(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110951
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】カートリッジ及びシステムの健全性を決定するための訓練されたニューラルネットワークモデル
(51)【国際特許分類】
G01N 30/86 20060101AFI20240808BHJP
G01N 30/72 20060101ALI20240808BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20240808BHJP
【FI】
G01N30/86 V
G01N30/72 G
G01N27/62 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014581
(22)【出願日】2024-02-02
(31)【優先権主張番号】63/483,154
(32)【優先日】2023-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】503363806
【氏名又は名称】サーモ フィニガン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Thermo Finnigan LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】エロイ アール.ボウターズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア エー.シルヴェイラ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー シュルツ
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041AA05
2G041CA01
2G041DA05
2G041EA04
2G041GA20
2G041HA01
(57)【要約】
【課題】 試験又は分析用の試料を注入する前に、完全液体クロマトグラフィ質量分析(LC/MS)システムの状態、又は健全性を判定するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】 本明細書に開示されるのは、科学機器支援システム、並びに関連する方法、コンピューティングデバイス、及びコンピュータ可読媒体である。例えば、いくつかの実施形態では、クロマトグラフィ機器支援装置は、撮像デバイスから、クロマトグラフィ機器に関する画像データを受信する第1ロジックと、機械学習計算モデルを通じて撮像デバイスを処理することによって、クロマトグラフィ機器の状態を決定する第2ロジックと、クロマトグラフィ機器の状態を表示する第3ロジックと、を含み得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィ支援装置であって、
撮像デバイスから、クロマトグラフィ機器に関する画像データを受信する第1ロジックと、
機械学習計算モデルを通じて、前記撮像デバイスを処理することにより、前記クロマトグラフィ機器の状態を決定する第2ロジックと、
前記クロマトグラフィ機器の前記状態を表示する第3ロジックと、を含む、クロマトグラフィ支援装置。
【請求項2】
前記機械学習計算モデルが、関数データ解析(FDA)に基づいて、前記クロマトグラフィ機器の挙動の質的変化を決定する、請求項1に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項3】
前記FDAが、フレシェ距離、動的時間伸縮(DTW)距離、又は相互相関から決定されるユークリッド距離を採用する、請求項2に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項4】
前記クロマトグラフィ機器の前記状態には、前記クロマトグラフィ機器の清浄度が含まれる、請求項1に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項5】
前記クロマトグラフィ機器の前記状態には、溶媒イオン信号の分布の集合を含む前記クロマトグラフィ機器の健全性が含まれる、請求項1に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項6】
前記クロマトグラフィ機器が質量分析計入口を含む、請求項1に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項7】
前記クロマトグラフィ機器が、エレクトロスプレーエミッタ及びクロマトグラフィカラムを含む、請求項6に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項8】
前記エレクトロスプレーエミッタが、エレクトロスプレープルームを放射するように構成され、前記質量分析計入口は、前記エレクトロスプレープルームをサンプリングするように構成されている、請求項7に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項9】
前記クロマトグラフィ機器が、前記質量分析計入口を取り囲む環状領域を有するスイープキャップを含む、請求項7に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項10】
前記クロマトグラフィ機器の前記状態には、前記スイープキャップの種類又は前記エレクトロスプレーエミッタの種類が含まれる、請求項9に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項11】
前記環状領域は、ガスの逆流を提供するように構成されている、請求項9に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項12】
前記機械学習計算モデルが訓練されたニューラルネットワークを含む、請求項1に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項13】
前記機械学習計算モデルが訓練されたフィードフォワードニューラルネットワークを含む、請求項12に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項14】
前記撮像デバイスがカメラを含む、請求項1に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項15】
クロマトグラフィ支援装置であって、
機械学習計算モデルを訓練するコマンドを受信する第1ロジックであって、前記コマンドには、前記機械学習計算モデルを訓練するための複数の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットの識別が含まれる、第1ロジックと、
前記複数の画像データセット、又は前記診断と前記トレンディングデータセットに基づいて前記機械学習計算モデルを初期訓練する第2ロジックであって、前記機械学習計算モデルはクロマトグラフィ機器の状態を出力するものである、第2ロジックと、
初期訓練後、後続の画像データセット、又は前記診断と前記トレンディングデータセットに適用する前記機械学習計算モデルを選択するオプションを提供する第3ロジックとを含む、クロマトグラフィ支援装置。
【請求項16】
前記機械学習計算モデルが、第1機械学習計算モデルであり、前記第1ロジックは、第2機械学習計算モデルを訓練するコマンドを受信するようになっており、前記コマンドは、前記第2機械学習計算モデルを訓練するための複数の画像データセット、又は前記診断と前記トレンディングデータセットの識別を含む、請求項15に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項17】
クロマトグラフィ支援装置であって、
クロマトグラフィ機器の動作中に収集された前記クロマトグラフィ機器に関する診断とトレンディングデータを受信する第1ロジックと、
機械学習計算モデルを通じて前記診断と前記トレンディングデータを処理することにより、前記クロマトグラフィ機器の状態を決定する第2ロジックと、
前記クロマトグラフィ機器の前記状態を表示する第3ロジックと、を含む、クロマトグラフィ支援装置。
【請求項18】
前記クロマトグラフィ機器の前記状態には、前記クロマトグラフィ機器の健全性が含まれる、請求項17に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項19】
前記クロマトグラフィ機器の前記状態が、検体のピーク幅、保持時間の安定性、ピーク領域、又は検体に対する他の信号のキャリーオーバに基づいて決定される、請求項17に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【請求項20】
前記クロマトグラフィ機器の前記状態に基づいて、前記クロマトグラフィ機器の動作を停止させる第4ロジックも更に含む、請求項17に記載のクロマトグラフィ支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2023年2月3日付けで出願された米国仮特許出願第63/483、154号の通常出願であり、これに対する優先権を主張し、その内容は参照により本明細書で援用される。
【背景技術】
【0002】
科学機器は、可動構成要素、センサ、入力と出力ポート、エネルギー源、並びに消耗品構成要素の複雑な配置を含み得る。この配置の一部に不具合又は変化が生じると、意図した機能を発揮できない「ダウン」した機器になる恐れがある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、試験又は分析用の試料を注入する前に、完全液体クロマトグラフィ質量分析(LC/MS)システムの状態、又は健全性を判定するシステム及び方法を提供する。
【0004】
一実施形態では、本開示は、クロマトグラフィ支援装置を提供しており、この装置は、撮像デバイスから、クロマトグラフィ機器に関する画像データを受信する第1ロジックと、機械学習計算モデルを通じて上記撮像デバイスを処理することにより、上記クロマトグラフィ機器の状態を決定する第2ロジックと、クロマトグラフィ機器の状態を表示する第3ロジックと、を含む。
【0005】
別の実施形態では、本開示は、第1ロジック、第2ロジック、及び第3ロジックを含む、クロマトグラフィ支援装置を提供する。第1ロジックは、機械学習計算モデルを訓練するコマンドを受信するようになっており、上記コマンドには、機械学習計算モデルを訓練するための複数の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットの識別が含まれる。第2ロジックは、複数の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットに基づいて機械学習計算モデルを初期訓練するものであり、機械学習計算モデルはクロマトグラフィ機器の状態を出力するものである。第3ロジックは、初期訓練後、後続の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットに適用する機械学習計算モデルを選択するオプションを提供するものである。
【0006】
更に別の実施形態では、本開示は、第1ロジック、第2ロジック、及び第3ロジックを含む、クロマトグラフィ支援装置を提供する。第1ロジックは、クロマトグラフィ機器の動作中に収集されたクロマトグラフィ機器に関する診断とトレンディングデータを受信するものである。第2ロジックは、機械学習計算モデルを通じて診断とトレンディングデータを処理することによりクロマトグラフィ機器の状態を決定するものである。第3ロジックは、クロマトグラフィ機器の状態を表示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
実施形態は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明によって容易に理解されるであろう。この説明を容易にするために、同様の参照番号は同様の構造要素を指している。実施形態は、限定としてではなく例として、添付の図面の図に例解されている。
【
図1】様々な実施形態に係る、クロマトグラフィ機器の状態を決定するための、一例示のクロマトグラフィ機器支援モジュールのブロック図である。
【
図2A】様々な実施形態に係る、画像データに基づいてクロマトグラフィ機器の状態を決定する、一例示の方法の流れ図である。
【
図2B】様々な実施形態に係る、クロマトグラフィ機器の状態を決定するための機械学習計算モデルを生成及び選択する、一例示の方法の流れ図である。
【
図2C】様々な実施形態に係る、診断とトレンディングデータに基づいてクロマトグラフィ機器の状態を決定する、一例示の方法の流れ図である。
【
図3A】記載のシステム内で採用可能な、質量分析計入口を含む様々な機器を示す図である。
【
図3B】記載のシステム内で採用可能な、質量分析計入口を含む様々な機器を示す図である。
【
図4A】電圧が上昇するにつれて、コーンジェットプルームに変換する、一部がスピンドル型のエレクトロスプレープルームをそれぞれ示す図である。
【
図4B】電圧が上昇するにつれて、コーンジェットプルームに変換する、一部がスピンドル型のエレクトロスプレープルームをそれぞれ示す図である。
【
図4C】電圧が上昇するにつれて、コーンジェットプルームに変換する、一部がスピンドル型のエレクトロスプレープルームをそれぞれ示す図である。
【
図4D】ポストカラムユニオンから出るスプレー電流を印加電圧の関数としてプロットしたグラフを示す図である。
【
図5A】エレクトロスプレーエミッタの健全性を特徴付け、決定するために採用可能な、電流-電圧特性曲線(I-V曲線)及びその導関数のグラフをそれぞれ示す図である。
【
図5B】エレクトロスプレーエミッタの健全性を特徴付け、決定するために採用可能な、電流-電圧特性曲線(I-V曲線)及びその導関数のグラフをそれぞれ示す図である。
【
図6A】カートリッジの注入回数の関数としてプロットされた開始電圧を示すグラフである。
【
図6B】カートリッジの注入回数の関数としてプロットされた開始電圧を示すグラフである。
【
図6C】カートリッジの注入回数の関数としてプロットされた開始電圧を示すグラフである。
【
図6D】カートリッジの注入回数の関数としてプロットされた開始電圧を示すグラフである。
【
図6E】外側表面の堆積物が目視で分かるように除去される前と後のエミッタを示す図である。
【
図6F】外側表面の堆積物が目視で分かるように除去される前と後のエミッタを示す図である。
【
図7A】エレクトロスプレーエミッタをそれぞれ示す図である。
【
図7B】エレクトロスプレーエミッタをそれぞれ示す図である。
【
図8A】カートリッジ性能に影響を与える要因の線形回帰分析による相関係数を示すヒートマップである。
【
図8B】エミッタの早期劣化と性能低下を招く条件を示すグラフである。
【
図8C】エミッタの早期劣化と性能低下を招く条件を示すグラフである。
【
図8D】エミッタの早期劣化と性能低下を招く条件を示すグラフである。
【
図8E】エミッタの早期劣化と性能低下を招く条件を示すグラフである。
【
図8F】エミッタの早期劣化と性能低下を招く条件を示すグラフである。
【
図8G】エミッタの早期劣化と性能低下を招く条件を示すグラフである。
【
図9】保持時間の関数としての総イオン電流(TIC)を示すグラフである。
【
図10】勾配中のTICの不安定性を検出する、スプレー電流の一例を示すグラフである。
【
図11】保持時間の関数としてのスプレー電流を示すグラフである。
【
図12】保持時間の関数としての背圧の傾向を示すグラフである。
【
図13】様々な実施形態に係る、本明細書で開示される支援法の一部又はすべての実施に使用され得る、グラフィカルユーザインターフェイスの一例を示す図である。
【
図14】様々な実施形態に係る、本明細書で開示される科学機器支援法の一部又はすべてを実施可能とする、一例示のコンピューティングデバイスのブロック図である。
【
図15】様々な実施形態に係る、本明細書で開示される科学機器支援方法の一部又はすべて一部又はすべてを実行可能とする、一例示の科学機器支援システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に開示されるのは、科学機器支援システム、並びに関連する方法、コンピューティングデバイス、及びコンピュータ可読媒体である。例えば、いくつかの実施形態では、クロマトグラフィ機器支援装置は、撮像デバイスから、クロマトグラフィ機器に関する画像データを受信する第1ロジックと、機械学習計算モデルを通じて撮像デバイスを処理することによって、クロマトグラフィ機器の状態を決定する第2ロジックと、クロマトグラフィ機器の状態を表示する第3ロジックと、を含み得る。
【0009】
本明細書に開示される科学機器支援の実施形態は、従来のアプローチに対して改善された性能を達成し得る。以下で更に詳述するように、顧客の観点からの液体クロマトグラフィ質量分析(LC/MS)システムの最大の要件は、試料分析を確実に実行すること、そして機器に異常が発生した場合でも、貴重で代替のきかない試料を無駄にしないことである。したがって、試料注入前にLC/MSシステム全体の状態、又は健全性を決定するシステムと方法が必要である。いくつかの実施形態では、LC/MSシステムの要素には、クロマトグラフィカラム、及びエレクトロスプレーエミッタが含まれる。いくつかの実施形態において、記載の液体クロマトグラフィシステムは、液体クロマトグラフ及び質量分析計を使用して、これらの要素の状態を決定し、ユーザに報告する。
【0010】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィカラム、及びエレクトロスプレーエミッタは、「パックチップ」を形成するように組み合わせられるか、又はカートリッジ内で同位置に設置される。いくつかの実施形態では、カートリッジは、それぞれのクロマトグラフィカラムを加熱するように構成されている。いくつかの実施形態では、液体の流量は、毎分数十ナノリットル~毎分数十ミリリットルである。いくつかの実施形態では、エレクトロスプレーエミッタは、金属コーティングの有無にかかわらず、金属又はガラス(例えば、石英ガラス)である。
【0011】
いくつかの実施形態では、クロマトグラフィカラムとエレクトロスプレーエミッタ(又は、両方を含むカートリッジ)は、寿命に限りがある消耗品である(例えば、数百回の試料注入)。いくつかの実施形態では、液体クロマトグラフィシステムには、寿命に限りのある(例えば、数ヶ月~1年以上)シールが含まれており、予防保守が必要となっている。いくつかの実施形態では、質量分析計は定期的なクリーニングが必要であり、その頻度は分析する試料の種類によって異なる。
【0012】
したがって、本明細書で開示のクロマトグラフィ機器支援の実施形態は、システムがなお有意義な結果を生成できるかどうかを確立するために、前回の注入から収集されたデータを処理するために使用されるフィードフォワードニューラルネットワークによるディープラーニング技術を含み得る。いくつかの実施形態では、記載の液体クロマトグラフィシステムは、システム内の特定要素に基づく結果だけでなく、訓練されたモデルを通じて処理された収集データの総合的な見解も決定する。したがって、本明細書で開示の実施形態は、科学機器技術に改善を提供する(例えば、とりわけ、かかる科学機器を支援するコンピュータ技術の改善など)。
【0013】
いくつかの実施形態では、記載のシステムでは、LC/MSシステムが意図したとおりに動作しているかどうかを、短縮グラジエントプログラムで確定するために、サンプルランの間に特定の校正混合物(例えば、Pierce(TM)保持時間校正(PRTC)混合物)を注入する。いくつかの実施形態では、このシステムは、試料注入間のカラム背圧の一貫性、スプレー電流、保持時間の安定性、ピーク領域、及びある特定の既知のMS信号のピーク幅などの測定基準を提供する。いくつかの実施形態において、提供された指標には、キャリーオーバの評価で使用される、PRTCに対する存在量、又は他の未知の種が含まれる。
【0014】
いくつかの実施形態では、記載のシステムは、LCがアイソクラティックフローをポンピングしている間、ある特定の溶媒イオンのMS信号の変動を決定する。いくつかの実施形態では、記載のシステムは、LCポンプ背圧トレースを監視することによって、クロマトグラフィカラムの健全性を決定する。いくつかの実施形態では、一連の試料分析全体にわたるLCポンプ背圧モニタリングに加えて、記載のシステムは、クロマトグラフィのピーク形状(例えば、幅、非対称性)、ピーク保持時間、カラム(例えば、カートリッジ)の温度精度と安定性などをモニタリングすることによりクロマトグラフィカラムの健全性を決定する。エミッタの視点から、カメラを介した連続的なエミッタイメージングにより、システムは使用中のエミッタの物理的変化を監視することもできる。いくつかの実施形態では、このシステムはまた、クロマトグラフィグラジエントにわたって、経時にわたり電流と電圧との関係も監視する。
【0015】
いくつかの実施形態では、記載のシステムは、機械学習(例えば、訓練されたニューラルネットワークを介して)を採用して、フレシェ距離、動的時間伸縮(dynamic time warping、DTW)距離、相互相関から推定されるユークリッド距離の統計的検定などの関数データ解析(functional data analysis、FDA)法を使用して、挙動の質的変化を決定する。いくつかの実施形態では、記載のシステムは、カルマンフィルタリング、外挿法、又は関連技術を使用して、クロマトグラフィカラムが寿命に近づいている時期を決定するために、カーブの顕著な点における背圧の決定論的増加を追跡する。
【0016】
いくつかの実施形態では、記載のシステムは、(例えば、定期的な時間間隔で、又は顧客の使用の許容に応じて)エレクトロスプレーエミッタの健全性を決定し、これは、溶媒イオン信号の分布の収集を含み得、(例えば、標準的なフロー及びスプレー条件下で)例えばカートリッジメモリに情報を記録することも含み得る。いくつかの実施形態では、例えば、分布の同一性に関するコルモゴロフ検定、又は変化点/ブレークポイント分析を使用して、変化についてこれらの分布を監視する。いくつかの実施形態では、こうしたデータの元々の時系列が維持されている場合、自己相関とパワースペクトルを監視し、噴霧不安定性のフラッタリング、又は準周期モードの進行を検出する。一般に、エレクトロスプレーエミッタの健全性とは、システムの物理的な状態、又は条件を称する。消耗品(例えば、エレクトロスプレーエミッタ)の健全性は、その使用の関数であり、一般に経時にわたり劣化すると予想される。一般に、「良好な健全性」とは、分析に適しており、機能障害がない状態を称する。
【0017】
いくつかの実施形態では、記載のシステムは、印加電圧のセット又は範囲、あるいは所与の移動相組成について、エレクトロスプレー電流を測定することにより、エレクトロスプレーエミッタの健全性を確定する。いくつかの実施形態では、これらの値から、スロープを計算する。いくつかの実施形態では、このスロープは、電圧が印加される液体金属接合部から、液滴が形成されるエミッタ先端部までの流体経路(及び含まれる溶媒)の抵抗の逆数を表している。あるいは、いくつかの実施形態において、エレクトロスプレー電流の開始は、これらの値から確立される。いくつかの実施形態では、記載のシステムは、こうした派生パラメータがエレクトロスプレーエミッタの寿命にわたって変化する際、これらのパラメータを監視し、生成された関連質量分析データがもたらす結果があまり意味を持たなくなる、カットオフを確定する。
【0018】
記載のシステムが異なる挙動のエレクトロスプレーを区別できることを実証するために、噴霧ガスの使用にかかわらず、4つの異なる石英ガラスエレクトロスプレーエミッタのデータを取得した。注目すべきは、4つのエレクトロスプレーエミッタの1つが先端で僅かに破損していたことである。液滴の大きさ(ひいては、感度)が、先端の外側表面を濡らす液体によって決定されるので、この先端ではエレクトロスプレーの性能に違いが出ることが予想される。このエレクトロスプレーエミッタは、立ち上がり曲線と立ち下がり曲線に大きなヒステリシス効果を示し、さらに、エレクトロスプレープロセスを始動させるための更なる電圧を必要とした。これらの結果は、記載のシステムが、エミッタ、及び/又はカートリッジの健全性を評価するために使用され得る、噴霧挙動の変化に対する十分な感度があることを実証している。
【0019】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面が参照され、同様の数字は全体を通して同様の部分を指定し、例解として、実施され得る実施形態が示される。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、構造的又は論理的変更が行われ得ることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0020】
様々な動作は、本明細書に開示される主題を理解するのに最も役立つように、複数の別個のアクション又は動作として順に説明され得る。しかしながら、説明の順序は、これらの動作が必然的に順序に依存することを示唆するものとして解釈されるべきではない。具体的には、これらの動作は、提示の順序で実施されない場合がある。説明される動作は、説明される実施形態とは異なる順序で実施され得る。様々な追加の動作が実施され得、及び/又は説明された動作が追加の実施形態において省略され得る。
【0021】
本開示の目的のために、「A及び/又はB」及び「A又はB」という語句は、(A)、(B)、又は(A及びB)を意味する。本開示の目的のために、「A、B、及び/又はC」及び「A、B、又はC」という語句は、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)、又は(A、B、及びC)を意味する。いくつかの要素は単数形(例えば、「処理デバイス」)で言及され得るが、任意の適切な要素は、その要素の複数のインスタンスによって表され得、逆もまた同様である。例えば、処理デバイスによって実施されるものとして説明された動作のセットは、異なる処理デバイスによって実施される動作のうちの異なるものを用いて実装され得る。
【0022】
本説明は、「ある実施形態」、「様々な実施形態」、及び「いくつかの実施形態」という句を使用し、それらの各々は、同じ又は異なる実施形態のうちの1つ以上を指し得る。更に、本開示の実施形態に関して使用される「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などの用語は、同義である。寸法の範囲を説明するために使用されるときに、「XとYとの間」という句は、XとYとを含む範囲を表す。本明細書で使用される場合、「装置」は、任意の個々のデバイス、デバイスの集合体、デバイスの一部、又はデバイスの一部の集合体を指し得る。図面は、必ずしも縮尺どおりではない。
【0023】
図1は、様々な実施形態に係る、支援動作を実施するための科学機器支援モジュール1000のブロック図である。科学機器支援モジュール1000は、プログラムされたコンピューティングデバイスなどの回路(例えば、電気的及び/又は光学的構成要素を含む)によって実装され得る。科学機器支援モジュール1000のロジックは、単一のコンピューティングデバイスに含まれてもよく、又は必要に応じて互いに通信する複数のコンピューティングデバイスにわたって分散されてもよい。単独、又は組み合わせて、科学機器支援モジュール1000を実装し得るコンピューティングデバイスの例は、
図14のコンピューティングデバイス4000を参照しながら本明細書で検討され、さらに、科学機器支援モジュール1000がコンピューティングデバイスの1つ以上にわたって実装され得る相互接続されたコンピューティングデバイスのシステムの例は、
図15の科学機器支援システム5000を参照して本明細書で検討される。
【0024】
クロマトグラフィ機器支援モジュール1000は、判定ロジック1002、訓練ロジック1004、モデル選択ロジック1006、及び表示ロジック1008を含み得る。本明細書で使用される場合、「ロジック」という用語は、ロジックと関連付けられた動作のセットを実施する装置を含み得る。例えば、支援モジュール1000に含まれるロジック要素のいずれかは、コンピューティングデバイスの1つ以上の処理デバイスに関連付けられた動作のセットを実施させる命令でプログラムされた、1つ以上のコンピューティングデバイスによって実装され得る。特定の実施形態では、ロジック要素は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体を含み得、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体は、1つ以上のコンピューティングデバイスの1つ以上の処理デバイスによって実行されるときに、1つ以上のコンピューティングデバイスに、関連付けられた動作のセットを実施させる命令を有する。本明細書で使用される場合、「モジュール」という用語は、モジュールに関連付けられた1つ以上の機能を一緒に実行する1つ以上のロジック要素の集合を指し得る。モジュール内のロジック要素のうちの異なるものは、同じ形態をとり得るか、又は異なる形態をとり得る。例えば、モジュール内のいくつかのロジックは、プログラムされた汎用処理デバイスによって実装され得、モジュール内の他のロジックは、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)によって実装され得る。別の実施例では、モジュール内のロジック要素のうちの異なるものは、1つ以上の処理デバイスによって実行される、異なる命令のセットと関連付けられ得る。モジュールは、関連する図面に描写されたロジック要素のすべてを含まない場合があり、例えば、モジュールは、そのモジュールが、そのモジュールを参照して本明細書で考察される動作のサブセットを実行するとき、関連する図面に描写されるロジック要素のサブセットを含み得る。
【0025】
判定ロジック1002は、クロマトグラフィ機器の状態を判定するように構成されてもよい。クロマトグラフィ機器の状態は、本明細書で検討するクロマトグラフィ機器のいずれかなど、クロマトグラフィ機器に関する画像データ、又は診断とトレンディングデータに基づいて、決定され得る。例えば、クロマトグラフィ機器は、とりわけ、質量分析計、液体クロマトグラフ、供給源、及びカートリッジを含み得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、判定ロジック1002は、訓練されたニューラルネットワークを使用してクロマトグラフィ機器の状態を判定する。上述のとおり、判定ロジック1002は、クロマトグラフィ機器の状態を出力し、さらに、個人又は機関により提供されたデータに基づいて訓練され、ピーク及びベースラインの識別に関する当該個人又は機関の嗜好を反映する機械学習計算モデルを含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態において、機械学習計算モデルは、クロマトグラフィ機器に関する画像データ、又は診断とトレンディングデータを入力として受信し、クロマトグラフィ機器の状態を出力する、ニューラルネットワーク計算モデルであり得る。機械学習計算モデルのアーキテクチャは、ニューラルネットワークモデル(例えば、畳み込みニューラルネットワークモデル)など、複数の形態のいずれかを取ることができる。例えば、判定ロジック1002は、U-NET畳み込みニューラルネットワークと同様のアーキテクチャを含むが、U-NETの二次元畳み込み(二次元入力画像に好適である)が一次元畳み込み(一次元入力クロマトグラムデータ配列に好適である)に置き換えられた機械学習計算モデルを含み得る。異なるカーネルサイズ(例えば、3~20のカーネルサイズ)及びブロック数(例えば、U-NETアーキテクチャの「U」の下降部分における4つのブロック)は、好適に使用及び/又は調整され得る。訓練ロジック1004を参照することで、判定ロジック1002に含まれる機械学習計算モデルの訓練について、以下で更に検討する。
【0028】
判定ロジック1002によって使用される機械学習計算モデルを最初に訓練し(例えば、手動、又は他の方法で生成されたクロマトグラフィ機器に関する画像データセット、若しくは診断とトレンディングデータセットを含む、一連の訓練データに対して)、更なる画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットを受信すると、機械学習計算モデルを再訓練するように、訓練ロジック1004は構成され得る。機械学習計算モデル用の任意の好適な訓練技術は、好適な損失関数を使用する勾配降下プロセスなどの訓練ロジック1004によって実装され得る。いくつかの実施形態では、機械学習計算モデルを再訓練するために、訓練ロジック1004は、ドロップアウト又は他の正則化法を採用することができ、検証及び再訓練プロセスの停止時期の評価で使用するために、訓練データの一部を留保することができる。訓練ロジック1004は、定期的な時系列スケジュールで(例えば、毎週)、ある特定数の確認済み画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットが蓄積された後(例えば、20)に、任意の他の好適なスケジュールに従って、あるいはユーザからのコマンドで(例えば、
図13のGUI3000などのGUIを介して受信された)、かかる再訓練を実行できる。いくつかの実施形態では、機械学習計算モデルの再訓練用の訓練データには、画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットを含む、ネットワーク共通データフォーマット(NetCDF)ファイルと、画像データセット、又は診断とトレンディングデータセット102に関する情報を含む、プレーン・テキスト・ファイルを含み得る。
【0029】
モデル選択ロジック1006は、クロマトグラフィ機器の状態を決定するために、判定ロジック1002によって選択的に利用可能な複数の機械学習計算モデルを提供するように構成されてもよい。例えば、ある機械学習計算モデルは、FDA法を使用して挙動の質的変化を分析するために訓練され、別の機械学習計算モデルは、検体のピーク幅、保持時間の安定性、ピーク領域、又は検体に対する他のシグナルを分析するために訓練され得る(したがって、様々な機械学習計算モデルは、異なる訓練データセットで訓練可能である)。表示ロジック1008は、GUI(
図13のGUI3000など)を通じて、モデル選択ロジック1006によって利用できるようになった、記憶された機械学習計算モデル(例えば、異なる名前で識別される)のセットから、特定のクロマトグラフィ機器で使用したいと思う機械学習計算モデルを選択するオプションをユーザに提供可能であり、さらに、選択された機械学習計算モデルは、判定ロジック1002によって、クロマトグラフィ機器の状態を判定する一環として使用され得る。さらに、モデル選択ロジック1006は、GUI(
図13のGUI3000など)を通じて、新しい機械学習計算モデルを作成するオプションをユーザに提供することもできる。モデル選択ロジック1006は、新しい機械学習計算モデルの名前又は他の識別子を入力し、さらに、新しい機械学習計算モデルを訓練するために使用可能なデータを指定するよう、ユーザに求めることができる。いくつかの実施形態において、モデル選択ロジック1006は、新たな機械学習計算モデルの訓練を進める前に、閾値量の学習データを必要とする場合があり、一度訓練されると、新たな機械学習計算モデルは、モデル選択ロジック1006を介して、選択用に利用可能となり得る。
【0030】
図2A~
図2Cはそれぞれ、様々な実施形態に係る、支援動作を実行するそれぞれの方法2000、2100、及び2200の流れ図を示す。方法2000、2100、及び2200の動作は、本明細書で開示される特定実施形態(例えば、
図1を参照しながら、本明細書で検討される科学機器支援モジュール1000、
図13を参照しながら、本明細書で検討されるGUI3000、
図14を参照しながら、本明細書で検討されるコンピューティングデバイス4000、及び/又は
図15を参照しながら、本明細書で検討される科学機器支援システム5000)を参照しながら説明することがあるが、方法2000、2100、及び2200は、任意の適切な支援動作を実行するために、任意の適切な設定で使用することができる。動作は、
図2A~
図2Cにおいてそれぞれ1度ずつ特定の順序で示されているが、動作は、所望に応じて、かつ適切に並べ替えられ、かつ/又は、繰り返して実行できる(例えば、実行される様々な動作は、適宜、並行して実行されてもよい)。
【0031】
方法2000では、2002において、第1動作を実行できる。例えば、支援モジュール1000は、(例えば、
図1には示されていない受信ロジックを介して)2002の動作を実行できる。第1動作は、撮像デバイスから、クロマトグラフィ機器に関する画像データを受信することを含み得る。
【0032】
2004において、第2動作を実行できる。例えば、支援モジュール1000の判定ロジック1002は、2004の動作を実行可能である。第2動作は、機械学習計算モデルを通じて、撮像デバイスを処理することによって、クロマトグラフィ機器の状態を判定することを含み得る。
【0033】
2006において、第3動作を実行できる。例えば、支援モジュール1000の表示ロジック1008が、2006の動作を実行可能である。第3動作は、クロマトグラフィ機器の状態を表示することを含み得る。
【0034】
方法2100では、2102において、第1動作を実行できる。例えば、支援モジュール1000の受信ロジック(上述)は2102の動作を実行可能である。第1動作は、機械学習計算モデルを訓練するコマンドを受信することを含み得る。いくつかの実施形態では、このコマンドは、機械学習計算モデルを訓練するための複数の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットの識別を含む。
【0035】
2104において、第2動作を実行できる。例えば、支援モジュール1000の訓練ロジック1004が、2104の動作を実行できる。第2動作は、複数の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットに基づいて、機械学習計算モデルを最初に訓練することを含み得る。いくつかの実施形態では、機械学習計算モデルは、クロマトグラフィ機器の状態を出力するものである。
【0036】
2106において、第3動作を実行できる。例えば、支援モジュール1000の選択ロジック1006が、2106の動作を実行できる。第3動作は、初期訓練後、後続の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットに適用する機械学習計算モデルを選択するオプションを提供することを含み得る。
【0037】
方法2200では、2202において、第1動作を実行できる。例えば、支援モジュール1000の受信ロジック(上述)は2202の動作を実行可能である。第1動作は、クロマトグラフィ機器の動作中に収集されたクロマトグラフィ機器に関する診断とトレンディングデータを受信することを含み得る。
【0038】
2204において、第2動作を実行できる。例えば、支援モジュール1000の判定ロジック1002は、2204の動作を実行可能である。第2動作は、機械学習計算モデルを通じて診断とトレンディングデータを処理することによりクロマトグラフィ機器の状態を決定することを含み得る。
【0039】
2206において、第3動作を実行できる。例えば、支援モジュール1000の表示ロジック1008が、2206の動作を実行可能である。第3動作は、クロマトグラフィ機器の状態を表示することを含み得る。
【0040】
図3A及び
図3Bは、記載のシステム内で採用可能な、質量分析計入口を含む様々な機器を示す。
図3Aは、質量分析計入口306によってサンプリングされているデュアル式スピンドル・エレクトロスプレー・プルーム304を放出するエレクトロスプレーエミッタ302を示す。
図3Bは、エレクトロスプレーエミッタ312と、質量分析計入口318を取り囲む環状領域316を備えるスイープキャップ314の装置と、を示す。いくつかの実施形態において、環状領域314は、ガスの対向流を供給するために使用される。いくつかの実施形態では、記載のシステムは、訓練された状態モデルを通して、撮像デバイス(例えば、カメラ)から受信した画像データを処理して、機器の状態を決定する。この状態情報には、例えば、機器の構成/種類(例えば、スイープキャップの種類)、又は健全性/清浄度が含まれてもよい。いくつかの実施形態では、決定された状態情報は、GUI3000(
図13)を介してユーザに提供される。
【0041】
図4A~
図4Cはそれぞれ、電圧が上昇するにつれて、コーンジェットプルームに変換する、一部がスピンドル型のエレクトロスプレープルームを示す。
図4Dは、ポストカラムユニオンから出るスプレー電流を印加電圧の関数としてプロットしたグラフを示す。図示のように、約1000Vでのスロープの変化は、滴下からスプレーへの移行によるものであるのに対し、約2000Vでのスロープの変化は、部分的なスピンドルからコーンジェットへの移行によるものである。図示のスロープは、液体接合部からの流体経路(エレクトロスプレーエミッタの上流から実際の先端まで)の抵抗を反映している。いくつかの実施形態では、このシステムは、訓練された状態モデルを通じてこのスプレーデータを処理し、エミッタの健全性(例えば、摩耗)を決定する。
【0042】
図5Aは、シースガス流量約0.5L/分で取得された、100、及び500の累積1μg HeLa注入オンカラムにおける、内径15μmのテーパ付きチップエミッタのI-V曲線の立ち下がりを示すグラフである。参考のために、内径が10μmのテーパ付きチップエミッタも示されている。シースガスを使用すると、測定されたスロープは、主にエミッタ本体に含まれる流体経路の抵抗率となる。図示されたすべての場合において、図示されたすべての場合において、溶液組成は水中でアセトニトリル2%、ギ酸0.1%であった。内径15μmのエミッタでは、
図5Bの微分プロットにおいて、2つの異なる領域が観察された。カートリッジの使用年数に応じて、より高い電圧要件への移行(先端の液体の表面張力を破壊するのに必要な電圧の上昇を示す)が観察された。図示されたデータは、開始電圧がエミッタ先端の状態を示すのに対し、スロープが流体経路の完全性をもたらすことを示している。
【0043】
図6A~
図6Dは、2つの異なるカートリッジでの1ug HeLa注入回数の関数としてプロットされた開始電圧を示すグラフを描写している。実験の2つの異なる時点で、エミッタをそれぞれ超音波槽で1時間超音波処理し、その後12MのNaOHに浸漬させた。
図6E及び
図6Fでは、エミッタの外側表面の堆積物が目視で分かるように、どのように除去されたかを示している。予想とおり、
図6C及び
図6Dで示される抵抗値は同じであった。注記:アスタリスクの付いたデータポイントは、流体経路内の汚染物質がその後除去されたことにより、高い初期値を示した異常値であると考えられる。
【0044】
図7A及び
図7Bは、エレクトロスプレーエミッタをそれぞれ示す。
図7Aは新品のエレクトロスプレーエミッタを示す一方、
図7Bは液流をオフにして、電圧(2000V)をオンのまま数日間作動させた後のエレクトロスプレーエミッタを示している。
図7Bで見られるように、使用中、先端にかなりの堆積が生じた。かかる堆積は液体メニスカスに影響を与え、開始電圧を上昇させると、予想される。双方向通信は、すべてのLC/MSのペアに存在するわけではない。したがって、方法の制御下で、電流が指定期間にわたって閾値を下回った場合、質量分析計への高電圧をオフにするタイムアウト機能であれば、このような事態を防ぐはずである。重要なこととして、タイムアウトは、電流が比較的低くなることが多いカラム洗浄工程(
図11の領域IIIを参照)用に設定された持続時間よりも長くすることである。いくつかの実施形態では、記載のシステムは、設定された継続時間にわたるエミッタ電流の欠如に基づいて、質量分析計への高電圧を遮断する。
【0045】
図8Aは、カートリッジ性能に影響を与える要因の線形回帰分析による相関係数を示すヒートマップを図示している。図示されるように、ペプチド同定は、性能の指標を表す。注目すべき点として、注入回数、開始電圧、及び検体ピーク幅(FWHM)はすべて、性能と強い逆相関があるのに対し、エミッタ流路の抵抗率は性能と有意な相関がないことである。
【0046】
図8B及び
図8Cは、開始電圧(
図8B)及びピーク幅(
図8C)と性能との線形回帰分析を示す。
図8D~
図8Gはそれぞれ、注入回数の関数として描かれた、様々なカートリッジ構成要素の診断結果を示すグラフである。FAIMSを搭載したOrbitrap Fusion Lumos質量分析計に200ngのHeLaを注入し、データ依存分析を実行することにより、ペプチド同定を測定した。90分間のグラジエントプログラムでペプチドを分離した。生ファイルをSequestで検索し、Percolatorを使用した場合、偽発見率は1%であった。エミッタの健全性を示す開始電圧については、
図6A~
図6Fで説明した。しかしながら、
図8Cで示すデータは、ピーク幅も重要な役割を果たしていることを示している。いくつかの実施例において、(1)内部標準、又は(2)特定の校正混合物(例えばPRTC)をサンプルランの間に注入して、LC/MSシステム及びカートリッジが全体として意図したとおりに動作しているかどうかを(カラムを洗浄するためのブランクランとしても機能し得る、短縮グラジエントプログラムを使用して)確定する別の方法のいずれかを使用して、ピーク幅の測定を実現することができる。指標は、試料注入間のカラム背圧の一貫性(
図11参照)、スプレー電流(
図10参照)、保持時間の安定性、ピーク領域、及びある特定の既知のMS信号のピーク幅を含み得る。別の方法を使用する場合は、キャリーオーバ(PRTCに対する存在量、又は他の未知の種)も評価することができる。
【0047】
図9は、カートリッジ#2(注入0 902、注入100 904、注入200 906、洗浄908後注入200)での保持時間の関数としてTICを示すグラフである。とりわけ、親水性ペプチドでは、200回の注入で感度の低下が観察された。試験したカートリッジでは、I-V曲線からの開始電圧データ(
図6A~
図6C参照)から、観察された低性能が予測されたはずである。
【0048】
図10は、勾配中のTICの不安定性を検出する、スプレー電流の一例を示すグラフである。TICは、保持時間の関数として示されている。特に、スプレー電流の急激な偏位と同時に、分析中に約40分の感度の低下が見られた。
【0049】
図11は、カートリッジ#2(注入0 1102、注入100 1104、注入200 1106、洗浄1108後注入200)での保持時間の関数としてスプレー電流を示すグラフである。
図12は、カートリッジ#2(注入0 1202、注入100 1204、注入200 1206、洗浄1208後注入200)での保持時間の関数として背圧トレンドを示すグラフである。離散領域が
図11と
図12の両方に示されている。領域Iは、システムの不感時間(オートサンプラ値がロード位置から注入位置に切り替わる間の時間)に対応する。領域IIは、勾配の送達、及び検体の溶出に対応する。有機組成物が徐々に増加することにより、溶媒全体の伝導率が低下し、スプレー電流が減少する。領域IIIは、未消化ペプチド種、又は疎水性汚染物質がカラムから溶出されるカラム洗浄に対応する。最後に、領域IVは、シーケンスの次の注入に備えたカラムの平衡化に対応する。上記のデータでは、スプレーの脱落は見られず、スプレーの安定性が良好であることを示している。
【0050】
本明細書で開示の科学機器支援法は、(例えば、
図15を参照しながら、本明細書で検討されるユーザ・ローカル・コンピューティング・デバイス5020を介した)人間のユーザとの相互作用を含み得る。これらの相互作用は、ユーザに情報を提供すること(例えば、
図15の科学機器5010などの科学機器の動作に関する情報、分析されている試料、若しくは科学機器によって実施される他の試験、若しくは測定に関する情報、ローカル若しくはリモートデータベースから取得された情報、若しくは他の情報)、又はユーザがコマンド(例えば、
図15の科学機器5010などの科学機器の動作を制御するため、又は科学機器によって生成されるデータの分析を制御するため)、クエリ(例えば、ローカル又はリモートデータベース向け)、若しくは他の情報を入力するためのオプションを提供することを含み得る。いくつかの実施形態では、これらの相互作用は、ユーザに出力を提供する、かつ/又は入力を提供するようにユーザに指示する(例えば、
図14を参照しながら、本明細書で検討される他のI/Oデバイス4012に含まれる、キーボード、マウス、トラックパッド、又はタッチスクリーンなどの1つ以上の入力デバイスを介して)表示デバイス(例えば、
図14を参照しながら、本明細書で検討される表示デバイス4010)上の視覚的表示を含むグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を通じて、実施され得る。本明細書に開示される科学機器支援システムは、ユーザとの相互作用のための任意の好適なGUIを含み得る。
【0051】
図13は、様々な実施形態に係る、本明細書に開示される支援法の一部、又はすべての実施において使用され得る、一例示のGUI3000を示す。上記のように、GUI3000は、科学機器支援システム(例えば、
図15を参照しながら、本明細書で検討される科学機器支援システム5000)のコンピューティングデバイス(例えば、
図14を参照しながら、本明細書で検討されるコンピューティングデバイス4000)の表示デバイス(例えば、
図14を参照しながら、本明細書で検討される表示デバイス4010)上に提供可能であり、ユーザは、任意の好適な入力デバイス(例えば、
図14を参照しながら、本明細書で検討される他のI/Oデバイス4012に含まれる入力デバイスのいずれか)、及び入力技術(例えば、カーソルの移動、モーションキャプチャ、顔認識、ジェスチャ検出、音声認識、ボタンの作動など)を使用して、GUI3000と相互作用できる。
【0052】
GUI3000は、データ表示領域3002、データ分析領域3004、科学機器制御領域3006、及び設定領域3008を含み得る。
図13で示す領域の特定の数及び配置は、例解的なものに過ぎず、任意の所望の特徴を含む、任意の数及び配置の領域がGUI3000に含まれ得る。データ表示領域3002は、科学機器(例えば、
図15を参照しながら、本明細書で検討される科学機器5010)によって生成されたデータを表示可能である。
【0053】
データ分析領域3004は、データ分析の結果(例えば、データ表示領域3002に例解されるデータ及び/又は他のデータを分析した結果)を表示し得る。例えば、データ分析領域3004は、システムが訓練された状態モデルを通して画像データを処理することによって判定される、機器の構成/種類(例えば、スイープキャップの種類)、あるいは健全性/清浄度を含む、状態情報を表示し得る。いくつかの実施形態では、データ表示領域3002及びデータ分析領域3004は、GUI3000において組み合わされ得る(例えば、科学機器からのデータ出力、及びデータのいくつかの分析を、共通のグラフ又は領域に含めるために)。
【0054】
科学機器制御領域3006は、ユーザが科学機器(例えば、
図15を参照しながら、本明細書で検討される科学機器5010)を制御可能にする、オプションを含み得る。設定領域3008は、ユーザが、GUI3000(及び/又は他のGUI)の特徴及び機能を制御し、かつ/又はデータ表示領域3002及びデータ分析領域3004に関する共通のコンピューティング動作を実施可能にするオプションを含み得る(例えば、
図14を参照しながら、本明細書で検討されるような記憶デバイス4004などの記憶デバイス上にデータを保存すること、別のユーザにデータを送信すること、データをラベル付けすることなど)。
【0055】
上記のように、科学機器支援モジュール1000は、1つ以上のコンピューティングデバイスによって実装され得る。
図14は、様々な実施形態に係る、本明細書で開示される科学機器支援法の一部、又はすべてを実行可能とする、コンピューティングデバイス4000のブロック図である。いくつかの実施形態では、科学機器支援モジュール1000は、単一のコンピューティングデバイス4000によって、又は複数のコンピューティングデバイス4000によって実装され得る。更に、以下で検討するように、科学機器支援モジュール1000を実装するコンピューティングデバイス4000(又は複数のコンピューティングデバイス4000)は、
図15の科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040の1つ以上の一部であってもよい。
【0056】
図14のコンピューティングデバイス4000は、いくつかの構成要素を有するものとして例解されているが、これらの構成要素のいずれか1つ以上は、用途及び設定に好適となるように、省略又は複製されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス4000に含まれる構成要素の一部、又はすべては、1つ以上のマザーボードに取り付けられ、ハウジング(例えば、プラスチック、金属、及び/又は他の材料を含む)に封入されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの構成要素の一部は、単一のシステムオンチップ(system-on-a-chip、SoC)上に製造可能である(例えば、SoCは、1つ以上の処理デバイス4002及び1つ以上の記憶デバイス4004を含み得る)。付加的に、様々な実施形態において、コンピューティングデバイス4000は、
図14に例解される構成要素の1つ以上を含まない場合があるが、任意の好適なインターフェイス(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェイス、高精細マルチメディアユインターフェイス(HDMI(登録商標))、コントローラエリアネットワーク(CAN)インターフェイス、シリアル・ペリフェラル・インターフェイス(SPI)インターフェイス、イーサネットインターフェイス、無線インターフェイス、又は任意の他の好適なインターフェイス)を使用して、1つ以上の構成要素に結合するためのインターフェイス回路(図示せず)を含み得る。例えば、コンピューティングデバイス4000は、表示デバイス4010を含まない場合があるが、表示デバイス4010を結合可能とする、表示デバイスインターフェイス回路(例えば、コネクタ及びドライバ回路)を含み得る。
【0057】
コンピューティングデバイス4000は、処理デバイス4002(例えば、1つ以上の処理デバイス)を含み得る。本明細書で使用される場合、「処理デバイス」という用語は、レジスタ及び/又はメモリからの電子データを処理して、その電子データをレジスタ及び/又はメモリに記憶され得る他の電子データに変換する、任意のデバイス又はデバイスの一部分を指し得る。処理デバイス4002は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、中央処理ユニット(CPU)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、暗号プロセッサ(ハードウェア内で暗号アルゴリズムを実行する専用プロセッサ)、サーバプロセッサ、又は任意の他の好適な処理デバイスを含み得る。
【0058】
コンピューティングデバイス4000は、記憶デバイス4004(例えば、1つ以上の記憶デバイス)を含み得る。記憶デバイス4004は、ランダムアクセスメモリ(RAM)(例えば、静的RAM(SRAM)デバイス、磁気RAM(MRAM)デバイス、ダイナミックRAM(DRAM)デバイス、抵抗性RAM(RRAM)デバイス、又は導電性ブリッジRAM(CBRAM)デバイス)、ハードドライブベースのメモリデバイス、ソリッドステートメモリデバイス、ネットワークドライブ、クラウドドライブ、又はメモリデバイスの任意の組み合わせなどの1つ以上のメモリデバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、記憶デバイス4004は、処理デバイス4002とダイを共有するメモリを含み得る。かかる実施形態では、メモリは、キャッシュメモリとして使用され得、例えば、組み込みダイナミックランダムアクセスメモリ(eDRAM)、又はスピン転送トルク磁気ランダムアクセスメモリ(STT-MRAM)を含み得る。いくつかの実施形態では、記憶デバイス4004は、1つ以上の処理デバイス(例えば、処理デバイス4002)によって実行される際、コンピューティングデバイス4000に、本明細書に開示される方法の任意の適切な方法、又はその一部を実行させる命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0059】
コンピューティングデバイス4000は、インターフェイスデバイス4006(例えば、1つ以上のインターフェイスデバイス4006)を含み得る。インターフェイスデバイス4006は、コンピューティングデバイス4000と他のコンピューティングデバイスとの間の通信を管理するために、1つ以上の通信チップ、コネクタ、及び/又は他のハードウェアとソフトウェアを含み得る。例えば、インターフェイスデバイス4006は、コンピューティングデバイス4000との間でデータを転送するための無線通信を管理する回路を含み得る。「無線」という語句、及びその派生語は、非固体媒体を通じて変調電磁放射を使用することでデータを通信可能とする、回路、デバイス、システム、方法、技術、通信チャネルなどを記述するために使用され得る。この用語は、関連するデバイスがいかなる配線を含まないことを意味するものではないが、いくつかの実施形態では含まない場合もある。無線通信を管理するためのインターフェイスデバイス4006に含まれる回路は、限定されないが、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリ)、IEEE802.16規格(例えば、IEEE802.16-2005 Amendment)を含む、米国電気電子学会(Institute for Electrical and Electronic Engineers、IEEE)規格、何らかの修正、更新、及び/又は改訂を伴う、ロングタームエボリューション(Long-Term Evolution、LTE)プロジェクト(例えば、アドバンストLTEプロジェクト、ウルトラモバイルブロードバンド(ultra-mobile broadband、UMB)プロジェクト(「3GPP(登録商標)2」とも称される)など)を含む、複数の無線規格、又はプロトコルのいずれかを実装可能である。いくつかの実施形態では、無線通信を管理するためのインターフェイスデバイス4006に含まれる回路は、モバイル通信用グローバルシステム(Global System for Mobile Communication、GSM)、汎用パケット無線サービス(General Packet Radio Service、GPRS)、ユニバーサルモバイル電気通信システム(Universal Mobile Telecommunications System、UMTS)、高速パケットアクセス(High Speed Packet Access、HSPA)、進化型HSPA(Evolved
HSPA、E-HSPA)、又はLTEネットワークに従って動作し得る。いくつかの実施形態では、無線通信を管理するためにインターフェイスデバイス4006に含まれる回路は、GSM進化型高速データ(Enhanced Data for GSM Evolution、EDGE)、GSM EDGE無線アクセスネットワーク(GSM EDGE Radio Access Network、GERAN)、ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(Universal Terrestrial Radio Access Network、UTRAN)、又は進化型UTRAN(Evolved UTRAN、E-UTRAN)に従って動作し得る。いくつかの実施形態では、無線通信を管理するためのインターフェイスデバイス4006に含まれる回路は、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access、CDMA)、時分割多元接続(Time
Division Multiple Access、TDMA)、デジタル拡張コードレス電気通信(Digital
Enhanced Cordless Telecommunications、DECT)、エボリューションデータ最適化(Evolution-Data Optimized、EV-DO)、及びそれらの派生物、並びに3G、4G、5G、及びそれ以降として指定される任意の他の無線プロトコルに従って動作し得る。いくつかの実施形態では、インターフェイスデバイス4006は、無線通信の受信、かつ/又は送信用の1つ以上のアンテナ(例えば、1つ以上のアンテナアレイ)を含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、インターフェイスデバイス4006は、電気的、光学的、又は任意の他の好適な通信プロトコルなどの有線通信を管理するための回路を含み得る。例えば、インターフェイスデバイス4006は、イーサネット技術に従って通信を支援する回路を含み得る。いくつかの実施形態では、インターフェイスデバイス4006は、無線通信及び有線通信の双方を支援し得る、かつ/又は複数の有線通信プロトコル、及び/又は複数の無線通信プロトコルを支援し得る。例えば、インターフェイスデバイス4006の回路の第1セットは、Wi-Fi又はBluetoothなどの短距離無線通信専用でよく、さらに、インターフェイスデバイス4006の回路の第2セットは、全地球測位システム(GPS)、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、EV-DO、又はその他などの長距離無線通信専用でよい。いくつかの実施形態では、インターフェイスデバイス4006の回路の第1セットは、無線通信専用でよく、インターフェイスデバイス4006の回路の第2セットは、有線通信専用でよい。
【0061】
コンピューティングデバイス4000は、バッテリ/電力回路4008を含み得る。バッテリ/電力回路4008は、1つ以上のエネルギー貯蔵デバイス(例えば、バッテリ若しくはキャパシタ)、及び/又はコンピューティングデバイス4000の構成要素をコンピューティングデバイス4000とは別個のエネルギー源(例えば、ACライン電力)に結合するための回路を含み得る。
【0062】
コンピューティングデバイス4000は、表示デバイス4010(例えば、複数の表示デバイス)を含み得る。表示デバイス4010は、ヘッドアップディスプレイ、コンピュータモニタ、プロジェクタ、タッチスクリーンディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ、又はフラットパネルディスプレイなどの任意の視覚インジケータを含み得る。
【0063】
コンピューティングデバイス4000は、他の入力/出力(I/O)デバイス4012を含み得る。他のI/Oデバイス4012は、例えば、1つ以上のオーディオ出力デバイス(例えば、スピーカ、ヘッドセット、イヤホン、アラームなど)、1つ以上のオーディオ入力デバイス(例えば、マイクロフォン又はマイクロフォンアレイ)、位置デバイス(例えば、当該技術分野で既知であるように、コンピューティングデバイス4000の位置を受信するために衛星ベースのシステムと通信するGPSデバイス)、オーディオコーデック、ビデオコーデック、プリンタ、センサ(例えば、熱電対若しくは他の温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、振動センサ、加速度計、ジャイロスコープなど)、カメラなどの画像キャプチャデバイス、キーボード、マウス、スタイラス、トラックボール、又はタッチパッドなどのカーソル制御デバイス、バーコードリーダ、クイックレスポンス(Quick Response、QR)コードリーダ、又は無線周波数識別(RFID)リーダを含み得る。
【0064】
コンピューティングデバイス4000は、ハンドヘルド又はモバイルコンピューティングデバイス(例えば、セルフォン、スマートフォン、モバイルインターネットデバイス、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、ウルトラブックコンピュータ、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、ウルトラモバイルパーソナルコンピュータなど)、デスクトップ・コンピューティング・デバイス、若しくはサーバ・コンピューティング・デバイス、又は他のネットワークコンピューティング構成要素など、当該用途及び設定のための任意の好適なフォームファクタを有してもよい。
【0065】
本明細書に開示される科学機器支援モジュール又は方法のいずれかを実装する1つ以上のコンピューティングデバイスは、科学機器支援システムの一部であり得る。
図15は、様々な実施形態に係る、本明細書で開示される科学機器支援方法の一部又はすべてを実行可能とする、一例示の科学機器支援システム5000のブロック図である。本明細書で開示される科学機器支援モジュール及び方法(例えば、
図1の科学機器支援モジュール1000、及び
図2の方法2000)は、科学機器支援システム5000の科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040の1つ以上によって実装可能である。
【0066】
科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040のいずれかは、
図14を参照しながら、本明細書で検討されるコンピューティングデバイス4000の実施形態のいずれかを含み得、科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040のいずれかは、
図14を参照しながら、本明細書で検討されるコンピューティングデバイス4000の実施形態のいずれか適切なものの形態を取ることができる。
【0067】
科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040はそれぞれ、処理デバイス5002、記憶デバイス5004、及びインターフェイスデバイス5006を含み得る。処理デバイス5002は、
図4を参照しながら、本明細書で検討される処理デバイス4002のいずれかの形態を含む任意の好適な形態を取ることができ、科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040のうち異なるものに含まれる処理デバイス5002は、同じ形態又は異なる形態を取ることができる。記憶デバイス5004は、
図4を参照しながら、本明細書で検討される記憶デバイス5004のいずれかの形態を含む任意の好適な形態を取ることができ、さらに、科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040のうち異なるものに含まれる記憶デバイス5004は、同一の形態又は異なる形態を取ることができる。インターフェイスデバイス5006は、
図4を参照しながら、本明細書で検討されるインターフェイスデバイス4006のいずれかの形態を含む任意の好適な形態を取ることができ、さらに、科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、又はリモートコンピューティングデバイス5040のうちの異なるものに含まれるインターフェイスデバイス5006は、同じ形態又は異なる形態を取ることができる。
【0068】
科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、及びリモートコンピューティングデバイス5040は、通信経路5008を介して、科学機器支援システム5000の他の要素と通信し得る。図示のとおり、通信経路5008は、科学機器支援システム5000の様々な要素のインターフェイスデバイス5006と通信可能に結合可能であり、有線又は無線通信経路であり得る(例えば、
図14のコンピューティングデバイス4000のインターフェイスデバイス4006を参照ながら、本明細書で検討される通信技術のうちのいずれかに従って)。
図15に示される特定の科学機器支援システム5000は、科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、サービスローカルコンピューティングデバイス5030、及びリモートコンピューティングデバイス5040の各ペア間の通信経路を含むが、この「完全に接続された」実装形態は例示的なものに過ぎず、様々な実施形態では、通信経路5008の様々なものが存在しない場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、そのインターフェイスデバイス5006と科学機器5010のインターフェイスデバイス5006との間に直接通信経路5008を有さない場合があり、その代わりとして、サービスローカルコンピューティングデバイス5030とユーザローカルコンピューティングデバイス5020との間の通信経路5008、及びユーザローカルコンピューティングデバイス5020と科学機器5010との間の通信経路5008を介して、科学機器5010と通信することができる。
【0069】
科学機器5010は、任意の適切な科学機器を含み得る。いくつかの実施形態では、科学機器5010は、質量分析計5012、液体クロマトグラフ5014、イオン源5016、カートリッジ5018、及び撮像デバイス5019を含む。一般に、質量分析計5012は、イオンを分析する(例えば、イオンの質量電荷比を測定する)ために使用されるデバイスである。いくつかの実施形態では、高電圧電源がイオン源5016内に配置される。質量分析計5012は、イオン源5016と連通している。一般に、液体クロマトグラフ5014は、試料をクロマトグラフィカラム(固定相)に導入するためのオートサンプラと、移動相を送出して、試料をカラムから時間に応じて溶出させるための高圧ポンプとを含む。
【0070】
一般に、イオン源5016は、質量分析計におけるその後の分析のために、クロマトグラフィカラムから溶出する液体流から気相イオンを生成する機能を担う、LC/MSインターフェイスに相当する。いくつかの実施形態では、イオン源5016は、質量分析計5012の入口付近のカートリッジ5018用のマウントとして機能する。
【0071】
一般に、カートリッジ5018は、イオン源5016の機能構成要素であり、主として、クロマトグラフィカラム、及びエレクトロスプレーエミッタを含む。いくつかの実施形態では、高電圧を液体流に印加して、エレクトロスプレーを発生させる。いくつかの実施形態では、噴霧ガスを適用して、エレクトロスプレープルームを補助し、安定性を支援する。いくつかの実施形態において、カラムは、実施されるクロマトグラフィの種類に応じて、熱制御された環境(例えば、加熱、又は冷却)に維持することができる。記憶デバイス5004は、履歴データと診断データを記憶するために使用される。いくつかの実施形態では、記憶デバイス5004は、カートリッジ上に含まれるか、又はカートリッジに取り付けられる。
【0072】
一般に、撮像デバイス(例えば、カメラ)5019は、エレクトロスプレーエミッタ、及び入口を撮像するために使用される。いくつかの実施形態では、撮像デバイス5019は、エレクトロスプレーを撮像するために使用される、発光ダイオード(LED)を含む。いくつかの実施形態では、撮像デバイス5019は、カートリッジと連通する。いくつかの実施形態では、撮像デバイス5019は、質量分析計5012と双方向通信する。
【0073】
ユーザローカルコンピューティングデバイス5020は、科学機器5010のユーザの近くにあるコンピューティングデバイス(例えば、本明細書で考察されるコンピューティングデバイス4000の実施形態のいずれかに係る)であり得る。いくつかの実施形態では、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020はまた、科学機器5010に対してローカルであり得るが、そうである必要はない。例えば、ユーザの自宅又はオフィスにあるユーザローカルコンピューティングデバイス5020は、ユーザがユーザローカルコンピューティングデバイス5020を使用して科学機器5010からのデータを制御、及び/又はアクセスできるように、科学機器5010から離れた場所にあるが、それと通信することが可能である。いくつかの実施形態では、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020は、ラップトップ、スマートフォン、又はタブレットデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020は、ポータブルコンピューティングデバイスであり得る。
【0074】
サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、科学機器5010にサービスを提供するエンティティの近くにある、コンピューティングデバイス(例えば、本明細書で考察されるコンピューティングデバイス4000の実施形態のいずれかに係る)であり得る。例えば、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、科学機器5010の製造元又はサードパーティサービス会社の近くにあり得る。いくつかの実施形態では、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、及び/又はリモートコンピューティングデバイス5040と通信して(例えば、これまで考察したように、直接通信経路5008を介して、又は複数の「間接」通信経路5008を介して)、科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、及び/又はリモートコンピューティングデバイス5040の動作に関するデータ(例えば、科学機器5010の自己診断テストの結果、科学機器5010によって使用される校正係数、科学機器5010に関連付けられたセンサの測定値など)を受信できる。いくつかの実施形態では、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、及び/又はリモートコンピューティングデバイス5040と通信して(例えば、これまで考察したように、直接通信経路5008、又は複数の「間接」通信経路5008を介して)、科学機器5010、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020、及び/又はリモートコンピューティングデバイス5040に(例えば、科学機器5010において、ファームウェアなどのプログラムされた命令を更新するため、科学機器5010において試験又は校正シーケンスの実施を開始するため、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020又はリモートコンピューティングデバイス5040において、ソフトウェアなどのプログラムされた命令を更新するなどのため)データを送信可能である。科学機器5010のユーザは、サービスローカルコンピューティングデバイス5030と通信して、科学機器5010又はユーザローカルコンピューティングデバイス5020に関する問題を報告するために、科学機器5010の動作を改善させる訪問を技術者に要求するために、科学機器5010に関連付けられた消耗品又は交換部品を注文するために、又は他の目的のために、科学機器5010又はユーザローカルコンピューティングデバイス5020を利用し得る。
【0075】
リモートコンピューティングデバイス5040は、科学機器5010から、及び/又はユーザローカルコンピューティングデバイス5020から離れた場所にあるコンピューティングデバイス(例えば、本明細書で考察されるコンピューティングデバイス4000の実施形態のうちのいずれかに係る)でよい。いくつかの実施形態では、リモートコンピューティングデバイス5040は、データセンター又は他の大規模サーバ環境に含まれ得る。いくつかの実施形態では、リモートコンピューティングデバイス5040は、ネットワーク接続ストレージを含み得る(例えば、記憶デバイス5004の一部として)。リモートコンピューティングデバイス5040は、科学機器5010によって生成されたデータを記憶し、科学機器5010によって生成されたデータの分析を実行し(例えば、プログラムされた命令に従って)、ユーザローカルコンピューティングデバイス5020と科学機器5010との間の通信を支援し、かつ/又はサービスローカルコンピューティングデバイス5030と科学機器5010との間の通信を支援可能である。
【0076】
いくつかの実施形態では、
図15に示される科学機器支援システム5000の要素の1つ以上が存在しない場合がある。更に、いくつかの実施形態では、
図15の科学機器支援システム5000の要素の様々な要素の複数のものが存在し得る。例えば、科学機器支援システム5000は、複数のユーザローカルコンピューティングデバイス5020(例えば、異なるユーザと関連付けられた又は異なる場所における異なるユーザローカルコンピューティングデバイス5020)を含み得る。別の実施例では、科学機器支援システム5000は、複数の科学機器5010を含み得、すべてがサービスローカルコンピューティングデバイス5030及び/又はリモートコンピューティングデバイス5040と通信する。かかる実施形態では、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、これらの複数の科学機器5010を監視可能であり、サービスローカルコンピューティングデバイス5030は、更新を実行させるか、又は他の情報が同時に複数の科学機器5010に「一斉送信」され得る。科学機器支援システム5000内の科学機器5010の異なるものは、互いに近くに(例えば、同じ部屋内)、又は互いから離れるように(例えば、建物の異なる階、異なる建物、異なる都市など)位置してもよい。いくつかの実施形態では、科学機器5010は、モノのインターネット(IoT)スタックに接続可能であり、このIoTスタックは、ウェブベースのアプリケーション、仮想、若しくは拡張現実アプリケーション、モバイルアプリケーション、及び/又はデスクトップアプリケーションを通じて、科学機器5010の命令と制御を可能にする。これらのアプリケーションのいずれも、介在するリモートコンピューティングデバイス5040によって科学機器5010と通信しているユーザローカルコンピューティングデバイス5020を操作するユーザによってアクセスされ得る。いくつかの実施形態では、科学機器5010は、ローカル科学機器コンピューティングユニット5012の一部として、1つ以上の関連するユーザローカルコンピューティングデバイス5020と合わせて、製造元から販売され得る。
【0077】
いくつかのそのような実施形態では、リモートコンピューティングデバイス5040及び/又はユーザローカルコンピューティングデバイス5020は、科学機器支援システム5000に含まれる異なるタイプの科学機器5010からのデータを組み合わせてもよい。
【0078】
以下の段落は、本明細書に開示される実施形態の様々な例を提供する。
【0079】
実施例1は、クロマトグラフィ支援装置であって、この装置は、撮像デバイスから、クロマトグラフィ機器に関する画像データを受信するための第1ロジックと、機械学習計算モデルを通じて撮像デバイスを処理することによって、クロマトグラフィ機器の状態を決定する第2ロジックと、クロマトグラフィ機器の状態を表示する第3ロジックと、を含む。
【0080】
実施例2は、実施例1に記載の主題を含み、機械学習計算モデルが、FDAに基づいて、クロマトグラフィ機器の挙動の質的変化を決定することを更に規定する。
【0081】
実施例3は、実施例1及び実施例2のいずれか1つに記載の主題を含み、FDAが、相互相関から決定されたフレシェ距離、DTW距離、又はユークリッド距離を使用することを更に規定する。
【0082】
実施例4は、実施例1~実施例3のいずれか1つに記載の主題を含み、クロマトグラフィ機器の状態には、クロマトグラフィ機器の清浄度が含まれることを更に規定する。
【0083】
実施例5は、実施例1~実施例4のいずれか1つに記載の主題を含み、クロマトグラフィ機器の状態には、溶媒イオン信号の分布の集合を含むクロマトグラフィ機器の健全性が含まれることを更に規定する。
【0084】
実施例6は、実施例1~実施例5のいずれか1つに記載の主題を含み、
クロマトグラフィ機器は質量分析計入口を含むことを更に規定する。
【0085】
実施例7は、実施例1~実施例6のいずれか1つに記載の主題を含み、クロマトグラフィ機器は、エレクトロスプレーエミッタとクロマトグラフィカラムとを含むことを更に規定する。
【0086】
実施例8は、実施例1~実施例7のいずれか1つに記載の主題を含み、エレクトロスプレーエミッタは、エレクトロスプレープルームを放射するように構成され、質量分析計入口は、エレクトロスプレープルームをサンプリングするように構成されていることを更に規定する。
【0087】
実施例9は、実施例1~実施例8のいずれか1つに記載の主題を含み、クロマトグラフィ機器は、質量分析計入口を取り囲む環状領域を有するスイープキャップを含むことを更に規定する。
【0088】
実施例10は、実施例1~実施例9のいずれか1つに記載の主題を含み、クロマトグラフィ機器の状態には、スイープキャップの種類又はエレクトロスプレーエミッタの種類が含まれることを更に規定する。
【0089】
実施例11は、実施例1~実施例10のいずれか1つに記載の主題を含み、環状領域は、ガスの逆流を提供するように構成されていることを更に規定する。
【0090】
実施例12は、実施例1~実施例11のいずれか1つに記載の主題を含み、機械学習計算モデルが訓練されたニューラルネットワークを含むことを更に規定する。
【0091】
実施例13は、実施例1~実施例12のいずれか1つに記載の主題を含み、機械学習計算モデルが訓練されたフィードフォワードニューラルネットワークを含むことを更に規定する。
【0092】
実施例14は、実施例1~実施例13のいずれか1つに記載の主題を含み、撮像デバイスはカメラを含むことを更に規定する。
【0093】
実施例15は、クロマトグラフィ支援装置であって、この装置は、機械学習計算モデルを訓練するコマンドを受信する第1ロジックであって、上記コマンドには、機械学習計算モデルを訓練するための複数の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットの識別が含まれる、第1ロジックと、複数の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットに基づいて機械学習計算モデルを初期訓練する第2ロジックであって、この機械学習計算モデルはクロマトグラフィ機器の状態を出力するものである、第2ロジックと、第3ロジックであって、初期訓練後、後続の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットに適用する機械学習計算モデルを選択するオプションを提供する第3ロジックと、を含む。
【0094】
実施例16は、実施例1~実施例15のいずれか1つに記載の主題を含み、機械学習計算モデルへの入力は、画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットの一次元配列を含むことを更に規定する。
【0095】
実施例17は、実施例15及び実施例16のいずれか1つに記載の主題を含み、機械学習計算モデルは、第1機械学習計算モデルであり、第1ロジックは、第2機械学習計算モデルを訓練するコマンドを受信するようになっており、このコマンドは、第2機械学習計算モデルを訓練するための複数の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットの識別を含むことを更に規定する。
【0096】
実施例18は、実施例15~実施例17のいずれか1つに記載の主題を含み、第2機械学習計算モデルの訓練で使用される複数の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットは、第1機械学習計算モデルの訓練で使用される複数の画像データセット、又は診断とトレンディングデータセットとは異なることを更に規定する。
【0097】
実施例19は、実施例15~実施例18のいずれか1つに記載の主題を含み、第2ロジックは、第1機械学習計算モデル及び第2機械学習計算モデルを含む、複数の計算モデルの中から、後続の画像データセット、又は後続の診断とトレンディングデータセットの分析に使用する計算モデルの選択を提供するものであることを更に規定する。
【0098】
実施例20は、実施例15~実施例19のいずれか1つに記載の主題を含み、第2ロジックは更に、後続の画像データセット、又は後続の診断とトレンディングデータセットに適用する非機械学習型計算モデルに対して選択可能なオプションを提供するようにもなっていることを更に規定する。
【0099】
実施例21は、クロマトグラフィ支援装置であって、この装置は、クロマトグラフィ機器の動作中に収集されたクロマトグラフィ機器に関する診断とトレンディングデータを受信する第1ロジックと、機械学習計算モデルを通じて、診断とトレンディングデータを処理することによって、クロマトグラフィ機器の状態を決定する第2ロジックと、クロマトグラフィ機器の状態を表示する第3ロジックと、を含む。
【0100】
実施例22は、実施例21に記載の主題を含み、クロマトグラフィ機器の状態には、クロマトグラフィ機器の健全性が含まれることを更に規定する。
【0101】
実施例23は、実施例21及び実施例22のいずれか1つに記載の主題を含み、クロマトグラフィ機器の状態は、検体のピーク幅、保持時間の安定性、ピーク領域、又は検体に対する他の信号のキャリーオーバに基づいて決定されることを更に規定する。
【0102】
実施例24は、実施例21~実施例23のいずれか1つに記載の主題を含み、クロマトグラフィ機器の状態に基づいて、クロマトグラフィ機器の動作を停止させる第4ロジックも、更に含む。
【外国語明細書】