(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110945
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】調整可能なカウンターウェイト装置を備える移動式クレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 23/76 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
B66C23/76 B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024012533
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】10 2023 102 707.7
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エーベルハルト ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ボース ベルント
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA06
3F205AC01
3F205BA06
3F205CB02
3F205GA02
3F205GA05
3F205GA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カウンタートルクを、操作中に変化させることが可能であり、カウンターウェイト要素の数が少ない、移動式クレーン用のカウンターウェイト装置を提供する。
【解決手段】移動可能な下部走行体と、回転縦軸13を中心に回転する上部旋回体14と、カウンターウェイトベースプレート52、及び、カウンターウェイト装置50を持ち上げバラスト装置に連結するための、カウンターウェイトベースプレートから延びる少なくとも1つの接続要素70を備える。カウンターウェイト装置50の上部旋回体の回転軸13からの距離は、少なくとも1つの第1アーム31により調整することができる。バラスト状態の第1アーム31は、旋回可能な連結要素を介して、カウンターウェイトベースプレート52に接続され、カウンターウェイトベースプレートが、上部旋回体の回転軸に対して、半径方向の直線運動で調整され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な下部走行体と、
上部旋回体(14)であって、上部旋回体の回転縦軸(13)を中心に回転するように前記下部走行体に取り付けられ、バラスト装置(20)を有する上部旋回体(14)と、
カウンターウェイト装置(50)であって、カウンターウェイトベースプレート(52)と、前記カウンターウェイト装置(50)を持ち上げて、前記バラスト装置(20)に連結するための、前記カウンターウェイトベースプレート(52)から延びる少なくとも1つの接続要素(70)と、を備え、前記バラスト装置(20)に連結可能なカウンターウェイト装置(50)と、
を備える移動式クレーン(10)であって、
前記カウンターウェイト装置(50)から前記上部旋回体の回転軸(13)までの距離を、回転縦軸(33)を中心に旋回可能な、前記バラスト装置(20)の少なくとも1つの第1アーム(31)により、バラスト状態で調整することができ、
バラスト状態の前記第1アーム(31)は、旋回可能な連結要素を介して、前記カウンターウェイトベースプレート(52)に接続され、
前記旋回可能な連結要素は、前記第1アーム(31)及び前記連結要素を同時に旋回させることにより、前記カウンターウェイトベースプレート(52)が、前記上部旋回体の回転軸(13)に対して、半径方向の直線運動で調整され得るように、前記第1アーム(31)及び前記カウンターウェイトベースプレート(52)に対して旋回可能に取り付けられる、
ことを特徴とする、移動式クレーン(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の移動式クレーン(10)において、
前記カウンターウェイト装置(50)は、前記カウンターウェイト装置(50)を前記バラスト装置(20)に連結するための、2つの離間した接続要素(70)を備え、
前記バラスト装置(20)は、前記カウンターウェイト装置(20)の、前記上部旋回体の回転軸(13)からの距離を調整するよう同期して旋回可能な、2つの旋回可能な第1アーム(31)を備える、移動式クレーン(10)。
【請求項3】
請求項2に記載の移動式クレーン(10)において、
前記第1アーム(31)は、前記バラスト装置(20)に、具体的には、バラストフレーム(22)に対して横方向に配置されるとともに、前記カウンターウェイト装置(50)の、前記上部旋回体の回転軸(13)からの距離を調整するために、反対方向に旋回可能である、移動式クレーン(10)。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の移動式クレーン(10)において、
それぞれの前記第1アーム(31)は、自身の油圧式シリンダ(36)を介して旋回可能であり、
前記油圧式シリンダ(36)は、同期して作動可能である、移動式クレーン(10)。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の移動式クレーン(10)において、
前記第1アーム(31)のうちの一方は、油圧式シリンダ(36)を介して旋回可能であり、
前記第1アーム(31)は、前記油圧式シリンダ(36)が作動されるときに、同期して旋回するように、歯車伝達装置により、互いに機械的に連結され、
前記歯車伝達装置は、好ましくは、
前記第1アーム(31)に、回転可能に固定されて接続され、かつ、接続手段(49)、具体的には、チェーンにより、互いに連結されたギヤホイール(45、46)と、
前記ギヤホイール(47、48)の間に接続された、少なくとも1つの更なるギヤホイール(47、48)と、
を備える、移動式クレーン(10)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の移動式クレーン(10)において、
前記バラスト装置(20)は、前記カウンターウェイト装置(50)を、前記下部走行体の保管エリアから持ち上げかつ前記下部走行体の上に配置するように設計され、
少なくとも1つの前記接続要素(70)は、前記カウンターウェイトベースプレート(52)とは反対側の端に、前記バラスト装置(20)との連結を行うことができる連結部分を有する、移動式クレーン(10)。
【請求項7】
請求項6に記載の移動式クレーン(10)において、
前記バラスト装置(20)は、少なくとも1つの前記接続要素(30)の前記連結部分と取り外し可能に係合可能である、少なくとも1つの油圧式のバラストシリンダ(26)を備え、
前記連結部分は、前記バラストシリンダ(26)の連結部品(27)が、具体的には、前記上部旋回体の回転軸(13)を中心に、前記上部旋回体(14)を回転させることにより、格納され得る、レセプタクル(76)を備える、移動式クレーン(10)。
【請求項8】
請求項7に記載の移動式クレーン(10)において、
前記レセプタクル(76)及び前記連結部品(27)の少なくとも一方は、積荷がある状態において、前記レセプタクル(76)内での前記連結部品(27)の関節運動を可能にする、丸い形状の外形を有する、移動式クレーン(10)。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の移動式クレーン(10)において、
前記バラストシリンダ(26)は、
シリンダジャケットと、
前記連結部品(27)が位置する自由端にピストンロッドを有し、前記シリンダジャケット内で取り外し可能なピストンと、
を備え、
前記ピストンは、前記ピストンロッドの長手方向の軸を中心に回転可能となるように、前記シリンダジャケットに取り付けられ、
前記バラストシリンダ(26)は、油圧式システムにより作動されることができ、
前記バラストシリンダ(26)及び前記油圧式システムは、バラスト状態において、固定モードでは、前記ピストンロッドが延長及び回転しないように遮断される一方、調整モードでは、前記ピストンロッドが、前記シリンダジャケットに対して、同じ延長位置で回転することができるよう設計され、
前記ピストンロッドは、好ましくは、前記固定モードよりも、前記調整モードにおいて更に延長される、移動式クレーン(10)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載の移動式クレーン(10)において、
前記カウンターウェイトベースプレート(52)にスタック可能であり、配置状態で、少なくとも1つの前記接続要素(70)が突出する少なくとも1つの凹部を有する、少なくとも1つの第2カウンターウェイト要素を更に備える、移動式クレーン(10)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の移動式クレーン(10)において、
具体的には、積荷運動制限のために、制御ユニットに伝達される、前記移動式クレーン(10)のバラスト状態を検出するための測定装置を更に備え、
前記測定装置は、好ましくは、少なくとも1つの前記第1アーム(31)の、瞬間的な旋回角度を検出可能な、少なくとも1つのセンサを備える、移動式クレーン(10)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載の移動式クレーン(10)において、
回転縦軸(34)を中心に旋回可能となるように、少なくとも1つの前記第1アーム(31)に第2アーム(32)が接続され、
前記カウンターウェイト装置(50)の少なくとも1つの前記接続要素(70)は、具体的には、前記第2アーム(32)に配置されたバラストシリンダ(26)により、少なくとも1つの前記第2アーム(32)に連結可能である、移動式クレーン(10)。
【請求項13】
請求項12に記載の移動式クレーン(10)において、
前記第1及び第2アーム(31、32)は、前記第1アーム(31)が、前記回転縦軸(33)を中心に旋回されるときに、前記第2アーム(32)が、前記第1及び第2アーム(31、32)を互いに接続する回転縦軸(34)を中心に、具体的には、反対方向に、自動で旋回されるように、互いに連結され、
前記第1及び第2アーム(31、32)の旋回角度は、互いに固定された比率となる、移動式クレーン(10)。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の移動式クレーン(10)において、
前記第1及び第2アーム(31、32)は、第2油圧式シリンダを介して互いに接続され、
前記上部旋回体(14)に対して前記第1アーム(31)を旋回させる第1油圧式シリンダ(36)と、前記第1アーム(31)に対して前記第2アーム(32)を旋回させる前記第2油圧式シリンダとは、前記第1及び第2アーム(31、32)の角速度が、旋回中に互いに固定された比率となるように、同期されて制御される、移動式クレーン(10)。
【請求項15】
請求項12又は13に記載の移動式クレーン(10)において、
前記上部旋回体(14)に対して前記第1アーム(31)を旋回させる油圧式シリンダが作動されるときに、前記第1及び第2アーム(31、32)が同期して旋回するように、前記第1及び第2アーム(31、32)が、歯車伝達装置により互いに機械的に連結され、
前記歯車伝達装置は、好ましくは、
回転可能に固定されるように前記上部旋回体(14)に接続された第1ギヤホイール(41)と、
回転可能に固定されるように前記第2アーム(32)に接続された第2ギヤホイール(42)と、
を有し、
これらは互いに、接続手段(43)、具体的には、チェーンにより接続されている、移動式クレーン(10)。
【請求項16】
請求項1~11のいずれか1つに記載の移動式クレーン(10)において、
前記カウンターウェイト装置(50)の前記接続要素(70)は、前記カウンターウェイトベースプレート(52)に旋回可能に接続されているとともに、具体的には、前記第1アーム(31)に配置されたバラストシリンダ(26)により、少なくとも1つの前記第1アーム(31)に連結可能である、移動式クレーン(10)。
【請求項17】
請求項2及び16に記載の移動式クレーン(10)において、
前記第1アーム(31)が、前記カウンターウェイト装置(50)から前記上部旋回体の回転軸(13)までの距離を調整するために旋回されるときに、前記第1アーム(31)の円運動を相殺させるために、それぞれの前記接続要素(70)は、前記接続要素(70)が横方向に、具体的には、前記カウンターウェイト装置(50)の運動方向に対して垂直に旋回するように、水平旋回軸(73)を中心に旋回可能に前記カウンターウェイトベースプレート(52)に接続される、移動式クレーン(10)。
【請求項18】
請求項17に記載の移動式クレーン(10)において、
前記接続要素(70)は、前記カウンターウェイトベースプレート(52)に旋回可能に接続されたベース体(72)を備え、
前記接続要素(70)の傾斜位置を相殺するために、前記第1アーム(31)に面する端において、旋回体(74)が、旋回軸(75)、具体的には、水平旋回軸を中心に、旋回可能に接続されており、
前記旋回体(74)は、前記バラスト装置の前記第1アーム(31)への連結を確立することができる連結部分を有する、移動式クレーン(10)。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の移動式クレーン(10)において、
前記接続要素(70)はそれぞれ、復帰要素、具体的にはバネにより、垂直の、又は、内向きに旋回された位置まで圧縮応力が与えられる、移動式クレーン(10)。
【請求項20】
請求項17~19のいずれか1つに記載の移動式クレーン(10)において、
前記接続要素(70)は、垂直面に対して最大旋回角度で、両方向に旋回可能となるように、前記カウンターウェイトベースプレート(52)に接続され、
前記最大旋回角度は、好ましくは20°未満、特に好ましくは15°未満である、移動式クレーン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の移動式クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
移動式クレーンは、典型的には、ホイール付き又はクローラシャーシを備える下部走行体と、縦軸を中心に回転可能となるように下部走行体に取り付けられた上部旋回体と、旋回可能となるように上部旋回体に接合されたブームと、上部旋回体バラストとしても知られているカウンターウェイト装置と、を有する。上部旋回体の全ての位置で、カウンターウェイトは、レバーアームを介して負荷トルクにカウンタートルクを加え、それ故、上部旋回体と共に回転する。
【0003】
小型の移動式クレーンは多くの場合、いわゆるタクシークレーンとして、建設現場で用いるための装置を全て備えているが、より大型の移動式クレーンは、公道上でさえもこれを行うことができず、公道での輸送のために、クレーン構成部品、及び具体的には、カウンターウェイト装置の全部又は一部を分解して、これらを現場で組み立てる必要がある。クローラクレーンのカウンターウェイト装置もまた、典型的には、輸送のために分解され、使用する場所で上部旋回体に適合させることが必要となる。
【0004】
したがって、従来技術からは、上部旋回体との取り外し可能な接続のための接続要素を備え、上にカウンターウェイト要素をスタック可能なカウンターウェイトベースプレートを提供することが知られている。この目的のために、上部旋回体には、床から、又は、下部走行体上の保管エリアから、カウンターウェイトベースプレートと、その上に、接続要素にてスタックされたカウンターウェイト要素と、を備えるカウンターウェイト装置をピックアップし、組立のために、カウンターウェイト装置を上部旋回体まで持ち上げることができるバラスト装置が装着される。分解のために、カウンターウェイト要素を備えたカウンターウェイトベースプレートを、床、又は下部走行体の上に配置しなおすことができる。この目的のために、バラスト装置は通常、下方に延び、カウンターウェイト装置の接続要素と係合し、収縮によりカウンターウェイト装置を上部旋回体の上まで持ち上げる、1つ以上の油圧式バラストシリンダを備える。
【0005】
従来技術では、接続要素として、円筒状の、又は平坦な受け管が用いられ、これらは、カウンターウェイトベースプレートに、動かないように接続され、例えば、溶接され、カウンターウェイトベースプレートから垂直上方に突出している。カウンターウェイト要素は、接続要素が突出する、対応する凹みを有するため、スタックされたときには、バラストシリンダは、例えば、上部旋回体の回転運動に合わせて、接続要素のレセプタクルと上から係合可能である。
【0006】
カウンターウェイト装置を組み立てるために、カウンターウェイト装置は、通常、下部走行体の保管エリアに配置され、カウンターウェイト要素は、カウンターウェイトベースプレートにスタックされる。上部旋回体は、スタックされたカウンターウェイト装置の上で、そのバラスト装置と共に回転し、バラストシリンダが、接続要素により、カウンターウェイト装置を上部旋回体まで引っ張る。この組立て法により、カウンターウェイト装置の取り付け可能な容積のサイズが制限される。具体的には、カウンターウェイト装置は、上部旋回体の回転縦軸、または、上部旋回体の回転軸から、自由に遠くまで延びることができない。ここで、下部走行体は、典型的には、運転室、エンジンハウジング、排気ガス後処理構成要素又は同様の要素などの他の構成要素を有するため、カウンターウェイト装置は、この領域内まで延びることができない。カウンターウェイト装置は、上部旋回体の回転縦軸に近づいて延びることもできない。これは、当該回転縦軸に、上部旋回体の鉄骨構造が位置するためである。カウンターウェイトの質量を更に増加させることが可能であるならば、このことは、同じ容積を維持しながら、カウンターウェイト要素の比重を増大させることによってのみ達成可能である。しかし、これによって、カウンターウェイト要素の製造及び調達は複雑かつ高価となる。
【0007】
バラストシリンダと、上部旋回体の回転軸との距離を変化させて、カウンターウェイトトルクを増大させることができることが、独国実用新案202014008661号明細書で知られている。この距離は、カウンターウェイトをセットアップする前に固定することができる。しかし、この解決策の欠点は、クレーン作業中にカウンターウェイト半径を変えることができなくなり、そのために、例えば、特定の回転運動の間に、建設現場の一般的な空間条件に適合させることができないということである。加えて、可変性支持基盤を備える移動式クレーンは、追加の傾斜基準を有する。
【0008】
独国特許出願公開102016009013号明細書のような他の解決策では、旋回可能なカウンターウェイトベースプレートを用いている。しかし、カウンターウェイト装置は、自身のバラストシリンダを運んで、下方から上部旋回体に向けて自身を押しつけるため、このようなカウンターウェイト装置の組立ては複雑である。したがって、カウンターウェイト装置のバラストシリンダへの油圧接続を、カウンターウェイトのセットアップ前に確立しなければならない。更に、押し上げる際に傾斜しないように、バラストシリンダ上への、カウンターウェイト装置を確実に、安全かつ安定して取り付けなければならない。加えて、このような解決策は、スタックされたカウンターウェイト要素のタワーを用いる、より大型の移動式クレーンに対して一層適しており、標準化されたカウンターウェイト要素を用いることが価値あることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような背景に対して、本発明の目的は、生み出されたカウンタートルクを、操作中に変化させることが可能であり、具体的には、カウンターウェイト要素の数が少ない、より小型の移動式クレーンに適した一般的な移動式クレーン用のカウンターウェイト装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を備える移動式クレーンにより達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項及び以下の説明から得られる。
【0011】
本発明によれば、移動可能な下部走行体と、下部走行体に取り付けられた上部旋回体であって、上部旋回体の回転縦軸を中心に回転可能な上部旋回体と、カウンターウェイト装置と、を備える移動式クレーンが提示される。具体的にはブーム、例えば、入れ子式ブームが、上下運動して上部旋回体に対して関節駆動する。上部旋回体は、操作中に持ち上げられた積荷と反作用するカウンタートルクを生成するために、カウンターウェイト装置を取り外し可能に連結可能なバラスト装置を備える。カウンターウェイト装置は、カウンターウェイトベースプレートと、カウンターウェイト装置を持ち上げて、上部旋回体のバラスト装置に連結するための、少なくとも1つの接続要素と、を備える。少なくとも1つの接続要素は、カウンターウェイトベースプレートから延び、バラスト装置に接続される。具体的には、接続要素は基本的に、カウンターウェイトベースプレートに対して垂直に延びる。バラスト装置は、回転縦軸を中心に、上部旋回体に旋回可能に取り付けられ、カウンターウェイト装置から上部旋回体の回転軸までの距離を、バラスト状態で調整可能とすることができる、少なくとも1つの第1アームを備える。カウンターウェイト装置は、少なくとも1つの第1アームに直接、又は間接的に接続されるため、第1アームの運動がカウンターウェイト装置の運動をもたらす。
【0012】
本発明によれば、第1アームは、旋回可能な連結要素を介して、バラスト状態でカウンターウェイトベースプレートに接続される。複数の第1アームが存在する場合、それぞれの第1アームは、対応する連結要素に接続される。少なくとも1つの連結要素は、第1アーム及び連結要素を同時に旋回させることにより、カウンターウェイトベースプレートが、上部旋回体の回転軸に対して、半径方向の直線運動を調整又は変化させ得るように、関連付けられた第1アーム、及び、カウンターウェイトベースプレートに対して、旋回可能に取り付けられる。
【0013】
本発明による、共に旋回可能な、第1アームと連結要素とを組み合わせることにより、カウンターウェイトを円軌道で旋回させるのではなく、上部旋回体の回転縦軸に対して半径方向に、即ち、上部旋回体の長手方向に平行に、カウンターウェイト装置を直線運動させることにより、カウンターウェイト半径を変化させることが可能である。これにより、クレーンの運転中に、カウンターウェイト装置により生み出されるカウンタートルクを柔軟に調整することができ、具体的には、カウンターウェイトが側面に向かって旋回しないため、上部旋回体又はカウンターウェイト装置の側面に、何ら追加の空間を必要としない。これにより、具体的には、密閉された建設現場環境において、作業が楽になる。
【0014】
更に、カウンターウェイト半径がバラスト状態での操作中に調整され、カウンターウェイトのセットアップ時には調整されないため、下部走行体は、カウンターウェイト装置用の単一の配置装置、又は単一の保管エリアのみを必要とする。したがって、下部走行体は、最適化された省スペースデザインを有することができる。
【0015】
好ましくは、少なくとも1つの第1アームは、少なくとも1つのアクチュエーター、具体的には、油圧式シリンダを介して、能動的に旋回可能である。少なくとも1つのアクチュエーターによるカウンターウェイト装置の調整は、オペレーターが、好ましくは、運転室から対応する入力を行うことができるクレーン制御システムにより、好ましくは、集中方式で行うことができる。
【0016】
単純化のために、以降で単に「接続要素」と呼ばれる場合、これは、少なくとも1つの接続要素(即ち、任意の他の既存の接続要素を含むもの)として理解されなければならない。加えて、「垂直」及び「水平」といった、絶対的な記載は常に、移動式クレーンが平坦な水平面に立っている場合を指す。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの接続要素は、具体的には、実質的に平坦な形状を有する薄板構造として設計される。このような薄板構造は、例えば、円筒形支持管よりも製造が容易であり、その縦軸に沿って、及び縦軸を横切って作用する様々な荷重に耐える好適な厚さを備えて製造することができる。
【0018】
接続要素は、カウンターウェイトベースプレートを持ち上げるためのホイストの停止手段(例えば、チェーン又はロープ)を接合するための停止要素を有することができる。これは、接続要素を備えるカウンターウェイトベースプレートは、例えば、補助クレーン又は移動式クレーンにより持ち上げられて、それ自体のセットアップを可能にし、下部走行体の保管エリア上に位置することができることを意味する。好ましくは、停止要素は、接続要素における凹部により形成される。フック要素、突起などもまた、停止手段を接合するために想到される。
【0019】
取り得る一実施形態では、カウンターウェイト装置は、カウンターウェイト装置をバラスト装置に連結するための、離間した2つの接続要素を備えていてもよい。したがって、本実施形態のバラスト装置は、一緒に又は同期して旋回し、カウンターウェイト装置から上部旋回体の回転軸までの距離を調整することができる、2つの旋回可能な第1アームを有する。複数の接続要素を用いることで、カウンターウェイト装置の、上部旋回体への安定した接続がもたらされる。好ましくは、厳密に2つの接続要素が設けられる。
【0020】
具体的には、接続要素は、カウンターウェイトベースプレートの重心、又は、上部旋回体の長手方向の軸から同じ距離で配置することができる。カウンターウェイト装置は、好ましくは、上部旋回体の長手方向の軸を貫く、垂直面に対して対称である。
【0021】
取り得る別の実施形態では、第1アームが、バラスト装置の側面に、具体的には、上部旋回体に接続された、又は上部旋回体上に形成されたバラストフレームに配置されていてもよい。更に、第1アームは、カウンターウェイト装置の、上部旋回体の回転軸からの距離の直線調整のために、反対方向に旋回可能である、即ち、一方の第1アームが時計回りに旋回する一方で、同時に、他方の第1アームが反時計回りに旋回する。
【0022】
同期された、アクチュエーターベースの第1アームの調整を、様々な方法で実装することができる。
【0023】
取り得る一実施形態では、第1アームのそれぞれは、それ自身の油圧式シリンダを介して旋回することができる。この場合、旋回運動の好適な同期が確実にされなければならない。これは、油圧式シリンダと、関連付けられた制御システムとを同期することにより達成することができる。これは、例えば、電気的に作動されるバルブを介して、油圧式シリンダを対応して同期するように制御する制御システムに信号を伝える、シリンダ内の長さセンサにより実現することができる。この場合、静止した積荷ケースを、このようにして減らすことができる(非対称性を推定する必要はない)。
【0024】
代替の取り得る実施形態では、第1アームの一方のみが油圧式シリンダを介して旋回可能であり、第1アームは、油圧式シリンダが作動されるときに、各第1アームが同期して旋回するように、歯車伝達装置により、互いに機械的に連結されていてもよい。この場合、「歯車伝達装置」という用語は、少なくとも2つのギヤホイールが提供されることを意味する。これらは、更なるギヤホイールにより、又は、チェーンなどの接続手段により、互いに連結されることができる。後者の場合、チェーン伝達装置もまた、指すことができる。
【0025】
第1アームの機械的連結は、複数のアクチュエーターの同期制御は必要ないことを意味する。上記歯車伝達装置は、好ましくは、接続手段により互いに機械的に連結された、回転可能に固定された第1アームに接続された、ギヤホイールを備える。連結は直接なされていない。というのも、直接されていれば、第1アームが同方向に移動するからである。したがって、少なくとも1つの追加のギヤホイールが、第1アームの一方の回転方向を逆転させるために設けられる。具体的には、追加のギヤホイールは、上部旋回体上を自由に回転可能であり、第1アームの一方の、回転可能に固定されたギヤホイールとかみ合う。具体的には、回転可能に固定されたギヤホイールは、アームの回転軸と同一直線上に配置される。
【0026】
接続手段は、好ましくはチェーンであるため、同期駆動は、チェーン伝達装置、又はチェーン駆動として設計される。しかし、ベルト、又は1以上のギヤホイールもまた、接続手段として備えられることができる。
【0027】
油圧式シリンダが作動されるときには、この第1アーム上に配置されたギヤホイールは、アームと共に回転し、これにより接続手段を動かし、これは、例えば、上部旋回体上で自由に回転可能に取り付けられたギヤホイールを動かし、結果的に、他の第1アームに固定されたギヤホイールとかみ合う。結果として、両方のアームが、同期された逆回転旋回運動を行う。
【0028】
取り得る別の実施形態では、バラスト装置が、カウンターウェイト装置を、下部走行体の保管エリアから持ち上げ、この上に配置するように設計されることが提供される。保管エリアは、下部走行体の運転室の背後に位置することができる。少なくとも1つの接続要素は、カウンターウェイトベースプレートとは反対側の(即ち、上部旋回体又はバラスト装置に面する)端に、連結部分を有し、これを介して、バラスト装置との、取り外し可能な機械的連結を行うことができる。連結部分は、カウンターウェイト装置を持ち上げるための接続を確立するために、バラスト装置の持ち上げ装置、具体的には、バラストシリンダを挿入可能なレセプタクルを備えることができる。
【0029】
更に取り得る実施形態では、バラスト装置は、少なくとも1つの接続要素の連結部分と取り外し可能に係合可能である、少なくとも1つの油圧式バラストシリンダを備えていてもよい。連結部分は、具体的には、上部旋回体を、上部旋回体の回転軸を中心に回転させることにより、バラストシリンダの連結部品を挿入可能なレセプタクルを備える。具体的には、バラストシリンダは、バラスト装置から下方に延ばすことができるピストンロッドを有し、その端に連結部品を有する。連結部品は、バラストシリンダのピストンロッドの一部であり得る、即ち、ピストンロッドと共に1つの部品として、又は、ピストンロッドに接続される別個の構成要素として、形成することができる。
【0030】
具体的には、連結部分は、上部、及び少なくとも1つの側面が開口している。レセプタクルは、バラストシリンダを横向きに(例えば、円運動に従って)押し込むことを可能にし、接続されたときに、凹部からの、バラストシリンダの垂直方向の運動を能動的に遮断するように設計することができる。持ち上がった状態において、カウンターウェイト装置は、少なくとも1つの接続要素の凹部を介して、少なくとも1つのバラストシリンダの連結部品に留まる、又は、連結部品からつり下がることができる。
【0031】
連結部品は、例えば、特別な固定装置により、凹部に固定することができる。代替的に、又は加えて、固定機構は単純に、連結部分に対して、連結部品のあらゆる更なる運動を遮断する、機械式停止装置であることができる。
【0032】
更に取り得る実施形態では、レセプタクル及び連結部品の少なくとも1つは、積荷がある状態において、連結部品の、レセプタクル内での関節運動を可能にする、丸い形状の、例えば、王冠状の外形を有していてもよい。このような接続により、接続要素が、様々な自由度で、バラストシリンダに対して旋回することが可能となり、例えば、第1アームが旋回するときに、円軌道に沿ってバラストシリンダの運動を相殺させて、カウンターウェイト装置の直線転置を可能にする。
【0033】
更に取り得る実施形態では、バラストシリンダは、シリンダジャケットと、連結部品が位置する自由端においてピストンロッドを有する、シリンダジャケット内で取り外し可能なピストンと、を備え、ピストンは、ピストンロッドの長手方向の軸を中心に回転可能となるように、シリンダジャケットに取り付けられてもよい。これにより、接続要素のレセプタクル内に位置する連結部品は、第1アームの旋回運動中に、理想的には、接続要素のレセプタクルに対しては回転しない状態で、対応する第1アームに対して回転可能となる。これによって、レセプタクル内での相対運動から生じる摩擦力が軽減又は回避される。
【0034】
バラストシリンダは、油圧式システムにより作動可能であり、ここで、バラストシリンダ及び油圧式システムは、バラスト状態において、固定モードでは、ピストンロッドが延長及び回転しないように遮断される一方で、調整モードでは、ピストンロッドが、シリンダジャケットに対して、同じ延長位置で回転することができるように設計されている。
【0035】
固定モードにおいて、バラストシリンダはしたがって、油圧的に遮断されている一方で、調整モードにおいて、ピストンロッドは、その長手方向の軸を中心に回転し、カウンターウェイト半径を調整することができる。調整モードにおいて、ピストンロッドは、好ましくは、固定モードよりも更に延長される。カウンターウェイト装置は、好ましくは、バラストシリンダにより上部旋回体に押しつけられ、油圧式遮断によりそこで固定される(固定モード)。油圧式遮断は、例えば、規定の接触圧力に達した後に行うことができる。例えば、1つ以上のボルト接続による、追加の機械的接続を、任意選択的に付与することができる。油圧式遮断により生み出される抵抗により、バラストシリンダがまず緩められ、カウンターウェイト半径を調整する必要がある。カウンターウェイト装置が調整可能である場合、油圧式遮断を緩め、バラストシリンダのピストンロッドが僅かに延びる。ピストンロッドは、シリンダに対して自由に回転することができるため、第1アームが旋回する際に、接続要素の取り付けに対する運動を回避することができる。
【0036】
取り得る別の実施形態では、カウンターウェイトベースプレートにスタック可能な、少なくとも1つの、第2カウンターウェイト要素が設けられ、第2カウンターウェイト要素は、配置状態で少なくとも1つの接続要素が突出する少なくとも1つの凹部を有する。具体的には、第2カウンターウェイト要素は平坦な形状である。複数の第2カウンターウェイト要素が設けられ、カウンターウェイトベースプレートにスタック可能である。
【0037】
具体的には、接続要素は、バラストシリンダの対応する連結部品と連結するための、上述した連結部分を有する。好ましくは、連結部分、又はそのレセプタクルは、接続状態で、第2カウンターウェイト要素の凹部内に横たわるように配置される。好ましくは、レセプタクルは、バラストシリンダの連結部品が、凹部内で、接続要素の連結部分の隣に位置することができ、その回転縦軸を中心に上部旋回体を回転させることで、連結部分又はそのレセプタクルに収納できるように設計される。バラストシリンダは、円軌道を描き、横向きに、レセプタクルに向けて運動する。したがって、対応する第2カウンターウェイト要素のレセプタクルは、バラストシリンダを接続要素と接続させる際に、このような円運動ができるように、一層幅広くなければいけない。
【0038】
第2カウンターウェイト要素のレセプタクルは、バラストシリンダ及び接続要素が、互いに正しく連結される固定位置で、バラストシリンダの連結部品がぶつかる機械式停止装置を有することができる。停止装置は、それ自体のレセプタクルの壁により形成されることができ、これによって、特にシンプルな設計となる。代替的には、停止装置は、レセプタクル内に配置される別個の構成要素により、実現することもまた可能である。
【0039】
更に取り得る実施形態では、移動式クレーンの制御ユニット、具体的には、荷重トルクリミッタに伝達される、移動式クレーンのバラスト状態を検出するための測定装置もまた、提供される。これにより、バラスト状態が継続して監視され、クレーンの、起こり得るあらゆる傾斜が認識され、初期段階で防止されることが可能となる。測定装置は、好ましくは、少なくとも1つの第1アームの、瞬間的な旋回角度を検出可能な、少なくとも1つのセンサを備える。
【0040】
更に取り得る実施形態では、バラスト装置の少なくとも1つの第1アームは、第2アームに関節駆動方式で接続されてもよく、第2アームは、回転縦軸を中心に旋回可能となるように、第1アームに取り付けられる。複数の第1アームが設けられる場合、これらの第1アームのそれぞれは、回転縦軸を中心に回転可能となるように第2アームに接続される。この場合、カウンターウェイト装置の少なくとも1つの接続要素は、少なくとも1つの第2アームに連結され得る。したがって、カウンターウェイト装置は、第1アームではなく、第2アームに接続される。連結は、好ましくは、上述したバラストシリンダにより実施される。この場合、少なくとも1つの第2アームは、少なくとも1つの接続要素よりも上にカウンターウェイト装置を持ち上げ、カウンターウェイト装置をバラスト装置に接続するための、バラストシリンダを有する。
【0041】
更に取り得る実施形態では、第1及び第2アームは、第1アームがその回転軸を中心に旋回されるときに、第1アームに接合された第2アームが、その回転軸を中心に自動的に旋回するように、互いに連結されていてもよい。したがって、2つのアームは、互いに機械的に連結され、それぞれの回転軸を中心に、具体的には、反対向きに、同期した旋回運動を行う。アームの運動は、好ましくは、旋回角度又は角速度が、互いに固定関係にあるように、互いに同期される。これにより、第2アームに配置されたバラストシリンダが直線運動しながら、アームそれぞれが旋回運動を行うように、2つのアームが協調することが可能となる。2つの接続要素が、したがって、二対の第1及び第2アームが設けられる場合、これは、上層構造物の長手方向の軸と平行な、カウンターウェイト装置の直線運動をもたらし、ここで、それぞれのアームの個別の運動は、円軌道上で生じる。
【0042】
連結された第1及び第2アームの同期は、様々な方法で生じることができる。
【0043】
取り得る別の実施形態では、第1及び第2アームが、第2油圧式シリンダを介して互いに接続されていてもよく、ここで、上部旋回体に対して第1アームを旋回させる第1油圧式シリンダと、第1アームに対して第2アームを旋回させる第2油圧式シリンダは、第1及び第2アームの角速度が、旋回中に互いに固定された比率となるように、同期されて制御される。2つのアームの協調又は同期は、したがって、ここでは、複数の油圧式シリンダを同期することにより達成される。
【0044】
取り得る代替の実施形態では、上部旋回体に対して第1アームを旋回させる油圧式シリンダが作動されるときに、第1及び第2アームが同期して旋回するように、第1及び第2アームが、歯車伝達装置により互いに機械的に連結されていてもよい。上述した2つの第1アームの、機械的な連結と同様に、第1及び第2アームもまた、機械的連結により同期することができる。第1及び第2アームを機械的に同期する歯車伝達装置は、好ましくは、回転可能に固定されるように上部旋回体に接続された第1ギヤホイールと、回転可能に固定されるように第2アームに接続された第2ギヤホイールと、を備え、これらは互いに、接続手段、具体的には、チェーンにより接続されている。第2アームが第1アームに対して回転するとき、第2ギヤホイールは、第2アームと共に回転する。ここでもまた、チェーンの代わりに、ベルト又は更なるギヤホイール(即ち、少なくとも1つの更なるギヤホイール)の配置であってもよい。
【0045】
具体的には、第2ギヤホイールは、第2アームの回転軸と同一直線上に配置され、第2アームが旋回するときに、第1アームと共に運動する。これにより、第2ギヤホイールが、上部旋回体に対して回転するようになる。第1ギヤホイール全体が、回転可能に固定され接合されていること、そして、接続手段により連結されていることで、第1アームがある回転方向に旋回すると、第2ギヤホイールに回転可能に固定された、第2アームは、反対の回転方向に自動的に回転する。
【0046】
2つの第1アームが設けられる場合、上述のとおり、これらは、一方では、歯車駆動により、対応する第2アームに機械的に連結可能であり、他方、互いに機械的に連結可能である。代替的には、アームの全て又は一部が、油圧式シリンダを用いて旋回可能である。具体的には、以下の組合せが可能である:
-第1アームが互いに、及び、歯車伝達装置により、対応する第2アームにもまた、機械的に連結される、即ち、第1アームのうちの一方のみが、油圧式シリンダ又は調整シリンダにより旋回可能でありながら、第1アームのうちの他方、及び、2つの第2アームは、機械式歯車によって自動的に運動する。
-第1アームは、歯車伝達装置により互いに機械的に連結され、ここで、第2アームは、油圧式シリンダにより互いに運動される。しかし、様々な油圧式シリンダを適宜制御することで、複雑な方法で、第2アームの運動を第1アームと協調させる必要があるため、この変形例はさほど好ましくない。
-両方の第1アームが、それら自体の油圧式シリンダにより旋回されることができ、ここで、これらは上述のとおり、互いに適合しており、第1アームは、歯車伝達装置により、第2アームに連結されている。
-両方の第1アームが、それら自体の油圧式シリンダにより旋回されることができ、ここで、第2アームもまた、それぞれが、油圧式シリンダにより運動される、即ち、少なくとも4つの油圧式シリンダが協調される必要がある。
【0047】
上述した実施形態では、カウンターウェイトベースプレートの直線運動は、第2アームにより旋回移動を同期させることにより、第1アームの旋回運動(即ち、第1アームの端部の円軌道曲線)を、第2アームの自由端の直線運動に変換することにより達成される。したがって、ここで、第2アーム(又は、第2アーム)は、上述した旋回可能な連結要素を表し、第1アームの旋回運動と、連結要素の旋回移動の両方が、回転縦軸を中心に発生する。
【0048】
上部旋回体の長手方向の軸に平行な、カウンターウェイトベースプレートの直線運動を達成するための更なる解決策は、カウンターウェイト装置の少なくとも1つの接続要素が、カウンターウェイトベースプレートに旋回可能に接続される、取り得る代替の実施形態で実現される。少なくとも1つの接続要素は、具体的には、第1アームに配置されたバラストシリンダにより、少なくとも1つの第1アームに連結されることができる。第2旋回アームはここでは提供されないが、カウンターウェイト装置は、少なくとも1つの第1アームに直接接続される。
【0049】
本実施形態では、第1アームの旋回運動は、反対方向に回転する第2アームにより達成されるのではなく、少なくとも1つの接続要素が旋回可能に取り付けられ、したがって、第1アームが旋回するときに、側面に向かって実質的に向きを変えることができるという事実により達成される。この場合、少なくとも1つの接続要素は、それ自体が旋回可能な連結要素であり、カウンターウェイトベースプレートに接続されている。
【0050】
更に取り得る実施形態では、上述のとおり、2つの接続要素が設けられ、接続要素はそれぞれ、水平旋回軸を中心に旋回するように、カウンターウェイトベースプレートに接続されている。カウンターウェイト装置の直線調整のために第1アームを旋回させるときに、接続要素は、第1アームの円運動を相殺させるために、横方向に、具体的には、カウンターウェイト装置の運動方向に対して、又は、上部旋回体の長手方向の軸に対して、垂直に旋回する。したがって、カウンターウェイト半径を調整することには、回転縦軸を中心にした旋回移動と、回転横軸を中心にした更なる旋回移動とを組み合わせることが伴う。
【0051】
上述のとおり、両方の第1アームがそれぞれ、油圧式シリンダにより駆動されることができる、又は、第1アームが互いに機械的に連結されることで、第1アームのうちの一方が、アクチュエーター又は油圧式シリンダにより駆動される必要があるのみとなる。
【0052】
第1アームに対する接続要素の旋回はまた、必然的に、具体的には、第1アームの端部に配置されたバラストシリンダの連結部品と、接続要素の連結部分のレセプタクルとの相対運動をもたらす。この相対運動は、様々な方法で打ち消すことができる。
【0053】
取り得る実施形態では、接続要素が、カウンターウェイトベースプレート及び第1アーム又はバラスト装置に面する、カウンターウェイトベースプレートの端部に、それぞれ旋回可能に接続されるベース体を備えていてもよく、旋回体は旋回可能に接合され、バラスト装置の第1アームへの連結を確立できる連結部分を有してもよい。接続要素の傾斜位置を相殺し、それによって、第1アームに対する連結部分の、一定の位置合わせ又は傾斜を確実にするために、旋回体は、好ましくは、水平旋回軸を中心に、ベース体に対して旋回される。具体的には、上述したように、連結部分は、第1アームのバラストシリンダと連結するためのレセプタクルを備える。
【0054】
代替的には、上述したように、レセプタクルと連結部品との間で、丸い形状の、又は、王冠状の接続部を用いて、レセプタクル内での連結部品の摩擦を最小限に抑えることができる。このような設計においては、接続要素に、旋回部品を設ける必要はない。
【0055】
更に取り得る実施形態では、接続要素はそれぞれ、復帰要素、具体的にはバネにより、垂直又は内向きに旋回されたベース位置まで圧縮応力が与えられてもよい。これにより、復帰要素は、カウンターウェイト装置が調整されるときに、接続要素が、復帰要素の復元力に対して、外向きに旋回する、又は「向きを変える」ように、接続要素を内向きに圧縮する。復帰要素は、非常に強力なバネとして、例えば、ディスクバネとして設計することができる。
【0056】
更に取り得る実施形態では、接続要素がカウンターウェイトベースプレートに接続され、垂直方向に対して最大の旋回角度で、両方向に旋回可能でもよい。最大旋回角度又はその量は、好ましくは20°未満(即ち、-20°<α<20°)であり、特に好ましくは、15°未満(即ち、-15°<α<15°)である。本実施形態では、接続要素が突き出る、カウンターウェイトベースプレートに配置された任意の他のカウンターウェイト要素の凹部は、接続要素の上述の旋回移動の間に、凹部の壁と衝突しないように、適宜広げられる必要がある。
【0057】
本発明の更なる特徴、詳細、及び利点が、図面により補助されながら説明される、以下の例示的実施形態から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】本発明の実施形態1に係る移動式クレーンの上部旋回体の斜視図を示す。
【
図2】本発明の実施形態2に係る移動式クレーンの上部旋回体の斜視図を示す。
【
図3】本発明の実施形態3に係る移動式クレーンの上部旋回体の斜視図を示す。
【
図4】カウンターウェイト装置を調整する際の、異なる位置における実施形態3の斜視図を示す。
【
図5】カウンターウェイト装置を調整する際の、異なる位置における実施形態3の斜視図を示す。
【
図6】カウンターウェイト装置を調整する際の、異なる位置における実施形態3の斜視図を示す。
【
図7】カウンターウェイト装置を調整する際の、異なる位置における実施形態3の斜視図を示す。
【
図8】本発明の実施形態4に係る移動式クレーンの上部旋回体の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、本発明の実施形態1に係る移動式クレーン10の上部旋回体14の斜視図を示し、図中、上部旋回体14の鉄骨構造は、ここで関係する構成部品のはっきりとした図形をもたらすために、あらゆるカバーなしでかつブーム(具体的には、入れ子式ブーム)なしで示される。上部旋回体14は、移動式下部走行体(これも図示せず)に、上部旋回体の回転縦軸13を中心に旋回可能に取り付けられる。
【0060】
上部旋回体14の後部において、上部旋回体14は、バラストフレーム22を備えるバラスト装置20を有し、これには、ブームにより持ち上げられる積荷の影響を弱めて、移動式クレーン10が転倒しないようにするために、上部旋回体バラストとしても知られているカウンターウェイト装置50を、取り外し可能に連結可能である。カウンターウェイト装置50は、1つ以上のカウンターウェイトプレートを配置又はスタック可能なカウンターウェイトベースプレート52を備える(明確にするために、本図面ではカウンターウェイトベースプレート52のみを示す)。バラストフレーム22は、ウィンチ24を運搬することができる。
【0061】
ここで論じた例示的実施形態では、バラスト装置20は、カウンターウェイト装置50を、下部走行体の保管エリアからピックアップする又はカウンターウェイト装置50を下部走行体の保管エリアにセットするための、2つの油圧式バラストシリンダ26を備える。カウンターウェイト装置50をバラストフレーム22まで持ち上げた後、これらは互いにボルト固定することができるか、又は、バラストシリンダ26がカウンターウェイト装置50をバラストフレームに押しつけるかの、いずれかとなる。本明細書で示す例示的実施形態にて実現される後者の変形例では、所定の接触圧力に達すると、バラストシリンダ26が油圧遮断され、これによって、カウンターウェイト装置50が上部旋回体14にてしっかりと保持される。バラストシリンダ26は、シリンダジャケット内に交換可能に取り付けられたピストンを備え、下部走行体又はカウンターウェイト装置50の方向に、下向きに突出するピストンロッドを有する。
【0062】
カウンターウェイト装置50を取り付けるために、カウンターウェイト装置50は、下部走行体にスタックされる。上部旋回体14は、カウンターウェイト装置50を介して、そのバラスト装置20と共に回転し、カウンターウェイト装置50に連結し、その後、バラストシリンダ26はカウンターウェイト装置50を上部旋回体14まで引き込み、ここで、カウンターウェイト装置50はクレーン操作中に保持される。
【0063】
カウンターウェイト装置50は、カウンターウェイトベースプレート52から垂直上向きに突出する2つの接続要素70を介して、バラストシリンダ26に連結され、カウンターウェイトベースプレート52から見て外方を向くそれらの上端は、バラストシリンダ26の、格納可能かつ拡張可能な連結部品27に可逆的に連結するための連結部分を有し、これら連結部分は、バラストシリンダ26のピストンロッドの下端に位置する。カウンターウェイトベースプレート52に配置可能な他のカウンターウェイトは、接続要素70が突き出る、対応する凹部を有する。したがって、他のカウンターウェイトは、上からカウンターウェイトベースプレート52に配置され、接続要素70に「差し込ま」れ、具体的には、連結部分を有する接続要素70の端部領域が、上部に突き出る、又は、別の方法で接近可能のままとなる。
【0064】
本明細書で示す例示的実施形態では、接続要素70は、平坦な基本形状を有する薄板構造体として製造され、したがって、接続ソード、又は単にソードと呼ぶこともまた可能である。接続要素70の連結部分は、中央に配置された上方向に開口した形状のレセプタクルであって、クランプ形状のレセプタクル76を備え、レセプタクル76の中で、対応するバラストシリンダ26の、特殊形状(具体的には、キノコ型)の連結部品27が横方向に移動可能である。カウンターウェイト装置50が安全に持ち上げられる最終位置において、連結部品27は、レセプタクル76の中に完全に位置し、その形状によって、連結部品27はレセプタクル76から上向きにスライドすることができないため、バラストシリンダ26を収縮させることにより、カウンターウェイト装置50が能動的に持ち上げら得る。上部旋回体14が、その回転縦軸13を中心に回転することにより、延びたバラストシリンダ26は、接続要素70に連結される。
【0065】
クレーンの運転中に、即ち、バラスト状態にて、上部旋回体の長手方向の軸に沿って(即ち、上部旋回体の回転軸13に対して半径方向に、又は垂直に)、上部旋回体の回転軸13からの、カウンターウェイト装置50の距離を調整することができるように、バラストフレーム22は、本明細書で論じる例示的実施形態の全てにおいて、それぞれがバラストフレーム22に接続され、第1回転縦軸33を中心に旋回する、本明細書で第1アーム31と呼ばれる2つの旋回アームを有する。カウンターウェイト装置50は、旋回可能な第1アーム31により、直接又は間接的にバラスト装置20に連結され、これらは、回転縦軸33を中心に旋回し、カウンターウェイト半径を変化させる。第1アーム31の端部は円軌道に沿って移動するため、更なる、旋回可能な連結要素が本発明に従い設けられ、これらの連結要素は、カウンターウェイトベースプレート52と第1アーム31との間に配置されるとともに、第1アーム31が旋回運動するにもかかわらず、上部旋回体の長手方向の軸に沿った、カウンターウェイト装置50の全体的な直線運動が確実になされるようにする。
【0066】
図1に示す第1例示的実施形態では、この直線運動は、第2アーム32として表される更なる旋回アームが、第1アーム31の各端部に対して関節駆動されるという事実により実現可能となり、第2アーム32は、第2回転縦軸34を中心に旋回するように第1アーム31に接続される。本実施形態では、第2アーム32は、前述の旋回可能な連結要素を表す。バラストシリンダ26は、第2アーム32の自由端に位置し、これにより、カウンターウェイト装置50の接続要素70への連結が可能となる。
【0067】
カウンターウェイト装置50が収縮(上部旋回体の回転軸13の方への運動)するとき、第1アーム31は
図1に示す位置から外向きに旋回する一方で、第2アーム32は同時に内向きに旋回する。2つの第1アーム31は反対の回転方向に旋回し、2つの第2アーム32も反対の回転方向に旋回する。バラストフレーム22の一側において、第1アーム31と第2アーム32とはまた、反対の回転方向に旋回する。このような、各側における、2つの回転縦軸33、34を中心にした2つの逆回転旋回運動の重なりは、バラストシリンダ26の、延いてはカウンターウェイト装置50全体の、全体的な直線運動をもたらす。この運動の間、バラストシリンダ26と接続要素70との接続は常に、荷重がかかったままとなっている。
【0068】
図1に示す例示的実施形態では、両方の第1アーム31はそれぞれ、油圧式調整シリンダ36により旋回できる。調整シリンダ36は、上部旋回体14と第1アーム31の両方に、関節駆動式に接続され、第1アーム31は、この目的のための側方突出型ラグ37(
図2を参照されたい)を有することができ、ラグ37の上に調整シリンダ36が取り付けられる。2つの調整シリンダ36は、油圧式システム及び制御ユニットにより、第1アーム31が同期して、ただし、反対の回転方向に旋回するように、同期して制御される。調整シリンダ36を同期させるために、シグナルを制御ユニットに伝達する、長さセンサなどの好適なセンサを、調整シリンダ36内又は調整シリンダ36の上に設けることができる。
【0069】
原則として、第2アーム32は、自身の調整シリンダを介して、第1アーム31に対してもまた旋回することができ、調整シリンダは、第1及び第2アーム31、32に関節駆動式に接続される。また、ここでも、各第2アーム32の調節シリンダの互いの好適な同期、及び、第1アーム31の調整シリンダ36との好適な同期を、確実に行う必要がある。
【0070】
しかし、
図1の例示的実施形態では、第1アーム31が旋回されるときに、第2アーム32が回転縦軸34を中心に自動的に回転するように、第2アーム32は、第1アーム31に機械的に連結される。この例示的実施形態では、機械的連結は、ギヤ又はチェーン伝達装置により実現される。以下の考察は、バラスト装置20の一側、延いては二対の第1及び第2アーム31、32のうちの一方に関する。
【0071】
第1ギヤホイール41は、第1回転軸33と同一直線上に、回転可能に固定される、即ち、バラストフレーム22に対して移動できないように接合される。第1アーム31が旋回する場合、第1ギヤホイール41は第1アーム31と共に回転しない。第2ギヤホイール42は、第2アーム32の第1アーム31側の端部に回転可能に固定され、第2回転縦軸34と同一直線上に配置される。第2アーム32が第1アーム31に対して回転する場合、第2ギヤホイール42もまた、第1アーム31に対して回転する。2つのギヤホイール41、42は、チェーン43(=接続手段)を介して、共に連結される。調整シリンダ36により、第1アーム31が第1回転縦軸33を中心に旋回されると、第1アーム31はまた、回転可能に固定された第1ギヤホイール41を中心にして旋回する。チェーン43を介する機械的連結により、第1アーム31の、この旋回運動は、第2アーム32を駆動させる。第2アーム32は、第2回転縦軸34を中心にして、第1アーム31に対して反対方向に旋回する。
【0072】
第1ギヤホイール41は、第2ギヤホイール42よりも大きな直径を有し、定義される伝達比をもたらす。その結果、第2アーム32は、第1回転縦軸33を中心とする第1アーム31よりも大きな角速度で、第2回転縦軸34を中心に回転する。バラストシリンダ26の全体の直線運動を達成するために、これが必要である。第1ギヤホイール41をこのように設計することができる、又は、大型ギヤとして設計し、第2ギヤホイール42をピニオンとして設計することができる。
【0073】
第2アーム32の旋回移動は、関連付けられた接続要素70に対する、バラストシリンダ26の回転をもたらす。これは、連結部品27と、レセプタクル76との相対運動をもたらし、この運動は、摩擦の増加に繋がる。これを避けるために、バラストシリンダ26のピストンロッドを、ピストンロッドがその長手方向の軸を中心に回転することができるように、シリンダハウジングに固定することができる。したがって、連結部品27と、レセプタクル76との相対運動が想定されてはならない。しかし、更なる締結要素が存在しない中で、クレーンの運転中に、バラストシリンダ26が、カウンターウェイト装置50をバラスト装置20に押しつける必要がある。この目的のために、十分な接触圧力に達したら、バラストシリンダ26は油圧的に遮断される(固定モード)。バラストシリンダ26のピストンロッドを回転させて、この摩擦に対して、カウンターウェイト半径を調整することを達成するために、バラストシリンダ26は解放されなければ(即ち、油圧式遮断が解放されなければ)ならず、ピストンロッドがわずかに下向きに延び、その後でのみ、新しいカウンターウェイト半径を、このように達した位置において設定することができる(調整モード)。
【0074】
カウンターウェイト装置50により生み出されるカウンタートルクは、センサにより監視することができ、センサは、データを、移動式クレーン10の積荷トルクリミッタに転送する。第1及び第2アーム31、32の少なくとも1つ旋回角度を検出することにより、及び/又は、カウンターウェイト装置50の、上部旋回体14からの距離を直接測定することにより、これを行うことができる。
【0075】
両方の第1アーム31を旋回させるための、2つの同期された調整シリンダ36を用いることに対する代替案としては、単独の調整シリンダ36のみを設けて、2つの第1アーム31を互いに機械的に連結することがあり得る。対応する第2例示的実施形態を、上部旋回体14の斜視図で、
図2に示す。この場合において、2つの第1アーム31は互いに、ギヤ又はチェーン伝達装置により、機械的に連結され、2つの第1アーム31の一方のみが、調整シリンダ36を介して旋回することができ、第1アーム31の他方は自動的に、かつ同期して移動する。
【0076】
図2は、3つの例示的実施形態を示す。2つの調整シリンダ36による調整、及び、チェーン49による調整を示す。チェーン49を、調整シリンダ36の同期手段として用いることもまた、可能である。
【0077】
第1ギヤホイール45は、第1アーム31の1つ(例えば、調整シリンダ36により旋回可能なアーム31)に、回転可能に固定されるように接続され、第1回転縦軸33と同一直線上に配置される。第1及び第2アーム31、32もまた、チェーン伝達装置により互いに連結される、本明細書で示す例示的実施形態では、第1アーム31に回転可能に固定されたギヤホイール45は、上部旋回体14に回転可能に固定されたギヤホイール41の上にかつこれと同一直線上に配置可能であって、静止したギヤホイール41を通って第1アーム31まで、例えば、中空シャフトを介してガイドされ得る。第1アーム31の旋回運動中に、ギヤホイール45は、上部旋回体14に回転可能に固定されたギヤホイール41に対して回転する。
【0078】
第2ギヤホイール46は、他の第1アーム31に、回転可能に固定されるように接続され、また、その第1回転縦軸33及び上部旋回体14に回転可能に固定されて接続されたギヤホイール41と同一直線上に配置される。第2ギヤホイール46は、第1ギヤホイール45の対応物である。
【0079】
第3ギヤホイール47は、第2ギヤホイール46の隣に、上部旋回体14に自由に回転可能に取り付けられ、チェーン49の形態の接続手段により、第1ギヤホイールに連結される。伝達目的のために、第4ギヤホイール48が、第3ギヤホイール47と共に、共通シャフト上に配置され(第3ギヤホイール47は、
図2では、第4ギヤホイール48により隠れている)、第3ギヤホイール47と共に回転する。第4ギヤホイール48は、第3ギヤホイール47よりも大きな直径を有し、第1ギヤホイール45よりも大きな直径を有する第2ギヤホイール46とかみ合う。ここで、第1アーム31が調整シリンダ36により旋回される場合、第1ギヤホイール45もまた回転し、チェーン49による連結によって第3ギヤホイール47もまた回転する。第4ギヤホイール48は、第1ギヤホイール45とは反対方向に、回転可能に固定された他方の第1アーム31に接続された、第2ギヤホイール46を回転させるために用いられるため、両方の第1アーム31が、同じ角速度で反対方向に旋回する。更なるチェーン駆動による、第1及び第2アーム31、32の連結によって、第2アーム32もまた、同期されて旋回する。
【0080】
図2では、2つの第1アーム31を連結するための同期駆動が、よりよい可視化のために、バラストフレーム22の上部に表される。しかし、同期駆動は、異なる場所、例えば、バラストフレーム22の鉄骨構造内、又は、下面に配置されることもまた可能である。これは、第1及び第2アーム31、32を連結するギヤにも当てはまる。
【0081】
調整シリンダ36もまた、異なる位置に配置される、又は、異なる方法で第1アーム31を駆動することができる。別の可能性を
図3に示す(これは、本明細書で示す例示的実施形態全てにおいて考えられる)。ここでは、調整シリンダ36は、関節駆動式に、バラストフレーム22に、及び、連結ホイールとして機能するギヤホイール60に、接続される。(第1ギヤホイール45と、共通シャフト上で連結ホイール60の下に設置されかつできる限り好適な伝達比で第2ギヤホイール46と噛み合うギヤホイールとに接続されたチェーン48を介する本実施形態において)連結ホイール60は、第1アームに回転不可能に接続された、第1及び第2ギヤホイール45、46を駆動する。
【0082】
図2は、チェーン伝達装置により、第1アーム31が互いに機械的に連結される一方で、2つの調整シリンダ36が同時に示されるという、第1アーム31を同期するための、両方の例示的実施形態の1種の組み合わせを示す。しかし、実際には、これら2つの調整メカニズムのうち1つのみが、通常用いられる(即ち、2つの同期された調整シリンダ36、又は、1つの調整シリンダ36及びチェーン伝達装置、のいずれか)。
【0083】
図3~8は、第1アーム31の旋回運動を、上部旋回体の縦軸に平行なカウンターウェイト装置50の直線運動に変換する代替の方法を示す。
【0084】
バラスト装置20に接合されたカウンターウェイト装置50を一望できる
図3の斜視図にて第3例示的実施形態を示す。第2アーム32が設けられず、バラストシリンダ26が第1アーム31の自由端に直接配置されているという点で、この例示的実施形態は、
図1及び
図2におけるものとは異なる。
【0085】
バラストシリンダ26の円運動を相殺させるために、接続要素70は、ここでは、カウンターウェイトベースプレート52に強固に接続されず、水平旋回軸73を中心に旋回可能である。第1アーム31が側方に向かって旋回されると、この間に、バラストシリンダ26と、上部構造体の長手方向の軸との横方向距離が変化するが、傾斜可能に取り付けられた接続要素70がこれらと共に旋回する、又は、側方に向かって適宜移動する。
【0086】
接続要素70のレセプタクル76において、バラストシリンダ26の連結部品27の安定した接続を確実に行うために、接続要素70は、前述した例示的実施形態におけるように、一体化されて形成されておらず、カウンターウェイトベースプレート52に旋回可能に接続されたベース体72を備え、第1アーム31に面するこの一端では、更なる旋回体74が、水平旋回軸75を中心に、旋回可能に取り付けられている。旋回体74は、バラストシリンダ26用の、レセプタクル76との連結部分を有する。
【0087】
一方で、旋回体74は、ベース体72の傾斜運動を相殺し、延いてはレセプタクル76と連結部品27との相対的な旋回運動が確実に生じないこととなる。調整モードで、バラストシリンダ26のピストンロッドを回転可能に支持する、上述した実現性と組み合わせることで、レセプタクル76と連結部品27との、任意の種類の相対運動を防止することすらも可能である。他方、旋回体74は、重力によって、垂直位置に、旋回体74自体が自動的に位置合わせするように、設計することができる。この目的のために、旋回軸75は、旋回体74の重心が旋回軸75の下に位置するように、旋回体74の上部エリアに配置することができる。これにより、バラストシリンダ26の連結部品27は、接続要素70の、垂直に位置合わせされた連結部分と、通常どおりに連結されることができる。
【0088】
図4~7は、最小カウンターウェイト半径から最大カウンターウェイト半径に移動する際の、カウンターウェイト装置50の4つの異なる位置における、
図3の例示的実施形態を示す。
図4では、第1アーム31は、前向きに完全に折り畳まれ、カウンターウェイトベースプレート52は、上部旋回体の回転軸13から最小の距離にある。接続要素70のベース体72は、内向きに(即ち、上部旋回体の長手方向の軸の方向に)旋回される。
【0089】
2つの第1アーム31を側方に旋回させる、又は折り畳むことで、カウンターウェイトベースプレート52は、上部旋回体の回転軸13から、上部旋回体の長手方向の軸に直線にかつ平行に離れる。第1アーム31の旋回運動は、接続要素70のベース体72が、外向き横方向に(即ち、上部旋回体の長手方向の軸から離れて)旋回するという事実により相殺される。ここで、ベース体72また、バラストシリンダ26に接続された旋回体74に対して旋回する。第1アーム31のある特定の旋回角度において、ベース体72は垂直に位置合わせられる(
図5を参照されたい)。
【0090】
第1アーム31の旋回を続けることにより、カウンターウェイトベースプレート52と、上部旋回体の回転軸13との距離が更に増大する。ここで、接続要素70のベース体72は、外向き横方向に旋回して、上部旋回体の長手方向の軸から離れて傾斜する。この位置は
図6に示す。本図において、第1アーム31は、上部旋回体の長手方向の軸に対して垂直にバラストフレーム22から突き出ており、これにより、バラストシリンダ26が、上部旋回体の縦軸から最大距離にあることとなる(これは、ベース体72の、最大の外向き旋回角度に対応する)。
【0091】
第1アーム31が更に遠くまで旋回すると、バラストシリンダ26と上部旋回体の長手方向の軸との距離は再び短くなる。そのため、ベース体72は、場合により、垂直位置を超えても内向きに旋回しなおし、カウンターウェイトベースプレート52の終止位置において、再び内向きに傾斜する(
図7を参照されたい)。
【0092】
ここで、接続要素70の旋回可能なベース体72は、垂直面に対して外向き(
図6を参照されたい)、及び内向き(
図4又は7を参照されたい)の、特定の制限角を想定する、即ち、ベース体72は、規定の角間隔の中で旋回することに留意すべきである。この角間隔は、垂直位置(
図5を参照されたい)に対して、[-20°、20°]よりも小さく、好ましくは[-15°、15°]よりも小さくすることができる。一方で、これは、カウンターウェイトベースプレート52にスタックされた任意のカウンターウェイトプレートが、ベース体72が衝突することなく突き出る、対応する自由空間、又はそれに対応する幅広い凹部に設けられる必要があることを意味する。他方で、水平旋回軸73を中心としたベース体72の旋回運動は、カウンターウェイトベースプレート52の高さオフセット80をもたらす(
図5を参照されたい)。この、高さオフセット80は非常に大きいわけではなく、例えば、数センチメートルの範囲内(例えば、20mm)であるが、持ち上げられることができるカウンターウェイト装置50全体の質量は非常に大きい。得られる1回の仕事量は、調整シリンダ36により加えられる必要があり、そのブームに考慮される必要がある。
【0093】
好ましい実施形態では、旋回可能なベース体72は、バネの荷重がかかっている状態で、ベース位置に押しつけられることができる。これは、例えば、
図4に示すように、内向きに旋回されることができる、又は、
図5に示すように、垂直位置にあることができる。バネは、例えば、ディスクバネとして、対応した強さを有することができる。ベース位置において、レセプタクル76を備える旋回体74は、具体的には、バラストシリンダ26の連結部品27と連結するための接続位置にある。
【0094】
第3の実施形態では、カウンターウェイト装置50をバラストフレーム22に押しつけるバラストシリンダ26が、必要な対象物ともまたなり得る(上記を参照されたい)。
【0095】
加えて、2つの第1アーム31の、チェーン伝達装置による機械的連結の代わりに、2つの、同期して作動される調整シリンダ36もまた、2つの第1アーム31に設けることができる。
【0096】
最後に、
図8の、第4例示的実施形態により、接続要素70と、連結部品27との相対運動を収容する代替方法を示す。ここでは、第1アーム31とカウンターウェイト装置50のみが、概略的にスケッチされている。上で概説したように、連結部品27を備えるバラストシリンダ26のピストンロッドもまた、シリンダスリーブに(少なくとも、1つの調整モードにおいて)回転可能に取り付けられる。この回転自由度は、レセプタクル76と、連結部品27との摩擦接続を軽減する。しかし、第3例示的実施形態とは対照的に、接続要素70がここでは一体に形成され、接続要素70と、連結部品27との旋回運動が、王冠型接続により可能となる。この目的のために、レセプタクル76と連結部品27の両方は、好ましくは、ボールジョイントの様式での接続をもたらす、対応した曲線状又は円形状表面を有する。
【0097】
本発明による解決策において、下部走行体は、先行技術と比較して、カウンターウェイト装置50用の単一の保管装置のみを必要とする。カウンターウェイト半径は、カウンターウェイトのセットアップ時ではなく、クレーンの運転中に調整される。したがって、下部走行体は、この特徴なしで最適に設計することができる。
【符号の説明】
【0098】
10 移動式クレーン
13 上部旋回体の回転軸
14 上部旋回体
20 バラスト装置
22 バラストフレーム
24 ウィンチ
26 バラストシリンダ
27 連結部品
31 第1アーム
32 第2アーム
33 回転縦軸
34 回転縦軸
36 油圧式調整シリンダ(又は、他の直線型駆動装置)
37 ラグ
41 回転可能に固定されたギヤホイール
42 回転可能に固定されたギヤホイール
43 接続手段(チェーン)
45 第1ギヤホイール
46 第2ギヤホイール
47 第3ギヤホイール
48 第4ギヤホイール
49 接続手段(チェーン)
50 カウンターウェイト装置
52 カウンターウェイトベースプレート
60 連結ホイール
70 接続要素
72 ベース体
73 水平旋回軸
74 旋回体
75 水平旋回軸
76 レセプタクル
80 高さオフセット
【手続補正書】
【提出日】2024-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能な下部走行体と、
上部旋回体(14)であって、上部旋回体の回転軸(13)を中心に回転するように前記下部走行体に取り付けられ、バラスト装置(20)を有する上部旋回体(14)と、
カウンターウェイト装置(50)であって、カウンターウェイトベースプレート(52)と、前記カウンターウェイト装置(50)を持ち上げて、前記バラスト装置(20)に連結するための、前記カウンターウェイトベースプレート(52)から延びる少なくとも1つの接続要素(70)と、を備え、前記バラスト装置(20)に連結可能なカウンターウェイト装置(50)と、
を備える移動式クレーン(10)であって、
前記カウンターウェイト装置(50)から前記上部旋回体の回転軸(13)までの距離を、回転縦軸(33)を中心に旋回可能な、前記バラスト装置(20)の少なくとも1つの第1アーム(31)により、バラスト状態で調整することができ、
バラスト状態の前記第1アーム(31)は、旋回可能な連結要素を介して、前記カウンターウェイトベースプレート(52)に接続され、
前記旋回可能な連結要素は、前記第1アーム(31)及び前記連結要素を同時に旋回させることにより、前記カウンターウェイトベースプレート(52)が、前記上部旋回体の回転軸(13)に対して、半径方向の直線運動で調整され得るように、前記第1アーム(31)及び前記カウンターウェイトベースプレート(52)に対して旋回可能に取り付けられる、
ことを特徴とする、移動式クレーン(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の移動式クレーン(10)において、
前記カウンターウェイト装置(50)は、前記カウンターウェイト装置(50)を前記バラスト装置(20)に連結するための、2つの離間した接続要素(70)を備え、
前記バラスト装置(20)は、前記カウンターウェイト装置(50)の、前記上部旋回体の回転軸(13)からの距離を調整するよう同期して旋回可能な、2つの旋回可能な第1アーム(31)を備える、移動式クレーン(10)。
【請求項3】
請求項2に記載の移動式クレーン(10)において、
前記第1アーム(31)は、前記バラスト装置(20)に、具体的には、バラストフレーム(22)に対して横方向に配置されるとともに、前記カウンターウェイト装置(50)の、前記上部旋回体の回転軸(13)からの距離を調整するために、反対方向に旋回可能である、移動式クレーン(10)。
【請求項4】
請求項2に記載の移動式クレーン(10)において、
それぞれの前記第1アーム(31)は、自身の油圧式シリンダ(36)を介して旋回可能であり、
前記油圧式シリンダ(36)は、同期して作動可能である、移動式クレーン(10)。
【請求項5】
請求項2に記載の移動式クレーン(10)において、
前記第1アーム(31)のうちの一方は、油圧式シリンダ(36)を介して旋回可能であり、
前記第1アーム(31)は、前記油圧式シリンダ(36)が作動されるときに、同期して旋回するように、歯車伝達装置により、互いに機械的に連結され、
前記歯車伝達装置は、好ましくは、
前記第1アーム(31)に、回転可能に固定されて接続され、かつ、接続手段(49)、具体的には、チェーンにより、互いに連結されたギヤホイール(45、46)と、
前記ギヤホイール(47、48)の間に接続された、少なくとも1つの更なるギヤホイール(47、48)と、
を備える、移動式クレーン(10)。
【請求項6】
請求項2に記載の移動式クレーン(10)において、
前記バラスト装置(20)は、前記カウンターウェイト装置(50)を、前記下部走行体の保管エリアから持ち上げかつ前記下部走行体の上に配置するように設計され、
少なくとも1つの前記接続要素(70)は、前記カウンターウェイトベースプレート(52)とは反対側の端に、前記バラスト装置(20)との連結を行うことができる連結部分を有する、移動式クレーン(10)。
【請求項7】
請求項6に記載の移動式クレーン(10)において、
前記バラスト装置(20)は、少なくとも1つの前記接続要素(70)の前記連結部分と取り外し可能に係合可能である、少なくとも1つの油圧式のバラストシリンダ(26)を備え、
前記連結部分は、前記バラストシリンダ(26)の連結部品(27)が、具体的には、前記上部旋回体の回転軸(13)を中心に、前記上部旋回体(14)を回転させることにより、格納され得る、レセプタクル(76)を備える、移動式クレーン(10)。
【請求項8】
請求項7に記載の移動式クレーン(10)において、
前記レセプタクル(76)及び前記連結部品(27)の少なくとも一方は、積荷がある状態において、前記レセプタクル(76)内での前記連結部品(27)の関節運動を可能にする、丸い形状の外形を有する、移動式クレーン(10)。
【請求項9】
請求項7に記載の移動式クレーン(10)において、
前記バラストシリンダ(26)は、
シリンダジャケットと、
前記連結部品(27)が位置する自由端にピストンロッドを有し、前記シリンダジャケット内で取り外し可能なピストンと、
を備え、
前記ピストンは、前記ピストンロッドの長手方向の軸を中心に回転可能となるように、前記シリンダジャケットに取り付けられ、
前記バラストシリンダ(26)は、油圧式システムにより作動されることができ、
前記バラストシリンダ(26)及び前記油圧式システムは、バラスト状態において、固定モードでは、前記ピストンロッドが延長及び回転しないように遮断される一方、調整モードでは、前記ピストンロッドが、前記シリンダジャケットに対して、同じ延長位置で回転することができるよう設計され、
前記ピストンロッドは、好ましくは、前記固定モードよりも、前記調整モードにおいて更に延長される、移動式クレーン(10)。
【請求項10】
請求項2に記載の移動式クレーン(10)において、
前記カウンターウェイトベースプレート(52)にスタック可能であり、配置状態で、少なくとも1つの前記接続要素(70)が突出する少なくとも1つの凹部を有する、少なくとも1つの第2カウンターウェイト要素を更に備える、移動式クレーン(10)。
【請求項11】
請求項1に記載の移動式クレーン(10)において、
具体的には、積荷運動制限のために、制御ユニットに伝達される、前記移動式クレーン(10)のバラスト状態を検出するための測定装置を更に備え、
前記測定装置は、好ましくは、少なくとも1つの前記第1アーム(31)の、瞬間的な旋回角度を検出可能な、少なくとも1つのセンサを備える、移動式クレーン(10)。
【請求項12】
請求項1に記載の移動式クレーン(10)において、
回転縦軸(34)を中心に旋回可能となるように、少なくとも1つの前記第1アーム(31)に第2アーム(32)が接続され、
前記カウンターウェイト装置(50)の少なくとも1つの前記接続要素(70)は、具体的には、前記第2アーム(32)に配置されたバラストシリンダ(26)により、少なくとも1つの前記第2アーム(32)に連結可能である、移動式クレーン(10)。
【請求項13】
請求項12に記載の移動式クレーン(10)において、
前記第1及び第2アーム(31、32)は、前記第1アーム(31)が、前記回転縦軸(33)を中心に旋回されるときに、前記第2アーム(32)が、前記第1及び第2アーム(31、32)を互いに接続する回転縦軸(34)を中心に、具体的には、反対方向に、自動で旋回されるように、互いに連結され、
前記第1及び第2アーム(31、32)の旋回角度は、互いに固定された比率となる、移動式クレーン(10)。
【請求項14】
請求項12に記載の移動式クレーン(10)において、
前記第1及び第2アーム(31、32)は、第2油圧式シリンダを介して互いに接続され、
前記上部旋回体(14)に対して前記第1アーム(31)を旋回させる第1油圧式シリンダ(36)と、前記第1アーム(31)に対して前記第2アーム(32)を旋回させる前記第2油圧式シリンダとは、前記第1及び第2アーム(31、32)の角速度が、旋回中に互いに固定された比率となるように、同期されて制御される、移動式クレーン(10)。
【請求項15】
請求項12に記載の移動式クレーン(10)において、
前記上部旋回体(14)に対して前記第1アーム(31)を旋回させる油圧式シリンダが作動されるときに、前記第1及び第2アーム(31、32)が同期して旋回するように、前記第1及び第2アーム(31、32)が、歯車伝達装置により互いに機械的に連結され、
前記歯車伝達装置は、好ましくは、
回転可能に固定されるように前記上部旋回体(14)に接続された第1ギヤホイール(41)と、
回転可能に固定されるように前記第2アーム(32)に接続された第2ギヤホイール(42)と、
を有し、
これらは互いに、接続手段(43)、具体的には、チェーンにより接続されている、移動式クレーン(10)。
【請求項16】
請求項2に記載の移動式クレーン(10)において、
前記カウンターウェイト装置(50)の前記接続要素(70)は、前記カウンターウェイトベースプレート(52)に旋回可能に接続されているとともに、具体的には、前記第1アーム(31)に配置されたバラストシリンダ(26)により、少なくとも1つの前記第1アーム(31)に連結可能である、移動式クレーン(10)。
【請求項17】
請求項16に記載の移動式クレーン(10)において、
前記第1アーム(31)が、前記カウンターウェイト装置(50)から前記上部旋回体の回転軸(13)までの距離を調整するために旋回されるときに、前記第1アーム(31)の円運動を相殺させるために、それぞれの前記接続要素(70)は、前記接続要素(70)が横方向に、具体的には、前記カウンターウェイト装置(50)の運動方向に対して垂直に旋回するように、水平旋回軸(73)を中心に旋回可能に前記カウンターウェイトベースプレート(52)に接続される、移動式クレーン(10)。
【請求項18】
請求項17に記載の移動式クレーン(10)において、
前記接続要素(70)は、前記カウンターウェイトベースプレート(52)に旋回可能に接続されたベース体(72)を備え、
前記接続要素(70)の傾斜位置を相殺するために、前記第1アーム(31)に面する端において、旋回体(74)が、旋回軸(75)、具体的には、水平旋回軸を中心に、旋回可能に接続されており、
前記旋回体(74)は、前記バラスト装置の前記第1アーム(31)への連結を確立することができる連結部分を有する、移動式クレーン(10)。
【請求項19】
請求項17に記載の移動式クレーン(10)において、
前記接続要素(70)はそれぞれ、復帰要素、具体的にはバネにより、垂直の、又は、内向きに旋回された位置まで圧縮応力が与えられる、移動式クレーン(10)。
【請求項20】
請求項17に記載の移動式クレーン(10)において、
前記接続要素(70)は、垂直面に対して最大旋回角度で、両方向に旋回可能となるように、前記カウンターウェイトベースプレート(52)に接続され、
前記最大旋回角度は、好ましくは20°未満、特に好ましくは15°未満である、移動式クレーン(10)。
【外国語明細書】