(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110943
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】3次元メッシュと発泡体とを含む複合体インプラント並びにこれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/08 20060101AFI20240808BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A61F2/08
A61L31/14
A61L31/14 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024011553
(22)【出願日】2024-01-30
(31)【優先権主張番号】23305144
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】597147278
【氏名又は名称】ソフラディム・プロダクション
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ガエタン エム. ゲラン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ エム. スルニ
【テーマコード(参考)】
4C081
4C097
【Fターム(参考)】
4C081AC01
4C081CA17
4C081CD02
4C081CD08
4C081DA16
4C081DB03
4C081DC03
4C097AA21
4C097BB01
4C097CC03
4C097DD01
4C097DD14
4C097EE01
4C097EE07
4C097FF05
4C097MM01
(57)【要約】
【課題】3次元メッシュと発泡体とを含む複合体インプラント並びにこれに関連する方法を提供すること。
【解決手段】本開示は、全般的に、軟組織の修復又は治療用に構成された複合体インプラントに関し、複合体インプラントは、1つ以上のフィラメント及び/又はグリップ部材とこれに適用された圧縮性発泡体とを有する3次元メッシュを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元複合体インプラントの製造方法であって、
湿潤発泡材料と略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせて湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成することと、
前記湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の第1の側に第1の型を適用し、前記略平坦植え込み可能外科用メッシュを3次元植え込み可能外科用メッシュに変化させ、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を形成することと、
前記湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を乾燥させて乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成することと、
前記乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントから前記型を取り外すことと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記湿潤発泡材料と前記略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせることは、前記略平坦植え込み可能外科用メッシュの第1の面に沿った複数のフィラメントに前記湿潤発泡材料を直接適用して前記略平坦植え込み可能外科用メッシュ上に湿潤発泡材料の層を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の前記第1の側に前記第1の型を適用することは、前記湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の第2の反対の側に第2の型を適用することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の型は中実型であり、前記第2の型は多孔質型である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の型の外縁部に沿ってストラップ及び閉鎖部品を追加すること、1つ以上のクランプによって前記湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体に前記第1の型を固定すること、又はこれらの両方を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
乾燥後、前記第1の型、前記ストラップ、前記閉鎖部品、又は前記1つ以上のクランプのうちの少なくとも1つを取り外すことを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を乾燥させることは、前記湿潤発泡材料及び前記3次元植え込み可能外科用メッシュをオーブン内で乾燥させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記3次元複合体インプラントの前記乾燥発泡体は、前記3次元植え込み可能外科用メッシュの非平坦構成を変化させることなく、第1の厚みを有する第1の発泡体構成から前記第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の発泡体構成に移行するように構成された乾燥圧縮性発泡体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記略平坦植え込み可能外科用メッシュは、前記略平坦植え込み可能外科用メッシュの前記第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む略平坦自己固定式メッシュである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせる前に、フレームアセンブリと前記湿潤発泡材料とを組み合わせることであって、前記フレームアセンブリは、フレームキャビティを画定するフレームと第1の不活性材料シートとを含む、フレームアセンブリと前記湿潤発泡材料とを組み合わせることと、
前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせる前に前記フレームを取り外すことと、
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フレームアセンブリと前記湿潤発泡材料とを組み合わせることは、前記フレームキャビティ内及び前記第1のシートの上に湿潤発泡材料の層を注入すること、任意選択的に平坦化することを含み、前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせることは、前記略平坦自己固定式メッシュの前記第1の面上に配置された前記複数のグリップ部材を前記湿潤発泡材料の層に適用することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記略平坦自己固定式メッシュの前記複数のグリップ部材を前記湿潤発泡材料の層に適用することは、前記略平坦自己固定式メッシュの前記第1の面の反対側の第2の面をローラで圧延することにより前記複数のグリップ部材を前記湿潤発泡体に埋め込むことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせる前に、フレームアセンブリと前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせることであって、前記フレームアセンブリは、フレームキャビティを画定するフレームと第1の不活性材料シートとを含む、フレームアセンブリと前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせることと、前記湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体に前記第1の型を適用する前に、前記フレームを取り外すこととを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記フレームアセンブリと前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせることは、前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせる前に、前記略平坦自己固定式メッシュの少なくとも一部分を前記第1のシート上及び前記フレームの前記フレームキャビティ内に配置することを含み、前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせることは、前記略平坦自己固定式メッシュの前記第1の面上に配置された前記複数のグリップ部材上に発泡材料の層を注入することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記乾燥発泡体が水和又は吸収されるにつれて、前記3次元植え込み可能外科用メッシュを前記略平坦植え込み可能外科用メッシュに変化させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
第1の面と第2の反対側の面とを含む3次元植え込み可能外科用メッシュと、
前記3次元植え込み可能外科用メッシュの前記第1の面に沿った複数のフィラメントに取り付けられた3次元乾燥発泡体と、
を含む、3次元複合体インプラント。
【請求項17】
前記3次元植え込み可能外科用メッシュは、前記第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む自己固定式メッシュであり、前記複数のフィラメントは前記複数のグリップ部材を画定する、請求項16に記載の3次元複合体インプラント。
【請求項18】
前記3次元乾燥発泡体は、前記3次元乾燥発泡体に圧力が加えられると、前記3次元植え込み可能外科用メッシュの非平坦構成を変化させることなく、第1の厚みを有する第1の発泡体構成から前記第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の発泡体構成に移行するように構成された圧縮性発泡体である、請求項16に記載の3次元複合体インプラント。
【請求項19】
前記3次元植え込み可能外科用メッシュは、前記3次元乾燥発泡体が水和又は吸収されると、略平坦植え込み可能外科用メッシュに変化するように構成されている、請求項16に記載の3次元複合体インプラント。
【請求項20】
軟組織の修復のための3次元複合体インプラントであって、
前記3次元複合体インプラントは、修復を必要とする前記軟組織の創傷の近傍の患者の植え込み部位に挿入されるように構成されており、前記軟組織の前記創傷にわたって留置されるように構成されており、
前記3次元複合体インプラントは、第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有するメッシュと、前記メッシュの前記第1の面から延びる複数のグリップ部材とを含み、前記複数のグリップ部材のそれぞれは、前記メッシュに取り付けられた第1の端部と前記メッシュに固定されていない第2の端部との間に延びる本体と、前記複数のグリップ部材の少なくとも前記第2の端部を覆っている圧縮性発泡体とを含み、前記圧縮性発泡体は、前記圧縮性発泡体の一部分に圧力を加えることに応じて、第1の厚みを有する第1の発泡体構成から前記第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されており、それにより前記複数のグリップ部材の少なくともいくらかの部分の前記第2の端部を露出させ、前記グリップ部材は、非活動的なグリップ構成からグリップ構成に移行し、前記インプラントを前記軟組織に固定するように構成されている、3次元複合体インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、3次元(例えば非平面)構成の植え込み可能外科用メッシュとその上に配置された発泡体とを含む複合体インプラントに関し、特に、1つ以上のグリップ部材と少なくとも1つ以上のグリップ部材上に配置された発泡体とを含む3次元自己固定式メッシュを含む複合体インプラントに関する。複合体インプラントは、軟組織の開口若しくは創傷の治療又は修復に適している。
【背景技術】
【0002】
追加の固定を使用しない、生物学的組織又はメッシュの異なる部分に対する直接的な固定を確実にするための高分子グリップを含む略平坦植え込み可能外科用メッシュは周知である(例えば(特許文献1)を参照)。グリップのない、略3次元構成に熱成形される外科用メッシュも周知である(例えば(特許文献2)を参照)。一般に、単に理論によって限定されることを意図するものではないが、記載の熱成形プロセス及びそれに関連する高温は、3次元構成に熱硬化させた場合に周知の略平坦メッシュの高分子フィラメント及び/又はグリップを損傷する可能性がある。したがって、フィラメントは弱化する可能性がある及び/又はグリップは組織若しくはメッシュに直接取り付けることができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,331,199号明細書
【特許文献2】米国特許第10,675,137号明細書
【特許文献3】米国特許第6,596,002号明細書
【特許文献4】米国特許第9,750,595号明細書
【特許文献5】米国特許第9,186,235号明細書
【特許文献6】米国特許第9,510,927号明細書
【特許文献7】国際公開第2001/081667号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本開示の1つの目的は、フィラメント及び/又はグリップの損傷を回避するために、発泡体(及び/又は複合体インプラント)を用いて3次元構成に維持される植え込み可能外科用メッシュを形成及び/又は使用する方法を提供することである。別の目的は、組織又はメッシュの異なる部分に直接取り付けられるように構成されたグリップを含む3次元自己固定式メッシュ(及び/又は複合体インプラント)を形成及び/又は使用する方法を提供することである。別の目的は、組織又はメッシュの異なる部分に直接取り付けられるように構成されたグリップを含む3次元自己固定式メッシュ(及び/又は複合体インプラント)を提供することを含む。メッシュは、熱成形又は熱硬化させなくてもよい。更に、グリップは、組織又は他のメッシュに取り付けられたままであるように構成されているため、別の目的は、3次元メッシュ(及び/又は複合体インプラント)のグリップをいつ及び/又はどこで組織又はメッシュの他の部分に能動的に取り付けることができるかを制御することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、軟組織修復に適した3次元複合体インプラントについて記載し、複合体インプラントは、3次元植え込み可能外科用メッシュ(3次元植え込み可能外科用メッシュから延びるグリップ部材を有する又は有しない)と、植え込み可能外科用メッシュの少なくとも1つの面上に配置された3次元乾燥発泡体とを含む。乾燥発泡体は、メッシュの複数のフィラメントに取り付けられている。本明細書中に記載される複合体インプラントを形成する方法も提供される。
【0006】
いくつかの実施形態では、3次元植え込み可能外科用メッシュは、グリップ部材を含まない非自己固定式メッシュであり、発泡体は、非自己固定式メッシュの第1の面の少なくとも一部分を画定する複数のフィラメントに取り付けられている。
【0007】
いくつかの実施形態では、3次元植え込み可能外科用メッシュは、3次元植え込み可能外科用メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む自己固定式メッシュであり、発泡体は、複数のグリップ部材を画定する複数のフィラメントに取り付けられている。
【0008】
いくつかの実施形態では、本開示は、軟組織修復に適した3次元複合体インプラントについて記載し、複合体インプラントは、少なくとも1つのメッシュから延びるグリップ部材を有する少なくとも1つのメッシュと、グリップ部材の少なくとも一部分上に配置された圧縮性発泡体とを含む。本明細書中に記載される複合体インプラントは、インプラントの製造後に、医療スタッフ又は外科医に、メッシュ又はインプラントのどの部分又は位置でメッシュ又はインプラント上のグリップ部材のグリップ能力を活性化させるか、及び/又はグリップ部材を活性化させないかを決定する能力を提供するように構成されている。更に、本明細書中に記載される複合体インプラントは、圧縮性発泡体の溶解速度にかかわらず又はこれとは無関係に、複合体インプラントのグリップ部材の活性化又は不活性化を決定するように構成されてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、発泡体は、発泡体に圧力が加えられると、3次元メッシュの非平坦構成を変化させることなく、第1の厚みを有する第1の発泡体構成から第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の発泡体構成に移行するように構成された乾燥圧縮性発泡体であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、3次元植え込み可能外科用メッシュの(グリップ部材を有する又は有しない)第1の面の、乾燥発泡体で覆われた部分は、発泡体が水和及び/又は吸収されると、3次元輪郭から略平坦構成に移行するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、3次元複合体インプラントは、ヘルニア修復用の植え込み可能外科用メッシュである。
【0012】
いくつかの実施形態では、3次元複合体インプラントは、植え込み可能外科用プラグである。
【0013】
3次元複合体インプラントの製造方法も提供される。本方法は、湿潤発泡材料と略平坦植え込み可能外科用メッシュ(グリップ部材を有する又は有しない)の少なくとも第1の面、特に第1の面に沿った複数のフィラメントとを組み合わせて湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成することと、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の少なくとも1つの側に1つ以上の型を適用し、略平坦植え込み可能外科用メッシュを3次元植え込み可能外科用メッシュに変化させ、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を形成することと、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を乾燥させて乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成することとを含み得る。1つ以上の型は、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントから取り外されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、湿潤発泡材料と略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせることは、略平坦植え込み可能外科用メッシュの第1の面に沿った複数のフィラメントに湿潤発泡材料を直接適用して略平坦植え込み可能外科の上に湿潤発泡材料の層を形成することを含む。複数のフィラメントは、メッシュの本体、グリップ部材の本体、又はそれらの両方を画定し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、1つ以上の型を適用することは、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の第1の側に第1の型を適用することと、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の第2の反対の側に第2の型を更に適用することとを含む。第1の型は中実型であってもよく、第2の型は多孔質型であってもよく、例えば、多孔質型はハニカム形状の孔を含み得る。型は、ステンレス鋼などの金属並びにアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリプロピレン、又はポリ乳酸などの高分子材料を含むがこれに限定されない任意の適切な材料で作られていてもよい。いくつかの実施形態では、型の少なくとも1つは、3D印刷された型であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、3次元複合体インプラントの製造方法は、型の外縁部に沿ってストラップ及び閉鎖部品を追加すること、1つ以上のクランプによって湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体に型を固定すること、又はこれらの両方を更に含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、3次元複合体インプラントの製造方法は、乾燥後、型、ストラップ、閉鎖部品、又は1つ以上のクランプの全てではないにしても、少なくとも1つを取り外すことを更に含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を乾燥させることは、湿潤発泡材料の層及び3次元メッシュをオーブン内で乾燥させることを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、3次元複合体インプラントの製造方法は、湿潤発泡材料と略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせる前に、フレームアセンブリと湿潤発泡材料とを組み合わせることであって、フレームアセンブリは、フレームキャビティを画定するフレームと第1の不活性材料シートとを含む、フレームアセンブリと湿潤発泡材料とを組み合わせることを更に含む。フレームは、湿潤発泡材料と略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせる前に、湿潤発泡材料から取り外されてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、フレームアセンブリと湿潤発泡材料とを組み合わせることは、フレームキャビティ内及び第1のシートの上に湿潤発泡材料の層を注入すること、任意選択的に平坦化することを含み、湿潤発泡材料と略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせることは、メッシュの第1の面に沿って配置された複数のフィラメント及び/又はグリップ部材を湿潤発泡材料の層に適用することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、メッシュの第1の面に沿って配置された複数のフィラメント及び/又はグリップ部材を湿潤発泡材料の層に適用することは、略平坦植え込み可能外科用メッシュの第1の面の反対側の第2の面をローラで圧延することにより複数のフィラメント及び/又はグリップ部材を湿潤発泡体に埋め込むことを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、3次元複合体インプラントの製造方法は、湿潤発泡材料と略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせる前に、フレームアセンブリと略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせることであって、フレームアセンブリは、フレームキャビティを画定するフレームと第1の不活性材料シートとを含む、フレームアセンブリと略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせることを更に含む。フレームは、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体に第1の型を適用する前に、取り外されてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、フレームアセンブリと略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせることは、湿潤発泡材料と略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせる前に、略平坦植え込み可能外科用メッシュの少なくとも一部分を第1のシート上及びフレームのフレームキャビティ内に配置することを含み、湿潤発泡材料と略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせることは、湿潤発泡材料の層をフレームキャビティ内に、並びに略平坦メッシュの第1の面に沿って配置された複数のフィラメント及び/又はグリップ部材上に直接注入することを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される方法は、乾燥発泡体が除去、例えば水和及び/又は吸収されるにつれて、3次元植え込み可能外科用メッシュを略平坦植え込み可能外科用メッシュに変化させることを更に含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本方法は、湿潤発泡材料と略平坦自己固定式メッシュの第1の面上に配置された複数のグリップ部材とを組み合わせて湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成することと、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の少なくとも1つの側に型を適用し、略平坦自己固定式メッシュを3次元自己固定式メッシュに変化させ、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を形成することと、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を乾燥させて乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成することとを含み得る。型は、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントから取り外されてもよい。
【0026】
本明細書中に記載される3次元複合体インプラントを用いた軟組織修復方法も提供される。いくつかの実施形態では、軟組織修復方法は、修復を必要とする軟組織の創傷の近傍の患者の植え込み部位に3次元複合体インプラントを挿入することであって、3次元複合体インプラントは、第1の面と第1の面の反対側の第2の面とを有するメッシュと、メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材であって、複数のグリップ部材のそれぞれは、メッシュに取り付けられた第1の端部とメッシュに固定されていない第2の端部との間に延びる本体と、複数のグリップ部材の少なくとも第2の端部を覆っている圧縮性発泡体とを含み、圧縮性発泡体は、第1の厚みを有する第1の発泡体構成から第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されており、グリップ部材は、非活動的なグリップ構成からグリップ構成に移行するように構成されている、複数のグリップ部材とを含む、患者の植え込み部位に3次元複合体インプラントを挿入することと、3次元複合体インプラントを軟組織の創傷にわたって留置することと、圧縮性発泡体の一部分に圧力を加え、第1の発泡体構成から第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の発泡体構成に移行させ、それにより、複数のグリップ部材の少なくともいくらかの部分の第2の端部を露出させることと、グリップ部材を非活動的なグリップ構成から活動的なグリップ構成に移行させ、インプラントを軟組織に固定することとを含み得る。
【0027】
本明細書に組み込まれると共にその一部をなす添付の図面は、本開示の実施形態を示すものであり、上記の本開示の一般的説明、及び下記の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
3次元複合体インプラントの製造方法であって、
湿潤発泡材料と略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせて湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成することと、
前記湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の第1の側に第1の型を適用し、前記略平坦植え込み可能外科用メッシュを3次元植え込み可能外科用メッシュに変化させ、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を形成することと、
前記湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を乾燥させて乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成することと、
前記乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントから前記型を取り外すことと、
を含む、方法。
(項目2)
前記湿潤発泡材料と前記略平坦植え込み可能外科用メッシュとを組み合わせることは、前記略平坦植え込み可能外科用メッシュの第1の面に沿った複数のフィラメントに前記湿潤発泡材料を直接適用して前記略平坦植え込み可能外科用メッシュ上に湿潤発泡材料の層を形成することを含む、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の前記第1の側に前記第1の型を適用することは、前記湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の第2の反対の側に第2の型を適用することを更に含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目4)
前記第1の型は中実型であり、前記第2の型は多孔質型である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記第1の型の外縁部に沿ってストラップ及び閉鎖部品を追加すること、1つ以上のクランプによって前記湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体に前記第1の型を固定すること、又はこれらの両方を更に含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
乾燥後、前記第1の型、前記ストラップ、前記閉鎖部品、又は前記1つ以上のクランプのうちの少なくとも1つを取り外すことを更に含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を乾燥させることは、前記湿潤発泡材料及び前記3次元植え込み可能外科用メッシュをオーブン内で乾燥させることを含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記3次元複合体インプラントの前記乾燥発泡体は、前記3次元植え込み可能外科用メッシュの非平坦構成を変化させることなく、第1の厚みを有する第1の発泡体構成から前記第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の発泡体構成に移行するように構成された乾燥圧縮性発泡体を含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記略平坦植え込み可能外科用メッシュは、前記略平坦植え込み可能外科用メッシュの前記第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む略平坦自己固定式メッシュである、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせる前に、フレームアセンブリと前記湿潤発泡材料とを組み合わせることであって、前記フレームアセンブリは、フレームキャビティを画定するフレームと第1の不活性材料シートとを含む、フレームアセンブリと前記湿潤発泡材料とを組み合わせることと、
前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせる前に前記フレームを取り外すことと、
を更に含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記フレームアセンブリと前記湿潤発泡材料とを組み合わせることは、前記フレームキャビティ内及び前記第1のシートの上に湿潤発泡材料の層を注入すること、任意選択的に平坦化することを含み、前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせることは、前記略平坦自己固定式メッシュの前記第1の面上に配置された前記複数のグリップ部材を前記湿潤発泡材料の層に適用することを含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記略平坦自己固定式メッシュの前記複数のグリップ部材を前記湿潤発泡材料の層に適用することは、前記略平坦自己固定式メッシュの前記第1の面の反対側の第2の面をローラで圧延することにより前記複数のグリップ部材を前記湿潤発泡体に埋め込むことを含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせる前に、フレームアセンブリと前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせることであって、前記フレームアセンブリは、フレームキャビティを画定するフレームと第1の不活性材料シートとを含む、フレームアセンブリと前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせることと、前記湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体に前記第1の型を適用する前に、前記フレームを取り外すこととを更に含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記フレームアセンブリと前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせることは、前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせる前に、前記略平坦自己固定式メッシュの少なくとも一部分を前記第1のシート上及び前記フレームの前記フレームキャビティ内に配置することを含み、前記湿潤発泡材料と前記略平坦自己固定式メッシュとを組み合わせることは、前記略平坦自己固定式メッシュの前記第1の面上に配置された前記複数のグリップ部材上に発泡材料の層を注入することを含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記乾燥発泡体が水和又は吸収されるにつれて、前記3次元植え込み可能外科用メッシュを前記略平坦植え込み可能外科用メッシュに変化させることを更に含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
第1の面と第2の反対側の面とを含む3次元植え込み可能外科用メッシュと、
前記3次元植え込み可能外科用メッシュの前記第1の面に沿った複数のフィラメントに取り付けられた3次元乾燥発泡体と、
を含む、3次元複合体インプラント。
(項目17)
前記3次元植え込み可能外科用メッシュは、前記第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む自己固定式メッシュであり、前記複数のフィラメントは前記複数のグリップ部材を画定する、上記項目のいずれか1項に記載の3次元複合体インプラント。
(項目18)
前記3次元乾燥発泡体は、前記3次元乾燥発泡体に圧力が加えられると、前記3次元植え込み可能外科用メッシュの非平坦構成を変化させることなく、第1の厚みを有する第1の発泡体構成から前記第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の発泡体構成に移行するように構成された圧縮性発泡体である、上記項目のいずれか1項に記載の3次元複合体インプラント。
(項目19)
前記3次元植え込み可能外科用メッシュは、前記3次元乾燥発泡体が水和又は吸収されると、略平坦植え込み可能外科用メッシュに変化するように構成されている、上記項目のいずれか1項に記載の3次元複合体インプラント。
(項目20A)
軟組織修復方法であって、
修復を必要とする前記軟組織の創傷の近傍の患者の植え込み部位に3次元複合体インプラントを挿入することであって、前記3次元複合体インプラントは、第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有するメッシュと、前記メッシュの前記第1の面から延びる複数のグリップ部材であって、前記複数のグリップ部材のそれぞれは、前記メッシュに取り付けられた第1の端部と前記メッシュに固定されていない第2の端部との間に延びる本体と、前記複数のグリップ部材の少なくとも前記第2の端部を覆っている圧縮性発泡体とを含み、前記圧縮性発泡体は、第1の厚みを有する第1の発泡体構成から前記第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されており、前記グリップ部材は、非活動的なグリップ構成からグリップ構成に移行するように構成されている、複数のグリップ部材とを含む、患者の植え込み部位に3次元複合体インプラントを挿入することと、
前記3次元複合体インプラントを前記軟組織の前記創傷にわたって留置することと、
前記圧縮性発泡体の一部分に圧力を加え、前記第1の発泡体構成から前記第1の厚みよりも小さい前記第2の厚みを有する前記第2の発泡体構成に移行させ、それにより前記複数のグリップ部材の少なくともいくらかの部分の前記第2の端部を露出させることと、
前記グリップ部材を前記非活動的なグリップ構成から前記活動的なグリップ構成に移行させ、前記インプラントを前記軟組織に固定することと、
を含む、軟組織修復方法。
(項目20B)
軟組織の修復のための3次元複合体インプラントであって、
前記3次元複合体インプラントは、修復を必要とする前記軟組織の創傷の近傍の患者の植え込み部位に挿入されるように構成されており、前記軟組織の前記創傷にわたって留置されるように構成されており、
前記3次元複合体インプラントは、第1の面と前記第1の面の反対側の第2の面とを有するメッシュと、前記メッシュの前記第1の面から延びる複数のグリップ部材とを含み、前記複数のグリップ部材のそれぞれは、前記メッシュに取り付けられた第1の端部と前記メッシュに固定されていない第2の端部との間に延びる本体と、前記複数のグリップ部材の少なくとも前記第2の端部を覆っている圧縮性発泡体とを含み、前記圧縮性発泡体は、前記圧縮性発泡体の一部分に圧力を加えることに応じて、第1の厚みを有する第1の発泡体構成から前記第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の発泡体構成に移行するように構成されており、それにより前記複数のグリップ部材の少なくともいくらかの部分の前記第2の端部を露出させ、前記グリップ部材は、非活動的なグリップ構成からグリップ構成に移行し、前記インプラントを前記軟組織に固定するように構成されている、3次元複合体インプラント。
(摘要)
3次元メッシュと発泡体とを含む複合体インプラント並びにこれに関連する方法を提供すること。本開示は、全般的に、軟組織の修復又は治療用に構成された複合体インプラントに関し、複合体インプラントは、1つ以上のフィラメント及び/又はグリップ部材とこれに適用された圧縮性発泡体とを有する3次元メッシュを含む。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する、3次元メッシュと発泡体とを含む複合体インプラントの製造方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する、少なくとも1つのグリップ部材を含む略平坦自己固定式メッシュの概略側面図である。
【
図3】
図3A-3Bは、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する少なくとも1つのグリップ部材の概略断面図である。
【
図4】
図4は、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する、3次元複合体インプラントの形成の概略側面図である。
【
図5】
図5は、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する、3次元メッシュと発泡体とを含む複合体インプラントの製造方法のフローチャートである。
【
図6】
図6A-6Fは、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する複合体インプラントの形成の斜視図である。
【
図7】
図7は、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する、略平坦自己固定式メッシュのグリップ部材と湿潤発泡体層とを組み合わせる方法の概略図である。
【
図8】
図8は、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する、略平坦自己固定式メッシュのグリップ部材と湿潤発泡体層とを組み合わせる方法の概略図である。
【
図9】
図9A-9Bは、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する、3次元メッシュと第1の構成の発泡体とを含む複合体インプラントのそれぞれ斜視図及び側面図である。
【
図10】
図10は、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する、3次元メッシュと第2の構成の発泡体とを含む
図9A-
図9Bの複合体インプラントの側面図である。
【
図11】
図11A-11Bは、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する、3次元メッシュと発泡体とを含む複合体インプラントのそれぞれ斜視図及び側面図である。
【
図12】
図12は、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する、3D非自己固定式メッシュと発泡体層とを含む複合体インプラントの側面図である。
【
図13】
図13A-13Cは、本明細書の少なくとも一実施形態で説明する、複合体インプラントの水和及び/又は吸収の方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、3次元(3D)構成を画定する植え込み可能外科用メッシュと、それに取り付けられた発泡体とを含む複合体インプラントに関する。発泡体も、3次元構成を画定し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、植え込み可能外科用メッシュは、1つ以上のグリップ部材を含む自己固定式メッシュを含む。いくつかの実施形態では、植え込み可能外科用メッシュは、グリップ部材を含まない非自己固定式メッシュを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、複合体インプラントは自己固定式メッシュを含む。自己固定式メッシュは、組織又は同じ若しくは異なるメッシュの他の重なり合った部分を直接グリップするように構成された1つ以上の、特に複数のグリップ部材を含む。発泡体は、グリップ部材の全体ではないにしてもグリップ部材の少なくとも一部分を覆っている。発泡体は、第1の初期厚みを有する第1の構成から第2の次の厚みを有する第2の構成に移行するように構成された圧縮性発泡体であり得る。
【0032】
3次元(3D)植え込み可能外科用メッシュ(グリップ部材を有する又は有しない)と発泡体とを含む複合体インプラントの製造方法も本明細書中に提供される。概して、
図1に示すように、製造方法は、以下の工程、即ち、平坦植え込み可能外科用メッシュ(例えば、自己固定式メッシュ及び/又は非自己固定式メッシュ)を用意する工程10、湿潤発泡材料を用意する工程20、フレームアセンブリを用意する工程30、湿潤発泡材料を平坦植え込み可能外科用メッシュと組み合わせて湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成する工程40、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の少なくとも1つの側に1つ以上の型を適用し、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を形成する工程50、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体をその上に1つ以上の型が配置された状態で乾燥させて乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成する工程60、及び乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントから1つ以上の型を取り外す工程70の1つ以上を含み得る。乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントはまた、滅菌及び/又は包装80されてもよい。
【0033】
初期の、平坦メッシュを用意する工程10、湿潤発泡材料を用意する工程20、及び/又はフレームアセンブリを用意する工程30は、任意であり得る及び/又は任意の順序若しくは組み合わせで行われてもよい。
【0034】
平坦植え込み可能外科用メッシュの用意
【0035】
本開示の全体を通して示されるように、本明細書中に記載される複合体インプラントは、3次元(3D)植え込み可能外科用メッシュを含み得る。いくつかの実施形態では、3次元(3D)植え込み可能外科用メッシュは、3次元(3D)自己固定式メッシュ、即ち、メッシュ本体から延びる1つ以上のグリップ部材を含むメッシュ本体を有する植え込み可能外科用メッシュであり得、メッシュ本体は、3次元(3D)及び/又は非平坦構成を画定する。しかしながら、製造プロセス中にグリップ部材を損傷することを回避するために、本明細書中に記載される製造方法は、平坦自己固定式メッシュ(即ち、メッシュ本体から延びる1つ以上のグリップ部材を含むメッシュ本体を有する植え込み可能外科用メッシュであり、メッシュ本体は、略平坦及び/又は特異的平坦構成を画定する)から開始し、本明細書に記載されるように特に湿潤発泡材料と組み合わされた後に、平坦自己固定式メッシュを3次元(3D)自己固定式メッシュに変化させる。
【0036】
図2~
図3Bは、様々な平坦自己固定式メッシュを示す。
図2の平坦自己固定式メッシュ110は、第1の面111と第1の面111の反対側の第2の面112とを有するメッシュ本体113を含み、少なくとも第1の面111は、第1の面111から延びる複数のグリップ部材115を含む。グリップ部材115は、組織、他のグリップ部材、及び/又は同じ若しくは異なる植え込み可能メッシュの他の部分に直接取り付けられるように構成されている。各グリップ部材115は、メッシュ本体113(及び/又はメッシュ面111、112の一方)に取り付けられた及び/又はメッシュ本体113(及び/又はメッシュ面111、112の一方)から延びるグリップ本体116の第1の端部部分116aを含む。第1の端部部分116aの反対側のグリップ本体116の第2の自由端部部分116bは、メッシュ本体113(及び/又はメッシュ面111、112の一方)から最も遠くに延び、重ね合わされたとき、即ち折り畳まれた、巻かれたときなどに、組織及び/又は植え込み可能メッシュ110の他の部分をグリップするように構成された頭部部分117を含み得る。
【0037】
図2に更に示されるように、いくつかの実施形態では、1つ以上のグリップ部材115は、頭部部分117が長尺状本体116よりも広いとげ状起毛である。各とげ状起毛は、メッシュ本体113の第1の面111から突出した本体116と、本体116の第2の自由端部116bに、本体116の幅よりも大きい幅を含む頭部117とを有する。頭部117は、略楕円体形状又はマッシュルーム形状であり得る。頭部部分117は、滑らかな外面を含んでもよい、又は凹凸を有する粗い外面を含んでもよい。とげ状起毛の本体116の第1の端部116aは、平坦植え込み可能メッシュ110のメッシュ本体113のフィラメントと織り交ぜられている。
【0038】
図2のメッシュ110は、平坦自己固定式メッシュの1つの非限定的な例である。メッシュ110は、平らな、及び/又は単一平面、即ち平坦な構成の自己固定式メッシュ、平坦自己固定式メッシュを概ね画定するメッシュ本体113を含む。
図2のメッシュ本体113は、3次元(3D)及び/又は非平坦構成をまだ画定していないため、本明細書に記載されるような3次元(3D)及び/又は非平坦自己固定式メッシュではない。
図2のメッシュ110はまた、その任意の部分、特にグリップ部材115上に位置する発泡体を含まないため、本明細書に記載されるような複合体又は複合体インプラントではまだない。
【0039】
いくつかの実施形態では、3次元(3D)植え込み可能外科用メッシュは、3次元(3D)非自己固定式メッシュ、即ち、植え込み可能外科用メッシュから延びるグリップ部材を有しない植え込み可能外科用メッシュであり得、メッシュ本体は、3次元(3D)及び/又は非平坦構成を画定する。
【0040】
メッシュ本体と任意選択的に1つ以上のグリップ部材とを含む植え込み可能外科用メッシュは、1つ以上の交絡させたフィラメント及び/又は糸から形成され得る。フィラメント(及び/又は糸)は、モノフィラメントであってもマルチフィラメントであってもよい。植え込み可能メッシュ、特にメッシュ本体は、製織、製編、編組、かぎ針編み、刺繍などを含むがこれらに限定されない当業者に周知の任意の適切な方法を用いて形成されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、植え込み可能メッシュは、ニットメッシュ本体を含む。ニットメッシュ本体は、少なくとも2又は3本のガイドバーを有するトリコット又はラッシェルタイプの経編機で編まれてもよい。いくつかの実施形態では、平坦植え込み可能自己固定式メッシュは、参照により本明細書中に組み込む(特許文献3)、(特許文献1)、(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)のいずれかに記載されているように作成又は用意され得る。
【0042】
植え込み可能メッシュ、特にメッシュを形成するフィラメントは、生体吸収性材料、非生体吸収性材料、及びこれらの組み合わせを含む任意の生体適合性材料から作ることができる。本明細書で使用する場合、用語「生体吸収性」は、生物分解性材料及び生体吸収性材料の両方を含むように定義される。生体吸収性とは、材料が、身体条件下で分解すること若しくは構造的完全性を失うこと(例えば、酵素分解又は加水分解)、又は分解産物が排泄可能又は身体に吸収可能であるように体内の生理的条件下で(物理的に又は化学的に)分解されることを意味する。
【0043】
代表的な天然生体吸収性材料としては、単独の、又は合成ポリマーと組み合わされる、アルギン酸塩、デキストラン、キチン、ヒアルロン酸、セルロース、コラーゲン、ゼラチン、フカン、グルコサミノグリカン、及びそれらの化学的誘導体(化学基、例えばアルキル基、アルキレン基の置換及び/又は付加、ヒドロキシル化、酸化、及び当業者によって慣例的に行われる他の修飾)などの多糖類;並びにアルブミン、カゼイン、ゼイン、絹並びにそれらのコポリマー及びブレンドなどのタンバク質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
合成的に修飾された天然ポリマーとしては、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、及びキトサンなどのセルロース誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。適切なセルロース誘導体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオナート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、セルローストリアセテート、及びセルロース硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0045】
代表的な合成生体吸収性ポリマーとしては、グリコリド、ラクチド、カプロラクトン、ε-カプロラクトン、バレロラクトン、及びδ-バレロラクトンなどのラクトンモノマーから調製されるポリヒドロキシ酸、並びにプルロニック(登録商標)、カーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートなど)、ジオキサノン(例えば、1,4-ジオキサノン及びp-ジオキサノン)、1,ジオキセパノン(例えば、1,4-ジオキセパン-2-オン及び1,5-ジオキセパン-2-オン)、並びにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。これらから形成されるポリマーとしては、ポリラクチド;ポリ(乳酸);ポリグリコライド;ポリ(グリコール酸);ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(ジオキサノン);ポリ(ヒドロキシ酪酸);ポリ(ヒドロキシ吉草酸);ポリ(ラクチド-co-(ε-カプロラクトン-));ポリ(グリコリド-co-(ε-カプロラクトン));ポリカーボネート;ポリ(擬似アミノ酸);ポリ(アミノ酸);ポリ(ヒドロキシアルカノエート);ポリアルキレンオキサレート;ポリオキサエステル;ポリ酸無水物;ポリオルトエステル;及びコポリマー、ブロック共重合体、ホモポリマー、ブレンド、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
適切な非生体吸収性材料のいくつかの非限定的な例としては、アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック及びそのブレンドを含むポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリエチレングリコール;ポリエチレンオキシド;超高分子量ポリエチレン;ポリエチレンとポリプロピレンの共重合体;ポリイソブチレン及びエチレン-αオレフィン共重合体;延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)及び縮合ポリテトラフルオロエチレン(cPTFE)を含むフルオロエチレン、フルオロプロピレン、フルオロPEGS、及びポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化ポリオレフィン;ナイロン及びポリカプロラクタムなどのポリアミド;ポリアミン;ポリイミン;ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;脂肪族ポリエステル;ポリエーテル;ポリブトエステルなどのポリエーテル-エステル;ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,4-ブタンジオール;ポリウレタン;アクリルポリマー及びコポリマー;モダクリル;塩化ビニル、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ビニルポリマー及びコポリマー;ポリビニルアルコール;ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテル;ポリフッ化ビニリデン及びポリ塩化ビニリデンなどのポリハロゲン化ビニリデン;ポリアクリロニトリル;ポリアリールエーテルケトン;ポリビニルケトン;ポリスチレンなどのポリビニル芳香族;ポリビニルアセテートなどのポリビニルエステル;ビニルモノマー同士及びオレフィンとのコポリマー、例えば、エチレン-メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ABS樹脂、及びエチレン酢酸ビニルコポリマー;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリホスファジン;ポリイミド;エポキシ樹脂;アラミド、レーヨン;レーヨン-トリアセテート;スパンデックス;シリコーン;及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0047】
いくつかの実施形態では、植え込み可能メッシュは、生体吸収性フィラメントと非生体吸収性フィラメントとの組み合わせから形成される。例えば、第1のセットの非生体吸収性フィラメントは、メッシュ本体を形成するために使用されてもよく、第2のセットの吸収性フィラメントは、メッシュ本体から延びるグリップ部材を形成するために使用されてもよい。本明細書中に記載されるメッシュを形成するために、吸収性フィラメント及び/又は非吸収性フィラメントの他の様々な組み合わせが使用されてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、自己固定式メッシュは、Parietex Progrip(商標)又はParietene Progrip(商標)(両方ともMedtronic社から市販されている)から選択されてもよい。Parietex Progrip(商標)は、1つ以上のポリエステルフィラメントから作られた平坦メッシュ本体と、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料から作られた平坦メッシュ本体から延びるグリップ部材とを含む。
【0049】
自己固定式メッシュのグリップ部材は、組織及び/又は植え込み可能メッシュ(又は第2の植え込み可能メッシュ)の他の部分に直接取り付けられるように構成された任意の適切な形態をとり得る。いくつかの非限定的な適切な形態としては、とげ状起毛、フック、バーブ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、
図3Aに示すように、いくつかの実施形態では、1つ以上のグリップ部材215はフック設計を含み得る。各グリップ部材215は、平坦メッシュ本体213から突出する長尺状本体216を含み、本体216の第2の自由端部216bに、頭部部分217はフック218を含む。本体216の第1の端部216aは、植え込み可能メッシュ210の平坦メッシュ本体213のフィラメントと織り交ぜられており、平坦メッシュ本体213から延びる。
【0050】
図3Bに示すような別の例において、いくつかの実施形態では、1つ以上のグリップ部材215は、バーブ又は穿孔先端設計を含み得る。各グリップ部材215は、メッシュ本体213から突出する長尺状本体216を含み、本体216の第2の自由端部216bに、頭部部分217はバーブ又は穿孔先端219を含む。本体216の第1の端部216aは、植え込み可能メッシュ210のメッシュ本体213のフィラメントと織り交ぜられており、メッシュ本体213から延びる。
【0051】
グリップ部材は、残りの図の全体を通してとげ起毛として概略的に示されているが、本明細書中に記載される自己固定式メッシュを含む自己固定式メッシュ及び/又は複合体インプラントは、組織及び/又は植え込み可能メッシュ(又は第2の植え込み可能メッシュ)の他の部分に取り付けられる又はこれをグリップするように構成された任意の適切なグリップ部材を含んでもよい。
【0052】
グリップ部材は、形態を問わず、植え込み可能メッシュの少なくとも1つの面の任意の部分上に配置され得る及び/又は植え込み可能メッシュの少なくとも1つの面の任意の部分から延び得る。グリップ部材は、メッシュ本体と同様に、本明細書中で上述した生体吸収性材料及び/又は非生体吸収性材料のいずれかから作られ得る1つ以上のフィラメントから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、グリップ部材は、生体吸収性材料、即ち、ポリ乳酸(PLA)又はPLAとトリメチレンカーボネート(TMC)のコポリマーから作られ得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、メッシュ本体の面(この面からグリップ部材が突出する)からグリップ部材の第2の自由端部の端部までを測定した各グリップ部材の長さは、グリップ部材が貫通し、絡み合うことができる植え込み可能メッシュ本体の厚みよりも小さい。いくつかの実施形態では、各グリップ部材の長さは、約0.1~5ミリメートルであり得る。いくつかの実施形態では、各グリップ部材の長さは、約0.5~3.5ミリメートルであり得る。いくつかの実施形態では、各グリップ部材の長さは、約1~3ミリメートルであり得る。いくつかの実施形態では、各グリップ部材の長さは、約1.5~2.5ミリメートルであり得る。
【0054】
湿潤発泡材料の用意
【0055】
図1に更に記載されているように、フレームアセンブリ及び/又は平坦植え込み可能外科用メッシュ、特に自己固定式メッシュのグリップ部材と組み合わされる前に、湿潤発泡材料が用意され得、これには、高分子発泡剤を含む溶液を形成することと、溶液を湿潤発泡材料に発泡させることとを含む。
【0056】
溶液を形成することは、生理的条件内で可溶の少なくとも1種の生体適合性高分子発泡剤を医薬品キャリアと混合して溶液を形成することを含む。適切な医薬品キャリアのいくつかの非限定的な例としては、水、生理食塩水、ブドウ糖溶液、緩衝溶液などが挙げられる。1種以上の生体適合性可塑剤及び/又は1種以上の生体適合性添加剤(これらのそれぞれも生理的条件又は生理食塩水などの類似の流体内で可溶)も溶液に添加されてよい。更に、溶液は、1種以上の生体活性剤を更に含んでもよい。
【0057】
適切な生体適合性高分子発泡剤のいくつかの非限定的な例としては、ゼラチン、コラーゲンなどのタンバク質、ポロキサマー、ポリソルベート、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、生体適合性高分子発泡剤は、コラーゲン及び/又はコラーゲンベースである。
【0058】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、1~2.5又は1.5~2の範囲のメトキシ置換度(DSmethoxy)を有し得る。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、0.1~1又は0.2~0.5の範囲のヒドロキシプロピルモル置換度(MShydroxypropoxyl)を有し得る。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、水と組み合わせて水溶液を形成し得る。ヒドロキシプロピルメチルセルロースの動的粘度は、ウベローデ型粘度計を用いて20℃で2重量%水溶液として測定した場合、1~100mPa.s-1、又は3~50mPa.s-1であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、発泡剤は、1種以上のコラーゲン化合物である。「コラーゲン化合物」という表現は、本出願の意味においては、加熱又は任意の他の方法によってそのらせん構造を少なくとも部分的に失ったコラーゲン、又はゼラチンを意味するものと理解される。ここで、用語「ゼラチン」は、少なくとも部分的に加水分解され、100kDa未満の分子量を有するコラーゲンから作られた市販のゼラチンを含む。使用されるコラーゲン化合物は、a鎖から構成され、約100kDaに近い分子量を有する加水分解コラーゲンから形成され得る。本開示の文脈において、「a鎖」という表現は、少数のアミノ酸の喪失によって生成される無傷のa鎖又は断片を意味するものと理解される。ここで、「非加水分解」という用語は、コラーゲン鎖の10%未満が約100kDa未満の分子量を有することを意味するものと理解される。加熱を用いてコラーゲンのらせん構造を変性させる場合、加熱は、中程度でなければならず、このようにして形成されるゼラチンの加水開裂による分解を回避するために構成された条件下で行われなければならない。本出願の文脈において場合により使用されるコラーゲンは、例えばブタI型コラーゲン又はウシI型コラーゲンなど動物由来のものであり得る。ペプシン消化によりテロペプチドを除去するために、酸溶液中又は変換後の天然コラーゲンが使用されてもよい。
【0060】
少なくとも1種の生体適合性高分子発泡剤は、溶液の0.01~25重量パーセント、0.1~20重量パーセント、0.5~15重量パーセント、又は1~10重量パーセントであり得る。
【0061】
適切なキャリア及び/又は溶媒のいくつかの非限定的な例としては、水(例えば、滅菌水、非滅菌水、蒸留水、湧水など)、生理食塩水、ブドウ糖溶液などが挙げられる。いくつかの実施形態では、溶媒は滅菌水であり、溶液は水溶液である。
【0062】
1種以上の可塑剤のいくつかの適切な非限定的な例としては、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物などの多価アルコールが挙げられる。いくつかの実施形態では、溶液は、グリセロール、ソルビトール、又はこれらの両方などの可塑剤を含み得る。溶液に組み込まれる場合、可塑剤は、溶液の0.5~40重量パーセント、1~20重量パーセント、又は2~10重量パーセントであり得る。
【0063】
1種以上の生体適合性添加剤のいくつかの適切な非限定的な例としては、アルギン酸塩、ペクチン、カラギナン、セルロースベースの誘導体、例えばセルロースエーテル、例えばメチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ザンサンガム及びグアーガムなどの多糖類ガム、デキストラン、ヒアルロン酸、及びヒアルロン酸塩、プルラン、マルトデキストリン、ゼラチン、ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコール、並びにそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、溶液は、ヒアルロン酸ナトリウムなどの生体適合性添加剤を含み得る。ヒアルロン酸ナトリウムは、0.3~3.0m3/kgの範囲の25℃における固有粘度を有し得る。溶液に組み込まれる場合、添加剤は、溶液の0.1~10重量パーセント、0.2~5重量パーセント、又は0.5~3パーセントであり得る。
【0064】
生体活性剤は、有益な、治癒過程を促進する傾向がある物質を含む。生体活性剤の適切な例としては、例えば、殺菌剤、抗菌剤、抗生物質、増殖抑制薬、薬物、成長因子、抗凝固剤、凝固剤、鎮痛薬、麻酔薬、抗炎症薬、創傷修復剤など、化学療法薬、生物学的製剤、タンバク質治療薬、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体、DNA、RNA、ペプチド、多糖類、レクチン、脂質、プロバイオティクス、診断用薬、血管新生薬、抗血管原性薬、高分子薬、及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、生体活性剤は、溶液の10%未満、特に5%未満であり得る。
【0065】
少なくとも発泡剤とキャリアとの混合物は、混合中に60℃まで、特に20℃~50℃まで、特に約40℃まで加熱され、溶液を形成し得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、湿潤発泡体は、ヒアルロン酸塩、HPMC、グリセロール、及びこれらの組み合わせの1つ以上を含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、湿潤発泡体は、コラーゲン化合物、グリセロール、及びこれらの組み合わせを含み得る。
【0068】
高分子発泡剤と任意選択的にキャリア中の可塑剤又は添加剤の少なくとも一方を含む溶液を形成した後、溶液は、湿潤発泡材料に更に加工され得る(工程20)。発泡は、溶液中に空気が機械的又は物理的に運ばれることにより行われ、第1の不連続空気相と第2の連続水相とを含む湿潤発泡材料が形成され得る。湿潤発泡材料内に運ばれる気泡の層又は流体膜は、高分子発泡剤の存在により粘性である。得られた湿潤発泡材料において気泡の層内に保持される液体の流れは、最小限になり、低減され、又は防止される。したがって、湿潤発泡材料は、弾性であり、流れることができないと表現することができる。この湿潤発泡材料は、約0.05g.cm-3~0.50g.cm-3、0.10g.cm-3~0.40g.cm-3、又は0.20g.cm-3~0.30g.cm-3の範囲の密度を有し得る。
【0069】
有利には、湿潤発泡材料のこれらの特性の1つ以上は、シリンジ、スプーン、へら、ブラシ、スポンジ、ローラなどの道具を用いた注入、成形、圧延、スクリーニング、滴下のうちの少なくとも1つを含むがこれらに限定されない様々な異なる手法を使用して、様々な形状、設計、又は厚みのグリップ部材を覆う可能性を提供する。例えば、植え込み可能自己固定式メッシュの面の全体又は選択した部分のみを湿潤発泡材料及び/又は乾燥圧縮性発泡体で覆う(又は覆わない)ことが可能である。
【0070】
いくつかの実施形態では、発泡工程は、溶液を20℃~60℃に加熱し、その後、ロータ-ステータ技術を用いた泡立て又は混合、加温された溶液の泡立てなどによる機械的撹拌を行い、湿潤発泡材料を形成することを含み得る。例えば、加熱された溶液は、溶液に空気を組み込むために機械的撹拌によって剪断され、湿潤発泡材料が生成され得る。その後、湿潤発泡体は、以下でより詳細に説明するように、平坦メッシュ及び/又はフレームアセンブリと組み合わされ得る。
【0071】
フレームアセンブリの用意
本明細書中に記載される複合体インプラントの形成前に、いくつかの実施形態では、不活性アッパーシートの上で不活性及び可撓性シートと剛性フレームとを組み合わせることによってフレームアセンブリが用意され得る。
【0072】
本出願では、シートは、シートが溶液の用意に関して上述した材料の湿潤発泡体の化合物と反応しない場合、不活性であるとされる。シートは、例えば、非限定的に、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン、又は乾燥後にファブリックから容易に分離することができる材料などの任意の適切な非粘着性材料及び/又は不活性材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、シートはシリコーン製であり得る。
【0073】
剛性フレームは、シートの上に追加することができ、各フレームは、フレームキャビティを画定し、各シートは、フレームキャビティによって画定される表面積よりも大きい又はこれに等しい表面積を画定する。剛性フレームは、例えば、非限定的に、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PTEg)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アルミニウム、及びステンレス鋼などの任意の適切な材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、フレームは、ステンレス鋼製であり得る。
【0074】
複合体インプラントの形成
図1に更に記載されているように、メッシュ、湿潤発泡体及び/又はフレームアセンブリを組み合わせる用意ができると、本明細書中に記載される複合体インプラントが形成され得る。より具体的には、3次元複合体インプラントを形成及び/又は製造する方法は、フレームアセンブリあり又はなしで、平坦植え込み可能外科用メッシュと湿潤発泡体とを組み合わせて湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成すること(工程40)と、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体に型を適用し、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を形成する(工程50)ことと、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を乾燥させて乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成すること(工程60)と、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントから型を取り外すこと(工程70)と、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを滅菌及び/又は包装すること(工程80)とを含む。
【0075】
湿潤発泡材料と平坦メッシュは、任意の適切な手法で組み合わされ得る(工程40)。いくつかの実施形態では、湿潤発泡材料と平坦メッシュは、フレームアセンブリの助けを借りずに組み合わされて、本明細書に記載されるような複合体インプラント(
図4)を形成し得る。いくつかの実施形態では、湿潤発泡材料と平坦メッシュは、フレームアセンブリの助けを借りて組み合わされて、本明細書に記載されるような複合体インプラント(
図5~
図8)を形成し得る。フレームアセンブリは、湿潤発泡体が平坦植え込み可能外科用メッシュと組み合わされる及び/又は平坦植え込み可能外科用メッシュ上に注入される前又は後に、湿潤発泡体と組み合わされ得る。
【0076】
図4に示すようないくつかの実施形態では、工程40において、湿潤発泡材料420は、平坦自己固定式メッシュ410のグリップ部材415に(フレームアセンブリなしで)直接適用され、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体440が形成され得る。湿潤発泡材料420の高粘度特性により、湿潤発泡材料420は、メッシュ410に直接適用してメッシュ410上に湿潤発泡材料の層を形成することができる。層は、メッシュの全体にわたって延び得る、又はストライプ、多角形、円形、楕円形、リング、ドット、点線、矢印、数字、文字、涙形、星形などを含むがこれらに限定されない任意の多様な平坦パターンで延び得る。湿潤発泡材料420は、シリンジ、スプーン、フォーク、レードル、スコップ、ストロー、ブラシ、ローラ及び/又は絞り袋を含むがこれらに限定されない任意の適切な道具409を使用してメッシュ410のグリップ部材415に直接適用され得る。
【0077】
図4に更に示されるように、工程50において、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体440の反対側の面440a、440bに第1及び第2の型450a、450bを追加し、少なくとも平坦自己固定式メッシュ410を3次元(3D)及び/又は非平坦構成に変化させ、それにより型450aと型450bとの間に湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体460を形成することができる。湿潤発泡材料420の層も、3次元湿潤発泡材料420に成形され得る。型450a、450bは、メッシュ410及び湿潤発泡材料420に機械的圧力を加えることにより、メッシュ410及び湿潤発泡材料420の構成を一時的に変化させる。しかしながら、ほとんどの実施形態では、型450a、450bは、メッシュを3D構成に恒久的には変化させない、即ち熱硬化させない。例えば、乾燥の前に型が湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体から取り外されれば、メッシュは、単独で又は湿潤発泡体と共に、以前の平坦構成に概ね戻る可能性がある。
【0078】
第1及び第2の型450a、450bの両方ではないにしても少なくとも一方は、略非平面及び/又は3次元の内面451a、451bを画定する。いくつかの実施形態では、型450a、450bの少なくとも一方の内面451a、451bはまた、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体440のいずれかの層410、420への貼り付きを回避するために、非粘着性材料を含み得る及び/又は非粘着性材料で形成され得る。いくつかの実施形態では、型450aを追加する前に、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体440の面440aに沿った少なくとも湿潤発泡材料420の層の外面に不活性シート433を追加してもよい。いくつかの実施形態では、両方ではないにしても少なくとも一方の型は、湿潤発泡材料を乾燥させるための湿潤発泡材料の空気循環を可能にするために、湿潤発泡体の全体に完全に又は連続的に接触していなくてもよい。
【0079】
図4に更に示されるように、工程60において、1つ以上の型450a、450bを含む湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体460は、乾燥され、湿潤発泡材料420が乾燥発泡体420bに変化し、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラント470が形成され得る。乾燥発泡体420bは、乾燥圧縮性発泡体であってもよい。乾燥プロセスは、湿潤発泡体3Dメッシュ複合体460を、乾燥発泡体を形成するために適合させた条件(温度、相対湿度、空気流)に曝露させることを含み得る。しかしながら、これらの環境条件は、メッシュのグリップ部材を損傷する並びに/又は自己固定式メッシュを非平面及び/若しくは3D構成に熱硬化させるのに十分ではない可能性がある。
【0080】
乾燥後、工程70において、型450a、450b(及び任意の不活性シート433)は、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラント470から取り外されてもよい。乾燥形式において、乾燥発泡体420bの層は、非平面又は3D構成410bの乾燥発泡体420bに組み込まれた少なくともグリップ部材415を介して自己固定式メッシュ410を保持する。
【0081】
形成されると、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラント470(複合体インプラント)は、当業者に周知の適切な手法を用いて滅菌及び/又は包装され得る(工程80)。
【0082】
図5~
図6Fに示されるように、いくつかの実施形態では、湿潤発泡材料と平坦植え込み可能外科用メッシュ、特に自己固定式メッシュは、フレームアセンブリの助けを借りて組み合わされ、複合体インプラントを形成し得る。より具体的には、本明細書に記載されるような複合体インプラントを形成及び/又は製造する方法は、本明細書中(
図1の各工程10、20、30)で同様に説明したように、平坦自己固定式メッシュ(工程610)、湿潤発泡材料(工程620)及び/又はフレームアセンブリ(工程630)を予備的に準備又は用意することと、フレームアセンブリ内に湿潤発泡材料の層を形成すること(工程642)(
図6A~
図6B)と、湿潤発泡体層からフレームを取り外すこと(工程644)(
図6C)と、平坦自己固定式メッシュ、特に平坦自己固定式メッシュのグリップ部材を湿潤非流動発泡体層に適用し、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成すること(工程646)(
図6D)と、少なくとも1つ以上の型を湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の外側上に配置し、略平坦メッシュを3次元構成を画定するメッシュに変化させ、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を形成すること(工程650)(
図6E)と、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体に固定デバイスを追加し、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体に1つ以上の型を固定すること(工程655)(
図6F)と、1つ以上の型及び任意の固定デバイスを含む湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を乾燥させて、湿潤発泡材料を、非平面メッシュのグリップ部材上に配置された乾燥圧縮性発泡体に変化させ、3次元メッシュと乾燥圧縮性発泡体とを含む乾燥複合体インプラント(例えば、非平面又は3次元複合体インプラント)を形成すること(工程660)と、乾燥複合体インプラントから、1つ以上の型、任意の固定デバイス、及び/又はそれにまだ取り付けられているフレームアセンブリの任意の不活性シートを取り外すこと(工程670)とを含み得る。乾燥複合体インプラントは、更に、流通のために必要に応じて滅菌及び包装され得る(工程680)。
【0083】
図6Aは、1つ以上のフレーム735のキャビティ736内に適用される湿潤発泡材料720を示す(工程642)。例えば、湿潤発泡材料720の1つ以上の塊を、シート739の1つ(この上にフレーム735の1つが固定される)の上に、及びフレーム735によって画定されるキャビティ736内に直接置くことができる。いくつかの実施形態では、へら、レードル、スクレーパ、又はスプーンなどの道具709を使用して、湿潤発泡材料720を適用してもよい。単一のフレーム735に適用される湿潤発泡材料720の量は、単一のフレーム735によって画定される単一の各々のキャビティ736の容積よりも大きくてもよい。ガラス板731(この上にベースシート732、アッパーシート733、及びフレーム735が配置され得る)は、水平又は平坦表面を画定する。
【0084】
図6Bは、キャビティ736にわたって、及びフレーム735の上部に沿って展延される及び/又は平坦化される湿潤発泡材料720を注入及び/又は平坦化し、フレーム735及び/又はキャビティ736の厚みにほぼ等しい均一の厚みの略平坦湿潤発泡体層720aを画定することを示す。例えば、湿潤発泡材料720の展延、注入、及び/又は平坦化は、スクレーパ又はスクリードなどの平滑化デバイス729を用いて実施してもよく、平滑化デバイス729をフレーム735の上部にわたって引き、発泡材料720をフレーム735の頂面の高さに合わせる。
【0085】
湿潤発泡材料720をフレーム735の上部に合わせて平坦化することができるため、フレーム735の厚みを用いて湿潤発泡体層720aの厚みを画定することができ、その結果、
図7に概略的に示されるような乾燥圧縮性発泡体720bの厚みを画定することができる。例えば、フレーム735の厚みがグリップ部材715の本体716の長さに満たない場合、湿潤発泡体層720aは、グリップ部材715の表面のみが覆われるようにフレーム735全体を満たすように展延、注入及び/又は平坦化することができ、それにより、
図7の左下の複合体710aに示すように、メッシュ本体713と湿潤発泡体層720a(及び/又は乾燥させると圧縮性発泡体720b)との間に隙間718が作成される。別の例では、フレーム735の厚みがグリップ部材715の本体716の長さを超える場合、湿潤発泡体層720aは、グリップ部材715が完全に覆われるようにフレーム735の全体を満たすように注入され、平坦化することができ、
図7の右下の複合体710bに示すように、メッシュ本体713と湿潤発泡体層720a(及び/又は乾燥させると圧縮性発泡体720b)は互いに当接し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、湿潤発泡体層720aを形成するための湿潤発泡材料720の展延、注入及び/又は平坦化の後、フレーム735は、湿潤発泡体とメッシュとを組み合わせる前に、取り外されてもよい。
図6Cに示されるように、工程644において、1つ以上のフレーム735は湿潤発泡体層720aから取り外すことができ、取り外し可能なシート733及び/又は底板731上に配置された湿潤発泡体層720aが残る。特に、いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される製造方法は、任意のフレーム締結具737をフレーム735から取り外し、その後、湿潤発泡材料720の層720aからフレーム735を取り外すことを含み得る。
【0087】
フレーム735を取り外した後、
図6Dに示すように、工程646において、グリップ部材(
図6Dに不図示)が下方を向いて、先頭となって湿潤発泡体720の層720aの方に向かい、メッシュ本体がグリップ部材715に後続する状態で、略平坦自己固定式メッシュ710を湿潤発泡体層720aの頂面上に下ろし、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体740を形成することができる。メッシュ本体は、湿潤層720aに進入してもしなくてもよい。発泡体層の頂面は、不活性シートの上面に位置する発泡体層の底面の反対側である。
【0088】
いくつかの実施形態では、湿潤発泡体層内に配置された後、略平坦メッシュは、グリップ部材が発泡体層中に埋め込まれることを確実にするために、ローラで圧延され得る。例えば、ローラは、湿潤発泡体及び/又はグリップ部材を含む第1の表面とは反対側のメッシュの第2の表面にわたって圧延され得る。
【0089】
図6Eに示されるように、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体740で覆われた不活性シート733を底板731から分離し、一対の型750a、750bと組み合わせて、平坦メッシュ710を3次元メッシュ710aに変化させ、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体760を形成することができる。
図6Eにおいて、第1の型750aは、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体760の下に隠れており、実施形態では、中実型であり得る。湿潤発泡材料720(及び/又は湿潤発泡体層720a)は湿潤形態でメッシュ710a上に配置されたままである一方、第2の型750bは、略平坦メッシュ710を非平坦構成、即ち3次元メッシュ710aに変化させるために、グリップ部材とは反対側のメッシュ710の第2の面712上に配置され、第2の面712に押し付けられた状態で示される。
【0090】
第1の型又は第2の型は、グリップ部材又は発泡体層を損傷することなく、メッシュを、単独で又は発泡体層と共に、非平面にする任意の適切な型であり得る。例えば、第1の型又は第2の型は、ハニカム形状の孔を含む型など多孔質型を含む中実型であり得る。多孔質型の一例は、
図6E及び
図6Fに示されている。型は、例えば、非限定的に、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PTEg)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アルミニウム、及びステンレス鋼などの任意の適切な材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、フレームは、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)であってもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、型の少なくとも1つは、自己固定式メッシュをDextile Mesh(登録商標)(Medtronic)(例えば(特許文献2)を参照)と同様の3次元形状又は輪郭に成形するように構成された中実型である。
【0092】
いくつかの実施形態では、第1の型及び第2の型は両方とも中実型である。他の実施形態では、第1の型及び第2の型は両方とも多孔質型である。更に他の実施形態では、第1の型は多孔質型であり、第2の型は中実型である。例えば、いくつかの実施形態では、蜂巣状の孔を含む多孔質型がメッシュの第2の面に適用されてもよく、中実型が不活性シートの底面に適用されてもよい。不活性シート上に中実型を使用すると、滑らかな外面を有する乾燥発泡体が作成されることが想定される。更に、不活性シート上に多孔質型を使用すると、孔の開口にわたって延びる不活性シートの部分が湿潤発泡材料のいくらかの部分と共に開口に染みこむことを可能にし、それにより粗面化又はテクスチャ化された外面を有する乾燥発泡体を作成できることが想定される。
【0093】
湿潤発泡体層720aに埋め込まれることによって保護され得る自己固定式メッシュのグリップ部材(及び/又は非自己固定式メッシュのフィラメント)が損傷しないようにするために、メッシュの成形は、熱を伴わずに、又はグリップ部材(及び組織又はメッシュにグリップするグリップ部材の機能)、メッシュ、若しくは発泡体を損傷しない又は変化させないほど十分に低い温度の熱を伴って実施され得る。更に、熱成形とは異なり、本明細書中に記載される植え込み可能外科用メッシュの成形は、メッシュの構成を恒久的に変化させるものではない。むしろ、成形は、平坦メッシュを非平坦構成に変換させるものであり、発泡体の乾燥が、メッシュを非平坦構成に保持する。その結果、いくつかの実施形態では、乾燥発泡体が非平面メッシュから取り外されると、メッシュは、自然に略平坦構成に戻ることができる。熱硬化されない又は恒久的に変化しないことにより、植え込み可能メッシュは、植え込み後にメッシュを取り囲む新しい組織の成長に適応するための機能及び/又は可撓性を維持する。
【0094】
図6Fは、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体760に対する1つ以上の型750a、750bの固定を示す。図示のように、いくつかの実施形態では、第1又は第2の型750a、750bは、メッシュ710aの非平坦構成を、単独で又は湿潤発泡体層720aと共に、1つ以上の型750a、750b内で保持するために、クランプ又はクリップなどの1つ以上の固定デバイス768を介して湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体760に固定され得る。
【0095】
湿潤非流動発泡体層720aとグリップ部材を含む植え込み可能メッシュ710とが成形されて湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体760が形成された後、3D構成710bの組み合わされた湿潤発泡体層720aとメッシュを強制空気オーブンなどのオーブン内で乾燥させることによって、湿潤発泡体層720aを乾燥圧縮性発泡体720bに乾燥させることができる。湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体760は、10~100℃、好ましくは20~50℃の温度で最大5分~16時間、好ましくは2~4時間乾燥させて、メッシュ上に乾燥圧縮性発泡体を形成し、非平面又は3次元自己固定式メッシュを含む複合体インプラントを形成することができる。
【0096】
乾燥後、滅菌前に、1つ以上の固定デバイス768、型750a、750b及び不活性シート733を乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラント770から取り外すことができる。更に、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラント770は、例えば製造中に形成された粗い縁を除去するために、必要に応じてトリミングすることができる。トリミングは、はさみ、ナイフ、メス、レーザなどの任意の適切な切断デバイスを用いて行うことができる。
【0097】
複合体インプラントの乾燥圧縮性発泡体の表面密度は、約0.1mg/cm2~10mg/cm2、0.5mg/cm2~5mg/cm2、又は1mg/cm2~3mg/cm2の範囲であってもよい。
【0098】
乾燥圧縮性発泡体は、インプラント質量の約5%~50%、10%~40%、又は15%~30%であり得る。形成されると、本明細書中に記載される複合体インプラントは、当業者に周知の適切な手法を用いて滅菌及び包装され得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、
図8に示すように、平坦植え込み可能外科用メッシュ810は、湿潤発泡材料820と組み合わされる前に、フレームアセンブリ835と組み合わされ得る。例えば、いくつかの実施形態では、工程840において、平坦植え込み可能外科用メッシュ810は、湿潤発泡材料820と組み合わされる前に、フレーム835のフレームキャビティ内、及び取り外し可能な不活性ベースシート(図示せず)の上に配置され得る。いくつかの実施形態では、メッシュ810は、上方を向いた及び/又はベースシートの反対側に配置されたグリップ部材を有する自己固定式メッシュであり得る。
【0100】
図8に更に示されるように、工程842において、湿潤発泡材料820は、フレーム835のキャビティ内の平坦メッシュ810(及び/又はグリップ部材)に直接適用され、フレーム835の上部にわたって平坦化され、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体840を形成することができる。フレーム835は、湿潤発泡体820がメッシュ810にわたって注入及び/又は平坦化された後に取り外されてもよい。フレーム835は、成形前に取り外されてもよい。湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体840は、ベースシート上にとどまってもよい。
【0101】
次に、工程844において、少なくとも第1の型850、特に中実型を湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体840のベースシート側に適用し、少なくとも平坦メッシュ810を3次元(3D)及び/又は非平坦構成に変化させ、それにより、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体860を形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の型850の外縁部851は、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体860の外周部によって画定される表面積にほぼ等しくてもよい又は表面積よりも大きくてもよい型表面積を画定する。
【0102】
ストラップ845が、湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体860を含む第1の型850の外縁部851の上及び/又は周囲に配置され得る。ストラップ845は、湿潤発泡体の一部分を覆っていても覆っていなくてもよい。閉鎖部品855が、外縁部851に沿って、特に第1の型850の外縁部851の湾曲部に沿ってストラップ845の一部分に重なり合うように設計されている。閉鎖部品855は、第1の型850上の湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体860を更に伸展させるように構成され得る。第1の型850、ストラップ845及び/又は閉鎖部品855の全てではないにしてもいずれかに湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体860を固定するために、1つ以上のクランプ868が更に追加されてもよい。その後、クランプされた湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体860を乾燥させて、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラント870を形成することができる。
【0103】
乾燥後、
図8の工程846に示されるように、あらゆるストラップ、閉鎖部品、型、シート及び/又はクランプが乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体870から取り外され得る。いくつかの実施形態では、
図8に更に示されるように、工程848において、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体870は更に、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体870の外縁部872の部分を取り除くために、トリミング及び/又は切断され得る。
【0104】
乾燥形式において、乾燥発泡体の層は、メッシュを非平面又は3D構成に保持する。形成されると、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラント870(複合体インプラント)は、当業者に周知の任意の適切な手法を用いて滅菌及び/又は包装され得る。
【0105】
複合体インプラント
図9A~
図12は、本明細書に記載されるような乾燥3次元複合体インプラントの様々な非限定的な例を示す。
図9A~
図9Bにおいて、3次元複合体インプラント900は、3次元自己固定式メッシュ910の層を、グリップ部材915を介して3次元自己固定式メッシュ910の層に取り付けられた圧縮性発泡体920の層と共に含む。いくつかの実施形態では、自己固定式メッシュ910及び圧縮性発泡体920はそれぞれ、概ね、曲線状の輪郭、ドーム形の輪郭、及び/又は多平面輪郭を画定する。いくつかの実施形態では、自己固定式メッシュのメッシュ本体は、その少なくとも1つの面から延びるグリップ部材を更に含むDextile(登録商標)メッシュ(Medtronic)などの解剖学的3次元構成を画定し得る。
【0106】
図9Bは、少なくとも植え込み可能メッシュ910と圧縮性発泡体920とを含む複合体外科用インプラント900の概略断面図を示す。圧縮性発泡体920は、1つ以上の、特に複数のグリップ部材915の少なくとも頭部部分917を覆っており、それにより、グリップ部材915が組織に付着すること及び/又は重ね合わせたときにメッシュ910の他の部分と絡み合うことを防止する。
【0107】
図9Bにおいて、圧縮性発泡体920は、第1の厚みT
1を画定する第1の初期拡張又は非圧縮発泡体構成で示されている。第1の構成において、グリップ部材915は、インプラント900の少なくとも頂面図においてグリップ部材915が発泡体920によって隠れる及び/又は遮蔽されるように、発泡体920に十分に埋もれ得る。第1の構成において、グリップ部材915は、非グリップ又は非活動構成にある。
【0108】
図10は、
図10に矢印で示される力又は圧力P
1が圧縮性発泡体920に加えられた後の
図9A~
図9Bの複合体外科用インプラント900の概略断面図を示す。図示のように、圧縮性発泡体920は、第1の厚みT
1よりも小さい第2の次の厚みT
2を全体的に画定する第2の後続の及び/又は圧縮構成にある。乾燥圧縮性発泡体920は、力又は圧力P
1が除去された後でも(及び生体内での発泡体の任意の溶解前)第2の構成を維持する。
【0109】
いくつかの実施形態では、
図10に矢印で示されるように、力又は圧力P
1は、発泡体920の第1の外面921に直接、メッシュ910(及び/又は第1又は第2のメッシュ面)に概ね向かう方向に加えることができる。矢印は、発泡体920(及び/又は第1の外面)に対してほぼ垂直に加えられる力又は圧力P
1を示すが、いくつかの実施形態では、代替的に、力又は圧力P
1は、発泡体920の第1の外面921に対して任意の角度で加えられ得ることが想定される。いくつかの非限定的な例は、圧力が、45~135度の範囲の角度で加えられること並びに/又は発泡体920の第1の外面921の少なくともいくらかの部分に略平行に、及び発泡体920の第1の外面921の少なくともいくらかの部分を直接横切ってスライドされることを含む。
【0110】
図10は、いくつかの実施形態では、第2の構成において、圧縮性発泡体920が、頂面921、メッシュ910及び/又はグリップ部材915の全体にわたって一様に圧縮され得ることを更に示す。しかしながら、いくつかの実施形態では、発泡体920は、頂面921、メッシュ910及び/又はグリップ部材915の限られた部分のみが第2の圧縮構成に移行され得る。
【0111】
図9B~
図10に示されるように、「圧縮性」とは、乾燥形態の発泡体に圧力が加えられると、第1の又は初期厚みT
1を有する第1の発泡体から第2の又は後続の厚みT
2を有する第2の発泡体に移行するように構成されており、第2の又は後続の厚みは、第1の又は初期厚みよりも小さい又は薄く、第2の又は後続の厚みは、圧力の印加が除去された後に維持される。第2の又は後続の厚みは、生体内での圧縮性発泡体の初期吸収又は溶解の前にも維持され得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、第2の発泡体構成における圧縮性発泡体は、1つ以上のグリップ部材の第2の自由端部、特に頭部部分上になく、それによりグリップ部材を直接露出させて、活動的なグリップ構成において組織に取り付けることができる。活動的なグリップ構成において、1つ以上のグリップ部材の第2の自由端部、特に頭部部分は発泡体を有さず、組織又はメッシュの他の部分(又は第2のメッシュ又はメッシュフラップ)に直接取り付けられるように構成されている。
【0113】
いくつかの実施形態では、第2の発泡体構成における圧縮性発泡体は、1つ以上のグリップ部材の第2の自由端部、特に頭部部分を依然として覆い、それにより、非活動的なグリップ構成においてグリップ部材が組織に取り付けられるのを防止することができる。しかしながら、第2の構成においてグリップ部材の頭部部分を取り囲む発泡体はより薄くなっているため、発泡体が生体内で溶解する時間は第1の構成に比べてあまりかからない可能性があり、それにより、第1の構成よりも速やかにグリップ部材を組織又はメッシュの他の部分(又は第2のメッシュ又はメッシュフラップ)に直接取り付けることを可能にする。
【0114】
圧縮性発泡体は、第1の構成及び第2の構成の両方において、開放した相互連結孔を含む多孔質構造である。「開放した相互連結孔」とは、発泡体が、発泡体の外側からアクセスすることができる開放気孔を有し、孔が、互いに連通して発泡体の全体にわたって3次元ネットワークを形成していることである。
【0115】
本明細書中に記載される圧縮性発泡体は、少なくとも1種の生体適合性高分子発泡剤と、任意選択的に少なくとも1種の生体適合性可塑剤、少なくとも1種の生体適合性添加剤、又はこれらの両方とで構成されてもよい。生体活性剤も含まれてよい。
【0116】
発泡剤、可塑剤、及び添加剤のそれぞれは、軟組織修復の部位、即ちヘルニア、脱若しくは小孔の部位の生理的条件又は生理食塩水など同様の流体内で可溶である。「部位の生理的条件内で可溶」とは、選択された材料が、ヘルニア部位の生物学的流体のpH、温度及び/又は化学物質成分に従って可溶であることである。例えば、いくつかの実施形態では、乾燥発泡体は、37℃では可溶であるが20℃では可溶でないゼラチン若しくはコラーゲンを含み得る、及び/又は乾燥発泡体は、多量のナトリウム塩を含有する流体に可溶であるが、多量のカルシウム塩を含有する流体には可溶でないアルギン酸ナトリウムを含み得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される圧縮性発泡体は、少なくとも1種の生体適合性高分子発泡剤と少なくとも1種の生体適合性可塑剤とで構成されてもよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される圧縮性発泡体は、少なくとも1種の生体適合性高分子発泡剤と少なくとも1種の生体適合性添加剤とで構成されてもよい。
【0119】
本明細書中に記載される圧縮性発泡体は、少なくとも1種の生体適合性高分子発泡剤と少なくとも1種の生体適合性可塑剤と少なくとも1種の生体適合性添加剤とで構成されてもよい。
【0120】
生体適合性高分子発泡剤は、以下に詳述するように、発泡体を水溶液から形成するのを補助するように構成されている。発泡剤のいくつかの適切な非限定的な例としては、ゼラチン、コラーゲンなどのタンバク質、ポロキサマー、ポリソルベート、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0121】
少なくとも1種の生体適合性可塑剤の添加により、乾燥させた圧縮性発泡体に可撓性及び柔らかさが付与され、圧縮性発泡体が柔らかく且つしなやかになる。生体適合性可塑剤のいくつかの非限定的な適切な例としては、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物などの多価アルコールが挙げられる。いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体は、グリセロール、ソルビトール、又はこれらの両方などの可塑剤を含む。
【0122】
少なくとも1種の生体適合性添加剤の添加は、乾燥させた圧縮性発泡体に機械強度を付与することができる、及び/又は圧縮性発泡体の生産中に増粘剤(溶液の粘度を増加させる)として機能し得る。いくつかの実施形態では、添加剤は、非高分子添加剤である。いくつかの実施形態では、添加剤は、高分子添加剤である。生体適合性添加剤のいくつかの非限定的な適切な例としては、アルギン酸塩、ペクチン、カラギナン、セルロースベースの誘導体、例えばセルロースエーテル、例えばメチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ザンサンガム及びグアーガムなどの多糖類ガム、デキストラン、ヒアルロン酸、及びヒアルロン酸塩、プルラン、マルトデキストリン、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコール、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態では、湿潤発泡体は、HPMC発泡剤、グリセロール可塑剤、及びヒアルロン酸ナトリウム添加剤を含んでもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体は、コラーゲン化合物発泡剤及びグリセロール可塑剤を含む。
【0125】
図11A~
図11Bに示すように、いくつかの実施形態では、3次元複合体インプラント1000は、外科用プラグとして有用であり得、インプラント1000は、軟組織開口を塞ぐように構成された略U字形の断面を画定する3次元自己固定式メッシュ1010を含む。いくつかの実施形態では、複合体インプラント1000は、メッシュ1010の第1の面1011の少なくとも第1の部分1011aから延びる複数のグリップ部材1015と、グリップ部材上に配置された乾燥圧縮性発泡体1020とを含み得る。第1の面1011の第2の部分1011bは、グリップ部材及び/又は発泡体を含まない。特にグリップ部材及び/又は発泡体を含む複合体インプラントは、非活動的なグリップ構成で示されている。外科用プラグインプラント1000は更に、チャネル又はキャビティ1025を画定し得る。
【0126】
図12に示すように、いくつかの実施形態では、3D複合体インプラント1100は、グリップ部材を含まない3Dメッシュ(即ち、非自己固定式メッシュ)1110と、乾燥圧縮性発泡体1020とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、乾燥圧縮性発泡体1020は、グリップ部材を含まない3Dメッシュ1110に部分的に埋め込まれてもよい。
【0127】
図13A~
図13Cに示すように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような3次元複合体インプラント1200は、植え込み前又は植え込み後のいずれかに、乾燥発泡体が水和及び/又は吸収されるにつれて、(乾燥発泡体形式の)3次元構成から略平坦構成に再び移行するように構成され得る。特に、
図13Aは、(グリップを有する又は有しない)3Dメッシュ上に乾燥3D圧縮性発泡体1220を含む乾燥3D複合体インプラント1200を示す。
図13Bに示されるように、乾燥3D複合体インプラント1220の少なくとも一部分が水、生理食塩水、又は体液などで水和されると、乾燥発泡体1220は溶解し、3Dメッシュ1210を露出させることができる。
図13Cに更に示されるように、メッシュ1210は、発泡体の全量ではないにしても大部分の量が溶解/吸収/水和されると平坦非3D構成に戻り始めることができる。本明細書中に記載される複合体インプラントを形成及び/又は使用する方法は、乾燥発泡体が水和、溶解及び/又は吸収されるにつれて、3次元複合体インプラント(及び/又は3Dメッシュ)を略平坦メッシュに変化させる工程を更に含み得る。
【0128】
使用方法
本明細書中に記載される複合体インプラントは、軟組織の開口又は創傷の修復又は治療に有用である。いくつかの非限定的な例としては、ヘルニア修復、脱修復、硬膜修復、小孔修復などが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される複合体外科用インプラントは、腹壁ヘルニア、鼠径ヘルニア、臍ヘルニアなどから選択されるヘルニア修復に有用である。
【0129】
軟組織修復又は治療は、開腹又は腹腔鏡下処置により実施され得る。いくつかの実施形態では、軟組織修復又は治療は、経腹腔的到達法(TAPP)又は完全腹膜外到達法(TEP)などの腹腔鏡下処置によるヘルニア修復のためであり得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、複合体インプラントは、軟組織修復方法で使用され得る。本方法は、修復を必要とする軟組織の創傷の近傍の患者の植え込み部位に複合体インプラントを挿入することであって、複合体インプラントは、第1の面と第1の面の反対側の第2の面とを有する本明細書に記載されるような3次元(3D)メッシュと、メッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材であって、複数のグリップ部材のそれぞれは、メッシュに取り付けられた第1の端部とメッシュに固定されていない第2の端部との間に延びる本体と、複数のグリップ部材の少なくとも第2の端部を覆っている圧縮性発泡体とを含み、圧縮性発泡体は、第1の厚みを有する第1の構成から第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の構成に移行するように構成されている、複数のグリップ部材とを含む、患者の植え込み部位に複合体インプラントを挿入することと、複数のグリップ部材の第2の端部を露出させることとを含み得る。挿入後、本方法は、複合体3次元インプラントを軟組織の創傷にわたって配向することと、乾燥圧縮性発泡体の一部分に圧力を加えて第1の構成から第1の厚みよりも小さい第2の厚みを有する第2の構成に移行させ、それにより、複数のグリップ部材の少なくともいくらかの部分の第2の端部を露出させることと、体液の存在を利用して、第2の構成にある圧縮性発泡体を含むグリップ部材を組織に固定することとを更に含む。
【0131】
第1の厚み及び第2の厚みの両方における乾燥圧縮性発泡体は、組織内に見られる生理学的流体中で溶解し得る。第2の圧縮構成における乾燥圧縮性発泡体は、第1の拡張構成にある圧縮性発泡体よりも速く溶解し得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、少なくとも第2の構成及び任意選択的に第1の構成における乾燥圧縮性発泡体は、生理学的流体中において、30分未満で、いくつかの実施形態では15分未満で、実質的に、即ち乾燥圧縮性発泡体の(100%ではないにしても)90%を超えて溶解するように構成され得る。いくつかの実施形態では、乾燥発泡体は、生理学的流体中において、5分未満で実質的に溶解する。
【0133】
植え込まれ、生理学的流体に曝露されると、いずれの構成の乾燥圧縮性発泡体も水和し始める。いずれかの構成の圧縮性発泡体の吸収又は溶解後、3次元複合体インプラントのグリップ性能は、圧縮性発泡体と組み合わされる前の平坦自己固定式メッシュのグリップ性能にほぼ等しい。
【0134】
3次元複合体インプラントを挿入する前に、軟組織修復方法は、複合体インプラントを挿入する前に患者に切開を形成することと、トロカールを通して複合体インプラントを挿入するために切開内にトロカールを任意選択的に配置することとを更に含み得る。更に、本方法は、複合体3次元インプラントを植え込み部位に挿入する前に巻く又は折り畳むことと、複合体3次元インプラントを植え込み部位に挿入された後に巻き出す又は展開することとを更に含み得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体の一部分に圧力を加える工程は、
生物学的組織に接触する、圧縮性発泡体の第1の外面に直接、圧縮性発泡体を含むメッシュの第1の面とは反対側のメッシュの第2の面に間接的に、又はこれらの両方で圧力を加えることを含み得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、圧縮性発泡体の一部分に圧力を加える工程は、生物学的組織に接触する圧縮性発泡体の外面に直接圧力を加えることを含み得る。圧力は、圧縮性発泡体の長手方向軸線に対してほぼ垂直位置の角度で、圧縮性発泡体の長手方向軸線に対して約15°~約75°の範囲の角度で、又は圧縮性発泡体の第1の外面にわたって圧力をスライドさせることによって発泡体に直接加えられ得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、生物学的組織に接触する圧縮性発泡体の一部分に圧力を加える工程は、メッシュ(又は圧縮性発泡体)の長手方向軸線に対してほぼ垂直位置の角度で、メッシュ(又は圧縮性発泡体)の長手方向軸線に対して約15°~約75°の範囲の角度で、又はメッシュの第2の面にわたって圧力をスライドさせることによって、圧縮性発泡体を含むメッシュの第1の面とは反対側のメッシュの第2の面に間接的に圧力を加えることを含み得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、圧力を加える工程は、複合体インプラントを配向する前に、圧縮性発泡体の第1の部分のみに圧力を加えて第1の構成から第2の構成に移行させることと、複合体インプラントを配向した後に圧縮性発泡体の第2の異なる部分に圧力を加えて、第2の構成における発泡体の第1の部分が、発泡体の第1の部分上に配置されたグリップ部材を組織に取り付け、第1の部分を所定の位置に固定することを可能にしつつ、複合体インプラントの残りの部分が適切な配向のために調整又は再調節されることとを更に含み得る。
【0139】
複合体3次元インプラントが適切に配向され、第2の構成の圧縮性発泡体を含むグリップ部材が周囲組織に取り付けられると、修復方法は、縫合糸、ステープル、接着剤、鋲などの適切な外科用締結具を用いて植え込み可能メッシュを創傷周囲の組織に締結すること、切開を閉鎖すること、又はこれらの両方を更に含み得る。
【0140】
本明細書中に記載されるインプラントは、開腹又は腹腔鏡下外科的処置で使用されるように設計されている。外科的処置は、人、例えば外科医若しくは他の医療スタッフによって直接、又は外科用ロボットの支援により実施され得る。少なくとも1つの外科用ロボットの非限定的な例としては、Intuitive Surgical(商標)によって製造されているシングルポート及びマルチポートロボット(例えば、DaVinci(商標))及びMedtronic(商標)のHugo(商標)が挙げられる。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載されるインプラントは、ヘルニア又は脱などの軟組織欠陥を治療及び/又は修復するように設計され得る。いくつかの実施形態では、インプラントは、腹腔内、腹膜前腔、筋肉群後方腔のうちの少なくとも1つにおけるヘルニアを治療及び/又は修復するように設計され得る。本明細書中に記載されるインプラントは、筋膜上インプラント、筋膜内インプラント、筋膜下インプラント、筋肉群後方インプラント、腹膜前インプラント、又は腹腔内インプラントの1つ以上であり得る。本明細書中に記載されるインプラントは、経腹腔的到達法(TAPP)、完全腹膜外到達法(TEP)、腹膜前修復術(TIPP)、最小切開腹膜前到達法(MOPP)、腹腔鏡下腹腔内メッシュ留置法(IPOM)、腹腔鏡下腹直筋腱膜修復術(laparoscopic intracorporeal rectus aponeuroplasty procedures)(LIRA)、皮下筋膜上腹腔鏡下到達法(subcutaneous onlay laparoscopic approach procedures)(SCOLA)、経腹的筋肉群後方臍プロテーゼ法(transabdominal retromuscular umbilical prosthetic procedures)(TARUP)などを含む1つ以上のヘルニア関連処置に使用され得る。これらの各処置は、外科医若しくは医療スタッフによって直接並びに/又は外科用ロボットシステム/デバイスを介して実施され得る。例えば、TAPPは、ロボット支援経腹腔的到達法(rTAPP)を含み得る、及び/又はTEPは、拡張/強化視野完全腹膜外到達法(eTEP)などを含み得る。
【0142】
本明細書中に記載されるインプラントは、様々な大きさのトロカール又はカニューレを通過させるのに適したコンパクトな構成に容易に巻かれる及び/又は折り畳まれるように設計されている。例えば、圧縮又は非圧縮構成のインプラントは、約5mm~約15mmの範囲の直径を有するトロカール又はカニューレを通過するように設計され得る。いくつかの実施形態では、トロカール又はカニューレの直径は、8mm、10mm、11mm、又は12mmであり得る。トロカール又はカニューレは、再利用可能又は使い捨てであり得る。トロカールは、ステンレス鋼などの金属及び/又は任意の適切な生体適合性高分子材料を含む任意の生体適合性材料で作られ得る。
【0143】
本開示の複合体インプラントの実施形態に様々な修正を加えることができることは理解されよう。例えば、自己固定式メッシュを対象とする本明細書中に記載される実施形態は、非自己固定式メッシュも含むことが意図され得、その逆もまた然りである。したがって、上記の説明は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、単に実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の範囲及び趣旨の範囲内で他の修正を想到するであろう。
【実施例0144】
実施例1
(特許文献7)に記載されているようなメッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む24cm×18cmのサイズを有する植え込み可能平坦外科用メッシュを用意した。グリップ部材は、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料のモノフィラメント糸から作製した。植え込み可能外科用メッシュは、糸の表面の残留油を除去するために水で洗浄した。以下の手法で、乾燥圧縮性発泡体の形態の発泡体層を植え込み可能メッシュのグリップ部材と組み合わせて複合体インプラントを形成した。
【0145】
1)湿潤発泡体を形成するための、生理的条件内で可溶の材料の水溶液の調製:
2.5重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、2.0重量パーセントのヒアルロン酸ナトリウム、及び2.0重量パーセントのグリセロールを含む水溶液を以下のように調製した。
【0146】
最初に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを加熱した滅菌水(80℃)中に分散させてHPMC水性分散体を形成した。HPMC水性分散体にグリセロールを添加し、室温で2時間冷却した。次いで、HPMC-グリセロール溶液にヒアルロン酸ナトリウムを添加し、溶液を室温で16時間混合した。使用したヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ShinEtsu CompanyからPHARMACOAT(登録商標)603の商標で市販されている。使用したグリセロールは、Merck CompanyからEMPROVE(登録商標)Expert無水グリセロールの商標で市販されている。使用したヒアルロン酸ナトリウムは、HTL Biotechnology社によって提供された、固有粘度が1.02m3/Kgのものである。
【0147】
2)湿潤発泡材料の調製
前工程で得られた水溶液をミキサボウル(Kenwood社の台所機器Cooking Chef)に注いだ。水溶液に気泡を導入するために、この溶液を室温で2分間泡立てた。気泡の導入後、湿潤発泡材料が形成された。湿潤発泡材料の湿潤発泡密度は、約0.26g/cm3であった。
【0148】
3)フレームアセンブリを使用して湿潤発泡材料と平坦メッシュのグリップ部材とを組み合わせる
1.5mmの厚みを有するステンレス鋼矩形フレーム(外寸24cm×18cm、内寸20cm×14cm)を、0.51mmの厚みを有する矩形シリコーンシート(24cm×18cm)の上に置いた。シリコーンシートは、Rogers Corporation社により提供されたものである。次いで、湿潤発泡体をフレームアセンブリに注入し、一定の発泡体厚みを与えるために金属棒を用いてフレームの上部にわたって平坦化した。金属フレームは、湿潤発泡体層及びシリコーンシートから取り外した。平坦植え込み可能メッシュを、グリップ部材が湿潤発泡体に向けて下方を向いた状態で湿潤発泡体層の上部外面上に置いた。湿潤発泡体内にグリップ部材を埋め込むためにメッシュを圧延し、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成した。
【0149】
4)湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の成形
シリコーンシートと湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体とで構成されるアセンブリを、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)製品に対応する寸法を有するポリエチレンテレフタレート(PET)の中実型上に置いた。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の第2の多孔質ハニカム型をメッシュに対して置いた。複合体を2つの型の間に配置し、2つの型を互いに押し付けて湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を形成した。湿潤発泡体の乾燥中、3次元構造を保つために、2つの型を2つ(2)の金属クランプで複合体にクランプした。
【0150】
5)湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体の乾燥
次いで、互いに組み立てられ、3次元構成の植え込み可能メッシュと湿潤発泡材料とを含む2つの型をオーブン(28℃/相対湿度35%)に入れ、ハニカム部分を空気流に曝し、16時間乾燥させて、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成した。
【0151】
6)乾燥後の、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントの切断
乾燥後、金属クリップ、2つの型、及びシリコーンシートを複合体インプラントから取り外した。次いで、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)と同一の3次元輪郭を画定するメッシュ本体を有するようにインプラントの縁をはさみで切断した。メッシュ本体は、乾燥圧縮性発泡体の層で覆われた生体吸収性グリップ部材、即ちPLAグリップ部材を更に含む。
【0152】
7)複合体インプラントの滅菌
3次元複合体インプラントを3Dインプラントの寸法に合わせて設計されたクラムシェルで包装し、EtOを用いて38℃で5時間滅菌した(ΔP=400mBar)(クラムシェルは、滅菌のためにTyvek(登録商標)バッグに入れた)。滅菌後、Tyvek(登録商標)バッグはホイルパウチに密封し、使用されるまで室温で維持した。
【0153】
実施例2
(特許文献7)に記載されているようなメッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む24cm×18cmのサイズを有する植え込み可能平坦外科用メッシュを用意した。グリップ部材は、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料のモノフィラメント糸から作製した。植え込み可能外科用メッシュは、糸の表面の残留油を除去するために水で洗浄した。以下の手法で、乾燥圧縮性発泡体の形態の発泡体層を植え込み可能メッシュのグリップ部材と組み合わせて複合体インプラントを形成した。
【0154】
1)湿潤発泡体を形成するための、生理的条件内で可溶の材料の水溶液の調製:
2.5重量パーセントのコラーゲン化合物及び0.25重量パーセントのグリセロールを含む水溶液を以下のように調製した。
【0155】
最初に、コラーゲン及びグリセロールを加熱した滅菌水(33℃)中に注いだ。溶液は、33℃で4時間混合した。使用したコラーゲンは、ブタの皮膚から酸性pHでの可溶化によって又はペプシン消化によって抽出し、周知の技術に従い塩類沈殿によって精製したブタI型コラーゲンである(Sofradim Production)。使用したグリセロールは、Merck CompanyからEMPROVE(登録商標)Expert無水グリセロールの商標で市販されている。
【0156】
2)湿潤発泡材料の調製
前工程で得られた水溶液をミキサボウル(Kenwood社の台所機器Cooking Chef)に注いだ。水溶液に気泡を導入するために、この溶液を室温で2分間泡立てた。気泡の導入後、湿潤発泡材料が形成された。湿潤発泡材料の湿潤発泡密度は、約0.20g/cm3であった。
【0157】
3)フレームアセンブリを使用して湿潤発泡材料と平坦メッシュのグリップ部材とを組み合わせる
1.0mmの厚みを有するステンレス鋼矩形フレーム(外寸24cm×18cm、内寸20cm×14cm)を、0.51mmの厚みを有する矩形シリコーンシート(24cm×18cm)の上に置いた。シリコーンシートは、Rogers Corporation社により提供されたものである。次いで、湿潤発泡体をフレームアセンブリに注入し、一定の発泡体厚みを与えるために金属棒を用いてフレームの上部にわたって平坦化した。金属フレームは、湿潤発泡体層及びシリコーンシートから取り外した。平坦植え込み可能メッシュを、グリップ部材が湿潤発泡体に向けて下方を向いた状態で湿潤発泡体層の上部外面上に置いた。湿潤発泡体内にグリップ部材を埋め込むためにメッシュを圧延し、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成した。
【0158】
4)湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の成形
シリコーンシートと湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体とで構成されるアセンブリを、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)製品に対応する寸法を有するポリエチレンテレフタレート(PET)の中実型上に置いた。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の第2の多孔質ハニカム型をメッシュに対して置いた。複合体を2つの型の間に配置し、2つの型を互いに押し付けて湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を形成した。湿潤発泡体の乾燥中、3次元構造を保つために、2つの型を2つ(2)の金属クランプで複合体にクランプした。
【0159】
5)湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体の乾燥
次いで、互いに組み立てられ、3次元構成の植え込み可能メッシュと湿潤発泡材料とを含む2つの型をオーブン(20℃/相対湿度40%)に入れ、ハニカム部分を空気流に曝し、16時間乾燥させて、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成した。
【0160】
6)乾燥後の、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントの切断
乾燥後、金属クリップ、2つの型、及びシリコーンシートを複合体インプラントから取り外した。次いで、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)と同一の3次元輪郭を画定するメッシュ本体を有するようにインプラントの縁をはさみで切断した。メッシュ本体は、乾燥圧縮性発泡体の層で覆われた生体吸収性グリップ部材、即ちPLAグリップ部材を更に含む。
【0161】
7)複合体インプラントの滅菌
3次元複合体インプラントを3Dインプラントの寸法に合わせて設計されたクラムシェルで包装し、EtOを用いて38℃で5時間滅菌した(ΔP=400mBar)(クラムシェルは、滅菌のためにTyvek(登録商標)バッグに入れた)。滅菌後、Tyvek(登録商標)バッグはホイルパウチに密封し、使用されるまで室温で維持した。
【0162】
実施例3
(特許文献7)に記載されているようなメッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む24cm×18cmのサイズを有する植え込み可能平坦外科用メッシュを用意した。グリップ部材は、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料のモノフィラメント糸から作製した。植え込み可能外科用メッシュは、糸の表面の残留油を除去するために水で洗浄した。以下の手法で、乾燥圧縮性発泡体の形態の発泡体層を植え込み可能メッシュのグリップ部材と組み合わせて複合体インプラントを形成した。
【0163】
1)湿潤発泡体を形成するための、生理的条件内で可溶の材料の水溶液の調製:
6.0重量パーセントのコラーゲン化合物及び1.5重量パーセントのグリセロールを含む水溶液を以下のように調製した。
【0164】
最初に、コラーゲン及びグリセロールを加熱した滅菌水(40℃)中に注いだ。溶液は、40℃で1時間混合した。使用したコラーゲンは、ブタの皮膚から酸性pHでの可溶化によって又はペプシン消化によって抽出し、周知の技術に従い塩類沈殿によって精製したブタI型コラーゲンである(Sofradim Production)。使用したグリセロールは、Merck CompanyからEMPROVE(登録商標)Expert無水グリセロールの商標で市販されている。
【0165】
2)湿潤発泡材料の調製
前工程で得られた水溶液をミキサボウル(Kenwood社の台所機器Cooking Chef)に注いだ。水溶液に気泡を導入するために、この溶液を室温で5分間泡立てた。気泡の導入後、湿潤発泡材料が形成された。湿潤発泡材料の湿潤発泡密度は、約0.10g/cm3であった。
【0166】
3)フレームアセンブリを使用して湿潤発泡材料と平坦メッシュのグリップ部材とを組み合わせる
2.0mmの厚みを有するステンレス鋼矩形フレーム(外寸24cm×18cm、内寸20cm×14cm)を、0.51mmの厚みを有する矩形シリコーンシート(24cm×18cm)の上に置いた。シリコーンシートは、Rogers Corporation社により提供されたものである。次いで、湿潤発泡体をフレームアセンブリに注入し、一定の発泡体厚みを与えるために金属棒を用いてフレームの上部にわたって平坦化した。金属フレームは、湿潤発泡体層及びシリコーンシートから取り外した。平坦植え込み可能メッシュを、グリップ部材が湿潤発泡体に向けて下方を向いた状態で湿潤発泡体層の上部外面上に置いた。湿潤発泡体内にグリップ部材を埋め込むためにメッシュを圧延し、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成した。
【0167】
4)湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の成形
シリコーンシートと湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体とで構成されるアセンブリを、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)製品に対応する寸法を有するポリエチレンテレフタレート(PET)の中実型上に置いた。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の第2の多孔質ハニカム型をメッシュに対して置いた。複合体を2つの型の間に配置し、2つの型を互いに押し付けて湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を形成した。湿潤発泡体の乾燥中、3次元構造を保つために、2つの型を2つ(2)の金属クランプで複合体にクランプした。
【0168】
5)湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体の乾燥
次いで、互いに組み立てられ、3次元構成の植え込み可能メッシュと湿潤発泡材料とを含む2つの型をオーブン(20℃/相対湿度40%)に入れ、ハニカム部分を空気流に曝し、16時間乾燥させて、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成した。
【0169】
6)乾燥後の、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントの切断
乾燥後、金属クリップ、2つの型、及びシリコーンシートを複合体インプラントから取り外した。次いで、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)と同一の3次元輪郭を画定するメッシュ本体を有するようにインプラントの縁をはさみで切断した。メッシュ本体は、乾燥圧縮性発泡体の層で覆われた生体吸収性グリップ部材、即ちPLAグリップ部材を更に含む。
【0170】
7)複合体インプラントの滅菌
3次元複合体インプラントを3Dインプラントの寸法に合わせて設計されたクラムシェルで包装し、EtOを用いて38℃で5時間滅菌した(ΔP=400mBar)(クラムシェルは、滅菌のためにTyvek(登録商標)バッグに入れた)。滅菌後、Tyvek(登録商標)バッグはホイルパウチに密封し、使用されるまで室温で維持した。
【0171】
実施例4
(特許文献7)に記載されているようなメッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む24cm×18cmのサイズを有する植え込み可能平坦外科用メッシュを用意した。グリップ部材は、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料のモノフィラメント糸から作製した。植え込み可能外科用メッシュは、糸の表面の残留油を除去するために水で洗浄した。以下の手法で、乾燥圧縮性発泡体の形態の発泡体層を植え込み可能メッシュのグリップ部材と組み合わせて複合体インプラントを形成した。
【0172】
1)湿潤発泡体を形成するための、生理的条件内で可溶の材料の水溶液の調製:
6.0重量パーセントのコラーゲン化合物及び1.5重量パーセントのグリセロールを含む水溶液を以下のように調製した。
【0173】
最初に、コラーゲン及びグリセロールを加熱した滅菌水(40℃)中に注いだ。溶液は、40℃で1時間混合した。使用したコラーゲンは、ブタの皮膚から酸性pHでの可溶化によって又はペプシン消化によって抽出し、周知の技術に従い塩類沈殿によって精製したブタI型コラーゲンである(Sofradim Production)。使用したグリセロールは、Merck CompanyからEMPROVE(登録商標)Expert無水グリセロールの商標で市販されている。
【0174】
2)湿潤発泡材料の調製
前工程で得られた水溶液をミキサボウル(Kenwood社の台所機器Cooking Chef)に注いだ。水溶液に気泡を導入するために、この溶液を室温で5分間泡立てた。気泡の導入後、湿潤発泡材料が形成された。湿潤発泡材料の湿潤発泡密度は、約0.10g/cm3であった。
【0175】
3)フレームアセンブリを使用して湿潤発泡材料と平坦メッシュのグリップ部材とを組み合わせる
平坦植え込み可能メッシュを、0.51mmの厚みを有する矩形シリコーンシート(24cm×18cm)の上に、グリップを上に向けて置いた。シリコーンシートは、Rogers Corporation社により提供されたものである。2.0mmの厚みを有するステンレス鋼矩形フレーム(外寸24cm×18cm、内寸20cm×14cm)を、平坦植え込み可能メッシュの上に置いた。次いで、湿潤発泡体をフレームアセンブリに注入し、一定の発泡体厚みを与えるために金属棒を用いてフレームの上部にわたって平坦化し、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成した。金属フレームは、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体及びシリコーンシートから取り外した。
【0176】
4)湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の成形
シリコーンシートと湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体とで構成されるアセンブリを、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)製品に対応する寸法を有する中央部分と中央部分の周囲の平らな縁(幅2.5cm)とを有するアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の中実型上に置いた。次いで、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のストラップ(幅2.25cm)を湿潤発泡体平坦メッシュ複合体部分の上に置き、中実型の平らな縁を覆った。アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のストラップを閉じるための部品(8cm×3cm)を、Dextile(商標)Anatomical Mesh用中実型の中央カーブの近傍でストラップ内に挿入し、湿潤発泡体平坦メッシュ複合体の伸展を増大させた。湿潤発泡体の乾燥中、湿潤発泡体平坦メッシュ複合体の伸展を維持するために、中実型及びストラップを2つ(2)及び/又は3つ(3)の金属クランプで複合体にクランプした。
【0177】
5)湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体の乾燥
次いで、共に組み立てられ、3次元構成の植え込み可能メッシュと湿潤発泡材料とを含む中実型、ストラップ、及びストラップを閉じるための部品をオーブン(20℃/相対湿度40%)に入れ、湿潤発泡体部分を空気流に曝し、16時間乾燥させて、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成した。
【0178】
6)乾燥後の、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントの切断
乾燥後、金属クリップ、中実型、ストラップ、ストラップを閉じるための部品、及びシリコーンシートを複合体インプラントから取り外した。次いで、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)と同一の3次元輪郭を画定するメッシュ本体を有するようにインプラントの縁をはさみで切断した。メッシュ本体は、乾燥圧縮性発泡体の層で覆われた生体吸収性グリップ部材、即ちPLAグリップ部材を更に含む。
【0179】
7)複合体インプラントの滅菌
3次元複合体インプラントを3Dインプラントの寸法に合わせて設計されたクラムシェルで包装し、EtOを用いて38℃で5時間滅菌した(ΔP=400mBar)(クラムシェルは、滅菌のためにTyvek(登録商標)バッグに入れた)。滅菌後、Tyvek(登録商標)バッグはホイルパウチに密封し、使用されるまで室温で維持した。
【0180】
実施例5
補強材の追加を必要とするヘルニア又は他の筋膜欠損の修復を目的とした20cm×20cmのサイズを有するParietene(商標)Macroporous Mesh(非自己固定式)を用意した。以下の手法で、乾燥圧縮性発泡体の形態の発泡体層をParietene(商標)Macroporous Meshと組み合わせて複合体インプラントを形成した。
【0181】
1)湿潤発泡体を形成するための、生理的条件内で可溶の材料の水溶液の調製:
2.5重量パーセントのコラーゲン化合物及び0.25重量パーセントのグリセロールを含む水溶液を以下のように調製した。
【0182】
最初に、コラーゲン及びグリセロールを加熱した滅菌水(33℃)中に注いだ。溶液は、33℃で4時間混合した。使用したコラーゲンは、ブタの皮膚から酸性pHでの可溶化によって又はペプシン消化によって抽出し、周知の技術に従い塩類沈殿によって精製したブタI型コラーゲンである(Sofradim Production)。使用したグリセロールは、Merck CompanyからEMPROVE(登録商標)Expert無水グリセロールの商標で市販されている。
【0183】
2)湿潤発泡材料の調製
前工程で得られた水溶液をミキサボウル(Kenwood社の台所機器Cooking Chef)に注いだ。水溶液に気泡を導入するために、この溶液を室温で2分間泡立てた。気泡の導入後、湿潤発泡材料が形成された。湿潤発泡材料の湿潤発泡密度は、約0.20g/cm3であった。
【0184】
3)フレームアセンブリを使用して湿潤発泡材料と平坦メッシュとを組み合わせる
1.0mmの厚みを有するステンレス鋼矩形フレーム(外寸24cm×18cm、内寸20cm×14cm)を、0.51mmの厚みを有する矩形シリコーンシート(24cm×18cm)の上に置いた。シリコーンシートは、Rogers Corporation社により提供されたものである。次いで、湿潤発泡体をフレームアセンブリに注入し、一定の発泡体厚みを与えるために金属棒を用いてフレームの上部にわたって平坦化した。金属フレームは、湿潤発泡体層及びシリコーンシートから取り外した。Parietene(商標)Macroporous Meshを湿潤発泡体層の上部外面上に置いた。湿潤発泡体内にメッシュの糸(例えばフィラメント)を埋め込むためにメッシュを巻いて、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成した。
【0185】
4)湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の成形
シリコーンシートと湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体とで構成されるアセンブリを、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)製品に対応する寸法を有するアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の中実型上に置いた。アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の第2の多孔質ハニカム型をメッシュに対して置いた。複合体を2つの型の間に配置し、2つの型を互いに押し付けて湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体を形成した。湿潤発泡体の乾燥中、3次元構造を保つために2つの型を2つ(2)の金属クランプで複合体にクランプした。
【0186】
5)湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体の乾燥
次いで、互いに組み立てられ、3次元構成のメッシュと湿潤発泡材料とを含む2つの型をオーブン(20℃/相対湿度40%)に入れ、ハニカム部分を空気流に曝し、16時間乾燥させて、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成した。
【0187】
6)乾燥後の、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントの切断
乾燥後、金属クリップ、2つの型、及びシリコーンシートを複合体インプラントから取り外した。次いで、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)と同一の3次元輪郭を画定するメッシュ本体を有するようにインプラントの縁をはさみで切断した。メッシュ本体は更に、乾燥圧縮性発泡体の層で覆われていた。
【0188】
7)複合体インプラントの滅菌
3次元複合体メッシュを3Dインプラントの寸法に合わせて設計されたクラムシェルで包装し、EtOを用いて38℃で5時間滅菌した(ΔP=400mBar)(クラムシェルは、滅菌のためにTyvek(登録商標)バッグに入れた)。滅菌後、Tyvek(登録商標)バッグはホイルパウチに密封し、使用されるまで室温で維持した。
【0189】
実施例6
(特許文献7)に記載されているようなメッシュの第1の面から延びる複数のグリップ部材を含む24cm×18cmのサイズを有する植え込み可能平坦外科用メッシュを用意した。グリップ部材は、ポリ乳酸(PLA)などの生体吸収性材料のモノフィラメント糸から作製した。植え込み可能外科用メッシュは、糸の表面の残留油を除去するために水で洗浄した。以下の手法で、乾燥圧縮性発泡体の形態の発泡体層を植え込み可能メッシュのグリップ部材と組み合わせて複合体インプラントを形成した。
【0190】
1)湿潤発泡体を形成するための、生理的条件内で可溶の材料の水溶液の調製:
1.0重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、3.0重量パーセントの低固有粘度のヒアルロン酸ナトリウム、0.6重量パーセントの高固有粘度のヒアルロン酸ナトリウム、及び2.5重量パーセントのグリセロールを含む水溶液を以下のように調製した。
【0191】
最初に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを加熱した滅菌水(80℃)中に分散させてHPMC水性分散体を形成した。HPMC水性分散体にグリセロールを添加し、室温で2時間冷却した。次いで、HPMC-グリセロール溶液にヒアルロン酸ナトリウムを添加し、溶液を室温で16時間混合した。使用したヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ShinEtsu CompanyからPHARMACOAT(登録商標)603の商標で市販されている。使用したグリセロールは、Merck CompanyからEMPROVE(登録商標)Expert無水グリセロールの商標で市販されている。使用したヒアルロン酸ナトリウムは、HTL Biotechnology社によって提供された、固有粘度が0.38m3/Kg及び2.74m3/Kgのものである。
【0192】
2)湿潤発泡材料の調製
前工程で得られた水溶液をミキサボウル(Kenwood社の台所機器Cooking Chef)に注いだ。水溶液に気泡を導入するために、この溶液を室温で2分間泡立てた。気泡の導入後、湿潤発泡材料が形成された。湿潤発泡材料の湿潤発泡密度は、約0.25g/cm3であった。
【0193】
3)フレームアセンブリを使用して湿潤発泡材料と平坦メッシュのグリップ部材とを組み合わせる
平坦植え込み可能メッシュを、0.51mmの厚みを有する矩形シリコーンシート(24cm×18cm)の上に、グリップを上に向けて置いた。シリコーンシートは、Rogers Corporation社により提供されたものである。1.5mmの厚みを有するステンレス鋼矩形フレーム(外寸24cm×18cm、内寸20cm×14cm)を、平坦植え込み可能メッシュの上に置いた。次いで、湿潤発泡体をフレームアセンブリに注入し、一定の発泡体厚みを与えるために金属棒を用いてフレームの上部にわたって平坦化し、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成した。金属フレームは、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体及びシリコーンシートから取り外した。
【0194】
4)湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の成形
シリコーンシートと湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体とで構成されるアセンブリを、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)製品に対応する寸法を有する中央部分と中央部分の周囲の平らな縁(幅2.5cm)とを有するアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の中実型上に置いた。次いで、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のストラップ(幅2.25cm)を湿潤発泡体平坦メッシュ複合体部分の上に置き、中実型の平らな縁を覆った。アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のストラップを閉じるための部品(8cm×3cm)を、Dextile(商標)Anatomical Mesh用中実型の中央カーブの近傍でストラップ内に挿入し、湿潤発泡体平坦メッシュ複合体の伸展を増大させた。湿潤発泡体の乾燥中、湿潤発泡体平坦メッシュ複合体の伸展を維持するために、中実型及びストラップを2つ(2)及び/又は3つ(3)の金属クランプで複合体にクランプした。
【0195】
5)湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体の乾燥
次いで、共に組み立てられ、3次元構成の植え込み可能メッシュと湿潤発泡材料とを含む中実型、ストラップ、及びストラップを閉じるための部品をオーブン(50℃/相対湿度20%)に入れ、湿潤発泡体部分を空気流に曝し、2時間乾燥させて、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成した。
【0196】
6)乾燥後の、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントの切断
乾燥後、金属クリップ、中実型、ストラップ、ストラップを閉じるための部品、及びシリコーンシートを複合体インプラントから取り外した。次いで、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)と同一の3次元輪郭を画定するメッシュ本体を有するようにインプラントの縁をはさみで切断した。メッシュ本体は、乾燥圧縮性発泡体の層で覆われた生体吸収性グリップ部材、即ちPLAグリップ部材を更に含む。
【0197】
7)複合体インプラントの滅菌
3次元複合体インプラントを3Dインプラントの寸法に合わせて設計されたクラムシェルで包装し、EtOを用いて38℃で5時間滅菌した(ΔP=400mBar)(クラムシェルは、滅菌のためにTyvek(登録商標)バッグに入れた)。滅菌後、Tyvek(登録商標)バッグはホイルパウチに密封し、使用されるまで室温で維持した。
【0198】
実施例7
20cm×20cmのサイズを有し、腹壁ヘルニア修復を伴う処置における、弱化が存在する腹壁軟組織の補強を目的としたVersatex(商標)モノフィラメントメッシュを用意した。以下の手法で、乾燥圧縮性発泡体の形態の発泡体層をVersatex(商標)モノフィラメントメッシュと組み合わせて複合体インプラントを形成した。
【0199】
1)湿潤発泡体を形成するための、生理的条件内で可溶の材料の水溶液の調製:
1.0重量パーセントのヒドロキシプロピルメチルセルロース、2.0重量パーセントのヒアルロン酸ナトリウム、及び1.0重量パーセントのグリセロールを含む水溶液を以下のように調製した。
【0200】
最初に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを加熱した滅菌水(80℃)中に分散させてHPMC水性分散体を形成した。HPMC水性分散体にグリセロールを添加し、室温で2時間冷却した。次いで、HPMC-グリセロール溶液にヒアルロン酸ナトリウムを添加し、溶液を室温で16時間混合した。使用したヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ShinEtsu CompanyからPHARMACOAT(登録商標)603の商標で市販されている。使用したグリセロールは、Merck CompanyからEMPROVE(登録商標)Expert無水グリセロールの商標で市販されている。使用したヒアルロン酸ナトリウムは、HTL Biotechnology社によって提供された、固有粘度が1.60m3/Kgのものである。
【0201】
2)湿潤発泡材料の調製
前工程で得られた水溶液をミキサボウル(Kenwood社の台所機器Cooking Chef)に注いだ。水溶液に気泡を導入するために、この溶液を室温で2分間泡立てた。気泡の導入後、湿潤発泡材料が形成された。湿潤発泡材料の湿潤発泡密度は、約0.25g/cm3であった。
【0202】
3)フレームアセンブリを使用して湿潤発泡材料と平坦メッシュとを組み合わせる
Versatex(商標)モノフィラメントメッシュを、0.51mmの厚みを有する矩形シリコーンシート(24cm×18cm)の上に置いた。シリコーンシートは、Rogers Corporation社により提供されたものである。1.5mmの厚みを有するステンレス鋼矩形フレーム(外寸24cm×18cm、内寸20cm×14cm)を、Versatex(商標)モノフィラメントメッシュの上に置いた。次いで、湿潤発泡体をフレームアセンブリに注入し、一定の発泡体厚みを与えるために金属棒を用いてフレームの上部にわたって平坦化し、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体を形成した。金属フレームは、湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体及びシリコーンシートから取り外した。
【0203】
4)湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体の成形
シリコーンシートと湿潤発泡体-平坦メッシュ複合体とで構成されるアセンブリを、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)製品に対応する寸法を有する中央部分と中央部分の周囲の平らな縁(幅2.5cm)とを有するアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の中実型上に置いた。次いで、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のストラップ(幅2.25cm)を湿潤発泡体平坦メッシュ複合体部分の上に置き、中実型の平らな縁を覆った。アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のストラップを閉じるための部品(8cm×3cm)を、Dextile(商標)Anatomical Mesh用中実型の中央カーブの近傍でストラップ内に挿入し、湿潤発泡体平坦メッシュ複合体の伸展を増大させた。湿潤発泡体の乾燥中、湿潤発泡体平坦メッシュ複合体の伸展を維持するために、中実型及びストラップを2つ(2)及び/又は3つ(3)の金属クランプで複合体にクランプした。
【0204】
5)湿潤発泡体-3Dメッシュ複合体の乾燥
次いで、共に組み立てられ、3次元構成の植え込み可能メッシュと湿潤発泡材料とを含む中実型、ストラップ、及びストラップを閉じるための部品をオーブン(50℃/相対湿度20%)に入れ、湿潤発泡体部分を空気流に曝し、2時間乾燥させて、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントを形成した。
【0205】
6)乾燥後の、乾燥発泡体-3Dメッシュ複合体インプラントの切断
乾燥後、金属クリップ、中実型、ストラップ、ストラップを閉じるための部品、及びシリコーンシートを複合体インプラントから取り外した。次いで、Dextile(商標)Anatomical Mesh(Lサイズ、適切な形状)と同一の3次元輪郭を画定するメッシュ本体を有するようにインプラントの縁をはさみで切断した。メッシュ本体は、乾燥圧縮性発泡体の層で覆われていた。
【0206】
7)複合体インプラントの滅菌
3次元複合体インプラントを3Dインプラントの寸法に合わせて設計されたクラムシェルで包装し、EtOを用いて38℃で5時間滅菌した(ΔP=400mBar)(クラムシェルは、滅菌のためにTyvek(登録商標)バッグに入れた)。滅菌後、Tyvek(登録商標)バッグはホイルパウチに密封し、使用されるまで室温で維持した。