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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110928
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】皮膚改善用の組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20240808BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20240808BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 36/752 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 36/535 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 36/804 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 36/8905 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240808BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 36/725 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 36/40 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 36/484 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 36/815 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 36/605 20060101ALI20240808BHJP
   A61K 36/346 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/9794
A61Q19/00
A61K36/752
A61K36/535
A61K36/804
A61K36/8905
A61P17/00
A61P17/16
A61K36/725
A61K36/40
A61K36/484
A61K36/815
A61K36/605
A61K36/346
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024004538
(22)【出願日】2024-01-16
(31)【優先権主張番号】10-2023-0014841
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0106944
(32)【優先日】2023-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー・エイチアンドエイチ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】グワン-ジン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ソ-リム・ミン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-ハ・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ジ-ヒュン・ソ
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC062
4C083AC112
4C083AD022
4C083AD152
4C083BB51
4C083CC02
4C083EE12
4C083EE13
4C088AB12
4C088AB30
4C088AB34
4C088AB37
4C088AB38
4C088AB60
4C088AB62
4C088AB79
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA07
4C088MA63
4C088NA05
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】皮膚改善効果、望ましくは、皮膚しわ改善、皮膚弾力改善または皮膚保湿効果が優秀な化粧料組成物及び医薬部外品組成物を提供する。
【解決手段】本発明の皮膚改善用の化粧料組成物は、地黄、香附子、陳皮及び紫蘇葉の抽出物の相乗効果によって、皮膚改善効果、望ましくは、皮膚しわ改善、皮膚弾力増進または皮膚保湿効果が顕著に優秀である。また、本発明の皮膚改善用の化粧料組成物は、枸杞子、山茱萸、マグワ、大棗、桔梗及び甘草の抽出物からなる群より選択されたいずれか一つ以上の抽出物をさらに含むことで、前記皮膚改善効果をさらに向上させることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地黄、香附子、陳皮及び紫蘇葉の抽出物を含む皮膚改善用の化粧料組成物。
【請求項2】
前記化粧料組成物が、大棗、山茱萸、甘草、枸杞子、マグワ及び桔梗の抽出物からなる群より選択されたいずれか一つ以上の抽出物をさらに含む、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記抽出物が、組成物の総重量に対して0.01~10重量%で含まれる、請求項1または2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記皮膚改善は、皮膚しわ改善、皮膚弾力増進または皮膚保湿である、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
地黄、香附子、陳皮及び紫蘇葉の抽出物を含む、皮膚改善用の医薬部外品組成物。
【請求項6】
前記医薬部外品組成物が、大棗、山茱萸、甘草、枸杞子、マグワ及び桔梗の抽出物からなる群より選択されたいずれか一つ以上の抽出物をさらに含む、請求項5に記載の医薬部外品組成物。
【請求項7】
前記抽出物が、組成物の総重量に対して0.01~10重量%で含まれる、請求項5または6に記載の医薬部外品組成物。
【請求項8】
前記皮膚改善は、皮膚しわ改善、皮膚弾力増進または皮膚保湿である、請求項5に記載の医薬部外品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚改善用の組成物に関する。
【0002】
本出願は、2023年2月3日出願の韓国特許出願第10-2023-0014841号及び2023年8月16日出願の韓国特許出願第10-2023-0106944号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
皮膚は、外部環境から人体を保護し、内部の水分及び有用成分が外部へ流出することを阻むバリアー機能を果たす。また、皮膚は、体温調節機能または排泄機能など、多様な生理的機能を担当している重要な器官である。ストレスによる皮膚老化を改善することは現代人の大きい関心事であり、このような皮膚老化の特徴としては、皮膚しわ発生、皮膚弾力低下または皮膚保湿機能の減少などが挙げられる。
【0004】
コラーゲンは、皮膚の線維芽細胞で生成される主な基質タンパク質であって、皮膚の機械的堅固性と組織の結合力を維持し、細胞接着の支持、細胞分化の誘導などの機能を果たす。年齢増加及び紫外線照射による光老化によってコラーゲンは減少し、コラーゲンを分解するコラゲナーゼ酵素活性によってコラーゲン減少が促進される。このようなコラーゲンの減少は、皮膚のしわ形成にも密接な連関があると知られている。また、コラーゲン及びエラスチン繊維は、真皮層内の水分保持に重要な役割を果たし、皮膚保湿によって皮膚の弾力を維持することに関与すると知られている。
【0005】
ヒアルロン酸は、細胞外基質の主要成分であって、水分保持、細胞間の間隔維持、細胞成長因子及び栄養成分の保存と拡散に関与するだけでなく、細胞の分裂と分化、移動などにも関与する。ヒト皮膚においてヒアルロン酸の量は老化と共に減少し、皮膚内のヒアルロン酸の減少は、老化による皮膚弾力の低下または水分含有量減少の直接的な原因の一つである。
【0006】
従来、コラーゲンの皮膚しわ改善と保湿効果から化粧品にコラーゲンを配合した製品が発売されていたが、コラーゲンを皮膚の表面に塗布するだけでは、高分子であるコラーゲンが経皮吸収されにくく、優れた効能を期待しにくかった。また、ヒアルロン酸についても、大きい分子量のため皮膚に吸収されにくく、皮膚細胞内のヒアルロン酸の合成を増加させる方法が必要である。人体内のヒアルロン酸の生成を増加させることができる方法に関する研究が盛んに進んでいるが、括目すべき研究結果は未だに知られていない実情である。
【0007】
なお、皮膚の弾力増進及びしわ改善のための既存の化粧料成分としては、レチノール、アデノシンまたはクロレラ抽出物などが知られている。レチノールは、コラーゲン合成を促進し、エラスターゼ酵素を阻害する物質であるが、不安定であり、皮膚への適用時、刺激、発疹などの安全性の問題で使用量に制限がある。クロレラ抽出物などは保湿効果が微々たるものであり、実質的に皮膚弾力増進及びしわ改善効果を期待しにくいと知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、皮膚改善効果、望ましくは、皮膚しわ改善、皮膚弾力改善または皮膚保湿効果が優秀な化粧料組成物及び医薬部外品組成物を提供することにある。
【0009】
また、本発明は、特定の植物抽出物を含む組成物の皮膚改善用途、望ましくは、皮膚しわ改善、皮膚弾力増進または皮膚保湿用途を提供することを他の課題とする。
【0010】
また、本発明は、特定の植物抽出物を含む組成物を個体の皮膚に塗布する段階を含む皮膚改善方法を提供することをさらに他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の発明者らが鋭意研究した結果、地黄、香附子、陳皮及び紫蘇葉の抽出物を含む組成物が皮膚改善効果に優れることを見出した。具体的には、本発明の発明者らは、前記地黄、香附子、陳皮及び紫蘇葉の抽出物の組合せが皮膚内コラーゲン及びヒアルロン酸の合成を相乗的に向上させ、皮膚しわ改善、皮膚弾力改善または皮膚保湿効果が優秀であることを確認した。
【0012】
本発明は、地黄(Rehmannia glutinosa)、香附子(Cyperus rotundus)、陳皮(Citrus unshiu)及び紫蘇葉(Perilla frutescens)の抽出物を含む皮膚改善用の化粧料組成物を提供する。前記組成物は、地黄、香附子、陳皮及び紫蘇葉の抽出物の組合せを含むことで皮膚改善効果が著しく優秀であり、望ましくは、皮膚しわ改善、皮膚弾力改善または皮膚保湿に相乗効果を示す。
【0013】
本発明の一面で、前記地黄(Rehmannia glutinosa)は、双子葉植物であり、ゴマノハグサ科の多年生植物である。漢方においては、地黄の根の生ものを生地黄、乾燥したものを乾地黄、蒸して干したものを熟地黄と言う。地黄は、煩燥、乾き、骨蒸、消渇、吐血または鼻血の治療に使用され、熱による皮膚発疹にも治療効果があると知られている。地黄の薬理作用としては、血糖降下、強心、利尿、肝機能保護または抗菌作用が報告されている。
【0014】
本発明の一面で、前記香附子(Cyperus rotundus)は、カヤツリグサ科(Cyperaceae)に属する多年生植物である。香附子は、無月経、不規則な月頃または骨盤痛症のような多様な婦人科疾患、ストレス性胃腸疾患、晩成腸炎または胆嚢炎などの治療に活用される。
【0015】
本発明の一面で、前記陳皮は、ウンシュウミカン(Citrus unshiu)の果皮を意味する。陳皮は薬剤として用いられ、消化機能増加、痰抑制、食欲不振または動脈硬化などの症状を治療するのに使用される。
【0016】
本発明の一面で、前記紫蘇葉(Perilla frutescens)は、シソ(Perilla frutescens Britton var.acuta Kudo)又はチリメンジソ(Perilla frutescens Britton var.crispa Decaisne)[シソ科(Labiatae)]の葉及び枝先である。紫蘇葉の薬理作用としては発汗、鎮咳、健胃、利尿または鎮定に効果があり、鎮痛剤としても使用される。
【0017】
本発明の一面で、前記地黄抽出物は地黄の根抽出物であり、前記香附子抽出物は香附子の根抽出物であり、前記陳皮抽出物はウンシュウミカンの果皮抽出物であり、紫蘇葉抽出物は紫蘇葉の葉抽出物であり得る。前記抽出物には、各々の植物についての説明において特定された部位以外にも、その葉、幹、樹皮、根、花または花芽、果実、種子、樹液または植物全体などが含まれ得る。
【0018】
本発明の一面で、前記抽出物は、抽出処理によって得られる抽出液、前記抽出液の希釈液や濃縮液、前記抽出液を乾燥して得られる乾燥物、前記抽出液の粗精製物や精製物、またはこれらの混合物など、抽出液そのもの及び抽出液を用いて形成可能な全ての剤形の抽出物を含み得る。
【0019】
本発明の一面で、前記抽出物を製造するために、通常の技術者は当業界における公知の任意の適切な方法を用い得る。例えば、溶媒抽出法を用い得る。前記溶媒抽出法は、植物全体または任意の部分を粉砕した後(例えば、ブレンダー)、抽出溶媒を処理して溶媒抽出物を得ることができる。粉砕前に乾燥過程(例えば、40~70℃で15~50時間乾燥)を経た後、粉砕してもよい。また、溶媒抽出物は、減圧蒸留及び凍結乾燥または噴霧乾燥などのような追加的な過程によって粉末状態に製造され得る。
【0020】
前記使用される抽出溶媒の種類は特に制限されず、当該技術分野における公知の任意の溶媒を用いることができる。前記抽出溶媒の非制限的な例には、水;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのC1~C4の低級アルコール;グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール;及びメチルアセテート、エチルアセテート、アセトン、ベンゼン、ヘキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタンなどの炭化水素系溶媒;またはこれらの混合物などが挙げられ、望ましくは、水、低級アルコールを単独でまたは二種以上を混合して使用し得る。前記溶媒を使用して一回以上抽出して溶媒抽出物を製造することができ、前記溶媒抽出物を減圧蒸留した後に凍結乾燥または噴霧乾燥して得た乾燥抽出物を製造することもできる。前記抽出溶媒の量は、使用される抽出溶媒の種類によって多様に使用可能である。例えば、対象植物の乾燥重量に対して1~200倍、または5~100倍を使用し得る。
【0021】
この他にも、当業界における公知の多様な抽出工程、例えば、温浸(maceration)、インフュージョン(infusion)、パーコレーション(percolation)、消化、湯煎(decoction)、高温連続抽出(hot continuous extraction)、水性-アルコール性抽出、逆流抽出、マイクロ波補助抽出、超音波抽出、初臨界流体抽出または組織片抽出(phytonic extract)(例えば、ハイドロフルオロカーボン溶媒)などを選択して使用可能であり、これらは単独でまたは二種以上の方法を併用して行い得る。
【0022】
また、本発明は、前記地黄、香附子、陳皮及び紫蘇葉の抽出物に、枸杞子(Lycium chinense)、山茱萸(Cornus officinalis)、マグワ(Morus alba)、大棗(Ziziphus jujuba)、桔梗(Platycodon grandiflorus)及び甘草(Glycyrrhiza glabra)抽出物からなる群より選択されたいずれか一つ以上の抽出物を含む皮膚改善用の化粧料組成物を提供する。前記抽出物がさらに含まれた皮膚改善用の化粧料組成物は、前記皮膚改善効果、望ましくは、皮膚しわ改善、皮膚弾力改善または皮膚保湿効果を相乗的に向上させることができる。
【0023】
本発明の一面で、前記枸杞子(Lycium chinense)は、ナス科に属する落葉低木である枸杞の果実を意味する。枸杞子は、ベタイン(betaine)、コリン(choline)、フィサリエン(physalien)、ルチン(rutin)及びゼアキサンチン(zeaxanthin)などの多様な機能性成分を含んでおり、抗酸化、抗菌、抗癌、免疫増進、肝機能改善または血中コレステロール低下などの多様な生理活性を示すと知られている。
【0024】
本発明の一面で、前記山茱萸(Cornus officinalis)は、層層木科の落葉喬木であり、山茱萸の果実を意味する。山茱萸果実は、肝硬化改善、利尿作用、坑癌、血圧降下または抗菌作用などがあることが報告された。
【0025】
本発明の一面で、前記マグワ(Morus alba)は、クワ科(Moraceae)に属し、マグワの根皮である桑白皮が薬用として主に使用される。桑白皮は、解熱、抗痙攣、抗アレルギー、抗糖尿、抗炎症、肝保護、毛髪成長効果、利尿促進または神経性炎症反応抑制などの効果があると知られている。
【0026】
本発明の一面で、前記大棗(Ziziphus jujuba)は、ナツメの果実を意味する。大棗は、血液循環を円滑にし、神経を安定させる効能があり、漢方においては、消化剤、鎮痛剤、解熱剤または利尿剤などとして使用される。
【0027】
本発明の一面で、前記桔梗(Platycodon grandiflorus)は、キキョウ科キキョウ属(Platycodon)に属する多年生植物である。桔梗の根は、サポニンが多量含有されていることから生薬として使用され、漢方において神経痛または扁桃腺炎などの薬剤として使用される。また、桔梗は、除胆、鎮咳、陣痛、鎮定または解熱作用などがあり、コレステロールを低下させて血管系疾患及び高血圧にも効果がある。また、桔梗は、風邪または喘息のような呼吸器疾患にも卓越な効能を見せる。
【0028】
本発明の一面で、前記甘草(Glycyrrhiza glabra)は、豆科の多年生草本植物であり、甘草根抽出物には、グリチルリチン(Glycyrrhizin)、サポニン(saponin)及びアスパラギン(asparagine)などが含有されている。甘草抽出物は、皮膚に対して、細胞再生、鎮定作用、抗炎症、抗酸化または美白などの効果を奏することが知られている。また、前記甘草は、Glycyrrhiza glabra種の他に、Glycyrrhiza uralensis種も使用可能であり、これらの抽出物は、成分組成が互いに似ており、類似の効能を期待し得る。
【0029】
本発明の一面で、前記枸杞子抽出物は枸杞の果実抽出物であり、前記山茱萸抽出物は山茱萸の果実抽出物であり、前記マグワ抽出物はマグワの根皮(桑白皮)抽出物であり、前記大棗抽出物はナツメの果実抽出物であり、前記桔梗抽出物は桔梗の根抽出物であり、前記甘草抽出物は甘草の根抽出物であり得る。前記抽出物には、各々の植物についての説明において特定された部位の他にも、その葉、幹、樹皮、根、花または花芽、果実、種子、樹液または植物全体などが含まれ得る。前記抽出物も、前記地黄、香附子、陳皮及び紫蘇葉の抽出物に関して前記説明された抽出方法によって抽出され得る。
【0030】
本発明の一面で、前記皮膚改善用の化粧料組成物に含まれる前記抽出物は、組成物の総重量に対して0.01~10重量%、望ましくは0.05~5重量%、より望ましくは0.1~3重量%含まれ得る。前記抽出物の含量が組成物の総重量に対して0.01~10重量%である場合、皮膚しわ改善、皮膚弾力増進または皮膚保湿効果が遥かに優秀である。
【0031】
本発明の一面で、前記皮膚改善用の化粧料組成物は、皮膚しわ改善用、皮膚弾力増進用、皮膚保湿用、皮膚老化防止用、皮膚コラーゲン合成促進用またはヒアルロン酸合成促進用などに使用され得る。
【0032】
本発明の一面で、前記「皮膚しわ改善」とは、皮膚にしわが生成されることを予防、抑制または阻害するか、或いは既に生成されたしわを緩和させることを意味する。前記「皮膚弾力増進」とは、皮膚のたるみや、たるみの程度を緩和させることを意味する。また、前記「皮膚弾力」とは、エラスチンとコラーゲンが充分存在する状態で皮膚の弾力性を維持させることを意味する。また、前記「皮膚保湿」とは、皮膚に水分感を増加させ、しっとりした状態を維持させることを意味する。皮膚保湿効果は、皮膚のしわ改善及び弾力増加に助けになり得る。
【0033】
本発明の一面で、前記皮膚改善用の化粧料組成物は、通常の乳化剤形及び可溶化剤形の形態に製造されたものであり得る。例えば、前記化粧料組成物の剤形は、柔軟化粧水または栄養化粧水などのような化粧水、フェイシャルローション、ボディーローションなどのような乳液、栄養クリーム、水分クリーム、アイクリーム、マッサージクリームなどのようなクリーム、エッセンス、セラム、化粧軟膏、スプレー、オイルゲル、ゲル、パック、サンスクリーン、メークアップベース、液体タイプ、固体タイプまたはスプレータイプなどのファウンデーション、パウダー、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングオイルのようなメークアップ除去剤、またはクレンジングフォーム、せっけん、ボディウォッシュなどのような洗浄剤などの剤形であり得るが、これらに制限されず、当業界における公知の多様な形態に剤形化され得る。
【0034】
また、本発明は、前記抽出物を含む皮膚改善用の医薬部外品組成物または皮膚外用剤組成物を提供する。
【0035】
本発明の一面で、前記皮膚改善用の化粧料組成物、医薬部外品組成物または皮膚外用剤組成物には、当業界で通常使用される芳香剤、染料、エマルジョン化剤、安定化剤、滑剤、溶媒、保湿剤、軟化剤、湿潤剤、被膜形成剤、UV吸収剤、エッセンシャルオイル、ビタミン、微量の金属、抗刺激剤(例えば、ステロイド及び非ステロイド性抗炎症剤)、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、保存剤、pH調節剤、皮膚コンディショニング剤(例えば、アロエ抽出物、アラントイン、ビサボロール、セラマイド、ジメチコン、ヒアルロン酸及びグリチルリチン酸ジカリウム)、増粘剤またはシリコン化合物などが含まれ得る。
【0036】
また、本発明は、地黄、香附子、陳皮及び紫蘇葉の抽出物を含む組成物の皮膚改善用途、望ましくは、皮膚しわ改善、皮膚弾力増進または皮膚保湿用途を提供する。前記皮膚改善用途において、前記組成物は、枸杞子、山茱萸、マグワ、大棗、桔梗及び甘草の抽出物からなる群より選択されたいずれか一つ以上の抽出物をさらに含み得る。前記組成物の皮膚改善用途は、前記抽出物間の相乗効果によって皮膚改善効果、望ましくは、皮膚しわ改善、皮膚弾力改善または皮膚保湿効果を顕著に向上させることができる。
【0037】
また、本発明は、地黄、香附子、陳皮及び紫蘇葉の抽出物を含む組成物を個体の皮膚に塗布する段階を含む皮膚改善方法を提供する。前記皮膚改善方法において、前記組成物は、枸杞子、山茱萸、マグワ、大棗、桔梗及び甘草の抽出物からなる群より選択されたいずれか一つ以上の抽出物をさらに含み得る。前記皮膚改善方法は、前記抽出物間の相乗効果によって皮膚改善効果、望ましくは、皮膚しわ改善、皮膚弾力改善または皮膚保湿効果を顕著に向上させることができる。
【0038】
本発明に記載された全ての成分は、望ましくは、韓国、中国、アメリカ、ヨーロッパ、日本などの関連法規、規範(例えば、化粧品安全基準などに関する規定(韓国)または化粧品安全技術規範(中国))などで規定した最大使用値を超過しない。望ましくは、本発明による化粧料、医薬部外品組成物または皮膚外用剤組成物は、各国の関連法規、規範で許容する含量の限度で本発明による成分を含む。
【発明の効果】
【0039】
本発明の皮膚改善用の化粧料組成物は、地黄、香附子、陳皮及び紫蘇葉の抽出物間の相乗効果によって、皮膚改善効果、望ましくは、皮膚しわ改善、皮膚弾力増進または皮膚保湿効果が遥かに優秀である。
【0040】
また、本発明の皮膚改善用の化粧料組成物は、前記四つの抽出物に加え、枸杞子、山茱萸、マグワ、大棗、桔梗及び甘草の抽出物からなる群より選択されたいずれか一つ以上の抽出物をさらに含むことで、前記皮膚改善効果をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の理解を助けるために実施例などを挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は他の多様な形態に変更可能であり、本発明の範囲が下記の実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、本発明が属する分野における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例0042】
実施例及び比較例の製造
(1)単一植物抽出物の製造(比較例1~10)
乾燥した地黄の根(Rehmannia Glutinosa Root,#1)、香附子の根(Cyperus Rotundus Root,#2)、陳皮(Citrus Unshiu Peel,#3)、紫蘇葉の葉(Perilla Frutescens Leaf,#4)、 枸杞子果実(Lycium Chinense Fruit,#5)、山茱萸果実(Cornus Officinalis Fruit,#6)、桑白皮(Morus Alba Bark,#7)、大棗果実(Ziziphus Jujuba Fruit,#8)、桔梗の根(Platycodon Grandiflorus Root,#9)または甘草の根(Glycyrrhiza Glabra Root,#10)の各20gを50%(w/w%)のブチレングリコール800gに混合して25℃で3日間撹拌して抽出した。その後、0.45μmのメンブレインフィルターで濾過した前記#1~#10の抽出液を各々比較例1~10に設定した。
【0043】
(2)複合植物抽出物の製造
前記#1~#10の抽出物を用いて、下記の表1に示した組成の混合溶液を製造した。これらを比較例11、12及び実施例1、2に設定した。
【0044】
【表1】
【0045】
実験例1:コラーゲン合成効能による皮膚しわ及び弾力強化効果
HS68細胞(ヒト来由線維芽細胞)を24-ウェルプレート(well plate)に1.5×10個/wellの濃度で分注した後、DMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium;ダルベッコ変法イーグル培地)とFBS(Fetal Bovine Serum;ウシ胎仔血清)を混合したものを基本培地にして24時間培養した。培地を除去した後、PBS(Phosphate Buffer Saline;リン酸緩衝食塩水)で洗浄し、前記比較例1~12及び実施例1、2の抽出物をserum-freeのDMEMに0.1%濃度になるように混合し、さらに1時間処理した。続いて、処理済みのDMEMに濃度が1μMになるようにコルチゾール処理をさらに行った。
【0046】
未処理群は50%ブチレングリコールを使用し、陽性対照群は1μMのGRi(glucocorticoid receptor inhibitor)を使用した。48時間培養後に上澄み液を取り、生成されたprocollagen type 1 α1の含量をHuman Pro-collagen I Alpha 1 ELISA kit(R&D Systems、MN、USA)を用いて製造メーカーによって提供される方法によって測定した。コルチゾールを処理した後にコラーゲン合成量が減少するが、以後に各々の抽出物を処理してコラーゲン合成効能が回復するかを評価した。コルチゾールを処理した対照群を基準値(100%)に設定した。各処理群に対する測定結果を下記の表2及び表3にコルチゾール処理対照群に対するProcollagen type 1 α1合成量の百分率(%)で表した(n=3)。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
ストレス状況を模写したコルチゾール処理群においては、コラーゲン合成量が25.5ng/mLから22.4ng/mLに約12%減少した。一方、実施例1または2を処理した場合、コラーゲン合成量の減少が相殺され、かえってコラーゲン合成量が各々35.5ng/mL(158.4%)及び40.0ng/mL(178.6%)に大幅に増加した。前記実施例及び比較例において抽出物の総含量は同一であることにもかわらず、実施例1または2のコラーゲン合成量の増加が比較例1~12よりも顕著に高いことから、実施例1または2に含まれた抽出物間の相乗効果が発生したことが分かる。
【0050】
実験例2:ヒアルロン酸合成効能による皮膚保湿改善効果
HaCaT細胞(ヒト来由角質形成細胞)を24-ウェルプレートに1.5×10個/wellの濃度で分注した後、DMEMとFBSを混合したものを基本培地にして24時間培養した。培地を除去した後、PBSで洗浄し、前記比較例1~12及び実施例1、2の抽出物をserum-freeのDMEMに0.1%濃度になるように混合し、さらに1時間処理した。続いて、処理したDMEMに濃度が1μMになるようにコルチゾール処理をさらに行った。未処理群は、50%ブチレングリコールを使用し、陽性対照群は1μM GRiを使用した。48時間培養後に上澄み液を取り、生成されたヒアルロン酸(HA)の含量をHyaluronan DuoSet ELISA kit(R&D Systems、MN、USA)を用いて製造メーカーによって提供される方法によって測定した。コルチゾール処理後にヒアルロン酸の合成量が減少するが、以後に各々の抽出物を処理してヒアルロン酸の合成効能が回復するかを評価した。コルチゾールを処理した対照群を基準値(100%)に設定した。各処理群に対する測定結果を下記の表4及び表5にコルチゾール処理対照群に対するヒアルロン酸生成量の百分率(%)で表した(n=3)。
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
ストレス状況を模写したコルチゾール処理群では、ヒアルロン酸の合成量が154.6ng/mLから85.3ng/mLに急減した(約44.8%減少)。一方、実施例1または2を処理した場合、ヒアルロン酸合成量の減少が相殺され、かえってヒアルロン酸の合成量が各々、113.5ng/mL(133.1%)、110.6ng/mL(129.7%)に大幅に増加した。前記実施例及び比較例において抽出物の総含量は同一であることにもかかわらず、実施例1または2のヒアルロン酸合成量の増加が比較例1~12よりも顕著に高いことから、実施例1または2に含まれた抽出物間の相乗効果が発生したことが分かる。
【0054】
製造例:化粧料組成物
通常の方法で表6に記載の組成に従って化粧料組成物を製造した。
【0055】
【表6】
【外国語明細書】