(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011108
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 11/225 20160101AFI20240118BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H02K11/225
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112837
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】591201952
【氏名又は名称】株式会社一宮電機
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】木梨 好一
【テーマコード(参考)】
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC02
5H605DD01
5H605EC05
5H611AA01
5H611BB01
5H611BB07
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】小型、低コスト、かつレゾルバの同心度精度が高いブラシレスモータを提供する。
【解決手段】ブラシレスモータ10のフレーム20は、モータ部16およびレゾルバ部17を収容し、負荷側に開口28を有する。フレーム20は、開口28に近い側から順に、モータステータ13を支持する第1ハウジング部21と、レゾルバステータ15を支持する第2ハウジング部22と、シャフト11の反負荷側軸受19のハウジングである第3ハウジング部23とを有する。負荷側ブラケット30は、シャフト11の負荷側軸受18のハウジングを有し、開口28に封止状態で接合されている。カバー40は、第2ハウジング部22および第3ハウジング部23を覆い、第1ハウジング部21に封止状態で接合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
上記シャフトに固定されたモータロータと、
上記モータロータの外側に位置し、上記モータロータと共にモータ部を構成するモータステータと、
上記シャフトと共に回転可能なレゾルバロータと、
上記レゾルバロータの外側に位置し、上記レゾルバロータと共にバリアブルリラクタンス型のレゾルバ部を構成するレゾルバステータと、
上記モータ部および上記レゾルバ部を収容し、負荷側に開口を有するフレームと、
上記シャフトの負荷側軸受のハウジングを有し、上記開口に封止状態で接合されている負荷側ブラケットと、
カバーとを備え、
上記フレームは、上記開口に近い側から順に、
上記モータステータを支持する第1ハウジング部と、
上記レゾルバステータを支持する第2ハウジング部と、
上記シャフトの反負荷側軸受のハウジングである第3ハウジング部とを有し、
上記カバーは、上記第2ハウジング部および上記第3ハウジング部を覆い、上記第1ハウジング部に封止状態で接合されているブラシレスモータ。
【請求項2】
上記カバーの第1面に、上記モータステータと外部回路とを電気的に接続するためのモータ用接続部と、上記レゾルバステータと上記外部回路とを電気的に接続するためのレゾルバ用接続部とが位置する請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
上記第2ハウジング部は、上記シャフトと同方向に延伸し、互いに離間した位置で上記レゾルバステータを支持する複数の支持部材を有する請求項2に記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
上記第2ハウジング部は、上記複数の支持部材として、
上記第1ハウジング部および上記第3ハウジング部に連結され、上記シャフトの延伸方向から視たときに上記シャフトについて対称な位置に位置する第1支持部材および第2支持部材と、
上記第1ハウジング部に連結されず、上記第3ハウジング部に連結され、上記シャフトの延伸方向から視たときに上記シャフトについて対称な位置に位置する第3支持部材および第4支持部材とを有し、
上記シャフトの延伸方向から視たときに、上記第3支持部材と上記第1支持部材と間の最小距離と、上記第3支持部材と上記第2支持部材と間の最小距離とが異なる請求項3に記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
上記レゾルバ部の軸倍角が1Xである請求項1から3のいずれかに記載のブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバを有する密閉型ブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状のモータフレームの両端に負荷側ブラケットと反負荷側ブラケットとを接合した密閉型のモータが広く用いられている。このモータにレゾルバを取り付ける場合、レゾルバはカバーに収容され、カバーは反負荷側ブラケットの外部に取り付けられる。このような構造のモータは、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来のモータでは、レゾルバを収容したカバーが、反負荷側ブラケットの外部に取り付けられる。このため、複数の部品の同心度が積算されて、レゾルバの同心度精度が低下する。レゾルバの同心度精度が低下すると、電気誤差が増大し、ロータ磁極の認識精度が低下する。この結果、モータトルクが減少し、モータ性能が低下する。
【0005】
軸倍角が1Xのレゾルバには、機械角360°のうちの絶対位置を認識できるので、利便性が高いという利点がある。しかしながら、軸倍角が1Xの場合、他の軸倍角(例えば、2X)の場合と比べて、レゾルバの同心度精度の低下に伴い、モータ性能が著しく低下する。このため、軸倍角が1Xのレゾルバを実用化するためには、高い同心度精度を実現する必要がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、小型、低コスト、かつレゾルバの同心度精度が高いブラシレスモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明のブラシレスモータは、シャフトと、上記シャフトに固定されたモータロータと、上記モータロータの外側に位置し、上記モータロータと共にモータ部を構成するモータステータと、上記シャフトと共に回転可能なレゾルバロータと、上記レゾルバロータの外側に位置し、上記レゾルバロータと共にバリアブルリラクタンス型のレゾルバ部を構成するレゾルバステータと、上記モータ部および上記レゾルバ部を収容し、負荷側に開口を有するフレームと、上記シャフトの負荷側軸受のハウジングを有し、上記開口に封止状態で接合されている負荷側ブラケットと、カバーとを備えている。上記フレームは、上記開口に近い側から順に、上記モータステータを支持する第1ハウジング部と、上記レゾルバステータを支持する第2ハウジング部と、上記シャフトの反負荷側軸受のハウジングである第3ハウジング部とを有している。上記カバーは、上記第2ハウジング部および上記第3ハウジング部を覆い、上記第1ハウジング部に封止状態で接合されている。
【0008】
上記ブラシレスモータは、反負荷側ブラケットを有しない。したがって、ブラシレスモータを小型化し、ブラシレスモータの製造コストを低減できる。また、フレームは、モータステータ、レゾルバステータ、および反負荷側軸受のハウジングを一体化したものである。このため、機械加工を行うときに、フレームを掴み替えることなく、すべての加工を完了できる。したがって、モータ部およびレゾルバ部の同心度精度が飛躍的に向上する。よって、小型、低コスト、かつレゾルバの同心度精度が高いブラシレスモータを提供できる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記カバーの第1面に、上記モータステータと外部回路とを電気的に接続するためのモータ用接続部と、上記レゾルバステータと上記外部回路とを電気的に接続するためのレゾルバ用接続部とが位置してもよい。
【0010】
(3) 好ましくは、上記第2ハウジング部は、上記シャフトと同方向に延伸し、互いに離間した位置で上記レゾルバステータを支持する複数の支持部材を有してもよい。
【0011】
(4) 好ましくは、上記第2ハウジング部は、上記複数の支持部材として、上記第1ハウジング部および上記第3ハウジング部に連結され、上記シャフトの延伸方向から視たときに上記シャフトについて対称な位置に位置する第1支持部材および第2支持部材と、上記第1ハウジング部に連結されず、上記第3ハウジング部に連結され、上記シャフトの延伸方向から視たときに上記シャフトについて対称な位置に位置する第3支持部材および第4支持部材とを有し、上記シャフトの延伸方向から視たときに、上記第3支持部材と上記第1支持部材と間の最小距離と、上記第3支持部材と上記第2支持部材と間の最小距離とが異なっていてもよい。
【0012】
(5) 好ましくは、上記レゾルバ部の軸倍角が1Xであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型、低コスト、かつレゾルバの同心度精度が高いブラシレスモータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るブラシレスモータ10の斜視図である。
【
図2】
図2は、ブラシレスモータ10の断面図である。
【
図3】
図3(A)は、ブラシレスモータ10の左側面図であり、
図3(B)は、ブラシレスモータ10の右側面図である。
【
図4】
図4は、
図1と同じ方向から視たフレーム20の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図1と反対方向から視たフレーム20の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るブラシレスモータ10について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
図1に示されるように、実施形態に係るブラシレスモータ10について、上下方向7、前後方向8、および左右方向9が定義される。右側は負荷側、左側は反負荷側とも称される。なお、上下方向7、前後方向8、および左右方向9は、説明の便宜のために付けられた名称であり、ブラシレスモータ10の設置形態とは無関係である。
【0016】
[ブラシレスモータ10の全体構成]
図1から
図3に示されるように、実施形態に係るブラシレスモータ10は、シャフト11と、モータロータ12と、モータステータ13と、レゾルバロータ14と、レゾルバステータ15と、フレーム20と、負荷側ブラケット30と、カバー40とを備えている。ブラシレスモータ10は、レゾルバを有する密閉型ブラシレスモータである。
【0017】
[シャフト11]
シャフト11は、ブラシレスモータ10の回転軸である。シャフト11は、概ね円柱状の形状を有する(
図2参照)。シャフト11は、左右方向9に延伸し、半径が異なる4つの部分を有する。シャフト11は、負荷側軸受18および反負荷側軸受19によって支持されており、左右方向9に延伸する軸線(
図2に示す一点鎖線)回りに回転可能である。
【0018】
[モータロータ12とモータステータ13]
モータロータ12は、シャフト11の外周面の一部に磁石を設けることにより形成される。モータロータ12の外周面は、回転方向にN極とS極とが交互に現れるように着磁されている。モータロータ12は、シャフト11に固定されており、シャフト11と共に回転可能である。
【0019】
モータステータ13は、円筒状の形状を有し、モータロータ12の外側に位置する。モータステータ13は複数のティース(図示せず)を有し、各ティースにはコイルが巻回されている。モータロータ12の外周面と、モータステータ13の内周面とは、径方向に所定の間隔を空けて対向する。
【0020】
モータステータ13には、ブラシレスモータ10の外部回路(図示せず。以下、外部回路Cと称される)からモータ用接続部41を経由して、3相交流電圧が供給される。モータステータ13に3相交流電圧が供給されると、モータロータ12およびシャフト11は回転する。このようにモータステータ13は、モータロータ12と共にモータ部16を構成する。なお、モータ部16の極数およびスロット数は任意である。
【0021】
[レゾルバロータ14とレゾルバステータ15]
レゾルバロータ14は、概ね円筒状の形状を有する。レゾルバロータ14には、シャフト11が挿通される。レゾルバロータ14は、シャフト11と共に回転可能である。レゾルバステータ15は、円筒状の形状を有し、レゾルバロータ14の外側に位置する。レゾルバステータ15は複数のティース(図示せず)を有し、各ティースにはコイルが巻回されている。レゾルバロータ14の外周面と、レゾルバステータ15の内周面とは、径方向に所定の間隔を空けて対向する。
【0022】
レゾルバロータ14を左右方向9に直交する面で切断したとき、断面の外周形状は、完全な円ではなく、径方向のサイズが大きい部分と、径方向のサイズが小さい部分とが交互に現れる形状である。シャフト11が回転すると、レゾルバロータ14も回転する。このとき、レゾルバロータ14の外周面とレゾルバステータ15の内周面との間隔は、レゾルバロータ14の回転に伴い変化する。レゾルバステータ15は、レゾルバ用接続部42を経由して外部回路Cに接続される。外部回路Cは、レゾルバステータ15の出力信号に基づき、レゾルバロータ14の位置(回転角)を検知する。このようにレゾルバステータ15は、レゾルバロータ14と共にバリアブルリラクタンス型のレゾルバ部17を構成する。なお、レゾルバ部17の軸倍角は任意である。軸倍角は、例えば、1Xでも、2Xでも、nX(nは3以上の整数)でもよい。
【0023】
[フレーム20]
図5に示されるように、フレーム20は、負荷側端部に開口28を有する。
図4に示されるように、フレーム20は、開口28に近い側から順に、モータステータ13を支持する第1ハウジング部21、レゾルバステータ15を支持する第2ハウジング部22、およびシャフト11の反負荷側軸受19のハウジングである第3ハウジング部23を有する。フレーム20は、金属材料を用いて、第1ハウジング部21、第2ハウジング部22、および第3ハウジング部23を一体形成したものである。フレーム20は、モータ部16、レゾルバ部17、および反負荷側軸受19を収容する。
【0024】
第1ハウジング部21を左右方向9に直交する面で切断したとき、断面の外周形状は4角に欠損を有する長方形、内周形状は円である。第1ハウジング部21は、円柱状の内部空間を有する。第1ハウジング部21は、モータロータ12およびモータステータ13を含むモータ部16を収容する。第1ハウジング部21の内部空間の直径は、モータステータ13の直径と同等である。モータステータ13を第1ハウジング部21に収容したとき、モータステータ13の外周面は第1ハウジング部21の内周面に当接する。これにより、第1ハウジング部21は、モータステータ13を支持する。
【0025】
第3ハウジング部23は、円筒状の形状を有し、円柱状の内部空間を有する。第3ハウジング部23は、反負荷側軸受19を収容する(
図2参照)。
【0026】
第2ハウジング部22は、第1支持部材24、第2支持部材25、第3支持部材26、および第4支持部材27を有する(
図4参照)。第1~第4支持部材24~27は、いずれも、左右方向9、すなわちシャフト11と同方向に延伸する。
【0027】
図4に示されるように、第1支持部材24の右端は、第1ハウジング部21の前壁の左端、かつ上下方向7の中央付近に連結している。第1支持部材24の左端は、第3ハウジング部23の最前部に連結している。第2支持部材25の右端は、第1ハウジング部21の後壁の左端、かつ上下方向7の中央付近に連結している。第2支持部材25の左端は、第3ハウジング部23の最後部に連結している。
【0028】
第3支持部材26の右端は、第1ハウジング部21に連結していない。第3支持部材26の左端は、第3ハウジング部23の所定位置に連結している。第4支持部材27の右端は、第1ハウジング部21に連結していない。第4支持部材27の左端は、第3ハウジング部23の他の位置に連結している。
【0029】
ブラシレスモータ10を左側から視たときに、第1支持部材24は、シャフト11の回転軸を中心として3時方向に位置し、その位置で第3ハウジング部23に連結している。第2支持部材25は、シャフト11の回転軸を中心として9時方向に位置し、その位置で第3ハウジング部23に連結している。第3支持部材26は、シャフト11の回転軸を中心として第1支持部材24から反時計回りに約60°回転した位置に位置し、その位置で第3ハウジング部23に連結している。第4支持部材27は、シャフト11の回転軸を中心として第2支持部材25から反時計回りに約60°回転した位置に位置し、その位置で第3ハウジング部23に連結している。
【0030】
第1支持部材24および第2支持部材25は、シャフト11の延伸方向から視たときに、シャフト11について対称な位置に位置する。第3支持部材26および第4支持部材27は、シャフト11の延伸方向から視たときに、シャフト11について対称な位置に位置する。シャフト11の延伸方向から視たときに、第3支持部材26と第1支持部材24との間の最小距離と、第3支持部材26と第2支持部材25との間の最小距離とは異なる。シャフト11の延伸方向から視たときに、第4支持部材27と第1支持部材24との間の最小距離と、第4支持部材27と第2支持部材25との間の最小距離とは異なる。
【0031】
第3支持部材26は、左端面にボルト孔51を有する。第4支持部材27は、左端側面にボルト孔52を有する。レゾルバステータ15は、第3支持部材26および第4支持部材27に対応する位置に、ボルト孔を有する取付部(図示せず)を有する。レゾルバ部17を第2ハウジング部22に収容した後に、ボルト孔51にはボルト55が挿入され、ボルト孔52にはボルト56が挿入される(
図1参照)。ボルト55、56は、レゾルバステータ15の取付部のボルト孔にも挿入される。これにより、レゾルバ部17は、第2ハウジング部22に取り付けられる。
【0032】
第1~第4支持部材24~27の右側部分では、内面の曲率がレゾルバステータ15の外周面の曲率と同じである。レゾルバ部17を第2ハウジング部22に収容したときに、レゾルバステータ15の外周面は、第1~第4支持部材24~27の右側部分の内面に当接する。これにより、第1~第4支持部材24~27は、互いに離間した位置でレゾルバステータ15を支持する。第2ハウジング部22は、レゾルバステータ15を支持し、レゾルバロータ14およびレゾルバステータ15を含むレゾルバ部17を収容する。
【0033】
[負荷側ブラケット30]
負荷側ブラケット30は、第1ハウジング部21の負荷側側面(右側面)を覆うものでる。負荷側ブラケット30は、シャフト11の負荷側軸受18のハウジング31を有する。ハウジング31は、円筒状の内部空間を有する。ハウジング31は、負荷側軸受18を収容する(
図2参照)。
【0034】
第1ハウジング部21の負荷側側面は、4つのボルト孔53を有する(
図5参照)。負荷側ブラケット30は、4つのボルト孔53と対応する位置に、4つのボルト孔(図示せず)を有する。負荷側ブラケット30をフレーム20に取り付けるときに、負荷側ブラケット30の各ボルト孔には、ボルト57が挿入される(
図3(B)参照)。負荷側ブラケット30のボルト孔に挿入されたボルト57は、第1ハウジング部21のボルト孔53にも挿入される。これにより、負荷側ブラケット30は、第1ハウジング部21の負荷側側面に取り付けられる。
【0035】
第1ハウジング部21の開口28付近の内周面には、Oリング61が位置する(
図2参照)。Oリング61は、負荷側ブラケット30を第1ハウジング部21に取り付けた後に、ブラシレスモータ10の内部に外部から異物が侵入することを防止する。このように負荷側ブラケット30は、開口28に封止状態で接合されている。
【0036】
[カバー40]
カバー40は、箱状の形状を有し、負荷側(右側)に開口を有する。カバー40は、例えば、金属材料やプラスチック材料で形成される。なお、
図1には、発明の理解を容易にするために、カバー40が透明なプラスチック材料で形成された場合が示されている。
【0037】
カバー40の上下方向7および前後方向8のサイズは、第1ハウジング部21の上下方向7および前後方向8のサイズと同等である。カバー40の左右方向9のサイズは、第2ハウジング部22のサイズより大きい。カバー40は、第2ハウジング部22および第3ハウジング部23を覆う。
【0038】
カバー40を左右方向9に直交する面で切断したとき、断面の外周形状および内周形状は、四隅に切欠を有する長方形である。第1ハウジング部21の反負荷側側面(左側面)は、前下部分と後上部分にボルト孔54を有する(
図4参照)。カバー40は、ボルト孔54に対応する位置に、ボルト孔(図示せず)を有する取付部43を有する。カバー40をフレーム20に取り付けるときに、カバー40の取付部43のボルト孔には、ボルト58が挿入される(
図3(A)参照)。カバー40の取付部43のボルト孔に挿入されたボルト58は、第1ハウジング部21のボルト孔54にも挿入される。これにより、カバー40は、第1ハウジング部21の反負荷側側面に取り付けられる。
【0039】
カバー40の開口付近の内周面には、シール部材62が位置する。シール部材62は、カバー40をフレーム20に取り付けた後に、ブラシレスモータ10の内部に外部から異物が侵入することを防止する。このようにカバー40は、第1ハウジング部21に封止状態で接合されている。
【0040】
カバー40の上面(第1面の一例)には、モータ用接続部41と、レゾルバ用接続部42とが位置する。モータ用接続部41は、モータステータ13と外部回路Cとを電気的に接続するためのものである。レゾルバ用接続部42は、レゾルバステータ15と外部回路Cとを電気的に接続するためのものである。
【0041】
例えば、モータ用接続部41は、カバー40の内側および外側にそれぞれコネクタを有していてもよい。カバー40の内側のコネクタには、モータステータ13に接続された配線が挿入される。カバー40の外側のコネクタには、外部回路Cに接続された配線が挿入される。モータ用接続部41は、2つのコネクタを電気的に接続する。
【0042】
レゾルバ用接続部42は、カバー40の内側および外側にそれぞれコネクタを有していてもよい。カバー40の内側のコネクタには、レゾルバステータ15に接続された配線が挿入される。カバー40の外側のコネクタには、外部回路Cに接続された配線が挿入される。レゾルバ用接続部42は、2つのコネクタを電気的に接続する。
【0043】
あるいは、モータ用接続部41は、コネクタを有さず、モータステータ13に接続された配線をそのまま通過させるものでもよい。レゾルバ用接続部42は、コネクタを有さず、レゾルバステータ15に接続された配線をそのまま通過させるものでもよい。この場合、モータ用接続部41またはレゾルバ用接続部42を通過した配線は、外部回路Cに接続される。
【0044】
[作用効果]
以上に示されるように、本実施形態に係るブラシレスモータ10では、フレーム20は、開口28に近い側から順に、モータステータ13を支持する第1ハウジング部21と、レゾルバステータ15を支持する第2ハウジング部22と、シャフト11の反負荷側軸受19のハウジングである第3ハウジング部23とを有している。カバー40は、第2ハウジング部22および第3ハウジング部23を覆い、第1ハウジング部21に封止状態で接合されている。
【0045】
ブラシレスモータ10は、反負荷側ブラケットを有しない。したがって、ブラシレスモータ10を小型化し、ブラシレスモータ10の製造コストを低減できる。また、フレーム20は、モータステータ13、レゾルバステータ15、および反負荷側軸受19のハウジングを一体化したものである。このため、機械加工を行うときに、フレーム20を掴み替えることなく、すべての加工を完了できる。したがって、モータ部16およびレゾルバ部17の同心度精度が飛躍的に向上する。よって、小型、低コスト、かつレゾルバの同心度精度が高いブラシレスモータを提供できる。
【0046】
ブラシレスモータ10では、カバー40の上面に、モータステータ13と外部回路Cとを電気的に接続するためのモータ用接続部41と、レゾルバステータ15と外部回路Cとを電気的に接続するためのレゾルバ用接続部42とが位置する。このため、ブラシレスモータ10の内部から、モータステータ13に接続される配線とレゾルバステータ15に接続される配線とを容易に取り出せるので、ブラシレスモータ10の組立て時の作業効率が大きく向上する。
【0047】
第2ハウジング部22は、シャフト11と同方向に延伸し、互いに離間した位置でレゾルバステータ15を支持する第1~第4支持部材24~27を有する。第1支持部材24および第2支持部材25は、第1ハウジング部21および第3ハウジング部23に連結され、シャフト11の延伸方向から視たときにシャフト11について対称な位置に位置する。第3支持部材26および第4支持部材27は、第1ハウジング部21に連結されず、第3ハウジング部23に連結され、シャフト11の延伸方向から視たときにシャフト11について対称な位置に位置する。シャフト11の延伸方向から視たときに、第3支持部材26と第1支持部材24と間の最小距離と、第3支持部材26と第2支持部材25と間の最小距離とは異なる。フレーム20は、上記のように構成された第2ハウジング部22を有する。したがって、レゾルバ部17を第2ハウジング部22に容易に収容できるので、ブラシレスモータ10の組立て時の作業効率が向上する。
【0048】
レゾルバ部17の軸倍角は、1Xであってもよい。ブラシレスモータ10では、レゾルバ部17の同心度精度が高いので、機械角360°のうちの絶対位置を認識でき、利便性が高い、軸倍角が1Xのレゾルバ部17を実現できる。
【0049】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。上記実施形態に係るブラシレスモータ10の各構成要素に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換、および追加が行われてもよい。また、上記ブラシレスモータ10の各構成要素の形状およびサイズも、実施の形態に応じて、適宜、設定されてよい。
【符号の説明】
【0050】
10・・・ブラシレスモータ
11・・・シャフト
12・・・モータロータ
13・・・モータステータ
14・・・レゾルバロータ
15・・・レゾルバステータ
16・・・モータ部
17・・・レゾルバ部
18・・・負荷側軸受
19・・・反負荷側軸受
20・・・フレーム
21・・・第1ハウジング部
22・・・第2ハウジング部
23・・・第3ハウジング部
24・・・第1支持部材
25・・・第2支持部材
26・・・第3支持部材
27・・・第4支持部材
28・・・開口
30・・・負荷側ブラケット
31・・・ハウジング
40・・・カバー
41・・・モータ用接続部
42・・・レゾルバ用接続部