(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111113
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】交換可能な先端部インサートを有する鼻腔吸引器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/24 20060101AFI20240808BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20240808BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
A61B17/24
A61B34/20
A61M1/00 131
A61M1/00 160
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024097934
(22)【出願日】2024-06-18
(62)【分割の表示】P 2021533212の分割
【原出願日】2019-12-02
(31)【優先権主張番号】62/777,799
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/676,502
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エブラヒミ・ババク
(72)【発明者】
【氏名】シャメリ・エーサン
(57)【要約】
【課題】吸引器具を提供する。
【解決手段】吸引器具は、近位端と、患者の解剖学的通路内又はそれに隣接して配置されるように構成された遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる吸引管腔と、を含む。吸引管腔は、遠位端に吸引を提供するように構成される。ナビゲーションセンサは、吸引管腔の一部分に沿って配設され、患者内の一部分の位置に対応する電気信号を生成するように動作可能である。連結機構は、近位端をハンドルアセンブリ(220、320)の本体(222、322)と解放可能に連結するように構成される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引器具のための吸引アタッチメントであって、
(a)近位端と、
(b)遠位端であって、患者の解剖学的通路内に又はそれに隣接して配置されるように構成されている、遠位端と、
(c)前記近位端と前記遠位端との間に延びる吸引管腔であって、前記遠位端において吸引を提供するように構成されている、吸引管腔と、
(d)前記吸引管腔の一部分に沿って配設されたナビゲーションセンサであって、前記患者内の前記一部分の位置に対応する電気信号を生成するように動作可能である、ナビゲーションセンサと、
(e)前記近位端に配設された連結機構であって、前記近位端をハンドルアセンブリの本体と解放可能に連結するように構成されており、前記本体は、前記患者に対して前記吸引アタッチメントを操作するために、ユーザによって把持されるように構成されている、連結機構と、を備える、吸引アタッチメント。
【請求項2】
吸引管を更に備え、前記吸引管が、前記吸引管腔を画定する、請求項1に記載の吸引アタッチメント。
【請求項3】
前記ナビゲーションセンサが、前記遠位端に配設されている、請求項1に記載の吸引アタッチメント。
【請求項4】
前記ナビゲーションセンサが、電磁気センサを含む、請求項1に記載の吸引アタッチメント。
【請求項5】
前記電磁気センサが、導電性コイルを備える、請求項4に記載の吸引アタッチメント。
【請求項6】
前記近位端に配設された電気コネクタを更に備え、前記電気コネクタが、前記ナビゲーションセンサと電気的に連結されている、請求項1に記載の吸引アタッチメント。
【請求項7】
EEPROMを更に備え、前記EEPROMが、前記吸引器具に関するデータを記憶するように動作可能である、請求項1に記載の吸引アタッチメント。
【請求項8】
前記近位端に配設されたコネクタブロックを更に備え、前記吸引管腔が、前記コネクタブロックに対して遠位方向に延びる、請求項1に記載の吸引アタッチメント。
【請求項9】
前記連結機構が、前記コネクタブロックによって提供される突起部又は陥凹部のうちの少なくとも一方を備える、請求項8に記載の吸引アタッチメント。
【請求項10】
前記連結機構が、第1の連結機構を備え、前記本体が、前記第1の連結機構と解放可能に係合するように構成された第2の連結機構を有することにより、前記吸引管腔を前記本体と解放可能に連結する、請求項1に記載の吸引アタッチメント。
【請求項11】
前記本体が、吸引源と流体連結するように構成された近位端と、前記第1の連結機構が前記第2の連結機構と係合する際に前記吸引管腔と流体連結するように構成された遠位端と、を有する、通路を含む、請求項10に記載の吸引アタッチメント。
【請求項12】
前記本体が、前記通路及び前記吸引管腔と流体連通する通気開口部を含み、前記通気開口部が、前記吸引源から前記吸引管腔に吸引を伝達するために選択的に閉鎖されるように構成されている、請求項11に記載の吸引アタッチメント。
【請求項13】
(a)前記吸引管腔の近位端に配設された第1の電気コネクタであって、前記ナビゲーションセンサと電気的に連結されている、第1の電気コネクタと、
(b)前記本体の遠位端に配設された第2の電気コネクタであって、プロセッサと通信するように構成されている、第2の電気コネクタと、を更に備え、
前記第1の電気コネクタ及び前記第2の電気コネクタが、前記吸引管腔が前記本体と連結される際に互いに電気的に連結することにより、前記電気信号を前記ナビゲーションセンサから前記プロセッサに送信するように構成されている、請求項10に記載の吸引アタッチメント。
【請求項14】
前記吸引管腔の近位端に配設されたコネクタブロックを更に備え、前記コネクタブロックが、前記第1の連結機構を提供する、請求項10に記載の吸引アタッチメント。
【請求項15】
(a)前記コネクタブロック内に収容された第1のEEPROMであって、前記コネクタブロック又は前記吸引管腔のうちの少なくとも一方に関連するデータを記憶するように動作可能である、第1のEEPROMと、
(b)前記本体内に収容された第2のEEPROMであって、前記本体に関するデータを記憶するように動作可能である、第2のEEPROMと、を更に備える、請求項14に記載の吸引アタッチメント。
【請求項16】
吸引器具のためのハンドルアセンブリであって、
(a)本体であって、
(i)吸引源と連結されるように構成された近位端と、
(ii)吸引管腔を有する吸引アタッチメントと解放可能に連結されるように構成された遠位端と、を備え、前記吸引アタッチメントの遠位端が、患者の解剖学的通路内又はそれに隣接して配置されるように構成され、
前記本体が、前記患者に対して前記吸引アタッチメントを操作するためにユーザによって把持されるように構成されている、本体と、
(b)前記本体を通って延びる通路であって、
(i)前記吸引源と流体連結されるように構成された近位端と、
(ii)前記吸引アタッチメントの前記吸引管腔と流体連結されるように構成された遠位端と、を備え、
前記通路が、前記吸引源から前記吸引管腔へ吸引を伝達するように構成されている、通路と、
(c)前記本体の前記遠位端に配置された第1の電気コネクタであって、前記吸引アタッチメントの第2の電気コネクタと解放可能に連結されて、前記患者内の前記吸引アタッチメントの位置に対応する電気信号を受信するように構成されている、第1の電気コネクタと、を備える、ハンドルアセンブリ。
【請求項17】
前記本体の前記遠位端に配置された第1の連結機構を更に備え、前記第1の連結機構が、前記吸引アタッチメントの第2の連結機構と解放可能に連結されるように構成され、前記第1の連結機構が、前記吸引アタッチメントを前記本体に取り付ける間、前記第1の電気コネクタと前記第2の電気コネクタとを電気的に連結するように更に構成されている、請求項16に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項18】
前記本体内に収容されたEEPROMを更に備え、前記EEPROMが、前記本体に関するデータを記憶するように動作可能である、請求項16に記載のハンドルアセンブリ。
【請求項19】
吸引器具であって、
(a)本体を含むハンドルアセンブリであって、前記本体が第1の連結機構を有する、ハンドルアセンブリと、
(b)前記本体から遠位方向に延びるように構成された吸引アタッチメントであって、
(i)患者の解剖学的通路内又はそれに隣接して吸引を提供するように構成された開放遠位端を有する吸引管と、
(ii)前記吸引管の一部分に沿って配設されたナビゲーションセンサであって、前記患者内の前記一部分の位置に対応する電気信号を生成するように動作可能である、ナビゲーションセンサと、
(iii)前記吸引管の近位端に配設された第2の連結機構であって、前記第1の連結機構と解放可能に係合することにより、前記吸引管を前記本体と連結するように構成されている、第2の連結機構と、を備える、吸引アタッチメントと、を備え、
前記本体は、前記患者に対して前記吸引アタッチメントを操作するために、ユーザによって把持されるように構成されている、吸引器具。
【請求項20】
前記本体が、プロセッサと電気的に連結するように構成された第1の電気コネクタを含み、前記吸引アタッチメントが、前記ナビゲーションセンサと電気的に連結された第2の電気コネクタを含み、前記第1の電気コネクタ及び前記第2の電気コネクタが、互いに解放可能に連結されて、前記電気信号を前記ナビゲーションセンサから前記プロセッサに送信するように構成されている、請求項19に記載の吸引器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2018年12月11日出願の米国仮特許出願第62/777,799号に基づく利益を主張し、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
場合によっては、粘膜の切開、骨の除去、又は解剖学的通路の拡張を行うなど、患者の解剖学的通路内又は解剖学的通路に隣接して手術を行うことが望ましい場合がある。このような操作は、副鼻腔の小孔(例えば、副鼻腔炎を治療するため)、喉頭、耳管、又は耳、鼻、若しくは喉内の他の通路などの解剖学的通路内で生じ得る。上述の操作又は同様の操作に加えて、上述の操作、又は類似の操作の前、最中、若しくは後に、解剖学的通路内又は解剖学的通路に隣接して吸引及び/又は潅注を適用することが望ましい場合がある。患者の解剖学的通路内又は解剖学的通路に隣接して吸引を適用する1つの方法は、細長いシャフトの開放遠位端で終端する、外部吸引源と流体連通した管腔を画定する細長いシャフトを有する吸引デバイスを得ることを含む。次いで、操作者は、患者の鼻孔又は口腔内に細長いシャフトの遠位端を患者内の所望の位置に向かって挿入することができる。細長いシャフトの遠位端が患者内に挿入された状態で、操作者は吸引デバイス及び/又は吸引源を操作することによって患者の解剖学的通路の近傍又はその内部の異物及び/又は所望されない物質を除去することができる。手術中に吸引及び/又は潅注を適用することは、当業者には明らかであるように複数の目的で有益であり得る。
【0003】
画像誘導手術(Image-guided surgery、IGS)は、コンピュータを用いて、患者の身体内に挿入された器具の位置の、術前に得られた画像群に対するリアルタイムの相関を得ることで器具の現在位置を術前に得られた画像に重ね合わせる技法である。いくつかのIGS手技では、術野のデジタルトモグラフィスキャン(例えば、CT又はMRI、3Dマップなど)を外科手術の前に得る。次に、特別にプログラムされたコンピュータを用いて、デジタルトモグラフィスキャンデータをデジタルマップに変換する。外科手術中、センサ(例えば、電磁場を発生させる及び/又は外部で発生した電磁場に反応する電磁コイル)が装着された特別な器具を用いて処置を実行し、同時に、センサがコンピュータに各手術用器具の現在位置を示すデータを送る。コンピュータは、器具装着センサから受信したデータを、術前トモグラフィスキャンから作成されたデジタルマップと相関付ける。トモグラフィスキャン画像は、スキャン画像内に示される解剖学的構造に対するそれぞれの外科器具のリアルタイム位置を示す指標(例えば、クロスヘア又は照明ドットなど)と共にシステムディスプレイデバイス(例えば、ビデオモニタ)上に表示される。これにより、外科医は、器具自体を体内のその現在の位置において直接見ることができない場合であっても、ビデオモニタを見ることによって各センサ搭載器具の正確な位置を知ることができる。
【0004】
ENT及び洞手術で用いることができる電磁IGSシステムの例としては、InstaTrak ENT(商標)システム(GE Medical Systems,Salt Lake City,Utahから入手可能)が挙げられる。本開示に従う使用のために改変することができる電磁気画像誘導システムの他の例としては、これらに限定されないが、CARTO(登録商標)3 System(Biosense-Webster,Inc.,Diamond Bar,California)、Surgical Navigation Technologies,Inc.(Louisville,Colorado)から入手可能なシステム、及びCalypso Medical Technologies,Inc.(Seattle,Washington)から入手可能なシステムが挙げられる。
【0005】
内視鏡下機能的副鼻腔手術(functional endoscopic sinus surgery、FESS)、バルーンサイナプラスティ(balloon sinuplasty)、及び/又は他のENT処置に適用した場合、画像誘導システムを用いることによって、外科医は、内視鏡だけを通して見ることによって実現することができるよりも、手術用器具のより正確な動き及び配置を実現することができる。これは、典型的な内視鏡の画像が空間的に制限された2次元の視線の視界だからである。画像誘導システムを用いることによって、空間的に制限された2次元の直接視線の内視鏡視野において実際に見えるものだけではなく、術野を囲む解剖学的構造全てのリアルタイムの3次元図が得られる。その結果、画像誘導システムはFESS、バルーンサイナプラスティ、並びに/又は、吸引及び/若しくは潅注源が望ましい場合があるその他のENT処置の実行中に特に有用であり得、特に、通常の解剖学的目印が存在しないか又は内視鏡的に視覚化することが難しい場合に有用である。
【0006】
ENT手技及び他の医療手技においてIGSナビゲーションシステム及び付属する構成要素の使用を更に容易とする特徴を提供することが望ましい場合がある。IGS及びENT手術に関連していくつかのシステム及び方法がこれまでに製造及び使用されているが、本発明者らよりも以前に付属の特許請求の範囲に記載される本発明を製造及び使用した者はないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】例示的な副鼻腔手術ナビゲーションシステムの模式図を示す。
【
図2】吸引器具と、吸引器具を
図1のナビゲーションシステムと連結するための連結ユニットとを有する例示的なアセンブリの斜視図を示す。
【
図4】
図2の線4-4に沿った、
図2の吸引器具の断面斜視図を示す。
【
図5】
図2の器具のハンドルアセンブリの断面斜視図を示す。
【
図6A】近位ハンドルアセンブリに連結された遠位吸引アタッチメントを示す、
図1のナビゲーションシステムと共に使用するのに適当な別の例示的な吸引器具の斜視図を示す。
【
図6B】近位ハンドルアセンブリから分離された遠位吸引アタッチメントを示す、
図6Aの吸引器具の別の斜視図を示す。
【
図7】近位ハンドルアセンブリから分離された遠位吸引アタッチメントを示す、
図6Aの吸引器具の別の斜視図を示す。
【
図8】
図7の線8-8に沿った、
図6Aの吸引器具のハンドルアセンブリの平面断面図を示す。
【
図9】コネクタブロック内に配置された機構を示すために吸引アタッチメントのコネクタブロックが透視図で示された、
図6Aの吸引器具の遠位吸引アタッチメントの近位端の斜視図を示す。
【
図10】
図6Aの切断線10-10に沿った、近位ハンドルアセンブリに連結された遠位吸引アタッチメントを示す、
図6Aの吸引器具の側面断面図を示す。
【
図11】近位ハンドルアセンブリから分離された遠位吸引アタッチメントを示す、
図1のナビゲーションシステムと共に使用するのに適当な別の例示的な吸引器具の斜視図を示す。
【
図12】
図11の吸引器具の近位ハンドルアセンブリと遠位吸引アタッチメントとの連結部分の拡大斜視図を示す。
【0008】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部/機構、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。例えば、様々であるが。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0010】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医のより近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタのより近くにかつ外科医からより遠くに配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上」、「下」、「上側」、「下側」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定も絶対も意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な配向及び位置で使用してもよいことが理解される。
【0011】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲の「約」又は「およそ」という用語は、参照される正確な値(複数可)だけでなく、構成要素の部分又は集合が、本明細書に記載されるその本来の目的のために機能することを可能とするような好適な寸法の許容誤差を包含することを意図する。
【0012】
I.例示的な画像誘導手術ナビゲーションシステム
患者(P)の頭部(H)内で医療処置を実施するとき、特に器具が患者(P)の頭部(H)内の器具の作業要素の内視鏡視野を得ることが困難又は不可能である場所にある場合に、患者(P)の頭部(H)内の器具の位置に関する情報を有することが望ましい場合がある。
図1は、画像誘導を使用してENT手技の実施を可能にする例示的なIGSナビゲーションシステム(10)を示す。本明細書に記載されている構成要素及び動作性を有することに加えて、又はそれに代わって、IGSナビゲーションシステム(10)は、以下の文献の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能となり得る。すなわち、米国特許第7,720,521号、発明の名称「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日発行)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)、米国特許出願公開第2014/0364725号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2014年12月11日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)。
【0013】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(10)は、馬蹄形フレーム(14)に一体化された磁場発生器(16)を含む磁場発生器アセンブリ(12)を含む。磁場発生器(16)は、患者(P)の頭部(H)の周りに異なる周波数の交流磁場を発生させるように動作可能である。この例では、ナビゲーションガイドワイヤ(30)が患者(P)の頭部(H)に挿入される。ナビゲーションガイドワイヤ(30)は、独立型装置であってもよく、又は外科用切断器具若しくは拡張器具などの医療器具のエンドエフェクタ又は他の位置に配置されてもよい。本実施例では、フレーム(14)が椅子(40)に装着され、フレーム(14)が患者(P)の頭部(H)に隣接して配置されるように患者(P)は椅子(40)に着座する。ほんの一例として、椅子(40)及び/又は磁場発生器アセンブリ(12)は、米国特許出願第15/933,737号、発明の名称「Apparatus to Secure Field Generating Device to Chair」(2018年3月23日出願)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の少なくとも一部の教示に従って構成され、動作可能であり得る。
【0014】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(10)は、IGSナビゲーションシステム(10)の磁場発生器(16)及び他の要素を制御するプロセッサ(18)を更に含む。例えば、プロセッサ(18)は、磁場発生器(16)を駆動して交流電磁場を生成し、ナビゲーションガイドワイヤ(30)からの信号を処理して患者(P)の頭部(H)内におけるナビゲーションガイドワイヤ(30)内のセンサの場所を判定するように動作可能である。プロセッサ(18)は、1つ又は2つ以上のメモリと通信する処理ユニットを含む。本例のプロセッサ(18)は、キーパッド及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティング装置を含む動作制御部(22)を含むコンソール(20)内に装着されている。医師は、外科的処置を行いながら、プロセッサ(18)と相互作用する動作制御部(22)を使用する。
【0015】
ナビゲーションガイドワイヤ(30)は、磁場発生器(16)によって発生された交流電磁場内の位置決めに応答するセンサ(図示せず)を含む。連結ユニット(26)はナビゲーションガイドワイヤ(30)の近位端に固定され、コンソール(20)とナビゲーションガイドワイヤ(30)との間のデータ及び他の信号の通信を提供するように構成されている。連結ユニット(26)は、コンソール(20)とナビゲーションガイドワイヤ(30)との間のデータ及び他の信号の有線通信又は無線通信を提供し得る。
【0016】
本例では、ナビゲーションガイドワイヤ(30)のセンサは、ナビゲーションガイドワイヤ(30)の遠位端部に少なくとも1つの導電性コイルを含む。かかるコイルが磁場発生器(16)によって生成された交流電磁場の中に配置されると、交流磁場がコイルの中に電流を生成し、この電流は、ナビゲーションガイドワイヤ(30)内の導電路(単数又は複数)に沿って近位方向に、連結ユニット(26)を介してプロセッサ(18)に更に伝送され得る。この現象により、IGSナビゲーションシステム(10)は、3次元空間内(すなわち、患者(P)の頭部(H)内)におけるナビゲーションガイドワイヤ(30)又は他の医療器具(拡張器具、外科用切断器具など)の遠位端の場所を決定することができる。これを達成するため、プロセッサ(18)は、ナビゲーションガイドワイヤ(30)の遠位端の位置座標を、ナビゲーションガイドワイヤ(30)内のコイル(複数可)の位置関連信号から計算するアルゴリズムを実行する。この実施例では、位置センサが、ガイドワイヤ(30)内に配置されているが、このような位置センサは、以下により詳細に記載されるものを含む、様々な他の種類の器具に統合されてもよい。
【0017】
プロセッサ(18)は、プロセッサ(18)のメモリに記憶されたソフトウェアを使用して、IGSナビゲーションシステム(10)を較正及び操作する。このような動作は、磁場発生器(16)を駆動することと、ナビゲーションガイドワイヤ(30)からのデータを処理することと、動作制御部(22)からのデータを処理することと、ディスプレイスクリーン(24)を駆動することと、を含む。いくつかの実装形態では、動作はまた、IGSナビゲーションシステム(10)の1つ又は2つ以上の安全機構又は機能の監視及び施行も含み得る。プロセッサ(18)は、患者の頭部(H)のビデオカメラ画像、患者の頭部(H)のCTスキャン画像、及び/又は患者の鼻腔内及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造のコンピュータ生成3次元モデルに関してナビゲーションガイドワイヤ(30)の遠位端の位置を示すディスプレイスクリーン(24)を介して、リアルタイムでビデオを提供するように更に動作可能である。ディスプレイスクリーン(24)は、外科手技中にこのような画像(28)を同時に及び/又は互いに重ねて表示することができる。このように表示される画像(28)は、ナビゲーションガイドワイヤ(30)などの患者の頭部(H)に挿入される器具のグラフィック表示も含んでもよく、こうして、操作者は、その実際の位置で、リアルタイムで器具の仮想レンダリングを見ることができる。あくまで一例として、ディスプレイスクリーン(24)は、米国特許出願公開第2016/0008083号、発明の名称「Guidewire Navigation for Sinuplasty」(2016年1月14日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って画像(28)を提供してもよい。操作者が内視鏡も使用している場合には、内視鏡画像をディスプレイスクリーン(24)に表示することもできる。
【0018】
ディスプレイスクリーン(24)によって提供される画像(28)は、器具がナビゲーションワイヤ(30)を組み込んでいる場合、患者の頭部(H)内の器具を操縦する、及びその他の方法で操作を行う際に操作者を誘導するのに役立ち得る。また、以下に記載するように、手術用器具の他の構成要素及び他の種類の手術用器具は、ナビゲーションガイドワイヤ(30)のセンサのようなセンサを組み込んでもよいことを理解されたい。
【0019】
II.例示的なナビゲート可能な吸引器具
様々な外科処置が、患者内の手術野及び/又は他の部位から液体及び/又は破片を除去するうえで吸引器具の使用を必要とし得る。例えば、FESS手術、副鼻腔形成術、及び/又は様々な他のENT処置において吸引を行うことが望ましい場合がある。更に、場合によっては、そのような吸引器具に画像案内ナビゲーション機能を提供することが望ましい場合がある。
【0020】
図2は、外科的処置中に吸引を与えるように動作可能であり、上記に述べたIGSナビゲーションシステム(10)と共に使用されるように構成された例示的な吸引器具アセンブリ(100)を示す。吸引器具アセンブリ(100)は、導管(90)を介して吸引源(80)と流体連結された吸引器具(110)を有している。吸引源(80)は、当業者には直ちに明らかな他の構成要素の中でもとりわけ、真空ポンプ及び流体リザーバを備えてよく、吸引器具(110)を通じて過剰な流体及び/又は細片を近位方向に引き込むのに充分な吸引を手術部位に与えるように構成されている。
【0021】
図2及び
図3に示されるように、吸引器具(110)は、連結ユニット(120)、近位吸引導管ポート(130)、把持部分(又は「ハンドルアセンブリ」)(140)、及び細長いカニューレアセンブリ(160)を有している。カニューレアセンブリ(160)の遠位端は、経鼻的に又は他の形で患者の鼻腔内又は鼻腔に隣接して(又は患者内の他の箇所に)挿入されることで選択された手術部位に吸引を与えるように構成されている。カニューレアセンブリ(160)は、その遠位端に取り付けられたセンサアセンブリ(190)を有している。後述するように、センサアセンブリ(190)は、連結ユニット(120)を介してIGSナビゲーションシステム(10)のコンソール(20)に信号を伝達するように動作可能なナビゲーションセンサを含んでいる。これらの信号に基づいて、プロセッサ(18)は、患者(P)の解剖学的構造に対するカニューレアセンブリ(160)の遠位端の3次元的な空間位置を決定するためのアルゴリズムを実行することができる。
【0022】
連結ユニット(120)は、センサカップリング(122)、コンソールカップリング(124)、及びセンサカップリング(122)とコンソールカップリング(124)とを接続し、これらの間の通信を確立するケーブル(126)を有している。センサカップリング(122)は、把持部分(140)の近位キャビティ(156)内に収容されるプロング(128)を有している。コンソールカップリング(124)がコンソール(20)と連結されるように構成され、センサカップリング(122)が吸引器具(110)のセンサアセンブリ(190)と連結されるように構成されていることにより、センサアセンブリ(190)はコンソール(20)と通信する。コンソールカップリング(124)は、上記に述べた連結ユニット(26)と同様、コンソール(20)と有線又は無線通信することができる。更に、連結ユニット(120)は、吸引器具(110)とコンソール(20)との間で一方向又は双方向にデータ又は他の信号を通信するように構成することができる。
【0023】
近位吸引導管ポート(130)は、近位掛かり付き構造(132)、遠位シャフト(134)、及び内部通路(136)を有している。近位掛かり付き構造(132)は、通路(136)と導管(90)の内部とが互いに流体連通するように導管(90)との確実な嵌合を提供するように構成されている。
【0024】
図2~
図5に最も分かりやすく示されるように、把持部分(140)は、本体(142)及び近位キャップ(145)を有している。本体(142)を操作者が把持することによって操作者が吸引器具(110)を操作及び制御することができる。本体(142)は、第1の通気開口部(144)、遠位開口部(146)、近位キャビティ(156)、及び遠位開口部(146)から近位キャビティ(156)内に延在する通路(154)を画定している。近位キャップ(145)は、本体(142)の近位部分に取り付けられ、近位キャビティ(156)を閉鎖する。近位キャップ(145)は、近位吸引導管ポート(130)のシャフト(134)を受容する第1の近位開口部(148)と、連結ユニット(120)のセンサカップリング(122)を受容する第2の近位開口部(150)と、を有している。
図5に示されるように、通路(154)は、カニューレアセンブリ(160)が組み立て時に遠位開口部(146)から近位方向に挿入される際、カニューレアセンブリの外側シース(162)の開放近位端(166)に当接するように構成された、遠位側に形成された肩部(152)を有している。
【0025】
細長いカニューレアセンブリ(160)は、外側シース(162)、内側吸引管(170)、センサアセンブリ(190)、及びセンサアセンブリ(190)を覆う遠位キャップ(184)を有している。外側シース(162)は開放遠位端(164)から開放近位端(166)にまで延び、屈曲部分(165)がそれらの間に位置している。外側シース(162)は、内側吸引管(170)の一部と、内側吸引管(170)によって画定される案内通路(180)内に案内通路に沿って延在する通信ワイヤ(196)の一部とを収容する中空の内部を画定している。
【0026】
内側吸引管(170)は、開放遠位端(174)から開放近位端(176)にまで延び、その間に屈曲部分(175)が配置されている。
図4に示されるように、内側吸引管(170)は、外側シース(162)の開放遠位端(164)の遠位側にセンサアセンブリ(190)を通じて延びる小径遠位部分(172)を有しており、センサアセンブリ(190)が小径遠位部分(172)に固定される。
図3に示されるように、内側吸引管(170)は、外側シース(162)と共にセンサアセンブリ(190)から近位方向に延びる通信ワイヤ(196)を収容する案内経路(180)を画定している。吸引管(170)及び外側シース(162)は剛性であってよく、患者の鼻腔内への挿入時に座屈することなく、屈曲領域(165、175)の屈曲を維持するように構成することができる。
【0027】
図4に示されるように、内側吸引管(170)は、開放遠位端(174)から開放近位端(176)にまで延びる吸引管腔(178)を画定している。内側吸引管(170)の近位部分は把持部分本体(142)の遠位開口部(146)を通じて受容され、吸引導管ポート(130)の経路(136)内へと近位方向に延びており、吸引管腔(178)は吸引導管(90)を介して吸引源(80)と流体連結するように構成されている。
図3及び
図4に示されるように、把持部分(140)の第1の通気開口部(144)は、吸引管(170)に形成された第2の通気開口部(182)を通じて吸引管腔(178)と流体連通している。操作中、操作者は把持部分(140)を把持し、第1の通気開口部(144)を選択的に閉鎖することで吸引源(80)から吸引管腔(178)に吸引を伝達することができる。図に示されるように、第1の通気開口部(144)は涙滴形状(又は他の何らかの細長い形状)に形成することができ、それにより、操作者が第1の通気開口部(144)上の操作者の親指(又は他の指)の長手方向の位置に基づいて吸引源(80)から吸引管腔(178)に伝達される吸引の量を選択的に変化させることが可能となる。
【0028】
場合によっては、吸引源(80)は外科処置の全体を通じて常に作動状態に置かれる。そのような例では、吸引源(80)が開放遠位端(174)からではなく、通気開口部(144、182)を通じて吸引を引くように、操作者は、患者内に器具(110)の開放遠位端(174)を配置する間に第1の通気開口部(144)を覆われない状態に保つことができる。操作者が、開放遠位端(174)を介して患者内の標的手術部位に吸引を適用することを望む場合、操作者は、通気開口部(144)を親指、指、又は他の物体で少なくとも部分的に覆うことで、吸引が吸引源(80)から開放遠位端(174)に伝達されるようにする。
【0029】
カニューレアセンブリ(160)のセンサアセンブリ(190)は、本明細書に参照によりその開示内容を援用するところの2018年4月27日出願の発明の名称が「Navigable Suction Instrument With Coaxial Annular Sensor」である米国特許出願第15/964,886号の教示に従う環状ナビゲーションセンサ(図示せず)を含んでもよい。ナビゲーションセンサは、IGSナビゲーションシステム(10)の磁場発生器(16)が発生する電磁場内のセンサアセンブリ(190)の存在に応答して電流が誘導される、コイル、ワイヤ巻線の層などの1つ又は2つ以上の電気誘導性部材を含んでもよい。1本又は2本以上のセンサワイヤ(図示せず)が、カニューレアセンブリ(160)を通ってセンサアセンブリ(190)から近位方向に延びて通信ワイヤ(196)と連結されており、
図5に示されるように、案内通路(180)に沿って把持部分(140)の近位キャビティ(156)内へと延びている。通信ワイヤ(196)はPCB基板(195)に連結され、PCB基板は更にセンサカップリング(122)のプロング(128)に連結される。上記に述べたように、連結ユニット(120)は、IGSナビゲーションシステム(10)のコンソール(20)と通信するように構成されている。
【0030】
センサアセンブリ(190)のナビゲーションセンサ内に誘導された電流は、電気信号として近位方向にセンサワイヤを通じて通信ワイヤ(196)へ、PCB基板(195)を通じて連結ユニット(120)へと伝達され、連結ユニットはこの信号をIGSナビゲーションシステム(10)のコンソール(20)に伝達する。次いで、プロセッサ(18)は、受信した電気信号に基づいて、ナビゲーションセンサの3次元位置座標を計算するためのアルゴリズムを実行する。センサアセンブリ(190)は細長いカニューレアセンブリ(160)の遠位端(174)に固定されているため、IGSナビゲーションシステム(10)は、外科処置の間に患者(P)の体内の少なくとも遠位端の位置をリアルタイムで計算、追跡、及び表示することができる。患者(P)の体内のカニューレアセンブリ(160)の位置を追跡する間、操作者は、上記の教示に従って任意の適当な時間に選択的に吸引を適用することができる。吸引器具アセンブリ(100)は、米国特許出願公開第15/964,886号の1つ又は2つ以上の教示に従って更に構成し、動作させることができる点は認識されよう。
【0031】
III.着脱可能な吸引先端部を有する例示的なナビゲーション可能な吸引器具
吸引器具(110)に関連して上記に述べたように、把持部分(140)とカニューレアセンブリ(160)とは、組み立て時に機械的及び電気的に永久的に連結されることで、操作者によって操作される単一のユニットを構成する。場合によっては、これらの構成要素をモジュール式として、例えば外科処置中に操作者が選択的に互いから分離することができるように、把持部分(140)とカニューレアセンブリ(160)とを代替的に構成することが望ましい場合もある。例えば、外科処置中の異なる解剖学的領域へのアクセスを容易にするために、それぞれの屈曲部分(165)で異なる屈曲角度を有する異なるカニューレアセンブリ(160)を使用することが望ましい場合がある。
【0032】
更に、把持部分(140)とカニューレアセンブリ(160)との間の選択的連結を可能とすることにより、把持部分(140)とカニューレアセンブリ(160)との間の使い捨て可能/再利用可能な二分を容易にすることができる。例えば、モジュール式把持部分(140)は、再使用に供されないか又は特定の第1の限定された回数で再使用に供されるようにしてもよく、一方、モジュール式カニューレアセンブリ(160)は再使用に供されないか又は特定の第2の限定された回数で再使用に供されるようにしてもよい。以下の説明は、モジュール式把持部分(140)とモジュール式カニューレアセンブリ(160)との間の選択的連結を可能とするように吸引器具(110)を改変する方法のあくまで例示的な実例を提供するものである。
【0033】
A.コネクタブロックを有する吸引アタッチメントを備えたナビゲーション可能な吸引器具
図6A~
図7は、以下でより詳細に説明するように、把持部分(又は「ハンドルアセンブリ」)(220)と、ハンドルアセンブリ(220)に解放可能に連結するように構成された吸引アタッチメント(260)とを有する例示的な代替的吸引器具(210)を示す。吸引器具(210)は、以下に別途記載される点を除いて、上記に述べた吸引器具(110)と同様である点は認識されよう。
図6A~
図8に示されるように、ハンドルアセンブリ(220)は、内部キャビティ(224)を画定する本体(222)と、本体(222)の近位端に連結された近位キャップ(226)とを有している。
図8に最も分かりやすく示されるように、内側管構造(228)が、内部キャビティ(224)を通って長手方向に延びて、上記に述べたハンドルアセンブリ(140)の通路(154)と同様の吸引通路(230)を画定している。内側管構造(228)は、吸引通路(230)の遠位端がハンドルアセンブリ本体(222)の遠位端に開口し、吸引通路(230)の近位端が近位キャップ(226)を通じて本体(222)の近位端に開口するように、本体(222)内に適当に配置されている。
図6A~
図7に示されるように、通気開口部(232)が本体(222)の上面を通じて延びて吸引通路(230)に開口している。通気開口部(232)は、吸引器具(110)に関連して上記に述べたのと同様の形で操作者によって選択的に覆われることで、吸引源(80)からの吸引を吸引アタッチメント(260)の吸引管腔(284)に伝達するような適当な形状とされ、そのように構成されている。
【0034】
図7、
図8、及び
図10に最も分かりやすく示されるように、ハンドルアセンブリ本体(222)の近位端は、内部キャビティ(224)の近位部分内に連結コネクタ(234)を収容しており、近位キャップ(226)を通じて連結コネクタ(234)にアクセス可能となっている。連結コネクタ(234)は、上記に述べた連結ユニット(120)又は同様の連結装置を解放可能に受容し、かつこれと電気的に連結するように構成されており、ハンドルアセンブリ(220)をIGSナビゲーションシステム(10)のコンソール(20)と通信させることができる。いくつかの変形例では、連結コネクタ(234)はLEMO(登録商標)コネクタを含むことができる。連結コネクタ(234)はあくまで任意選択的なものであり、いくつかの代替的な変形例では、連結ユニット(120)の遠位端をハンドルアセンブリ(220)と一体化することができる点を理解されたい。
【0035】
図6B及び
図8に最も分かりやすく示されるように、ハンドルアセンブリ本体(222)の遠位端は、内部キャビティ(224)の遠位部分内に一対の電気コネクタ(236a、236b)を収容している。電気コネクタ(236a、236b)は、本体(222)の遠位面(223)から露出し、吸引通路(230)の開放遠位端の両側に配置されている。以下により詳細に記載されるように、各電気コネクタ(236a、236b)は、吸引アタッチメント(260)がハンドルアセンブリ(220)と連結される際に吸引アタッチメント(260)のそれぞれの電気コネクタ(304a、304b)と電気的に連結するように構成されている。
図8に示されるように、本体(222)は、上記に述べたPCB基板(195)と同様であり得るPCB基板(238)(概略的に示される)をキャビティ(224)内に更に収容している。電気コネクタ(236a、236b)の一方又は両方は、PCB基板(238)と電気的に連結され、PCB基板は更に連結コネクタ(234)と電気的に連結されている。
【0036】
本例のハンドルアセンブリ本体(222)は、内部キャビティ(224)内に電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)(240)を更に収容している。ハンドルのEEPROM(240)は、ハンドルアセンブリ(220)に関するデータ、例えば、ハンドルアセンブリ(220)のシリアル番号及び/又は過去の使用歴を記憶するように動作可能である。ハンドルのEEPROM(240)はPCB基板(238)と電気的に連結されており、PCB基板は更に、ナビゲーションシステム(10)のプロセッサ(18)などの外部プロセッサと電気コネクタ(234)及び連結ユニット(120)を介して通信するように構成されている。
【0037】
本例のハンドルアセンブリ(220)は、ハンドルアセンブリ本体(222)の遠位部分の両側に形成された一対の陥凹溝(242)からなる第1の連結機構を更に有している。陥凹溝(242)は、吸引アタッチメント(260)がハンドルアセンブリ(220)に連結される際、吸引アタッチメント(260)の第2の連結機構(308)を解放可能に受容するように構成されている。下記により詳細に述べるように、連結機構(242、308)のこの係合は、ハンドルアセンブリの電気コネクタ(236a、236b)と吸引アタッチメントの電気コネクタ(304a、304b)とのアラインメント、及びカニューレアセンブリ(270)の吸引管腔(284)とハンドルアセンブリ(220)の吸引通路(230)とのアラインメントを促進する。
【0038】
上記に述べた吸引導管ポート(130)と同様の吸引導管ポート(250)が、ハンドルアセンブリ本体(222)から近位方向に延びている。吸引導管ポート(250)は近位掛かり付き部分(252)と遠位シャフト部分(254)とを有している。近位有棘部分(252)は吸引導管(90)と連結されるように構成され、遠位シャフト部分(254)は、ハンドルアセンブリ(220)の近位キャップ(226)に形成された上部開口部に挿入されることにより、吸引導管ポート(250)の内部通路がハンドルアセンブリ(220)の吸引通路(230)と流体連通するようになっている。したがって、吸引導管ポート(250)は、吸引源(80)及び吸引導管(90)からハンドルアセンブリ(220)の吸引通路(230)に吸引を伝達するように構成されている。
【0039】
吸引器具(210)の吸引アタッチメント(260)は、細長いカニューレアセンブリ(270)と、カニューレアセンブリ(270)の近位部分に取り付けられたコネクタブロック(300)とを有している。カニューレアセンブリ(270)は開放近位端(272)と開放遠位端(274)との間に延びており、それらの間に位置する屈曲部分(276)を有している。カニューレアセンブリ(270)は、カニューレアセンブリ(270)が外側シース(280)、吸引管腔(284)を画定する内側吸引管(282)、開放遠位端(274)に取り付けられたセンサアセンブリ(290)、及びセンサアセンブリ(290)を周方向に包囲する遠位キャップ(294)を有するという点で上記に述べたカニューレアセンブリ(160)と同様である。外側シース(280)及び内側吸引管(282)は中空の内部を含み、カニューレアセンブリ(270)の開放近位端(272)と開放遠位端(274)との間に延びている。更に、外側シース(280)及び/又は内側吸引管(282)は、カニューレアセンブリ(270)を患者の鼻腔内に挿入する際に座屈することなく屈曲部分(276)の屈曲角度を維持する剛性構造を備えてもよい。吸引器具(110)の吸引管(170)と異なり、本例の吸引管(282)は、吸引アタッチメント(260)をハンドルアセンブリ(220)と連結する際にハンドルアセンブリ本体(222)の全長を通って吸引導管ポート(250)内へと延びるようには構成されていない。
図9及び
図10に示されるように、吸引管(282)はコネクタブロック(300)の近位面(302)のすぐ近位側で終端し、吸引器具(210)の組み立て時にハンドルアセンブリ本体(222)の吸引通路(230)の遠位部分のみに挿入されるように構成されている。かかる構成は、カニューレアセンブリ(270)の近位部分の長さが最小化されるので有利である。
【0040】
カニューレアセンブリ(270)のセンサアセンブリ(290)は、ナビゲーションセンサ(292)を含む、上記に述べたセンサアセンブリ(190)の構成要素と同様の構成要素を含んでもよい。ナビゲーションセンサ(292)は、IGSナビゲーションシステム(10)のコンソール(20)に電気信号を伝達するように動作可能であり、それによりプロセッサ(18)は、患者(P)の解剖学的構造に対するナビゲーションセンサ(292)の、したがってカニューレアセンブリ(270)の遠位端(274)の3次元空間位置を決定するためのアルゴリズムを実行することができる。ナビゲーションセンサ(292)は、IGSナビゲーションシステム(10)の磁場発生器(16)が発生する電磁場内のナビゲーションセンサ(292)の存在に応答して電流が誘導される、コイル、ワイヤ巻線の層などの1つ又は2つ以上の電気誘導性部材を含んでもよい。あくまで一例にすぎないが、ナビゲーションセンサ(292)は、上記に援用した米国特許出願公開第15/964,886号に開示される種類の環状センサを含むことができる。
【0041】
図9に最も分かりやすく示されるように、吸引アタッチメント(260)のコネクタブロック(300)はカニューレアセンブリ(270)の近位部分に取り付けられており、近位部分はコネクタブロック(300)を通って延びてコネクタブロック(300)の近位面(302)から開放近位端(272)を露出させている。コネクタブロック(300)は、近位面(302)から露出して開放近位端(272)の両側に配置された一対の電気コネクタ(304a、304b)を収容している。本変形例では、下記に述べられるように、電気コネクタ(304a)がセンサアセンブリ(290)のナビゲーションセンサ(292)と電気的に連結されているのに対して、電気コネクタ(304b)は、コネクタブロック(300)内に収容されたEEPROM(306)と電気的に連結されている。電気コネクタ(304a)は、上記に述べた通信ワイヤ(196)と同様のワイヤ(図示せず)を介してナビゲーションセンサ(292)と連結されてもよい。かかるワイヤは、内側吸引管(282)の外側表面と外側シース(280)の内側表面との間に画定された通路を通ってカニューレアセンブリ(270)に沿って長手方向に延びることができる。各電気コネクタ(304a、304b)は、吸引アタッチメント(260)がハンドルアセンブリ(220)と連結される際にハンドルアセンブリ(220)のそれぞれの電気コネクタ(236a、236b)と電気的に連結されるように構成されている。
【0042】
本変形例では、ハンドルアセンブリの電気コネクタ(236a、236b)が電気ソケットを備えた雌コネクタの形態で示されているのに対して、吸引アタッチメントの電気コネクタ(304a、304b)は、ソケット内に受容されるように構成されたピンを備えた雄コネクタの形態で示されている。電気コネクタ(236a、236b、304a、304b)の様々な他の適当な構成を他の変形例で用いることができる点は認識されよう。例えば、ハンドルアセンブリ(220)及びコネクタブロック(300)のそれぞれが1つの雌電気コネクタと1つの雄電気コネクタを備えてもよい。あるいは、下記に述べられるように、ハンドルアセンブリ(220)及びコネクタブロック(300)のそれぞれが、電気コネクタ(236a、236b、304a、304b)に包含されていたものと同じ数のピン及びソケットを包含する単一の電気コネクタを有してもよい。そのため、各電気コネクタ(236a、236b、304a、304b)は、ピン又はソケットの任意の適当な量及び配置を有することができる。あくまで一例として、電気コネクタ(236a、236b、304a、304b)は、Mill-Max,Mfg.Corp.of Oyster Bay,New Yorkによるコネクタを含むことができる。
【0043】
図9に示されるように、吸引アタッチメント(260)のコネクタブロック(300)は、吸引アタッチメント(260)に関するデータを記憶するように動作可能な第2のEEPROM(306)を更に収容している。かかるデータは、シリアル番号、カニューレアセンブリ(270)の屈曲部分(276)の屈曲角度、コネクタブロック(300)又は別の基準点からのセンサアセンブリ(290)の距離、吸引アタッチメント(260)の他の物理的特性、及び/又は吸引アタッチメント(260)の以前の使用を含むことができる。本例では、アタッチメントのEEPROM(306)は、コネクタブロック(300)の電気コネクタ(304b)と電気的に連結される。したがって、上記に述べたように、電気コネクタ(304b)がハンドルアセンブリ(220)の電気コネクタ(236b)と連結される際、アタッチメントのEEPROM(306)はPCB基板(238)と通信状態となり、PCB基板は更に電気コネクタ(234)を介してナビゲーションシステム(10)のプロセッサ(18)と通信するように構成される。吸引器具(210)のいくつかの代替的な変形形態では、ハンドルアセンブリ(220)及び吸引アタッチメント(260)はそれぞれ、ナビゲーションセンサ(292)及びアタッチメントのEEPROM(306)に電気信号を送信する電気接点を有する単一の電気コネクタを含んでもよい。かかる変形例では、ハンドルアセンブリ(220)によって受信された混合信号は、ハンドルアセンブリ(220)の内部又は外部に配置された信号フィルタ装置(図示せず)による処理によって分離することができる。
【0044】
場合によっては、最大使用期間(例えば、1回又は2回以上の使用後)の後、吸引アタッチメント(260)を廃棄又は消毒することが望ましい場合がある。その点に関して、また、上記に述べたように、アタッチメントのEEPROM(306)は、吸引アタッチメント(260)の使用に関するデータを追跡及び記憶するように動作可能であってよい。いくつかの変形例では、アタッチメントのEEPROM(306)は、更なる使用を行うことなく吸引アタッチメント(260)が消毒又は廃棄されるべき場合に、最大使用期間に達したという指示を操作者に与える通知機能に命令するように構成することができる。あるいは、又は上記に加えて、取り付けEEPROM(306)は、最大使用期間に達した時点で吸引アタッチメント(260)の更なる使用を防止するか、又は他の形で制限するように無効化機能に命令するように構成することもできる。このような通知機能及び無効化機能は、吸引器具(210)の一部に組み込んでもよく、又は吸引器具(210)とは別々に提供されてもよい。同様の使用通知及び/又は使用無効化機能は、ハンドルアセンブリ(220)及びハンドルEEPROM(240)に関連して提供され得る点は認識されよう。例えば、あくまで一例として、吸引アタッチメント(260)は、必要な消毒又は廃棄前に2回以上の使用に供される場合があり、ハンドルアセンブリ(220)は、必要な消毒又は廃棄前に100回以上の使用に供される場合がある。更に、アタッチメントのEEPROM(306)及び/又はハンドルのEEPROM(240)は、エンドユーザが無効化機能(複数可)又は通知機能(複数可)を上書きすることを防止するソフトウェア内でコード化された1つ又は2つ以上の安全機能を含んでもよい。
【0045】
いくつかの変形例では、ハンドルアセンブリ(220)又はハンドルアセンブリ(22)の外部のプロセッサ、例えばナビゲーションシステム(10)のプロセッサ(18)は、認識されないアタッチメントがハンドルアセンブリ(220)と使用されることを防止するように適当に構成することができる。例えば、ハンドルアセンブリのPCBボード(238)又はナビゲーションシステムのプロセッサ(18)を、アタッチメントのEEPROM(306)によって記憶されたシリアル番号を識別し、識別されたシリアル番号を、許容されるシリアル番号のデータベースと照合するように構成することができる。識別されたシリアル番号がデータベース内に含まれていない場合、又は、遠位アタッチメントにシリアル番号が記憶されていない場合(例えば、EEPROM(306)がアタッチメントから完全に省略されている場合)、ハンドルアセンブリ(220)、吸引アタッチメント(260)、及び/又は吸引源(80)が無効化機能によって自動的に無効化されるようにしてもよい。
【0046】
必要に応じて、吸引器具(210)、連結ユニット(120)、及び/又はIGSナビゲーションシステム(10)の様々な他の部分にわたって更なるEEPROMSを設けることができる点は認識されよう。例えば、第1の更なるEEPROMを連結ユニット(120)のケーブル(126)内に設けることができ、連結ユニット(120)に関するデータを記憶するように構成することができる。第2の更なるEEPROMを、連結装置(120)をIGSナビゲーションシステム(10)のコンソール(20)と連結する連結装置(例えば、「ドングル」)内に設けることができ、連結ユニット(120)とコンソール(20)との間で送信される信号を増幅するように構成することもできる。
【0047】
図6A~7及び
図8に示されるように、吸引アタッチメント(260)のコネクタブロック(300)は、近位面(302)の互いに反対側の側面から近位方向に突出した一対のプロング状アーム(308)の形態の連結機構を更に有している。各アーム(308)は、ハンドルアセンブリ本体(222)の陥凹溝(242)の対応する1つの中に長手方向にスライドするように構成されている。アーム(308)と陥凹溝(242)とのこのような係合は、吸引アタッチメントの電気コネクタ(304a、304b)とハンドルアセンブリの電気コネクタ(236a、236b)との整列を促進する。アーム(308)と陥凹溝(242)との係合はまた、カニューレアセンブリ(270)の開放近位端(272)とハンドルアセンブリ(220)の吸引通路(230)の開放遠位端との同軸の整列を促進し、吸引アタッチメント(260)とハンドルアセンブリ(220)とが完全に係合すると吸引通路(230)は吸引管腔(284)と流体連通することができる。本変形例のハンドルアセンブリ(220)及びコネクタブロック(300)は、陥凹溝(242)及びアーム(308)の形態の連結機構を有するものとして示されているが、他の変形例では、様々な他の種類の連結機構を用いることができる点は認識されよう。
【0048】
図6A~7及び
図10に示されるように、吸引アタッチメント(260)とハンドルアセンブリ(220)との完全な係合は、吸引アタッチメントの電気コネクタ(236a、236b)とハンドルアセンブリの電気コネクタ(236a、236b)とを電気的に連結すると同時に吸引アタッチメント(260)の吸引管腔(284)をハンドルアセンブリの吸引通路(230)と流体連結するように機能する。
図10に示されるように、吸引管(282)の近位端を含むカニューレアセンブリ(270)の開放近位端(272)は、ハンドルアセンブリの本体(222)内にわずかに突出して吸引管腔(284)と吸引通路(230)との間の流体連通を確立する。したがって、吸引は、吸引源(80)から吸引通路(230)を通じて吸引管腔(284)に伝達され、液体及び/又はデブリをカニューレアセンブリ(270)の開放遠位端(274)を通じて、操作者によって開放遠位端(274)が配置される手術部位から吸引することができる。操作者は、上記に述べた要領で通気開口部(232)を選択的に覆うことによって、開放遠位端(274)に伝達される吸引の量を制御することができる。同時に、ナビゲーションセンサ(292)は、磁場発生器(16)によって患者の頭部(H)の周囲に発生された電磁場と相互作用して(
図1を参照)電気信号を発生するように構成されており、この電気信号はカニューレアセンブリ(270)、ハンドルアセンブリ(220)、及び連結ユニット(120)を通じてIGSナビゲーションシステム(10)のコンソール(20)に伝達される。これらの信号を受信することに応じて、プロセッサ(18)は、次いで、患者(P)の解剖学的構造に対する開放遠位端(274)の3次元空間位置を決定してディスプレイ(24)に表示することができる。
【0049】
いくつかの変形例では、吸引器具(210)のコネクタブロック(300)及び/又はハンドルアセンブリ本体(222)は、コネクタブロック(300)とハンドルアセンブリ(220)とが互いに完全に押し込まれる際に陥凹溝(242)内にアーム(308)を解放可能に保持することによってハンドルアセンブリ(220)とコネクタブロック(300)との間の機械的連結を強化するように機能するロック機構(図示せず)を含んでもよい。かかるロック機構は、操作者が吸引アタッチメント(260)をハンドルアセンブリ(220)から意図的に分離するために行う動作のみに応じてハンドルアセンブリ本体(222)からのコネクタブロック(300)の分離を可能にするように構成することができる。ロック機構は、ハンドルアセンブリ本体(222)の遠位面(223)を吸引アタッチメント(260)の近位面(302)と充分に近接した状態に維持するように更に構成することができ、これにより、液体が電気コネクタ(236a、236b)と接触して短絡させることが防止され、空気、液体、及び他の細片が吸引管腔(284)と吸引通路(230)との間の界面(
図10を参照)から漏出することが防止される。かかるロック機構は、本明細書の教示を考慮することで当業者には直ちに明らかとなる1つ又は2つ以上のラッチ、戻り止め、磁石、又は他の適当な機構を含むことができる。ロック機構は、アーム(308)及び陥凹溝(242)に、又はコネクタブロック(300)及びハンドルアセンブリ本体(222)の他の部分に組み込むことができる。
【0050】
更に、いくつかの変形例では、ハンドルアセンブリ(220)及び/又は吸引アタッチメント(260)は、液体が電気コネクタ(236a、236b、304a、304b)に接触して短絡させることを防止するように構成された1つ又は2つ以上の電気的シール(図示せず)を含んでもよい。かかる電気的シールは、ハンドルアセンブリ本体(222)の遠位面(223)の電気コネクタ(236a、236b)及び/又はコネクタブロック(300)の近位面(302)の1つ又は2つ以上の電気コネクタ(304a、304b)のうちの1つ又は2つ以上を包囲することができる。かかるシールは、吸引アタッチメント(260)がハンドルアセンブリ(220)に完全に取り付けられる際に面(223、302)の間で弾性的に圧縮するように構成されたフォーム又はゴムなどの任意の適当な材料を含むことができる。更に、吸引器具(210)は、カニューレアセンブリ(270)の吸引管腔(284)とハンドルアセンブリ(220)の吸引通路(230)との間の接合部からの空気、液体、及び細片の漏れを防止するように構成された吸引シール(図示せず)を含んでもよい。かかる吸引シールは、カニューレアセンブリ(270)の開放近位端(272)又は吸引通路(230)の開放遠位端内に設けられるOリングシールの形態で与えることができる。様々な他の形態のシール及びガスケット様構造をハンドルアセンブリ(220)と吸引アタッチメント(260)との間の界面に設けることで吸引流路の漏れを防止し、電気コネクタ(236a、236b、304a、304b)を短絡から保護することができる点は認識されよう。
【0051】
B.一体型電気接点を有する着脱可能なカニューレアセンブリを有するナビゲーション可能な吸引器具
場合によっては、吸引器具(210)からコネクタブロック(300)を省いて、吸引アタッチメント(260)のよりサイズ効率のよい変形例を提供することが望ましい場合がある。
図11~
図12は、ハンドルアセンブリ(320)と、近位端(352)がハンドルアセンブリ(320)と解放可能に直接連結されるように適当に構成された着脱可能なカニューレアセンブリ(350)とを有する例示的な代替的ナビゲーション吸引器具(310)を示す。ハンドルアセンブリ(320)は、ハンドルアセンブリ(320)が内部キャビティ(図示せず)を画定する本体(322)と、本体(322)の近位端に連結された近位キャップ(324)を有する点で上記に述べたハンドルアセンブリ(220)と同様である。吸引通路(326)が本体(322)を通って長手方向に延びて本体(322)の上面に形成された通気開口部(328)と流体連通している。吸引導管ポート(340)が近位キャップ(324)から近位方向に延びており、吸引導管(90)と連結されることにより、ハンドルアセンブリ(320)の吸引通路(326)を吸引源(80)と流体連結するように構成されている。
【0052】
下記に述べるように、ハンドルアセンブリ本体(322)の遠位面(323)は、カニューレアセンブリ(350)の近位端(352)を解放可能に受容するように構成された取り付けポート(330)を有している。本例の取り付けポート(330)は、吸引通路(326)の開放遠位端を画定する環状陥凹肩部(332)、及び陥凹肩部(332)内に設けられた電気ソケット(334)の形態の一対の電気接点を有している。電気ソケット(334)は、ハンドルアセンブリ本体(322)内に収容された1つ又は2つ以上の電気的要素と電気的に連結されており、この電気的要素は、上記に述べたハンドルアセンブリ(220)の連結コネクタ(234)、PCBボード(238)、及びハンドルのEEPROM(240)と同様の構成要素を含むことができる。ソケット(334)以外の様々な適当な種類の電気接点を、ハンドルアセンブリ(320)の他の変形形態の陥凹肩部(332)又は陥凹肩部(332)を取り囲む側壁に設けることができる点は認識されよう。
【0053】
着脱可能なカニューレアセンブリ(350)は、着脱可能なカニューレアセンブリ(350)が開放近位端(352)と開放遠位端(354)との間に延び、それらの間に屈曲部分(356)が配置されている点で上記に述べたカニューレアセンブリ(270)と同様である。更に、着脱可能なカニューレアセンブリ(350)は、外側シース(360)、吸引管腔(364)を画定する内側吸引管(362)、開放遠位端(354)に配置され、ナビゲーションセンサ(372)を有するセンサアセンブリ(370)、及びセンサアセンブリ(370)を周方向に包囲する遠位キャップ(374)を有している。これらの要素は、上記に述べたカニューレアセンブリ(270)の対応する要素と同様であってもよい。
【0054】
着脱可能なカニューレアセンブリ(350)の開放近位端(352)は、近位方向に突出したピン(380)の形態の一体型の電気接点対を含む。電気ピン(380)は、ナビゲーションセンサ(372)と電気的に連結され、場合により、カニューレアセンブリ(350)の一部の内部に収容されるか又は他の形で連結された、上記に述べたアタッチメントのEEPROM(306)と同様であってもよいEEPROM(図示せず)にも連結されている。ピン(380)以外の様々な適当な種類の電気接点を他の変形例の開放近位端(352)に設けることができる点は認識されよう。例えば、開放近位端(352)は、ハンドルアセンブリ(320)の陥凹肩部(332)から突出する1つ又は2つ以上の電気的接触ピンを受容するように構成された1つ又は2つ以上の電気的接触ソケットを含んでもよい。
【0055】
着脱可能なカニューレアセンブリ(350)の開放近位端(352)は、ハンドルアセンブリ(320)の取り付けポート(330)内に解放可能に受容されて、カニューレアセンブリ(350)とハンドルアセンブリ(320)とを機械的かつ電気的にしっかりと連結するように構成されている。詳細には、開放近位端(352)の近位面が取り付けポート(330)内の陥凹肩部(332)に当接することでカニューレアセンブリ(350)の吸引管腔(364)がハンドルアセンブリ(320)の吸引通路(326)と流体連結し、カニューレアセンブリ(350)の電気的ピン(380)が、ハンドルアセンブリ(320)の電気ソケット(334)内に受容されて電気ソケットと電気的に連結するようになっている。完全に組み立てられた時点で、吸引器具(310)は、上記に述べた吸引器具(110、210)と同じ要領でIGSナビゲーションシステム(10)と共に動作可能である。
【0056】
図示されていないが、吸引器具(310)のハンドルアセンブリ(320)及び/又は着脱可能なカニューレアセンブリ(350)は、吸引管腔(364)と吸引通路(326)との間の接合部からの空気、流体、又は細片の漏れを防止するように機能する1つ又は2つ以上の弾性シールを更に含んでもよい。かかるシールはまた、流体が電気接点(334、380)と接触して短絡させることを防止するように機能してもよい。更に、ハンドルアセンブリ(320)及び/又は着脱可能なカニューレアセンブリ(350)は、ハンドルアセンブリ(320)と着脱可能なカニューレアセンブリ(350)との間の機械的連結を強化するように機能する1つ又は2つ以上の解放可能なロック機構(例えば、ラッチ、戻り止め、磁石など)を更に含んでもよい。
【0057】
吸引器具(210、310)のハンドルアセンブリ(220、320)を、吸引アタッチメント(260、350)に関連して本明細書に示し、説明したが、ハンドルアセンブリ(220、320)は、ハンドルアセンブリ(220、320)と解放可能に連結されるように適当に構成された近位端を有する様々な他の種類の外科用アタッチメントと互換的に使用することができる点は認識されよう。あくまで一例にすぎないが、かかる代替的なアタッチメントは、以下に開示される装置のうちの任意の1つ又は2つ以上の全体又は部分を組み込んでもよい。すなわち、2018年3月29日公開の発明の名称が「Suction Device for Use in Image-Guided Sinus Medical Procedure」である米国特許出願公開第2018/0085174号、2018年3月17日出願の発明の名称が「Curette with Navigation Sensor」である米国特許出願第62/658,688号、2017年10月27日出願の発明の名称が「Tissue Shaving Instrument」である米国特許出願第15/795,473号、2017年12月4日出願の発明の名称が「Dilation Instrument with Navigation and Distally Located Force Sensor」である米国特許出願第15/830,205号、2017年12月12日出願の発明の名称が「Tissue Shaving Instrument with Navigation Sensor」である米国特許出願第15/839,274号、2017年12月22日出願の発明の名称が「Dilation Instrument with Guide Catheter Type Sensor」である米国特許出願第15/852,470号、2018年6月7日出願の発明の名称が「Endoscope with Integral Navigation Sensor」である米国特許出願第16/002,016号、2018年8月17日出願の発明の名称が「Endoscope with Anatomy Elevation Assembly」である米国特許出願第62/765,168号、2018年10月5日出願の発明の名称が「Hollow Tube Surgical Instrument with Single Axis Sensor」である米国特許出願第62/741,594号、2018年10月5日出願の発明の名称が「Dilation Instrument with Malleable Guide and Dilation Catheter with Integral Position Sensor」である米国特許出願第62/741,614号、又は2018年10月5日出願の発明の名称が「Pointer Instrument with Malleable Shaft and Integral Position Sensor」である米国特許出願第62/741,778号。尚、これらの参考文献の開示内容を参照により本明細書に援用する。
【0058】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例0059】
外科用器具であって、(a)近位端と、(b)遠位端であって、患者の解剖学的通路内に又はそれに隣接して配置されるように構成されている、遠位端と、(c)近位端と遠位端との間に延びる吸引管腔であって、遠位端において吸引を提供するように構成されている、吸引管腔と、(d)吸引管腔の一部分に沿って配設されたナビゲーションセンサであって、患者内の一部分の位置に対応する電気信号を生成するように動作可能である、ナビゲーションセンサと、(e)近位端に配設された連結機構であって、近位端を本体と解放可能に連結するように構成されている、連結機構と、を備える、外科用器具。