備え、
前記吊下装置用ガイド部は、前記複数の走行路よりも外側に位置する取出端を含み、
前記吊下装置は、
前記吊下装置用ガイド部に支持されて、前記吊下装置用ガイド部に沿って、前記棚に対向する位置と前記取出端との間で水平移動する移動機構と、
前記水平搬送車に着脱可能に連結される搬送車連結部と、前記搬送車連結部から延出する索状体とを有する吊下部と、
前記移動機構に対して前記索状体を繰出し及び巻上げ可能な巻上部と、
を含む、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記昇降装置は、前記複数の走行路が延びる方向において前記複数の走行路よりも外側に位置し、
前記吊下装置用ガイド部は、前記走行路が延びる方向に沿って延び、
前記取出端は、前記複数の走行路が延びる方向において、前記昇降装置よりも外側に位置する、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記移動機構は、前記吊下装置用ガイド部に接した状態で前記吊下装置用ガイド部に沿って転がって移動する転動体と、前記転動体を回転駆動するモータとを含む、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記吊下部は、水平方向に対して前記水平搬送車を交差させる姿勢で、前記水平搬送車を吊下げて支持する、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記吊下装置が前記水平搬送車の吊下げを開始する位置で、前記水平搬送車のうち前記搬送車連結部が連結される位置とは異なる位置を吊下げて支持する補助用吊下装置をさらに備える自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項6】
複数段の棚を含む格納棚と、
前記複数段の棚に関連付けられて上下に並んで設けられ、それぞれ前記棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる複数の走行路と、
入庫される物品を入庫用の高さ位置から格納箇所に対応する高さ位置に移動させる入庫昇降処理、及び、出庫される前記物品を格納箇所に対応する高さ位置から出庫用の高さ位置に移動させる出庫昇降処理の少なくとも一方を行う昇降装置と、
前記複数の走行路に対応して設けられ、それぞれ前記走行路上を走行して、前記昇降装置と前記棚との間で前記物品を移載する複数の水平搬送車と、
を備える自動倉庫に設置される自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記複数の走行路のうち最も下にある前記走行路よりも高い位置で支持される吊下装置を備え、
前記吊下装置は、
前記水平搬送車に着脱可能に連結される搬送車連結部と、前記搬送車連結部から延出する索状体とを有する吊下部と、
前記水平搬送車を、前記走行路から持上げた状態で、前記複数の走行路のうちの少なくとも1つを上下方向に通過させるように、前記索状体を繰出し及び巻上げ可能な単一の巻上部と、
を含む、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項7】
請求項6に記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記複数の走行路のうち最も下にある前記走行路よりも高い位置で水平方向に沿って延びる吊下装置用ガイド部をさらに備え、
前記吊下装置は、前記吊下装置用ガイド部によって前記吊下装置用ガイド部が延びる方向に沿って移動可能に支持されている、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記搬送車連結部は、
第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部と前記第2端部との間の部分が前記索状体に支持される吊下用支持バーと、
前記第1端部に支持された第1連結支持部と、
前記第2端部に支持された第2連結支持部と、
を含み、
前記第1連結支持部が、前記水平搬送車のうちその走行方向の一端寄りの位置に着脱可能に連結され、
前記第2連結支持部が、前記水平搬送車のうちその走行方向の他端寄りの位置に着脱可能に連結される、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項9】
請求項8に記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記吊下用支持バーは、
長尺状のバー本体と、
前記索状体が連結される索状体連結部と、
前記索状体連結部を、前記バー本体の長手方向に沿って移動可能に支持する連結位置調整部と、
を含む、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項10】
請求項8に記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記第1連結支持部および前記第2連結支持部のそれぞれは、
前記水平搬送車に着脱可能に連結される連結端部と、
前記連結端部から延出する中間索状体と、
前記中間索状体を繰出し及び巻上げ可能な中間巻上部と、
を含む、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項11】
請求項8に記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記搬送車連結部は、
前記吊下用支持バーに連結されるバー側連結部と、前記水平搬送車のうち前記第1連結支持部および前記第2連結支持部の連結箇所とは異なる部分に連結される搬送車側連結部とを有する姿勢保持部材をさらに含む、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項12】
請求項11に記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記姿勢保持部材が、前記第1端部および前記第2端部のそれぞれに設けられる、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項13】
請求項11に記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記姿勢保持部材は、前記搬送車側連結部として、第1係止部と第2係止部とを有し、
前記第1係止部が前記水平搬送車に係止されることで、前記水平搬送車が第1姿勢に保たれ、
前記第2係止部が前記水平搬送車に係止されることで、前記水平搬送車が前記第1姿勢よりも水平姿勢に近い第2姿勢に保たれる、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項14】
請求項11に記載の自動倉庫用メンテナンス装置であって、
前記バー側連結部が前記吊下用支持バーに回転可能に連結されており、前記搬送車側連結部は前記水平搬送車に着脱可能に連結される、自動倉庫用メンテナンス装置。
【請求項15】
請求項1、請求項2、請求項6または請求項7に記載の自動倉庫用メンテナンス装置と、
前記自動倉庫と、
を備える自動倉庫システム。
【請求項16】
請求項1、請求項2または請求項7に記載の自動倉庫用メンテナンス装置と、
前記自動倉庫と、
を備え、
前記自動倉庫は、一対の支柱を有し、
平面視において前記一対の支柱の間に前記吊下装置用ガイド部が位置し、
前記一対の支柱の間隔は、前記吊下装置に吊り下げられた前記水平搬送車が通過可能な大きさである、自動倉庫システム。
【請求項17】
自動倉庫において、格納棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる走行路上を走行する水平搬送車を吊下げるための搬送車連結具であって、
第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部と前記第2端部との間の部分が、前記水平搬送車を吊下げるための索状体に支持される吊下用支持バーと、
前記第1端部に支持され、前記水平搬送車のうちその走行方向の一端寄りの位置に着脱可能に連結される第1連結支持部と、
前記第2端部に支持され、前記水平搬送車のうちその走行方向の他端寄りの位置に着脱可能に連結される第2連結支持部と、
を備える、搬送車連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、水平搬送車のメンテナンスを容易にするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、一対の収納棚に跨るように配置された支持部材を備える自動倉庫を開示している。支持部材は、搬送台車を吊り下げる第1吊り下げ装置を支持する第1支持部と、搬送台車を吊り下げる第2吊り下げ装置を支持する第2支持部とを備えている。
【0003】
特許文献1には、第1吊り下げ装置及び第2吊り下げ装置により吊り下げられた搬送台車を、一対のレール部の間を通して下方に取出すことが容易となることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動倉庫の床近くには種々障害物が存在する可能がある。このため、特許文献1に開示の技術では、下方に取出された搬送台車を、一対の収納棚の外側まで移動させることが困難となる可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、自動倉庫における水平搬送車を、格納棚の外側に容易に取り出せるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、自動倉庫用メンテナンス装置は、複数段の棚を含む格納棚と、前記複数段の棚に関連付けられて上下に並んで設けられ、それぞれ前記棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる複数の走行路と、入庫される物品を入庫用の高さ位置から格納箇所に対応する高さ位置に移動させる入庫昇降処理、及び、出庫される前記物品を格納箇所に対応する高さ位置から出庫用の高さ位置に移動させる出庫昇降処理の少なくとも一方を行う昇降装置と、前記複数の走行路に対応して設けられ、それぞれ前記走行路上を走行して、前記昇降装置と前記棚との間で前記物品を移載する複数の水平搬送車と、を備える自動倉庫に設置される自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記複数の走行路のうち最も下にある前記走行路よりも高い位置で水平方向に沿って延びる吊下装置用ガイド部と、前記吊下装置用ガイド部によって前記吊下装置用ガイド部が延びる方向に沿って移動可能に支持される吊下装置と、を備え、前記吊下装置用ガイド部は、前記複数の走行路よりも外側に位置する取出端を含み、前記吊下装置は、前記吊下装置用ガイド部に支持されて、前記吊下装置用ガイド部に沿って、前記棚に対向する位置と前記取出端との間で水平移動する移動機構と、前記水平搬送車に着脱可能に連結される搬送車連結部と、前記搬送車連結部から延出する索状体とを有する吊下部と、前記移動機構に対して前記索状体を繰出し及び巻上げ可能な巻上部と、を含む。
【0008】
また、他の態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置は、複数段の棚を含む格納棚と、前記複数段の棚に関連付けられて上下に並んで設けられ、それぞれ前記棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる複数の走行路と、入庫される物品を入庫用の高さ位置から格納箇所に対応する高さ位置に移動させる入庫昇降処理、及び、出庫される前記物品を格納箇所に対応する高さ位置から出庫用の高さ位置に移動させる出庫昇降処理の少なくとも一方を行う昇降装置と、前記複数の走行路に対応して設けられ、それぞれ前記走行路上を走行して、前記昇降装置と前記棚との間で前記物品を移載する複数の水平搬送車と、を備える自動倉庫に設置される自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記複数の走行路のうち最も下にある前記走行路よりも高い位置で支持される吊下装置を備え、前記吊下装置は、前記水平搬送車に着脱可能に連結される搬送車連結部と、前記搬送車連結部から延出する索状体とを有する吊下部と、前記水平搬送車を、前記走行路から持上げた状態で、前記複数の走行路のうちの少なくとも1つを上下方向に通過させる持上げるように、前記索状体を繰出し及び巻上げ可能な単一の巻上部と、を含む、自動倉庫用メンテナンス装置である。
【0009】
また、搬送車連結具は、自動倉庫において、格納棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる走行路上を走行する水平搬送車を吊下げるための搬送車連結具であって、第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部と前記第2端部との間の部分が、前記水平搬送車を吊下げるための索状体に支持される吊下用支持バーと、前記第1端部に支持され、前記水平搬送車のうちその走行方向の一端寄りの位置に着脱可能に連結される第1連結支持部と、前記第2端部に支持され、前記水平搬送車のうちその走行方向の他端寄りの位置に着脱可能に連結される第2連結支持部と、を備える、搬送車連結具である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によると、自動倉庫における水平搬送車を、格納棚の外側に容易に取り出せる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は第1実施形態に係る自動倉庫システムを示す概略側面図である。
【
図2】
図2は自動倉庫システムの入出庫部分を示す概略平面図である。
【
図3】
図3は自動倉庫システムの入出庫部分を示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は変形例に係る吊下装置を示す側面図である。
【
図6】
図6は2つの支持台の間における吊下装置用ガイド部及び吊下装置の位置を示す図である。
【
図7】
図7は水平搬送車の吊下げ作業例を示す説明図である。
【
図8】
図8は水平搬送車の取出作業例を示す説明図である。
【
図9】
図9は変形例に係る吊下装置用ガイド部を示す説明図である。
【
図10】
図10は第2実施形態に係る自動倉庫システムを示す図である。
【
図14】
図14は水平搬送車の取出作業例を示す説明図である。
【
図17】
図17は水平搬送車の取出作業例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
{第1実施形態}
以下、実施形態に係る自動倉庫用メンテナンス装置及び自動倉庫システムについて説明する。
【0013】
<自動倉庫システムについて>
図1は自動倉庫システム10を示す概略側面図であり、
図2は自動倉庫システム10の入出庫部分を示す概略平面図であり、
図3は自動倉庫システム10の入出庫部分を示す概略斜視図である。
【0014】
自動倉庫システム10は、自動倉庫20と、自動倉庫用メンテナンス装置80とを備える。
【0015】
自動倉庫20は、複数の物品Wを出し入れ可能に格納する倉庫である。自動倉庫20は、物品Wを移動させるための水平搬送車40を備えている。
【0016】
自動倉庫用メンテナンス装置80は、上記自動倉庫20に設置され、水平搬送車40のメンテナンス時において、水平搬送車40を自動倉庫20から取出したり、戻したりするための装置である。
【0017】
自動倉庫20は、格納棚50と、走行路48と、昇降装置30と、水平搬送車40とを備える。
【0018】
格納棚50は、上下方向において間隔をあけて支持された複数段の棚52を有する。それぞれの段の棚52が物品Wを支持して保管することができる。各段における棚52においても、複数の物品Wを支持することができる。このため、格納棚50全体として見ると、複数の物品Wが上下左右に配列した状態で格納される。格納棚50において、物品Wが格納される空間が格納空間である。
【0019】
本実施形態では、自動倉庫20は、2列の格納棚50を備える。2つの格納棚50の間には、隙間が設けられており、当該2つの格納棚50の間を水平搬送車40が走行できる。このため、それぞれの格納棚50には、走行路48を走行する水平搬送車40の移動方向に沿って並ぶ複数の格納空間が形成される。各格納空間は仕切無く連続していてもよいし、仕切られていてもよい。
【0020】
なお、自動倉庫20は、1つの格納棚50を備える構成であってもよいし、3つ以上の格納棚50を備えてもよい。
【0021】
走行路48は、複数段の棚52に関連付けられて上下に並んで設けられる。例えば、走行路48は、複数段の棚52に1対1で対応づけられる。走行路48は、複数段の棚52のうちの複数の棚に対応付けられてもよい。例えば、走行路48は、2段の棚52毎に対応付けられてもよい。
【0022】
複数の走行路48のそれぞれは、上記棚52の隣の位置で水平方向に沿って延びる。本実施形態では、2つの格納棚50のそれぞれの棚52の間の位置で、水平方向に沿って延びる。走行路48は、格納棚50の延在方向に沿い、かつ、後述する移載装置60迄延在している。各走行路48は、例えば、一対のレール48aを備えた構成であってもよい。レール48aは、格納棚50の横フレームを兼ねていてもよいし、格納棚50とは別体として構成されていてもよい。一対のレール48aの一方は一方の格納棚50に隣接し、他方のレール48aは他方の格納棚50に隣接する。このため、一対のレール48aの間には、隙間が存在する。
【0023】
走行路は、2つの棚52の間を塞ぐように延びる板状であってもよい。この場合、後述する水平搬送車40の取出位置で、走行路が取外し可能であってもよい。
【0024】
格納棚50の延在方向の少なくとも一方の端側には昇降装置30及び移載装置60が設けられる。本実施形態では、一対の格納棚50のそれぞれの一端部に移載装置60、昇降装置30及びコンベア16が設けられる。昇降装置30は、複数の走行路48が延びる方向において複数の走行路48よりも外側に位置している。
【0025】
本実施形態では、移載装置60、昇降装置30及びコンベア16は、入出庫兼用である。一対の格納棚のそれぞれの他端部に別の移載装置、昇降装置及びコンベアが設けられてもよい。この場合、格納棚50の一端側と他端側とで、移載装置、昇降装置及びコンベアが、入庫用と出庫用とに分けられていてもよい。
【0026】
移載装置60は、仮置き棚とも呼ばれる部分であり、昇降装置30と水平搬送車40との間で物品を中継する装置である。移載装置60は、複数の棚段それぞれに対応する複数の支持台62を備える。複数の支持台62は、格納棚50の隣の位置で、対応する棚52と同じ高さ位置に設けられる。支持台62は、例えば、ローラを有するローラコンベアである。ローラに内蔵されたモータを回転駆動することによって、物品Wを搬送方向に沿って移動させることができる。支持台62上の物品Wは、別途設けられたシリンダ等のアクチュエータによって駆動されるプッシャによって搬送方向に沿って押されて移動してもよい。各棚段に対応して設けられた水平搬送車40が、当該棚段において、支持台62及び棚52に対して物品Wを移載することができる。
【0027】
昇降装置30は、入庫される物品Wを入庫用の高さ位置から格納箇所に対応する高さ位置に移動させる入庫昇降処理、及び、出庫される物品Wを格納箇所に対応する高さ位置から出庫用の高さ位置に移動させる出庫昇降処理の少なくとも一方を行う装置である。昇降装置30は、リザーバと称されてもよい。
【0028】
即ち、自動倉庫20に対する入出庫作業は、例えば、作業者が入出庫作業し易い位置に設定されることが想定される。格納棚50は、多数の物品Wを格納できるように、上下の棚52に分けて物品Wを格納する。このため、昇降装置30が物品Wを昇降移動させることで、上記入庫昇降処理、及び、出庫昇降処理の少なくとも一方を行う。
【0029】
本実施形態では、昇降装置30は、格納棚50の一端側に位置しており、上記入庫昇降処理及び出庫昇降処理の両方を行う。
【0030】
より具体的には、昇降装置30は、柱31と、昇降載置台32と、昇降駆動機構34とを備える。
【0031】
柱31は、重力方向に沿った鉛直姿勢で設置される長尺部材である。柱31は、例えば、一対の格納棚50の間側に位置していてもよい。これにより、柱31が一対の格納棚50が並ぶ方向において外側にはみ出難くなり、自動倉庫20の設置スペースを小さくできる。柱31が昇降載置台32を昇降可能に支持している。
【0032】
昇降載置台32は、物品Wを支持した状態で柱31に沿って昇降する。昇降載置台32は、例えば、ローラを有するローラコンベアである。複数のローラは、例えば、枠部によって並列配置された状態で回転可能に支持される。ローラに内蔵されたモータを回転駆動することによって、物品Wを搬送方向に沿って移動させることができる。昇降載置台上の物品Wは、別途設けられたシリンダ等のアクチュエータによって駆動されるプッシャによって搬送方向に沿って押されて移動してもよい。
【0033】
昇降駆動機構34は、駆動源34aと、昇降機構とを備える。駆動源34aは、昇降載置台32を昇降させる駆動力を発生させる動力源である。昇降機構は、駆動源34aの駆動力を、昇降載置台32を昇降させる力として伝達する機構である。例えば、駆動源34aは電気モータである。また、例えば、昇降機構は、電気モータの回転運動を、昇降載置台32を昇降させる直線往復運動として伝達する機構である。より具体的には、昇降機構は、一対のプーリと、当該一対のプーリに巻掛けられた循環ベルトとを含んでもよい。そして、プーリを駆動源34aによって正逆両方向に回転駆動させることで、循環ベルトの途中に連結された昇降載置台32を昇降駆動させてもよい。
【0034】
上記駆動源34aは、昇降装置30の重力バランス、及び、メンテナンスの容易性等の観点から、柱31の下部に取付けられることが要請される。
【0035】
昇降駆動機構34の駆動によって、昇降載置台32が、移載装置60の隣の位置で、複数の支持台62のそれぞれに対応する位置に昇降移動される。昇降載置台32がいずれかの支持台62に対応する高さに位置することで、物品Wが昇降載置台32と支持台62との間で水平移動して移載されることができる。
【0036】
コンベア16が、昇降装置30に対して移載装置60とは反対側に位置している。昇降載置台32が、コンベア16に対応する位置に昇降移動される。昇降載置台32がコンベア16に対応する高さに位置することで、物品Wが昇降載置台32とコンベア16との間で水平移動して移載されることができる。コンベア16は、入庫用コンベアと出庫用コンベアとで上下に分れて設置されてもよい。この場合、昇降載置台32が入庫用コンベアに対応する位置に昇降することで、コンベア16から昇降載置台32に物品Wが移載される。また、昇降載置台32が出庫用コンベアに対応する位置に昇降することで、昇降載置台32からコンベア16に物品Wが移載される。
【0037】
複数の水平搬送車40が、複数の走行路48に対応して設けられる。複数の水平搬送車40は、それぞれ走行路48上を走行して、昇降装置30と棚52との間で物品Wを移載する。水平搬送車40は、ピッカー又はドーリーとも呼ばれる。
【0038】
本実施形態では、水平搬送車40は、格納棚50及び移載装置60に対して物品Wを出し入れする物品出し入れ機構42を備える。物品出し入れ機構42は、格納棚50及び移載装置60に対して出退可能な一対のアームを有している。一対のアームは、2つの格納棚50の両方に対して出退できる。当該一対のアームの進出方向先端側及び当該先端よりも手前のそれぞれに、一対の爪が設けられている。なお、当該一対のアームの進出方向先端側の一対の爪と、当該先端よりも手前一対の爪は、一対のアームの進出方向が逆になれば、先端と、当該先端よりも手前の位置関係が逆となることが考えられる。先端より手前の一対の爪を突出させて状態で、一対のアームを進出移動させることで、水平搬送車上の物品Wが格納棚50又は移載装置60側に押出される。一対のアームを進出させた状態で、先端の一対の爪を突出させ、この後、一対のアームを退避移動させる。これにより、格納棚50又は移載装置60側の物品Wが、格納棚50側に引込まれる。これにより、物品Wが水平搬送車40と格納棚50若しくは移載装置60との間で移動される。格納棚50に対しては、走行路48側から物品Wが出し入れされる。走行路48を走行する水平搬送車40は、一対の格納棚50の両方に対して物品Wを出し入れすることができる。
【0039】
同様に、水平搬送車40は、移載装置60に対して移載装置60に対して物品Wを出し入れすることができる。上記したように、移載装置60は、昇降装置30に対して物品Wを移載することができる。よって、水平搬送車40は、移載装置60を介して昇降装置30に対して物品Wを移載する。水平搬送車40は、昇降装置30に対して直接物品Wを移載してもよい。
【0040】
走行路48が複数の棚52に対応して設けられる場合、水平搬送車40は、複数段の棚52及び支持台62に対して物品Wを移載してもよい。この場合、走行路48は、上下方向において複数の物品出し入れ機構42を備えていてもよい。
【0041】
本実施形態では、昇降装置30を囲むように侵入防止柵38が設置されている。侵入防止柵38は、作業者が昇降装置30の周りに不用意に進入することを防止するための柵である。このため、侵入防止柵38は、床上から作業者の進入を防止し高さ範囲で設置されることが考えられる。
【0042】
上記侵入防止柵38は省略されてもよい。
【0043】
<自動倉庫用メンテナンス装置>
水平搬送車40のメンテナンス上の都合等によって、水平搬送車40を自動倉庫20の外に取出すことが要請される場合が考えられる。
【0044】
ここで、自動倉庫20は、各部を支える支柱を有している。例えば、上記昇降装置30の柱31は、支柱の一例である。また、格納棚50において、複数段の棚52又は支持台62を支える上下方向の長尺部材52Pも支柱の一例である。柱31及び長尺部材52Pは、走行路48の延長上に位置する場合がある。よって、走行路48上の水平搬送車40をそのままの姿勢で、走行路48の延長上に沿って自動倉庫20の外に取出そうとすると、柱31及び長尺部材52Pが邪魔になって、水平搬送車40の取出しが困難となる可能性がある。
【0045】
また、2つの格納棚50のそれぞれの間側に柱31及び長尺部材52Pが突出するように配置されている場合、2つの柱31間の間隔P1及び2つの長尺部材52P間の間隔P2は、水平搬送車40の幅W1よりも小さい可能性がある。このような場合、走行路48の端に移動させた水平搬送車40を、そのままの姿勢で取出すことは困難である。
【0046】
また、自動倉庫20の下方には、各種物体が配置される。例えば、昇降装置30の駆動源34aは、柱31の下方に支持されている。また、上記侵入防止柵38が床上から所定の高さ範囲内に設置される。このため、水平搬送車40を、自動倉庫20の下から取出そうとしても、上記駆動源34aや侵入防止柵38が邪魔になる可能性がある。
【0047】
本実施形態において、水平搬送車40を自動倉庫20の外に取出し容易にするため、次の自動倉庫用メンテナンス装置80が自動倉庫20に設置される。
【0048】
自動倉庫用メンテナンス装置80は、吊下装置用ガイド部82と、吊下装置90とを備える。
【0049】
吊下装置用ガイド部82は、複数の走行路48のうち最も下にある走行路48よりも高い位置で水平方向に沿って延びている。本実施形態において、最も下にある走行路48は、最も下の棚52に対応する走行路48である。吊下装置用ガイド部82は、複数の走行路48のうち最も上にある走行路48よりも高い位置で水平方向に沿って延びていてもよい。本実施形態において、最も上にある走行路48は、最も上の棚52に対応する走行路48である。
【0050】
吊下装置用ガイド部82は、吊下装置90を水平方向に沿って移動可能に支持できればよい。本実施形態では、吊下装置用ガイド部82は金属等によって形成されたガイドレールである。例えば、吊下装置用ガイド部82は、上下方向に沿って延びる垂直片部分82aと、当該垂直片部分82aの下縁から左右方向に沿って延びる水平片部分82bとを有するレールである。つまり、吊下装置用ガイド部82の縦断面(長手方向に対して直交する方向の断面)は上下逆のT字状をなす部分を有する。
【0051】
吊下装置用ガイド部82は、走行路48上における水平搬送車40の走行経路の少なくとも一部から自動倉庫20の外側に向けて延びる。本実施形態では、吊下装置用ガイド部82は、2つの格納棚50の間において、走行路48が延びる方向に沿って延びている。
【0052】
吊下装置用ガイド部82の一端は、吊下端83e1であり、平面視において走行路48と重複する位置に設定される。本実施形態では、吊下端83e1は、移載装置60の隣りに位置している。
【0053】
吊下装置用ガイド部82の他端は、複数段の走行路48よりも外側に位置する取出端83e2である。つまり、取出端83e2は、平面視において走行路48から出る位置、さらには、2つの格納棚50、2つの移載装置60及び2つの昇降装置30よりも外側の位置に設定される。本実施形態では、取出端83e2は、2つの昇降装置30の間から格納棚50とは反対側に延出する部分が、取出端83e2である。
【0054】
取出端83e2の取出端83e2は、昇降装置30の外側隣で、床の上方に位置している。床上であるか、作業台上であるか等を問わず、取出端83e2は、水平搬送車40を自動倉庫20の外に取出容易な位置に延出していればよい。
【0055】
吊下装置用ガイド部82は、格納棚50又は移載装置60によって、一定の高さ位置に支持されている。吊下装置用ガイド部82を支持する構成は当該構成に限られない。例えば、吊下装置用ガイド部は、専用の柱によって一定の高さ位置に支持されてもよい。吊下装置用ガイド部82は、自動倉庫20が設置された天井によって一定の高さ位置に支持されてもよい。
【0056】
吊下装置用ガイド部82は、吊下装置90を移動可能に支持できる構成であればよく、レールである必要は無い。例えば、吊下装置用ガイド部は、架空されたロープであってもよい。吊下装置用ガイド部は、既存の自動倉庫20に対して追加設置されることもある。吊下装置用ガイド部は、自動倉庫20に対して一時的に設置されることもある。
【0057】
吊下装置90は、吊下装置用ガイド部82によって吊下装置用ガイド部82が延びる方向に沿って移動可能に支持されている。
図4は吊下装置90の例を示す側面図である。吊下装置90は、移動機構92と、吊下部94と、巻上部96とを備える。
【0058】
移動機構92は、吊下装置用ガイド部82に支持されて、吊下装置用ガイド部82に沿って、棚52に対向する位置と取出端83e2との間で水平移動する。例えば、移動機構92は、ベース92aによって回転可能に支持された転動体92bと、操作輪92dと、当該操作輪92dを回転駆動するチェーン等の移動用索体92cとを備える。
【0059】
上記転動体92bは、吊下装置用ガイド部82に接した状態で吊下装置用ガイド部82に沿って転がって移動する車輪、球体又は歯車である。例えば、ベース92aが左右一対の転動体92bを備える。左右の転動体92bの間に吊下装置用ガイド部82の垂直片部分82aを配置可能な隙間が形成されている。左右の転動体92bの間に垂直片部分82aが位置する状態で、左右の転動体92bが当該垂直片部分82aの左右に延出する水平片部分82b上に配置される。左右の転動体92bが垂直片部分82a上を転がっていくことで、移動機構92が吊下装置用ガイド部82に沿って往復移動することができる。
【0060】
また、ベース92aに操作輪92dが回転可能に支持される。操作輪92dの回転がギヤを介して転動体92bに伝達される。操作輪92dに移動用索体92cが巻掛けられており、移動用索体92cを引っ張ることで、操作輪92dが回転する。操作輪92dが回転することによって転動体92bが回転し、移動機構92が吊下装置用ガイド部82上を走行できる。
【0061】
移動機構92は、直接作業者の手によって押されて又は引っ張られて吊下装置用ガイド部82に沿って移動してもよい。
【0062】
図5に示す変形例のように、移動機構は、電動移動機構192であってもよい。電動移動機構192は、上記移動機構92に対して操作輪92d及び移動用索体92cが省略され、代りに、転動体92bを回転駆動するモータ192mを含む。モータ192mに対して外部の電源194から電力供給されてもよい。電動移動機構192は、モータ192mを駆動するバッテリを内蔵していてもよい。
【0063】
モータ192mに対して操作ボタン192Bが接続されており、操作ボタン192Bの操作に応じてモータ192mが正逆両方向に回転する。モータの回転が直接又はギヤを介して転動体92bに伝達される。これにより、電動移動機構192が吊下装置用ガイド部82を両方向に走行できる。
【0064】
電動移動機構192が用いられれば、モータ191mの駆動によって、吊下装置90が吊下装置用ガイド部82に沿って容易に移動できる。
【0065】
上記移動機構92、192は、いわゆるギヤードトロリ、電動トロリと呼ばれるものであってもよい。
【0066】
図4に示すように、吊下部94は、水平搬送車40に着脱可能に連結される搬送車連結部95と、搬送車連結部95から延出する索状体94aとを有する。
【0067】
搬送車連結部95は、フックと呼ばれる部分であり、環状形状の一部が開かれた形状とされている。開かれた部分は、ラッチ等の金具によって閉じられることが好ましい。水平搬送車40が搬送車連結部95を引っ掛け可能な引っ掛け部分を有している。引っ掛け部分は、水平搬送車40に取付けられた環状部分又は棒状部分である。搬送車連結部95が当該引っ掛け部分に引っ掛けられることによって、搬送車連結部95に着脱可能に連結される。引っ掛け部分は、搬送車連結部95の少なくとも一方の側部に設けられることが好ましい。引っ掛け部分が水平搬送車40の両方の側部に設けられることがより好ましい。
【0068】
索状体94aは、チェーン等であり、搬送車連結部95から延出している。
【0069】
巻上部96は、移動機構92に対して索状体94aを繰出し及び巻上げ可能に構成されている。例えば、巻上部96は、ベース96cに対して回転可能に支持された巻上回転体96aと、当該巻上回転体96aを回転させるレバー96bとを有している。索状体94aが巻上回転体96aに巻掛けられている。巻上回転体96aを回転させることによって、索状体94aが巻上部96から繰出されたり、索状体94aを巻上げたりすることができる。索状体94aが巻上部96から繰出されると搬送車連結部95が下降し、索状体94aを巻上げると搬送車連結部95が上昇する。
【0070】
レバー96bの支持シャフトがラチェット機構を介して巻上回転体96aに連結されている。ラチェット機構の切替によって、レバー96bの往復操作が、巻上回転体96aを巻上方向に回転させる力として、又は、巻上回転体96aを繰出し方向に回転させる力として伝達される。つまり、作業者のレバー操作によって、索状体94aを繰出したり、巻上げたりすることができる。
【0071】
上記吊下部94及び巻上部96は、レバーブロック(登録商標)又はレバーホイストと呼ばれるものであってもよい。上記吊下部94及び巻上部96は、チェーンブロック又はチェーンホイストと呼ばれるものであってもよい。上記吊下部94及び巻上部96は、電動で索状体94aの巻上等を行うものであってもよい。
【0072】
吊下装置用ガイド部82及び吊下装置90は、2つの格納棚50の間に位置していることから、水平搬送車40を、2つの格納棚50の間で吊下げることができる。
【0073】
図6は2つの支持台62の間における吊下装置用ガイド部82及び吊下装置90の位置を示す図である。吊下装置用ガイド部82及び吊下装置90は、2つの格納棚50の中央に位置してもよいし、いずれかの格納棚50側に偏って位置していてもよい。本実施形態では、吊下装置用ガイド部82及び吊下装置90は、2つの格納棚50の間で一方の格納棚50側に偏って位置している。
【0074】
本実施形態において、自動倉庫用メンテナンス装置80は、補助用吊下装置100をさらに備える。
【0075】
補助用吊下装置100は、吊下装置90が水平搬送車40の吊下げを開始する位置で、水平搬送車40のうち搬送車連結部95が連結される位置とは異なる位置を吊下げて支持する装置である。補助用吊下装置100としては、例えば、上記吊下部94と同様構成の吊下部104と、巻上部96と同様構成の巻上部106とを有する構成であってもよい。
【0076】
本実施形態では、吊下端83e1は平面視において2つの移載装置60の間に位置するため、補助用吊下装置100は、平面視において2つの移載装置60の間に位置する。
【0077】
また、吊下装置90は、水平搬送車40の一側に連結されて当該搬送車連結部95を吊下げる。このため、補助用吊下装置100は、2つの移載装置60を結ぶ方向において、吊下装置90とは異なる位置に位置している。ここでは、吊下装置90は、一方の移載装置60に偏った位置に配置され、補助用吊下装置100は、他方の移載装置60に偏った位置に配置されている。
【0078】
補助用吊下装置100は、吊下装置90が水平搬送車40の一側を吊下げて上方に移動させる際に、水平搬送車40の他側を吊下げて水平搬送車40を安定して上方に移動させる役割を果す。吊下装置90が水平搬送車40を上方に持上げた後は、水平搬送車40の姿勢は安定するため、補助用吊下装置100による吊下げ状態は解除されてもよい。よって、補助用吊下装置100は、自動倉庫20において固定位置に設置される。例えば、補助用吊下装置100は、格納棚50によって一定位置に支持される。補助用吊下装置100は、専用の支柱又は天井によって支持されてもよい。補助用吊下装置100は必須ではなく、省略されてもよい。
【0079】
<自動倉庫用メンテナンス装置を利用した水平搬送車の取出作業例について>
水平搬送車40は次のようにして取出される。
【0080】
まず、取出し対象となる水平搬送車40が取出端83e2の下方位置に配置される。水平搬送車40は、自走して取出端83e2の下方位置に移動してもよいし、作業者によって取出端83e2の下方位置に移動されてもよい。取出し対象となる水平搬送車40より上方の水平搬送車40については、取出端83e2の下方から外れた位置に配置される。つまり、取出端83e2の下方において、取出し対象となる水平搬送車40の上方に、他の水平搬送車40が配置されない状態とされる。
【0081】
この状態で、
図6に示すように、吊下装置90の索状体94aが引出され、吊下部94が水平搬送車40の一側部に連結される。また、補助用吊下装置100の索状体が引出され、吊下部104が水平搬送車40の他側部に連結される。
【0082】
図7に示すように、吊下装置90の巻上部96が索状体94aを巻上げる。これにより、吊下部94が上方に移動し、水平搬送車40の一側部が上方に持上げられ、水平搬送車40が傾く。索状体94aがさらに巻上げられ、吊下部94がさらに上方に移動すると、水平搬送車40の傾きが大きくなる。
【0083】
水平搬送車40の傾きが大きくなると、水平搬送車40の他側の車輪41がレール48aから内側に落ちる可能性がある。しかしながら、水平搬送車40の他側は、補助用吊下装置100の吊下部104によって吊下げられている。このため、水平搬送車40の他側の車輪がレール48aから脱落しても、水平搬送車40の他側部分が大きく下方に変位することが抑制される。このため、吊下装置90の巻上部96による索状体94aの巻上によって、水平搬送車40の傾きを徐々に大きくしつつ、水平搬送車40を上方に持上げることができる。
【0084】
補助用吊下装置100については、吊下装置90による巻上にあわせて、吊下部104を吊下げる索状体の弛みをなくす徐々に巻上を行うとよい。
【0085】
吊下装置90による巻上が終了すると、水平搬送車40は、吊下装置用ガイド部82よりも下の走行路48よりも上の位置に吊下げられる。吊下装置用ガイド部82が最も上の走行路48よりも上の位置にあれば、全ての棚段の水平搬送車40を吊下げることができる。よって、吊下装置用ガイド部82は最も上の走行路48よりも上方に位置することが好ましい。好ましくは、水平搬送車40は、最も上の走行路48を走行する水平搬送車40よりも上の位置に吊下げられる。吊下装置用ガイド部82が棚段の上下方向中間に位置していても、当該吊下装置用ガイド部82よりも下の走行路48を走行する水平搬送車40を吊下げることができる。よって、吊下装置用ガイド部82は、最も下の走行路48よりも上方に位置していればよい。
【0086】
この状態で、吊下部94は、水平方向に対して水平搬送車40を交差させる姿勢で、水平搬送車40を吊下げて支持する。より具体的には、水平搬送車40の幅方向を鉛直方向に沿わせた姿勢とする。水平搬送車40は、通常使用状態における幅方向寸法よりも高さ寸法の方が小さい。このため、水平搬送車40は、幅方向を鉛直方向に沿わせた姿勢とすることで、2つの格納棚50を結ぶ方向において、水平搬送車40の寸法W2を小さくできる。水平搬送車40の幅方向は鉛直姿勢であってもよいし、鉛直姿勢に対して傾いていてもよい。水平方向に対して水平搬送車40の幅方向が傾いていれば、吊下げ状態での水平搬送車40の幅を小さくし易い。水平方向に対して水平搬送車40の幅方向が45度以上、好ましくは、60度以上、より好ましくは、80度以上傾いていてもよい。
【0087】
この状態で、吊下部94は、水平方向に対して水平搬送車40を交差させる姿勢で、水平搬送車40を吊下げて支持する。より具体的には、水平搬送車40の幅方向を鉛直方向に沿わせた姿勢とする。水平搬送車40は、通常使用状態における幅方向寸法よりも高さ寸法の方が小さい。このため、水平搬送車40は、幅方向を鉛直方向に沿わせた姿勢とすることで、2つの格納棚50を結ぶ方向において、水平搬送車40の寸法W2を小さくできる。
【0088】
水平搬送車40を上記姿勢で吊下げることで、2つの柱31間の間隔P1及び2つの長尺部材52P間の間隔P2を、吊下装置90に吊り下げられた水平搬送車40が通過可能な大きさとすることができる。
【0089】
吊下装置90によって吊下げられた水平搬送車40は、
図8に示すように、上記吊下げ姿勢のまま、吊下装置用ガイド部82によって案内され、2つの移載装置60の間及び2つの昇降装置30の間を通って、走行路48の外側の取出端83e2に移動することができる。水平搬送車40は、上方に吊下げられたまま移動するので、昇降装置30の駆動源34aや侵入防止柵38と干渉することなく外方に移動することができる。
【0090】
吊下装置90が取出端83e2に達すると、索状体94aが繰出され、水平搬送車40を床上に降ろすことができる。これにより、水平搬送車40をメンテナンスすることができる。
【0091】
上記と逆にして、水平搬送車40を走行路48上に入れることができる。
【0092】
<効果等>
以上のように構成された自動倉庫用メンテナンス装置80及び自動倉庫システム10によると、索状体94a繰出すことで、搬送車連結部95を走行路48上の水平搬送車40に連結することができる。この状態で、巻上部96によって索状体94aを巻上げると、水平搬送車40が、吊下装置90によって吊り下げられる。そして、吊下装置90を、吊下装置用ガイド部82に沿って取出端83e2に向けて移動させると、自動倉庫20における水平搬送車40を、格納棚50の外側に容易に取出せる。
【0093】
特に、自動倉庫20の下部には、自動倉庫20を動作させるための各種機構、侵入防止対策のための各種構成等が配置される可能性がある。水平搬送車40を吊下げて移動させることで、それらの下部構成を回避して取出すことができる。
【0094】
また、吊下装置用ガイド部82は、走行路48が延びる方向に沿って延び、取出端83e2は、複数の走行路48が延びる方向において、昇降装置30よりも外側に位置する。このため、走行路48の上方空間を利用して水平搬送車40を取出すことができる。例えば、水平搬送車40を、格納棚50の上方を越えて移動させる場合と比較して、取出のために要するスペースを小さくできる。
【0095】
また、吊下装置90が、水平方向に対して水平搬送車40を交差させる姿勢で当該水平搬送車40を吊下げることで、走行路48の幅方向において、水平搬送車40の寸法W2を小さくできる。これにより、水平搬送車40が周囲の部分に干渉し難くなり、水平搬送車40を水平方向に沿って移動させ易い。例えば、傾いた水平搬送車40は、傾かない水平搬送車40と比較して、上記柱31及び長尺部材52Pに引っ掛り難い。
【0096】
また、吊下装置90が水平搬送車40の吊下げを開始する位置で、補助用吊下装置100が水平搬送車40のうち搬送車連結部95が連結される位置とは異なる位置を吊下げて支持する。これにより、吊下げを開始する際の水平搬送車40の挙動が安定し易い。
【0097】
また、上記自動倉庫用メンテナンス装置80が自動倉庫20に適用されることで、自動倉庫20における水平搬送車40を容易に取出することができる、自動倉庫システム10を提供できる。
【0098】
上記2つの柱31間の間隔P1及び2つの長尺部材52P間の間隔P2を、吊下装置90に吊り下げられた水平搬送車40の幅W2以下とし、当該吊下げられた水平搬送車40が通過可能な大きさとすることで、水平搬送車40が柱31間及び長尺部材52P間を通って容易に移動できる。
【0099】
<変形例>
上記実施形態では、吊下装置用ガイド部82は、走行路48が延びる方向に沿って延びる例が説明された。しかしながら、
図9に示すように、吊下装置用ガイド部82に対応する吊下装置用ガイド部282が、走行路48と交差する方向に沿って延びて、いずれかの格納棚50の外側に達していてもよい。この場合、吊下装置用ガイド部282は、格納棚50の上方に離れた位置に配置され、吊下げられた水平搬送車40が格納棚50の上方を越えるようにするとよい。
【0100】
この場合、水平搬送車40は、格納棚50に対して走行路48とは反対側の箇所に取出されることができる。本変形例は、単一の巻上部96が、水平搬送車40を走行路48から持上げた状態で、水平搬送車340を、少なくとも1つの走行路48を上下方向に通過させるように、索状体94aを繰出し及び巻上げる一例である。
【0101】
吊下げ状態において、水平搬送車40が傾いていることは必須ではない。吊下げ状態において、水平搬送車40が水平姿勢であってもよい。例えば、水平搬送車40の左右部分が支持されて、水平姿勢で吊下げられてもよい。
【0102】
{第2実施形態}
第2実施形態に係る自動倉庫用メンテナンス装置、自動倉庫システムおよび搬送車連結具について説明する。
図10は、第2実施形態に係る自動倉庫用メンテナンス装置380を備える自動倉庫システム310を示す図である。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0103】
自動倉庫システム310は、自動倉庫20と、自動倉庫用メンテナンス装置380とを備える。自動倉庫用メンテナンス装置380は、自動倉庫20に設置される装置である。自動倉庫20は、第1実施形態で説明した自動倉庫20と同じ構成であってもよい。
【0104】
自動倉庫用メンテナンス装置380は、吊下装置390を備える。吊下装置390は、複数の走行路48のうち最も下にある走行路48よりも高い位置で支持される。つまり、吊下装置390の支持位置は、最も下にある走行路48よりも高い位置に位置する。吊下装置390は、第1実施形態と同様に、移動機構92によって移動可能とされる。
【0105】
吊下装置390は、吊下部400と、巻上部96とを備える。
【0106】
吊下部400は、搬送車連結具410と、索状体94aとを有する。搬送車連結具410は、水平搬送車340に着脱可能に連結される部分である。索状体94aは、第1実施形態における索状体94aと同様に細長い部分、例えば、チェーン等である。索状体94aは、搬送車連結具410から延出している。
【0107】
巻上部96は、第1実施形態における巻上部96と同様に、水平搬送車340を走行路48から持上げた状態で、走行路48を上下方向に通過するように、索状体94aを繰出し及び巻上げ可能に構成されている。なお、巻上部96とは、水平搬送車340を走行していた走行路48から上下方向に移動させることを主目的とした巻上装置であり、例えば、水平搬送車340を、いずれかの段に対応する走行路48から別の段の走行路48より上側または下側に移動させることができる巻上装置である。後述する中間巻上部426は、水平搬送車340の姿勢変更を主目的とした巻上装置であり、上下に移動させることができる量も小さく、この点において、巻上部96とは異なっている。
【0108】
また、自動倉庫用メンテナンス装置380は、吊下装置用ガイド部382を備える。吊下装置用ガイド部382は、第1実施形態における変形例と同様に、走行路48と交差する方向に沿って延びて、いずれかの格納棚50の外側に達している。吊下装置390は、上記吊下装置用ガイド部382によって吊下装置用ガイド部が延びる方向に沿って移動可能に支持されている。
【0109】
なお、吊下装置用ガイド部は、第1実施形態における吊下装置用ガイド部82と同様に、走行路48と同じ方向に延びてもよい。また、吊下装置用ガイド部が省略され、吊下装置が一定位置に支持されてもよい。この場合、吊下装置は、水平搬送車340を吊下げてそのまま下に下ろすための装置として用いられてもよい。
【0110】
吊下部400による水平搬送車340の支持姿勢を安定させることが望まれる。吊下部400の搬送車連結具410が水平搬送車340を支持するための構成が説明される。
【0111】
<水平搬送車について>
図11及び
図12は水平搬送車340を示す斜視図である。
図11及び
図12において、取外された第1取っ手、第2取っ手及び吊下支持対象部が2点鎖線で示される。
【0112】
水平搬送車340は、筐体342と、物品出し入れ機構42と、車輪41とを備える。
【0113】
筐体342は、水平搬送車340の各駆動機構、基板等を収容する。例えば、筐体342は、床部343と、当該床部343上に支持された第1上ケース344aと、第2上ケース344bと、可動上ケース344cとを備える。なお、個々の部品が筺状をなしているか否かに拘らず、全体として水平搬送車340の構成部品を収容する筐体の一部となり得る部分は、筐体342またはケースの構成部分である。
【0114】
床部343の四隅部分のそれぞれに車輪41が回転可能に支持されている。車輪41の少なくとも一部がモータ等で正逆両方向に回転駆動されることで、水平搬送車340が走行路48上を両方向に走行できる。
【0115】
第1上ケース344aと第2上ケース344bとが床部343上において、水平搬送車340の走行方向において間隔をあけて支持されている。可動上ケース344cが、床部343上かつ第1上ケース344aと第2上ケース344bとの間において、前記走行方向において移動駆動可能に支持されている。
【0116】
物品出し入れ機構42が上記筐体342に支持されている。例えば、物品出し入れ機構42の一対のアームのうちの一方のアームが第1上ケース344aに支持され、他方のアームが可動上ケース344cに支持されている。
【0117】
可動上ケース344cは、取扱対象となる物品Wの幅に応じて第1上ケース344aと第2上ケース344bとの間を移動駆動されるとよい。床部343のうち第1上ケース344aと可動上ケース344cとの間の部分が物品Wを載置支持する載置面とされるとよい。
【0118】
物品出し入れ機構42の一対のアームは、第1上ケース344a及び可動上ケース344cから進退して、外側から物品Wを載置面上に取込んだり、載置面上の物品Wを外側に押出したりすることができる。
【0119】
上記筐体342に吊下支持対象部346A、346B及び取っ手348A1、348A2、348B1、348B2が取付けられている。
【0120】
吊下支持対象部346A、346Bは、水平搬送車340を吊下げて支持するための部分である。取っ手348A1、348A2、348B1、348B2は、作業者が掴むことができる部分である。作業者が、取っ手348A1、348A2、348B1、348B2は、作業者が掴むことで、水平搬送車340を姿勢変更したり、移動させたりすることが容易となる。
【0121】
具体的には、吊下支持対象部346A、346Bは、フックを引っ掛けることができる形状、例えば、環状形状、U字形状またはJ字形状部分に形成される。本実施形態では、吊下支持対象部346A、346Bは、環状部分を有する。吊下支持対象部346A、346Bは、筐体342に対して直接固定されてもよいし、ブラケット等を介して間接的に固定されてもよい。吊下支持対象部346A、346Bの固定構造は、例えば、ネジ止、リベット締、カシメ構造または溶接による固定構造であってもよい。
【0122】
取っ手348A1、348A2、348B1、348B2は、作業者が手で掴むのに適した形状、例えば、棒状、U字状、L字状またはT字状に形成される。本実施形態では、取っ手348A1、348A2、348B1、348B2は、直線棒状に形成される。
【0123】
本実施形態では、
図11に示すように、筐体342のうち走行方向の一方側に、吊下支持対象部346A、取っ手348A1、348A2が設けられる。
【0124】
より具体的には、筐体342のうち走行方向の一方側に上記第1上ケース344aが位置している。当該第1上ケース344aのうち走行方向における外向き面に中間ブラケット345が着脱可能に取付けられている。ここで、中間ブラケット345は、破壊を伴うことなく筐体342に対して着脱可能であればよい。本実施形態では、中間ブラケット345は、ネジSによって第1上ケース344aにネジ止固定される。ネジSを締付けたり、緩めて外したりすることで、中間ブラケット345が第1上ケース344aに着脱される。中間ブラケット345は、筐体342に取付けられることで、当該筐体342の一部となると把握されてもよい。
【0125】
中間ブラケット345は、細長い板状の中間板部345aと、中間板部345aの両端部から延出する一対の脚部345bとを含む。一対の脚部345bは、中間板部345aの端部から中間板部345aの一方主面側に突出するように延在している。本実施形態では、脚部345bは、中間板部345aに対して直交しているが必ずしもその必要は無い。
【0126】
脚部345bの先端部に、ネジ孔を有するネジ止め片345bpが形成されている。中間板部345aを水平搬送車340の車幅方向に沿わせると共に、第1上ケース344aの外向き面に対向する位置に配置した状態で、当該ネジ止め片345bpが、第1上ケース344aの外向き面に接触するように配置される。この状態で、ネジ止め片345bpが第1上ケース344aにネジ止固定される。なお、水平搬送車340の車幅方向とは、一対のレール48aを走行する一対の車輪41を結ぶ方向であり、レール48aに対して直交する水平方向である。
【0127】
取っ手348A1、348A2は、水平搬送車340の車幅方向において離れて位置している。本実施形態では、中間板部345aの延在方向に離れた位置に配置される。例えば、取っ手348A1、348A2の基端部にネジ部が形成され、当該ネジ部が中間板部345aのネジ孔に螺合することで、取っ手348A1、348A2が中間板部345aに固定される。
【0128】
上記のように、中間板部345aが車幅方向に沿うように、筐体342に固定されることで、取っ手348A1、348A2が、水平搬送車340の車幅方向において離れて位置した状態で支持される。
【0129】
取っ手348A1、348A2は、水平搬送車340の走行方向において一方側に突出する第1突出方向取っ手の一例である。取っ手348A1、348A2は、筐体342から同じ側を向いており、取っ手348A1は第1取っ手の一例であり、取っ手348A2は第2取っ手の一例である。
【0130】
取っ手348A1、348A2は、係止対象部348tを有する。係止対象部348tは、後述する姿勢保持部材430が係止する部分である。本実施形態では、取っ手348A1、348A2の基端側部分が先端側よりも細くなっており、当該細くなった部分が係止対象部348tである。
【0131】
取っ手348A1、348A2は、金属または樹脂の一体形成部品であってもよいし、複数部品の組合せ部品であってもよい。本実施形態では、取っ手348A1、348A2のそれぞれは、棒状部分348pと、グリップ部348qとを有する。
【0132】
棒状部分348pは、筐体342から突出する棒状に形成されている。本実施形態では棒状部分348pは、丸棒状であり、その基端部にネジ部が形成されている。
【0133】
グリップ部348qは、棒状部分348pの先端に取付けられ、棒状部分よりも太くかつ柔軟な部分である。例えば、棒状部分348pが金属によって形成されており、グリップ部348qが当該金属よりも柔軟な樹脂またはゴムによって形成される。ここで柔軟性は、例えば、ショア硬さによって評価されてもよい。
【0134】
棒状部分348pのうちグリップ部348qの基端側に露出する部分が上記係止対象部348tであってもよい。
【0135】
グリップ部348qが柔軟であれば、作業者は、手でグリップ部348qを掴み易い。また、姿勢保持部材430は、グリップ部348qよりも硬い係止対象部348tにしっかりと係止でき、かつ、グリップ部348q側に抜出難い。
【0136】
筐体342のうち走行方向一方側では、取っ手348A1、348A2は、中間ブラケット345を介して筐体342に対して着脱可能に取付けられる。
【0137】
吊下支持対象部346Aは、上記取っ手348A1、348A2の間に位置する。本実施形態では、吊下支持対象部346Aは、中間板部345aの長手方向中間に取付けられる。このため、吊下支持対象部346Aは、上記取っ手348A1、348A2と共に、中間ブラケット345を介して筐体342に着脱可能に取付けられる。
【0138】
吊下支持対象部346Aは、上記取っ手348A1、348A2の中央に位置していてもよいし、中央からずれて位置していてもよい。
【0139】
なお、中間ブラケット345は、水平搬送車340に対して着脱不能に取付けられてもよい。
【0140】
また、本実施形態では、
図12に示すように、筐体342のうち走行方向の他方側に、吊下支持対象部346B、取っ手348B1、348B2が設けられる。
【0141】
より具体的には、筐体342のうち走行方向の他方側に上記第2上ケース344bが位置している。当該第2上ケース344bのうち走行方向における外向き面に吊下支持対象部346Bが取付けられると共に、取っ手348B1、348B2が着脱可能に取付けられている。ここで、取っ手348B1、348B2は、破壊を伴うことなく筐体342に対して着脱可能であればよい。本実施形態では、取っ手348B1、348B2の基端部のネジ部が筐体342にねじ込まれることで、筐体342に対して着脱可能に取付けられる。なお、取っ手348B1、348B2は、筐体342に対して着脱不能に取付けられてもよい。
【0142】
取っ手348B1、348B2は、取っ手348A1、348A2と同様に、水平搬送車340の車幅方向において離れて位置している。本実施形態では、第2上ケース344bの外向き面に、前記車幅方向に離れた位置に配置される。
【0143】
取っ手348B1、348B2は、水平搬送車340の走行方向において他方側に突出する第2突出方向取っ手の一例である。取っ手348B1、348B2は、筐体342から同じ側を向いており、取っ手348B1は第1取っ手の一例であり、取っ手348B2は第2取っ手の一例である。
【0144】
取っ手348B1、348B2は、取っ手348A1、348A2と同様に、係止対象部348tと、棒状部分348pと、グリップ部348qとを有する構成であってもよい。
【0145】
吊下支持対象部346Bは、上記取っ手348B1、348B2の間に位置する。本実施形態では、吊下支持対象部346Bは、第2上ケース344bの外向き面のうち車幅方向中間に取付けられる。吊下支持対象部346Bは、ネジ止等によって筐体342に着脱可能に取付けられてもよいし、着脱不能に取付けられてもよい。吊下支持対象部346Bは、上記取っ手348B1、348B2の中央に位置していてもよいし、中央からずれて位置していてもよい。
【0146】
水平搬送車340の走行方向の一方側における吊下支持対象部346A、上記取っ手348A1、348A2の配置と、水平搬送車340の走行方向の他方側における吊下支持対象部346B、上記取っ手348B1、348B2の配置とは、当該走行方向中央の面を対称面として対称であってもよい。
【0147】
なお、吊下支持対象部346A、346Bは、水平搬送車340の車幅方向において、当該水平搬送車340の重心に位置していてもよいし、当該重心からずれて位置していてもよい。吊下支持対象部346A、346Bは、水平搬送車340の車幅方向において、当該水平搬送車340の重心に位置していれば、吊下支持対象部346A、346Bを支持した状態で、水平搬送車340は、いずれの方向にも傾くことができる。吊下支持対象部346A、346Bが、水平搬送車340の車幅方向において、当該水平搬送車340の重心からずれていれば、吊下支持対象部346A、346Bを支持した状態で、水平搬送車340が傾く方向を揃え易い。
【0148】
この水平搬送車340によると、作業者は、取っ手348A1、348A2、348B1、348B2を持つことで、水平搬送車340の移動、姿勢変更等を容易に行える。
【0149】
また、吊下支持対象部346A、346Bを利用することで、水平搬送車340を容易に吊下げて支持できる。水平搬送車340を吊下げて支持する際に、取っ手348A1、348A2、348B1、348B2を利用して水平搬送車340の姿勢制御等を容易に行える。
【0150】
<搬送車連結具について>
図13は搬送車連結具410を示す斜視図である。搬送車連結具410は、搬送車連結部の一例であり、吊下用支持バー412と、第1連結支持部420Aと、第2連結支持部420Bとを備える。
【0151】
吊下用支持バー412は、第1端部412Aと第2端部412Bとを有する長尺形状に形成されている。例えば、吊下用支持バー412は、金属等で形成された四角筒状に形成されている。吊下用支持バー412は、走行方向における水平搬送車340の長さと同じ程度または当該長さを超える長さを有する。
【0152】
吊下用支持バー412の長手方向中間部が索状体94aによって支持されている。よって、吊下用支持バー412は、索状体94aの下端部から互いに反対側に延びている。
【0153】
第1連結支持部420Aは第1端部412Aに支持されており、第2連結支持部420Bは第2端部412Bに支持されている。本実施形態では、第1連結支持部420Aは第1端部412Aから垂下がるに支持されており、第2連結支持部420Bは第2端部412Bから垂下がるように支持されている。
【0154】
第1連結支持部420Aが、水平搬送車340のうち走行方向の一端寄りの位置に着脱可能に連結される。また、第2連結支持部420Bが、水平搬送車340のうちその走行方向の他端寄りの位置に着脱可能に連結される。
【0155】
このため、吊下用支持バー412の第1端部412Aの下方に、水平搬送車340のうち走行方向の一端寄りの部分が、第1連結支持部420Aによって吊下げ状態で支持される。また、吊下用支持バー412の第2端部412Bの下方に、水平搬送車340のうち走行方向の他端寄りの部分が、第2連結支持部420Bによって吊下げ状態で支持される。
【0156】
搬送車連結具410の各部構成についてより具体的に説明する。
【0157】
吊下用支持バー412は、バー本体413と、索状体連結部417と、連結位置調整部414とを備える。
【0158】
バー本体413は、長尺状、例えば、角筒状に形成されている。
【0159】
索状体連結部417は、索状体94aが連結される部分であり、例えば、U字状または環状に形成される。
【0160】
連結位置調整部414は、索状体連結部417を、バー本体413の長手方向に沿って移動可能に支持する。より具体的には、連結位置調整部414は、可動部415と、支持片413Pと、ネジ調整部416とを備える。
【0161】
可動部415は、バー本体413に、その長手方向に沿って移動可能に支持される。例えば、可動部415は、バー本体413に外嵌めされる角筒状に形成される。可動部415の外周にネジ孔を有する受片415Pが突設される。可動部415に上記索状体連結部417が固定されている。このため、索状体94aは、索状体連結部417を介して可動部415に連結される。
【0162】
支持片413Pは、バー本体413に突設されている。例えば、バー本体413の長手方向において離れた位置に2つの支持片413Pが突設される。2つの支持片413Pの間で、可動部415がバー本体413の長手方向に沿って移動可能に配置される。支持片413Pにネジ挿通孔が形成されている。
【0163】
ネジ調整部416は、ネジ溝が形成されたネジ部416aを有する部品である。ネジ調整部416は、2つの支持片413Pのネジ挿通孔に挿通されると共に、2つの支持片413Pの間で受片415Pのネジ孔に螺合される。ネジ調整部416の両端に抜止め部416bが固定されており、ネジ調整部416が2つの支持片413Pのネジ挿通孔から抜出ないように構成されている。
【0164】
ネジ調整部416を回転させることで、当該ネジ調整部416が螺合するネジ孔を有する受片415Pがバー本体413の長手方向に沿っていずれか一方側に移動する。移動後は、ネジ調整部416を回転させなければ、ネジ調整部416は、バー本体413の長手方向において一定位置に維持される。このため、ネジ調整部416の回転方向及び回転量を調整することで、バー本体413の長手方向における可動部415の位置が調整され得る。
【0165】
可動部415の位置を調整する構成は上記例に限られない。例えば、ウオームギヤまたはラチェット構造を利用した構成によって、可動部の位置が調整されてもよい。
【0166】
上記のように、水平搬送車340における可動上ケース344cは、走行方向において可動であるため、メンテナンス時における可動上ケース344cの位置に応じて、水平搬送車340の重心位置がばらつく可能性がある。水平搬送車340の重心位置に応じて可動部415の位置を調整することによって、水平搬送車340を、吊下用支持バー412によってバランスよく支持し易くなる。
【0167】
第1連結支持部420Aは、連結端部422と、中間索状体424と、中間巻上部426とを備える。
【0168】
連結端部422は、水平搬送車340に着脱可能に連結される部分である。連結端部422は、例えば、搬送車連結部95と同様のフックであり、水平搬送車340における吊下支持対象部346Aの環状部分に着脱可能に引っ掛けられる。
【0169】
中間索状体424は、索状体94aと同様に、チェーン等であり、連結端部422から延出している。
【0170】
中間巻上部426は、上記中間索状体424を繰出し及び巻上げ可能に構成されている。中間巻上部426としては、上記巻上部96と同様構成であってもよい。本実施形態では、中間巻上部426は、レバー操作によって中間索状体424を巻上げできる。
【0171】
中間巻上部426は、第1端部412Aに支持されいてる。例えば、第1端部412Aに吊下げ状態で中間巻上部426が支持される。
【0172】
第2連結支持部420Bも、第1連結支持部420Aと同様に、連結端部422と、中間索状体424と、中間巻上部426とを備える。
【0173】
吊下用支持バー412の両端部412A、412Bのそれぞれにおいて、中間巻上部426からの中間索状体424の繰出し及び巻上げ量を調整することによって、吊下用支持バー412の下方における水平搬送車340の支持高さ位置が調整される。
【0174】
なお、中間巻上部426は省略されてもよい。
【0175】
水平搬送車340は、吊下支持対象部346A、346Bの2箇所で吊下げ状態で支持される。このため、水平搬送車340は、吊下支持対象部346A、346Bを通過する軸周りに揺動する可能性がある。
【0176】
水平搬送車340の姿勢を安定させるため、搬送車連結具410は、姿勢保持部材430をさらに備えてもよい。
【0177】
姿勢保持部材430は、長尺部材(例えば、長尺板状部材)であり、バー側連結部432と、搬送車側連結部434とを有する。本実施形態では、第1端部412Aと第2端部412Bとのそれぞれに、姿勢保持部材430が設けられる。第1端部412Aと第2端部412Bとの一方に、姿勢保持部材430が設けられても、水平搬送車340の姿勢を安定させることができる。
【0178】
バー側連結部432は、吊下用支持バー412に連結される部分である。本実施形態では、バー側連結部432は、吊下用支持バー412の第1端部412Aまたは第2端部412Bにピン等によって回転可能に連結されている。バー側連結部432は、吊下用支持バーに対して着脱可能に連結されてもよい。
【0179】
搬送車側連結部434は、水平搬送車340のうち第1連結支持部420A及び第2連結支持部420Bの連結箇所、つまり、吊下支持対象部346A、346Bとは異なる部分に連結される。本実施形態では、搬送車側連結部434は、取っ手348A1、348B1に連結される。搬送車側連結部434は、取っ手348A2、348B2に連結されてもよいし、取っ手とは異なる別の箇所に連結されててもよい。
【0180】
より具体的には、姿勢保持部材430における搬送車側連結部434は、第1係止部434aと第2係止部434bとを有する。第1係止部434aと第2係止部434bとは、姿勢保持部材430の端寄りの部分で、その一側から他側に向う凹部である。第1係止部434aと第2係止部434bとは、取っ手348A1等の棒状部分348pを配置可能な幅を有する凹形状に形成されている。姿勢保持部材430を、棒状部分348pに向けて回動させること、棒状部分348pを第1係止部434aまたは第2係止部434bに係止できる。また、姿勢保持部材430を、棒状部分348pから離れるように回動させること、棒状部分348pを第1係止部434aまたは第2係止部434bから取外せる。これにより、搬送車側連結部434が水平搬送車340に着脱可能に連結される。
【0181】
上記第1係止部434aと第2係止部434bとは、姿勢保持部材430の長手方向において離れている。第1係止部434aは、第2係止部434bよりも、バー側連結部432に近い。水平搬送車340の姿勢に応じて、取っ手348A1を、第1係止部434aまたは第2係止部434bに係止できる。
【0182】
姿勢保持部材430は、第1係止部434aまたは第2係止部434bに対する棒状部分348pの係止状態を維持するため係止維持部436を備えてもよい。なお、姿勢保持部材における係止部の数は任意である。例えば、姿勢保持部材に、水平搬送車の姿勢に応じて係止箇所を変えるために複数箇所の係止部が形成されることは必須ではない。水平搬送車の姿勢に拘らず、共通する係止部に棒状部分が係止されてもよい。
【0183】
係止維持部436は、例えば、長方形板状に形成される。係止維持部436は、その長手方向を姿勢保持部材430の一方主面の長手方向に沿わせた状態で、当該姿勢保持部材430の長手方向に移動可能に支持されている。係止維持部436の両端に、棒状部分348pを配置可能な幅を有する保持凹部436gが形成されている。
【0184】
そして、第1係止部434aまたは第2係止部434bに棒状部分348pが嵌り込んだ状態で、係止維持部436を、第1係止部434aまたは第2係止部434b側に移動させる。すると、係止維持部436のいずれか一方の端部側の保持凹部436gにも、棒状部分348pが嵌り込む。この状態で、姿勢保持部材430に対する係止維持部436の位置を一定位置に保つことで、棒状部分348pが第1係止部434aまたは第2係止部434bから抜け難くなる。例えば、姿勢保持部材430にネジSを螺合し、当該ネジSの先端を姿勢保持部材430の表面に押し当てることで、姿勢保持部材430に対して係止維持部436を固定してもよい。
【0185】
<自動倉庫用メンテナンス装置を利用した水平搬送車の取出作業例について>
水平搬送車340は次のようにして取出される。
【0186】
図10及び
図14に示すように、吊下装置390の下方で、水平搬送車340が一対のレール48a上に跨るように配置される。水平搬送車340の車幅方向両側の車輪41が一対のレール48a上に位置している。
【0187】
この状態で、吊下装置390から索状体94aが引出され、搬送車連結具410が水平搬送車340の真上に配置される。吊下用支持バー412の両端側の中間巻上部426から中間索状体424が引出され、2つの中間索状体424の端部の連結端部422のそれぞれが水平搬送車340の吊下支持対象部346A、346Bに引っ掛けられる。
【0188】
なお、第1連結支持部420A側と第2連結支持部420B側とで、水平搬送車340のバランスをとることができるように、連結位置調整部414によって吊下用支持バー412の長手方向における索状体連結部417の位置が調整されるとよい。
【0189】
2つの中間巻上部426のそれぞれにおいて、中間索状体424を巻上げることによって、吊下支持対象部346A、346Bが上方に移動する。この際、水平搬送車340は、吊下支持対象部346A、346Bを結ぶ軸周りに回転するとよい(
図14において2点鎖線で示す水平搬送車340参照)。吊下支持対象部346A、346Bを結ぶ軸に対して、水平搬送車340の重心がずれていると、水平搬送車340は自然と前記軸周りに回転する。吊下支持対象部346A、346Bを結ぶ軸上に、水平搬送車340の重心が位置している場合、作業者が取っ手348A1、348A2、348B1、348B2を利用して、水平搬送車340を回転させるとよい。つまり、水平搬送車340の姿勢変更は、吊下支持対象部346A、346Bを結ぶ軸に対する水平搬送車340の重心の位置設定よってなされてもよいし、作業者が取っ手348A1、348A2、348B1、348B2を利用して行う作業によってなされてもよい。
【0190】
図10及び
図15に示すように、2つの中間巻上部426のそれぞれによる中間索状体424による巻上が終了すると、水平搬送車340は、走行可能に支持されていた走行路48よりも上側の位置で吊下げられた状態となる。水平搬送車340の重心がずれを利用するか、取っ手348A1、348A2、348B1、348B2を利用して、水平搬送車340の車幅方向が上下方向に沿った横縦向き状態となるように、水平搬送車340を回転させる。
【0191】
そして、2つの姿勢保持部材430のそれぞれの第1係止部434aを、取っ手348A1、348B1の係止対象部348tに係止させるように、姿勢保持部材430を回動させる。すると、水平搬送車340のうちの取っ手348A1、348B1が、吊下支持対象部346A、346Bよりも吊下用支持バー412に近い上方位置に拘束される。これにより、水平搬送車340は横立向き姿勢に維持される。この状態で、係止維持部436を第1係止部434a側に移動させて、取っ手348A1、348B1が第1係止部434aに係止した状態に保つ。
【0192】
水平搬送車340が横立向き姿勢に維持された状態で、
図10及び
図16に示すように、巻上部96により索状体94aが巻上げられる。例えば、水平搬送車340のうち吊下支持対象部346A、346Bが格納棚50の最上部よりも上に位置するまで、索状体94aが巻上げられる。
【0193】
そして、係止維持部436を第1係止部434aから遠ざかる方向に移動させ、この後、2つの姿勢保持部材430のそれぞれの第1係止部434aを、取っ手348A1、348B1の係止対象部348tから外すように、姿勢保持部材430を回動させる。この後、作業者が取っ手348A1、348A2、348B1、348B2を利用して、水平搬送車340を、吊下支持対象部346A、346Bを結ぶ軸周りに回転させて、水平搬送車340を水平姿勢にする。水平搬送車340の走行方向一方側に取っ手348A1、348A2が突出し、他方側に取っ手348B1、348B2が突出している。このため、例えば、水平搬送車340の走行方向両側に位置する作業者が、水平搬送車340の走行方向両側から当該水平搬送車340を姿勢変更する作業を容易に実施できる。また、取っ手348A1、348A2の間に吊下支持対象部346Aが位置し、取っ手348B1、348B2の間に吊下支持対象部346Bが位置する。このため、軸周り両側で取っ手348A1、348A2または取っ手348B1、348B2を掴んで、水平搬送車340を上記軸周りに回転させる作業を容易に実施できる。
【0194】
そして、
図10及び
図17に示すように、2つの中間巻上部426のそれぞれによって中間索状体424をさらに巻上げる。水平搬送車340は、さらに上に移動し、水平状態で、格納棚50の上端よりも上側に位置する状態となる。この状態で、2つの姿勢保持部材430のそれぞれの第2係止部434bを、取っ手348A1、348B1の係止対象部348tに係止させるように、姿勢保持部材430を回動させる。すると、水平搬送車340のうちの取っ手348A1、348B1が、吊下支持対象部346A、346Bよりも吊下用支持バー412から離れた位置に拘束される。これにより、水平搬送車340は水平姿勢に維持される。この後、係止維持部436を第2係止部434b側に移動させて、取っ手348A1、348B1が第2係止部434bに係止した状態に保つ。
【0195】
本実施形態では、横縦向き姿勢が第1姿勢であり、水平姿勢が当該第1姿勢よりも水平姿勢に近い第2姿勢である。第1姿勢は、水平搬送車340を、一対のレール48a間を通って上下移動させるのに適した姿勢である。第2姿勢は、第1姿勢よりも水平姿勢に近い姿勢である。水平姿勢に近い姿勢とは、水平姿勢である場合も含む。水平搬送車340が水平姿勢に近くなれば、水平搬送車340の下端部の位置は、第1姿勢の場合よりも上に位置する。このため、水平搬送車340が第2姿勢とされることで、水平搬送車340は移動経路の下方部分と干渉し難くなる。よって、第2姿勢は、水平搬送車340を、格納棚50等の設備の上方を移動させるのに適した姿勢である。第1姿勢または第2姿勢において、水平搬送車340は、水平方向または鉛直方向に対して傾いていてもよい。
【0196】
吊下装置390によって吊下げられた水平搬送車340は、上記水平姿勢のまま、吊下装置用ガイド部382によって案内され、格納棚50の上方を横切って、一対の格納棚50の外側に移動することができる。
【0197】
水平搬送車340は、水平姿勢のまま格納棚50を越えることができるので、格納棚50と吊下装置用ガイド部382との間隔が小さくても、水平搬送車340は格納棚50と干渉し難い。よって、格納棚50と天井との間のスペースが小さくても、自動倉庫用メンテナンス装置380を組込み易い。
【0198】
吊下装置390が格納棚50の外側に達すると、索状体94aが繰出され、水平搬送車340を床上に降ろすことができる。これにより、水平搬送車340をメンテナンスすることができる。
【0199】
上記と逆にして、水平搬送車340を走行路48上に入れることができる。
【0200】
<効果等>
以上のように構成された自動倉庫用メンテナンス装置380及び自動倉庫システム310によると、吊下装置390は、水平搬送車340を走行路48から持上げた状態で、複数の走行路48のうちの少なくとも1つを上下方向に通過させるように、索状体94aを繰出し及び巻上げ可能な単一の巻上部96を含む。つまり、単一の巻上部96のみで、水平搬送車340を上下移動させて、少なくとも1つの走行路48を、上下方向に通過させることができる。
【0201】
例えば、複数の巻上部によって水平搬送車を上下移動させる際には、水平搬送車の姿勢変動を少なくするため、複数の巻上部を同期して巻上げることになる。本実施形態では、1つの巻上部96による巻上作業を行えばよいので、当該巻上作業が容易である。
【0202】
また、水平搬送車340を大きく上下に移動させるための巻上部96を1つ用いればよいので、低コスト化が可能となる。
【0203】
また、吊下装置390は、吊下装置用ガイド部382によって吊下装置用ガイド部382が延びる方向に沿って移動可能に支持されているため、吊下装置390によって吊下げた水平搬送車340を、水平方向に沿って容易に移動させることができる。
【0204】
また、搬送車連結具410は、第1端部412Aと第2端部412Bとを有する吊下用支持バー412と、第1端部412Aに支持された第1連結支持部420Aと、第2端部412Bに支持された第2連結支持部420Bと、を含む。そして、第1連結支持部420Aが、水平搬送車340の走行方向の一端寄りの位置に着脱可能に連結され、第2連結支持部420Bが、水平搬送車340の走行方向の他端寄りの位置に着脱可能に連結される。
【0205】
このため、単一の巻上部96から繰出される索状体94aで、吊下用支持バー412の中間部を支持し、吊下用支持バー412により支持された第1連結支持部420Aおよび第2連結支持部420Bにより、水平搬送車340の一端寄りの位置および他端寄りの位置を支持できる。このため、単一の巻上部96によって、水平搬送車340を安定して支持し易くなる。
【0206】
なお、吊下装置390が上記搬送車連結具410を用いて水平搬送車340を吊下げることは必須ではない。
【0207】
また、吊下用支持バー412は、長尺状のバー本体413と、索状体94aが連結される索状体連結部417と、索状体連結部417を、バー本体413の長手方向に沿って移動可能に支持する連結位置調整部414と、を含む。
【0208】
このため、索状体連結部417の位置をバー本体413の長手方向に沿って調整することで、水平搬送車340をバランスよく支持し易い。例えば、可動上ケース344cの位置に応じて水平搬送車340の重心位置が変動する。そこで、水平搬送車340を持上げる際の可動上ケース344cの位置に応じて、索状体連結部417の位置を調整するとよい。
【0209】
また、第1連結支持部420Aおよび第2連結支持部420Bのそれぞれは、水平搬送車340に着脱可能に連結される連結端部422と、連結端部から延出する中間索状体424と、中間索状体を繰出し及び巻上げ可能な中間巻上部426と、を含む。
【0210】
このため、中間巻上部426により、中間索状体424を巻上げることで、水平搬送車340を吊下用支持バー412に近付けるように持上げることができる。これにより、水平搬送車340が、格納棚50と干渉し難いようにできる。この状態で、水平搬送車340を水平姿勢に近い第2姿勢とすることで、水平搬送車340の最下部が吊下用支持バー412に近づき、水平搬送車340が格納棚50とより干渉し難い。このように、レバーブロック等の中間巻上部426を使うことにより天井高さスペースが狭いところでも、水平搬送車340を、格納棚10の上部を通り外に出し易くなる。
【0211】
中間巻上部426から中間索状体424を繰出すことで、吊下用支持バー412から水平搬送車340を離して配置できる。これにより、水平搬送車340を、吊下用支持バー412と干渉させずに、姿勢変更し易い。例えば、この状態で、水平搬送車340を鉛直方向に近い第1姿勢とすることで、水平搬送車340の占有幅を小さくできる。これにより、水平搬送車340を、一対のレール48a間を通って移動させ易い。
【0212】
また、搬送車連結具410は、吊下用支持バー412に連結されるバー側連結部432と、水平搬送車340のうち第1連結支持部420Aおよび第2連結支持部420Bの連結箇所とは異なる部分に連結される搬送車側連結部434とを有する姿勢保持部材430をさらに含む。
【0213】
この姿勢保持部材430によって、水平搬送車340の姿勢が安定する。
【0214】
上記姿勢保持部材430が、吊下用支持バー412の第1端部412A及び第2端部のそれぞれに設けられることで、水平搬送車をより安定した姿勢に保てる。
【0215】
また、姿勢保持部材430は、搬送車側連結部434として、第1係止部434aと第2係止部434bとを有する。そして、第1係止部434aが水平搬送車340に係止されることで、水平搬送車340が第1姿勢に保たれる。また、第2係止部434bが水平搬送車340に係止されることで、水平搬送車340が第1姿勢よりも水平姿勢に近い第2姿勢に保たれる。このため、水平搬送車340に対する姿勢保持部材430の係止箇所を、第1係止部434aと第2係止部434bとで変更することで、共通する姿勢保持部材430によって、水平搬送車340の異なる姿勢を維持できる。
【0216】
上記バー側連結部432が吊下用支持バー412に回転可能に連結されており、搬送車側連結部434は水平搬送車340に着脱可能に連結されれば、姿勢保持部材430を、吊下用支持バー412と一体的に取扱うことができる。また、搬送車側連結部434は水平搬送車340に着脱可能に連結されるので、水平搬送車340を一定姿勢に保つ状態と保たない状態とを容易に切替えできる。
【0217】
なお、姿勢保持部材430の搬送車側連結部434が係止する箇所は、水平搬送車340のうち取っ手として利用される部分でなくてもよい。例えば、姿勢変更のための突起が取っ手とは別に設けられてもよい。
【0218】
その他、本実施形態の自動倉庫用メンテナンス装置380を備える自動倉庫システム310によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0219】
{変形例}
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0220】
{付記}
本開示は下記の各態様を開示する。
【0221】
第1の態様は、複数段の棚を含む格納棚と、前記複数段の棚に関連付けられて上下に並んで設けられ、それぞれ前記棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる複数の走行路と、入庫される物品を入庫用の高さ位置から格納箇所に対応する高さ位置に移動させる入庫昇降処理、及び、出庫される前記物品を格納箇所に対応する高さ位置から出庫用の高さ位置に移動させる出庫昇降処理の少なくとも一方を行う昇降装置と、前記複数の走行路に対応して設けられ、それぞれ前記走行路上を走行して、前記昇降装置と前記棚との間で前記物品を移載する複数の水平搬送車と、を備える自動倉庫に設置される自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記複数の走行路のうち最も下にある前記走行路よりも高い位置で水平方向に沿って延びる吊下装置用ガイド部と、前記吊下装置用ガイド部によって前記吊下装置用ガイド部が延びる方向に沿って移動可能に支持される吊下装置と、を備え、前記吊下装置用ガイド部は、前記複数の走行路よりも外側に位置する取出端を含み、前記吊下装置は、前記吊下装置用ガイド部に支持されて、前記吊下装置用ガイド部に沿って、前記棚に対向する位置と前記取出端との間で水平移動する移動機構と、前記水平搬送車に着脱可能に連結される搬送車連結部と、前記搬送車連結部から延出する索状体とを有する吊下部と、前記移動機構に対して前記索状体を繰出し及び巻上げ可能な巻上部と、を含む。
【0222】
この自動倉庫用メンテナンス装置によると、索状体を繰出すことで、搬送車連結部を走行路上の水平搬送車に連結することができる。この状態で、巻上部によって索状体を巻上げると、水平搬送車が、吊下装置によって吊り下げられる。そして、吊下装置を、吊下装置用ガイド部に沿って取出端に向けて移動させると、自動倉庫における水平搬送車を、格納棚の外側に容易に取出せる。
【0223】
第2の態様は、第1の態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記昇降装置は、前記複数の走行路が延びる方向において前記複数の走行路よりも外側に位置し、前記吊下装置用ガイド部は、前記走行路が延びる方向に沿って延び、前記取出端は、前記複数の走行路が延びる方向において、前記昇降装置よりも外側に位置する。
【0224】
これにより、水平搬送車を、昇降装置を超えて外側に容易に取出せる。
【0225】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記移動機構は、前記吊下装置用ガイド部に接した状態で前記吊下装置用ガイド部に沿って転がって移動する転動体と、前記転動体を回転駆動するモータとを含む。
【0226】
これにより、モータの駆動によって、吊下装置が吊下装置用ガイド部に沿って移動できる。
【0227】
第4の態様は、第1から第3のいずれ1つの態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記吊下部は、水平方向に対して前記水平搬送車を交差させる姿勢で、前記水平搬送車を吊下げて支持する。
【0228】
このように、平方向に対して水平搬送車を交差させる姿勢とすることで、走行路の幅方向において、水平搬送車の寸法を小さくできる。これにより、水平搬送車が周囲の部分に干渉し難くなり、水平搬送車を水平方向に沿って移動させ易い。
【0229】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記吊下装置が前記水平搬送車の吊下げを開始する位置で、前記水平搬送車のうち前記搬送車連結部が連結される位置とは異なる位置を吊下げて支持する補助用吊下装置をさらに備える。
【0230】
この場合、吊下装置が水平搬送車の吊下げを開始する位置で、補助用吊下装置が水平搬送車のうち搬送車連結部が連結される位置とは異なる位置を吊下げて支持する。これにより、吊下げを開始する際の水平搬送車の挙動が安定し易い。
【0231】
第6の態様は、複数段の棚を含む格納棚と、前記複数段の棚に関連付けられて上下に並んで設けられ、それぞれ前記棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる複数の走行路と、入庫される物品を入庫用の高さ位置から格納箇所に対応する高さ位置に移動させる入庫昇降処理、及び、出庫される前記物品を格納箇所に対応する高さ位置から出庫用の高さ位置に移動させる出庫昇降処理の少なくとも一方を行う昇降装置と、前記複数の走行路に対応して設けられ、それぞれ前記走行路上を走行して、前記昇降装置と前記棚との間で前記物品を移載する複数の水平搬送車と、を備える自動倉庫に設置される自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記複数の走行路のうち最も下にある前記走行路よりも高い位置で支持される吊下装置を備え、前記吊下装置は、前記水平搬送車に着脱可能に連結される搬送車連結部と、前記搬送車連結部から延出する索状体とを有する吊下部と、前記水平搬送車を、前記走行路から持上げた状態で、前記複数の走行路のうちの少なくとも1つを上下方向に通過させるように、前記索状体を繰出し及び巻上げ可能な単一の巻上部と、を含む、自動倉庫用メンテナンス装置である。
【0232】
この自動倉庫用メンテナンス装置によると、単一の巻上部によって、水平搬送車を走行路から持上げた状態で、前記複数の走行路のうちの少なくとも1つを上下方向に通過させることができるため、自動倉庫における水平搬送車を、格納棚の外側に容易に取り出せる。
【0233】
第7の態様は、第6の態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記複数の走行路のうち最も下にある前記走行路よりも高い位置で水平方向に沿って延びる吊下装置用ガイド部をさらに備え、前記吊下装置は、前記吊下装置用ガイド部によって前記吊下装置用ガイド部が延びる方向に沿って移動可能に支持されているものである。
【0234】
この場合、吊下装置によって吊下げた水平搬送車を、水平方向に沿って容易に移動させることができる。
【0235】
第8の態様は、第6または第7の態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記搬送車連結部は、第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部と前記第2端部との間の部分が前記索状体に支持される吊下用支持バーと、前記第1端部に支持された第1連結支持部と、前記第2端部に支持された第2連結支持部と、を含み、前記第1連結支持部が、前記水平搬送車のうちその走行方向の一端寄りの位置に着脱可能に連結され、前記第2連結支持部が、前記水平搬送車のうちその走行方向の他端寄りの位置に着脱可能に連結されるものである。
【0236】
これにより、単一の巻上部から繰出される索状体で、吊下用支持バーの中間部を支持し、吊下用支持バーにより支持された第1連結支持部および第2連結支持部により、水平搬送車の一端寄りの位置および他端寄りの位置を支持できる。このため、水平搬送車を安定して支持し易くなる。
【0237】
第9の態様は、第8の態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記吊下用支持バーは、長尺状のバー本体と、前記索状体が連結される索状体連結部と、前記索状体連結部を、前記バー本体の長手方向に沿って移動可能に支持する連結位置調整部と、を含む。
【0238】
これにより、索状体連結部の位置をバー本体の長手方向に沿って調整することで、水平搬送車をバランスよく支持し易い。
【0239】
第10の態様は、第8または第9の態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記第1連結支持部および前記第2連結支持部のそれぞれは、前記水平搬送車に着脱可能に連結される連結端部と、前記連結端部から延出する中間索状体と、前記中間索状体を繰出し及び巻上げ可能な中間巻上部と、を含む。
【0240】
この場合、中間巻上部により、中間索状体を巻上げることで、水平搬送車を吊下用支持バーに近付けるように持上げることができる。これにより、水平搬送車が、格納棚と干渉し難いようにできる。中間巻上部から中間索状体を繰出すことで、吊下用支持バーから水平搬送車を離して配置できる。これにより、水平搬送車を、吊下用支持バーと干渉させずに、姿勢変更し易い。
【0241】
第11の態様は、第8から第10のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記搬送車連結部は、前記吊下用支持バーに連結されるバー側連結部と、前記水平搬送車のうち前記第1連結支持部および前記第2連結支持部の連結箇所とは異なる部分に連結される搬送車側連結部とを有する姿勢保持部材をさらに含む。
【0242】
この場合、姿勢保持部材のバー側連結部が吊下用支持バーに連結され、かつ、搬送車側連結部が水平搬送車のうち第1連結支持部および第2連結支持部の連結箇所とは異なる部分に連結されることで、水平搬送車の姿勢が安定する。
【0243】
第12の態様は、第11の態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記姿勢保持部材が、前記第1端部および前記第2端部のそれぞれに設けられるものである。
【0244】
吊下用支持バーの第1端部および第2端部のそれぞれで、姿勢保持部材によって、水平搬送車を安定した姿勢に保てる。
【0245】
第13の態様は、第11または第12の態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記姿勢保持部材は、前記搬送車側連結部として、第1係止部と第2係止部とを有し、前記第1係止部が前記水平搬送車に係止されることで、前記水平搬送車が第1姿勢に保たれ、前記第2係止部が前記水平搬送車に係止されることで、前記水平搬送車が前記第1姿勢よりも水平姿勢に近い第2姿勢に保たれるものである。
【0246】
この場合、水平搬送車に対する姿勢保持部材の係止箇所を、第1係止部と第2係止部とで変更することで、水平搬送車の異なる姿勢を保持できる。
【0247】
第14の態様は、第11から第13のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記バー側連結部が前記吊下用支持バーに回転可能に連結されており、前記搬送車側連結部は前記水平搬送車に着脱可能に連結されるものである。
【0248】
この場合、姿勢保持部材を、吊下用支持バーと一体的に取扱うことができる。また、搬送車側連結部は水平搬送車に着脱可能に連結されるので、水平搬送車を一定姿勢に保つ状態と保たない状態とを容易に切替えできる。
【0249】
第15の態様は、第1から第14のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置と、前記自動倉庫と、を備える自動倉庫システムである。
【0250】
これにより、自動倉庫における水平搬送車を容易に取出することができる、自動倉庫システムを提供できる。
【0251】
第16の態様は、第1から第14のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置と、前記自動倉庫と、を備え、前記自動倉庫は、一対の支柱を有し、平面視において前記一対の支柱の間に前記吊下装置用ガイド部が位置し、前記一対の支柱の間隔は、前記吊下装置に吊り下げられた前記水平搬送車が通過可能な大きさである、自動倉庫システムである。
【0252】
これにより、吊下装置に吊り下げられた水平搬送車が、一対の支柱間を通って吊下装置用ガイド部に沿って容易に移動できる。
【0253】
第17の態様は、自動倉庫において、格納棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる走行路上を走行する水平搬送車を吊下げるための搬送車連結具であって、第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部と前記第2端部との間の部分が、前記水平搬送車を吊下げるための索状体に支持される吊下用支持バーと、前記第1端部に支持され、前記水平搬送車のうちその走行方向の一端寄りの位置に着脱可能に連結される第1連結支持部と、前記第2端部に支持され、前記水平搬送車のうちその走行方向の他端寄りの位置に着脱可能に連結される第2連結支持部と、を備える、搬送車連結具である。
【0254】
この搬送車連結具によると、単一の巻上部から繰出される索状体で、吊下用支持バーの中間部を支持し、吊下用支持バーにより支持された第1連結支持部および第2連結支持部により、水平搬送車の一端寄りの位置および他端寄りの位置を支持できる。このため、単一の巻上部を用いた場合でも、水平搬送車を安定して支持し易くなる。もって、水平搬送車を、格納棚の外側に容易に取り出せる。
【0255】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0256】
10、310 自動倉庫システム
20 自動倉庫
30 昇降装置
31 柱
40、340 水平搬送車
42 物品出し入れ機構
48 走行路
50 格納棚
52 棚
52P 長尺部材
80、380 自動倉庫用メンテナンス装置
82、282、382 吊下装置用ガイド部
83e2 取出端
90、390 吊下装置
92 移動機構
94 吊下部
94a 索状体
95 搬送車連結部
96 巻上部
100 補助用吊下装置
104、400 吊下部
106 巻上部
191m モータ
192 電動移動機構
342 筐体
345 中間ブラケット
346A、346B 吊下支持対象部
348A1、348A2、348B1、348B2 取っ手
348p 棒状部分
348q グリップ部
348t 係止対象部
410 搬送車連結具(搬送車連結部)
412 吊下用支持バー
412A 第1端部
412B 第2端部
413 バー本体
414 連結位置調整部
417 索状体連結部
420A 第1連結支持部
420B 第2連結支持部
422 連結端部
424 中間索状体
426 中間巻上部
430 姿勢保持部材
432 バー側連結部
434 搬送車側連結部
434a 第1係止部
434b 第2係止部
S ネジ
W 物品