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特開2024-110971バッテリシェル、トラクションバッテリ、および自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110971
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】バッテリシェル、トラクションバッテリ、および自動車
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/289 20210101AFI20240808BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240808BHJP
   H01M 50/227 20210101ALI20240808BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240808BHJP
   H01M 50/572 20210101ALI20240808BHJP
   H01M 50/291 20210101ALI20240808BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/249
H01M50/227
H01M50/293
H01M50/572
H01M50/291
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024082531
(22)【出願日】2024-05-21
(62)【分割の表示】P 2022537740の分割
【原出願日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】102019134937.0
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】598001467
【氏名又は名称】カウテックス テクストロン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・レンツ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトムート・ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・バイマー
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク・エンキルヒ
(57)【要約】
【課題】バッテリシェル、トラクションバッテリ、および自動車を提供する。
【解決手段】本発明は、バッテリシェル、特にトラクションバッテリのバッテリシェルに関し、バッテリシェルはプラスチックから成形され、バッテリシェルはバッテリシェルとコンポーネントを取り付けるための取付システムを有し、取付システムは、案内帯材と、内側形材と、取付部材と、を有し、案内帯材はバッテリシェルと物質接合式および/または形状接合式に結合され、内側形材は案内帯材によって案内され、取付部材はコンポーネントと内側形材との間の結合を成立させるためにセットアップされる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリシェル(10)であって、前記バッテリシェル(10)はプラスチックから成形され、前記バッテリシェル(10)は前記バッテリシェル(10)とコンポーネント(30)を取り付けるための取付システム(20)を有する、バッテリシェルにおいて、
前記取付システム(20)は、案内帯材(22)と、内側形材(24)と、取付部材(26)と、を有し、前記案内帯材(22)は前記バッテリシェル(10)と物質接合式および/または形状接合式に結合され、前記内側形材(24)は前記案内帯材(22)によって案内され、前記取付部材(26)は前記コンポーネント(30)と前記内側形材(24)との間の結合を成立させるためにセットアップされ、
前記内側形材(24)は前記案内帯材(22)に対して少なくとも1つの並進的な自由度(40,42)を有することを特徴とする、バッテリシェル。
【請求項2】
前記案内帯材(22)は少なくとも90重量%の金属の割合を有することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリシェル(10)。
【請求項3】
前記案内帯材(22)は少なくとも90重量%のプラスチックの割合を有することを特徴とする、請求項1に記載のバッテリシェル(10)。
【請求項4】
前記内側形材(24)は少なくとも90重量%の金属の割合を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記取付部材(26)が前記内側形材(24)に圧入されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)。
【請求項6】
前記内側形材(24)および/または前記案内帯材(22)が前記コンポーネント(30)と車両アースとの間に導電性の結合部を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)を有するトラクションバッテリ。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)を有する自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリシェル、トラクションバッテリ、および自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリは、特に自動車でのエネルギー蓄積のためのトラクションバッテリは、多数の構成部品で成り立っている。このときバッテリハウジングには、特に、バッテリモジュールおよびその他の必要なコンポーネントを取り付けて保護するという役割が課せられる。
【0003】
発生する慣性力を受容して導出するために、あらゆる動作条件のもとで、かつバッテリの耐用期間を通じて、バッテリモジュールおよびその他のコンポーネントがバッテリハウジングに確実に固定されることに大きな意義がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来技術に対して改良案または代替案を提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の根底にある課題は、請求項1の構成要件を有するバッテリシェルによって解決される。バッテリシェルの好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0006】
具体的には、本発明に課せられた課題はバッテリシェルによって、特にトラクションバッテリのバッテリシェルによって解決され、バッテリシェルはプラスチックから成形され、バッテリシェルはバッテリシェルとコンポーネントとを取り付けるための取付システムを有し、取付システムは、案内帯材と、内側形材と、取付部材と、を有し、案内帯材はバッテリシェルと物質接合式および/または形状接合式に結合され、内側形材は案内帯材によって案内され、取付部材はコンポーネントと内側形材との間の結合を成立させるためにセットアップされる。
これに関わる概念について次に説明する:
【0007】
まず最初に明文をもって指摘しておくと、ここでの本件の特許出願の枠内では「ein」、「zwei」などの不定冠詞および数詞は通常の場合には「少なくとも」の記載として理解されるべきであり、すなわち「少なくとも1つの...」、「少なくとも2つの...」などとして理解されるべきであり、それは、そこで「ちょうど1つの...」、「ちょうど2つの...」などが意味され得ることが、そのつどのコンテキストから明白に明らかであるのでない限りにおいてであり、または、当業者にとって自明もしくは技術的に必然的でない限りにおいてである。
【0008】
ここでの本件の特許出願の枠内では、「特に」という表現は、常に、この表現によって任意選択の好ましい構成要件が導入されるという意味に理解されるべきである。この表現は、「詳しく言うと」や「すなわち」として理解されるべきものではない。
【0009】
「バッテリシェル」とは、バッテリのハウジング構成要素を意味する。特に、バッテリシェルはバッテリのコンポーネントを収容するためにセットアップされ、それにより、これらのコンポーネントをバッテリシェルによって保護することができ、および/または取り付けることができる。
【0010】
「トラクションバッテリ」とは、エネルギー蓄積器、特に電流のためのエネルギー蓄積器であると理解される。トラクションバッテリは、電気自動車に組み付けてこれを駆動するのに適しているのが好ましい。
【0011】
「取付システム」とは、少なくとも1つの構成部品を少なくとも1つの別の構成部品に取り付けるためのシステムであると理解される。取付システムそのものは、特に案内帯材、内側形材、少なくとも1つの取付部材などの複数の構成部品を有することができるのが好ましい。
【0012】
好ましい実施形態では、取付システムは、少なくとも1つのコンポーネントをバッテリシェルと結合するためにセットアップされていてよい。
【0013】
このとき特に具体的には、取付システムによってバッテリモジュールをバッテリシェルと結合できることが考えられる。さらに、制御モジュールおよび/または冷却装置および/または電気配線および/またはこれに類するものを取付システムによってバッテリシェルと結合することもできる。
【0014】
その代替として、バッテリシェルを取付システムによって自動車に取り付けることができることも考えられる。
【0015】
「案内帯材」とは、内側形材を案内するためにセットアップされた構成部品であると理解される。
【0016】
案内帯材は、バッテリシェルと物質接合式または形状接合式に結合されるのが好ましく、特にバッテリシェルに統合される。案内帯材は、案内帯材に対して作用する力やトルクが生じたとき、これをバッテリシェルに伝達することができるように、プラスチックからなるバッテリシェルと結合されるのが好ましい。
【0017】
任意選択として案内帯材は、案内帯材の長手延在方向に沿って一定である横断面を有する。
【0018】
案内帯材は主として金属からなるのが好ましく、特に鋼材またはアルミニウムまたは銅からなる。
【0019】
その代替として、案内帯材は主としてプラスチックからなり、特にポリアミドからなる。案内帯材はポリマーおよびテキスタイルファブリック、特に繊維強化材および/または長繊維強化材および/またはエンドレス繊維強化材からなるのが好ましい。
【0020】
案内帯材は、押出成形、引抜成形、押出、または圧延によって製造されるのが好ましい。
【0021】
「内側形材」とは、好ましくは案内帯材の長手延在の方向で案内帯材に挿入することができるように成形された、ロッド状の構成部品であると理解される。
【0022】
内側形材は、内側形材の長手延在方向に沿って主として一定である横断面を有するのが好ましい。
【0023】
好ましい実施形態では、内側形材の横断面と、内側形材を中に挿入できるようにするために意図される案内帯材の横断面とは、少なくとも取付システムを介してバッテリシェルと何らかのコンポーネントが結合されていない限り、内側形材と案内帯材との間で摩擦接合が生じないように対応する。
【0024】
内側形材は金属で製作されるのが好ましく、特にアルミニウムまたは鋼材または銅から製作される。代替的な実施形態では、内側形材が同じくプラスチックで製作されていてよい。
【0025】
内側形材は、押出成形、引抜成形、押出、または圧延によって製造されるのが好ましい。
【0026】
「取付部材」とは、コンポーネントの取付のためにセットアップされた部材であると理解され、特に、ねじ、スクリュー、ねじ付きインサート、ナット、ワッシャ、ねじ付きボルト、溶接ナット、溶接ボルト、係止フック、クリップ、ケーブルバインダ、回線固定具、ケーブル固定具、クリスマスツリークリップなどであると理解される。
【0027】
取付部材については、特に、各コンポーネントのセルフセンタリング式の組付けを好ましく可能にする、テーパ部を有するねじ付きスリーブが想定される。
【0028】
ここで「コンポーネント」とは、個別部品としての構成部品、または複数の部品からなるモジュールであると理解され、特に、バッテリモジュール、制御モジュール、冷却装置、電気回線などであると理解される。さらに、コンポーネントはフレーム構造も意味することができ、これによってバッテリシェルを自動車と結合することができる。すなわち、それに応じて取付システムは、バッテリシェルの内部および/またはバッテリシェルの外部のコンポーネントをバッテリシェルと結合するためにセットアップされるのが好ましい。
【0029】
従来技術では、金属からなるバッテリシェルを有するトラクションバッテリが知られている。このときバッテリシェルだけでも、製造深度が比較的高い多数のコンポーネントをすでに有している。金属素材は比較的低い弾性を有しているため、従来技術に基づくバッテリシェルについては、これが個々の構成部品の形状公差と位置公差とに関わる高い要求事項を有さなくてはならないことが明白である。しかも金属素材は比較的狭い限度内でしか変形可能でなく、そのため、従来技術に基づくトラクションバッテリについては全体として部品数が多いことが明らかであり、そのため、これらに付随する製造時の取扱コストも比較的高くなる。
【0030】
全体として、それによってトラクションバッテリについて高い単位あたり費用が生じ、ならびに、必要な製造設備について高い投資コストが生じる。
【0031】
従来技術とは異なり、ここではプラスチックから成形されるバッテリシェルが提案される。
【0032】
それにより、バッテリシェルのために必要な構成部品の数を劇的に削減することができ、それによってバッテリシェルについての単位あたり費用、およびトラクションバッテリの製造についての投資コストも低くなる。さらに、それによってトラクションバッテリを製造するときの取扱コストを削減することができ、これに伴って、バッテリシェルを製造するときのサイクル時間も削減することができる。
【0033】
さらにここでは、案内帯材と、内側形材と、取付部材と、で少なくとも構成される取付システムをバッテリハウジングが有することが具体的に提案される。
【0034】
このとき、案内帯材がバッテリシェルと物質接合式および/または形状接合式に結合されることが提案され、それにより、特に取付システムで受容される特に長手方向加速度および/または横方向加速度の形態の負荷をバッテリシェルへと負荷導入するための役目を果たす案内帯材を、プラスチックからバッテリシェルが製造されている間にこれと直接的に結合することができる。
【0035】
それにより、特に挿入部品の数の低減およびこれに伴うサイクル時間ならびに自動化コストの低減によって、製造のためのコストをいっそう削減することができ、取付システムとバッテリシェルとの間で確実な結合を実現することができる。
【0036】
さらに、案内形材に対する形状接合式または物質接合式の結合によってバッテリシェルを補強することができ、それにより一方では、取付システムに導入される負荷をバッテリシェルへと良好かつ均等に伝達することができ、他方では、バッテリシェルをそれ自体として補強することができ、それにより、考えられるバッテリシェルの歪みを好ましく低減することができる。
【0037】
任意選択の実施形態では、案内帯材とバッテリシェルとの間で付着促進剤が利用されることによって、バッテリハウジングでの案内帯材の機械的な定着を改善することができる。
【0038】
別の任意選択の実施形態では、案内帯材がバッテリハウジングとの物質接合式または形状接合式の結合の前に焼きなましされることによって、バッテリハウジングでの案内帯材の機械的な定着を改善することができる。
【0039】
別の任意選択の実施形態では、案内帯材とバッテリシェルとの間での案内帯材および/またはバッテリシェルの接触面がそれぞれの表面で予備構造化されることによって、バッテリハウジングでの案内帯材の機械的な定着を改善することができる。
【0040】
このとき特に案内帯材の接触面が、すなわちバッテリシェルとの間で形状接合することが予定される面が、予備構造化されることが提案される。
【0041】
さらに1つの実施形態では、バッテリシェルが案内帯材との接触面で、すなわち案内帯材と形状接合することが予定される面で、予備構造化されることも想定される。
【0042】
同じく1つの実施形態では、案内帯材の接触面とバッテリシェルの接触面とが両方とも予備構造化されることが考えられる。
【0043】
「予備構造化される」とは、バッテリシェルおよび/または案内帯材が構造を付与する方法によって前処理され、またはすでに予備構造化を有していることであると理解され、それによって接触面が全体として、他の点では同様に構成される案内帯材および/または他の点では同様に構成されるバッテリシェルの平坦に構成された接触面の場合よりも広くなる。
【0044】
請求項1の構成要件に基づくバッテリシェルにより、バッテリシェルの密閉性を保証することができる中断のないプラスチック壁部を有するバッテリシェルを実現できるという利点もある。
【0045】
任意選択として、バッテリシェルは射出成形法またはプレス成形法または吹込成形法によって製造される。
これに関わる概念について次に説明する:
【0046】
「射出成形法」とは造形方法であると理解され、加工されるべき材料が、特にプラスチックが、射出成形機によって液化され、鋳型すなわち射出成形金型に圧力のもとで注ぎ込まれる。射出成形金型の中で、材料が冷却および/または架橋反応により再び固体の状態へと移行し、金型を開いた後に構成部品として取り出すことができる。
【0047】
「プレス成形法」とは、成形素材が第1のステップで付属のプレス金型のキャビティに注入される造形方法であると理解され、プレス金型が第2のステップで、特に押圧ピストンを利用して閉じられる。プレス金型が閉じられることで、成形素材が、プレス金型によって設定される形状を付与される。プレス金型が焼きなましされるのが好ましい。成形素材については、ここでの関連では特に熱可塑性または熱硬化性の材料が想定され、これが場合により繊維材料とともに、特にガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などとともに、架橋する。特にプレス成形法とは、繊維材料が押出機に引き込まれ、そこですでに溶融しているマトリクスポリマーにより、特に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂により、含浸され、射出ピストンへと移送され、引き続いて成形素材としてプレス金型に投入される、直接配合法(D-LFT)であるとも理解される。
【0048】
「吹込成形法」とは、成形素材から特に射出成形によって、またはノズルからの押出によって予成形体がまず作成され、これが吹込成形金型に投入されて、その中で流体の注入によって成形される方法であると理解される。
【0049】
このようにして、請求項1に記載のバッテリシェルについて、確立されている製造方法を適用できることを実現できるという利点があり、それによってコストが節減され、製造プロセスのプロセスリスクを最小化することができる。
【0050】
好ましい実施形態では、案内帯材は少なくとも90重量%の金属の割合を有し、好ましくは少なくとも95重量%の金属の割合を有し、特別に好ましくは少なくとも98重量%の金属の割合を有する。
これに関わる概念について次に説明する:
【0051】
「金属」とは、固体および/または液体の形態で次の4通りの特徴的な金属的な物質特性を有するあらゆる物質、特に合金を意味する:導電性、熱伝導性、延性、および金属光沢。金属とは、鋼材またはアルミニウムまたは銅であると理解されるのが好ましい。
【0052】
任意選択として、案内帯材の金属割合は案内帯材の少なくとも60重量%であり、好ましくは案内帯材の金属割合は案内帯材の少なくとも70重量%であり、特別に好ましくは案内帯材の金属割合は案内帯材の少なくとも80重量%である。
【0053】
ここでは特に、案内帯材が高い表面硬度を有する、特にロックウェル硬度を有する、材料から実質的に構成されることが提案され、それにより、コンポーネントとこれに対応する案内帯材の接触面との間で取付部材により生起される摩擦接合が、案内帯材の損傷につながることがない。
【0054】
特に、案内帯材を金属材料から、好ましくはアルミニウムから、押出成形することができることが提案される。このようにして、比較的複雑なジオメトリーを有する案内帯材の横断面を比較的簡易に製作することができる。このことは、取付システムの必要性に合わせた案内帯材の横断面のいっそうの適合化を可能にする。特に案内帯材が押出成形されることで、第1の領域にバッテリシェルと案内帯材との間の形状接合式の結合のためのアンダーカットを有するだけでなく、第2の領域に内側形材と案内帯材との形状接合式の結合のためのアンダーカットも有する、横断面を有する案内帯材を実現することができる。
【0055】
さらに、実質的に金属で製作された案内帯材を、案内帯材と少なくとも間接的に結合されるコンポーネントのための、車両アースとの接地経路として利用することも同じく想定される。
【0056】
このようにして、一方では摩擦接合に基づく可塑変形を生じる傾向がなく、それと同時に良好な電気導体である硬質の材料によって、案内帯材を実現できるという利点があり、それにより、案内帯材を接地経路としても利用できるという利点がある。さらに、そのようにして案内帯材を押出成形することができ、そのようにして、案内帯材について複雑な機能的な横断面も可能であることを実現できるという利点がある。
【0057】
明文をもって指摘しておくと、案内帯材の金属割合についての上記の値は厳密な限度として理解されるべきものではなく、むしろ、記載されている本発明の態様から逸脱することなく、技術者が判断できる程度にこれを上回ることができ、または下回ることができる。簡単な言葉で言うと、値は案内帯材の金属割合について、ここで提案される範囲の広さについての手がかりを提供するためのものである。
【0058】
任意選択の実施形態では、案内帯材は少なくとも90重量%のプラスチックの割合を有し、好ましくは少なくとも95重量%のプラスチックの割合を有し、特別に好ましくは少なくとも98重量%のプラスチックの割合を有する。
これに関わる概念について次に説明する:
【0059】
「プラスチック」とは、主としてマクロ分子からなる材料であると理解される。特にプラスチックとは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、またはエラストマーであると理解される。
【0060】
任意選択として、案内帯材のプラスチック割合は案内帯材の少なくとも60重量%であり、好ましくは案内帯材のプラスチック割合は案内帯材の少なくとも70重量%であり、特別に好ましくは案内帯材のプラスチック割合は案内帯材の少なくとも80重量%である。
【0061】
ここでは代替的に、主としてプラスチックからなる、特にポリアミドからなる、案内帯材が提案される。この場合、ポリマーに加えて繊維割合も有する案内帯材が想定されるのも好ましい。
【0062】
さらにこのとき具体的には、ここで提案される案内帯材が、バッテリシェルが成形されるプラスチックと適合的であるプラスチックを有することも想定され、それにより、バッテリシェルと案内帯材との間の物質接合を実現することができる。
【0063】
そのようにプラスチックが利用されることで、複雑な機能的な横断面を有することができ、確立されている製造方法で製造することができる、比較的軽量の案内帯材を実現できるという利点がある。さらに、それによって案内帯材へと物質接合式に移行するバッテリシェルを間接的に実現できるという利点がある。
【0064】
明文をもって指摘しておくと、案内帯材のプラスチック割合についての上記の値は厳密な限度として理解されるべきものではなく、むしろ、記載されている本発明の態様から逸脱することなく、技術者が判断できる程度にこれを上回ることができ、または下回ることができる。簡単な言葉で言うと、値は案内帯材のプラスチック割合について、ここで提案される範囲の広さについての手がかりを提供するためのものである。
【0065】
内側形材は少なくとも90重量%の金属の割合を有するのが好ましく、好ましくは少なくとも95重量%の金属の割合を有し、特別に好ましくは少なくとも98重量%の金属の割合を有する。
【0066】
任意選択として、内側形材の金属割合は内側形材の少なくとも60重量%であり、好ましくは内側形材の金属割合は内側形材の少なくとも70重量%であり、特別に好ましくは内側形材の金属割合は内側形材の少なくとも80重量%である。
【0067】
ここで具体的には、実質的に金属からなる、特に鋼材、アルミニウム、または銅からなる、内側形材が提案される。
【0068】
そのようにして、確立されている製造方法によって、特に押出成形や圧延によって、簡易に製造可能な内側形材を実現できるという利点があり、このような内側形材は一方では低コストであり、他方では高い硬度を有しており、それにより、取付部材を介して点状に導入される力を取付システムの構造へ良好に、およびそれに伴ってバッテリシェルへも間接的に、伝達することができる。
【0069】
さらにこのようにして、取付システムによって取り付けられるコンポーネントのための接地経路として、内側形材を利用できることを実現できるという利点がある。
【0070】
明文をもって指摘しておくと、内側形材の金属割合についての上記の値は厳密な限度として理解されるべきものではなく、むしろ、記載されている本発明の態様から逸脱することなく、技術者が判断できる程度にこれを上回ることができ、または下回ることができる。簡単な言葉で言うと、値は内側形材の金属割合について、ここで提案される範囲の広さについての手がかりを提供するためのものである。
【0071】
任意選択として、少なくとも1つの取付部材が内側形材に圧入される。
これに関わる概念について次に説明する:
【0072】
「圧入される」とは、接合部品と接合相手とが接合されるときに実質的に弾性的にのみ変形し、接合後に接合部品と接合相手との意図されない緩みが摩擦接合によって防止される接合方法を意味する。接合部品と接合相手との間で、長手方向力と横方向力とを摩擦接合式に伝達することができるのが好ましい。
【0073】
このとき具体的には、内側形材に圧入されるねじ付きスリーブなどが想定され、それによって取付部材を、特にねじ付きスリーブを、内側形材と紛失不能に結合することができる。さらにそのようにして、取付部材へ点状に導入される力を、特に高いダイナミクス成分を含むことがある力を、内側形材へと良好に伝達できることを実現できるという利点がある。
【0074】
好ましい実施形態では、内側形材は案内帯材に対して少なくとも1つの並進的な自由度を有し、好ましくは少なくとも2つの並進的な自由度を有し、特別に好ましくは3つの並進的な自由度を有する。
これに関わる概念について次に説明する:
【0075】
「並進的な自由度」とは、空間中のある物体の1つの方向への並進的な運動自由度を意味する。
【0076】
このとき具体的には、特に、少なくとも対応する取付部材を介して力が内側形材へと導入されない限り、案内帯材と内側形材との間に摩擦接合が存在しないことが提案される。
【0077】
それにより、内側形材を案内帯材へ容易に挿入することができる。
【0078】
さらに、内側形材は少なくとも1つの並進的な自由度をもって、好ましくは2つの並進的な自由度をもって、特別に好ましくは3つの並進的な自由度をもって、案内帯材に支持されることが提案される。それにより、コンポーネントを組み付けるときにコンポーネントとバッテリシェルとの間の公差補正のために利用することができる運動性が内側形材と案内帯材との間で生じ、それにより、トラクションバッテリの組立時間を短縮することができる。
【0079】
トラクションバッテリの組立を簡易化することができ、バッテリシェルに要求される形状公差と位置公差とを増やすことができるという利点があり、それにより、プラスチックから成形されるバッテリシェルの製造コストも削減することができる。
【0080】
内側形材および/または案内帯材がコンポーネントと車両アースとの間の導電性の結合部を有することによって、1つの好ましい実施形態を具体化することができる。
これに関わる概念について次に説明する:
【0081】
「導電性の結合部」とは、電流を導通することができ2つの物体の間のあらゆる結合部を意味する。
【0082】
「車両アース」とは、電流に対して伝導性のある物体であって、すべての信号電圧と動作電圧についての基準電位として割り当てられるものを意味する。
【0083】
このようにして機能統合を行うことができるという利点があり、それにより、コンポーネントの固定および接地という機能を取付システムによって担うことができる。
【0084】
そのようにして構成部品を節減し、組立時間を短縮することができるという利点があり、それによって全体としてコスト削減がもたらされる。
【0085】
本発明の第2の態様によると、請求項1の構成要件を有するバッテリシェルを有するトラクションバッテリ、特に自動車のためのトラクションバッテリが課題を解決し、請求項1に従属する請求項の構成要件を有するバッテリシェルによって、好ましい実施形態を実現することができる。
【0086】
当然ながら、上に説明したバッテリシェルの利点は、このような種類のバッテリシェルのトラクションバッテリにも、特に自動車のためのトラクションバッテリにも、そのまま当てはめることができる。
【0087】
明文をもって指摘しておくと、第2の態様の対象物は本発明の上述した各態様の対象物と、単独でも任意の組合せで累積的にも、好ましく組合せ可能である。
【0088】
本発明の第3の態様によると、請求項1の構成要件を有するバッテリシェルを有する自動車が課題を解決し、請求項1に従属する請求項の構成要件を有するバッテリシェルによって、好ましい実施形態を実現することができる。
これに関わる概念について次に説明する:
【0089】
「自動車」とは、エンジンによって駆動される車両を意味する。自動車はレールを走行するのでなく、または少なくとも恒常的に軌道を走行するのではないのが好ましい。
【0090】
当然ながら、上に説明したバッテリシェルの利点は、このような種類のバッテリシェルを有する自動車にもそのまま当てはめることができる。
【0091】
明文をもって指摘しておくと、第3の態様の対象物は本発明の上述した各態様の対象物と、単独でも任意の組合せで累積的にも、好ましく組合せ可能である。
【0092】
本発明のその他の利点、具体的事項、および構成要件は、以下に説明する実施例から明らかとなる。個別には次のものが示されている:
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】従来技術に基づくトラクションバッテリのバッテリシェルを模式的に示しており、バッテリシェルは実質的に金属からなる。
図2】従来技術に基づくバッテリシェルを模式的に示す詳細図である。
図3】取付システムを有する、プラスチックからなるバッテリシェルを模式的に示す。
図4】取付システムが底面近くに配置されている、プラスチックからなるバッテリシェルのための取付システムを模式的に示す。
図5】プラスチックからなるバッテリシェルのための取付システムを模式的に示し、ここでは取付システムはさらに高い配置で施工されている。
図6】取付システムを断面図で模式的に示す。
図7】バッテリシェルに統合された取付システムの詳細図を模式的に示す。
図8】バッテリシェルに統合された取付システムの別の詳細図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0094】
以下の説明では、同じ符号は同じ構成部品ないし同じ構成要件を表しており、したがって、1つの図面に関して行った1つの構成部品に関わる説明は他の図面についても該当するので、繰り返して説明することは回避する。さらに、1つの実施形態との関連で説明した個々の構成要件は、別の実施形態においても別個に適用可能である。
【0095】
図1の従来技術に基づくトラクションバッテリ(符号なし)のバッテリシェル10は、実質的に金属で製作されている。
【0096】
バッテリシェル10は、コンポーネント30を取り付けて保護するためにセットアップされている。特にトラクションバッテリ(符号なし)を搭載した車両(図示せず)の長手方向加速度および/または横方向加速度が生じたときに発生する場合がある慣性力を受容して導出するために、あらゆる動作条件のもとで、かつトラクションバッテリ(符号なし)の耐用期間を通じて、バッテリシェル10へのコンポーネント30の確実な固定には大きな意義がある。このことは、特に高い重量を有しているコンポーネント30について該当する。
【0097】
トラクションバッテリ(符号なし)のコンポーネント30は、図1のバッテリシェル10に多数の取付部材(符号なし)によって、特にねじによって、取り付けられている。取り付けられるべきコンポーネント30の個数が多いことに基づき、バッテリシェル10とコンポーネント30とを取り付けるためには、個数の多い取付部材(符号なし)が必要となる。
【0098】
図2のトラクションバッテリ(符号なし)は、基本的に、ねじの形態の取付部材26によってコンポーネント30がバッテリシェル10に取り付けられるように製作されている。ここではバッテリハウジング10は実質的に金属からフレーム構造で製作されており、それにより、ねじ26の形態の取付部材26が金属フレーム(符号なし)にねじ込まれ、特に、金属フレーム(符号なし)の横方向支持体(符号なし)にねじ込まれる。
【0099】
従来技術で知られるこのような種類の解決法では、各々の取付部材26について厳しい公差の遵守が重要になるので、高い投資コストおよび単位あたりコストという形態で現れる高い製造コストが生じる。
【0100】
図3の本発明によるバッテリシェル10は、実質的にプラスチックから成形されている。このときプラスチックは、単層で成形されていても多層で成形されていてもよい。特に、バッテリシェル10はバリア層(図示せず)を有することができる。
【0101】
図3のバッテリシェル10は、射出成形法、プレス成形法、吹込成形法などによって成形されるのが好ましい。
【0102】
バッテリシェル10は、コンポーネント(図示せず)をバッテリシェル10に取り付けるためにセットアップされた、多数の案内帯材22を有している。
【0103】
案内帯材22は横方向支持体(符号なし)の上に、かつ、それに伴ってバッテリシェル10の底面(符号なし)よりも高く配置されている。横方向支持体(符号なし)も同じくプラスチックから、バッテリシェル10とともに成形されている。横方向支持体(符号なし)の高くなった施工形態は、コンポーネント(図示せず)の組付を簡易化し、その際に、長手方向力および/または横方向力が発生したときにコンポーネント(図示せず)がバッテリシェル10に対して滑り得ないことを助ける。
【0104】
ここでは特に、案内帯材22が形状接合および/または物質接合を通じてバッテリシェル10と結合されることが特に想定される。案内帯材22とバッテリシェル10との間の形状接合は、特に、バッテリシェル10が製作されるプラスチックと案内帯材22との物理的な噛合によって惹起することができる。特に、案内帯材22はそのためにアンダーカット(図示せず)を有することができる。
【0105】
図4の取付システム20は、実質的に、形状接合によってバッテリシェル10と結合される案内帯材22と、内側形材24と、複数の取付部材26と、で構成されている。
【0106】
案内帯材22とバッテリシェル10との間の形状接合は、案内帯材22にあるアンダーカット(符号なし)によって成立する。ここではアンダーカット(符号なし)は、バッテリシェル10を成形するプラスチックが、バッテリシェル10の成形時に案内帯材22の領域に入り込むことができ、その際に案内帯材22のアンダーカット(符号なし)の周囲を流れることができるようにして成形されている。プラスチックが硬化するとき、このようにしてバッテリシェル10と案内帯材22との物理的な噛合が生じる。
【0107】
バッテリシェル10のプラスチック壁部(符号なし)は、取付システム20の領域で中断なしに製作されており、それによってバッテリシェル10の密閉性を保証することができる。
【0108】
バッテリシェル10と取付システム20との間での配置は、案内帯材22がバッテリシェル10の底面近くに配置されるように製作されている。
【0109】
内側形材24は金属で製作されるのが好ましいが、その代替としてプラスチックで製作されていてもよい。
【0110】
内側形材24は、金属で製作される限りにおいて、接地経路として利用することができ、それにより、少なくとも間接的に互いに結合されたコンポーネント(図示せず)を、内側形材24により自動車アースと電気的に接続することができる。
【0111】
その代替として、金属から製作される案内帯材22も、コンポーネント(図示せず)のための接地経路として利用することができる。
【0112】
内側形材24は、長手方向で案内帯材へ挿入することができるように構成されている。このとき内側形材24と案内帯材22との間の空間的なクリアランスは、内側形材24と案内帯材22との間で少なくとも1つの並進的な自由度40,42が形成されるように製作されるのが好ましく、それにより、内側形材24と案内帯材22との間で摩擦接合が生じることがなく、内側形材24を少なくとも1つの方向へ案内帯材22の内部でスライドさせることができる。
【0113】
好ましい実施形態では、内側形材24は案内帯材22に対して少なくとも2つの並進的な自由度40,42を有し、特別に好ましくは3つの並進的な自由度40,42を有し、それにより、内側形材24を案内帯材22の内部で限られた範囲内で少なくとも2つの空間方向へ、さらに好ましくは3つの空間方向へ、自由に動かすことができ、それによって内側形材24と案内帯材22との間のいかなる摩擦接合も、コンポーネント(図示せず)と内側形材24との間の結合およびこれに伴って生じる案内帯材22と内側形材24との間の初期応力によってしか惹起され得ず、それは特に、コンポーネント(図示せず)と内側形材24との間の少なくとも間接的なねじ止めによってであり、好ましくは、取付部材26とコンポーネント(図示せず)との間のねじ止めによってである。
【0114】
バッテリシェル10の製造時には、バッテリシェル10がプラスチックから成形される前に、内側形材24が案内帯材22に挿入されることが意図されていてよい。
【0115】
内側形材24は、1つまたは複数の取付部材26を有することができる。取付部材26は、内側形材24に成形された雌ねじ(図示せず)であり得るのが好ましい。取付部材26は、ねじ付きインサート26であり得るのも好ましい。取付部材26は、内側形材24に圧入されるのが好ましい。
【0116】
取付部材26は、取付部材26とコンポーネント(図示せず)との間でセンタリングをするためにセットアップされたテーパ部を有しており、それにより、特にコンポーネント(図示せず)と取付部材26との間の結合個所で、トラクションバッテリ(図示せず)の組立も簡易化することができる。
【0117】
取付部材26は、特に取付部材26とともに間接的に取り付けられるコンポーネント(図示せず)との固定的な結合によって、およびこれに伴う取付部材26と内側形材24との間の初期応力によって、内側形材24と物理的な噛合を行うためにセットアップされたアンダーカット(符号なし)を有するのが好ましい。
【0118】
取付部材26にあるこのような種類のアンダーカット(符号なし)は、さらに、特に内側形材24が案内帯材22から引き出されない限りにおいて、取付部材26が取付システム20と紛失不能に結合されることを帰結することができる。
【0119】
全体として取付システム20は、コンポーネント(図示せず)とバッテリシェル10との間の確実で恒久的な結合を可能にするためにセットアップされており、コンポーネント(図示せず)とバッテリシェル10との間で場合により生じる公差(図示せず)を、取付システム20によって、特に案内帯材22と内側形材24との間の並進的な自由度40,42によって、補正することができる。
【0120】
図5の取付システム20は、実質的に、バッテリシェル10と形状接合によって結合される案内帯材22と、内側形材24と、複数の取付部材26と、で構成されている。
【0121】
図5の案内帯材22は、図4の案内帯材22とは異なり、バッテリシェル10の底面(符号なし)に対して高く案内帯材22が配置されるように配置されている。
【0122】
バッテリシェル10のプラスチックは多層で(符号なし)製作されており、特に、バッテリシェルからバッテリの周囲への、またはバッテリの周囲からバッテリへの、物質の浸透を防止するためにセットアップされたバリア層(符号なし)を有している。
【0123】
図6の取付システム20は、実質的に、案内帯材22(断面で図示)と、内側形材24(断面で図示)と、取付部材26と、を有している。
【0124】
取付システム20は、バッテリシェル10と案内帯材22との間の形状接合によって、バッテリシェル10と結合されている。
【0125】
取付部材26とコンポーネント30とは互いに対応するテーパ部(符号なし)を有していて、これがコンポーネント30と取付部材26との間のセンタリングを助け、それによってコンポーネント30の組付を簡易化することができる。そのために、ねじ付きスリーブ26が案内帯材22の上面(符号なし)の上で載置面(符号なし)から突出し、そのようにして、コンポーネント30に形状接合式に入り込むようにセットアップされている。
【0126】
取付部材26は、ねじ付きスリーブ26とねじ26とで構成されるのが好ましい。
【0127】
図7の取付システム20は、実質的に、バッテリシェル10と形状接合によって結合される案内帯材22と、内側形材24と、取付部材26と、で構成される。
【0128】
プラスチックからバッテリシェル10が成形されるときに形状を付与する金型(図示せず)は、案内帯材22の端部のところで、バッテリシェル10の壁部(符号なし)と案内帯材22との間に移行領域14が生じるように成形されている。このようにして、バッテリシェル10を成形するとき、内側形材24が案内帯材22によって案内される取付システム20の領域(符号なし)に、プラスチックが入るのを防止できるという利点がある。
【0129】
図8の取付システム20は、実質的に、バッテリシェル10と形状接合によって結合される案内帯材22と、内側形材24と、取付部材26と、で構成される。
【0130】
バッテリシェル10が成形される前に案内帯材22が栓16によって側方で閉止され、それは、バッテリシェル10がプラスチックから成形されるとき、内側形材24が案内帯材22によって案内される取付システム20の領域(符号なし)にプラスチックが入らないようにするためである。
【0131】
栓16は、バッテリシェル10のプラスチックと適合性のあるプラスチックからなるのが好ましく、それにより栓の領域で、バッテリシェル10と栓16との間に物質接合を実現することができる。
[付記項1]
バッテリシェル(10)、特にトラクションバッテリのバッテリシェル(10)であって、前記バッテリシェル(10)はプラスチックから成形され、前記バッテリシェル(10)は前記バッテリシェル(10)とコンポーネント(30)を取り付けるための取付システム(20)を有する、バッテリシェルにおいて、
前記取付システム(20)は、案内帯材(22)と、内側形材(24)と、取付部材(26)と、を有し、前記案内帯材(22)は前記バッテリシェル(10)と物質接合式および/または形状接合式に結合され、前記内側形材(24)は前記案内帯材(22)によって案内され、前記取付部材(26)は前記コンポーネント(30)と前記内側形材(24)との間の結合を成立させるためにセットアップされることを特徴とする、バッテリシェル。
[付記項2]
前記バッテリシェル(10)は射出成形法またはプレス成形法または吹込成形法によって製造されることを特徴とする、付記項1に記載のバッテリシェル(10)。
[付記項3]
前記案内帯材(22)は少なくとも90重量%の金属の割合を有し、好ましくは少なくとも95重量%の金属の割合を有し、特別に好ましくは少なくとも98重量%の金属の割合を有することを特徴とする、付記項1または2のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)。
[付記項4]
前記案内帯材(22)は少なくとも90重量%のプラスチックの割合を有し、好ましくは少なくとも95重量%のプラスチックの割合を有し、特別に好ましくは少なくとも98重量%のプラスチックの割合を有することを特徴とする、付記項1または2のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)。
[付記項5]
前記内側形材(24)は少なくとも90重量%の金属の割合を有し、好ましくは少なくとも95重量%の金属の割合を有し、特別に好ましくは少なくとも98重量%の金属の割合を有することを特徴とする、付記項1から4のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)。
[付記項6]
少なくとも1つの前記取付部材(26)が前記内側形材(24)に圧入されることを特徴とする、付記項1から5のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)。
[付記項7]
前記内側形材(24)は前記案内帯材(22)に対して少なくとも1つの並進的な自由度(40,42)を有し、好ましくは少なくとも2つの並進的な自由度(40,42)を有し、特別に好ましくは3つの並進的な自由度(40,42)を有することを特徴とする、付記項1から6のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)。
[付記項8]
前記内側形材(24)および/または前記案内帯材(22)が前記コンポーネント(30)と車両アースとの間に導電性の結合部を有することを特徴とする、付記項1から7のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)。
[付記項9]
付記項1から8のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)を有するトラクションバッテリ、特に自動車のためのトラクションバッテリ。
[付記項10]
付記項1から8のいずれか1項に記載のバッテリシェル(10)を有する自動車。
【符号の説明】
【0132】
10 バッテリシェル
12 定着部
14 移行領域
16 栓
20 取付システム
22 案内帯材
24 内側形材
26 取付部材
30 コンポーネント
40 並進的な自由度
42 並進的な自由度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】