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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110915
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】水平搬送車及び自動倉庫システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
B65G1/04 555A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195701
(22)【出願日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2023015053
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】北田 暢彦
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 勝
(72)【発明者】
【氏名】渡部 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】槌原 怜生
(72)【発明者】
【氏名】田村 元
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022CC03
3F022FF01
3F022JJ13
3F022MM11
3F022MM57
(57)【要約】
【課題】自動倉庫における水平搬送車を、走行状態と吊下状態との間で容易に状態変更できるようにすることを目的とする。
【解決手段】水平搬送車40は、走行路48上を移動する車輪41と、前記車輪を回転可能に支持すると共に物品を載置支持する車体41bと、前記車体に支持されて前記車輪を回転駆動する駆動部41aと、含み、前記走行路上を走行する台車40aと、前記台車と棚との間で、前記物品を出し入れする物品出し入れ機構と、車幅方向に沿って前記車体の少なくとも一方側部の外面に設けられたブラケット取付部43と、前記外面よりも前記車幅方向に沿った外側からアクセス可能な固定部材Bを介して前記ブラケット取付部に取付けられているブラケット45と、前記ブラケットに支持されて前記台車の走行を補助する少なくとも1つの走行補助部材46とを含む少なくとも1つのサイドユニット44と、を備える。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平に延びる走行路上を走行し、前記走行路の隣に位置しかつ前記走行路に沿って複数の物品が並べて保管される棚に対して物品を出し入れするための水平搬送車であって、
前記走行路上を移動する車輪と、前記車輪を回転可能に支持すると共に前記物品を載置支持する車体と、前記車体に支持されて前記車輪を回転駆動する駆動部と、を含み、前記走行路上を走行する台車と、
前記台車と前記棚との間で、前記物品を出し入れする物品出し入れ機構と、
車幅方向に沿って前記車体の少なくとも一方側部の外面に設けられたブラケット取付部と、
前記外面よりも前記車幅方向に沿った外側からアクセス可能な固定部材を介して前記ブラケット取付部に取付けられているブラケットと、前記ブラケットに支持されて前記台車の走行を補助する少なくとも1つの走行補助部材とを含む少なくとも1つのサイドユニットと、
を備える、水平搬送車。
【請求項2】
請求項1に記載の水平搬送車であって、
前記ブラケット取付部は、前記ブラケットの一端が係止する係止部と、前記固定部材を介して前記ブラケットの前記一端よりも他端側部分が着脱可能に固定される固定部とを含む、水平搬送車。
【請求項3】
請求項2に記載の水平搬送車であって、
前記係止部は、前記外面から突出し、前記ブラケットの前記一端が前記走行路の延在方向に沿って圧入される圧入受用突起部を有する、水平搬送車。
【請求項4】
請求項3に記載の水平搬送車であって、
前記係止部は、前記車幅方向に沿って前記圧入受用突起部の外側に設けられて前記ブラケットの前記一端の圧入をガイドするガイド部を有する、水平搬送車。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の水平搬送車であって、
前記固定部材は、前記車幅方向に沿った外側からアクセス可能な頭部を有するボルトである、水平搬送車。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水平搬送車であって、
前記走行路は架空されたレールを備え、
前記サイドユニットは、上下方向に沿って前記車輪及び前記レールよりも下側に位置する、水平搬送車。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水平搬送車であって、
前記少なくとも1つのサイドユニットは、一つの前記ブラケットに複数の前記走行補助部材が設けられたサイドユニットを含む、水平搬送車。
【請求項8】
請求項7に記載の水平搬送車であって、
前記複数の走行補助部材は、第1センサユニットと、前記第1センサユニットとは異なるセンサ機能を有する第2センサユニットと、ガイドローラユニットとのうち2つ以上を含む、水平搬送車。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水平搬送車であって、
前記車体の第1側部の外面において、前記走行路の延在方向に沿って互いに離れた位置に複数の前記ブラケット取付部が設けられ、
前記少なくとも1つのサイドユニットは、前記複数のブラケット取付部に取付けられている複数のサイドユニットを含む、水平搬送車。
【請求項10】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水平搬送車であって、
前記車体の第1側部及び第2側部のそれぞれの外面に前記ブラケット取付部が設けられ、
前記少なくとも1つのサイドユニットは、前記第1側部の前記ブラケット取付部に取付けられているサイドユニットと、前記第2側部の前記ブラケット取付部に取付けられているサイドユニットとを含む、水平搬送車。
【請求項11】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の水平搬送車と、
複数段の前記棚を含む格納棚と、
前記複数段の棚に関連付けられて上下に並んで設けられ、それぞれ前記棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる複数の前記走行路と、
入庫される物品を入庫用の高さ位置から格納箇所に対応する高さ位置に移動させる入庫昇降処理、及び、出庫される前記物品を格納箇所に対応する高さ位置から出庫用の高さ位置に移動させる出庫昇降処理の少なくとも一方を行う昇降装置と、
を備える、自動倉庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、水平搬送車のメンテナンスを容易にするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、対向して配置される一対の収納棚と、一対の収納棚の間に設置された複数の走行レールと、走行レールの上を走行する複数の搬送台車と、一対の収納棚に跨るように配置された支持部材と、を備える自動倉庫を開示している。支持部材は、搬送台車を吊り下げる第1吊り下げ装置を支持する第1支持部と、搬送台車を吊り下げる第2吊り下げ装置を支持する第2支持部とを備えている。かかる第1吊り下げ装置及び第2吊り下げ装置は、走行レール上の搬送台車を吊り下げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-142668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動倉庫において、搬送台車が走行状態と吊下状態との間で状態変更する際、搬送台車が周辺部材と干渉する恐れがある。このため、特許文献1に開示の技術では、搬送台車を走行状態と吊下状態との間で状態変更することが困難となる可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、自動倉庫における水平搬送車を、走行状態と吊下状態との間で容易に状態変更できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、水平搬送車は、水平に延びる走行路上を走行し、前記走行路の隣に位置しかつ前記走行路に沿って複数の物品が並べて保管される棚に対して物品を出し入れするための水平搬送車であって、前記走行路上を移動する車輪と、前記車輪を回転可能に支持すると共に前記物品を載置支持する車体と、前記車体に支持されて前記車輪を回転駆動する駆動部と、を含み、前記走行路上を走行する台車と、前記台車と前記棚との間で、前記物品を出し入れする物品出し入れ機構と、車幅方向に沿って前記車体の少なくとも一方側部の外面に設けられたブラケット取付部と、前記外面よりも前記車幅方向に沿った外側からアクセス可能な固定部材を介して前記ブラケット取付部に取付けられているブラケットと、前記ブラケットに支持されて前記台車の走行を補助する少なくとも1つの走行補助部材とを含む少なくとも1つのサイドユニットと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この水平搬送車によると、自動倉庫における水平搬送車を、走行状態と吊下状態との間で容易に状態変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は自動倉庫システムを示す概略側面図である。
図2図2は自動倉庫システムの入出庫部分を示す概略平面図である。
図3図3は自動倉庫システムの入出庫部分を示す概略斜視図である。
図4図4は吊下装置を示す側面図である。
図5図5は変形例に係る吊下装置を示す側面図である。
図6図6は2つの支持台の間における吊下装置用ガイド部及び吊下装置の位置を示す図である。
図7図7は水平搬送車の吊下げ作業例を示す説明図である。
図8図8は水平搬送車の取出作業例を示す説明図である。
図9図9は変形例に係る吊下装置用ガイド部を示す説明図である。
図10図10は水平搬送車を示す斜視図である。
図11図11は水平搬送車を示す分解斜視図である。
図12図12は水平搬送車の左後部を示す拡大側面図である。
図13図13は第1左サイドユニットが取り外された様子を示す図である。
図14図14は水平搬送車の左後部を示す拡大正面図である。
図15図15は第1左サイドユニットが取り外された様子を示す図である。
図16図16は水平搬送車の左前部を示す拡大側面図である。
図17図17は水平搬送車の右後部を示す拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
{実施形態}
以下、実施形態に係る自動倉庫用メンテナンス装置及び自動倉庫システムについて説明する。
【0010】
<自動倉庫システムについて>
図1は自動倉庫システム10を示す概略側面図であり、図2は自動倉庫システム10の入出庫部分を示す概略平面図であり、図3は自動倉庫システム10の入出庫部分を示す概略斜視図である。
【0011】
自動倉庫システム10は、自動倉庫20と、自動倉庫用メンテナンス装置80とを備える。
【0012】
自動倉庫20は、複数の物品Wを出し入れ可能に格納する倉庫である。自動倉庫20は、物品Wを移動させるための水平搬送車40を備えている。
【0013】
自動倉庫用メンテナンス装置80は、上記自動倉庫20に設置され、水平搬送車40のメンテナンス時において、水平搬送車40を自動倉庫20から取出したり、戻したりするための装置である。
【0014】
自動倉庫20は、格納棚50と、走行路48と、昇降装置30と、水平搬送車40とを備える。
【0015】
格納棚50は、上下方向において間隔をあけて支持された複数段の棚52を有する。それぞれの段の棚52が物品Wを支持して保管することができる。各段における棚52においても、複数の物品Wを支持することができる。このため、格納棚50全体として見ると、複数の物品Wが上下左右に配列した状態で格納される。格納棚50において、物品Wが格納される空間が格納空間である。
【0016】
本実施形態では、自動倉庫20は、2列の格納棚50を備える。2つの格納棚50の間には、隙間が設けられており、当該2つの格納棚50の間を水平搬送車40が走行できる。このため、それぞれの格納棚50には、走行路48を走行する水平搬送車40の移動方向に沿って並ぶ複数の格納空間が形成される。各格納空間は仕切無く連続していてもよいし、仕切られていてもよい。
【0017】
なお、自動倉庫20は、1つの格納棚50を備える構成であってもよいし、3つ以上の格納棚50を備えてもよい。
【0018】
走行路48は、複数段の棚52に関連付けられて上下に並んで設けられる。例えば、走行路48は、複数段の棚52に1対1で対応づけられる。走行路48は、複数段の棚52のうちの複数の棚に対応付けられてもよい。例えば、走行路48は、2段の棚52毎に対応付けられてもよい。
【0019】
複数の走行路48のそれぞれは、上記棚52の隣の位置で水平方向に沿って延びる。本実施形態では、2つの格納棚50のそれぞれの棚52の間の位置で、水平方向に沿って延びる。走行路48は、格納棚50の延在方向に沿い、かつ、後述する移載装置60迄延在している。各走行路48は、例えば、一対のレール48aを備えた構成であってもよい。レール48aは、格納棚50の横フレームを兼ねていてもよいし、格納棚50とは別体として構成されていてもよい。一対のレール48aの一方は一方の格納棚50に隣接し、他方のレール48aは他方の格納棚50に隣接する。このため、一対のレール48aの間には、隙間が存在する。
【0020】
走行路は、2つの棚52の間を塞ぐように延びる板状であってもよい。この場合、後述する水平搬送車40の取出位置で、走行路が取外し可能であってもよい。
【0021】
格納棚50の延在方向の少なくとも一方の端側には昇降装置30及び移載装置60が設けられる。本実施形態では、一対の格納棚50のそれぞれの一端部に移載装置60、昇降装置30及びコンベア16が設けられる。昇降装置30は、複数の走行路48が延びる方向において複数の走行路48よりも外側に位置している。
【0022】
本実施形態では、移載装置60、昇降装置30及びコンベア16は、入出庫兼用である。一対の格納棚のそれぞれの他端部に別の移載装置、昇降装置及びコンベアが設けられてもよい。この場合、格納棚50の一端側と他端側とで、移載装置、昇降装置及びコンベアが、入庫用と出庫用とに分けられていてもよい。
【0023】
移載装置60は、仮置き棚とも呼ばれる部分であり、昇降装置30と水平搬送車40との間で物品を中継する装置である。移載装置60は、複数の棚段それぞれに対応する複数の支持台62を備える。複数の支持台62は、格納棚50の隣の位置で、対応する棚52と同じ高さ位置に設けられる。支持台62は、例えば、ローラを有するローラコンベアである。ローラに内蔵されたモータを回転駆動することによって、物品Wを搬送方向に沿って移動させることができる。支持台62上の物品Wは、別途設けられたシリンダ等のアクチュエータによって駆動されるプッシャによって搬送方向に沿って押されて移動してもよい。各棚段に対応して設けられた水平搬送車40が、当該棚段において、支持台62及び棚52に対して物品Wを移載することができる。
【0024】
昇降装置30は、入庫される物品Wを入庫用の高さ位置から格納箇所に対応する高さ位置に移動させる入庫昇降処理、及び、出庫される物品Wを格納箇所に対応する高さ位置から出庫用の高さ位置に移動させる出庫昇降処理の少なくとも一方を行う装置である。昇降装置30は、リザーバと称されてもよい。
【0025】
即ち、自動倉庫20に対する入出庫作業は、例えば、作業者が入出庫作業し易い位置に設定されることが想定される。格納棚50は、多数の物品Wを格納できるように、上下の棚52に分けて物品Wを格納する。このため、昇降装置30が物品Wを昇降移動させることで、上記入庫昇降処理、及び、出庫昇降処理の少なくとも一方を行う。
【0026】
本実施形態では、昇降装置30は、格納棚50の一端側に位置しており、上記入庫昇降処理及び出庫昇降処理の両方を行う。
【0027】
より具体的には、昇降装置30は、柱31と、昇降載置台32と、昇降駆動機構34とを備える。
【0028】
柱31は、重力方向に沿った鉛直姿勢で設置される長尺部材である。柱31は、例えば、一対の格納棚50の間側に位置していてもよい。これにより、柱31が一対の格納棚50が並ぶ方向において外側にはみ出難くなり、自動倉庫20の設置スペースを小さくできる。柱31が昇降載置台32を昇降可能に支持している。
【0029】
昇降載置台32は、物品Wを支持した状態で柱31に沿って昇降する。昇降載置台32は、例えば、ローラを有するローラコンベアである。複数のローラは、例えば、枠部によって並列配置された状態で回転可能に支持される。ローラに内蔵されたモータを回転駆動することによって、物品Wを搬送方向に沿って移動させることができる。昇降載置台上の物品Wは、別途設けられたシリンダ等のアクチュエータによって駆動されるプッシャによって搬送方向に沿って押されて移動してもよい。
【0030】
昇降駆動機構34は、駆動源34aと、昇降機構とを備える。駆動源34aは、昇降載置台32を昇降させる駆動力を発生させる動力源である。昇降機構は、駆動源34aの駆動力を、昇降載置台32を昇降させる力として伝達する機構である。例えば、駆動源34aは電気モータである。また、例えば、昇降機構は、電気モータの回転運動を、昇降載置台32を昇降させる直線往復運動として伝達する機構である。より具体的には、昇降機構は、一対のプーリと、当該一対のプーリに巻掛けられた循環ベルトとを含んでもよい。そして、プーリを駆動源34aによって正逆両方向に回転駆動させることで、循環ベルトの途中に連結された昇降載置台32を昇降駆動させてもよい。
【0031】
上記駆動源34aは、昇降装置30の重力バランス、及び、メンテナンスの容易性等の観点から、柱31の下部に取付けられることが要請される。
【0032】
昇降駆動機構34の駆動によって、昇降載置台32が、移載装置60の隣の位置で、複数の支持台62のそれぞれに対応する位置に昇降移動される。昇降載置台32がいずれかの支持台62に対応する高さに位置することで、物品Wが昇降載置台32と支持台62との間で水平移動して移載されることができる。
【0033】
コンベア16が、昇降装置30に対して移載装置60とは反対側に位置している。昇降載置台32が、コンベア16に対応する位置に昇降移動される。昇降載置台32がコンベア16に対応する高さに位置することで、物品Wが昇降載置台32とコンベア16との間で水平移動して移載されることができる。コンベア16は、入庫用コンベアと出庫用コンベアとで上下に分れて設置されてもよい。この場合、昇降載置台32が入庫用コンベアに対応する位置に昇降することで、コンベア16から昇降載置台32に物品Wが移載される。また、昇降載置台32が出庫用コンベアに対応する位置に昇降することで、昇降載置台32からコンベア16に物品Wが移載される。
【0034】
複数の水平搬送車40が、複数の走行路48に対応して設けられる。複数の水平搬送車40は、それぞれ走行路48上を走行して、昇降装置30と棚52との間で物品Wを移載する。水平搬送車40は、ピッカー又はドーリーとも呼ばれる。
【0035】
本実施形態では、水平搬送車40は、格納棚50及び移載装置60に対して物品Wを出し入れする物品出し入れ機構42を備える。物品出し入れ機構42は、格納棚50及び移載装置60に対して出退可能な一対のアームを有している。一対のアームは、2つの格納棚50の両方に対して出退できる。当該一対のアームの進出方向先端側及び当該先端よりも手前のそれぞれに、一対の爪が設けられている。なお、当該一対のアームの進出方向先端側の一対の爪と、当該先端よりも手前一対の爪は、一対のアームの進出方向が逆になれば、先端と、当該先端よりも手前の位置関係が逆となることが考えられる。先端より手前の一対の爪を突出させて状態で、一対のアームを進出移動させることで、水平搬送車上の物品Wが格納棚50又は移載装置60側に押出される。一対のアームを進出させた状態で、先端の一対の爪を突出させ、この後、一対のアームを退避移動させる。これにより、格納棚50又は移載装置60側の物品Wが、格納棚50側に引込まれる。これにより、物品Wが水平搬送車40と格納棚50若しくは移載装置60との間で移動される。格納棚50に対しては、走行路48側から物品Wが出し入れされる。走行路48を走行する水平搬送車40は、一対の格納棚50の両方に対して物品Wを出し入れすることができる。
【0036】
同様に、水平搬送車40は、移載装置60に対して物品Wを出し入れすることができる。上記したように、移載装置60は、昇降装置30に対して物品Wを移載することができる。よって、水平搬送車40は、移載装置60を介して昇降装置30に対して物品Wを移載する。水平搬送車40は、昇降装置30に対して直接物品Wを移載してもよい。
【0037】
走行路48が複数の棚52に対応して設けられる場合、水平搬送車40は、複数段の棚52及び支持台62に対して物品Wを移載してもよい。この場合、走行路48は、上下方向において複数の物品出し入れ機構42を備えていてもよい。
【0038】
本実施形態では、昇降装置30を囲むように侵入防止柵38が設置されている。侵入防止柵38は、作業者が昇降装置30の周りに不用意に進入することを防止するための柵である。このため、侵入防止柵38は、床上から作業者の進入を防止し高さ範囲で設置されることが考えられる。
【0039】
上記侵入防止柵38は省略されてもよい。
【0040】
<自動倉庫用メンテナンス装置>
水平搬送車40のメンテナンス上の都合等によって、水平搬送車40を自動倉庫20の外に取出すことが要請される場合が考えられる。
【0041】
ここで、自動倉庫20は、各部を支える支柱を有している。例えば、上記昇降装置30の柱31は、支柱の一例である。また、格納棚50において、複数段の棚52又は支持台62を支える上下方向の長尺部材52Pも支柱の一例である。柱31及び長尺部材52Pは、走行路48の延長上に位置する場合がある。よって、走行路48上の水平搬送車40をそのままの姿勢で、走行路48の延長上に沿って自動倉庫20の外に取出そうとすると、柱31及び長尺部材52Pが邪魔になって、水平搬送車40の取出しが困難となる可能性がある。
【0042】
また、2つの格納棚50のそれぞれの間側に柱31及び長尺部材52Pが突出するように配置されている場合、2つの柱31間の間隔P1及び2つの長尺部材52P間の間隔P2は、水平搬送車40の幅W1よりも小さい可能性がある。このような場合、走行路48の端に移動させた水平搬送車40を、そのままの姿勢で取出すことは困難である。
【0043】
また、自動倉庫20の下方には、各種物体が配置される。例えば、昇降装置30の駆動源34aは、柱31の下方に支持されている。また、上記侵入防止柵38が床上から所定の高さ範囲内に設置される。このため、水平搬送車40を、自動倉庫20の下から取出そうとしても、上記駆動源34aや侵入防止柵38が邪魔になる可能性がある。
【0044】
本実施形態において、水平搬送車40を自動倉庫20の外に取出し容易にするため、次の自動倉庫用メンテナンス装置80が自動倉庫20に設置される。
【0045】
自動倉庫用メンテナンス装置80は、吊下装置用ガイド部82と、吊下装置90とを備える。
【0046】
吊下装置用ガイド部82は、複数の走行路48のうち最も下にある走行路48よりも高い位置で水平方向に沿って延びている。本実施形態において、最も下にある走行路48は、最も下の棚52に対応する走行路48である。吊下装置用ガイド部82は、複数の走行路48のうち最も上にある走行路48よりも高い位置で水平方向に沿って延びていてもよい。本実施形態において、最も上にある走行路48は、最も上の棚52に対応する走行路48である。
【0047】
吊下装置用ガイド部82は、吊下装置90を水平方向に沿って移動可能に支持できればよい。本実施形態では、吊下装置用ガイド部82は金属等によって形成されたガイドレールである。例えば、吊下装置用ガイド部82は、上下方向に沿って延びる垂直片部分82aと、当該垂直片部分82aの下縁から左右方向に沿って延びる水平片部分82bとを有するレールである。つまり、吊下装置用ガイド部82の縦断面(長手方向に対して直交する方向の断面)は上下逆のT字状をなす部分を有する。
【0048】
吊下装置用ガイド部82は、走行路48上における水平搬送車40の走行経路の少なくとも一部から自動倉庫20の外側に向けて延びる。本実施形態では、吊下装置用ガイド部82は、2つの格納棚50の間において、走行路48が延びる方向に沿って延びている。
【0049】
吊下装置用ガイド部82の一端は、吊下端83e1であり、平面視において走行路48と重複する位置に設定される。本実施形態では、吊下端83e1は、移載装置60の隣りに位置している。
【0050】
吊下装置用ガイド部82の他端は、複数段の走行路48よりも外側に位置する取出端83e2である。つまり、取出端83e2は、平面視において走行路48から出る位置、さらには、2つの格納棚50、2つの移載装置60及び2つの昇降装置30よりも外側の位置に設定される。本実施形態では、取出端83e2は、2つの昇降装置30の間から格納棚50とは反対側に延出する部分が、取出端83e2である。
【0051】
取出端83e2の取出端83e2は、昇降装置30の外側隣で、床の上方に位置している。床上であるか、作業台上であるか等を問わず、取出端83e2は、水平搬送車40を自動倉庫20の外に取出容易な位置に延出していればよい。
【0052】
吊下装置用ガイド部82は、格納棚50又は移載装置60によって、一定の高さ位置に支持されている。吊下装置用ガイド部82を支持する構成は当該構成に限られない。例えば、吊下装置用ガイド部は、専用の柱によって一定の高さ位置に支持されてもよい。吊下装置用ガイド部82は、自動倉庫20が設置された天井によって一定の高さ位置に支持されてもよい。
【0053】
吊下装置用ガイド部82は、吊下装置90を移動可能に支持できる構成であればよく、レールである必要は無い。例えば、吊下装置用ガイド部は、架空されたロープであってもよい。吊下装置用ガイド部は、既存の自動倉庫20に対して追加設置されることもある。吊下装置用ガイド部は、自動倉庫20に対して一時的に設置されることもある。
【0054】
吊下装置90は、吊下装置用ガイド部82によって吊下装置用ガイド部82が延びる方向に沿って移動可能に支持されている。図4は吊下装置90の例を示す側面図である。吊下装置90は、移動機構92と、吊下部94と、巻上部96とを備える。
【0055】
移動機構92は、吊下装置用ガイド部82に支持されて、吊下装置用ガイド部82に沿って、棚52に対向する位置と取出端83e2との間で水平移動する。例えば、移動機構92は、ベース92aによって回転可能に支持された転動体92bと、操作輪92dと、当該操作輪92dを回転駆動するチェーン等の移動用索体92cとを備える。
【0056】
上記転動体92bは、吊下装置用ガイド部82に接した状態で吊下装置用ガイド部82に沿って転がって移動する車輪、球体又は歯車である。例えば、ベース92aが左右一対の転動体92bを備える。左右の転動体92bの間に吊下装置用ガイド部82の垂直片部分82aを配置可能な隙間が形成されている。左右の転動体92bの間に垂直片部分82aが位置する状態で、左右の転動体92bが当該垂直片部分82aの左右に延出する水平片部分82b上に配置される。左右の転動体92bが垂直片部分82a上を転がっていくことで、移動機構92が吊下装置用ガイド部82に沿って往復移動することができる。
【0057】
また、ベース92aに操作輪92dが回転可能に支持される。操作輪92dの回転がギヤを介して転動体92bに伝達される。操作輪92dに移動用索体92cが巻掛けられており、移動用索体92cを引っ張ることで、操作輪92dが回転する。操作輪92dが回転することによって転動体92bが回転し、移動機構92が吊下装置用ガイド部82上を走行できる。
【0058】
移動機構92は、直接作業者の手によって押されて又は引っ張られて吊下装置用ガイド部82に沿って移動してもよい。
【0059】
図5に示す変形例のように、移動機構は、電動移動機構192であってもよい。電動移動機構192は、上記移動機構92に対して操作輪92d及び移動用索体92cが省略され、代りに、転動体92bを回転駆動するモータ192mを含む。モータ192mに対して外部の電源194から電力供給されてもよい。電動移動機構192は、モータ192mを駆動するバッテリを内蔵していてもよい。
【0060】
モータ192mに対して操作ボタン192Bが接続されており、操作ボタン192Bの操作に応じてモータ192mが正逆両方向に回転する。モータの回転が直接又はギヤを介して転動体92bに伝達される。これにより、電動移動機構192が吊下装置用ガイド部82を両方向に走行できる。
【0061】
電動移動機構192が用いられれば、モータ191mの駆動によって、吊下装置90が吊下装置用ガイド部82に沿って容易に移動できる。
【0062】
上記移動機構92、192は、いわゆるギヤードトロリ、電動トロリと呼ばれるものであってもよい。
【0063】
図4に示すように、吊下部94は、水平搬送車40に着脱可能に連結される搬送車連結部95と、搬送車連結部95から延出する索状体94aとを有する。
【0064】
搬送車連結部95は、フックと呼ばれる部分であり、環状形状の一部が開かれた形状とされている。開かれた部分は、ラッチ等の金具によって閉じられることが好ましい。水平搬送車40が搬送車連結部95を引っ掛け可能な引っ掛け部分を有している。引っ掛け部分は、水平搬送車40に取付けられた環状部分又は棒状部分である。搬送車連結部95が当該引っ掛け部分に引っ掛けられることによって、搬送車連結部95に着脱可能に連結される。引っ掛け部分は、搬送車連結部95の少なくとも一方の側部に設けられることが好ましい。引っ掛け部分が水平搬送車40の両方の側部に設けられることがより好ましい。
【0065】
索状体94aは、チェーン等であり、搬送車連結部95から延出している。
【0066】
巻上部96は、移動機構92に対して索状体94aを繰出し及び巻上げ可能に構成されている。例えば、巻上部96は、ベース96cに対して回転可能に支持された巻上回転体96aと、当該巻上回転体96aを回転させるレバー96bとを有している。索状体94aが巻上回転体96aに巻掛けられている。巻上回転体96aを回転させることによって、索状体94aが巻上部96から繰出されたり、索状体94aを巻上げたりすることができる。索状体94aが巻上部96から繰出されると搬送車連結部95が下降し、索状体94aを巻上げると搬送車連結部95が上昇する。
【0067】
レバー96bの支持シャフトがラチェット機構を介して巻上回転体96aに連結されている。ラチェット機構の切替によって、レバー96bの往復操作が、巻上回転体96aを巻上方向に回転させる力として、又は、巻上回転体96aを繰出し方向に回転させる力として伝達される。つまり、作業者のレバー操作によって、索状体94aを繰出したり、巻上げたりすることができる。
【0068】
上記吊下部94及び巻上部96は、レバーブロック(登録商標)又はレバーホイストと呼ばれるものであってもよい。上記吊下部94及び巻上部96は、チェーンブロック又はチェーンホイストと呼ばれるものであってもよい。上記吊下部94及び巻上部96は、電動で索状体94aの巻上等を行うものであってもよい。
【0069】
吊下装置用ガイド部82及び吊下装置90は、2つの格納棚50の間に位置していることから、水平搬送車40を、2つの格納棚50の間で吊下げることができる。
【0070】
図6は2つの支持台62の間における吊下装置用ガイド部82及び吊下装置90の位置を示す図である。吊下装置用ガイド部82及び吊下装置90は、2つの格納棚50の中央に位置してもよいし、いずれかの格納棚50側に偏って位置していてもよい。本実施形態では、吊下装置用ガイド部82及び吊下装置90は、2つの格納棚50の間で一方の格納棚50側に偏って位置している。
【0071】
本実施形態において、自動倉庫用メンテナンス装置80は、補助用吊下装置100をさらに備える。
【0072】
補助用吊下装置100は、吊下装置90が水平搬送車40の吊下げを開始する位置で、水平搬送車40のうち搬送車連結部95が連結される位置とは異なる位置を吊下げて支持する装置である。補助用吊下装置100としては、例えば、上記吊下部94と同様構成の吊下部104と、巻上部96と同様構成の巻上部106とを有する構成であってもよい。
【0073】
本実施形態では、吊下端83e1は平面視において2つの移載装置60の間に位置するため、補助用吊下装置100は、平面視において2つの移載装置60の間に位置する。
【0074】
また、吊下装置90は、水平搬送車40の一側に連結されて当該搬送車連結部95を吊下げる。このため、補助用吊下装置100は、2つの移載装置60を結ぶ方向において、吊下装置90とは異なる位置に位置している。ここでは、吊下装置90は、一方の移載装置60に偏った位置に配置され、補助用吊下装置100は、他方の移載装置60に偏った位置に配置されている。
【0075】
補助用吊下装置100は、吊下装置90が水平搬送車40の一側を吊下げて上方に移動させる際に、水平搬送車40の他側を吊下げて水平搬送車40を安定して上方に移動させる役割を果す。吊下装置90が水平搬送車40を上方に持上げた後は、水平搬送車40の姿勢は安定するため、補助用吊下装置100による吊下げ状態は解除されてもよい。よって、補助用吊下装置100は、自動倉庫20において固定位置に設置される。例えば、補助用吊下装置100は、格納棚50によって一定位置に支持される。補助用吊下装置100は、専用の支柱又は天井によって支持されてもよい。補助用吊下装置100は必須ではなく、省略されてもよい。
【0076】
<自動倉庫用メンテナンス装置を利用した水平搬送車の取出作業例について>
水平搬送車40は次のようにして取出される。
【0077】
まず、取出し対象となる水平搬送車40が取出端83e2の下方位置に配置される。水平搬送車40は、自走して取出端83e2の下方位置に移動してもよいし、作業者によって取出端83e2の下方位置に移動されてもよい。取出し対象となる水平搬送車40より上方の水平搬送車40については、取出端83e2の下方から外れた位置に配置される。つまり、取出端83e2の下方において、取出し対象となる水平搬送車40の上方に、他の水平搬送車40が配置されない状態とされる。
【0078】
この状態で、図6に示すように、吊下装置90の索状体94aが引出され、吊下部94が水平搬送車40の一側部に連結される。また、補助用吊下装置100の索状体が引出され、吊下部104が水平搬送車40の他側部に連結される。
【0079】
図7に示すように、吊下装置90の巻上部96が索状体94aを巻上げる。これにより、吊下部94が上方に移動し、水平搬送車40の一側部が上方に持上げられ、水平搬送車40が傾く。索状体94aがさらに巻上げられ、吊下部94がさらに上方に移動すると、水平搬送車40の傾きが大きくなる。
【0080】
水平搬送車40の傾きが大きくなると、水平搬送車40の他側の車輪41がレール48aから内側に落ちる可能性がある。しかしながら、水平搬送車40の他側は、補助用吊下装置100の吊下部104によって吊下げられている。このため、水平搬送車40の他側の車輪がレール48aから脱落しても、水平搬送車40の他側部分が大きく下方に変位することが抑制される。このため、吊下装置90の巻上部96による索状体94aの巻上によって、水平搬送車40の傾きを徐々に大きくしつつ、水平搬送車40を上方に持上げることができる。
【0081】
補助用吊下装置100については、吊下装置90による巻上にあわせて、吊下部104を吊下げる索状体の弛みをなくす徐々に巻上を行うとよい。
【0082】
吊下装置90による巻上が終了すると、水平搬送車40は、吊下装置用ガイド部82よりも下の走行路48よりも上の位置に吊下げられる。吊下装置用ガイド部82が最も上の走行路48よりも上の位置にあれば、全ての棚段の水平搬送車40を吊下げることができる。よって、吊下装置用ガイド部82は最も上の走行路48よりも上方に位置することが好ましい。好ましくは、水平搬送車40は、最も上の走行路48を走行する水平搬送車40よりも上の位置に吊下げられる。吊下装置用ガイド部82が棚段の上下方向中間に位置していても、当該吊下装置用ガイド部82よりも下の走行路48を走行する水平搬送車40を吊下げることができる。よって、吊下装置用ガイド部82は、最も下の走行路48よりも上方に位置していればよい。
【0083】
この状態で、吊下部94は、水平方向に対して水平搬送車40を交差させる姿勢で、水平搬送車40を吊下げて支持する。より具体的には、水平搬送車40の幅方向を鉛直方向に沿わせた姿勢とする。水平搬送車40は、通常使用状態における幅方向寸法よりも高さ寸法の方が小さい。このため、水平搬送車40は、幅方向を鉛直方向に沿わせた姿勢とすることで、2つの格納棚50を結ぶ方向において、水平搬送車40の寸法W2を小さくできる。水平搬送車40の幅方向は鉛直姿勢であってもよいし、鉛直姿勢に対して傾いていてもよい。水平方向に対して水平搬送車40の幅方向が傾いていれば、吊下げ状態での水平搬送車40の幅を小さくし易い。水平方向に対して水平搬送車40の幅方向が45度以上、好ましくは、60度以上、より好ましくは、80度以上傾いていてもよい。
【0084】
この状態で、吊下部94は、水平方向に対して水平搬送車40を交差させる姿勢で、水平搬送車40を吊下げて支持する。より具体的には、水平搬送車40の幅方向を鉛直方向に沿わせた姿勢とする。水平搬送車40は、通常使用状態における幅方向寸法よりも高さ寸法の方が小さい。このため、水平搬送車40は、幅方向を鉛直方向に沿わせた姿勢とすることで、2つの格納棚50を結ぶ方向において、水平搬送車40の寸法W2を小さくできる。
【0085】
水平搬送車40を上記姿勢で吊下げることで、2つの柱31間の間隔P1及び2つの長尺部材52P間の間隔P2を、吊下装置90に吊り下げられた水平搬送車40が通過可能な大きさとすることができる。
【0086】
吊下装置90によって吊下げられた水平搬送車40は、図8に示すように、上記吊下げ姿勢のまま、吊下装置用ガイド部82によって案内され、2つの移載装置60の間及び2つの昇降装置30の間を通って、走行路48の外側の取出端83e2に移動することができる。水平搬送車40は、上方に吊下げられたまま移動するので、昇降装置30の駆動源34aや侵入防止柵38と干渉することなく外方に移動することができる。
【0087】
吊下装置90が取出端83e2に達すると、索状体94aが繰出され、水平搬送車40を床上に降ろすことができる。これにより、水平搬送車40をメンテナンスすることができる。
【0088】
上記と逆にして、水平搬送車40を走行路48上に入れることができる。
【0089】
<効果等>
以上のように構成された自動倉庫用メンテナンス装置80及び自動倉庫システム10によると、索状体94a繰出すことで、搬送車連結部95を走行路48上の水平搬送車40に連結することができる。この状態で、巻上部96によって索状体94aを巻上げると、水平搬送車40が、吊下装置90によって吊り下げられる。そして、吊下装置90を、吊下装置用ガイド部82に沿って取出端83e2に向けて移動させると、自動倉庫20における水平搬送車40を、格納棚50の外側に容易に取出せる。
【0090】
特に、自動倉庫20の下部には、自動倉庫20を動作させるための各種機構、侵入防止対策のための各種構成等が配置される可能性がある。水平搬送車40を吊下げて移動させることで、それらの下部構成を回避して取出すことができる。
【0091】
また、吊下装置用ガイド部82は、走行路48が延びる方向に沿って延び、取出端83e2は、複数の走行路48が延びる方向において、昇降装置30よりも外側に位置する。このため、走行路48の上方空間を利用して水平搬送車40を取出すことができる。例えば、水平搬送車40を、格納棚50の上方を越えて移動させる場合と比較して、取出のために要するスペースを小さくできる。
【0092】
また、吊下装置90が、水平方向に対して水平搬送車40を交差させる姿勢で当該水平搬送車40を吊下げることで、走行路48の幅方向において、水平搬送車40の寸法W2を小さくできる。これにより、水平搬送車40が周囲の部分に干渉し難くなり、水平搬送車40を水平方向に沿って移動させ易い。例えば、傾いた水平搬送車40は、傾かない水平搬送車40と比較して、上記柱31及び長尺部材52Pに引っ掛り難い。
【0093】
また、吊下装置90が水平搬送車40の吊下げを開始する位置で、補助用吊下装置100が水平搬送車40のうち搬送車連結部95が連結される位置とは異なる位置を吊下げて支持する。これにより、吊下げを開始する際の水平搬送車40の挙動が安定し易い。
【0094】
また、上記自動倉庫用メンテナンス装置80が自動倉庫20に適用されることで、自動倉庫20における水平搬送車40を容易に取出することができる、自動倉庫システム10を提供できる。
【0095】
上記2つの柱31間の間隔P1及び2つの長尺部材52P間の間隔P2を、吊下装置90に吊り下げられた水平搬送車40の幅W2以下とし、当該吊下げられた水平搬送車40が通過可能な大きさとすることで、水平搬送車40が柱31間及び長尺部材52P間を通って容易に移動できる。
【0096】
{吊下装置用ガイド部の変形例}
上記実施形態では、吊下装置用ガイド部82は、走行路48が延びる方向に沿って延びる例が説明された。しかしながら、図9に示すように、吊下装置用ガイド部82に対応する吊下装置用ガイド部282が、走行路48と交差する方向に沿って延びて、いずれかの格納棚50の外側に達していてもよい。この場合、吊下装置用ガイド部282は、格納棚50の上方に離れた位置に配置され、吊下げられた水平搬送車40が格納棚50の上方を越えるようにするとよい。
【0097】
この場合、水平搬送車40は、格納棚50に対して走行路48とは反対側の箇所に取出されることができる。
【0098】
吊下げ状態において、水平搬送車40が傾いていることは必須ではない。吊下げ状態において、水平搬送車40が水平姿勢であってもよい。例えば、水平搬送車40の左右部分が支持されて、水平姿勢で吊下げられてもよい。
【0099】
<水平搬送車>
水平搬送車40のより具体的な例について説明する。図10は水平搬送車40を示す斜視図である。図11は水平搬送車40を示す分解斜視図である。以下の説明における前後、左右、上下は、図10及び図11に記載の前後、左右、上下に対応する。水平搬送車40は前後方向に沿って移動する。水平搬送車40の中央よりも前側の部分においては、前側が前後方向に沿った外側であり、後ろ側が前後方向に沿った内側である。水平搬送車40の中央よりも後ろ側の部分においては、後ろ側が車幅方向に沿った外側であり、前側が車幅方向に沿った内側である。水平搬送車40の車幅方向は、左右方向に沿う方向である。水平搬送車40の中央よりも左側の部分においては、左側が車幅方向に沿った外側であり、右側が車幅方向に沿った内側である。水平搬送車40の中央よりも右側の部分においては、右側が車幅方向に沿った外側であり、左側が車幅方向に沿った内側である。
【0100】
水平搬送車40は、水平に延びる走行路48上を走行する。水平搬送車40は、走行路48の隣に位置しかつ走行路48に沿って複数の物品Wが並べて保管される棚52に対して物品Wを出し入れする。水平搬送車40は、上記車輪41を含む台車40aと、台車40aと棚52との間で、物品Wを出し入れする上記物品出し入れ機構42と、ブラケット取付部43とサイドユニット44とを備える。
【0101】
台車40aは、走行路48上を走行する部分である。台車40aは、上記車輪41のほかに、車体41bと駆動部41aとを含む。車輪41は走行路48上を移動する。車輪41は、例えば、一対の前輪と一対の後輪との二対設けられていてもよい。車体41bは、二対の車輪41を回転可能に支持する。また、車体41bは、物品Wを載置支持する載置支持部41cを有する。駆動部41aは、車体41bに支持されて車輪41を回転駆動する。例えば、駆動部41aは、駆動力を発生させるモータなどの駆動源と、駆動力を車輪41に伝えるギヤなどの伝達機構とを有する。
【0102】
上述したように、ここでは物品出し入れ機構42は、一対のアーム42a及び二対の爪42bを含む。一対のアーム42aは、載置支持部41cに対して前後方向両側に分かれて設けられる。二対の爪42bのうちの一対の爪42bは、一対のアーム42aの左右方向一端に設けられ、他の一対の爪42bは左右方向他端に設けられる。物品出し入れ機構42は、アーム42a及び爪42bを用いない構成であってもよく、例えば、ローラコンベアなどであってもよい。
【0103】
ブラケット取付部43は、車幅方向に沿って車体41bの少なくとも一方側部の外面に設けられている。ブラケット取付部43にサイドユニット44が取付けられている。サイドユニット44は、ブラケット45と走行補助部材46とを含む。
【0104】
ブラケット45は、固定部材Bを介してブラケット取付部43に取付けられている。固定部材Bには、車体41bの外面よりも車幅方向に沿った外側からアクセス可能である。ブラケット45は、例えば、板材が切削加工又は曲げ加工されるなどして形成されてもよい。ブラケット45は単一の板材によって形成されていてもよいし、複数の板材が接合されて形成されていてもよい。
【0105】
走行補助部材46は、ブラケット45に支持されて台車40aの走行を補助する。走行補助部材46は、各サイドユニット44に少なくとも1つ設けられている。走行補助部材46は、電気部品であってもよいし、非電気部品であってもよい。
【0106】
ブラケット取付部43及びサイドユニット44の組は、少なくとも1つ設けられる。ここでは3組のブラケット取付部43及びサイドユニット44が設けられている。
【0107】
3組のブラケット取付部43及びサイドユニット44は、水平搬送車40の左後部、左前部及び右後部に設けられている。水平搬送車40の左後部に設けられたサイドユニット44は、第1左サイドユニット44L1である。水平搬送車40の左前部に設けられたサイドユニット44は第2左サイドユニット44L2である。水平搬送車40の右後部に設けられたサイドユニット44は右サイドユニット44Rである。以下では、第1左サイドユニット44L1、及び、第2左サイドユニット44L2について、区別が不要な場合、左サイドユニット44Lと呼ぶことがある。また、左サイドユニット44L、第1左サイドユニット44L1、第2左サイドユニット44L2及び右サイドユニット44Rについて、単にサイドユニット44L、44L1、44L2、44Rと呼ぶことがある。また、また、各サイドユニット44L、44L1、44L2、44Rに対応するブラケット45及びブラケット取付部43についても同様に、ブラケット45L、45L1、45L2、45R及びブラケット取付部43L、43L1、43L2、43Rと呼ぶことがある(ブラケット取付部43Rは図17参照)。
【0108】
ブラケット取付部43L1、43L2は、車体41bの第1側部(ここでは左側部)の外面において、走行路48の延在方向に沿って互いに離れた位置に設けられた複数のブラケット取付部43の一例である。サイドユニット44L1、44L2は、車体41bの一側部において、複数のブラケット取付部43に取付けられている複数のサイドユニット44の一例である。
【0109】
また、ブラケット取付部43L、43Rは、車体41bの第1側部及び第2側部のそれぞれの外面に設けられたブラケット取付部43の一例である。サイドユニット44Lは、第1側部(ここでは左側部)のブラケット取付部43Lに取付けられているサイドユニット44の一例であり、サイドユニット44Rは、第2側部(ここでは右側部)のブラケット取付部43Rに取付けられているサイドユニット44の一例である。
【0110】
3組のブラケット取付部43及びサイドユニット44は、互いに共通の構成と、互いに異なる構成とを有する。以下、3組のブラケット取付部43及びサイドユニット44のそれぞれの構成と、対応する自動倉庫20の構成とについてより具体的に説明する。1組のブラケット取付部43及びサイドユニット44についての説明は特に矛盾の無い限り、他の組のブラケット取付部43及びサイドユニット44についても適用可能である。
【0111】
<左後部のブラケット取付部及びサイドユニット>
図12は水平搬送車40の左後部を示す拡大側面図である。図13は第1左サイドユニット44L1が取り外された様子を示す図である。図14は水平搬送車40の左後部を示す拡大正面図である。図15は第1左サイドユニット44L1が取り外された様子を示す図である。
【0112】
サイドユニット44L1は、上下方向に沿って車輪41及びレール48aよりも下側に位置する。走行路48の一対のレール48aは架空されている。例えば、レール48aのうち前後方向に沿った端部又は左右方向に沿った外側の端部が自動倉庫20における他の部材(例えば棚52など)に支持されることによって、各レール48aのうち車輪41が走行する部分が架空される。自動倉庫20において、レール48aのうち車輪41が走行する部分の下方であって車体41bの下側部の外側に空間が生じている。当該空間が、水平搬送車40の走行時にサイドユニット44が通過する空間となる。
【0113】
一対のレール48aのうちサイドユニット44L1に対応する左側のレール48aは、本体レール部48a1とガイドレール部48a2とを有する。本体レール部48a1は車輪41が走行する部分である。ガイドレール部48a2は、本体レール部48a1から下方に突出する。ここではガイドレール部48a2は、本体レール部48a1のうち車幅方向に沿った内側の端部から突出する。ガイドレール部48a2には、サイドユニット44に設けられたガイドローラユニット46Aが接触する。
【0114】
車体41bは、サイドロアフレーム部41dを含む。サイドロアフレーム部41dは、車体41b下部の両側方に設けられている。サイドロアフレーム部41dは、車輪41よりも車幅方向内側に位置する。サイドロアフレーム部41dは、前後方向に沿って水平搬送車40の一端から他端まで延びる。図15に示すように、サイドロアフレーム部41dは、ベース板部41d1と上リブ41d2と下リブ41d5とを有する。サイドロアフレーム部41dは、例えば、一枚の平板が曲げ加工されて、ベース板部41d1と上リブ41d2と下リブ41d5とを有する形状に形成されている。ベース板部41d1は前後方向及び上下方向を含む平面に沿って広がる。上リブ41d2は、ベース板部41d1の上端から車幅方向に沿って外側に突出する水平突出片41d3と、水平突出片41d3の車幅方向に沿った先端から下向きに突出する下向き突出片41d4とを有する。下リブ41d5は、ベース板部41d1の下端から車幅方向に沿って外側に突出する水平突出片41d6と、水平突出片41d6の車幅方向に沿った先端から上向きに突出する上向き突出片41d7とを有する。車幅方向において、ベース板部41d1からの上リブ41d2の水平突出片41d3の突出量は、下リブ41d5の水平突出片41d6の突出量よりも大きくてもよい。前後方向において、上リブ41d2は、下リブ41d5よりも長くてもよい。前後方向において、上リブ41d2は、ベース板部41d1と同じ長さを有する。前後方向において、ベース板部41d1の両端において、下リブ41d5が設けられていない。左側のサイドロアフレーム部41dの後部にブラケット取付部43L1が設けられている。
【0115】
ブラケット取付部43L1は、係止部43dと固定部43fとを含む。係止部43dには、ブラケット45の一端が係止する。係止部43dは、圧入受用突起部43b及びガイド部43eを有する。圧入受用突起部43bは、車体41bの外面から突出する。圧入受用突起部43bには、ブラケット45の一端が走行路48の延在方向に沿って圧入される。ガイド部43eは、車幅方向に沿って圧入受用突起部43bの外側に設けられている。ガイド部43eは、ブラケット45の一端の圧入をガイドする。固定部43fには、固定部材Bを介してブラケット45の一端よりも他端側部分が着脱可能に固定される。係止部43d及び固定部43fは、ベースブロック部43aと、圧入受用突起部43bと、ガイド板部43cとを用いて設けられている。
【0116】
ベースブロック部43aは、厚み寸法が幅寸法及び長手寸法よりも小さい扁平ブロック状に形成されている。ベースブロック部43aは、厚み方向が車幅方向に沿い、幅方向が上下方向に沿い、長手方向が前後方向に沿う姿勢で、ベース板部41d1の車幅方向に沿った外面に取付けられている。ベースブロック部43aは、ベース板部41d1のうち前後方向に沿った端部(ここでは後端部)に取付けられている。ベースブロック部43aの厚み寸法は、サイドロアフレーム部41dを構成する板材の厚み寸法よりも大きい。ベースブロック部43aの厚み寸法は、下リブ41d5の水平突出片41d6の車幅方向に沿った突出量よりも小さい。図15に示すように、ベースブロック部43aと下リブ41d5の上向き突出片41d7との間に隙間が生じ、当該隙間にブラケット45が挿し込まれる。前後方向に沿ったベースブロック部43aの長手寸法は、ブラケット45の寸法と同様の寸法である。上下方向に沿ったベースブロック部43aの幅寸法は、上下方向に沿ったベース板部41d1の寸法よりも小さい。ベースブロック部43aは、上下方向に沿って下リブ41d5に寄った位置に設けられている。ベースブロック部43aは例えば、ベース板部41d1にボルトなどによって締結されている。
【0117】
図13に示すように、ベースブロック部43aの前後方向に沿った中間部に固定部43fが設けられている。ここでは、固定部43fに固定される固定部材Bは、ボルトBである。固定部材は、金具又はクランプなどであってもよい。ボルトBは、車幅方向に沿って延びる。ボルトBの頭部Bhは、車幅方向に沿った外側からアクセス可能である。固定部43fとして、ボルトBを締結可能な固定孔がベースブロック部43aに形成されている。ベースブロック部43a及びベース板部41d1にはボルトBを挿通可能な挿通孔が形成され、ベース板部41d1の内側面にボルトBを締結可能なナットが設けられていてもよい。
【0118】
圧入受用突起部43bは、ベースブロック部43aのうち前後方向に沿って内側の端部(ここでは前端)に設けられている。圧入受用突起部43bは、ベースブロック部43aの車幅方向に沿った外面から外側に突出する。圧入受用突起部43bは、上下方向に分かれて一対設けられている。一対の圧入受用突起部43bの間に、ブラケット45の一端が圧入される。
【0119】
ガイド板部43cは、ベースブロック部43aのうち前後方向に沿って内側の端部(ここでは前端)に設けられている。ガイド板部43cは、圧入受用突起部43bよりも車幅方向に沿った外側に位置する。ガイド板部43cは、留め具によってベースブロック部43aに留められる縦板部と、縦板部よりも前後方向に沿って外側(ここでは後端側)に突出する傾斜板部とを有する。ガイド板部43cは、圧入受用突起部43bと共通の留め具でベースブロック部43aに取付けられていてもよい。縦板部は、ベースブロック部43aの車幅方向に沿った外面と同様に、上下方向及び前後方向を含む平面に沿って広がる。傾斜板部は、縦板部に連なる基端から先端に向けて車幅方向に沿って外側に広がっている。縦板部のうち留め具によって留められる部分から傾斜板部の先端までの部分がガイド部43eとされる。
【0120】
ブラケット45は、主板部45aと、突出板部45dとを含む。主板部45aは前後方向及び上下方向を含む平面に沿って広がる。主板部45aの内面は、ベースブロック部43aの外面に接する。突出板部45dは主板部45aの外面よりも車幅方向に沿って外側に突出する。走行補助部材46は主板部45a又は突出板部45dに支持される。主板部45a又は突出板部45dのうち走行補助部材46を支持する部分は、走行補助部材46支持部とみなすことができる。
【0121】
主板部45aの先端が、係止部43dに係止する。ここでは主板部45aの先端は、一対の圧入受用突起部43bの間に圧入される圧入板部45bとされる。主板部45aの先端は、前方に行くほど上下方向の寸法が小さい先細り形状とされる。従って主板部45aの先端は、一対の圧入受用突起部43bの間に挿入される際のガイドとなる形状を有する。主板部45aの先端よりも後方部分に、固定部材Bによって固定される部分が設けられる。ここでは主板部45aの中間部(前後方向に沿った中央に近い部分)にボルトBが挿通される挿通孔45cが形成されている。ボルトBの頭部Bhは、車幅方向に沿ってブラケット45の主板部45aよりも外側に位置する。
【0122】
突出板部45dは複数設けられてもよい。複数の突出板部45dとして、前後方向及び左右方向を含む平面に沿って広がる突出板部45dと、上下方向及び左右方向を含む平面に沿って広がる突出板部45dとが設けられていてもよい。突出板部45dを構成する板材は、主板部45aを構成する板材とは別に設けられて、主板部45aを構成する板材に接合されていてもよい。主板部45aを構成する板材の一部が曲げられて、突出板部45dが形成されてもよい。
【0123】
サイドユニット44L1は、複数の走行補助部材46を含む。サイドユニット44L1は、一つのブラケット45に複数の走行補助部材46が設けられたサイドユニット44の一例である。複数の走行補助部材46は、例えば、ガイドローラユニット46Aと、第1センサユニット46Bと、第1センサユニット46Bとは異なるセンサ機能を有する第2センサユニット46Cとのうち2つ以上を含む。ここでは、サイドユニット44L1は、複数の走行補助部材46として、ガイドローラユニット46Aと、第1センサユニット46Bと、第2センサユニット46Cとの3つを含む。
【0124】
ガイドローラユニット46Aは、一対の軸部と一対のガイドローラとを有する。一対の軸部は、車幅方向に並んでいる。各軸部の基端は後方上部の突出板部45dに支持されている。後方上部の突出板部45dはガイドローラユニット支持部である。各軸部の先端にガイドローラが回転自在に支持されている。各ガイドローラの回転軸は、上下方向に沿う。一対のガイドローラの間にガイドレール部48a2が位置する。ガイドレール部48a2及びガイドローラユニット46Aが設けられていることにより、水平搬送車40が左右方向に沿った一定位置を安定して走行しやすくなる。
【0125】
第1センサユニット46Bは、例えば、前方の物体との距離を計測する近接センサ(測距センサなどともいう)であってもよい。
【0126】
第2センサユニット46Cは、例えば、光又は赤外線を発信する投光器と、投光器の発信した光又は赤外線を受信する受光器とを含む光電センサであってもよい。投光器及び受光器は、車幅方向に沿って離れて配置される。投光器及び受光器は、ガイドレール部48a2の両側に分かれて配置される。水平搬送車40がレール48aに対して適切な姿勢にあるとき、ガイドレール部48a2が投光器から受光器に向かう光又は赤外線の経路上に位置する。
【0127】
各センサユニット46B、46Cは、車体側機器と有線接続されている。各センサユニット46B、46Cは、センサ本体46Ba、46Caと、センサ本体46Ba、46Caから延びる配線46Bb、46Cbとを含む。センサ本体46Ba、46Caの検知結果が配線46Bb、46Cbを介して車体側機器に伝送される。配線46Bb、46Cbは、電気信号を送る電線であってもよいし、光信号を送る光ファイバであってもよい。車体側機器は、例えば、車体41bに設けられた制御ユニットであってもよいし、外部制御ユニットとの通信のために車体41bに設けられた通信ユニットであってもよい。サイドユニット44が取り外される際、有線接続も解除される必要が生じうる。
【0128】
サイドユニット44L1において、複数の走行補助部材46は、車体側機器と有線接続される複数の機器(ここでは複数のセンサユニット46B、46C)を含む。この場合、複数の機器46B、46Cの有線接続が個別に解除されるように構成されてもよいし、一括して解除されるように構成されてもよい。ここでは、複数の機器46B、46Cの有線接続が一括して解除されるように構成されている。
【0129】
具体的には、第1センサユニット46Bの配線46Bb及び第2センサユニット46Cの配線46Cbは、共通のコネクタC1に接続されている。コネクタC1は、車体側機器から延びる相手配線Whの端部に設けられた相手コネクタC2と嵌合することで接続される。コネクタC1及び相手コネクタC2が嵌合することで、配線46Bb、46Cb、コネクタC1、相手コネクタC2及び相手配線Whを介してセンサ本体46Ba、46Caと車体側機器とが、センサ結果を伝送可能に有線接続される。コネクタC1及び相手コネクタC2の嵌合を解除することで、複数の機器46B、46Cの有線接続を一括して解除することができる。従って、有線接続される複数の機器46B、46Cを有するサイドユニット44L1において、複数の機器46B、46Cの有線接続を解除する作業が、コネクタC1と相手コネクタC2との嵌合を解除する1回の作業で済む。
【0130】
第1センサユニット46Bのセンサ本体46Baは、後方下部の突出板部45dに支持されている。後方下部の突出板部45dは第1センサユニット支持部である。第2センサユニット46Cのセンサ本体46Baは、前方の突出板部45dに支持されている。前方の突出板部45dは第2センサユニット支持部である。また、コネクタC1もブラケット45に保持されているとよい。ここではコネクタC1は主板部45aに支持されている。主板部45aはコネクタ支持部である。
【0131】
サイドユニット44において、第1センサユニット46Bはブラケット45の後端に保持され、第2センサユニット46Cはブラケット45の前端に保持され、ガイドローラユニット46A及びコネクタC1は前後方向に沿って第1センサユニット46Bと第2センサユニット46Cとの間に保持される。コネクタC1から延びる配線46Bb、46Cbは、センサ本体46Ba、46Caに向かう途中で分岐して前後方向に別れて延びる。突出板部45dのうちコネクタC1の後方でコネクタC1と対向する突出板部45dは、配線46Bb、46CbのうちコネクタC1から延び出る部分を規制する。突出板部45dのうちコネクタC1の下方でコネクタC1と対向する突出板部45dは、配線46Bbのうち分岐部から各センサ本体46Ba、46Caに向かう部分を規制する。
【0132】
<左前部のブラケット取付部及びサイドユニット>
図16は水平搬送車40の左前部を示す拡大側面図である。水平搬送車40の左前部には、第2左サイドユニット44L2及びブラケット取付部43L2が設けられている。サイドユニット44L2及びブラケット取付部43L2について、サイドユニット44L1との相違点を中心に説明する。図16において、実線のサイドユニット44L2は、車体41bから取り外された状態を示し、仮想線のサイドユニット44L2は、車体41bに取付けられた状態を示している。
【0133】
サイドユニット44L2は、複数の走行補助部材46として、ガイドローラユニット46A及び第1センサユニット46Bを含む。サイドユニット44L2におけるガイドローラユニット46A及び第1センサユニット46Bは、サイドユニット44L1におけるガイドローラユニット46A及び第1センサユニット46Bと同様の機能及び構成を有する。サイドユニット44L2のガイドローラユニット46Aは、車両前方において、ガイドレール部48a2に沿ってガイドする。サイドユニット44L2も、サイドユニット44L1と同様に、一つのブラケット45L2に複数の走行補助部材46が設けられたサイドユニット44の一例である。
【0134】
サイドユニット44L2には、第2センサユニット46Cは設けられていない。第2センサユニット46Cが省略されたことによって、サイドユニット44L2が保持する有線接続が必要な機器は、第1センサユニット46Bのみとなる。このため、サイドユニット44L2において、複数の機器用の共通コネクタC1を設ける必要がなくなったことによって、複数の機器用のコネクタC1も省略されている。この場合、例えば、第1センサユニット46Bのセンサ本体と一体的に設けられたコネクタに、車体41bから延びる相手配線の端部に設けられた相手コネクタが接続されてもよい。なお、サイドユニット44L2においても、サイドユニット44L1と同様に、センサ本体と離れた位置に相手コネクタと接続用のコネクタが設けられていてもよい。例えば、第1センサユニット46Bの位置よりもコネクタと相手コネクタとの嵌合及び解除をしやすい位置に、コネクタが設けられていてもよい。
【0135】
サイドユニット44L2において第2センサユニット46C及びコネクタC1が設けられていないため、ブラケット45L2においても、第2センサユニット支持部及びコネクタ支持部は設けられていない。これにより、ブラケット45L2は、ブラケット45L1よりも前後方向に短尺とされる。また、ブラケット45L2の突出板部45dの数は、ブラケット45L1の突出板部45dの数よりも少ない。
【0136】
ブラケット取付部43L2は、左側のサイドロアフレーム部41dの前端に設けられている。ブラケット45L2は、ブラケット45L1とは反対向きに、ブラケット取付部43L2の一対の圧入受用突起部43bの間に挿入される。ブラケット45L2の後端が、一対の圧入受用突起部43bに対して前方から挿入される。ブラケット45において、圧入部が主板部45aの後端に設けられている。ブラケット45L2において、挿通孔45cが主板部45aの後端よりも前側に設けられている。ここでは、挿通孔45cは、主板部45aの前端に設けられている。
【0137】
<右後部のブラケット取付部及びサイドユニット>
図17は水平搬送車40の右後部を示す拡大側面図である。水平搬送車40の右後部には、右サイドユニット44R及びブラケット取付部43Rが設けられている。サイドユニット44R及びブラケット取付部43Rについて、サイドユニット44L1及びブラケット取付部43L1との相違点を中心に説明する。
【0138】
サイドユニット44Rには、ガイドローラユニット46A、第1センサユニット46B及び第2センサユニット46Cは設けられていない。代わりに、サイドユニット44Rには、例えば、水平搬送車40に給電する給電システムの一部の装置が組み込まれている。給電システムの一部の装置も走行補助部材46の一例である。かかる給電システムは、特に限定されるものではなく、接触式給電システムであってもよいし、非接触式給電システムであってもよい。ここでは、給電システムが接触式のトロリ線給電システムである例が説明される。この場合、右サイドユニット44Rには、例えば、トロリ線給電システムの一部である集電ユニット46Dと、集電ユニット46Dと車体側機器とを接続するためのコネクタC3とが組み込まれる。
【0139】
サイドユニット44Rに、ガイドローラユニット46Aが設けられていないため、自動倉庫20において、右側のレール48aにはガイドレール部48a2は設けられていない。代わりに、自動倉庫20において、トロリ線給電システムの一部であるトロリ線(図示省略)が、右側のレール48aに沿って設けられる。集電ユニット46Dは、トロリ線から水平搬送車40の駆動に必要な電力を得る装置である。
【0140】
集電ユニット46Dは、例えば、集電子とリード線とを含む。集電子は、トロリ線と接触してトロリ線から電力を得る。集電子は、例えば、シューなどであってもよい。リード線は集電子とコネクタC3とを電気的に接続する。コネクタC3には、車体41bから延びる相手配線の端部に設けられた相手コネクタ(図示省略)が接続される。なお、集電ユニット46DにおけるコネクタC3は、端子台などであってもよい。
【0141】
サイドユニット44Rのブラケット45Rは、集電ユニット46D及びコネクタC3を一定位置に保持する。ここでは集電ユニット46Dは、挿入方向に沿ってコネクタC3よりも前方に保持される。集電ユニット46Dは、挿入方向に沿ってコネクタC3よりも後方に保持されてもよい。
【0142】
ブラケット取付部43Rは、右側のサイドロアフレーム部41dの後端に設けられている。ブラケット45Rは、ブラケット45L1と同じ向きに、ブラケット取付部43Rの一対の圧入受用突起部43bの間に挿入される。ブラケット取付部43Rにおいて、ベースブロック部43aは、ブラケット45のうち挿入方向に沿った前方部分に対応するように部分的に設けられる。ブラケット45の後部は、サイドロアフレームのベース板部41d1の外面に直接的に接する部分を有し、当該部分に挿通孔45cが設けられている。従って、ブラケット45は、サイドロアフレームのベース板部41d1に直接的にボルトBによって締結される。挿通孔45cは、コネクタC3よりも後端に位置する。
【0143】
<水平搬送車の状態変更>
走行路48上の水平搬送車40は、例えば以下のようにして、水平状態から吊下状態に状態変更可能である。
【0144】
まず、水平搬送車40が走行路48上に位置する状態で、3つのサイドユニット44L1、L2、Rをすべて外す。
【0145】
まず、ボルトBをサイドユニット44から外すと共に、相手コネクタC2をコネクタC1から外す。ここでは1つのサイドユニットにつき、ボルトBの締結箇所は1箇所であるが、1つのサイドユニットにつき、ボルトBの締結箇所は複数箇所(例えば2箇所)であってもよい。作業者は、車幅方向に沿った外側からボルトBの頭部Bh及び相手コネクタC2にアクセスできるため、ボルトBを外す作業及び相手コネクタC2を外す作業を容易に行うことができる。なお、車体41bから延びる相手配線Wh及び相手コネクタC2は、外してそのままの位置(ここでは、サイドロアフレーム部41dのベース板部41d1の外側)に位置したままであってもよいし、車体41b内部などに収容されてもよい。水平搬送車40において、相手配線Wh及び相手コネクタC2は、車体41b内側から引っ張って収容可能に構成されていてもよい。
【0146】
ボルトBを外すと共に相手コネクタC2を外したら、係止部43dからブラケット45を外す。ここではサイドユニット44Lごとブラケット45を前後方向に沿って外側(サイドユニット44L1、Rは後ろ側、サイドユニット44L2は前側)に移動させることによって、ブラケット45の先端の圧入部が一対の圧入受用突起部43bの間から抜け、もって、係止部43dからブラケット45が外れる。
【0147】
ここで、水平搬送車40におけるサイドユニット44の下側には、サイドロアフレーム部41dの下リブ41d5が位置する。このため、係止部43dが外れたら、そのまま、サイドユニット44ごとブラケット45をサイドロアフレーム部41dよりも前後方向に沿って外側(サイドユニット44L1、44Rはサイドロアフレーム部41dよりも後ろ側、サイドユニット44L2はサイドロアフレーム部41dよりも前側)に移動させる。これにより、サイドユニット44L1、44L2、44Rがそれぞれ図13図16図17に示すような位置になる。
【0148】
また、サイドユニット44Lのガイドローラユニット46Aは、ガイドレール部48a2の両側に位置する一対のガイドローラを有する。当該ガイドレール部48a2は、前後方向に沿って水平搬送車40の外側まで(例えば、自動倉庫20における棚52の一端から他端まで)延在する。従って、サイドユニット44Lについては、サイドロアフレーム部41dよりも前後方向に沿って外側に位置するサイドユニット44Lを下側にさらに移動させる。これにより、図15に示すように、ガイドローラユニット46Aからガイドレール部48a2が抜け、サイドユニット44Lをレール48aから外すことができる。
【0149】
ガイドローラユニット46Aのないサイドユニット44Rについては、サイドロアフレーム部41dよりも後方に移動したサイドユニット44Rをそのままレール48aから外すことができる場合もあり得る。また、サイドユニット44Rをレール48aから外す前に、集電ユニット46Dの集電子をトロリ線から外す作業が必要となる場合もあり得る。
【0150】
水平搬送車40の車体41b及びレール48aから外されたサイドユニット44L1、44L2、44Rは、メンテナンスされてもよいし、車体41b側のメンテナンス中に適切な位置に保管されてもよい。
【0151】
3つのサイドユニット44L1、44L2、44Rが外れることによって、図15に示すように、水平搬送車40には、レール48aの下方でレール48aと対向する部分が無くなる。これにより、水平搬送車40は、持ち上げられても、走行路48と干渉しなくなり、円滑に吊下状態に移行することができる。
【0152】
なお、上述のように、水平搬送車40は、吊下状態において、水平姿勢のままであってもよいし、水平姿勢から縦姿勢に変更されてもよい。水平搬送車40は、3つのサイドユニット44L1、44L2、44Rが外れた後も、一対のレール48aの間であって、本体レール部48a1よりも下方に位置する部分(例えば、サイドロアフレーム部41dなど)を有する。このため、水平搬送車40が縦姿勢に変更される場合、水平搬送車40下端が概ね本体レール部48a1以上の高さとなってから水平搬送車40を傾かせると良い。
【0153】
吊下状態となった水平搬送車40は、上記自動倉庫20用メンテナンス装置を用いて、自動倉庫20外に搬出されてもよい。メンテナンス後の水平搬送車40又は搬出された水平搬送車40とは別の新しい水平搬送車40が走行路48上に戻されてもよい。この場合、上記工程とは逆の工程を経ることによって、水平搬送車40が吊下状態から走行路48を走行可能な状態に移行できる。
【0154】
より具体的には、まず、3つのサイドユニット44が外れた状態であって吊下状態の水平搬送車40がレール48a上に載置される。この後に、各サイドユニット44は、前後方向に沿った係止部43dへのブラケット45の圧入と、車幅方向外側からのボルトBの締結によって、車体41bに取付けられる。ブラケット45が下リブ41d5とベースブロック部43aとの間に挿入されることで、ブラケット45がガイド部43eに達しやすくなる。またブラケット45の圧入板部45bが、ガイド部43eに沿って移動することで、一対の圧入受用突起部43bの間に圧入されやすい。また、ブラケット45の圧入が完了した状態で、ブラケット45の挿通孔45cと車体41bの固定部43fとの位置が合うことで、ボルトBの締結が容易となる。3つのサイドユニット44が車体41bに取付けられることによって、水平搬送車40が走行可能な状態となる。
【0155】
<効果等>
このように構成された水平搬送車40によると、サイドユニット44を車体41bの側部から取り外した状態で水平搬送車40を走行状態と吊下状態との間で状態変更することで、水平搬送車40が周辺部材(例えばレール48a)と干渉することを抑制できる。サイドユニット44は車体41bに対して車幅方向外側からアクセス可能な固定部材Bを介して取付けられているため、車体41bに対するサイドユニット44の着脱が容易となる。これらより、走行状態と吊下状態との間での水平搬送車40の状態変更が容易となる。
【0156】
また、ブラケット取付部43は、ブラケット45の一端が係止する係止部43dと、固定部材Bを介してブラケット45の一端よりも他端側部分が着脱可能に固定される固定部43fとを含む。これにより、ブラケット45の一端をブラケット取付部43に簡易に取り付けることができる。
【0157】
また、係止部43dは、車体41bの外面から突出し、ブラケット45の一端が走行路48の延在方向に沿って圧入される圧入受用突起部43bを有する。これにより、ブラケット45の一端を係止部43dに簡易に係止させることができる。
【0158】
また、係止部43dは、車幅方向に沿って圧入受用突起部43bの外側に設けられてブラケット45の一端の圧入をガイドするガイド部43eを有する。これにより、ブラケット45の一端を圧入受用突起部43bに簡易に挿入させることができる。また圧入受用突起部43bに挿入されたブラケット45の一端が車幅方向外側に外れることを抑制できる。
【0159】
また、固定部材Bは、車幅方向に沿った外側からアクセス可能な頭部Bhを有するボルトBである。これにより、車幅方向に沿って内側からボルトBの頭部Bhにアクセスせずに済み、ボルトBの着脱が容易となる。
【0160】
また、走行路48は架空されたレール48aを備え、サイドユニット44は、上下方向に沿って車輪41及びレール48aよりも下側に位置する。これにより、サイドユニット44を取り外すことによって、水平搬送車40が吊り下げのためにレール48aの上方に持ち上げられる際のサイドユニット44とレール48aとの干渉を抑制できる。またサイドユニット44が設けられる位置であるレール48a下の位置は、比較的アクセスしにくい位置である。この場合でも、サイドユニット44はブラケット45を介して車体41bに取付けられているため、車体41bに対するサイドユニット44の着脱が容易となる。
【0161】
また左サイドユニット44Lにおいて、一つのブラケット45Lに複数の走行補助部材46A、46Bが設けられている。これにより、複数の走行補助部材46A、46Bがブラケット45Lによって一体化されることによって、複数の走行補助部材46A、46Bが個別に車体41bに取付けられている場合よりも、簡易に着脱できる。
【0162】
また、サイドユニット44L1は、ガイドローラユニット46Aと、第1センサユニット46Bと、第2センサユニット46Cとを含む。また、サイドユニット44L2は、ガイドローラユニット46Aと、第1センサユニット46Bとを含む。これらより、複数のセンサユニット46B、46C、又は、少なくとも1つのセンサユニット46Bとガイドローラユニット46Aとをブラケット45によって一体化できる。
【0163】
また、サイドユニット44L1、44L2が設けられていることによって、車体41bの一方側に設けられる複数のサイドユニット44を簡易に着脱できる。
【0164】
またサイドユニット44L、44Rが設けられていることによって、車体41bの両側のサイドユニット44を簡易に着脱できる。
【0165】
また上記水平搬送車40が自動倉庫20に適用されることで、自動倉庫20における水平搬送車40を走行状態と吊下状態との間で容易に状態変更することができる、自動倉庫システム10を提供できる。
【0166】
<付記>
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【0167】
本開示は、下記の各態様を開示する。
【0168】
第1の態様は、水平に延びる走行路上を走行し、前記走行路の隣に位置しかつ前記走行路に沿って複数の物品が並べて保管される棚に対して物品を出し入れするための水平搬送車であって、前記走行路上を移動する車輪と、前記車輪を回転可能に支持すると共に前記物品を載置支持する車体と、前記車体に支持されて前記車輪を回転駆動する駆動部と、を含み、前記走行路上を走行する台車と、前記台車と前記棚との間で、前記物品を出し入れする物品出し入れ機構と、車幅方向に沿って前記車体の少なくとも一方側部の外面に設けられたブラケット取付部と、前記外面よりも前記車幅方向に沿った外側からアクセス可能な固定部材を介して前記ブラケット取付部に取付けられているブラケットと、前記ブラケットに支持されて前記台車の走行を補助する少なくとも1つの走行補助部材とを含む少なくとも1つのサイドユニットと、を備える。
【0169】
この水平搬送車によると、サイドユニットを車体の側部から取り外した状態で水平搬送車を走行状態と吊下状態との間で状態変更することで、水平搬送車が周辺部材と干渉することを抑制できる。サイドユニットは車体に対して車幅方向外側からアクセス可能な固定部材を介して取付けられているため、車体に対するサイドユニットの着脱が容易となる。これらより、走行状態と吊下状態との間での水平搬送車の状態変更が容易となる。
【0170】
第2の態様は、第1の態様に係る水平搬送車であって、前記ブラケット取付部は、前記ブラケットの一端が係止する係止部と、前記固定部材を介して前記ブラケットの前記一端よりも他端側部分が着脱可能に固定される固定部とを含む。
【0171】
これにより、ブラケットの一端をブラケット取付部に簡易に取り付けることができる。
【0172】
第3の態様は、第2の態様に係る水平搬送車であって、前記係止部は、前記外面から突出し、前記ブラケットの前記一端が前記走行路の延在方向に沿って圧入される圧入受用突起部を有する。
【0173】
これにより、ブラケットの一端を係止部に簡易に係止させることができる。
【0174】
第4の態様は、第3の態様に係る水平搬送車であって、前記係止部は、前記車幅方向に沿って前記圧入受用突起部の外側に設けられて前記ブラケットの前記一端の圧入をガイドするガイド部を有する。
【0175】
これにより、ブラケットの一端を圧入受用突起部に簡易に挿入させることができる。
【0176】
第5の態様は、第2から第4のいずれか1つの態様に係る水平搬送車であって、前記固定部材は、前記車幅方向に沿った外側からアクセス可能な頭部を有するボルトである。
【0177】
これにより、車幅方向に沿って内側からボルトの頭部にアクセスせずに済み、ボルトの着脱が容易となる。
【0178】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る水平搬送車であって、前記走行路は架空されたレールを備え、前記サイドユニットは、上下方向に沿って前記車輪及び前記レールよりも下側に位置する。
【0179】
これにより、サイドユニットを取り外すことによって、水平搬送車が吊り下げのためにレールの上方に持ち上げられる際のサイドユニットとレールとの干渉を抑制できる。またサイドユニットが設けられる位置であるレール下の位置は、比較的アクセスしにくい位置である。この場合でも、サイドユニットはブラケットを介して車体に取付けられているため、車体に対するサイドユニットの着脱が容易となる。
【0180】
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係る水平搬送車であって、前記少なくとも1つのサイドユニットは、一つの前記ブラケットに複数の前記走行補助部材が設けられたサイドユニットを含む。
【0181】
これにより、複数の走行補助部材がブラケットによって一体化されることによって、複数の走行補助部材が個別に車体に取付けられている場合よりも、簡易に着脱できる。
【0182】
第8の態様は、第7の態様に係る水平搬送車であって、前記複数の走行補助部材は、第1センサユニットと、前記第1センサユニットとは異なるセンサ機能を有する第2センサユニットと、ガイドローラユニットとのうち2つ以上を含む。
【0183】
これにより、複数のセンサユニット、又は、少なくとも1つのセンサユニットとガイドローラユニットとをブラケットによって一体化できる。
【0184】
第9の態様は、第1から第8のいずれか1つの態様に係る水平搬送車であって、前記車体の第1側部の外面において、前記走行路の延在方向に沿って互いに離れた位置に複数の前記ブラケット取付部が設けられ、前記少なくとも1つのサイドユニットは、前記複数のブラケット取付部に取付けられている複数のサイドユニットを含む。
【0185】
これにより、車体の一方側に設けられる複数のサイドユニットを簡易に着脱できる。
【0186】
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係る水平搬送車であって、前記車体の第1側部及び第2側部のそれぞれの外面に前記ブラケット取付部が設けられ、前記少なくとも1つのサイドユニットは、前記第1側部の前記ブラケット取付部に取付けられているサイドユニットと、前記第2側部の前記ブラケット取付部に取付けられているサイドユニットとを含む。
【0187】
これにより、車体の両側のサイドユニットを簡易に着脱できる。
【0188】
第11の態様は、第1から第10のいずれか1つの態様に係る水平搬送車と、複数段の前記棚を含む格納棚と、前記複数段の棚に関連付けられて上下に並んで設けられ、それぞれ前記棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる複数の前記走行路と、入庫される物品を入庫用の高さ位置から格納箇所に対応する高さ位置に移動させる入庫昇降処理、及び、出庫される前記物品を格納箇所に対応する高さ位置から出庫用の高さ位置に移動させる出庫昇降処理の少なくとも一方を行う昇降装置と、を備える、自動倉庫システムである。
【0189】
これにより、自動倉庫における水平搬送車を走行状態と吊下状態との間で容易に状態変更することができる、自動倉庫システムを提供できる。
【0190】
また、本開示は、自動倉庫用メンテナンス装置として、下記の各態様を開示する。
【0191】
第1の態様は、複数段の棚を含む格納棚と、前記複数段の棚に関連付けられて上下に並んで設けられ、それぞれ前記棚の隣の位置で水平方向に沿って延びる複数の走行路と、入庫される物品を入庫用の高さ位置から格納箇所に対応する高さ位置に移動させる入庫昇降処理、及び、出庫される前記物品を格納箇所に対応する高さ位置から出庫用の高さ位置に移動させる出庫昇降処理の少なくとも一方を行う昇降装置と、前記複数の走行路に対応して設けられ、それぞれ前記走行路上を走行して、前記昇降装置と前記棚との間で前記物品を移載する複数の水平搬送車と、を備える自動倉庫に設置される自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記複数の走行路のうち最も下にある前記走行路よりも高い位置で水平方向に沿って延びる吊下装置用ガイド部と、前記吊下装置用ガイド部によって前記吊下装置用ガイド部が延びる方向に沿って移動可能に支持される吊下装置と、を備え、前記吊下装置用ガイド部は、前記複数の走行路よりも外側に位置する取出端を含み、前記吊下装置は、前記吊下装置用ガイド部に支持されて、前記吊下装置用ガイド部に沿って、前記棚に対向する位置と前記取出端との間で水平移動する移動機構と、前記水平搬送車に着脱可能に連結される搬送車連結部と、前記搬送車連結部から延出する索状体とを有する吊下部と、前記移動機構に対して前記索状体を繰出し及び巻上げ可能な巻上部と、を含む。
【0192】
この自動倉庫用メンテナンス装置によると、索状体を繰出すことで、搬送車連結部を走行路上の水平搬送車に連結することができる。この状態で、巻上部によって索状体を巻上げると、水平搬送車が、吊下装置によって吊り下げられる。そして、吊下装置を、吊下装置用ガイド部に沿って取出端に向けて移動させると、自動倉庫における水平搬送車を、格納棚の外側に容易に取出せる。
【0193】
第2の態様は、第1の態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記昇降装置は、前記複数の走行路が延びる方向において前記複数の走行路よりも外側に位置し、前記吊下装置用ガイド部は、前記走行路が延びる方向に沿って延び、前記取出端は、前記複数の走行路が延びる方向において、前記昇降装置よりも外側に位置する。
【0194】
これにより、水平搬送車を、昇降装置を超えて外側に容易に取出せる。
【0195】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記移動機構は、前記吊下装置用ガイド部に接した状態で前記吊下装置用ガイド部に沿って転がって移動する転動体と、前記転動体を回転駆動するモータとを含む。
【0196】
これにより、モータの駆動によって、吊下装置が吊下装置用ガイド部に沿って移動できる。
【0197】
第4の態様は、第1から第3のいずれ1つの態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記吊下部は、水平方向に対して前記水平搬送車を交差させる姿勢で、前記水平搬送車を吊下げて支持する。
【0198】
このように、平方向に対して水平搬送車を交差させる姿勢とすることで、走行路の幅方向において、水平搬送車の寸法を小さくできる。これにより、水平搬送車が周囲の部分に干渉し難くなり、水平搬送車を水平方向に沿って移動させ易い。
【0199】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置であって、前記吊下装置が前記水平搬送車の吊下げを開始する位置で、前記水平搬送車のうち前記搬送車連結部が連結される位置とは異なる位置を吊下げて支持する補助用吊下装置をさらに備える。
【0200】
この場合、吊下装置が水平搬送車の吊下げを開始する位置で、補助用吊下装置が水平搬送車のうち搬送車連結部が連結される位置とは異なる位置を吊下げて支持する。これにより、吊下げを開始する際の水平搬送車の挙動が安定し易い。
【0201】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る自動倉庫用メンテナンス装置と、前記自動倉庫と、を備える自動倉庫システムである。
【0202】
これにより、自動倉庫における水平搬送車を容易に取出することができる、自動倉庫システムを提供できる。
【0203】
第7の態様は、第6の態様に係る自動倉庫システムであって、前記自動倉庫は、一対の支柱を有し、平面視において前記一対の支柱の間に前記吊下装置用ガイド部が位置し、前記一対の支柱の間隔は、前記吊下装置に吊り下げられた前記水平搬送車が通過可能な大きさとされている。
【0204】
これにより、吊下装置に吊り下げられた水平搬送車が、一対の支柱間を通って吊下装置用ガイド部に沿って容易に移動できる。
【0205】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0206】
10 自動倉庫システム
20 自動倉庫
30 昇降装置
31 柱
40 水平搬送車
40a 台車
41 車輪
41a 駆動部
41b 車体
42 物品出し入れ機構
43 ブラケット取付部
43b 圧入受用突起部
43d 係止部
43e ガイド部
43f 固定部
44 サイドユニット
45 ブラケット
46 走行補助部材
46A ガイドローラユニット
46B 第1センサユニット
46Ba センサ本体
46Bb 配線
46C 第2センサユニット
46Ca センサ本体
46Cb 配線
46D 集電ユニット
48 走行路
48a レール
50 格納棚
52 棚
52P 長尺部材
80 自動倉庫用メンテナンス装置
82、282 吊下装置用ガイド部
83e2 取出端
90 吊下装置
92 移動機構
94 吊下部
94a 索状体
95 搬送車連結部
96 巻上部
100 補助用吊下装置
104 吊下部
106 巻上部
191m モータ
192 電動移動機構
B ボルト(固定部材)
Bh 頭部
W 物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17