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  • 特開-劣化診断装置、方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011100
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】劣化診断装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20240118BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20240118BHJP
   G21C 19/32 20060101ALI20240118BHJP
   G21F 5/06 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
G21F9/36 501H
G21F9/36 Z
G21C19/32 110
G21F5/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112813
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田副 佑典
(72)【発明者】
【氏名】三浦 崇広
(72)【発明者】
【氏名】相川 徹郎
(72)【発明者】
【氏名】赤井 芳恵
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼林 芳栄
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB02
2G051AB20
2G051CA04
2G051CB01
2G051EA14
2G051EA17
2G051EB01
2G051EC01
2G051EC02
2G051ED07
(57)【要約】
【課題】特別な装備を用いず、腐食状態を的確に評価し、容器の劣化をデータドリブンに診断する技術を提供する。
【解決手段】劣化診断装置10は、容器27の外表面を撮像した画像データ11を取得する取得部12と、画像データ11を構成するピクセルを予め設定した属性に分類する分類部@@と、属性が容器27の腐食による錆に分類されたピクセルに基づいて容器27の劣化を診断させる診断部18と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の外表面を撮像した画像データを取得する取得部と、
前記画像データを構成するピクセルを予め設定した属性に分類する分類部と、
前記属性が前記容器の腐食による錆に分類された前記ピクセルに基づいて前記容器の劣化を診断させる診断部と、を備える劣化診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の劣化診断装置において、
前記画像データは、前記外表面の反射光を波長分別して撮像された前記ピクセルで構成され、
前記属性は、前記波長分別された前記ピクセルの強度に基づいて分類される、劣化診断装置。
【請求項3】
請求項2に記載の劣化診断装置において、
前記波長分別された前記ピクセルの強度に基づき、前記腐食の深度又は種類に応じて、さらに前記錆の前記属性が細分類されている、劣化診断装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の劣化診断装置において、
位置情報が相互に近接し前記属性が共通する前記ピクセルの群を前記外表面においてセグメントに分割する分割部と、を備える劣化診断装置。
【請求項5】
請求項4に記載の劣化診断装置において、
前記セグメントのうち前記錆に関連した前記属性を持つ錆セグメントを強調した画像を表示する表示部を備える劣化診断装置。
【請求項6】
請求項2又は請求項3に記載の劣化診断装置において、
前記分類部は、前記波長分別された前記ピクセルの強度の入力に対し前記属性が出力されるよう機械学習された第1学習モデルを利用する劣化診断装置。
【請求項7】
請求項5に記載の劣化診断装置において、
前記容器及び前記錆セグメントを識別する識別子を導入し、
前記識別子をキーとして異日に撮像した前記錆セグメントの進展状態に基づいて前記容器の劣化を診断させる劣化診断装置。
【請求項8】
請求項7に記載の劣化診断装置において、
前記識別子には、対応する前記容器の点検情報も紐付けられている劣化診断装置。
【請求項9】
請求項7に記載の劣化診断装置において、
前記診断部は、撮像日の情報を付帯させた1又は2以上の前記錆セグメントの情報入力に対し前記容器の耐用期間が情報表示されるよう機械学習された第2学習モデルを利用する劣化診断装置。
【請求項10】
容器の外表面を撮像した画像データを取得するステップと、
前記画像データを構成するピクセルを予め設定した属性に分類するステップと、
前記属性が前記容器の腐食による錆に分類された前記ピクセルに基づいて前記容器の劣化を診断させるステップと、を含む劣化診断方法。
【請求項11】
コンピュータに、
容器の外表面を撮像した画像データを取得するステップ、
前記画像データを構成するピクセルを予め設定した属性に分類するステップ、
前記属性が前記容器の腐食による錆に分類された前記ピクセルに基づいて前記容器の劣化を診断させるステップ、を実行させる劣化診断プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、腐食による錆を観察し容器の劣化を診断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性固体廃棄物のうち金属やコンクリートといった不燃性雑固体廃棄物等は、ドラム缶等の容器に収容して貯蔵庫に保管することが義務付けられている。そのような廃棄物の発生量は膨大であるため、貯蔵庫における大量の容器の保管・管理は、負担が重い。更に、貯蔵庫で保管中の容器は、腐食して、収容する廃棄物の一部が漏洩する可能性もあることから、1本1本の個別検査が行われる。そして、検査の結果、収容した廃棄物の漏洩が懸念される不健全な容器については、容器の補修や廃棄物の入れ替え等の対策がとられる。
【0003】
ところで、外観には汚れや塗装浮きなどがあるため、一過性の目視検査だけで腐食状態の評価は、一般的に困難である。このため、画像処理を用いた外観検査で、錆やホール等の多岐に渡る腐食状態を評価することが行われている。
【0004】
ドラム缶をカメラで撮影した画像データと、ドラム缶を3次元スキャナで撮影したスキャンデータとに基づいて、ドラム缶の異常を判定する公知技術が存在する。この公知技術によれば、画像データにおける変色部位と、スキャンデータにおける変形部位とが一致する場合に、錆ありと判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-156750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上述の公知技術では、スキャンデータ撮影を伴うため撮影機構が大掛かりになる課題がある。また、上述の公知技術の検出結果は、錆の有無の二値問題として示されるため、錆の程度に基づいて腐食の進行度合を把握したり、ドラム缶を貫通するホールによる放射性物質の漏洩までの猶予を予測したり、等といった腐食状態の評価が不能である課題があった。このため、容器の劣化診断は、人間の勘や経験に頼る課題があった。
【0007】
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、特別な装備を用いず、腐食状態を的確に評価し、容器の劣化をデータドリブンに診断する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る劣化診断装置において、容器の外表面を撮像した画像データを取得する取得部と、前記画像データを構成するピクセルを予め設定した属性に分類する分類部と、前記属性が前記容器の腐食による錆に分類された前記ピクセルに基づいて前記容器の劣化を診断させる診断部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態により、特別な装備を用いず、腐食状態を的確に評価し、容器の劣化をデータドリブンに診断する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る劣化診断装置の構成図。
図2】容器の外表面をカメラで撮像する様子の説明図。
図3】(A)(B)(C)(D)属性が異なるピクセルのスペクトル分布(波長-強度)を示すグラフ。
図4】第2実施形態に係る劣化診断装置の構成図。
図5】(A)(B)(C)(D)錆セグメントの進展状態の説明図。
図6】各実施形態に係る劣化診断方法及び劣化診断プログラムを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る劣化診断装置10A(10)の構成図である。図2は容器27の外表面に照明28を当てながらカメラ29で撮像する様子の説明図である。
【0012】
このように劣化診断装置10Aは、容器27の外表面を撮像した画像データ11を取得する取得部12と、画像データ11を構成するピクセルを予め設定した属性に分類する分類部13と、この属性が容器27の腐食による錆に分類されたピクセルに基づいて容器27の劣化を診断させる診断部18と、を備えている。
【0013】
さらに劣化診断装置10Aは、位置情報が相互に近接し属性が共通するピクセルの群を容器27の外表面においてセグメント16(160,161,162,163)に分割する分割部15を備えている。これにより、表示部19は、セグメント16のうち錆に関連した属性を持つ錆セグメント161,162,163を強調した画像を表示できる。
【0014】
図2に示すように、容器27としては、特に放射性廃棄物を収容するものに限定されないが、容量が200L程度であるドラム缶、容量が2000L程度であるコンテナ、及び梱包材等が挙げられる。そして、放射性廃棄物を収容した容器27は、地下空間または地上建屋に設けられた貯蔵庫に、個別に取り出せるよう段積みされて保管される。
【0015】
そして、このように貯蔵庫に保管される容器27は、収容する廃棄物の一部が漏洩していないかもしくはその兆候を事前に察知する必要がある。このため、容器27を腐食して生成する錆の発見並びに進展観察を、その外表面に対し定期的に行っている。
【0016】
実施形態においてカメラ29は、単眼カメラを例示しているが、これ以外にもステレオカメラ、RGBDカメラ、全方位カメラ、サーモカメラ等の機器により撮影することができる。また実施形態では、画像データ11が、容器27の外表面の反射光24を波長分別して撮像するハイパースペクトル画像である場合を説明する。これにより、得られた画像データ11は、多数の波長チャネルを持つ画像となる。後述する図3においては、波長チャネル数が10である画像データ11を構成するピクセルのスペクトル分布を示している。
【0017】
なおカメラ29は、例示するハイパースペクトルカメラに限定されることは無く、RGBの3つの波長チャネルで構成された画像データ11を出力するものであってもよく、またグレースケールで波長チャネルが1つの画像データ11を出力するものであってもよい。なお、それぞれの波長チャネルに対応するカメラ29の検出センサは、可視光領域の波長の照明(電磁波)の反射光を検出する場合に限定されず、可視光領域の外側領域の波長を持つ電磁波の反射波を検出するものであってもよい。
【0018】
また、撮像方式は、照明28を照射させながら、容器27を段積みしたまま動かさずカメラ29を動かして外観を撮像したり、容器27を個別に別室に移動させ、上面、下面、側周面といった全方向から容器27を動かしながらその外観を撮像したりする。また照明28として用いる光源の種類に限定は無く、また照明28を用いずに自然光を利用する場合もある。
【0019】
取得部12で取得される画像データ11は、容器27の外表面の反射光24を波長分別して撮像されたピクセル(図示略)で構成されている。分類部13は、この画像データ11を構成するピクセルを予め設定した属性に分類する。ここでピクセルの属性とは、画像データ11から認識される容器27の外表面を分類した地金、塗装、錆、汚れ等である。
【0020】
これにより、定期的な検査で同一の容器27の画像データ11を複数回にわたり撮像し、錆の属性に分類されたピクセルの数又は位置の進展状況を把握することで、診断部18に容器27の劣化を診断させることができる。
【0021】
分割部15は、位置情報が相互に近接し属性が共通するピクセルの群を外表面においてセグメント16(160,161,162,163,)に分割する。分割されたセグメント16のうち錆の画像に特徴的な波長を持つピクセルの群は、錆セグメント161,162,163として分割される。
【0022】
診断部18は、錆セグメント16(161,162,163)を強調した画像を表示部19に表示させ容器27の劣化をオペレータに診断させる。オペレータは、錆セグメント16の強調画像に基づいて容器への対応策を決定する。この対応策は、具体的に「異常無し(対応無し)」、「次期検査に結論繰り越し」、「要・補修」、「要・交換」といったものであるが、これらに限定されない。
【0023】
図3(A)(B)(C)(D)は、画像データ11を構成するピクセルに関し属性が異なるピクセルのスペクトル分布(波長-強度)を示すグラフである。なお、このグラフの縦軸に関しては、図示するように波長分別された反射光24(ピクセル)の強度で表す以外に、この反射光24(ピクセル)の強度と照明28の直接光の強度との比をとった反射率で表してもよい。このようなピクセルのスペクトル分布に基づいてセグメント16の属性が分類される。ここでセグメント160の属性は、容器27の正常な外表面である。そしてセグメント161,162,163の属性は、容器27の外表面が腐食されてできた錆である。
【0024】
このように錆セグメント161,162,163は、腐食の深度に依存してピクセルのスペクトル分布が相違することに基づいて、細分類できることを示している。また、腐食の種類によってもスペクトル分布が相違するため、錆の種類別に属性を分類することもできる。なお、腐食の深度や腐食の種類をこのように区別せず、錆セグメントの属性を細分類せずに統一してその領域だけを表示させることもできる。
【0025】
第1学習モデル21は、スペクトル分布の入力に対し属性(容器27の地金、塗装、錆、汚れ等)が出力されるよう機械学習されたものである。分類部13は、取得した画像データ11において波長分別されたピクセル各々の強度(スペクトル分布)を第1学習モデル21に入力し、各々のピクセルに対応する属性を出力として返す。
【0026】
そして分割部15は、位置情報が相互に近接し属性が共通するピクセルの群を、外表面においてセグメント16に分割する。このようにして画像データ11は、属性の異なる複数のセグメント16により分割して表示されることになる。
【0027】
この第1学習モデル21は、過去の現実的に取得した又は仮想的に作成されたスペクトル分布と属性の関係を初期の教師データとして利用することができる。そして第1学習モデル21は、その後に現実に取得され蓄積されたスペクトル分布と属性の関係を新たな教師データとして登録を増やしチューニングしていくことができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に図4を参照して本発明における第2実施形態について説明する。図4は第2実施形態に係る劣化診断装置10B(10)の構成図である。第2実施形態に係る劣化診断装置10Bは、第1実施形態の劣化診断装置10A(図1)の構成に加え、さらに容器27及び錆セグメント161,162,163を識別する識別子25が導入され、この識別子25をキーとして異日に撮像した錆セグメント161,162,163の進展状態に基づいて容器27の劣化をオペレータに診断させることができる。
【0029】
識別子25は、貯蔵庫に保管されている複数の容器27の各々を識別するために発行される。さらに識別子25は、分割されたセグメント16(160,161,162,163)の各々に対しても発行することができ、複数の容器27に存在する錆セグメント161,162,163を統括的に管理できる。
【0030】
なお識別子25には、対応する容器27の点検情報26や貯蔵庫における保管位置に関する情報も紐付けることができる。そのような点検情報26としては、容器27を段積みしたまま動かさずに、検査員が巡回して目視評価して取得するものであったり、容器27を個別に別室に移動させ、上面、下面、側周面といった全方向から容器の外観を目視で評価するものであったりする。点検情報26は、このような目視情報に限定されず、視覚以外にも検査員の五感を活用して得られた情報であって、検査員が作成したテキストデータである。
【0031】
このような識別子25に関連付けられた容器27、錆セグメント161,162,163、点検情報26は、新たに情報が更新される都度、データベース20に累積的に保存されていく。なおデータベース20は、他の構成要素と同じ機器筐体内に設けることができるが、この機器筐体が接続される情報通信ネットワーク上にも設けることができる。
【0032】
図5(A)(B)(C)(D)は錆セグメント161,162,163の進展状態の説明図である。腐食が進行するに連れ、錆セグメント16の面積は広がり腐食の深度も深くなり、その到達点は容器27を貫通するホール30である。放射性固体廃棄物を収容する容器27にとって、収容物の漏洩は回避すべき最大のリスクであるため、錆セグメント16の大きさや腐食の深度の客観的なデータを蓄積して管理していくことは、劣化状態を診断する重要なファクターとなる。
【0033】
診断部18は、撮像日の情報を付帯させた1又は2以上の錆セグメント161,162,163の情報入力に対し、容器27の耐用期間が情報表示されるよう機械学習された第2学習モデル22を利用している。この耐用期間とは、放射線廃棄物を収容する容器27に関しては、これら廃棄物の一部が漏洩するようなホール30が発生する推定時期の所定時間前までの期間ということになる。耐用期間は、容器27の用途によって、適切な基準が定められる。
【0034】
第2学習モデル22は、過去の現実的に取得した又は仮想的に作成された錆セグメント16と耐用期間の関係を初期の教師データとして利用することができる。この教師データの構築は、例えば容器27を人為的に腐食させる環境下に置き、観測された錆の画像データと、スペクトルと、耐用期間の関係性から構築したモデルでもよく、もしくは実際に保管中の使用されている容器27の実績に基づき構築したモデルでもよい。或いは、その両方を用いても良い。さらに第2学習モデル22は、その後に現実に取得され蓄積された錆セグメント16と耐用期間の関係を新たな教師データとして登録を増やしチューニングしていくことができる。
【0035】
また第2学習モデル22は、錆セグメント16の情報入力からのみ耐用期間を出力させるシングルモーダルに限定されることは無く、錆セグメント16に点検情報26等を組み合わせた情報入力から耐用期間を出力させるマルチモーダルに依ってもよい。
【0036】
図6のフローチャートに基づいて各実施形態に係る劣化診断方法及び劣化診断プログラムを説明する(適宜、図1参照)。まず、容器27の外表面を撮像した画像データ11を取得する(S11)。そして、この画像データ11を構成するピクセルを予め設定した属性に分類する(S12)。
【0037】
次に、位置情報が相互に近接し属性が共通するピクセルの群を、容器27の外表面において、セグメント16(160,161,162,163)に分割する(S13)。そして、セグメント16のうち錆に関連した属性を持つ錆セグメント161,162,163を強調した画像を表示部19に表示する(S14)。
【0038】
このようにして、これまで定期的に行われてきた複数回の検査で撮像した同一の容器27の複数の画像データ11に基づいて、進展していく錆セグメント16を抽出し容器27の劣化を診断する(S15)。これに基づき、容器27を修復したり内容物を入れ替えたりする計画が立案される(END)。
【0039】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の劣化診断装置によれば、画像データを構成するピクセルを予め設定した属性に分類することにより、特別な装備を用いず、腐食状態を的確に評価し、容器の劣化をデータドリブンに診断することが可能となる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0041】
以上説明した劣化診断装置は、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスやキーボードなどの入力装置と、通信I/Fとを、備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。また、劣化診断装置の構成要素は、コンピュータのプロセッサで実現することも可能であり、劣化診断プログラムにより動作させることが可能である。
【0042】
また劣化診断プログラムは、ROM等に予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供するようにしてもよい。
【0043】
また、本実施形態に係る劣化診断プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしてもよい。また、劣化診断装置は、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワーク又は専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
【符号の説明】
【0044】
10(10A,10B)…劣化診断装置、11…画像データ、12…取得部、13…分類部、15…分割部、16(160,161,162,163,)…セグメント、161,162,163…錆セグメント、18…診断部、19…表示部、20…データベース、21…第1学習モデル、22…第2学習モデル、24…反射光、25…識別子、26…点検情報、27…容器、28…照明、29…カメラ、30…ホール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6