(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024110993
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20240808BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240808BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240808BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20240808BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20240808BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G01C21/34
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/60
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091778
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2020021799の分割
【原出願日】2020-02-12
(71)【出願人】
【識別番号】500168811
【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】岡野 宙輝
(72)【発明者】
【氏名】小田中 育生
(57)【要約】
【課題】ユーザのプライバシーを確保可能な降車位置を提示する。
【解決手段】実施形態の情報処理システム1は、ユーザ自身が運転しない車両Cに乗って出発地から目的地に向かって移動するユーザUが車両Cから降車する降車位置であって、当該ユーザUのプライバシーを保護可能な降車位置Qを決定する降車位置決定部213と、決定された降車位置Qを提示する情報提示部113と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ自身が運転しない車両に乗って出発地から目的地に向かって移動するユーザが前記車両から降車する降車位置を前記ユーザに提示する提示手段を備え、
前記提示手段は、前記ユーザのプライバシーを保護可能な降車位置を含む複数の降車位置を選択可能に提示することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記提示手段は、前記複数の降車位置をリスト形式で提示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記提示手段は、前記複数の降車位置を地図上に提示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記提示手段は、前記ユーザのプライバシーを保護可能な降車位置に対応付けて、当該降車位置が前記ユーザのプライバシーを確保可能な位置であることを示すマークを提示することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記ユーザのプライバシーを保護可能な降車位置に店舗が存在する場合、前記提示手段は、当該店舗で使用可能なクーポンを提示することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記提示手段は、前記複数の降車位置ごとの料金を比較可能に提示することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記提示手段は、前記ユーザのプライバシーを保護可能な降車位置の前記目的地までの距離を提示することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項8】
サーバと通信可能に接続された端末装置において実行される情報処理プログラムであって、
前記サーバは、ユーザ自身が運転しない車両に乗って出発地から目的地に向かって移動するユーザが前記車両から降車する降車位置であって、前記ユーザのプライバシーを保護可能な降車位置を決定する決定手段を有し、
前記情報処理プログラムは、コンピュータを、
前記出発地および前記目的地の位置情報を含む配車依頼を受け付ける受付手段、および
前記ユーザのプライバシーを保護可能な降車位置を含む複数の降車位置を前記ユーザに選択可能に提示する提示手段として機能させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、海外ではライドシェア等による相乗りサービスが普及している。ここで、「相乗り」とは、一般的に、自動車等の車両に複数の人が一緒に乗り合わせることをいう。本願では、例えば、ライドシェアにおいて、ドライバーと乗客、および乗客同士は「相乗り」に含まれる。また、従来のタクシーにおいては、他人の乗客同士は「相乗り」に含まれる一方、ドライバーと乗客は「相乗り」に含まれない。
【0003】
日本国内でも都市部の交通の混雑緩和や地域住民の公共交通機関に代わる移動手段になること等を期待してタクシーの相乗りが解禁される予定であり、すでにいくつかの実証実験が行われている(非特許文献1および2)。
【0004】
一方で、相乗りサービスを利用する際に気になる点として、「同乗者とのトラブルに巻き込まれるのではないか」といった同乗者に対する不安が挙げられている。同様に従来のタクシーについても、ドライバーがタクシー利用に対する心理的障壁になっている場合がある。
【0005】
したがって、相乗りサービスの普及を図るためには、同乗者に関する懸念を緩和し、サービス利用に対する心理的障壁を低くすることが望まれる。本願では、他人の乗客だけでなく、従来のタクシーのドライバーも「同乗者」に含まれる。
【0006】
なお、特許文献1には、降車の際に車両の窓を遮蔽することで、相乗りが発生した場合であっても利用者(ユーザ)のプライバシーを保護可能な自動運転車等が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】JapanTaxi株式会社,“そもそも「なぜ相乗りタクシーが禁止なの?」という方へ 現状のおさらいとこれから期待できること”,[online],2019年4月3日,インターネット,<URL: https://japantaxi.jp/notes/2019/04/03/01.html>
【非特許文献2】JapanTaxi株式会社,“相乗りタクシー”,[online],2018年3月11日,インターネット,<URL:https://ainori.japantaxi.jp/>
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1は車両自体でプライバシーを確保しようとするものであり、導入コストが大きいという問題がある。
【0010】
ユーザの同乗者に対する不安を軽減するためには、同乗者に目的地を知られないようにすることが有効であると考えられる。
【0011】
そこで、本発明は、ユーザのプライバシーを確保可能な降車位置を提示することができる情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る情報処理システムは、
ユーザ自身が運転しない車両に乗って出発地から目的地に向かって移動するユーザが前記車両から降車する降車位置であって、前記ユーザのプライバシーを保護可能な降車位置を決定する決定手段と、
前記決定された降車位置を提示する提示手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザのプライバシーを確保可能な降車位置を提示することが可能な情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係る端末装置の機能ブロック図である。
【
図3】実施形態に係るサーバの機能ブロック図である。
【
図4】実施形態に係る情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図5A】端末装置の配車依頼画面の第1の例を示す図である。
【
図5B】端末装置の配車依頼画面の第2の例を示す図である。
【
図5C】端末装置の配車依頼画面の第3の例を示す図である。
【
図6】(a)および(b)は降車位置を決定する方法の一例を説明するための図である。
【
図7】(a)および(b)は、徒歩ネットワークを考慮して降車位置を決定する方法の一例を説明するための図である。
【
図8】端末装置の降車位置選択画面の第1の例を示す図である。
【
図9】端末装置の降車位置選択画面の第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0016】
<情報処理システム1>
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システム1の概略的な構成について説明する。
【0017】
本実施形態に係る情報処理システム1は、ユーザU自身が運転しない車両Cに乗って移動するユーザUにサービスを提供するためのものである。本実施形態では、車両Cは相乗りタクシーである。
【0018】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置10、サーバ20およびネットワーク30を備えている。
【0019】
端末装置10は、ユーザUが配車依頼を行うための情報処理端末である。端末装置10は、本実施形態では、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話等のモバイル情報端末である。なお、端末装置10は、パソコン等の固定型の情報端末であってもよい。
図1に示すように、複数の端末装置10がサーバ20に接続される。
【0020】
サーバ20は、端末装置10から車両Cの配車依頼を受け付け、ユーザが希望する出発地から目的地までの移動経路を探索する。また、サーバ20は、ユーザUが車両Cから降車する位置を決定する。降車位置の決定については後ほど詳しく説明する。
【0021】
サーバ20は、タクシー事業者のサーバ(図示せず)に通信可能に接続されている。タクシー事業者のサーバは、サーバ20から受信した情報(移動経路等)に基づいて配車可能なタクシーを検索する。なお、サーバ20は、複数のタクシー事業者のサーバに接続されてもよい。
【0022】
ネットワーク30は、端末装置10とサーバ20を互いに通信可能に接続する。このネットワーク30は、有線回線および無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。
【0023】
次に、端末装置10、サーバ20の順にそれぞれ詳しく説明する。
【0024】
<端末装置10>
図2を参照して、車両Cで移動しようとするユーザUが使用する端末装置10の詳細について説明する。
【0025】
端末装置10は、
図2に示すように、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、操作入力部14と、表示部15と、測位部16とを備えている。
【0026】
制御部11は、配車依頼を受け付ける配車依頼受付部111と、サーバ20等から各種情報を取得する情報取得部112と、表示部15を制御してユーザに情報を提示する情報提示部113とを有している。
【0027】
配車依頼受付部111は、操作入力部14を介して入力された、出発地および目的地の位置情報を含む配車依頼を受け付ける。位置情報は、地点を特定可能な情報であれば特に限定されず、例えば、施設名称(駅名等)、住所、電話番号等である。なお、配車依頼受付部111は、測位部16から取得されたGPS情報を出発地の位置情報として受け付けてもよい。
【0028】
情報取得部112は、サーバ20から、車両の移動経路や降車位置に関する情報を取得する。降車位置は、自身が運転しない車両に乗って出発地から目的地に向かって移動するユーザが当該車両から降車する位置のことである。
【0029】
情報提示部113は、サーバ20から受信した移動経路や降車位置を提示する。本実施形態では、情報提示部113は、表示部15を介して移動経路や降車位置をユーザに提示する。なお、情報提示部113は、端末装置10に設けられたスピーカー等の音声出力手段(図示せず)等を制御してユーザに情報を提示してもよい。
【0030】
なお、本実施形態において制御部11の各部は、端末装置10内のプロセッサが記憶部13に格納されたプログラムを実行することにより実現される。制御部11の各部のうち少なくとも一部がハードウェアにより実現されてもよい。
【0031】
通信部12は、ネットワーク30を介してサーバ20との間で各種情報を送受信するためのインターフェースである。
【0032】
記憶部13には、制御部11で実行されるプログラムや、当該プログラムによる処理に必要なデータが記憶される。また、記憶部13は、通信部12を介して送受信されるデータが記憶されてもよい。記憶部13は、例えば半導体メモリ等の記憶デバイスにより構成される。
【0033】
操作入力部14は、ユーザが情報を入力するためのインターフェースであり、例えばタッチパネル、キーボード、マウス、マイクロフォン(内蔵マイク等)などの情報入力手段により構成される。ユーザは、操作入力部14を介して出発地および目的地を端末装置10に入力し、配車依頼を行う。
【0034】
表示部15は、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等の映像表示手段により構成される。後述のように表示部15は、移動経路や降車位置等に関する各種情報を表示する。なお、表示部15がタッチパネルの場合には、表示部15が操作入力部14を兼ねてもよい。
【0035】
測位部16は、端末装置10の現在位置を測位して取得するように構成されている。測位部16は、例えばGPS(Global Positioning System)測位、WiFi測位等の測位手段により構成される。測位部16により測位された現在位置を用いて出発地を設定してもよい。
【0036】
<サーバ20>
次に、
図3を参照して、端末装置10に通信可能に接続され、配車依頼を受け付けるサーバ20の詳細について説明する。
【0037】
サーバ20は、
図3に示すように、制御部21と、通信部22と、記憶部23とを備えている。
【0038】
制御部21は、端末装置10等からの情報を取得する情報取得部211と、経路探索部212と、降車位置決定部213とを有する。本実施形態において制御部21の各部は、サーバ20内のプロセッサが記憶部23に格納されたプログラムを実行することにより実現される。制御部21の各部のうち少なくとも一部がハードウェアにより実現されてもよい。
【0039】
なお、本実施形態においてサーバ20は一つの情報処理装置で構成されているが、これに限られない。すなわち、情報処理システム1は、互いに通信可能な複数のサーバを有し、それらのサーバが協働することでサーバ20の機能が実現されてもよい。
【0040】
制御部21の各部の詳細について以下に説明する。
【0041】
情報取得部211は、通信部22を介して、端末装置10から送信された情報を取得する。例えば、情報取得部211は、端末装置10送信された出発地および目的地の位置情報含む配車依頼情報を取得する。
【0042】
経路探索部212は、記憶部23の経路ネットワークデータベース231を用いて移動経路を探索する。本実施形態では車両は相乗りタクシーであるため、経路探索部212は、各ユーザの端末装置10で受け付けられた出発地および目的地に基づいて移動経路を探索する。すなわち、相乗りを希望する複数のユーザが設定した出発地と目的地をそれぞれ満足する移動経路を探索する。
【0043】
なお、経路探索部212は、目的地の周辺にPOI(Point Of Interest)が存在する場合、出発地から目的地までの経路ではなく、出発地から当該POIまでの経路を探索してもよい。すなわち、経路探索部212は、まず出発地から目的地周辺のPOIまでの経路を探索し、その後、当該POIから目的地までの経路が適正であれば、当該POIを経由する経路を出発地から目的地までの経路とする。
【0044】
ここで、POIとは、ユーザにとって便利な場所や興味のある場所などとして認識される特定の地点および施設等である。具体的には、店舗(例えば、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、飲食店等)、会社、事務所、公共施設(例えば、官庁、学校、郵便局)、娯楽施設(例えば、映画館、劇場、遊園地等)、屋外施設(例えば、公園、バスターミナル、屋外駐車場等)等である。
【0045】
降車位置決定部213は、経路探索部212により探索された移動経路に基づいて、ユーザが車両を降車する位置(降車位置)を決定する。降車位置を決定する際、降車位置決定部213は、地図情報データベース、POI情報データベース、および徒歩ネットワーク情報のうち少なくともいずれか一つを参照して降車位置を決定してもよい。
【0046】
降車位置決定部213は、降車位置として、ユーザのプライバシーを保護可能な降車位置を少なくとも1つ決定する。ここで、「ユーザのプライバシーを保護可能な降車位置」とは、ユーザが降車して目的地に移動する間に、車両からユーザまたは目的地が見えなくなっていると考えられる位置のことである。「車両から」ユーザまたは目的地が見えなくなっているとは、車両に乗車している人(ドライバー、乗客)からユーザまたは目的地が見えなくなっていることを意味し、また、車両にカメラ等のセンサが設けられている場合は、ユーザまたは目的地が当該センサで捉えられなくなっていることを意味する。例えば、降車位置決定部213は、車両から降車したユーザが目的地に到着する時に当該車両から目的地(ユーザ)が見えなくなっていると考えられる位置を降車位置として決定する。
【0047】
通信部22は、端末装置10およびサーバ20との間で情報を送受信するためのインターフェースである。
【0048】
記憶部23には、制御部21で実行されるプログラムや、当該プログラムによる処理に必要なデータが記憶される。また、記憶部23は、通信部22を介して送受信されるデータが記憶されてもよい。この記憶部23は、例えば半導体メモリ(SSD等)、ハードディスクなどの記憶デバイスにより構成される。なお、記憶部23の一部または全部がサーバ20と通信可能に接続された別のサーバに設けられてもよい。
【0049】
記憶部23には、経路ネットワークデータベース231およびユーザ属性データベース232が記憶されている。
【0050】
経路ネットワークデータベース231は、経路探索部212が経路探索を実行する際に使用されるデータベースであり、経路ネットワーク情報として道路ネットワーク情報を含んでいる。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点(ノード)のデータと、結節点間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。道路ネットワーク情報は、タクシー、バス等の移動手段ごとに別のデータを所持してもよいし、また、リンクに移動手段ごとのコストを設定してもよい。
【0051】
経路ネットワークデータベース231は、徒歩移動に係る経路ネットワークを示す徒歩ネットワーク情報を含んでもよい。徒歩ネットワーク情報は、車両では通行できないが、徒歩であれば通行可能な経路(歩行者専用道路、公園内の歩道等)に関する情報を含む。これにより、車両による移動だけでなく徒歩による移動を考慮した移動経路を探索することができる。
【0052】
ユーザ属性データベース232は、ユーザの属性情報が格納されたデータベースである。具体的には、ユーザ属性データベース232は、ユーザごとに、識別情報、性別および年齢(生年月日でもよい。)等に関する情報を含む。なお、ユーザ属性データベース232は、車両のドライバーの属性情報(性別、年齢等)を含んでもよい。
【0053】
なお、記憶部23には、経路ネットワークデータベース231やユーザ属性データベース232の他、地図情報データベース、POI情報データベース等のデータベースが記憶されてもよい。地図情報データベースは、主に地図表示用、あるいは地点検索(例えば、緯度経度検索)用に用いられる。POI情報データベースは、地点の位置情報や名称情報等を含むPOI情報のデータベースであり、主に地点検索(例えば、フリーキーワード検索やカテゴリ検索)や、経路探索条件の地点設定等に用いられる。
【0054】
また、POIは、一時的に行われるイベント(例えば、祭り、コンサート、フリーマーケット、スポーツの試合等)に関する情報であってもよい。
【0055】
その他、記憶部23には、情報処理システム1の処理内容に応じて各種のデータベース(タクシーの料金表、年齢・性別ごとの徒歩移動速度等)が記憶されてもよい。
【0056】
<情報処理システム1の動作例>
次に、
図4のフローチャートを参照して、情報処理システム1による処理の一例について説明する。
【0057】
端末装置10の配車依頼受付部111は、ユーザから配車依頼を受け付ける(ステップS11)。詳しくは、配車依頼受付部111は、ユーザが入力した出発地と目的地の位置情報を取得する。その他の条件として、配車依頼受付部111は、荷物の有無、荷物の数や大きさ等を受け付けてもよいし、同行者の有無や人数を受け付けてもよい。また、有料道路の利用可否などの移動条件を受け付けてもよい。
【0058】
ステップS11は、例えば、ユーザが端末装置10のアプリを起動し、配車依頼画面において出発地と目的地を入力することで行われる。
図5A~
図5Cは、配車依頼画面の第1の例~第3の例を示している。
図5Aに示す第1の例では、出発地および目的地はテキスト入力で受け付けられる。ここでは、出発地は施設名称(「渋谷駅」)で入力され、目的地は住所(「港区3-8-38」)で入力されている。
【0059】
図5Bに示す第2の例では、出発地は現在地とされ、目的地は自宅とされている。この場合、出発地は、測位部16で測位された現在位置が自動で設定され、目的地は、ユーザが予め登録しておいた地点情報(自宅の住所、電話番号等)により自動で設定される。
【0060】
図5Cに示す第3の例では、表示部15に表示された地
図A上で地点入力が行われる。地
図Aは、測位部16で測位された現在位置を含む地図である。出発地として現在位置が自動で設定され、ユーザが地
図A上をタップすることで目的地Gが設定される。なお、出発地についても目的地の場合と同様に、ユーザが地図から設定するようにしてもよい。
【0061】
上記のようにしてユーザが出発地および目的地を入力した後、「検索」をタップすることで配車依頼情報がサーバ20に送信される。すなわち、端末装置10の制御部11は、通信部12を介して、出発地および目的地の位置情報を含む配車依頼情報をサーバ20に送信する(ステップS12)。
【0062】
サーバ20は、通信部22を介して配車依頼情報を受信する(ステップS21)。制御部21の情報取得部211は、出発地および目的地の位置情報を取得する。
【0063】
その後、サーバ20は、ユーザのプライバシーを保護可能な降車位置を決定する(ステップS22)。具体的には、まず、制御部21の経路探索部212が、出発地から目的地までを移動する移動経路を探索する。本実施形態では、経路探索部212は、相乗りを希望する複数のユーザが設定した複数の出発地と目的地をそれぞれ満足する移動経路を探索する。
【0064】
移動経路が探索された後、降車位置決定部213は、ユーザごとに降車位置を決定する。具体的には、降車位置決定部213は、車両から降車した後のユーザの移動に関するユーザ移動情報と、ユーザを降ろした後の車両の移動に関する車両移動情報とに基づいて降車位置を決定する。これにより、車両から降車したユーザが目的地に到着する時に当該車両から目的地が見えなくなっていると考えられる位置が降車位置として決定される。このことについて
図6(a)および
図6(b)を参照して説明する。これらの図において、符号Rは車両による移動経路(車両移動経路)を示している。
【0065】
図6(a)および
図6(b)に示すように、降車位置Qで車両Cから降車したユーザUは、自宅である目的地Gに向かって徒歩移動する。一方、降車位置Qから発進した車両Cは直進した後、信号機Tで右折する。ユーザUが目的地Gに到着した時に車両Cはすでに右折しているため、車両CからユーザUの目的地Gは見えなくなっている。なお、この例では車両が道路を曲がったが、反対に、車両が降車位置から直進を続け、ユーザが右折または左折する場合であってもよい。
【0066】
降車位置決定部213は、ユーザUが降車位置Qから目的地Gまで移動するのにかかる時間(X)よりも、降車位置Qから車両Cが発進して目的地Gから見えなくなるまでの時間(Y)が短くなるように(すなわちX≧Y)、降車位置Qを決定する。時間XはユーザUの移動速度に基づいて算出され、時間Yは車両Cの移動速度に基づいて算出される。
【0067】
例えば、降車位置決定部213は、車両Cから降車して目的地Gに向かうユーザUの移動速度と、降車位置Qから走り去る車両Cの移動速度とに基づいて降車位置Qを決定する。この際、ユーザの移動速度は、ユーザ属性データベース232に基づいて推定してもよい。例えば、ユーザの性別および年齢に基づいて移動速度を推定する。また、車両の移動速度は、道路ネットワーク情報に含まれる法定速度および/または道路の形状や高低差に基づいて推定してもよい。
【0068】
なお、降車位置決定部213により決定される降車位置は、一つの地点に限らず、複数の地点であってもよい。
【0069】
上記のようにして降車位置が決定された後、サーバ20の制御部21は、降車位置情報を端末装置10に送信し(ステップS23)、端末装置10は降車位置情報を受信する(ステップS13)。降車位置情報は、車両の降車位置に関する情報のほか、出発地から目的地までの移動経路に関する情報を含む。
【0070】
そして、端末装置10の情報取得部112が降車位置情報を取得し、情報提示部113が降車位置を表示部15に表示する(ステップS14)。
【0071】
図8は、端末装置10に表示された降車位置選択画面の一例である。この例では、目的地である自宅のほか、2つの降車位置の候補がリスト形式で表示されている。また、画面の下側には、移動経路を含む地図が表示されている。画面上でユーザが希望する降車位置(この例では名称、住所等)をタップすることで、降車位置が選択される。このように、情報提示部113は、複数の降車位置を選択可能に提示する。
【0072】
また、
図8に示すように、情報提示部113は、複数の降車位置ごとの料金(運賃)を比較可能に提示してもよい。さらに、情報提示部113は、複数の降車位置ごとに、降車位置から目的地までの距離を比較可能に提示してもよい。なお、料金として、基準位置(例えば目的地)を降車位置とした場合との差額を表示してもよい。
【0073】
また、
図8に示すように、情報提示部113は、降車位置にコンビニエンスストア等の店舗が存在する場合、当該店舗で使用可能なクーポンを提示してもよい。なお、目的地で降車するよりも運賃が高くなる場合に、差額分以上に相当するクーポンを提示するようにしてもよい。これにより、目的地から遠い位置で降車するインセンティブが働くようにできる。
【0074】
また、情報提示部113は、降車位置に対応付けて、当該降車位置がユーザのプライバシーを確保可能な位置であることを示すマークを提示してもよい。
図8の降車位置選択画面例では、プライバシーを確保可能な降車位置に、「安全・安心」マークMが表示されている。これにより、ユーザは、プライバシーを確保可能な降車位置を容易に識別し、安心して降車位置を選択することができる。
【0075】
降車位置の候補はリスト形式で表示する場合に限らず、地図上に表示してもよい。
図9に示す降車位置選択画面例では、目的地周辺の地図に降車位置Q1~Q4が表示されている。降車位置Q1~Q4に対応付けて目的地までの距離と料金が吹き出し形式で表示されている。この場合、ユーザが地図上の降車位置をタップ等することで降車位置が選択される。
【0076】
なお、
図8や
図9の画面において、最安料金の降車位置には目立つように表示態様(色、フォント、サイズ等)を変えて表示してもよい。同様に、目的地以外の降車位置であってプライバシーを確保可能な降車位置を目立つように表示態様を表示してもよい。
【0077】
上述した実施形態によれば、自身が運転しない車両に乗って出発地から目的地に向かって移動するユーザに対し、当該ユーザのプライバシーを確保可能な降車位置を提示することができる。その結果、ユーザは、安心して相乗りタクシー等の移動サービスを利用することが可能となる。さらに、プライバシーを確保可能しつつ、降車位置と目的地との距離ができるだけ短くなるようにすることでユーザの利便性を向上させることができる。
【0078】
なお、降車位置の決定方法については、上記に限られず、以下に示すように種々の方法が考えられる。
【0079】
降車位置決定部213は、車両Cから降車して目的地Gに向かうユーザUの移動方向と、降車位置Qから走り去る車両Cの移動方向とに基づいて降車位置Qを決定してもよい。これにより、降車位置を目的地に近づけることができ、プライバシー保護と利便性を両立させることができる。例えば、
図6(a),(b)に示したように、ユーザの移動方向と、車両の移動方向が逆方向である場合は、同方向である場合に比べて、降車位置と目的地間の距離を短くすることができる。
【0080】
また、降車位置決定部213は、目的地周辺の道路の属性を考慮して降車位置を決定してもよい。これにより、降車位置を目的地に近づけることができ、プライバシー保護と利便性を両立させることができる。例えば、
図6に示したように、交差点の有無を考慮して降車位置を決定してもよい。その他、道路の高低差に関する情報(坂の有無等)、一方通行であるかどうか、渋滞情報等を考慮して降車位置を決定してもよい。例えば、目的地付近の道路が坂の場合、目的地を通過し坂を下った場所を降車位置とすることで、プライバシーを確保可能としつつ、降車位置と目的地間の距離を短くすることができる。
【0081】
また、降車位置決定部213は、車両から降車したユーザが目的地に徒歩で移動する場合の徒歩移動経路を考慮して降車位置を決定してもよい。例えば、降車したユーザの徒歩移動経路を考慮して、降車位置から目的地までの徒歩移動距離ができるだけ短くなるようにする。これについて、
図7(a)および(b)を参照して説明する。
図7(a)は徒歩ネットワークを考慮せずに決定された降車位置を示し、
図7(b)は徒歩ネットワークを考慮して決定された降車位置を示している。これらの図において、符号Rは車両による移動経路(車両移動経路)を示し、符号Sは徒歩による移動経路(徒歩移動経路)を示している。
【0082】
図7(a)の例では、目的地Gとの間の距離Lが短く、かつ公園の木々によりプライバシーを確保可能な降車位置Q1が決められている。しかしながら、徒歩ネットワークを考慮せずに降車位置が決定されたため、降車位置Q1で降車したユーザUは公園の入口まで歩く必要があり、徒歩移動距離が長くなってしまう。これに対し、
図7(b)の例では、徒歩ネットワークを考慮することにより、公園の入口付近が降車位置Q2に決定されている。その結果、降車位置と目的地G間の距離が長くなり、プライバシーをより確保できるとともに、ユーザUの徒歩移動距離が短くなり、利便性を向上させることができる。
【0083】
また、降車位置決定部213は、車両から降車して目的地に向かうユーザが降車位置から目的地までの移動経路に存在するPOIに立ち寄る時間を考慮して降車位置を決定してもよい。例えば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、書店、カフェ等、ユーザが立ち寄ると思われるPOIを降車位置とする。この際、降車位置決定部213は、クーポン等の広告があるPOIを優先的に降車位置としてもよい。
【0084】
なお、降車位置決定部213は、出発地から目的地周辺のPOIまでの経路探索結果に基づいて決定されたPOIを降車位置としてもよい。
【0085】
上記のように、POIに立ち寄る時間を考慮して降車位置を決定する場合、降車位置決定部213は、ユーザが降車位置から目的地まで移動するのにかかる時間(X)に立ち寄り時間を加算する。これにより、降車位置を目的地に近づけることができ、プライバシー保護と利便性を両立させることができる。なお、立ち寄り時間は、予め定めた固定時間であってもよいし、POIの種類、ユーザ属性、時間帯等に基づいて推定される時間であってもよい。
【0086】
また、降車位置決定部213は、ユーザの属性情報を考慮して降車位置を決定してもよい。例えば、当該ユーザの性別や年齢に合った店舗を降車位置とする。さらに、降車位置決定部213は、ユーザの属性情報だけでなく、車両の同乗者(ドライバーも含む。)の属性情報も考慮して降車位置を決定してもよい。例えば、ユーザと同乗者が異性の場合は、ユーザのプライバシーを確保可能な降車位置を決定し、ユーザと同乗者が同性の場合は、目的地を降車位置としてもよい。
【0087】
また、降車位置決定部213は、ユーザが車両を降車する時の天気を考慮して降車位置を決定してもよい。例えば、降車時の天気が雨と予想される場合、ユーザがアーケード等を通ってできるだけ雨に濡れずに目的地に移動可能な降車位置を決定する。なお、天気に関する情報は、例えば、外部の天気予報サーバにアクセスして取得する。
【0088】
また、降車位置決定部213は、ユーザの荷物の有無、数、大きさ等を考慮して降車位置を決定してもよい。例えば、荷物の数が多かったり、重い場合には、目的地にできるだけ近い降車位置を決定する。
【0089】
また、降車位置決定部213は、ユーザが車両を降車する時間帯を考慮して降車位置を決定してもよい。例えば、降車する時間帯が深夜である場合は、比較的明るい場所を通って目的地に移動可能な降車位置を決定する。
【0090】
また、降車位置決定部213は、目的地の属性を考慮して降車位置を決定してもよい。例えば、目的地がマンション等の集合住宅であったり、一階が飲食店やコンビニエンスストアの建物である場合は、プライバシーを確保し易いことから、目的地もしくはその近くの地点を降車位置とする。反対に、目的地が戸建てであったり、目的地の周りが田畑等の場合は、目的地との距離が通常よりも長くなるように降車位置を決定する。
【0091】
また、降車位置決定部213は、車両の料金表を考慮して降車位置を決定してもよい。例えば、移動距離が長くなるにつれて料金がステップ状に上昇する料金表の場合、料金が上昇する直前の位置を降車位置として決定する。
【0092】
また、降車位置決定部213は、ユーザが同乗者の中で最後に降車する場合は、車両のドライバーからプライバシーを保護するために、ユーザが降車位置から目的地まで移動するのにかかる時間(X)を通常よりも長めに設定してもよい。
【0093】
なお、ユーザの安心感をさらに高めるために、情報提示部113は、ユーザが車両から降車した後に、車両が目的地またはユーザを見ることができない位置にまで遠ざかったことを通知するようにしてもよい。この場合、サーバ20は、タクシー事業者のサーバからタクシーの現在位置を取得し、当該位置に基づいて車両が目的地を見ることができない位置まで移動したかどうかを判定し、当該位置まで移動したと判定した場合はその旨をユーザの端末装置10に送信する。端末装置10の情報提示部113は、その旨をユーザに提示する。例えば、アプリの画面上に、車両が目的地を見ることができない位置まで移動した旨を表示する。なお、提示方法は、音声出力、プッシュ通知またはバイブレーションによる通知等でもよい。
【0094】
上記の実施形態では、ユーザが利用する車両は相乗りタクシーであったが、本発明はこれに限らない。すなわち、ユーザが利用する車両は、従来の単独乗車のタクシーであってもよい。この場合、タクシーのドライバーからプライバシーを確保することができる。また、本発明は、各種のオンデマンド交通またはライドシェアに適用されてもよい。また、車両は、ユーザ以外の人が運転する車両に限らず、有人または無人の自動運転車であってもよいし、あるいは遠隔操作される車両であってもよい。
【0095】
なお、
図1~
図3の構成は一例であり、サーバ20内の構成要件の少なくとも一部が端末装置10内にあってもよい。例えば、サーバ20内の制御部21および記憶部23を端末装置10内に設けて、通信をすることなく端末装置10のみでユーザのプライバシーを確保可能な降車位置を提示可能な情報処理装置を構成してもよい。
【0096】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0097】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0098】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システムを機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムの少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0099】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 情報処理システム
10 端末装置
11 制御部
111 配車依頼受付部
112 情報取得部
113 情報提示部
12 通信部
13 記憶部
14 操作入力部
15 表示部
16 測位部
20 サーバ
21 制御部
211 情報取得部
212 経路探索部
213 降車位置決定部
22 通信部
23 記憶部
231 経路ネットワークデータベース
232 ユーザ属性データベース
30 ネットワーク
A 地図
C 車両
G 目的地
L 距離
M 安全・安心マーク
P POI
Q,Q1,Q2,Q3,Q4 降車位置
R 車両移動経路
S 徒歩移動経路
T 信号機
U ユーザ