(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111088
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20240808BHJP
B60N 2/66 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/66
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024097345
(22)【出願日】2024-06-17
(62)【分割の表示】P 2021550595の分割
【原出願日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2019179994
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019180005
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平尾 勇弥
(72)【発明者】
【氏名】河田 和也
(57)【要約】
【課題】 乗物用シートにおいて、着座者の背部に近く、かつ着座者の背部に対して異物感を与えない位置に電波送受信装置を配置する。
【解決手段】 乗物用シート1は、シートクッション3及びシートクッションの後部に結合されたシートバック4を有する。シートバックは、上下に延びる左右のサイドフレーム部26、及び左右に延び、左右のサイドフレーム部の上端部のそれぞれに結合されたアッパフレーム部27を含むバックフレーム21と、着座者の背部を支持する板状の部材であり、電波の透過性を有し、バックフレームに弾性部材43、44を介して支持された受圧部材22と、受圧部材の背面に支持され、着座者に電波を照射し、着座者からの反射波を受信する電波送受信装置70とを有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション及び前記シートクッションの後部に結合されたシートバックを有する乗物用シートであって、
前記シートバックは、
上下に延びる左右のサイドフレーム部、及び左右に延び、左右の前記サイドフレーム部の上端部のそれぞれに結合されたアッパフレーム部を含むバックフレームと、
着座者の背部を支持する板状の部材であり、電波の透過性を有し、前記バックフレームに弾性部材を介して支持された受圧部材と、
前記受圧部材の背面に支持され、前記着座者に電波を照射し、前記着座者からの反射波を受信する電波送受信装置とを有する乗物用シート。
【請求項2】
前記受圧部材には、前記受圧部材を変形させるためのコントロールケーブルの一端が結合され、
前記電波送受信装置は、正面視において前記コントロールケーブルと重ならない位置に配置されている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記弾性部材は、金属ワイヤであり、
前記電波送受信装置は、正面視において前記弾性部材と重ならない位置に配置されている請求項1又は請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記受圧部材には、複数の補強リブが設けられ、
前記電波送受信装置は、正面視において前記補強リブと重ならない位置に配置されている請求項1~請求項3のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記受圧部材には、複数の開口が設けられ、
前記電波送受信装置は、正面視において前記開口と重ならない位置に配置されている請求項1~請求項4のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記電波送受信装置は、正面視において前記シートバックの中央から左右にずれて前記受圧部材に配置されている請求項1~請求項5のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記電波送受信装置は、前記受圧部材の背面に設けられたポケットに嵌め入れられている請求項1~請求項6のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記電波送受信装置及び前記受圧部材の一方には、前記電波送受信装置及び前記受圧部材の他方を係止する係止爪が設けられている請求項1~請求項6のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記受圧部材は、縦方向において左右幅が変化し、
前記電波送受信装置は、前記受圧部材において最も左右幅が大きい縦方向位置に設けられている請求項1~請求項6のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【請求項10】
前記アッパフレーム部には、ヘッドレストの左右のピラーを支持するための左右のサポート部材が設けられ、
前記電波送受信装置は、正面視において、左右の前記サポート部材の間に配置されている請求項1~請求項9のいずれか1つの項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートのシートバックに着座者の心拍等を検出するセンサを設けたものがある。例えば、シートバック内にヘリカルアンテナを設け、ヘリカルアンテナから電波を着座者の背部に照射して、その反射波から心音信号を検出するものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンテナ等の電波送受信装置は、着座者の状態を精度良く検出するために、着座者の背部に近い位置に配置される必要がある。一方で、乗物用シートの座り心地を向上させるために、電波送受信装置は着座者の背部に対して異物感を与えない位置に配置される必要がある。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、乗物用シートにおいて、着座者の背部に近く、かつ着座者の背部に対して異物感を与えない位置に電波送受信装置を配置することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、シートクッション(3)及び前記シートクッションの後部に結合されたシートバック(4)を有する乗物用シート(1)であって、前記シートバックは、上下に延びる左右のサイドフレーム部(26)、及び左右に延び、左右の前記サイドフレーム部の上端部のそれぞれに結合されたアッパフレーム部(27)を含むバックフレーム(21)と、着座者の背部を支持する板状の部材であり、電波の透過性を有し、前記バックフレームに弾性部材(43、44)を介して支持された受圧部材(22)と、前記受圧部材の背面に支持され、前記着座者に電波を照射し、前記着座者からの反射波を受信する電波送受信装置(70)とを有する。
【0007】
この態様によれば、着座者の背部に近く、かつ着座者の背部に対して異物感を与えない位置に電波送受信装置を配置することができる。受圧部材は、弾性部材を介してバックフレームに支持されているため、着座者の背部に押されて変位する。電波送受信装置は受圧部材の背部に設けられているため、電波送受信装置は受圧部材と共に変位して着座者の背部に異物感を与えない。
【0008】
上記の態様において、前記受圧部材には、前記受圧部材を変形させるためのコントロールケーブル(55)の一端が結合され、前記電波送受信装置は、正面視において前記コントロールケーブルと重ならない位置に配置されているとよい。
【0009】
この態様によれば、電波送受信装置からの着座者に照射する電波、及び着座者からの反射波がコントロールケーブルによって遮られることを避けることができる。
【0010】
上記の態様において、前記弾性部材(43、44)は、金属ワイヤであり、前記電波送受信装置は、正面視において前記弾性部材と重ならない位置に配置されているとよい。
【0011】
この態様によれば、電波送受信装置から着座者に照射する電波、及び着座者からの反射波が弾性部材によって遮られることを避けることができる。
【0012】
上記の態様において、前記受圧部材には、複数の補強リブ(48)が設けられ、前記電波送受信装置は、正面視において前記補強リブと重ならない位置に配置されているとよい。
【0013】
この態様によれば、電波送受信装置から着座者に照射する電波、及び着座者からの反射波が補強リブによって減衰することを避けることができる。
【0014】
上記の態様において、前記受圧部材には、複数の開口(47)が設けられ、前記電波送受信装置は、正面視において前記開口と重ならない位置に配置されているとよい。
【0015】
この態様によれば、電波送受信装置から着座者に照射する電波、及び着座者からの反射波の経路が開口によって変化することを避けることができる。
【0016】
上記の態様において、前記電波送受信装置は、正面視において前記シートバックの中央から左右にずれて前記受圧部材に配置されているとよい。
【0017】
この態様によれば、電波送受信装置は、着座者の背部において拍動により体表面が変位し易い部位に電波を照射することができる。
【0018】
上記の態様において、前記電波送受信装置は、前記受圧部材の背面に設けられたポケット(81)に嵌め入れられているとよい。
【0019】
この態様によれば、電波送受信装置と受圧部材との結合構造を簡素にすることができる。
【0020】
上記の態様において、前記電波送受信装置及び前記受圧部材の一方には、前記電波送受信装置及び前記受圧部材の他方を係止する係止爪(83)が設けられているとよい。
【0021】
この態様によれば、電波送受信装置と受圧部材との結合構造を簡素にすることができる。
【0022】
上記の態様において、前記受圧部材は、縦方向において左右幅が変化し、前記電波送受信装置は、前記受圧部材において最も左右幅が大きい縦方向位置に設けられているとよい。
【0023】
この態様によれば、受圧部材に電波送受信装置を安定性良く配置することができる。
【0024】
上記の態様において、前記アッパフレーム部には、ヘッドレスト(5)の左右のピラー(5A)を支持するための左右のサポート部材(35)が設けられ、前記電波送受信装置は、正面視において、左右の前記サポート部材の間に配置されているとよい。
【0025】
この態様によれば、電波送受信装置は、着座者の背部において拍動により体表面が変位し易い部位に電波を照射することができる。
【0026】
本発明の他の態様は、シートクッション(3)及び前記シートクッションの後部に設けられたシートバック(4)を有する乗物用シート(1)であって、前記シートバックは、上下に延びる左右のサイドフレーム部(26)、及び左右に延び、左右の前記サイドフレーム部の上端部のそれぞれに結合されたアッパフレーム部(27)を含むバックフレーム(21)と、前記サイドフレーム部及び前記アッパフレーム部の少なくとも一方に支持され、着座者に電波を照射し、前記着座者からの反射波を受信する電波送受信装置(70)とを有する。
【0027】
この態様によれば、電波送受信装置は、シートバックの骨格をなすサイドフレーム部及びアッパフレーム部の少なくとも一方に固定される。これにより、乗物用シートにおいて、電波送受信装置がシートバックの適切な位置に安定性良く固定される。
【0028】
上記の態様において、前記電波送受信装置の上端部は、前記アッパフレーム部の上端部よりも下方に位置するとよい。
【0029】
この態様によれば、着座者の背部に対応した位置に電波送受信装置を配置することができる。
【0030】
上記の態様において、前記アッパフレーム部には、前記アッパフレーム部から下方に延びるブラケット(72)が結合され、前記電波送受信装置は、前記ブラケットに結合されているとよい。
【0031】
この態様によれば、着座者の心臓に近い位置に電波送受信装置を配置することができる。
【0032】
上記の態様において、前記バックフレームは、前記アッパフレーム部より下方を左右に延び、左右の前記サイドフレーム部のそれぞれに結合されたクロスメンバを有し、前記クロスメンバにブラケットが結合され、前記電波送受信装置は、前記ブラケットに結合されているとよい。
【0033】
この態様によれば、ブラケットがアッパフレーム部及びクロスメンバに結合しているため、ブラケットの位置が安定する。これにより、電波送受信装置の位置を安定させることができる。
【0034】
上記の態様において、前記ブラケットは、上下に延び、前記アッパフレーム部に結合された上端部と、前記クロスメンバに結合された下端部とを有するとよい。
【0035】
この態様によれば、ブラケットの位置を安定させることができ、電波送受信装置の位置を安定させることができる。
【0036】
上記の態様において、前記アッパフレーム部には、ヘッドレスト(5)の左右のピラー(5A)を支持するための左右のサポート部材(35)が設けられ、前記電波送受信装置は、正面視において、左右の前記サポート部材の間に配置されているとよい。
【0037】
この態様によれば、着座者の心臓に近い位置に電波送受信装置を配置することができる。
【0038】
上記の態様において、前記サポート部材のそれぞれは、筒形に形成されて上下に延び、前記電波送受信装置の上端部は、前記サポート部材の上端部より下方かつ前記サポート部材の下端部より上方に配置されているとよい。
【0039】
この態様によれば、着座者の心臓に近い位置に電波送受信装置を配置することができる。
【0040】
上記の態様において、前記電波送受信装置の上端部における前縁は、前記サポート部材の前縁よりも後方に配置されているとよい。
【0041】
この態様によれば、電波送受信装置は前方からの荷重に対して左右のサポート部材によって保護される。また、電波送受信装置が乗員の背部に影響を与え難くなり、乗員は背部に電波送受信装置に起因する異物感を感じ難くなる。また、左右のサポート部材間のデッドスペースに電波送受信装置を配置することができる。
【0042】
上記の態様において、前記電波送受信装置の上端部は、前記アッパフレーム部の前方に配置されているとよい。
【0043】
この態様によれば、着座者の心臓に近い位置に電波送受信装置を配置することができる。
【0044】
上記の態様において、前記電波送受信装置の下部における前縁は、同じ高さにおける前記サイドフレーム部の前縁よりも後方に配置されているとよい。
【0045】
この態様によれば、電波送受信装置が乗員の背部に影響を与え難くなり、乗員は背部に電波送受信装置に起因する異物感を感じ難くなる。
【0046】
上記の態様において、前記シートバックは、前記バックフレームに支持されたパッド(23)を有し、前記パッドの背面には前記電波送受信装置を受容する凹部(75)が形成されているとよい。
【0047】
この態様によれば、電波送受信装置がパッドから荷重を受け難くなる。
【発明の効果】
【0048】
本発明の一態様は、シートクッション(3)及び前記シートクッションの後部に結合されたシートバック(4)を有する乗物用シート(1)であって、前記シートバックは、上下に延びる左右のサイドフレーム部(26)、及び左右に延び、左右の前記サイドフレーム部の上端部のそれぞれに結合されたアッパフレーム部(27)を含むバックフレーム(21)と、着座者の背部を支持する板状の部材であり、電波の透過性を有し、前記バックフレームに弾性部材(43、44)を介して支持された受圧部材(22)と、前記受圧部材の背面に支持され、着座者に電波を照射し、前記着座者からの反射波を受信する電波送受信装置(70)とを有する。この態様によれば、着座者の背部に近く、かつ着座者の背部に対して異物感を与えない位置に電波送受信装置を配置することができる。受圧部材は、弾性部材を介してバックフレームに支持されているため、着座者の背部に押されて変位する。電波送受信装置は受圧部材の背部に設けられているため、電波送受信装置は受圧部材と共に変位して着座者の背部に異物感を与えない。
【0049】
上記の態様において、前記受圧部材には、前記受圧部材を変形させるためのコントロールケーブル(55)の一端が結合され、前記電波送受信装置は、正面視において前記コントロールケーブルと重ならない位置に配置されているとよい。この態様によれば、電波送受信装置からの着座者に照射する電波、及び着座者からの反射波がコントロールケーブルによって遮られることを避けることができる。
【0050】
上記の態様において、前記弾性部材(43、44)は、金属ワイヤであり、前記電波送受信装置は、正面視において前記弾性部材と重ならない位置に配置されているとよい。この態様によれば、電波送受信装置から着座者に照射する電波、及び着座者からの反射波が弾性部材によって遮られることを避けることができる。
【0051】
上記の態様において、前記受圧部材には、複数の補強リブ(48)が設けられ、前記電波送受信装置は、正面視において前記補強リブと重ならない位置に配置されているとよい。この態様によれば、電波送受信装置から着座者に照射する電波、及び着座者からの反射波が補強リブによって減衰することを避けることができる。
【0052】
上記の態様において、前記受圧部材には、複数の開口(47)が設けられ、前記電波送受信装置は、正面視において前記開口と重ならない位置に配置されているとよい。この態様によれば、電波送受信装置から着座者に照射する電波、及び着座者からの反射波の経路が開口によって変化することを避けることができる。
【0053】
上記の態様において、前記電波送受信装置は、正面視において前記シートバックの中央から左右にずれて前記受圧部材に配置されているとよい。この態様によれば、電波送受信装置は、着座者の背部において拍動により体表面が変位し易い部位に電波を照射することができる。
【0054】
上記の態様において、前記電波送受信装置は、前記受圧部材の背面に設けられたポケット(81)に嵌め入れられているとよい。この態様によれば、電波送受信装置と受圧部材との結合構造を簡素にすることができる。
【0055】
上記の態様において、前記電波送受信装置及び前記受圧部材の一方には、前記電波送受信装置及び前記受圧部材の他方を係止する係止爪(83)が設けられているとよい。この態様によれば、電波送受信装置と受圧部材との結合構造を簡素にすることができる。
【0056】
上記の態様において、前記受圧部材は、縦方向において左右幅が変化し、前記電波送受信装置は、前記受圧部材において最も左右幅が大きい縦方向位置に設けられているとよい。この態様によれば、受圧部材に電波送受信装置を安定性良く配置することができる。
【0057】
上記の態様において、前記アッパフレーム部には、ヘッドレスト(5)の左右のピラー(5A)を支持するための左右のサポート部材(35)が設けられ、前記電波送受信装置は、正面視において、左右の前記サポート部材の間に配置されているとよい。この態様によれば、電波送受信装置は、着座者の背部において拍動により体表面が変位し易い部位に電波を照射することができる。
【0058】
本発明の他の態様は、シートクッション(3)及び前記シートクッションの後部に設けられたシートバック(4)を有する乗物用シート(1)であって、前記シートバックは、上下に延びる左右のサイドフレーム部(26)、及び左右に延び、左右の前記サイドフレーム部の上端部のそれぞれに結合されたアッパフレーム部(27)を含むバックフレーム(21)と、前記サイドフレーム部及び前記アッパフレーム部の少なくとも一方に支持され、着座者に電波を照射し、前記着座者からの反射波を受信する電波送受信装置(70)とを有する。
【0059】
この態様によれば、電波送受信装置は、シートバックの骨格をなすサイドフレーム部及びアッパフレーム部の少なくとも一方に固定される。これにより、乗物用シートにおいて、電波送受信装置がシートバックの適切な位置に安定性良く固定される。
【0060】
上記の態様において、前記電波送受信装置の上端部は、前記アッパフレーム部の上端部よりも下方に位置するとよい。
【0061】
この態様によれば、着座者の背部に対応した位置に電波送受信装置を配置することができる。
【0062】
上記の態様において、前記アッパフレーム部には、前記アッパフレーム部から下方に延びるブラケット(72)が結合され、前記電波送受信装置は、前記ブラケットに結合されているとよい。
【0063】
この態様によれば、着座者の心臓に近い位置に電波送受信装置を配置することができる。
【0064】
上記の態様において、前記バックフレームは、前記アッパフレーム部より下方を左右に延び、左右の前記サイドフレーム部のそれぞれに結合されたクロスメンバを有し、前記クロスメンバにブラケットが結合され、前記電波送受信装置は、前記ブラケットに結合されているとよい。
【0065】
この態様によれば、ブラケットがアッパフレーム部及びクロスメンバに結合しているため、ブラケットの位置が安定する。これにより、電波送受信装置の位置を安定させることができる。
【0066】
上記の態様において、前記ブラケットは、上下に延び、前記アッパフレーム部に結合された上端部と、前記クロスメンバに結合された下端部とを有するとよい。
【0067】
この態様によれば、ブラケットの位置を安定させることができ、電波送受信装置の位置を安定させることができる。
【0068】
上記の態様において、前記アッパフレーム部には、ヘッドレスト(5)の左右のピラー(5A)を支持するための左右のサポート部材(35)が設けられ、前記電波送受信装置は、正面視において、左右の前記サポート部材の間に配置されているとよい。
【0069】
この態様によれば、着座者の心臓に近い位置に電波送受信装置を配置することができる。
【0070】
上記の態様において、前記サポート部材のそれぞれは、筒形に形成されて上下に延び、前記電波送受信装置の上端部は、前記サポート部材の上端部より下方かつ前記サポート部材の下端部より上方に配置されているとよい。
【0071】
この態様によれば、着座者の心臓に近い位置に電波送受信装置を配置することができる。
【0072】
上記の態様において、前記電波送受信装置の上端部における前縁は、前記サポート部材の前縁よりも後方に配置されているとよい。
【0073】
この態様によれば、電波送受信装置は前方からの荷重に対して左右のサポート部材によって保護される。また、電波送受信装置が乗員の背部に影響を与え難くなり、乗員は背部に電波送受信装置に起因する異物感を感じ難くなる。また、左右のサポート部材間のデッドスペースに電波送受信装置を配置することができる。
【0074】
上記の態様において、前記電波送受信装置の上端部は、前記アッパフレーム部の前方に配置されているとよい。
【0075】
この態様によれば、着座者の心臓に近い位置に電波送受信装置を配置することができる。
【0076】
上記の態様において、前記電波送受信装置の下部における前縁は、同じ高さにおける前記サイドフレーム部の前縁よりも後方に配置されているとよい。
【0077】
この態様によれば、電波送受信装置が乗員の背部に影響を与え難くなり、乗員は背部に電波送受信装置に起因する異物感を感じ難くなる。
【0078】
上記の態様において、前記シートバックは、前記バックフレームに支持されたパッド(23)を有し、前記パッドの背面には前記電波送受信装置を受容する凹部(75)が形成されているとよい。
【0079】
この態様によれば、電波送受信装置がパッドから荷重を受け難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】第1実施形態に係るシートのフレームを示す斜視図
【
図2】第1実施形態に係るパッド及び表皮を省略して示すシートバックの正面図
【
図3】第1実施形態に係るパッド及び表皮を省略して示すシートバックの背面図
【
図4】第1実施形態に係るシートバックの上部構造を前方から見た斜視図
【
図5】第1実施形態に係る電波送受信装置、ブラケット及びサポート部材を示す水平断面図
【
図6】第1実施形態に係るシートバックの上部構造の垂直断面図
【
図7】第2実施形態に係るパッド及び表皮を省略して示すシートバックの正面図
【
図8】第2実施形態に係るパッド及び表皮を省略して示すシートバックの背面図
【
図9】第2実施形態に係る電波送受信装置のベースプレートへの取り付け構造の一例を示す断面図
【
図10】第2実施形態に係る電波送受信装置のベースプレートへの取り付け構造の一例を示す断面図
【
図11】第2実施形態に係る電波送受信装置のベースプレートへの取り付け構造の一例を示す断面図
【
図12】変形実施形態に係るパッド及び表皮を省略して示すシートバックの正面図
【
図13】変形実施形態に係るパッド及び表皮を省略して示すシートバックの正面図
【
図14】変形実施形態に係るシートのフレームを示す斜視図
【
図15】変形実施形態に係るパッド及び表皮を省略して示すシートバックの背面図
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下、図面を参照して、本発明に係る乗物用シートを自動車のシートに適用した第1実施形態について説明する。
【0082】
(全体構成)
図1~
図3に示すように、シート1は、車室のフロアにスライドレール2を介して設けられたシートクッション3と、シートクッション3の後部に結合されたシートバック4と、シートバック4の上側に設けられたヘッドレスト5とを有する。
【0083】
シートクッション3は、骨格をなすシートクッションフレーム11を有する。シートクッションフレーム11にはパッドが支持され、パッドの外面には表皮材が被せられる。シートクッションフレーム11は、前後に延びる左右のサイドフレーム部15と、左右に延び、左右のサイドフレーム部15の前端部のそれぞれに結合したフロントフレーム部16と、左右に延び、左右のサイドフレーム部15の後端部のそれぞれに結合したリヤフレーム部17とを有する。左右のサイドフレーム部15の後端部は、上方に傾斜して延びている。フロントフレーム部16とリヤフレーム部17との間には、前後に延びるS字ばね18が掛け渡されている。
【0084】
シートバック4は、骨格をなすシートバックフレーム21と、シートバックフレーム21に支持された受圧部材22(ランバーサポート)と、シートバックフレーム21及び受圧部材22に支持されたパッド23(
図6参照)と、パッド23の外面に被せられた表皮材24(
図6参照)とを有する。シートバックフレーム21は、上下に延びる左右のサイドフレーム部26と、左右に延び、左右のサイドフレーム部26の上端部のそれぞれに結合したアッパフレーム部27と、左右に延び、左右のサイドフレーム部26の下端部のそれぞれに結合したロアフレーム部28とを有する。
【0085】
本実施形態では、左右のサイドフレーム部26の上端部を除く大部分は、面が左右を向く板金部材によって形成されている。アッパフレーム部27及び左右のサイドフレーム部26の上端部は、断面円形のパイプを屈曲させることによって形成されている。パイプは、長手方向における中央部が左右に延びてアッパフレーム部27を形成し、長手方向における左右の端部が下方に屈曲して左右のサイドフレーム部26の上端部を構成している。パイプの両端部は、サイドフレーム部26を形成する左右の板金部材の内面側に沿って配置され、板金部材に溶接されている。ロアフレーム部28は、板金部材から形成され、面が前後を向くように配置されている。ロアフレーム部28の左右の端部は、左右において対応するサイドフレーム部26の下端部の後縁に溶接されている。
【0086】
左右のサイドフレーム部26の下端は、リクライニング機構31を介して左右において対応するサイドフレーム部15の後端に結合されている。リクライニング機構31によって、左右のサイドフレーム部26は左右のサイドフレーム部15に対して角度調節可能に支持されている。左右のリクライニング機構31は、連結軸32によって互いに連結されている。
【0087】
また、シートバックフレーム21は、アッパフレーム部27より下方を左右に延び、左右のサイドフレーム部15のそれぞれに結合されたクロスメンバ33を有する。クロスメンバ33の左右の端部は、左右のサイドフレーム部26に結合されている。本実施形態では、クロスメンバ33は、断面円形の金属棒(金属ワイヤ)を屈曲することによって形成されている。クロスメンバ33は、上方に向けて突出するように屈曲した複数の屈曲部33Aを有する。各屈曲部33Aの上端部は、左右に直線状に延びている。
【0088】
アッパフレーム部27には、ヘッドレスト5の左右のピラー5Aを支持するための左右のサポート部材35が設けられている。左右のサポート部材35は、両端が開口した筒形に形成され、軸線が上下に延びるようにアッパフレーム部27に結合されている。左右のサポート部材35は、シートバック4の幅方向における中心線に対して、左右対称となる位置に配置されている。左右のサポート部材35の間には間隔が形成されている。各サポート部材35の内側には、樹脂製のガイド部材36が挿入されている。ガイド部材36は、筒状に形成され、内部にピラー5Aが挿入される。
【0089】
受圧部材22は、着座者の背部を支持する板状の部材であり、シートバックフレーム21に弾性部材43、44を介して支持されている。受圧部材22は、ベースプレート41と、ベースプレート41に支持された可動プレート42とを有する。ベースプレート41及び可動プレート42は、可撓性を有し、それぞれ樹脂材料から形成されているとよい。弾性部材43、44は、線細工ばねである第1弾性部材43及び第2弾性部材44を含む。第1弾性部材43及び第2弾性部材44は、弾性を有する金属ワイヤである。第1弾性部材43及び第2弾性部材44のそれぞれは、左右に延び、左右の端部において左右のサイドフレーム部15に結合されている。ベースプレート41は、第1弾性部材43及び第2弾性部材44の左右方向における中央部に支持されている。
【0090】
ベースプレート41は、面が前後を向くように第1弾性部材43及び第2弾性部材44に支持されている。ベースプレート41の背面には、第1弾性部材43及び第2弾性部材44を係止する複数のフック部46が形成されている。複数のフック部46が第1弾性部材43及び第2弾性部材44を係止することによって、ベースプレート41は第1弾性部材43及び第2弾性部材44の前方に配置される。
【0091】
図3に示すように、ベースプレート41及び可動プレート42の適所には、ベースプレート41及び可動プレート42の可撓性を高める目的で、複数の開口47が形成されている。また、ベースプレート41及び可動プレート42の適所には、ベースプレート41及び可動プレート42の剛性を部分的に高める目的で、複数の補強リブ48が形成されている。
【0092】
第1弾性部材43及び第2弾性部材44のそれぞれは、複数の屈曲部43A、44Aを有する。第1弾性部材43は、ベースプレート41の上部の背面に沿って配置される。第1弾性部材43は、その左右方向における中央部に下方に向けて突出した第1屈曲部43Aを有する。第2弾性部材44は、第1弾性部材43よりも下方に配置されている。第2弾性部材44は、ベースプレート41の下部の背面に沿って配置される。第2弾性部材44は、その左右方向における中央部に下方に向けて突出した第2屈曲部44Aを有する。第2屈曲部44Aは、ベースプレート41の下縁よりも下方に突出し、ロアフレーム部28に結合されている。
【0093】
図2に示すように、可動プレート42は、ベースプレート41の前面に沿って設けられ、その上縁部においてベースプレート41に結合されている。可動プレート42は、その上縁部を除いてベースプレート41に対して変位可能となっている。ベースプレート41には厚み方向に貫通する複数の係止孔51が形成され、可動プレート42の上縁には複数の係止爪52が形成されている。複数の係止爪52が対応する係止孔51に係止されることによって、可動プレート42の上縁がベースプレート41に結合される。可動プレート42の下縁は、ベースプレート41の下縁よりも下方に延びている。可動プレート42の下縁は、ロアフレーム部28の前方においてロアフレーム部28の上縁よりも下方に延びていてもよい。
【0094】
ベースプレート41に対して可動プレート42を変位させる、或いは可動プレート42を変形させるために、コントロールケーブル55が設けられている。コントロールケーブル55は、インナケーブル56と、インナケーブル56を移動可能に受容するアウタチューブ57とを有する。アウタチューブ57の第1端57Aは、ベースプレート41の背面の中央部に下方に向けて開口するように結合されている。アウタチューブ57の第1端57Aから突出したインナケーブル56の第1端56Aは、下方に延び、ベースプレート41に形成された第1挿通孔59を通過して可動プレート42の下部の背面に結合されている。アウタチューブ57の第2端57Bはケーブル駆動装置61のケーシング61Aに固定されている。アウタチューブ57の第2端57Bから突出したインナケーブル56の第2端(不図示)は、ケーブル駆動装置61の出力部(不図示)に接続されている。ケーブル駆動装置61は、電動モータの駆動力によって出力部を変位させ、インナケーブル56の第2端をアウタチューブ57の第2端57Bに対して外方に引っ張る。ケーブル駆動装置61は、左右のサイドフレーム部15のいずれかの外側面又は内側面に設けられるとよい。
【0095】
本実施形態では、コントロールケーブル55は、アウタチューブ57の第1端57Aから上方に延び、ベースプレート41に形成された第2挿通孔63を通過してベースプレート41の前面側に延びている。コントロールケーブル55は、第2挿通孔63からベースプレート41の前面に沿って上方に延び、ベースプレート41の上縁よりも上方に延びている。コントロールケーブル55は、ベースプレート41の上縁から側方に湾曲してケーブル駆動装置61に延びている。
【0096】
ケーブル駆動装置61が作動すると、インナケーブル56がケーブル駆動装置61側に引っ張られ、インナケーブル56の第1端56Aがアウタチューブ57の第1端57A側、すなわち上方に移動する。これにより、インナケーブル56によって可動プレート42の下部がベースプレート41に対して上方に引っ張られる。このとき、可動プレート42の上縁がベースプレート41に結合されているため、可動プレート42は変形し、可動プレート42の中央部がベースプレート41に対して前方に突出する。可動プレート42がベースプレート41に対して前方に突出することによって、シートバック4の前面の形状が変化する。これにより、シートバック4が着座者の背部(腰部)に与える圧力が変化する。可動プレート42の変形量は、ケーブル駆動装置61の駆動量、すなわちインナケーブル56の引っ張り量によって調節することができる。ケーブル駆動装置61がインナケーブル56に対する引っ張り力を開放すると、可動プレート42の復元力によって可動プレート42は初期の形状に戻る。
【0097】
図1に示すように、シートバック4には、シート1に着座した着座者の生体情報を取得するための電波送受信装置70が設けられている。生体情報には、脈拍(拍動)、及び血圧が含まれる。電波送受信装置70は、着座者に電波を照射し、かつ着座者からの反射波を受信する。電波は、ミリ波やマイクロ波であってよい。電波送受信装置70は、復調回路及び信号処理回路を含む電子制御装置(不図示)に接続されている。電子制御装置は、シートバック4の背面やシートクッション3の下面に設けられてもよく、シート1から離れた車体に設けられてもよい。また、電子制御装置は、車両の他の装置を制御する制御装置に一体に組み込まれてもよい。
【0098】
電波送受信装置70及び電子制御装置は、ドップラーレーダーを構成する。電波送受信装置70は、着座者の背部の体表面に向けて送信波を送信し、着座者の背部の体表面において反射した反射波を受信波として受信する。電子制御装置は、ドップラー効果を利用して送信波の周波数と受信波(反射波)との周波数とに基づいて、電波送受信装置70に対する着座者の背部の体表面の相対速度を検出する。そして、電子制御装置は、所定の期間における電波送受信装置70に対する着座者の背部の体表面の相対速度の変化と着座者の脈拍との関係に基づいて、電波送受信装置70に対する着座者の背部の体表面の相対速度の変化に基づいて着座者の脈拍を検出する。
【0099】
電波送受信装置70は、送信波及び反射波を透過する材料で形成されたケーシング70Aを有する。送信波及び反射波がミリ波である場合、ケーシング70Aは、ポリカーボネート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂等から形成されるとよい。ケーシング70Aの外形は、椀形や長方形等であってよい。
【0100】
図3~
図6に示すように、アッパフレーム部27には、ブラケット72が結合されている。ブラケット72は、板金部材から形成され、面が前後を向く平板状の本体部72Aを有する。本体部72Aは略長方形に形成され、対向する一対の辺が左右に延びている。ブラケット72は、本体部72Aの上端部においてアッパフレーム部27に溶接されている。本体部72Aの上端部には、アッパフレーム部27に溶接される少なくとも1つの結合片72Bが設けられているよい。ブラケット72の本体部72Aは、アッパフレーム部27から下方に延びている。
【0101】
ブラケット72は、本体部72Aの下端部においてクロスメンバ33に溶接されている。これにより、ブラケット72の位置を安定させることができ、電波送受信装置70の位置を安定させることができる。ブラケット72は、クロスメンバ33の中央に位置する屈曲部33Aの上端に溶接されているとよい。
【0102】
図3及び
図4に示すように、ブラケット72は、正面視において、左右のサポート部材35の間に配置されているとよい。ブラケット72の上端部は、アッパフレーム部27において左右のサポート部材35の間に溶接されているとよい。
【0103】
図4及び
図5に示すように、ブラケット72の本体部72Aの左右の側縁には、本体部72Aに対して略垂直に前方に向けて曲げられた縁壁72Cが設けられている。縁壁72Cによって、ブラケット72の剛性が高められている。また、縁壁72Cを設けたことによって、シート1の後方に着座した乗員が車両の衝突によってシートバック4の背面に衝突した場合にも乗員がブラケット72の側縁に接触することを避けることができる。
【0104】
ブラケット72の本体部72Aの前面には、電波送受信装置70が結合されている。電波送受信装置70は、例えばねじ等によって本体部72Aに締結されているとよい。本実施形態では、電波送受信装置70のケーシング70Aは椀形に形成され、電波の送信方向が前方を向くように配置されている。電波送受信装置70の向きは、測定位置に応じて適宜変更してよい。電波送受信装置70から照射される電波は、ケーシング70A、パッド23、表皮材24、着座者の着衣を透過する。電波送受信装置70は、照射した電波に対して着座者の背部の体表面において反射された反射波を受信波として検出する。
【0105】
図3及び
図6に示すように、電波送受信装置70の上端部は、アッパフレーム部27の上端部よりも下方に位置することが好ましい。これにより、着座者の背部に対応した位置に電波送受信装置70を配置することができる。また、電波送受信装置70の上端部は、サポート部材35の上端部より下方かつサポート部材35の下端部より上方に配置されていることが好ましい。これにより、着座者の心臓に近い位置に電波送受信装置70を配置することができる。
【0106】
図6に示すように、左右側方から見て、電波送受信装置70の上端部における前縁は、サポート部材35の前縁よりも後方に配置されていることが好ましい。これにより、電波送受信装置70は前方からの荷重に対して左右のサポート部材35によって保護される。また、電波送受信装置70が乗員の背部に影響を与え難くなり、乗員は背部に電波送受信装置70に起因する異物感を感じ難くなる。また、左右のサポート部材35間のデッドスペースに電波送受信装置70を配置することができる。
【0107】
また、左右側方から見て、電波送受信装置70の下部における前縁は、同じ高さにおけるサイドフレーム部15の前縁よりも後方に配置されているとよい。これにより、電波送受信装置70が乗員の背部に影響を与え難くなり、乗員は背部に電波送受信装置70に起因する異物感を感じ難くなる。
【0108】
また、電波送受信装置70の上端部は、アッパフレーム部27の前方に配置されているとよい。これにより、着座者の心臓に近い位置に電波送受信装置70を配置することができる。
【0109】
パッド23の上部の背面には電波送受信装置70を受容する凹部75が形成されている。パッド23をシートバックフレーム21に装着したときに、電波送受信装置70は凹部75に受容され、パッド23から荷重を受けないことが好ましい。すなわち、凹部75は、パッド23と電波送受信装置70との干渉を避けるために設けられている。
【0110】
以下に、電波送受信装置70を受圧部材22に支持させた第2実施形態について説明する。
図7~
図11に示すように、第2実施形態では、電波送受信装置70は、受圧部材22の背面に支持されている。第2実施形態に係る受圧部材22は、ミリ波又はマイクロ波等の電波の透過性を有する材料から形成されている。電波送受信装置70が送信又は受信する電波がミリ波である場合、受圧部材22を構成するベースプレート41及び可動プレート42は例えばポリカーボネート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂等から形成されるとよい。第2実施形態では、電波送受信装置70のケーシング70Aは、直方体に形成されている。
【0111】
図7~
図11に示すように、電波送受信装置70は、ベースプレート41の上部の背面に取り付けられ、ベースプレート41を透過して前方に向けて電波を照射する。電波送受信装置70は、
図7及び
図8に示すように、正面視において、可動プレート42と重ならない位置に配置されることが好ましい。本実施形態では、電波送受信装置70の下縁は可動プレート42の上縁よりも上方に配置されている。また、電波送受信装置70の上縁はベースプレート41の上縁よりも下方に配置されている。
【0112】
電波送受信装置70は、正面視においてコントロールケーブル55と重ならない位置に配置されている。また、電波送受信装置70は、正面視において第1弾性部材43及び第2弾性部材44と重ならない位置に配置されている。これらにより、電波送受信装置70が送信する送信波及び着座者からの反射波がコントロールケーブル55や第1弾性部材43、第2弾性部材44によって遮られることを避けることができる。
【0113】
また、電波送受信装置70は、正面視において補強リブ48と重ならない位置に配置されている。これにより、電波送受信装置70が送信する送信波、及び着座者からの反射波が補強リブ48によって減衰することを避けることができる。
【0114】
電波送受信装置70は、正面視においてシートバック4の中央から左右にずれて受圧部材22のベースプレート41に配置されているとよい。また、電波送受信装置70は、正面視においてベースプレート41の中央から左右にずれた位置においてベースプレート41に配置されているとよい。これにより、電波送受信装置70は、着座者の背部において拍動により体表面が変位し易い部位に電波を照射することができる。人間の背部の表面は、背骨が位置する中央部よりも左右にずれた部分において、拍動によってより大きく変位する。
【0115】
本実施形態では、電波送受信装置70は、正面視において、ベースプレート41の左右方向における中央に沿って配置されたコントロールケーブル55と重ならないように、左右にずれて配置されている。
【0116】
以下に電波送受信装置70のベースプレート41への取り付け構造の例について説明する。例えば、
図9に示すように、ベースプレート41の背面には、後方に突出すると共に、上方に向けて開口したポケット81が設けられているとよい。ポケット81は、ベースプレート41と一体に成形されているとよい。また、
図10に示すように、ポケット81はベースプレート41に対して別部材として形成されてもよい。ポケット81は、クリップやねじ等の締結部材82や接着剤によってベースプレート41に結合されるとよい。また、ポケット81は係止爪等によってベースプレート41に結合されてもよい。電波送受信装置70は、ポケット81に嵌め入れられることによって、ベースプレート41に支持される。これにより、電波送受信装置70と受圧部材22との結合構造を簡素にすることができる。
【0117】
他の例では、電波送受信装置70及び受圧部材22の一方には、電波送受信装置70及び受圧部材22の他方を係止する係止爪が設けられているとよい。例えば、
図11に示すように、ベースプレート41の背面に複数の係止爪83が突設されているとよい。複数の係止爪83は、電波送受信装置70のケーシング70Aの角部やケーシング70Aに形成された凹部や孔部を係止するとよい。
【0118】
他の例では、電波送受信装置70は、ねじやクリップ等の締結部材によってベースプレート41に締結されてもよい。
【0119】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、シートバックフレーム21の形状は、目的に合わせて変更してもよい。例えば、
図12に示すように、アッパフレーム部27は、パイプに代えて、板金部材によって形成されてもよい。この例では、アッパフレーム部27は、後方に向けて開口した溝形部材によって形成されている。アッパフレーム部27の上下幅は、サポート部材35の上下長さと概ね等しく形成されている。サポート部材35は、アッパフレーム部27を上下に貫通している。この例では、アッパフレーム部27の上下幅を広く形成することによってクロスメンバ33を省略している。
【0120】
ブラケット72は、アッパフレーム部27の下面から下方に延びるように設けられている。ブラケット72の下端は、遊端となっている。電波送受信装置70は、ブラケット72の前面に前方に向けて電波を照射するように設けられている。
【0121】
図12及び
図13に示すように、受圧部材22の形状は任意の形状を適用することができる。また、受圧部材22を支持するための弾性部材は、シートバックフレーム21の任意の部位に結合されてよい。
図12に示すように、ベースプレート41は、上側から、上部41A、中間部41B、及び下部41Cを有する。上部41Aの左右幅は下部41Cの左右幅よりも大きく、下部41Cの左右幅は中間部41Bの左右幅よりも大きい。すなわち、ベースプレート41は、縦方向において左右幅が変化している。上部41Aの左右両端は、上部41Aの中央部よりも上方に突出している。下部41Cの中央部は、下部41Cの左右両端よりも下方に突出している。
【0122】
図12において、受圧部材22を支持する左右一対の弾性部材87、88は、上端においてアッパフレーム部27に結合され、下端においてロアフレーム部28に結合されている。弾性部材87、88はベースプレート41の背面に沿って配置され、ベースプレート41の背面に設けられたフック部46に係止されている。
【0123】
図13に示すように、電波送受信装置70は、ベースプレート41において最も左右幅が大きい縦方向位置、すなわち上部41Aの背面に設けられるとよい。これにより、受圧部材22に電波送受信装置70を安定性良く配置することができる。
【0124】
図14及び
図15に示すように、受圧部材92は1つの板部材から形成されてもよい。受圧部材92は、シートバックフレーム21に弾性部材93、94を介して支持されている。受圧部材92は、可撓性を有し、樹脂材料から形成されているとよい。受圧部材92は、ミリ波又はマイクロ波等の電波の透過性を有する材料から形成されている。受圧部材92は、例えばポリカーボネート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂等から形成されるとよい。
【0125】
弾性部材93、94は、線細工ばね等の弾性を有する金属ワイヤであるとよい。弾性部材43、44は、左右に延び、左右の端部において左右のサイドフレーム部15に結合されている。受圧部材92の背面には、弾性部材93、94を係止する複数のフック部96が形成されている。受圧部材92の適所には、可撓性を高める目的で複数の開口97が形成されているとよい。また、受圧部材92の適所には、剛性を部分的に高める目的で、複数の補強リブ98が形成されているとよい。
【0126】
受圧部材92の背面の下部には、電波送受信装置70が支持されている。電波送受信装置70は、電波の送信及び受信方向が前方を向くように、受圧部材92に支持されている。電波送受信装置70は、受圧部材92を透過して前方に電波を照射し、着座者の背部の表面において反射し、受圧部材92を透過して前方から後方に進む電波を受信する。電波送受信装置70は、第2実施形態のポケット81や係止爪83によって受圧部材92に支持されているとよい。
【符号の説明】
【0127】
1 :シート
3 :シートクッション
4 :シートバック
5 :ヘッドレスト
5A :ピラー
21 :シートバックフレーム
22 :受圧部材
23 :パッド
24 :表皮材
26 :サイドフレーム部
27 :アッパフレーム部
28 :ロアフレーム部
33 :クロスメンバ
35 :サポート部材
41 :ベースプレート
41A :上部
41B :中間部
41C :下部
42 :可動プレート
43 :第1弾性部材
44 :第2弾性部材
47 :開口
48 :補強リブ
51 :係止孔
52 :係止爪
55 :コントロールケーブル
61A :ケーシング
70 :電波送受信装置
70A :ケーシング
72 :ブラケット
72A :本体部
72B :結合片
72C :縁壁
75 :凹部
81 :ポケット
82 :締結部材
83 :係止爪
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション及び前記シートクッションの後部に結合されたシートバックを有する乗物用シートであって、
前記シートバックは、
上下に延びる左右のサイドフレーム部、及び左右に延び、左右の前記サイドフレーム部の上端部のそれぞれに結合されたアッパフレーム部を含むバックフレームと、
前記アッパフレーム部に設けられた、ヘッドレストの左右のピラーを支持するための左右のサポート部材と、
正面視において、左右の前記サポート部材の間に配置され、着座者に電波を照射し、前記着座者からの反射波を受信する電波送受信装置とを有する乗物用シート。
【請求項2】
前記電波送受信装置の上端部は、前記サポート部材のそれぞれの上端部より下方かつ前記サポート部材のそれぞれの下端部より上方に配置されている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記アッパフレーム部には、ブラケットが結合され、
前記ブラケットは、面が前後を向く平板状の本体部と、前記本体部の左右の側縁から前方に向けて曲げられた縁壁とを有し、
前記本体部の前面には、前記電波送受信装置が結合されている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記バックフレームは、前記アッパフレーム部より下方を左右に延び、左右の前記サイドフレーム部のそれぞれに結合されたクロスメンバを有し、
前記本体部の下端部は前記クロスメンバに溶接されている請求項3に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記クロスメンバは、上方に向けて突出するように屈曲した複数の屈曲部を有し、
前記ブラケットは、前記クロスメンバの中央に位置する前記屈曲部の上端に溶接されている請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記電波送受信装置の上端部は、前記アッパフレーム部の上端部よりも下方に位置する請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項7】
左右側方から見て、前記電波送受信装置の上端部における前縁は、前記サポート部材の前縁よりも後方に配置されている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項8】
左右側方から見て、前記電波送受信装置の下部における前縁は、同じ高さにおける前記サイドフレーム部の前縁よりも後方に配置されている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項9】
前記電波送受信装置の上端部は、前記アッパフレーム部の前方に配置されている請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項10】
前記バックフレームには、パッドが支持され、
前記パッドの上部の背面には前記電波送受信装置を受容する凹部が形成されている請求項1に記載の乗物用シート。