IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーの特許一覧

特開2024-111124静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法
<>
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図1
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図2
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図3
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図4
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図5
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図6
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図7
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図8
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図9
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図10
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図11
  • 特開-静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111124
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】静脈内治療システムおよび静脈内装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240808BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024098126
(22)【出願日】2024-06-18
(62)【分割の表示】P 2021541650の分割
【原出願日】2020-01-16
(31)【優先権主張番号】62/794,431
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/741,931
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エス.レイ アイザックソン
(72)【発明者】
【氏名】マーク ヴァイマー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー シー.ファリネッラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(57)【要約】
【課題】静脈内治療システムを提供すること。
【解決手段】静脈内治療システムが血管内に挿入されたときに患者の皮膚に底部が近接して、反対側の上部が上方向に延びるタブを備えるハブセッションと、ハブセクション側の直線状の近位端に対して遠位端が5度から15度の間の曲線の角度で湾曲した針と、湾曲した針が通って延びる湾曲したカテーテルと、を備え、湾曲した針および湾曲したカテーテルの湾曲角度により、当該針およびカテーテルが患者の体内の血管と軸方向に交差し、該針およびカテーテルの湾曲の角度が5度から15度の間である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブセクションであって、上部と、前記上部の反対側の底部とを備え、前記底部は、静脈内治療システムが血管内に挿入されたときに患者の皮膚に近接するように構成され、前記ハブセクションの前記上部は、上方向に延びるタブを備える、前記ハブセクションと、
湾曲した針であって、前記湾曲の遠位端が前記湾曲の近位端から間隔をあけて配置された曲線からなり、前記湾曲の近位端が前記湾曲した針の直線状の近位端に近接しており、前記湾曲が前記湾曲した針の前記直線状の近位端に対して5度から15度の間であり、前記湾曲の部分が上方に向かって湾曲している、前記湾曲した針と、
湾曲したカテーテルであって、前記湾曲した針が通って延びる前記湾曲したカテーテルと、
を含み、
前記湾曲した針の第1の長さおよび前記湾曲したカテーテルの第1の長さを患者の体内に挿入すると、前記湾曲した針および前記湾曲したカテーテルの湾曲角度により、前記湾曲した針および前記湾曲したカテーテルが前記患者の体内の血管と軸方向に交差し、前記針および前記カテーテルの前記湾曲の角度は5度から15度の間である、静脈内治療システム。
【請求項2】
前記湾曲した針の前記第1の長さが前記湾曲したカテーテルの前記第1の長さよりも長い、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項3】
前記湾曲した針は、前記湾曲した針の遠位端に形成された斜角をさらに含み、前記斜角の縁は、前記湾曲した針の湾曲の中心点に面するように形成される、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項4】
第2の長さの前記湾曲した針および第2の長さの前記湾曲したカテーテルを患者の体内に挿入することに応答して、前記湾曲した針および前記湾曲したカテーテルが前記血管と平行である、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項5】
前記湾曲したカテーテルがポリマーでできており、前記湾曲した針上に熱成形されている、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項6】
直線のカテーテルの周囲に直線の針が形成された後、前記湾曲した針の湾曲および前記湾曲したカテーテルの湾曲が作成される、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項7】
前記湾曲した針および湾曲したカテーテルの完全な挿入に応答して、前記針の斜角が前記血管の壁に押し付けられるのが防止される、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項8】
加熱された金属を押出ダイに導入し、前記押出ダイは内部スパイダーダイを含み、前記内部スパイダーダイは、中央シャフトと漏斗部分とからなり、前記中央シャフトは中空管の内径を規定し、前記漏斗部分は前記中空管の外径を規定する工程と、
前記内部スパイダーダイの出口平面を前記スパイダーダイの押し出し軸に対して非直交になるように調整する工程であって、前記中央シャフトおよび前記漏斗部分は、前記出口平面が前記中央シャフトと位置合わせされた前記押し出し軸に対して非直交となるように、高い側および低い側を有する前記出口平面を形成する工程と、
前記加熱された金属を押出ダイを通して押出して前記中空管を形成する工程であって、前記加熱された金属が前記押出ダイを通して押出しされると、形成された前記中空管は、前記低い側から前記高い側に向かって湾曲して前記中空管に湾曲を形成し、前記中空管の湾曲は、5~15度の間である工程と、
前記中空管上にカテーテルを形成して、前記中空管上に湾曲したカテーテルを形成し、前記カテーテルの曲率の角度は5度から15度の間である工程と
を含む、静脈内装置を製造する方法。
【請求項9】
前記金属がステンレス鋼である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中空管の外面に対して前記カテーテルを弛緩させるために前記カテーテルに熱を加えることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記中空管の遠位端に斜角を形成して鋭い先端を形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
押し出し中に前記内部スパイダーダイの出口面を、前記スパイダーダイの前記押し出し軸に対して非直交から前記押し出し軸に直交するように調整して、前記中空管の全長の第2の距離に沿った直線部分を形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記中空管の遠位端に斜角を形成して鋭い先端を形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
加熱された金属を押出ダイに導入し、前記押出ダイは内部スパイダーダイを含み、前記内部スパイダーダイは、中央シャフトと漏斗部分とからなり、前記中央シャフトは中空管の内径を規定し、前記漏斗部分は前記中空管の外径を規定する工程と、
前記加熱された金属を前記押出ダイを通して押出して前記中空管を形成する工程であって、前記中央シャフトと前記漏斗部分とが、前記中央シャフトと一致する押し出し軸と直交する出口平面を形成し、前記加熱された金属が前記押出ダイを通して押出されると、形成された前記中空管が直線状である工程と、
前記中空管の外側にプラスチックカテーテルを形成し、前記プラスチックカテーテルが直線状の前記中空管と同軸になるようにする工程と、
ベンドフィクスチャを使用して、前記中空管とプラスチックカテーテルを曲げて、前記中空管とカテーテルに曲線を形成し、前記中空管およびプラスチックカテーテルの湾曲は、5度から15度の間である工程と、
を含む、静脈内装置を製造する方法。
【請求項15】
前記金属がステンレス鋼である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記中空管の外面に対して前記カテーテルを弛緩させるために前記カテーテルに熱を加えることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記中空管をアニーリングすることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記曲線の角度が1度から10度の間である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記漏斗部分と前記中央シャフトの間の間隔は均一である、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記漏斗部分と前記中央シャフトの間の間隔は均一である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲した針および湾曲したカテーテルを介した血管アクセスのための静脈内治療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの静脈内治療システムは、真っ直ぐな針および真っ直ぐな針の周りに軸方向に形成されたカテーテルを含み得る。静脈内治療システムは、さまざまな注入治療に使用できる。例えば、静脈内治療システムは、生理食塩水、様々な薬剤、および非経口栄養などの液体を患者に注入するために使用され得る。静脈内治療システムはまた、患者から血液を抜くために使用され得る。体内への挿入を容易にするために、静脈内治療システムの針は、斜角が患者の皮膚とは反対方向を向くときに患者の皮膚と接続するために使用される斜角を含んだ遠位先端を含む。
【0003】
ただし、直線針を使用する静脈内治療システムでは、いくつかの問題が発生する。これらの静脈内治療システムの操作中に、針の遠位端に形成された傾斜(bevel)は、静脈内治療システムの挿入角度が一定のままであっても、針の遠位端を見かけ上平坦(patent even)内に深く「潜らせる」可能性がある。静脈内治療システムの挿入プロセスを完了するために、臨床医は、患者の体内にさらに潜る針と戦うように、患者に対する静脈内治療システムの角度を下げることができる。これはまた、静脈内治療システムによってアクセスされている患者の血管に対してより平行な位置に針の遠位端を配置することを試みるために行われ得る。
【0004】
しかしながら、臨床医による静脈内治療システムのこの操作は、針のゲージが増加するにつれて、挿入角度が低くなると針が比較的簡単に曲がるため、より小さなゲージ(gauge)の針およびカテーテル(例えば、20ゲージ、22ゲージ、および24ゲージ)では効果が限定的である。次に、針の遠位端は、静脈内で約20度の角度で配置され得、真っ直ぐにならない場合がある。超音波画像は、患者の血管内の静脈内治療システムの角度が、針の遠位端を血管の内面の近くに配置し、針の遠位端が血管の後壁に食い込んでいることを示している。針の遠位端が患者の血管の後壁に食い込むと、他の病状の中でもとりわけ、血管の外傷、炎症、静脈炎を引き起こす可能性がある。これは、静脈内治療システム内に真空が発生したときに、針の遠位端が静脈壁に吸引された状態で採血する場合にも問題になる。この真空の生成はさらに、針の遠位端が詰まる原因となり、それにより、流体が静脈内治療システムの針および/またはカテーテルを通過するのを妨げる可能性がある。
【0005】
本明細書で特許請求される主題は、何かの課題を解決する実施形態、または本明細書で説明されるような環境においてのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、本背景技術は、ここで説明される実施形態が動作し得る環境を説明するために提供されるものである。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、一般に、静脈内治療システムおよび関連するシステムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、静脈内治療システムは、患者の血管への静脈内治療システムの最初の挿入とは別に、患者への追加の身体的外傷を回避するような方法で患者の血管へのアクセスを提供する。静脈内治療システムは、湾曲した針を含み得る。
【0007】
一実施形態では、湾曲したカテーテルは、湾曲した針の外面の周りに形成される。一実施形態では、湾曲したカテーテルは、湾曲した針と同軸に形成される。一実施形態では、湾曲したカテーテルは、湾曲した針とほぼ同軸に形成することができる。湾曲した針および湾曲したカテーテルの第1の長さを患者の体内に挿入すると、湾曲した針および湾曲したカテーテルの湾曲角度により、湾曲した針および湾曲したカテーテルが患者の体内の血管と軸方向に交差する。静脈内治療システムの針およびカテーテルに曲線を作成することにより、静脈内治療システムを患者に挿入すると、針の遠位端が血管と平行かつ軸方向に走り、針の遠位端が患者の血管の内壁に押し込まれない。
【0008】
本開示はさらに、静脈内装置を製造する方法に関する。この方法は、いくつかの実施形態では、加熱された金属を押出ダイ(extrusion die)に導入することを含み得る。本明細書に提示される実施形態では、押出ダイは、加熱された金属を押出ダイを通して押し出すことにより、そこから中空管を形成するような内部スパイダーダイを含み得る。これらの実施形態では、内部スパイダーダイの出口面は、スパイダーダイの押し出し軸に対して非直交になるように調整されて、中空管内に曲線を形成する。
【0009】
本開示はさらに、静脈内治療システムを製造する別の方法に関する。一実施形態では、この方法は、加熱された金属を押出ダイに導入することを含み、押出ダイは、内部スパイダーダイを含む。この方法はまた、加熱された金属を押出ダイを通して押し出し、そこから中空管を形成し、中空管の遠位端に斜角を形成することを含み得る。これらの実施形態では、方法は、湾曲した金属の外面の周りにプラスチックカテーテルを形成することを含み得る。例えば、方法は、湾曲した金属と同軸に、または一般に同軸にプラスチックカテーテルを形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、この方法はまた、曲げ固定具を用いて、中空管およびカテーテルを曲げて、中空管およびカテーテルに曲線を形成することを含み得る。
【0010】
上述の一般的な説明、および以下の詳細な説明は、共に、例示的、説明的なものであり、特許請求される発明を限定するものではないことが理解されるべきでものである。さまざまな実施形態は、図面に示される構成および手段に限定されないことを理解されたい。また、実施形態は、組み合わされてよいこと、または他の実施形態が用いられてもよいこと、およびそのように特許請求されていない限り、本発明のさまざまな実施形態の範囲から逸脱することなく構造変更がなされてよいことを理解されたい。それ故に、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
例示的な実施形態は、ここの添付の図面の使用を通じて、さらなる特異性および詳細を用いて記載および説明されることとなる。
図1図1は、従来技術の静脈内治療システムの側面図である。
図2図2は、従来技術の静脈内治療システムの側面図である。
図3図3は、従来技術の静脈内治療システムの側面図である。
図4図4は、従来技術の静脈内治療システムの側面図である。
図5図5は、静脈内治療システムを形成するために使用される従来技術の押出ダイの側面断面図である。
図6図6は、本開示の一実施形態による静脈内治療システムの側面図である。
図7図7は、本開示の一実施形態による静脈内治療システムの側面図である。
図8図8は、本開示の一実施形態による静脈内治療システムの側面図である。
図9図9は、本開示の一実施形態による静脈内治療システムの側面図である。
図10図10は、本開示の一実施形態による、静脈内治療システムを製造するために使用される押出ダイの側面断面図である。
図11図11は、本開示のいくつかの実施形態による静脈内治療選択システムを製造する方法を示すフローチャートである。
図12図12は、本開示の一実施形態による静脈内治療システムを製造する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、システムの使用中に、静脈内治療システムを使用する臨床医に最も近く、デバイスが使用される患者から最も遠い、静脈内治療システムの針における位置を指す。逆に、「遠位」という用語は、システムの使用中に、静脈内治療システムを使用する臨床医から最も遠く、静脈内治療システムが使用される患者に最も近い静脈内治療システムの針における位置を指す。
【0013】
本明細書で使用される場合、「上部」、「上へ」または「上向きに」という用語は、システムの使用中に、静脈内治療システムの長手方向軸から半径方向に離れる方向、また、患者の皮膚から離れる方向の、静脈内治療システムの針における位置を指す。逆に、本明細書で使用される際に、「下部」、「下へ」または「下向きに」という用語は、システムの使用中に、装置の長手方向軸から半径方向に離れる方向、また患者の皮膚に向かう方向の、静脈内治療システムの針における位置を指す。
【0014】
本明細書で使用される場合、「中に」または「内部へ」という用語は、システムの使用中に静脈内治療システムの内側に向かう方向の、その静脈内治療システムの針における位置を指す。逆に、本明細書で使用される場合、「外に」または「外の方に」という用語は、システムの使用中に静脈内治療システムの外側に向かう方向の、その静脈内治療システムの針における位置を指す。
【0015】
本明細書における本発明の説明は、異なった実施形態における同様の要素には同様の参照番号を用いて行われている。本明細書に記載される実施形態は、血液サンプルを受け取るかまたは患者の体内に薬剤を導入するための静脈内治療システムとしての使用に関連して用いられるが、この静脈内治療システムは、針および/またはカテーテルが患者の血管に挿入されることが望ましい他の医療機器に適用可能であることは理解されよう。さらに、静脈内治療システムの実施形態は、多くの異なった形態の実施形態によって満たされるものであるが、添付の特許請求の範囲によって判断される本開示の範囲で、本発明の好ましい実施形態が、図面に示され、および本明細書に詳細に記載される。
【0016】
図1は、従来技術の静脈内治療システム100の側面図である。図示のように、静脈内治療システム100は、真っ直ぐな針115を示している。静脈内治療システム100はまた、真っ直ぐな針115の外面の周りに形成された真っ直ぐなカテーテル120を含み得る。真っ直ぐなカテーテル120は、真っ直ぐな針115と同軸に、または、ほぼ(generally)同軸に形成することができる。ハブ125は、真っ直ぐな針115および真っ直ぐなカテーテル120に結合され得る。真っ直ぐな針115および真っ直ぐなカテーテル120を患者の血管に挿入すると、真っ直ぐな針115は、真っ直ぐなカテーテル120内から軸方向に除去され得る。従来技術の静脈内治療システム100はまた、ハブ125に結合されたバレル130を含み得る。
【0017】
静脈内治療システム100は、静脈内治療システム100を患者の体内に挿入するために、臨床医または他の医療提供者(HCP:health care provider)が保持することができる近位端110を含み得る。静脈内治療システム100はまた、直線針115の先端が配置されている近位端110の反対側の遠位端105を含み得る。真っ直ぐな針115の遠位端105に、斜角(bevel)を形成することができる。斜角は、真っ直ぐな針115の最も遠位の端部105に尖った縁を作り出す、真っ直ぐな針115の先端に形成された傾斜した切り込みであり得る。
【0018】
図2は、従来技術の静脈内治療システム100の側面図である。図2は、図1の静脈内治療システム100が、血管140を含む身体と共に患者の身体135に挿入されていることを示している。静脈内治療システム100は、患者の体135に対して静脈内治療システム100の第1の角度θで患者の皮膚を貫通することができる。
【0019】
図3は、従来技術の静脈内治療システム100の側面図である。図3は、患者の体内135内の血管140の壁を穿刺した後の静脈内治療システム100を示している。真っ直ぐな針115の遠位端105に形成された斜角の結果として、真っ直ぐな針115および真っ直ぐなカテーテル120は、図2に示される角度θとは異なる角度で患者の体内に「潜る」傾向がある。これが発生するのを防ぐために、臨床医または他のHCPは、静脈内治療システム100のバレル130の角度を新しくより浅い角度θ’に減少させることによって、静脈内治療システム100の接近角度を調整することができる。そのような操作は、静脈内治療システム100の挿入に関連する追加の問題を引き起こす可能性がある。例えば、特に、より小さなゲージの真っ直ぐな針115および真っ直ぐなカテーテル120では、真っ直ぐな針115および真っ直ぐなカテーテル120は、患者の皮膚と患者の体135に対するバレル130の新しい角度θ’との間に生じる圧力の下で曲がることができる。さらに、患者の体135に対する静脈内治療システム100の接近角度の調整は、真っ直ぐな針115の遠位端105が患者の体135にさらに飛び込むことを実際には妨げない。代わりに、臨床医による静脈内治療システム100の直線針115および直線カテーテル120の患者の身体135へのさらなる前進は、直線針115の遠位端105に血管140の反対側の側壁を穿刺させる可能性がある。
【0020】
図4は、従来技術の静脈内治療システム100の側面図である。図4では、真っ直ぐなカテーテル120の周りに形成された真っ直ぐな針115が取り外され、真っ直ぐなカテーテル120がその中に残されている。真っ直ぐな針115は、真っ直ぐなカテーテル120と同軸に、または、ほぼ同軸に形成することができる。図3に示されるような真っ直ぐな直線針115の配置により、直線針115の遠位端105が血管140の壁の隣に配置されるため、直線針115が取り外されたとき、直線カテーテル120の遠位端は、血管140の壁の近くに留まる。したがって、真っ直ぐなカテーテル120の中空部分は、真っ直ぐなカテーテル120の先端が血管140の壁によって塞がれているために、そこを通る流体を受け取ったり通過させたりするのを防ぐことができる。血液が血管140内から引き出される例では、真っ直ぐなカテーテル120の中空部分の内部と血管140の内部との間の圧力の不一致は、遠位端に真空を形成させる可能性があり、それにより、真っ直ぐなカテーテル120を血管140の壁の内面に吸引させる。
【0021】
したがって、形成された従来技術の静脈内治療システム100は、患者の血管140への静脈内治療システム100の適切な挿入を妨げる可能性がある。代わりに、図1~4に関連して説明された静脈内治療システム100のそのような挿入は、静脈刺激、静脈炎を引き起こし、不十分な採血または血液への注入をもたらす可能性がある。
【0022】
図5は、静脈内治療システムを形成するために使用される従来技術の押出ダイ200の側面断面図である。押出ダイ200は、スパイダーダイ220を配置することができる押出バレル205を含むことができる。スパイダーダイ220は、ラミング装置(図示せず)によってスパイダーダイ220に押し付けられる加熱された金属ビレット225によって後ろから押し付けられる量の圧力に耐えることができる材料で作ることができる。このように、スパイダーダイ220は、硬化鋼などの硬化金属でできている。
【0023】
押出ダイ200の動作中、加熱された金属ビレット225は、スパイダーダイ220の後ろに配置され、記載された突っ込み装置によってスパイダーダイ220に突っ込まれ、それを通って突っ込まれる。加熱された金属ビレット225に加えられる圧力の量は、加熱された金属ビレット225の温度、加熱された金属ビレット225の体積、およびラミング(ramming)装置によって加熱された金属ビレット225に加えられる圧力に依存し得る。
【0024】
加熱された金属ビレット225に圧力が加えられた結果、加熱された金属ビレット225の金属は、スパイダーダイ220を通って押し出され、スパイダーダイ220の中央シャフト215の周りに注ぎ込まれる。中央シャフト215は、押出ダイ200によって形成された中空管(例えば、図1~3の真っ直ぐな針115の前駆体形態)の内径を規定するようなサイズにすることができる。スパイダーダイ220はまた、押出ダイ200によって形成された中空管(例えば、図1~4の直線針115の前駆体形態)の外径を規定する漏斗210または他の内面を含み得る。スパイダーダイ220の形状の結果として、中空管が形成され、図1~4で使用されるように真っ直ぐな針115の前駆体として機能し得る押出ダイ200の端部から出ることができる。
【0025】
図5に示されるように、スパイダーダイ220の出口面は、中心シャフト215の軸に直交している。スパイダーダイ220の出口面に対する中央シャフト215のこの配向により、押出ダイ200は、動作中に、真っ直ぐな針を形成するために使用される真っ直ぐな中空パイプを作成する。しかしながら、本明細書に記載されているように、図1~4に示されるような真っ直ぐな針は、静脈刺激、静脈炎を引き起こし、不十分な採血または血液への注入をもたらす可能性がある。
【0026】
図6は、本開示の一実施形態による静脈内治療システム300の側面図である。本明細書に記載の静脈内治療システム300は、遠位端305および近位端310を含み得る。一実施形態では、近位端310は、患者の体内の血管に対して静脈内治療システム300を向けるために、臨床医または他のHCPによって保持され得る。
【0027】
静脈内治療システム300の近位端310において、静脈内治療システム300は、バレルセクション330を含み得る。一実施形態では、バレルセクション330は、静脈内治療システム300のハブセクション325に結合され得る任意のデバイスであり得る。一実施形態では、バレルセクション330は、静脈内治療システム300が患者の体内の血管にアクセスしたときに患者から血液サンプルを受け取るための血液サンプルバイアルであり得る。別の実施形態では、バレルセクション330は、静脈内治療システム300を患者の体内に挿入する際に臨床医がアクセスしやすくするためにハブセクション325に一時的に結合されることを意図した使い捨てデバイスであり得る。本開示は、バレルセクション330が何であるかおよびその機能の特定の例を提供するが、これらは非限定的な例であることを意味し、本開示は、任意のデバイスが特定の目的または機能を果たすためにハブセクション325に結合され得ることを企図する。
【0028】
ハブセクション325は、ハブセクション325が任意のデバイスに結合されて、ハブセクション325に、湾曲した針315および湾曲したカテーテル320を介して流体を受け取りまたは提供することを可能にする任意のタイプの結合デバイスを含み得る。一実施形態では、ハブセクション325は、流体をハブセクション325に通すために使用される任意のタイプのデバイスとインターフェースすることができるいくつかのねじ山を含むことができる。
【0029】
一実施形態では、ハブセクション325は、湾曲したカテーテル320に物理的に結合され得る。一実施形態では、湾曲したカテーテル320は、組み立てまたは製造中に、湾曲した針315が直線または非湾曲の管を介して挿入されることに応答して湾曲する、直線または非湾曲の管を含み得る。一実施形態では、湾曲カテーテル320は、湾曲カテーテル320が患者の体内にある間にそれ自体に挟まれるかまたは陥没する湾曲カテーテル320に対して弾性である任意のタイプの弾性材料で作製され得る。一実施形態では、湾曲したカテーテル320は、ポリマーまたは別の適切な材料でできていてもよい。
【0030】
静脈内治療システム300は、一実施形態では、静脈内治療システム300の遠位端305に形成された湾曲した針315を含み得る。湾曲した針315は、湾曲したカテーテル320内に形成され、湾曲した針315の全長に沿って湾曲したカテーテル320の周りに延びることができる。湾曲した針315は、湾曲したカテーテル320内に形成することができ、湾曲した針315の全長に沿って湾曲したカテーテル320と同軸またはほぼ同軸に延びることができる。特定の例では、湾曲した針315は、湾曲した針315の遠位端が湾曲したカテーテル320を超えて一定距離延びるように、湾曲したカテーテル320よりも長い。湾曲した針315はまた、湾曲した針315の遠位端に形成された斜角を含み得る。斜角は、湾曲した針315の遠位端を鋭い点に持ってくるように形成することができる。斜角の鋭い先端は、湾曲した針315を患者の体に容易に挿入することを可能にし得る。一実施形態では、湾曲した針315は、患者の体内の流体および組織と化学的に相互作用しないステンレス鋼または他のタイプの金属でできている。したがって、湾曲した針315がステンレス鋼でできていることを説明する特定の例が本明細書で提供されているが、湾曲した針315は、特定の医療目的に適合する他のタイプの金属でできていてもよい。
【0031】
湾曲したカテーテル320および湾曲した針315は、患者の体内および体内への静脈内治療システム300の比較的容易な挿入および留置を可能にする湾曲レベルを有する。図1~4に関連して説明された先行技術の静脈内治療システムとは対照的に、湾曲したカテーテル320および湾曲した針315の湾曲(曲率)は、患者の体内に挿入されると、湾曲したカテーテル320の湾曲は、湾曲した針315の遠位端が患者内の血管と平行に追従することを提供する。
【0032】
図7~9は、図6に関連して説明された静脈内治療システム300の挿入の進行を示している。図7は、本開示の一実施形態による静脈内治療システムの側面図である。図6に関連して説明されるように、静脈内治療システム300は、バレルセクション330およびハブセクション325を含み得る。一実施形態では、バレルセクション330は、静脈内治療システム300のハブセクション325に結合され得る任意のデバイスであり得る。一実施形態では、バレルセクション330は、静脈内治療システム300が患者の体内の血管にアクセスしたときに患者から血液サンプルを受け取るための血液サンプルバイアル(vial)であり得る。別の実施形態では、バレルセクション330は、静脈内治療システム300を患者の体内に挿入する際に臨床医がアクセスしやすくするためにハブセクション325に一時的に結合されることを意図した使い捨てデバイスであり得る。本開示は、バレルセクション330が何であるかおよびその機能の特定の例を提供するが、これらは非限定的な例であることを意味し、本開示は、任意のデバイスが特定の目的または機能を果たすためにハブセクション325に結合され得ることを企図する。
【0033】
ハブセクション325は、ハブセクション325が任意のデバイスに結合されて、ハブセクション325に、湾曲した針315および湾曲したカテーテル320を介して流体を受け取りまたは提供することを可能にする任意のタイプの結合デバイスを含み得る。一実施形態では、ハブセクション325は、流体をハブセクション325に通すために使用される任意のタイプのデバイスとインターフェースすることができるいくつかのねじ山を含むことができる。
【0034】
静脈内治療システム300の動作中、臨床医は、例えば、静脈内治療システム300のバレルセクション330で、臨床医の手に静脈内治療システム300を保持することができる。一実施形態では、臨床医は、静脈内治療システム300を、患者の体335に対して第1の角度θ''で挿入することができる。一実施形態では、この角度θ''は、従来技術の図2に示される真っ直ぐな針および真っ直ぐなカテーテルを有する静脈内治療システム300の挿入角θよりも大きくてもよい。
【0035】
この比較的大きな第1の角度θ''の結果として、湾曲した針315および湾曲したカテーテル320の曲率は、患者の体内に挿入されると自動的に血管に湾曲し得る。この第1の角度θ''により、湾曲した針315および湾曲したカテーテル320は、患者の血管340と平行に走るように、患者の体内の軌道をたどることができる。
【0036】
この挿入を達成するために、湾曲したカテーテル320および湾曲した針315の湾曲355は、患者の体に完全に挿入されると、湾曲した針315および湾曲したカテーテル320が標的血管内に軸方向に位置するように十分であり得る。一実施形態では、湾曲した針315および湾曲したカテーテル320の曲率355は、5から15度の間の曲率角を有し得る。一実施形態では、曲率355の角度は、湾曲した針315の遠位端からハブセクション325の軸まで測定することができる。
【0037】
湾曲した針315はまた、湾曲した針315の遠位端に形成された斜角を含み得る。斜角は、湾曲した針315の遠位端を鋭い点に持ってくるように形成することができる。斜角の鋭い先端は、湾曲した針315を患者の体に容易に挿入することを可能にし得る。一実施形態では、斜角の縁は、静脈内治療システム300の患者の体への挿入中に、斜角が患者の体から離れる方向を向くように、曲率355の中心点に面するように形成される。
【0038】
図8は、本開示の一実施形態による静脈内治療システム300の側面図である。図8は、患者の体335および血管340に完全にまたはほぼ完全に挿入された静脈内治療システム300を示している。図8では、湾曲した針315および湾曲したカテーテル320は、外科用縫合針を使用して臨床医および他のHCPが経験するものと同様に、湾曲した針315および湾曲したカテーテル320によって形成される曲線に従っている。
【0039】
静脈内治療システム300の挿入中、湾曲針315および湾曲カテーテル320は、湾曲針315および湾曲カテーテル320で作成された湾曲355を使用して、患者の体335の一部を通過して血管340に入り、血管340と同軸方向にたどることができる。血管340への挿入中に、臨床医は、患者の体335に対する静脈内治療システム300の角度θ''を減少させて、湾曲した針315および湾曲したカテーテル320によって作成された湾曲した挿入点を使用して、血管340の反対側の壁を穿刺することなく、血管340内にさらに湾曲した針315を挿入する。静脈内治療システム300の使用は、湾曲した針315の遠位端が血管340を通って継続することを防ぎ、それにより、患者の体内335内の血管および他の構造に損傷を与える。
【0040】
図9は、本開示の一実施形態による静脈内治療システム300の側面図である。図9では、湾曲した針315およびバレルセクション330が取り外されており、湾曲したカテーテル320は、患者の血管340内に留まるように残されている。湾曲したカテーテル320の湾曲は、湾曲した針315の周りに設置されたときに湾曲したカテーテル320に対して行われる熱加熱プロセスの結果として維持され得る。湾曲した針315の湾曲のために、湾曲したカテーテル320の遠位端は、血管340の一部の長手方向軸または長さと同軸であり得る。血管340内のこの位置において、湾曲したカテーテル320は、例えば、血管340の壁に対して配置されることなく、血液サンプルを採取するか、または薬剤を投与することができる可能性がある。
【0041】
図9は、患者の体335に対するハブセクション325の角度θ'''が減少したことを示している。この角度θ'''は、ハブセクション325を患者の体335に取り付けて、即時およびその後の採血および注入を可能にするのに十分であり得る。ハブセクション325は、例えば、ハブセクション325を患者の体335に固定し、湾曲したカテーテル320を患者の血管340内に維持するために、任意の医療テープを使用して患者の体335に貼り付けられ得る。ハブセクション325は、静脈内リードまたは注射器などの他の医療機器を受け入れるために、ハブセクション325の近位端に形成されたいくつかのねじ山を含み得る。
【0042】
図6~9に関連して説明される静脈内治療システム300は、真っ直ぐな針および真っ直ぐなカテーテルシステムを使用する臨床医に関連し、経験される困難を改善する。現在説明されている静脈内治療システム300は、静脈内治療システム300を血管340により平行な位置で血管340に自動的に操縦することにより、臨床医による静脈内治療システム300の最初の「スティック(stick)」または挿入の成功を改善する。静脈内治療システム300は、血管340の外傷をさらに低減し、それにより、血管340の壁の刺激、炎症を低減し、静脈炎および閉塞を低減する。静脈内治療システム300はまた、臨床医または他のHCPによる静脈内治療システム300からの成功した採血の可能性を増加させ、採血または薬剤の注入を実施する試みの数を減らす。
【0043】
図10は、本開示の一実施形態による、静脈内治療システムを製造するために使用される押出ダイ400の側面断面図である。押出ダイ400は、スパイダーダイ420を配置することができる押出バレル405を含むことができる。スパイダーダイ420は、ラミング装置(図示せず)によってスパイダーダイ420に押し付けられる加熱された金属ビレット425によって後ろから押し付けられる量の圧力に耐えることができる材料で作ることができる。このように、スパイダーダイ420は、硬化鋼などの硬化金属でできている。
【0044】
押出ダイ400の動作中、加熱された金属ビレット425は、スパイダーダイ420の後ろに配置され、記載された突っ込み装置によってスパイダーダイ420に突っ込まれ、それを通って突っ込まれる。加熱された金属ビレット425に加えられる圧力の量は、加熱された金属ビレット425の温度、加熱された金属ビレット425の体積、およびラミング(ramming)装置によって加熱された金属ビレット425に加えられる圧力に依存し得る。
【0045】
加熱された金属ビレット425に圧力が加えられた結果、加熱された金属ビレット425の金属は、スパイダーダイ420を通って押し出され、スパイダーダイ420の中央シャフト415の周りに注ぎ込まれる。中央シャフト415は、押出ダイ400によって形成された中空管(例えば、図6~8の湾曲した針315の前駆体形態)の内径を規定するようなサイズにすることができる。スパイダーダイ420はまた、押出ダイ400によって形成された中空管(例えば、図6~8の湾曲した針315の前駆体形態)の外径を規定する漏斗部分410または他の内面を含み得る。加熱された金属ビレット425に圧力を加える間、加熱された金属ビレット425の金属は、スパイダーダイ420に形成されたオリフィスおよびスパイダーダイ420の出口オリフィスを通過する矢印をたどることができる。スパイダーダイ420の形状の結果として、中空管が形成され、図6~8で使用されるように湾曲した針315の前駆体として機能し得る押出ダイ400の端部から出ることができる。
【0046】
図10に示されるように、スパイダーダイ420の出口面は、中心シャフト415の軸に対して非直交である。これは、図5に示される従来技術の押出ダイに関連して説明された出口面とは対照的である。スパイダーダイ420の中央シャフト415に対する出口面のこの非直交配向により、押し出しダイ200は、動作中に、図6~8に関連して説明される湾曲した針315を形成するために使用される湾曲した中空パイプを作成する。湾曲した針の曲率(図7および8の355)は、他の製造変数の中でもとりわけ、スパイダーダイ420の出口面の角度βおよび押し出しダイ400からの金属の押し出し速度に依存し得る。押出ダイ400の動作中、出口金属がスパイダーダイ420の出口面の下げられた縁を通過するとき、金属は、漏斗部分410とスパイダーダイ420の中心シャフト415の軸との間の界面を依然として通過する金属に対して、出口金属のその部分に適用される金属の流体特性および機械的応力から生じる図に示される線に沿って湾曲させることができる。結果として、中空パイプを形成することにより、スパイダーダイ420の出口面の下部を通過する金属は、スパイダーダイ420の出口面のその最も低い部分から離れて、出口面の比較的高い側に向かって湾曲する。
【0047】
一実施形態では、スパイダーダイ420の出口面は、金属がスパイダーダイ420を通過するときに配向を変化させることができる。この実施形態では、スパイダーダイ420の漏斗部分410の配向は、例えば、油圧を介して、第1の角度βから中心シャフト415の軸に直交する角度まで配向することが可能になり得る。この実施形態では、中央シャフト415の長さおよび先端は、本実施形態における押出ダイ400の動作に従って、金属の変形を可能にするように変更され得る。金属が押出ダイ400のスパイダーダイ420から押し出されるとき、出口面は、形成する中空管の特定の長さの間、角度βに維持され得る。次に、出口面を変更して、スパイダーダイ420の出口面の角度を、中心シャフト415の軸に直交するように減少させることができる。この角度βの変化により、中空管は、形成する中空管の長さにわたって真っ直ぐに形成される。結果として、曲率355を有する湾曲部分および直線部分を含む中空管が形成され得る。
【0048】
本明細書に記載の任意の実施形態では、湾曲した針315を製造する方法は、湾曲した針315の上にカテーテルを形成して、その上に湾曲したカテーテル320を形成することを含み得る。湾曲したカテーテル320は、湾曲した針315の周りを軸方向にスライドさせることができるポリマーで作ることができる。湾曲したカテーテル320の曲率を設定するために、湾曲した針315が湾曲したカテーテル320から軸方向に取り外されたときに湾曲したカテーテル320が湾曲したままであるように、カテーテルを熱成形プロセスに供することができる。
【0049】
さらに、任意の実施形態において、斜角は、湾曲した針315の遠位端に形成され得る。斜角は、研削プロセスまたは他の任意の材料除去プロセスによって形成することができる。斜角は、患者の体により快適に通過するポイントを作成するために使用できる。
【0050】
図11は、本開示のいくつかの実施形態による静脈内治療システムを製造する方法1100を示すフローチャートである。方法1100は、ブロック1105において、押出ダイに加熱された金属を導入することを含み得、ここで、押し出しダイは、内部スパイダーダイを含む。本明細書に記載されるように、スパイダーダイは、漏斗部分410につながるいくつかの押し出し穴を含む。本開示は、押出ダイがスパイダーダイを含むことを記載しているが、本開示は、他のタイプのダイを使用して、本明細書に記載の湾曲針を形成するために使用される湾曲中空管を形成できることを企図する。
【0051】
方法1100は、ブロック1110で、そこから中空管を形成する押出ダイを通して加熱された金属を押し出すことをさらに含み得る。加熱された金属は、任意の種類のラミング装置を使用して、押出ダイのスパイダーダイを通して押し出すことができる。湾曲した針の湾曲を作り出すように、押し出しプロセスの特定のパラメータを制御することができる。これらのパラメータには、他のパラメータの中でもとりわけ、ラミング装置によって加熱された金属ビレットに加えられる圧力の量、加熱された金属ビレットの温度、押し出される金属のタイプ、スパイダーダイおよびスパイダーダイの漏斗部分を通して形成される様々な導管の断面積が含まれ得る。
【0052】
方法1100は、ブロック1115において、内部スパイダーダイの出口面を、スパイダーダイの押し出し軸に対して非直交になるように調整して、中空管内に曲線を形成することをさらに含み得る。本明細書に記載されるように、スパイダーダイの出口面(例えば、スパイダーダイの漏斗部分の出口面)の角度(図10の角度β)は、押し出される中空管の曲率を作り出すように調整され得る。出口面のこの調整は、一実施形態では、湾曲した針を形成する全期間を通して維持することができる。別の実施形態では、出口平面は、第1の角度から、中心シャフトの軸に直交する第2の角度まで調整することができる。
【0053】
図12は、本開示の一実施形態による静脈内治療システムを製造する方法1200を示すフローチャートである。方法1200は、ブロック1205において、押出ダイに加熱された金属を導入することを含み得、ここで、押し出しダイは、内部スパイダーダイを含む。加熱されたビレットは、任意の金属で作ることができ、金属が押出ダイを通して押し出されるのを可能にするのに十分な任意の温度に加熱することができる。
【0054】
方法1200は、ブロック1210において、加熱された金属ビレットを押出ダイを通して押し出し、そこから中空管を形成することをさらに含み得る。一実施形態では、中空管は、本明細書に記載されるような湾曲した針の前駆体形態であり得る。
【0055】
方法1200はまた、ブロック1215で中空管の遠位端に斜角を形成することを含み得る。斜角は、針の遠位端が患者の体を通過して血管(例えば、静脈)に入ることができるように作成することができる。
【0056】
方法1200は、金属の外面の周りにプラスチックカテーテルを形成することで、ブロック1220で進行することができる。いくつかの実施形態では、プラスチックカテーテルは、プラスチックカテーテルが金属と同軸であるか、または、ほぼ金属と同軸であるように、金属の外面の周りに形成することができる。一実施形態では、カテーテルは、音波溶接または任意の他のタイプの結合プロセスまたはデバイスを介して、静脈内治療システムのハブセクションに物理的に結合することができる。特定の実施形態では、湾曲した針の遠位端がカテーテルの遠位端から突出するように、針をカテーテルを通して供給することができる。
【0057】
方法1200は、ブロック1225において、中空管およびカテーテルを曲げて、中空管およびカテーテルに曲線を形成することをさらに含み得る。中空針およびカテーテルに形成される曲線の曲率は、湾曲した針および湾曲したカテーテルが使用されている医療プロセスのタイプに依存し得る。一実施形態では、湾曲した針315および湾曲したカテーテル320の曲率355は、5から15度の間の曲率角を有し得る。
【0058】
方法1200は、いくつかの実施形態では、設置された湾曲したカテーテルを熱加熱または熱成形プロセスにかけることを含み得る。これは、湾曲した針が湾曲したカテーテルから軸方向に取り外されたときに湾曲したカテーテルが湾曲したままであるようにするために行うことができる。
【0059】
本明細書に記載の実施形態は、湾曲した針を含む静脈内治療システムを提供する。一実施形態では、湾曲したカテーテルは、湾曲した針の外面の周りに形成される。一実施形態では、湾曲したカテーテルは、湾曲した針と同軸に、または概して同軸に形成される。湾曲した針および湾曲したカテーテルの第1の長さを患者の体内に挿入すると、湾曲した針および湾曲したカテーテルの湾曲角度により、湾曲した針および湾曲したカテーテルが患者の体内の血管と軸方向に交差する。静脈内治療システムの針およびカテーテルに曲線を作成することにより、静脈内治療システムを患者に挿入すると、針の遠位端が血管と平行かつ軸方向に走り、針の遠位端が患者の血管の内壁に押し込まれない。
【0060】
この場合も、本出願の実施形態を組み合わせることができることが理解され得る。一例として、図1図12の実施形態は、実行されている動作の種類に基づいて特定の用途に適合するように構成され得る。例えば、動脈が針によってアクセスされる場合、情報処理システムは、インジケータシステムを介して、静脈を避けながら動脈の位置を示すことができる。これにより、特定の薬剤が患者の体全体に分布することを心配することなく、特定の薬剤を患者の体の特定の場所に導入することが可能になる場合がある。
【0061】
本明細書で列挙されるすべての例示および条件付き文言は、本技術を促進するために、読者が本発明および本発明者によって提供される概念を理解することの助けとなるような教育的目的を意図しており、その具体的に列挙されている例示および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。本開示の実施形態が詳細に説明されているが、開示された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に対する、さまざまな変更、置換、および改変がなされ得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-07-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブセクションであって、上部と、前記上部の反対側の底部とを備え、前記底部は、静脈内治療システムが血管内に挿入されたときに患者の皮膚に近接するように構成され、前記ハブセクションの前記上部は、上方向に延びるタブを備える、前記ハブセクションと、
湾曲した針であって、前記湾曲の遠位端が前記湾曲の近位端から間隔をあけて配置された曲線からなり、前記湾曲の近位端が前記湾曲した針の直線状の近位端に近接しており、前記湾曲が前記湾曲した針の前記直線状の近位端に対して5度から15度の間であり、前記湾曲の部分が上方に向かって湾曲している、前記湾曲した針と、
湾曲したカテーテルであって、前記湾曲した針が通って延びる前記湾曲したカテーテルと、
を含み、
前記湾曲した針の第1の長さおよび前記湾曲したカテーテルの第1の長さを患者の体内に挿入すると、前記湾曲した針および前記湾曲したカテーテルの湾曲角度により、前記湾曲した針および前記湾曲したカテーテルが前記患者の体内の血管と軸方向に交差し、前記針および前記カテーテルの前記湾曲の角度は5度から15度の間である、静脈内治療システム。
【請求項2】
前記湾曲した針の前記第1の長さが前記湾曲したカテーテルの前記第1の長さよりも長い、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項3】
前記湾曲した針は、前記湾曲した針の遠位端に形成された斜角をさらに含み、前記斜角の縁は、前記湾曲した針の湾曲の中心点に面するように形成される、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項4】
第2の長さの前記湾曲した針および第2の長さの前記湾曲したカテーテルを患者の体内に挿入することに応答して、前記湾曲した針および前記湾曲したカテーテルが前記血管と平行である、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項5】
前記湾曲したカテーテルがポリマーでできており、前記湾曲した針上に熱成形されている、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項6】
直線のカテーテルの周囲に直線の針が形成された後、前記湾曲した針の湾曲および前記湾曲したカテーテルの湾曲が作成される、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項7】
前記湾曲した針および湾曲したカテーテルの完全な挿入に応答して、前記針の斜角が前記血管の壁に押し付けられるのが防止される、請求項1に記載の静脈内治療システム。
【請求項8】
加熱された金属を押出ダイに導入し、前記押出ダイは内部スパイダーダイを含み、前記内部スパイダーダイは、中央シャフトと漏斗部分とからなり、前記中央シャフトは中空管の内径を規定し、前記漏斗部分は前記中空管の外径を規定する工程と、
前記内部スパイダーダイの出口平面を前記スパイダーダイの押し出し軸に対して非直交になるように調整する工程であって、前記中央シャフトおよび前記漏斗部分は、前記出口平面が前記中央シャフトと位置合わせされた前記押し出し軸に対して非直交となるように、高い側および低い側を有する前記出口平面を形成する工程と、
前記加熱された金属を押出ダイを通して押出して前記中空管を形成する工程であって、前記加熱された金属が前記押出ダイを通して押出しされると、形成された前記中空管は、前記低い側から前記高い側に向かって湾曲して前記中空管に湾曲を形成し、前記中空管の湾曲は、5~15度の間である工程と、
前記中空管上にカテーテルを形成して、前記中空管上に湾曲したカテーテルを形成し、前記カテーテルの曲率の角度は5度から15度の間である工程と
を含む、静脈内装置を製造する方法。
【請求項9】
前記金属がステンレス鋼である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中空管の外面に対して前記カテーテルを弛緩させるために前記カテーテルに熱を加えることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記中空管の遠位端に斜角を形成して鋭い先端を形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
押し出し中に前記内部スパイダーダイの出口面を、前記スパイダーダイの前記押し出し軸に対して非直交から前記押し出し軸に直交するように調整して、前記中空管の全長の第2の距離に沿った直線部分を形成することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記中空管をアニーリングすることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
加熱された金属を押出ダイに導入し、前記押出ダイは内部スパイダーダイを含み、前記内部スパイダーダイは、中央シャフトと漏斗部分とからなり、前記中央シャフトは中空管の内径を規定し、前記漏斗部分は前記中空管の外径を規定する工程と、
前記加熱された金属を前記押出ダイを通して押出して前記中空管を形成する工程であって、前記中央シャフトと前記漏斗部分とが、前記中央シャフトと一致する押し出し軸と直交する出口平面を形成し、前記加熱された金属が前記押出ダイを通して押出されると、形成された前記中空管が直線状である工程と、
前記中空管の外側にプラスチックカテーテルを形成し、前記プラスチックカテーテルが直線状の前記中空管と同軸になるようにする工程と、
ベンドフィクスチャを使用して、前記中空管とプラスチックカテーテルを曲げて、前記中空管とカテーテルに曲線を形成し、前記中空管およびプラスチックカテーテルの湾曲は、5度から15度の間である工程と、
を含む、静脈内装置を製造する方法。
【請求項15】
前記金属がステンレス鋼である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記中空管の外面に対して前記カテーテルを弛緩させるために前記カテーテルに熱を加えることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記中空管をアニーリングすることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記曲線の角度が1度から10度の間である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記漏斗部分と前記中央シャフトの間の間隔は均一である、請求項8に記載の方法。
【請求項20】
前記漏斗部分と前記中央シャフトの間の間隔は均一である、請求項14に記載の方法。