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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111202
(43)【公開日】2024-08-16
(54)【発明の名称】光学素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1347 20060101AFI20240808BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20240808BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240808BHJP
   G02F 1/13 20060101ALN20240808BHJP
【FI】
G02F1/1347
G02F1/1343
G02F1/133 505
G02F1/13 505
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024099590
(22)【出願日】2024-06-20
(62)【分割の表示】P 2023520979の分割
【原出願日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2021081218
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸次朗
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
(57)【要約】
【課題】異方的な形状を有する配光の制御が可能な光学素子を提供すること。
【解決手段】光学素子は、順に積層された第1乃至第4の液晶セルを含み、第1乃至第4の液晶セルの各々は、第1の一対の櫛歯状の透明電極が配置された第1の基板および第2の一対の櫛歯状の透明電極が配置された第2の基板を含み、第1の一対の櫛歯状の透明電極の延在方向と第2の一対の櫛歯状の透明電極の延在方向とは交差し、第1乃至第4の液晶セルの異なる2つの液晶セルの間において、一方の液晶セルの第1の一対の櫛歯状の透明電極の1つと他方の液晶セルの第2の一対の櫛歯状の透明電極の1つが電気的に接続されている。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液晶セルと、
前記第1の液晶セルの上の第2の液晶セルと、
前記第2の液晶セルの上の第3の液晶セルと、
前記第3の液晶セルの上の第4の液晶セルと、を含み、
前記第1の液晶セルは、
第1の方向において、第1の透明電極と第2の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第1の基板と、
前記第1の方向と交差する第2の方向において、第3の透明電極と第4の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第2の基板と、を含み、
前記第2の液晶セルは、
前記第2の基板と隣接し、前記第1の方向において、第5の透明電極と第6の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第3の基板と、
前記第2の方向において、第7の透明電極と第8の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第4の基板と、を含み、
前記第3の液晶セルは、
前記第4の基板と隣接し、前記第2の方向において、第9の透明電極と第10の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第5の基板と、
前記第1の方向において、第11の透明電極と第12の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第6の基板と、を含み、
前記第4の液晶セルは、
前記第6の基板と隣接し、第2の方向において、第13の透明電極と第14の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第7の基板と、
前記第1の方向において、第15の透明電極と第16の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第8の基板と、を含み、
前記第1の透明電極および前記第15の透明電極には、第1の電位が供給され、
前記第2の透明電極および前記第16の透明電極には、第2の電位が供給され、
前記第3の透明電極および前記第13の透明電極には、第3の電位が供給され、
前記第4の透明電極および前記第14の透明電極には、第4の電位が供給され、
前記第5の透明電極および前記第11の透明電極には、第5の電位が供給され、
前記第6の透明電極および前記第12の透明電極には、第6の電位が供給され、
前記第7の透明電極および前記第9の透明電極には、第7の電位が供給され、
前記第8の透明電極および前記第10の透明電極には、第8の電位が供給され、
前記第1乃至第8の電位には、絶対値の異なる3つの電位が含まれる、光学素子。
【請求項2】
前記第1の電位と前記第2の電位との電位差の絶対値は、前記第3の電位と前記第4の電位との電位差の絶対値および前記第7の電位と前記第8の電位との電位差の絶対値よりも小さい、請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記第5の電位および前記第6の電位は、0Vである、請求項2に記載の光学素子。
【請求項4】
前記第5の電位と前記第6の電位との電位差の絶対値は、前記第3の電位と前記第4の電位との電位差の絶対値および前記第7の電位と前記第8の電位との電位差の絶対値よりも小さい、請求項1に記載の光学素子。
【請求項5】
前記第1の電位および前記第2の電位は、0Vである、請求項4に記載の光学素子。
【請求項6】
前記第3の電位は、前記第7の電位と等しく、
前記第4の電位は、前記第8の電位と等しい、請求項2または請求項4に記載の光学素子。
【請求項7】
前記第1の電位は、前記第5の電位と等しく、
前記第2の電位は、前記第6の電位と等しい、請求項6に記載の光学素子。
【請求項8】
前記第3の電位と前記第4の電位との電位差の絶対値は、前記第1の電位と前記第2の電位との電位差の絶対値および前記第5の電位と前記第6の電位との電位差の絶対値よりも小さい、請求項2に記載の光学素子。
【請求項9】
前記第7の電位および前記第8の電位は、0Vである、請求項8に記載の光学素子。
【請求項10】
前記第7の電位と前記第8の電位との電位差の絶対値は、前記第1の電位と前記第2の電位との電位差の絶対値および前記第5の電位と前記第6の電位との電位差の絶対値よりも小さい、請求項1に記載の光学素子。
【請求項11】
前記第3の電位および前記第4の電位は、0Vである、請求項10に記載の光学素子。
【請求項12】
前記第1の電位は、前記第5の電位と等しく、
前記第2の電位は、前記第6の電位と等しい、請求項8または請求項10に記載の光学素子。
【請求項13】
前記第3の電位は、前記第7の電位と等しく、
前記第4の電位は、前記第8の電位と等しい、請求項12に記載の光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、光源から出射された光の配光を制御する光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶に印加する電圧を調整し、液晶の屈折率が変化することを利用した光学素子、いわゆる液晶レンズが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、または特許文献3参照)。例えば、特許文献1および特許文献2に記載された照明装置は、液晶レンズを利用し、光源からの光を円形状に配光する。また、特許文献3に記載されたビーム成形デバイスでは、液晶に印加する電極のパターンを変えて光の配光の形状を変化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-317879号公報
【特許文献2】特開2010-230887号公報
【特許文献3】特開2014-160277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光の配光の形状においては、等方的な形状だけでなく、異方的な形状が制御できることが望ましく、特に、楕円形状を有する配光の制御が望まれていた。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、異方的な形状を有する配光の制御が可能な光学素子を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る光学素子は、第1の液晶セルと、第1の液晶セルの上の第2の液晶セルと、第2の液晶セルの上の第3の液晶セルと、第3の液晶セルの上の第4の液晶セルと、を含み、第1の液晶セルは、第1の方向において、第1の透明電極と第2の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第1の基板と、第1の方向と交差する第2の方向において、第3の透明電極と第4の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第2の基板と、を含み、第2の液晶セルは、第2の基板と隣接し、第1の方向において、第5の透明電極と第6の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第3の基板と、第2の方向において、第7の透明電極と第8の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第4の基板と、を含み、第3の液晶セルは、第4の基板と隣接し、第2の方向において、第9の透明電極と第10の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第5の基板と、第1の方向において、第11の透明電極と第12の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第6の基板と、を含み、第4の液晶セルは、第6の基板と隣接し、第2の方向において、第13の透明電極と第14の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第7の基板と、第1の方向において、第15の透明電極と第16の透明電極とが交互に櫛歯状に配置された第8の基板と、を含み、第1の透明電極と第15の透明電極とは、互いに電気的に接続され、第2の透明電極と第16の透明電極とは、互いに電気的に接続され、第3の透明電極と第13の透明電極とは、互いに電気的に接続され、第4の透明電極と第14の透明電極とは、互いに電気的に接続され、第5の透明電極と第11の透明電極とは、互いに電気的に接続され、第6の透明電極と第12の透明電極とは、互いに電気的に接続され、第7の透明電極と第9の透明電極とは、互いに電気的に接続され、第8の透明電極と第10の透明電極とは、互いに電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る光学素子の模式的な斜視図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る光学素子の模式的な断面図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る光学素子の模式的な断面図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る光学素子による光の配光の制御を説明する模式的な断面図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る光学素子による光の配光の制御を説明する模式的な断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る光学素子の透明電極の接続を説明する模式図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る光学素子の透明電極に供給される電位を示すタイミングチャートである。
図5B】本発明の一実施形態に係る光学素子の透明電極に供給される電位を示すタイミングチャートである。
図5C】本発明の一実施形態に係る光学素子を透過する光の方位角を測定した測定結果である。
図6A】本発明の一実施形態に係る光学素子の透明電極に供給される電位を示すタイミングチャートである。
図6B】本発明の一実施形態に係る光学素子を透過する光の方位角を測定した測定結果である。
図7A】本発明の一実施形態に係る光学素子の透明電極に供給される電位を示すタイミングチャートである。
図7B】本発明の一実施形態に係る光学素子の透明電極に供給される電位を示すタイミングチャートである。
図7C】本発明の一実施形態に係る光学素子を透過する光の方位角を測定した測定結果である。
図8A】本発明の一実施形態に係る光学素子の透明電極に供給される電位を示すタイミングチャートである。
図8B】本発明の一実施形態に係る光学素子を透過する光の方位角を測定した測定結果である。
図9A】本発明の一実施形態に係る光学素子の透明電極に供給される電位を示すタイミングチャートである。
図9B】本発明の一実施形態に係る光学素子の透明電極に供給される電位を示すタイミングチャートである。
図9C】本発明の一実施形態に係る光学素子において、透明電極に図9Aまたは図9Bに示すタイミングチャートの電位が供給されたときの配光の形状を示した模式図である。
図10A】本発明の一実施形態に係る光学素子の透明電極に供給される電位を示すタイミングチャートである。
図10B】本発明の一実施形態に係る光学素子の透明電極に供給される電位を示すタイミングチャートである。
図10C】本発明の一実施形態に係る光学素子において、透明電極に図10Aまたは図10Bに示すタイミングチャートの電位が供給されたときの配光の形状を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態において、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その技術的思想の要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0009】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、図示の形状そのものが本発明の解釈を限定するものではない。また、図面において、明細書中で既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、別図であっても同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
【0010】
ある一つの膜を加工して複数の構造体を形成した場合、各々の構造体は異なる機能、役割を有する場合があり、また各々の構造体はそれが形成される下地が異なる場合がある。しかしながらこれら複数の構造体は、同一の工程で同一層として形成された膜に由来するものであり、同一の材料を有する。従って、これら複数の膜は同一層に存在しているものと定義する。
【0011】
ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接して、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0012】
図1図8Bを参照して、本発明の一実施形態に係る光学素子10について説明する。
【0013】
[1.光学素子の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る光学素子10の模式的な斜視図である。図1に示すように、光学素子10は、第1の液晶セル110-1、第2の液晶セル110-2、第3の液晶セル110-3、および第4の液晶セル110-4を含む。第1の液晶セル110-1、第2の液晶セル110-2、第3の液晶セル110-3、および第4の液晶セル110-4は、z軸方向に積層されている。第2の液晶セル110-2は、第1の液晶セル110-1上に設けられている。第3の液晶セル110-3は、第2の液晶セル110-2上に設けられている。第4の液晶セル110-4は、第3の液晶セル110-3上に設けられている。図示しないが、光源は、第1の液晶セル110-1の下方に配置されている。したがって、光源から出射された光は、第1の液晶セル110-1、第2の液晶セル110-2、第3の液晶セル110-3、および第4の液晶セル110-4を順に透過する。
【0014】
第1の光学弾性樹脂層170-1は、第1の液晶セル110-1と第2の液晶セル110-2とを接着し、固定する。第2の光学弾性樹脂層170-2は、第2の液晶セル110-2と第3の液晶セル110-3とを接着し、固定する。第3の光学弾性樹脂層170-3は、第3の液晶セル110-3と第4の液晶セル110-4とを接着し、固定する。第1の光学弾性樹脂層170-1、第2の光学弾性樹脂層170-2、および第3の光学弾性樹脂層170-3の各々として、透光性を有するアクリル樹脂またはエポキシ樹脂などを含む接着剤を用いることができる。
【0015】
図2Aおよび図2Bは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の模式的な断面図である。具体的には、図2Aは、図1に示すA1-A2線に沿って切断されたzx面内の模式的な断面図であり、図2Bは、図1に示すB1-B2線に沿って切断されたyz面内の模式的な断面図である。なお、以下では、x軸方向およびy軸方向を、それぞれ、第1の方向および第2の方向として記載する場合がある。
【0016】
第1の液晶セル110-1は、第1の透明電極130-1および第2の透明電極130-2が形成された第1の基板120-1と、第3の透明電極130-3および第4の透明電極130-4が形成された第2の基板120-2と、を含む。第1の基板120-1上には、第1の透明電極130-1および第2の透明電極130-2を覆う第1の配向膜140-1が形成されている。また、第2の基板120-2上には、第3の透明電極130-3および第4の透明電極130-4を覆う第2の配向膜140-2が形成されている。第1の基板120-1と第2の基板120-2とは、第1の基板120-1上の第1の透明電極130-1および第2の透明電極130-2と、第2の基板120-2上の第3の透明電極130-3および第4の透明電極130-4とが対向するように配置されている。また、第1の基板120-1および第2の基板120-2の各々の周辺部には、第1のシール材150-1が形成されている。すなわち、第1の基板120-1と第2の基板120-2とは、第1のシール材150-1を介して接着されている。また、第1の基板120-1(より具体的には、第1の配向膜140-1)、第2の基板120-2(より具体的には、第2の配向膜140-2)、および第1のシール材150-1で囲まれた空間には液晶が封入され、第1の液晶層160-1が形成されている。
【0017】
第2の液晶セル110-2は、第5の透明電極130-5および第6の透明電極130-6が形成された第3の基板120-3と、第7の透明電極130-7および第8の透明電極130-8が形成された第4の基板120-4と、を含む。第3の基板120-3上には、第5の透明電極130-5および第6の透明電極130-6を覆う第3の配向膜140-3が形成されている。また、第4の基板120-4上には、第7の透明電極130-7および第8の透明電極130-8を覆う第4の配向膜140-4が形成されている。第3の基板120-3と第4の基板120-4とは、第3の基板120-3上の第5の透明電極130-5および第6の透明電極130-6と、第4の基板120-4上の第7の透明電極130-7および第8の透明電極130-8とが対向するように配置されている。また、第3の基板120-3および第4の基板120-4の各々の周辺部には、第2のシール材150-2が形成されている。すなわち、第3の基板120-3と第4の基板120-4とは、第2のシール材150-2を介して接着されている。また、第3の基板120-3(より具体的には、第3の配向膜140-3)、第4の基板120-4(より具体的には、第4の配向膜140-4)、および第2のシール材150-2で囲まれた空間には液晶が封入され、第2の液晶層160-2が形成されている。
【0018】
第3の液晶セル110-3は、第9の透明電極130-9および第10の透明電極130-10が形成された第5の基板120-5と、第11の透明電極130-11および第12の透明電極130-12が形成された第6の基板120-6と、を含む。第5の基板120-5上には、第9の透明電極130-9および第10の透明電極130-10を覆う第5の配向膜140-5が形成されている。また、第6の基板120-6上には、第11の透明電極130-11および第12の透明電極130-12を覆う第6の配向膜140-6が形成されている。第5の基板120-5と第6の基板120-6とは、第5の基板120-5上の第9の透明電極130-9および第10の透明電極130-10と、第6の基板120-6上の第11の透明電極130-11および第12の透明電極130-12とが対向するように配置されている。また、第5の基板120-5および第6の基板120-6の各々の周辺部には、第3のシール材150-3が形成されている。すなわち、第5の基板120-5と第6の基板120-6とは、第3のシール材150-3を介して接着されている。また、第5の基板120-5(より具体的には、第5の配向膜140-5)、第6の基板120-6(より具体的には、第6の配向膜140-6)、および第3のシール材150-3で囲まれた空間には液晶が封入され、第3の液晶層160-3が形成されている。
【0019】
第4の液晶セル110-4は、第13の透明電極130-13および第14の透明電極130-14が形成された第7の基板120-7と、第15の透明電極130-15および第16の透明電極130-16が形成された第8の基板120-8と、を含む。第7の基板120-7上には、第13の透明電極130-13および第14の透明電極130-14を覆う第7の配向膜140-7が形成されている。また、第8の基板120-8上には、第15の透明電極130-15および第16の透明電極130-16を覆う第8の配向膜140-8が形成されている。第7の基板120-7と第8の基板120-8とは、第7の基板120-7上の第13の透明電極130-13および第14の透明電極130-14と、第8の基板120-8上の第15の透明電極130-15および第16の透明電極130-16とが対向するように配置されている。また、第7の基板120-7および第8の基板120-8の各々の周辺部には、第4のシール材150-4が形成されている。すなわち、第7の基板120-7と第8の基板120-8とは、第4のシール材150-4を介して接着されている。また、第7の基板120-7(より具体的には、第7の配向膜140-7)、第8の基板120-8(より具体的には、第8の配向膜140-8)、および第4のシール材150-4で囲まれた空間には液晶が封入され、第4の液晶層160-4が形成されている。
【0020】
第1の液晶セル110-1、第2の液晶セル110-2、第3の液晶セル110-3、および第4の液晶セル110-4は、基本的な構成は同じである。但し、透明電極130の配置が異なる。
【0021】
第1の液晶セル110-1では、第1の透明電極130-1および第2の透明電極130-2はy軸方向に延在し、第3の透明電極130-3および第4の透明電極130-4はx軸方向に延在している。また、第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2とは、x軸方向において交互に櫛歯状に配置され、第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4とは、y軸方向において交互に櫛歯状に配置されている。平面視において、第1の透明電極130-1および第2の透明電極130-2の延在方向(y軸方向)は、第3の透明電極130-3および第4の透明電極130-4の延在方向(x軸方向)と直交しているが、僅かにずれて交差していてもよい。
【0022】
第2の液晶セル110-2では、第5の透明電極130-5および第6の透明電極130-6はy軸方向に延在し、第7の透明電極130-7および第8の透明電極130-8はx軸方向に延在している。また、第5の透明電極130-5と第6の透明電極130-6とは、x軸方向において交互に櫛歯状に配置され、第7の透明電極130-7と第8の透明電極130-8とは、y軸方向において交互に櫛歯状に配置されている。平面視において、第5の透明電極130-5および第6の透明電極130-6の延在方向(y軸方向)は、第7の透明電極130-7および第8の透明電極130-8の延在方向(x軸方向)と直交しているが、僅かにずれて交差していてもよい。
【0023】
第3の液晶セル110-3では、第9の透明電極130-9および第10の透明電極130-10はx軸方向に延在し、第11の透明電極130-11および第12の透明電極130-12はy軸方向に延在している。また、第9の透明電極130-9と第10の透明電極130-10とは、y軸方向において交互に櫛歯状に配置され、第11の透明電極130-11と第12の透明電極130-12とは、x軸方向において交互に櫛歯状に配置されている。平面視において、第9の透明電極130-9および第10の透明電極130-10の延在方向(x軸方向)は、第11の透明電極130-11および第12の透明電極130-12の延在方向(y軸方向)と直交しているが、僅かにずれて交差していてもよい。
【0024】
第4の液晶セル110-4では、第13の透明電極130-13および第14の透明電極130-14はx軸方向に延在し、第15の透明電極130-15および第16の透明電極130-16はy軸方向に延在している。また、第13の透明電極130-13と第14の透明電極130-14とは、y軸方向において交互に櫛歯状に配置され、第15の透明電極130-15と第16の透明電極130-16とは、x軸方向において交互に櫛歯状に配置されている。平面視において、第13の透明電極130-13および第14の透明電極130-14の延在方向(x軸方向)は、第15の透明電極130-15および第16の透明電極130-16の延在方向(y軸方向)と直交しているが、僅かにずれて交差していてもよい。
【0025】
平面視において、第1の液晶セル110-1の第1の透明電極130-1、第2の液晶セル110-2の第5の透明電極130-5、第3の液晶セル110-3の第11の透明電極130-11、および第4の液晶セル110-4の第15の透明電極130-15は、互いに延在方向(y軸方向)が略一致するように重畳している。但し、第1の透明電極130-1、第5の透明電極130-5、第11の透明電極130-11、および第15の透明電極130-15が僅かにずれて重畳するように、第1の液晶セル110-1~第4の液晶セル110-4が配置されていてもよい。
【0026】
第1の基板120-1~第8の基板120-8の各々として、例えば、ガラス基板、石英基板、またはサファイア基板などの透光性を有する剛性基板が用いられる。また、第1の基板120-1~第8の基板120-8の各々として、例えば、ポリイミド樹脂基板、アクリル樹脂基板、シロキサン樹脂基板、またはフッ素樹脂基板などの透光性を有する可撓性基板を用いることもできる。
【0027】
第1の透明電極130-1~第16の透明電極130-16の各々は、液晶層160に電界を形成するための電極として機能する。第1の透明電極130-1~第16の透明電極130-16の各々として、例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)またはインジウム・亜鉛酸化物(IZO)などの透明導電材料が用いられる。
【0028】
第1の液晶層160-1~第4の液晶層160-4の各々は、液晶分子の配向状態に応じて、透過する光を屈折し、または透過する光の偏光状態を変化させることができる。第1の液晶層160-1~第4の液晶層160-4の各々の液晶として、ネマティック液晶などが用いられる。本実施形態で説明する液晶はポジ型であるが、液晶分子の初期の配向方向などを変更することによりネガ型を適用する構成も可能である。また、液晶には、液晶分子にねじれを付与するカイラル剤が含まれていることが好ましい。
【0029】
第1の配向膜140-1~第8の配向膜140-8の各々は、液晶層160内の液晶分子を所定の方向に配列する。第1の配向膜140-1~第8の配向膜140-8の各々として、ポリイミド樹脂などが用いられる。なお、第1の配向膜140-1~第8の配向膜140-8の各々は、ラビング法または光配向法などの配向処理によって配向特性が付与されてもよい。ラビング法は、配向膜の表面を一方向に擦る方法である。また、光配向法は、配向膜に直線偏光の紫外線を照射する方法である。
【0030】
第1のシール材150-1~第4のシール材150-4の各々として、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂を含む接着材などが用いられる。なお、接着材は、紫外線硬化型であってもよく、熱硬化型であってもよい。
【0031】
光学素子10は、少なくとも2つの液晶セル(例えば、第1の液晶セル110-1および第2の液晶セル110-2)を含むことにより、無偏光の光の配光を制御することができる。そのため、第1の液晶セル110-1の第1の基板120-1および第4の液晶セル110-4の第8の基板120-8の各表面には、例えば、液晶表示素子の表裏面に設けられるような一対の偏光板を設ける必要はない。
【0032】
[2.光学素子10による光の配光の制御]
図3Aおよび図3Bは、本発明の一実施形態に係る光学素子10による光の配光の制御を説明する模式的な断面図である。図3Aおよび図3Bには、図2Aに示す第1の液晶セル110-1および第2の液晶セル110-2の断面図の一部が示されている。図3Aには、透明電極130に電位が供給されていない状態の光学素子10が示され、図3Bには、透明電極130に電位が供給されている状態の光学素子10が示されている。
【0033】
第1の配向膜140-1はx軸方向に配向処理が行われている。そのため、図3Aに示すように、第1の液晶層160-1の第1の基板120-1側の液晶分子は、長軸がx軸方向に沿って配向する。すなわち、第1の基板120-1側の液晶分子の配向方向は、第1の透明電極130-1および第2の透明電極130-2の延在方向(y軸方向)に対して直交している。また、第2の配向膜140-2はy軸方向に配向処理が行われている。そのため、図3Aに示すように、第1の液晶層160-1の第2の基板120-2側の液晶分子は、長軸がy軸方向に沿って配向する。すなわち、第2の基板120-2側の液晶分子の配向方向は、第3の透明電極130-3および第4の透明電極130-4の延在方向(x軸方向)に対して直交している。したがって、第1の液晶層160-1の液晶分子は、第1の基板120-1から第2の基板120-2に向かうにつれて徐々に長軸の向きをx軸方向からy軸方向に変化し、90度ねじれた状態で配向している。
【0034】
第2の液晶層160-2の液晶分子も、第1の液晶層160-1の液晶分子と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0035】
透明電極130に電位が供給されると、図3Bに示すように、液晶分子の配向が変化する。ここでは、第1の透明電極130-1、第3の透明電極130-3、第5の透明電極130-5、および第7の透明電極130-7にLow電位が供給され、第2の透明電極130-2、第4の透明電極130-4、第6の透明電極130-6、および第8の透明電極130-8にHigh電位が供給されているものとして説明する。なお、図3Bでは、便宜上、Low電位およびHigh電位を、それぞれ、「-」および「+」の記号を用いて図示している。なお、以下では、隣接する透明電極間に生じる電界を横電界と言う場合がある。
【0036】
図3Bに示すように、第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との間の横電界の影響によって、第1の基板120-1側の液晶分子は、全体として、第1の基板120-1に対してx軸方向に沿って凸円弧状に配向する。同様に、第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4との間の横電界の影響によって、第2の基板120-2側の液晶分子は、全体として、第2の基板120-2に対してy軸方向に沿って凸円弧状に配向する。第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との間のほぼ中央に位置する液晶分子は、いずれの横電界によっても配向がほとんど変化しない。したがって、第1の液晶層160-1に入射した光は、第1の基板120-1側のx軸方向に沿って凸円弧状に配向された液晶分子の屈折率分布にしたがってx軸方向に拡散され、第2の基板120-2側のy軸方向に沿って凸円弧状に配向された液晶分子の屈折率分布にしたがってy軸方向に拡散される。
【0037】
なお、第1の基板120-1と第2の基板120-2とは、十分に離れた基板間距離を有しているため、第1の基板120-1の第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との間の横電界は、第2の基板120-2側の液晶分子の配向に対して影響を及ぼさない、または、無視できるほどに小さい。同様に、第2の基板120-2の第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4との間の横電界は、第1の基板120-1側の液晶分子の配向に対して影響を及ぼさない、または、無視できるほどに小さい。
【0038】
第5の透明電極130-5~第8の透明電極130-8に電位が供給された場合における第2の液晶層160-2の液晶分子も、第1の液晶層160-1の液晶分子と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0039】
続いて、光学素子10を透過する光の配光について説明する。光源から出射された光は、x軸方向の偏光成分(P偏光成分)およびy軸方向の偏光成分(S偏光成分)を有するが、以下では、便宜上、光を互いに直交するP偏光成分とS偏光成分とに分けて説明する。すなわち、光源から出射された光(図3Aおよび図3B中の(1)参照)は、P偏光成分を有する第1の偏光310およびS偏光成分を有する第2の偏光320を含む。なお、図3Aおよび図3B中の矢印の記号および丸印にバツを付した記号は、それぞれ、P偏光成分およびS偏光成分を表している。
【0040】
第1の偏光310は、第1の基板120-1に入射した後、第2の基板120-2に向かうにつれて、液晶分子の配向のねじれにしたがってP偏光成分からS偏光成分に変化する(図3Aおよび図3B中の(2)~(4)参照)。より具体的には、第1の偏光310は、第1の基板120-1側ではx軸方向に偏光軸を有しているが、第1の液晶層160-1の厚さ方向に通過する過程でその偏光軸を徐々に変化させ、第2の基板120-2側ではy軸方向に偏光軸を有し、その後、第2の基板120-2側から出射される(図3Aおよび図3B中の(5)参照)。
【0041】
ここで、第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との間に横電界が発生すると、当該横電界の影響で第1の基板120-1側の液晶分子がx軸方向に沿って凸円弧状に配向し、屈折率分布が変化する。そのため、第1の偏光310は、当該液晶分子の屈折率分布にしたがって、x軸方向に拡散する。また、第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4との間に横電界が発生すると、当該横電界の影響で第2の基板120-2側の液晶分子がy軸方向に沿って凸円弧状に配向し、屈折率分布が変化する。そのため、第1の偏光310は、当該液晶分子の屈折率分布の変化にしたがって、y軸方向に拡散する。
【0042】
したがって、横電界が発生していない場合(図3A参照)、第1の液晶セル110-1を透過する第1の偏光310は、偏光成分がP偏光成分からS偏光成分に変化する。一方、横電界が発生している場合(図3B参照)、第1の液晶セルを透過する第1の偏光310は、偏光成分がP偏光成分からS偏光成分に変化するとともに、x軸方向およびy軸方向に拡散する。
【0043】
第2の偏光320は、第1の基板120-1に入射した後、第2の基板120-2に向かうにつれて、液晶分子の配向のねじれにしたがってS偏光成分からP偏光成分に変化する(図3Aおよび図3B中の(2)~(4)参照)。より具体的には、第2の偏光320は、第1の基板120-1側ではy軸方向に偏光軸を有しているが、第1の液晶層160-1の厚さ方向に通過する過程でその偏光軸を徐々に変化させ、第2の基板120-2側ではx軸方向に偏光軸を有し、その後、第2の基板120-2側から出射される(図3Aおよび図3B中の(5)参照)。
【0044】
ここで、第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との間に横電界が発生すると、当該横電界の影響で第1の基板120-1側の液晶分子がx軸方向に沿って凸円弧状に配向し、屈折率分布が変化する。しかしながら、第2の偏光320の偏光軸は、第1の基板120-1側の液晶分子の配向と直交しているため、当該液晶分子の屈折率分布の影響を受けず、拡散せずにそのまま通過する。また、第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4との間に横電界が発生すると、当該横電界の影響で第2の基板120-2側の液晶分子がy軸方向に沿って凸円弧状に配向し、屈折率分布が変化する。しかしながら、第2の偏光320の偏光軸は、第2の基板120-2側の液晶分子の配向と直交しているため、当該液晶分子の屈折率分布の影響を受けず、拡散せずにそのまま通過する。
【0045】
したがって、横電界が発生していない場合(図3A参照)だけでなく、横電界が発生している場合(図3B参照)も、第1の液晶セル110-1を透過する第2の偏光320は、偏光成分がS偏光成分からP偏光成分に変化するが、拡散しない。
【0046】
第2の液晶セル110-2の第2の液晶層160-2の液晶分子も、第1の液晶セル110-1の第1の液晶層160-1の液晶分子と同様の屈折率分布を有する。但し、第1の偏光310および第2の偏光320は、第1の液晶セル110-1を透過することで、偏光軸が変化しているため、第2の液晶層160-2の液晶分子の屈折率分布の影響を受ける偏光は逆となる。すなわち、横電界が発生していない場合(図3A参照)だけでなく、横電界が発生している場合(図3B参照)も、第2の液晶セル110-2を透過する第1の偏光310は、偏光成分がS偏光成分からP偏光成分に変化するが、拡散しない(図3Aおよび図3B中の(6)~(8)参照)。一方、横電界が発生していない場合(図3A参照)、第2の液晶セル110-2を透過する第2の偏光320は、偏光成分がP偏光成分からS偏光成分に変化するのみであるが、横電界が発生している場合(図3B参照)、第2の液晶セル110-2を透過する第2の偏光320は、偏光成分がP偏光成分からS偏光成分に変化するとともに、x軸方向およびy軸方向に拡散する。
【0047】
以上からわかるように、光学素子10では、同一の構造を有する2つの液晶セル110を積層させることにより、光学素子10に入射する光の偏光成分を2度にわたって変化させ、その結果、入射前と入射後での偏光成分を変わらなくすることができる(図3Aおよび図3B中の(1)および(9)参照)。他方、光学素子10は、透明電極130に電位を供給し、液晶セル110の液晶層160の液晶分子が有する屈折率分布を変化させ、液晶セル110を透過する光を屈折させることができる。より具体的には、第1の液晶セル110-1が第1の偏光310(P偏光成分)の光をx軸方向、y軸方向、またはx軸およびy軸の両軸方向に拡散させ、第2の液晶セル110-2が第2の偏光320(S偏光成分)の光をx軸方向、y軸方向、またはx軸およびy軸の両軸方向に拡散させることができる。
【0048】
図3Aおよび図3Bでは第1の液晶セル110-1および第2の液晶セル110-2のみを図示し、第1の液晶セル110-1および第2の液晶セル110-2を透過する光の配光について説明したが、第3の液晶セル110-3および第4の液晶セル110-4を透過する光の配光も同様である。但し、第3の液晶セル110-3および第4の液晶セル110-4は、第1の液晶セル110-1および第2の液晶セル110-2に対して90度回転させた状態で積層している結果、作用する偏光成分が入れ替わる。すなわち、第3の液晶セル110-3が第2の偏光320(S偏光成分)の光をx軸方向、y軸方向、またはx軸およびy軸の両軸方向に拡散させ、第4の液晶セル110-4が第1の偏光310(P偏光成分)の光をx軸方向、y軸方向、またはx軸およびy軸の両軸方向に拡散させることができる。
【0049】
[3.光学素子10の透明電極への電位の供給]
図4は、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130の接続を説明する模式図である。
【0050】
第1の透明電極130-1および第15の透明電極130-15は、第1の電位V1を供給する第1の電位供給線200-1に接続されている。すなわち、第1の透明電極130-1と第15の透明電極130-15とは、互いに電気的に接続されている。
【0051】
第2の透明電極130-2および第16の透明電極130-16は、第2の電位V2を供給する第2の電位供給線200-2に接続されている。すなわち、第2の透明電極130-2と第16の透明電極130-16とは、互いに電気的に接続されている。
【0052】
第3の透明電極130-3および第13の透明電極130-13は、第3の電位V3を供給する第3の電位供給線200-3に接続されている。すなわち、第3の透明電極130-3と第13の透明電極130-13とは、互いに電気的に接続されている。
【0053】
第4の透明電極130-4および第14の透明電極130-14は、第4の電位V4を供給する第4の電位供給線200-4に接続されている。すなわち、第4の透明電極130-4と第14の透明電極130-14とは、互いに電気的に接続されている。
【0054】
第5の透明電極130-5および第11の透明電極130-11は、第5の電位V5を供給する第5の電位供給線200-5に接続されている。すなわち、第5の透明電極130-5と第11の透明電極130-11とは、互いに電気的に接続されている。
【0055】
第6の透明電極130-6および第12の透明電極130-12は、第6の電位V6を供給する第6の電位供給線200-6に接続されている。すなわち、第6の透明電極130-6と第12の透明電極130-12とは、互いに電気的に接続されている。
【0056】
第7の透明電極130-7および第9の透明電極130-9は、第7の電位V7を供給する第7の電位供給線200-7に接続されている。すなわち、第7の透明電極130-7と第9の透明電極130-9とは、互いに電気的に接続されている。
【0057】
第8の透明電極130-8および第10の透明電極130-10は、第8の電位V8を供給する第8の電位供給線200-8に接続されている。すなわち、第8の透明電極130-8と第10の透明電極130-10とは、互いに電気的に接続されている。
【0058】
第1の電位V1~第8の電位V8は、固定電位であってもよく、変動電位であってもよい。第1の電位供給線200-1~第8の電位供給線200-8には、Low電位およびHigh電位だけでなく、Low電位とHigh電位との間の中間電位も供給される。すなわち、第1の電位V1~第8の電位には、絶対値の異なる3つの電位が含まれる。これにより、光学素子10は、光源からの出射された光を、短軸および長軸が調整された楕円形状として拡散することができる。以下では、楕円形状の例について説明する。
【0059】
[具体例1.y軸上に焦点を有する楕円形状1]
図5A図5Cを参照して、y軸上に焦点を有する、すなわち、x軸方向に短軸を有し、y軸方向に長軸を有する楕円形状の配光について説明する。なお、以下では、便宜上、Low電位およびHigh電位が、それぞれ、-5Vおよび5Vであるとして説明するが、これに限られない。
【0060】
図5Aは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130に供給される電位を示すタイミングチャートである。
【0061】
第1の電位V1および第2の電位V2は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第1の電位V1および第2の電位V2は、-2Vと+2Vとが繰り返される電位である。但し、第1の電位V1と第2の電位V2とは位相が反転している。そのため、第1の電位V1と第2の電位V2との電位差の絶対値は4Vである。
【0062】
第3の電位V3および第4の電位V4は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第3の電位V3および第4の電位V4は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第3の電位V3と第4の電位V4とは位相が反転している。そのため、第3の電位V3と第4の電位V4との電位差の絶対値は10Vである。
【0063】
第5の電位V5および第6の電位V6は、中間固定電位である。すなわち、第5の電位V5および第6の電位V6は、0Vである。
【0064】
第7の電位V7および第8の電位V8は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第7の電位V7および第8の電位V8は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第7の電位V7と第8の電位V8とは位相が反転している。そのため、第7の電位V7と第8の電位V8との電位差の絶対値は10Vである。
【0065】
透明電極130に上述した電位が供給されることにより、電位差に従って液晶層160の液晶分子の配向状態が変化する。光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光(例えば、P偏光成分)は、第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との電位差(4V)および第15の透明電極130-15と第16の透明電極130-16との電位差(4V)によってx軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光は、第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4との電位差(10V)および第13の透明電極130-13と第14の透明電極130-14との電位差(10V)によってy軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光(例えば、S偏光成分)は、第7の透明電極130-7と第8の透明電極130-8との電位差(10V)および第9の透明電極130-9と第10の透明電極130-10との電位差(10V)によってy軸方向に拡散される。したがって、光学素子10に入射した光のうち、x軸方向の偏光を有する光の一部がx軸方向に拡散され、残りの光はy軸方向に拡散される。そのため、光学素子10を透過した光は、x軸方向に短軸を有し、y軸方向に長軸を有する楕円形状の配光となる。
【0066】
図5Aに示すタイミングチャートでは、x軸方向の偏光を有する光をx軸方向に拡散させたが、y軸方向の偏光を有する光をx軸方向に拡散することも可能である。以下、これについて説明する。
【0067】
図5Bは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130に供給される電位を示すタイミングチャートである。
【0068】
第1の電位V1および第2の電位V2は、中間固定電位である。すなわち、第1の電位V1および第2の電位V2は、0Vである。
【0069】
第3の電位V3および第4の電位V4は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第3の電位V3および第4の電位V4は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第3の電位V3と第4の電位V4とは位相が反転している。そのため、第3の電位V3と第4の電位V4との電位差の絶対値は10Vである。
【0070】
第5の電位V5および第6の電位V6は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第5の電位V5および第6の電位V6は、-2Vと+2Vとが繰り返される電位である。但し、第5の電位V5と第6の電位V6とは位相が反転している。そのため、第5の電位V5と第6の電位V6との電位差の絶対値は4Vである。
【0071】
第7の電位V7および第8の電位V8は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第7の電位V7および第8の電位V8は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第7の電位V7と第8の電位V8とは位相が反転している。そのため、第7の電位V7と第8の電位V8との電位差の絶対値は10Vである。
【0072】
透明電極130に上述した電位が供給されることにより、電位差に従って液晶層160の液晶分子の配向状態が変化する。光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光は、第5の透明電極130-5と第6の透明電極130-6との電位差(4V)および第11の透明電極130-11と第12の透明電極130-12との電位差(4V)によってx軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光は、第7の透明電極130-7と第8の透明電極130-8との電位差(10V)および第9の透明電極130-9と第10の透明電極130-10との電位差(10V)によってy軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光は、第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4との電位差(10V)および第13の透明電極130-13と第14の透明電極130-14との電位差(10V)によってy軸方向に拡散される。したがって、光学素子10に入射した光のうち、y軸方向の偏光を有する光の一部がx軸方向に拡散され、残りの光はy軸方向に拡散される。そのため、光学素子10を透過した光は、x軸方向に短軸を有し、y軸方向に長軸を有する楕円形状の配光となる。
【0073】
図5Cは、本発明の一実施形態に係る光学素子10を透過する光の方位角を測定した測定結果である。作製された光学素子10に図5Aに示すタイミングチャートの電位を供給したところ、図5Cに示す楕円形状の配光が測定された。
【0074】
[具体例2.y軸上に焦点を有する楕円形状2]
図6Aおよび図6Bを参照して、y軸に焦点を有する、すなわち、x軸方向に短軸を有し、y軸方向に長軸を有する楕円形状の配光について説明する。なお、楕円形状2は、楕円形状1よりも円形に近い楕円形である。
【0075】
図6Aは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130に供給される電位を示すタイミングチャートである。
【0076】
第1の電位V1および第2の電位V2は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第1の電位V1および第2の電位V2は、-1Vと+1Vとが繰り返される電位である。但し、第1の電位V1と第2の電位V2とは位相が反転している。そのため、第1の電位V1と第2の電位V2との電位差の絶対値は2Vである。
【0077】
第3の電位V3および第4の電位V4は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第3の電位V3および第4の電位V4は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第3の電位V3と第4の電位V4とは位相が反転している。そのため、第3の電位V3と第4の電位V4との電位差の絶対値は10Vである。
【0078】
第5の電位V5および第6の電位V6は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第5の電位V5および第6の電位V6は、-1Vと+1Vとが繰り返される電位である。但し、第5の電位V5と第6の電位V6とは位相が反転している。そのため、第5の電位V5と第6の電位V6との電位差の絶対値は2Vである。
【0079】
第7の電位V7および第8の電位V8は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第7の電位V7および第8の電位V8は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第7の電位V7と第8の電位V8とは位相が反転している。そのため、第7の電位V7と第8の電位V8との電位差の絶対値は10Vである。
【0080】
透明電極130に上述した電位が供給されることにより、電位差に従って液晶層160の液晶分子の配向状態が変化する。光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光(例えば、P偏光成分)は、第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との電位差(2V)および第15の透明電極130-15と第16の透明電極130-16との電位差(2V)によってx軸方向に僅かに拡散される。また、光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光は、第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4との電位差(10V)および第13の透明電極130-13と第14の透明電極130-14との電位差(10V)によってy軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光(例えば、S偏光成分)は、第5の透明電極130-5と第6の透明電極130-6との電位差(2V)および第11の透明電極130-11と第12の透明電極130-12との電位差(2V)によってx軸方向に僅かに拡散される。また、第7の透明電極130-7と第8の透明電極130-8との電位差(10V)および第9の透明電極130-9と第10の透明電極130-10との電位差(10V)によってy軸方向に拡散される。したがって、光学素子10に入射した光のうち、x軸方向の偏光を有する光の一部およびy軸方向の偏光を有する光の一部がx軸方向に拡散され、残りの光はy軸方向に拡散される。これによって、具体例2においては、具体例1の楕円形状1よりもx軸方向に拡散される光の輝度が増加する。また、x軸方向とy軸方向とで光の輝度を比較した場合、x軸方向およびy軸方向の相対的な輝度差は小さくなる。そのため、光学素子10を透過した光は、x軸方向に短軸を有し、y軸方向に長軸を有する円形に近い楕円形状の配光となる。
【0081】
図6Bは、本発明の一実施形態に係る光学素子10を透過する光の方位角を測定した測定結果である。作製された光学素子10に図6Aに示すタイミングチャートの電位を供給したところ、図6Bに示す楕円形状の配光が測定された。上述したように、本具体例2では具体例1よりもx軸方向への拡散の度合いが高められている。より具体的には、x軸方向の偏光を有する光の一部だけでなく、y軸方向の偏光を有する光の一部もx軸方向に拡散する。そのため、図6Bに示される本具体例2の配光状態は、図5Cに示される具体例1の配光状態よりも円形に近い楕円形状の配光となった。
【0082】
[具体例3.x軸上に焦点を有する楕円形状3]
図7A図7Cを参照して、x軸上に焦点を有する、すなわち、x軸方向に長軸を有し、y軸方向に短軸を有する楕円形状の配光について説明する。
【0083】
図7Aは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130に供給される電位を示すタイミングチャートである。
【0084】
第1の電位V1および第2の電位V2は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第1の電位V1および第2の電位V2は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第1の電位V1と第2の電位V2とは位相が反転している。そのため、第1の電位V1と第2の電位V2との電位差の絶対値は10Vである。
【0085】
第3の電位V3および第4の電位V4は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第3の電位V3および第4の電位V4は、-2Vと+2Vとが繰り返される電位である。但し、第3の電位V3と第4の電位V4とは位相が反転している。そのため、第3の電位V3と第4の電位V4との電位差の絶対値は4Vである。
【0086】
第5の電位V5および第6の電位V6は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第5の電位V5および第6の電位V6は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第5の電位V5と第6の電位V6とは位相が反転している。そのため、第5の電位V5と第6の電位V6との電位差の絶対値は10Vである。
【0087】
第7の電位V7および第8の電位V8は、中間固定電位である。すなわち、第7の電位V7および第8の電位V8は、0Vである。
【0088】
透明電極130に上述した電位が供給されることにより、電位差に従って液晶層160の液晶分子の配向状態が変化する。光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光(例えば、P偏光成分)は、第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4との電位差(4V)および第13の透明電極130-13と第14の透明電極130-14との電位差(4V)によってy軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光は、第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との電位差(10V)および第15の透明電極130-15と第16の透明電極130-16との電位差(10V)によってx軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光(例えば、S偏光成分)は、第5の透明電極130-5と第6の透明電極130-6との電位差(10V)および第11の透明電極130-11と第12の透明電極130-12との電位差(10V)によってx軸方向に拡散される。したがって、光学素子10に入射した光のうち、x軸方向の偏光を有する光の一部がy軸方向に拡散され、残りの光はx軸方向に拡散される。そのため、光学素子10を透過した光は、x軸方向に長軸を有し、y軸方向に短軸を有する楕円形状の配光となる。
【0089】
図7Aに示すタイミングチャートでは、x軸方向の偏光を有する光をy軸方向に拡散させたが、y軸方向の偏光を有する光をy軸方向に拡散することも可能である。以下、これについて説明する。
【0090】
図7Bは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130に供給される電位を示すタイミングチャートである。
【0091】
第1の電位V1および第2の電位V2は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第1の電位V1および第2の電位V2は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第1の電位V1と第2の電位V2とは位相が反転している。そのため、第1の電位V1と第2の電位V2との電位差の絶対値は10Vである。
【0092】
第3の電位V3および第4の電位V4は、中間固定電位である。すなわち、第3の電位V3および第4の電位V4は、0Vである。
【0093】
第5の電位V5および第6の電位V6は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第5の電位V5および第6の電位V6は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第5の電位V5と第6の電位V6とは位相が反転している。そのため、第5の電位V5と第6の電位V6との電位差の絶対値は10Vである。
【0094】
第7の電位V7および第8の電位V8は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第7の電位V7および第8の電位V8は、-2Vと+2Vとが繰り返される電位である。但し、第7の電位V7と第8の電位V8とは位相が反転している。そのため、第7の電位V7と第8の電位V8との電位差の絶対値は4Vである。
【0095】
透明電極130に上述した電位が供給されることにより、電位差に従って液晶層160の液晶分子の配向状態が変化する。光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光は、第7の透明電極130-7と第8の透明電極130-8との電位差(4V)および第9の透明電極130-9と第10の透明電極130-10との電位差(4V)によってy軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光は、第5の透明電極130-5と第6の透明電極130-6との電位差(10V)および第11の透明電極130-11と第12の透明電極130-12との電位差(10V)によってx軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光は、第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との電位差(10V)および第15の透明電極130-15と第16の透明電極130-16との電位差(10V)によってx軸方向に拡散される。したがって、光学素子10に入射した光のうち、y軸方向の偏光を有する光の一部がy軸方向に拡散され、残りの光はx軸方向に拡散される。そのため、光学素子10を透過した光は、x軸方向に長軸を有し、y軸方向に短軸を有する楕円形状の配光となる。
【0096】
図7Cは、本発明の一実施形態に係る光学素子10を透過する光の方位角を測定した測定結果である。作製された光学素子10に図7Aに示すタイミングチャートの電位を供給したところ、図7Cに示す楕円形状の配光が測定された。
【0097】
[具体例4.x軸に焦点を有する楕円形状4]
図8Aおよび図8Bを参照して、x軸に焦点を有する、すなわち、x軸方向に長軸を有し、y軸方向に短軸を有する楕円形状の配光について説明する。なお、楕円形状4は、楕円形状3よりも円形に近い楕円形である。
【0098】
図8Aは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130に供給される電位を示すタイミングチャートである。
【0099】
第1の電位V1および第2の電位V2は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第1の電位V1および第2の電位V2は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第1の電位V1と第2の電位V2とは位相が反転している。そのため、第1の電位V1と第2の電位V2との電位差の絶対値は10Vである。
【0100】
第3の電位V3および第4の電位V4は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第3の電位V3および第4の電位V4は、-1Vと+1Vとが繰り返される電位である。但し、第3の電位V3と第4の電位V4とは位相が反転している。そのため、第3の電位V3と第4の電位V4との電位差の絶対値は2Vである。
【0101】
第5の電位V5および第6の電位V6は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第5の電位V5および第6の電位V6は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第5の電位V5と第6の電位V6とは位相が反転している。そのため、第5の電位V5と第6の電位V6との電位差の絶対値は10Vである。
【0102】
第7の電位V7および第8の電位V8は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第7の電位V7および第8の電位V8は、-1Vと+1Vとが繰り返される電位である。但し、第7の電位V7と第8の電位V8とは位相が反転している。そのため、第7の電位V7と第8の電位V8との電位差の絶対値は2Vである。
【0103】
透明電極130に上述した電位が供給されることにより、電位差に従って液晶層160の液晶分子の配向状態が変化する。光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光(例えば、P偏光成分)は、第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4との電位差(2V)および第13の透明電極130-13と第14の透明電極130-14との電位差(2V)によってy軸方向に僅かに拡散される。また、光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光は、第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との電位差(10V)および第15の透明電極130-15と第16の透明電極130-16との電位差(10V)によってx軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光(例えば、S偏光成分)は、第7の透明電極130-7と第8の透明電極130-8との電位差(2V)および第9の透明電極130-9と第10の透明電極130-10との電位差(2V)によってy軸方向に僅かに拡散される。また、第5の透明電極130-5と第6の透明電極130-6との電位差(10V)および第11の透明電極130-11と第12の透明電極130-12との電位差(10V)によってx軸方向に拡散される。したがって、光学素子10に入射した光のうち、x軸方向の偏光を有する光の一部およびy軸方向の偏光を有する光の一部がy軸方向に拡散され、残りの光はx軸方向に拡散される。これによって、具体例4においては、具体例3の楕円形状3よりもy軸方向に拡散される光の輝度が増加する。また、x軸方向とy軸方向とで光の輝度を比較した場合、x軸方向およびy軸方向の相対的な輝度差は小さくなる。そのため、光学素子10を透過した光は、x軸方向に長軸を有し、y軸方向に短軸を有する楕円形状の配光となる。
【0104】
図8Bは、本発明の一実施形態に係る光学素子10を透過する光の方位角を測定した測定結果である。作製された光学素子10に図8Aに示すタイミングチャートの電位を供給したところ、図8Bに示す楕円形状の配光が測定された。上述したように、本具体例4では具体例3よりもy軸方向への拡散の度合いが高められている。より具体的には、y軸方向の偏光を有する光の一部だけでなく、x軸方向の偏光を有する光の一部もy軸方向に拡散する。そのため、図8Bに示される本具体例4の配光状態は、図7Cに示される具体例1の配光状態よりも円形に近い楕円形状の配光となった。
【0105】
以上、本発明の一実施形態に係る光学素子10によれば、異方的な形状の1つである楕円形状を有する配光において、短軸および長軸の長さを制御することができる。
【0106】
<第2実施形態>
光学素子10では、楕円形状以外の配光も可能である。そこで、以下では、楕円形状以外の配光の一例として、x軸方向の長さとy軸方向の長さとが異なる十字形状の配光について説明する。なお、本実施形態の構成が第1実施形態の構成と同様であるとき、その構成の説明を省略する場合がある。
【0107】
[具体例1.x軸方向の長さよりもy軸方向の長さが長い十字形状1]
図9A図9Cを参照して、x軸方向の長さよりもy軸方向の長さが長い十字形状の配光について説明する。
【0108】
図9Aは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130に供給される電位を示すタイミングチャートである。
【0109】
第1の電位V1および第2の電位V2は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第1の電位V1および第2の電位V2は、-2Vと+2Vとが繰り返される電位である。但し、第1の電位V1と第2の電位V2とは位相が反転している。そのため、第1の電位V1と第2の電位V2との電位差の絶対値は4Vである。
【0110】
第3の電位V3および第4の電位V4は、中間固定電位である。すなわち、第3の電位V3および第4の電位V4は、0Vである。
【0111】
第5の電位V5および第6の電位V6は、中間固定電位である。すなわち、第5の電位V5および第6の電位V6は、0Vである。
【0112】
第7の電位V7および第8の電位V8は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第7の電位V7および第8の電位V8は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第7の電位V7と第8の電位V8とは位相が反転している。そのため、第7の電位V7と第8の電位V8との電位差の絶対値は10Vである。
【0113】
透明電極130に上述した電位が供給されることにより、電位差に従って液晶層160の液晶分子の配向状態が変化する。光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光(例えば、P偏光成分)は、第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との電位差(4V)および第15の透明電極130-15と第16の透明電極130-16との電位差(4V)によってx軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光(例えば、S偏光成分)は、第7の透明電極130-7と第8の透明電極130-8との電位差(10V)および第9の透明電極130-9と第10の透明電極130-10との電位差(10V)によってy軸方向に拡散される。したがって、光学素子10に入射した光のうち、x軸方向の偏光を有する光の一部がx軸方向に拡散され、y軸方向の偏光を有する光はy軸方向に拡散される。このように、一方の偏光成分をx軸方向にのみ拡散させ、他方の偏光成分をy軸方向にのみ拡散させることにより、十字形状の配光が実現される。また、各電極の電位差を調整することで、十字形状の配光の各方向の配光長さが調整される。
【0114】
図9Aに示すタイミングチャートでは、x軸方向の偏光を有する光をx軸方向に拡散させたが、y軸方向の偏光を有する光をx軸方向に拡散することも可能である。以下、これについて説明する。
【0115】
図9Bは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130に供給される電位を示すタイミングチャートである。
【0116】
第1の電位V1および第2の電位V2は、中間固定電位である。すなわち、第1の電位V1および第2の電位V2は、0Vである。
【0117】
第3の電位V3および第4の電位V4は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第3の電位V3および第4の電位V4は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第3の電位V3と第4の電位V4とは位相が反転している。そのため、第3の電位V3と第4の電位V4との電位差の絶対値は10Vである。
【0118】
第5の電位V5および第6の電位V6は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第5の電位V5および第6の電位V6は、-2Vと+2Vとが繰り返される電位である。但し、第5の電位V5と第6の電位V6とは位相が反転している。そのため、第5の電位V5と第6の電位V6との電位差の絶対値は4Vである。
【0119】
第7の電位V7および第8の電位V8は、中間固定電位である。すなわち、第7の電位V7および第8の電位V8は、0Vである。
【0120】
透明電極130に上述した電位が供給されることにより、電位差に従って液晶層160の液晶分子の配向状態が変化する。光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光は、第5の透明電極130-5と第6の透明電極130-6との電位差(4V)および第11の透明電極130-11と第12の透明電極130-12との電位差(4V)によってx軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光は、第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4との電位差(10V)および第13の透明電極130-13と第14の透明電極130-14との電位差(10V)によってy軸方向に拡散される。したがって、光学素子10に入射した光のうち、x軸方向の偏光を有する光はy軸方向に拡散され、y軸方向の偏光を有する光の一部がx軸方向に拡散される。
【0121】
図9Cは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130に図9Aまたは図9Bに示すタイミングチャートの電位が供給されたときの配光の形状を示した模式図である。光学素子10を透過した光は、図9Cに示すようなx軸方向の長さよりもy軸方向の長さが長い十字形状の配光となる。
【0122】
[具体例2.x軸方向の長さよりもy軸方向の長さが短い十字形状2]
図10A図10Cを参照して、x軸方向の長さよりもy軸方向の長さが短い十字形状の配光について説明する。
【0123】
図10Aは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130に供給される電位を示すタイミングチャートである。
【0124】
第1の電位V1および第2の電位V2は、中間固定電位である。すなわち、第1の電位V1および第2の電位V2は、0Vである。
【0125】
第3の電位V3および第4の電位V4は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第3の電位V3および第4の電位V4は、-2Vと+2Vとが繰り返される電位である。但し、第3の電位V3と第4の電位V4とは位相が反転している。そのため、第3の電位V3と第4の電位V4との電位差の絶対値は4Vである。
【0126】
第5の電位V5および第6の電位V6は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第5の電位V5および第6の電位V6は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第5の電位V5と第6の電位V6とは位相が反転している。そのため、第5の電位V5と第6の電位V6との電位差の絶対値は10Vである。
【0127】
第7の電位V7および第8の電位V8は、中間固定電位である。すなわち、第7の電位V7および第8の電位V8は、0Vである。
【0128】
透明電極130に上述した電位が供給されることにより、電位差に従って液晶層160の液晶分子の配向状態が変化する。光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光(例えば、P偏光成分)は、第3の透明電極130-3と第4の透明電極130-4との電位差(4V)および第13の透明電極130-13と第14の透明電極130-14との電位差(4V)によってy軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光(例えば、S偏光成分)は、第5の透明電極130-5と第6の透明電極130-6との電位差(10V)および第11の透明電極130-11と第12の透明電極130-12との電位差(10V)によってx軸方向に拡散される。したがって、光学素子10に入射した光のうち、x軸方向の偏光を有する光の一部がy軸方向に拡散され、y軸方向の偏光を有する光はx軸方向に拡散される。
【0129】
図10Aに示すタイミングチャートでは、x軸方向の偏光を有する光をy軸方向に拡散させたが、y軸方向の偏光を有する光をy軸方向に拡散することも可能である。以下、これについて説明する。
【0130】
図10Bは、本発明の一実施形態に係る光学素子10の透明電極130に供給される電位を示すタイミングチャートである。
【0131】
第1の電位V1および第2の電位V2は、Low電位とHigh電位とが反転駆動された変動電位である。すなわち、第1の電位V1および第2の電位V2は、-5Vと+5Vとが繰り返される電位である。但し、第1の電位V1と第2の電位V2とは位相が反転している。そのため、第1の電位V1と第2の電位V2との電位差の絶対値は10Vである。
【0132】
第3の電位V3および第4の電位V4は、中間固定電位である。すなわち、第3の電位V3および第4の電位V4は、0Vである。
【0133】
第5の電位V5および第6の電位V6は、中間固定電位である。すなわち、第5の電位V5および第6の電位V6は、0Vである。
【0134】
第7の電位V7および第8の電位V8は、中間電位が反転駆動された変動電位である。すなわち、第7の電位V7および第8の電位V8は、-2Vと+2Vとが繰り返される電位である。但し、第7の電位V7と第8の電位V8とは位相が反転している。そのため、第7の電位V7と第8の電位V8との電位差の絶対値は4Vである。
【0135】
透明電極130に上述した電位が供給されることにより、電位差に従って液晶層160の液晶分子の配向状態が変化する。光学素子10に入射したy軸方向の偏光を有する光は、第7の透明電極130-7と第8の透明電極130-8との電位差(4V)および第9の透明電極130-9と第10の透明電極130-10との電位差(4V)によってy軸方向に拡散される。また、光学素子10に入射したx軸方向の偏光を有する光は、第1の透明電極130-1と第2の透明電極130-2との電位差(10V)および第15の透明電極130-15と第16の透明電極130-16との電位差(10V)によってx軸方向に拡散される。したがって、光学素子10に入射した光のうち、y軸方向の偏光を有する光の一部がy軸方向に拡散され、x軸方向の偏光を有する光はx軸方向に拡散される。
【0136】
図10Cは、本発明の一実施形態に係る光学素子10において、透明電極130に図10Aまたは図10Bに示すタイミングチャートの電位が供給されたときの配向の形状を示した模式図である。光学素子10を透過した光は、図10Cに示すようなx軸方向の長さよりもy軸方向の長さが短い十字形状の配光となる。
【0137】
以上、本発明の一実施形態に係る光学素子10によれば、異方的な形状の1つである十字形状を有する配光において、第1の方向および第2の方向の長さを制御することができる。
【0138】
以上、いくつかの異方的な形状を有する配光を例示したが、第1の方向の長さと第2の方向の長さは、透明電極130に供給する中間電位の大きさによって制御することができる。例えば、透明電極130に供給する電位を高くすると、光がより拡散され、長さが長くなる。また、配光の形状は、例えば、基板120間の距離または透明電極130間のピッチによっても制御することができる。
【0139】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に相当し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0140】
また、本実施形態において態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0141】
10:光学素子
110:液晶セル
120:基板
130:透明電極
140:配向膜
150:シール材
160:液晶層
170:光学弾性樹脂層
200:電位供給線
310:第1の偏光
320:第2の偏光
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C