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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110937
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/08 20060101AFI20240808BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20240808BHJP
   F25D 19/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
F25D21/08 A
F25B47/02 A
F25B47/02 570D
F25D19/00 510Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009270
(22)【出願日】2024-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2023015253
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保坂 靖基
(72)【発明者】
【氏名】平川 俊成
(72)【発明者】
【氏名】春日井 正樹
【テーマコード(参考)】
3L046
【Fターム(参考)】
3L046AA02
3L046BA01
3L046CA06
3L046GB01
3L046JA04
3L046KA04
3L046LA11
3L046MA01
3L046MA02
3L046MA03
3L046MA04
3L046MA05
(57)【要約】
【課題】冷凍回路に用いられる逆止弁の信頼性を向上する。
【解決手段】冷却貯蔵庫10は、第1貯蔵室12を冷却する第1冷却器22と、第2貯蔵室13を第1貯蔵室12より低温に冷却する第2冷却器23と、冷却器22、23からの冷媒を圧縮する圧縮機24と、第1冷却器22からの冷媒が第2冷却器23側へ流入することを防ぐ逆止弁70と、第1除霜手段32と、第2除霜手段33と、制御部60と、を備え、制御部60は、第1除霜手段32、又は第2除霜手段33の少なくとも一方を作動して除霜運転を実行した後に、圧縮機24を作動して冷却運転を実行する際、第1除霜手段、及び第2除霜手段を停止し、待機時間T4が経過した後に、圧縮機24を作動する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貯蔵室と、
第2貯蔵室と、
前記第1貯蔵室を冷却する第1冷却器と、
前記第2貯蔵室を前記第1貯蔵室より低温に冷却する第2冷却器と、
前記第1冷却器、及び前記第2冷却器からの冷媒を圧縮する圧縮機であって、前記第1冷却器からの冷媒と前記第2冷却器からの冷媒との合流点より冷媒の流通方向下流に設けられる圧縮機と、
前記合流点と前記第2冷却器との間に設けられ、前記第1冷却器からの冷媒が前記第2冷却器側へ流入することを防ぐ逆止弁と、
前記第1冷却器に付着した霜を融解する第1除霜手段と、
前記第2冷却器に付着した霜を融解する第2除霜手段と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記圧縮機を作動して冷却運転を実行し、
前記圧縮機を停止し、前記第1除霜手段又は前記第2除霜手段の少なくとも一方を作動して除霜運転を実行し、
前記除霜運転の後に、前記圧縮機を作動して前記冷却運転を実行する際、前記第1除霜手段及び前記第2除霜手段を停止し、待機時間が経過した後に、前記圧縮機を作動する冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記除霜運転において、前記第2除霜手段は、前記第1除霜手段の停止後も作動し、前記第2除霜手段の停止が前記除霜運転の終了とされる請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記第2貯蔵室を加熱する加熱手段を備え、
前記制御部は、前記除霜運転において前記加熱手段を作動し、前記待機時間の間、前記加熱手段を停止する請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記第1冷却器の霜の融解を検知する第1除霜センサと、
前記第2冷却器の霜の融解を検知する第2除霜センサと、を備え、
前記制御部は、
前記第1除霜センサの温度が第1閾値温度以上の場合、前記第1除霜手段を停止し、
前記第2除霜センサの温度が第2閾値温度以上の場合、前記第2除霜手段を停止する請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記第2閾値温度は任意に変更可能である請求項4に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項6】
前記待機時間は任意に変更可能である請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項7】
前記逆止弁は、前記第1冷却器側の冷媒と前記第2冷却器側の冷媒の圧力差により変位する弁体を有し、前記弁体が隙間を開閉する構成をなす請求項1又は請求項2記載の冷却貯蔵庫。
【請求項8】
前記逆止弁は、冷媒の入口から出口に向かって細長状に延びており、
前記逆止弁の長手方向は、前記弁体の変位方向と一致し、鉛直方向から所定の角度だけ傾斜している請求項7に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵室及び冷凍室を備える冷却貯蔵庫では、各室の容積が小さい場合に、各室を冷却する冷却器毎に冷凍回路を設けず、共通の冷凍回路を設けることが知られており、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の冷凍サイクル装置は、冷媒を冷蔵用冷却器に供給する流路と、冷媒を冷凍用冷却器に供給する流路と、2つの流路の合流点から圧縮機、凝縮器へと冷媒が戻る共通流路と、を有する。また、当該冷凍サイクル装置は、凝縮器からの冷媒の供給先を切り替える三方弁と、冷蔵用冷却器からの冷媒が冷凍用冷却器側に逆流しないための逆止弁と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-10263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した冷凍回路に用いられる逆止弁は、負荷が過度に大きくなると、耐久性が低下したり、異音を発生したりして、信頼性が低下することがある。例えば除霜運転から冷却運転に移行する際に、冷凍用冷却器側の冷媒は、除霜運転時に温められて圧力増大した後、冷却運転の再開によって圧縮機が作動することで一気に気化して圧力が急増する。これにより、逆止弁には冷凍用冷却器側から急増した圧力が一気に加わる。逆止弁が弁体の変位によって隙間を開閉する種類の場合、冷凍用冷却器側の冷媒が当該隙間に一気に流れ込み、笛吹音のような異音が発生してしまうことがある。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、冷凍回路に用いられる逆止弁の信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本技術に関わる冷却貯蔵庫は、第1貯蔵室と、第2貯蔵室と、前記第1貯蔵室を冷却する第1冷却器と、前記第2貯蔵室を前記第1貯蔵室より低温に冷却する第2冷却器と、前記第1冷却器、及び前記第2冷却器からの冷媒を圧縮する圧縮機であって、前記第1冷却器からの冷媒と前記第2冷却器からの冷媒との合流点より冷媒の流通方向下流に設けられる圧縮機と、前記合流点と前記第2冷却器との間に設けられ、前記第1冷却器からの冷媒が前記第2冷却器側へ流入することを防ぐ逆止弁と、前記第1冷却器に付着した霜を融解する第1除霜手段と、前記第2冷却器に付着した霜を融解する第2除霜手段と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記圧縮機を作動して冷却運転を実行し、前記圧縮機を停止して前記第1除霜手段又は前記第2除霜手段の少なくとも一方を作動して除霜運転を実行し、前記除霜運転の後に前記圧縮機を作動して前記冷却運転を実行する際、前記第1除霜手段及び前記第2除霜手段を停止して待機時間が経過した後に、前記圧縮機を作動する。
【0007】
また、前記除霜運転において、前記第2除霜手段は、前記第1除霜手段の停止後も作動し、前記第2除霜手段の停止が前記除霜運転の終了とされてもよい。
【0008】
また、前記第2貯蔵室を加熱する加熱手段を備え、前記制御部は、前記除霜運転において前記加熱手段を作動し、前記待機時間の間、前記加熱手段を停止してもよい。
【0009】
また、前記第1冷却器の霜の融解を検知する第1除霜センサと、前記第2冷却器の霜の融解を検知する第2除霜センサと、を備え、前記制御部は、前記第1除霜センサの温度が第1閾値温度以上の場合、前記第1除霜手段を停止し、前記第2除霜センサの温度が第2閾値温度以上の場合、前記第2除霜手段を停止してもよい。
【0010】
また、前記第2閾値温度は任意に変更可能であってもよい。
【0011】
また、前記待機時間は任意に変更可能であってもよい。
【0012】
また、前記逆止弁は、前記第1冷却器側の冷媒と前記第2冷却器側の冷媒の圧力差により変位する弁体を有し、前記弁体が隙間を開閉する構成をなしていてもよい。
【0013】
また、前記逆止弁は、冷媒の入口から出口に向かって細長状に延びており、前記逆止弁の長手方向は、前記弁体の変位方向と一致し、鉛直方向から所定の角度だけ傾斜していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本技術によれば、冷凍回路に用いられる逆止弁の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1に係る冷却貯蔵庫の模式図
図2】冷凍回路を示す図
図3】逆止弁の模式図
図4】逆止弁の要部の断面模式図
図5図4の弁体が変位した状態を示す断面模式図
図6】逆止弁の要部を図5のI-I線位置で切断した断面模式図
図7】冷却運転及び除霜運転の制御に関するフローチャート
図8】冷却運転及び除霜運転の制御に関するタイミングチャート
図9】実施形態2に係る冷凍回路を示す図
図10】逆止弁の取り付け姿勢を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
実施形態1に係る冷却貯蔵庫10を図1から図8を参照して説明する。冷却貯蔵庫10は、図1に示すように、貯蔵庫本体11内に冷蔵室12、及び冷凍室13を備える。冷蔵室12は、第1貯蔵室の一例であり、例えば1℃から3℃程度の温度範囲で被貯蔵物(食品等)を冷蔵保管する。冷凍室13は、第2貯蔵室の一例であり、例えば-15℃から-10℃程度の温度範囲で被貯蔵物を冷凍保管する。ただし、第1貯蔵室、及び第2貯蔵室は、第2貯蔵室が第1貯蔵室より低温に冷却されれば冷却温度帯は限定されず、両室共に冷蔵室であっても、冷凍室であっても構わない。
【0017】
冷却貯蔵庫10は、図1に示すように、冷蔵室12を冷却する第1冷却器22と、冷凍室13を冷蔵室12より低温に冷却する第2冷却器23と、第1除霜ヒータ32(第1除霜手段の一例)と、第2除霜ヒータ33(第2除霜手段の一例)と、第1除霜センサ42と、第2除霜センサ43と、ダクトヒータ53(加熱手段の一例)と、を備える。第1冷却器22、及び第2冷却器23は、既知の蒸発器とされ、例えばフィン&チューブ型の熱交換器やマイクロチャネル熱交換器を用いることができる。第1冷却器22、及び第2冷却器23は、それぞれの冷却対象である冷蔵室12、及び冷凍室13の内部に設けられていても、各室の外部(例えば各室の空気が吸い込まれるダクト内)に設けられていても構わない。また冷却貯蔵庫10は、各室の空気が第1冷却器22、及び第2冷却器23に効率よく吸い込まれ、冷却器22、23内を通過して各室へと循環されるように、循環用ファン(庫内ファン)を備えることが好ましい。
【0018】
第1除霜ヒータ32、及び第2除霜ヒータ33はそれぞれ、冷却運転に伴い第1冷却器22、第2冷却器23に付着した霜を融解する。第1除霜ヒータ32、及び第2除霜ヒータ33には既知のヒータを適宜用いることができる。第1除霜ヒータ32、及び第2除霜ヒータ33はそれぞれ、着霜を効率的に融解するために、各冷却器22、23の近傍に配置されていることが好ましい。
【0019】
第1除霜センサ42、及び第2除霜センサ43はそれぞれ、第1冷却器22、第2冷却器23の霜の融解を検知する。第1除霜センサ42、及び第2除霜センサ43は具体的には、第1冷却器22、第2冷却器23の温度変化をそれぞれ検出する温度センサ(サーミスタ)とされる。第1除霜センサ42、及び第2除霜センサ43は、各冷却器22、23の近傍に配置されていることが好ましい。
【0020】
ダクトヒータ53は、冷蔵室12より低温となる冷凍室13を加熱する。冷凍室13の少なくとも一部はダクトにより覆われているものとされ、ダクトヒータ53は、例えば当該ダクトの第2冷却器23近傍に配設される。第2除霜用ヒータ33に加えてダクトヒータ53を作動することで、より短時間で除霜でき、除霜によって発生した除霜水をより短時間で乾燥(蒸発、水切り)できる。なおダクトヒータ53は、冷凍室13の加熱手段の一例に過ぎず、加熱手段はダクト以外に配置されるヒータであっても構わない。
【0021】
冷却貯蔵庫10は、図2に示すように、2つの冷却器22、23と、圧縮機24と、凝縮器25と、ドライヤ26と、三方弁(切換弁)27と、逆止弁70と、が冷媒管21によって連結された冷凍回路20を有する。すなわち、2つの冷却器22、23は、一つの冷凍回路20に含まれている。圧縮機24は、モータを動力源として冷媒ガスを吸引して圧縮し、高温高圧の冷媒ガスを吐出する。圧縮機24が作動することで、冷媒が循環され、冷凍回路20に冷凍サイクルが形成される。凝縮器25は、圧縮機24で圧縮された冷媒ガスを凝縮器ファン29の送風により冷却して液化させる。ドライヤ26は、冷媒液に混入した水分を除去する。
【0022】
三方弁27は、ドライヤ26を経た凝縮器25からの冷媒液の供給先を切り替える。三方弁27の冷媒液の供給先は、図2に示すように、第1冷却器22への第1分流路20A、又は第2冷却器23への第2分流路20Bの2つの流路に分岐される。三方弁27は、後述する制御部60によって切り替えられることで、冷媒液を第1冷却器22のみに供給する(冷蔵ON及び冷凍OFF、以下この状態を「第1状態」という)、第2冷却器23のみに供給する(冷蔵OFF及び冷凍ON、以下この状態を「第2状態」という)、又は第1冷却器22及び第2冷却器23の両方に供給する(冷蔵ON及び冷凍ON、以下この状態を「第3状態」という)、の3つの状態に変更可能に構成されている。
【0023】
第1冷却器22、及び第2冷却器23はそれぞれ、流入した冷媒を気化させることで、気化熱によって通過する空気を冷却する。第1冷却器22、第2冷却器23からの冷媒ガスは、これらの出力側(冷媒流通方向下流側)において冷媒管21が接続される合流点20Xで混ざり合う。その後、合流点20Xより下流に配置された圧縮機24に帰還される。
【0024】
冷凍回路20において、三方弁27から第1冷却器22を通って合流点20Xに至る流路を第1分流路20Aとし、三方弁27から第2冷却器23、逆止弁70を順に通って合流点20Xに至る流路を第2分流路20Bとする。また、合流点20Xから圧縮機24、凝縮器25、ドライヤ26を順に通って三方弁27に至る流路を共通流路20Cとする。冷凍回路20には、第1分流路20A、及び共通流路20Cによって構成される第1循環流路(冷凍サイクル)と、第2分流路20B、及び共通流路20Cによって構成される第2循環流路と、が形成される。なお冷凍回路20には、キャビラリーチューブもしくは膨張弁やアキュムレータ等、冷凍回路に用いられる既知の部材が含まれていてもよい。
【0025】
逆止弁70は、図2に示すように、合流点20Xと第2冷却器23との間に設けられる。逆止弁70は、第1冷却器22からの冷媒が合流点20Xから第2冷却器23側へ流入することを防ぐ。逆止弁70は、図3に示すように、細長い円筒状をなしており、円筒の一方の開口が入口70A、他方の開口が出口70Bとなる。逆止弁70は、入口70A(第2冷却器23側)からの冷媒が出口70B(合流点20X、第1冷却器22側)に流れることを許容する一方、出口70Bから入口70Aに流れることを規制する。
【0026】
逆止弁70は、図3から図6に示すように、筐体71と、弁座72と、弁体73と、ストッパ74と、を備える。筐体71は、細長い円筒状(パイプ状)の外装部材である。弁体73は、中実の円柱体であり、入口70A側の端部73Aが先細状をなしている。弁体73は、入口70A側(第2冷却器23側)の冷媒と出口70B側(第1冷却器22側)の冷媒の圧力差によって変位する。弁座72は、筐体71の内周壁に沿って設けられる円筒状部材である。弁座72は、内径が小さくなるように突出した突起72Aを入口70A側に有する。弁座72の突起72Aは、弁体73が入口70A側に変位した際に、弁体73の入口70A側の端部73Aを係止(接触)する。ストッパ74は、弁体73の出口70B側に設けられる。ストッパ74は、弁体73が出口70B側に変位した際に、弁体73の出口70B側の端部73Bを係止する。
【0027】
弁体73は、図4に示すように、入口70A側(第2冷却器23側)の冷媒圧力より出口70B側(第1冷却器22側)の冷媒圧力が大きい場合に、入口70A側の端部73Aが弁座72の突起72Aに接触する。これにより、弁体73と突起72Aとの間の隙間70S(図5参照)が閉じられ、出口70Bから入口70Aに向かって(図4の右から左方向に)冷媒が流れることを防ぐようになっている。このような簡便な構成の逆止弁70を用いることで、低コスト化でき、設計や保守管理を簡便化できる。なお、図4から図6では、逆止弁70のうち、出口70Bから入口70Aに流れることを規制する構成のみを模式的に示しており、規制と同時に冷媒が入口70Aから出口70Bに流れることを許容する構成については省略されている。
【0028】
冷却貯蔵庫10は、図1に示すように、上記した構成部材の他、制御部60、記憶部61、及び操作部62を少なくとも備える。制御部60は、例えばマイクロコンピュータであり、冷却貯蔵庫10の運転を制御する。また、制御部60は時間をタイマカウントする計時部を内蔵しているが、計時部は別体で設けられていてもよく、冷却貯蔵庫10の外部端末から受信するように構成されていても構わない。記憶部61は、メモリであり、制御プログラムや設定値等を記憶するために設けられている。記憶部61は、制御部60に内蔵されていてもよい。操作部62は、使用者の操作によって冷却貯蔵庫10の各種設定を変更したり、運転モードを選択したりするために設けられている。
【0029】
制御部60は、記憶部61、操作部62、圧縮機24、三方弁27、凝縮器ファン29、第1除霜ヒータ32、第2除霜ヒータ33、第1除霜センサ42、第2除霜センサ43、及びダクトヒータ53と電気的に接続されている。制御部60は、記憶部61の制御プログラムや操作部62の操作等に基づき、圧縮機24、三方弁27、凝縮器ファン29、第1除霜ヒータ32、第2除霜ヒータ33、及びダクトヒータ53を操作することで、冷蔵室12や冷凍室13を冷却する冷却運転、及び冷却器22、23に付着した霜を融解する除霜運転を実行する。
【0030】
続いて、制御部60による冷却貯蔵庫10の運転制御について、図7のフローチャート、及び図8のタイミングチャートを参照して説明する。制御部60は、図7に示すように、圧縮機24を作動し(ステップS10)、三方弁27を第3状態(冷蔵ON及び冷凍ON)にすることで(ステップS15)、冷蔵室12及び冷凍室13の冷却運転を開始する。冷却運転に伴い、第1除霜センサ42の検出温度、及び第2除霜センサ43の検出温度は、低下する(図8の冷却時間T1)。制御部60は、冷却時間T1が経過すると、圧縮機24を停止し、冷却運転を終了する。
【0031】
冷却運転の後、制御部60は、第1除霜ヒータ32、第2除霜ヒータ33、及びダクトヒータ53を作動することで(ステップS30、S35、S40)、除霜運転を開始する。除霜運転に伴い、第1除霜センサ42の検出温度、及び第2除霜センサ43の検出温度は、増大する(図8の第1除霜時間T2)。そして制御部60は、第1除霜センサ42の検出温度が所定の第1閾値温度Th1(例えば13℃)以上になると(ステップS45のYES)、第1冷却器22の着霜が融解されたと判断し、第1除霜ヒータ32を停止して(ステップS50)、第1冷却器22の除霜運転を終了する。
【0032】
また制御部60は、第2除霜センサ43の検出温度が所定の第2閾値温度Th2(例えば22℃)以上になると(ステップS55のYES)、第2冷却器23の着霜が融解されたと判断し、第2除霜ヒータ33を停止して(ステップS60)、第2冷却器23の除霜運転を終了する。第2冷却器23は、第1冷却器22より低温となることから第1冷却器22より除霜に時間を要する。このため、第1除霜ヒータ32の停止後(ステップS50)、第2除霜ヒータ33、及びダクトヒータ53が作動し続ける時間帯(図8の第2除霜時間T3)が設けられている(ステップS55のNO)。第2除霜時間T3の間、第1除霜センサ42の温度は僅かに低下し、第2除霜センサ43の温度は増大し続ける(図8)。第2除霜時間T3が経過すると、第1冷却器22、及び第2冷却器23の除霜運転が共に終了することとなり、冷却貯蔵庫10の除霜運転が終了する。なお、第1閾値温度Th1、第2閾値温度Th2は、使用環境等に応じて任意に変更可能とされる。
【0033】
除霜運転の後、制御部60は、待機時間T4(例えば5分間)が経過するまで(ステップS65のNO)、ダクトヒータ53を停止すると共に、圧縮機24、第1除霜ヒータ32、及び第2除霜ヒータ33を停止したままの状態とする(ステップS70)。そして、待機時間T4の経過後(ステップS65のYES)、圧縮機24を作動し(ステップS75)、三方弁27を第1状態(冷蔵ON及び冷凍OFF)にすることで(ステップS80)、冷蔵室12の冷却運転を再開する。三方弁27が第1状態であることから、冷凍室13の冷却運転は再開されない。また制御部60は、ダクトヒータ53を水切り時間T5(図8)だけ作動する(ステップS85、S90)。第2冷却器23は、第1冷却器22より低温となることから第1冷却器22に比べて除霜水の乾燥(水切り)に時間を要する。このため、冷凍室13の冷却運転の再開前に、第2冷却器23を乾燥するためにダクトヒータ53を作動する時間帯(水切り時間T5)が設けられている。水切り時間T5の間、第1除霜センサ42の温度は低下し、第2除霜センサの温度は僅かに増大する(図8)。
【0034】
制御部60は、水切り時間T5が経過すると、三方弁27を第2状態(冷蔵OFF及び冷凍ON)にすることで(ステップS95)、冷凍室13の冷却運転を再開する。三方弁27は第2状態であることから、冷蔵室12は冷却されない。第2冷却器23は、水切り時間T5の後、冷凍室13の室内温度に比べて高温となるため、第2冷却器23を予冷する時間帯(予冷時間T6)が設けられている。冷蔵室12は、水切り時間T5の間に温度が十分に低下するため、所定時間T6の間、過度に低温にならないように制御される。予冷時間T6の間、第1除霜センサ42の温度は増大し、第2除霜センサの温度は減少する(図8)。
【0035】
制御部60は、予冷時間T6が経過すると、三方弁27を第3状態(冷蔵ON及び冷凍ON)にすることで(ステップS15に戻る)、冷蔵室12の冷却運転を再開し(図8の冷却時間T7)、上記した制御を繰り返す。
【0036】
次に、上記した冷却貯蔵庫10の運転制御の作用効果について説明する。逆止弁70の信頼性の低下(耐久性の低下、異音の発生)は、除霜運転から冷却運転を再開する際に、第2冷却器23側の冷媒が逆止弁70に入口70Aから一気に流れ込み、逆止弁70に過大な負荷がかかることに起因する。より詳しくは逆止弁70の弁体73は、図4に示すように、入口70A側(第2冷却器23側)の冷媒圧力より出口70B側(第1冷却器22側)の冷媒圧力が大きい場合に、入口70A側の端部73Aが弁座72の突起72Aに接触し、出口70Bから入口70Aに向かって冷媒が流れることを防ぐ仕組みとなっているが、除霜運転から冷却運転を再開する際、弁体73の入口70A側の端部73Aには、入口70A側(第2冷却器23側)の冷媒圧力が急増して、過大な負荷がかかる。
【0037】
そこで本実施形態では、除霜運転から冷却運転を再開する際に待機時間T4を設け(図7のステップS65)、待機時間T4の間、ダクトヒータ53を停止すると共に、第1除霜ヒータ32、第2除霜ヒータ33、及び圧縮機24を停止したままの状態にする(ステップS70のNO)。このようにすれば、待機時間T4の間、第2冷却器23側の冷媒が逆止弁70に入口70Aから一気に流れ込まず、かつ、出口70B側(第1冷却器22側)の冷媒圧力が低下するようになる。これにより、逆止弁70の弁体73と突起72Aとの間には、図5に示すように、隙間70Sが生じ、入口70A(第2冷却器23)側の冷媒が隙間70Sを通って出口70B側に流入するようになる。その結果、入口70A側の冷媒圧力が低下し、入口70A側の冷媒と、出口70B側の冷媒との圧力差を緩和でき、逆止弁70にかかる負荷を軽減できる。ひいては、逆止弁70の信頼性の低下を抑制できる。
【0038】
また本実施形態では、除霜運転において、第1除霜ヒータ32の停止後、第2除霜ヒータ33、ダクトヒータ53が作動し続ける時間帯が設けられている(図8の第2除霜時間T3)。第2除霜ヒータ33、ダクトヒータ53は、第1除霜ヒータ32の停止後も作動し、第2除霜ヒータ33の停止が冷却貯蔵庫10の除霜運転の終了とされる。この場合、第2除霜時間T3において冷凍室13の温度は上がり、冷凍室13側の冷媒圧力がより増大することとなる。これにより、待機時間T4において、入口70A側(第2冷却器23側)の冷媒は出口70B側(第1冷却器22側)に流入しやすくなる。その結果、入口70A側の冷媒圧力が低下し、入口70A側の冷媒と、出口70B側の冷媒との圧力差を緩和でき、逆止弁70にかかる負荷を軽減しやすくなる。ひいては、逆止弁70の信頼性の低下を抑制しやすくなる。
【0039】
また、第2除霜ヒータ33を停止する条件となる第2閾値温度Th2は、任意に変更可能である。第2閾値温度Th2を大きくすると、第2除霜ヒータ33の作動時間がのび、冷凍室13の温度が上がり、冷凍室13側の冷媒圧力がより増大することとなる。これにより、上記したメカニズムと同様に逆止弁70の信頼性の低下を抑制しやすくなる。一方で第2閾値温度Th2を大きくし過ぎると、冷凍室13の温度が過度に上昇してしまう懸念がある。そこで、使用環境等に合わせて第2閾値温度Th2を適切に調整することで、冷凍室13の過度な温度上昇を抑制しつつ、逆止弁の信頼性低下を抑制できる。
【0040】
また、待機時間T4は任意に変更可能である。待機時間T4を設けると、逆止弁70の信頼性低下を抑制できる一方、除霜運転の終了後に冷却運転が再開するまでの時間が長くなり、冷蔵室12及び冷凍室13の温度が上昇し過ぎてしまう懸念がある。そこで、使用環境等に合わせて待機時間T4を適切に調整することで、冷蔵室12及び冷凍室13の過度な温度上昇を抑制しつつ、逆止弁70の信頼性低下を抑制できる。
【0041】
<実施形態2>
実施形態2に係る逆止弁170について、図9及び図10を参照して説明する。実施形態2では、逆止弁170の取り付け姿勢が実施形態1と異なる。実施形態2において、実施形態1と同様の構成、及び作用効果について重複する説明は省略する。
【0042】
第1冷却器22及び第2冷却器23の冷媒流通方向下流側には、これらの冷却器22、23で気化されなかった液冷媒が圧縮機24に帰還することを防止するために、アキュムレータ28が設けられている。逆止弁170は、第2冷却器23と合流点20Xとの間に設けられる。ただし、アキュムレータ28は必須の構成要素とされない。
【0043】
逆止弁170は、図10に示すように、入口170Aから出口170Bに向かって細長状に延びる長手方向が、上下方向(鉛直方向)の下から上に向かう方向となる。逆止弁170の長手方向は、内部の弁体73の変位方向と一致している。逆止弁170は、長手方向が鉛直方向から所定の傾斜角度θだけ傾くように取り付けられている。
【0044】
このように逆止弁170を鉛直方向から傾斜した姿勢で設けることで、弁体73の一部(例えば出口側の端部73Bの下面)が弁座72の内周面により接触しやすくなる。これにより、弁体73と弁座72との摩擦抵抗が大きくなり、弁体73が上方向に変位しにくく(持ち上がりにくく)なる。その結果、弁体73の不安定な動きが低減され、逆止弁170の異常音の発生が抑制される。逆止弁170の構成を変更したり、追加部材を設けたりすることなく、異常音の発生を抑制できる。
【0045】
上記した傾斜角度θは、弁体73の上方向の変位を許容しつつ、異常音の発生を抑制可能な角度とされる。このような条件を満たす傾斜角度θの値は、弁体73の重さや冷媒の種類によって適宜調整されるが、例えば10°程度とされる。
【0046】
<他の実施形態>
本技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本技術の技術的範囲に含まれる。
【0047】
(1)第1除霜手段、第2除霜手段はそれぞれ、第1除霜ヒータ32、第2除霜ヒータ33に限られず、いわゆるオフサイクルデフロスト方式を採用する場合には、循環用ファンであっても構わない。またその場合、第1除霜手段、第2除霜手段の好適な配設場所は各冷却器22、23の近傍に限られない。
【0048】
(2)逆止弁70は、図示の構成に限定されず、例えば弁体73に弾性部材(例えばバネ)を設けることで所定の冷媒圧力以上の場合にのみ逆流を防止したり、電磁力によって弁体73を開閉したりする構成であっても構わない。本技術によれば、他の種類の逆止弁に対しても、除霜運転から冷却運転に移行する際にかかる負荷(圧力)急増を軽減でき、信頼性の低下を抑制できる。
【0049】
(3)本技術は、2つの冷却器22、23と、これらに共通の圧縮機24と、を含む冷凍回路を備える機器であれば、冷却貯蔵庫10以外に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10:冷却貯蔵庫、11:貯蔵庫本体、12:冷蔵室(第1貯蔵室)、13:冷凍室(第2貯蔵室)、20:冷凍回路、20X:合流点、22:第1冷却器、23:第2冷却器、24:圧縮機、32:第1除霜ヒータ(第1除霜手段)、33:第2除霜ヒータ(第2除霜手段)、42:第1除霜センサ、43:第2除霜センサ、53:ダクトヒータ(加熱手段)、60:制御部、70、170:逆止弁、70S:隙間、73:弁体、T4:待機時間、Th1:第1閾値温度、Th2:第2閾値温度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10