(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110987
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】車両用電子制御システム及びこれに用いるプログラムの更新方法
(51)【国際特許分類】
G06F 8/656 20180101AFI20240808BHJP
G06F 8/654 20180101ALI20240808BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
G06F8/656
G06F8/654
B60R16/02 660U
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090687
(22)【出願日】2024-06-04
(62)【分割の表示】P 2022553224の分割
【原出願日】2020-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 光彦
(72)【発明者】
【氏名】大橋 栄介
(72)【発明者】
【氏名】林 秀俊
(57)【要約】
【課題】プログラムを起動できない状態で電子制御装置がプログラムの起動を開始する事態を回避できる車両用電子制御システム及びこれに用いるプログラムの更新方法を提供する。
【解決手段】外部機器10からマスタ装置1に更新データを取得し、マスタ装置1に取得した更新データを、マスタ装置1の指示で、電子制御装置2に備えられた記憶部201のデータ格納面に書込む。データ格納面に更新データを書込んだ後に、第1検出部102を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、第1検出部102を用いて車両が駐車していると判定した場合に、データ格納面に格納され、更新データによって書換えられたプログラムを起動する指示を電子制御装置2に与える。そして、プログラムを起動する指示によりプログラムを起動する場合に、第1検出部102と異なる第2検出部202を用いて車両が駐車状態であるか否かを判定し、第2検出部202を用いて車両が駐車状態であると判定した場合に、前記プログラムを起動する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子制御装置と、前記電子制御装置に指示を与えるマスタ装置と、を備える車両用電子制御システムにおいて、
前記電子制御装置は、
データ格納面を含む記憶部と、
車両の状態を検出する第2検出部と、
前記マスタ装置から取得した更新データを前記データ格納面に書込んでプログラムを書換える書換え実行部と、
前記更新データによって書換えられたプログラムを起動するか否かを判定する起動判定部と、
前記プログラムを起動する起動実行部と、を備え、
前記マスタ装置は、
外部機器から前記更新データを取得する更新データ取得部と、
前記第2検出部と異なる、車両の状態を検出する第1検出部と、
前記書換え実行部に前記更新データを前記データ格納面に書込むよう指示する書換え指示部と、
前記書換え指示部の指示で前記書換え実行部が前記更新データを前記データ格納面に書込んだ後、前記第1検出部を用いて車両が駐車していると判定した場合に、前記起動実行部に前記プログラムの起動を指示する起動指示部と、を備え、
前記起動判定部は、前記起動指示部の指示で前記起動実行部が前記プログラムを起動する場合に、前記第2検出部を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、
前記起動実行部は、前記起動判定部が、前記第2検出部を用いて車両が駐車していると判定したときに、前記プログラムを起動する、車両用電子制御システム。
【請求項2】
前記起動判定部は、前記起動指示部から前記プログラムを起動する指示を取得するとともに、前記第2検出部を用いて車両が駐車しているか否かを判定する、請求項1に記載の車両用電子制御システム。
【請求項3】
前記起動判定部は、前記起動指示部と異なる指標を用いて車両が駐車しているか否かを判定する、請求項1又は2に記載の車両用電子制御システム。
【請求項4】
前記起動指示部が、車両が駐車しているか否かを判定する場合に、前記第1検出部は、パーキングブレーキの状態、イグニッションスイッチの状態、車速及びギア位置のうちいずれか1つを検出し、
前記起動判定部が、車両が駐車しているか否かを判定する場合に、前記第2検出部は、パーキングブレーキの状態、イグニッションスイッチの状態、車速及びギア位置のうちいずれか1つを検出し、
前記第1検出部が検出したものと、前記第2検出部が検出したものとは、互いに異なる、請求項3に記載の車両用電子制御システム。
【請求項5】
前記マスタ装置は、複数の電子制御装置からなる複数の電子制御装置群と接続し、
前記第1検出部及び前記第2検出部は、それぞれ、前記複数の電子制御装置群から選択される一の電子制御装置群から車両の状態を取得し、
前記第1検出部が車両の状態を取得する電子制御装置群と、前記第2検出部が車両の状態を取得する電子制御装置群とは、互いに異なる電子制御装置群である、請求項3又は4に記載の車両用電子制御システム。
【請求項6】
前記第2検出部は、CANバスから信号を取得する、請求項3~5のいずれか一項に記載の車両用電子制御システム。
【請求項7】
前記起動実行部が前記プログラムを起動するときに、前記プログラムの起動の開始から完了まで車両の駐車状態を維持するように車両を制御する、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両用電子制御システム。
【請求項8】
前記記憶部は、少なくとも、第1データ格納面と第2データ格納面とを有する不揮発性メモリである、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両用電子制御システム。
【請求項9】
前記書換え実行部は、前記第1データ格納面に格納されたプログラムが動作している状態で、前記マスタ装置から取得した前記更新データを前記第2データ格納面に書込む、請求項8に記載の車両用電子制御システム。
【請求項10】
前記起動実行部は、前記第2データ格納面に格納され、前記更新データによって書換えられたプログラムを起動する場合に、前記第2データ格納面に格納された前記書換えられたプログラムを動作させるとともに、前記第1データ格納面に格納されたプログラムの動作を停止する、請求項9に記載の車両用電子制御システム。
【請求項11】
データ格納面を含む記憶部と、
車両の状態を検出する第2検出部と、
マスタ装置が外部機器から取得した更新データをマスタ装置から取得し、前記更新データを前記データ格納面に書込んでプログラムを書換える書換え実行部と、
前記更新データによって書換えられたプログラムを起動するか否かを判定する起動判定部と、
前記プログラムを起動する起動実行部と、を備え、
前記書換え実行部は、前記書換え実行部に前記更新データを前記データ格納面に書込むよう指示する、前記マスタ装置の書換え指示部の指示で、前記更新データを前記データ格納面に書込み、
前記起動実行部は、前記書換え指示部の指示で前記書換え実行部が前記更新データを前記データ格納面に書込んだ後、前記第2検出部と異なる、車両の状態を検出する第1検出部を用いて、車両が駐車していると前記マスタ装置が判定した場合に、前記起動実行部に前記プログラムの起動を指示する、前記マスタ装置の起動指示部の指示で、前記プログラムを起動し、
前記起動判定部は、前記起動指示部の指示で前記起動実行部が前記プログラムを起動する場合に、前記第2検出部を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、
前記起動実行部は、前記起動判定部が、前記第2検出部を用いて車両が駐車していると判定したときに、前記プログラムを起動する、電子制御装置。
【請求項12】
データ格納面を含む記憶部を備える電子制御装置に指示を与えるマスタ装置において、
外部機器から更新データを取得する更新データ取得部と、
前記電子制御装置に備えられた車両の状態を検出する第2検出部と異なる、車両の状態を検出する第1検出部と、
マスタ装置から取得した更新データを前記データ格納面に書込んでプログラムを書換える、前記電子制御装置の書換え実行部に、前記更新データを前記データ格納面に書込んでプログラムを書換えるよう指示する書換え指示部と、
前記書換え指示部の指示で前記書換え実行部が前記更新データを前記データ格納面に書込んだ後、前記第1検出部を用いて車両が駐車していると判定した場合に、前記更新データによって書換えられたプログラムを起動する、前記電子制御装置の起動実行部に前記プログラムの起動を指示する起動指示部と、を備え、
前記起動指示部の指示で前記起動実行部が前記プログラムを起動する場合に、前記プログラムを起動するか否かを判定する、前記電子制御装置の起動判定部は、前記第2検出部を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、
前記起動実行部は、前記起動判定部が、前記第2検出部を用いて車両が駐車していると判定したときに前記プログラムを起動する、マスタ装置。
【請求項13】
外部機器からマスタ装置に更新データを取得し、
前記マスタ装置に取得した前記更新データを、前記マスタ装置の指示で、電子制御装置に備えられた記憶部のデータ格納面に書込み、
前記データ格納面に前記更新データを書込んだ後に、第1検出部を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、
前記第1検出部を用いて車両が駐車していると判定した場合に、前記データ格納面に格納され、前記更新データによって書換えられたプログラムを起動する指示を前記電子制御装置に与え、
前記プログラムを起動する指示により前記プログラムを起動する場合に、前記第1検出部と異なる第2検出部を用いて車両が駐車状態であるか否かを判定し、
前記第2検出部を用いて車両が駐車状態であると判定した場合に、前記プログラムを起動する、車両用のプログラム更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電子制御システム及びこれに用いるプログラムの更新方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第1データ格納面と第2データ格納面とを有する不揮発性メモリを備える電子制御装置において、運用中の第1データ格納面に格納されているアプリプログラム又はパラメータデータを動作させているときに、外部の装置から取得した更新データを、運用していない第2データ格納面に書込むことで、車両が走行可能な状態又は駐車している状態の間に第2データ格納面を書換え、当該書換え後に車両が駐車している状態で、運用する面を第1データ格納面から第2データ格納面に切替えるものが知られている(特許文献1)。
【0003】
電子制御装置は、車両用ゲートウェイ装置の指示により、電子制御装置の再起動を含む一連の処理を実行することで、運用するデータ格納面を切替えて、更新データで書換えたプログラムを起動する。車両用ゲートウェイ装置は、所定の条件(たとえば、車両の状態が、書換えたプログラムを起動できる状態であること)を満たす場合に、書換えたプログラムの起動を電子制御装置に指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、電子制御装置に対して、書換えたプログラムの起動を指示する場合に、車両用ゲートウェイ装置は、センサから信号を取得する際のノイズ、又はハッキングなどの影響で、たとえば、車両が走行中であるにもかかわらず駐車中であると誤認識する場合がある。この誤認識により、車両が走行している状態などの本来であれば書換えたプログラムを起動できない状態で、電子制御装置がプログラムの起動を開始してしまう恐れがある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、プログラムを起動できない状態で電子制御装置がプログラムの起動を開始する事態を回避できる車両用電子制御システム及びこれに用いるプログラムの更新方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、外部機器から取得した更新データを、マスタ装置の指示で、電子制御装置に備えられた記憶部のデータ格納面に書込んだ後、第1検出部を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、車両が駐車していると判定した場合に、更新データによって書換えられたプログラムを起動する指示を電子制御装置に与える。そして、当該指示により書換えられたプログラムを起動する場合に、第1検出部と異なる第2検出部を用いて車両が駐車状態であるか否かを判定し、車両が駐車状態であると判定した場合に、書換えられたプログラムを起動することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プログラムを起動できない状態で電子制御装置がプログラムの起動を開始する事態を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の電子制御装置及びマスタ装置を含む車両用電子制御システムを示すブロック図である。
【
図2】
図1のマスタ装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【
図3】
図1の電子制御装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【
図4A】
図1の車両用電子制御システムにおける情報処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。
【
図4B】
図1の車両用電子制御システムにおける情報処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電子制御装置、マスタ装置、及びこれらを備える車両用電子制御システム、並びに当該電子制御システムに用いるプログラムの更新方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
[車両用電子制御システム]
図1は、本発明に係る車両用電子制御システム1000を示すブロック図である。車両用電子制御システム1000は、マスタ装置1、電子制御装置2、センサ3、表示装置4、入力装置5、及び通信装置6を含む。車両用電子制御システム1000に含まれるこれらの装置は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、互いにデータを授受することができる。
【0012】
本実施形態のマスタ装置1は、車両用電子制御システム1000に含まれる装置を制御し、協働させる装置である。具体的には、マスタ装置1は、電子制御装置2に指示を与え、電子制御装置2及びセンサ3を作動させる。また、マスタ装置1は、電子制御装置2及びセンサ3から取得した情報を表示装置4に表示し、表示された情報に対して、ドライバー及び同乗者が入力装置5に入力した指示を取得する。さらに、マスタ装置1は、必要に応じて、通信装置6を介して外部機器10と接続し、外部機器10からデータを取得する。これらの装置の協働により、車両用電子制御システム1000の機能を実現する。
【0013】
電子制御装置2は、車両に搭載された各種機器を制御する装置である。電子制御装置2は、通常、車両に複数個搭載される。本実施形態の電子制御装置2は、複数の電子制御装置2からなる電子制御装置群を構成する。
図1に示す車両用電子制御システム1000は、3つの電子制御装置群A、B、及びCを備える。電子制御装置群Aは、電子制御装置21a、21b、21c・・・を制御する電子制御装置21を備え、電子制御装置群Bは、電子制御装置22a、22b、22c・・・を制御する電子制御装置22を備え、電子制御装置群Cは、電子制御装置23a、23b、23c・・・を制御する電子制御装置23を備える。
【0014】
電子制御装置群Aを構成する各電子制御装置は、たとえばCANバスを介して接続され、互いにデータを授受することができる。これは、電子制御装置群B及びCについても同様である。また、電子制御装置21、22、及び23、並びにマスタ装置1は、CANのような車載LANで接続され、互いにデータを授受することができる。なお、電子制御装置2及び電子制御装置群の数は特に限定されず、車両に搭載された各種機器を制御することができる範囲で、適宜の数を設定することができる。
【0015】
また、電子制御装置2は、センサ3に接続して、走行速度、ブレーキの作動の状態、スロットル開度、ギアの位置などの車両の状態を検出することができる。
図1に示す車両用電子制御システム1000は、車速センサ31aが電子制御装置21aに、ブレーキセンサ31bが電子制御装置21bに、スロットル開度センサ31cが電子制御装置21cに、ギア位置センサ32aが電子制御装置22aに、パーキングブレーキセンサ32bが電子制御装置22bに、イグニッションセンサ33aが電子制御装置23aに、そして、バッテリーセンサ33bが電子制御装置23bに、それぞれ接続している。一方、電子制御装置22c及び23cにはセンサ3が接続していないが、全ての電子制御装置2がセンサ3に接続する必要はない。電子制御装置2とセンサ3の接続は、制御する車両ごとに適宜に選択することができる。
【0016】
車速センサ31a、スロットル開度センサ31c、及びギア位置センサ32aは、それぞれ、車両の走行速度、スロットルの開度、ギアの位置(ロー、セカンド、ドライブ、ニュートラル、パーキングなど)を検出できるセンサであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。ブレーキセンサ31b、パーキングブレーキセンサ32b、及びイグニッションセンサ33aは、それぞれ、ブレーキが作動しているか否か、パーキングブレーキが作動しているか否か、イグニッションスイッチがONか否かを検出できるセンサであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。バッテリーセンサ33bは、バッテリーが充電中か否かを検出できるセンサであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。
【0017】
表示装置4は、たとえば液晶ディスプレイであり、マスタ装置1から出力された情報をドライバー及び同乗者に提示することができる装置であれば特に限定されない。入力装置5は、ドライバー及び同乗者がマスタ装置1に指示を入力することができる装置であれば特に限定されない。表示装置4及び入力装置5は、別々の装置である必要はなく、1つの装置(たとえば、タッチスクリーン)であってもよい。
【0018】
通信装置6は、インターネットなどのネットワークを介して他の機器と通信ができる装置であれば特に限定されず、公知の車載通信装置を用いることができる。本実施形態の通信装置6は、外部機器10と接続し、マスタ装置1が必要なデータを取得できるようにする。外部機器10は、たとえば光ディスクの読み込み装置、フラッシュメモリ、及びネットワーク上のサーバである。
【0019】
[マスタ装置]
図2は、本実施形態のマスタ装置1を示すブロック図である。マスタ装置1は、車両用電子制御システム1000に含まれる装置の制御及び協働を、プロセッサ11より実現する。プロセッサ11には、プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)112と、ROM112に格納されたプログラムを実行することで、マスタ装置1として機能するための動作回路であるCPU(Central Processing Unit)111と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)113とを備える。
【0020】
本実施形態のマスタ装置1で用いるプログラムは、マスタ装置1の機能を実現するための機能ブロックとして、更新データ取得部101、第1検出部102、書換え指示部103、及び起動指示部104を含む。
図2には、各部を便宜的に抽出して示す。以下、各部について説明する。
【0021】
本実施形態の更新データ取得部101は、外部機器10から、電子制御装置2で用いるプログラムを書換えるための更新データを取得する機能を有する。更新データには、電子制御装置2で用いる新たなプログラムのみならず、すでに運用されているプログラムの一部を修正するためのデータ、プログラムで設定されているパラメータの値などが含まれる。
【0022】
マスタ装置1は、更新データ取得部101の機能により、通信装置6を介して所定の時間間隔で外部機器10と接続し、更新データが入手できるか否かを判定するする。更新データが存在しないと判定した場合には、マスタ装置1は、外部機器10との接続を切断する。一方、更新データが入手できると判定した場合には、マスタ装置1は、表示装置4を用いて、ドライバー及び同乗者に更新データが利用可能であることを通知し、更新データを取得する許諾を求める。
【0023】
更新データ取得の許諾を得られなかった場合には、マスタ装置1は、外部機器10との接続を切断する。一方、更新データ取得の許諾を得られた場合には、マスタ装置1は、更新データ取得部101の機能により、通信装置6を介して、外部機器10から更新データを取得する。なお、更新データを取得する許諾は、更新データ取得に必須の条件ではない。マスタ装置1は、更新データ取得部101の機能により、必要に応じて、ドライバー又は同乗者の許諾を得ることなく、外部機器10から更新データを取得してもよい。
【0024】
本実施形態の第1検出部102は、センサ3を用いて車両の状態を検出する機能を有する。本実施形態の車両の状態とは、たとえば、車両の走行速度、ブレーキが作動しているか否か、スロットルの開度、ギアの位置、パーキングブレーキが作動しているか否か、イグニッションスイッチがONか否か、及びバッテリーが充電中か否かのうち少なくとも1つをいうものとする。マスタ装置1は、第1検出部102の機能により、複数の電子制御装置群から選択される一の電子制御装置群から車両の状態を取得することができる。またこれに代えて、マスタ装置1は、第1検出部102の機能により、複数の電子制御装置群から車両の状態を取得してもよい。
【0025】
本実施形態の書換え指示部103は、プログラムを更新する対象となった電子制御装置2の書換え実行部203に、更新データをデータ格納面に書込んでプログラムを書換える指示をする機能を有する。マスタ装置1は、更新データ取得部101の機能により、外部機器10から更新データを取得した後に、書換え指示部103の機能により、表示装置4を用いて、ドライバー及び同乗者に更新データを電子制御装置2に書込む許諾を求める。書込みの許諾が得られなかった場合には、マスタ装置1は、たとえば、プログラムの更新処理を終了する。一方、書込みの許諾が得られた場合には、マスタ装置1は、書換え指示部103の機能により、更新データを電子制御装置2に書込むための所定の条件を満たすか否かを判定する。
【0026】
当該所定の条件とは、車両が走行中である、車両が一時的に停車中である、及び車両が駐車中である等の条件である。当該所定の条件を満たすか否かの判定として、たとえば、マスタ装置1は、第1検出部102の機能により、パーキングブレーキセンサ32bを用いてパーキングブレーキが作動しているか否を検出する。そして、パーキングブレーキが作動していることが検出された場合には、マスタ装置1は、車両が駐車中であり、所定の条件を満たすと判定する。
【0027】
更新データを電子制御装置2に書込むための所定の条件を満たさないと判定した場合には、マスタ装置1は、たとえば、所定の時間間隔で、再度、当該所定の条件を満たすか否かを判定する。一方、更新データを電子制御装置2に書込むための所定の条件を満すと判定した場合には、マスタ装置1は、電子制御装置2に、更新データをデータ格納面に書込む指示を出す。なお、電子制御装置2に、更新データをデータ格納面に書込む指示を出すための許諾は、必ずしも必要ではない。マスタ装置1は、書換え指示部103の機能により、必要に応じて、ドライバー又は同乗者の許諾を得ることなく、更新データをデータ格納面に書込む指示を電子制御装置2に出してもよい。
【0028】
本実施形態の起動指示部104は、書換え指示部103の指示で書換え実行部203が更新データをデータ格納面に書込んだ後に、第1検出部102を用いて車両が駐車しているか否かを判定する機能を有する。マスタ装置1は、プログラムを更新する対象となった電子制御装置2から、更新データの書込みが完了した旨の通知を取得すると、起動指示部104の機能により、表示装置4を用いて、ドライバー及び同乗者に更新データで書換えられたプログラムを起動する許諾を求める。プログラム起動の許諾が得られなかった場合には、マスタ装置1は、たとえば、所定の時間間隔で、再度許諾を求める。またこれに代えて、マスタ装置1は、プログラムの更新処理を終了してもよい。一方、プログラム起動の許諾が得られた場合には、マスタ装置1は、起動指示部104の機能により、第1検出部102を用いて車両が駐車していか否かを判定する。
【0029】
第1検出部102を用いて、車両が駐車していないと判定した場合には、マスタ装置1は、所定の時間間隔で、再度、第1検出部102を用いて車両が駐車していか否かを判定する。またこれに代えて、マスタ装置1は、プログラムの更新処理を終了してもよい。一方、第1検出部102を用いて、車両が駐車していると判定した場合には、マスタ装置1は、起動指示部104の機能により、電子制御装置2の起動実行部205に、更新データによって書換えられたプログラムの起動を指示する。車両が駐車しているか否かを判定する場合に、マスタ装置1は、第1検出部102を用いてセンサ3から車両の状態を取得する。そして、取得した車両の状態に基づいて、車両が駐車しているか否かを判定する。
【0030】
たとえば、マスタ装置1は、車速センサ31aから車両の走行速度を取得し、車速が0km/hである場合に、車両が駐車していると判定する。またこれに代えて、又はこれに加えて、マスタ装置1は、ブレーキセンサ31bからブレーキが作動しているか否かの情報を取得し、ブレーキが作動している場合には、車両が駐車していると判定する。またこれに代えて、又はこれに加えて、マスタ装置1は、スロットル開度センサ31cからスロットルの開度を取得し、当該開度が0の場合に、車両が駐車していると判定する。またこれに代えて、又はこれに加えて、マスタ装置1は、ギア位置センサ32aからギアの位置の情報を取得し、ギアの位置がパーキングブレーキである場合に、車両が駐車していると判定する。またこれに代えて、又はこれに加えて、マスタ装置1は、パーキングブレーキセンサ32bからパーキングブレーキが作動しているか否かの情報を取得し、パーキングブレーキが作動している場合には、車両が駐車していると判定する。またこれに代えて、又はこれに加えて、マスタ装置1は、イグニッションセンサ33aからイグニッションスイッチがONか否かの情報を取得し、イグニッションスイッチがOFFの場合に、車両が駐車していると判定する。
【0031】
[電子制御装置]
図3は、本実施形態の電子制御装置2を示すブロック図である。電子制御装置2は、車両に搭載された各種機器の制御を、プロセッサ24により実現する。プロセッサ24には、プロセッサ11と同様に、プログラムが格納されたROM242と、ROM242に格納されたプログラムを実行することで、電子制御装置2として機能するための動作回路であるCPU241と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM243とを備える。
【0032】
本実施形態の電子制御装置2は、特に、電磁的な方法でデータを書込み、データを保存するためのデータ格納面を含む記憶部201を含む。本実施形態の記憶部は、少なくとも、第1データ格納面と第2データ格納面とを有する不揮発性メモリであってもよい。
【0033】
本実施形態の電子制御装置2で用いるプログラムは、電子制御装置2の機能を実現するための機能ブロックとして、第2検出部202、書換え実行部203、起動判定部204、及び起動実行部205を含む。
図3には、各部を便宜的に抽出して示す。以下、各部について説明する。
【0034】
本実施形態の第2検出部202は、第1検出部102と同様に、センサ3を用いて車両の状態を検出する機能を有する。本発明に係る車両用電子制御システム1000において、マスタ装置1の第1検出部102と、電子制御装置2の第2検出部202とは、センサ3から車両の状態を取得するという同じ機能を有するが、互いに異なる検出部であり、それぞれが独立に動作する。
【0035】
特に、本実施形態の第2検出部は、電子制御装置群にて電子制御装置2同士を接続するCANバスから信号を取得する機能を有する。CANバスは、車載機器のみと接続し、外部の機器とは接続していないため、CANバスの信号はハッキングの影響を受けにくい。このため、電子制御装置2における誤認識をより回避することができる。また、電子制御装置2は、第2検出部202の機能により、複数の電子制御装置群から選択される一の電子制御装置群から車両の状態を取得してもよく、これに代えて、複数の電子制御装置群から車両の状態を取得してもよい。
【0036】
また、第1検出部102の機能により、マスタ装置1が、複数の電子制御装置群から選択される一の電子制御装置群から車両の状態を取得し、第2検出部202の機能により、電子制御装置2が、複数の電子制御装置群から選択される一の電子制御装置群から車両の状態を取得する場合には、第1検出部102が車両の状態を取得する電子制御装置群と、第2検出部202が車両の状態を取得する電子制御装置群とは、互いに異なる電子制御装置群であってもよい。たとえば、電子制御装置23cのプログラムを更新する場合に、車両が駐車しているか否かを判定するために、マスタ装置1が、第1検出部102を用いて、
図1の電子制御装置群Aの電子制御装置21aから、車速センサ31aによって検出された車速を取得した場合に、電子制御装置23cは、第2検出部202を用いて、電子制御装置群Bの電子制御装置22bから、パーキングブレーキセンサ32bによって検出されたパーキングブレーキの作動状態を取得する。なお、電子制御装置2における車両の駐車状態の判定については、後述する。
【0037】
本実施形態の書換え実行部203は、マスタ装置1から取得した更新データをデータ格納面に書込んでプログラムを書換える機能を有する。電子制御装置2が更新データをデータ格納面に書込む方法は特に限定されず、公知のデータ書込み方法を用いることができる。また、本実施形態の書換え実行部203は、記憶部201が、第1データ格納面と第2データ格納面の2つ、又はそれ以上のデータ格納面を備える場合に、第1データ格納面に格納されたプログラムが動作している状態で、マスタ装置1から取得した更新データを第2データ格納面に書込んでもよい。こうすることで、電子制御装置2の動作中にプログラムの書換えを完了することができる。なお、書換え実行部203は、プログラムの書換えが完了した後に、マスタ装置1にプログラムの書換えが完了したことを通知してもよい。
【0038】
起動判定部204は、更新データによって書換えられたプログラムを起動するか否かを判定する機能を有する。特に、本実施形態の起動判定部204は、起動指示部104の指示で、更新データによって書換えられたプログラムを起動実行部205が起動するときに、第2検出部202を用いて車両が駐車しているか否かを判定する。当該判定について、車速、パーキングブレーキの状態、イグニッションスイッチの状態、ギアの位置、スロットル開度などを用いた具体的な判定の方法は、起動指示部104について説明したものと同様である。
【0039】
車両が駐車していないと判定した場合には、起動判定部204は、所定の時間間隔で、再度、車両が駐車しているか否かを判定する。一方、車両が駐車していると判定した場合には、起動判定部204は、起動実行部205に更新データによって書換えられたプログラムを起動させる。また、本実施形態の起動判定部204は、動作中のプログラムを起動実行部205に起動させてもよい。たとえば、自律走行支援のレーンキープの機能を担うプログラムを起動する場合に、当該プログラムは、車両が駐車中であれば、動作中であってもスタンバイの状態であり、すぐに処理を開始させる必要がない。このため、起動判定部204は、動作中のレーンキープに関するプログラムを、起動実行部205に起動させる。
【0040】
起動判定部204の機能により、電子制御装置2が第2検出部202を用いて車両が駐車しているか否かを判定するタイミングは、起動指示部104からプログラムを起動する指示を取得したとき、すなわち、指示を取得すると同時であってもよい。これにより、緊急性の高いプログラムをすぐに更新するよう、ドライバー及び同乗者に促すことができる。また、起動判定部204の機能により、電子制御装置2が、車両が駐車しているか否かを判定する場合には、マスタ装置1の起動指示部104が、車両が駐車しているか否かを判定した際に用いた指標と異なる指標を用いてもよい。異なる機能ブロックが、異なる指標を用いて独立に車両の駐車状態を判定することで、駐車状態の誤認識をより回避することができる。
【0041】
例として、起動指示部104の機能により車両が駐車しているか否かを判定する場合に、マスタ装置1は、第1検出部102を用いて、パーキングブレーキの状態、イグニッションの状態、車速及びギア位置のうちいずれか1つを検出する。そして、起動判定部204の機能により車両が駐車しているか否かを判定する場合に、電子制御装置2は、第2検出部202の機能を用いて、パーキングブレーキの状態、イグニッションの状態、車速及びギア位置のうちいずれか1つであって、マスタ装置1が第1検出部102の機能により検出したものとは異なるものを取得する。
【0042】
また、本実施形態の起動判定部204は、車両が駐車していると判定した場合であっても、所定の起動阻止条件を満たす場合には、起動実行部205による書換えられたプログラムの起動を阻止することができる。たとえば、電気自動車のバッテリーの充電のように、高電圧の電源を使用する場合には、充電中にプログラムを起動すると、当該起動にともなう電子制御装置2の再起動の際にリレーに負荷がかかり、リレーを破損する恐れがある。そのため、電気自動車では、車両が駐車中であっても、バッテリーの充電中である場合には、起動判定部204は、起動実行部205によるプログラムの起動を阻止する。なお、バッテリーが充電中であるか否かは、バッテリーセンサ33bを用いて、バッテリーが充電中か否か、特に、高電圧リレーがOFFか否かを検出することで判定できる。高電圧リレーがOFFであれば充電中ではなく、高電圧リレーがONであれば、バッテリーは充電中である。
【0043】
起動実行部205は、更新データによって書換えられたプログラムを起動する機能を有する。特に、本実施形態の起動実行部205は、起動判定部204が、第2検出部202を用いて車両が駐車していると判定したときに、更新データによって書換えられたプログラムを起動する機能を有する。プログラムを起動する際には、プログラムを更新する対象となっている電子制御装置2の電源を一度切り、その後電源を入れる。すなわち、電子制御装置2を再起動する。
【0044】
本実施形態の起動実行部205は、プログラムを起動するときに、プログラムの起動の開始から完了まで車両の駐車状態を維持するように車両を制御してもよい。たとえば、プログラムの起動の開始したことをマスタ装置1に通知し、車両の走行を開始させる信号(たとえば、スロットルの開度を大きくする信号)をマスタ装置1に無効化させる。こうすることで、車両の駐車状態を維持したまま、プログラムの更新を完了することができる。
【0045】
さらに、記憶部201が、第1データ格納面と第2データ格納面の2つ、又はそれ以上のデータ格納面を備える場合に、本実施形態の起動実行部205は、第2データ格納面に格納され、更新データによって書換えられたプログラムを起動するときに、第2データ格納面に格納された書換えられたプログラムを動作させるとともに、第1データ格納面に格納されたプログラムの動作を停止してもよい。これにより、書換え前のプログラムと書換え後のプログラムが同時に動作する事態を回避することができる。
【0046】
なお、起動実行部205は、プログラムの起動が完了した後に、マスタ装置1にプログラムの起動が完了したことを通知してもよい。この場合に、マスタ装置1は、電子制御装置2からプログラムの起動が完了した旨の通知を取得した後に、プログラムの更新が完了したことを乗員に通知するため、表示装置4に、プログラムの更新が完了したことを示す情報を提示してもよい。
【0047】
[車両用電子制御システムの処理]
図4A及び4Bを参照して、本実施形態の車両用電子制御システム1000が更新データによりプログラムを書換え、書換えたプログラムを起動する際の処理を説明する。
図4A及び4Bは、マスタ装置1、電子制御装置2、並びに表示装置4及び入力装置5における情報の処理を示すフローチャートの一例である。
【0048】
図4A及び4Bに示すフローチャートにおいて、左側のルーチンは、表示装置4及び入力装置5にて実行されるステップを示し、中央のルーチンは、マスタ装置1にて実行されるステップを示し、右側のルーチンは、電子制御装置2にて実行されるステップを示す。また、以下に説明する処理は、各装置にて所定の時間間隔で実行される。
【0049】
まず、
図4AのステップS1にて、マスタ装置1は、更新データ取得部101の機能により、通信装置6を介して、更新データが利用可能である旨の通知を外部機器10から取得する。続くステップS2にて、マスタ装置1は、更新データを取得するための許諾を乗員(ドライバーと同乗者を含む。以下同じ。)に求める。マスタ装置1は、更新データ取得部101の機能を用いて、許諾を求めるための情報を表示装置4に表示する。
【0050】
ステップS3にて、乗員は、入力装置5を用いて、更新データを取得するか否かをマスタ装置1に指示する。乗員が、更新データを取得しないと指示した場合には(ステップS3:No)、マスタ装置1は、所定の時間間隔で、再度、更新データを取得するための許諾を求める。許諾を求める回数が所定の回数を超えた場合には、マスタ装置1は、フローチャートに示すルーチンを停止し、プログラムの更新処理を終了してもよい。一方、乗員が、更新データを取得すると指示した場合には(ステップS3:Yes)、更新データを取得するための許諾が得られたとして、ステップS4に進む。なお、ステップS2及びS3は、本発明に係るプログラムの更新処理に必須のステップではなく、必要に応じて設ければよい。
【0051】
ステップS4にて、マスタ装置1は、更新データ取得部101の機能により、通信装置6を介して外部機器10から更新データを取得する。更新データを取得した後、続くステップS5にて、マスタ装置1は、乗員に対して、プログラム更新の対象になっている電子制御装置2のデータ格納面に更新データを書込むための許諾を求める。マスタ装置1は、書換え指示部103の機能を用いて、当該許諾を求めるための情報を表示装置4に表示する。
【0052】
ステップS6にて、乗員は、入力装置5を用いて、更新データをデータ格納面に書込み、プログラムを書換えるか否かをマスタ装置1に通知する。乗員が、更新データをデータ格納面に書込まないと指示した場合には(ステップS6:No)、マスタ装置1は、所定の時間間隔で、再度、乗員に対して許諾を求める。許諾を求める回数が所定の回数を超えた場合には、マスタ装置1は、フローチャートに示すルーチンを停止し、プログラムの更新処理を終了してもよい。一方、乗員が、更新データをデータ格納面に書込み、プログラムを書換えると指示した場合には(ステップS6:Yes)、プログラムを書換える許諾が得られたとして、ステップS7に進む。なお、ステップS5及びS6は、本発明に係るプログラムの更新処理に必須のステップではなく、必要に応じて設ければよい。
【0053】
ステップS7にて、マスタ装置1は、書換え指示部103の機能により、第1検出部102を用いてセンサ3から車両の状態を検出する。続くステップS8にて、マスタ装置1は、ステップS7にて取得した車両の状態から、車両の状態が、更新データを電子制御装置2に書込むための所定の条件を満たすか否かを判定する。車両の状態が当該所定条件を満たさないと判定した場合には(ステップS8:No)、所定の時間間隔で、再度、当該所定条件を満たすか否かを判定する。一方、車両の状態が当該所定条件を満たすと判定した場合には(ステップS8:Yes)、ステップS9に進む。
【0054】
ステップS9にて、マスタ装置1は、書換え指示部103の機能により、プログラム更新の対象になっている電子制御装置2に対して、更新データの書込みを指示する。当該指示を取得した電子制御装置2は、ステップS10にて、書換え実行部203の機能を用いて、データ格納面に更新データを書込み、プログラムを書換える。プログラムの書換えが完了すると、電子制御装置2は、続くステップS11にて、書換え実行部203の機能により、プログラムの書換えが完了したことをマスタ装置1に通知する。
【0055】
図4Bに進み、更新データの書込み完了の通知を取得したマスタ装置1は、ステップS12にて、更新データによって書換えられたプログラムを起動するための許諾を乗員に求める。マスタ装置1は、起動指示部104の機能を用いて、プログラム起動の許諾を求めるための情報を表示装置4に表示する。
【0056】
ステップS13にて、乗員は、入力装置5を用いて、プログラムを起動するか否かをマスタ装置1に指示する。乗員が、プログラムを起動しないと指示した場合には(ステップS13:No)、マスタ装置1は、所定の時間間隔で、再度、プログラムを起動するための許諾を求める。許諾を求める回数が所定の回数を超えた場合には、マスタ装置1は、フローチャートに示すルーチンを停止し、プログラムの更新処理を終了してもよい。一方、乗員が、書換えたプログラムを起動すると指示した場合には(ステップS13:Yes)、プログラムを起動する許諾が得られたとして、ステップS14に進む。
【0057】
ステップS14にて、マスタ装置1は、起動指示部104の機能により、第1検出部102を用いてセンサ3から車両の状態を検出する。続くステップS15にて、マスタ装置1は、ステップS14にて取得した車両の状態から、車両の状態が駐車状態であるか否かを判定する。車両が駐車中でないと判定した場合には(ステップS15:No)、マスタ装置1は、所定の時間間隔で、再度、車両が駐車中であるか否かを判定する。一方、車両が駐車していると判定した場合には(ステップS15:Yes)、ステップS16に進む。
【0058】
ステップS16にて、マスタ装置1は、起動指示部104の機能により、プログラム更新の対象になっている電子制御装置2に対して、書換えたプログラムの起動を指示する。当該指示を取得した電子制御装置2は、ステップS17にて、第2検出部202を用いて、センサ3から車両の状態を検出する。当該検出は、起動判定部204の機能による。続くステップS18にて、電子制御装置2は、ステップS17にて取得した車両の状態から、車両の状態が駐車状態であるか否かを判定する。車両が駐車中でないと判定した場合には(ステップS18:No)、電子制御装置2は、所定の時間間隔で、再度、車両が駐車中であるか否かを判定する。一方、車両が駐車していると判定した場合には(ステップS18:Yes)、ステップS19に進む。
【0059】
ステップS19にて、電子制御装置2は、起動実行部205の機能により、書換えたプログラムを起動する。プログラムの起動が完了すると、電子制御装置2は、続くステップS20にて、起動実行部205の機能により、プログラムの起動が完了したことをマスタ装置1に通知する。プログラムの起動完了の通知を取得したマスタ装置1は、ステップS21にて、プログラムの更新が完了した旨の情報を表示装置4に出力する。そして、ステップS22にて、表示装置4は、プログラムの更新が完了した旨の情報を乗員に提示する。
【0060】
[本発明の実施態様]
以上のとおり、本実施形態の車両用電子制御システム1000によれば、電子制御装置2と、前記電子制御装置2に指示を与えるマスタ装置1と、を備え、前記電子制御装置2は、データ格納面を含む記憶部201と、車両の状態を検出する第2検出部202と、前記マスタ装置1から取得した更新データを前記データ格納面に書込んでプログラムを書換える書換え実行部203と、前記更新データによって書換えられたプログラムを起動するか否かを判定する起動判定部204と、前記プログラムを起動する起動実行部205と、を備え、前記マスタ装置1は、外部機器10から前記更新データを取得する更新データ取得部101と、前記第2検出部202と異なる、車両の状態を検出する第1検出部102と、前記書換え実行部203に前記更新データを前記データ格納面に書込むよう指示する書換え指示部103と、前記書換え指示部103の指示で前記書換え実行部203が前記更新データを前記データ格納面に書込んだ後、前記第1検出部102を用いて車両が駐車していると判定した場合に、前記起動実行部205に前記プログラムの起動を指示する起動指示部104と、を備え、前記起動判定部204は、前記起動指示部104の指示で前記起動実行部205が前記プログラムを起動する場合に、前記第2検出部202を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、前記起動実行部205は、前記起動判定部204が、前記第2検出部202を用いて車両が駐車していると判定したときに、前記プログラムを起動する。これにより、異なる検出部102、202を用いて、車両が駐車しているか否かを別個に判定することができる。この結果、たとえば走行中など、プログラムを起動できない状態で電子制御装置2がプログラムの起動を開始する事態を回避することができる。
【0061】
また、本実施形態の車両用電子制御システム1000によれば、前記起動判定部204は、前記起動指示部104から前記プログラムを起動する指示を取得するとともに、前記第2検出部202を用いて車両が駐車しているか否かを判定する。これにより、緊急性の高いプログラムをすぐに更新するよう、ドライバー及び同乗者に促すことができる。
【0062】
また、本実施形態の車両用電子制御システム1000によれば、前記起動判定部204は、前記起動指示部104と異なる指標を用いて車両が駐車しているか否かを判定する。異なる2つ以上の指標を用いて車両の駐車状態を判定することで、一方の指標のみでは駐車状態の誤認識をしてしまうような場合にも、誤認識を回避することができる。
【0063】
また、本実施形態の車両用電子制御システム1000によれば、前記起動指示部104が、車両が駐車しているか否かを判定する場合に、前記第1検出部102は、パーキングブレーキの状態、イグニッションスイッチの状態、車速及びギア位置のうちいずれか1つを検出し、前記起動判定部204が、車両が駐車しているか否かを判定する場合に、前記第2検出部202は、パーキングブレーキの状態、イグニッションスイッチの状態、車速及びギア位置のうちいずれか1つを検出し、前記第1検出部102が検出したものと、前記第2検出部202が検出したものとは、互いに異なる。これにより、異なる機能ブロックが、異なる指標を用いて独立に車両の駐車状態を判定することになり、その結果、駐車状態の誤認識をより回避することができる。
【0064】
また、本実施形態の車両用電子制御システム1000によれば、前記マスタ装置1は、複数の電子制御装置2からなる複数の電子制御装置群と接続し、前記第1検出部102及び前記第2検出部202は、それぞれ、前記複数の電子制御装置群から選択される一の電子制御装置群から車両の状態を取得し、前記第1検出部102が車両の状態を取得する電子制御装置群と、前記第2検出部202が車両の状態を取得する電子制御装置群とは、互いに異なる電子制御装置群である。これにより、第1検出部102がデータを取得した電子制御装置群においてノイズやハッキングの影響を受けたとしても、第2検出部202がデータを取得した電子制御装置群が健全であれば、車両の状態の誤認識を回避することができる。
【0065】
また、本実施形態の車両用電子制御システム1000によれば、前記第2検出部202は、CANバスから信号を取得する。外部の機器と接続しないCANバスの信号は、ハッキングの影響を受けにくいため、電子制御装置2における誤認識をより回避することができる。
【0066】
また、本実施形態の車両用電子制御システム1000によれば、前記起動実行部205が前記プログラムを起動するときに、前記プログラムの起動の開始から完了まで車両の駐車状態を維持するように車両を制御する。これにより、車両の駐車状態を維持したまま、プログラムの更新処理を完了することができる。
【0067】
また、本実施形態の車両用電子制御システム1000によれば、前記記憶部201は、少なくとも、第1データ格納面と第2データ格納面とを有する不揮発性メモリである。これにより、一方のデータ格納面でプログラムを動作させつつ、他方のデータ格納面に更新データを書込むことができる。
【0068】
また、本実施形態の車両用電子制御システム1000によれば、前記書換え実行部203は、前記第1データ格納面に格納されたプログラムが動作している状態で、前記マスタ装置1から取得した前記更新データを前記第2データ格納面に書込む。これにより、電子制御装置2が作動中に、特に、第1データ格納面のプログラムが動作している間に、第2データ格納面のプログラムを書換えることができる。
【0069】
また、本実施形態の車両用電子制御システムによれば、前記起動実行部205は、前記第2データ格納面に格納され、前記更新データによって書換えられたプログラムを起動する場合に、前記第2データ格納面に格納された前記書換えられたプログラムを動作させるとともに、前記第1データ格納面に格納されたプログラムの動作を停止する。これにより、書換え前のプログラムと書換え後のプログラムが同時に動作する事態を回避することができる。
【0070】
また、本実施形態の電子制御装置2によれば、データ格納面を含む記憶部201と、車両の状態を検出する第2検出部202と、マスタ装置1が外部機器10から取得した更新データをマスタ装置1から取得し、前記更新データを前記データ格納面に書込んでプログラムを書換える書換え実行部203と、前記更新データによって書換えられたプログラムを起動するか否かを判定する起動判定部204と、前記プログラムを起動する起動実行部205と、を備え、前記書換え実行部203は、前記書換え実行部203に前記更新データを前記データ格納面に書込むよう指示する、前記マスタ装置1の書換え指示部103の指示で、前記更新データを前記データ格納面に書込み、前記起動実行部205は、前記書換え指示部103の指示で前記書換え実行部203が前記更新データを前記データ格納面に書込んだ後、前記第2検出部202と異なる、車両の状態を検出する第1検出部102を用いて、車両が駐車していると前記マスタ装置1が判定した場合に、前記起動実行部205に前記プログラムの起動を指示する、前記マスタ装置1の起動指示部104の指示で、前記プログラムを起動し、前記起動判定部204は、前記起動指示部104の指示で前記起動実行部205が前記プログラムを起動する場合に、前記第2検出部202を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、前記起動実行部205は、前記起動判定部204が、前記第2検出部202を用いて車両が駐車していると判定したときに、前記プログラムを起動する。これにより、これにより、異なる検出部102、202を用いて、車両が駐車しているか否かを別個に判定することができる。この結果、たとえば走行中など、プログラムを起動できない状態で電子制御装置2がプログラムの起動を開始する事態を回避することができる。
【0071】
また、本実施形態のマスタ装置1によれば、データ格納面を含む記憶部201を備える電子制御装置2に指示を与え、外部機器10から更新データを取得する更新データ取得部101と、前記電子制御装置2に備えられた車両の状態を検出する第2検出部202と異なる、車両の状態を検出する第1検出部102と、マスタ装置1から取得した更新データを前記データ格納面に書込んでプログラムを書換える、前記電子制御装置2の書換え実行部203に、前記更新データを前記データ格納面に書込んでプログラムを書換えるよう指示する書換え指示部103と、前記書換え指示部103の指示で前記書換え実行部203が前記更新データを前記データ格納面に書込んだ後、前記第1検出部102を用いて車両が駐車していると判定した場合に、前記更新データによって書換えられたプログラムを起動する、前記電子制御装置2の起動実行部205に前記プログラムの起動を指示する起動指示部104と、を備え、前記起動指示部104の指示で前記起動実行部205が前記プログラムを起動する場合に、前記プログラムを起動するか否かを判定する、前記電子制御装置2の起動判定部204は、前記第2検出部202を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、前記起動実行部205は、前記起動判定部204が、前記第2検出部202を用いて車両が駐車していると判定したときに前記プログラムを起動する。これにより、これにより、異なる検出部102、202を用いて、車両が駐車しているか否かを別個に判定することができる。この結果、たとえば走行中など、プログラムを起動できない状態で電子制御装置2がプログラムの起動を開始する事態を回避することができる。
【0072】
また、本実施形態のプログラムの更新方法によれば、外部機器10からマスタ装置1に更新データを取得し、前記マスタ装置1に取得した前記更新データを、前記マスタ装置1の指示で、電子制御装置2に備えられた記憶部201のデータ格納面に書込み、前記データ格納面に前記更新データを書込んだ後に、第1検出部102を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、前記第1検出部102を用いて車両が駐車していると判定した場合に、前記データ格納面に格納され、前記更新データによって書換えられたプログラムを起動する指示を前記電子制御装置2に与え、前記プログラムを起動する指示により前記プログラムを起動する場合に、前記第1検出部102と異なる第2検出部202を用いて車両が駐車状態であるか否かを判定し、前記第2検出部202を用いて車両が駐車状態であると判定した場合に、前記プログラムを起動する。これにより、これにより、異なる検出部102、202を用いて、車両が駐車しているか否かを別個に判定することができる。この結果、たとえば走行中など、プログラムを起動できない状態で電子制御装置2がプログラムの起動を開始する事態を回避することができる。
【符号の説明】
【0073】
1000…車両用電子制御システム
1…マスタ装置
プロセッサ…11
CPU…111
ROM…112
RAM…113
更新データ取得部…101
第1検出部…102
書換え指示部…103
起動指示部…104
2…電子制御装置
A…電子制御装置群
21、21a、21b、21c…電子制御装置(電子制御装置群A)
B…電子制御装置群
22、22a、22b、22c…電子制御装置(電子制御装置群B)
C…電子制御装置群
23、23a、23b、23c…電子制御装置(電子制御装置群C)
プロセッサ…24
CPU…241
ROM…242
RAM…243
記憶部…201
第2検出部…202
書換え実行部…203
起動判定部…204
起動実行部…205
3…センサ
31a…車速センサ
31b…ブレーキセンサ
31c…スロットル開度センサ
32a…ギア位置センサ
32b…パーキングブレーキセンサ
33a…イグニッションセンサ
33b…バッテリーセンサ
4…表示装置
5…入力装置
6…通信装置
10…外部機器
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子制御装置と、前記電子制御装置からなる少なくとも2以上の電子制御装置群と接続し、前記電子制御装置に指示を与えるマスタ装置と、を備える車両用電子制御システムにおいて、
前記電子制御装置は、
車両の状態を検出する第2検出部と、
プログラムの書き換えが完了した場合に、前記書き換えの完了を通知する通知部と、
書換えられたプログラムを起動するか否かを判定する起動判定部と、
前記書換えられたプログラムを起動する起動実行部と、を備え、
前記マスタ装置は、
前記第2検出部と異なる、車両の状態を検出する第1検出部と、
前記書き換えの完了の通知を取得し、前記第1検出部を用いて車両が駐車していると判定した場合に、前記起動実行部に前記書換えられたプログラムの起動を指示する起動指示部と、を備え、
前記起動判定部は、前記起動指示部の指示で前記起動実行部が前記書換えられたプログラムを起動する場合に、前記第2検出部を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、
前記起動実行部は、前記起動判定部が、前記第2検出部を用いて車両が駐車していると判定したときに、前記書換えられたプログラムを起動し、
前記第2検出部は、前記少なくとも2以上の電子制御装置群から選択される一の電子制御装置群から車両の状態を取得する、車両用電子制御システム。
【請求項2】
前記第2検出部が車両の状態を取得する電子制御装置群は、前記第1検出部が車両の状態を取得する前記電子制御装置を含まない、請求項1に記載の車両用電子制御システム。
【請求項3】
前記起動判定部は、前記起動指示部から前記書換えられたプログラムを起動する指示を取得すると同時に、前記第2検出部を用いて車両が駐車しているか否かを判定する、請求項1又は2に記載の車両用電子制御システム。
【請求項4】
前記起動判定部が車両の駐車の判定に用いる指標と、前記起動指示部が車両の駐車の判定に用いる指標との一部が同じである、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用電子制御システム。
【請求項5】
前記起動指示部が、車両が駐車しているか否かを判定する場合に、前記第1検出部は、パーキングブレーキの状態、イグニッションスイッチの状態、車速及びギア位置のうちいずれか1つを検出し、
前記起動判定部が、車両が駐車しているか否かを判定する場合に、前記第2検出部は、パーキングブレーキの状態、イグニッションスイッチの状態、車速及びギア位置のうちいずれか1つを検出し、
前記第1検出部が検出したものと、前記第2検出部が検出したものとは、互いに異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用電子制御システム。
【請求項6】
前記第2検出部は、CANバスから信号を取得する、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用電子制御システム。
【請求項7】
前記起動実行部が前記書換えられたプログラムを起動するときに、前記書換えられたプログラムの起動の開始から完了まで車両の駐車状態を維持するように車両を制御する、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両用電子制御システム。
【請求項8】
前記起動実行部は、前記書換えられたプログラムを、前記書換えられたプログラムが動作中に起動する、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両用電子制御システム。
【請求項9】
前記起動判定部は、前記第2検出部を用いて、車両が駐車していると判定した場合であっても、所定の起動阻止条件を満たすときは、前記起動実行部による前記書換えられたプログラムの起動を阻止する、請求項1~8のいずれか一項に記載の車両用電子制御システム。
【請求項10】
複数の電子制御装置を備え、
前記第1検出部は、複数の前記電子制御装置から選択される一の前記電子制御装置から車両の状態を取得し、
前記第2検出部は、前記第1検出部が車両の状態を取得する前記電子制御装置に応じて電子制御装置群を選択する、請求項1~9のいずれか一項に記載の車両用電子制御システム。
【請求項11】
車両の状態を検出する第2検出部と、
プログラムの書き換えが完了した場合に、前記書き換えの完了を通知する通知部と、
書換えられたプログラムを起動するか否かを判定する起動判定部と、
前記書換えられたプログラムを起動する起動実行部と、を備え、
前記起動実行部は、前記通知部から前記書き換えの完了の通知を取得し、前記第2検出部と異なる、車両の状態を検出する第1検出部を用いて、車両が駐車しているとマスタ装置が判定した場合に、前記起動実行部に前記書換えられたプログラムの起動を指示する、前記マスタ装置の起動指示部の指示で、前記書換えられたプログラムを起動し、
前記起動判定部は、前記起動指示部の指示で前記起動実行部が前記書換えられたプログラムを起動する場合に、前記第2検出部を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、
前記起動実行部は、前記起動判定部が、前記第2検出部を用いて車両が駐車していると判定したときに、前記書換えられたプログラムを起動する、電子制御装置において、
電子制御装置が少なくとも2以上の電子制御装置群を構成し、前記少なくとも2以上の電子制御装置群が前記マスタ装置と接続し、
前記第2検出部は、前記少なくとも2以上の電子制御装置群から選択される一の電子制御装置群から車両の状態を取得する、電子制御装置。
【請求項12】
電子制御装置に指示を与えるマスタ装置において、
前記電子制御装置に備えられた車両の状態を検出する第2検出部と異なる、車両の状態を検出する第1検出部と、
前記電子制御装置に備えられ、プログラムの書き換えが完了した場合に前記書き換えの完了を通知する通知部から、前記書き換えの完了の通知を取得し、前記第1検出部を用いて車両が駐車していると判定した場合に、書換えられたプログラムを起動する、前記電子制御装置の起動実行部に前記書換えられたプログラムの起動を指示する起動指示部と、を備え、
前記起動指示部の指示で前記起動実行部が前記書換えられたプログラムを起動する場合に、前記書換えられたプログラムを起動するか否かを判定する、前記電子制御装置の起動判定部は、前記第2検出部を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、
前記起動実行部は、前記起動判定部が、前記第2検出部を用いて車両が駐車していると判定したときに前記書換えられたプログラムを起動し、
前記電子制御装置からなる少なくとも2以上の電子制御装置群と接続し、
前記第1検出部は、前記電子制御装置から車両の状態を取得し、
前記第2検出部は、前記少なくとも2以上の電子制御装置群から選択される一の電子制御装置群から車両の状態を取得する、マスタ装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明では、第2検出部、起動判定部及び起動実行部を備える電子制御装置と、第1検出部及び起動指示部を備え、電子制御装置に指示を与えるマスタ装置と、を備える車両用電子制御システムにおいて、起動判定部は、起動指示部の指示で起動実行部が書換えられたプログラムを起動する場合に、第2検出部を用いて車両が駐車しているか否かを判定し、起動実行部は、起動判定部が、第2検出部を用いて車両が駐車していると判定したときに、書換えられたプログラムを起動する場合に、第2検出部は、少なくとも2以上の電子制御装置群から選択される一の電子制御装置群から車両の状態を取得することによって上記課題を解決する。