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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110944
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20240808BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20240808BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20240808BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20240808BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20240808BHJP
   H04N 23/90 20230101ALI20240808BHJP
【FI】
G03B17/56 E
G03B15/05
G03B15/02 G
G03B15/02 T
G03B15/03 W
G03B15/03 K
G03B17/56 A
H04N23/56
H04N23/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024012458
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】P 2023015061
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高藤 晃平
(72)【発明者】
【氏名】深井 諒一
(72)【発明者】
【氏名】藤本 司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 裕介
(72)【発明者】
【氏名】伏見 淳
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 慎也
【テーマコード(参考)】
2H053
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H053CA15
2H053CA21
2H053DA06
2H105AA02
2H105CC25
2H105CC29
2H105EE31
5C122DA12
5C122EA12
5C122FA18
5C122GD12
5C122GE07
5C122GG14
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】果菜の高精度な選別結果を得ることを可能にする品質の良い画像を得られるようにすること。
【解決手段】撮像装置は、撮像対象物を収納するケースと、前記ケース内の水平な長方形を成すフレームにおける対向する長手部分のそれぞれの中央部を除いた4つの部分に相当する箇所に配置される複数の照明および前記フレームにおける対向する短手部分のそれぞれに相当する箇所に配置される複数の照明と、前記撮像対象物を撮像する撮像部とを具備する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象物を収納するケースと、
前記ケース内の水平な長方形を成すフレームにおける対向する長手部分のそれぞれの中央部を除いた4つの部分に相当する箇所に配置される複数の照明および前記フレームにおける対向する短手部分のそれぞれに相当する箇所に配置される複数の照明と、
前記撮像対象物を撮像する撮像部と
を具備する、撮像装置。
【請求項2】
各照明の照射方向を個別に調整することを可能にする照明角度調整機構をさらに具備する、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記照明角度調整機構は、各照明の照射方向の仰俯角を変えることを可能にする、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ケース内で前記撮像対象物を支持する複数の支持部材をさらに具備する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記複数の支持部材は、それぞれ、棒状もしくは線状を成すものであり、各支持部材の長手方向が前記フレームの前記短手部分と平行な方向を向くように配置される、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
各照明よりも下側に位置する前記ケース内の面の色は、黒色である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
各照明は、棒状を成すものであり、それぞれの長手方向が前記フレームの前記長手部分もしくは前記短手部分に沿うように配置される、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像部は、
前記ケースの頂部に設置される第1のカメラと、
前記ケースの側部に設置される第2のカメラとを含む、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記ケース内で前記撮像対象物を支持する複数の支持部材をさらに具備し、
前記第1のカメラは、前記複数の支持部材を基準として、前記ケースの頂部に位置決めされ、
前記第2のカメラは、前記複数の支持部材を基準として、前記ケースの側部に位置決めされる、
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記複数の支持部材は、前記フレームの長手方向に離間して前記フレームの短手方向に延びる少なくとも3つの支持部材を有し、
前記撮像対象物は、前記フレームの長手方向に延びるとともに、前記少なくとも3つの支持部材に跨って支持され、
前記第1のカメラは、前記少なくとも3つの支持部材の共通部位を繋いだ直線を基準として、前記ケースの頂部に位置決めされ、
前記第2のカメラは、前記少なくとも3つの支持部材の共通部位を繋いだ直線を基準として、前記ケースの側部に位置決めされる、
請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第1のカメラは、前記少なくとも3つの支持部材のうち、前記フレームの長手方向の両端側を除いた中間側の基準支持部材を規定したとき、前記少なくとも3つの支持部材の共通部位を繋いだ直線と、前記基準支持部材と前記第1のカメラを繋いだ直線とがなす角度が20°以上かつ70°以内となるように、前記ケースの頂部に位置決めされる、
請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第2のカメラは、前記少なくとも3つの支持部材の共通部位を繋いだ直線に対する角度が10°以内となるように、前記ケースの側部に位置決めされる、
請求項10に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記撮像対象物は、茎部と葉部と花部を有して長手方向に延びる植物であり、
前記ケース内で前記植物を支持する複数の支持部材として、前記フレームの長手方向に離間して前記フレームの短手方向に延びる少なくとも3つの支持部材を有し、
前記少なくとも3つの支持部材は、前記植物の前記葉部と前記花部を浮遊状態としつつ、前記植物の前記茎部を支持する溝部を有する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記撮像対象物は長物である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本では、農業の担い手の高齢化や人手不足に直面しており、人手がかかる農産物の集出荷工程(果菜の選別を行う工程を含む)を自動化することの需要や要望がある。果菜の選別は、果菜を撮像装置で撮像して得られる画像をもとに行われることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-103870号公報
【特許文献2】特許第5023259号公報
【特許文献3】国際公開第2020/218323号公報
【特許文献4】特開2000-315256号公報
【特許文献5】特許第6393248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
果菜の選別を自動化するにあたっては、果菜の画像をもとに、各種の画像処理やディープラーニングの技術(以下「ディープラーニング等の技術」)を活用することで、果菜選別の精度を高めることが望まれる。しかし、果菜選別に使用する画像の品質が低ければ、ディープラーニング等の技術を活用しても、精度の高い選別結果を得ることは難しい。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、果菜の高精度な選別結果を得ることを可能にする品質の良い画像を得ることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様による撮像装置は、撮像対象物を収納するケースと、前記ケース内の水平な長方形を成すフレームにおける対向する長手部分のそれぞれの中央部を除いた4つの部分に相当する箇所に配置される複数の照明および前記フレームにおける対向する短手部分のそれぞれに相当する箇所に配置される複数の照明と、前記撮像対象物を撮像する撮像部とを具備する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、果菜の高精度な選別結果を得ることを可能にする品質の良い画像を得 ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る撮像装置200の外観を示す図である。
図2図2は、同実施形態に係る撮像装置200の扉を開いた状態を示す図である。
図3図3は、図2中に示される複数の照明40および支持部材50a,50b,50cを含む領域を拡大して示す図である。
図4図4は、図3中に示される支持部材50a,50b,50cに共通する構造の一例を示す図である。
図5図5は、図3で示した6つ照明うちの1つの周辺を拡大して示す図である。
図6図6は、図2中に示される第2のカメラ23で撮像して得られた画像の一例を示す図である。
図7図7は、図2中に示される第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一例を示す図である。
図8図8は、各照明の向きの調整前に第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一例を示す図である。
図9図9は、各照明の向きの調整後に第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一例を示す図である。
図10図10は、撮像対象物を中空に浮かせずに(支持部材50a,50b,50cに載置せずに)第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一例を示す図である。
図11図11は、撮像対象物を中空に浮かせた状態で(支持部材50a,50b,50cに載置した状態で)第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一例を示す図である。
図12図12は、ケース100内の撮影背景(面31および面32)を白色にした状態で撮像対象物を第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一部を示す図である。
図13図13は、ケース100内の撮影背景(面31および面32)を黒色にした状態で撮像対象物を第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一部を示す図である。
図14図14は、支持部材50a,50b,50cを基準とした第1のカメラ13の位置決めの一例を示す図である。
図15図15は、支持部材50a,50b,50cを基準とした第2のカメラ23の位置決めの一例を示す図である。
図16図16は、支持部材50a,50b,50cにより横臥状態(浮遊状態)で支持された撮像対象物を第2のカメラ23で撮像した画像の一例を示す図である。
図17図17は、比較例として、支持部材50a,50b,50cを使用することなく、載置床部に撮像対象物を直接載置して第2のカメラ23で撮像した画像の一例を示す図である。
図18図18は、第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1を60°とした場合の画像の一例を示す図である。
図19図19は、比較例として、第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1を80°とした場合の画像の一例を示す図である。
図20図20は、比較例として、第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1を10°とした場合の画像の一例を示す図である。
図21図21は、第1のカメラ13と第2のカメラ23の取付構造の変形例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
本明細書では、「撮像対象物」として、茎部と葉部と花部を有して長手方向に延びる植物、より具体的にはリンドウを例示して説明する。しかし、「撮像対象物」として何を適用するかには自由度があり、種々の設計変更が可能である。例えば、「撮像対象物」として、各種の長物(花卉、野菜、果菜等)を適用してもよい。以下、植物、リンドウ、長物、花卉、野菜、果菜等は、これを「撮像対象物」と読み替えてもよい。さらに、「撮像対象物」は、「撮影対象物」と読み替えてもよく、「撮像」は「撮影」と読み替えてもよい。
【0011】
実施の形態では、果菜の高精度な選別結果を得ることを可能にする品質の良い画像を得ることができる撮像装置を提供する。
【0012】
一般的な撮像装置では、果菜の高精度な選別結果を得ることを可能にする品質の良い画像を得ることは難しい。画像品質が低下する原因は様々あるが、撮像を行う際の照明の配置や、撮像対象物の配置、撮像背景により、撮像する領域の照度分布が不均一になることが一因として挙げられる。特に長物の花卉や野菜の場合は一般的な果菜と比較して、拡散光が集中しやすい中心部とそれ以外の周辺部では距離があるため、照度分布が不均一になりやすい。そこで、以下に説明する撮像装置では、撮像する領域の照度分布が不均一になることを抑制し、照度分布の均一化を図る。これにより果菜の高精度な選別結果を得ることを可能にする品質の良い画像を得られるようにする。より具体的に、本実施形態では、撮像対象物を照明する照明装置(照明部)として、撮像対象物を収納するケース内の水平な長方形を成すフレームにおける対向する長手部分のそれぞれの中央部を除いた4つの部分に相当する箇所に配置される複数の照明およびフレームにおける対向する短手部分のそれぞれに相当する箇所に配置される複数の照明を設けている。
【0013】
さらに、本実施形態では、より品質の良い画像を得るために、照明装置(照明部)の配置構造を工夫して照度分布の均一化を図ることに加えて(あるいは代えて)、撮像対象物の支持構造、さらには撮像対象物を撮像する撮像部(カメラ)の配置位置を最適化している。より具体的に、ケース内で撮像対象物を支持する複数の支持部材を設けて、この複数の支持部材を基準として、第1の撮像部(第1のカメラ)をケースの頂部に位置決めし、第2の撮像部(第2のカメラ)をケースの側部に位置決めする。
【0014】
図1は、実施形態に係る撮像装置200の外観を示す図である。また、図2は、同実施形態に係る撮像装置200の扉を開いた状態を示す図である。
【0015】
図1に示されるように、本実施形態に係る撮像装置200は、撮像対象物である長物を収納するケース(箱体)100、撮像機材支持機構11、雲台12、第1のカメラ13(第1の撮像部)、撮像機材支持機構21、雲台22、第2のカメラ23(第2の撮像部)、図2に示される複数の照明40および支持部材50a,50b,50cを含む。
【0016】
第1のカメラ13は、撮像対象物としての植物、例えばリンドウの花部、とりわけ下段花、側花を撮像することを主な機能とする。第2のカメラ23は、撮像対象物としての植物、例えばリンドウの花部、とりわけ頂花を撮像することを主な機能とする。この点で、第1のカメラ13による高優先撮像対象物は、リンドウの花部のうち、とりわけ下段花、側花であってもよく、第2のカメラ23による低優先撮像対象物は、リンドウの花部のうち、とりわけ頂花であってもよい。また、第1のカメラ13と第2のカメラ23に共通の低優先撮像対象物は、リンドウの葉部や茎部を含んでいてもよい。
【0017】
ケース100は、頂部1、側部2、および底部3を有する直方体を成すものである。
【0018】
頂部1は、頂部パネル10を含む。頂部パネル10は、裏の面(ケース内面)が白色である。頂部パネル10は、裏の面(ケース内面)が白色であればよく、表の面(ケース外面)の色は別の色であっても構わない。
【0019】
側部2は、扉25および3枚の側部パネル20を含むとともに、輪郭形状が長方形をなすフレーム43を含む。フレーム43は、各一対の長手対向辺と短手対向辺を有する平面視(略)矩形の枠状部材である。扉25は、撮像装置200の通常使用状態の正面に位置し、上下にて開閉するものである。扉25の一部は、側部パネル10の一部に蝶番を介して取り付けられる。扉25には、開閉時に使用される取手26が備えられる。なお、以下では、方向を記述する際は、特段の説明がない限り正面からみた方向を指すものとする。
【0020】
扉25および3枚の側部パネル20は、裏の面27(ケース内面)が白色である。扉25および3枚の側部パネル20は、裏の面27(ケース内面)が白色であればよく、表(ケース外面)の色は別の色であっても構わない。頂部パネル10の裏面および面27を白色にすることで、照射された光を拡散しやすくなり、被写体における光量分布を均一化することができる。
【0021】
底部3は、図2に示される底部パネル30を含むとともに、扉25および3枚の側部パネル20のそれぞれの下側にフレーム43を介して設けられる4枚の底部パネル(底部包囲パネル)33を含む。4枚の底部パネル(底部包囲パネル)33は、フレーム43の各一対の長手対向辺と短手対向辺から下方に延びるように取り付けられており、4枚の底部パネル(底部包囲パネル)33の下端に沿う(囲まれる)ような輪郭形状で、平面視(略)矩形の底部パネル30が設けられている。
【0022】
底部パネル30は、裏の面31(ケース内面)が黒色である。また、4枚の底部パネル(底部包囲パネル)33は、裏の面32(ケース内面)が黒色である。すなわち、ケース100の底部3に注目したとき、平面視(略)矩形の底部パネル30の黒色内面31と、底部パネル30の各辺から(略)垂直に立ち上がる(略)矩形の4枚の底部パネル(底部包囲パネル)33の黒色内面32とによって、撮像対象物の撮像を行う(補助する)ための黒色背景空間が画成される。なお、底部パネル30,33は、裏の面31,32(ケース内面)が黒色であればよく、表の面(ケース外面)の色は別の色であっても構わない。
【0023】
頂部パネル10上には、撮像機材支持機構11が取り付けられ、この撮像機材支持機構11には、雲台12を介して第1のカメラ13が取り付けられる。雲台12は、第1のカメラ13の向きや位置の調整を可能にしてもよい。第1のカメラ13は、ケース100内の撮像対象物を上から鉛直方向に撮像する。あるいは、第1のカメラ13は、ケース100内の撮像対象物を斜め上方(例えばリンドウの場合は頂花側の斜め上方)から撮像する。第1のカメラ13がケース100内の撮像対象物を斜め上方から撮像することにより、さらにはその撮像角度を最適化することにより、高優先撮像対象物(例えば花部、下段花、側花)が低優先撮像対象物(例えば葉部)によって遮蔽されることを防止することができる(正確なカウントが可能になる)。ここで、雲台12による第1のカメラ13の向きや位置の調整は、第1のカメラ13による撮像対象物の斜め上方からの撮像角度の調整を実現するためのものであってもよい(後述する20°以上かつ70°以内の撮像角度)。
【0024】
側部パネル20上には、撮像機材支持機構21が取り付けられ、撮像機材支持機構21には、雲台22を介して第2のカメラ23が取り付けられる。図1図2では、撮像機材支持機構21、雲台22、および第2のカメラ23の組みが、3枚ある側部パネル20のうち、撮像装置200正面から見て左側にある側部パネル20に設置されているが、代わりに撮像装置200正面から見て右側にある側部パネル20に設置されていてもよい。ただし、撮像装置200正面から見て奥にある側部パネル20に設置されることはない。雲台22は、第2のカメラ23の向きや位置の調整を可能にする。第2のカメラ23は、ケース100内の撮像対象物を水平方向、あるいは、水平方向から若干傾いた方向から撮像する。これにより、高優先撮像対象物(例えば花部)が低優先撮像対象物(例えば葉部)によって遮蔽されること、高優先撮像対象物(例えば花部や高優先花部(頂花))に低優先撮像対象物(例えば葉部や低優先花部(下段花、側花))が映り込むことを防止することができる。ここで、雲台22による第2のカメラ23の向きや位置の調整は、第2のカメラ23による撮像対象物の水平方向、あるいは、水平方向から若干傾いた方向からの撮像角度の調整を実現するためのものであってもよい(後述する10°以内の撮像角度)。
【0025】
また、底部3には、転倒防止用の支え34が設置される。
【0026】
図2に示されるように、撮像装置200のケース100内には、撮像対象物を照らすための複数の照明40と、撮像対象物を支持する複数の支持部材50a,50b,50cとが設けられる。複数の支持部材50a,50b,50cは、ケース100内で撮像対象物(茎部と葉部と花部を有して長手方向に延びる植物、例えばリンドウ)を支持するものであり、フレーム43の長手方向に離間してフレーム43の短手方向に延びる3つの支持部材を構成する。但し、複数の支持部材の数は3つに限定されず、4つ以上であってもよい。すなわち、複数の支持部材は、フレーム43の長手方向に離間してフレーム43の短手方向に延びる少なくとも3つの支持部材を有していればよい。
【0027】
ケース100内では、複数の照明40よりも下側に、前述した底部パネル30の裏の面31および4枚の底部パネル(底部包囲パネル)33の裏の面32がある。面31および面32は、第1のカメラ13および第2のカメラ23による撮影の背景となる。面31および面32の色は、前述したとおり黒色である。面31と面32との境目にあるフレーム43の色も黒色であってもよい。フレーム43を黒色にすることで、撮影背景を黒色に統一でき(完全な黒色背景空間を画成でき)、より撮影画像の白飛び等を抑えることができる。
【0028】
また、ケース100内では、複数の照明40よりも上側に、前述した扉25および3枚の側部パネル20のそれぞれの裏の面27がある。
【0029】
図3は、図2中に示される複数の照明40および支持部材50a,50b,50cを含む領域を拡大して示す図である。
【0030】
複数の照明40は、それぞれ白色の光源を用いており、本実施形態では、図3に示されるように40a,40b,40c,40d,40e,40fの6つからなる。
【0031】
具体的には、ケース100内の水平な長方形をなすフレーム43における対向する長手部分のそれぞれの中央部を除いた4つの部分に相当する箇所に配置される照明を40a,40b,40c,40dと付し、また、フレーム43における対向する短手部分のそれぞれに相当する箇所に配置される照明を40e,40fと付す。
【0032】
各照明は、棒状を成し、それぞれの長手方向がフレーム43の長手部分もしくは短手部分に沿うように配置される。照明40a,40b,40c,40dのそれぞれの寸法は同じであるものとする。また、照明40e,40fのそれぞれの寸法は同じであるものとする。
【0033】
図3の例では、照明40aと照明40cとがフレーム43の長手部分の一端側で互いに対向する位置関係にあり、照明40bと照明40dとがフレーム43の長手部分の他端側で互いに対向する位置関係にある。また、照明40eと照明40fとがフレーム43の短手部分の全体に亘って互いに対向する位置関係にある。
【0034】
このように、フレーム43が、各一対の長手対向辺と短手対向辺を有する平面視(略)矩形の枠状部材であり、このフレーム43により規定される(略)同一平面上の取付位置に複数の照明40が取り付けられる。図示例では、6つの照明40a,40b,40c,40d,40e,40fが取り付けられており、撮像対象物を収納するケース100内の水平な長方形を成すフレーム43における対向する長手部分のそれぞれの中央部を除いた4つの部分に相当する箇所に配置される4つの照明40a,40b,40c,40dと、フレーム43における対向する短手部分のそれぞれに相当する箇所に配置される2つの照明40e,40fとが取り付けられている。フレーム43の各一対の長手対向辺のうちの中央側部分は、4つの照明40a,40b,40c,40dが取り付けられていない領域となっている。しかも、6つの照明40a,40b,40c,40d,40e,40fによる照明光の照射方向は、支持部材50a,50b,50cによって撮像対象物が支持された、底部パネル30の黒色内面31と、4枚の底部パネル(底部包囲パネル)33の黒色内面32とによって画成される黒色背景空間に向かっている。これにより、照明装置(照明部)の配置構造を工夫して照度分布の均一化を図ることができ、撮像対象物の高精度な選別結果を得ることを可能にする品質の良い画像を得ることができる。
【0035】
図4は、図3中に示される支持部材50a,50b,50cに共通する構造の一例を示す図である。
【0036】
図4に示されるように、支持部材50a,50b,50cは、それぞれ、3箇所の曲げ部51,52,53を有し、これにより撮像対象物を載置するための載置部60が形成されている。別言すると、支持部材50a,50b,50cの各載置部60は、3箇所の曲げ部51,52,53により規定されるV字型の溝部を構成しており、長手方向に離間して位置する3箇所の載置部(溝部)60に沿って長手方向に横たわる形で、撮像対象物が載置(支持)される。その際、支持部材50a,50b,50cは、撮像対象物としての植物の葉部と花部を浮遊状態としつつ、植物の茎部を支持する(植物の茎部が長手方向に離間して位置する3箇所の載置部(溝部)60に載せられて支持される)。このとき、植物の葉部と花部が支持部材50a,50b,50cの一部に接触していてもよい(支持に関与しないので浮遊状態であることに変わりはない)。なお、各支持部材50a,50b,50cの短手方向の両端部は、フレーム43に着脱可能に取り付けられる。また、支持部材50a,50b,50cの各載置部60が規定する溝部の形状はV字型に限定されず、U字型やコの字型等の他の形状の溝部であってもよい。
【0037】
このように、支持部材50a,50b,50cによる撮像対象物(茎部と葉部と花部を有して長手方向に延びる植物、例えばリンドウ)の横臥状態投入を行うことで、例えば、載置床部との接触により植物が変形するのを防止することができる。また、後述する第1のカメラ13および第2のカメラ23の設置位置(位置決め)との相乗効果によって、高優先撮像対象物(例えば花部、頂花、下段花、側花)が低優先撮像対象物(例えば葉部)によって遮蔽されることを防止して、高優先撮像対象物(例えば花部、頂花、下段花、側花)にターゲットを絞った高品質画像を撮像することができる。さらに、高優先撮像対象物(例えば花部や高優先花部(頂花))に低優先撮像対象物(例えば葉部や低優先花部(下段花、側花))が映り込むことを防止して、例えば、ディープラーニングによる画像処理ひいては選別精度を向上させることができる。
【0038】
ちなみに、本実施形態とは違って、撮像対象物を直立投入した場合、次のような不具合が生じる可能性が高い。
【0039】
植物の花部(頂花)を上向きにして直立投入した場合、植物の花部の側面(側花)が毀損したり作業者の作業負荷が増大したりするおそれがある。例えば、花卉を直立させ、末端の花卉(頂花)を上方向にむけ側面と上方から撮像することが考えられる。この状態での撮像は、装花の実使用に近い状態で撮像が可能である。しかし、切り花の自動選花を考慮した場合、直立状態の撮像は好適でない。切り花を直立させるには、狭い筒状容器に茎部を挿入する必要があるためである。このことは以下の問題をもたらす。まず、側花(茎側部の付加価値部位)を有する対象を筒状容器に挿入することは、側花を損壊するおそれがある。また、狭い筒状容器に線状の茎部を挿入する作業を、個体毎に行うことは選花作業者への負荷となる。例えば、リンドウでは1分間に10~15本の選花作業が必要だが、このような作業は負荷が大きく間に合わないおそれが高い。
【0040】
植物の花部(頂花)を下向きにして直立投入した場合(逆さ吊るしの場合)、植物の花部の側面(側花)が毀損したり作業者の作業負荷が増大したりすることに加えて、花蜜が垂れることによる植物の価値低下や撮像画像の品質劣化が避けられなくなるおそれがある。例えば、切花の茎部端部(頂花の遠端部)をクリップ等で保持し、上方から吊るしたうえで花卉を撮像する方法が考えられる。しかし、この場合、以下の問題をもたらす。まず、花卉の端部をクリップ等で把持して吊るす作業を、個体毎に行うことは選花作業者への負荷となる。また、花は通常、花蜜を有しており、花を下方に向けることで花蜜が落下する。このことは、花卉の花蜜付着による商品価値低下、鮮度低下、塵埃に加え撮像素子への汚染を招く。さらに、頂花を撮像するため、撮像素子(カメラレンズ)が上方を向くことになる。撮像素子を上方に向けることは塵埃等の付着(花蜜の付着も含む)を招き、メンテナンス等、作業者負荷を増加させることに繋がる。
【0041】
複数の支持部材50a,50b,50cは、撮像対象物が安定して載置されるように当該撮像対象物を支持する。各支持部材は、清掃しやすいよう取り外し可能に設置されてもよい。各支持部材は、それぞれ、棒状もしくは線状を成すものであり、各支持部材の長手方向がフレーム43の短手部分と平行な方向を向くように配置される。
【0042】
各支持部材に載置される撮像対象物は、長物(花卉、野菜など)である。撮像対象物は複数の支持部材50a,50b,50c上において、略水平な状態で載置される。上述した通り、本実施形態では、撮像対象物としてリンドウを想定する。
【0043】
照明40aと照明40bとの間にさらに照明を設け、照明40cと照明40dとの間にさらに照明を設けると、複数の支持部材50a,50b,50cに載置される撮像対象物の中央付近に光が集まりやすく、ケース100内の撮像する領域の照度分布が不均一になりやすいが、上述したように6つの照明40a,40b,40c,40d,40e,40fを設けることにより、つまり、フレーム43の一対の長手対向辺の中央部を除いた4つの箇所に4つの照明40a,40b,40c,40dを設け、フレーム43の一対の短手対向辺の(略)全体に亘る2つの箇所に2つの照明40e,40fを設けることにより、ケース100内の撮像する領域の照度分布を均一化しやすくなる。
【0044】
図5は、図3で示した6つの照明のうちの1つの周辺を拡大して示す図である。
【0045】
図5は、照明40dを含む一定の領域Aを拡大した構造を示す。なお、図5に示される構造は、照明40dに限らず、他の照明40a,40b,40c,40e,40fにも適用されるものである。
【0046】
各照明には、各照明の照明方向を個別に調整することを可能にする照明角度調整機構が備えられる。照明40dの場合、その照明角度調整機構は、照明40dの両端部を回動自在に支持する一対の台座41a,41bと、照明40dの向きを自在に調整することが可能な操作部(レバー)42とを含む。
【0047】
台座41a,41bは、フレーム43に固定されており、照明40dが軸中心に回動できるように支持する。具体的には、照明40dの両端部には、台座41a,41bにより支持される支持点があり、台座41a,41bは、両端部にある支持点を結ぶ軸を中心に、照明40dが回動できるように支持する。なお、ここでいう軸とは物理的に存在する軸を意味しているのではなく、概念としての軸を意味している。操作部42は、照明40dの照射方向を水平方向に対して所定の角度範囲内で上下に変える(すなわち、照射方向の仰俯角を変える)ことを可能にする。本実施形態では、水平方向を0度とした場合に-90度~+90度の範囲内で、照射方向の仰俯角を変えることができるものとしている。
【0048】
なお、図5には、照明40dを上下方向に回動できる機構しか例示されていないが、これに加え、照明40dを左右方向に回動できる機構(もしくは、台座41a,41bの少なくとも一方を所望の方向に伸縮できる機構)が設けられていてもよい。このように構成すると、撮像対象物(長物)の長手方向における上記照度分布の均一性を向上させることができる。
【0049】
このように各照明に対して照明角度調整機構を設けることにより、撮像対象物毎に各照明の照射方向を個別に調整できるため、ケース100内の撮像する領域の照度分布をより均一化しやすくなる。
【0050】
図4に示されるように、各支持部材の両端部間の長さWは、それが取り付けられるフレーム43の寸法に合わせた長さとする。曲げ部51,52を結ぶ線と曲げ部51,53を結ぶ線とがなす角度(載置部60によるV字溝の角度)θ、曲げ部51から曲げ部52,53までの高さ(載置部60によるV字溝の高さ)Hは、それぞれ、撮像対象物を傷めることなく安定して載置できる角度、高さとする。例えば撮像対象物が常に同じ種類のもの(例えばリンドウ)である場合は、その撮像対象物に適したθ,Hを有する支持部材は固定されたものであってもよいが、撮像対象物の種類が変わる(例えばリンドウ以外のものに変わる)ことがある場合は、その都度、変更後の撮像対象物に適したθ,Hを有する支持部材に交換できるようにしておくことが望ましい。
【0051】
各支持部材の長手方向に対して垂直に切ったときの断面形状(溝部の形状)は、円形であってもよいが、三角形、四角形、もしくは多角形であってもよい。円形の場合は、その直径が所定値以下(例えば5mm以下)となるように形成される。また、三角形、四角形、もしくは多角形の場合も、内接円の直径が所定値以下(例えば5mm以下)となるように形成される。そのほか、各支持部材を中空状にすることで軽量化を図ってもよい。
【0052】
このように各支持部材を細くすることで、各支持部材の影の発生が低減され、ケース100内の撮像する領域の照度分布をより均一化しやすくなる。
【0053】
図6は、図2中に示される第2のカメラ23で撮像して得られた画像の一例を示す図である。また、図7は、図2中に示される第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一例を示す図である。
【0054】
撮像対象物であるリンドウは、その頂花が第2のカメラ23の方を向くように寝かせた状態で支持部材50a,50b,50cに載置されている。そのため、第2のカメラ23からは、図6に示されるようにリンドウの頂花が中央に映った画像が得られる。また、第1のカメラ13からは、図7に示されるようにリンドウの全体像が映った画像が得られる。
【0055】
図8は、各照明の照射方向の調整前に第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一例を示す図である。一方、図9は、各照明の照射方向の調整後に第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一例を示す図である。
【0056】
各照明の調整前の図8に対し、各照明の調整後は、図9に示されるように、光の反射が抑制されており、撮像する領域の照度分布が均一化されていることから、花弁と茎の輪郭を明確に識別することができる。
【0057】
図10は、撮像対象物を中空に浮かせずに(支持部材50a,50b,50cに載置せずに)第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一例を示す図である。一方、図11は、撮像対象物を中空に浮かせた状態で(支持部材50a,50b,50cに載置した状態で)第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一例を示す図である。
【0058】
撮像対象物を中空に浮かせずに撮影した場合は、図10に示されるように、花弁と茎の影の影響により、花弁と茎の輪郭を識別し難くなっている。
【0059】
これに対し、撮像対象物を中空に浮かせた状態で撮影した場合は、図11に示されるように、花弁と茎の影が抑制され、花弁と茎の輪郭を識別しやすくなっている。
【0060】
図12は、ケース100内の撮影背景(面31および面32)を白色にした状態で撮像対象物を第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一部を示す図である。一方、図13は、ケース100内の撮影背景(面31および面32)を黒色にした状態で撮像対象物を第1のカメラ13で撮像して得られた画像の一部を示す図である。
【0061】
ケース100内の撮影背景を白色にした状態で撮影した場合は、図12に示されるように、底部からの反射光の影響により、花弁と茎の輪郭を識別し難くなっている。
【0062】
これに対し、ケース100内の撮影背景を黒色にした状態で撮影した場合は、図13に示されるように、底部からの反射光が抑制され、撮像する領域の照度分布が均一化されており、花弁と茎の輪郭を識別しやすくなっている。
【0063】
ところで、本実施形態では、ケース100内で複数(ここでは3つ)の支持部材50a,50b,50cに跨るようにして横臥状態(浮遊状態)で支持された撮像対象物(茎部と葉部と花部を有して長手方向に延びる植物、例えばリンドウ)を撮像する第1、第2のカメラ13、23の配置位置を最適化している。
【0064】
より具体的に、第1のカメラ13は、複数(ここでは3つ)の支持部材50a,50b,50cを基準として、ケース100の頂部に位置決めされ、第2のカメラ23は、複数(ここでは3つ)の支持部材50a,50b,50cを基準として、ケース100の側部に位置決めされる。
【0065】
ここで、複数(ここでは3つ)の支持部材50a,50b,50cの共通部位を繋いだ直線Xを規定する。支持部材50a,50b,50cの共通部位をどこにどのように設定するかには自由度があるが、例えば、載置部60が規定するV字溝の底部であってもよいし、曲げ部52と曲げ部53を繋いだ直線と当該直線に向けて曲げ部51から(略)垂直に引いた直線の交点であってもよい。そして、第1のカメラ13は、複数(ここでは3つ)の支持部材50a,50b,50cの共通部位を繋いだ直線Xを基準として、ケース100の頂部に位置決めされ、第2のカメラ23は、複数(ここでは3つ)の支持部材50a,50b,50cの共通部位を繋いだ直線Xを基準として、ケース100の側部に位置決めされる。
【0066】
図14は、支持部材50a,50b,50cを基準とした第1のカメラ13の位置決めの一例を示す図である。図14において、3つの支持部材50a,50b,50cのうち、支持部材50bが、撮像対象物の頂花および第2のカメラ23の側に対応する一端側に設けられており、支持部材50cが、撮像対象物の根元側に対応する他端側に設けられており、支持部材50aが、支持部材50b、50cを除いた(に挟まれた)中間側に設けられている。また、上述したように、支持部材50a,50b,50cの共通部位を繋いだ直線Xが規定されている。さらに、3つの支持部材50a,50b,50cのうち、長手方向の両端側の支持部材50b、50cを除いた(に挟まれた)中間側の支持部材50aを「基準支持部材」として規定し、基準支持部材50aと第1のカメラ13とを繋いだ直線Yが規定されている。より具体的に、直線Yは、基準支持部材50aのうち直線Xを規定するための共通部位と、第1のカメラ13の撮影光軸(レンズ光軸)とを結んだ直線として規定されてもよい。
【0067】
そして、第1のカメラ13は、3つの支持部材50a,50b,50cの共通部位を繋いだ直線Xと、基準支持部材50aと第1のカメラ13を繋いだ直線Yとがなす角度θ1が20°以上かつ70°以内となるように、ケース100の頂部に位置決めされる。これにより、高優先撮像対象物(例えば花部、下段花、側花)が低優先撮像対象物(例えば葉部)によって遮蔽されることを防止して、高優先撮像対象物(例えば花部、下段花、側花)にターゲットを絞った高品質画像を撮像することができる(正確なカウントが可能になる)。角度θ1が20°より小さいか、又は、70°より大きい場合、高優先撮像対象物(例えば花部、下段花、側花)が低優先撮像対象物(例えば葉部)によって遮蔽されるおそれがある。
【0068】
第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1は、20°以上かつ70°以内の範囲内の中でも、55°以上かつ65°以内であることがより好ましい。第1のカメラ13の主な目的は、撮像対象物(リンドウ)の側花をカウントすることであるところ、例えば、θ1=60°に設定することで、撮像対象物(リンドウ)の側花をカウントする機能をより好適に発現することができる。
【0069】
本発明者によると、リンドウの側花の商品価値は、その形状に左右されず、その有無のみにより左右される傾向があるところ、リンドウの側花は、葉部(更に下位の撮像優先対象物)に覆われており、この遮蔽を排除して撮像する必要がある。また、リンドウの葉は茎から70°以上に生じて側花を遮蔽することが多い。従って、第1のカメラ13によるリンドウの側花の精密な撮像を不要として数のみを確認することを重要視して、リンドウの側花の撮像には、葉部(更に下位の撮像優先対象物)の遮蔽を排することに注力すればよい。そのためには、第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1が、20°以上かつ70°以内であることが好ましく、55°以上かつ65°以内であることがより好ましい。
【0070】
なお、ここでは、3つの支持部材50a,50b,50cを基準とする場合を例示して説明したが、基準とする支持部材の数は少なくとも3つであればよい。すなわち、第1のカメラは、少なくとも3つの支持部材のうち、フレームの長手方向の両端側を除いた中間側の基準支持部材を規定したとき、少なくとも3つの支持部材の共通部位を繋いだ直線と、基準支持部材と第1のカメラを繋いだ直線とがなす角度が20°以上かつ70°以内となるように、ケースの頂部に位置決めされればよい。
【0071】
図15は、支持部材50a,50b,50cを基準とした第2のカメラ23の位置決めの一例を示す図である。図15において、3つの支持部材50a,50b,50cのうち、支持部材50bが、撮像対象物の頂花および第2のカメラ23の側に対応する一端側に設けられており、支持部材50cが、撮像対象物の根元側に対応する他端側に設けられており、支持部材50aが、支持部材50b、50cを除いた(に挟まれた)中間側に設けられている。また、上述したように、支持部材50a,50b,50cの共通部位を繋いだ直線Xが規定されている。
【0072】
第2のカメラ23は、3つの支持部材50a,50b,50cの共通部位を繋いだ直線Xに対する角度θ2が10°以内となるように、ケース100の側部に位置決めされる。すなわち、第2のカメラ23の撮影光軸(レンズ光軸)が、直線Xに対する角度θ2が10°以内となる範囲内に向けられる。これにより、高優先撮像対象物(例えば花部)が低優先撮像対象物(例えば葉部)によって遮蔽されることを防止して、高優先撮像対象物(例えば花部)にターゲットを絞った高品質画像を撮像することができる。さらに、高優先撮像対象物(例えば花部や高優先花部(頂花))に低優先撮像対象物(例えば葉部や低優先花部(下段花、側花))が映り込むことを防止して、例えば、ディープラーニングによる画像処理ひいては選別精度を向上させることができる。角度θ2が10°より大きい場合、高優先撮像対象物(例えば花部)が低優先撮像対象物(例えば葉部)によって遮蔽されたり、高優先撮像対象物(例えば花部や高優先花部(頂花))に低優先撮像対象物(例えば葉部や低優先花部(下段花、側花))が映り込んだりするおそれがある。
【0073】
なお、ここでは、3つの支持部材50a,50b,50cを基準とする場合を例示して説明したが、基準とする支持部材の数は少なくとも3つであればよい。すなわち、第2のカメラは、少なくとも3つの支持部材の共通部位を繋いだ直線に対する角度が10°以内となるように、ケースの側部に位置決めされればよい。
【0074】
図16は、支持部材50a,50b,50cにより横臥状態(浮遊状態)で支持された撮像対象物を第2のカメラ23で撮像した画像の一例を示す図である。図17は、比較例として、支持部材50a,50b,50cを使用することなく、載置床部に撮像対象物を直接載置して第2のカメラ23で撮像した画像の一例を示す図である。
【0075】
図16に示すように、支持部材50a,50b,50cにより横臥状態(浮遊状態)で支持された撮像対象物は、花部(頂花、下段花、側花)や葉部が変形することなく、ターゲットである花部(頂花)について高品質な撮像画像を得ることができている。これに対して、図17に示すように、載置床部に直接載置した撮像対象物は、破線で囲んだ箇所において、花部(頂花)の周辺の葉部が載置床部と接して変形するとともに、変形した葉部が花部(頂花)を隠してしまうので、画像品質の劣化を招いてしまっている。
【0076】
図18は、第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1を60°とした場合の画像の一例を示す図である。図19は、比較例として、第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1を80°とした場合の画像の一例を示す図である。図20は、比較例として、第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1を10°とした場合の画像の一例を示す図である。
【0077】
図18に示すように、第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1を60°とした場合、撮像対象物であるリンドウの全体像が映るとともに、第1のカメラ13による高優先撮像対象物である花部の側花、下段花を好適に撮像(カウント)可能な画像が得られている(側花の露出部分を破線の枠で囲んで強調している)。これに対して、図19に示すように、第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1を80°とした比較例では、第1のカメラ13による高優先撮像対象物である花部の側花、下段花が葉部に被覆されて(隠されて)、これを好適に撮像(カウント)するのが難しい画像となってしまっている(側花の被覆部分を破線の枠で囲んで強調している)。また、図20に示すように、第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1を10°とした比較例では、第1のカメラ13による高優先撮像対象物ではない花部の頂花がメインで映り込んでしまっており、第1のカメラ13による高優先撮像対象物である花部の側花、下段花が頂花に被覆されて(隠されて)、これを好適に撮像(カウント)するのが難しい画像となってしまっている(メインで移り込んだ頂花部分を破線の枠で囲んで強調している)。
【0078】
図21は、第1のカメラ13と第2のカメラ23の取付構造の変形例を示す概念図である。第1のカメラ13は、撮像装置200のケース100の内部に設置されており、第2のカメラ23は、撮像装置200のケース100に外側から取り付けられて隙間部分がゴム等の弾性部材で埋められている。これにより、第1のカメラ13と第2のカメラ23を取り付けても、底部パネル30の黒色内面31と、4枚の底部パネル(底部包囲パネル)33の黒色内面32とによって画成される黒色背景空間(暗室状態)が維持される。
【0079】
第1のカメラ13は、駆動機構13Xに搭載されて一体化されており、その一体化物が、ケース100の短手方向に延びるレール13Yに沿って移動可能(位置決め可能)に支持されている。駆動機構13Xは、第1のカメラ13をロール・ピッチ・ヨーの三次元ベクトル方向に沿って駆動可能であり、当該駆動とレール13Yに沿った駆動により、支持部材50a,50b,50cひいては撮像対象物に対する第1のカメラ13の位置を変更可能となっている。つまり、第1のカメラ13の設置位置を規定するための角度θ1を変更可能となっている。
【0080】
第2のカメラ23は、駆動機構23Xに搭載されて一体化されており、その一体化物が、ケース100の短手方向に延びるレール23Yに沿って移動可能(位置決め可能)に支持されている。駆動機構23Xは、第2のカメラ23をロール・ピッチ・ヨーの三次元ベクトル方向に沿って駆動可能であり、当該駆動とレール23Yに沿った駆動により、支持部材50a,50b,50cひいては撮像対象物に対する第2のカメラ23の位置を変更可能となっている。つまり、第2のカメラ23の設置位置を規定するための角度θ2を変更可能となっている。
【0081】
以上詳述したように、実施形態によれば、撮像対象物を照明する照明装置(照明部)の配置構造を工夫して照度分布の均一化を図っている。これに加えて(あるいは代えて)、撮像対象物の支持構造、さらには撮像対象物を撮像する撮像部(カメラ)の配置位置を最適化している。これにより、果菜の高精度な選別結果を得ることを可能にする品質の良い画像を得ることができる。より具体的に、第1のカメラ13および第2のカメラ23による撮像対象物(茎部と葉部と花部を有して長手方向に延びる植物、例えばリンドウ)の撮像画像に対して、各種の画像処理やディープラーニング等の技術を活用するのであるが、選別に際して重要度が高い部位(例えば花部)にターゲットを絞った高い画像品質を実現できるので、結果として、高精度な選別を行うことが可能になる。選別に際しては、撮像対象物を複数のランク(例えば、ランクが高い順にSランク、Aランク、Bランク等)に自動的に振り分ける処理を行ってもよい。
【0082】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0083】
例えば、上記の実施形態では、支持部材50a,50b,50cがフレーム43の短手方向と平行になるように延びている場合を例示して説明したが、支持部材50a,50b,50cがフレーム43の長手方向と平行になるように延びていてもよい(支持部材50a,50b,50cとフレーム43の長手方向が一致していてもよい)。この場合であっても、撮像対象物の姿勢を真っすぐに固定することができ、撮像条件をより一定にすることができる。また、支持部材の細さは撮影時の影の発生を低減させるために、撮像対象物の茎の細さに近い方が望ましい。
【符号の説明】
【0084】
1…頂部、10…頂部パネル、11…撮像機材支持機構、12…雲台、13…第1のカメラ(第1の撮像部)、2…側部、20…側部パネル、21…撮像機材支持機構、22…雲台、23…第2のカメラ(第2の撮像部)、25…扉、26…取手、27…面、3…底部、30…底部パネル、31…面、32…面、33…底部パネル(底部包囲パネル)、34…転倒防止用の支え、40,40a,40b,40c,40d,40e,40f…照明、41a,41b…台座、42…操作部、43…フレーム、50a,50b,50c…支持部材、51,52,53…曲げ部、60…載置部(溝部)、100…ケース、200…撮像装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21