(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111164
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】有機発光ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/852 20230101AFI20240808BHJP
H10K 50/14 20230101ALI20240808BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20240808BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20240808BHJP
H10K 50/818 20230101ALI20240808BHJP
H10K 50/828 20230101ALI20240808BHJP
H10K 50/18 20230101ALI20240808BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240808BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240808BHJP
【FI】
H10K50/852
H10K50/14
H10K50/17
H10K59/35
H10K50/818
H10K50/828
H10K50/18
H10K59/10
G09F9/30 365
G09F9/30 338
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024098933
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2020115011の分割
【原出願日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】10-2019-0080317
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンウク
(72)【発明者】
【氏名】キム ギョンシク
(72)【発明者】
【氏名】キム スロン
(72)【発明者】
【氏名】内城 強
(72)【発明者】
【氏名】ペ ソンス
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンチャン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヘイン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヘウォン
(72)【発明者】
【氏名】チュ スンジン
(72)【発明者】
【氏名】ハー ジェウォン
(57)【要約】
【課題】常温及び高温で寿命が効果的に延長された有機発光ダイオード、及びそれを含む有機発光ディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】基板上に配置される、第1画素電極、第2画素電極及び第3画素電極;第1画素電極、第2画素電極及び第3画素電極の上にそれぞれ配置される、第1下部機能層、第2下部機能層及び第3下部機能層;第1下部機能層、第2下部機能層及び第3下部機能層の上にそれぞれ配置される、第1色発光用第1有機発光層、第2色発光用第2有機発光層及び第3色発光用第3有機発光層;第1有機発光層、第2有機発光層及び第3有機発光層にわたって配置される対向電極;並びに第1有機発光層、第2有機発光層及び第3有機発光層それぞれと、対向電極との間に介在され、1,300Å以上1,800Å以下の厚みを有する、第1上部機能層、第2上部機能層及び第3上部機能層;を具備する有機発光ディスプレイ装置である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置される、第1画素電極、第2画素電極及び第3画素電極と、
前記第1画素電極、前記第2画素電極、及び前記第3画素電極の上に配置され、前記第1画素電極、前記第2画素電極、及び前記第3画素電極それぞれと対向する対向電極と、
第1波長の光を放出し、前記第1画素電極及び前記対向電極の間に配置される第1有機発光層と、
第2波長の光を放出し、前記第2画素電極及び前記対向電極の間に配置される第2有機発光層と、
第3波長の光を放出し、前記第3画素電極及び前記対向電極の間に配置される第3有機発光層と、
前記第1画素電極及び前記第1有機発光層の間に配置される第1下部機能層と、
前記第2画素電極及び前記第2有機発光層の間に配置される第2下部機能層と、
前記第3画素電極及び前記第3有機発光層の間に配置される第3下部機能層と、
前記第1有機発光層及び前記対向電極の間に配置される第1上部機能層と、
前記第2有機発光層及び前記対向電極の間に配置される第2上部機能層と、
前記第3有機発光層及び前記対向電極の間に配置される第3上部機能層と、を含み、
前記第1上部機能層、前記第2上部機能層、及び前記第3上部機能層それぞれの厚みは、1300Å以上1800Å以下であり、
前記第1上部機能層の厚みと前記第1下部機能層の厚みとの比率は、前記第2上部機能層の厚みと前記第2下部機能層の厚みとの比率と互いに異なる、有機発光ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第1有機発光層は、赤色波長の光を放出し、前記第1下部機能層の厚みは、1800Å以上2600Å以下である、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第1上部機能層の厚みと前記第1下部機能層の厚みは、1:1.2以上1:1.4以下の比率を有する、請求項2に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第2有機発光層は、緑色波長の光を放出し、前記第2下部機能層の厚みは、1300Å以上1800Å以下である、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第2上部機能層の厚みと前記第2下部機能層の厚みは、1:1以上1:1.02以下の比率を有する、請求項4に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記第3有機発光層は、青色波長の光を放出し、前記第3下部機能層の厚みは、1000Å以上1600Å以下である、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記第3上部機能層の厚みと前記第3下部機能層の厚みは、1:0.7以上1:0.9以下の比率を有する、請求項6に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記第1画素電極の上面から前記対向電極の下面までと定義される光学距離は、前記第1波長の光が三次共振する距離であり、
前記第1画素電極の上面から前記第1有機発光層の下面までと定義される光学距離は、前記第1波長の光が2次共振する距離である、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第2画素電極の上面から前記対向電極の下面までと定義される光学距離は、前記第2波長の光が三次共振する距離であり、
前記第2画素電極の上面から前記第2有機発光層の下面とまで定義される光学距離は、前記第2波長の光が2次共振する距離である、請求項8に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第3画素電極の上面から前記対向電極の下面までと定義される光学距離は、前記第3波長の光が三次共振する距離であり、
前記第3画素電極の上面から前記第3有機発光層の下面までと定義される光学距離は、前記第3波長の光が2次共振する距離である、請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記第1画素電極、前記第2画素電極、及び前記第3画素電極それぞれは、反射型電極であり、前記対向電極は、透光性電極である、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記対向電極上には、配置されるキャッピング層をさらに含む、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項13】
基板上に配置される、第1画素電極、第2画素電極及び第3画素電極と、
前記第1画素電極、前記第2画素電極、及び前記第3画素電極の上に配置され、前記第1画素電極、前記第2画素電極、及び前記第3画素電極それぞれと対向する対向電極と、
第1波長の光を放出し、前記第1画素電極及び前記対向電極の間に配置される第1有機発光層と、
第2波長の光を放出し、前記第2画素電極及び前記対向電極の間に配置される第2有機発光層と、
第3波長の光を放出し、前記第3画素電極及び前記対向電極の間に配置される第3有機発光層と、
前記第1画素電極及び前記第1有機発光層の間に配置される第1下部機能層と、
前記第2画素電極及び前記第2有機発光層の間に配置される第2下部機能層と、
前記第3画素電極及び前記第3有機発光層の間に配置される第3下部機能層と、
前記第1有機発光層及び前記対向電極の間に配置される第1上部機能層と、
前記第2有機発光層及び前記対向電極の間に配置される第2上部機能層と、
前記第3有機発光層及び前記対向電極の間に配置される第3上部機能層と、を含み、
前記第2有機発光層は、緑色光を放出し、
前記第2上部機能層の厚みは、1300Å以上1800Å以下であり、
前記第2下部機能層の厚みは、1300Å以上1800Å以下である、有機発光ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記第2画素電極の上面から前記対向電極の下面までと定義される光学距離は、前記第2波長の光が三次共振する距離であり、
前記第2画素電極の上面から前記第2有機発光層の下面までと定義される光学距離は、前記第2波長の光が2次共振する距離である、請求項13に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項15】
前記第2上部機能層の厚みと前記第2下部機能層の厚みは、1:1以上1:1.02以下の比率を有する、請求項13に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項16】
前記第1有機発光層は、赤色光を放出し、
前記第1上部機能層の厚みは、1300Å以上1800Å以下である、請求項13に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項17】
前記第1下部機能層の厚みは、1800Å以上2600Å以下である、請求項16に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項18】
前記第1上部機能層の厚みと前記第1下部機能層の厚みは、1:1.2以上1:1.4以下の比率を有する、請求項16に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項19】
前記第3有機発光層は、青色光を放出し、
前記第3上部機能層の厚みは、1300Å以上1800Å以下である、請求項13に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項20】
前記第3下部機能層の厚みは、1000Å以上1600Å以下である、請求項19に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード、及びそれを含む有機発光ディスプレイ装置に係り、さらに詳細には、常温及び高温で寿命が効果的に延長された有機発光ダイオード、及びそれを含む有機発光ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置において、有機発光ディスプレイ装置は、視野角が広く、コントラスト(contrast)にすぐれるだけではなく、応答速度が速いという長所を有しており、次世代ディスプレイ装置として注目を集めている。
【0003】
該有機発光ディスプレイ装置は、表示素子として、正孔注入電極及び電子注入電極、並びにそれら間に形成されている有機発光層を含む有機発光ダイオード(OLED)を具備し、正孔注入電極で注入される正孔と、電子注入電極で注入される電子とが有機発光層で結合して生成された励起子(exciton)が、励起状態(excited state)から基底状態(ground state)に遷移しながら、光を発生させる自発光型表示装置である。
【0004】
自発光型ディスプレイ装置である有機発光ディスプレイ装置は、別途の光源が不要であるので、低電圧で駆動が可能であり、軽量薄型に構成することができ、視野角、コントラスト、応答速度の特性にすぐれるために、MP3プレイヤや携帯電話のような個人用携帯機器からテレビ(TV)に至るまで応用範囲が拡大されている。
【0005】
そのような有機発光ディスプレイ装置は、広い発光波長を有し、それにより、発光効率が落ち、色純度が低下してしまう。また、有機発光層から放出される光は、特定の方向性がないので、任意の方向に放出される光子のうち、相当数が有機発光ダイオードの内部全反射により、実際観測者に逹することができず、有機発光ダイオードの光抽出効率を下げてしまう。
【0006】
そのために、有機発光ディスプレイ装置内に、微細共振構造(microcavity)を導入することにより、光効率を向上させた構造が提案された。しかし、共振構造を有機発光ディスプレイ装置に適用する場合、有機発光層の上下部に位置した機能層の厚み不均衡により、電子及び正孔の移動距離が異なってしまい、有機発光層内の電荷不均衡が発生し、それは、素子寿命特性低下につながるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述のような問題点を含み、多くの問題点を解決するためのものであり、寿命が効果的に延長された有機発光ダイオード、及びそれを含む有機発光ディスプレイ装置を提供することを目的とする。しかし、そのような課題は、例示的なものであり、それにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、基板上に配置される、第1画素電極、第2画素電極及び第3画素電極;前記第1画素電極、前記第2画素電極及び前記第3画素電極の上にそれぞれ配置される、第1下部機能層、第2下部機能層及び第3下部機能層;前記第1下部機能層、前記第2下部機能層及び前記第3下部機能層の上にそれぞれ配置される、第1色発光用第1有機発光層、第2色発光用第2有機発光層及び第3色発光用第3有機発光層;前記第
1有機発光層、前記第2有機発光層及び前記第3有機発光層にわたって配置される対向電極;並びに前記第1有機発光層、前記第2有機発光層及び前記第3有機発光層それぞれと、前記対向電極との間に介在され、1,300Å以上1,800Å以下の厚みを有する、第1上部機能層、第2上部機能層及び第3上部機能層;を具備する有機発光ディスプレイ装置が提供される。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記第1有機発光層は、赤色波長の光を放出し、前記第1下部機能層の厚みは、1,800Å以上2,600Å以下であってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記第2有機発光層は、緑色波長の光を放出し、前記第2下部機能層の厚みは、1,300Å以上1,800Å以下であってもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記第3有機発光層は、青色波長の光を放出し、前記第3下部機能層の厚みは、1,000Å以上1,600Å以下であってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記第1画素において、前記第1有機発光層は、第1波長の光を放出し、前記第1画素電極の上面から前記対向電極の下面までを、第1光学距離と定義するとき、前記第1光学距離は、前記第1波長の光が三次共振する距離と実質的に同一であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記第1画素電極の上面から前記第1有機発光層の下面までを第2光学距離と定義するとき、前記第2光学距離は、前記第1波長の光が二次共振する距離と実質的に同一であってもよい。
【0014】
本発明の他の実施形態によれば、有機発光ダイオードを含む画素を具備した有機発光ディスプレイ装置において、前記有機発光ダイオードは、画素電極;前記画素電極上に配置され、前記画素電極と対向する対向電極;前記画素電極と、前記対向電極との間に介在され、第1波長の光を放出する有機発光層;前記画素電極と前記有機発光層との間に介在される下部機能層;及び前記有機発光層と、前記対向電極との間に配置される上部機能層;を含み、前記画素電極の上面から前記対向電極の下面までと定義される第1光学距離は、前記第1波長の光が三次共振する距離であり、前記画素電極の上面から前記有機発光層の下面までと定義される第2光学距離は、前記第1波長の光が二次共振する距離でもある。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記有機発光層の上面と、前記対向電極の下面との距離と定義される前記上部機能層の厚みは、1,300Å以上1,800Å以下であってもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記有機発光層は、赤色波長の光を発光し、前記第2光学距離に対応する前記下部機能層の厚みは、1,800Å以上2,600Å以下であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記上部機能層の厚みと、前記下部機能層の厚みは、1:1.2以上1.4以下の比率を有してもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記有機発光層は、緑色波長の光を発光し、前記第2光学距離に対応する前記下部機能層の厚みは、1,300Å以上1,800Å以下であってもよい。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記上部機能層の厚みと、前記下部機能層の厚みは、1:1~1.02の比率を有することができる。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記有機発光層は、青色波長の光を発光し、前記第2光学距離に対応する前記下部機能層の厚みは、1,000Å以上1,600Å以下であってもよい。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記上部機能層の厚みと、前記下部機能層の厚みは、1:0.7以上0.9以下の比率を有してもよい。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記画素電極は、反射型電極であり、前記対向電極は、透光性電極であってもよい。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記対向電極上に配置されるキャッピング層をさらに含んでもよい。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態によれば、画素電極;前記画素電極上に配置され、前記画素電極と対向する対向電極;前記画素電極と、前記対向電極との間に介在され、第1波長の光を放出する有機発光層;前記画素電極と前記有機発光層との間に介在される下部機能層;及び前記有機発光層と、前記対向電極との間に配置される上部機能層;を具備し、前記画素電極の上面から前記対向電極の下面までと定義される第1光学距離は、前記第1波長の光が三次共振する距離であり、前記画素電極の上面から前記有機発光層の下面までと定義される第2光学距離は、前記第1波長の光が二次共振する距離でもある。
【0025】
本発明の一実施形態において、前記有機発光層が赤色波長の光を放出する場合、前記上部機能層の厚みは、1,300Å以上1,800Åであり、前記下部機能層の厚みは、1,800Å以上2,600Å以下であってもよい。
【0026】
本発明の一実施形態において、前記有機発光層は、緑色波長の光を放出する場合、前記上部機能層の厚みは、1,300Å以上1,800Åであり、前記下部機能層の厚みは、1,300Å以上1,800Å以下であってもよい。
【0027】
本発明の一実施形態において、前記有機発光層は、青色波長の光を放出する場合、前記上部機能層の厚みは、1,300Å以上1,800Åであり、前記下部機能層の厚みは、1,000Å以上1,600Å以下であってもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一実施形態によれば、寿命が効果的に延長された有機発光ダイオード、及びそれを含む有機発光ディスプレイ装置を具現することができる。ここで、そのような効果により、本発明の範囲が限定されるものではないということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置を概略的に図示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置に含まれる画素の等価回路図である。
【
図3】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に図示した断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に図示した断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による、第1有機発光ダイオード、第2有機発光ダイオード及び第3有機発光ダイオードの積層構造を概略的に図示した図面である。
【
図6】本発明の一実施形態による第1有機発光ダイオード、第2有機発光ダイオード及び第3有機発光ダイオードの積層構造を概略的に図示した図面である。
【
図7】本発明の一実施形態による有機発光ダイオードのHAMOSシミュレーション結果を概略的に図示したグラフである。
【
図8】本発明の一実施形態による有機発光ダイオードの光効率及び寿命を比較した表である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、多様な変更を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができる。以下において、複数の実施形態を図面に例示し、詳細に説明する。本発明の効果、特徴、及びそれらを達成する装置または方法は、以下において図面と共に詳細に説明されている実施形態を参照することで、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態で具現可能である。
【0031】
以下において、添付された図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明するが、図面を参照して説明するとき、同一または対応する構成要素は、同一の符号を付し、それに係わる重複する説明は、省略する。
【0032】
以下の実施形態において、第1、第2のような用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使用される。
【0033】
以下の実施形態において、単数の表現、は文脈上明白に異なることを意味しない限り、複数の表現を含む。
【0034】
以下の実施形態において、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴または構成要素が存在するということを意味するものであり、1以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性をあらかじめ排除するものではない。
【0035】
以下の実施形態において、膜、領域、構成要素というような部分が、他の部分の上または上部にあるとするとき、他の部分の真上にある場合だけではなく、間に、他の膜、領域、構成要素などが介在されている場合も含む。
【0036】
図面においては、説明の便宜上、構成要素の大きさが誇張または縮小される場合がある。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚みは、説明の便宜上、任意に示されているので、本発明は、必ずしも図示されたところに限定されるものではない。
【0037】
ある実施形態が異なって具現可能な場合、特定の工程順序は、説明される順序と異なって行われてもよい。例えば、連続して説明される2つの工程が実質的に同時に行われてもよく、説明される順序と反対の順序に進められてもよい。
【0038】
本明細書において、「A及び/またはB」は、「Aであるか、Bであるか、A及びBである場合を示す。そして、「A及びBのうち少なくとも一つ」はAであるか、Bであるか、A及びBである場合を示す。
【0039】
以下の実施形態において、膜、領域、構成要素などが接続されているとするとき、膜、領域、構成要素が直接接続されている場合、または/及び膜、領域、構成要素の間に、他の膜、領域、構成要素が介在し、間接的に接続された場合も含む。例えば、本明細書において、膜、領域、構成要素などが電気的に接続されているとするとき、膜、領域、構成要素などが直接電気的に接続されている場合だけではなく、間に、他の膜、領域、構成要素などが介在され、間接的に電気的接続されている場合も含む。
【0040】
x軸、y軸及びz軸は、直交座標系上の三軸に限定されるものではなく、それを含む広い意味にも解釈される。例えば、x軸、y軸及びz軸は、互いに直交もするが、互いに直交せず、互いに異なる方向を指すこともある。
【0041】
図1は、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置を概略的に図示した斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置に含まれる画素の等価回路図である。
【0042】
図1を参照すれば、有機発光ディスプレイ装置1は、イメージを表示する表示領域DAと、イメージを表示しない周辺領域である非表示領域NDAと、を含む。有機発光ディスプレイ装置1は、表示領域DAから放出される光を利用し、外部にイメージを提供することができる。
図1においては、表示領域DAが四角形である有機発光ディスプレイ装置1を図示しているが、表示領域DAの形状は、四角形に限定されるものではない。表示領域DAの形状は、円形、楕円形、または三角形や五角形のような多角形でもある。
【0043】
基板100は、ガラス材または高分子樹脂を含んでもよい。また、高分子樹脂を含む基板100は、可撓性を有することができる。
図1の有機発光ディスプレイ装置1は、フラット形態の平板有機発光ディスプレイ装置を図示するが、例えば、可撓性を有する基板100を具備した有機発光ディスプレイ装置は、反ったり(curved)、曲がったり(bendable)、巻き取られたり(rollable)、折り畳まれたり(foldable)するというように、その形状が変更されてもよい。
【0044】
有機発光ディスプレイ装置1は、基板100の表示領域DAに配置された複数の画素Pを含む。複数の画素Pは、それぞれ
図2に図示された有機発光ダイオードOLEDのような表示要素を含んでもよい。各画素Pは、有機発光ダイオードOLEDを介して、例えば、赤色、緑色、青色または白色の光を放出することができる。
【0045】
以下、本明細書において、各画素Pは、それぞれ互いに異なる色を発光する副画素(sub-pixel)を意味し、各画素Pは、例えば、赤色(R)、緑色(G)または青色(
B)を発光する副画素でもある。
【0046】
なお、図示は省略するが、有機発光ディスプレイ装置1は、コンポーネント(図示は省略)を含んでもよい。該コンポーネントは、表示領域DAまたは非表示領域NDAに対応するように、基板100の一側に位置することができる。
【0047】
該コンポーネントは、光や音響を利用する電子要素でもある。例えば、該電子要素は、赤外線センサのように、光を受光して利用するセンサ、光を受光してイメージを撮像するカメラ、光や音響を出力して感知し、距離を測定したり、指紋などを認識したりするセンサ、光を出力する小型ランプ、音を出力するスピーカなどである。
【0048】
図2を参照すれば、各画素Pは、スキャンラインSL及びデータラインDLに接続された画素回路PC、及び画素回路PCに接続された有機発光ダイオードOLEDを含む。
【0049】
画素回路PCは、駆動薄膜トランジスタTd、スイッチング薄膜トランジスタTs及びストレージキャパシタCstを含む。スイッチング薄膜トランジスタTsは、スキャンラインSL及びデータラインDLに接続され、スキャンラインSLを介して入力されるスキャン信号Snにより、データラインDLを介して入力されたデータ信号Dmを駆動薄膜トランジスタTdに伝達する。
【0050】
ストレージキャパシタCstは、スイッチング薄膜トランジスタTs及び駆動電圧ラインPLに接続され、スイッチング薄膜トランジスタTsから伝達された電圧と、駆動電圧ラインPLに供給される第1電源電圧ELVDD(または、駆動電圧)との差に該当する電圧を保存する。
【0051】
駆動薄膜トランジスタTdは、駆動電圧ラインPLとストレージキャパシタCstとに接続され、ストレージキャパシタCstに保存された電圧値に対応し、駆動電圧ラインPLから有機発光素子OLEDを流れる駆動電流を制御することができる。有機発光素子OLEDは、駆動電流により、所定輝度を有する光を放出することができる。
【0052】
図2においては、画素回路PCが2個の薄膜トランジスタ、及び1個のストレージキャパシタを含む場合について説明したが、本発明は、それに限定されるものではない。他の実施形態において、画素回路PCは、3個の薄膜トランジスタ、及び2個のストレージキャパシタを含んでもよい。他の実施形態において、画素回路PCは、7個の薄膜トランジスタ、及び1個のストレージキャパシタを含んでもよい。他の実施形態において、画素回路PCは、7個の薄膜トランジスタ、及び2個以上のストレージキャパシタを含んでもよい。
【0053】
図3及び
図4は、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置の一部を概略的に図示した断面図である。
【0054】
図3を参照すれば、有機発光ディスプレイ装置は、互いに異なる波長の光を放出する第1画素P1、第2画素P2及び第3画素P3を含む。第1画素P1、第2画素P2及び第3画素P3は、それぞれ第1有機発光ダイオードOLED1、第2有機発光ダイオードOLED2及び第3有機発光ダイオードOLED3を含んでもよい。一実施形態において、第1有機発光ダイオードOLED1は、赤色波長の光を発光することができ、第2有機発光ダイオードOLED2は、緑色波長の光を発光することができ、第3有機発光ダイオードOLED3は、青色波長の光を発光することができる。
【0055】
基板100は、ガラス材または高分子樹脂を含んでもよい。基板100が高分子樹脂を含む場合、有機発光ディスプレイ装置は、反ったり(curved)、曲がったり(bendable)、巻き取られたり(rollable)、折り畳まれたり(foldable)する特性を有することができる。該高分子樹脂は、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)またはセルロースアセテートプロピオネート(CAP)などを含んでもよい。一実施形態において、基板100は、ポリイミド(PI)によって形成された少なくとも2層以上の有機層を含んでもよく、無機層と交互に積層された多層構造を有することができる。
【0056】
基板100上には、第1画素回路PC1、第2画素回路PC2及び第3画素回路PC3を含む多層膜110が配置されてもよい。多層膜110に含まれる第1画素回路PC1、第2画素回路PC2及び第3画素回路PC3は、各種配線、電極、及びそれら間に介在された絶縁層を含んでもよい。それぞれの第1画素回路PC1、第2画素回路PC2及び第3画素回路PC3は、少なくとも1個以上の薄膜トランジスタ、及び少なくとも1個以上のストレージキャパシタを含んでもよい。
【0057】
多層膜110上面は、平坦化されて具備され、多層膜110上には、第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bが配置されてもよい。第1画素電極
210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bは、例えば、基板上部に、画素電極用物質を、蒸着法またはスパッタリング法などを利用しても形成される。第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bがアノードである場合、正孔注入が容易であるように、画素電極用物質は、高い仕事関数を有する物質のうちからも選択される。
【0058】
第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bは、反射型電極、半透過型電極または透過型電極でもある。透過型電極である第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bを形成するために、画素電極用物質は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、及びその任意の組み合わせのうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。または、半透過型電極または反射型電極である第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bを形成するために、画素電極用物質は、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)、及びその任意の組み合わせのうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0059】
第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bは、単一層である単層構造、または複数の層を有する多層構造を有することができる。一実施形態において、第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bは、反射型電極に具備され、少なくとも1層以上の反射層と、少なくとも1層以上の透明導電層の積層構造を有することができる。例えば、
図5に図示されるように、第1画素電極210Rは、反射層210aを挟み、下上に配置された透明導電層210b、210cの三重層構造を有することができる。
図5においては、第1画素電極210Rを基準に図示されたが、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bも、同一構造である。例えば、第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bは、ITO/Ag/ITOの3層構造を有することができるが、それに限定されるものではない。
【0060】
第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bの上には、画素定義膜180が配置されてもよい。画素定義膜180は、それぞれ第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bの少なくとも一部を露出させる開口を介して、各画素の発光領域を定義することができる。画素定義膜180は、第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bそれぞれのエッジと、対向電極230との距離を増大させることにより、第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bのエッジにおいて、アーク(arc)などが発生することを防止する役割を行う。そのような画素定義膜180は、例えば、ポリイミドまたはヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)のような有機物によっても形成される。
【0061】
第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bの上部には、第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bのそれぞれと対向し、対向電極230が位置することができる。対向電極230は、それぞれが離隔されてパターニングされた第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bとは異なり、基板100上で一体である形態である。すなわち、対向電極230は、表示領域DAに位置した複数の画素全体にわたって配置されてもよい。
【0062】
一実施形態において、対向電極230は、透光性電極にも具備される。透光性電極というのは、対向電極230が透明電極または半透明電極に具備されるとも理解される。従って、本実施形態による有機発光ディスプレイ装置は、第1有機発光層222R、第2有機発光層222G及び第3有機発光層222Bから放出された光が対向電極230を透過し、
外部に放出される前面発光型表示装置でもある。
【0063】
対向電極230は、例えば、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、フルオロ化リチウム/カルシウム(LiF/Ca)、フルオロ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)及び金(Au)のうち少なくとも一つによって構成され、単層または多層にも形成される。対向電極230は、数nmないし数十nmの非常に薄い金属でもあり、屈折率は、1未満であり、光学定数k(extinction coefficient)は、非常に大きい値を有することができる。
【0064】
そのように、第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bが反射型電極に具備され、対向電極230は、透光性電極に具備されることにより、本実施形態による第1有機発光ダイオードOLED1、第1有機発光ダイオードOLED2及び第3有機発光ダイオードOLED3は、微細共振構造(microcavity)を形成することができる。
【0065】
第1中間層220Rは、第1画素電極210Rと対向電極230との間に配置され、第2中間層220Gは、第2画素電極210Gと対向電極230との間に配置され、第3中間層220Bは、第3画素電極210Bと対向電極230との間に配置されてもよい。第1画素P1、第2画素P3及び第3画素P3は、それぞれ互いに異なる波長の光を放出するために、第1中間層220R、第2中間層220G及び第3中間層220Bの厚みは、互いに異なるようにも具備される。
【0066】
第1中間層220Rは、第1色発光用第1有機発光層222Rと、第1有機発光層222Rの下上にそれぞれ配置された第1下部機能層221R及び第1上部機能層223Rと、を含んでもよい。第2中間層220Gは、第2色発光用第2有機発光層222Gと、第2有機発光層222Gの下上にそれぞれ配置された第2下部機能層221G及び第2上部機能層223Gと、を含んでもよい。第3中間層220Bは、第3色発光用第3有機発光層222Gと、第3有機発光層222Gの下上にそれぞれ配置された第3下部機能層221G及び第3上部機能層223Gと、を含んでもよい。
【0067】
一実施形態において、第1有機発光層222Rは、赤色波長の光を放出し、第2有機発光層222Gは、緑色波長の光を放出し、第3有機発光層222Bは、青色波長の光を放出することができる。第1有機発光層222R、第2有機発光層222G及び第3有機発光層222Bは、それぞれ画素別にパターニングされても具備される。
【0068】
第1有機発光層222R、第2有機発光層222G及び第3有機発光層222Bは、それぞれホスト及びドーパントを含んでもよい。例えば、ドーパントとしては、リン光ドーパント及び蛍光ドーパントのうち少なくとも一つを含んでもよい。有機発光層において、ドーパントの含量は、一般的に、ホスト約100重量部に対して、約0.01ないし約15重量部の範囲で選択されるが、それに限定されるものではない。
【0069】
第1有機発光層222R、第2有機発光層222G及び第3有機発光層222Bは、それぞれの厚みは、約100Åないし約1,000Å、例えば、約200Åないし約600Åでもある。第1有機発光層222R、第2有機発光層222G及び第3有機発光層222Bの厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優れた発光特性を示すことができる。
【0070】
第1画素電極210Rと第1有機発光層222Rとの間には、第1下部機能層221Rが配置され、第2画素電極210Gと第2有機発光層222Gとの間には、第2下部機能層
221Gが配置され、第3画素電極210Bと第3有機発光層222Bとの間には、第3下部機能層221Bが配置されてもよい。
【0071】
一実施形態において、第1下部機能層221R、第2下部機能層221G及び第3下部機能層221Bは、それぞれ単層構造または多層構造にも具備される。第1下部機能層221R、第2下部機能層221G及び第3下部機能層221Bは、基板上において、複数の画素にわたって一体形成されてもよい。ただし、その場合、第1下部機能層221R、第2下部機能層221G及び第3下部機能層221Bに含まれた一部の層(例えば、発光補助層)は、画素別にパターニングされて具備されてもよい。
【0072】
第1有機発光層222Rと対向電極230との間には、第1上部機能層223Rが配置され、第2有機発光層222Gと対向電極230との間には、第2上部機能層223Gが配置され、第3有機発光層222Bと対向電極230との間には、第3上部機能層223Bが配置されてもよい。
【0073】
一実施形態において、第1上部機能層223R、第2上部機能層223G及び第3上部機能層223Bは、それぞれ単層構造または多層構造にも具備される。第1上部機能層223R、第2上部機能層223G及び第3上部機能層223Bは、基板上において、複数の画素にわたって一体形成されてもよい。
【0074】
図4を参照すれば、対向電極230上には、キャッピング層240及び薄膜封止層300がさらに配置されてもよい。
【0075】
キャッピング層240は、対向電極230の反射率を高くし、第1画素電極210R、第2画素電極210G及び第3画素電極210Bと対向電極230との間で形成された共振構造の共振効率を向上させることができる。それを介して、共振構造の共振効率が向上し、有機発光ディスプレイ装置の光抽出効率が上昇することになる。
【0076】
薄膜封止層300は、少なくとも1層の無機封止層と、少なくとも1層の有機封止層とを含んでもよい。一実施形態において、薄膜封止層300は、順次に積層された第1無機封止層310、有機封止層320及び第2無機封止層330を含んでもよい。
【0077】
第1無機封止層310及び第2無機封止層330は、それぞれ1以上の無機絶縁物を含んでもよい。該無機絶縁物は、アルミニウム酸化物、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、亜鉛酸化物、シリコン酸化物、シリコン窒化物または/及びシリコン酸窒化物を含んでもよい。有機封止層320は、ポリマー系の物質を含んでもよい。該ポリマー系の素材としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド及びポリエチレンなどを含んでもよい。該アクリル系樹脂は、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸などを含んでもよい。
【0078】
図5及び
図6は、本発明の一実施形態による第1有機発光ダイオード、第2有機発光ダイオード及び第3有機発光ダイオードの積層構造を概略的に図示した図面である。
【0079】
以下、
図5を参照し、第1下部機能層221R、第2下部機能層221G及び第3下部機能層221B、並びに第1上部機能層223R、第2上部機能層223G及び第3上部機能層223Bについて詳細に説明する。
【0080】
それぞれの第1下部機能層221R、第2下部機能層221G及び第3下部機能層221Bは、正孔を輸送する正孔輸送領域とも定義される。
【0081】
該正孔輸送領域は、i)単一物質からなる単一層からなる単層構造、ii)複数の互いに異なる物質からなる単一層からなる単層構造、あるいはiii)複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有することができる。
【0082】
一実施形態において、該正孔輸送領域は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光補助層及び電子阻止層(EBL)のうちから選択された少なくとも1層を含んでもよい。一実施形態において、第1下部機能層221R、第2下部機能層221G及び第3下部機能層221Bに含まれた正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光補助層及び電子阻止層(EBL)の厚みは、互いに独立して具備されてもよい。
【0083】
例えば、該正孔輸送領域は、複数の互いに異なる物質からなる単一層からなる単層構造を有するか、あるいは画素電極から順に積層された正孔注入層/正孔輸送層、正孔注入層/正孔輸送層/発光補助層、正孔注入層/発光補助層、正孔輸送層/発光補助層または正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層の多層構造を有することができるが、それらに限定されるものではない。
【0084】
該正孔輸送領域は、4,4’,4”-トリス[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、TDATA(4,4’,4”-Tris(N,N-diphenylamino)triphenylamine)、2-TNATA(4,4’,4”-tris(2-naphthylphenylamino)triphenylamine)、N,N’-ジ-1-ナフチル-N,N’-ジフェニルベンジジン(NPB)(NPD)、β-NPB、N,N,N’,N’-テトラフェニル-ピレン-1,6-ジアミン(TPD)、spirpo-TPD、spiro-NPB、メチル化された-NPB、TAPC(4,4’-Cyclohexylidenebis[N,N-bis(4-methylphenyl)benzenamine])、HMTPD(N,N,N’,N’-tetra-(3-Methylphenyl)-3,3’-dimethylbenzidine)、4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、ポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PANI/PSS)のうちから選択された少なくとも一つを含んでもよい。
【0085】
該発光補助層は、発光層から放出される光の波長による光学的共振距離を補償し、光放出効率を向上させる役割を行う層であり、前記電子阻止層は、電子輸送領域からの電子注入を防止する役割を行う層である。前述の発光補助層及び電子阻止層には、前述のような物質が含まれる。該発光補助層の厚みは、各画素別に独立しても具備される。例えば、長波長の光を放出する第1有機発光ダイオードOLED1の発光補助層の厚みは、相対的に短波長の光を放出する第2有機発光ダイオードOLED2の発光補助層の厚みよりも厚い。
【0086】
該正孔輸送領域は、前述のような物質以外に、導電性向上のために、電荷生成物質をさらに含んでもよい。該電荷生成物質は、前記正孔輸送領域内に、均一にも不均一にも分散されている。例えば、該電荷生成物質は、p-ドーパントでもある。
【0087】
一実施形態によれば、p-ドーパントのLUMO(lowest unoccupied
molecular orbital)は、-3.5eV以下でもある。該p-ドーパントは、キノン誘導体、金属酸化物及びシアノ基含有化合物のうちから選択された少なくとも一つを含んでもよいが、それらに限定されるものではない。
【0088】
それぞれの第1上部機能層223R、第2上部機能層223G及び第3上部機能層223
Bは、電子を輸送する電子輸送領域とも定義される。
該電子輸送領域は、i)単一物質からなる単一層からなる単層構造、ii)複数の互いに異なる物質からなる単一層からなる単層構造、あるいはiii)複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有することができる。
【0089】
該電子輸送領域は、バッファ層、正孔阻止層、電子調節層、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)のうちから選択された少なくとも1層を含んでもよいが、それらに限定されるものではない。
【0090】
例えば、該電子輸送領域は、有機発光層(すなわち、第1有機発光層222R、第2有機発光層222G及び第3有機発光層222Bのうちいずれか1層の有機発光層)から順に積層された電子輸送層/電子注入層、正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層、電子調節層/電子輸送層/電子注入層またはバッファ層/電子輸送層/電子注入層などの構造を有することができるが、それらに限定されるものではない。
【0091】
該電子輸送領域(例えば、電子輸送領域において、バッファ層、正孔阻止層、電子調節層または電子輸送層)は、π電子欠乏性含窒素環を少なくとも一つ含む金属非含有化合物を含んでもよい。
【0092】
該電子輸送領域は、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(Bphen)、Alq3、BAlq、3-(ビフェニル-4-イル)-5-(4-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾール(TAZ)、NTAZ、ジフェニル(4-(トリフェニルシリル)フェニル)-ホスフィンオキシド(TSPO1)及び3P-T2Tのうちから選択された少なくとも1つの化合物を含んでもよい。
【0093】
第1上部機能層223R、第2上部機能層223G及び第3上部機能層223Bにそれぞれ含まれたバッファ層、正孔阻止層、電子調節層、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)の厚みは、互いに独立しても具備される。
【0094】
一実施形態において、当該のバッファ層、正孔阻止層または電子調節層の厚みは、互いに独立して、約20Åないし約1,000Å、例えば、約30Åないし約300Åでもある。当該のバッファ層、正孔阻止層または電子調節層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優れた正孔阻止特性または電子調節特性を得ることができる。
【0095】
一実施形態において、電子輸送層(ETL)の厚みは、約100Åないし約1,000Å、例えば、約150Åないし約500Åでもある。前記電子輸送層(ETL)の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、優れた電子輸送特性を得ることができる。
【0096】
前記電子輸送領域(例えば、前記電子輸送領域において、電子輸送層(ETL))は、前述のような物質以外に、金属含有物質をさらに含んでもよい。
【0097】
前記金属含有物質は、アルカリ金属錯体及びアルカリ土類金属錯体のうちから選択された少なくとも一つを含んでもよい。前記アルカリ金属錯体の金属イオンは、Liイオン、Naイオン、Kイオン、Rbイオン及びCsイオンのうちからも選択され、前記アルカリ土類金属錯体の金属イオンは、Beイオン、Mgイオン、Caイオン、Srイオン及びBaイオンのうちからも選択される。前述のアルカリ金属錯体及びアルカリ土類金属錯体の金属イオンに配位されたリガンドは、互いに独立して、ヒドロキシキノリン、ヒドロキシイ
ソキノリン、ヒドロキシベンゾキノリン、ヒドロキシアクリジン、ヒドロキシフェナントリジン、ヒドロキシフェニルオキサゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、ヒドロキシジフェニルオキサジアゾール、ヒドロキシジフェニルチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンゾチアゾール、ビピリジン、フェナントロリン及びシクロペンタジエンのうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0098】
例えば、前記金属含有物質は、Li錯体を含んでもよい。前記Li錯体は、例えば、下記の化学式1に示す化合物ET-D1(リチウムキノレート(LiQ))または下記の化学式2に示すET-D2を含んでもよい。
【0099】
【0100】
【0101】
前記電子輸送領域は、対向電極230からの電子注入を容易にする電子注入層(EIL)を含んでもよい。該電子注入層(EIL)は、前記対向電極230と直接(directly)接触することができる。
【0102】
該電子注入層(EIL)は、i)単一物質からなる単一層からなる単層構造、ii)複数の互いに異なる物質からなる単一層からなる単層構造、あるいはiii)複数の互いに異なる物質からなる複数の層を有する多層構造を有することができる。
【0103】
該電子注入層(EIL)は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、希土類金属化合物、アルカリ金属錯体、アルカリ土
類金属錯体、希土類金属錯体、またはそれらのうち任意の組み合わせを含んでもよい。
【0104】
前記アルカリ金属は、Li、Na、K、Rb及びCsのうちからも選択される。一実施形態によれば、前記アルカリ金属は、Li、NaまたはCsでもある。他の実施形態によれば、前記アルカリ金属は、LiまたはCsでもあるが、それらに限定されるものではない。
【0105】
前記アルカリ土類金属は、Mg、Ca、Sr、及びBaのうちからも選択される。
【0106】
前記希土類金属は、Sc、Y、Ce、Tb、Yb及びGdのうちからも選択される。
【0107】
前述アルカリ金属化合物、前記アルカリ土類金属化合物及び前記希土類金属化合物は、前記アルカリ金属、前記アルカリ土類金属及び前記希土類金属の酸化物及びハロゲン化物(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物など)のうちからも選択される。
【0108】
前記アルカリ金属化合物は、Li2O、Cs2O、K2Oのようなアルカリ金属酸化物、及びLiF、NaF、CsF、KF、LiI、NaI、CsI、KIのようなアルカリ金属ハロゲン化物のうちからも選択される。一実施形態によれば、前記アルカリ金属化合物は、LiF、Li2O、NaF、LiI、NaI、CsI、KIのうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0109】
前記アルカリ土類金属化合物は、BaO、SrO、CaO、BaxSr1-xO(0<x<1)、BaxCa1-xO(0<x<1)のようなアルカリ土類金属化合物のうちからも選択される。一実施形態によれば、前記アルカリ土類金属化合物は、BaO、SrO及びCaOのうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0110】
前記希土類金属化合物は、YbF3、ScF3、ScO3、Y2O3、Ce2O3、GdF3及びTbF3のうちからも選択される。一実施形態によれば、前記希土類金属化合物は、YbF3、ScF3、TbF3、YbI3、ScI3、TbI3のうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0111】
前記アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体及び希土類金属錯体は、前述のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属のイオンを含み、前述のアルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体及び希土類金属錯体の金属イオンに配位されたリガンドは、互いに独立して、ヒドロキシキノリン、ヒドロキシイソキノリン、ヒドロキシベンゾキノリン、ヒドロキシアクリジン、ヒドロキシフェナントリジン、ヒドロキシフェニルオキサゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、ヒドロキシジフェニルオキサジアゾール、ヒドロキシジフェニルチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンゾチアゾール、ビピリジン、フェナントロリン及びシクロペンタジエンのうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0112】
電子注入層は、前述のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、希土類金属化合物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属錯体、またはそれらのうち任意の組み合わせだけからなるか、あるいは前記有機物をさらに含んでもよい。前記電子注入層が有機物をさらに含む場合、前述のアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、希土類金属化合物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属錯体、またはそれらのうち任意の組み合わせは、前記有機物からなるマトリックスに均一にも不均一にも分散されている。
【0113】
該電子注入層の厚みは、約1Åないし約100Å、約3Åないし約90Åでもある。前記電子注入層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき電子注入特性を得ることができる。
【0114】
一実施形態において、
図6に図示されているように、第1有機発光ダイオードOLED1の第1下部機能層221Rは、第1画素電極210R上に順に積層された第1正孔注入層221R1/第1正孔輸送層221R2/第1発光補助層221R3を含み、第2有機発光ダイオードOLED2の第2下部機能層221Gは、第2画素電極210G上に順に積層された第2正孔注入層221G1/第2正孔輸送層221G2/第2発光補助層221G3を含み、第3有機発光ダイオードOLED3の第3下部機能層221Bは、第3画素電極210B上に順に積層された第3正孔注入層221B1/第1正孔輸送層221B2を含んでもよい。
【0115】
第1発光補助層221R3及び第2発光補助層221G3それぞれは、赤色波長の光を発光する第1有機発光ダイオードOLED1、及び緑色波長の光を発光する第2有機発光ダイオードOLED2にだけ具備される。それは、青色波長の光を発光する第3有機発光ダイオードOLED3に比べ、相対的に長波長を有する第1有機発光ダイオードOLED1及び第2有機発光ダイオードOLED2において、光学的共振距離を補償し、光放出効率を上昇させるためである。他の実施形態において、第3有機発光ダイオードOLED3も、発光補助層を具備することができ、その場合、発光補助層の厚みは、第1発光補助層221R3及び第2発光補助層221G3よりも薄い。
【0116】
また、
図6に図示されているように、第1有機発光ダイオードOLED1の第1上部機能層223Rは、第1有機発光層222R上に順に積層された第1バッファ層223R1/第1電子輸送層223R2/第1電子注入層223R3を含み、第2有機発光ダイオードOLED2の第2上部機能層223Gは、第2有機発光層222G上に順に積層された第2バッファ層223G1/第2電子輸送層221G2/第2電子注入層223G3を含み、第3有機発光ダイオードOLED3の第3上部機能層223Bは、第3有機発光層222B上に順に積層された第3バッファ層223B1/第3電子輸送層223B2/第3電子注入層223B3を含んでもよい。
【0117】
一方、再び
図5を参照し、本実施形態において、正孔輸送領域の厚みt31は、約1,000Åないし約3,000Åでもある。一実施形態において、該正孔輸送領域が正孔注入層及び正孔輸送層のうち少なくとも1層を含むならば、該正孔注入層の厚みは、約100Åないし約9,000Å、望ましくは、約100Åないし約1,000Åであり、該正孔輸送層の厚みは、約50Åないし約2,000Å、望ましくは、約100Åないし約1,500Åでもある。前述の正孔輸送領域、正孔注入層及び正孔輸送層の厚みが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき正孔輸送特性を得ることができる。
【0118】
さらに詳細には、正孔輸送領域、すなわち、第1下部機能層221R,第2下部機能層221G及び第3下部機能層221Bの厚みt11,t21,t31は、波長によって互いに異なりもする。一実施形態において、赤色波長の光を発光するための第1下部機能層221Rの厚みt11は、約1,800Åないし約2,600Åでもあり、望ましくは、第1上部機能層223Rの厚みt12と、第1下部機能層の厚みt11は、約1:1.2以上1.4以下の比率を有することができる。また、緑色波長の光を発光するための第2下部機能層221Gの厚みt21は、約1,300Åないし約1,800Åでもあり、望ましくは、第2上部機能層223Gの厚みt22と、第2下部機能層の厚みt21は、約1:1以上1.02以下の比率を有することができる。また、青色波長の光を発光するための第3下部機能層221Bの厚みt31は、約1,000Åないし約1,600Åでもあ
り、望ましくは、第3上部機能層223Bの厚みt32と第3下部機能層の厚みt31は、1:0.7以上0.9以下の比率を有することができる。
【0119】
そのような第1下部機能層221R、第2下部機能層221G及び第3下部機能層221Bの厚みt11,t21,t31は、第1光学距離CD(color distance)とも定義される。すなわち、第1光学距離CDは、第1画素電極210R(または、第2画素電極210G/第3画素電極210B)の上面から第1有機発光層222R(または、第2有機発光層222G/第3有機発光層222B)の下面までの距離とも定義される。第1光学距離CDは、第1波長、例えば、赤色波長、緑色波長または青色波長の光が二次共振(resonant)する距離と実質的に同一でもある。従って、第1有機発光ダイオードOLED1において、第1光学距離CDは、約1,800Åないし約2,600Åでもあり、望ましくは、約1,900Åないし約2,100Åでもある。また、第2有機発光ダイオードOLED2において、第1光学距離CDは、約1,300Åないし約1,800Åでもあり、望ましくは、約1,450Åないし約1,650Åでもある。また、第3有機発光ダイオードOLED3において、第1光学距離CDは、約1,000Åないし約1,600Åでもあり、望ましくは、約1,250Åないし約1,450Åでもある。
【0120】
また、本実施形態において、各画素電極210R,210G,210Bと対向電極230との距離は、第2光学距離OL(optical length)とも定義される。すなわち、第2光学距離OLは、「下部機能層」、「有機発光層」及び「上部機能層」の厚みの和(すなわち、t12、t22、t32)とも理解される。
【0121】
第2光学距離OLは、第1波長、例えば、赤色波長、緑色波長または青色波長の光が三次共振する距離と同一または略同一でもある。一実施形態において、第1有機発光ダイオードOLED1、第1有機発光ダイオードOLED2及び第3有機発光ダイオードOLED3の第2光学距離OLは、約1,300Åないし約1,800Åでもあり、望ましくは、は約1,330Åないし約1,730Åでもあり、例えば、約1,430Åないし約1,630Åでもある。さらに詳細に、第1有機発光ダイオードOLED1において、第2の光学距離OLは、第1有機発光層222Rが約400Åであるとき、約3,500~4,800Åであることができる。また、第2の有機発光ダイオードOLED2において、第2の光学距離OLは、第2有機発光層222Gが約400Åであるとき、約3,000~4,000Åであることができる。また、第3の有機発光ダイオードOLED3において、第2の光学距離OLは、第3の有機発光層222Bが約200Åであるとき、約2,500~3,000Åであることができる。
【0122】
前述の第1光学距離CD及び第2光学距離OLは、共振を定義する概念としても使用される。比較例として、有機発光ダイオードが二次共振する場合、第1光学距離と第2光学距離とのいずれもが、当該波長の光が二次共振(すなわち、2CD/2OL共振)をするように設計される。また、有機発光ダイオードが三次共振する場合、第1光学距離と第2光学距離とのいずれもが、当該波長の光が三次共振(すなわち、3CD/3OL共振)をするように設計される。
【0123】
それとは異なり、本実施形態においては、第1波長の光を放出する有機発光ダイオード(すなわち、第1有機発光ダイオードOLED1、第2有機発光ダイオードOLED2または第3有機発光ダイオードOLED3において、第1光学距離CDは、第1波長の光が二次共振する距離と同一または略同一であり、同時に、第2光学距離OLは、第1波長の光が三次共振する距離と実質的に同一でもある。すなわち、本実施形態による有機発光ダイオードは「二次CD/三次OL共振」を行うとも理解される。
【0124】
前記「二次CD/三次OL共振」は、比較例として記述した二次共振(2CD/2OL共振)及び三次共振(3CD/3OL共振)とは違いがある。「有機発光ダイオード」が二次共振を満足するためには、第1光学距離CDに該当する「下部機能層」の厚み、及び第2光学距離OLに該当する「下部機能層」、「有機発光層」及び「上部機能層」厚みの和が、いずれも二次共振に対応する距離を満足しなければならない。例えば、二次共振の場合、第2光学距離OLを合わせるために、「上部機能層」の厚みは、約200Åないし約450Åに具備されなければならない。
【0125】
また、「有機発光ダイオード」が三次共振を満足するためには、第1光学距離CDに該当する「下部機能層」の厚み、及び第2光学距離OLに該当する「下部機能層」、「有機発光層」及び「上部機能層」厚みの和が、いずれも三次共振に対応する距離を満足しなければならない。例えば、三次共振の場合、第2光学距離OLを合わせるために、「下部機能層」の厚みは、約2,800Åないし約3,000Åに具備されなければならない。
【0126】
前述のように、二次共振を満足する「有機発光ダイオード」の場合「下部機能層」の厚みは、約1,100Åないし約2,300Åに具備される一方、「上部機能層」の厚みは、約200Åないし約450Åに具備される。従って、「有機発光層」を基準に、「下部機能層」と「上部機能層」との厚みが約2倍ほど差がある非対称により、「有機発光層」内に電荷不均衡が発生し、それは、素子寿命特性低下につながる問題点がある。
【0127】
同様に、三次共振の場合にも、三次共振を満足する「有機発光ダイオード」の場合、「下部機能層」の厚みは、約1,100Åないし約2,300Åに具備される一方、「上部機能層」の厚みは、約2,800Åないし約3,000Åに具備されるので、「有機発光層」を基準に、「下部機能層」と「上部機能層」との厚みが約2倍ほど差がある非対称により、素子寿命特性低下の問題点がある。
【0128】
そのために、本実施形態による有機発光ダイオードOLED1,OLED2,OLED3において、第1光学距離CDは、第1波長の光が二次共振する距離と実質的に同一であり、同時に、第2光学距離OLは、第1波長の光が三次共振する距離と実質的に同一でもある。従って、「二次CD/三次OL共振」を満足する本実施形態の有機発光ダイオードOLED1,OLED2,OLED3の場合「下部機能層」221R,221G,221Bの厚みt11,t21,t31は、それぞれ赤色波長の場合、約1,000Åないし約1,600Å、緑色波長の場合、約1,300Åないし約1,800Å、青色波長の場合、約1,800Åないし約2,600Åに具備され、「上部機能層」223R,223G,223Bの厚みt12,t22,t32は、約1,300Åないし約1,800Åに具備される。各波長別に所定の違いがあるが、「二次CD/三次OL共振」を満足する本実施形態の有機発光ダイオードOLED1,OLED2,OLED3の場合「下部機能層」221R,221G,221Bと「上部機能層」223R,223G,223Bとの厚みが対象または略対称に具備される。従って、「有機発光層」222R,222G,222Bを基準に、「下部機能層」221R,221G,221Bと「上部機能層」223R,223G,223Bとの厚み不均一を解消し、素子寿命特性を効果的に向上させることができる。
【0129】
図7は、本発明の一実施形態による有機発光ダイオードのHAMOSシミュレーション結果を概略的に図示したグラフであり、
図8は、本発明の一実施形態による有機発光ダイオードの光効率及び寿命を比較した表である。
【0130】
図7は、本発明の一実施形態による緑色波長の光を放出する第2有機発光ダイオードOLED2のHAMOSシミュレーション結果を示したグラフである。
図7のグラフにおいて、X軸は、下部機能層(すなわち、第2下部機能層221G)の厚みを示し、Y軸は、上
部機能層(すなわち、第2上部機能層223G)の厚みを示す。
【0131】
図7のグラフにおいて、A部分は、本実施形態による「二次CD/三次OL共振」を示し、B部分は、二次共振(2CD/2OL共振)(以下、比較例1)を示し、C部分は、三次共振(3CD/3OL共振)(以下、比較例2)を示す。実施形態(A)は、比較例1(B)に比べ、同一効率(60~80)を有する一方、比較例2(C)は、効率(40~60)が低下しているということが分かる。
【0132】
実施形態(A)と比較例1(B)とを比較すれば、実施形態(A)の上部機能層の厚みが、比較例1(B)の上部機能層厚みよりさらに厚く具備される。すなわち、それは、実施形態(A)及び比較例1(B)において、下部機能層の厚みは、約1,250Åないし約1,800Åと、概して同一である一方、実施形態(A)の上部機能層の厚みは、約1,300Åないし約1,800Åであるところに反し、比較例1(B)の上部機能層の厚みは、約310Åないし約400Åであることが分かる。そのように、二次共振構造に比べ、「二次CD/三次OL共振」構造の上部機能層の厚みがさらに厚く形成されるので、光効率低下に係わる問題があることになる。しかし、HAMOSシミュレーション結果、二次共振構造において、「二次CD/三次OL共振」構造に変更された有機発光ダイオードの光効率は、同一であるということが分かる。
【0133】
図8を参照すれば、実施形態と比較例との光効率及び寿命を比較した表を図示する。
図8の表において、実施形態1(実施例1)、実施形態2(実施例2)、実施形態3(実施例3)は、各波長に係わる本発明の「二次CD/三次OL共振」の実施形態である。
【0134】
まず、各波長に係わる三次共振の比較例(比較例1-2、比較例2-2、比較例3-2)について述べれば、二次共振に比べ、光効率及び寿命が低下しているということが分かる。それにより、二次共振構造を最適の構造と仮定するとき、本発明の実施形態(実施形態1、実施形態2、実施形態3)は、赤色波長、緑色波長及び青色波長において、二次共振の比較例(比較例1-1、比較例2-1、比較例3-1)と同一光効率を維持しながら、同時に、寿命が150ないし200%上昇しているということが分かる。
図7及び
図8の実験を介して、本発明の一実施形態による有機発光ダイオードは、光効率にすぐれ、同時に、素子寿命が効果的に改善されるということを確認することができる。
【0135】
本発明は、図面に図示された実施形態を参照して説明されたが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野において当業者であるならば、それらから、多様な変更、及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められるものである。
【符号の説明】
【0136】
100 基板
110 多層膜
180 画素定義膜
210R 第1画素電極
210G 第2画素電極
210B 第3画素電極
220R 第1中間層
220G 第2中間層
220B 第3中間層
221R 第1下部機能層
221G 第2下部機能層
221B 第3下部機能層
222R 第1有機発光層
222G 第2有機発光層
222B 第3有機発光層
223R 第1上部機能層
223G 第2上部機能層
223B 第3上部機能層
230 対向電極
240 キャッピング層
300 薄膜封止層