(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110976
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】組織へアブレーションエネルギーを送達するためのシステム、装置、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20240808BHJP
A61N 1/362 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A61B18/12
A61N1/362
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024084161
(22)【出願日】2024-05-23
(62)【分割の表示】P 2020561880の分割
【原出願日】2019-05-07
(31)【優先権主張番号】62/667,950
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/733,968
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスワナータン,ラジュ
(57)【要約】
【課題】不可逆的電気穿孔により組織をアブレーションするためのシステムを提供すること。
【解決手段】システムは、パルス波形発生器と、パルス波形発生器に結合されるアブレーションデバイスとを含む。アブレーションデバイスが、使用中に組織へアブレーションパルスを送達するために構成される、少なくとも1つの電極を含む。パルス波形発生器が、パルス波形の形態で、アブレーションデバイスへ電圧パルスを送達するように構成される。パルス波形が、複数レベルの階層を含むことができ、電極の複数セットは、パルスによる送達を、互いにインターリーブするように作動することができる。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の中の組織をアブレーションするため、電界を生成するように構成される複数の電極を含む、アブレーションデバイスと、
前記アブレーションデバイスに結合可能で、パルス波形の形態で、前記アブレーションデバイスへ電圧パルスを送達するように構成される、パルス波形発生器であって、前記パルス波形が、
パルスの第1のセットと、前記パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、前記パルス波形の階層の第1のレベルであって、前記パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有する、第1のレベルと、
パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、前記パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含む、前記階層の第2のレベルであって、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間である、第2のレベルと、
前記階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、前記パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2の時間遅延の少なくとも30倍の期間であり、
パルスの第4のセットとしてパルスの複数の第3のセットと、前記パルスの複数の第3のセットのうちのパルスの連続する第3のセットを分離する、第4の時間遅延とを含む、前記階層の第4のレベルであって、各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間である、第4のレベルと、を含む、パルス波形発生器とを備える、システム。
【請求項2】
パルスの各第1のセットの各パルスが、各々少なくとも500ボルトの電圧振幅を持つ二相パルスを含み、各二相パルスの前記パルス持続時間が、約0.5ナノ秒から約20マイクロ秒までの範囲である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記パルスの第4のセットが、パルスの少なくとも2つの第3のセット、およびパルスの40個未満の第3のセットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
各第4の時間遅延は、一定の期間を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第4の時間遅延の期間が異なり、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第4の時間遅延が、少なくとも1つの時間遅延の繰り返し値を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間から、第3の時間遅延の1000倍未満の期間まで広がる範囲内の期間を有する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
各第4の時間遅延の期間が、心臓の心周期より大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記パルス波形がさらに、パルスの第5のセットとしてパルスの複数の第4のセットと、前記パルスの複数の第4のセットのうちのパルスの連続する第4のセットを分離する、第5の時間遅延とを含む、前記階層の第5のレベルを含み、各第5の時間遅延が、前記第4の時間間隔のうちの少なくとも1つの少なくとも10倍の期間である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記パルスの複数の第2のセットのパルスの連続する第2のセットが、心臓の別個の心周期の不応期中に送達されるように、前記パルス波形発生器が、前記心臓の心周期に同調して、前記パルス波形の前記形態で前記電圧パルスを送達するように構成され、前記パルスの第4のセットの送達枠は、前記心臓の複数の心周期にわたって広がる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
パルスの各第2のセットが、パルスの少なくとも2つの第1のセット、およびパルスの40個未満の第1のセットを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記心臓の前記心周期のタイミングを制御するため、ペーシング信号を生成するように構成される心臓刺激装置をさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記パルス波形発生器がさらに、前記アブレーションデバイスの複数の電極セットへ、前記電圧パルスを送達するように構成され、第1の電極セットへ送達される電圧パルスが、第2の電極セットへの電圧パルス送達から、ある時間だけずれている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
対象の中の組織をアブレーションするため、電界を生成するように構成される複数の電極を含む、アブレーションデバイスと、
前記アブレーションデバイスに結合可能なパルス波形発生器であって、前記パルス波形発生器が、複数の電極セットにわたって送達されている電圧パルスをインターリーブすることによって、パルス波形の形態で前記電圧パルスを、前記アブレーションデバイスへ送達するように構成され、前記パルス波形が、
パルスの第1のセットと、前記パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、前記パルス波形の階層の第1のレベルであって、前記パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有する、第1のレベルと、
パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、前記パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含む、前記階層の第2のレベルであって、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間である、第2のレベルと、を含み、
前記階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、前記パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2のレベルの時間遅延の少なくとも30倍の期間である、パルス波形発生器とを備える、システム。
【請求項15】
パルスの各第1のセットの各パルスが、各々少なくとも500ボルトの電圧振幅を持つ二相パルスを含み、各二相パルスの前記パルス持続時間が、約0.5ナノ秒から約20マイクロ秒までの範囲である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記パルス波形発生器が、前記複数の電極セットのうちの第2の電極セットへの電圧パルスの送達から、ある時間だけずれて、前記複数の電極セットのうちの第1の電極セットへ、電圧パルスを送達することによって、前記電圧パルスを送達するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2の電極セットへ送達されるパルスの連続する第1のセットが、前記第1の電極セットへ送達されるパルスの連続する第1のセットに続くように、前記第1の電極セットへの電圧パルスの前記送達と、前記第2の電極セットへの電圧パルスの前記送達とをずらす前記ある時間が、前記第2の時間遅延の前記期間より少ない、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の電極セットへの電圧パルスの前記送達と、前記第2の電極セットへの電圧パルスの前記送達とをずらす前記ある時間が、前記第2の時間遅延の前記期間の約55パーセント未満である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記パルス波形発生器が、心臓の心周期に同調して、前記電圧パルスを送達するように構成され、それによって、所与の電極セットに対する、前記パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットが、前記心臓の別個の心周期の不応期中に送達され、前記複数の電極セットのうちの少なくとも2つの電極セットへ送達される、前記パルスの第2のセットが、単一の不応期中に送達される、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記心臓の前記心周期のタイミングを制御するため、ペーシング信号を生成するように構成される心臓刺激装置をさらに含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
パルス波形の形態で電圧パルスを生成することであって、前記パルス波形が、
パルスの第1のセットと、前記パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、前記パルス波形の階層の第1のレベルであって、前記パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有する、第1のレベルと、
パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、前記パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含む、前記階層の第2のレベルであって、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間である、第2のレベルと、
前記階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、前記パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2のレベルの時間遅延の少なくとも30倍の期間であり、
パルスの第4のセットとしてパルスの複数の第3のセットと、前記パルスの複数の第3のセットのうちのパルスの連続する第3のセットを分離する、第4の時間遅延とを含む、前記階層の第4のレベルであって、各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間である、第4のレベルと、
を含むことと、
1つ以上の電極セットが、対象の中の組織をアブレーションするためパルス電界を生成するように、アブレーションデバイスの前記1つ以上の電極セットへ、前記電圧パルスを送達することと、を含む方法。
【請求項22】
前記パルスの第4のセットが、パルスの少なくとも2つの第3のセット、およびパルスの40個未満の第3のセットを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第4の時間遅延の期間が異なり、各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間から、第3の時間遅延の1000倍未満の期間まで広がる範囲内の期間を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
心臓刺激装置でペーシング信号のセットを生成することと、
心臓へ前記ペーシング信号のセットを送達することとをさらに含み、
前記パルスの複数の第2のセットのパルスの各第2のセットが、前記ペーシング信号のセットの各ペーシング信号に関連する不応期中に送達されるように、前記電圧パルスが、前記ペーシング信号のセットに同調して送達され、前記パルスの第4のセットの送達枠は、前記心臓の複数の心周期にわたって広がる、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
各第4の時間遅延の期間が、前記ペーシング信号のセットから、成功ペーシング信号を分離する、ある時間より大きい、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記パルス波形がさらに、パルスの第5のセットとしてパルスの複数の第4のセットと、前記パルスの複数の第4のセットのうちのパルスの連続する第4のセットを分離する、第5の時間遅延とを含む、前記階層の第5のレベルを含み、各第5の時間遅延が、前記第4の時間間隔のうちの少なくとも1つの少なくとも10倍の期間である、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
パルス波形の形態で電圧パルスを生成することであって、前記パルス波形が、
パルスの第1のセットと、前記パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、前記パルス波形の階層の第1のレベルであって、前記パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有する、第1のレベルと、
パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、前記パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含む、前記階層の第2のレベルであって、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間である、第2のレベルと、を含み、
前記階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、前記パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2のレベルの時間遅延の少なくとも30倍の期間であることと、
1つ以上の電極セットが、対象の中の組織をアブレーションするためパルス電界を生成するように、アブレーションデバイスの複数の電極セットへ前記電圧パルスを、前記複数の電極セットの前記電極セットのうちの少なくとも2つへ送達される、前記電圧パルスをインターリーブすることによって、送達することと、を含む、方法。
【請求項28】
前記電圧パルスが、前記少なくとも2つの電極セットのうちの第2の電極セットへの前記電圧パルスの送達から、ある時間だけずれて、前記少なくとも2つの電極セットのうちの第1の電極セットへ送達される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の電極セットへの電圧パルスの前記送達と、前記第2の電極セットへの電圧パルスの前記送達とをずらす前記ある時間が、前記第2の時間遅延の前記期間の約55パーセント未満である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
心臓刺激装置でペーシング信号のセットを生成することと、
心臓へ前記ペーシング信号のセットを送達することとをさらに含み、
前記ペーシング信号のセットに同調して送達される前記電圧パルスが、前記パルスの複数の第2のセットのパルスの各第2のセットを、前記ペーシング信号のセットの別個のペーシング信号に関連する不応期中に送達するようであり、前記複数の電極セットのうちの少なくとも2つの電極セットへ送達されるパルスの前記第2のセットが、単一の不応期中に送達される、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「SYSTEMS, APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、2018年9月20日出願の米国仮出願第62/733,968号、および「SYSTEMS, APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、2018年5月7日出願の米国仮出願第62/667,950号の利益を主張する。本出願はまた、「SYSTEMS, APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、2017年10月27日出願の米国特許出願第15/796,375号にも関係し、該出願は、「METHOD AND APPARATUS FOR DELIVERY OF PULSED ELECTRIC FIELD ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、2016年1月5日出願の米国仮出願第62/274,926号の優先権を主張する、「SYSTEMS, APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、2016年10月19日出願のPCT出願第PCT/US2016/057664号の継続出願である、「SYSTEMS, APPARATUSES AND METHODS FOR DELIVERY OF ABLATIVE ENERGY TO TISSUE」と題する、2016年10月26日出願の米国特許出願第15/334,646号の分割出願である。前述の出願の各々の開示全体は、参照することによってその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
組織治療のためのパルス電界の生成は、過去20年で研究室から臨床応用へと進展してきた一方で、高電圧および高電界の短いパルスが組織に及ぼす影響については、過去40年間以上調査されている。通常1センチメートルあたり数百ボルトの範囲で局所的に高電界を生成することができる、短く高いDC電圧を組織に印加すると、細胞膜の中に細孔が生成されることによって、細胞膜が破壊されうる。この電気的に駆動される細孔生成、すなわち電気穿孔の正確なメカニズムは、明らかではないものの、比較的高電界の印加によって、細胞膜の脂質二重層に不安定性が生成され、膜の中に局所的なギャップまたは細孔の分布を発生させると考えられている。膜に印加される電界が閾値より大きい場合、電気穿孔は不可逆的であることができ、細孔が開いたままとなって、膜全体で生体分子材料の交換が可能となり、壊死および/またはアポトーシス(細胞死)をもたらす。続いて、周囲の組織は自然なプロセスで治癒する。
【0003】
したがって、医学において既知である電気穿孔の適用および送達方法は、特に、カテーテルデバイスによる不整脈のアブレーション治療という観点では、高電圧の印加、電極の順序づけ、組織の選択性、および安全なエネルギー送達に対応しない。さらに、健康な組織への障害を最小化しながら、同時に、高DC電圧電気穿孔アブレーション治療を選択的に、関心領域の中の組織へ効果的に送達できる、薄く可撓性のある非侵襲的なデバイスへの、ならびに効果的で安全かつ迅速な臨床手順が可能になり、最小限のデバイスの再位置づけまたは再位置づけの不要に関与する、デバイス設計および投与波形の組み合わせへの満たされていないニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載するのは、不可逆的電気穿孔により組織をアブレーションするためのシステム、デバイス、および方法についてである。いくつかの実施形態では、システムは、対象、例えば、心臓の構造の中にある組織をアブレーションするため、電界を生成するように構成される複数の電極を含む、アブレーションデバイスを含むことができる。パルス波形発生器は、アブレーションデバイスに結合可能であり、パルス波形の形態で、アブレーションデバイスへ電圧パルスを送達するように構成されてもよい。パルス波形が、パルスの第1のセットと、パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、パルス波形の階層の第1のレベルを含み、パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有してもよい。階層の第2のレベルは、パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含み、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間であってもよい。階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2の時間遅延の少なくとも30倍の期間であってもよい。階層の第4のレベルは、パルスの第4のセットとしてパルスの複数の第3のセットと、パルスの複数の第3のセットのうちのパルスの連続する第3のセットを分離する、第4の時間遅延とを含み、各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間であってもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、パルスの各第1のセットの各パルスが、各々少なくとも500ボルトの電圧振幅を持つ二相パルスを含み、各二相パルスのパルス持続時間が、約0.5ナノ秒から約20マイクロ秒までの範囲である。いくつかの実施形態では、パルスの第4のセットが、パルスの少なくとも2つの第3のセット、およびパルスの40個未満の第3のセットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、各第4の時間遅延は一定の期間を有してもよい。いくつかの実施形態では、第4の時間遅延の期間が異なる。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第4の時間遅延が、少なくとも1つの時間遅延の繰り返し値を含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間から、第3の時間遅延の1000倍未満の期間まで広がる範囲内の期間を有する。いくつかの実施形態では、各第4の時間遅延の期間が、心臓の心周期より大きくてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、パルス波形がさらに、パルスの第5のセットとしてパルスの複数の第4のセットと、パルスの複数の第4のセットのうちのパルスの連続する第4のセットを分離する、第5の時間遅延とを含む、階層の第5のレベルを含み、各第5の時間遅延が、第4の時間間隔のうちの少なくとも1つの少なくとも10倍の期間である。いくつかの実施形態では、パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットが、心臓の別個の心周期の不応期中に送達されるように、パルス波形発生器が、心臓の心周期に同調して、パルス波形の形態で電圧パルスを送達するように構成され、パルスの第4のセットの送達枠は、心臓の複数の心周期にわたって広がってもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、パルスの各第2のセットが、パルスの少なくとも2つの第1のセット、およびパルスの40個未満の第1のセットを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、心臓刺激装置は、心臓の心周期のタイミングを制御するため、ペーシング信号を生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、パルス波形発生器がさらに、アブレーションデバイスの複数の電極セットへ、電圧パルスを送達するように構成され、第1の電極セットへ送達される電圧パルスが、第2の電極セットへの電圧パルス送達から、ある時間だけずれていてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、システムは、対象の中の組織をアブレーションするため、電界を生成するように構成される複数の電極を含む、アブレーションデバイスを含んでもよい。パルス波形発生器は、アブレーションデバイスに結合可能であってもよい。パルス波形発生器が、複数の電極セットにわたって送達されている電圧パルスをインターリーブすることによって、パルス波形の形態で電圧パルスを、アブレーションデバイスへ送達するように構成されてもよい。パルス波形が、パルスの第1のセットと、パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、パルス波形の階層の第1のレベルを含み、パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有してもよい。階層の第2のレベルは、パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含み、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間であってもよい。階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2のレベルの時間遅延の少なくとも30倍の期間であってもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、パルスの各第1のセットの各パルスが、各々少なくとも500ボルトの電圧振幅を持つ二相パルスを含み、各二相パルスのパルス持続時間が、約0.5ナノ秒から約20マイクロ秒までの範囲である。
【0009】
いくつかの実施形態では、パルス波形発生器が、複数の電極セットのうちの第2の電極セットへの電圧パルスの送達から、ある時間だけずれて、複数の電極セットのうちの第1の電極セットへ、電圧パルスを送達することによって、電圧パルスを送達するように構成されてもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第2の電極セットへ送達されるパルスの連続する第1のセットが、第1の電極セットへ送達されるパルスの連続する第1のセットに続くように、第1の電極セットへの電圧パルスの送達と、第2の電極セットへの電圧パルスの送達とをずらす、ある時間が、第2の時間遅延の期間より少なくてもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1の電極セットへの電圧パルスの送達と、第2の電極セットへの電圧パルスの送達とをずらす、ある時間が、第2の時間遅延の期間の約55パーセント未満であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、パルス波形発生器が、心臓の心周期に同調して、電圧パルスを送達するように構成されてもよく、それによって、所与の電極セットに対する、パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットが、心臓の別個の心周期の不応期中に送達され、複数の電極セットのうちの少なくとも2つの電極セットへ送達される、パルスの第2のセットが、単一の不応期中に送達される。これらの実施形態のうちのいくつかでは、心臓刺激装置は、心臓の心周期のタイミングを制御するため、ペーシング信号を生成するように構成されてもよい、
【0011】
いくつかの実施形態では、方法は、パルス波形の形態で電圧パルスを生成することを含み、パルス波形が、パルスの第1のセットと、パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、パルス波形の階層の第1のレベルであって、パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有する、第1のレベルと、パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含む、階層の第2のレベルであって、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間である、第2のレベルと、階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2のレベルの時間遅延の少なくとも30倍の期間であり、パルスの第4のセットとしてパルスの複数の第3のセットと、パルスの複数の第3のセットのうちのパルスの連続する第3のセットを分離する、第4の時間遅延とを含む、階層の第4のレベルであって、各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間である、第4のレベルとを含んでもよい。方法はさらに、1つ以上の電極セットが、対象の中の組織をアブレーションするためパルス電界を生成するように、アブレーションデバイスの1つ以上の電極セットへ、電圧パルスを送達することを含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、パルスの第4のセットが、パルスの少なくとも2つの第3のセット、およびパルスの40個未満の第3のセットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第4の時間遅延の期間が異なり、各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間から、第3の時間遅延の1000倍未満の期間まで広がる範囲内の期間を有してもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法がさらに、心臓刺激装置でペーシング信号のセットを生成することと、心臓へペーシング信号のセットを送達することとを含んでもよい。パルスの複数の第2のセットのパルスの各第2のセットが、ペーシング信号のセットの各ペーシング信号に関連する不応期中に送達されるように、電圧パルスが、ペーシング信号のセットに同調して送達され、パルスの第4のセットの送達枠は、心臓の複数の心周期にわたって広がってもよい。
【0014】
これらの実施形態のうちのいくつかでは、各第4の時間遅延の期間が、ペーシング信号のセットから、成功ペーシング信号を分離する、ある時間より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、パルス波形がさらに、パルスの第5のセットとしてパルスの複数の第4のセットと、パルスの複数の第4のセットのうちのパルスの連続する第4のセットを分離する、第5の時間遅延とを含む、階層の第5のレベルを含み、各第5の時間遅延が、第4の時間間隔のうちの少なくとも1つの少なくとも10倍の期間であってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、方法は、パルス波形の形態で電圧パルスを生成することを含み、パルス波形が、パルスの第1のセットと、パルスの第1のセットのうちの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、パルス波形の階層の第1のレベルであって、パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有する、第1のレベルと、パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含む、階層の第2のレベルであって、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間である、第2のレベルとを含んでもよく、階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2のレベルの時間遅延の少なくとも30倍の期間である。方法がさらに、1つ以上の電極セットが、対象の中の組織をアブレーションするためパルス電界を生成するように、複数の電極セットの電極セットのうちの少なくとも2つへ送達される、電圧パルスをインターリーブすることによって、アブレーションデバイスの複数の電極セットへ電圧パルスを送達することを含んでもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、電圧パルスが、少なくとも2つの電極セットのうちの第2の電極セットへの電圧パルスの送達から、ある時間だけずれて、少なくとも2つの電極セットのうちの第1の電極セットへ送達されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の電極セットへの電圧パルスの送達と、第2の電極セットへの電圧パルスの送達とをずらす、ある時間が、第2の時間遅延の期間の約55パーセント未満であってもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法がさらに、心臓刺激装置でペーシング信号のセットを生成することと、心臓へペーシング信号のセットを送達することとを含んでもよい。ペーシング信号のセットに同調して送達される電圧パルスが、パルスの複数の第2のセットのパルスの各第2のセットを、ペーシング信号のセットの別個のペーシング信号に関連する不応期中に送達するようであってもよく、複数の電極セットのうちの少なくとも2つの電極セットへ送達されるパルスの第2のセットが、単一の不応期中に送達されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態により、遠位シャフトに沿って配置される複数の電極を持ち、心臓の構造の肺静脈にぴったり巻きつくように心外膜に配置される、カテーテルの概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態による、各パルスに定義されたパルス幅で連続する電圧パルスを示す、例示的な波形である。
【
図3】
図3は、実施形態による、パルス幅、パルス間の間隔、およびパルスのグループ化を示す、パルスの階層を概略的に示す。
【
図4】
図4は、実施形態による、入れ子型階層の異なるレベルを表示する、単相パルスの入れ子型階層の概略図を提供する。
【
図5】
図5は、実施形態による、入れ子型階層の異なるレベルを表示する、二相パルスの入れ子型階層の概略図である。
【
図6】
図6は、実施形態による、番号を付けたカテーテル電極の円を概略的に示し、電極のセットは、対応する順序での電圧パルス波形の印加のために、順次選択することができる。
【
図7】
図7は、実施形態により、心電図および心臓ペーシング信号の時系列を、心房および心室不応期と共に概略的に示し、不可逆的電気穿孔アブレーションの時間枠を示す。
【
図8】
図8は、実施形態により、対応する一連の連続する心拍にわたって、一連の波形パケットとして送達される、電極セットの作動の時系列を概略的に示す。
【
図9】
図9は、実施形態による、電圧/信号発生器と、選択された電極のサブセットに電圧を印加するように構成され、ユーザインターフェースと共にコンピュータまたはプロセッサに通信可能に接続されるコントローラと、電圧発生器からアブレーションカテーテルへ送達されてもよい電圧パルスから、他の機器を電気的に絶縁するように構成されるスイッチングユニットとを含む、システムコンソールを含む、不可逆的電気穿孔システムの概略図である。
【
図10】
図10は、実施形態による、初期構成にあるユーザインターフェースの概略図である。
【
図11】
図11は、実施形態による、初期化機能の係合を示す、ユーザインターフェースの概略図である。
【
図12】
図12は、実施形態による、初期化後に必要なステップを示す、ユーザインターフェースの概略図である。
【
図13】
図13は、アブレーションエネルギー送達のために、前のステップが完了した後にシステムの準備が整っている構成を示す、ユーザインターフェースの概略図である。この構成では、実施形態により、ユーザインターフェースがアブレーション用のボタンを含む。
【
図14】
図14は、実施形態による、パルス幅、パルス間の間隔、およびパルスのグループ化を示す、パルスの階層を概略的に示す。
【
図15】
図15は、実施形態による、パルス幅、パルス間の間隔、および電極対に対するパルスのグループ化を示す、パルスの階層を概略的に示す。
【
図16】
図16は、実施形態による、パルスのグループと、電極対に対するパルスのグループ間の時間遅延とを概略的に示す。
【
図17】
図17は、実施形態による、2要素小集団の電極セットのうちの2つの電極セットから、インターリーブされたパルスのグループを概略的に示す。
【
図18】
図18は、実施形態による、心拍にわたって送達される、アブレーションエネルギー送達シーケンスを概略的に示す。
【
図19】
図19は、実施形態による、パルス幅、パルス間の間隔、および電極対に対するパルスのグループ化を示す、パルスの階層を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書に記載するのは、不可逆的電気穿孔により組織をアブレーションするためのシステム、デバイス、および方法についてである。概して、パルス波形を組織へ送達するためのシステムは、パルス波形発生器と、パルス波形発生器に結合されるアブレーションデバイスとを含んでもよい。アブレーションデバイスが、使用中に組織へアブレーションパルスを送達するために構成される、少なくとも2つの電極を含んでもよい。パルス波形発生器が、パルス波形の形態で、アブレーションデバイスへ電圧パルスを送達するように構成されてもよい。
【0020】
本明細書に開示するような電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低下させることによって、組織へのエネルギー送達の安全性、効率、および有効性を高め、それゆえ、送達される総エネルギーの減少と共に、より効果的なアブレーション損傷をもたらしうる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示する電圧パルス波形が階層的で、入れ子構造を有してもよい。例えば、パルス波形が、関連する時間尺度を有する、パルスの階層的なグループを含んでもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法、システム、およびデバイスは、上で参照し取り込んだ2016年10月19日出願の国際出願第PCT/US2016/057664号、2016年10月26日出願の米国特許出願第15/334,646号、および2017年10月27日出願の米国特許出願第15/796,375号のうちの1つ以上に記載される方法、システム、ならびにデバイスのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、システムは、パルス波形発生器と、パルス波形発生器に結合されるアブレーションデバイスとを含む。アブレーションデバイスが、使用中に組織へアブレーションパルスを送達するために構成される、少なくとも1つの電極を含む。パルス波形発生器が、パルス波形の形態で、アブレーションデバイスへ電圧パルスを送達するように構成される。所与の電極へ印加されるパルス波形の階層の第1のレベルは、パルスの第1のセットを含み、各パルスが、パルス持続時間と、連続パルスを分離する第1の時間間隔(すなわち、第1の時間遅延)とを有する。パルス波形の階層の第2のレベルは、パルスの第2のセットとして、パルスの複数の第1のセットと、パルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間間隔(すなわち、第2の時間遅延)とを含み、第2の時間間隔が、第1の時間間隔の少なくとも3倍の期間である。パルス波形の階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとして、パルスの複数の第2のセットと、パルスの連続する第2のセットを分離する第3の時間間隔(すなわち、第3の時間遅延)とを含み、第3の時間間隔が、第2の時間間隔の少なくとも30倍の期間である。パルス波形の階層の第4のレベルは、パルスの第4のセットとして、パルスの複数の第3のセットと、パルスの連続する第3のセットを分離する第4の時間間隔(すなわち、第4の時間遅延)とを含み、第4の時間間隔が、第3の時間間隔の少なくとも10倍の期間である。
【0022】
いくつかの実施形態では、各パルスの第1のセットのパルスが、約1マイクロ秒から約300マイクロ秒までの範囲であるパルス持続時間を持つ、単相パルスを含む。いくつかの実施形態では、各パルスの第1のセットのパルスが、約0.5ナノ秒から約20マイクロ秒までの範囲であるパルス持続時間を各々持つ、二相パルスを含む。いくつかの実施形態では、第2の時間間隔が、パルス持続時間の少なくとも10倍である。いくつかの実施形態では、第3の時間間隔が、約何百ミリ秒またはコンマ数秒の範囲である。いくつかの実施形態では、第4の時間間隔が、約数秒から約数分までの範囲である。いくつかの実施形態では、第4の時間間隔が、パルスの一連の第3のセットにわたって異なりうるか、または一定ではない可能性がある。いくつかの実施形態では、第4の時間間隔が、最後に、1つの時間遅延の繰り返し値を含むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、パルスの各第2のセットが、パルスの少なくとも2つの第1のセット、およびパルスの40個未満の第1のセットを含む。いくつかの実施形態では、パルスの各第3のセットが、パルスの少なくとも2つの第2のセット、およびパルスの30個未満の第2のセットを含む。いくつかの実施形態では、パルスの各第4のセットが、パルスの少なくとも2つの第3のセット、およびパルスの40個未満の第3のセットを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、パルス波形が、パルスの第5のセットとしてパルスの複数の第4のセットと、パルスの連続する第4のセットを分離する第5の時間間隔とを含む、階層の第5のレベルを含む。いくつかの実施形態では、パルスの各第5のセットが、パルスの少なくとも1つの第4のセットから、パルスの約50個の第4のセットを含む。
【0025】
電極対の順序づけられたセットを使用する、電気穿孔エネルギーの送達によって、エネルギーを心拍中に送達する、効率および/または速度が増加してもよい。これは、所定の時間周期内(例えば、心拍、心腔の不応枠、および/または同類のもの以内)に、アブレーションエネルギーの送達を完了する際に有用でありうる。例えば、アブレーション送達は、様々な実施形態で、約100ms未満、約150ms未満、約200ms未満、および約250ms未満の時間枠の中で完了してもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、アブレーションエネルギー送達は、所定数の連続するまたは別個の心拍にわたって、電極対の異なるセットを使用して、パルスの順次送達として実施されてもよい。特に、アブレーション送達は、電極対のセットを使用して順序づけられてもよい。例えば、パルスの1つ以上のグループは、連続する電極対において、各電極対に対するパルスの連続グループ間に群遅延を伴い送達されてもよい。これらの実施形態のうちのいくつかでは、各電極対は、陰極のセットと対を作る陽極のセットを含んでもよい。このように、エネルギー送達は、1つ以上の心拍中に、電極対の複数セットにわたってインターリーブされてもよい。対を成す電極の第1のセットに関連する群遅延中、パルスの1つ以上のグループは、対を成す電極の第2のセットを使用して送達されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、所与の電極に印加されるパルス波形の階層の第1のレベルは、パルスの第1のセットを含み、各パルスがパルス持続時間と、連続パルスを分離する第1の時間間隔とを有してもよい。パルス波形の階層の第2のレベルは、パルスの第2のセットとして、パルスの複数の第1のセットと、パルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間間隔とを含んでもよい。第2の時間間隔が、第1の時間間隔の少なくとも3倍の期間であってもよい。パルス波形の階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとして、パルスの複数の第2のセットを含んでもよい。第3の時間間隔によって、パルスの連続する第2のセットを分離してもよい。第3の時間間隔が、第2の時間間隔の少なくとも30倍の期間であってもよい。パルス波形の階層の第4のレベルは、パルスの第4のセットとして、パルスの複数の第3のセットを含んでもよい。第4の時間間隔によって、パルスの連続する第4のセットを分離してもよい。第4の時間間隔が、第3の時間間隔の少なくとも10倍の期間であってもよい。
【0028】
本明細書に開示するような電気穿孔エネルギー送達のためのパルス波形は、不可逆的電気穿孔に関連する電界閾値を低下させることによって、エネルギー送達の安全性、効率、および有効性を高め、減少した総エネルギーを送達しながら、より効果的なアブレーション損傷をもたらすことができる。これによって、様々な不整脈の治療的処置を含む、電気穿孔の臨床応用の分野を広げることができる。
【0029】
本開示によって、いくつかの実施形態では、ピーク電界値を減少および/または最小化できる一方、同時に、充分な高電界強度を、組織アブレーションが所望される領域で維持することができるような、概して複数のデバイスによる、不可逆的電気穿孔治療の迅速で選択的かつ安全な送達のためのデバイスおよび方法へのニーズに対処する。またこれによって、過剰な組織障害または電気アーク放電の生成の可能性も減少し、局所的に高温が上昇する。
【0030】
参考数値指標に関連して本明細書で使用されるとき、「約」および「おおよそ」という用語は、その参考数値指標の最大10%をプラスまたはマイナスした参考数値指標を意味する。例えば、「約50」単位または「おおよそ50」単位という言葉は、45単位から55単位までを意味する。本明細書で使用する「電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。本明細書で使用する「可逆的電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を一時的に変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。例えば、細胞が可逆的電気穿孔を受けると、電界が取り除かれると閉じる、1つ以上の細孔の一時的および/または断続的な形成が、細胞膜の中に認められる。本明細書で使用する「不可逆的電気穿孔」という用語は、細胞膜の細胞外環境への透過性を永久に変化させる、電界の細胞膜への印加を指す。例えば、細胞が不可逆的電気穿孔を受けると、電界が取り除かれても存続する1つ以上の細孔の形成が、細胞膜の中に認められる。
概要
【0031】
図1は、シャフトに沿って配置される複数の電極を持つ、カテーテル15の概略図である。
図1に、心臓7に関係してカテーテルを示し、カテーテル15が、参照文字10、11、12、および13(それぞれ
図1の左上、左下、右上、および右下)によって示す左心房の肺静脈に心外膜で巻きつき、左心房の肺静脈10、11、12、13に巻きつき、および/またはそれらの周りの輪郭でループ状になる、暗い帯(
図1の参照文字17によって示す帯など)によって示す電極を有する。何らかの実施形態では、カテーテル端部8および9は、カテーテル電極が肺静脈10、11、12、13にぴったりと巻きつくことを保証するために、共にきつく引かれ、しっかり締める道具(図示せず)の内部に保持される。肺静脈の周りへの多電極アブレーションカテーテルの配置を達成するように、剣状突起下心膜アクセスの場所およびガイドワイヤによる送達方法を使用する方法ならびに装置は、「Catheters, Catheter Systems and Methods for Puncturing Through a Tissue Structure and Ablating a Tissue Region」と題する、PCT出願公開の国際公開第2014/025394号に記載され、その開示全体は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0032】
いくつかの実施形態では、カテーテル電極17を、金属帯または環の形態で構築することができる。いくつかの実施形態では、各電極17は、可撓性を持つように構築することができる。例えば、電極17が、カテーテル15のシャフトの周りの、金属コイルばねまたはヘリカル巻線の形態であることができる。別の例として、電極(複数可)17が、シャフトに沿って配置され、共に電気的に接続される、一連の金属帯または環の形態であることができ、電極間のカテーテルシャフトの可撓性のある部分によって、電極全体に可撓性を提供する。いくつかの実施形態では、電極17の少なくとも一部分が、限定するものではないが、チタン、パラジウム、銀、白金、および/または白金合金などの、生体適合性金属を含むことができる。いくつかの実施形態では、電極17の少なくとも一部分が、白金および/または白金合金を含む。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフトが、(非限定的な例のみの目的で)ポリテトラフルオロエチレン、ナイロンなどのポリアミド、またはポリエーテルブロックアミドなど、可撓性のあるポリマー材料から成ることができる。電極17が、カテーテル15の近位ハンドル部分(図示せず)に至る、絶縁導線(図示せず)に接続することができ、リードの各々上にある絶縁によって、誘導破壊することなく、その厚さにわたって少なくとも700Vの電位差を維持することができる。カテーテル15は、
図1に示すように、心外膜、すなわち、心膜の下方に置かれるものの、代替の実施形態では、アブレーションカテーテルが、追加的または代替的に、心内膜への配置に有用である可能性がある。
【0033】
本明細書に提供する特定のアブレーションデバイスおよび他の例は、例示の目的で記載され、様々な組織タイプおよび生体構造で使用するために構成される、様々な他のアブレーションデバイスは、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書の開示に記載する波形の使用から恩恵を受けることができることは理解されるべきである。
電極の順序づけ
【0034】
本明細書に記載するのは、1つ以上の心拍中に電極対の複数セットにわたって、時間遅延を取り込みインターリーブする、電極対の順序づけられたセットを使用した、電気穿孔エネルギーの送達のためのシステム、デバイス、および方法である。いくつかの実施形態では、各電極対は、陰極のセットと対を作る陽極のセットを含んでもよい。本明細書でより詳細に説明するように、対を成す電極の第1のセットに関連するパルスのグループに続く群遅延中に、対を成す電極の少なくとも第2のセットに関連するパルスのグループが、送達されているパルスのグループをインターリーブするために送達されてもよい。このパルスの順次送達が、所定数の連続または別個の心拍の間の各心拍中に、電極対の複数セットにわたって発生してもよい。特に、各電極対に対して、パルスの複数グループは、パルスの連続グループ間に群遅延を伴い送達されてもよい。
【0035】
アブレーションエネルギーは、本明細書に記載するアブレーションシステムおよびデバイスのうちのいずれかを使用して、所定数の心拍にわたって送達されてもよい。いくつかの実施形態では、m個の電極対のセットが選択されて、所定の電極対順序でパルスのセットを送達してもよい。m個の電極対が、n個の小集団に分割されてもよい。n個の小集団のうちの少なくとも1つが、2つ以上の陽極-陰極電極対のセットを含んでもよい。
【0036】
少なくとも、小集団は電極サブセットの陽極-陰極対に対応する。しかしながら、小集団は概して、複数電極対のセット(各対は、陽極-陰極電極サブセットを伴う)を指す。例えば、陰極c1およびc2と陽極a1との第1の電極対は、(a1-(c1,c2))という表記によって表されてもよく、これが電極サブセットの対を定義する。そのような電極サブセットの単一対が、単独で小集団を定義してもよい。より広くは、小集団は、電極サブセットの複数のそのような対を含んでもよい。小集団の1つの有用な実施形態または構造は、電極サブセットの2つの対を含む。連続するそのような対の中の、電極サブセットのm個の対を仮定すると、mが偶数の場合、これらm個の対は、各々が電極サブセットの2つの対を含む、m/2個の小集団に分割されてもよい。mが奇数の場合、小集団のうちの一方は、電極サブセットの単一対を含み、他方の小集団は、電極サブセットの2つの対を含むであろう。
【0037】
別の例では、第1の心拍に対する電極対の順序は、以下の3つの電極対(a1-(c1,c2))、(a2-(c2,c3))、および(a3-(c3,c4))を含んでもよく、第1の小集団は、第1および第2の電極対(a1-(c1,c2))および(a2-(c2,c3))を含み、第2の小集団は、第3の電極対(a3-(c3,c4))を含む。
【0038】
電極対のセットが、パルスの連続グループ間に時間の群遅延を有する、パルスの複数グループを送達してもよい。いくつかの用途では、時間の群遅延は比較的長くてもよく(例えば、数百または数千マイクロ秒)、この遅延は、パルスの単一グループの期間より著しく長くてもよい。しかしながら、第1の電極対に対する時間の群遅延期間中、パルスのグループは、異なる電極対からのパルスのグループをインターリーブするように、第2の電極対を使用して送達されてもよい。
【0039】
図15は、時間の群遅延1531(長さt
d)によって分離されるパルスの各グループ1523、1543を伴う、単一電極対に対するパケット1551を含む、パルスのp個のグループを示す。二相パルスのセット1505は、パルスの第1のグループ1523を形成してもよい。パルスの第2のグループ1543もまた、1つの心拍中における所与の電極対に対応する、パケット1551の中のそのようなパルスのグループp個を伴い示している。この例は二相パルスを図示するものの、いくつかの実施形態では、単相パルスもまた使用されうる。第1のレベルの時間間隔1512によって、連続する二相パルス1505を分離してもよい。パルスの連続グループ1523は、第2のレベルの時間間隔1531(例えば、時間の群遅延)によって分離されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のレベルの時間間隔1531の長さが、第1のレベルの時間間隔1512の長さの少なくとも3倍であってもよい。パルスのいくつかのパケット1551、1571が、パルスの第3のレベル構造または第3のレベルセット(すなわち、スーパーパケット)を形成してもよい。パルスの連続パケット1551、1571は、第3のレベルの時間間隔1561によって分離されてもよい。いくつかの実施形態では、第3のレベルの時間間隔1561の長さが、第2のレベルの時間間隔1531の長さの少なくとも30倍であってもよい。
【0040】
図16は、パルスのグループ1603、1607のセット、およびパルスのグループ間の時間遅延1611を示す。特に、パルスの第1のグループ1603およびパルスの第2のグループ1607は、期間または長さt
dを有する群遅延の時間間隔1611によって分離される。本明細書に開示するインターリーブ(例えば、多重化)される順序づけスキームでは、第2の電極対セットからのパルスのグループは、電極対セットのすべての小集団の中で、第1の電極対セットからのパルスのグループとインターリーブされてもよい。例えば、第1の電極対セットに対応するパルスのグループに続くt
d2の時間間隔の後に、第2の電極対セットに対応するパルスのグループが送達されてもよい。
図17は、2要素小集団の電極対セットのうちの2つの電極セットから、インターリーブされたパルスのグループを示す。このように、所望の電極順序にわたる完全なエネルギーの送達が、効率的に行われうる。
図17に示すインターリーブの代わりに、各電極対に対するパルスのp個のグループを、電極対のセットにわたって順次送達する場合、アブレーションエネルギーの送達に時間が2倍長くかかるであろう。第1の小集団の第1の電極対セットは、
図17の細い括弧によって示す、パルスのグループ1703、1705、1707のセットを送達してもよい。同様に、第1の小集団の第2の電極対セットは、
図17の太い括弧によって示す、パルスのグループ1723、1725のセットを送達してもよい。第1の電極対セットのパルスのグループが、期間または長さt
d1を有する時間間隔1754によって分離されてもよい。第1の電極対セットのうちのパルスのグループ1703に、第2の電極対セットのうちのパルスのグループ1723が続いてもよい。例えば、第2の電極セットのパルスのグループ1723が、第1の電極対セットのパルスのグループ1703に続いて、期間または長さt
d2を有する時間間隔1751で送達される。いくつかの実施形態では、期間t
d2がt
d1の約半分(例えば、t
d1の約55パーセント未満)であることができる。いくつかの実施形態では、異なる電極対セットのパルスのグループ間の時間間隔1751が、所与の電極対セットに対する時間の群遅延に対応して、時間間隔1754に対する時間の他の割合(すなわち、例えば、t
d1の3分の1または4分の1未満など、t
d1の約半分以外の割合)であってもよいことは理解されるべきである。
【0041】
パルス送達で、電極対セットのすべての小集団に対して同様に、すべての小集団の中の2つの電極セットに対して、インターリーブされたパルスのグループ(および最後の小集団が1つの電極セットのみを含む場合には、インターリーブなし)を提供してもよい。時間遅延間隔(例えば、期間td2を伴う)は、電極対セットの連続小集団に対応する、パルスの連続グループ間に提供されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、
図17に示すパルス送達シーケンスは、本明細書に記載する電極対(a
1-(c
1,c
2))、(a
2-(c
2,c
3))、および(a
3-(c
3,c
4))を使用して印加されてもよく、第1の小集団は、第1の電極対(a
1-(c
1,c
2))および第2の電極対(a
2-(c
2,c
3))を含む。第2の小集団は、第3の電極対(a
3-(c
3,c
4))を含んでもよい。電極対セットの第1の小集団では、第1の電極対(a
1-(c
1,c
2))のパルスのグループ1703、1705、1707などp個が、第2の電極対(a
2-(c
2,c
3))のパルスのグループ1723、1725などp個とインターリーブされてもよい。長さt
d2の時間遅延の後、第2の小集団の第3の電極対(a
3-(c
3,c
4))に対するパルスのグループp個が、インターリーブなしに送達されてもよい。
【0043】
図18は、実施形態による、単一の心拍にわたって送達される、アブレーション送達シーケンスを概略的に示す。第1の小集団((a
1-(c
1,c
2))および(a
2-(c
2,c
3)))のパルスの第1のスーパーグループ(またはパケット)1871に続き、第2の小集団(a
3-(c
3,c
4))のパルスの第2のスーパーグループ1875がくる。パルスの第1のスーパーグループ1871が、各電極セットに対応するパルスのグループp個にわたってインターリーブする(例えば、交互にくる、多重化する)、第1の電極対(a
1-(c
1,c
2))のパルスのグループ1811、1813などのセットと、第2の電極対(a
2-(c
2,c
3))のパルスのグループ1821、1823などの別のセットとを含んでもよい。時間遅延1863によって、第1の小集団(a
1-(c
1,c
2))のパルス1871のパルス送達を、第2の小集団(a
2-(c
2,c
3))のパルス1875のパルス送達から分離してもよい。パルスの第2のスーパーグループ1875が、第2の小集団の第3の電極対(a
3-(c
3,c
4))のみのパルスのグループ1831、1833のセットを含んでもよい。パルスのグループ1831、1833が、群遅延に対応する期間または長さt
dを有する、時間間隔1865によって各々分離されてもよい、p個のグループを含んでもよい。いくつかの実施形態では、群遅延(本明細書の例にある群遅延など)は、約10μsと約50msとの間であってもよい。
図18は、1つの心拍に対して順序づけられたアブレーション送達を示すものの、類似のシーケンスが、所定数の心拍に対して送達されてもよい。
【0044】
いかなる数の電極対セットが、目の前の実装に都合の良いように、定義され使用されてもよいことに留意すべきであり、上の例は、明快にするため、かつ例示の目的のみのために提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法、システム、およびデバイスは、2018年4月26日出願の国際出願第PCT/US2018/029552号のうちの1つ以上に記載される方法、システム、およびデバイスのうちの1つ以上を備えてもよく、その内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0045】
同様に、上で提供する特定の例は、2要素小集団が定義される、対での順序づけを示すものの、より広くは、電極セットのn個の要素の小集団が、本明細書に提供する特定の例に記載したのと類似して、各小集団のn個の要素にわたって定義されるインターリーブされた順序で定義されてもよい。
【0046】
本明細書に記載するインターリーブまたは多重化プロセスによって、アブレーションエネルギー順序を各心拍で送達しうる、効率または速度が上昇してもよい。これは、心拍にわたっておよび/または心腔の不応枠内において、アブレーション順序全体を送達する際に、時間的制約がある場合に有用でありうる。いくつかの実施形態では、電極対セットのアブレーション順序が、各心拍に対して独立して定義されてもよい。この場合、すべての心拍で定義される特定の小集団が、異なっていてもよい。しかしながら、順序のインターリーブは、本明細書に記載するものに類似して発生してもよい。
【0047】
パルス波形のインターリーブまたは多重化について、
図17および18に描写するように、パルスのグループ(例えば、パルスの第1のセット)に関して記載しているものの、パルス波形の階層のより高いレベルを、電極のセット間でインターリーブできることは理解することができる。例えば、第1の電極セットおよび第2の電極セットへ送達される電圧パルスは、例えば、階層の第3のレベル(例えば、パルスの第2のセットのインターリーブ)、階層の第4のレベル(例えば、パルスの第3のセットのインターリーブ)、およびその他などを含む、階層のより高いレベルでインターリーブできる。
【0048】
加えて、いくつかの実施形態では、インターリーブされる電極セットの特定の順序が、パルスの一連の第2のセット(例えば、パルスの第3のセット)の電極対の各セットへの送達に全体として対応する、いくつかの心拍にわたって異なることができる。例えば、インターリーブされる連続する電極セット(a1-c1,a2-c2)、(a3-c3,a4-c4)(各括弧内部の電極セット間のインターリーブを伴う)は、第1の心拍中に送達されてもよく、一方インターリーブされる連続する電極セット(a3-c3,a4-c4)、(a1-c1,a2-c2)は、第2の心拍で送達されてもよい。
【0049】
さらに、いくつかの実施形態では、1つ以上の電極セットが、すべての心拍中のアブレーションシーケンスには現れない場合がある。例えば、インターリーブされる電極セット(a1-c1,a2-c2)は、第1の心拍および第3の心拍のアブレーションシーケンスに現れ、第2の心拍には現れなくてもよい。概して、所与の電極セットに対するパルスの連続する第2のセットは、別個の心拍中に送達されるが、必ずしも連続する心拍にわたって送達されるわけではない。
階層的な波形
【0050】
図2は、連続する矩形の二重パルスの形態を取るパルス電圧波形を示し、パルス101など、各パルスがパルス幅または期間に関連付けられる。パルス幅/期間が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約0.5マイクロ秒、約1マイクロ秒、約5マイクロ秒、約10マイクロ秒、約25マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約125マイクロ秒、約140マイクロ秒、約150マイクロ秒であることができる。
図2のパルス波形は、全パルスの極性が同じである、単相パルスのセットを示す(ゼロベースラインから測定して、
図2ではすべて正である)。不可逆的電気穿孔の適用についてなどのいくつかの実施形態では、各パルス101の高さまたはパルス101の電圧振幅が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約400ボルト、約1000ボルト、約5000ボルト、約10,000ボルト、約15,000ボルトであることができる。
図2に示すように、パルス101は、時に第1の時間間隔とも呼ばれる時間間隔102だけ、隣接パルスから分離している。第1の時間間隔が、不可逆的電気穿孔を生成するために、間のすべての値および部分範囲を含めて、約1マイクロ秒、約10マイクロ秒、約50マイクロ秒、約100マイクロ秒、約200マイクロ秒、約500マイクロ秒、約800マイクロ秒、約1ミリ秒であることができる。
【0051】
図3では、入れ子型パルスの階層構造を伴う、パルス波形を紹介する。
図3は、パルス115など一連の単相パルスを示し、パルス幅/パルス持続時間wは、連続パルス間の期間t
1の118などの時間間隔(時に第1の時間間隔または時間遅延とも呼ばれる)で分離され、数m
1個の連続するパルスが、パルスのグループ121(時にパルスの第1のセットとも呼ばれる)を形成するように配列される。さらに、波形は、連続するグループ間の期間t
2の時間間隔119(時に第2の時間間隔または時間遅延とも呼ばれる)で分離される、そのようなパルスのグループ(時にパルスの第2のセットとも呼ばれる)の数m
2個を有する。
図3に122とマークが付いた、m
2個のそのようなパルスグループの集合が、階層の次のレベルを構成し、パケットおよび/またはパルスの第2のセットと呼ぶことができる。パルス幅w、およびパルス間の時間間隔118の期間t
1は両方、間のすべての値および部分範囲を含めて、マイクロ秒から数百マイクロ秒の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔119の期間t
2は、時間間隔118の期間t
1より少なくとも3倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、比率t
2/t
1が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約3と約300との間の範囲であることができる。
【0052】
図4ではさらに、入れ子型パルス階層波形の構造を詳述する。この図では、一連のm
1個のパルス(個々のパルスは図示せず)が、パルスのグループ130(例えば、パルスの第1のセット)を形成する。1つのグループと次のグループとの間の期間t
2(例えば、第2の時間間隔または時間遅延)のグループ間の時間間隔142で分離される、一連のm
2個のそのようなグループが、パケット132(例えば、パルスの第2のセット)を形成する。1つのパケットと次のパケットとの間の期間t
3(例えば、第3の時間間隔)である時間間隔144で分離される、一連のm
3個のそのようなパケットが、階層における次のレベル、すなわち、図中で134と名前を付けたスーパーパケット(例えば、パルスの第3のセット)を形成する。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも約30倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも50倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、比率t
3/t
2が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約30と約800との間の範囲であることができる。パルス階層における個々の電圧パルスの振幅は、間のすべての値および部分範囲を含めて、500ボルトから7,000ボルト以上までの範囲のいずれでもあることができる。パルスの第1のセットの中の個々のパルスが、単相パルスもしくは二相パルスのいずれかであってもよく、または単相および二相パルスの組み合わせを含んでもよい。
【0053】
図14ではさらに詳しく、入れ子型パルス階層波形の構造を説明する。この図では、一連のm
1個のパルス(個々のパルスは図示せず)が、パルスのグループ1420(例えば、パルスの第1のセット)を形成する。1つのグループと次のグループとの間の期間t
2(例えば、第2の時間間隔または時間遅延)のグループ間の時間間隔1422で分離される、一連のm
2個のそのようなグループが、パケット1430(例えば、パルスの第2のセット)を形成する。1つのパケットと次のパケットとの間の期間t
3(例えば、第3の時間間隔または時間遅延)である時間間隔1432で分離される、一連のm
3個のそのようなパケットが、階層における次のレベル、すなわち、図中で1440と名前を付けたスーパーパケット(例えば、パルスの第3のセット)を形成する。いくつかの実施形態では、時間間隔1432の期間t
3は、時間間隔1422の期間t
2より少なくとも約30倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔1432の期間t
3が、約何百ミリ秒またはコンマ数秒の範囲であることができる。さらに、超スーパーパケットと呼ばれる、階層のさらなるレベル(例えば、パルスの第4のセット)を含む、期間t
4の時間間隔1442で分離される、1440などの一連のまたは多様なm
4個のスーパーパケットが存在できる。いくつかの実施形態では、スーパーパケットの数m
4は、間のすべての値および部分範囲を含めて、1から50に及ぶいかなる整数であることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔1442の期間t
4は、時間間隔1432の期間t
3より少なくとも10倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔1442の期間t
4は、約数秒から約数分の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、比率t
4/t
3が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約10と約1000との間の範囲であることができる。いくつかの実施形態では、個々のスーパーパケット間の時間間隔1442である期間t
4は、m
4個のスーパーパケットすべてにわたって一定であることができる。代替的に、時間間隔1442の期間t
4は、スーパーパケットの色々な対により異なることができる。時間間隔1442のうちの1つ以上が、手動で選択されるか、または無作為に設定される、最小閾値期間を上回る期間を有してもよい。最小閾値期間が、数秒(例えば、5秒以上)の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔1442が、順序または模様によって異なる期間を有することができる。例えば、m
4個のスーパーパケット内のスーパーパケットのグループは、期間t
4,1、t
4,2、t
4,3、…t
4,q(qは1より大きいいかなる整数)を伴う連続する時間間隔で連続的に分離される、スーパーパケットの対を含み、t
4,1、t
4,2、t
4,3、…t
4,qの値は、好適な範囲の値(例えば、数秒、数十秒、数分の範囲の中である期間)内で選択することができる。連続する時間間隔t
4,1、t
4,2、t
4,3、…t
4,qはさらに、スーパーパケットの追加グループにわたって何回も繰り返されて、パルス波形の追加部分をさらに生成することができる。パルス階層における個々の電圧パルスの振幅は、間のすべての値および部分範囲を含めて、500ボルトから7,000ボルト以上までの範囲のいずれでもあることができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、パルス波形が心臓の心周期に同調して送達されるとき、個々のスーパーパケット(例えば、パルスの第3のセット)は、パルスの1つ以上のグループを含むパルスのパケットを、各心周期中(例えば、心周期の不応期中)に送達して、心臓の複数の心周期にわたって広がることができる。いくつかの実施形態では、連続スーパーパケット間の各時間間隔または時間遅延(例えば、第3の時間間隔または第3の時間遅延)は、連続スーパーパケットを、心臓の連続心周期中(例えば、不応期中)に送達できるように、心周期の期間におおよそ対応することができる。いくつかの実施形態では、連続超スーパーパケットを分離する各時間間隔または時間遅延(例えば、第4の時間間隔または時間遅延)は、心臓の心周期より大きくなることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するように、システムおよび方法は、ペーシングパルスを生成して、パルス波形の送達を心臓の心周期と同期できる、心刺激デバイスまたは心臓刺激装置を含むことができる。
【0055】
パルスの第4のセットを含む、パルスの多様な第3のレベルによって、より効果的な処置または治療送達を提供しうる。パルスの単一の第3のセットによって可逆的に開かれる、細胞膜のナノ細孔は、パルスの多様な第3のセットを印加することにより不可逆的に開かれ、それによって、より大きなアブレーションゾーンを生成してもよい。例えば、臨床応用において、アブレーション送達のために1番目のパルスの第3のセットを送達した後、2番目のパルスの第3のセットが、アブレーション送達を続けるように送達される前に、約5秒と約500秒との間の範囲である時間間隔または休止t4が存在することができる。このタイプのアブレーション送達は、治療の観点から有益であってもよく、特定の不整脈状態に対して、より完全な処置を送達しうる。例えば、心房壁にわたって近接し経壁的であるアブレーションゾーンの生成を保証してもよい。いくつかの実施形態では、後続するパルスの第3のセットも送達されうる。いくつかの実施形態では、パルスの連続する第3のセット間の時間間隔が、固定されるのではなく、異なってもよい。いくつかの実施形態では、パルスの連続する第3のセット間の時間間隔である期間t4の最小値は、パルス波形構造における階層のより高いレベルに対して、この送達をサポートするように、発生器によって設定されてもよい。いくつかの実施形態では、時間間隔の期間t4の最小値が、少なくとも約5秒であってもよい。
【0056】
図19ではさらに、実施形態による、パルス階層波形の構造を詳述する。
図19に示す波形には、
図14に関して示し記載した波形の上に、階層の別のレベルが追加される。特に、
図19の波形は、
図14による入れ子型パルス階層波形の構造を含み、多様なパルスの階層に別のレベルを含むことができる。
【0057】
図14に関して記載するように、入れ子型パルス階層波形のうち階層の第4のレベルは、超スーパーパケットを形成する、一連のまたは多様なm
4個のスーパーパケットを含むことができる。各スーパーパケットは、一連のまたは多様なm
3個のパケットを含むことができ、各パケットは、一連のまたは多様なm
2個のグループを含むことができ、各グループは、一連のまたは多様なm
1個のパルスを含むことができる。
【0058】
階層の概念はさらに、
図19を参照すると、反復様式に普遍化することができる。
図19に描写するように、一連の超スーパーパケット1950(
図19には示さないが、各々、一連のm
4個のスーパーパケットを含む)は、期間t
5の時間間隔1952によって分離することができる。超スーパーパケット1950および時間間隔1952の各々の全期間が、一連の超スーパーパケット1950および時間間隔1952にわたって、異なるか、または同じであることができる。この一連の超スーパーパケット1950によって、ハイパーパケットと呼ぶことができる、パルス波形階層のより高いレベル(例えば、パルスの第5のセット)を形成することができる。
【0059】
パルスの第5のセットを含む、パルスの多様な第4のレベルによって、ある環境下において、より効果的な処置または治療送達を提供しうる。
図19に示す波形について、パルスの第5のセットを持つ階層の第5のレベルを含むように記載するものの、階層のいくつものより一層高いレベルがパルスのより高いレベルを含む、波形の連続生成は理解することができる。例えば、第6のレベル、第7のレベルなどを持つ波形は、各々パルスの第6のセット、パルスの第7のセットなどそれぞれを含むように生成することができる。
【0060】
パルスの階層の各レベルは、階層の次に低いレベルからの、パルスの多様なまたは一連のセットによって定義することができ、階層の低いレベルからのパルスの各セットが、時間間隔または時間遅延分だけ、次のレベルから分離されている。階層の低いレベルからのパルスの連続セットを分離する時間間隔の期間が、
図14に関して上に記載したように、その連続にわたって一定であるか、または異なることができる。例えば、階層の第rのレベルは、r-1レベルからのパルスの一連のセットと、r-1レベルからのパルスの各セットを分離する時間間隔t
rとを含むことができる。
【0061】
図14に示す波形に関して前に記載したように、パルスの単一の第rのセットによって可逆的に開かれる、細胞膜のナノ細孔は、パルスの多様な第rのセットを印加することにより不可逆的に開かれ、それによって、より大きなアブレーションゾーンを生成してもよい。例えば、いくつかの臨床応用において、rが3より大きいとき、アブレーション送達のために1番目のパルスの第rのセットを送達した後、2番目のパルスの第rのセットが、アブレーション送達を続けるように送達される前に、約5秒と約500秒との間の範囲である時間間隔または休止が存在することができる。このタイプのアブレーション送達は、治療の観点から有益であってもよく、特定の不整脈状態に対して、より完全な処置を送達しうる。例えば、心房壁にわたって近接し経壁的であるアブレーションゾーンの生成を保証してもよい。いくつかの実施形態では、後続するパルスの第rのセットも送達されうる。いくつかの実施形態では、パルスの連続する第rのセット間の時間間隔が、固定されるのではなく、異なってもよい。いくつかの例では、治療方針は、異なる時間間隔、パルスの異なる数、および/またはパルスの異なる強さを含む、異なるレベルの階層を持つ波形によるアブレーション送達を含むように、策定されてもよい。例えば、治療方針は、特定の不整脈状態に対して、より完全な処置を達成するように、連続的に増加もしくは減少する階層のレベル、階層の各レベルにおいて連続的に増加もしくは減少するパルスの数、または階層の各レベルにおいて連続的に増加もしくは減少するパルス間の時間間隔を伴う波形を使用して送達される、アブレーションを含むことができる。いくつかの実施形態では、パルスの連続する第rのセット間の時間間隔の最小値は、パルス波形構造における階層のより高いレベルに対して、この送達モードをサポートするように、発生器によって設定されてもよい。いくつかの実施形態では、rが3より大きいとき、時間間隔の最小値が、少なくとも約5秒であってもよい。
【0062】
図5では、階層構造を持つ二相性波形シーケンスの例を提供する。図に示す例では、151などの二相パルスは、正の電圧部分だけでなく負の電圧部分も有して、パルスの1つのサイクルを完了する。期間t
1の隣接するサイクル間には、時間遅延152(例えば、第1の時間間隔)があり、n
1個のそのようなサイクルが、パルスのグループ153(例えば、パルスの第1のセット)を形成する。1つのグループと次のグループとの間の期間t
2のグループ間の時間間隔156(例えば、第2の時間間隔)で分離される、一連のn
2個のそのようなグループは、パケット158(例えば、パルスの第2のセット)を形成する。図はまた、パケット間の時間遅延160(例えば、第3の時間間隔)の期間t
3を伴う、第2のパケット162を示す。単相パルスの場合と同様に、階層構造のより高いレベルも形成することができる。各パルスの振幅または二相パルスの電圧振幅は、間のすべての値および部分範囲を含めて、500ボルトから7,000ボルト以上までの範囲のいずれでもあることができる。パルス幅/パルス持続時間は、ナノ秒またはサブナノ秒から数十マイクロ秒までの範囲であることができ、一方遅延t
1は、ゼロから数マイクロ秒までの範囲であることができる。グループ間の時間間隔t
2が、パルス幅より少なくとも10倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも約20倍大きくなることができる。いくつかの実施形態では、時間間隔t
3が、時間間隔t
2より少なくとも50倍大きくなることができる。
【0063】
本明細書に開示する実施形態は、階層の様々なレベルで波形要素/パルスを含む、階層的な波形として構築される波形を含む。
図3の115などの個々のパルスが、階層の第1のレベルを含み、関連するパルス持続時間、および連続パルス間の第1の時間間隔を有する。パルスのセット、すなわち第1のレベル構造の要素は、
図3のパルスのグループ/パルスの第2のセット121など、階層の第2のレベルを形成する。他のパラメータには、波形に関連するものとして、パルスの第2のセットの総持続時間(図示せず)、パルスの第1のレベル要素/第1のセットの総数、およびパルスの第2のレベル構造/第2のセットを記述する、連続する第1のレベル要素間の第2の時間間隔などのパラメータがある。いくつかの実施形態では、パルスの第2のセットの総持続時間が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約20マイクロ秒と約10ミリ秒との間であることができる。グループのセット、パルスの第2のセット、または第2のレベル構造の要素は、
図3のグループのパケット/パルスの第3のセット122など、階層の第3のレベルを形成する。他のパラメータには、パルスの第3のセットの総持続時間(図示せず)、パルスの第2のレベル要素/第2のセットの総数、およびパルスの第3のレベル構造/第3のセットを記述する、連続する第2のレベル要素間の第3の時間間隔がある。いくつかの実施形態では、パルスの第3のセットの総持続時間が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約60マイクロ秒と約250ミリ秒との間であることができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、グループ化される第3のセットのパルスのセットは、
図14を参照すると、パルスの第4のセット(例えば、パルスの第4のセット1440)を定義する、パルスの多様な第3のセット(例えば、パルスの第3のセット1430)を含む超スーパーパケットなど、階層の第4のレベルを形成してもよい。さらに、
図19に関して記載するように、パルスの多様なまたは一連の第4のセット(例えば、超スーパーパケット)が、
図19に示す波形においてなど、階層の第5のレベルを形成してもよい。階層の特定レベルについて図を参照して記載するものの、ある特定の手順の要素および/または要件にしたがい、パルスのより高いレベルを含む、階層のいくつものより高いレベルを伴う波形の反復生成を使用して、アブレーション手順を行うことができることは理解できる。そのようなより高いレベルの普遍化については、
図19に関して上に記載している。
【0065】
他のパラメータには、パルスの第4のセットの総持続時間(図示せず)、パルスの第4のレベル要素/第4のセットの総数、および第5のレベル構造を記述する、連続する第4のレベル要素間の第4の時間間隔がある。いくつかの実施形態では、パルスの第4のセットの総持続時間が、間のすべての値および部分範囲を含めて、約100ミリ秒と約15分との間であってもよい。パルスの連続する第4のセット間の持続時間が、約5秒と500秒との間を変動できる。波形の概して反復的または入れ子の構造が、構造の10レベルなど、より高い複数レベル以上まで継続することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するような、入れ子構造および時間間隔の階層を伴う階層的な波形が、不可逆的電気穿孔のアブレーションエネルギー送達に有用であり、異なる組織タイプでの適用に、良好な制御および選択性を提供する。様々な階層的な波形を、好適なパルス発生器で生成することができる。本明細書の例では、明確にするために、別個の単相性および二相性波形を識別するものの、波形階層のいくつかの部分が単相である一方で、他の部分が二相である、組み合わせ波形もまた生成/実装できることに留意すべきであることが理解される。
【0067】
心臓アブレーションの処置を対象にする実施形態では、上に記載したパルス波形を、アブレーションカテーテルなど、カテーテル上の電極のセットから選択される電極の二極で印加することができる。カテーテルの電極のサブセットを陽極として選ぶことができ、一方アブレーションカテーテルの電極の別のサブセットを、陰極として選ぶことができ、電圧波形が陽極と陰極との間に印加される。非限定的な例として、アブレーションカテーテルが心外膜に置かれるアブレーションカテーテルである例では、カテーテルが肺静脈に巻きつくことができ、1つの電極を陽極として選ぶことができ、別の電極を陰極として選ぶことができる。
図6は、おおよそ直径方向に対向する電極対(例えば、電極603および609、電極604および610、電極605および611、ならびに電極606および612)が陽極-陰極セットとして作動可能な、例示の円形カテーテル構成を示す。開示するパルス波形のいずれも、連続するそのような電極セットにわたって、徐々にまたは順次、印加することができる。非限定的な例として、
図6は連続する電極サブセットの作動を描写する。第1のステップとして、電極603および609がそれぞれ陽極および陰極として選択され、本明細書に記載する階層構造を持つ電圧波形(例えば、
図14の波形)を、これらの電極にわたって印加する。小さな時間遅延(例えば、約5ミリ秒未満)を伴い、次のステップとして、電極604および610がそれぞれ陽極および陰極として選択され、再び波形を電極のこのセットにわたって印加する。小さな時間遅延の後、次のステップとして、電極605および611が、電圧波形の次の印加のために、陽極および陰極としてそれぞれ選択される。次のステップでは、小さな時間遅延の後、電極606および612が、電圧波形の印加のために、陽極および陰極としてそれぞれ選択される。いくつかの実施形態では、本明細書でより詳細に説明するように、電極対にわたって印加される波形のうちの1つ以上が、心周期の不応期中に印加される。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するアブレーションパルス波形が、心臓の洞調律が乱れるのを回避するために、心周期の不応期中に印加される。いくつかの実施形態では、処置の方法には、心臓を心臓刺激装置で電気的にペーシングして、心周期の周期性および予測性を確立するようにペーシング捕捉を保証し、その後、1つ以上のパルスアブレーション波形が送達できる心周期の不応期内に、時間枠を画定することを含む。
図7は、心房および心室ペーシングの両方が適用される例(例えば、右心房および右心室それぞれの中にある、ペーシングリードまたはカテーテルを用いる)を示す。時間を横軸に表し、
図7は、ペーシング信号によって駆動される一連のECG波形60および61と共に、64および65などの一連の心室ペーシング信号、ならびに62および63などの一連の心房ペーシング信号を示す。太い矢印によって
図7に示すように、心房ペーシング信号62および心室ペーシング信号64それぞれに続く、心房不応時間枠68および心室不応時間枠69がある。
図7に示すように、心房および心室不応時間枠68、69両方の内部にある、期間T
rの共通の不応時間枠66を画定することができる。いくつかの実施形態では、電気穿孔アブレーション波形(複数可)を、この共通の不応時間枠66に印加することができる。この不応時間枠68の開始は、
図7に示すように、時間オフセット59の分だけペーシング信号64からずれている。時間オフセット59が、いくつかの実施形態では、約25ミリ秒より小さくなることができる。次の心拍では、同様に画定される不応時間枠67が、アブレーション波形(複数可)の印加に利用可能な次の時間枠である。このように、共通の不応時間枠内に残る各心拍で、アブレーション波形(複数可)が、一連の心拍にわたって印加されうる。一実施形態では、パルス波形階層の中の、上で定義したようなパルスの各パケットは、所与の電極セットに対して1回の心拍に印加することができ、そのため、一連のパケットが一連の心拍にわたって印加される。
【0069】
一連の電極セットにわたる電極作動のタイミングシーケンスを、実施形態にしたがって
図8に示す。階層的なアブレーション波形をj個の電極セット(概して少なくとも1つの陽極および少なくとも1つの陰極を含む各電極セットに印加することが所望される、例示のシナリオを使用して、いくつかの実施形態では、心臓ペーシングは、前述に記載するように利用され、パルスのパケット(例えば、1つ以上のパルスグループまたはパルスの1つ以上のセットを含む)は、最初に電極セット1に印加され、小さな時間遅延t
d(約100μs以下程度の)のみを伴い、これに続き、パルスのパケットが電極セット2に印加される。続いて、別の時間遅延を伴い、パルスのパケットが、電極セット3に、以下同様に電極セットjに印加される。パルスのパケットを全j個の電極セットへ印加するこのシーケンス632が、単一心拍の不応時間枠(共通不応時間枠66または67など)中に送達され、電極セットへの各印加は、その電極セットに対して1つのパケットを構成する。ここで、単相階層的な波形の場合を考える。
図3に示す単相波形の例に戻ると、波形が一連の単相パルスを有し、各々パルス幅wを伴い、連続パルス間の期間t
1の時間間隔によって分離され、数m
1個の単相パルスが、パルスのグループを形成するように配列される。さらに、波形が、連続グループ間の期間t
2である時間間隔によって分離される、そのようなパルスのグループの数m
2を有し、それによって、パケットを定義する。この波形が、本明細書に記載するように、j個の電極セットにわたって順々に印加される場合、次の不等式を表すことができる。
【0070】
j[m2(m1w+t1(m1-1))+t2(m2-1)]+td(j-1)<Tr(1)
【0071】
式中、アブレーションパルス送達全体が、不応時間枠Tr内に発生するために、パルス波形パラメータm1およびm2が、電極セットの所与の数jを満たさなくてはならない。いくつかの実施形態では、不応時間枠Trが約140ミリ秒以下であることができる。ペーシング信号に対する不応枠の開始である時間オフセットが、約10ミリ秒未満であることができる。時間間隔w、t1、t2、およびtdは、任意であることができる一方、(例えば)コンピュータプロセッサなどの有限状態機械で実施される場合、いくつかの好適な単位(例えば、マイクロ秒、ナノ秒、または基本プロセッサのクロック時間の倍数など)で測定されるような整数である。いくつかの電極セットjを仮定すると、式(1)は、j個の電極セットにわたる波形印加の全期間が、所与の共通不応期より小さくなるような、パルス波形パラメータ(パルスおよびグループのパルス幅、時間間隔、ならびに数)を相互に制約するディオファントス不等式を表す。いくつかの実施形態では、ディオファントス不等式の解のセットは、パルス波形パラメータに関する部分的な制約に基づいて見つけることができる。例えば、発生器が、例えば、パルス幅wおよび時間遅延tdといった、パルス波形パラメータならびに/または関係パラメータのうちのいくつかの入力を必要とする可能性があり、その後、システムコンソールによって、パルス波形パラメータの残りを決定する。この場合、電極セットの数jもまた、解の決定を制約する、システムへの入力である。一実施形態では、ユーザが選択を行うために、システムコンソールによって、波形パラメータのそのような可能性のある解のセットを2つ以上表示しうる一方、代替の実施形態では、システムが、波形パラメータの自動選択または決定を行う。いくつかの実施形態では、解を計算し、例えば、パルス発生器のシステムコンソール上などで、所定の形態で解を直接実行することができる。例えば、パルス波形パラメータのすべてが、式(1)に類似するディオファントス不等式を満たすように事前に決定され、波形がシステム上で事前にプログラムされ、場合によっては、事前に決定された解(複数可)が電極セットの数jに依存することができ、または代わりに、解(複数可)を電極セットの最大数を仮定して事前に決定することができる。いくつかの実施形態では、2つ以上の解を事前に決定し、システムコンソール上でユーザ選択に利用可能にされうる。
【0072】
ディオファントス不等式(1)が、単一の不応時間枠にわたる、単一波形パケットの送達に対して成り立つ一方で、全波形が時に、複数のパケットを伴うことができる。パケットの数は、事前に決定することができ、一実施形態では、間のすべての値および部分範囲を含めて、1から28個のパケットにまで及ぶことができる。適切な不応時間枠Trは、一実施形態では、事前に決定および/もしくは事前に定義することができ、または代替の実施形態では、一定の所定範囲内からユーザが選択することができる。不等式(1)は、単相階層的な波形について明示的に書かれたものであったが、類似の不等式が、二相性波形について、または単相および二相性要素を組み合わせた波形について書かれてもよい。
【0073】
波形階層の最上位レベルにある一連のパケットにより、複数電極セットjにわたってアブレーション波形を送達する概略図を、
図8に提供する。第1の波形パケット632は、電極順序全体にわたって、次々と連続するj個の電極セットに送達され、このシーケンスの波形パラメータは、式(1)などのディオファントス不等式を満たす。この電圧波形シーケンス全体が、単一のペーシングされた心拍の定義された不応時間枠内に送達される。1つのペーシング周期と等しいパケット遅延t
3の後に、次の波形パケット633が、同じ波形パラメータで、電極順序全体にわたって次々とj個の電極セットに送達される。波形送達は、最後の波形パケット636が、次々とj個の電極セットに送達されるまで、所定の数のパケットにわたって継続する。したがって、アブレーション送達は、パケットがあるのと同じだけのペーシングされた心拍にわたって発生する。波形の電圧振幅は、臨床用途に好適かつ都合の良いように、間のすべての値および部分範囲を含めて、おおよそ700Vとおおよそ10,000Vとの間に広がり、おおよそ1,000Vとおおよそ8,000Vとの間に広がることができるのがより好ましい。
【0074】
いくつかの実施形態では、電極セットの完全なシーケンスを、電極セット/電極サブセットのより小さなサブシーケンスにさらに分割することができる。例えば、j個の電極セットの完全なシーケンスを、第1のサブシーケンス/第1のサブセットの中のj1個の電極セット、第2のサブシーケンス/第2のサブセットの中のj2個の電極セットなど、N番目のサブシーケンスの中のjN個の電極セットを伴う、N個のサブシーケンスにさらに分割することができる。波形パケットが、最初にj1個の電極セットの第1のサブシーケンスに、次いでj2個の電極セットの第2のサブシーケンスなどにわたって印加され、心臓ペーシングが全体にわたって用いられ、全波形パケットが適切な不応時間枠内に印加される。
【0075】
さらに、電極セットの各サブシーケンスにわたる波形送達は、アブレーション送達の効率および/または速度の増大のために、本明細書に記載する方法で多重化されてもよく、本明細書に記載するように、小集団が1、2、3、4個以上の対を成す電極サブセットを含む。
【0076】
各パケットまたはパルスの第2のセットを、心周期の信号不応期内で送達すると、パルス波形送達について本明細書に記載する一方で、他の実施形態では、単一の不応期内に送達される、パルス波形の階層のより高いレベルを可能にするように、パラメータ(例えば、パルス、グループ、パケット等の数、および時間間隔または時間遅延の期間)を多様にできることは理解することができる。例えば、実施形態では、パルスの複数の第2のセット(例えば、スーパーパケット)は、パルス、グループ、パケットなどの数、および第1、第2などの時間間隔または遅延の期間を調整して、単一の不応期内に階層の全3レベルを当てはめて、単一の不応期中に送達されるように構成することができる。
システム
【0077】
図9は、パルス電圧波形の送達のために構成される、アブレーションシステム200用のシステムアーキテクチャの概略図である。システム200が、システムコンソール215を含み、システムコンソール215が、パルス波形発生器およびコントローラ202と、ユーザインターフェース203と、接続ボックス210(複数のカテーテルが接続されてもよい)を発生器により送達される電圧パルスから分離するためのスイッチ205とを含む。いくつかの実施形態では、発生器/コントローラ202が、命令もしくはコードのセットを動作させる、および/または実行するように構成される、いかなる好適な処理デバイスであることができる、プロセッサを含むことができる。プロセッサが、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または同類のものであることができる。プロセッサが、システムおよび/もしくはシステムに関連するネットワーク(図示せず)に関連する、アプリケーションプロセス、および/もしくは他のモジュール、他のプロセス、および/もしくは他の機能を動作させる、ならびに/または実行するように構成されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、システム200はまた、例えば、ペーシングデータ、波形情報、および/もしくは同類のものを記憶するために構成される、メモリならびに/またはデータベース(図示せず)も含むことができる。メモリおよび/またはデータベースは、独立して、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、データベース、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、および/またはその他であることができる。メモリおよび/またはデータベースが、発生器/コントローラ202に、パルス波形生成および/もしくは心臓ペーシングなど、システム200に関連するモジュール、プロセス、ならびに/または機能を実行させる、命令を記憶することができる。
【0079】
システム200が、例えば、1つ以上のネットワークを介して他のデバイス(図示せず)と通信することができ、1つ以上のネットワークの各々が、有線ネットワークおよび/もしくは無線ネットワークとして実装される、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、仮想ネットワーク、電気通信ネットワーク、ならびに/またはインターネットなど、いかなるタイプのネットワークであることができる。いかなるまたはすべての通信は、当該技術分野で知られるように、安全である(例えば、暗号化された)可能性も、または安全でない可能性もある。システム200が、パーソナルコンピュータ、サーバ、ワークステーション、タブレット、モバイルデバイス、クラウドコンピューティング環境、これらのプラットフォームのうちのいずれか上で動作するアプリケーションもしくはモジュール、および/もしくは同類のものを含むことができ、ならびに/または網羅することができる。
【0080】
システムコンソール215によって、例えば、患者の心臓の心膜腔の中で、患者の肺静脈の周りにループ状になど、患者の生体構造で好適に位置づけられるアブレーションカテーテル209へ、アブレーションパルスを送達する。心内ECG記録およびペーシングカテーテル212は、接続ボックス210を介して、ECG記録システム208へ結合される。ECG記録システム208が、心臓刺激装置またはペーシングユニット207に接続される。心臓刺激装置207が、ペーシング出力を記録およびペーシングカテーテル212へ送ることができ、概して、心房および心室ペーシング信号の両方は、心臓刺激装置207からの出力として生成することができ、いくつかの実施形態では、心臓内に別個の心房および心室ペーシングカテーテル(図示せず)またはリードがある可能性があり、その後、各々を適切な心腔の中に配置し、および/または位置づけることができる。同じペーシング出力信号もまた、アブレーションシステムコンソール215へ送られる。ペーシング信号が、アブレーションシステムコンソールによって受信され、ペーシング信号に基づいて、アブレーション波形が、本明細書に記載するように、共通の不応枠内で発生器/コントローラ202によって生成できる。いくつかの実施形態では、共通の不応枠が、心室ペーシング信号の実質的な直後に(または非常に小さな遅延の後に)開始し、その後おおよそ250ms以下の期間持続することができる。この場合、アブレーション波形パケット全体が、前に説明したように、この期間内に送達される。
【0081】
アブレーションシステムコンソール215に関連するユーザインターフェース203が、用途に対して都合の良いように、様々な形態で実装することができる。心外膜アブレーションカテーテルは、剣状突起下アクセス法によって送達され、心外膜で
図1に示すような肺静脈の周りに置かれると、端部8および9をシンチ(cinch)ツールに通すことによって、端部で適所にしっかり締められ(cinch)てもよい。特定の左心房の生体構造のサイズに応じて、電極のサブセットは、取り囲む形で肺静脈の回りに配置されてもよく、一方電極の残りは、シンチツール(
図1に示さず)内部に引っ張られうるため露出しない。そのような実施形態では、取り囲む/露出する電極を、アブレーションエネルギーを送達するために選択的に使用することができる。アブレーションカテーテルと使用するのに好適なユーザインターフェースの実施形態を、
図10に概略的に描写する。
図10では、ユーザは、シンチツール内部の近位電極の数、およびシンチツール内部の遠位電極の数について、ユーザがそれぞれ選択650および651を行った、ウィンドウ653および654にそれぞれ示すように、電極のそれぞれの数を選択してもよい。シンチツールの内部にはない、カテーテル上の補完的な電極/電極のサブセット(カテーテル電極の完全なセットから取られる)が、電気穿孔アブレーションのためパルス電界の送達に使用される、露出電極である。送達される波形の振幅は、例えば、
図10に657が示す所定の電圧範囲にわたって動くことができるスライダー658など、入力機構によって制御される。電圧振幅が選択されると、ユーザインターフェース上に提供される初期化ボタン655を押して、エネルギー送達のためにアブレーションシステムを準備する。一例では、これは、続くカテーテルへの送達用のエネルギーを貯蔵するように、コンデンサバンクを充電するための引き金の形態を取ることができる。
【0082】
図11に示すように、初期化ボタン660はまた、初期化プロセスが継続中であると示す、状態表示器として働くこともできる。状態は、文字(
図11に示すような「初期化中…」、および/または初期化がまだ開始していない、もしくは未だ進行中であると示す黄色などの色)によって示すことができる。初期化プロセスが完成する(例えば、コンデンサバンクが完全にまたは満足のいく程度充電された)と、
図12に示すように、同じボタン663がここで、プロセスの完了(「初期化済み」)を示し、図示するようにいくつかの実施形態では、初期化の完了をさらに示すように、色(例えば、黄色から緑へ変化)および/または形状を変えることができる。一方で、アブレーションシステムが、心臓刺激装置またはペーシングユニットからの、ペーシング信号の受信を待つ。ペーシング信号が、初期化プロセスの完了と共に検出および/または確認されると、ここでペーシング捕捉の確認のためユーザが関与できるように、第2のボタン665が利用可能となる。ペーシング信号が、アブレーションシステムコンソールによって検出されない場合、第2のボタン665は使用可能にならない。ユーザが、ペーシング捕捉を確認するために、心臓内ECG記録と連動して心臓刺激装置のペーシング出力を見るように、ECGディスプレイ(図示せず)を監視することができる(これにより、予測可能な共通の不応枠を確立するために、心房および心室収縮が実際にペーシング信号により駆動されることを確認する)。ユーザは、ECGデータからペーシング捕捉を目で見て確認すると、次いで、「ペーシング捕捉を確認」ボタン665を押して、アブレーションシステム上でペーシング捕捉を確認することができる。
【0083】
図13に示すように、ペーシング捕捉がアブレーションシステム上で確認されると、システムがここで、アブレーションまたはパルス電界の送達に利用可能となる。ペーシング捕捉確認ボタンがこの時、外観670を変化させ(外観は色、形状、および/または同類のものを変化させることができる)、670によって示すように、アブレーション送達の準備完了を示す。さらに、アブレーション送達ボタン675がここで、ユーザに対して利用可能となる。ユーザが、アブレーション送達ボタン675を押して、ペーシングされた心拍リズムに同調して、アブレーションを送達することができる。いくつかの実施形態では、ユーザが、アブレーション送達の期間中に、ボタン675を押し、最後に、ボタンが形状または色を変化させて、アブレーション送達の完了を示す。いくつかの実施形態では、ユーザが、アブレーション送達の完了前に、ボタン675を解除した場合、アブレーション送達は、例えば、20ms以下の小さな時間差のみで、即座に停止する。いくつかの実施形態では、アブレーションボタン675が利用可能であると表示された後、ユーザがアブレーションボタン675を押していなかった場合、安全機構として、ボタンは限定された持続時間のみ押すことができる状態にとどまり、その後使用不可となる。いくつかの実施形態では、アブレーションボタン675が、ユーザインターフェースディスプレイ上のソフトウェアまたはグラフィックボタンであることができ、一方、別の実施形態では、システムによって判定される作動状態または利用可能状態に応答が依存する、機械式ボタンである可能性があり、または別の実施形態では、ボタン675が、制限なく、例えば、レバー、ジョイスティック、コンピュータマウスなど、様々な制御入力デバイスのうちのいかなる形態であることもできる。一実施形態では、アブレーションシステムは、例えば、システムを即時非アクティブ化することが所望される場合の、さらなる安全性のために、別の緊急停止ボタンを有することができる。一実施形態では、アブレーションコンソールが、回転台車または車輪付きカート上に取り付けることができ、ユーザが、滅菌野の中にあるタッチパネルインターフェースを使用して、システムを制御することができる。タッチパネルは、例えば、標準的な医療用の柵または支柱に取り付け可能な、プラスチック筐体の中にあるLCDタッチパネルであることができ、タッチパネルが、前述に記載した機能性を最小限有することができる。インターフェースは、例えば、透明なプラスチックの滅菌覆布で覆うことができる。
【0084】
本明細書に開示するような波形パラメータを、信号発生器の設計によって決定することができ、いくつかの実施形態では、パラメータを事前に決定することができる。いくつかの実施形態では、波形パラメータの少なくともサブセットは、所与の臨床用途に便利でありうるように、ユーザ制御によって決定される可能性がある。本明細書の特定の例および記載は、本質的に例示であり、変形例は、本明細書に開示する実施形態の範囲から逸脱することなく、本明細書で教示する材料に基づいて、当業者が開発することができる。
【0085】
本明細書に記載する1つ以上の実施形態は、コンピュータで実施する様々な操作を行うために、命令またはコンピュータコードを有する、非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも呼ぶことができる)を伴うコンピュータストレージ製品に関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、一時的伝搬信号(例えば、空間またはケーブルなどの伝送媒体上で情報を運ぶ、伝搬電磁波)それ自体を含まないという意味で、非一時的である。媒体およびコンピュータコード(コードまたはアルゴリズムとも呼ぶことができる)は、1つまたは複数の特定の目的のために、設計され構築されたものでありうる。非一時的コンピュータ可読媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気テープなどの磁気記憶媒体、コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、およびホログラフィックデバイスなどの光学記憶媒体、光ディスクなどの光磁気記憶媒体、搬送波信号処理モジュール、ならびに特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)、およびランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなど、プログラムコードを記憶し実行するように特別に構成されたハードウェアデバイスを含むが、それらに限定されない。本明細書に記載する他の実施形態は、例えば、本明細書に開示する命令および/またはコンピュータコードを含むことができる、コンピュータプログラム製品に関する。
【0086】
本明細書に記載する1つ以上の実施形態および/または方法は、ソフトウェア(ハードウェア上で実行される)、ハードウェア、またはそれらの組み合わせによって行うことができる。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ(またはマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または特定用途向け集積回路(ASIC)を含んでもよい。ソフトウェアモジュール(ハードウェア上で実行される)は、C、C++、Java(登録商標)、Ruby、Visual Basic(登録商標)、ならびに/または他のオブジェクト指向、手続き型、もしくは他のプログラミング言語および開発ツールを含む、様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現することができる。コンピュータコードの例には、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラによって生み出されるような機械命令、ウェブサービスを生み出すために使用されるコード、およびインタプリタを使用してコンピュータによって実行される、より高レベルの命令を包含するファイルを含むが、それらに限定されない。コンピュータコードのさらなる例には、制御信号、暗号化コード、および圧縮コードを含むが、それらに限定されない。
【0087】
図示する心外膜カテーテルは、本明細書で例として考察しているものの、パルス電界(PEF)エネルギーおよび組織アブレーションの送達のために、複数電極を備える心内膜カテーテルならびに他の医療機器が、効率的な電極の順序づけおよびPEFアブレーション送達のために、本明細書に開示する多重化およびインターリーブから恩恵を受けうることは理解されるべきである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示する方法、システム、およびデバイスは、2018年4月27日出願の国際出願第PCT/US2018/29938号のうちの1つ以上に記載される方法、システム、およびデバイスのうちの1つ以上を備えてもよく、その内容は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0088】
様々な実施形態を上に記載してきたものの、それらは限定ではなく、例として提示したものであることは理解されるべきである。上に記載する方法が、特定の順番で起こる特定の事象を示す場合、特定の事象の順番は修正することができる。加えて、特定の事象が、上に記載したように順次行われるだけでなく、可能な場合、並行プロセスで同時に行われてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の中の組織をアブレーションするため、電界を生成するように構成される複数の電極を含む、アブレーションデバイスと、
前記アブレーションデバイスに結合可能で、パルス波形の形態で、前記アブレーションデバイスへ電圧パルスを送達するように構成される、パルス波形発生器であって、前記パルス波形が、
パルスの第1のセットと、前記パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、前記パルス波形の階層の第1のレベルであって、前記パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有する、第1のレベルと、
パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、前記パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含む、前記階層の第2のレベルであって、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間である、第2のレベルと、
前記階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、前記パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2の時間遅延の少なくとも30倍の期間であり、
パルスの第4のセットとしてパルスの複数の第3のセットと、前記パルスの複数の第3のセットのうちのパルスの連続する第3のセットを分離する、第4の時間遅延とを含む、前記階層の第4のレベルであって、各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間である、第4のレベルと、を含む、パルス波形発生器とを備える、システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0088
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0088】
(付記)
好ましい実施形態として、上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下記載する。
[項目1]
対象の中の組織をアブレーションするため、電界を生成するように構成される複数の電極を含む、アブレーションデバイスと、
前記アブレーションデバイスに結合可能で、パルス波形の形態で、前記アブレーションデバイスへ電圧パルスを送達するように構成される、パルス波形発生器であって、前記パルス波形が、
パルスの第1のセットと、前記パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、前記パルス波形の階層の第1のレベルであって、前記パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有する、第1のレベルと、
パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、前記パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含む、前記階層の第2のレベルであって、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間である、第2のレベルと、
前記階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、前記パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2の時間遅延の少なくとも30倍の期間であり、
パルスの第4のセットとしてパルスの複数の第3のセットと、前記パルスの複数の第3のセットのうちのパルスの連続する第3のセットを分離する、第4の時間遅延とを含む、前記階層の第4のレベルであって、各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間である、第4のレベルと、を含む、パルス波形発生器とを備える、システム。
[項目2]
パルスの各第1のセットの各パルスが、各々少なくとも500ボルトの電圧振幅を持つ二相パルスを含み、各二相パルスの前記パルス持続時間が、約0.5ナノ秒から約20マイクロ秒までの範囲である、項目1に記載のシステム。
[項目3]
前記パルスの第4のセットが、パルスの少なくとも2つの第3のセット、およびパルスの40個未満の第3のセットを含む、項目1に記載のシステム。
[項目4]
各第4の時間遅延は、一定の期間を有する、項目1に記載のシステム。
[項目5]
前記第4の時間遅延の期間が異なり、項目1に記載のシステム。
[項目6]
前記第4の時間遅延が、少なくとも1つの時間遅延の繰り返し値を含む、項目5に記載のシステム。
[項目7]
各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間から、第3の時間遅延の1000倍未満の期間まで広がる範囲内の期間を有する、項目5に記載のシステム。
[項目8]
各第4の時間遅延の期間が、心臓の心周期より大きい、項目1に記載のシステム。
[項目9]
前記パルス波形がさらに、パルスの第5のセットとしてパルスの複数の第4のセットと、前記パルスの複数の第4のセットのうちのパルスの連続する第4のセットを分離する、第5の時間遅延とを含む、前記階層の第5のレベルを含み、各第5の時間遅延が、前記第4の時間間隔のうちの少なくとも1つの少なくとも10倍の期間である、項目1に記載のシステム。
[項目10]
前記パルスの複数の第2のセットのパルスの連続する第2のセットが、心臓の別個の心周期の不応期中に送達されるように、前記パルス波形発生器が、前記心臓の心周期に同調して、前記パルス波形の前記形態で前記電圧パルスを送達するように構成され、前記パルスの第4のセットの送達枠は、前記心臓の複数の心周期にわたって広がる、項目1に記載のシステム。
[項目11]
パルスの各第2のセットが、パルスの少なくとも2つの第1のセット、およびパルスの40個未満の第1のセットを含む、項目10に記載のシステム。
[項目12]
前記心臓の前記心周期のタイミングを制御するため、ペーシング信号を生成するように構成される心臓刺激装置をさらに含む、項目10に記載のシステム。
[項目13]
前記パルス波形発生器がさらに、前記アブレーションデバイスの複数の電極セットへ、前記電圧パルスを送達するように構成され、第1の電極セットへ送達される電圧パルスが、第2の電極セットへの電圧パルス送達から、ある時間だけずれている、項目1に記載のシステム。
[項目14]
対象の中の組織をアブレーションするため、電界を生成するように構成される複数の電極を含む、アブレーションデバイスと、
前記アブレーションデバイスに結合可能なパルス波形発生器であって、前記パルス波形発生器が、複数の電極セットにわたって送達されている電圧パルスをインターリーブすることによって、パルス波形の形態で前記電圧パルスを、前記アブレーションデバイスへ送達するように構成され、前記パルス波形が、
パルスの第1のセットと、前記パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、前記パルス波形の階層の第1のレベルであって、前記パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有する、第1のレベルと、
パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、前記パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含む、前記階層の第2のレベルであって、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間である、第2のレベルと、を含み、
前記階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、前記パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2のレベルの時間遅延の少なくとも30倍の期間である、パルス波形発生器とを備える、システム。
[項目15]
パルスの各第1のセットの各パルスが、各々少なくとも500ボルトの電圧振幅を持つ二相パルスを含み、各二相パルスの前記パルス持続時間が、約0.5ナノ秒から約20マイクロ秒までの範囲である、項目14に記載のシステム。
[項目16]
前記パルス波形発生器が、前記複数の電極セットのうちの第2の電極セットへの電圧パルスの送達から、ある時間だけずれて、前記複数の電極セットのうちの第1の電極セットへ、電圧パルスを送達することによって、前記電圧パルスを送達するように構成される、項目14に記載のシステム。
[項目17]
前記第2の電極セットへ送達されるパルスの連続する第1のセットが、前記第1の電極セットへ送達されるパルスの連続する第1のセットに続くように、前記第1の電極セットへの電圧パルスの前記送達と、前記第2の電極セットへの電圧パルスの前記送達とをずらす前記ある時間が、前記第2の時間遅延の前記期間より少ない、項目16に記載のシステム。
[項目18]
前記第1の電極セットへの電圧パルスの前記送達と、前記第2の電極セットへの電圧パルスの前記送達とをずらす前記ある時間が、前記第2の時間遅延の前記期間の約55パーセント未満である、項目17に記載のシステム。
[項目19]
前記パルス波形発生器が、心臓の心周期に同調して、前記電圧パルスを送達するように構成され、それによって、所与の電極セットに対する、前記パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットが、前記心臓の別個の心周期の不応期中に送達され、前記複数の電極セットのうちの少なくとも2つの電極セットへ送達される、前記パルスの第2のセットが、単一の不応期中に送達される、項目14に記載のシステム。
[項目20]
前記心臓の前記心周期のタイミングを制御するため、ペーシング信号を生成するように構成される心臓刺激装置をさらに含む、項目19に記載のシステム。
[項目21]
パルス波形の形態で電圧パルスを生成することであって、前記パルス波形が、
パルスの第1のセットと、前記パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、前記パルス波形の階層の第1のレベルであって、前記パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有する、第1のレベルと、
パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、前記パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含む、前記階層の第2のレベルであって、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間である、第2のレベルと、
前記階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、前記パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2のレベルの時間遅延の少なくとも30倍の期間であり、
パルスの第4のセットとしてパルスの複数の第3のセットと、前記パルスの複数の第3のセットのうちのパルスの連続する第3のセットを分離する、第4の時間遅延とを含む、前記階層の第4のレベルであって、各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間である、第4のレベルと、
を含むことと、
1つ以上の電極セットが、対象の中の組織をアブレーションするためパルス電界を生成するように、アブレーションデバイスの前記1つ以上の電極セットへ、前記電圧パルスを送達することと、を含む方法。
[項目22]
前記パルスの第4のセットが、パルスの少なくとも2つの第3のセット、およびパルスの40個未満の第3のセットを含む、項目21に記載の方法。
[項目23]
前記第4の時間遅延の期間が異なり、各第4の時間遅延が、第3の時間遅延の少なくとも10倍の期間から、第3の時間遅延の1000倍未満の期間まで広がる範囲内の期間を有する、項目21に記載の方法。
[項目24]
心臓刺激装置でペーシング信号のセットを生成することと、
心臓へ前記ペーシング信号のセットを送達することとをさらに含み、
前記パルスの複数の第2のセットのパルスの各第2のセットが、前記ペーシング信号のセットの各ペーシング信号に関連する不応期中に送達されるように、前記電圧パルスが、前記ペーシング信号のセットに同調して送達され、前記パルスの第4のセットの送達枠は、前記心臓の複数の心周期にわたって広がる、項目21に記載の方法。
[項目25]
各第4の時間遅延の期間が、前記ペーシング信号のセットから、成功ペーシング信号を分離する、ある時間より大きい、項目24に記載の方法。
[項目26]
前記パルス波形がさらに、パルスの第5のセットとしてパルスの複数の第4のセットと、前記パルスの複数の第4のセットのうちのパルスの連続する第4のセットを分離する、第5の時間遅延とを含む、前記階層の第5のレベルを含み、各第5の時間遅延が、前記第4の時間間隔のうちの少なくとも1つの少なくとも10倍の期間である、項目21に記載の方法。
[項目27]
パルス波形の形態で電圧パルスを生成することであって、前記パルス波形が、
パルスの第1のセットと、前記パルスの第1のセットの連続パルスを分離する第1の時間遅延とを含む、前記パルス波形の階層の第1のレベルであって、前記パルスの第1のセットの各パルスが、パルス持続時間を有する、第1のレベルと、
パルスの第2のセットとしてパルスの複数の第1のセットと、前記パルスの複数の第1のセットのうちのパルスの連続する第1のセットを分離する、第2の時間遅延とを含む、前記階層の第2のレベルであって、各第2の時間遅延が、第1の時間遅延の少なくとも3倍の期間である、第2のレベルと、を含み、
前記階層の第3のレベルは、パルスの第3のセットとしてパルスの複数の第2のセットと、前記パルスの複数の第2のセットのうちのパルスの連続する第2のセットを分離する、第3の時間遅延とを含み、各第3の時間遅延が、第2のレベルの時間遅延の少なくとも30倍の期間であることと、
1つ以上の電極セットが、対象の中の組織をアブレーションするためパルス電界を生成するように、アブレーションデバイスの複数の電極セットへ前記電圧パルスを、前記複数の電極セットの前記電極セットのうちの少なくとも2つへ送達される、前記電圧パルスをインターリーブすることによって、送達することと、を含む、方法。
[項目28]
前記電圧パルスが、前記少なくとも2つの電極セットのうちの第2の電極セットへの前記電圧パルスの送達から、ある時間だけずれて、前記少なくとも2つの電極セットのうちの第1の電極セットへ送達される、項目27に記載の方法。
[項目29]
前記第1の電極セットへの電圧パルスの前記送達と、前記第2の電極セットへの電圧パルスの前記送達とをずらす前記ある時間が、前記第2の時間遅延の前記期間の約55パーセント未満である、項目28に記載の方法。
[項目30]
心臓刺激装置でペーシング信号のセットを生成することと、
心臓へ前記ペーシング信号のセットを送達することとをさらに含み、
前記ペーシング信号のセットに同調して送達される前記電圧パルスが、前記パルスの複数の第2のセットのパルスの各第2のセットを、前記ペーシング信号のセットの別個のペーシング信号に関連する不応期中に送達するようであり、前記複数の電極セットのうちの少なくとも2つの電極セットへ送達されるパルスの前記第2のセットが、単一の不応期中に送達される、項目27に記載の方法。
様々な実施形態を上に記載してきたものの、それらは限定ではなく、例として提示したものであることは理解されるべきである。上に記載する方法が、特定の順番で起こる特定の事象を示す場合、特定の事象の順番は修正することができる。加えて、特定の事象が、上に記載したように順次行われるだけでなく、可能な場合、並行プロセスで同時に行われてもよい。
【外国語明細書】