(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111017
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】少なくとも4つのタイプの粒子を含む電気泳動媒体中のより低く帯電させられた粒子の色状態を達成する方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1685 20190101AFI20240808BHJP
G09G 3/16 20060101ALI20240808BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20240808BHJP
G02F 1/167 20190101ALN20240808BHJP
【FI】
G02F1/1685
G09G3/16 C
G09G3/34 C
G02F1/167
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024094281
(22)【出願日】2024-06-11
(62)【分割の表示】P 2022574445の分割
【原出願日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】63/035,088
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】クレッグ リン
(72)【発明者】
【氏名】フェン-ショウ リン
(57)【要約】
【課題】少なくとも4つのタイプの粒子を含む電気泳動媒体中のより低く帯電させられた粒子の色状態を達成する好適な方法を提供すること。
【解決手段】2対の逆に帯電させられた粒子を含む電気泳動媒体を駆動する方法。第1の対は、第1のタイプの正粒子と、第1のタイプの負粒子とを含み、第2の対は、第2のタイプの正粒子と、第2のタイプの負粒子とから成り、第1の対の粒子および第2の対の粒子は、異なる電荷規模(ゼータ電位として識別可能)を有する。特に、駆動方法は、中間駆動電圧が修正されると、他の粒子からの少ない汚染とより一貫した電気光学性能とを伴うより低く帯電させられた粒子のよりクリーンな光学スタックを生産する。
【選択図】
図29
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2020年6月5日に出願された米国仮特許出願第63/035,088号の優先権を主張し、それは、参照することによってその全体として組み込まれる。本明細書に開示される全ての特許および刊行物が参照することによってその全体として組み込まれる。
(発明の分野)
【0002】
本発明は、少なくとも4つの異なる粒子組を伴う電気泳動媒体を含むカラーディスプレイデバイスのための駆動方法を対象とし、各粒子組は、電荷極性および電荷規模を有し、粒子組のいずれも、同じ電荷極性および電荷規模を有しない。本明細書に説明される方法を使用して、各ピクセルは、より低く帯電させられた粒子の高品質色状態を表示することができる。
【背景技術】
【0003】
カラーディスプレイを達成するために、カラーフィルタが、多くの場合、使用される。最も一般的なアプローチは、赤色、緑色、および青色を表示するために、ピクセル化ディスプレイの黒色/白色サブピクセルの上にカラーフィルタを追加することである。赤色が所望されるとき、表示される唯一の色が赤色であるように、緑色および青色サブピクセルが黒色状態に変えられる。青色が所望されるとき、表示される唯一の色が青色であるように、緑色および赤色サブピクセルが黒色状態に変えられる。緑色が所望されるとき、表示される唯一の色が緑色であるように、赤色および青色サブピクセルが黒色状態に変えられる。黒色状態が所望されるとき、3つ全てのサブピクセルが黒色状態に変えられる。白色状態が所望されるとき、3つのサブピクセルは、それぞれ、赤色、緑色、および青色に変えられ、結果として、白色状態が視認者によって見られる。
【0004】
そのような技法の最大の不利点は、サブピクセルの各々が、所望の白色状態の約3分の1の反射率を有するので、白色状態がかなり薄暗いことである。これを補うために、黒色および白色状態のみを表示し得る第4のサブピクセルが追加され得、それによって、白色レベルが、赤色、緑色、または青色レベルを犠牲にして倍増される(各サブピクセルは、ピクセルの面積のわずか4分の1である)。このアプローチを用いても、白色レベルは、通常、白黒ディスプレイのレベルの実質的に半分未満であり、十分に読みやすい白黒明度およびコントラストを必要とする電子書籍リーダまたはディスプレイ等のディスプレイデバイスのために、それを許容できない選択にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面は、電気泳動ディスプレイのピクセルを駆動する駆動方法を対象とし、電気泳動ディスプレイは、視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置された電気泳動流体とを備え、電気泳動流体は、第1のタイプの粒子、第2のタイプの粒子、第3のタイプの粒子、および第4のタイプの粒子を備え、それらの全ては、溶媒中に分散させられており、
(a)4つのタイプの顔料粒子は、異なる光学特性を有し、
(b)第1のタイプの粒子および第3のタイプの粒子は、正に帯電させられ、第1のタイプの粒子は、第3の粒子より大きい正電荷の規模を有し、
(c)第2のタイプの粒子および第4のタイプの粒子は、負に帯電させられ、第2のタイプの粒子は、第4の粒子より大きい負電荷の規模を有し、
方法は、
(i)第1の振幅において第1の期間にわたって第1の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに印加し、視認側において第1または第2のタイプの粒子の色状態にピクセルを駆動するステップと、
(ii)第2の期間にわたって第2の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに印加するステップであって、第2の駆動電圧は、第1の駆動電圧のそれと反対の極性と、第1の振幅のそれより小さい第2の振幅とを有し、視認側において、第1のタイプの粒子の色状態から第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または第2のタイプの粒子の色状態から第3のタイプの粒子の色状態に向かって、ピクセルを駆動し、ステップ(i)-(ii)を繰り返す、ステップと、
(iii)第3の期間にわたっていかなる駆動電圧もピクセルに印加しないステップと、
(iv)第4の期間にわたって第2の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに印加し、視認側において、第1のタイプの粒子の色状態から第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または第2のタイプの粒子の色状態から第3のタイプの粒子の色状態に向かって、ピクセルを駆動し、ステップ(iii)-(iv)を繰り返すステップであって、第1の駆動電圧と同じ極性を有する駆動電圧が、ステップ(iii)と(iv)との間で印加されない、ステップと
を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、ステップ(ii)における第2の期間は、ステップ(i)における第1の期間より長い。いくつかの実施形態では、ステップ(i)および(ii)は、少なくとも8回繰り返される。いくつかの実施形態では、ステップ(iii)および(iv)は、少なくとも8回繰り返される。いくつかの実施形態では、第2の駆動電圧の振幅は、第1の駆動電圧の振幅の50%未満である。いくつかの実施形態では、第3の粒子の正電荷の規模は、第1の粒子の正電荷の規模の50%未満である。いくつかの実施形態では、第4の粒子の負電荷の規模は、第2の粒子の負電荷の規模の75%未満である。いくつかの実施形態では、振動波形を伴う電圧が、ステップ(i)の前、ピクセルに印加される。いくつかの実施形態では、ステップ(iv)における第4の期間は、ステップ(ii)における第2の期間より短い。いくつかの実施形態では、第3の駆動電圧が、ステップ(ii)と(iii)との間で、第5の期間にわたって電気泳動ディスプレイのピクセルに印加され、第3の駆動電圧は、第2の駆動電圧と同じ極性と、第1の振幅と同じ規模とを有する。
【0007】
本発明の第2の側面は、電気泳動ディスプレイのピクセルを駆動する駆動方法を対象とし、電気泳動ディスプレイは、視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置された電気泳動流体とを備え、電気泳動流体は、第1のタイプの粒子、第2のタイプの粒子、第3のタイプの粒子、および第4のタイプの粒子を備え、それらの全ては、溶媒中に分散させられており、
(a)4つのタイプの顔料粒子は、異なる光学特性を有し、
(b)第1のタイプの粒子および第3のタイプの粒子は、正に帯電させられ、第1のタイプの粒子は、第3の粒子より大きい正電荷の規模を有し、
(c)第2のタイプの粒子および第4のタイプの粒子は、負に帯電させられ、第2のタイプの粒子は、第4の粒子より大きい負電荷の規模を有し、
方法は、
(i)第1の振幅において第1の期間にわたって第1の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに印加し、視認側において第1または第2のタイプの粒子の色状態にピクセルを駆動するステップと、
(ii)第2の期間にわたって第2の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに印加するステップであって、第2の駆動電圧は、第1の駆動電圧のそれと反対の極性と、第1の振幅のそれより小さい第2の振幅とを有し、視認側において、第1のタイプの粒子の色状態から第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または第2のタイプの粒子の色状態から第3のタイプの粒子の色状態に向かって、ピクセルを駆動する、ステップと、
(iii)第3の期間にわたっていかなる駆動電圧もピクセルに印加せず、ステップ(i)および(iii)を繰り返すステップと、
(iv)第4の期間にわたっていかなる駆動電圧もピクセルに印加しないステップと、
(v)第5の期間にわたって第2の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに印加し、視認側において第1のタイプの粒子の色状態から第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または第2のタイプの粒子の色状態から第3のタイプの粒子の色状態に向かって、ピクセルを駆動し、ステップ(iv)-(v)を繰り返すステップであって、第1の駆動電圧と同じ極性を有する駆動電圧が、ステップ(iv)と(v)との間で印加されない、ステップと
を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、ステップ(ii)における第2の期間は、ステップ(i)における第1の期間より長い。いくつかの実施形態では、ステップ(i)-(iii)は、少なくとも8回繰り返される。いくつかの実施形態では、ステップ(iv)および(v)は、少なくとも8回繰り返される。いくつかの実施形態では、第2の駆動電圧の振幅は、第1の駆動電圧の振幅の50%未満である。いくつかの実施形態では、第3の粒子の正電荷の規模は、第1の粒子の正電荷の規模の50%未満である。いくつかの実施形態では、第4の粒子の負電荷の規模は、第2の粒子の負電荷の規模の75%未満である。いくつかの実施形態では、振動波形を伴う電圧が、ステップ(i)の前、ピクセルに印加される。いくつかの実施形態では、ステップ(v)における第5の期間は、ステップ(ii)における第2の期間より短い。いくつかの実施形態では、第3の駆動電圧が、ステップ(iii)と(iv)との間で、第6の期間にわたって電気泳動ディスプレイのピクセルに印加され、第3の駆動電圧は、第2の駆動電圧と同じ極性と、第1の振幅と同じ規模とを有する。
【0009】
本発明の第3の側面が、電気泳動ディスプレイのピクセルを駆動する駆動方法を対象とし、電気泳動ディスプレイは、視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置された電気泳動流体とを備え、電気泳動流体は、第1のタイプの粒子、第2のタイプの粒子、第3のタイプの粒子、および第4のタイプの粒子を備え、それらの全ては、溶媒中に分散させられており、
(a)4つのタイプの顔料粒子は、異なる光学特性を有し、
(b)第1のタイプの粒子および第3のタイプの粒子は、正に帯電させられ、第1のタイプの粒子は、第3の粒子より大きい正電荷の規模を有し、
(c)第2のタイプの粒子および第4のタイプの粒子は、負に帯電させられ、第2のタイプの粒子は、第4の粒子より大きい負電荷の規模を有し、
方法は、
(i)第1の振幅において第1の期間にわたって第1の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに印加し、視認側において第1または第2のタイプの粒子の色状態にピクセルを駆動するステップと、
(ii)第2の期間にわたっていかなる駆動電圧もピクセルに印加しないステップと、
(iii)第3の期間にわたって第2の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに印加するステップであって、第2の駆動電圧は、第1の駆動電圧のそれと反対の極性と、第1の振幅のそれより小さい第2の振幅とを有し、視認側において、第1のタイプの粒子の色状態から第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または第2のタイプの粒子の色状態から第3のタイプの粒子の色状態に向かって、ピクセルを駆動するステップと、
(iv)第4の期間にわたっていかなる駆動電圧もピクセルに印加せず、ステップ(i)-(iv)を繰り返すステップと、
(v)第5の期間にわたっていかなる駆動電圧もピクセルに印加しないステップと、
(vi)第6の期間にわたって第2の駆動電圧を電気泳動ディスプレイのピクセルに印加し、視認側において、第1のタイプの粒子の色状態から第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または第2のタイプの粒子の色状態から第3のタイプの粒子の色状態に向かって、ピクセルを駆動し、ステップ(v)-(vi)を繰り返すステップであって、第1の駆動電圧と同じ極性を有する駆動電圧が、ステップ(v)と(vi)との間で印加されない、ステップと
を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、ステップ(iii)における第3の期間は、ステップ(i)における第1の期間より長い。いくつかの実施形態では、ステップ(i)-(iv)は、少なくとも8回繰り返される。いくつかの実施形態では、ステップ(v)および(vi)は、少なくとも8回繰り返される。いくつかの実施形態では、第2の駆動電圧の振幅は、第1の駆動電圧の振幅の50%未満である。いくつかの実施形態では、第3の粒子の正電荷の規模は、第1の粒子の正電荷の規模の50%未満である。いくつかの実施形態では、第4の粒子の負電荷の規模は、第2の粒子の負電荷の規模の75%未満である。いくつかの実施形態では、振動波形を伴う電圧が、ステップ(i)の前、ピクセルに印加される。いくつかの実施形態では、ステップ(vi)における第6の期間は、ステップ(iii)における第3の期間より短い。いくつかの実施形態では、第3の駆動電圧が、ステップ(iv)と(v)との間で、第7の期間にわたって電気泳動ディスプレイのピクセルに印加され、第3の駆動電圧は、第2の駆動電圧と同じ極性と、第1の振幅と同じ規模とを有する。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
電気泳動ディスプレイのピクセルを駆動する駆動方法であって、前記電気泳動ディスプレイは、視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置された電気泳動流体とを備え、前記電気泳動流体は、第1のタイプの粒子、第2のタイプの粒子、第3のタイプの粒子、および第4のタイプの粒子を備え、それらの全ては、溶媒中に分散させられており、
(a)前記4つのタイプの顔料粒子は、異なる光学特性を有し、
(b)前記第1のタイプの粒子および前記第3のタイプの粒子は、正に帯電させられ、前記第1のタイプの粒子は、前記第3の粒子より大きい正電荷の規模を有し、
(c)前記第2のタイプの粒子および前記第4のタイプの粒子は、負に帯電させられ、前記第2のタイプの粒子は、前記第4の粒子より大きい負電荷の規模を有し、
前記方法は、
(i)第1の振幅において第1の期間にわたって第1の駆動電圧を前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに印加し、前記視認側において前記第1または第2のタイプの粒子の色状態に前記ピクセルを駆動するステップと、
(ii)第2の期間にわたって第2の駆動電圧を前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに印加するステップであって、前記第2の駆動電圧は、前記第1の駆動電圧のそれと反対の極性と、前記第1の振幅のそれより小さい第2の振幅とを有し、前記視認側において、前記第1のタイプの粒子の色状態から前記第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または、前記第2のタイプの粒子の色状態から前記第3のタイプの粒子の色状態に向かって、前記ピクセルを駆動し、ステップ(i)-(ii)を繰り返す、ステップと、
(iii)第3の期間にわたっていかなる駆動電圧も前記ピクセルに印加しないステップと、
(iv)第4の期間にわたって前記第2の駆動電圧を前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに印加し、前記視認側において、前記第1のタイプの粒子の色状態から前記第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または、前記第2のタイプの粒子の色状態から前記第3のタイプの粒子の色状態に向かって、前記ピクセルを駆動し、ステップ(iii)-(iv)を繰り返すステップと
を含み、
前記第1の駆動電圧と同じ極性を有する駆動電圧は、ステップ(iii)と(iv)との間で印加されない、駆動方法。
(項目2)
ステップ(ii)における前記第2の期間は、ステップ(i)における前記第1の期間より長い、項目1に記載の駆動方法。
(項目3)
ステップ(i)および(ii)は、少なくとも8回繰り返される、項目1に記載の駆動方法。
(項目4)
ステップ(iii)および(iv)は、少なくとも8回繰り返される、項目1に記載の駆動方法。
(項目5)
前記第2の駆動電圧の振幅は、前記第1の駆動電圧の振幅の50%より小さい、項目1に記載の駆動方法。
(項目6)
前記第3の粒子の前記正電荷の規模は、前記第1の粒子の前記正電荷の規模の50%より小さい、項目1に記載の駆動方法。
(項目7)
前記第4の粒子の前記負電荷の規模は、前記第2の粒子の前記負電荷の規模の75%より小さい、項目1に記載の駆動方法。
(項目8)
ステップ(i)の前、振動波形を伴う電圧を前記ピクセルに印加するステップをさらに含む、項目1に記載の駆動方法。
(項目9)
ステップ(iv)における前記第4の期間は、ステップ(ii)における前記第2の期間より短い、項目1に記載の駆動方法。
(項目10)
ステップ(ii)と(iii)との間の第5の期間にわたって第3の駆動電圧を前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに印加するステップをさらに含み、前記第3の駆動電圧は、前記第2の駆動電圧と同じ極性と、前記第1の振幅と同じ規模とを有する、項目1に記載の駆動方法。
(項目11)
電気泳動ディスプレイのピクセルを駆動する駆動方法であって、前記電気泳動ディスプレイは、視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、第1の光透過性電極と第2の電極との間に配置された電気泳動流体とを備え、前記電気泳動流体は、第1のタイプの粒子、第2のタイプの粒子、第3のタイプの粒子、および第4のタイプの粒子を備え、それらの全ては、溶媒中に分散させられており、
(a)前記4つのタイプの顔料粒子は、異なる光学特性を有し、
(b)前記第1のタイプの粒子および前記第3のタイプの粒子は、正に帯電させられ、前記第1のタイプの粒子は、前記第3の粒子より大きい正電荷の規模を有し、
(c)前記第2のタイプの粒子および前記第4のタイプの粒子は、負に帯電させられ、前記第2のタイプの粒子は、前記第4の粒子より大きい負電荷の規模を有し、
前記方法は、
(i)第1の振幅において第1の期間にわたって第1の駆動電圧を前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに印加し、前記視認側において前記第1または第2のタイプの粒子の色状態に前記ピクセルを駆動するステップと、
(ii)第2の期間にわたって第2の駆動電圧を前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに印加するステップであって、第2の駆動電圧は、前記第1の駆動電圧のそれと反対の極性と、前記第1の振幅のそれより小さい第2の振幅とを有し、前記視認側において、前記第1のタイプの粒子の色状態から前記第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または前記第2のタイプの粒子の色状態から前記第3のタイプの粒子の色状態に向かって、前記ピクセルを駆動する、ステップと、
(iii)第3の期間にわたっていかなる駆動電圧も前記ピクセルに印加せず、ステップ(i)-(iii)を繰り返すステップと、
(iv)第4の期間にわたっていかなる駆動電圧もピクセルに印加しないステップと、
(v)第5の期間にわたって前記第2の駆動電圧を前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに印加し、前記視認側において、前記第1のタイプの粒子の色状態から前記第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または、前記第2のタイプの粒子の色状態から前記第3のタイプの粒子の色状態に向かって、前記ピクセルを駆動し、ステップ(iv)-(v)を繰り返すステップと
を含み、
前記第1の駆動電圧と同じ極性を有する駆動電圧は、ステップ(iv)と(v)との間で印加されない、駆動方法。
(項目12)
ステップ(ii)における前記第2の期間は、ステップ(i)における前記第1の期間より長い、項目11に記載の駆動方法。
(項目13)
ステップ(i)-(iii)は、少なくとも8回繰り返される、項目11に記載の駆動方法。
(項目14)
ステップ(iv)および(v)は、少なくとも8回繰り返される、項目11に記載の駆動方法。
(項目15)
前記第2の駆動電圧の振幅は、前記第1の駆動電圧の振幅の50%より小さい、項目11に記載の駆動方法。
(項目16)
前記第3の粒子の前記正電荷の規模は、前記第1の粒子の前記正電荷の規模の50%より小さい、項目11に記載の駆動方法。
(項目17)
前記第4の粒子の前記負電荷の規模は、前記第2の粒子の前記負電荷の規模の75%より小さい、項目11に記載の駆動方法。
(項目18)
ステップ(i)の前、振動波形を伴う電圧を前記ピクセルに印加するステップをさらに含む、項目11に記載の駆動方法。
(項目19)
ステップ(v)における前記第5の期間は、ステップ(ii)における前記第2の期間より短い、項目11に記載の駆動方法。
(項目20)
ステップ(iii)と(iv)との間で、第6の期間にわたって前記電気泳動ディスプレイの前記ピクセルに第3の駆動電圧を印加するステップをさらに含み、前記第3の駆動電圧は、前記第2の駆動電圧と同じ極性と、前記第1の振幅と同じ規模とを有する、項目11に記載の駆動方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、4つの粒子組を含む電気泳動媒体を含むディスプレイ層を描写し、各粒子組は、電荷極性および電荷規模を有し、粒子組のいずれも、同じ電荷極性および電荷規模を有しない。ディスプレイ層は、少なくとも4つの異なる色状態を表示することが可能である。
【0012】
【
図2-1】
図2A-2Fは、4つの粒子組を含む例示的電気泳動媒体を図示し、各粒子組は、電荷極性および電荷規模を有し、粒子組のいずれも、同じ電荷極性および電荷規模を有しない。
図2A-2Fでは、黄色および黒色粒子は、逆に帯電させられ、白色および赤色粒子は、逆に帯電させられる。黄色および黒色粒子は、白色および赤色粒子より高い規模の電荷を有する。色組は、恣意的であり、任意の特定の組み合わせの4つの粒子が、このシステムを用いて、使用されることができる。
【
図2-2】
図2A-2Fは、4つの粒子組を含む例示的電気泳動媒体を図示し、各粒子組は、電荷極性および電荷規模を有し、粒子組のいずれも、同じ電荷極性および電荷規模を有しない。
図2A-2Fでは、黄色および黒色粒子は、逆に帯電させられ、白色および赤色粒子は、逆に帯電させられる。黄色および黒色粒子は、白色および赤色粒子より高い規模の電荷を有する。色組は、恣意的であり、任意の特定の組み合わせの4つの粒子が、このシステムを用いて、使用されることができる。
【
図2-3】
図2A-2Fは、4つの粒子組を含む例示的電気泳動媒体を図示し、各粒子組は、電荷極性および電荷規模を有し、粒子組のいずれも、同じ電荷極性および電荷規模を有しない。
図2A-2Fでは、黄色および黒色粒子は、逆に帯電させられ、白色および赤色粒子は、逆に帯電させられる。黄色および黒色粒子は、白色および赤色粒子より高い規模の電荷を有する。色組は、恣意的であり、任意の特定の組み合わせの4つの粒子が、このシステムを用いて、使用されることができる。
【0013】
【
図3】
図3は、駆動方法に組み込まれ得る振動波形を示す。
【0014】
【
図4】
図4および5は、本発明の第1の駆動方法を図示する。
【
図5】
図4および5は、本発明の第1の駆動方法を図示する。
【0015】
【
図6】
図6および9は、本発明の第2の駆動方法を図示する。
【0016】
【
図7】
図7、8、10、および11は、本発明の第2の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【
図8】
図7、8、10、および11は、本発明の第2の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【
図9】
図6および9は、本発明の第2の駆動方法を図示する。
【
図10】
図7、8、10、および11は、本発明の第2の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【
図11】
図7、8、10、および11は、本発明の第2の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【0017】
【
図12】
図12および15は、本発明の第3の駆動方法を図示する。
【0018】
【
図13】
図13、14、16、および17は、本発明の第3の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【
図14】
図13、14、16、および17は、本発明の第3の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【
図15】
図12および15は、本発明の第3の駆動方法を図示する。
【
図16】
図13、14、16、および17は、本発明の第3の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【
図17】
図13、14、16、および17は、本発明の第3の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【0019】
【
図18】
図18および21は、本発明の第4の駆動方法を図示する。
【0020】
【
図19】
図19、20、22、および23は、本発明の第4の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【
図20】
図19、20、22、および23は、本発明の第4の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【
図21】
図18および21は、本発明の第4の駆動方法を図示する。
【
図22】
図19、20、22、および23は、本発明の第4の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【
図23】
図19、20、22、および23は、本発明の第4の駆動方法を利用する駆動シーケンスを示す。
【0021】
【
図24】
図24は、より低く帯電させられた粒子組の色状態を改良するために使用され得る追加の波形を図示する。
【0022】
【
図25】
図25は、より低く帯電させられた粒子の高品質色状態を達成する駆動方法を図示する。
【0023】
【
図26】
図26は、より低く帯電させられた粒子の高品質色状態を達成する駆動方法を図示する。
【0024】
【
図27】
図27は、より低く帯電させられた粒子の高品質色状態を達成する駆動方法を図示する。
【0025】
【
図28】
図28は、より低く帯電させられた粒子組の色状態を改良するために使用され得る追加の波形を図示する。
【0026】
【
図29】
図29は、より低く帯電させられた粒子の高品質色状態を達成する駆動方法を図示する。
【0027】
【
図30】
図30は、より低く帯電させられた粒子の高品質色状態を達成する駆動方法を図示する。
【0028】
【
図31】
図31は、より低く帯電させられた粒子の高品質色状態を達成する駆動方法を図示する。
【0029】
【
図32】
図32は、より低く帯電させられた粒子の高品質色状態を達成するための改良された駆動方法を図示する。
【0030】
【
図33】
図33は、より低く帯電させられた粒子の高品質色状態を達成するための改良された駆動方法を図示する。
【0031】
【
図34】
図34は、より低い電圧波形の電圧の関数として、電気光学系(EO)性能における測定された変化を示す。
図29(オリジナルWF)の波形が、
図33の波形(改良されたWF)と比較される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に関係する電気泳動流体は、2対の逆に帯電させられた粒子を備えている。第1の対は、第1のタイプの正粒子および第1のタイプの負粒子から成り、第2の対は、第2のタイプの正粒子および第2のタイプの負粒子から成る。
【0033】
2対の逆に帯電させられた粒子では、一方の対は、他方の対より強い電荷を帯びている。したがって、4つのタイプの粒子は、高正粒子、高負粒子、低正粒子、および低負粒子とも称され得る。
【0034】
図1に示される例として、黒色粒子(K)および黄色粒子(Y)は、第1の対の逆に帯電させられた粒子であり、この対では、黒色粒子は、高正粒子であり、黄色粒子は、高負粒子である。赤色粒子(R)および白色粒子(W)は、第2の対の逆に帯電させられた粒子であり、この対では、赤色粒子は、低正粒子であり、白色粒子は、低負粒子である。
【0035】
示されていない別の例では、黒色粒子は、高正粒子であり得、黄色粒子は、低正粒子であり得、白色粒子は、低負粒子であり得、赤色粒子は、高負粒子であり得る。
【0036】
加えて、4つのタイプの粒子の色状態は、意図的に混合され得る。例えば、黄色顔料が、本質的に多くの場合、緑色がかかった色合いを有するので、より良好な黄色状態が所望される場合、黄色粒子および赤色粒子が使用され得、両方のタイプの粒子が、同じ電荷極性を帯び、黄色粒子が、赤色粒子より高く帯電させられる。結果として、黄色状態において、黄色状態により良好な色純度を持たせるように、緑色がかかった黄色粒子と混合された少量の赤色粒子が存在するであろう。
【0037】
本発明の範囲は、4つのタイプの粒子が視覚的に区別可能な色である限り、任意の色の粒子を広く包含することを理解されたい。
【0038】
白色粒子に関して、それらは、TiO2、ZrO2、ZnO、Al2O3、Sb2O3、BaSO4、PbSO4等の無機顔料から形成され得る。
【0039】
黒色粒子に関して、それらは、CI顔料黒色26または28等(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)、またはカーボンブラックから形成され得る。
【0040】
非白色および非黒色の粒子は、赤色、緑色、青色、マゼンタ色、シアン色、または黄色等の色から独立している。色粒子のための顔料は、限定ではないが、CI顔料PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY83、PY138、PY150、PY155、またはPY20を含み得る。これらは、カラーインデックスハンドブック「New Pigment Application Technology)(CMC Publishing Co,Ltd,1986)および「Printing Ink Technology」(CMC Publishing Co,Ltd,1984)で説明される一般的に使用される有機顔料である。具体的例は、Clariant Hostaperm Red D3G 70-EDS、Hostaperm Pink E-EDS、PV fast red D3G、Hostaperm red D3G 70、Hostaperm Blue B2G-EDS、Hostaperm Yellow H4G-EDS、Novoperm Yellow HR-70-EDS、Hostaperm Green GNX、BASF Irgazine red L3630、Cinquasia Red L 4100 HD、およびIrgazin Red L 3660 HD、Sun Chemicalフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ディアリライドイエロー、またはディアリライドAAOTイエローを含む。
【0041】
色粒子は、赤色、緑色、青色、および黄色等の無機顔料でもあり得る。例は、限定ではないが、CI顔料青色28、CI顔料緑色50、およびCI顔料黄色227を含み得る。
【0042】
色に加えて、4つのタイプの粒子は、光学透過率、反射率、ルミネッセンス、または疑似色(機械読み取りのために意図されたディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射率の変化という意味における)等の他の異なる光学特性を有し得る。
【0043】
本発明のディスプレイ流体を利用するディスプレイ層は、2つの表面:視認側の第1の表面(13)と、第1の表面(13)の反対側の第2の表面(14)とを有する。ディスプレイ流体が、2つの表面間に挟まれている。第1の表面(13)側に、透明電極層(例えば、ITO)である共通電極(11)があり、それは、ディスプレイ層の上部全体にわたって広がっている。第2の表面(14)側に、複数のピクセル電極(12a)を備えている電極層(12)がある。
【0044】
ピクセル電極は、米国特許第7,046,228号(その内容が、その全体として参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明される。薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンを伴うアクティブマトリクス駆動が、ピクセル電極の層に関して記述されるが、本発明の範囲は、電極が所望の機能を果たす限り、他のタイプの電極アドレスを包含することに留意されたい。
【0045】
図1の2本の垂直点線の間の各空間は、ピクセルを表す。示されるように、各ピクセルは、対応するピクセル電極を有する。電場が、共通電極に印加される電圧と対応するピクセル電極に印加される電圧との間の電位差によって、ピクセルのために生成される。
【0046】
4つのタイプの粒子が分散させられる溶媒は、透明かつ無色である。これは、好ましくは、高い粒子移動度のために、低い粘度と、約2~約30、好ましくは、約2~約15の範囲内の誘電率とを有する。好適な誘電溶媒の例は、Isopar(登録商標)、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、脂肪油、パラフィン油、シリコン流体等の炭化水素、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼン、またはアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオリド、3,4,5-トリクロロベンゾトリフルオリド、クロロペンタフルオロ-ベンゼン、ジクロロノナン、またはペンタクロロベンゼン等のハロゲン化溶媒、および3M Company(St. Paul MN)からのFC-43、FC-70、またはFC-5060等のペルフルオロ化溶媒、TCI America(Portland,Oregon)からのポリ(ペルフルオロプロピレンオキシド)等のポリマーを含む低分子量ハロゲン、Halocarbon Product Corp.(River Edge,NJ)からのHalocarbon Oils等のポリ(クロロトリフルオロエチレン)、AusimontからのGaldenまたはDuPont(Delaware)からのKrytox OilsおよびGreases K-Fluid Series等のペルフルオロポリアルキルエーテル、Dow-corning(DC-200)からのポリジメチルシロキサン系シリコーン油を含む。
【0047】
一実施形態では、「低電荷」粒子によって帯びられる電荷は、「高電荷」粒子によって帯びられる電荷の約50%、好ましくは、約5%~約30%未満であり得る。別の実施形態では、「低電荷」粒子は、「高電荷」粒子によって帯びられる電荷の約75%、または約15%~約55%未満であり得る。さらなる実施形態では、示されるような電荷レベルの比較は、同じ電荷極性を有する2つのタイプの粒子にあてはまる。
【0048】
電荷強度は、ゼータ電位の観点から測定され得る。一実施形態では、ゼータ電位は、CSPU-100信号処理ユニット、ESA EN#Attn フロースルーセル(K:127)を伴うColloidal Dynamics AcoustoSizer IIMによって決定される。サンプルで使用される溶媒の密度、溶媒の誘電率、溶媒中の音速、溶媒の粘度等の計器定数は、全て試験温度(25℃)で試験前に入力される。顔料サンプルは、(通常、12個未満の炭素原子を有する炭化水素流体である)溶媒中に分散させられ、5~10重量%に希釈される。サンプルはまた、電荷制御剤対粒子の1:10の重量比を伴う電荷制御剤(Berkshire Hathawayの子会社であるLubrizol Corporationから入手可能である、Solsperse 17000(登録商標)、「Solsperse」は、登録商標である)も含む。希釈サンプルの質量が、決定され、次いで、サンプルが、ゼータ電位の決定のためにフロースルーセルの中に装填される。
【0049】
「高正」粒子および「高負」粒子の振幅は、同じであることも、異なることもある。同様に、「低正」粒子および「低負」粒子の振幅は、同じであることも、異なることもある。しかしながら、より大きな電荷強度またはより大きな電荷規模を伴う「高正」または正粒子のゼータ電位は、より低電荷の強度またはより低電荷の規模を伴う「低正」または正粒子のゼータ電位より大きく、同じ論理が、高負および低負粒子にも当てはまる。同じ場の下での同じ媒体では、より高く帯電させられた粒子が、より大きな電気泳動移動度を有するであろう、すなわち、より高く帯電させられた粒子は、より低く帯電させられた粒子より少ない時間で同じ距離を横断するであろう。
【0050】
同じ流体において、2対の高・低電荷粒子が異なるレベルの電荷差を有し得ることも留意されたい。例えば、一方の対では、低正電荷粒子は、高正電荷粒子の電荷強度の30%である電荷強度を有し得、別の対では、低負電荷粒子は、高負電荷粒子の電荷強度の50%である電荷強度を有し得る。
【0051】
以下の例は、そのようなディスプレイ流体を利用するディスプレイデバイスを例証する。
(例示的駆動スキーム)
【0052】
例示的な4つの粒子システムを使用する、例示的駆動スキームが、
図2A-2Fで実証される。高正粒子は、黒色(K)であり、高負粒子は、黄色(Y)であり、低正粒子は、赤色(R)であり、低負粒子は、白色(W)である。
図2Aでは、高い負の電圧電位差(例えば、-15V)が、十分な長さの期間にわたってピクセルに印加されると、黄色粒子(Y)が共通電極(21)側まで押され、黒色粒子(K)がピクセル電極(22a)側に引っ張られるようにする電場が生成される。赤色(R)および白色(W)粒子は、より弱い電荷を帯びているので、より高く帯電させられた黒色および黄色粒子より遅く移動し、結果として、それらは、ピクセルの中央に留まり、白色粒子は、赤色粒子の上方にある。この場合、黄色が、視認側で見られる。
図2Bでは、高い正の電圧電位差(例えば、+15V)が、十分な長さの期間にわたってピクセルに印加されると、粒子分布が
図2Aに示されるそれと反対であるようにする反対極性の電場が、生成され、結果として、黒色が、視認側で見られる。
【0053】
図2Cおよび2Dでは、より低い正電圧電位差(例えば、+3V)が、十分な長さの期間にわたって
図2Cのピクセルに印加される(すなわち、黄色状態から駆動される)と、黄色粒子(Y)がピクセル電極(22a)に向かって移動する一方、黒色粒子(K)が共通電極(21)に向かって移動するようにする電場が生成される。しかしながら、それらがピクセルの中央で出合うと、低い駆動電圧によって生成される電場が、それらの間の強い引力を克服するほどに十分に強くないので、それらは、大きく減速し、そこに留まる。
図2Dに示されるように、低い駆動電圧によって生成される電場は、より弱い電荷を帯びた(より低く帯電させられた)白色および赤色粒子を分離して、それによって、低正赤色粒子(R)を共通電極(21)側(すなわち、視認側)まで、低負(より低く帯電させられた)白色粒子(W)をピクセル電極(22a)側まで移動させることを可能にするために十分である。結果として、赤色が見られる。この図において、より弱い電荷を帯びた粒子(例えば、R)と反対極性のより強い電荷を帯びた粒子(例えば、Y)との間にも引力があることにも留意されたい。しかしながら、これらの引力は、2つのタイプのより強い電荷を帯びた粒子(KおよびY)の間の引力ほど強くはなく、したがって、それらは、低い駆動電圧によって生成される電場によって克服され得る。重要なこととして、このシステムは、より弱い電荷を帯びた粒子が反対極性のより強い電荷を帯びた粒子から分離されることを可能にする。
【0054】
図2Eおよび2Fでは、より低い負の電圧電位差(例えば、-3V)が、十分な長さの期間にわたって
図2Eのピクセルに印加される(すなわち、黄色状態から駆動される)と、黒色粒子(K)がピクセル電極(22a)に向かって移動する一方で、白色粒子(W)が共通電極(21)に向かって移動するようにする電場が生成される。黒色および黄色粒子がピクセルの中央で出合うと、それらは、低い駆動電圧によって生成される電場が、それらの間の強い引力を克服するほど十分に強くないので、大きく減速し、そこに留まる。
図2Fに示されるように、低い駆動電圧によって生成される電場は、白色および赤色粒子を分離し、低負白色粒子(W)が共通電極側(すなわち、視認側)まで、低正赤色粒子(R)がピクセル電極側まで移動するようにするために十分である。結果として、白色が見られる。この図において、より弱い電荷を帯びた粒子(例えば、W)と反対極性のより強い電荷を帯びた粒子(例えば、K)との間にも引力があることにも留意されたい。しかしながら、これらの引力は、2つのタイプのより強い電荷を帯びた粒子(KおよびY)の間の引力ほど強くはなく、したがって、それらは、低い駆動電圧によって生成される電場によって克服され得る。換言すると、反対極性のより弱い電荷を帯びた粒子およびより強い電荷を帯びた粒子は、分離されることができる。
【0055】
この例では、黒色粒子(K)は、高正電荷を帯び、黄色粒子(Y)は、高負電荷を帯び、赤色(R)粒子は、低正電荷を帯び、白色粒子(W)は、低負電荷を帯びるが、実践では、本発明の電気泳動媒体中の4つの組の粒子が、任意の色の高正電荷、高負電荷、低正電荷、および低負電荷を有し得る。これらの変形例の全ては、本願の範囲内であることが意図される。
【0056】
また、
図2Dおよび2Fの色状態に到達するように印加されるより低い電圧電位差は、高正粒子の色状態から低負粒子の色状態に、または逆も同様に、ピクセルを駆動するために要求される全駆動電圧電位差の約5%~約50%であり得ることにも留意されたい。
【0057】
上で説明されるような電気泳動流体は、ディスプレイセル内に充填される。ディスプレイセルは、米国特許第6,930,818号(その内容が、その全体として参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるように、カップ状マイクロセルであり得る。ディスプレイセルは、それらの形状またはサイズにかかわらず、マイクロカプセル、マイクロチャネル等の他のタイプのマイクロコンテナでもあり得る。これらの全ては、本願の範囲内である。
【0058】
色輝度および色純度の両方を確実にするために、1つの色状態から別の色状態に駆動することに先立って、振動波形が、使用され得る。振動波形は、多くのサイクルにわたって一対の反対駆動パルスを繰り返すことから成る。例えば、振動波形は、20ミリ秒間の+15Vパルスおよび20ミリ秒間の-15Vパルスから成り得、そのような一対のパルスは、50回繰り返される。そのような振動波形の合計時間は、2,000ミリ秒であろう(
図3参照)。実践では、振動パルスにおいて少なくとも10回の繰り返し(すなわち、10対の正および負のパルス)があり得る。駆動シーケンスが、2つ以上の振動パルスを含み得る。振動波形は、駆動電圧が印加される前、光学状態(黒色、白色、赤色、または黄色)にかかわらず印加され得る。振動波形が印加された後、光学状態は、純白色、純黒色、純黄色、または純赤色ではないであろう。代わりに、色状態は、4つのタイプの顔料粒子の混合に由来するであろう。
【0059】
振動波形内の駆動パルスの各々は、この例では、完全黒色状態から完全黄色状態に、または逆も同様に、要求される駆動時間の50%を超えない(または30%、10%、または5%を超えない)時間にわたって印加される。例えば、完全黒色状態から完全黄色状態まで、または逆も同様に、ディスプレイデバイスを駆動するために300ミリ秒要する場合、振動波形は、各々が150ミリ秒以下にわたって印加される正および負のパルスから成り得る。実践では、パルスは、より短いことが好ましい。説明されるような振動波形は、本発明の駆動方法で使用され得る。[本願の全体を通した図面の全てでは、振動波形が短縮されている(すなわち、パルスの数が実際の数より少ない)ことに留意されたい。]
【0060】
加えて、本願との関連で、高い駆動電圧(V
H1またはV
H2)は、高正粒子の色状態から高負粒子の色状態に、または逆も同様に、ピクセルを駆動するために十分である、駆動電圧として定義される(
図2Aおよび2B参照)。説明されるような本シナリオでは、低い駆動電圧(V
L1またはV
L2)は、より弱く帯電させられた粒子の色状態からより高く帯電させられた粒子の色状態にピクセルを駆動するために十分であり得る駆動電圧として定義される(
図2Dおよび2F参照)。一般に、V
L(例えば、V
L1またはV
L2)の振幅は、V
H(例えば、V
H1またはV
H2)の振幅の50%未満、または好ましくは、40%未満である。
(第1の駆動方法:)
(パートA:)
【0061】
図4は、黄色状態(高負)から赤色状態(低正)にピクセルを駆動する駆動方法を図示する。方法では、高負駆動電圧(V
H2、例えば、-15V)が、振動波形後に黄色状態に向かってピクセルを駆動するために、t2の期間にわたって印加される。黄色状態から、ピクセルは、t3の期間にわたって低正電圧(V
L1、例えば、+5V)を印加すること(すなわち、
図2Cから
図2Dにピクセルを駆動すること)によって、赤色状態に向かって駆動され得る。駆動期間t2は、V
H2が印加されると、ピクセルを黄色状態に駆動するために十分な期間であり、駆動期間t3は、V
L1が印加されると、ピクセルを赤色状態から黄色状態に駆動するために十分な期間である。駆動電圧は、好ましくは、DC平衡を確実にするために、振動波形の前にt1の期間にわたって印加される。
図4の波形全体が、DC平衡を保たれる。「DC平衡」という用語は、本願の全体を通して、期間(例えば、波形全体の期間)にわたって積分されたとき、ピクセルに印加される駆動電圧が実質的にゼロであることを意味することを意図している。DC平衡は、各段階の波形の平衡を保たせることによって達成され得、すなわち、第1の正電圧が、後続負電圧にわたって積分することが、ゼロまたは実質的にゼロをもたらすように、選定されるであろう。後、段階が、繰り返される場合、一連の繰り返しにわたって積分された電圧はまた、ゼロまたは実質的にゼロである、すなわち、「DC平衡を保たれる」であろう。代替として、波形の段階(または複数の段階)は、この段階にわたる積分が正(または負)DCオフセットをもたらすという点で、平衡を保たれない。しかしながら、後の段階が、総波形がDC平衡を保たれるように、対向方向に平衡を保たれないように設計され得る。
(パートB:)
【0062】
図5は、黒色状態(高正)から白色状態(低負)にピクセルを駆動する駆動方法を図示する。方法では、高正駆動電圧(V
H1、例えば、+15V)が、振動波形後に黒色状態に向かってピクセルを駆動するために、t5の期間にわたって印加される。黒色状態から、ピクセルは、t6の期間にわたって低負電圧(V
L2、例えば、-5V)を印加すること(すなわち、
図2Eから
図2Fにピクセルを駆動すること)によって、白色状態に向かって駆動され得る。駆動期間t5は、V
H1が印加されると、ピクセルを黒色状態に駆動するために十分な期間であり、駆動期間t6は、V
L2が印加されると、ピクセルを黒色状態から白色状態に駆動するために十分な期間である。駆動電圧が、好ましくは、DC平衡を確実にするために、振動波形の前にt4の期間にわたって印加される。ある実施形態では、
図5の波形全体が、DC平衡を保たれる。
【0063】
一般に、
図4および5の駆動方法は、以下のように要約され得る。
【0064】
視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、電気泳動流体とを備えている電気泳動ディスプレイのための駆動方法であって、その流体は、共通電極とピクセル電極の層との間に挟まれ、第1のタイプの粒子、第2のタイプの粒子、第3のタイプの粒子、および第4のタイプの粒子を備え、それらの全ては、溶媒または溶媒混合物中に分散させられており、
【0065】
(a)4つのタイプの顔料粒子は、互いに異なる光学特性を有し、
【0066】
(b)第1のタイプの粒子は、高正電荷を帯び、第2のタイプの粒子は、高負電荷を帯び、
【0067】
(c)第3のタイプの粒子は、低正電荷を帯び、第4のタイプの粒子は、低負電荷を帯び、
【0068】
方法は、以下のステップ:
【0069】
(i)第1の期間にわたって第1の駆動電圧を電気泳動ディスプレイ内のピクセルに印加し、視認側において第1または第2のタイプの粒子の色状態に向かってピクセルを駆動するステップと、
【0070】
(ii)第2の期間にわたって第2の駆動電圧をピクセルに印加するステップであって、第2の駆動電圧は、第1の駆動電圧のそれと反対の極性と、第1の振幅のそれより小さい第2の振幅とを有し、視認側において、第1のタイプの粒子の色状態から第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または第2のタイプの粒子の色状態から第3のタイプの粒子の色状態に向かって、ピクセルを駆動する、ステップと
を含む。
(第2の駆動方法:)
(パートA:)
【0071】
本発明の第2の駆動方法が、
図6に図示される。これは、
図4のt3の駆動期間に取って代わるために使用される駆動波形に関する。
【0072】
最初のステップでは、高負駆動電圧(VH2、例えば、-15V)が、視認側に向かって黄色粒子を押すために、t7の期間にわたって印加され、その後、t8の期間にわたる正駆動電圧(+V’)が続き、それは、黄色粒子を引き下げ、視認側に向かって赤色粒子を押す。+V’の振幅は、VH(例えば、VH1またはVH2)のそれより低い。一実施形態では、+V’の振幅は、VH(例えば、VH1またはVH2)の振幅の50%未満である。一実施形態では、t8は、t7を上回る。一実施形態では、t7は、20~400ミリ秒の範囲内であり得、t8≧200ミリ秒であり得る。
【0073】
図6の波形は、少なくとも2サイクル(N≧2)、好ましくは、少なくとも4サイクル、より好ましくは、少なくとも8サイクルにわたって繰り返される。赤色は、ハンドヘルド分光光度計を用いて測定されるように、各駆動サイクル後により強くなる。記述されるように、
図6に示されるような駆動波形は、
図4のt3の駆動期間に取って代わるために使用され得る(
図7参照)。換言すると、駆動シーケンスは、振動波形、その後、t2の期間にわたって黄色状態に向かって駆動することが続き、次いで、
図6の波形を印加することであり得る。別の実施形態では、t2の期間にわたって黄色状態に駆動するステップは、完全に排除され得、この場合、
図6の波形を印加する前、振動波形が、印加される(
図8参照)。一実施形態では、
図7の波形全体は、DC平衡を保たれる。別の実施形態では、
図8の波形全体は、DC平衡を保たれる。
(パートB:)
【0074】
同様に、
図9は、
図5のt6の駆動期間に取って代わるために使用される駆動波形を図示する。最初のステップでは、高正駆動電圧(V
H1、例えば、+15V)が、視認側に向かって黒色粒子を押すために、t9の期間にわたって印加され、その後、t10の期間にわたる負駆動電圧(-V’)が続き、それは、黒色粒子を引き下げ、視認側に向かって白色粒子を押す。-V’の振幅は、V
H(例えば、V
H1またはV
H2)のそれより低い。一実施形態では、-V’の振幅は、V
H(例えば、V
H1またはV
H2)の振幅の50%未満である。一実施形態では、t10は、t9を上回る。一実施形態では、t9は、20~400ミリ秒の範囲内であり得、t10≧200ミリ秒であり得る。
図9の波形は、少なくとも2サイクル(N≧2)、好ましくは、少なくとも4サイクル、より好ましくは、少なくとも8サイクルにわたって繰り返される。白色は、各駆動サイクル後により強くなる。記述されるように、
図9に示されるような駆動波形は、
図5のt6の駆動期間に取って代わるために使用され得る(
図10参照)。換言すると、駆動シーケンスは、振動波形、その後、t5の期間にわたって黒色状態に向かって駆動することが続き、次いで、
図9の波形を印加することであり得る。別の実施形態では、t5の期間にわたって黒色状態に駆動するステップは、排除され得、この場合、
図9の波形を印加する前、振動波形が、印加される(
図11参照)。一実施形態では、
図10の波形全体は、DC平衡を保たれる。別の実施形態では、
図11の波形全体は、DC平衡を保たれる。
【0075】
図6-11で表される、本第2の駆動方法は、以下のように要約され得る。
【0076】
視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、電気泳動流体とを備えている電気泳動ディスプレイのための駆動方法であって、その流体は、共通電極とピクセル電極の層との間に挟まれ、第1のタイプの粒子、第2のタイプの粒子、第3のタイプの粒子、および第4のタイプの粒子を備え、それらの全てが、溶媒または溶媒混合物中に分散させられ、
【0077】
(a)4つのタイプの顔料粒子は、互いに異なる光学特性を有し、
【0078】
(b)第1のタイプの粒子は、高正電荷を帯び、第2のタイプの粒子は、高負電荷を帯び、
【0079】
(c)第3のタイプの粒子は、低正電荷を帯び、第4のタイプの粒子は、低負電荷を帯び、
【0080】
方法は、以下のステップ:
【0081】
(i)第1の期間にわたって第1の駆動電圧を電気泳動ディスプレイ内のピクセルに印加し、視認側において第1または第2のタイプの粒子の色状態に向かってピクセルを駆動するステップと、
【0082】
(ii)第2の期間にわたって第2の駆動電圧をピクセルに印加するステップであって、第2の期間は、第1の期間より長く、第2の駆動電圧は、第1の駆動電圧のそれと反対の極性を有し、第2の駆動電圧は、第1の駆動電圧のそれより低い振幅を有し、視認側において、第1のタイプの粒子の色状態から第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または第2のタイプの粒子の色状態から第3のタイプの粒子の色状態に向かって、ピクセルを駆動する、ステップと、
【0083】
ステップ(i)および(ii)を繰り返すステップと
を含む。
【0084】
一実施形態では、第2の駆動電圧の振幅は、第1の駆動電圧の振幅の50%未満である。一実施形態では、ステップ(i)および(ii)は、少なくとも2回、好ましくは、少なくとも4回、より好ましくは、少なくとも8回繰り返される。一実施形態では、方法は、ステップ(i)の前に振動波形をさらに含む。一実施形態では、方法は、振動波形の後であるが、ステップ(i)に先立って、ピクセルを第1または第2のタイプの粒子の色状態に駆動するステップをさらに含む。
(第3の駆動方法:)
(パートA:)
【0085】
本発明の第3の駆動方法が、
図12に図示される。それは、
図6の駆動波形の代替に関し、代替は、
図4のt3の駆動期間に取って代わるために使用され得る。この代替波形では、待ち時間t13が追加される。待ち時間中、いかなる駆動電圧も印加されない。
図12の波形全体も、少なくとも2回(N≧2)、好ましくは、少なくとも4回、より好ましくは、少なくとも8回繰り返される。
図12の波形は、特に、例えば、低温において誘電体層の抵抗が高いとき、電気泳動ディスプレイデバイス内の誘電体層において、および/または異なる材料層間の界面において貯蔵された電荷非平衡を放出するように設計される。(この電荷蓄積は、残留電圧としても知られる)。本願の文脈では、用語「低温」は、約10℃を下回り、例えば、0℃またはそれより冷たく、例えば、-5℃またはそれより冷たく、例えば、-10℃またはそれより冷たく、例えば、-20℃またはそれより冷たい温度を指す。
【0086】
待ち時間は、誘電体層の中に貯蔵された不要な電荷を放散し、黄色状態に向かってピクセルを駆動するための短いパルス(t11)と赤色状態に向かってピクセルを駆動するためのより長いパルス(t12)とがより効率的であるようにすることができるであろう。結果として、本代替駆動方法は、より高く帯電させられたものからの低く帯電させられた顔料粒子のより良好な分離をもたらすであろう。加えて、誘電層内の貯蔵された電荷を消散させるためのより多くの時間があるので、ディスプレイの最終光学状態におけるドリフトは少ない。
【0087】
期間t11およびt12は、それぞれ、
図6のt7およびt8に類似する。換言すると、t12は、t11より長い。待ち時間(t13)は、誘電体層の抵抗に応じて、5~5,000ミリ秒の範囲内であり得る。記述されるように、
図12に示されるような駆動波形はまた、
図4のt3の駆動期間に取って代わるために使用され得る(
図13参照)。換言すると、駆動シーケンスは、振動波形、その後、t2の期間にわたって黄色状態に向かって駆動することが続き、次いで、
図12の波形を印加することであり得る。別の実施形態では、t2の期間にわたって黄色状態に駆動するステップは、排除され得、この場合、
図12の波形を印加する前、振動波形が、印加される(
図14参照)。一実施形態では、
図13の波形全体は、DC平衡を保たれる。別の実施形態では、
図14の波形全体は、DC平衡を保たれる。
(パートB:)
【0088】
図15は、
図9の駆動波形の代替を図示し、代替は、
図5のt6の駆動期間に取って代わるために使用され得る。この代替波形では、待ち時間t16が追加される。待ち時間中、いかなる駆動電圧も印加されない。
図15の波形全体も、少なくとも2回(N≧2)、好ましくは、少なくとも4回、より好ましくは、少なくとも8回繰り返される。
図12の波形のように、
図15の波形も、電気泳動ディスプレイデバイス内の誘電体層において、および/または異なる材料層間の界面において貯蔵された電荷非平衡を放出するために設計される。上記のように、待ち時間は、おそらく、誘電体層の中に貯蔵された不要な電荷を放散し、黒色状態に向かってピクセルを駆動するための短いパルス(t14)と白色状態に向かってピクセルを駆動するためのより長いパルス(t15)とをより効率的であるようにすることができるであろう。期間t14およびt15は、それぞれ、
図9のt9およびt10に類似する。換言すると、t15は、t14を上回る。待ち時間(t16)も、誘電体層の抵抗に応じて、5~5,000ミリ秒の範囲内であり得る。記述されるように、
図15に示されるような駆動波形は、
図5のt6の駆動期間に取って代わるためにも使用され得る(
図16参照)。換言すると、駆動シーケンスは、振動波形、その後、t5の期間にわたって黒色状態に向かって駆動することが続き、次いで、
図15の波形を印加することであり得る。別の実施形態では、t5の期間にわたって黒色状態に駆動するステップは、排除され得、この場合、
図15の波形を印加する前、振動波形が、印加される(
図17参照)。一実施形態では、
図16の波形全体は、DC平衡を保たれる。別の実施形態では、
図17の波形全体は、DC平衡を保たれる。
【0089】
図12-17に表される、第3の駆動方法は、以下のように要約され得る。
【0090】
視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、電気泳動流体とを備えている電気泳動ディスプレイのための駆動方法であって、その流体は、共通電極とピクセル電極の層との間に挟まれ、第1のタイプの粒子、第2のタイプの粒子、第3のタイプの粒子、および第4のタイプの粒子を備え、それらの全てが、溶媒または溶媒混合物中に分散させられ、
【0091】
(a)4つのタイプの顔料粒子は、互いに異なる光学特性を有し、
【0092】
(b)第1のタイプの粒子は、高正電荷を帯び、第2のタイプの粒子は、高負電荷を帯び、
【0093】
(c)第3のタイプの粒子は、低正電荷を帯び、第4のタイプの粒子は、低負電荷を帯び、
【0094】
方法は、以下のステップ:
【0095】
(i)第1の期間にわたって第1の駆動電圧を電気泳動ディスプレイ内のピクセルに印加し、視認側において第1のタイプまたは第2のタイプの粒子の色状態に向かってピクセルを駆動するステップと、
【0096】
(ii)第2の期間にわたって第2の駆動電圧をピクセルに印加するステップであって、第2の期間は、第1の期間より長く、第2の駆動電圧は、第1の駆動電圧のそれと反対の極性を有し、第2の駆動電圧は、第1の駆動電圧のそれより低い振幅を有し、視認側において、第1のタイプの粒子の色状態から第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または第2のタイプの粒子の色状態から第3のタイプの粒子の色状態に向かって、ピクセルを駆動する、ステップと、
【0097】
(iii)第3の期間にわたっていかなる駆動電圧もピクセルに印加しないステップと、
【0098】
ステップ(i)-(iii)を繰り返すステップと
を含む。
【0099】
一実施形態では、第2の駆動電圧の振幅は、第1の駆動電圧の振幅の50%未満である。一実施形態では、ステップ(i)、(ii)、および(iii)は、少なくとも2回、好ましくは、少なくとも4回、より好ましくは、少なくとも8回繰り返される。一実施形態では、方法は、ステップ(i)の前に振動波形をさらに含む。一実施形態では、方法は、振動波形の後であるが、ステップ(i)に先立って、第1または第2のタイプの粒子のフルカラー状態に駆動するステップをさらに含む。本願で参照される駆動期間のうちのいずれかの長さは、温度依存性であり得ることに留意されたい。
(第4の駆動方法:)
(パートA:)
【0100】
本発明の第4の駆動方法が、
図18に図示される。それは、
図4のt3の駆動期間に取って代わるために使用され得る駆動波形に関する。最初のステップでは、高負駆動電圧(V
H2、例えば、-15V)が、t17の期間にわたってピクセルに印加され、その後、t18の待ち時間が続く。待ち時間後、正駆動電圧(+V」、例えば、V
H1またはV
H2の50%未満)が、t19の期間にわたってピクセルに印加され、その後、t20の第2の待ち時間が続く。
図18の波形は、少なくとも2回、好ましくは、少なくとも4回、より好ましくは、少なくとも8回繰り返される。上で説明されるような用語「待ち時間」は、いかなる駆動電圧も印加されない期間を指す。
図18の波形では、第1の待ち時間t18が、非常に短い一方で、第2の待ち時間t20は、より長い。t17の期間も、t19の期間より短い。例えば、t17は、20~200ミリ秒の範囲内であり得、t18は、100ミリ秒未満であり得、t19は、100~200ミリ秒の範囲内であり得、t20は、1,000ミリ秒未満であり得る。
図19は、
図4と
図18との組み合わせである。
図4では、黄色状態が、t2の期間中に表示される。一般的な法則として、この期間内の黄色状態が良好であるほど、最終的に表示されるであろう赤色状態が良好になる。一実施形態では、t2の期間にわたって黄色状態に駆動するステップは、排除され得、この場合、
図18の波形を印加する前、振動波形が、印加される(
図20参照)。一実施形態では、
図19の波形全体は、DC平衡を保たれる。別の実施形態では、
図20の波形全体は、DC平衡を保たれる。
(パートB:)
【0101】
図21は、同様に
図5のt6の駆動期間に取って代わるために使用され得る駆動波形を図示する。最初のステップでは、高正駆動電圧(V
H1、例えば、+15V)が、t21の期間にわたってピクセルに印加され、その後、t22の待ち時間が続く。待ち時間後、負駆動電圧(-V」、例えば、V
H1またはV
H2の50%未満)が、t23の期間にわたってピクセルに印加され、その後、t24の第2の待ち時間が続く。
図21の波形も、少なくとも2回、好ましくは、少なくとも4回、より好ましくは、少なくとも8回繰り返され得る。
図21の波形では、第1の待ち時間t22が、非常に短い一方で、第2の待ち時間t24は、より長い。t21の期間も、t23の期間より短い。例えば、t21は、20~200ミリ秒の範囲内であり得、t22は、100ミリ秒未満であり得、t23は、100~200ミリ秒の範囲内であり得、t24は、1,000ミリ秒未満であり得る。
図22は、
図5と
図21との組み合わせである。
図5では、黒色状態が、t5の期間中に表示される。一般的な法則として、この期間内の黒色状態が良好であるほど、最終的に表示されるであろう白色状態が良好になる。一実施形態では、t5の期間にわたって黒色状態に駆動するステップは、排除され得、この場合、
図21の波形を印加する前、振動波形が、印加される(
図23参照)。一実施形態では、
図22の波形全体は、DC平衡を保たれる。別の実施形態では、
図23の波形全体は、DC平衡を保たれる。
【0102】
図18-23に図示される第4の駆動方法は、以下のように要約され得る。
【0103】
視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、電気泳動流体とを備えている電気泳動ディスプレイのための駆動方法であって、その流体は、共通電極とピクセル電極の層との間に挟まれ、第1のタイプの粒子、第2のタイプの粒子、第3のタイプの粒子、および第4のタイプの粒子を備え、それらの全てが溶媒または溶媒混合物中に分散させられ、
【0104】
(a)4つのタイプの顔料粒子は、互いに異なる光学特性を有し、
【0105】
(b)第1のタイプの粒子は、高正電荷を帯び、第2のタイプの粒子は、高負電荷を帯び、
【0106】
(c) 第3のタイプの粒子低正電荷を帯び、第4のタイプの粒子は、低負電荷を帯び、
【0107】
方法は、以下のステップ:
【0108】
(i)第1の期間にわたって第1の駆動電圧を電気泳動ディスプレイ内のピクセルに印加し、視認側において第1のタイプまたは第2のタイプの粒子の色状態に向かってピクセルを駆動するステップと、
【0109】
(ii)第2の期間にわたっていかなる駆動電圧もピクセルに印加しないステップと、
【0110】
(iii)第3の期間にわたって第2の駆動電圧をピクセルに印加するステップであって、第3の期間は、第1の期間より長く、第2の駆動電圧は、第1の駆動電圧のそれと反対の極性を有し、第2の駆動電圧は、第1の駆動電圧のそれより低い振幅を有し、視認側において、第1のタイプの粒子の色状態から第4のタイプの粒子の色状態に向かって、または第2のタイプの粒子の色状態から第3のタイプの粒子の色状態に向かって、ピクセルを駆動する、ステップと、
【0111】
(iv)第4の期間にわたっていかなる駆動電圧もピクセルに印加しないステップと、
【0112】
ステップ(i)-(iv)を繰り返すステップと
を含む。
【0113】
一実施形態では、第2の駆動電圧の振幅は、第1の駆動電圧の振幅の50%未満である。一実施形態では、ステップ(i)-(iv)は、少なくとも2回、好ましくは、少なくとも4回、より好ましくは、少なくとも8回繰り返される。一実施形態では、方法は、ステップ(i)の前に振動波形をさらに含む。一実施形態では、方法は、振動波形の後であるが、ステップ(i)に先立って、ピクセルを第1または第2のタイプの粒子の色状態に駆動するステップをさらに含む。この駆動方法は、低温において特に効果的であるだけではなく、それは、ディスプレイデバイスの製造中に引き起こされる構造変動のより良好な耐性をディスプレイデバイスに提供することもできる。したがって、有用性は、低温駆動に限定されない。
(より低く帯電させられた粒子状態のためのサフィックスパルス)
【0114】
上記の駆動スキームにおける種々のプッシュプル波形は、良好な赤色および白色状態、例えば、より低く帯電させられた粒子光学状態を達成するために、使用されることができる。一般に、これらの波形は、高明度を提供し、温度変動、および入射光のスペクトル等の環境の変化にロバストである。しかしながら、デジタル表記等のいくつかの用途では、最終画像における色変動が、消費者に容認可能ではない。例えば、
図10の白色波形は、白色状態においてわずかに黄色がかった色合いのままにされ得、それは、特に、ディスプレイが、明るいまたは白色のベゼルに隣接しているとき、消費者が不愉快に感じる。
【0115】
ある程度まで、より低く帯電させられた粒子の最終状態の色は、例えば、
図10において、電圧の規模(V’)を若干増加させて使用することによって、改良されることができる。白色状態の場合、より大きなV’が、L
*をブーストし、最終状態がより白色に見えるようにするであろう。しかしながら、V’における増加はまた、残留する黄色の量を増加させ得、それは、b
*の増加になる。
【0116】
本発明者らは、プッシュプル波形の後、一連のパルスを追加することによって、最も高いL*を達成するであろう電圧V’より低い電圧V”を用いて、より低く帯電させられた粒子に対処することが可能であることを見出した。これらのパルスは、「待ち-引き」または「サフィックス」パルスと見なされることができる。最終結果は、プッシュプル波形とサフィックス波形との組み合わせが、b*における完全な増加を伴わずに、より高いL*値(白色状態で)を達成することである。この最終状態は、より低く帯電させられた粒子色においてより「純粋」であるので、典型的に、消費者により魅力的である。
【0117】
特に、概して、
図24および28において説明される一連のサフィックスパルス(「待ち-引き」パルス)が、より高く帯電させられた粒子によって少ない汚染を伴うより低く帯電させられた色状態を提供することによって、より低く帯電させられた粒子状態の最終状態を改良するために使用されることができる。再び、これらのより低く帯電させられた粒子状態は、それぞれ、赤色および白色として説明されるが、色状態が恣意的であり、より低く帯電させられた粒子は、任意の色、例えば、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、紫色、茶色、黒色、白色、マゼンタ色、またはシアン色であり得ることが理解される。さらに、より低く帯電させられた粒子は、反射性、吸収性、散乱性、または部分的に透明であり得る。
【0118】
赤色サフィックスパルスシーケンスが、
図24に図示され、それは、t25の待ち期間に続いて、期間t26にわたって電圧-V’を有する駆動インパルスを含み、その後、シーケンスが繰り返される。t25の期間は、t26の期間より長い。待ち期間t25にわたる典型的範囲は、20ms~5,000msである一方、駆動期間t26は、20ms~3,000msである。そのような波形は、少なくとも2回(N’≧2)、好ましくは、少なくとも4回、より好ましくは、少なくとも8回繰り返され得る。
【0119】
対応する白色サフィックスパルスシーケンスが、
図28に図示され、t27の待ち期間に続いて、期間t28にわたって電圧+V’を有する駆動インパルスを含み、その後、シーケンスが、繰り返される。t27の期間は、t28の期間より長い。待ち期間t27のための典型的範囲は、20ms~5,000msである一方、駆動期間t28は、20ms~3,000msである。そのような波形は、少なくとも2回(N’≧2)、好ましくは、少なくとも4回、より好ましくは、少なくとも8回繰り返され得る。前述のように、駆動電圧-V’およびV”の振幅は、V
H(例えば、V
H1またはV
H2)の振幅の50%未満またはそれ未満であり得る。V’の振幅は、V”の振幅と同じであることも、異なることもあることにも留意されたい。
【0120】
サフィックスパルスは、例えば、
図4-23に以前に説明されたような、プッシュプル波形と組み合わせられる。結果として生じる赤色状態波形は、それぞれ、
図8、14、および20への
図24の追加に対応する
図25-27に示されるが、
図24のサフィックスパルスも、限定ではないが、
図7、13、および19を含む本明細書に説明される赤色状態波形のいずれかに追加されることができる。同じ方式において、
図28の白色状態サフィックスパルスは、
図11、17、および23の白色状態波形に追加され、それぞれ、
図29-31の新しい白色状態波形をもたらすことができる。再び、
図28のサフィックスパルスも、限定ではないが、
図10、16、および22を含む本明細書に説明される白色状態波形のいずれかに追加されることができる。一実施形態では、
図24および28の波形は、DC平衡を保たれる。別の実施形態では、
図24および28の波形は、DC平衡を保たれないが、
図25-27および29-31の波形全体が、DC平衡を保たれるように、先行波形(例えば、
図4-23)と調整される。V’およびV”は、幾分、恣意的であることを理解されたい。V’とV”との両方は、VH1またはVH2より小さく、典型的に、VH1またはVH2の50%未満である。V”は、典型的に、V’より小さいが、しかしながら、V’およびV”は、最終色状態(例えば、赤色対白色)および最終用途に応じて、同じであることができる。
【0121】
実験的に、サフィックスパルスを含む新しい波形が、より高く帯電させられた粒子からの汚染が少ない状態で、より飽和された色状態に、より低く帯電させられた粒子の最終光学状態を駆動し得ることが、決定されている。例えば、白色状態に駆動するとき、最終状態のL
*は、単独で、プッシュプル波形と同じである(同じ明度を示す)が、例えば、
図11、17、および23の波形が、単独で使用される場合より小さいb
*値を伴う。換言すると、サフィックスパルスを伴う波形を使用して、同じ白色明度が、汚染黄色顔料が少ない状態で達成される。同じ結果が、
図25-27のプッシュプルおよびサフィックス波形の組み合わせで達成される赤色状態に関して見出された。赤色状態の場合、プッシュプル/サフィックス赤色波形は、より高いL
*をもたらす一方、同じb
*を維持することは、結果として生じる赤色状態において黒色顔料が少ないことを示す。両方の場合、改良された波形(すなわち、サフィックスパルスを含む)を使用する最終色状態における改良は、サフィックスパルスを伴わない波形(例えば、プッシュプル波形単独)とは対照的に、裸眼に可視であることである。
(改良された粒子分離のための逆プッシュパルス)
【0122】
図24-31に関して上で説明されるサフィックスパルスは、より低く帯電させられた粒子光学状態の電気光学系特性を改良するが、全体的電気光学系性能、特に、L
*値がより大きなドリフトを被ることが観察され、サフィックスパルスが波形に追加さたとき、例えば、サフィックスパルスが含まれないときと比較して、駆動電圧における小変化を伴う。これは、特に、白色粒子が、より低く帯電させられ、負であるとき、白色状態を観察するときに明らかである(下で議論される、
図34参照)。このドリフトに関与する機構は、全体的に明白ではないが、所望の低電荷の粒子のうちのいくつかは、反対電荷の粒子と複合していると推測される。複合の量は、例えば、白色粒子の多くが赤色または黒色粒子と複合すると、白色状態のためのL
*が、減少するので、非常に電圧依存である。ドリフトは、低荷電粒子のための駆動電圧が、周囲動作環境における変化に起因して、増加させられなければならない事例では、問題であり得る。例えば、より冷たい条件では、より低く帯電させられたパルスの駆動電圧(V’およびV”)を増加させることが、必要であり得る。しかしながら、光学状態におけるドリフトは、ディザリングが、例えば、1つのピクセルにおける白色と隣接するピクセルにおける赤色との組み合わせであり得る中間色を達成するために使用されるとき、予期せぬ色をもたらし得る。
【0123】
測定された電気光学系状態における変動性が、アドレスプッシュプルパルスのストリングとサフィックスパルスと間の「逆プッシュ」パルスの追加を用いて改良され得ることが、見出された。実験的に証明されていないが、この鋭いパルスが複合体を分解することに役立ち、それによって、サフィックスパルスが視認表面にクリーンなより低く帯電させられた粒子をもたらし得ることが、推測される。パルスは、それらが初期プッシュプル駆動パルスと類似形状であるが、反対極性を有するので、逆プッシュとして知られる。(例えば、赤色状態のための)そのような逆プッシュパルスが、
図32に示され(幅t30、駆動電圧VH1)、アドレスプッシュプル波形の最後とサフィックス電圧の始めとの間に位置付けられる。幅t30は、典型的に、t7に類似するが、それは、より長くあることも、より短くあることもできる。パルスの高さは、プルパルスと同じ極性の最も高い駆動電圧、すなわち、
図32のt8である。最後のアドレスパルスと、逆プッシュパルスと、サフィックスパルスとの間の待ち時間(t29およびt31)は、幾分、恣意的であり、(例えば)サフィックスパルスをすぐ近くのピクセル上の他のパルスと合わせるように調節され得る。
【0124】
(例えば、白色状態のための)他のより低く帯電させられた粒子のための対応する逆プッシュパルスは、
図33に示される(幅t33、駆動電圧VH2)。再び、幅t33は、典型的に、t9に類似するが、より長くあることも、より短くあることもできる。パルスの高さは、プルパルスと同じ極性の最も高い駆動電圧、すなわち、
図33のt10である。最後のアドレスパルスと、逆プッシュパルスと、サフィックスパルスとの間の待ち時間(t32およびt34)は、幾分、恣意的である。
(実施例)
【0125】
図2A-2Fに関して上で説明されたタイプの4粒子電気泳動媒体が、例えば、米国特許第6,930,818号で説明されるように、調製され、マイクロセル内に配置された。上部電極は、ITOコーティングされたPETの光透過性フィルムであり、底部電極は、単純なカーボン電極であった。結果として生じるディスプレイは、可変電圧ドライバに取り付けられた。
図29および
図33の波形を使用して、L
*およびb
*の変化が、分光光度計を含む電気光学系測定ベンチを使用して、評価された。「Optical measurement standards for reflective e-paper to predict colors displayed in ambient illumination environments」Color Research & Application,43,6,(907-921),(2018)(D. Hertel)を参照されたい。測定は全て、室温で行われた。
【0126】
図34は、V”が-4V~-13Vに及ぶときのディスプレイ上の白色状態試験パターンのL
*およびb
*の測定を示す。
図34から分かるように、
図29の波形(オリジナルWF-暗い線)は、「典型的」V”電圧範囲(破線ボックスによって示される)にわたって、L
*およびb
*値における顕著な変動をもたらす。特に、64L
*と67L
*との間の差異は、訓練されていない観察者にさえ、明白である。着目すべきこととして、好ましい白色状態は、約0.5のb
*値を有し、
図29の波形は、-9.5Vにおけるこの所望のb
*結果から非常に遠い。
【0127】
対照的に、逆プッシュパルスを含むことによって、
図33(改良されたWF-灰色の線)におけるように、L
*およびb
*における変動は、典型的動作範囲(破線ボックス)にわたって、著しく安定させられている。特に、b
*値は、完全範囲にわたって0.5のおおよその範囲にあり、L
*は、66~67であり、それは、視認者にそれ程顕著ではない。故に、
図33の改良された波形は、より低い電圧パルスのために使用される典型的電圧範囲にわたって、光学状態の一貫性を改良する。
【0128】
本発明は、その具体的実施形態を参照して説明されたが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得、均等物が代用され得ることが、当業者によって理解されるべきである。加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセス、1つまたは複数のプロセスステップを、本発明の目的および範囲に適合させるように、多くの修正が行われ得る。全てのそのような修正は、本明細書に添付される請求項の範囲内であることを意図している。
【外国語明細書】