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特開2024-110942クライアント要求に対する応答を提供するための方法及びチャット会話のためのシステム
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  • 特開-クライアント要求に対する応答を提供するための方法及びチャット会話のためのシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110942
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】クライアント要求に対する応答を提供するための方法及びチャット会話のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/14 20120101AFI20240808BHJP
   G06Q 20/38 20120101ALI20240808BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240808BHJP
【FI】
G06Q20/14 300
G06Q20/38 350
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024011064
(22)【出願日】2024-01-29
(31)【優先権主張番号】S2023/0020
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IE
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】523001430
【氏名又は名称】スーパータブ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エネ,コスミン-ガブリエル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クライアント要求に対する応答を提供するためのリソースの使用を効果的に可能にするためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】チャットシステム及びクライアント装置が、インターネットを介して支払システムと通信可能に接続されるシステムにおいて、マイクロペイメントを行う支払システム30は、クライアント装置10又はユーザの少なくとも1つの識別番号を記録するための識別装置31と、チャットシステム20又は他の任意の小売商システムからの口座引落し注文を受信及び確認するためのインタフェース装置32と、を含む。引落し注文は、チャットシステム又は他の任意のシステムに支払われるべき金額に関する情報を含む。支払いシステムはまた、割当額を関連する識別番号IDと共に記憶するためのメモリ装置33と、入力される要求を処理するための処理装置34と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント要求、例えば画像、テキストに対する応答を提供するための方法であって、
a)クライアント装置(10)からインタフェース上でクライアント要求を受信すること、
b)前記要求を発行したユーザ及び/又は前記クライアント装置(10)のクライアント識別情報(ID)を決定すること、
c)前記要求に応答するためのコストを決定することであって、好ましくは前記要求に対する応答を計算するのに必要な電力及び/又は前記クライアント要求に対する応答を少なくとも部分的に計算するのに必要な計算力を計算することを含む、決定すること、
d)前記決定したコストに基づいて前記クライアント装置(10)にコスト指示を伝送すること、
e)訓練済みモデル(22)、とりわけ自己回帰言語モデル、好ましくはディープラーニングモデルを使用して前記クライアント要求に対する応答を計算すること、
f)前記応答を前記クライアント装置(10)に伝送すること、
g)前記応答の前記伝送に対して支払われるべき金額を、好ましくは前記金額の支払いを同時に要求することなしに前記クライアント識別情報(ID)を使用して割り当てることであって、前記金額は好ましくはステップd)で伝送された前記コスト指示と相関する、割り当てること、
h)特定のクライアント識別情報(ID)に対する総割当額をモニタすること、
i)支払要求を伝送することであって、前記支払要求は前記総割当額が(所定の)閾値金額を超えたとき、前記特定のクライアント識別情報(ID)に割り当てられた前記総割当額を少なくとも部分的に決済するためのものである、伝送すること
を含む方法。
【請求項2】
以下のステップ、
j)承認信号を受信することであって、前記承認信号は前記クライアント装置(10)の前記ユーザが前記クライアント要求に対する前記応答を受信するための前記コスト指示と相関する金額の割り当てを受諾していることを示す、受信すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップc)が前記ステップe)の後で実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップf)が
前記応答の第1の部分を伝送すること及び前記応答の少なくとも第2の部分を伝送すること
を含み、
前記ステップd)が前記応答の前記第2の部分を伝送する前に実行され、及び/又は前記応答の前記第2の部分はステップj)による前記承認信号が受信される場合にのみ伝送される、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
以下のステップ、
k)前記クライアント装置から前記インタフェース上で更なるクライアント要求を受信すること、
l)更なる承認信号が受信されるかどうかを判定することであって、前記更なる承認信号は前記クライアント装置(10)の前記ユーザが更なる応答のための更なる金額の割り当てを受諾していることを示す、判定すること、及び
m)ステップl)において前記承認信号が受信されていると判定される場合にのみ、前記クライアント装置(10)に更なる応答を伝送すること
を含む、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
以下のステップ、
n)前記提供された応答へのフィードバックに対する報酬を与える少なくとも1つの勧誘メッセージを発行すること、
o)ステップf)で伝送された前記応答に対するフィードバックメッセージを前記クライアント装置(10)から受信すること、
p)前記フィードバックメッセージを使用して前記訓練済みモデル(22)を訓練すること、
q)前記フィードバックメッセージの受信に応答して支払われるべき前記割当額を減額すること
を含む、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記フィードバックメッセージの品質指標を決定するステップを含み、特定のフィードバックメッセージに関して、ステップp)及び/又はq)は前記品質指標が予め設定された基準を満たす、例えば予め定められた閾値を上回る場合にのみ実行される、請求項1乃至6の何れか一項に記載の、とりわけ請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法を実装するための命令を有する、コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
テキストメッセージ及び/又は音声メッセージによる(オンライン)チャット会話を提供するためのシステムであって、
-前記チャット会話の少なくとも1人の参加者を提供するためのチャットアプリケーション(21)であって、前記チャット会話の少なくとも1人の更なる参加者によって発行された質問に対する応答を決定し出力するように適応される、チャットアプリケーション(21)、
-訓練済みモデル(22)、とりわけ自己回帰言語モデル、好ましくは前記応答を決定するためにソフトウェアアプリケーションによって使用されるディープラーニングモデル、
-支払アプリケーション(30)であって、
-前記更なる参加者及び/又は前記更なる参加者が使用するクライアント装置を識別するための少なくとも1つのクライアント識別情報(ID)を記憶すること、
-前記チャットアプリケーションが出力した前記応答に対して支払われるべき金額を、好ましくは前記金額の支払いを同時に要求することなしに前記クライアント識別情報を使用して割り当てること、
-特定のクライアント識別情報に対する総割当額をモニタすること、
-支払要求を伝送することであって、前記支払要求は前記総割当額が(所定の)閾値金額を超えたとき、前記特定のクライアント識別情報に割り当てられた前記総割当額を少なくとも部分的に決済するためのものである、伝送すること
を行う、支払アプリケーション(30)
を含むシステム。
【請求項10】
前記応答の少なくとも1つのコストを決定するように適応される予測アプリケーション(24)を含み、以下のパラメータ、
-前記応答を決定するための推定電力、
-前記応答を決定するのに必要な電力、
-前記応答を少なくとも部分的に決定するための推定計算力、
-前記応答を少なくとも部分的に決定するのに必要な計算力
の好ましい少なくとも1つが検討される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
フィードバックメッセージに基づいて前記訓練済みモデルを訓練するための訓練アプリケーション(23)を含み、前記更なる参加者から受信されたフィードバックメッセージが前記訓練済みモデル(22)を訓練するために使用される場合、支払われるべき前記割当額を減額するように前記支払アプリケーションが適応される、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法を実装するように適応される、請求項9乃至11の何れか一項に記載のシステム。
【請求項13】
チャットシステム(20)上の作業負荷を低減するためのマイクロペイメントシステムの使用であって、前記チャットシステムは、前記チャットシステム内で発行された質問に応答するための少なくとも1つの訓練済みモデル(22)、とりわけ自己回帰言語モデル、好ましくはディープラーニングモデルを含む、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、クライアント要求に対する応答を提供するための方法及びチャット会話を提供するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
オンラインチャット会話を提供するためのシステムが知られている。近年、人間との間で行われるチャットに参加するチャットボット又はチャッタボットを有することがますます普及している。近年、サービス業では顧客の要求に応えるために、例えば価格、サービス条件等に関する簡単な質問に答えるためにチャットボットを使用することが発展している。人間がより複雑で高度な質問に対応することができるように、それぞれのチャットボットは、人間のサービス担当者の作業負荷を低減し、最も基本的な質問を除去する役割を果たす。
【0003】
ニューラルネットワーク等の訓練済みモデルの一層の進歩に伴い、より複雑な質問に対応する所謂チャットボットの能力が高まった。2022年11月にOpen AIはChatGPTとしても知られるChat Generative Pre-Trained Transformerを発表した。ChatGPTは、ディープラーニングによって生成された自己回帰言語モデルを使用して、人間のようなテキストを生成するチャットボットを提供する。それぞれのソフトウェアにより、技術は既定の質問に答える分野からより長いテキストを生成できる領域へとシフトした。
【0004】
高度な回答を提供しテキストを生成するために、ChatGPT等のアプリケーションは膨大な計算力を必要とし、従って過大なエネルギー量を消費する。従って、かかるシステムの使用を調整するための経済的に賢明な手法を提供する必要が高まっている。
【0005】
消費される計算力を収益化するための手法が利用可能である(例えばhttps://azure.microsoft.com/en-us/pricing/calculator/)。しかし、これらの手法は負荷分散につながる動機を提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来技術を所与とし、本願の目的はクライアント要求に対する応答を提供するための改善された方法を提供することである。具体的には、本方法はリソースの使用を効果的に可能にするものとする。更に、適切な使い勝手が確保されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、それぞれの問題を請求項1による方法、請求項9によるシステム、及び請求項8によるコンピュータ可読媒体によって解決する。
【0008】
具体的には以下のステップ、つまり
a)クライアント装置からインタフェース上でクライアント要求を受信すること、
b)要求を発行したユーザ及び/又はクライアント装置のクライアント識別情報を決定すること、
c)要求に応答するためのコストを決定することであって、好ましくは要求に対する応答を計算するのに必要な電力及び/又はクライアント要求に対する応答を少なくとも部分的に計算するのに必要な計算力を計算することを含む、決定すること、
d)決定したコストに基づいてクライアント装置にコスト指示を伝送すること、
e)訓練済みモデル、とりわけ自己回帰言語モデル、好ましくはディープラーニングモデルを使用してクライアント要求に対する応答を計算すること、
f)応答をクライアント装置に伝送すること、
g)応答の伝送に対して支払われるべき金額を、好ましくは金額の支払いを同時に要求することなしにクライアント識別情報を使用して割り当てることであって、金額は好ましくはステップd)で伝送されたコスト指示と相関する、割り当てること、
h)特定のクライアント識別情報に対する総割当額をモニタすること、
i)支払要求を伝送することであって、支払要求は総割当額が(所定の)閾値金額を超えたとき、特定のクライアント識別情報に割り当てられた総割当額を少なくとも部分的に決済するためのものである、伝送すること
を含む、クライアント要求に対する応答を提供するための方法によって問題を解決する。
【0009】
クライアントからの要求は、画像、テキスト、及び/又は音声/映像データを含み得る。それに対応し、応答はテキスト、画像、又は音声/映像データとすることができる。受信されるクライアント要求は、チャットプログラムで一般的なように、例えばウェブインタフェースによって生成されるクライアント要求であり得る。或いはそれぞれの要求は、他の任意の手段によって、例えばMicrosoft Word等の作業処理ソフトウェア、描画プログラム、車両又は他の任意の種類の装置内で実行されるソフトウェアによって生成され得る。
【0010】
一実施形態では、本方法又は添付の特許請求の範囲に記載するシステムは、拡張現実を確立するために使用される装置によってアクセス可能である。例えば現実の物体を指すことによって質問を対話的に生成することができ(例えば「これは何ですか」)、回答はそれぞれの装置によって拡張することができる。例えばそれぞれのメガネは、応答によって生成された回答を示すテキストを指摘された物体に追加する。更に、本方法又は添付の特許請求の範囲に記載するシステムは仮想現実によってアクセス可能であり得る。例えばクライアント要求は、仮想現実の中にいる間及び/又は仮想現実との任意の対話に基づいて生成することができる。一実施形態では、訓練済みモデルとの対話を提供することによって、例えば「この世界で最古の建物に連れて行ってください」という改善されたナビゲーション又は「ナポレオンの時代に合う部屋を追加してください」という生成的なアクションによって既存の仮想世界を強化することができる。
【0011】
クライアント識別情報を決定することは、割当額を特定のユーザ、例えばチャットの参加者及び/又はクライアント装置に結び付けるために必要である。本発明では、それぞれの人物に結び付く他の任意のフックがある限り人物を識別する必要はない。更に、例えば登録プロセスによって特定のユーザから多くの情報を受け取る必要もない。クライアント装置及び/又はユーザを識別するために、MACアドレス(メディアアクセス制御)及び/又はプロセッサ識別番号及び/又はハードディスク識別番号及び/又はIPアドレス及び/又はスマートフォンの一意装置識別子(UDID)等の他の一意装置番号等の任意の種類のハードウェア識別番号を使用することができる。更に、現代の通信プロトコルは、ユーザ及び/又はクライアント装置の識別を可能にするメカニズムへのアクセスを提供する。かかるメカニズムを使用してクライアント識別情報に到達することもできる。クライアント識別情報は任意の種類の数字又は文字とすることができ、必ずしも単一の装置及び/又は単一のユーザに固有である必要はない。本発明の概念によるクライアント識別情報を確立するために使用可能な幾つかの方法が、国際公開第2021259608A1号の中で論じられている。
【0012】
本発明の方法の利点のために、クライアント要求に対する応答が訓練済みモデルを使用して生成/計算されることが前提条件となる。通常、このようなモデルを適用するとメモリ及び計算力が膨大になる。正確な応答のための好ましいモデルは、ディープラーニングモデル等の自己回帰言語モデルである。
【0013】
本発明の1つの(重要な)側面は、応答を生成することが支払われるべき金額の割り当てに連動していることである。本発明によれば、金額はすぐに支払われる必要はない。負債が記録されるだけで即座にプロセスを進めることができる。
【0014】
支払いは、合計金額が一定の閾値金額に達した場合及び/又はより長期間、例えば1ヶ月又は2週間以内に支払われていない場合にのみ必要となる。
【0015】
マイクロペイメント及び/又は端数決済の概念をチャットボットの技術と組み合わせることにより、応答を生成するための非常に効率的な手法が実現される。マイクロペイメント又は端数支払いは、提供されるサービスを使用するための大きなハードルにはならないが、要求の量をフィルタし、方法を実装するサーバの負荷を低減することを可能にする。
【0016】
本発明によれば、端数支払いは、支払われるべき金額が公式通貨で利用可能な最小物理単位の端数、例えば1ユーロセントの4分の1である支払いとして定義することができる。
【0017】
一実施形態では、本方法はj)承認信号を受信するステップを含み、承認信号は、クライアント装置のユーザがクライアント要求に対する応答を受信するためのコスト指示と相関する金額の割り当てを受諾していることを示す。一実施形態では、ユーザは発生する潜在的コストを知らされ、それぞれのコストを補償するよう求められる。本発明の一実施形態によれば、それぞれのコストに対する承認が要求される。更なる実施形態では、それぞれの承認がある場合にのみ応答が提供される。
【0018】
一実施形態では、ステップf)は、応答の第1の部分を伝送すること及び応答の少なくとも第2の部分を伝送することを含む。換言すれば、応答は幾つかの部分に分割又は分離することができる。それぞれの実施形態では、既に論じたような承認信号が受信された場合にのみ、応答の第2の部分及びそれ以上の任意の部分を伝送することができる。コストを承認する前に応答の第1の部分を伝送することは、それぞれのコストを正当化するような価値を受信情報が有するかどうかをユーザが判断できるようにする。
【0019】
一実施形態では、本方法が
k)クライアント装置からインタフェース上で更なるクライアント要求を受信すること、及び
l)更なる承認信号が受信されるかどうかを判定することであって、更なる承認信号はクライアント装置のユーザが更なる応答のための更なる金額の割り当てを受諾していることを示す、判定すること、
m)ステップl)において承認信号が受信されていると判定される場合にのみ、クライアント装置に更なる応答を伝送すること
を含む。
【0020】
一実施形態では、本方法が以下のステップ、つまり
n)提供された応答へのフィードバックに対する報酬を与える少なくとも1つの勧誘メッセージを発行すること、
o)ステップf)で伝送された応答に対するフィードバックメッセージをクライアント装置から受信すること、
p)フィードバックメッセージを使用して訓練済みモデルを訓練すること、
q)フィードバックメッセージの受信に応答して支払われるべき割当額を減額すること
を含み得る。
【0021】
一実施形態では、フィードバックに対する報酬の提供が固定された金額、例えば5セント、10セント、又は1ユーロに基づく。
【0022】
別の実施形態では、例えば訓練済みモデルがフィードバックからどれだけ利益を得るか、又はフィードバックの長さ及び/又は適切さに応じてオファーが動的であり得る。
【0023】
一実施形態では、提供される報酬はユーザが回答する意思のある質問の数に結び付けることができる。
【0024】
同様に、勧誘メッセージは、報酬がそれに従って計算されるアルゴリズムを記述することができ、又は有形資産価値を提供することができる。或いは勧誘メッセージは、報酬があり、フィードバックが受信された時点で報酬が計算されることを単に表明し得る。これによれば、フィードバックメッセージを受信することに応答して特定のユーザ及び/又はクライアント装置の割当額が減額される。この場合もやはり、減額時に金額を計算することも定額を減額することもできる。
【0025】
これにより、マイクロペイメント及び/又は端数支払システムは、訓練済みモデルを改善するための動機を引き起こす。更にこの動機は、訓練済みモデルを改善するために最も必要とされるデータと共にフィードバックが収集されるように意図することができる。それによりフィードバックを制御することができる。
【0026】
一実施形態では、本方法がフィードバックメッセージの品質を決定することを含む。それぞれの品質は、品質指標、例えば数値によって記述することができる。
【0027】
一実施形態では、フィードバックの品質に応じて、そのフィードバックを使用して既存の訓練済みモデルを訓練するかどうか、及びかかるモデルにフィードバックを提供するかどうかを判断する。(別の)実施形態では、フィードバックメッセージによって提供されるフィードバックが一定の品質基準を満たす、例えば品質指標が既定の閾値を上回る場合にのみ報酬、つまり割当額の減額が与えられる。
【0028】
上述の問題は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき上記の方法の少なくとも1つを実装するための命令を有するコンピュータ可読媒体によっても解決される。上記で述べたのと同様の利点が実現される。
【0029】
更に、上記のコンピュータ可読媒体を有するシステム、及び/又はテキストメッセージ及び/又は音声メッセージによるチャット会話を提供するためのシステムによっても問題は解決される。それぞれのシステムは以下のもの、つまり:
-チャット会話の少なくとも1人の参加者を提供するためのチャットアプリケーションであって、チャット会話の少なくとも1人の更なる参加者によって発行された質問に対する応答を決定し出力するように適応される、チャットアプリケーション、
-訓練済みモデル、とりわけ自己回帰言語モデル、好ましくは応答を決定するためにソフトウェアアプリケーションによって使用されるディープラーニングモデル、
-以下のこと、つまり:
・更なる参加者及び/又は更なる参加者が使用するクライアント装置を識別するための少なくとも1つのクライアント識別情報を記憶すること、
・チャットアプリケーションが出力した応答に対して支払われるべき金額を、好ましくは金額の支払いを同時に要求することなしにクライアント識別情報を使用して割り当てること、
・特定のクライアント識別情報に対する総割当額をモニタすること、
・支払要求を伝送することであって、支払要求は総割当額が(所定の)閾値金額を超えたとき、特定のクライアント識別情報に割り当てられた総割当額を少なくとも部分的に決済するためのものである、伝送すること
を行う、支払アプリケーション
を含み得る。
【0030】
上述したコンポーネント、つまりチャットアプリケーション、支払アプリケーション、及び訓練済みモデルの全ては単一のソフトウェアコンポーネントの一部とすることができ、又はそれ自体が幾つかのコンピュータに分散され、例えばクライアントサーバアプリケーションとして互いに対話することができる別々のソフトウェアコンポーネント内に分散させることができる。
【0031】
代替的実施形態では、支払要求は、総割当額が(所定の)閾値金額を超えた場合だけでなく、金額が予め設定された閾値よりも長い時間、例えば1週間よりも長く、2週間よりも長く、1ヶ月よりも長く、3ヶ月よりも長く、6ヶ月よりも長く割り当てられている場合にも伝送することができる。
【0032】
一実施形態では、本システム、具体的には支払アプリケーションが割当額を考慮せず、時間枠のみを考慮する。
【0033】
一実施形態では、本システムが応答の少なくとも1つのコストを決定するように適応される予測アプリケーションを含み得る。それぞれの決定は以下のパラメータ、つまり
-応答を決定するための推定電力、
-応答を決定するのに必要な電力、
-応答を少なくとも部分的に決定するための推定計算力、
-応答を少なくとも部分的に決定するのに必要な計算力、
-処理時間、
-要求の優先順位、
-回答を生成するために使用されるソースの量
の1つを考慮することができる。
【0034】
一実施形態では、予測が応答を決定しているサーバの負荷に(更に)依存する。例えば計算されるコストの上昇又は下落を引き起こす重み係数があってもよく、例えば負荷が平均よりも高い場合はコストが20%増加する(重み係数=1.20)。負荷が平均よりも低い場合はコストが10%減少する(重み係数=0.90)。これにより、本発明のシステムはサーバへの負荷を時間的に均等に分散するのに役立つ。負荷のピークが回避され、そのことはより優れた平均作業負荷を有する設定を確立するのに役立つ。
【0035】
電力及び/又は計算力を推定するために、本システムは、以前の要求に応答するための及び/又は以前の応答を生成するための電力消費量及び/又は所要の計算力を考慮した適切なモデルを提供することができる。ここでも訓練済みモデルを使用することができる。
【0036】
一実施形態では、本システムは、フィードバックメッセージに基づいて訓練済みモデル、具体的には応答を提供するための訓練済みモデルを訓練するための訓練アプリケーションを含み、更なる参加者から受信されたフィードバックメッセージが訓練済みモデルを訓練するために使用される場合、支払われるべき割当額を減額するように支払アプリケーションが適応される。この場合もやはり、それぞれのフィードバックを使用してモデルを改善することができる。一実施形態では、ユーザは自らがそれまでに費やした金額を上回るクレジットを提供され得る。
【0037】
一実施形態では、本システムは、上記で解説した本発明の方法と組み合わせて説明したステップの少なくとも1つを実装するように適応される。
【0038】
上記の所与の問題は、チャットシステム上の作業負荷を低減するためのマイクロペイメントシステム及び/又は端数支払システムを使用することによって解決することもできる。それぞれのチャットシステムは、そのチャットシステム内で発行された質問に応答するための少なくとも1つの訓練済みモデル、とりわけ自己回帰言語モデル、好ましくはディープラーニングモデルを含み得る。
【0039】
それぞれの使用は、上記で論じたのと同様の効果及び利点を提供する。
【0040】
更なる実施形態を従属請求項の中で論じる。
【0041】
次に、本発明を幾つかの例示的実施形態を使用して、及び図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】インターネットによって接続されたクライアント装置、チャットシステム、及び支払システムを示す。
図2図1による支払システムの幾つかのコンポーネントを示す。
図3図2による支払システムの例示的なデータ構造を示す。
図4】クライアント要求に対する応答を提供するための方法の例示的な図を示す。
図5図1で解説するチャットシステムの幾つかのコンポーネントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、本発明によるシステムを示す。クライアント装置10、例えばラップトップ、PC、又は携帯端末がネットワーク、この事例ではインターネット1を介してチャットシステム20に接続される。チャットシステム20及びクライアント装置10は、インターネット1を介して支払システム30、好ましくはマイクロペイメントを行うための支払システム30とも通信可能に接続される。通常、他の多数のシステムがインターネット1に接続される。
【0044】
チャットシステム20は、ユーザ/参加者がリアルタイム/ニアタイムで互いに通信することを可能にするソフトウェアプログラムであり得るチャットアプリケーション21(図5)を含み得る。
【0045】
一実施形態では、チャットアプリケーション21が顧客サービスのチャットボットを提供する。チャットボットは、自動応答を提供することによって顧客の問い合わせ又は問題を支援するように設計されている。チャットシステムは企業のウェブサイト又はモバイルアプリと統合することができ、より複雑な問題に対して適切な部署に顧客を誘導すること等、顧客からの問い合わせを処理するために使用することができる。
【0046】
別の実施形態では、チャットボットは顧客フォームへの記入を支援すること及び損害報告書のテキストを生成すること等のより高度なタスクに従事するように設計される。更に、チャットボットは、特定の問題を解決するためにプログラム言語でサンプルコードを生成すること、及び/又はユーザがチャットアプリケーション21への要求内で提供する特定の場合のための個々の文字を生成すること等の他のサービスを提供することができる。
【0047】
チャットアプリケーション21は、訓練済みモデル22(図5)を使用して、要求によって提供される特定の質問に対する回答を生成することができる。一実施形態では、訓練済みモデル22は例えばGPT(Generative Pre-trained Transformer)モデルの変種等の大規模な言語モデルである。訓練は、人間のようなテキストを生成するために大量のテキストデータに基づいてモデル22を訓練する訓練アプリケーション23によって実行することができる。チャットアプリケーション21は、テキスト生成、言語翻訳、及び質問応答等の幅広い自然言語処理(NLP)タスクに使用するように適応され得る。
【0048】
一実施形態では、チャットアプリケーション21は、幅広い様式及びフォーマットで一貫した流暢なテキストを生成するように適応される。かかるチャットアプリケーション21は創造的な文章から技術文書まで、あらゆるものを生成することができ、様々な文体及び声を模倣することさえできる。
【0049】
一実施形態では、チャットアプリケーション21が文脈を理解するように及び文脈に応答するように適応される。訓練済みモデル22は、幅広いトピックや文体をカバーするような大量のテキストデータに基づいて訓練されているため、与えられた入力の文脈を理解し、適切な応答を生成することができる。このことは、訓練済みモデル22を質問応答及びダイアログ生成等のタスクのための強力なツールとする。
【0050】
一実施形態では、チャットアプリケーション21、とりわけ訓練済みモデル22は、より小さな領域特化型のデータセットに基づいて訓練することにより、特定のタスク及び業界向けに微調整される。これにより、特定の使用事例に対して、より正確で適切な応答が可能になる。例えば顧客サービスの問い合わせのデータセットに基づいて訓練済みモデル22を微調整することは、顧客の問い合わせを理解しそれに応答する訓練済みモデル22の能力を改善することができる。
【0051】
一実施形態では、チャットアプリケーション21が、音声アシスタント等のより高度で対話的なアプリケーションを作成するために統合される音声認識及び音声変換システム等の他の技術を使用する。
【0052】
一実施形態では、チャットアプリケーション21にGPT-3が統合されている。GPT-3は、GPT-2の更に高度なバージョンであり、1750億個のパラメータを含む。これにより、チャットアプリケーション21は言語翻訳、要約、質問応答、及びテキスト補完を含む広範な言語タスクを如何なる微調整もなしに実行することができる。それぞれの実装形態は、チャットアプリケーション21をコンテンツ作成に使用することを可能にする。
【0053】
チャットアプリケーション21のフロントエンドは、アプリケーション及びアプリケーションがその上で使用されているプラットフォームに応じて様々な形を取ることができる。一実施形態では、チャットアプリケーション21のフロントエンドは、ユーザがテキストボックス内にテキストを入力し、別のテキスト領域内で出力を受け取ることを可能にするウェブベースのインタフェースである。
【0054】
或いは、仮想現実又は拡張現実の環境内で入力を収集することができる。かかるフロントエンドは、ユーザが音声を入力し、合成音声の形で出力を受け取ることを可能にするモバイル装置用のアプリケーションとすることもできる。同様に、応答は仮想現実又は拡張現実の環境内で利用可能にされ得る。
【0055】
一実施形態では、チャットアプリケーション21のフロントエンドが、ユーザ体験を改善するための幾つかの特徴及び機能を含む。例えばかかる特徴及び機能は、ユーザが以前の会話を再び容易に参照することを可能にする以前の対話の履歴を含む。かかる特徴及び機能は、テキストの書式設定及び画像又は他のファイルを添付する能力等の機能も含み得る。
【0056】
チャットアプリケーション21のフロントエンドは、HTML、CSS、及びJavaScript等の様々な技術を使用して構築することができる。これらの技術は、対話型の及び応答型のウェブベースインタフェースを作成するために使用される。
【0057】
一実施形態では、訓練済みモデル21が大量のテキストデータに基づいて訓練され、これは訓練済みモデル21が多数のパラメータを有することを意味する。一実施形態では、訓練済みモデル21が約1000億個のパラメータを有し得る。訓練済みモデル21が大きければ大きいほど、入力を処理し応答を生成するのにより多くの計算力が必要になることは明らかである。
【0058】
一実施形態では、チャットシステム20が、特定の要求に応答するのに必要な計算力を推定するための予測アプリケーション24を含む。
【0059】
入力及びタスクの複雑さも、必要な計算力を決定する際の重要な要素である。予測アプリケーション24は、過去の測定値を使用して新しい要求に必要な計算力を予測することができる。質問の長さ及び種類も考慮することができる。
【0060】
提供された回答に対する補償を受け取るためにチャットシステム20が支払システム30を使用することは、本発明の一態様である。
【0061】
支払システム30は、識別装置31、チャットシステム20及び/又はクライアント装置10との通信を可能にするためのインタフェース装置32、メモリ装置33、及び処理装置34を含む。支払システム30は、ユーザが柔軟且つ便利なやり方であらゆる種類のデジタル商品及びサービスを購入することを可能にし得るデジタル支払プラットフォームである。支払システム30は、ユーザがオンライン記事、電子書籍、音楽、及びビデオゲーム等のデジタルコンテンツに対し、購入の度に自らのクレジットカードの詳細を入力する必要なしに支払いを行うことを可能にする。
【0062】
一実施形態では、支払システム30は、ユーザが例えばクレジットカード番号等の任意の支払情報を用いて潜在的に匿名のアカウントを作成し、その後、購入を行うために使用可能な一定の金額を事前に承認する/割り当てることを可能にすることによって機能する。この事前承認された/割り当てられた金額は、クレジットカード又は他の支払方法を使って後の段階で決済することができる。これにより支払システム30は、これらの金額が好みの支払方法から直ちに引き落とされることなしに、少額で段階的な支払いを行うことを著しく容易にする。
【0063】
一実施形態では、支払システム30は、支払システム30と統合されたあらゆるウェブサイト上で購入を行うように適応される。承認は、支払うべき金額を割り当てる「つけにしておく」ボタン又はリンクをクリックすることによって与えることができる。使用可能な支払システム30の幾つかの実施形態が欧州特許第2476087B1号の中で論じられている。
【0064】
支払システムは、ユーザがクレジットカードの詳細を毎回入力する必要なく、柔軟且つ便利なやり方でデジタル商品及びサービスを購入することを可能にするデジタル支払プラットフォームであり得る。かかる支払システムは、ユーザが一定の金額を事前に承認することを可能にすることができ、その承認された金額を使用して、購入を確約する前にデジタル商品及びサービスを購入し試すことができる。支払システムは、小売商が自らの電子商取引システムにプラットフォームを統合するための様々なツールも提供し得る。
【0065】
図2は、支払システム30の個々のコンポーネントを示す。本発明の一実施形態による支払システム30は、クライアント装置10又はユーザの少なくとも1つの識別番号を記録するための識別装置31と、チャットシステム20又は他の任意の小売商システムからの口座引落し注文を受信及び確認するためのインタフェース装置32であって、引落し注文はチャットシステム20又は他の任意のシステムに支払われるべき金額に関する情報を含む、インタフェース装置32と、割当額を関連する識別番号IDと共に記憶するためのメモリ装置33と、入力される要求を処理するための処理装置34とを有する。
【0066】
一実施形態では、支払システム30は、純粋にMACアドレスに基づいてユーザ装置10を識別するように適応される。このため、メモリ装置33は支払われるべき金額を対応するMACアドレスと共に記憶する。そのために、支払システム30は対応するテーブルが保持される対応するデータベースを含む。かかるデータベース内に保持されるテーブルからの例示的な抜粋を図3に示す。前述のテーブルは例えば3つの列、具体的にはクライアント装置10又はユーザの識別情報を含む第1の列、引き落とされるべき金額を含む第2の列、及び口座引き落とし注文が支払システム30によって受信された日付を含む第3の列を含む。図3のテーブルの各行は口座引き落とし注文に対応する。従って図3のテーブルから、2009年7月1日に、識別番号222に対して20ユーロセントが引き落とされた/割り当てられたと読み取ることができる。更に2009年9月20日には、同じMACアドレスに対して5ユーロセントが引き落とされている。
【0067】
処理装置34は、これらのエントリを使用して特定の識別番号IDの引き落とし額(割当額)から総支払額を決定することができる。例えば識別番号222の総支払額は25ユーロセントとなる。
【0068】
従って支払システム30は、例えば特定のユーザが0.29ユーロ又は1ユーロ又は10ユーロを上回る場合に自らの債務を決済しなければならないように構成され得る。
【0069】
図4は、チャットシステム20と支払システム30との間の対話を示す本発明のプロセスの一実施形態を記載する。ステップ101で、チャットアプリケーション内のユーザ又は参加者の識別情報を決定する。それぞれの決定プロセスは、先に説明したように支払システム30の識別装置31によって、又はチャットシステム20、例えばチャットアプリケーション21によって行うことができる。識別がチャットシステム20側で行われる場合、特定のユーザ/参加者との金額を後で割り当てるために、それぞれの識別情報又はそこから導出される他の任意の識別情報を支払システム30に渡す必要がある。
【0070】
ステップ102で、チャットシステム、より正確にはチャットアプリケーション21がユーザからの要求を受信する。この要求は、アメリカの発見に関する1500語のエッセイを書くことであり得る。
【0071】
一実施形態では、予測アプリケーション24が、例えば以前に回答されているその語数のエッセイを書くための同様の要求を考慮することにより、要求に応答するためのコストを推定する。これを行うために、チャットシステム20は要求に関係する計算力のログを取ることができる。
【0072】
或いは又は加えて、要求はそれぞれの計算を実行するのに必要な一定のエネルギー消費量又は他の物理的パラメータに結び付けることができる。一実施形態では、推定コストがユーザに出力され、ユーザはそれぞれのコストを負担する意思があるかどうかを尋ねられる(ステップ103)。ステップ104で、ユーザからの応答を収集し、ユーザが例えば承認メッセージによって支払いを承認するかどうかを判定する。ステップ105で、チャットシステム20は支払システム30と関わり、収集されたユーザの識別情報及び最初の要求に対する応答を決定するためのコストを渡すことができる。その段階で、支払システム30は、先に論じたように如何なる即時送金も要求することなく、特定のユーザのためにそれぞれの金額を割り当てることができる。不図示のフィードバックステップにおいて、支払システム30はそれぞれの金額が割り当てられたことをチャットシステム20に確認することができる。支払システム30がそれぞれの取引を確認する条件下で、チャットアプリケーション21はステップ106で要求に対する応答を出力することができる。例えば約1500語を含む完全なエッセイがユーザに転送され得る。
【0073】
ステップ107で、チャットシステム20又はチャットアプリケーション21が、受信された応答に対するフィードバックを提供するようユーザに勧めることができる。一実施形態では、かかるフィードバックは、応答が満足のいくものであったかどうかの声明だけを含み得る。或いは応答は、例えば様々な数値を用いて、非常に良いから非常に悪いまで評定することができる。(好ましい)実施形態では、ユーザが文書でのフィードバック(例えば「エッセイは素晴らしいが事実を確認する必要がある。コロンブスは1492年にアメリカに到着した」)を提供することができる。このような状況では、ステップ114でユーザからのフィードバックをチャットシステムによって確認することができる。フィードバックの品質が高いと仮定し、それぞれの応答を生成するために使用された訓練済みモデル22がフィードバックを使って訓練され得る(ステップ115)。それぞれの訓練はオンライン又はオフラインで行うことができる。
【0074】
一実施形態では、フィードバックが、フィードバックの正しさを検証するリソースを指す参照、例えばURI又はURLを含む。
【0075】
フィードバックの品質が高く訓練に使用された場合、又は訓練に使用されることが意図される場合、ユーザに報酬を与えることができる。かかる報酬は、支払システム30によって記憶された割当額の合計を一定額減額するものであり得る。これを行うために、チャットシステム20は、例えばインタフェース装置32上で支払システム30と再び対話し、ユーザの識別情報及び貸方に記入すべき金額を支払システムに知らせる。一実施形態では、その識別情報に結び付いたアカウントにクレジットを割り当てることができる。
【0076】
ステップ104でユーザがクライアント要求に対する応答に支払う意思がないことを示す場合、ステップ113でその応答が拒否され得る。或いはユーザは異なる手段によって、例えばコマーシャルを視聴すること、及び/又は身元の詳細を提供すること、及び/又は一定量の質問に応答することによって応答を補償するように勧められ得る。
【0077】
一実施形態では、ステップ104は、要求に対するユーザの支払いの意思及び/又はコマーシャルを視聴する意思及び/又は補償のための他の任意のアクションを実行する意思に遭遇する。
【0078】
一実施形態では、コストは応答を決定するのに必要な参照の量、及び/又は参照(コンテンツ/リソース)を使用するために他のユーザに支払わなければならない補償の金額に基づいて計算される。
【0079】
それぞれの実施形態において、チャットシステム20、具体的には訓練アプリケーション23は、訓練済みモデル22の訓練に使用されたリソースを追跡することができる。システムは、訓練に使用された参照のそれぞれに対して補償を提供することができる。例えばマイクロクレジット/マイクロペイメントを提供することにより、それぞれの参照/参照プロバイダに静的に補償することができる。それぞれのクレジットは、それぞれのリソースがどの程度の情報を提供したのかに単純に依存し得る。
【0080】
(別の)実施形態では、例えば特定の応答を生成するのに使用されたリソースを追跡することによって報酬が動的に決定され得る。この場合もやはり、それぞれのリソース/リソースプロバイダは、定額及び/又は特定の応答のために特定のリソースから導出された情報の量に依存する動的金額で報酬を得ることができる。
【0081】
訓練済みモデル22がテキストブロックを使用する生成モデルである一実施形態では、テキストブロックのそれぞれを1つ又は幾つかのリソースに結び付けることができる。それぞれのテキストブロックが応答に使用されると仮定し、相関するリソースを補償することができる。他の生成的な(事前に訓練された)変換モデルでは、特定の応答をトリガしたリソースを識別することがかなり難しい場合がある。それでもなお、それぞれの評価を行い、適切な補償を割り当てることが可能である。
【0082】
上記で論じた実施形態では、補償の支払いがシステムの使用に対するユーザの支払いの意思に基づき得る。別の実施形態では、それぞれの関係が存在しないことがある。この場合もやはり、特定のリソースに補償を提供するために支払システム30に関して論じたような支払いが使用され得る。
【0083】
一実施形態では、補償及び/又は訓練の時点でそれぞれのリソースの著者が識別可能でない場合がある。従って本システムは、一実施形態では特定のリソースに対して匿名で蓄積されている報酬を請求する選択肢を提供する。それぞれの補償を請求することは、それぞれのリソースのコンテンツが補償を請求している特定の当事者(コンテンツプロバイダ)によって制作されていることを証明することを含み得る。
【0084】
或いは、ステップ114でフィードバックの品質が低いと評価された場合、報酬が提供されない場合がある。その代わりに、チャットアプリケーション21に更なる要求を発行するかどうかを決めることができるダイアログ又はシナリオにユーザを直ちに入れることができる。その場合、本プロセスはチャットアプリケーション21が別の要求を受信するステップ102から再開される。
【0085】
一実施形態では、ステップ108を終了した後(更なる質問はない)、(例えばステップ105における)割当額を支払いによって決済するよう支払システムによって要求され得る。代替的実施形態では、図4に示すように、支払システム30は割当額が閾値金額を超えるかどうかを確認する。閾値金額を超える場合、支払システム30はユーザに割当額を決済するよう勧める。さもなければ、ユーザは例えば他のデジタルコンテンツを消費することによって、又は後の段階でチャットシステム20に戻ることによって自由に続行することができる。
【0086】
一実施形態では、ステップ104は、システムをその間使用することができる1日パス又は一定量の質問/クライアント要求及び/又は一定量の時間によって制限される他のパスを受け取る選択肢を含み得る。一実施形態では、ユーザが最初の質問をより正確に指定し及び/又は最初の質問を修正する反復プロセスにおいて応答が生成される。コストの推定は、質問が更に定義又は修正される幾つかの反復サイクルに及び得る。
【0087】
別の実施形態では、ステップ104でコストの推定を行わない場合がある。ユーザは、応答を受信した後(ステップ106の後)、一定額の割り当てに合意するよう勧められ得る。割当額は、実際に測定された消費値(計算された及び/又は消費された電力)又は固定値に基づくことができる。更に別の実施形態では、応答に対する任意の金額を割り当てる前に応答を部分的に配信することができる(ステップ105)。第2の部分は、割り当てが行われ、及び/又はユーザがかかる割り当てに合意した後でのみ配信され得る。
【0088】
更に、上述した実施形態の何れにおいても、ステップ117を伴う又は伴わないステップ111による確認がより早い時点、例えばステップ104の直後に実行され得る。従って、ユーザがそれぞれの応答に対して支払う意思があることを示す度に(ユーザの)「信用度」が確認されることになる。既に割り当てられている金額が閾値を超える、又は即時支払いのための他の基準を満たす状況では、例えばステップ117でユーザが割当額を決済するまでプロセスが中断され得る。
【0089】
更に本発明の方法は、ステップ107、及びその後のステップ114、115、及び116なしで実装することもできる。
【0090】
上記で解説した実施形態では、チャットシステム20と支払システム30との間に物理的な分離がある。しかし本発明は、前述の物理的な分離なしに実装することもできる。必要な全てのソフトウェアコンポーネントが単一のハードウェア上で実行され得る。更に上記の説明では、異なるソフトウェアコンポーネント、例えばチャットアプリケーション21、訓練アプリケーション23、予測アプリケーション24を別々に名付けている。しかし本発明の一部として、支払システム30を実装するのに必要なコンポーネントと共にこれらのコンポーネントの全ては、それぞれのシステム20、30を実装するとき課される実装の好み及び/又は他の要件に応じて、単一のソフトウェア片とすることができ又は異なるソフトウェアコンポーネント内に分離することもできる。
【0091】
本発明によれば、自然言語処理(NLP)技法及び機械学習(ML)アルゴリズムの組み合わせを使用してデジタルコンテンツの自動品質確認を実装することができる。1つの可能な手法は、文法、スペル、及び読みやすさ等の特徴をデジタルコンテンツから抽出するためにNLPを使用することである。次いでそれらの特徴を、高品質及び低品質のコンテンツのデータセットに基づいて訓練されている決定木又はニューラルネットワーク等のMLモデル内に供給することができる。モデルは自らが抽出する特徴に基づいて新しいコンテンツの品質を予測することができる。別の手法は、GPT-3等の事前に訓練された言語モデルを使用してデジタルコンテンツの一貫性、流暢さ、及び構造を確認することである。更に、以前の応答及び/又は質問、チャットコミュニケーションの経過も考慮することができる。
【0092】
一実施形態では、デジタルコンテンツの自動品質確認(ステップ114)は、提供された情報が正確で信頼できることを保証するために、コンテンツをウィキペディア等の既存のデータベースと少なくとも部分的に照合することである。一実施形態では、かかる確認は提供されたデジタルコンテンツ(フィードバック)から主要なエンティティ及び概念を抽出し、次いでそのエンティティ及び概念をデータベース内の対応するエントリと比較するためにやはりNLP技法を使用して行うことができる。
【0093】
例えば本システムは、人物、場所、日付、及び組織等の名前付きエンティティを識別し、それらがことによるとチャット会話の中で使用されたのと同じ文脈でウィキペディア内に存在するかどうか確認することができる。本システムは重要な概念を抽出し、それらが文脈内で正しく定義され使用されているかどうかを確認することもできる。システムが任意の矛盾又は誤りを発見した場合、潜在的に低品質であるものとしてコンテンツにフラグを立てることができる。
【0094】
加えて本システムは、センチメント分析を使用してコンテンツのトーン及びセンチメントを確認し、コンテンツが適切であること及び攻撃的又は偏ったものでないことを確実にすることができる。
【0095】
最後に本システムは、フィードバックを評価する人間の編集者によって提供されるフィードバックから継続的に学習することによって適応的であるように及び経時的に改善されるように設計され得る。
【0096】
支払システム30は、不換通貨及び/又は仮想通貨の支払いを処理するように適応され得る。支払いは、マイクロペイメント及び/又は端数支払いであり得る。
【0097】
更に、上記で既に論じたように、ステップ117は(仮想通貨又は不換通貨による)本来の支払いに対する代替策を提供することができ、例えばユーザは割当額を補償するために、上記で既に論じたように一定のアクションを実行することを要求され得る。
【0098】
この時点で、上述した全ての部分は、特に図示した詳細を単独で及び任意の組み合わせで検討した場合に本発明に関連すると主張されることに留意すべきである。
【符号の説明】
【0099】
参照符号
1 インターネット
10 クライアント装置
20 チャットシステム
21 チャットアプリケーション
22 訓練済みモデル
23 訓練アプリケーション
24 予測アプリケーション
30 支払システム
31 識別装置
32 インタフェース装置
33 メモリ装置
34 処理装置
ID 識別番号
101 ステップ101:参加者の識別情報を決定する
102 ステップ102:要求の受信
103 ステップ103:要求に応答するためのコストを推定する
104 ステップ104:参加者が要求に対して支払う意思があるか
105 ステップ105:応答に対する金額を割り当てる
106 ステップ106:応答を生成し出力する
107 ステップ107:参加者は応答に満足しているか
108 ステップ108:更なる質問はあるか?
111 ステップ111:割当額が閾値を超えたか?
113 ステップ113:応答を拒否する
114 ステップ114:フィードバックの品質を確認する
115 ステップ115:フィードバックを使ってモデルを訓練する
116 ステップ116:割当額を減額する
117 ステップ117:支払いの開始
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】