(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110936
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】割卵検査装置、割卵検査方法および割卵検査装置を備える割卵機
(51)【国際特許分類】
G01N 21/85 20060101AFI20240808BHJP
A23J 1/08 20060101ALI20240808BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240808BHJP
G06V 10/82 20220101ALI20240808BHJP
【FI】
G01N21/85 Z
A23J1/08 A
G06T7/00 350B
G06V10/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024008488
(22)【出願日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2023014963
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000162238
【氏名又は名称】共和機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】安藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】影山 卓男
【テーマコード(参考)】
2G051
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB20
2G051BA05
2G051BA08
2G051BA20
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051EB05
5L096BA03
5L096CA02
5L096DA02
5L096GA34
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】割卵した液卵の正常または不良を推定器で精度よく判定できる割卵検査装置を提供する。
【解決手段】第一の割卵検査装置1は、検査対象の画像を血卵推定器に入力し、血卵推定結果を出力する第一推定部131と、検査対象の画像を卵黄混入推定器に入力し、卵黄混入推定結果を出力する第二推定部13)と、検査対象の画像を殻混入推定器に入力し、殻混入推定結果を出力する第三推定部133と、検査対象の画像を腐敗卵推定器に入力し、腐敗卵推定結果を出力する第四推定部134と、検査対象の画像を空カップ推定器に入力し、空カップ推定結果を出力する第五推定部135と、検査対象の画像を菌混入推定器に入力し、菌混入推定結果を出力する第六推定部136とのうち2種以上を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の画像を血卵推定器に入力し、血卵推定結果を出力する第一推定部と、
検査対象の画像を卵黄混入推定器に入力し、卵黄混入推定結果を出力する第二推定部と、
検査対象の画像を殻混入推定器に入力し、殻混入推定結果を出力する第三推定部と、
検査対象の画像を腐敗卵推定器に入力し、腐敗卵推定結果を出力する第四推定部と、
検査対象の画像を空カップ推定器に入力し、空カップ推定結果を出力する第五推定部と、
検査対象の画像を菌混入推定器に入力し、菌混入推定結果を出力する第六推定部と、
のうち、2種以上を備える、
割卵検査装置。
【請求項2】
第一光源が照射された液卵受容部を撮像した第一画像を入力データとして、第一不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第一液卵不良推定学習モデルに入力し、推定結果を出力する第一液卵不良推定部と、
前記第一光源と異なる第二光源で照射された液卵受容部を撮像した第二画像を入力データとして、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第二液卵不良推定学習モデルに入力し、推定結果を出力する第二液卵不良推定部を備える、
割卵検査装置。
【請求項3】
第一光源および第二光源が同時に照射された液卵受容部を撮像した第三画像を入力データとして、第一、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第三液卵不良推定学習モデルに入力し、推定結果を出力する第三液卵不良推定部を備える、
割卵検査装置。
【請求項4】
割卵検査方法であって、
情報処理装置または1つ以上のプロセッサーによって実行され、
検査対象の画像を血卵推定器に入力し、血卵推定結果を出力する第一推定ステップと、
検査対象の画像を卵黄混入推定器に入力し、卵黄混入推定結果を出力する第二推定ステップと、
検査対象の画像を殻混入推定器に入力し、殻混入推定結果を出力する第三推定ステップと、
検査対象の画像を腐敗卵推定器に入力し、腐敗卵推定結果を出力する第四推定ステップと、
検査対象の画像を空カップ推定器に入力し、空カップ推定結果を出力する第五推定ステップと、
検査対象の画像を菌混入推定器に入力し、菌混入推定結果を出力する第六推定ステップと、
のうち、2種以上を含む、
割卵検査方法。
【請求項5】
割卵検査方法であって、
情報処理装置または1つ以上のプロセッサーによって実行され、
第一光源が照射された液卵受容部を撮像した第一画像を入力データとして、第一不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第一液卵不良推定学習モデルに入力し、推定結果を出力する第一液卵不良推定ステップ、および/または、
前記第一光源と異なる第二光源で照射された液卵受容部を撮像した第二画像を入力データとして、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第二液卵不良推定学習モデルに入力し、推定結果を出力する第二液卵不良推定ステップ部を含む、
割卵検査方法。
【請求項6】
割卵検査方法であって、
情報処理装置または1つ以上のプロセッサーによって実行され、
第一光源および第二光源が同時に照射された液卵受容部を撮像した第三画像を入力データとして、第一、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第三液卵不良推定学習モデルに入力し、推定結果を出力する第三液卵不良推定ステップを含む、
割卵検査方法。
【請求項7】
割卵検査プログラムであって、
情報処理装置または1つ以上のプロセッサーに、請求項4から6のいずれか一項の割卵検査方法のステップを実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項に記載の割卵検査装置を備える割卵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割卵検査装置、割卵検査方法および割卵検査装置を備える割卵機に関する。
【背景技術】
【0002】
割卵機は、複数のクラッカーおよびセパレートカップと、複数のクラッカーおよびセパレートカップとを平面視で周回するチェーン搬送部と、卵黄受容部と、卵白受容部と、卵殻受容部、チェーン搬送部の駆動部とを備える。クラッカーおよびセパレートカップ、チェーン搬送部は、むき出しに設けられている。割卵機は、定期的に洗浄を行う必要がある。一般的には、高圧スプレー洗浄、泡洗浄、エア乾燥を行う。
特許文献1は、液卵受容器が取り付けられた割卵機を開示している。特許文献2は、割卵機の駆動装置および割卵機構(クラッカーおよびセパレートカップ)を開示している。
【0003】
割卵機で、卵を割ったあとのカップ内の液卵について目視検査が行われている。目視検査では、例えば、血卵、みだれ卵、細菌混入卵、腐敗卵等の不良液卵を判定し、不良液卵は正常液卵と混合されないように排出される。細菌混入卵または腐敗卵の場合は、カップの洗浄を行う必要があり、割卵機を停止させる必要もあり、細菌混入卵等を精度よく判定することが求められる。
特許文献3、4は、割卵後のカップ内の液卵をカラーカメラで撮像し、画像処理によって正常液卵と不良液卵を判定することを開示している。
特許文献5は、割卵機において割卵できなかった異常(未割卵)と、卵黄膜が破れた卵(損傷卵)、カップに入らなった異常(落下卵)をカメラで検出し、上記の異常発生を判定しオペレータへ異常に関する警報を行うことが記載されている。
特許文献6は、乱れ卵(卵白と卵黄を完全に分離できず卵白内に卵黄が部分的に混入している状態)を検出するために、紫外線照射し、卵黄が発する蛍光を検出し、卵黄の混入を判定することが記載されている。
特許文献7は、乱れ卵を検出するために、直線偏光光を照射し、卵黄の吸収波長を除く可視光波長域の反射光を検出し、卵黄の混入を判定することが記載されている。
特許文献8は、腐敗卵(細菌が混入している卵)を検出するために、紫外線照射して得られる蛍光光線を検出し、細菌を判定することが記載されている。
特許文献9は、学習モデルを利用した卵分類装置および卵分類システムを開示している。卵殻の表面汚れやサイズ異常についての分類であり、割卵したあとの液卵の不良を高速検査することには言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6636270号公報
【特許文献2】特許第2995523号公報
【特許文献3】特開平7-229841号公報
【特許文献4】特開平8-334468号公報
【特許文献5】特表2009-527231号公報
【特許文献6】特昭60-66942号公報
【特許文献7】特昭61-111442号公報
【特許文献8】特昭58-92933号公報
【特許文献9】特開2020-148621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、割卵した液卵の正常または不良を推定器で精度よく判定できる割卵検査装置および割卵検査方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、割卵検査装置を備える割卵機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の割卵検査装置(1)は、
検査対象の画像を血卵推定器に入力し、血卵推定結果を出力する第一推定部(131)と、
検査対象の画像を卵黄混入推定器に入力し、卵黄混入推定結果を出力する第二推定部(132)と、
検査対象の画像を殻混入推定器に入力し、殻混入推定結果を出力する第三推定部(133)と、
検査対象の画像を腐敗卵推定器に入力し、腐敗卵推定結果を出力する第四推定部(134)と、
検査対象の画像を空カップ推定器に入力し、空カップ推定結果を出力する第五推定部(135)と、
検査対象の画像を菌混入推定器に入力し、菌混入推定結果を出力する第六推定部(136)と、
のうち、2種以上、好ましくは3種以上、より好ましくは4種以上を備える。
第一の割卵検査装置(1)は、検査対象の画像を正常卵推定器に入力し、正常卵推定結果を出力する第七推定部を備えていてもよい。
各推定部で不良状態であると推定されなかった場合には、推定結果は正常卵となる。
【0007】
「検査対象の画像」は、割卵機で割卵し液卵受容部に収容されている液卵の画像であり、卵黄および卵白を含む画像、卵黄と卵白とが分離された後の卵白画像を、中身無し卵(殻のみ卵)の場合に液卵がない画像も含まれる。
「検査対象の画像」は、第一光源および/または第二光源が照射された液卵受容部(1つ、2つ以上でもよい。)を撮像した画像であってもよい。
「液卵受容部」は、例えば、割卵機で卵黄と卵白が分離処理された卵白カップの領域、割卵機で卵黄と卵白が分離処理された卵黄受容部の領域、割卵機で卵白と卵黄が共に収容される全液卵カップの領域などが挙げられる。
【0008】
血卵推定器は、画像処理部と画像解析部で構成され、液卵(例えば、卵白)中の血の混入を検出する構成であってもよく、不良と判定される液卵(例えば、卵白)中の血をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された血卵推定学習モデル(111)であってもよく、その両方を備えていてもよい。血卵推定器は、画像処理部と画像解析部で構成される処理部と、血卵推定学習モデルとの両方の結果あるいはいずれか一方の結果に基づいて血卵不良か否かを判定してもよい。判定において、各結果に重みづけをしてもよく、しなくてもよい。卵の生産場所、季節性、生産ロットなどで重みづけを変更したり、両方の結果のうち一方を重視したりするなどの方法を採用してもよい。
卵黄混入推定器は、画像処理部と画像解析部で構成され、液卵(例えば、卵白)中の卵黄混入(みだれ卵)を検出する構成であってもよく、不良と判定される液卵(例えば、卵白)中の卵黄をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された卵黄混入推定学習モデル(112)であってもよく、その両方を備えていてもよい。卵黄混入推定器は、画像処理部と画像解析部で構成される処理部と、卵黄混入推定学習モデルとの両方の結果あるいはいずれか一方の結果に基づいて卵黄混入不良か否かを判定してもよい。判定において、各結果に重みづけをしてもよく、しなくてもよい。卵の生産場所、季節性、生産ロットなどで重みづけを変更したり、両方の結果のうち一方を重視したりするなどの方法を採用してもよい。
殻混入推定器は、画像処理部と画像解析部で構成され、液卵(例えば、卵白)中の殻混入を検出する構成であってもよく、不良と判定される液卵(例えば、卵白)中の殻(卵殻)をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された殻混入推定学習モデル(113)であってもよく、その両方を備えていてもよい。殻混入推定器は、画像処理部と画像解析部で構成される処理部と、殻混入推定学習モデルとの両方の結果あるいはいずれか一方の結果に基づいて殻混入不良か否かを判定してもよい。判定において、各結果に重みづけをしてもよく、しなくてもよい。卵の生産場所、季節性、生産ロットなどで重みづけを変更したり、両方の結果のうち一方を重視したりするなどの方法を採用してもよい。
腐敗卵推定器は、画像処理部と画像解析部で構成され、液卵(例えば、卵白)中の腐敗物(腐敗色)を検出する構成であってもよく、不良と判定される液卵(例えば、卵白)中の腐敗物(腐敗色)をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された腐敗卵推定学習モデル(114)であってもよく、その両方を備えていてもよい。腐敗卵推定器は、画像処理部と画像解析部で構成される処理部と、腐敗卵推定学習モデルとの両方の結果あるいはいずれか一方の結果に基づいて腐敗卵不良か否かを判定してもよい。判定において、各結果に重みづけをしてもよく、しなくてもよい。卵の生産場所、季節性、生産ロットなどで重みづけを変更したり、両方の結果のうち一方を重視したりするなどの方法を採用してもよい。
空カップ推定器は、画像処理部と画像解析部で構成され、液卵受容部に液卵が存在していないことを検出する構成であってもよく、液卵のない液卵受容部をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された空カップ推定学習モデル(115)であってもよく、その両方を備えていてもよい。空カップ推定器は、画像処理部と画像解析部で構成される処理部と、空カップ推定学習モデルとの両方の結果あるいはいずれか一方の結果に基づいて空カップ不良か否かを判定してもよい。判定において、各結果に重みづけをしてもよく、しなくてもよい。卵の生産場所、季節性、生産ロットなどで重みづけを変更したり、両方の結果のうち一方を重視したりするなどの方法を採用してもよい。
菌混入推定器は、画像処理部と画像解析部で構成され、液卵(例えば、卵白)中の菌混入を検出する構成であってもよく、不良と判定される液卵(例えば、卵白)中の菌(例えば、シュードモナスなどの菌による発色)をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された菌混入推定学習モデル(116)であってもよく、その両方を備えていてもよい。菌混入推定器は、画像処理部と画像解析部で構成される処理部と、菌混入推定学習モデルとの両方の結果あるいはいずれか一方の結果に基づいて菌混入不良か否かを判定してもよい。判定において、各結果に重みづけをしてもよく、しなくてもよい。卵の生産場所、季節性、生産ロットなどで重みづけを変更したり、両方の結果のうち一方を重視したりするなどの方法を採用してもよい。
正常卵推定器は、画像処理部と画像解析部で構成され、液卵(例えば、卵白)が正常か否かを検出する構成であってもよく、正常と判定される液卵(例えば、卵白)をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された正常卵推定学習モデル(117)であってもよく、その両方を備えていてもよい。正常卵推定器は、画像処理部と画像解析部で構成される処理部と、正常卵推定学習モデルとの両方の結果あるいはいずれか一方の結果に基づいて正常卵か否かを判定してもよい。判定において、各結果に重みづけをしてもよく、しなくてもよい。卵の生産場所、季節性、生産ロットなどで重みづけを変更したり、両方の結果のうち一方を重視したりするなどの方法を採用してもよい。
「教師データ(訓練データ)」は、上記「検査対象の画像」と同様の仕様であってもよい。
【0009】
各推定学習モデルは、検出レベル(例えば、不良箇所の領域サイズの違いによる検出レベルの設定、色の違いによる検出レベルの設定)に応じて、2以上の推定学習モデルが含まれていてもよい。例えば、領域サイズの2以上の段階に分類されたラベリングをして教師データとして推定学習モデルを生成し、領域サイズに応じた高精度の判定を行ってもよい。また、検出したいレベルに応じて、推定学習モデルを切り替えて判定してもよい。また、複数の推定学習モデルの判定結果の多数の方に基づいて最終判定をしてもよい。
【0010】
前記第一の割卵検査装置(1)は、
各推定学習モデルを記憶する記憶部(10)を備えていてもよい。
前記第一の割卵検査装置(1)は、
各推定モデルを外部装置から取得する取得部を備えていてもよい。
前記第一の割卵検査装置(1)は、
前記第一光源(50)および第二光源(51)が同時にあるいは別々に照射された液卵受容部(504)を撮像する撮像装置(52)から画像を直接または外部装置を介して受信する受信部(通信装置41)を備えていてもよい。
【0011】
前記第一の割卵検査装置(1)は、
各推定部で推定された判定結果として、不良であることを示す印を、検査対象の画像に重ねて表示装置に表示する表示制御部を備えていてもよい。各推定部の判定結果における不良であることを示すマークは、不良の種類に応じて異なるマークであってもよい。マークは、例えば、色付きの枠、矢印、不良領域の色を他と異なる色で区別したりするなどであってもよい。
【0012】
本開示の第二の割卵検査装置(200)は、
第一光源(50)が照射された液卵受容部(504)を撮像した第一画像を入力データとして、第一不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第一液卵不良推定学習モデル(211)に入力し、推定結果を出力する第一液卵不良推定部(231)と、
前記第一光源(50)と異なる第二光源(51)で照射された液卵受容部(504)を撮像した第二画像を入力データとして、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第二液卵不良推定学習モデル(212)に入力し、推定結果を出力する第二液卵不良推定部(232)を備えていてもよい。
第一不良状態は、1種以上であってもよい。
第一液卵不良推定学習モデル(211)は、正常状態および1種以上の不良状態の種類を分類してもよい。
第二不良状態は、1種以上であってもよい。
第二液卵不良推定学習モデル(212)は、正常状態および1種以上の不良状態の種類を分類してもよい。
【0013】
本開示の第三の割卵検査装置(300)は、
第一光源(50)および第二光源(51)が同時に照射された液卵受容部(504)を撮像した第三画像を入力データとして、第一、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第三液卵不良推定学習モデル(311)に入力し、推定結果を出力する第三液卵不良推定部(331)を備えていてもよい。
第三液卵不良推定学習モデル(311)は、正常状態および1種以上の不良状態の種類を分類してもよい。
【0014】
第一、第二、第三液卵不良推定学習モデルのそれぞれは、検出レベル(例えば、不良箇所の領域サイズの違いによる検出レベルの設定、色の違いによる検出レベルの設定)に応じて、2以上の推定学習モデルが含まれていてもよい。例えば、領域サイズの2以上の段階に分類されたラベリングをして教師データとして推定学習モデルを生成し、領域サイズに応じた高精度の判定を行ってもよい。また、検出したいレベルに応じて、推定学習モデルを切り替えて判定してもよい。また、複数の推定学習モデルの判定結果の多数の方に基づいて最終判定をしてもよい。
【0015】
前記第二の割卵検査装置(200)は、
前記第一液卵不良推定学習モデル(211)を記憶する第一記憶部と、
前記第二液卵不良推定学習モデル(212)を記憶する第二記憶部と、
を備えていてもよい。第一記憶部と第二記憶部は兼用の記憶部(210)でもよく別体でもよい。
前記第二の割卵検査装置(200)は、
前記第一液卵不良推定学習モデル(211)を外部装置から取得する第一取得部と、
前記第二液卵不良推定学習モデル(212)を外部装置から取得する第二取得部と、
を備えていてもよい。第一取得部と第二取得部は兼用の取得部でもよく別体でもよい。
前記第二の割卵検査装置(200)は、
前記第一光源(50)が照射された液卵受容部(504)を撮像する第一撮像装置から前記第一画像を直接または外部装置を介して受信する第一受信部と、
前記第二光源(51)が照射された液卵受容部(504)を撮像する第二撮像装置から前記第二画像を直接または外部装置を介して受信する第二受信部と、
を備えていてもよい。第一受信部と第二受信部は兼用の受信部(通信装置41)でもよく別体でもよい。
第一撮像装置と第二撮像装置は兼用の撮像装置(52)でもよく別体でもよい。
【0016】
前記第二の割卵検査装置(200)は、
第一、第二液卵不良推定学習モデルで推定された判定結果として、不良であることを示すマークを、検査対象の画像に重ねて表示装置に表示する表示制御部を備えていてもよい。
第一、第二液卵不良推定学習モデルでの判定結果における不良であることを示すマークは、不良の種類に応じて異なるマークであってもよい。マークは、例えば、色付きの枠、矢印、不良領域の色を他と異なる色で区別したりするなどであってもよい。
【0017】
前記第三の割卵検査装置(300)は、
前記第三液卵不良推定学習モデル(311)を記憶する第三記憶部(310)を備えていてもよい。第三記憶部は兼用の記憶部(210)でもよく別体でもよい。
前記第三の割卵検査装置(300)は、
前記第三液卵不良推定学習モデル(311)を外部装置から取得する第三取得部を備えていてもよい。
前記第三の割卵検査装置(300)は、
前記第一光源(50)および第二光源(51)が同時に照射された液卵受容部(504)を撮像する撮像装置(52)から前記第三画像を直接または外部装置を介して受信する第三受信部(通信装置41)を備えていてもよい。
【0018】
各記憶部(10、210、310)は、装置に内蔵されているメモリ、外部接続されている記憶装置、クラウド上のストレージであってもよい。各記憶部は一つの記憶装置で構成されていてもよく、2以上で構成されていてもよい。
各取得部は、外部装置からデータを受信する通信手段(無線通信、有線通信のいずれでもよい)、記憶媒体からデータを読み取る読取手段であってもよい。
各受信部は、外部装置からデータを受信する通信手段(通信装置41)でもよい。
【0019】
「第一不良状態」は、卵白に血液が混入した状態(血卵)、卵白に卵黄が混入した状態(みだれ卵)、卵白が腐敗している状態(腐敗卵)、卵白に殻が混入している状態(殻混入)、卵白が卵白カップに収納されていない状態(空カップ)、全液卵カップに収納されていない状態(空カップ)、卵黄に血液が混入した状態(血卵黄)、卵黄が腐敗している状態(腐敗卵黄)、全液卵カップに殻が混入している状態(殻混入全液卵)などの1種以上が含まれていてもよい。
各種不良状態は、各学習モデル(ソフトウエアプログラム)で分類されて出力される。前記第一、第二、第三液卵不良推定学習モデル(211、212、311)は、単一または複数の学習モデルで構成されていてもよい。
「第二不良状態」は、卵白に細菌が混入している状態(細菌混入卵白)、卵黄に細菌が混入している状態(細菌混入卵黄)を少なくとも含んでいてもよい。
【0020】
「第一光源」は、例えば、380nm-780nm程度の可視光照明装置、白色光照明装置(蛍光灯、LED照明装置)、自然光、自然光LED、蛍光灯などが挙げられる。
「第二光源」は、例えば、100-400nm程度の波長の光源の紫外線照明装置(蛍光灯、LED照明装置)、長波長の紫外線(波長315-400nm、UVA、Ultraviolet A)照射のブラックライト(蛍光灯、LED照明装置)、UVB照射の蛍光灯やLED装置などが挙げられる。
第一、第二撮像装置(撮像装置52)は、例えば、可視カメラ(カラーカメラ)、CMOSセンサ撮像装置、CCDセンサ撮像装置などが挙げられる。撮像装置は、静止画あるいは動画を撮像してもよく、動画の映像を構成するフレーム画像を使用してもよい。
撮像するタイミングは以下の方法でもよい。
(1)所定の第一位置で、第一光源で照射した搬送される液卵受容部の反射光像を第一撮像装置で撮像する。第一位置と異なる第二位置で、第二光源で照射した搬送される液卵受容部の反射光像を第二撮像装置で撮像する。
(2)所定の第一位置で、第一光源で照射した搬送される液卵受容部の反射光像を第一撮像装置で撮像する。第一光源をOFFにして、第二光源をONにして、第二光源で照射した搬送される液卵受容部の反射光像を第一撮像装置(あるい第二撮像装置)で撮像する。第一光源と第二光源の切り替えを早く行うことで、同じ撮像領域内(第一位置)で画像を取得できる。
(3)所定の第一位置で、第一光源と第二光源の両方で照射した搬送される液卵受容部の反射光像を撮像装置で撮像する。
【0021】
卵を割卵する「割卵機(600)」は、手動割卵機、自動割卵機、高速自動割卵機でもよい。
「割卵機」は、卵黄と卵白を分離し卵黄カップと卵白カップに収容する形態と、卵黄と卵白を分離せず全液卵カップに収容する形態であってもよい。
【0022】
前記第一、第二、第三の割卵検査装置(1、200、300)は、それぞれ、
前記第一から第七推定部(131~137)、前記第一、第二、第三液卵不良推定部(231、232、331)のそれぞれから出力された推定結果を出力する出力部(40)を、有していてもよい。
出力部(40)は、表示装置で構成され各種データを表示する、プリンターで構成され各種データを印刷する、通信装置で構成され各種データを送信する、記憶装置として構成され各種データを記憶媒体に記憶することを含んでいてもよい。出力部(40)は、推定結果データとして、撮像した画像中の不良領域にマークを付して表示装置に表示してもよく、外部装置(携帯端末、サーバを含む)へ送信してもよい。マークは、不良の種類に対応して異なるマークであってもよい。マークは、例えば、色付きの枠、矢印、不良領域の色を他と異なる色で区別したりするなどであってもよい。
【0023】
前記第一、第二、第三の割卵検査装置(1、200、300)は、それぞれ、
前記第一から第七推定部(131~137)、前記第一、第二、第三液卵不良推定部(231、232、331)のそれぞれから出力された推定結果から、不良状態の種類に対応した対処情報を選択し、対処情報を出力する警告部(39)を有していてもよい。
【0024】
前記第一、第二、第三の割卵検査装置(1、200、300)は、それぞれ、
前記第一から第七推定部(131~137)、前記第一、第二、第三液卵不良推定部(231、232、331)のそれぞれから出力された推定結果から、正常状態の累積数、不良状態の種類とその累積数、単位時間あたりの正常の数/不良状態の数のうち2種以上を算出する統計情報算出部(35)と、
前記統計情報算出部(35)で算出された各データを蓄積する統計情報記憶部(125、225、325)と、
前記統計情報記憶部(125、225、325)で蓄積された各データを分析し、割卵機(600)および上流側の装置の異常を診断し出力する統計情報診断部(36)と、
を有していてもよい。
【0025】
前記第一、第二、第三の割卵検査装置(1、200、300)は、それぞれ、
前記第一から第七推定部(131~137)、前記第一、第二、第三液卵不良推定部(231、232、331)のそれぞれから出力された推定結果から、クラッカー・セパレートカップごとの不良状態(各種の不良状態)の発生確率を算出する不良状態発生確率算出部(37)と、
前記不良状態発生確率算出部(38)で算出された前記不良状態発生確率を蓄積する不良状態発生確率記憶部(126、226、326)と、
前記不良状態発生確率記憶部(126、226、326)で蓄積された前記不良状態発生確率を分析し、クラッカー・セパレートカップの異常を診断し出力する不良状態発生確率診断部(38)と、
を有していてもよい。
【0026】
他の開示の割卵機(600)は、
本体(611)と、
前記本体(611)の内部に設けられ、平面視で周回するチェーン搬送部(612)と、
前記チェーン搬送部(612)よりも上方に設けられ、前記チェーン搬送部(612)を駆動するチェーン駆動部(613)と、
前記チェーン搬送部(612)に着脱可能に設けられる複数のクラッカー・セパレートカップユニット(500)と、
前記クラッカー・セパレートカップユニット(500)に対し卵を載置するためのトランスファー機構部と、
上記第一、第二、第三の割卵検査装置(1、200、300)のいずれか1種以上を備える。
【0027】
(割卵検査方法)
他の本開示の第一の割卵検査方法は、情報処理装置または1つ以上のプロセッサーによって実行され、
検査対象の画像を血卵推定器に入力し、血卵推定結果を出力する第一推定ステップと、
検査対象の画像を卵黄混入推定器に入力し、卵黄混入推定結果を出力する第二推定ステップと、
検査対象の画像を殻混入推定器に入力し、殻混入推定結果を出力する第三推定ステップと、
検査対象の画像を腐敗卵推定器に入力し、腐敗卵推定結果を出力する第四推定ステップと、
検査対象の画像を空カップ推定器に入力し、空カップ推定結果を出力する第五推定ステップと、
検査対象の画像を菌混入推定器に入力し、菌混入推定結果を出力する第六推定ステップと、
のうち、2種以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上を含んでいてもよい。
第一の割卵検査方法は、検査対象の画像を正常卵推定器に入力し、正常卵推定結果を出力する第七推定ステップをさらに含んでいてもよい。
【0028】
本開示の第二の割卵検査方法は、情報処理装置または1つ以上のプロセッサーによって実行され、
第一光源が照射された液卵受容部を撮像した第一画像を入力データとして、第一不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第一液卵不良推定学習モデルに入力し、推定結果を出力する第一液卵不良推定ステップ、および/または、
前記第一光源と異なる第二光源で照射された液卵受容部を撮像した第二画像を入力データとして、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第二液卵不良推定学習モデルに入力し、推定結果を出力する第二液卵不良推定ステップ部を含んでいてもよい。
【0029】
本開示の第三の割卵検査方法は、情報処理装置または1つ以上のプロセッサーによって実行され、
第一光源および第二光源が同時に照射された液卵受容部を撮像した第三画像を入力データとして、第一、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第三液卵不良推定学習モデルに入力し、推定結果を出力する第三液卵不良推定ステップを含んでいてもよい。
【0030】
(プログラム)
本開示の第一の割卵検査プログラムは、
情報処理装置または1つ以上のプロセッサーに、上記第一の割卵検査方法のステップを実行させるためのプログラムである。
本開示の第二の割卵検査プログラムは、
情報処理装置または1つ以上のプロセッサーに、上記第二の割卵検査方法のステップを実行させるためのプログラムである。
本開示の第三の割卵検査プログラムは、
情報処理装置または1つ以上のプロセッサーに、上記第三の割卵検査方法のステップを実行させるためのプログラムである。
【0031】
(情報処理装置)
本開示の第一の情報処理装置は、
上記第一の割卵検査プログラムを記憶するメモリと、
前記メモリから前記第一の割卵検査プログラムを読み出し実行するプロセッサーとを有し、
前記プロセッサーが前記第一の割卵検査プログラムを実行することにより、
前記第一から第七推定手段のうち2種以上、好ましくは3種以上、より好ましくは4種以上を実現してもよい。
本開示の第二の情報処理装置は、
上記第二の割卵検査プログラムを記憶するメモリと、
前記メモリから前記第二の割卵検査プログラムを読み出し実行するプロセッサーとを有し、
前記プロセッサーが前記第二の割卵検査プログラムを実行することにより、
前記第一液卵不良推定手段、および/または、前記第二液卵不良推定手段とを実現する。
本開示の第三の情報処理装置は、
上記第三の割卵検査プログラムを記憶するメモリと、
前記メモリから前記第三の割卵検査プログラムを読み出し実行するプロセッサーとを有し、
前記プロセッサーが前記第三の割卵検査プログラムを実行することにより、
前記第三液卵不良推定手段を実現する。
【0032】
(記録媒体)
本開示の第一のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
情報処理装置または1つ以上のプロセッサーに、上記第一の割卵検査方法のステップを実行させるためのプログラムを記録している。
他の本開示の第二のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
情報処理装置または1つ以上のプロセッサーに、上記第二の割卵検査方法のステップを実行させるためのプログラムを記録している。
他の本開示の第三のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、
情報処理装置または1つ以上のプロセッサーに、上記第三の割卵検査方法のステップを実行させるためのプログラムを記録している。
【0033】
(教師(訓練)データ)
教師データは、卵黄受容部の卵黄が収容される領域、卵白カップの卵白が収容される領域、全液卵カップの全液卵(卵黄と卵白)が収容される領域の反射画像データに、正常か各種不良状態であるかのラベリングをした構成である。
「反射画像」は、例えば、光源を直接照射して得られる直接反射画像、光源を反射部で反射させた間接照射して得られる間接反射画像、それらの両方の反射画像、撮像装置および/または光源と液卵との間に配置される偏光フィルムを介して得られる反射画像である。
【0034】
ラベリングは、ユーザが、ユーザインターフェースを操作して教師データ作成装置で実行してもよく、液卵不良推定学習モデル作成装置で実行されてもよい。ユーザ操作によらず、教師データ作成装置または液卵不良推定学習モデル作成装置(以下、「ラベリング自動生成装置」という。)が自動で作成してもよい。
【0035】
「知的情報処理技術」は、例えば、機械学習、深層学習、強化学習、深層強化学習などが挙げられる。
機械学習、深層学習、強化学習、深層強化学習のアルゴリズムは、特に制限されず、従来のアルゴリズムを用いてもよい。教師あり学習として、例えば、線形回帰、一般化線形モデル、サポートベクター回帰、ガウス過程回帰、アンサンブル法、決定木、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、判別分析、単純ベイズ、最近傍法などの各種アルゴリズムを採用してもよい。
【0036】
(学習モデルの生成)
推定学習モデルの生成方法は、
液卵(例えば、卵白)中の血をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって血卵推定学習モデルを生成するステップと、
液卵(例えば、卵白)中の卵黄をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって卵黄混入推定学習モデルを生成するステップと、
液卵(例えば、卵白)中の殻をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって殻混入推定学習モデルを生成するステップと、
液卵(例えば、卵白)中の腐敗物(腐敗色)をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって腐敗卵推定学習モデルを生成するステップと、
液卵のない液卵受容部をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって空カップ推定学習モデルを生成するステップと、
液卵(例えば、卵白)中の菌(例えば、シュードモナスなどの菌発色)をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって菌混入推定学習モデルを生成するステップと、
正常と判定される液卵(例えば、卵白)をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって正常卵推定学習モデルを生成するステップと、
のうち2種以上、好ましくは3種以上、より好ましくは4種以上を含んでいてもよい。
学習モデルは、定期的に、農場ごと、あるいは卵の品質に合わせて、再訓練してもよい。
【0037】
(学習モデルの生成)
第一液卵不良推定学習モデルの生成方法は、
第一光源が照射された液卵受容部を撮像した第一画像を入力データとして、第一不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを作成ステップと、
前記教師データを用いて、知的情報処理技術によって、第一液卵不良推定学習モデルを生成する、モデル生成ステップと、を含んでいてもよい。
第二液卵不良推定学習モデルの生成方法は、
第一光源と異なる第二光源で照射された液卵受容部を撮像した第二画像を入力データとして、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを作成ステップと、
前記教師データを用いて、知的情報技術によって、第二液卵不良推定学習モデルを生成する、モデル生成ステップと、を含んでいてもよい。
第三液卵不良推定学習モデルの生成方法は、
第一光源および第二光源が同時に照射された液卵受容部を撮像した第三画像を入力データとして、第一、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを作成ステップと、
前記教師データを用いて、知的情報技術によって、第三液卵不良推定学習モデルを生成する、モデル生成ステップと、を含んでいてもよい。
第一不良状態は、1種以上であってもよい。
第一液卵不良推定学習モデルは、正常状態および1種以上の不良状態の種類を分類してもよい。
第二不良状態は、1種以上であってもよい。
第二液卵不良推定学習モデルは、正常状態および1種以上の不良状態の種類を分類してもよい。
第三液卵不良推定学習モデルは、正常状態および1種以上の不良状態の種類を分類してもよい。
学習モデルは、定期的に、鶏卵農場ごと、あるいは卵の品質に合わせて、再訓練してもよい。
【0038】
前記表示装置は、特に制限されず、液晶モニター、有機ELモニター、CRTモニター、スマートフォン、タブレット、汎用パソコンのモニターなどが例示される。
【0039】
各割卵検査装置は、メモリ、プロセッサー、ソフトウエアプログラムを有する情報処理装置(例えば、コンピュータ、サーバ)や、専用回路、ファームウエアなどで構成してもよい。情報処理装置は、オンプレミスまたはクラウドのいずか一方、あるいは両方の組み合わせであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】第一割卵検査装置の機能の一例を示すブロック図である。
【
図2】第二割卵検査装置の機能の一例を示すブロック図である。
【
図3】第三割卵検査装置の機能の一例を示すブロック図である。
【
図5A-5H】教師データの画像のラベリングの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(割卵機)
図4Aに割卵機600の構成の正面視図を示し、
図4Bに平面視図を示す。
割卵機600は、本体611と、本体611を支える第一から第四脚部(不図示)とを備える。また、本体611の内部に平面視で周回するチェーン搬送部612が設けられている。本実施形態では、チェーン搬送部612は、上下一対のチェーン612a、612bを有する。
チェーン搬送部612を駆動するチェーン駆動部63は、その上方に設けられる。チェーン駆動部63は、モータ631、減速機(ギヤボックス)632、第一スプロケット633、第二スプロケット635、伝達チェーン634、エンコーダ637、回転シャフト636、第三スプロケット638および第四スプロケッ639を備える。チェーン駆動部63は、限定されず、チェーン搬送部612より上方に配置されていることに限らず、チェーン搬送部612と同じ高さ位置、チェーン搬送部612より下方に設けられていてもよい。また、モータ、減速機、スプロケット、伝達チェーン、エンコーダ、回転シャフトの配置、数なども適宜変更されてもよい。
モータ631の回転力が減速機632で速度調整され、第一スプロケット633から伝達チェーン634を介して第二スプロケット635へ伝わる。第二スプロケット635は回転シャフト636と連結され、回転数はエンコーダ637で検出される。
回転シャフト636は、下に伸び、第三スプロケット638と第四スプロケット639と連結される。第三スプロケット638がチェーン612aと噛み合い、第四スプロケット639がチェーン612bと噛み合って、その回転力を、チェーン612a、612bへ伝達する。また、チェーン612a、612bは、従動回転軸とも噛み合い、また、スラシ構造に沿って回転移動する。
複数のクラッカー・セパレートカップユニット500_1、500_2、500_nは、チェーン搬送部612(チェーン612a、612b)に着脱可能に設けられる。
トランスファー機構部610は、クラッカー・セパレートカップユニット500_iに対し、洗卵装置からコンベアで送られてくる卵を載置するための機構である。
【0042】
液卵排出部615は、正常の卵黄を受ける卵黄排出部(不図示)と、正常の卵白を受ける卵白排出部(不図示)とが分離されて形成されている。
【0043】
クラッカー・セパレートカップユニット500は、卵Eの載置部502と、卵Eを上から押さえるレバー501と、上下で固定された卵Eを下から割るためのナイフ5021と、割卵した後の卵黄を受ける卵黄カップ503と、卵黄から分離した卵白を受ける卵白カップ504を有する。
卵黄カップ503は、液卵排出部615の卵黄排出部の位置で、下方に傾斜し、卵黄を卵黄排出部へ送る。卵白カップ504は、液卵排出部615の卵白排出部の位置で、下方に傾斜し、卵白を卵白排出部へ送る。
【0044】
不良液卵排出部618は、不良の液卵(卵黄、卵白)を排出するための収納部である。
オペレータが手動で排出レバー(不図示)を操作し、不良液卵排出部618の位置で、卵黄カップ503および卵白カップ504を下方に傾斜させ、不良液卵排出部618へ落とすことができる。
手動に限定されず、排出制御部604から送られる指令で、排出レバーを操作する駆動装置を起動して排出レバーを自動で操作してもよい。
割卵機600は、通信装置601を有し、第一、第二、第三の割卵検査装置と指令や各種データを通信可能になっている。
後述する第一、第二、第三の割卵検査装置の警告部は、不良状態の液卵を排出する指令を排出制御部604へ送ることができる。排出制御部604は、排出指令に応じて、対応する卵黄カップ503および卵白カップ504を下方に傾斜させて不良卵を排出させる。
後述する第一、第二、第三の割卵検査装置の警告部は、割卵機を停止する指令を停止制御部605へ送ることができる。停止制御部605は、停止指令に応じて割卵機の回転を停止する。
割卵機600は、直動機構、回転機構、エア圧駆動、油圧駆動など各種駆動装置、レバーレーンへの切り替え機構などを有して構成されていてもよい。
【0045】
(第一の割卵検査装置)
図1に示す第一の割卵検査装置1は、記憶部10、第一から第六推定部131から136、統計情報算出部35、統計情報診断部36、不良状態発生確率算出部37、不良状態発生確率診断部38、警告部39、出力部40、通信装置41を備える。第一の割卵検査装置1は、第一光源50、第二光源51、撮像装置52を備えていてもよい。
【0046】
記憶部10には、血卵推定学習モデル111、卵黄混入推定学習モデル112、殻混入推定学習モデル113、腐敗卵推定学習モデル114、空カップ推定学習モデル115、菌混入推定学習モデル116が予め保存されている。また、記憶部10は、統計情報記憶部125、不良状態発生確率記憶部126の機能も兼ねている。
記憶部10には、さらに正常卵推定学習モデルを備えていてもよい。
【0047】
第一推定部131は、検査対象の画像を血卵推定器に入力し、血卵推定結果を出力する。血卵推定器は、不良と判定される液卵(例えば、卵白)中の血をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された血卵推定学習モデル111である。
第二推定部132は検査対象の画像を卵黄混入推定器に入力し、卵黄混入推定結果を出力する。卵黄混入推定器は、不良と判定される液卵(例えば、卵白)中の卵黄をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された卵黄混入推定学習モデル112である。
第三推定部133は、検査対象の画像を殻混入推定器に入力し、殻混入推定結果を出力する。殻混入推定器は、不良と判定される液卵(例えば、卵白)中の殻(卵殻)をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された殻混入推定学習モデル113である。
第四推定部134は、検査対象の画像を腐敗卵推定器に入力し、腐敗卵推定結果を出力する。腐敗卵推定器は、不良と判定される液卵(例えば、卵白)中の腐敗物(腐敗色)をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された腐敗卵推定学習モデル114である。
第五推定部135は、検査対象の画像を空カップ推定器に入力し、空カップ推定結果を出力する。空カップ推定器は、液卵のない液卵受容部をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された空カップ推定学習モデル115である。
第六推定部136は、検査対象の画像を菌混入推定器に入力し、菌混入推定結果を出力する。菌混入推定器は、不良と判定される液卵(例えば、卵白)中の菌(例えば、シュードモナスなどの菌による発色)をラベリングした画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された菌混入推定学習モデル116である。
さらに、正常卵を推定し、出力する第七推定部を備えていてもよい。
【0048】
「検査対象の画像」は、第一光源50および第二光源51が同時に照射された卵白カップ504を撮像装置52で撮像した画像である。撮像装置52で撮像した画像は、通信装置41で受信され、第一推定部131から第六推定部136のそれぞれで使用される。
第一光源50は、例えば、波長380nm-780nm程度の白色光照明装置(蛍光灯、LED照明装置)である。
第二光源51は、例えば、波長315-400nm程度のブラックライト(蛍光灯、LED照明装置)である。
【0049】
統計情報算出部35は、第一から第六推定部131~136のそれぞれから出力された推定結果から、正常状態の累積数、不良状態の種類とその累積数、単位時間あたりの正常の数/不良状態の数のうち2種以上を算出する。
統計情報記憶部125は、統計情報算出部35で算出された各データを蓄積する。
統計情報診断部36は、統計情報記憶部125で蓄積された各データを分析し、割卵機600および上流側の装置の異常を診断し出力する。統計情報診断部36は、例えば、不良状態の種類とその累積数、単位時間あたりの正常の数/不良状態の数から、割卵機600および上流側の装置の異常のあることを出力してもよい。上流側の装置として給卵列(複数列でもよい)における卵の転載姿勢などの問題を診断し出力してもよい。
【0050】
不良状態発生確率算出部37は、第一から第六推定部131~136のそれぞれから出力された推定結果から、クラッカー・セパレートカップごとの不良状態(各種の不良状態)の発生確率を算出する。
不良状態発生確率記憶部126は、不良状態発生確率算出部38で算出された不良状態発生確率を蓄積する。
不良状態発生確率診断部38は、不良状態発生確率記憶部126で蓄積された不良状態発生確率を分析し、クラッカー・セパレートカップの異常を診断し出力する。不良状態発生確率診断部38は、例えば、殻混入、みだれ卵、空カップなどの不良状態発生確率が高いクラッカー・セパレートカップを特定し、メンテナンスあるいはその交換する旨の指示を出力してもよい。
【0051】
警告部39は、第一から第六推定部131~136のそれぞれから出力された推定結果から、不良状態の種類に対応した対処情報を選択し、対処情報を出力する。
警告部39は、推定結果が血卵、みだれ卵、殻混入卵の場合に、対処として排出を指示することをオペレータに警告する、および/または、割卵機600の排出制御部604へ指示をしてもよい。この指示により排出制御部604は、該当する卵白カップ504から卵白を排出するように卵白カップ504の排出装置を駆動してもよく、該当する卵黄カップ503から卵黄を排出するように卵黄カップ503の排出装置を駆動してもよい。
別実施形態として、警告部39は、該当する全液卵カップから全液卵を排出するように全液卵カップの排出装置を駆動してもよい。
警告部39は、推定結果が細菌混入卵、腐敗卵の場合に、対処として機械停止(コンベア回転停止)とクラッカー・セパレートカップ500の交換を指示することをオペレータに警告する、および/または、割卵機600の停止制御部605へ指示をしてもよい。この指示により停止制御部605は、割卵機(少なくともクラッカー・セパレートカップを搬送する搬送部)を停止する。オペレータは、該当するクラッカー・セパレートカップ(その前後のクラッカー・セパレートカップ)を取り外して別のクラッカー・セパレートカップ500と交換し、割卵機600を再駆動する。取り外したクラッカー・セパレートカップ500は洗浄される。
【0052】
出力部40は、第一から第六推定部131~136のそれぞれから出力された推定結果を出力する。出力部40は、推定結果データとして、撮像した画像中の不良領域にマークを付して表示装置に表示してもよく、外部装置(携帯端末、サーバを含む)へ送信してもよい。
出力部40は、統計情報算出部35および不良状態発生確率算出部37で算出された各データ、統計情報診断部36あるいは不良状態発生確率診断部38で得られた診断結果を表示装置に表示してもよく、外部装置(携帯端末、サーバを含む)へ送信してもよい。
【0053】
(第二の割卵検査装置)
図2に示す第二の割卵検査装置200は、記憶部210、第一液卵不良推定部231、第二液卵不良推定部232、統計情報算出部35、統計情報診断部36、不良状態発生確率算出部37、不良状態発生確率診断部38、警告部39、出力部40、通信装置41を備える。第一の割卵検査装置1は、第一光源50、第二光源51、撮像装置52を備えていてもよい。
同じ機能(符号)の構成要素は説明を省略する。
【0054】
記憶部210には、第一液卵不良推定学習モデル211、第二液卵不良推定学習モデル212が予め保存されている。
第一液卵不良推定部231は、第一光源50が照射された卵白カップ504を撮像した第一画像を入力データとして、第一不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第一液卵不良推定学習モデル211に入力し、推定結果を出力する。
第一不良状態は、卵白に血液が混入した状態(血卵)、卵白に卵黄が混入した状態(みだれ卵)、卵白が腐敗している状態(腐敗卵)、卵白に殻が混入している状態(殻混入)、卵白が卵白カップに収納されていない状態(空カップ)が含まれ、第一液卵不良推定学習モデル211によって、5種類の不良状態を分類できる。
【0055】
第二液卵不良推定部232は、第一光源50と異なる第二光源51で照射された卵白カップ504を撮像した第二画像を入力データとして、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第二液卵不良推定学習モデル212に入力し、推定結果を出力する。
第二不良状態は、卵白に細菌が混入している状態(細菌混入卵白)が含まれ、第二液卵不良推定学習モデル212によってこの不良状態を推定できる。
【0056】
撮像装置52で撮像するタイミングは以下の方法でもよい。
所定の第一位置で、第一光源50で照射した搬送される卵白カップ504の反射光像を撮像装置52で撮像する。第一光源50をOFFにして、第二光源51をONにして、第二光源51で照射した搬送される卵白カップ504の反射光像を撮像装置52で撮像する。第一光源50と第二光源51の切り替えを早く行うことで、同じ撮像領域内(第一位置)で画像を取得できる。
撮像領域内に複数の卵白カップ504が入るように設置し、1回の撮像で複数の卵白カップ504の検査が可能であってもよい。この場合、所定の第一位置で、第一光源50で照射した複数の卵白カップ504の反射光像を撮像装置52で撮像し、その後、例えば1カップ分卵白カップ504が進んだ第二位置では、第一光源50をOFFにして、第二光源51をONにして、第二光源51で照射した複数の卵白カップ504の反射光像を撮像装置52で撮像してもよい。第一光源50と第二光源51の切り替えを素早く行わなくとも、卵白カップ504の移動に合わせて検査結果をシフトすることで、2種類の画像での検査に対応できる。高速の割卵機において、特に有効である。
【0057】
統計情報算出部35は、第一、第二液卵不良推定部231、232のそれぞれから出力された推定結果から、正常状態の累積数、不良状態の種類とその累積数、単位時間あたりの正常の数/不良状態の数のうち2種以上を算出する。
【0058】
不良状態発生確率算出部37は、第一、第二液卵不良推定部231、232のそれぞれから出力された推定結果から、クラッカー・セパレートカップごとの不良状態(各種の不良状態)の発生確率を算出する。
【0059】
警告部39は、第一、第二液卵不良推定部231、232のそれぞれから出力された推定結果から、不良状態の種類に対応した対処情報を選択し、対処情報を出力する。
【0060】
出力部40は、第一、第二液卵不良推定部231、232のそれぞれから出力された推定結果を出力する。
【0061】
(第三の割卵検査装置)
図3に示す第二の割卵検査装置300は、記憶部310、第三液卵不良推定部331、統計情報算出部35、統計情報診断部36、不良状態発生確率算出部37、不良状態発生確率診断部38、警告部39、出力部40、通信装置41を備える。第一の割卵検査装置1は、第一光源50、第二光源51、撮像装置52を備えていてもよい。同じ機能(符号)の構成要素は説明を省略する。
【0062】
記憶部310には、第三液卵不良推定学習モデル311が予め保存されている。
第三液卵不良推定部331は、第一光源50および第二光源51が同時に照射された卵白カップ504を撮像した第三画像を入力データとして、第一、第二不良状態をラベリングした反射画像を含む教師データを用いて知的情報技術によって作成された第三液卵不良推定学習モデル311に入力し、推定結果を出力する。
第一不良状態は、卵白に血液が混入した状態(血卵)、卵白に卵黄が混入した状態(みだれ卵)、卵白が腐敗している状態(腐敗卵)、卵白に殻が混入している状態(殻混入)、卵白が卵白カップに収納されていない状態(空カップ)が含まれ、第二不良状態は、卵白に細菌が混入している状態(細菌混入卵白)が含まれ、第三液卵不良推定学習モデル311によって、6種類の不良状態を分類できる。
【0063】
統計情報算出部35は、第三液卵不良推定部331から出力された推定結果から、正常状態の累積数、不良状態の種類とその累積数、単位時間あたりの正常の数/不良状態の数のうち2種以上を算出する。
【0064】
不良状態発生確率算出部37は、第三液卵不良推定部331から出力された推定結果から、クラッカー・セパレートカップごとの不良状態(各種の不良状態)の発生確率を算出する。
【0065】
警告部39は、第三液卵不良推定部331から出力された推定結果から、不良状態の種類に対応した対処情報を選択し、対処情報を出力する。
【0066】
出力部40は、第三液卵不良推定部331から出力された推定結果を出力する。
【0067】
(学習モデル)
本実施形態において、各学習モデルは、単層あるいは多層ニューラルネットワークで構成され、ディープニューラルネットワークまたは畳み込みニューラルネットワークで構成されてもよい。
【0068】
(実施例)
第一の割卵検査装置1を実施した。
【0069】
(実施例1)
学習モデルは、以下の教師(訓練)データを使用して作成した。第一光源50(白色LEDライト)および第二光源51(ブラックライト)を同時に照射し撮像した画像を使用した。画像に3つの卵白カップが含まれるのでラベリング数は画像数×3である。教師データのラベリングの種類は、血卵、菌混入、卵黄混入(みだれ卵)、殻混入、空カップの5種類の状態である。ディープラーニングの手法を用いて、各不良状態に対応した、血卵、菌混入、卵黄混入、殻混入、空カップ推定学習モデルをそれぞれ生成した。つまり、血卵推定学習モデル、菌混入推定学習モデル、卵黄混入推定学習モデル、殻混入推定学習モデル、空カップ推定学習モデルの5種類の不良状態に対応した推定学習モデルを作成した。
各教師データの画像のラベリングを
図5Aから5Fに示す。
【表1】
【0070】
上記教師データで作成した各推定学習モデルの推定結果を示す。殻混入以外90%以上の高い正解率であった。
【表2】
【0071】
(実施例2)
学習モデルは、以下の教師(訓練)データを使用して作成した。第一光源50(白色LEDライト)で照射し撮像した画像を、菌混入以外の学習モデルに使用し、第二光源51(ブラックライト)で照射し撮像した画像を菌混入の学習モデルに使用した。画像に3つの卵白カップが含まれるのでラベリング数は画像数×3である。教師データのラベリングの種類は、血卵、菌混入、卵黄混入、殻混入、空カップの5種類の状態である。ディープラーニングの手法を用いて各不良状態に対応した、血卵、菌混入、卵黄混入、殻混入、空カップ推定学習モデルをそれぞれ生成した。つまり、血卵推定学習モデル、菌混入推定学習モデル、卵黄混入推定学習モデル、殻混入推定学習モデル、空カップ推定学習モデルの5種類の不良状態に対応した推定学習モデルを作成した。
ブラックライトのみで照射した画像のシュードモナスのラベリングを
図5Gに示す。
【表3】
【0072】
上記教師データで作成した各推定学習モデルの推定結果を示す。殻混入以外90%以上と高い正解率であった。
【表4】
【0073】
(実施例3)
学習モデルは、以下の教師(訓練)データを使用して作成した。第一光源50(白色LEDライト)で照射し撮像した画像を、菌混入以外の学習モデルに使用し、第二光源51(ブラックライト)で照射し撮像した画像を菌混入の学習モデルに使用した。画像に3つの卵白カップが含まれるのでラベリング数は画像数×3である。教師データのラベリングの種類は、血卵、菌混入、卵黄混入(みだれ卵)、殻混入、空カップ、腐敗卵の6種類の状態である。ディープラーニングの手法を用いて各不良状態に対応した、血卵、菌混入、卵黄(黄身)混入、殻混入、空カップ、腐敗卵推定学習モデルをそれぞれ生成した。つまり、血卵推定学習モデル、菌混入推定学習モデル、卵黄混入推定学習モデル、殻混入推定学習モデル、空カップ推定学習モデル、腐敗卵推定学習モデルの6種類の不良状態に対応した推定学習モデルを作成した。
腐敗卵の教師データの画像のラベリングを
図5Hに示す。他の教師データは実施例2と同じである。
【表5】
【0074】
上記教師データで作成した各推定学習モデルの推定結果を示す。殻混入以外90%以上と高い正解率であった。
【表6】
【0075】
卵黄(黄身)混入と腐敗卵とは、誤推定されやすい。そのため、卵黄(黄身)混入の画像について、混入量が少量の教師データ群と、大量の教師データ群とを分けて学習をさせることで正解率を向上できる。検出レベルを分けて学習させ、複数の推定学習モデルを含む構成としてもよい。
腐敗卵と卵黄(黄身)の大量混入の両方が、不良として推定された場合に、腐敗卵の不良としてカウントをしてもよい。
【0076】
(その他の実施例)
第一光源50、第二光源51、撮像装置52は、液卵受容部に収容された液卵の画像を撮影するために、液卵受容部に対向する位置に配置されるが、割卵機の清掃性を高めるために第一光源50、第二光源51、撮像装置52が着脱自在あるいは移動自在に取り付けられていてもよい。更に、第一光源50、第二光源51、撮像装置52を取外し、または、移動させた際に、洗浄液等の飛散を防止、あるいは、洗浄液等を溜めるために、仕切り壁を取り付け可能としてもよい。
第一、第二、第三の割卵検査装置と組み合わせる割卵機について、複数のクラッカーおよびセパレートカップを平面視で周回するチェーン搬送部を備える割卵機を例示したが、これに限らず、複数のクラッカーおよびセパレートカップを正面視(あるいは側面視)で周回するチェーン搬送部を有する多列搬送式の割卵機であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 第一割卵検査装置
10 記憶部
131 第一推定部
132 第二推定部
133 第三推定部
134 第四推定部
135 第五推定部
136 第六推定部
137 第七推定部
39 警告部
40 出力部
50 第一光源
51 第二光源
52 撮像装置
600 割卵機