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特開2024-111187出版許可装置、出版許可方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111187
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】出版許可装置、出版許可方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240808BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024099281
(22)【出願日】2024-06-20
(62)【分割の表示】P 2022086385の分割
【原出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】515146785
【氏名又は名称】株式会社フタミ企画
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100166442
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋雅
(72)【発明者】
【氏名】堀内 速人
(57)【要約】
【課題】新人作家を育成することができる出版許可装置、出版許可方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】出版許可装置は、クリエイターの情報を登録する。そして、クリエイターの作品について、付与条件の異なる複数のチケットを付与するチケット付与手段を備える。複数のチケットは、電子マガジンへの連載を許可するチケットであり、複数のチケットのうち、使用されたチケットの種類に応じた電子マガジンへの連載依頼を、出版社における電子マガジンの担当者へ通知する。これにより、新人作家を育成することができる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリエイターの情報を登録するクリエイター登録手段と、
前記クリエイターの作品について、付与条件の異なる複数のチケットを付与するチケット付与手段と、を備え、
前記複数のチケットは、電子マガジンへの連載を許可するチケットであり、
前記複数のチケットのうち、使用されたチケットの種類に応じた電子マガジンへの連載依頼を、出版社における該電子マガジンの担当者へ通知する連載依頼通知手段をさらに備える、
出版許可装置。
【請求項2】
前記複数のチケットは、前記電子マガジンの読者数に応じて使用可能な種類が異なる、
請求項1に記載の出版許可装置。
【請求項3】
前記クリエイターの情報には前記クリエイターの作品データが含まれ、
前記クリエイター登録手段により登録された前記作品データについての読者の評価が予め定められた第1基準値以上である場合に、第1条件を満たし、
前記電子マガジンに連載された前記クリエイターの作品についての読者数が予め定められた第2基準値以上である場合に、第2条件を満たし、
前記連載依頼通知手段は、前記第2条件を満たす場合、前記読者数が前記第1条件を満たした場合よりも多い電子マガジンへの連載を許可するため、該電子マガジンへの連載依頼を、出版社における該電子マガジンの担当者へ通知する、
請求項2に記載の出版許可装置。
【請求項4】
出版許可装置による出版許可方法であって、
クリエイターの情報を登録するクリエイター登録ステップと、
前記クリエイターの作品について、付与条件の異なる複数のチケットを付与するチケット付与ステップと、を備え、
前記複数のチケットは、電子マガジンへの連載を許可するチケットであり、
前記複数のチケットのうち、使用されたチケットの種類に応じた電子マガジンへの連載依頼を、出版社における該電子マガジンの担当者へ通知する連載依頼通知ステップをさらに備える、
出版許可方法。
【請求項5】
コンピュータを、
クリエイターの情報を登録するクリエイター登録手段、
前記クリエイターの作品について、付与条件の異なる複数のチケットを付与するチケット付与手段、として機能させ、
前記複数のチケットは、電子マガジンへの連載を許可するチケットであり、
前記複数のチケットのうち、使用されたチケットの種類に応じた電子マガジンへの連載依頼を、出版社における該電子マガジンの担当者へ通知する連載依頼通知手段、
としてさらに機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出版許可装置、出版許可方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、新人作家の育成の場として様々な工夫がなされている。例えば、特許文献1には、発行数が増える従って華やかになるように印刷データを作成することで、購入者に対して書籍を成長させている一体感を持たせることができ、書籍の購入をユーザに対して促すことができる印刷制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-95251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、新人作家を育成するという点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、新人作家を育成することができる出版許可装置、出版許可方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る出版許可装置は、
クリエイターの情報を登録するクリエイター登録手段と、
前記クリエイターの作品について、付与条件の異なる複数のチケットを付与するチケット付与手段と、を備え、
前記複数のチケットは、電子マガジンへの連載を許可するチケットであり、
前記複数のチケットのうち、使用されたチケットの種類に応じた電子マガジンへの連載依頼を、出版社における該電子マガジンの担当者へ通知する連載依頼通知手段をさらに備える。
【0007】
前記複数のチケットは、前記電子マガジンの読者数に応じて使用可能な種類が異なる、 ようにしてもよい。
【0008】
前記クリエイターの情報には前記クリエイターの作品データが含まれ、
前記クリエイター登録手段により登録された前記作品データについての読者の評価が予め定められた第1基準値以上である場合に、第1条件を満たし、
前記電子マガジンに連載された前記クリエイターの作品についての読者数が予め定められた第2基準値以上である場合に、第2条件を満たし、
前記連載依頼通知手段は、前記第2条件を満たす場合、前記読者数が前記第1条件を満たした場合よりも多い電子マガジンへの連載を許可するため、該電子マガジンへの連載依頼を、出版社における該電子マガジンの担当者へ通知する、
ようにしてもよい。
【0009】
出版許可装置による出版許可方法であって、
クリエイターの情報を登録するクリエイター登録ステップと、
前記クリエイターの作品について、付与条件の異なる複数のチケットを付与するチケット付与ステップと、を備え、
前記複数のチケットは、電子マガジンへの連載を許可するチケットであり、
前記複数のチケットのうち、使用されたチケットの種類に応じた電子マガジンへの連載依頼を、出版社における該電子マガジンの担当者へ通知する連載依頼通知ステップをさらに備える。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
クリエイターの情報を登録するクリエイター登録手段、
前記クリエイターの作品について、付与条件の異なる複数のチケットを付与するチケット付与手段、として機能させ、
前記複数のチケットは、電子マガジンへの連載を許可するチケットであり、
前記複数のチケットのうち、使用されたチケットの種類に応じた電子マガジンへの連載依頼を、出版社における該電子マガジンの担当者へ通知する連載依頼通知手段、
としてさらに機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、新人作家を育成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】出版許可システムの一例を示すブロック図である。
図2】出版許可装置の一例を示すブロック図である。
図3】(A)は、ポイント情報の一例を示す説明図であり、(B)は、連載管理情報の一例を示す説明図である。
図4】クリエイター登録処理の一例を示すフローチャートである。
図5】ポイント加算処理の一例を示すフローチャートである。
図6】チケット使用処理の一例を示すフローチャートである。
図7】フリー出版チケットが使用された場合の電子マガジン発行までの流れを説明する説明図である。
図8】連載管理処理の一例を示すフローチャートである。
図9】プレミアチケットの付与および電子単行本出版許可が行われるまでの流れを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態)
本発明を実施するための形態に係る出版許可装置、出版許可方法およびプログラムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当する部分には同一符号を付す。以下では、本発明における出版許可装置を、図1に示す出版許可システム1に適用した例を用いて説明する。
【0014】
出版許可システム1は、図1に示すように、出版許可装置100、クリエイター端末300、読者端末400、編集者端末500のそれぞれがネットワーク210を介して通信可能に接続されている。図示する例では、クリエイター端末300、読者端末400および編集者端末500が単数である例を示しているが、これらは複数存在する。
【0015】
出版許可装置100は、図1に示すように、インターネット等のネットワーク210に接続された情報端末である。出版許可装置100は、例えば出版社のスマートフォン、タブレットやPC(Personal Computer)やサーバなどの情報端末(所謂コンピュータ)であり、ネットワーク210を介してクリエイター端末300や読者端末400と各種データを送受信可能である。出版許可装置100は、クリエイターの作品を読者に提供する機能、読者からの評価に基づいて当該クリエイターに電子マガジンの連載許可を与える機能、および電子単行本の出版許可を出版社に通知する機能を有している。なお、当該出版許可装置100は、出版された電子マガジンや電子単行本を販売する機能も有している。
【0016】
クリエイター端末300は、図1に示すように、インターネット等のネットワーク210に接続された情報端末である。クリエイター端末300は、例えば漫画家、原作者、編集者などのクリエイターが所有するスマートフォン、タブレットやPCなどの情報端末であり、ネットワーク210を介してと出版許可装置100と各種データを送受信可能である。クリエイター端末300は、出版許可装置100に記憶されているプログラムを読み込むことで、当該クリエイターの情報や作品を出版許可装置100へ登録するための情報端末である。
【0017】
読者端末400は、図1に示すように、インターネット等のネットワーク210に接続された情報端末である。読者端末400は、読者が所有するスマートフォン、タブレットやPCなどの情報端末であり、ネットワーク210を介してと出版許可装置100と各種データを送受信可能である。読者端末400は、出版許可装置100に登録されている作品に対しての評価を行う情報端末である。なお、読者端末400は、出版許可装置100にて販売されている電子マガジンや電子単行本を購入するための情報端末でもある。
【0018】
編集者端末500は、図1に示すように、インターネット等のネットワーク210に接続された情報端末である。編集者端末500は、出版者における、電子マガジンや電子単行本の編集者が所有するスマートフォン、タブレットやPCなどの情報端末であり、ネットワーク210を介して出版許可装置100と各種データを送受信可能である。編集者端末500には、出版許可装置100から電子マガジンへの連載依頼や単行本の出版条件が満たされたことを示す単行本出版許可が通知される。
【0019】
次に、図2を参照し、出版許可装置100の構成について説明する。
【0020】
図2に示すように、出版許可装置100は、記憶部110と、制御部120と、入出力部130と、通信部140と、これらを相互に接続するシステムバス(図示省略)と、を備えている。
【0021】
記憶部110は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を備える。ROMは制御部120のCPU(Central Processing Unit)が実行するプログラム111と、プログラム111を実行する上で予め必要な各種データ(図示省略)と、ポイント情報112と、連載管理情報113を記憶する。なお、記憶部110には、図示は省略しているが、クリエイターから登録された作品や、出版された電子マガジンや電子単行本などが記憶される。これとは別に、クリエイターから登録された作品や、出版された電子マガジン、電子単行本などは、別途設けられた情報サーバに記憶されてもよい。
【0022】
プログラム111は、後述するクリエイター登録処理、ポイント加算処理、チケット使用処理、および連載管理処理を実行するプログラムであり、予め記憶部110に記憶されている。
【0023】
ポイント情報112は、漫画家や原作者など、出版許可装置100に作品を登録したクリエイターに対する読者からの評価であるポイントを管理するために必要な情報の一覧(図3(A)参照)であり、後述するクリエイター登録処理が実行されることにより記憶部110に記憶される。ポイント情報112には、図3(A)に示すように、クリエイター個人を識別する識別情報としての「ID」、クリエイターを認証するための「パスワード」、ポイント数を示す「ポイント」、電子マガジンへの連載を許可するチケットの数を示す「フリー出版チケット数」および「プレミアチケット数」、漫画家や原作者などのクリエイターの種別を示す「種別」、当該クリエイターの氏名を示す「氏名」、登録した作品を識別する「作品ID」といった情報が含まれている。なお、「フリー出版チケット数」は、新人漫画家の作品が複数連載された新人用電子マガジン(ルーキー誌)への連載を許可するチケットの数を示し、「プレミアチケット数」は、人気の作品が複数連載された人気電子マガジン(本誌)への連載を許可するチケットの数を示す。また、「氏名」については本名の他ペンネームも含む。また、図示する例では、「作品ID」が1つである例を示しているが、複数登録されている場合には、複数含まれる。また、図示する情報の他にも、例えば、出版社との契約の種別や印税割合や支払い先口座番号や口座名義人などの情報が含まれていてもよい。さらに、クリエイターの電話番号やメールアドレスなどの連絡先が含まれていてもよい。
【0024】
連載管理情報113は、出版された電子マガジンに連載されている作品毎のダウンロード数を管理するために必要な情報の一覧(図3(B)参照)であり、後述するチケット使用処理が実行され、出版社により電子マガジンが出版されることにより記憶部110に記憶される。連載管理情報113には、図3(B)に示すように、出版された電子マガジンを識別するための「雑誌ID」、当該電子マガジンに連載されている作品を識別する「作品ID」、当該作品の作成チームのメンバーの氏名を示す「メンバー名」、読者に購入された数を示す「ダウンロード数」といった情報が含まれている。また、図示する情報の他にも、例えば、出版社との契約の種別や印税割合や各メンバーの支払い先口座番号や口座名義人などの情報が含まれていてもよい。連載管理情報113は、電子マガジンが出版されるごとに、新たに発行された雑誌に関する情報が追加される。
【0025】
制御部120は、CPUやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等から構成される。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム111に従って動作し、当該プログラム111に従った処理を実行する。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム111により提供される主要な機能部として、クリエイター登録部121と、ポイント処理部122と、チケット処理部123と、連載管理処理部124を備える。その他にも、図示は省略しているが、制御部120は、読者端末400からの入力操作に基づいて、読者の所望する作品(電子マガジンに連載の作品も含む)を読者端末400へ提供する機能部を有している。
【0026】
クリエイター登録部121は、クリエイター端末300に対するクリエイターの入力操作に基づいて、当該クリエイターの情報や作品を登録する機能部である。具体的に、クリエイター登録部121は、クリエイターから入力された各種情報をポイント情報112として記憶部110に記憶させる機能や、クリエイターから送信された作品を記憶部110に記憶させる機能を有している。
【0027】
ポイント処理部122は、クリエイターに対応するポイントを管理する機能部である。具体的に、ポイント処理部122は、読者端末400における読者の入力操作に基づいて、クリエイターにポイントを付与する機能や、ポイント数がフリー出版チケットの付与基準であるチケット条件数以上であるか否かの判定を行う機能を有している。なお、ポイント処理部122は、フリー出版チケットの付与が行われた場合に、ポイントを「0」にクリアする機能も有している。
【0028】
チケット処理部123は、クリエイターにチケットを付与したり、クリエイターに付与されたチケットが使用されたことに基づいて電子マガジンへの連載許可を出版社に送信する機能部である。具体的に、チケット処理部123は、ポイント処理部により、ポイント数がチケット条件数以上であると判定された場合に、フリー出版チケットを付与する機能、後述する連載管理処理部124により、ダウンロード数が基準値以上となったと判定された場合に、プレミアチケットを付与する機能を有している。また、チケット処理部123は、クリエイターによるクリエイター端末300の操作により、付与されたチケットが使用されたことに基づいて、使用されたチケットの種類に応じた種類の電子マガジンへの連載を許可する連載許可情報を、出版社(より具体的には電子マガジンの編集者)に送信する機能を有している。なお、チケット処理部123は、チケットが使用された場合に、記憶部110に記憶されているポイント情報112における「フリー出版チケット数」と「プレミアチケット数」のうち、使用された種類のチケットに対応する数を-1する機能も有している。
【0029】
連載管理処理部124は、出版された電子マガジンに連載された作品を管理する機能部である。具体的に、連載管理処理部124は、出版された電子マガジンに連載された作品が、読者による読者端末400の操作により購入された数、すなわちダウンロード数をカウントする機能や、ダウンロード数が、プレミアチケットの付与および電子単行本の出版を行う基準である基準値以上となったか否かを判定する機能を有している。また、連載管理処理部124は、ダウンロード数が基準値以上となったと判定した場合に、電子単行本の出版を許可する電子単行本出版許可情報を、出版社(より具体的には単行本の編集者)に送信する機能や、ダウンロード数を「0」にクリアする機能を有している。
【0030】
これら各機能部が協働することで、読者からの評価に基づいてクリエイターに電子マガジンへの連載許可を与える機能や、電子単行本の出版許可を出版社に通知する機能、クリエイターの作品を読者に提供する機能などの各機能を、当該出版許可装置100に実現させる。
【0031】
入出力部130は、キーボード、マウス、カメラ、マイク、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等から構成され、各種データの入出力を行うための装置である。
【0032】
通信部140は、出版許可装置100が、ネットワーク210を介して、クリエイター端末300および読者端末400などといった他の情報端末と通信を行うためのデバイスである。
【0033】
以上が、出版許可システム1における出版許可装置100の構成である。続いて出版許可システム1における出版許可装置100の動作について、図4図9を参照して説明する。図4は、出版許可装置100において実行されるクリエイター登録処理の一例を示すフローチャートである。クリエイター登録処理は、クリエイターの情報や作品を出版許可装置100へ登録する処理である。
【0034】
当該クリエイター登録処理は、クリエイター端末300に対するクリエイターの操作により、出版許可装置100に記憶されたプログラム111が起動することで実行が開始される。なお、当該クリエイター登録処理の開始に伴って、クリエイターの情報や作品のデータの入力が行われているものとして、以下説明する。具体的に、この例では、クリエイターが図3(A)に示す漫画家の「○山 A男」であり、当該クリエイター端末300において、漫画家の「○山 A男」を示す情報の他、パスワードとして「1XXX」が入力され、合わせて作品データ(第1話分の漫画データ)も入力されているものとする。なお、クリエイターの情報として入力される氏名は、例えばペンネームなど、本名以外であってもよい。また、クリエイターの情報や作品のデータに加えて、支払い先口座番号や口座名義人の情報が合わせて入力されてもよい。また、作品データには、第1話分の漫画データの他、例えば原作ノベルや短編読み切りなどのデータが含まれる。
【0035】
図4に示すクリエイター登録処理を開始すると、制御部120は、まず、クリエイター登録部121の機能により、登録対象の情報を取得する(ステップS101)。具体的に、ステップS101では、クリエイター端末300に対するクリエイターの操作により入力された、図3(A)に示す「種別」や「氏名」、「パスワード」といったクリエイターの情報や、登録する作品のデータを取得する。なお、ステップS101にて取得する「種別」の情報は、例えば、「01」が原作者、「02」が漫画家、「03」が編集者といったように、それぞれに対応した番号が取得される。また、番号の他、識別情報や、原作者、漫画家、編集者のいずれかの情報を直接取得してもよい。また、原作者かつ編集者、といったように複数の種別の情報を取得してもよい。また、ステップS101の処理にて取得する登録対象の情報には、この他にも、例えば支払い先口座番号や口座名義人の情報が含まれていてもよい。この例では、クリエイターが漫画家の「○山 A男」であり、パスワードが「1XXX」であることから、当該ステップS101の処理において、種別「02」、パスワード「1XXX」、氏名「○山 A男」を、登録対象の情報として取得する。また、これらの情報に合わせて作品データ(第1話分の漫画データ)も入力されていることから、ステップS101の処理では、当該作品データも取得する。
【0036】
ステップS101の処理を実行した後、制御部120は、クリエイター登録部121の機能により、ステップS101の処理で取得した登録対象の情報に含まれる「種別」の情報を確認し、「原作者」であるか否かを判定する(ステップS102)。具体的に、ステップS102の処理では、取得した登録対象の情報に含まれる種別を示す情報が、「01」であるか否かを判定することで、「原作者」であるか否かを判定する。なお、ステップS101の処理を実行した後に、取得した登録対象の情報について、エラーの有無を判定してもよい。具体的に、文字が入力されるべき入力欄に数字や記号などの文字以外が入力されている場合や、入力が必須である項目が空欄になっている場合などに、入力エラーと判定すればよい。
【0037】
ステップS102において「原作者」であると判定した場合(ステップS102;Yes)、制御部120は、クリエイター登録部121の機能により、ステップS101にて取得した登録対象の情報を、原作者として登録する(ステップS103)。具体的に、ステップS103の処理では、ステップS101の処理にて取得した登録対象の情報を、図3(A)に示すように、ポイント情報112として記憶する。すなわち、ステップS103の処理では、「種別」については「原作者」、「パスワード」と「氏名」についてはステップS101で取得した登録対象の情報に含まれるパスワードや氏名の情報を登録する。そして、クリエイター毎に一意である「ID」を付与し、「ポイント」、「フリー出版チケット数」および「プレミアチケット数」の情報について、それぞれ初期値である「0」を、合わせて設定する。その他にも、出版社との契約の種別や印税割合などの情報の初期値が合わせて設定されるようにしてもよい。例えば、出版社との契約の種別や印税割合については、予め複数段階用意しておけばよい。そして、出版社との契約関係に応じて上の段階へと出版社側が設定可能となればよい。当該クリエイター登録処理におけるステップS103の処理では、最も低い段階の種別や印税割合などの情報が、初期値として設定されればよい。また、クリエイターの電話番号やメールアドレスなどの連絡先が含まれる場合には、当該連絡先の情報についても合わせて登録されればよい。また、ステップS103の処理において「ID」を付与した場合、当該「ID」を次回ログイン用にクリエイターに通知すればよい。
【0038】
一方、ステップS102において「原作者」でないと判定した場合(ステップS102;No)、制御部120は、クリエイター登録部121の機能により、ステップS101の処理で取得した登録対象の情報に含まれる「種別」の情報を確認し、「漫画家」であるか否かを判定する(ステップS104)。具体的にステップS104の処理では、取得した登録対象の情報に含まれる種別を示す情報が、「02」であるか否かを判定することで、「漫画家」であるか否かを判定する。
【0039】
ステップS102において「漫画家」であると判定した場合(ステップS104;Yes)、制御部120は、クリエイター登録部121の機能により、ステップS101にて取得した登録対象の情報を、漫画家として登録する(ステップS105)。具体的に、ステップS105の処理では、ステップS101の処理にて取得した登録対象の情報を、図3(A)に示すように、ポイント情報112として記憶する。すなわち、ステップS103の処理では、「種別」については「漫画家」、「パスワード」や「氏名」についてはステップS101で取得した登録対象の情報に含まれるパスワードや氏名の情報を登録する。なお、「ID」などその他の情報が設定される点や、「ID」が通知される点については、ステップS103の処理と同様である。この例では、ステップS101の処理において、種別「02」、パスワード「1XXX」、氏名「○山 A男」を、登録対象の情報として取得していることから、ステップS102の処理においてYesと判定し、ステップS104の処理において、図3(A)に示すように、「種別」については「漫画家」、「パスワード」については「1XXX」、「氏名」については「○山 A男」の情報を登録する。
【0040】
ステップS104において「漫画家」でないと判定した場合(ステップS104;No)、制御部120は、クリエイター登録部121の機能により、ステップS101にて取得した登録対象の情報を、編集者として登録する(ステップS106)。具体的に、ステップS106の処理では、ステップS101の処理にて取得した登録対象の情報を、図3(A)に示すように、ポイント情報112として記憶する。すなわち、ステップS103の処理では、「種別」については「編集者」、「パスワード」や「氏名」についてはステップS101で取得した登録対象の情報に含まれるパスワードや氏名の情報を登録する。なお、「ID」などのその他の情報が設定される点や、「ID」が通知される点については、ステップS103の処理と同様である。
【0041】
また、上述したように、ステップS101の処理において、例えば原作者かつ編集者、といったように複数の種別の情報を取得した場合は、ステップS103の処理の後にステップS104の処理を行い、ステップS105の処理やステップS106の処理を行えばよい。また、ステップS104の処理においてNoと判定した場合、ステップS101の処理で取得した登録対象の情報に含まれる「種別」の情報を確認し、「編集者」であるか否かを判定してからステップS106の処理を行ってもよい。そして、「編集者」でない場合には、エラーとして当該クリエイター登録処理を終了すればよい。
【0042】
ステップS103、S105、およびS106のいずれかの処理を実行した後、制御部120は、クリエイター登録部121の機能により、登録作品があるか否かを判定する(ステップS107)。具体的に、ステップS107の処理では、ステップS101の処理にて作品データを取得したか否かにより、登録作品があるか否かを判定する。なお、この実施の形態における作品データについては、後からでも登録可能となっている。すなわち、1回目のクリエイター登録処理においては、ポイント情報112の登録だけを行い(クリエイターの登録のみ行い)、後日、再度クリエイター登録処理を実行して作品データを登録することも可能である。その際には、クリエイター端末からIDとパスワードを入力することで、当該クリエイター情報の編集ページにログインし、後述するステップS108の処理のみ実行すればよい。この例では、上述したように、ステップS101の処理にて作品データ(第1話分の漫画データ)を取得していることから、ステップS107においてYesと判定することとなる。なお、ステップS103、S105、およびS106のいずれかの処理を実行するクリエイター登録部121と、ステップS103、S105、およびS106の処理は、クリエイター登録手段およびクリエイター登録ステップに対応する。
【0043】
ステップS107にて登録作品があると判定した場合(ステップS107;Yes)、制御部120は、クリエイター登録部121の機能により、ステップS101にて取得したクリエイターの作品データを記憶部110へ登録し(ステップS108)、当該クリエイター登録処理を終了する。ステップS108の処理が行われることにより、読者は、読者端末400を用いて当該作品を読むことができるようになる。具体的に、この例では、漫画家の「○山 A男」の作品データ(第1話分の漫画データ)が取得されていることから、ステップS108の処理にて当該作品データが登録される。これにより、読者は、読者端末400を介して「○山 A男」の第1話分の漫画データを読むことが可能となる。なお、ステップS107にて登録作品がないと判定した場合(ステップS107;No)、制御部120は、そのままクリエイター登録処理を終了する。
【0044】
このように、クリエイター登録処理が行われることで、クリエイターの情報や作品が当該出版許可装置100に登録されることとなる。
【0045】
次に、出版許可装置100において実行されるポイント加算処理について、図5を参照して説明する。図5は、出版許可装置100において実行されるポイント加算処理の一例を示すフローチャートである。ポイント加算処理は、読者端末400から受信した読者による評価に基づいて、クリエイターに対するポイントを加算し、条件を満たす場合にフリー出版チケットを付与する処理である。
【0046】
当該ポイント加算処理は、読者端末400に対する読者の操作により送信された、高評価を与えたことを示すポイント加算情報を、出版許可装置100が受信する度に、出版許可装置100に記憶されたプログラム111が起動することで実行が開始される。なお、ポイント加算情報には、読者が高評価を与えたクリエイターを示すクリエイター情報が含まれる。クリエイター情報は、例えばクリエイターを識別するIDであればよい。また、当該ポイント加算処理は、ポイント加算情報を受信することに限られず、読者端末400に対する読者の操作により、出版許可装置100に記憶されたプログラム111が起動することで実行が開始されてもよい。この場合、ポイント加算情報は、読者端末400に対する読者の操作により、出版許可装置100に入力されればよい。
【0047】
図5に示すポイント加算処理を開始すると、制御部120は、まず、ポイント処理部122の機能により、ポイントを加算するクリエイターを特定する(ステップS201)。具体的に、ステップS201の処理では、読者端末400から受信したポイント加算情報に含まれるクリエイター情報により、読者が高評価を与えたクリエイターを特定する。
【0048】
ステップS201の処理を実行した後、制御部120は、ポイント処理部122の機能により、ステップS201の処理で特定したクリエイターのポイントを加算する(ステップS202)。具体的に、ステップS202の処理では、記憶部110に記憶されたポイント情報112に含まれる情報のうち、ステップS201の処理で特定したIDのクリエイターのポイントを+10して、当該ポイント情報112を更新する。
【0049】
ステップS202の処理を実行した後、制御部120は、ポイント処理部122の機能により、ステップS202の処理実行後のポイント数がチケット条件数以上となっているか否かを判定する(ステップS203)。具体的に、ステップS203の処理では、ステップS201の処理にて特定したクリエイターのポイント数、すなわちステップS202にてポイント加算した後のポイント数が、予め定められた、フリー出版チケットの付与条件数(チケット条件数)であるか否かを判定する。なお、フリー出版チケットの付与条件数(チケット条件数)は、出版社側にて任意に設定可能であり、記憶部110に記憶されている。この実施の形態におけるフリー出版チケットの付与条件数(チケット条件数)は、1000となっている。なお、フリー出版チケットの付与条件数(チケット条件数)を、例えば1000、2000、3500、といったように段階的に設定してもよい。なお、ステップS203の処理における判定条件は第1条件に対応し、チケット条件数のポイントが第1基準値に対応する。
【0050】
ステップS203の処理においてポイント数がチケット条件数未満であると判定した場合(ステップS203;No)、制御部120は、そのままポイント加算処理を終了する。一方、ポイント数がチケット条件数以上であると判定した場合(ステップS203;Yes)、制御部120は、チケット処理部123の機能により、フリー出版チケットを付与する(ステップS204)。具体的に、ステップS204の処理では、例えばステップS201の処理にて特定したクリエイターのクリエイター端末300にフリー出版チケットを送信することで当該フリー出版チケットを付与する。また、例えばステップS201の処理にて特定したクリエイターのクリエイター端末300にフリー出版チケットが付与されたことを通知し、当該クリエイターにダウンロードさせることでフリー出版チケットを付与する。また、ステップS204の処理にてフリー出版チケットを付与した場合、記憶部110に記憶されたポイント情報112に含まれる情報のうち、当該クリエイターに対応するフリー出版チケット数を+1する。なお、上述したように、フリー出版チケットは、新人漫画家の作品が複数連載された新人用電子マガジン(ルーキー誌)への連載を許可するチケットであり、当該チケットを使用して作品を投稿することで、新人用電子マガジン(ルーキー誌)への連載が行われることとなる。なお、ステップS204の処理を実行するチケット処理部123とステップS204の処理は、それぞれチケット付与手段およびチケット付与ステップに対応する。また、フリー出版チケットは、第1チケットに対応し、新人用電子マガジン(ルーキー誌)は、第1電子マガジンに対応する。
【0051】
ステップS204の処理を実行した後、制御部120は、ポイント処理部122の機能により、記憶部110に記憶されたポイント情報112に含まれる情報のうち、ステップS201の処理にて特定したクリエイター(フリー出版チケットが付与されたクリエイター)に対応するポイントを「0」にクリアしてから(ステップS205)、ポイント加算処理を終了する。なお、この例では、フリー出版チケットが付与された場合、当該クリエイターのポイント数を「0」にクリアする例を示しているが、例えば、チケット条件数を1000、2000、3500、といったように段階的に設定しておき、当該ポイント数以上となった場合にフリー出版チケットを付与するような場合には、フリー出版チケットが付与される度にステップS205の処理を行わなくてもよい。すなわち、ポイント数を継続して加算してもよい。
【0052】
このように、ポイント加算処理が実行されることにより、クリエイターに対するポイントが読者の評価により加算され、条件を満たす場合にフリー出版チケットが付与されることとなる。なお、ポイントについてはクリエイターと対応付いているため、複数の作品間で共通して加算される。また、ポイントの有効期限についても設定なしとする。
【0053】
次に、出版許可装置100において実行されるチケット使用処理について、図6を参照して説明する。図6は、出版許可装置100において実行されるチケット使用処理の一例を示すフローチャートである。チケット使用処理は、クリエイターの所有するチケットを消費して、電子マガジンへの連載依頼が行われたことを各電子マガジンの編集者に通知する処理である。
【0054】
当該チケット使用処理は、クリエイター端末300に対するクリエイターの操作により送信されたチケット使用情報を、出版許可装置100が受信する度に、出版許可装置100に記憶されたプログラム111が起動することで実行が開始される。なお、この実施の形態においてチケットを使用するためには、漫画家と編集者、原作者と漫画家と編集者、といった作品チームを結成する必要がある。そのため、チケット使用情報には、チケットの使用者を含む作品チームメンバーの情報を示す作品メンバー情報や、使用するチケットの種類を示すチケット情報が含まれる。また、作品チームの結成にあたっては、図4に示すクリエイター登録処理にて登録されたクリエイターの情報を参照し、作品チームを結成すればよい。例えば、図3(A)に示す漫画家の「○山 A男」さんがフリー出版チケットを保有している場合、編集者の「○田 B子」さんに作品チームへの参加依頼を送信し、編集者の「○田 B子」さんがこれに同意すれば、作品チームの結成となる。また、当該チケット使用処理は、チケット使用情報を受信することに限られず、クリエイター端末300に対するクリエイターの操作により、出版許可装置100に記憶されたプログラム111が起動することで実行が開始されてもよい。この場合、チケット使用情報は、クリエイター端末300に対するクリエイターの操作により、出版許可装置100に入力されればよい。
【0055】
図6に示すチケット使用処理を開始すると、制御部120は、まず、チケット処理部123の機能により、チーム構成に問題があるか否かを判定する(ステップS301)。具体的に、ステップS301の処理では、クリエイター端末300から受信したチケット使用情報に含まれる作品メンバー情報を確認し、作品メンバーに編集者が入っているか否かや、チケットの使用者が原作者であれば、さらに漫画家が入っているかなどといったように、予め設定されているチーム構成であるか否かを判定する。
【0056】
ステップS301の処理においてチーム構成に問題があると判定した場合(ステップS301;Yes)、すなわち、チケット使用情報に含まれる作品メンバー情報により示されるメンバーが予め設定されているチーム構成となっていない場合、制御部120は、そのままチケット使用処理を終了する。
【0057】
一方、チーム構成に問題がないと判定した場合(ステップS301;No)、すなわち、チケット使用情報に含まれる作品メンバー情報により示されるメンバーが予め設定されているチーム構成となっている場合、制御部120は、チケット処理部123の機能により、使用チケットがプレミアチケットであるか否かを判定する(ステップS302)。具体的に、ステップS302の処理では、クリエイター端末300から受信したチケット使用情報に含まれるチケット情報を確認し、使用されたチケットの種類が、人気の作品が複数連載された人気電子マガジン(本誌)への連載を許可するプレミアチケットであるか否かを判定する。
【0058】
使用チケットがプレミアチケットである場合(ステップS302;Yes)、制御部120は、チケット処理部123の機能により、人気の作品が複数連載された人気電子マガジン(本誌)への連載依頼が行われたことを示す連載依頼情報を、本誌の編集者の通信端末へ送信し(ステップS303)、チケット使用処理を終了する。一方、使用チケットがプレミアチケットでない場合(ステップS302;No)、すなわち、フリー出版チケットである場合、制御部120は、チケット処理部123の機能により、新人漫画家の作品が複数連載された新人用電子マガジン(ルーキー誌)への連載依頼が行われたことを示す連載依頼情報を、ルーキー誌の編集者の通信端末へ送信し(ステップS304)、チケット使用処理を終了する。なお、ルーキー誌および本誌の編集者、すなわち連載依頼情報の通知先については、予め記憶部110に記憶されており、出版社にて任意に変更可能であればよい。なお、新人用電子マガジン(ルーキー誌)と人気電子マガジン(本誌)とでは、人気電子マガジン(本誌)の方が、読者数も多く売上の高い電子マガジンであるため、クリエイターにとっては、フリー出版チケットよりもプレミアチケットの方が価値の高いチケットとなる。なお、ステップS303およびS304の処理を実行するチケット処理部123と、ステップS303およびS304の処理は、それぞれ連載依頼通知手段および連載依頼通知ステップに対応する。
【0059】
このように、チケット使用処理が行われることで、使用したチケットの種類に応じた電子マガジンの編集者に、連載依頼が通知されることとなる。その後、出版社側におけるそれぞれの編集者により各作品が編集され、各電子マガジンが出版されることとなる。これにより、読者が各電子マガジンを購入(無償の場合も含む)できるようになる(ダウンロードできるようになる)。なお、この実施の形態における各電子マガジンの購入にあたっては、一部作品のみの購入も可能となっている。
【0060】
次に、電子マガジン発行までの流れについて、図7を参照して説明する。図7は、フリー出版チケットが使用された場合の電子マガジン発行までの流れを説明する説明図である。図示するように、クリエイター登録処理(図4参照)が実行されることで、漫画家である「○山 A男」の情報や、その作品が出版許可装置100に登録される。これにより、読者は当該登録された作品を、読者端末400を介して読むことが可能となる。そして、図示するように、読者がこの作品に対して高評価を与えると、ポイント加算情報が送信され、ポイント加算処理(図5参照)が実行される。そして、加算後のポイントがチケット条件数以上である場合、フリー出版チケットが当該クリエイター(図示する例では「○山 A男」)に付与される。その後、クリエイターの「○山 A男」が、作品チームを結成した上で、フリー出版チケットを使用すると、チケット使用情報が送信され、チケット使用処理(図6参照)が実行される。これにより、電子マガジンの編集者(より詳しくは電子マガジン編集者の情報端末)に、新人漫画家の作品が複数連載された新人用電子マガジン(ルーキー誌)への連載依頼を示す連載依頼情報が送信され、当該編集者により各作品が編集され、新人用電子マガジン(ルーキー誌)が出版許可装置100に登録され、出版されることとなる。なお、新人用電子マガジン(ルーキー誌)に限られず、電子マガジンが出版されることに合わせて、図3(B)に示す連載管理情報113が記憶部110に記憶される(既に記憶されている場合には、新たに発行された雑誌に関する情報が追加される)。
【0061】
したがって、作品を登録した新人漫画家などのクリエイターに対し、電子マガジンへの連載機会を与えることができ、新人作家を育成することができる。また、ポイントがクリエイターと対応付いているため複数の作品間で共通して加算され、かつ有効期限も存在しないことから、フリー出版チケットの獲得に対する新人作家の意欲を向上させることができ、新人作家の育成に寄与することができる。
【0062】
続いて、図8を参照して、出版許可装置100において実行される連載管理処理について説明する。図8は、出版許可装置100において実行される連載管理処理の一例を示すフローチャートである。連載管理処理は、出版した電子マガジンに含まれる作品のダウンロード数が基準値以上となったと判定された場合に、プレミアチケットの付与および電子単行本の出版を許可する電子単行本出版許可情報を出版社(より具体的には単行本の編集者)に送信する処理である。
【0063】
連載管理処理は、読者端末400に対する読者の操作により、公開中の電子マガジンに含まれる作品がダウンロードされる度に、出版許可装置100に記憶されたプログラム111が起動することで実行が開始される。なお、ダウンロードについては、有料で行われる場合と、無料で行われる場合の両方を含む。また、連載管理処理は、新人用電子マガジン(ルーキー誌)の場合も、人気電子マガジン(本誌)の場合も共通の処理を行えばよく、当該電子マガジンがダウンロードされた場合に実行が開始されればよい。この実施の形態では、電子マガジンに含まれる1つの作品を指定して電子マガジンをダウンロードすることもできる。この場合、読者端末400では、当該指定作品の電子データが提供されるものの、読者側では、表紙と指定作品と裏表紙を読むことが可能なだけで、当該電子マガジンに含まれるその他の作品については読むことができないものとなっている。具体的に、その他の作品に対応するページについては、開くことができず、表紙をめくると指定作品のページが表示されるものとなっている。なお、これとは別に、指定作品以外のページについては全て広告ページになっていたり、単色の表示が行われるなど、視覚的にその他の作品を読めないようにしてもよい。すなわち、一部の作品が指定された場合であっても、この実施の形態におけるダウンロードは、あくまでも電子マガジンについて行われ、読者は指定作品を読むことができるものとなっている(読者は、電子マガジンにおける一部作品のみを購入したこととなっている)。以下では、読者によりダウンロードされた電子マガジンのうち当該読者により指定された作品(すなわち当該読者が読むことができる作品)を、ダウンロード作品やダウンロードされた作品などと言う。また、読者による作品の指定がない場合、全ての作品が指定された形で電子マガジンが1冊まるごとダウンロードされることとなる。この場合、例えば全作品それぞれのダウンロード数が加算されればよい。
【0064】
図8に示す連載管理処理を開始すると、制御部120は、まず、連載管理処理部124の機能により、読者によりダウンロードされた作品を特定する(ステップS401)。具体的に、ステップS401の処理では、読者端末400に対する読者の操作により作品がダウンロードされた際に記憶部110に記憶されているダウンロード情報を確認することにより、ダウンロードされた作品を特定する。なお、ダウンロード情報には、ダウンロードした作品を特定するためのダウンロード作品情報の他、ダウンロードした読者を識別する識別情報や、その決済情報、ダウンロードされた日時を示す時間情報、および当該作品のメンバーとその代表者を特定する作品者特定情報が含まれる。
【0065】
ステップS401の処理を実行した後、制御部120は、連載管理処理部124の機能により、当該作品のダウンロード数を加算する(ステップS402)。具体的に、ステップS402の処理では、記憶部110に記憶されている連載管理情報113のうち、ステップS401の処理で特定した作品に対応するダウンロード数を+1することで、連載管理情報113を更新する。
【0066】
ステップS402の処理を実行した後、制御部120は、連載管理処理部124の機能により、ステップS402の処理で加算したダウンロード数が、予め定められた基準値以上となったか否かを判定する(ステップS403)。具体的に、ステップS403の処理では、ステップS402の処理にて更新したダウンロード数の値が、プレミアチケットの付与および電子単行本の出版を許可する基準値以上となったか否かを判定する。当該基準値は、出版社の編集者により予め設定され(例えば10000)、記憶部110に記憶されている。なお、この実施の形態における基準値は、プレミアチケットの付与および電子単行本の出版を許可する基準値となっているが、それぞれ別々の基準値を設定してもよい。なお、ステップS403の判定条件は、第2条件に対応し、ステップS403における基準値は、第2基準値に対応する。
【0067】
ステップS403の処理にて、ステップS402の処理で加算したダウンロード数が、予め定められた基準値未満であると判定した場合(ステップS403;No)、制御部120は、そのまま連載管理処理を終了する。一方、ステップS402の処理で加算したダウンロード数が、予め定められた基準値以上であると判定した場合(ステップS403;Yes)、制御部120は、チケット処理部123の機能により、プレミアチケットを付与する(ステップS404)。具体的に、ステップS404の処理では、ダウンロード情報に含まれる作品者特定情報により示される代表者に対し、プレミアチケットを付与する。なお、当該プレミアチケットの付与は、フリー出版チケットと同様、クリエイター端末300に送信してもよいし、ダウンロードさせるようにしてもよい。なお、ステップS404の処理を実行するチケット処理部123とステップS404の処理についても、それぞれチケット付与手段およびチケット付与ステップに対応する。また、プレミアチケットは、第2チケットに対応し、人気電子マガジン(本誌)は第2電子マガジンに対応する。
【0068】
ステップS404の処理を実行した後、制御部120は、連載管理処理部124の機能により、ダウンロード数を「0」にクリアする(ステップS405)。具体的に、ステップS405の処理では、記憶部110に記憶されている連載管理情報113のうち、ステップS401の処理で特定した作品に対応するダウンロード数を「0」にすることで、連載管理情報113を更新する。なお、この例では、プレミアチケットが付与された場合、当該作品に対応するダウンロード数を「0」にクリアする例を示しているが、例えば、ダウンロード数を10000、20000、35000、といったように段階的に設定しておき、当該ポイント数以上となった場合にプレミアチケットを付与するような場合には、プレミアチケットが付与される度にステップS405の処理を行わなくてもよい。すなわち、ダウンロード数を継続して加算してもよい。また、例えば、継続してダウンロード数をカウントするカウンターと、ステップS405の処理にて「0」にクリアするカウンターの2種類を設けてもよい。
【0069】
ステップS405の処理を実行した後、制御部120は、連載管理処理部124の機能により、電子単行本の出版の許可条件を達成したことを示す電子単行本出版許可を電子単行本の編集者および当該作品のメンバーに通知し(ステップS406)、連載管理処理を終了する。これにより、電子単行本の出版が行われることとなる。
【0070】
このように、連載管理処理が行われることで、電子マガジンの作品ダウンロード数に応じてプレミアチケットがクリエイターに付与され、電子単行本出版許可通知が電子単行本の編集者等に通知される。これにより、上記チケット使用処理が行われることで新人漫画家の作品が人気電子マガジン(本誌)へ連載され、さらに、出版社側の作業により電子単行本として出版されることとなる。
【0071】
次に、プレミアチケットや電子単行本出版許可が行われるまでの流れについて、図9を参照して説明する。図9は、プレミアチケットの付与および電子単行本出版許可が行われるまでの流れを説明する説明図である。なお、図示する例における出版許可装置100には、新人用電子マガジン(ルーキー誌)が登録され、当該ルーキー誌には、漫画家である「○山 A男」(作成チームの代表者)での作品が掲載されているものとする。図示するように、読者が読者端末400を介して一部作品を含む電子マガジンを購入(ダウンロード)すると(この例では「○山 A男」の作品のみを指定して購入すると)、図8に示す連載管理処理が実行される。そして、購入された電子マガジン内の作品(この例では「○山 A男」の作品)のダウンロード数が基準値以上となると、図9に示すようにクリエイター(この例では「○山 A男」)にプレミアチケットが付与されるとともに、電子単行本出版許可が通知される。これにより、プレミアチケットを使用して人気電子マガジン(本誌)への連載を行うことが可能となる。また、当該電子単行本出版許可については、図示するように電子単行本編集者にも通知される。これにより、当該作品(この例では「○山 A男」の作品)についての電子単行本の出版が行われることとなる。
【0072】
したがって、電子マガジンへの連載機会が与えられた新人漫画家などのクリエイターに対し、さらに人気の電子マガジンへの連載機会や電子単行本の出版機会を与えることができ、新人作家をさらに育成することができる。
【0073】
(変形例)
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば、上記実施の形態に係る出版許可装置100は、上記で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。また、下記の変形例それぞれについて、少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【0074】
上記実施の形態では、図6のステップS303およびS304、図8のステップS406のそれぞれの処理において、各編集者(各編集者の情報端末)へ連載依頼情報や電子単行本出版許可を通知する例を示したが、これは一例である。通知先は、編集者に限られず、電子マガジンや電子単行本の出版を担当する担当者であればよい。すなわち、出版者における電子マガジンの担当者や電子単行本の担当者であればよい。
【0075】
また、上記実施の形態に加え、例えば予め記憶部110に特定のクリエイターを登録しておき、当該クリエイター登録処理が行われ、この特定のクリエイターが登録された場合、出版依頼チケットを付与するようにしてもよい。出版依頼チケットは、プレミアチケットと同様に、当初から人気電子マガジン(本誌)への連載が許可されるチケットであればよい。なお、例えば有名作者や、ホラー作品など出版社側の所望する作品を作成するクリエイターなどを特定のクリエイターとして予め登録しておけばよい。これによれば、出版社側が所望する作品の作者に対し、間接的に電子マガジンの連載依頼を出版者側から行うことができる。この場合、クリエイター登録処理においてクリエイターが登録された場合、当該クリエイターが予め登録された特定のクリエイターであるか否かを判定すればよい。具体的には、図4のステップS107の処理の前に、当該判定を行い、特定のクリエイターであれば当該チケットをチケット処理部123の機能により付与すればよい。なお、出版依頼チケットは、プレミアチケットと同様の機能のチケットであることから、プレミアチケットを付与してもよい。
【0076】
また、上記実施の形態では、読者が電子マガジンに含まれる一部の作品を購入できる例を示したが、例えば、電子マガジンの価格が800円であり、作品毎の価格が200円である場合、読者が4作品以上購入した場合には、自動的に800円となり、当該電子マガジンの全作品を読めるように読者端末400に提供してもよい。すなわち、読者が購入した作品の価格が電子マガジンの価格以上である場合、電子マガジンの価格とし、当該電子マガジン自体を提供すればよい。
【0077】
また、上記実施の形態では、漫画についての電子マガジンの発行を例に示したが、漫画に限られず、小説や新書などの出版物全般であってもよい。また、電子書籍に限られず、例えば、音楽であってもよい。この場合、クリエイターは作曲家や作詞家であればよく、登録する作品は楽曲であればよい。また、電子マガジンについては、例えばアルバムであればよい。
【0078】
なお、上記実施の形態に係る出版許可装置100は、専用の装置によらず、通常のコンピュータを用いて実現可能である。例えば、コンピュータに上述のいずれかを実行するためのプログラムを格納した記録媒体から該プログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する出版許可装置100を構成してもよい。また、複数のコンピュータが協働して動作することによって、1つの出版許可装置100を構成してもよい。
【0079】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0080】
また、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、これらのプログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 出版許可システム、100 出版許可装置、110 記憶部、111 プログラム、112 ポイント情報、113 連載管理情報、120 制御部、121 クリエイター登録部、122 ポイント処理部、123 チケット処理部、124 連載管理処理部、130 入出力部、140 通信部、210 ネットワーク、300 クリエイター端末、400 読者端末、500 編集者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9